説明

出退用経路監視システム及び携帯機

【課題】 タグリーダを出退用経路以外の場所に配置せずに、IDタグを所持する監視対象者の居場所を監視可能な出退用経路監視システム、及び、監視対象者に所持されIDタグを備えた携帯機を提供する。
【解決手段】 出退用経路監視システムは、携帯機10と管理センタ50の両方で生徒の下校状態を監視し、携帯機10は、生徒の下校中において、通学路に沿って配置されたタグリーダ4から送信されるリーダ情報を、IDタグ20が設定時間内に受信できなかった場合に、生徒が通学路からはずれたと判断し、内蔵のPHSユニット30を作動させ、そのPHSユニット30を最寄りの基地局70に接続させる。このため、管理センタ50側の管理用コンピュータ60は、移動電話交換局74に問い合わせた際に、そこから応答される位置情報により基地局70に接続されている携帯機10を所持する生徒の現在位置を特定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視対象者が施設(塾、学校、会社、病院等)へ通う際に通る出退用経路を監視する出退用経路監視システム、及び、各監視対象者に所持される携帯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、屋外で迷子になってしまった子供等を捜す際に、保護者が、監視センタにその旨を報告することにより、監視センタからその子供の現在位置を検出して、その現在位置を保護者へ通知する監視システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
つまり、このシステムでは、個人の識別情報を送信するIDタグを子供に持たせ、市町村の電柱や交差点等の各地点には、そのIDタグからの識別情報を読み取るタグリーダを設置するようにされている。そして、子供が迷子になった際に、保護者がその子供の氏名等を監視センタに報告すると、監視センタ側では、その子供が所持するIDタグの識別情報を読み取ったタグリーダを検出し、その検出結果からその子供の現在位置を特定して、その結果を保護者に通知する。このため、保護者は、監視センタからの通知を受けることで、迷子になった子供の現在位置を知ることができる。
【特許文献1】特開2003−296667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記監視システムは、迷子になった子供の現在位置を検出することができるので、学校や塾等の施設へ通う生徒の登校状態または下校状態の監視に利用することができる。即ち、IDタグをその施設へ通う生徒に持たせ、タグリーダをその生徒が通る施設への通学路上に沿って複数設置し、各タグリーダが読み取ったIDタグからの識別情報に基づき、通学路上における各生徒の登校状態または下校状態を監視することで、生徒の安全を確保するのである。
【0005】
しかしながら、この場合、タグリーダを通学路上にしか設置しないため、生徒が通学路からはずれてしまったことを検出することはできるが、通学路からはずれてしまった生徒の現在位置を知ることはできない。このため、生徒の安全性を充分に確保することができないという問題が生じてしまう。
【0006】
そして、この問題を解決するためには、タグリーダを通学路以外(例えばその施設がある市町村全体)に分散して設置すれば良いが、この場合、普段生徒が通らない余分な場所についてもタグリーダを多数設置しなければならなくなってしまう。
【0007】
本発明は、こうした問題を解決するためになされたものであり、タグリーダを通学路等の出退用経路以外の場所に多数配置することなく、IDタグを所持する監視対象者の居場所を監視することが可能な出退用経路監視システム、及び、監視対象者に所持される携帯機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、所定の施設に通う複数の監視対象者に各々所持され、その監視対象者の識別情報を無線にて送信する複数のIDタグと、各監視対象者が施設へ通う際に通る出退用経路に沿って複数配置され、各IDタグからの識別情報を受信して、その識別情報を読み取る複数のタグリーダと、各タグリーダから識別情報を順次取得し、そのタグリーダの配置位置から、取得した識別情報に対応する監視対象者の現在位置を特定して、その特定した監視対象者の現在位置を記憶手段に格納する格納手段と、外部からの要求に応じて、その要求に対応する監視対象者の現在位置を、記憶手段から読み出して出力する出力手段と、を備えた出退用経路監視システムであって、各タグリーダは、各IDタグからの識別情報を受信すると、その識別情報を送信してきたIDタグに対して応答信号を送信するよう構成されており、各IDタグは、各タグリーダから送信されてきた応答信号を受信可能に構成されると共に、屋外に複数配置される基地局を介して公衆電話回線網に接続可能な無線電話端末としての通信手段を有する携帯機に夫々組み込まれ、更に、各携帯機は、IDタグ及び通信手段に加えて、IDタグが識別情報を送信してから予め設定された設定時間内に、IDタグが各タグリーダからの応答信号を受信できたか否かを判定する判定手段と、判定手段により設定時間内にIDタグが応答信号を受信できなかったと判定された場合に、通信手段を作動させ、逆に、判定手段により設定時間内にIDタグが応答信号を受信できたと判定された場合に、通信手段の作動を停止させる通信制御手段と、を備え、当該出退用経路監視システムは、公衆電話回線網に接続されている携帯機があるか否かを判定する接続判定手段と、接続判定手段により公衆電話回線網に接続されている携帯機があると判定されると、その携帯機がどこの基地局を介して公衆電話回線網に接続されているかを検出し、その検出結果に基づき、その携帯機を所持する監視対象者の現在位置を特定する位置特定手段と、位置特定手段により監視対象者の現在位置が特定されると、その現在位置を、その監視対象者に対して予め設定された連絡先に通知する通知手段と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
以上のような請求項1に記載の出退用経路監視システムでは、判定手段が、設定時間内に、IDタグが各タグリーダからの応答信号を受信できなかったと判定すると(即ち、監視対象者が出退用経路からはずれてしまうと)、通信制御手段が通信手段を作動させるので、通信手段は、その現在位置から最寄りの基地局を介して当該携帯機を公衆電話回線網に接続することとなる。
【0010】
すると、接続判定手段は、公衆電話回線網に接続されている携帯機があると判定することとなるので、これにより、位置特定手段が、その携帯機を所持する監視対象者の現在位置を特定し、通知手段が、その現在位置をその監視対象者に対して予め設定された連絡先に通知する。
【0011】
このため、監視対象者が出退用経路からはずれてしまったとしても、監視対象者を監視する監視者(即ち、上記連絡先にて通知を受ける人)は、本出退用経路監視システムからの通知を受けることで、出退用経路からはずれた監視対象者の現在位置を知ることができる。
【0012】
そして、このような出退用経路監視システムによれば、タグリーダを出退用経路以外の場所に多数配置することなく、IDタグ(即ち、携帯機)を所持する監視対象者の居場所(現在位置)を監視することができる。
【0013】
ところで、本出退用経路監視システムにおいては、各監視対象者の出退用経路毎に、タグリーダを複数配置しているため、IDタグが、監視対象者の出退用経路とは異なる経路(即ち、他の監視対象者の出退用経路)に配置されたタグリーダからの応答信号を受信することもある。
【0014】
この場合、その応答信号を受信したIDタグを備える携帯機では、監視対象者が自己の出退用経路からはずれているのにもかかわらず、通信手段を作動させないため、その旨が予め設定された連絡先(監視者)に通知されない、といったことが生じてしまう。
【0015】
そこで、このような問題を解決するためには、請求項1に記載の出退用経路監視システムを、請求項2に記載のように構成すると良い。
即ち、請求項2に記載の出退用経路監視システムは、請求項1に記載の出退用経路監視システムにおいて、応答信号には、発信源であるタグリーダの識別情報が含まれており、携帯機には、当該携帯機を所持する監視対象者の出退用経路に沿って配置されるタグリーダの識別情報が記憶された経路記憶手段が設けられ、更に、判定手段は、設定時間内にIDタグが応答信号を受信できたと判定すると、その応答信号に含まれる識別情報が経路記憶手段に記憶された識別情報の何れかと一致するか否かを判断し、通信制御手段は、判定手段により、設定時間内にIDタグが応答信号を受信できたと判定されて、更に、その応答信号に含まれる識別情報が経路記憶手段に記憶された識別情報の何れとも一致しないと判断された場合に、通信手段を作動させること、を特徴としている。
【0016】
このような請求項2に記載の出退用経路監視システムでは、監視対象者が自己の出退用経路をはずれた場合にだけ、通信手段が最寄りの基地局を介して当該携帯機を公衆電話回線網に接続する。これにより、接続判定手段が、公衆電話回線網に接続されている携帯機があると判定することとなるので、位置特定手段がその監視対象者の現在位置を特定し、通知手段がその監視対象者に対して予め設定された連絡先に通知する。
【0017】
このため、監視対象者が自己の出退用経路からはずれているのにもかかわらず、その旨が監視者に通知されない、といった問題を解決することができる。
次に、請求項3に記載の出退用経路監視システムは、請求項1又は請求項2に記載の出退用経路監視システムにおいて、各監視対象者の出退用経路を表す予定経路情報が、各監視対象者毎に記憶された予定経路記憶手段を備え、位置特定手段は、接続判定手段により公衆電話回線網に接続されている携帯機があると判定されると、その携帯機を所持する監視対象者が出退用経路からはずれたか否かを、記憶手段に記憶されている当該監視対象者の最新の現在位置と、予定経路記憶手段に記憶されている当該監視対象者の予定経路情報とに基づき判定し、その携帯機を所持する監視対象者が出退用経路からはずれたと判定した場合に、その携帯機を所持する監視対象者の現在位置を特定すること、を特徴としている。
【0018】
このような請求項3に記載の出退用経路監視システムによれば、通信手段が何らかの不具合により誤作動してしまったとしても、位置特定手段が、その通信手段を有した携帯機を所持する監視対象者が出退用経路からはずれたと判定しない限り、通知手段は、その監視対象者の現在位置を通知しないため、本システムの信頼性を向上させることができる。
【0019】
また、請求項1〜請求項3の何れかに記載の出退用経路監視システムは、請求項4に記載の如く、各監視対象者の帰宅時または施設への到着時に、携帯機の動作を停止させるための停止指令を出力する停止手段を備え、携帯機に、停止手段からの停止指令を受けると、IDタグによる識別情報の送信を停止させ、更に、携帯機が通信手段により公衆電話回線網に接続されていた場合にはその接続を遮断する送信動作切替手段を備えていれば、携帯機の消費電力を低減することができる。
【0020】
つまり、請求項4に記載の出退用経路監視システムでは、監視対象者を監視する必要のない場合(即ち、監視対象者の帰宅後または施設への到着後)に、IDタグ及び通信手段の機能を停止するため、その携帯機の消費電力を低減することができる。
【0021】
そして、具体的には、例えば請求項5に記載のように、停止手段は、携帯機の動作電源を充電するための充電器であり、送信動作切替手段は、充電器により当該携帯機の動作電源の充電が開始されると、停止指令を受けたと判断して、IDタグによる識別情報の送信を停止させ、更に、携帯機が通信手段により公衆電話回線網に接続されていた場合にはその接続を遮断するように構成すると良い。
【0022】
また、請求項4または請求項5に記載の出退用経路監視システムにおいて、携帯機を停止させた後の起動については、監視対象者が施設へ出発する時や施設から自宅へ帰る時に、手動で携帯機を起動させるようにしても良いし、自動で起動させるようにしても良い。
【0023】
そして、携帯機を自動で起動させる場合には、請求項6に記載のように、各監視対象者の施設への出発時または施設からの帰宅時に、携帯機の動作を開始させるための起動指令を出力する起動手段を設け、送信動作切替手段は、起動手段からの起動指令を受けると、IDタグによる識別情報の送信を開始させるようにすれば良い。
【0024】
次に、請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6の何れかに記載の出退用経路監視システムに用いられる携帯機であって、当該携帯機を所持する監視対象者の識別情報を無線にて送信すると共に、タグリーダからの応答信号を受信するIDタグと、基地局を介して公衆電話回線網に接続可能な無線電話端末としての通信手段と、IDタグが識別情報を送信してから予め設定された設定時間内に、IDタグが各タグリーダからの応答信号を受信できたか否かを判定する判定手段と、判定手段により設定時間内にIDタグが応答信号を受信できなかったと判定された場合に、通信手段を作動させ、逆に、設定時間内にIDタグが応答信号を受信できたと判定された場合に、通信手段の作動を停止させる通信制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0025】
このような請求項7に記載の携帯機によれば、この携帯機を請求項1〜請求項6の何れかに記載の出退用経路監視システムに用いることで、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用された実施形態の出退用経路監視システム全体の構成を表す概略構成図である。
【0027】
図1に示す如く、本実施形態の出退用経路監視システムは、塾若しくは学校である施設2に通う生徒の出退管理を行うと共に、生徒の下校状態を監視するものであり、その施設2の出入り口あるいは各教室毎に設けられる施設用タグリーダ4aと、生徒が登下校時に通る通学路(出退用経路に相当)の各々に沿って複数設けられた通学路用タグリーダ4bと、生徒の家庭に夫々設けられた自宅用タグリーダ4cとを備える。
【0028】
施設用タグリーダ4aは、施設2に通う生徒が所持する携帯機10に内蔵されたIDタグ20から、IDタグ20内に記憶された生徒の識別情報(以下、タグ情報という)を読み取るためのものである。そして、本実施形態において、施設用タグリーダ4aは、携帯機10を起動させてIDタグ20からタグ情報を送信させるための起動信号を、定期的に送信すると共に、IDタグ20から送信されるタグ情報を受信することにより、IDタグ20からのタグ情報を読み取るようにされている。
【0029】
尚、携帯機10は、通常IDタグ20の動作を停止させており、施設用タグリーダ4aからの起動信号を受信すると、IDタグ20を作動させ、その後、施設用タグリーダ4aから送信されてくる後述の下校情報を受信しなかった場合にはIDタグ20の作動を停止させ、下校情報を受信した場合にはIDタグ20の作動を継続させる。また、IDタグ20は、動作を開始してから停止するまでの間、定期的にタグ情報を送信するよう構成されており、各携帯機10毎にタグ情報の送信タイミングが異なっている。
【0030】
また、施設用タグリーダ4aは、CPU,RAM,ROM等からなるマイクロコンピュータ(図示省略)を備えており、例えばROMには、自ら(施設用タグリーダ4a)の識別情報(以下、リーダ情報という)が記憶されている。
【0031】
また、施設用タグリーダ4aは、IDタグ20からタグ情報を読み取ると、自らの識別情報であるリーダ情報を含んだ応答信号を生成し、タグ情報を送信してきたIDタグ20に対して応答信号を無線にて送信する。
【0032】
また、施設用タグリーダ4aは、IDタグ20から読み取ったタグ情報を、その現在時刻と共に、例えばRAMに記憶する。
そして、施設用タグリーダ4aは、広域ネットワーク(本実施形態ではインターネット6)に接続されており、同じくインターネット6に接続された管理センタ50内の管理用コンピュータ60からの問い合わせに応じて、RAMに記憶されているタグ情報を、インターネット6を介して管理用コンピュータ60に転送する。尚、施設用タグリーダ4aは、タグ情報の転送後、RAMに記憶されているタグ情報を消去する。
【0033】
一方、管理センタ50では、施設用タグリーダ4aから転送されてくるタグ情報に基づき生徒の出退状況が更新される。そして、今回の更新が、生徒の下校(退席)を表す更新であった場合には、管理用コンピュータ60が、生徒が施設2から下校したことを表す下校情報を、インターネット6を介して施設用タグリーダ4aへ送信する。
【0034】
そして、施設用タグリーダ4aは、管理用コンピュータ60から送信されてくる下校情報をインターネット6を介して受信すると、その下校情報を含んだ信号を生成し、タグ情報を送信してきたIDタグ20に対してその信号を無線にて送信する。
【0035】
このため、施設用タグリーダ4aから起動信号を受けてIDタグ20を作動させた携帯機10は、その携帯機10を所持する生徒の下校時に、IDタグ20からタグ情報を送信させることで、施設用タグリーダ4aから応答信号を受信すると共に、下校情報を含んだ信号を受信することとなるので、IDタグ20は、その後定期的にタグ情報を送信することとなる。
【0036】
次に、通学路用タグリーダ4b及び自宅用タグリーダ4cは、施設用タグリーダ4aと同様に、マイクロコンピュータを備えると共にインターネット6に接続されているが、起動信号を送信しない点と下校情報を送信しない点とが、施設用タグリーダ4aとは異なっている。
【0037】
つまり、通学路用タグリーダ4b及び自宅用タグリーダ4cは、IDタグ20からタグ情報を読み取ると、そのタグ情報を送信してきたIDタグ20に対して、自らの識別情報であるリーダ情報を含んだ応答信号を送信し、管理用コンピュータ60からの問い合わせに応じて、RAMに記憶されているタグ情報を管理用コンピュータ60に転送する。
【0038】
尚、以下の説明において、施設用タグリーダ4a、通学路用タグリーダ4b、及び、自宅用タグリーダ4cを、特に区別しない場合には、単にタグリーダ4という。
一方、管理センタ50には、施設2に通う生徒の個人情報が登録された個人情報データベース(個人情報DB)52と、同じく生徒の出退状況を管理するための出退情報および生徒の下校時における現在位置を把握するための位置情報が登録された位置情報データベース(位置情報DB)54と、生徒の出退状況や下校状況を保護者や親族等に通知するのに必要な通知情報が登録された通知情報データベース(通知情報DB)56と、屋外に複数設置される基地局70に対しPHS網72を介してつながる移動電話交換局74から、PHS網72を介して送信されてくる位置情報や、タグリーダ4から転送されてきたタグ情報に従い、これら各DB52,54,56からの情報を読み出し、情報の書き込み、若しくは書き換えを行う管理用コンピュータ60と、生徒の保護者や親族に対して出退状況や下校状況等の各種情報を通知するための通知用コンピュータ62と、が備えられている。
【0039】
尚、基地局70は、半径数百m離れたPHS用電話端末からの電波を受信することができるものであり、その受信エリアが隣接または一部重複するように、例えば市町村の各所に配置されている。また、移動電話交換局74は、基地局70が受信したPHSの電波と、その電波を受信した基地局70とに基づき、どのPHS用電話端末がどの基地局70に接続されているのかを各基地局70毎に監視し、その監視結果を位置情報として記憶しており、管理用コンピュータ60からの問い合わせに応じて、その記憶した位置情報のうち、その問い合わせに対応する位置情報を管理用コンピュータ60へ送信する。
【0040】
通知用コンピュータ62は、管理用コンピュータ60から入力される送信データに従い、連絡先が電子メールアドレスであれば、インターネット6を利用した電子メール送信によって、保護者等が所有する携帯電話76a、PDA等の携帯情報端末76b、パソコン等のインターネット端末76c、といった情報端末76a〜76cに情報を送信する。
【0041】
また、連絡先がファクシミリ装置の電話番号であれば、複数のモデム64の一つを介してその電話番号に電話を掛けることで、公衆電話回線78上の特定のファクシミリ装置80aを呼び出し、その後ファクシミリデータを送信することで、連絡先として登録されたファクシミリ装置80aに、ファクシミリ画像にて情報を送信する。
【0042】
また更に、連絡先が普通の電話番号であれば、複数のモデム64の一つを介してその電話番号に電話を掛けることで、公衆電話回線78上の特定の電話装置80bを呼び出し、その電話装置80bから受呼信号が送信されてくると、音声データを送信することで、連絡先として登録された電話装置80bに音声にて情報を送信する。
【0043】
次に、図2は、個人情報DB52、位置情報DB54、通知情報DB56にそれぞれ登録された生徒の個人情報、出退情報、位置情報、及び通知情報を表している。
図2(a)に示す如く、生徒の個人情報は、その生徒の識別情報(ID:生徒が所持するIDタグ20と同じもの)、生徒の名前、学年、クラス、PHS情報(生徒が所持する携帯機10に内蔵された後述のPHSユニット30を表す情報)及び、連絡先(メールアドレス、ファクシミリ番号、電話番号等)等から構成されており、その登録番号順に、個人情報DB52に登録されている。尚、連絡先は、生徒一人当たりに3個まで登録できるようにされている。
【0044】
また、図2(b)に示す如く、出退情報および位置情報は、生徒の個人情報の登録番号に関連づけて各生徒毎に登録されるものであり、施設用タグリーダ4aのタグ情報の読み取り状態に応じて更新される生徒の最新の出退状態を表す出退フラグ、生徒の通る通学路(詳しくは、その通学路に沿って配置される各タグリーダ4のリーダ情報)を表す設定通学路、生徒の下校時に、各タグリーダ4のタグ情報の読み取り状態に応じて、更新される生徒の最新の現在位置(リーダ情報)を表す現在位置情報、及び、生徒の過去の出退状況を表す出退履歴等から構成されている。
【0045】
一方、通知情報は、通知用コンピュータ62を介して、メール、ファクシミリ、音声等で保護者等に通知する文を表す情報であり、図2(c)に示す如く、通知情報DB56には、生徒の出退状況や下校状況に応じて通知する通知情報として、生徒が出席(登校)したときに通知する出席通知情報、生徒が下校(退席)したときに通知する下校通知情報、生徒が下校時に設定通学路からはずれたときに通知する予定外行動通知情報、が登録されている。
【0046】
次に、生徒が夫々所持する携帯機10について、図3を用い詳しく説明する。尚、図3は、携帯機10の構成を表す構成図である。
携帯機10は、施設2からその生徒に夫々配布されるものであり、図3に示すように、IDタグ20と、PHS用電話端末の位置検出機能として機能するPHSユニット30と、制御部40と、これら各部20,30,40に対して動作電源を供給するためのバッテリ12と、バッテリ12を充電するための充電回路14と、制御部40からの出力される導通信号が入力されることでオンして、バッテリ12からPHSユニット30に動作電源を供給させることにより、PHSユニット30を起動させるスイッチ16と、を備え、これら各部12,14,16,20,30,40は、樹脂からなるケースに収納されている。
【0047】
尚、本実施形態において、携帯機10は、生徒の首にかけられる所謂ペンダントであり、その携帯機10の動作電源を充電するための充電器18と共に施設2から配布される。また、充電器18は、給電のためのACアダプタ18aと、ACアダプタ18aが電源コンセントに接続されて携帯機10が当該充電器18に載置された際に、無端子接続にて携帯機10の充電回路14を介してバッテリ12を充電するための充電回路18bと、を備えている。
【0048】
IDタグ20は、タグ情報の送信およびタグリーダ4から送信されてきた送信信号の受信が可能なアンテナ22と、アンテナ22からの受信信号を復調して、復調したデータ(即ち、下校情報またはリーダ情報)を制御部40に入力する受信回路24と、制御部40から送信指令を受けると、同じく制御部40からの停止指令を受けるまで、内蔵されたメモリ(図示省略)に記憶されたタグ情報を読み出して、そのタグ情報により変調した送信信号をアンテナ22から定期的に送信させる送信回路26と、を備えている。
【0049】
PHSユニット30は、バッテリ12からの動作電源の供給を受けると起動するよう構成されており、起動すると、最寄りの基地局70に接続される。尚、本実施形態において、PHSユニット30は、通話機能を備えていない。
【0050】
充電回路14は、ACアダプタ18aが電源コンセントに接続されて携帯機10が充電器18に載置されると、充電器18の充電回路18bから電力を受けて、バッテリ12を充電する。そして、充電回路14は、バッテリ12を充電すると、制御部40に対して充電中を表す充電信号を出力する。
【0051】
制御部40は、CPU,RAM,ROM等からなるマイクロコンピュータを中心に構成された制御回路42と、当該携帯機10を所持する生徒の通学路に配置されるタグリーダ4のリーダ情報が予め記憶されたメモリ44と、バッテリ12の電源電圧を検出して、その検出結果を制御回路42に出力する電圧検出回路46と、発光ダイオード(LED)48と、を備えている。
【0052】
制御回路42には、受信回路24から出力されるデータや、充電回路14から出力される充電信号が入力される。
また、制御回路42は、電圧検出回路46が検出した電圧値が所定の電圧値以下だった場合に、LED48を点灯させる。
【0053】
次に、携帯機10の制御回路42にて実行される処理、及び、管理用コンピュータ60にて実行される処理について、図4〜図8を用いて説明する。
まず、携帯機10の制御回路42にて実行される処理について説明する。尚、図4は、携帯機10の制御回路42にて実行される処理を表すフローチャートである。
【0054】
この処理は、バッテリ12から動作電源が供給されている間、制御回路42にて繰り返し実行される処理であり、処理が開始されると、まずステップ110(以下、ステップをSと記載する)にて、施設用タグリーダ4aから送信される起動信号を受信したか否かを判定する。
【0055】
そして、S110にて、起動信号を受信したと判定するまでこの処理を繰り返し、起動信号を受信したと判定すると、S120に移行して、IDタグ20の送信回路26に対して送信指令を出力する。
【0056】
すると、IDタグ20は、制御回路42から停止指令を受けるまで、定期的にタグ情報を送信することとなる。
続いて、S130では、充電回路14から充電信号が入力されたか否かを判定し、充電信号が入力されていないと判定した場合には、バッテリ12が充電中でないと判断してS140に移行し、逆に、S130にて、充電信号が入力されていると判定した場合には、バッテリ12が充電中であると判断して、S230に移行する。
【0057】
そして、S140では、下校フラグがこの携帯機10を所持する生徒が下校中であることを表すセット状態であるか否かを判定する。
そして、S140にて、下校フラグがセット状態でない(即ち、リセット状態である)と判定すると、S150に移行し、下校情報が入力されたか否か(即ち、IDタグ20が下校情報を受信したか否か)を判定する。そして、S150にて、下校情報が入力されていないと判定した場合には、S230に移行し、逆に、下校情報が入力されたと判定した場合には、S160に移行し、下校フラグをセットして、S130に戻る。
【0058】
一方、S140にて、下校フラグがセット状態であると判定すると、S170に移行し、IDタグ20がタグ情報を送信してから予め設定された設定時間内にリーダ情報が入力されたか否か(即ち、IDタグ20がリーダ情報を受信したか否か)を判定する。
【0059】
そして、S170にて、設定時間内にリーダ情報が入力されないと判定すると、S180に移行し、スイッチ16に導通信号を出力して、S130に戻る。すると、PHSユニット30は、バッテリ12から動作電源が供給されることで起動し、最寄りの基地局70に接続されることとなる。
【0060】
一方、S170にて、設定時間内にリーダ情報が入力されたと判定すると、S190に移行して、今回入力されたリーダ情報が、メモリ44内のリーダ情報の何れかと一致するか否かを判定する。
【0061】
そして、S190にて、今回入力されたリーダ情報がメモリ44内のリーダ情報の何れとも一致しないと判定した場合には、S180に移行し、逆に、今回入力されたリーダ情報がメモリ44内のリーダ情報の何れかと一致したと判定した場合には、S200に移行する。
【0062】
S200では、S190で一致したと判定されたリーダ情報は、自宅用タグリーダ4cのリーダ情報か否かを判定する。
そして、S200にて、S190で一致したと判定されたリーダ情報が自宅用タグリーダ4cではないと判定した場合には、この携帯機10を所持する生徒はまだ下校中であると判断してS130に戻る。
【0063】
一方、S200にて、S190で一致したと判定されたリーダ情報が自宅用タグリーダ4cであると判定した場合には、この携帯機10を所持する生徒が帰宅したと判断して、S210に移行し、下校フラグをリセットし、続くS220にて、スイッチ16がオンされていた場合(導通信号をスイッチ16に出力していた場合)には、導通信号の出力を停止することでスイッチ16をオフしてS130に戻る。
【0064】
次に、S230では、S140と同様に、下校フラグがセット状態であるか否かを判定する。そして、S230にて、下校フラグがセット状態であると判定すると、S240に移行し、下校フラグをリセットして、S250に移行する。
【0065】
一方、S230にて、下校フラグがリセット状態であると判定すると、S250に移行する。そして、S250では、IDタグ20の送信回路26に対して停止指令を出力すると共に、スイッチ16がオンされていた場合にはスイッチ16をオフして(スリープモード)、S110に戻り、起動信号を受信するまで待機する。
【0066】
次に、管理用コンピュータ60にて実行されるメイン処理および監視結果通知処理について、図5〜図8を用いて説明する。
メイン処理は、施設2が朝開かれてから夜閉鎖するまでの間、管理用コンピュータ60において繰り返し実行される処理であり、このメイン処理が開始されると、図5に示すように、まずS310にて生徒の施設2への出退状況を管理するための出退管理処理を実行する。
【0067】
そして、続くS320にて、各タグリーダ4がどのタグ情報を受信しているかを管理することで、生徒の下校状態を監視するための通学路監視処理を実行する。
具体的に説明すると、S320では、まず各タグリーダ4毎に問い合わせをすることで、各タグリーダ4に記憶されたタグ情報を、インターネット6を介して各タグリーダ4から取得する。そして、その取得したタグ情報に対応する生徒の現在位置情報を、位置情報DB54から読み込んで、今回問い合わせをしたタグリーダ4のリーダ情報に更新する。尚、問い合わせした際に、どのタグリーダ4からも取得することができなかったタグ情報があった場合には、そのタグ情報に対応する生徒の現在位置を初期化する。このため、位置情報DB54の現在位置情報には、下校時の生徒の最も近くに配置されるタグリーダ4のリーダ情報が登録されることとなる。
【0068】
そして、S320の処理を終了すると、続くS330にて、下校時に通学路からはずれてしまった生徒がいた場合に、その生徒の現在位置を保護者等に通知するための位置情報通知処理を実行し、この処理を終えると、S310に戻る。
【0069】
次に、メイン処理にて実行される出退管理処理(S310)について、図6を用いて詳しく説明する。
管理用コンピュータ60がメイン処理を実行して、出退管理処理を開始すると、まずS410にて、施設用タグリーダ4aに対して問い合わせをして、続くS420にて、施設用タグリーダ4aからタグ情報を取得できた(即ち、施設用タグリーダ4aがタグ情報を受信した)か否かを判定する。
【0070】
そして、S420にて、施設用タグリーダ4aからタグ情報を取得できなかったと判定した場合には、当該出退管理処理を終了する。
一方、S420にて、施設用タグリーダ4aからタグ情報を取得できたと判定した場合には、S430に移行して、その取得したタグ情報に対応した生徒の出退履歴を、位置情報DB54から読み込み、続くS440にて、前回その生徒の出退履歴を更新してから更新可能時間が経過しているか否かを判定する。
【0071】
そして、S440にて、更新可能時間が経過していないと判定した場合には(つまり、前回出退履歴を更新してからの経過時間が短いときには)、生徒が施設用タグリーダ4a付近にいて、施設用タグリーダ4aが同じタグ情報を読み取ったものと判断して、当該出退管理処理を終了する。
【0072】
逆に、S440にて、更新時間が経過していると判定した場合には、S450に移行して、S420の処理で取得したタグ情報に対応する生徒の出退フラグ及び出退履歴を更新した後、S460に移行する。
【0073】
尚、この更新は、出退フラグが生徒の下校状態を表すリセット状態であれば、生徒が登校してきたと判断して、出退フラグをセットすると共に、出退履歴として登校時間を追加し、逆に、出退フラグが生徒の出席状態を表すセット状態であれば、生徒が下校したと判断して、出退フラグをリセットすると共に、出退履歴として下校時間を追加する。
【0074】
次に、S460では、S450での更新により出退フラグをセットしたか否かを判定し、出退フラグをリセットしたと判定した場合には、S470に移行し、逆に、出退フラグをセットしたと判定した場合には、S480に移行する。
【0075】
そして、S470では、施設用タグリーダ4aに対して下校情報を出力し、S480に移行する。すると、施設用タグリーダ4aは、下校情報を含んだ信号を送信することとなるため、その信号を受信した携帯機10の制御回路42は、生徒が下校状態にあると判断して、上述した下校フラグをセットすることとなる。
【0076】
次に、S480では、S450での出退履歴の更新結果に対応した通知情報、つまり、出退通知情報若しくは退席通知情報を通知情報DB56から読み込み、続くS490にて、その取得したタグ情報の生徒の保護者等に対する連絡先を、個人情報DB52から読み込む。
【0077】
そして、続くS500では、S480で読み込んだ通知情報とS490で読み込んだ連絡先とに基づき、その連絡先に対応した送信データ(つまり、メールデータ、ファクシミリデータ、または音声データ)を生成し、S510では、その生成した送信データを通知用コンピュータ62に出力することで、その取得したタグ情報の生徒の登校または下校を表す通知情報を所定の連絡先に送信させて、当該出退管理処理を終了する。尚、この通知情報に、生徒の登校時刻または下校時刻を含めるのはいうまでもない。
【0078】
次に、メイン処理にて実行される位置情報通知処理(S330)について、図7を用いて詳しく説明する。
管理用コンピュータ60が上述の通学路監視処理(S320)を終了して、位置情報通知処理を開始すると、まずS610にて、移動電話交換局74に対して、個人情報DB52に登録されているPHS情報のうち、基地局70に接続されているPHSユニット30(携帯機10)があるか否かを、PHS網72を介して問い合わせる。
【0079】
すると、移動電話交換局74では、記憶している位置情報の中からその問い合わせに応じた位置情報を検索して、その検索結果を、PHS網72を介して管理用コンピュータ60に送信する。
【0080】
次に、続くS620では、移動電話交換局74からの応答に基づき、個人情報DB52に登録されたPHSユニット30が基地局70に接続されているか否かを判定する。
そして、S620にて、登録されたPHSユニット30の何れも基地局70に接続されていないと判定した場合には、当該位置情報通知処理を終了し、逆に、登録されたPHSユニット30の何れかが基地局70に接続されていると判定した場合には、個人情報DB52のPHS情報から接続されているPHSユニット30(携帯機10)を所持する生徒を特定して、S630に移行する。
【0081】
そして、S630では、S620で特定された生徒に対応する出退フラグを、位置情報DB54から読み込んで、その出退フラグがリセット状態であるか否かを判定する。
そして、S630にて、S620で特定された生徒の出退フラグがセット状態であると判定した場合には、その生徒はまだ下校していない(まだ施設2にいる)と判断して、当該位置情報通知処理を終了し、逆に、出退フラグがリセット状態であると判定した場合には、その生徒が下校中であると判断して、S640に移行する。
【0082】
続いて、S640にて、上述の通学路監視処理(S320)と同様に、各タグリーダ4毎に問い合わせをすることで、全てのタグリーダ4からタグ情報を取得し、位置情報DB54の現在位置情報を更新する。
【0083】
そして、S650では、S620で特定された生徒に対応する現在位置情報と設定通学路を位置情報DB54から読み込み、その現在位置情報と設定通学路とに基づき、S620で特定された生徒が通学路からはずれているか否かを判定する。
【0084】
具体的に説明すると、S650では、現在位置情報のリーダ情報が、設定通学路のリーダ情報の何れかと一致していれば、S620で特定された生徒が通学路からはずれていないと判定し、逆に、現在位置情報のリーダ情報が登録されていない場合や、現在位置情報のリーダ情報が設定通学路のリーダ情報の何れとも一致していない場合は、S620で特定された生徒が通学路からはずれていると判定する。
【0085】
そして、S650にて、S620で特定された生徒が通学路からはずれていないと判定すると、そのまま当該位置情報通知処理を終了し、逆に、S620で特定された生徒が通学路からはずれていると判定すると、S660に移行する。
【0086】
次に、S660では、S620で取得した位置情報に基づき、同じくS620で特定した生徒の現在位置を検出し、続くS665にて、予定外行動通知情報を通知情報DB56から読み込み、更に続くS670にて、S620で特定された生徒の保護者等に対する連絡先を、個人情報DB52から読み込む。
【0087】
そして、続くS680では、S665で読み込んだ予定外通知情報とS670で読み込んだ連絡先とに基づき、その連絡先に対応した送信データ(つまり、メールデータ、ファクシミリデータ、または音声データ)を生成し、S690では、その生成した送信データを通知用コンピュータ62に出力することで、通学路からはずれてしまった生徒(即ち、
S620で特定された生徒)の現在位置を表す通知情報を所定の連絡先に送信させて、当該位置情報通知処理を終了する。尚、この通知情報には、生徒の発見時刻が含まれている。
【0088】
次に、監視結果通知処理について、図8を用いて説明する。尚、図8は、生徒の保護者等が情報端末76a〜76cを操作することにより、インターネット6を介して管理用コンピュータ60にアクセスしてきたときに、管理用コンピュータ60にて実行される監視結果通知処理である。
【0089】
監視結果通知処理は、情報端末76a〜76c(換言すれば保護者)からの指令を受けて、その指令に対応する生徒の下校時における現在位置を、位置情報DB54に登録された現在位置情報に基づき、その情報端末76a〜76cに通知するための処理であり、この監視結果通知処理が開始されると、まずS710にて、今回アクセスしてきた情報端末76a〜76cに対して、操作者である保護者の認証情報(識別情報(ID)やパスワード等)を要求し、その要求に従い情報端末76a〜76c側から送信されてきた認証情報から、操作者である保護者が予め登録された正規の者であるか否かを判定する認証処理を実行する。
【0090】
そして、S720では、その認証処理の結果、操作者を正規のものと認証できたか否かを判断し、認証できなければ、S730にて、今回アクセスしてきた情報端末76a〜76cに対して接続を拒否する旨を表すメッセージを送信し、当該監視結果通知処理を終了する。
【0091】
一方、S720にて、情報端末76a〜76cの操作者を認証できたと判断すると、S740に移行して、今回アクセスしてきた情報端末76a〜76cの操作者によって予め設定された生徒(即ち、保護者の子供)の現在位置を、位置情報DB54の現在位置情報から検出して、その検出結果を、その情報端末76a〜76cに対して送信する。ここで、今回アクセスしてきた情報端末76a〜76cの操作者によって予め設定された生徒が下校中でない(即ち、その生徒の出退フラグがセット状態である)場合には、その生徒の現在位置を送信せず、まだ施設2にいる旨を送信する。
【0092】
そして、続くS750では、通信を遮断するログアウトの指令が送信されてくるまで待ち、ログアウトの指令が送信されてきたら、当該監視結果通知処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態の出退用経路監視システムでは、携帯機10と管理センタ50の両方で生徒の下校状態を監視しており、携帯機10は、生徒の下校中において設定時間内にリーダ情報を受信できなかった場合に、その携帯機10を所持する生徒が通学路からはずれたと判断し、内蔵されたPHSユニット30を作動させることで、そのPHSユニット30を最寄りの基地局70に接続させる。
【0093】
これにより、管理センタ50側の管理用コンピュータ60は、移動電話交換局74に問い合わせた際に、そこから応答されてくる位置情報によって、基地局70に接続されている携帯機10(PHSユニット30)を所持する生徒を特定することができる。そして、管理用コンピュータ60は、その特定した生徒が実際に通学路からはずれているか否かを、タグリーダ4が読み取ったタグ情報を取得することで判定し、その判定結果でも生徒が通学路からはずれていると判定した場合に、移動電話交換局74から取得した位置情報に基づき、その生徒の現在位置を特定し、その生徒に対して予め設定された連絡先に通知する。
【0094】
このため、生徒が通学路からはずれてしまったとしても、生徒を監視する保護者は、管理センタ50からの通知を受けることで、通学路からはずれた生徒の現在位置を知ることができる。
【0095】
そして、このような出退用経路監視システムによれば、タグリーダ4を通学路以外の場所に多数配置することなく、IDタグ20(即ち、携帯機10)を所持する生徒の居場所(現在位置)を監視することができる。
【0096】
また、本実施形態の携帯機10は、メモリ44にその生徒個人の通学路を表すリーダ情報を記憶しているため、生徒が自己の出退用経路をはずれた場合にだけ、PHSユニット30を作動させ、そのPHSユニット30を最寄りの基地局70に接続させる。よって、生徒が自己の通学路からはずれているのにもかかわらず、その旨が保護者に通知されない、といった問題を解決することができる。
【0097】
また、本実施形態の出退用経路監視システムによれば、PHSユニット30が何らかの不具合により誤作動してしまったとしても、管理用コンピュータ60が、タグリーダ4から取得するリーダ情報に基づき、そのPHSユニット30を有した携帯機10を所持する生徒が通学路からはずれたと判定しない限り、その生徒の現在位置を通知用コンピュータ62に通知させないため、本システムの信頼性を向上させることができる。
【0098】
また、本出退用経路監視システムでは、生徒を監視する必要のない場合(即ち、生徒の帰宅後)に、充電器18により携帯機10のバッテリ12を充電することによって、IDタグ20及びPHSユニット30の動作を停止させるため、その携帯機10の消費電力を低減することができる。
【0099】
尚、本実施形態では、施設用タグリーダ4a、通学路用タグリーダ4b、及び、自宅用タグリーダ4cが、タグリーダに相当し、位置情報DB54の現在位置情報が記憶手段に相当している。また、S320の処理およびS640の処理が格納手段に相当し、監視結果通知処理が出力手段に相当し、PHS網72が公衆電話回線網に相当し、PHSユニット30が通信手段に相当している。また、S170の処理およびS190の処理が判定手段に相当し、S180の処理およびS220の処理が通信制御手段に相当し、S620の処理が接続判定手段に相当している。また、S650の処理およびS660の処理が位置特定手段に相当し、通知用コンピュータ62が通知手段に相当し、メモリ44が経路記憶手段に相当している。また、位置情報DB54の設定通学路が予定経路記憶手段に相当し、充電器18が停止手段に相当し、充電回路14とS130,S230,S240,S250の処理が送信動作切替手段に相当している。また、S470の処理及び施設用タグリーダ4aが起動手段に相当している。
【0100】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
本実施形態の出退用経路監視システムでは、生徒の下校状態を監視するようにしていたが、これに限らず、登校状態を監視するように構成しても良い。
【0101】
この場合、出退用経路監視システムは、以下のように構成すると良い。
まず自宅用タグリーダ4cには、上記起動信号と同様の信号(即ち、携帯機10を起動させるための信号)を送信する機能を設ける。このとき、自宅用タグリーダ4cは、起動信号と同様の信号を送信する時間帯を設定する機能を備えていることが好ましい。
【0102】
そして、管理用コンピュータ60は、起動してから(即ち、メイン処理を実行してから)、通学路監視処理にて、はじめに自宅用タグリーダ4cからタグ情報を取得した際に、生徒が登校していることを表す登校情報を、インターネット6を介してその自宅用タグリーダ4cに送信するように構成する。また更に、出退管理処理では、S460にて出退フラグをセットしたと判定した場合に、施設用タグリーダ4aに対して、携帯機10をスリープモードにするための休止情報を送信するようにする。
【0103】
そして、施設用タグリーダ4aは、休止情報を管理用コンピュータから受信すると、その休止情報を含んだ信号を生成して、携帯機10に送信する。
一方、携帯機10の制御回路42は、登校情報を受信すると、下校フラグをセットすると共に、S150にて下校情報が入力されたと判定し、更に、S140及びS230にて下校フラグがセット状態であると判定するようにする。また更に、制御回路42は、休止情報を受信すると、S130にて充電信号が入力されたと判定するようにする。
【0104】
以上のように構成すれば、生徒の登校状態についても監視することができる。
また、本実施形態では、生徒の出退管理をするのと生徒の下校状態の監視をする際に、一つの携帯機10にて、生徒一人の出退管理と下校状態の監視とを行っていたが、これに限らず、出退管理用の携帯機(若しくはIDタグ)と、下校状態の監視用の携帯機とに分けてその2つを生徒に所持させるようにしても良い。
【0105】
また、本実施形態の携帯機10は、施設用タグリーダ4aからの起動信号を受信することによりIDタグ20を作動させていたが、これに限らず、例えば、充電器18から取り外したときに(即ち、制御回路42に充電信号が入力されなくなったときに)、IDタグ20を作動させてタグ情報を常時送信させるように構成されていても良い。
【0106】
この場合、生徒の帰宅時や施設2への到着時に、携帯機10を充電するようにすれば、施設用タグリーダ4aからは、起動信号を送信させなくても良く、システムの構成を簡素化することができる。
【0107】
更に、この変形例において、施設用タグリーダ4aから下校情報を含んだ信号を送信させないようにする場合には、携帯機10の制御回路42では、下校フラグがセットされることはないため、S130にて充電されていないと判定したら(S130:NO)、S140の処理を行わずにS170に移行するようにすることで、本実施形態と同様に、生徒の下校状態を監視することができる。
【0108】
また、本実施形態の携帯機10は、手動により当該携帯機10の電源をオン/オフすることができる電源スイッチを備え、電源スイッチがオンされると、IDタグ20を作動させてタグ情報を常時送信させるように構成されていても良い。
【0109】
そして、この変形例において、下校情報を含んだ信号や起動信号を施設用タグリーダ4aから送信させない場合には、上述した変形例と同様に構成すれば良い。
また更に、この変形例においては、例えば、生徒が、施設2への登校時や施設2からの下校時に、自分で電源スイッチを操作することで携帯機10の電源をオンさせ、帰宅時や施設2の到着時に、自分で電源スイッチを操作することで携帯機10の電源をオフさせるようにすることで、生徒の施設2への登下校状態の監視を行うことができる。
【0110】
また、生徒が施設2に到着したら(即ち、施設2へ登校したら)、先生が生徒の携帯機10を回収してその携帯機10の電源をオフさせ、生徒の帰宅時には、先生が携帯機10の電源をオンさせてその携帯機10を生徒に渡すようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】実施形態の出退用経路監視システム全体の構成を表す概略構成図である。
【図2】データベースに登録された個人情報、出退情報、位置情報、通知情報を説明する説明図である。
【図3】携帯機の構成を表す構成図である。
【図4】携帯機の制御回路にて実行される処理を表すフローチャートである。
【図5】管理用コンピュータにて実行されるメイン処理を表すフローチャートである。
【図6】メイン処理にて実行される出退管理処理を表すフローチャートである。
【図7】メイン処理にて実行される位置情報通知処理を表すフローチャートである。
【図8】管理用コンピュータにて実行される監視結果通知処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0112】
2…施設、4a…施設用タグリーダ、4b…通学路用タグリーダ、4c…自宅用タグリーダ、6…インターネット、10…携帯機、12…バッテリ、14…充電回路、16…スイッチ、18…充電器、20…IDタグ、22…アンテナ、24…受信回路、26…送信回路、30…PHSユニット、40…制御部、42…制御回路、44…メモリ、46…電圧検出回路、50…管理センタ、52…個人情報DB、54…位置情報DB、56…通知情報DB、60…管理用コンピュータ、62…通知用コンピュータ、64…モデム、70…基地局、72…PHS網、74…移動電話交換局、76a…携帯電話、76b…携帯情報端末、76c…インターネット端末、80a…ファクシミリ装置、80b…電話装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の施設に通う複数の監視対象者に各々所持され、該監視対象者の識別情報を無線にて送信する複数のIDタグと、
前記各監視対象者が前記施設へ通う際に通る出退用経路に沿って複数配置され、前記各IDタグからの識別情報を受信して、該識別情報を読み取る複数のタグリーダと、
該各タグリーダから前記識別情報を順次取得し、そのタグリーダの配置位置から、取得した識別情報に対応する監視対象者の現在位置を特定して、その特定した監視対象者の現在位置を記憶手段に格納する格納手段と、
外部からの要求に応じて、該要求に対応する監視対象者の現在位置を、前記記憶手段から読み出して出力する出力手段と、
を備えた出退用経路監視システムであって、
前記各タグリーダは、前記各IDタグからの識別情報を受信すると、該識別情報を送信してきたIDタグに対して応答信号を送信するよう構成されており、
前記各IDタグは、前記各タグリーダから送信されてきた応答信号を受信可能に構成されると共に、屋外に複数配置される基地局を介して公衆電話回線網に接続可能な無線電話端末としての通信手段を有する携帯機に夫々組み込まれ、
更に、前記各携帯機は、
前記IDタグ及び前記通信手段に加えて、
前記IDタグが識別情報を送信してから予め設定された設定時間内に、前記IDタグが前記各タグリーダからの応答信号を受信できたか否かを判定する判定手段と、
該判定手段により前記設定時間内に前記IDタグが前記応答信号を受信できなかったと判定された場合に、前記通信手段を作動させ、逆に、前記判定手段により前記設定時間内に前記IDタグが前記応答信号を受信できたと判定された場合に、前記通信手段の作動を停止させる通信制御手段と、
を備え、
当該出退用経路監視システムは、
前記公衆電話回線網に接続されている携帯機があるか否かを判定する接続判定手段と、
該接続判定手段により前記公衆電話回線網に接続されている携帯機があると判定されると、該携帯機がどこの基地局を介して公衆電話回線網に接続されているかを検出し、該検出結果に基づき、その携帯機を所持する監視対象者の現在位置を特定する位置特定手段と、
該位置特定手段により前記監視対象者の現在位置が特定されると、その現在位置を、その監視対象者に対して予め設定された連絡先に通知する通知手段と、
を備えたことを特徴とする出退用経路監視システム。
【請求項2】
前記応答信号には、発信源であるタグリーダの識別情報が含まれており、
前記携帯機には、当該携帯機を所持する監視対象者の出退用経路に沿って配置されるタグリーダの識別情報が記憶された経路記憶手段が設けられ、
更に、前記判定手段は、前記設定時間内に前記IDタグが前記応答信号を受信できたと判定すると、その応答信号に含まれる識別情報が前記経路記憶手段に記憶された識別情報の何れかと一致するか否かを判断し、
前記通信制御手段は、前記判定手段により、前記設定時間内に前記IDタグが前記応答信号を受信できたと判定されて、更に、その応答信号に含まれる識別情報が前記経路記憶手段に記憶された識別情報の何れとも一致しないと判断された場合に、前記通信手段を作動させること、
を特徴とする請求項1に記載の出退用経路監視システム。
【請求項3】
前記各監視対象者の出退用経路を表す予定経路情報が、各監視対象者毎に記憶された予定経路記憶手段を備え、
前記位置特定手段は、
前記接続判定手段により前記公衆電話回線網に接続されている携帯機があると判定されると、その携帯機を所持する監視対象者が前記出退用経路からはずれたか否かを、前記記憶手段に記憶されている当該監視対象者の最新の現在位置と、前記予定経路記憶手段に記憶されている当該監視対象者の予定経路情報とに基づき判定し、その携帯機を所持する監視対象者が前記出退用経路からはずれたと判定した場合に、その携帯機を所持する監視対象者の現在位置を特定すること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の出退用経路監視システム。
【請求項4】
前記各監視対象者の帰宅時または前記施設への到着時に、前記携帯機の動作を停止させるための停止指令を出力する停止手段を備え、
前記携帯機に、
前記停止手段からの停止指令を受けると、前記IDタグによる識別情報の送信を停止させ、更に、前記携帯機が前記通信手段により前記公衆電話回線網に接続されていた場合にはその接続を遮断する送信動作切替手段、
を設けたこと、
を特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の出退用経路監視システム。
【請求項5】
前記停止手段は、前記携帯機の動作電源を充電するための充電器であり、
前記送信動作切替手段は、前記充電器により当該携帯機の動作電源の充電が開始されると、前記停止指令を受けたと判断して、前記IDタグによる識別情報の送信を停止させ、更に、前記携帯機が前記通信手段により前記公衆電話回線網に接続されていた場合にはその接続を遮断すること、
を特徴とする請求項4に記載の出退用経路監視システム。
【請求項6】
前記各監視対象者の前記施設への出発時または前記施設からの帰宅時に、前記携帯機の動作を開始させるための起動指令を出力する起動手段を備え、
前記送信動作切替手段は、前記起動手段からの起動指令を受けると、前記IDタグによる識別情報の送信を開始させること、
を特徴とする請求項4又は請求項5に記載の出退用経路監視システム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6の何れかに記載の出退用経路監視システムに用いられる携帯機であって、
当該携帯機を所持する監視対象者の識別情報を無線にて送信すると共に、前記タグリーダからの応答信号を受信するIDタグと、
前記基地局を介して公衆電話回線網に接続可能な無線電話端末としての通信手段と、
前記IDタグが識別情報を送信してから予め設定された設定時間内に、前記IDタグが前記各タグリーダからの応答信号を受信できたか否かを判定する判定手段と、
該判定手段により前記設定時間内に前記IDタグが前記応答信号を受信できなかったと判定された場合に、前記通信手段を作動させ、逆に、前記設定時間内に前記IDタグが前記応答信号を受信できたと判定された場合に、前記通信手段の作動を停止させる通信制御手段と、
を備えたことを特徴とする携帯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−135647(P2006−135647A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−322224(P2004−322224)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(399031827)エイディシーテクノロジー株式会社 (163)
【Fターム(参考)】