半導体デバイスおよびその製造方法
【課題】複数ゲートトランジスタの改良された構造、およびその製造プロセスの提供。
【解決手段】相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイス100は、第1のパラメータを有する少なくとも2つの第1のゲート電極を備えたPMOSトランジスタと、上記第1のパラメータとは異なる第2のパラメータを有する少なくとも2つの第2のゲート電極を備えたNMOSトランジスタと、を有している。上記第1のパラメータおよび上記第2のパラメータは、上記PMOSおよびNMOSトランジスタの上記ゲート電極材料120の厚さ、またはドーパントプロファイルを含んでいる。上記少なくとも2つの第1のゲート電極および上記少なくとも2つの第2のゲート電極の上記第1および第2のパラメータは、それぞれ、上記PMOSおよびNMOSトランジスタの仕事関数を規定する。
【解決手段】相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイス100は、第1のパラメータを有する少なくとも2つの第1のゲート電極を備えたPMOSトランジスタと、上記第1のパラメータとは異なる第2のパラメータを有する少なくとも2つの第2のゲート電極を備えたNMOSトランジスタと、を有している。上記第1のパラメータおよび上記第2のパラメータは、上記PMOSおよびNMOSトランジスタの上記ゲート電極材料120の厚さ、またはドーパントプロファイルを含んでいる。上記少なくとも2つの第1のゲート電極および上記少なくとも2つの第2のゲート電極の上記第1および第2のパラメータは、それぞれ、上記PMOSおよびNMOSトランジスタの仕事関数を規定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には半導体デバイス、特に複数のゲートを有するトランジスタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、例えばパーソナルコンピュータ、携帯電話、デジタルカメラ、およびその他の電子機器など、様々な電子アプリケーションに用いられている。半導体デバイスは、一般的には、材料の絶縁層または誘電体層、導電層、および半導体層を半導体基板上に順番に堆積し、そしてリソグラフィを用いてこれらの様々な層をパターン形成して、半導体基板上に回路部品および素子を形成することによって製造される。
【0003】
トランジスタは、半導体デバイスに幅広く用いられている素子である。例えば、1つの集積回路(integrated circuit; IC)上に数百ものトランジスタが搭載される場合もある。半導体デバイスの製造に用いられるトランジスタの種類としては、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(metal oxide semiconductor field effect transistor; MOSFET)が一般的である。従来のMOSFETは、チャネル領域を制御するゲート電極を1つ有しており、単一ゲートトランジスタと称されることが多い。初期のMOSFETプロセスは、PまたはNチャネルトランジスタを有する単一トランジスタを製造するために、1種類のドーパントを用いていた。
【0004】
相補型MOS(CMOS)と称される、より最近の設計では、PチャネルデバイスとNチャネルデバイスとの両方、例えばPチャネル金属酸化膜半導体(positive channel metal oxide semiconductor; PMOS)トランジスタと、Nチャネル金属酸化膜半導体(negative channel metal oxide semiconductor; NMOS)トランジスタとが、相補的な構成で用いられている。
【0005】
従来のバルク単一ゲートプレーナMOSFETデバイスは、45nm以上のノードを有する次世代技術に要求される性能を実現することができない。従来のバルクデバイスの概念は、チャネル注入、ソースおよびドレイン領域注入、低不純物濃度のドレイン(lightly doped drain; LDD)拡張注入、およびポケット/ハロ(halo)注入プロセスを含む、複雑な3次元ドーピング特性に基づいている。これらは、チャネル領域および基板深部における電位制御不足のためドーパント変動が大きくなり、また寄生短チャネル効果が高まるため、さらに微細化されることはない。このため、例えばInternational Technology Roadmap for Semiconductors (ITRS)の2002年版に開示されたITRS Roadmapでは、2つの新規な設計概念が提案されている。すなわち、完全空乏型プレーナSOI(silicon-on-insulator)MOSFETデバイス、および垂直複数ゲートFinFET(fin field effect transistor)またはトリゲート(Tri-Gate)デバイスである。なお、上記文献は本明細書に参照として援用される。
【0006】
このように、複数のゲートを有するトランジスタの技術が台頭してきている。ダブルゲートトランジスタは、同一のチャネル領域を制御する、互いに対向した2つの平行なゲートを有している。FinFETは、垂直ダブルゲートデバイスであって、チャネルが、一般的にはSOI(silicon-on-insulator)基板上に形成されている半導体材料を有する垂直フィンを備えている。FinFETの2つのゲートは、垂直フィンの対向する側壁に形成されている。トリゲートトランジスタは、同一のチャネル領域を制御する3つのゲートを備えている(例えば、チャネルは垂直フィンを有し、2つのゲートは垂直フィンの側面に形成されており、3つ目のゲートはフィンの最上部に形成されている)。FinFET構造は、フィンの最上部に配置された絶縁材またはハードマスクによって第3のゲートが遮断されたトリゲートトランジスタと類似している。
【0007】
FinFET、トリゲートトランジスタ、およびこれらを形成する際のいくつかの課題について、Nowak, E.J.らによる"Turning Silicon on its Edge: Overcoming Silicon Scaling Barriers with Double Gate and FinFET Technology," IEEE Circuits & Devices Magazine, January/February 2004, pp. 20-31, IEEEに記載されている。上記文献は参照として本明細書に援用される。
【0008】
FinFETおよびトリゲートトランジスタは、CMOSデバイスの形成に用いられ得る。PMOSおよび/またはNMOSトランジスタとして、1つ以上のFinFETを用いることができる。1つのPMOSまたはNMOSトランジスタの形成に、2つ以上の平行したフィンが用いられる場合が多い。FinFETは、プレーナトランジスタ構造よりも積極的に寸法を縮小することができると共に、ゲート誘起ドレインリーク(gate-induced drain leakage; GIDL)電流が低い。これについては、Chang, L.らによる"Extremely Scaled Silicon Nano-CMOS Devices," Proceedings of the IEEE, November 2003, Vol. 91, No. 11, pp. 1860-1873, IEEEに記載されている。上記文献は、参照として本明細書に援用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、FinFETなどの複数ゲートトランジスタは、プレーナCMOSデバイスよりも製造が困難かつ複雑であり、また全く異なる材料を必要とし、さらにプロセスに関する様々な課題がある。
【0010】
さらに、CMOSデバイスのNMOSおよびPMOSトランジスタの閾値電圧Vtが対称性を持つようにCMOSデバイスを設計することが重要である。しかし、特に複数のゲートを有する先進的なトランジスタなどのデバイスの微細化が進むにつれて、対称性を有する閾値電圧Vtを達成できる材料、デバイス構造、および製造プロセスを見出すには困難が伴う。
【0011】
従って当技術分野においては、複数ゲートトランジスタの改良された構造、およびその製造プロセスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
複数ゲートトランジスタのゲート電極の新規的構造および形成方法を備えた本発明の好ましい形態によって、上記および上記以外の問題は一般的に解決または回避され、さらには技術的優位性が一般的に得られる。ゲート電極材料の仕事関数を調整するために、PMOSおよびNMOSデバイス用のゲート電極材料の第1のパラメータおよび第2のパラメータが調節される。一部の形態では、ゲート電極材料として、ゲート材料の厚さを変えることによって調整または調節可能な仕事関数を有する金属が用いられる。そして、所望の仕事関数を得るために、PMOSおよびNMOS複数ゲートトランジスタに対して上記金属の厚さが調節される。別の形態では、所望の仕事関数を得るために、ゲート材料にドーパント種が注入される。
【0013】
本発明の好ましい形態によると、半導体デバイスは、第1のパラメータを有する少なくとも2つの第1のゲート電極を有する第1のトランジスタを備えている。上記半導体デバイスは、上記第1のトランジスタに近接していると共に少なくとも2つの第2のゲート電極を有している第2のトランジスタを備えている。上記少なくとも2つの第2のゲート電極は、第2のパラメータを有している。この第2のパラメータは、上記第1のパラメータとは異なる。
【0014】
本発明の好ましい別の形態によると、半導体デバイスは、第1の厚さを有する少なくとも2つの第1のゲート電極を有する第1のトランジスタを備えている。この第1のトランジスタに近接して第2のトランジスタが配置されている。この第2のトランジスタは、上記第1の厚さとは異なる第2の厚さを有する少なくとも2つの第2のゲート電極を有している。上記第1の厚さは、上記少なくとも2つの第1のゲート電極の第1の仕事関数を規定し、そして上記第2の厚さは、上記少なくとも2つの第2のゲート電極の第2の仕事関数を規定する。上記第2の仕事関数は、上記第1の仕事関数とは異なる。
【0015】
本発明の好ましいさらに別の形態によると、半導体デバイスは、第1のドーパントレベルを有する少なくとも2つの第1のゲート電極を有する第1のトランジスタを備えている。上記第1のトランジスタに近接して第2のトランジスタが配置されている。この第2のトランジスタは、第2のドーパントレベルを有する少なくとも2つの第2のゲート電極を有している。上記第2のドーパントレベルは、上記第1のドーパントレベルとは異なる。上記第1のドーパントレベルは、上記少なくとも2つの第1のゲート電極の第1の仕事関数を規定し、そして上記第2のドーパントレベルは、上記少なくとも2つの第2のゲート電極の第2の仕事関数を規定する。上記第2の仕事関数は、上記第1の仕事関数とは異なる。
【0016】
本発明の好ましい別の形態によると、半導体デバイスの製造方法は、第1のパラメータを有する少なくとも2つの第1のゲート電極を有する第1のトランジスタを形成する工程を含んでいる。第2のパラメータを有する少なくとも2つの第2のゲート電極を有する第2のトランジスタが、上記第1のトランジスタに近接して形成される。上記第2のパラメータは、上記第1のパラメータとは異なる。
【0017】
本発明の好ましい形態の利点として、トランジスタデバイスおよびその構造を製造するための新規な方法を提供している点が含まれる。複数ゲートCMOSデバイスのPMOSトランジスタおよびNMOSトランジスタが略対称的なVtを有する、複数ゲートCMOSデバイスが製造される。金属ゲート材料の厚さ、および/またはゲート電極材料のドーパントレベルは、トランジスタゲート電極の仕事関数を規定し、従ってトランジスタの閾値電圧Vtを規定する。一部の形態では、PMOSおよびNMOSトランジスタのゲートに対して同一の材料が用いられることが好ましい。同一の材料を用いることによって、2つの異なるゲート材料を堆積およびエッチングするために要する処理が少なくなり、さらに製造プロセス工具の汚染を予防できる。別の形態では、1種類のゲート材料が堆積され、そしてPMOSデバイスまたはNMOSトランジスタゲート電極材料のいずれかにドーパント種が注入されて、仕事関数が調節される。
【0018】
以下に記載する本発明の詳細な説明がよりよく理解されるように、本発明の形態の特徴および技術的利点について、やや大まかに概説した。本発明の形態のさらなる特徴および利点について以下に説明する。これらのさらなる特徴および利点は、本発明の請求項の主部を構成する。開示されている概念および具体的な形態は、例えばキャパシタまたはゲートダイオード(gated diode)などの別の構造、あるいは、本発明と同一の目的を達成するための別のプロセスを変更および設計するための基礎として用いられることは、当業者は容易に理解するであろう。またこのような同等の構成は、特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲を逸脱するものではない点についても、当業者は理解するであろう。
【0019】
本発明および本発明の利点をより完全に理解するために、添付図面と共に以下の説明を参照する。添付図面は次の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の好ましい実施形態に従った様々な製造段階における半導体デバイスの断面図であって、CMOSデバイスは、ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを有している。
【図2】本発明の好ましい実施形態に従った様々な製造段階における半導体デバイスの断面図であって、CMOSデバイスは、ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを有している。
【図3】本発明の好ましい実施形態に従った様々な製造段階における半導体デバイスの断面図であって、CMOSデバイスは、ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを有している。
【図4】本発明の好ましい実施形態に従った様々な製造段階における半導体デバイスの断面図であって、CMOSデバイスは、ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを有している。
【図5】本発明の好ましい実施形態に従った様々な製造段階における半導体デバイスの断面図であって、CMOSデバイスは、ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを有している。
【図6】ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートトランジスタを備えたCMOSデバイスの、本発明の一実施形態に従った別の製造方法を示す断面図である。
【図7】ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートトランジスタを備えたCMOSデバイスの、本発明の一実施形態に従った別の製造方法を示す断面図である。
【図8】本発明の実施形態に従った様々な仕事関数およびゲート絶縁膜材料の厚さを示すグラフである。
【図9】非ドープチャネル、およびゲート材料としてポリシリコンを有するPMOSおよびNMOS FinFETの変換特性(transfer characteristic)であって、FinFET CMOSデバイスの変換特性に対して本発明の実施形態が及ぼす影響を示す図である。
【図10】ゲート材料にドーパント種を注入することによってNMOSトランジスタの仕事関数が調節された、本発明の別の実施形態の断面図である。
【図11】本発明の一実施形態に従ってシリコンの様々なドーピングレベル、および様々なゲート絶縁膜材料を用いた場合における、様々な種類のトランジスタデバイスに対するTiSiNの仕事関数を示すグラフである。
【図12】トリゲートトランジスタデバイスとして実施された本発明の一実施形態の断面図である。
【図13】上部金属層および絶縁層をFinFETデバイス上に形成した後の状態を示す、本発明の実施形態によるFinFETデバイスを示す図である。
【図14】図13に示されているFinFETデバイスのフィン構造を、図13に示されている図に対して垂直な方向から見た場合の図である。
【図15】本発明の一実施形態に従って、NMOSゲートにSiが注入されたTiSiNゲートを備えた、低待機電力(LSTP)のCMOSトリゲートデバイスの変換特性を測定した図である。
【図16】本発明の一実施形態に従って、NMOSゲートにSiが注入されたTiSiNゲートを備えた、高性能(HP)のCMOSトリゲートデバイスの推定変換特性を示す図である。
【図17】本発明の一実施形態に従って、NMOSゲートにSiが注入されたTiSiNゲートを備えた、低動作電力(LOP)のCMOSトリゲートデバイスの推定変換特性を示す図である。
【0021】
それぞれに図において対応している数字および符号は、特に記載がない限り同じ部品を表している。これらの図は、好ましい実施形態に関連した形態を分かりやすく示したものであって、サイズを縮小するために描かれたものでは必ずしもない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
好ましい実施形態の実施および使用について以下に詳述する。しかし本発明は、様々な具体的状況において応用可能な多くの概念を提供していることについて理解されたい。本明細書に記載の具体的な実施形態は、単に本発明の具体的な実施および使用方法を示したものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0023】
電子工学における「仕事関数」とは、一般的には電子ボルトで示されるエネルギーであって、電子をフェルミ準位から表面の外側へ無限遠に取り出すために必要なエネルギーである。仕事関数は、導体、半導体、あるいは絶縁体に関わらず、あらゆる材料の材料特性である。
【0024】
半導体材料は、これまではトランジスタデバイスのためのゲート電極材料として用いられてきた。半導体材料の仕事関数は、半導体材料をドーピングすることによって変えることができる。例えば、非ドープポリシリコンの仕事関数は約4.65eVであるが、ホウ素がドープされたポリシリコンの仕事関数は約5.15eVである。例えば、ゲート電極として用いられた場合は、半導体または導体の仕事関数はトランジスタの閾値電圧に直接影響を及ぼす。
【0025】
先進的なトランジスタ設計に必要なデバイス性能を得るためには、ゲート絶縁膜材料として、金属ゲート電極材料および高誘電率絶縁材料を用いる傾向がある。ゲート空乏化効果を回避し、酸化膜換算膜厚(equivalent oxide thickness; EOT)を減少させるためには、従来のポリシリコンよりも金属ゲートが好ましい。しかし、CMOSデバイス(特に、ゲート絶縁材料として高誘電率絶縁材料を有するCMOSデバイス)の金属ゲートとしては、適切な材料がまだ発見されていない。特に、複数ゲートトランジスタのためのゲート材料工学は困難であることが分かってきている。
【0026】
「ミッドギャップ」ゲート仕事関数は、本明細書では約4.65eVに規定されている。なぜなら、上記値が、nドープされた多結晶シリコンの仕事関数(すなわち約4.1eV)と、pドープされた多結晶シリコンの仕事関数(すなわち約5.2eV)の中間値であるためである。4.1eVと5.2eVとの差は、例えば価電子帯と伝導帯との間の1.1eVのエネルギーギャップである。「準ミッドギャップ(near-mid-gap)」は、本明細書では約4.65eV近辺の仕事関数として規定されている。例えば、約4.45eVはNMOSデバイスの準ミッドギャップ仕事関数であり、約4.85eVはPMOSデバイスの準ミッドギャップ仕事関数である。
【0027】
当技術分野では、複数ゲートCMOSデバイスに対して適切な仕事関数を有する金属ゲート電極が必要とされている。CMOS FinFET技術が、バルクSi CMOS技術に勝る最大性能利益をもたらすためには、1つの問題を解決しなければならない。すなわち、閾値電圧Vtを制御するための調整可能な仕事関数を有するゲート技術の開発という問題である。
【0028】
本発明の実施形態の1つの特徴は、例えば複数ゲートNMOSデバイスおよび複数ゲートPMOSデバイスに対して、仕事関数がそれぞれ約4.45eVおよび4.85eVである2つの準ミッドギャップ金属ゲート材料を発見することにある。これらの仕事関数は、CMOSデバイスに必要とされる対称性を持つVtnおよびVtp(例えば、Vtn=+0.3V、Vtp=−0.3V)を達成する。本発明の実施形態の別の特徴は、これら2つの金属ゲート材料を複数ゲートデバイスの1つのプロセスフローに統合することにある。
【0029】
本発明の実施形態は、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタとの両方の複数ゲートCMOSトランジスタに用いられるゲート材料として有用な金属を開示することによって、技術的優位性を達成する。一実施形態では、上記ゲート材料は、TiSiNを含んでいることが好ましい。別の実施形態では、上記ゲート材料は、TaNまたはTiNを含んでいることが好ましい。上記ゲート材料は、別の材料を含んでいてもよい。一部の実施形態では、NMOSトランジスタおよびPMOSトランジスタの仕事関数は、ゲート材料の厚さを調節または調整することによって調節される。ゲート絶縁膜に隣接したゲート材料が金属であるので、ゲート絶縁膜として高誘電率絶縁材料を用いることによって生じるフェルミピニング効果(Fermi-pinning effect)が回避される。一部の実施形態では、NMOSおよびPMOSトランジスタの複数ゲートは、例えば、最上面に配置された半導体材料の層を含んでいてもよい。
【0030】
本発明については、具体的状況(すなわちCMOS FinFETデバイス)において、好ましい実施形態に関連して説明する。しかし本発明の実施形態は、例えばトリゲートデバイスなど、トランジスタに2つ以上のゲート電極が用いられた他の半導体デバイスアプリケーションへ応用することも可能である。なお、図面にはCMOSデバイスのみが示されている。しかし、本明細書に記載の各製造プロセス中に、半導体基板上に多くのトランジスタを形成することができる。
【0031】
本明細書に記載の金属層は、プロセス条件を変えることによって非常に正確に堆積およびエッチングされる。「ゲート」および「ゲート電極」という用語はトランジスタのゲートを表し、またこれらの用語は、本明細書では同義的に用いられている。
【0032】
図1〜図5は、本発明の好ましい実施形態に従った様々な製造段階における半導体デバイス100の断面図であって、CMOSデバイスは、ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを有している。まず図1には、基材102を含む半導体デバイス100の断面図が示されている。
【0033】
基材102は、SOI基板を含んでいることが好ましい。SOI基板は、例えば、基板を含む半導体材料104からなる第1の層と、埋め込み絶縁層106、または半導体材料104の第1の層上に配置された埋め込み酸化物層と、埋め込み絶縁層104上に配置された半導体材料108からなる第2の層と、を有している。
【0034】
基材102は、その別の領域内に形成された別の能動部品または回路(図示せず)をさらに有していてもよい。基材102は、例えば単結晶シリコンを酸化ケイ素で覆ったものを有していてもよい。基材102は、別の導電層、またはトランジスタ、ダイオード等の別の半導体素子を有していてもよい。例えばGaAs、InP、Si/Ge、またはSiC等の化合物半導体をシリコンの代わりに用いてもよい。
【0035】
基材102は、PウェルおよびNウェル(図示せず)をそれぞれ形成するために、例えばP型ドーパントおよびN型ドーパントによってドープされてもよい。半導体材料108の第2の層は、例えば、厚さが約100nmのシリコン(Si)を有していてもよい。しかし半導体材料108の第2の層は、別の寸法の別の材料を有していてもよい。
【0036】
基材102上にハードマスク110/112/114が形成される。ハードマスク110/112/114は、基材102上に形成された、厚さが約5nm以下のSiO2からなる第1の酸化物層110を有している。この第1の酸化物層110上には、厚さが約20nmのSixNyからなる窒化物層112が形成される。窒化物層112上に、約20nm以下のSiO2を有する第2の酸化物層114が形成される。あるいは、ハードマスク110/112/114は、例えば別の寸法の別の材料を有していてもよい。
【0037】
半導体デバイス100は、図示されているように、PMOSデバイスが形成される少なくとも1つの第1の領域117と、NMOSデバイスが形成される少なくとも1つの第2の領域118とを有している。第1の領域117および第2の領域118が1つのみ図示されているが、例えば多数の第1の領域117および第2の領域118が半導体デバイス100上に形成されていてもよい。第1の領域117および第2の領域118は、素子分離用領域によって分離されていてもよい(図1には示されていないため、例えば図14の392を参照)。
【0038】
ハードマスク110/112/114は、リソグラフィによってパターン形成される。このリソグラフィでは、例えばハードマスク110/112/114上にフォトレジスト層が堆積され、このフォトレジスト層がリソグラフィマスクを用いてエネルギーに暴露され、上記フォトレジスト層が現像され、そして上記フォトレジスト層がマスクとして用いられてハードマスク110/112/114がパターン形成される。
【0039】
図2に示されているように、ハードマスク110/112/114、さらに任意でフォトレジスト層がマスクとして用いられて、基材102の半導体材料108の第2の層がパターン形成される。埋め込み絶縁層106は、例えば、半導体材料108の第2の層をエッチングプロセスするためのエッチストップを有していてもよい。
【0040】
埋め込み絶縁層106の最上部は、図示されているように、半導体材料108の第2の層のエッチングプロセス中に除去してもよい。埋め込み絶縁層106は、例えば厚さが約150nmであって、約15nm以下の量d1がエッチングされてもよい。しかしd1は別の大きさであってもよい。
【0041】
半導体材料108の第2の層は、半導体材料108の垂直フィンを形成する。この垂直フィンは、基材102の水平方向から垂直方向に伸びる。フィン構造108は、PMOSおよびNMOSデバイスのチャネルとして機能する。これについては本明細書においてさらに説明する。フィン構造108の厚さd2は、例えば約50nm以下であってもよいが、別の大きさであってもよい。フィン構造108の厚さd2は、例えば一部のアプリケーションでは約5〜60nm、またはそれ未満であってもよい。フィン構造108の厚さd2は、別の例ではより大きくてもよく、例えば約100〜1、000nmであってよい。フィン構造108の厚さd2は、例えばチャネルドーピングおよびフィン構造108の別の寸法に応じて異なっていてもよい。しかしパラメータの変更は、寸法d2の決定に影響を及ぼすことがある。
【0042】
フィン構造108の高さは、例えば半導体材料108の第2の層の厚さと等しい。半導体デバイス100の第1の領域117内および第2の領域118内には、フィン構造108が2つのみ図示されているが、各PMOSおよびNMOSデバイスに対して多数のフィン構造(例えば1〜200)が存在していてもよい。しかし、上記以外の数のフィン構造108を用いてもよい。
【0043】
図2に示されているように、半導体材料108のフィンの側壁にゲート絶縁膜116が形成される。ゲート絶縁膜116は、図示されているように、例えば半導体材料108のみが酸化される熱酸化プロセスによって形成される。あるいは、ゲート絶縁膜116は堆積プロセスによって形成されてもよい。
【0044】
この結果、埋め込み絶縁層106上とハードマスク110/112/114(図示せず)上とにゲート絶縁膜116の薄い層が形成される。
【0045】
ゲート絶縁膜は、例えば、ハフニウムベースの絶縁膜、HfO2、HfSiOx、Al2O3、ZrO2、ZrSiOx、Ta2O5、La2O3、これらの窒化物、SixNy、SiON、HfAlOx、HfAlOxN1−x−y、ZrAlOx、ZrAlOxNy、SiAlOx、SiAlOxN1−x−y、HfSiAlOx、HfSiAlOxNy、ZrSiAlOx、ZrSiAlOxNy、これらの組み合わせ、あるいはこれらの組み合わせとSiO2との組み合わせを含んでいてもよい。しかしゲート絶縁膜116は、上記以外の材料を含んでいてもよい。
【0046】
ゲート絶縁膜116は、一部の実施形態では、SiO2よりも誘電率が高い高誘電率絶縁材料を含んでいることが好ましい。ゲート絶縁材料116は、例えば誘電率が約4.0またはそれ以上の高誘電率材料を含んでいることが好ましい。ゲート絶縁材料116の厚さは、一実施形態では約50オングストロームであることが好ましいが、しかしこれ以外の寸法であってもよい。
【0047】
次に、図3に示されているように、第1の領域117内および第2の領域118内のフィン構造上に、厚さが約d3のゲート電極材料120が形成される。ゲート電極材料120の厚さは、例えば約500オングストローム以下であることが好ましいが、これ以外の寸法であってもよい。
【0048】
ゲート電極材料120は、一実施形態では、厚さに応じて仕事関数を変更できる材料であるTiSiNを含んでいることが好ましい。あるいは、ゲート電極材料120は、例えばTaNまたはTiNを含んでいてもよい。
【0049】
別の実施形態では、ゲート電極材料120は、例えばTiSiN、TiN、TaN、Ta、Ru、HfN、W、Al、Ru、RuTa、TaSiN、NiSix、CoSix、TiSix、Ir、Y、Pt、Ti、PtTi、Pd、Re、Rh、ホウ化物、リン化物、あるいはTi、Hf、Zr、TiAlN、Mo、MoN、ZrSiN、ZrN、HfN、HfSiN、WN、Ni、Pr、VN、TiWのアンチモン化合物、これらが部分的にケイ化された材料、これらが完全にケイ化された材料、および/または、これらの組み合わせを含んでいることが好ましい。
【0050】
しかし、ゲート電極材料120は、上記以外の材料を含んでいてもよい。ゲート電極材料120は、例えば材料の厚さを変えることによって仕事関数が変更可能な材料を含んでいることが好ましい。
【0051】
ゲート電極材料120は、例えば化学気相堆積(chemical vapor deposition; CVD)、原子層堆積(atomic layer deposition; ALD)、有機金属化学気相堆積(metal organic chemical vapor deposition; MOCVD)、物理的気相成長法(physical vapor deposition; PVD)、あるいはジェット気相堆積(jet vapor deposition; JVD)によって堆積させ得る。しかしゲート電極材料120は、上記以外の適切な堆積法を用いて堆積させてもよい。
【0052】
ゲート電極材料120は、半導体材料108のフィンの第1の側面上の第1のゲート電極と、第1の側面に対向する半導体材料108のフィンの側面上の第2のゲート電極とを有している。従って、半導体材料108の各フィン上に、デュアルゲート電極構造を有するFinFETが形成される。ここでも再び、例えば基材102の第1の領域117内にPMOSデバイスを形成するか、あるいは第2の領域118内にNMOSデバイスを形成するために、複数のフィン108を平行に配置させてもよい。
【0053】
ゲート電極材料120は、TiSiNを含んでいる場合は、例えば、用いる原料およびガスとしてTDEATを0.11g/min、SiH4を約100立方センチメートル/min(standard cubic centimeters per minute; s.c.c.m.)、NH3を約5、800s.c.c.m、そして温度約340℃、圧力約60TorrにてCVDを行うことによって形成されることが好ましい。しかし、上記以外の方法およびプロセスパラメータを用いてゲート電極材料120を形成してもよい。
【0054】
次に、図4に示されているように、基材102の第1の領域117がマスク122によって覆われる。マスク122は、例えば基材102の表面全体に堆積され、リソグラフィによって第2の領域118から除去されて、第2の領域118内のゲート電極材料120が暴露される。マスク122は、例えばフォトレジスト層、および/またはハードマスクを含んでいてもよい。マスク122は、一実施形態では、例えばSixNyなどの窒化物材料を含んでいることが好ましいが、これ以外の材料を用いてもよい。
【0055】
図4に示すように、マスク122は、基材102の第2の領域118からゲート電極材料120の少なくとも最上部が除去される間に、マスクとして用いられる。ゲート電極材料120の最上部を除去するプロセスは、例えば時限エッチングプロセス(timed etch process)、および/またはウェットエッチングプロセスなどのエッチングプロセスを含んでいてもよいが、これ以外のエッチングプロセスを用いてもよい。
【0056】
エッチングプロセスは、例えば反応性イオンエッチング(reactive ion etch; RIE)などの等方性ドライエッチング、ウェットエッチング、または逆ALDプロセス(reverse ALD process)などの原子層エッチングを含んでいてもよい。マスク122は、例えばエッチングプロセス中に、第1の領域117内のゲート材料120が除去されないように保護する。
【0057】
第2の領域118内のゲート電極材料120の厚さは、例えば、ゲート電極材料120の最上部を除去するためのエッチングプロセス後には、約100オングストロームまたはそれ未満のd4であることが好ましい。例えば、PMOSデバイスのための第1の領域117内のゲート電極材料120の厚さd3は、NMOSデバイスのための第2の領域118内のゲート電極材料120の厚さd4よりも大きいことが好ましい。
【0058】
ゲート電極材料120の厚さd3およびd4は、本発明の実施形態に従って、例えば第1の領域117内および第2の領域118内のゲート電極材料120の所望の仕事関数に従って選択されることが好ましい。
【0059】
ハードマスク122は、窒化ケイ素を含んでいる場合は、熱リン酸を用いて除去されるが、他の化学物質を用いてもよい。図5に示されるように、ゲート電極材料120上に半導体材料124の任意の層が形成されてもよい。半導体材料124の層は、例えば厚さが約2、000オングストロームまたはそれ未満のポリシリコンを含んでいてもよいが、他の寸法の他の材料を含んでいてもよい。半導体材料124は、例えば基材102の第1の領域117および第2の領域118のゲート電極の一部を含んでいる。
【0060】
一実施形態では、図示されていないが、エッチングプロセスにおいて全てのゲート電極材料120が、第2の領域118から除去される。この実施形態では、第2の領域118およびハードマスク122上に、ゲート電極材料の別の層が堆積されることが好ましい。あるいは、ゲート電極材料の追加的な層が堆積される前にハードマスク122が除去されて、基材の第2の領域118上のゲート電極材料を再堆積させてもよい。ゲート電極材料の上記追加的な層は、例えばゲート電極材料120のための好ましい材料として列記した材料と同じ材料を含んでいることが好ましい。
【0061】
半導体デバイス100の製造プロセスを継続する。例えば、ゲート電極材料120の一部が除去されて、CMOS FinFET用のゲート電極が形成される。例えば、ゲート電極材料120および任意の半導体材料124が、第1の領域117および第2の領域118に対して同時にパターン形成されて、第1の領域117および第2の領域118内にそれぞれ、PMOSおよびNMOS複数ゲートトランジスタのゲート電極が形成される。ゲート電極上に追加的な絶縁材料層が形成されてもよい。図13および図14に示すように、例えばFinFETのソース、ドレイン、およびゲート電極にコンタクトが形成される(これについては、本明細書においてさらに説明する)。
【0062】
有利なことに、第1の領域117内の複数ゲートPMOSデバイスのゲート電極120が、第2の領域118内の複数ゲートNMOSデバイスのゲート電極120よりも厚い、CMOS FinFETデバイスが形成される。複数ゲートPMOSデバイスのゲート電極120の厚さは、複数ゲートNMOSデバイスのゲート電極120の厚さよりも、例えば50オングストロームまたはそれ以上厚いことが好ましい。
【0063】
図6および図7は、本発明の一実施形態に従って、ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートトランジスタを備えたCMOSデバイスの別の製造方法を示す断面図である。図6および図7では、図1〜図5において用いられた数字と同様の数字が用いられており、またこれまで説明してきた実施形態と同様の材料および厚さが用いられることが好ましい。
【0064】
この実施形態では、図6に示されているように、フィン構造208上(例えば、フィン構造208上に配置されたゲート絶縁膜216上、およびハードマスク210/212/214上)に、厚さd5を有する第1のゲート材料220aが形成される。例えば、フォトレジスト層またはハードマスクを有するマスク230が、半導体デバイス200の第2の領域218に形成される。
【0065】
第1の領域217内の第1のゲート材料220a上、および第2の領域218内のマスク230上に、厚さd6を有する第2のゲート材料220bが形成される。図7に示されているように、マスク230の除去時に、第2のゲート材料220bは第2の領域218からリフトオフ法によって除去される。
【0066】
従って、図1〜図5に示されている実施形態のように、第1の領域217内のゲート電極220a/220bの厚さd5+d6は、図示されているように、第2の領域218内のゲート電極220aの厚さd5よりも大きい。ここでもまた、図7に示されているように、第1の領域217内のゲート電極材料220a/220b上、および第2の領域218内のゲート電極材料20a上に、半導体材料224の層が形成される。
【0067】
図8は、本発明の実施形態に従って、数種類のゲート絶縁材からなる様々な厚さのTiSiNゲート電極の仕事関数を示すグラフである。232は、ゲート絶縁膜SiO2を有する様々な厚さのTiSiNゲート電極材料116/216を示している。234は、ゲート絶縁膜HfOxを有するTiSiNゲート電極材料116/216を示している。
【0068】
236は、ゲート絶縁膜HfSiOxを有するTiSiNゲート電極材料116/216を示している。y軸に示されている仕事関数は、x軸にオングストロームで示されているTiSiNゲート電極材料116/216の厚さに応じて変化する。
【0069】
図9は、非ドープチャネル、およびゲート材料としてポリシリコンを有するPMOSおよびNMOS FinFETの、2つの異なるドレイン/ソース間電圧(drain to source voltage; VDS)に対する変換特性であって、本発明の実施形態がこの変換特性に対して及ぼし得る影響を示す図である。
【0070】
y軸には、x軸のゲート/ソース間電圧(gate to source voltage; VGS)に応じたドレイン電流IDが示されている。238の曲線は、非ドープチャネル、およびゲート材料としてポリシリコンを有するPMOS FinFETの変換特性を示している(例えば、従来のプレーナPMOS短チャネルデバイスは、238と同様の曲線を示す)。
【0071】
240の曲線は、非ドープチャネル、およびゲート材料としてポリシリコンを有するNMOS FinFETの変換特性を示している(例えば、従来のプレーナNMOS短チャネルデバイスは、240と同様の曲線を示す)。従来技術によるCMOSデバイスの場合は、2セットの曲線238および240は、VGSが0、ドレイン電流IDが約1.00E−05〜1.00E−06(領域242を参照)の部分において交差している。
【0072】
本発明の実施形態によると、ゲート電極材料の厚さによって仕事関数が調節されるため、244に示されているように、変換特性曲線がID約1.00E−12〜1.00E−10において交差するように調整することができる。例えば、一部のCMOSデバイスにおいては、オフ電流が1.00E−5のトランジスタよりもオフ電流が1.00E−11のトランジスタが好ましい。
【0073】
なぜなら、これによって電子回路(例えばCMOSトランジスタが内蔵されていて、別のトランジスタおよび回路素子をさらに備え得る電子回路)全体の消費電力を大幅に低減できるからである。消費電力が低減され、そして例えば、トランジスタが携帯電話、PDA(personal digital assistant)、またはラップトップコンピュータなどのモバイルアプリケーションに用いられる場合、そのモバイルアプリケーションは、待機モードでバッテリーを充電することなく長時間動作できるため有利である。
【0074】
本発明の実施形態に従って、ゲート電極材料、およびPMOSならびにNMOSトランジスタの仕事関数を調整するために、ゲート電極材料の他のパラメータを変えてもよい。これについては、本明細書においてさらに詳しく説明する。
【0075】
Lin, R.らによる「An Adjustable Work Function Technology Using Mo Gate for CMOS Devices」、IEEE Electron Device Letters, January 2002, pp. 49-51, Vol. 23, No. 1, IEEEでは、Moをわずかに含むゲート電極の仕事関数をシフトするために、MoにNが注入される。この文献は、本明細書に参照として援用される。
【0076】
しかし、高エネルギー(29keV)および高用量(5E15cm−2)による窒素注入に基づいて、比較的厚いMo膜(650A)の仕事関数をシフトさせることは、FinFETまたは薄いフィンを有するトリゲートデバイスに対しては不十分である。なぜなら、一般的に低エネルギーおよび低用量で形成されるソースおよびドレイン領域が、窒素注入によって劣化するからである。
【0077】
次に図10を参照すると、本発明の実施形態では、CMOS FinFETデバイスの少なくとも1つのトランジスタの金属ゲート電極320にドーパント種352/354を注入して、金属ゲート電極320/360の仕事関数を調整することによって、技術的優位性を達成している。
【0078】
図10は、ゲート電極材料320へドーパント種352/354を注入することによって、第2の領域318内のNMOS FinFETトランジスタの仕事関数が調節された、本発明の一実施形態の断面図を示している。図10では、これまでの図において用いられた数字と同様の数字が用いられている。
【0079】
ゲート電極材料320/360およびドーパント種352/354は、例えば一部の実施形態においては、仕事関数が少なくとも200mVシフトするように選択されることが好ましいが、得られる仕事関数のシフトは上記以外であってもよい。
【0080】
さらに、別の実施形態では、ゲート注入に用いられるドーパントまたは複数のドーパントは、複数ゲートデバイスのソースおよびドレイン領域(図10には示されていないため、図14のソース領域308bおよびドレイン領域308cを参照)を形成するために用いられるドーパントと同一のドーパントを含んでいる。ゲートドーパント注入プロセスは、ソース領域308bおよびドレイン領域308cを形成するために用いられる注入プロセスと同様の低エネルギーおよび低用量にて行われることが好ましい。
【0081】
これにより、例えばソース領域308b/ドレイン領域308c注入プロセスが、ゲート注入によって過補償されることはない。
【0082】
再び図10を参照すると、一実施形態では、ゲート電極材料320はTiSiNを含んでいることが好ましく、またトランジスタの少なくとも1つ(例えば、第2の領域318内のNMOSトランジスタ)に、Siを含有したドーパント種352/354が注入される。
【0083】
別の実施形態では、ゲート電極320の材料は、TiSiN、TiN、TaN、Ta、Ru、Mo、HfN、W、Al、Ru、RuTa、TaSiN、NiSix、CoSix、TiSix、Ir、Y、Pt、Ti、PtTi、Pd、Re、Rh、ホウ化物、リン化物、またはTi、Hf、Zr、TiAlN、Mo、MoN、ZrSiN、ZrN、HfN、HfSiN、WN、Ni、Pr、VN、TiWのアンチモン化合物、部分シリサイド化ゲート材料、完全シリサイド化ゲート材料(fully silicided gate material; FUSI)、別の金属、および/またはこれらの組み合わせを含んでいることが好ましい。
【0084】
ゲート電極材料320の少なくとも1つへ注入されたドーパント種352/354は、Si、B、As、P、C、Ge、またはSb、あるいはこれらの組み合わせを含んでいることが好ましい。
【0085】
一部の実施形態では、ドーパント種352/354は、窒素(N)以外の材料を含んでいることが好ましい。なぜなら、N注入は一般的に過度に強力であり、ソースおよびドレイン領域(図4の領域308bおよび308cを参照)に悪影響を及ぼす可能性があるからである。ドーパント種352/354を注入するための注入プロセスは、例えばその注入量およびパワーレベルにおいて、例えばソース領域308bおよびドレイン領域308cを形成するための注入プロセスよりも弱い、あるいは強くないことが好ましい。
【0086】
これによって、ソース領域308bおよびドレイン領域308cの注入プロセスが過補償されることはない。一部の実施形態では、例えば、ソース領域308bおよびドレイン領域308cを形成するために用いるドーパント種と同様のドーパント種をゲート電極材料320へ注入してもよい。
【0087】
再び図10を参照すると、第1の領域317と第2の領域318との上にゲート電極材料320が堆積された後に、第1の領域317上にマスク350が形成される。マスク350は、例えば第1の領域317上および第2の領域318上に形成され、そして第2の領域318上から除去される。マスク350は、例えばフォトレジスト層、または絶縁体を含むハードマスクを有していてもよい。
【0088】
図示されているように、第2の領域318内のゲート電極にドーパント種352が注入される。マスク350は、注入プロセス中において、第1の領域317内のゲート電極材料320を保護する。ゲート電極材料360は、第2の領域318内において修正され、またゲート電極材料320全体において、段階的な濃度のドーパント種352を含み得る。例えば、ゲート電極材料360におけるドーパント種352の濃度が、埋め込み絶縁層306に隣接した底面あるいはフィン308の側壁面よりも、最上面において高くなるようにしてもよい。
【0089】
一部の実施形態では、第1の領域317内および第2の領域318内のゲート電極材料320に、第1のレベルのドーパントが注入される。次いで、例えば、第1の領域317がマスクされ、そして第2の領域318内のゲート電極材料320に追加量のドーパントが注入されて、第1の領域317内のドーパントの第1のレベルとは異なる第2の領域318内のドーパントの第2のレベルが設定される。
【0090】
一実施形態では、354に示されているように、基材302方向の角度に注入プロセスが向けられることが好ましい。この角度は、例えば基材302の最上面(0度)に対して約30〜60度であることが好ましいが、他の角度であってもよい。例えば、フィン308のアスペクト比は比較的高くてもよく、また注入プロセス354方向の角度付けによって、フィン308の側壁に沿ったゲート電極材料320内へのドーパント種354の注入が補助される。
【0091】
一部の実施形態では、基材302が複数回回転され、そして一定の角度に向けられた注入プロセス354が繰り返されて、フィン308上のゲート電極材料360の各側への注入が行われる。例えば、基材302へ1度目の注入が行われ、そして基材302が90度回転される。基材302へ2度目の注入が行われ、そして基材302が再び90度回転される。一部の実施形態では、基材は、ゲート電極材料360の全ての側壁へ注入を行うために、注入および回転されることが好ましい。これには、例えば4つの注入プロセスおよび3つの回転が含まれる。
【0092】
別の実施形態では、例えば、ゲート電極材料360の少なくとも1つの側面では、フィン308の1方の側壁に沿って、フィン308の他方の側壁よりも高濃度のドーパントが注入されることが好ましい。これらの実施形態では、基材302は全く回転されず、ドーパント注入工程は1工程のみであり得る。あるいは、例えば第2のドーパント注入プロセスが行われる前に、基材302が一度のみ回転されるようにしてもよい。例えば、ドーパント種がフィン構造の第1の側壁へ注入されるが、フィン構造の第2の側壁へは注入されないようにしてもよい。
【0093】
次に、ドーパント種を注入して仕事関数を調整した実験結果について説明する。TiSiNを含み、厚さが250オングストロームであり、最初のSi濃度が約25〜30%であるゲート電極材料が堆積された。表1は、6つの異なるタイプのデバイスに対する、仕事関数がミッドギャップレベル(4.65eV)周辺において対称的なCMOS FinFETプロセスの実施例を示している:
【0094】
【表1】
【0095】
注入量を変えることによって仕事関数に最大の影響を及ぼした最も成果の高い結果は、例えばSiO2絶縁膜からなるゲート絶縁膜を有するPMOSおよびNMOSデバイスであった。
【0096】
図11は、本発明の一実施形態に従って、様々なレベルでシリコンがドーピングされ、また様々なゲート絶縁材料を有した、様々なタイプのトランジスタデバイスに対するTiSiNの仕事関数を示したグラフである。表2は、図11に示されているグラフの材料および素子数を示している:
【0097】
【表2】
【0098】
図12は、トリゲートトランジスタデバイスにおいて実施した本発明の一実施形態の断面図を示している。この実施形態では、SOI基板402の半導体材料408の第2の層の最上面においてハードマスクは用いられない。あるいは、ハードマスクは、フィン構造408を形成するために半導体材料408の第2の層がパターン形成された後に除去される。
【0099】
この実施形態では、各トランジスタは、フィン構造408上に第1のゲート電極を3つ有している。第1のゲート電極は、フィン構造408の第1の側壁に配置されていて、第2のゲート電極は、フィン構造408の第2の側壁に配置されている。
【0100】
この第2の側壁は、同一のフィン構造408の第1の側壁に対向している。第3のゲート電極は、各フィン構造408の最上面に配置されている。例えば、フィン構造408は、第1の領域417および第2の領域418内のトランジスタのチャネルとして機能する。例えば、図1〜図5、および図6ならびに図7を参照しながら説明したように、ゲート電極の厚さを用いてゲート電極420の仕事関数を調整することができる。
【0101】
あるいは、第1の領域417、第2の領域418、あるいは第1の領域417と第2の領域418との両方へ異なるドーピングレベルのドーパント種を注入することによって、ゲート電極420の仕事関数を調整することができる。
【0102】
図13に示されているように、半導体デバイスのプロセスを継続する。図13は、本発明の実施形態に従って複数ゲートFinFETデバイスを有した半導体デバイス300を示す図であって、上部金属層および絶縁層がFinFETデバイス上に形成された後の状態を示している。図14は、図13に示されているFinFETデバイスのフィン構造を、図13に対して垂直に示した図である。
【0103】
フィン構造308の一部にドーパントが注入されて、図14に示されているようにソース領域308bおよびドレイン領域308cが形成される。ソース領域308bとドレイン領域308cとの間に配置されたチャネル308aは、例えば図14にも示されている。ソース領域308bおよびドレイン領域308cを形成するための注入工程は、例えば一部の実施形態では、本明細書に記載の製造プロセス工程の前に行ってもよい。
【0104】
図14にも示されているように、ゲート電極324/320およびハードマスク310/312/314の側壁に、例えば酸化物、窒化物、またはこれらの組み合わせなどの絶縁材料からなるスペーサ394が形成される。CMOS FinFETまたはトリゲートトランジスタ上に、例えば絶縁層384および390などの絶縁層および導電層が形成される。
【0105】
コンタクト386a(図13)は、複数ゲートデバイスのゲートに電気的接触を与える。例えば、半導体材料324上に形成されたケイ化物材料との接触を形成する。同様に、コンタクト386b(図14)は、ソース308b上に形成されたケイ化物382を介して、ソース308bに電気的接触を与える。そしてコンタクト386cは、ドレイン308c上に形成されたケイ化物382を介して、ドレイン308cに電気的接触を与える。
【0106】
コンタクト386a、386b、386cへ電気的接触を与える導電線388a、388b、388cなどの絶縁材料およびコンタクトの最上面に、さらなる金属層および絶縁層を形成およびパターン形成してもよい。コンタクト上にボンドパッド(図示せず)が形成され、そして複数の半導体デバイス300が個別または別々にされて、個々のダイとなる。ボンドパッドは、例えば集積回路パッケージ(図示せず)のリード(lead)に接続されて、半導体デバイス300の複数ゲートトランジスタに電気的接触を与える。
【0107】
複数ゲートトランジスタは、一実施形態では、第1の領域317にPMOSトランジスタを有し、そして第2の領域318にNMOSトランジスタを有していることが好ましい。本発明の実施形態によると、ゲート電極材料320は、NMOSトランジスタにおける厚さよりもPMOSトランジスタにおける厚さの方が大きいことが好ましく、またPMOSトランジスタにおけるドーパント濃度よりもNMOSトランジスタにおけるドーパント濃度の方が高いことが好ましい。
【0108】
ゲート電極材料320の厚さ、またはゲート電極材料320のドーパントレベルによって、一実施形態では、PMOSトランジスタのゲート材料の仕事関数が約4.85eVになり、また一実施形態では、NMOSトランジスタのゲート材料の仕事関数が約4.45eVになる。
【0109】
別の実施形態では、例えばPMOSトランジスタのゲート電極の仕事関数は、約4.5〜4.9eVであることが好ましく、またNMOSトランジスタのゲート電極の仕事関数は、約4.2〜4.6eVであることが好ましい。一実施形態では、トランジスタ120および122は、例えばそれぞれ約+0.3および−0.3Vなどの、ほぼ対称的な閾値電圧を有していることが好ましい。しかしこの閾値電圧は、例えば対称的なVt値が約+/−0.1V〜約15Vなど、他の電圧レベルであってもよい。
【0110】
本発明の実施形態は、いくつかの異なる複数ゲートトランジスタデバイスのアプリケーションにおいて技術的優位性を達成する。例えば、本発明の実施形態は、NMOS高性能(HP)デバイス、NMOS低動作電力(LOP)デバイス、NMOS低待機電力(LSTP)デバイス、PMOS高性能デバイス、PMOS低動作電力デバイス、およびPMOS低待機電力デバイスにおいて実施可能である。
【0111】
これらのHPデバイス、LOPデバイス、およびLSTPデバイスのパラメータは、2002版のInternational Technology Roadmap for Semiconductors (ITRS)において規定されている。上記文献は本明細書に参照として引用される。本発明の一部の実施形態によると、1つのタイプ(例えばNMOSまたはPMOS)の全てのデバイスは、注入ドーピングレベルが同一であって、デバイスのタイプ(例えばHP、LOP、またはLSTP)に応じて異なる厚さのゲート電極を有していることが好ましい。例えば、さらなる注入プロセスを任意で行ってもよいが、必要ではない。
【0112】
図15〜図17は、デバイスタイプ(例えば低待機電力、低動作電力、または高性能)に基づいて、所望の変換特性を得るために注入量を変えた場合の図を示している。例えば図15は、本発明の一実施形態に従って、厚さが約100オングストロームのTiSiNゲート材料を有し、かつ低待機電力デバイスに対して最適化された量のSiがNMOSゲートに注入された、低待機電力のCMOSトリゲートデバイスの変換特性を測定した図である。
【0113】
このグラフは、2つの異なるドレイン/ソース間電圧(VDS)に対する、非ドープチャネル、およびゲート材料としてポリシリコンを有するPMOSおよびNMOSトリゲートデバイスに対して計算されたものである。538aの曲線は、PMOSトランジスタに対するドレイン電圧(Vd)が1.2Vの場合のゲート/ソース電圧レベル(VGS)に対するドレイン電流を示し、538bの曲線は、PMOSトランジスタに対するVdが0.05Vの場合のID vs.VGSを示している。
【0114】
540aの曲線は、NMOSトランジスタに対するVdが1.2Vの場合のIDvs.VGSを示し、540bの曲線は、NMOSトランジスタに対するVdが0.05Vの場合のID vs.VGSを示している。例えば、曲線538aおよび540a、ならびに538bおよび540bは、VGSが0、そして領域544におけるドレイン電流IDが約1.00E−11の部分で交差している。
【0115】
図16は、PMOSデバイス用のTiSiNゲート材料の厚さが約200オングストロームであり、NMOSデバイス用のゲート材料の厚さが約75オングストロームである高性能CMOSトリゲートデバイスの推定変換特性を示している。NMOSデバイスのゲート材料に、高性能デバイスに対して最適化された濃度のSiが注入される。638aの曲線は、PMOSトランジスタに対するVdが1.2Vの場合のID vs.VGSを示し、638bの曲線は、PMOSトランジスタに対するVdが0.005Vの場合のID vs.VGSを示している。640aの曲線は、NMOSトランジスタに対するVdが1.2Vの場合のID vs.VGSを示し、640bの曲線は、NMOSトランジスタに対するVdが0.005Vの場合のID vs.VGSを示している。例えば、曲線638aおよび640a、ならびに638bおよび640bは、VGSが0、そして領域644におけるドレイン電流IDが約1.00E−8〜1.00E−9の部分で交差している。
【0116】
図17は、PMOSデバイス用のTiSiNゲート材料の厚さが約200オングストロームであり、NMOSデバイス用のTiSiNゲート材料の厚さが約75オングストロームである低動作電力CMOSトリゲートデバイスの推定変換特性を示している。NMOSデバイスのゲート材料に、低動作電力デバイスに対して最適化された濃度のSiが注入される。738aの曲線は、PMOSトランジスタに対するVdが1.2Vの場合のID vs.VGSを示し、738bの曲線は、PMOSトランジスタに対するVdが0.05Vの場合のID vs.VGSを示している。
【0117】
740aの曲線は、NMOSトランジスタに対するVdが1.2Vの場合のID vs.VGSを示し、740bの曲線は、NMOSトランジスタに対するVdが0.05Vの場合のID vs.VGSを示している。例えば、曲線738aおよび740a、ならびに738bおよび740bは、VGSが0、そして領域744におけるドレイン電流IDが約1.00E−10の部分で交差している。
【0118】
このように、図15〜図17に示し、かつ本明細書において説明したように、本発明の実施形態に従って、PMOSおよびNMOSトランジスタに対して複数ゲートCMOSデバイスのゲート材料のドーピング注入レベルおよびゲート材料の厚さを調節して、CMOSデバイスの変換特性および所望の性能を得ることができる。
【0119】
本発明の実施形態に従って、金属を含有したPMOSおよびNMOSデバイスを有したCMOS複数ゲートデバイスを備えた新規の半導体デバイスが形成される。本発明の好ましい実施形態は、半導体デバイス100、200、300、400、およびその構造を製造するための方法を提供することを利点の一つとする。第1の領域117、217、317、417、および第2の領域118、218、318、418にそれぞれ形成された複数ゲートPMOSおよびNMOSトランジスタは、ほぼ対称的なVtを有していることが好ましい。例えば、Vtpは約−0.3Vであり、Vtnはそのほぼ同じ正の値(例えば+0.3V)であってよい。
【0120】
例えば金属ゲート層の厚さ、および/またはドーパント注入レベルによって、複数ゲートPMOSおよびNMOSデバイスのゲート電極材料の仕事関数が規定される。本発明の実施形態によると、PMOSおよびNMOSトランジスタのゲート材料の厚さか、ゲート材料のドーパント注入レベルかのいずれか、あるいはこれら両方を用いて、PMOSおよびNMOSトランジスタの仕事関数を調節することができる。
【0121】
本発明の実施形態およびその利点について詳しく説明してきたが、特許請求の範囲によって規定された本発明の精神および範囲を逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換、および修正を加えることができることについて理解されたい。例えば、本明細書に記載されている多くの特徴、機能、プロセス、および材料は、本発明の範囲内において変更可能であることは、当業者であれば容易に理解できるであろう。
【0122】
さらに、本発明の応用範囲は、本明細書に記載のプロセス、機器、製造、組成物、手段、方法、および工程の具体的実施形態に限定されるものではない。当業者であれば本発明の開示内容から容易に理解できるように、本明細書に記載されている実施形態とほぼ同一の機能を行う、あるいはほぼ同様の結果をもたらす既存または後発のプロセス、機器、製造、組成物、手段、方法、および工程は、本発明に従って利用することができる。従って、このようなプロセス、機器、製造、組成物、手段、方法、または工程は、特許請求の範囲内に包含される。
【0123】
〔図面の簡単な説明〕
本発明および本発明の利点をより完全に理解するために、添付図面と共に以下の説明を参照する。添付図面は次の通りである。
【0124】
図1〜図5は、本発明の好ましい実施形態に従った様々な製造段階における半導体デバイスの断面図であって、CMOSデバイスは、ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを有している。
【0125】
図6および図7は、ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートトランジスタを備えたCMOSデバイスの、本発明の一実施形態に従った別の製造方法を示す断面図である。
【0126】
図8は、本発明の実施形態に従った様々な仕事関数およびゲート絶縁膜材料の厚さを示すグラフである。
【0127】
図9は、非ドープチャネル、およびゲート材料としてポリシリコンを有するPMOSおよびNMOS FinFETの変換特性(transfer characteristic)であって、FinFET CMOSデバイスの変換特性に対して本発明の実施形態が及ぼす影響を示す図である。
【0128】
図10は、ゲート材料にドーパント種を注入することによってNMOSトランジスタの仕事関数が調節された、本発明の別の実施形態の断面図である。
【0129】
図11は、本発明の一実施形態に従って、シリコンの様々なドーピングレベル、および様々なゲート絶縁膜材料を用いた場合における、様々な種類のトランジスタデバイスに対するTiSiNの仕事関数を示すグラフである。
【0130】
図12は、トリゲートトランジスタデバイスとして実施された本発明の一実施形態の断面図である。
【0131】
図13は、上部金属層および絶縁層がFinFETデバイス上に形成された後の状態を示す、本発明の実施形態によるFinFETデバイスを示す図である。
【0132】
図14は、図13に示されているFinFETデバイスのフィン構造を、図13に示されている図に対して垂直な方向から見た場合の図である。
【0133】
図15は、本発明の一実施形態に従って、NMOSゲートにSiが注入されたTiSiNゲートを備えた、低待機電力(LSTP)のCMOSトリゲートデバイスの変換特性を測定した図である。
【0134】
図16は、本発明の一実施形態に従って、NMOSゲートにSiが注入されたTiSiNゲートを備えた、高性能(HP)のCMOSトリゲートデバイスの推定変換特性を示す図である。
【0135】
図17は、本発明の一実施形態に従って、NMOSゲートにSiが注入されたTiSiNゲートを備えた、低動作電力(LOP)のCMOSトリゲートデバイスの推定変換特性を示す図である。
【0136】
それぞれに図において対応している数字および符号は、特に記載がない限り同じ部品を表している。これらの図は、好ましい実施形態に関連した形態を分かりやすく示したものであって、サイズを縮小するために描かれたものでは必ずしもない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には半導体デバイス、特に複数のゲートを有するトランジスタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、例えばパーソナルコンピュータ、携帯電話、デジタルカメラ、およびその他の電子機器など、様々な電子アプリケーションに用いられている。半導体デバイスは、一般的には、材料の絶縁層または誘電体層、導電層、および半導体層を半導体基板上に順番に堆積し、そしてリソグラフィを用いてこれらの様々な層をパターン形成して、半導体基板上に回路部品および素子を形成することによって製造される。
【0003】
トランジスタは、半導体デバイスに幅広く用いられている素子である。例えば、1つの集積回路(integrated circuit; IC)上に数百ものトランジスタが搭載される場合もある。半導体デバイスの製造に用いられるトランジスタの種類としては、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(metal oxide semiconductor field effect transistor; MOSFET)が一般的である。従来のMOSFETは、チャネル領域を制御するゲート電極を1つ有しており、単一ゲートトランジスタと称されることが多い。初期のMOSFETプロセスは、PまたはNチャネルトランジスタを有する単一トランジスタを製造するために、1種類のドーパントを用いていた。
【0004】
相補型MOS(CMOS)と称される、より最近の設計では、PチャネルデバイスとNチャネルデバイスとの両方、例えばPチャネル金属酸化膜半導体(positive channel metal oxide semiconductor; PMOS)トランジスタと、Nチャネル金属酸化膜半導体(negative channel metal oxide semiconductor; NMOS)トランジスタとが、相補的な構成で用いられている。
【0005】
従来のバルク単一ゲートプレーナMOSFETデバイスは、45nm以上のノードを有する次世代技術に要求される性能を実現することができない。従来のバルクデバイスの概念は、チャネル注入、ソースおよびドレイン領域注入、低不純物濃度のドレイン(lightly doped drain; LDD)拡張注入、およびポケット/ハロ(halo)注入プロセスを含む、複雑な3次元ドーピング特性に基づいている。これらは、チャネル領域および基板深部における電位制御不足のためドーパント変動が大きくなり、また寄生短チャネル効果が高まるため、さらに微細化されることはない。このため、例えばInternational Technology Roadmap for Semiconductors (ITRS)の2002年版に開示されたITRS Roadmapでは、2つの新規な設計概念が提案されている。すなわち、完全空乏型プレーナSOI(silicon-on-insulator)MOSFETデバイス、および垂直複数ゲートFinFET(fin field effect transistor)またはトリゲート(Tri-Gate)デバイスである。なお、上記文献は本明細書に参照として援用される。
【0006】
このように、複数のゲートを有するトランジスタの技術が台頭してきている。ダブルゲートトランジスタは、同一のチャネル領域を制御する、互いに対向した2つの平行なゲートを有している。FinFETは、垂直ダブルゲートデバイスであって、チャネルが、一般的にはSOI(silicon-on-insulator)基板上に形成されている半導体材料を有する垂直フィンを備えている。FinFETの2つのゲートは、垂直フィンの対向する側壁に形成されている。トリゲートトランジスタは、同一のチャネル領域を制御する3つのゲートを備えている(例えば、チャネルは垂直フィンを有し、2つのゲートは垂直フィンの側面に形成されており、3つ目のゲートはフィンの最上部に形成されている)。FinFET構造は、フィンの最上部に配置された絶縁材またはハードマスクによって第3のゲートが遮断されたトリゲートトランジスタと類似している。
【0007】
FinFET、トリゲートトランジスタ、およびこれらを形成する際のいくつかの課題について、Nowak, E.J.らによる"Turning Silicon on its Edge: Overcoming Silicon Scaling Barriers with Double Gate and FinFET Technology," IEEE Circuits & Devices Magazine, January/February 2004, pp. 20-31, IEEEに記載されている。上記文献は参照として本明細書に援用される。
【0008】
FinFETおよびトリゲートトランジスタは、CMOSデバイスの形成に用いられ得る。PMOSおよび/またはNMOSトランジスタとして、1つ以上のFinFETを用いることができる。1つのPMOSまたはNMOSトランジスタの形成に、2つ以上の平行したフィンが用いられる場合が多い。FinFETは、プレーナトランジスタ構造よりも積極的に寸法を縮小することができると共に、ゲート誘起ドレインリーク(gate-induced drain leakage; GIDL)電流が低い。これについては、Chang, L.らによる"Extremely Scaled Silicon Nano-CMOS Devices," Proceedings of the IEEE, November 2003, Vol. 91, No. 11, pp. 1860-1873, IEEEに記載されている。上記文献は、参照として本明細書に援用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、FinFETなどの複数ゲートトランジスタは、プレーナCMOSデバイスよりも製造が困難かつ複雑であり、また全く異なる材料を必要とし、さらにプロセスに関する様々な課題がある。
【0010】
さらに、CMOSデバイスのNMOSおよびPMOSトランジスタの閾値電圧Vtが対称性を持つようにCMOSデバイスを設計することが重要である。しかし、特に複数のゲートを有する先進的なトランジスタなどのデバイスの微細化が進むにつれて、対称性を有する閾値電圧Vtを達成できる材料、デバイス構造、および製造プロセスを見出すには困難が伴う。
【0011】
従って当技術分野においては、複数ゲートトランジスタの改良された構造、およびその製造プロセスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
複数ゲートトランジスタのゲート電極の新規的構造および形成方法を備えた本発明の好ましい形態によって、上記および上記以外の問題は一般的に解決または回避され、さらには技術的優位性が一般的に得られる。ゲート電極材料の仕事関数を調整するために、PMOSおよびNMOSデバイス用のゲート電極材料の第1のパラメータおよび第2のパラメータが調節される。一部の形態では、ゲート電極材料として、ゲート材料の厚さを変えることによって調整または調節可能な仕事関数を有する金属が用いられる。そして、所望の仕事関数を得るために、PMOSおよびNMOS複数ゲートトランジスタに対して上記金属の厚さが調節される。別の形態では、所望の仕事関数を得るために、ゲート材料にドーパント種が注入される。
【0013】
本発明の好ましい形態によると、半導体デバイスは、第1のパラメータを有する少なくとも2つの第1のゲート電極を有する第1のトランジスタを備えている。上記半導体デバイスは、上記第1のトランジスタに近接していると共に少なくとも2つの第2のゲート電極を有している第2のトランジスタを備えている。上記少なくとも2つの第2のゲート電極は、第2のパラメータを有している。この第2のパラメータは、上記第1のパラメータとは異なる。
【0014】
本発明の好ましい別の形態によると、半導体デバイスは、第1の厚さを有する少なくとも2つの第1のゲート電極を有する第1のトランジスタを備えている。この第1のトランジスタに近接して第2のトランジスタが配置されている。この第2のトランジスタは、上記第1の厚さとは異なる第2の厚さを有する少なくとも2つの第2のゲート電極を有している。上記第1の厚さは、上記少なくとも2つの第1のゲート電極の第1の仕事関数を規定し、そして上記第2の厚さは、上記少なくとも2つの第2のゲート電極の第2の仕事関数を規定する。上記第2の仕事関数は、上記第1の仕事関数とは異なる。
【0015】
本発明の好ましいさらに別の形態によると、半導体デバイスは、第1のドーパントレベルを有する少なくとも2つの第1のゲート電極を有する第1のトランジスタを備えている。上記第1のトランジスタに近接して第2のトランジスタが配置されている。この第2のトランジスタは、第2のドーパントレベルを有する少なくとも2つの第2のゲート電極を有している。上記第2のドーパントレベルは、上記第1のドーパントレベルとは異なる。上記第1のドーパントレベルは、上記少なくとも2つの第1のゲート電極の第1の仕事関数を規定し、そして上記第2のドーパントレベルは、上記少なくとも2つの第2のゲート電極の第2の仕事関数を規定する。上記第2の仕事関数は、上記第1の仕事関数とは異なる。
【0016】
本発明の好ましい別の形態によると、半導体デバイスの製造方法は、第1のパラメータを有する少なくとも2つの第1のゲート電極を有する第1のトランジスタを形成する工程を含んでいる。第2のパラメータを有する少なくとも2つの第2のゲート電極を有する第2のトランジスタが、上記第1のトランジスタに近接して形成される。上記第2のパラメータは、上記第1のパラメータとは異なる。
【0017】
本発明の好ましい形態の利点として、トランジスタデバイスおよびその構造を製造するための新規な方法を提供している点が含まれる。複数ゲートCMOSデバイスのPMOSトランジスタおよびNMOSトランジスタが略対称的なVtを有する、複数ゲートCMOSデバイスが製造される。金属ゲート材料の厚さ、および/またはゲート電極材料のドーパントレベルは、トランジスタゲート電極の仕事関数を規定し、従ってトランジスタの閾値電圧Vtを規定する。一部の形態では、PMOSおよびNMOSトランジスタのゲートに対して同一の材料が用いられることが好ましい。同一の材料を用いることによって、2つの異なるゲート材料を堆積およびエッチングするために要する処理が少なくなり、さらに製造プロセス工具の汚染を予防できる。別の形態では、1種類のゲート材料が堆積され、そしてPMOSデバイスまたはNMOSトランジスタゲート電極材料のいずれかにドーパント種が注入されて、仕事関数が調節される。
【0018】
以下に記載する本発明の詳細な説明がよりよく理解されるように、本発明の形態の特徴および技術的利点について、やや大まかに概説した。本発明の形態のさらなる特徴および利点について以下に説明する。これらのさらなる特徴および利点は、本発明の請求項の主部を構成する。開示されている概念および具体的な形態は、例えばキャパシタまたはゲートダイオード(gated diode)などの別の構造、あるいは、本発明と同一の目的を達成するための別のプロセスを変更および設計するための基礎として用いられることは、当業者は容易に理解するであろう。またこのような同等の構成は、特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲を逸脱するものではない点についても、当業者は理解するであろう。
【0019】
本発明および本発明の利点をより完全に理解するために、添付図面と共に以下の説明を参照する。添付図面は次の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の好ましい実施形態に従った様々な製造段階における半導体デバイスの断面図であって、CMOSデバイスは、ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを有している。
【図2】本発明の好ましい実施形態に従った様々な製造段階における半導体デバイスの断面図であって、CMOSデバイスは、ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを有している。
【図3】本発明の好ましい実施形態に従った様々な製造段階における半導体デバイスの断面図であって、CMOSデバイスは、ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを有している。
【図4】本発明の好ましい実施形態に従った様々な製造段階における半導体デバイスの断面図であって、CMOSデバイスは、ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを有している。
【図5】本発明の好ましい実施形態に従った様々な製造段階における半導体デバイスの断面図であって、CMOSデバイスは、ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを有している。
【図6】ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートトランジスタを備えたCMOSデバイスの、本発明の一実施形態に従った別の製造方法を示す断面図である。
【図7】ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートトランジスタを備えたCMOSデバイスの、本発明の一実施形態に従った別の製造方法を示す断面図である。
【図8】本発明の実施形態に従った様々な仕事関数およびゲート絶縁膜材料の厚さを示すグラフである。
【図9】非ドープチャネル、およびゲート材料としてポリシリコンを有するPMOSおよびNMOS FinFETの変換特性(transfer characteristic)であって、FinFET CMOSデバイスの変換特性に対して本発明の実施形態が及ぼす影響を示す図である。
【図10】ゲート材料にドーパント種を注入することによってNMOSトランジスタの仕事関数が調節された、本発明の別の実施形態の断面図である。
【図11】本発明の一実施形態に従ってシリコンの様々なドーピングレベル、および様々なゲート絶縁膜材料を用いた場合における、様々な種類のトランジスタデバイスに対するTiSiNの仕事関数を示すグラフである。
【図12】トリゲートトランジスタデバイスとして実施された本発明の一実施形態の断面図である。
【図13】上部金属層および絶縁層をFinFETデバイス上に形成した後の状態を示す、本発明の実施形態によるFinFETデバイスを示す図である。
【図14】図13に示されているFinFETデバイスのフィン構造を、図13に示されている図に対して垂直な方向から見た場合の図である。
【図15】本発明の一実施形態に従って、NMOSゲートにSiが注入されたTiSiNゲートを備えた、低待機電力(LSTP)のCMOSトリゲートデバイスの変換特性を測定した図である。
【図16】本発明の一実施形態に従って、NMOSゲートにSiが注入されたTiSiNゲートを備えた、高性能(HP)のCMOSトリゲートデバイスの推定変換特性を示す図である。
【図17】本発明の一実施形態に従って、NMOSゲートにSiが注入されたTiSiNゲートを備えた、低動作電力(LOP)のCMOSトリゲートデバイスの推定変換特性を示す図である。
【0021】
それぞれに図において対応している数字および符号は、特に記載がない限り同じ部品を表している。これらの図は、好ましい実施形態に関連した形態を分かりやすく示したものであって、サイズを縮小するために描かれたものでは必ずしもない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
好ましい実施形態の実施および使用について以下に詳述する。しかし本発明は、様々な具体的状況において応用可能な多くの概念を提供していることについて理解されたい。本明細書に記載の具体的な実施形態は、単に本発明の具体的な実施および使用方法を示したものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0023】
電子工学における「仕事関数」とは、一般的には電子ボルトで示されるエネルギーであって、電子をフェルミ準位から表面の外側へ無限遠に取り出すために必要なエネルギーである。仕事関数は、導体、半導体、あるいは絶縁体に関わらず、あらゆる材料の材料特性である。
【0024】
半導体材料は、これまではトランジスタデバイスのためのゲート電極材料として用いられてきた。半導体材料の仕事関数は、半導体材料をドーピングすることによって変えることができる。例えば、非ドープポリシリコンの仕事関数は約4.65eVであるが、ホウ素がドープされたポリシリコンの仕事関数は約5.15eVである。例えば、ゲート電極として用いられた場合は、半導体または導体の仕事関数はトランジスタの閾値電圧に直接影響を及ぼす。
【0025】
先進的なトランジスタ設計に必要なデバイス性能を得るためには、ゲート絶縁膜材料として、金属ゲート電極材料および高誘電率絶縁材料を用いる傾向がある。ゲート空乏化効果を回避し、酸化膜換算膜厚(equivalent oxide thickness; EOT)を減少させるためには、従来のポリシリコンよりも金属ゲートが好ましい。しかし、CMOSデバイス(特に、ゲート絶縁材料として高誘電率絶縁材料を有するCMOSデバイス)の金属ゲートとしては、適切な材料がまだ発見されていない。特に、複数ゲートトランジスタのためのゲート材料工学は困難であることが分かってきている。
【0026】
「ミッドギャップ」ゲート仕事関数は、本明細書では約4.65eVに規定されている。なぜなら、上記値が、nドープされた多結晶シリコンの仕事関数(すなわち約4.1eV)と、pドープされた多結晶シリコンの仕事関数(すなわち約5.2eV)の中間値であるためである。4.1eVと5.2eVとの差は、例えば価電子帯と伝導帯との間の1.1eVのエネルギーギャップである。「準ミッドギャップ(near-mid-gap)」は、本明細書では約4.65eV近辺の仕事関数として規定されている。例えば、約4.45eVはNMOSデバイスの準ミッドギャップ仕事関数であり、約4.85eVはPMOSデバイスの準ミッドギャップ仕事関数である。
【0027】
当技術分野では、複数ゲートCMOSデバイスに対して適切な仕事関数を有する金属ゲート電極が必要とされている。CMOS FinFET技術が、バルクSi CMOS技術に勝る最大性能利益をもたらすためには、1つの問題を解決しなければならない。すなわち、閾値電圧Vtを制御するための調整可能な仕事関数を有するゲート技術の開発という問題である。
【0028】
本発明の実施形態の1つの特徴は、例えば複数ゲートNMOSデバイスおよび複数ゲートPMOSデバイスに対して、仕事関数がそれぞれ約4.45eVおよび4.85eVである2つの準ミッドギャップ金属ゲート材料を発見することにある。これらの仕事関数は、CMOSデバイスに必要とされる対称性を持つVtnおよびVtp(例えば、Vtn=+0.3V、Vtp=−0.3V)を達成する。本発明の実施形態の別の特徴は、これら2つの金属ゲート材料を複数ゲートデバイスの1つのプロセスフローに統合することにある。
【0029】
本発明の実施形態は、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタとの両方の複数ゲートCMOSトランジスタに用いられるゲート材料として有用な金属を開示することによって、技術的優位性を達成する。一実施形態では、上記ゲート材料は、TiSiNを含んでいることが好ましい。別の実施形態では、上記ゲート材料は、TaNまたはTiNを含んでいることが好ましい。上記ゲート材料は、別の材料を含んでいてもよい。一部の実施形態では、NMOSトランジスタおよびPMOSトランジスタの仕事関数は、ゲート材料の厚さを調節または調整することによって調節される。ゲート絶縁膜に隣接したゲート材料が金属であるので、ゲート絶縁膜として高誘電率絶縁材料を用いることによって生じるフェルミピニング効果(Fermi-pinning effect)が回避される。一部の実施形態では、NMOSおよびPMOSトランジスタの複数ゲートは、例えば、最上面に配置された半導体材料の層を含んでいてもよい。
【0030】
本発明については、具体的状況(すなわちCMOS FinFETデバイス)において、好ましい実施形態に関連して説明する。しかし本発明の実施形態は、例えばトリゲートデバイスなど、トランジスタに2つ以上のゲート電極が用いられた他の半導体デバイスアプリケーションへ応用することも可能である。なお、図面にはCMOSデバイスのみが示されている。しかし、本明細書に記載の各製造プロセス中に、半導体基板上に多くのトランジスタを形成することができる。
【0031】
本明細書に記載の金属層は、プロセス条件を変えることによって非常に正確に堆積およびエッチングされる。「ゲート」および「ゲート電極」という用語はトランジスタのゲートを表し、またこれらの用語は、本明細書では同義的に用いられている。
【0032】
図1〜図5は、本発明の好ましい実施形態に従った様々な製造段階における半導体デバイス100の断面図であって、CMOSデバイスは、ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを有している。まず図1には、基材102を含む半導体デバイス100の断面図が示されている。
【0033】
基材102は、SOI基板を含んでいることが好ましい。SOI基板は、例えば、基板を含む半導体材料104からなる第1の層と、埋め込み絶縁層106、または半導体材料104の第1の層上に配置された埋め込み酸化物層と、埋め込み絶縁層104上に配置された半導体材料108からなる第2の層と、を有している。
【0034】
基材102は、その別の領域内に形成された別の能動部品または回路(図示せず)をさらに有していてもよい。基材102は、例えば単結晶シリコンを酸化ケイ素で覆ったものを有していてもよい。基材102は、別の導電層、またはトランジスタ、ダイオード等の別の半導体素子を有していてもよい。例えばGaAs、InP、Si/Ge、またはSiC等の化合物半導体をシリコンの代わりに用いてもよい。
【0035】
基材102は、PウェルおよびNウェル(図示せず)をそれぞれ形成するために、例えばP型ドーパントおよびN型ドーパントによってドープされてもよい。半導体材料108の第2の層は、例えば、厚さが約100nmのシリコン(Si)を有していてもよい。しかし半導体材料108の第2の層は、別の寸法の別の材料を有していてもよい。
【0036】
基材102上にハードマスク110/112/114が形成される。ハードマスク110/112/114は、基材102上に形成された、厚さが約5nm以下のSiO2からなる第1の酸化物層110を有している。この第1の酸化物層110上には、厚さが約20nmのSixNyからなる窒化物層112が形成される。窒化物層112上に、約20nm以下のSiO2を有する第2の酸化物層114が形成される。あるいは、ハードマスク110/112/114は、例えば別の寸法の別の材料を有していてもよい。
【0037】
半導体デバイス100は、図示されているように、PMOSデバイスが形成される少なくとも1つの第1の領域117と、NMOSデバイスが形成される少なくとも1つの第2の領域118とを有している。第1の領域117および第2の領域118が1つのみ図示されているが、例えば多数の第1の領域117および第2の領域118が半導体デバイス100上に形成されていてもよい。第1の領域117および第2の領域118は、素子分離用領域によって分離されていてもよい(図1には示されていないため、例えば図14の392を参照)。
【0038】
ハードマスク110/112/114は、リソグラフィによってパターン形成される。このリソグラフィでは、例えばハードマスク110/112/114上にフォトレジスト層が堆積され、このフォトレジスト層がリソグラフィマスクを用いてエネルギーに暴露され、上記フォトレジスト層が現像され、そして上記フォトレジスト層がマスクとして用いられてハードマスク110/112/114がパターン形成される。
【0039】
図2に示されているように、ハードマスク110/112/114、さらに任意でフォトレジスト層がマスクとして用いられて、基材102の半導体材料108の第2の層がパターン形成される。埋め込み絶縁層106は、例えば、半導体材料108の第2の層をエッチングプロセスするためのエッチストップを有していてもよい。
【0040】
埋め込み絶縁層106の最上部は、図示されているように、半導体材料108の第2の層のエッチングプロセス中に除去してもよい。埋め込み絶縁層106は、例えば厚さが約150nmであって、約15nm以下の量d1がエッチングされてもよい。しかしd1は別の大きさであってもよい。
【0041】
半導体材料108の第2の層は、半導体材料108の垂直フィンを形成する。この垂直フィンは、基材102の水平方向から垂直方向に伸びる。フィン構造108は、PMOSおよびNMOSデバイスのチャネルとして機能する。これについては本明細書においてさらに説明する。フィン構造108の厚さd2は、例えば約50nm以下であってもよいが、別の大きさであってもよい。フィン構造108の厚さd2は、例えば一部のアプリケーションでは約5〜60nm、またはそれ未満であってもよい。フィン構造108の厚さd2は、別の例ではより大きくてもよく、例えば約100〜1、000nmであってよい。フィン構造108の厚さd2は、例えばチャネルドーピングおよびフィン構造108の別の寸法に応じて異なっていてもよい。しかしパラメータの変更は、寸法d2の決定に影響を及ぼすことがある。
【0042】
フィン構造108の高さは、例えば半導体材料108の第2の層の厚さと等しい。半導体デバイス100の第1の領域117内および第2の領域118内には、フィン構造108が2つのみ図示されているが、各PMOSおよびNMOSデバイスに対して多数のフィン構造(例えば1〜200)が存在していてもよい。しかし、上記以外の数のフィン構造108を用いてもよい。
【0043】
図2に示されているように、半導体材料108のフィンの側壁にゲート絶縁膜116が形成される。ゲート絶縁膜116は、図示されているように、例えば半導体材料108のみが酸化される熱酸化プロセスによって形成される。あるいは、ゲート絶縁膜116は堆積プロセスによって形成されてもよい。
【0044】
この結果、埋め込み絶縁層106上とハードマスク110/112/114(図示せず)上とにゲート絶縁膜116の薄い層が形成される。
【0045】
ゲート絶縁膜は、例えば、ハフニウムベースの絶縁膜、HfO2、HfSiOx、Al2O3、ZrO2、ZrSiOx、Ta2O5、La2O3、これらの窒化物、SixNy、SiON、HfAlOx、HfAlOxN1−x−y、ZrAlOx、ZrAlOxNy、SiAlOx、SiAlOxN1−x−y、HfSiAlOx、HfSiAlOxNy、ZrSiAlOx、ZrSiAlOxNy、これらの組み合わせ、あるいはこれらの組み合わせとSiO2との組み合わせを含んでいてもよい。しかしゲート絶縁膜116は、上記以外の材料を含んでいてもよい。
【0046】
ゲート絶縁膜116は、一部の実施形態では、SiO2よりも誘電率が高い高誘電率絶縁材料を含んでいることが好ましい。ゲート絶縁材料116は、例えば誘電率が約4.0またはそれ以上の高誘電率材料を含んでいることが好ましい。ゲート絶縁材料116の厚さは、一実施形態では約50オングストロームであることが好ましいが、しかしこれ以外の寸法であってもよい。
【0047】
次に、図3に示されているように、第1の領域117内および第2の領域118内のフィン構造上に、厚さが約d3のゲート電極材料120が形成される。ゲート電極材料120の厚さは、例えば約500オングストローム以下であることが好ましいが、これ以外の寸法であってもよい。
【0048】
ゲート電極材料120は、一実施形態では、厚さに応じて仕事関数を変更できる材料であるTiSiNを含んでいることが好ましい。あるいは、ゲート電極材料120は、例えばTaNまたはTiNを含んでいてもよい。
【0049】
別の実施形態では、ゲート電極材料120は、例えばTiSiN、TiN、TaN、Ta、Ru、HfN、W、Al、Ru、RuTa、TaSiN、NiSix、CoSix、TiSix、Ir、Y、Pt、Ti、PtTi、Pd、Re、Rh、ホウ化物、リン化物、あるいはTi、Hf、Zr、TiAlN、Mo、MoN、ZrSiN、ZrN、HfN、HfSiN、WN、Ni、Pr、VN、TiWのアンチモン化合物、これらが部分的にケイ化された材料、これらが完全にケイ化された材料、および/または、これらの組み合わせを含んでいることが好ましい。
【0050】
しかし、ゲート電極材料120は、上記以外の材料を含んでいてもよい。ゲート電極材料120は、例えば材料の厚さを変えることによって仕事関数が変更可能な材料を含んでいることが好ましい。
【0051】
ゲート電極材料120は、例えば化学気相堆積(chemical vapor deposition; CVD)、原子層堆積(atomic layer deposition; ALD)、有機金属化学気相堆積(metal organic chemical vapor deposition; MOCVD)、物理的気相成長法(physical vapor deposition; PVD)、あるいはジェット気相堆積(jet vapor deposition; JVD)によって堆積させ得る。しかしゲート電極材料120は、上記以外の適切な堆積法を用いて堆積させてもよい。
【0052】
ゲート電極材料120は、半導体材料108のフィンの第1の側面上の第1のゲート電極と、第1の側面に対向する半導体材料108のフィンの側面上の第2のゲート電極とを有している。従って、半導体材料108の各フィン上に、デュアルゲート電極構造を有するFinFETが形成される。ここでも再び、例えば基材102の第1の領域117内にPMOSデバイスを形成するか、あるいは第2の領域118内にNMOSデバイスを形成するために、複数のフィン108を平行に配置させてもよい。
【0053】
ゲート電極材料120は、TiSiNを含んでいる場合は、例えば、用いる原料およびガスとしてTDEATを0.11g/min、SiH4を約100立方センチメートル/min(standard cubic centimeters per minute; s.c.c.m.)、NH3を約5、800s.c.c.m、そして温度約340℃、圧力約60TorrにてCVDを行うことによって形成されることが好ましい。しかし、上記以外の方法およびプロセスパラメータを用いてゲート電極材料120を形成してもよい。
【0054】
次に、図4に示されているように、基材102の第1の領域117がマスク122によって覆われる。マスク122は、例えば基材102の表面全体に堆積され、リソグラフィによって第2の領域118から除去されて、第2の領域118内のゲート電極材料120が暴露される。マスク122は、例えばフォトレジスト層、および/またはハードマスクを含んでいてもよい。マスク122は、一実施形態では、例えばSixNyなどの窒化物材料を含んでいることが好ましいが、これ以外の材料を用いてもよい。
【0055】
図4に示すように、マスク122は、基材102の第2の領域118からゲート電極材料120の少なくとも最上部が除去される間に、マスクとして用いられる。ゲート電極材料120の最上部を除去するプロセスは、例えば時限エッチングプロセス(timed etch process)、および/またはウェットエッチングプロセスなどのエッチングプロセスを含んでいてもよいが、これ以外のエッチングプロセスを用いてもよい。
【0056】
エッチングプロセスは、例えば反応性イオンエッチング(reactive ion etch; RIE)などの等方性ドライエッチング、ウェットエッチング、または逆ALDプロセス(reverse ALD process)などの原子層エッチングを含んでいてもよい。マスク122は、例えばエッチングプロセス中に、第1の領域117内のゲート材料120が除去されないように保護する。
【0057】
第2の領域118内のゲート電極材料120の厚さは、例えば、ゲート電極材料120の最上部を除去するためのエッチングプロセス後には、約100オングストロームまたはそれ未満のd4であることが好ましい。例えば、PMOSデバイスのための第1の領域117内のゲート電極材料120の厚さd3は、NMOSデバイスのための第2の領域118内のゲート電極材料120の厚さd4よりも大きいことが好ましい。
【0058】
ゲート電極材料120の厚さd3およびd4は、本発明の実施形態に従って、例えば第1の領域117内および第2の領域118内のゲート電極材料120の所望の仕事関数に従って選択されることが好ましい。
【0059】
ハードマスク122は、窒化ケイ素を含んでいる場合は、熱リン酸を用いて除去されるが、他の化学物質を用いてもよい。図5に示されるように、ゲート電極材料120上に半導体材料124の任意の層が形成されてもよい。半導体材料124の層は、例えば厚さが約2、000オングストロームまたはそれ未満のポリシリコンを含んでいてもよいが、他の寸法の他の材料を含んでいてもよい。半導体材料124は、例えば基材102の第1の領域117および第2の領域118のゲート電極の一部を含んでいる。
【0060】
一実施形態では、図示されていないが、エッチングプロセスにおいて全てのゲート電極材料120が、第2の領域118から除去される。この実施形態では、第2の領域118およびハードマスク122上に、ゲート電極材料の別の層が堆積されることが好ましい。あるいは、ゲート電極材料の追加的な層が堆積される前にハードマスク122が除去されて、基材の第2の領域118上のゲート電極材料を再堆積させてもよい。ゲート電極材料の上記追加的な層は、例えばゲート電極材料120のための好ましい材料として列記した材料と同じ材料を含んでいることが好ましい。
【0061】
半導体デバイス100の製造プロセスを継続する。例えば、ゲート電極材料120の一部が除去されて、CMOS FinFET用のゲート電極が形成される。例えば、ゲート電極材料120および任意の半導体材料124が、第1の領域117および第2の領域118に対して同時にパターン形成されて、第1の領域117および第2の領域118内にそれぞれ、PMOSおよびNMOS複数ゲートトランジスタのゲート電極が形成される。ゲート電極上に追加的な絶縁材料層が形成されてもよい。図13および図14に示すように、例えばFinFETのソース、ドレイン、およびゲート電極にコンタクトが形成される(これについては、本明細書においてさらに説明する)。
【0062】
有利なことに、第1の領域117内の複数ゲートPMOSデバイスのゲート電極120が、第2の領域118内の複数ゲートNMOSデバイスのゲート電極120よりも厚い、CMOS FinFETデバイスが形成される。複数ゲートPMOSデバイスのゲート電極120の厚さは、複数ゲートNMOSデバイスのゲート電極120の厚さよりも、例えば50オングストロームまたはそれ以上厚いことが好ましい。
【0063】
図6および図7は、本発明の一実施形態に従って、ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートトランジスタを備えたCMOSデバイスの別の製造方法を示す断面図である。図6および図7では、図1〜図5において用いられた数字と同様の数字が用いられており、またこれまで説明してきた実施形態と同様の材料および厚さが用いられることが好ましい。
【0064】
この実施形態では、図6に示されているように、フィン構造208上(例えば、フィン構造208上に配置されたゲート絶縁膜216上、およびハードマスク210/212/214上)に、厚さd5を有する第1のゲート材料220aが形成される。例えば、フォトレジスト層またはハードマスクを有するマスク230が、半導体デバイス200の第2の領域218に形成される。
【0065】
第1の領域217内の第1のゲート材料220a上、および第2の領域218内のマスク230上に、厚さd6を有する第2のゲート材料220bが形成される。図7に示されているように、マスク230の除去時に、第2のゲート材料220bは第2の領域218からリフトオフ法によって除去される。
【0066】
従って、図1〜図5に示されている実施形態のように、第1の領域217内のゲート電極220a/220bの厚さd5+d6は、図示されているように、第2の領域218内のゲート電極220aの厚さd5よりも大きい。ここでもまた、図7に示されているように、第1の領域217内のゲート電極材料220a/220b上、および第2の領域218内のゲート電極材料20a上に、半導体材料224の層が形成される。
【0067】
図8は、本発明の実施形態に従って、数種類のゲート絶縁材からなる様々な厚さのTiSiNゲート電極の仕事関数を示すグラフである。232は、ゲート絶縁膜SiO2を有する様々な厚さのTiSiNゲート電極材料116/216を示している。234は、ゲート絶縁膜HfOxを有するTiSiNゲート電極材料116/216を示している。
【0068】
236は、ゲート絶縁膜HfSiOxを有するTiSiNゲート電極材料116/216を示している。y軸に示されている仕事関数は、x軸にオングストロームで示されているTiSiNゲート電極材料116/216の厚さに応じて変化する。
【0069】
図9は、非ドープチャネル、およびゲート材料としてポリシリコンを有するPMOSおよびNMOS FinFETの、2つの異なるドレイン/ソース間電圧(drain to source voltage; VDS)に対する変換特性であって、本発明の実施形態がこの変換特性に対して及ぼし得る影響を示す図である。
【0070】
y軸には、x軸のゲート/ソース間電圧(gate to source voltage; VGS)に応じたドレイン電流IDが示されている。238の曲線は、非ドープチャネル、およびゲート材料としてポリシリコンを有するPMOS FinFETの変換特性を示している(例えば、従来のプレーナPMOS短チャネルデバイスは、238と同様の曲線を示す)。
【0071】
240の曲線は、非ドープチャネル、およびゲート材料としてポリシリコンを有するNMOS FinFETの変換特性を示している(例えば、従来のプレーナNMOS短チャネルデバイスは、240と同様の曲線を示す)。従来技術によるCMOSデバイスの場合は、2セットの曲線238および240は、VGSが0、ドレイン電流IDが約1.00E−05〜1.00E−06(領域242を参照)の部分において交差している。
【0072】
本発明の実施形態によると、ゲート電極材料の厚さによって仕事関数が調節されるため、244に示されているように、変換特性曲線がID約1.00E−12〜1.00E−10において交差するように調整することができる。例えば、一部のCMOSデバイスにおいては、オフ電流が1.00E−5のトランジスタよりもオフ電流が1.00E−11のトランジスタが好ましい。
【0073】
なぜなら、これによって電子回路(例えばCMOSトランジスタが内蔵されていて、別のトランジスタおよび回路素子をさらに備え得る電子回路)全体の消費電力を大幅に低減できるからである。消費電力が低減され、そして例えば、トランジスタが携帯電話、PDA(personal digital assistant)、またはラップトップコンピュータなどのモバイルアプリケーションに用いられる場合、そのモバイルアプリケーションは、待機モードでバッテリーを充電することなく長時間動作できるため有利である。
【0074】
本発明の実施形態に従って、ゲート電極材料、およびPMOSならびにNMOSトランジスタの仕事関数を調整するために、ゲート電極材料の他のパラメータを変えてもよい。これについては、本明細書においてさらに詳しく説明する。
【0075】
Lin, R.らによる「An Adjustable Work Function Technology Using Mo Gate for CMOS Devices」、IEEE Electron Device Letters, January 2002, pp. 49-51, Vol. 23, No. 1, IEEEでは、Moをわずかに含むゲート電極の仕事関数をシフトするために、MoにNが注入される。この文献は、本明細書に参照として援用される。
【0076】
しかし、高エネルギー(29keV)および高用量(5E15cm−2)による窒素注入に基づいて、比較的厚いMo膜(650A)の仕事関数をシフトさせることは、FinFETまたは薄いフィンを有するトリゲートデバイスに対しては不十分である。なぜなら、一般的に低エネルギーおよび低用量で形成されるソースおよびドレイン領域が、窒素注入によって劣化するからである。
【0077】
次に図10を参照すると、本発明の実施形態では、CMOS FinFETデバイスの少なくとも1つのトランジスタの金属ゲート電極320にドーパント種352/354を注入して、金属ゲート電極320/360の仕事関数を調整することによって、技術的優位性を達成している。
【0078】
図10は、ゲート電極材料320へドーパント種352/354を注入することによって、第2の領域318内のNMOS FinFETトランジスタの仕事関数が調節された、本発明の一実施形態の断面図を示している。図10では、これまでの図において用いられた数字と同様の数字が用いられている。
【0079】
ゲート電極材料320/360およびドーパント種352/354は、例えば一部の実施形態においては、仕事関数が少なくとも200mVシフトするように選択されることが好ましいが、得られる仕事関数のシフトは上記以外であってもよい。
【0080】
さらに、別の実施形態では、ゲート注入に用いられるドーパントまたは複数のドーパントは、複数ゲートデバイスのソースおよびドレイン領域(図10には示されていないため、図14のソース領域308bおよびドレイン領域308cを参照)を形成するために用いられるドーパントと同一のドーパントを含んでいる。ゲートドーパント注入プロセスは、ソース領域308bおよびドレイン領域308cを形成するために用いられる注入プロセスと同様の低エネルギーおよび低用量にて行われることが好ましい。
【0081】
これにより、例えばソース領域308b/ドレイン領域308c注入プロセスが、ゲート注入によって過補償されることはない。
【0082】
再び図10を参照すると、一実施形態では、ゲート電極材料320はTiSiNを含んでいることが好ましく、またトランジスタの少なくとも1つ(例えば、第2の領域318内のNMOSトランジスタ)に、Siを含有したドーパント種352/354が注入される。
【0083】
別の実施形態では、ゲート電極320の材料は、TiSiN、TiN、TaN、Ta、Ru、Mo、HfN、W、Al、Ru、RuTa、TaSiN、NiSix、CoSix、TiSix、Ir、Y、Pt、Ti、PtTi、Pd、Re、Rh、ホウ化物、リン化物、またはTi、Hf、Zr、TiAlN、Mo、MoN、ZrSiN、ZrN、HfN、HfSiN、WN、Ni、Pr、VN、TiWのアンチモン化合物、部分シリサイド化ゲート材料、完全シリサイド化ゲート材料(fully silicided gate material; FUSI)、別の金属、および/またはこれらの組み合わせを含んでいることが好ましい。
【0084】
ゲート電極材料320の少なくとも1つへ注入されたドーパント種352/354は、Si、B、As、P、C、Ge、またはSb、あるいはこれらの組み合わせを含んでいることが好ましい。
【0085】
一部の実施形態では、ドーパント種352/354は、窒素(N)以外の材料を含んでいることが好ましい。なぜなら、N注入は一般的に過度に強力であり、ソースおよびドレイン領域(図4の領域308bおよび308cを参照)に悪影響を及ぼす可能性があるからである。ドーパント種352/354を注入するための注入プロセスは、例えばその注入量およびパワーレベルにおいて、例えばソース領域308bおよびドレイン領域308cを形成するための注入プロセスよりも弱い、あるいは強くないことが好ましい。
【0086】
これによって、ソース領域308bおよびドレイン領域308cの注入プロセスが過補償されることはない。一部の実施形態では、例えば、ソース領域308bおよびドレイン領域308cを形成するために用いるドーパント種と同様のドーパント種をゲート電極材料320へ注入してもよい。
【0087】
再び図10を参照すると、第1の領域317と第2の領域318との上にゲート電極材料320が堆積された後に、第1の領域317上にマスク350が形成される。マスク350は、例えば第1の領域317上および第2の領域318上に形成され、そして第2の領域318上から除去される。マスク350は、例えばフォトレジスト層、または絶縁体を含むハードマスクを有していてもよい。
【0088】
図示されているように、第2の領域318内のゲート電極にドーパント種352が注入される。マスク350は、注入プロセス中において、第1の領域317内のゲート電極材料320を保護する。ゲート電極材料360は、第2の領域318内において修正され、またゲート電極材料320全体において、段階的な濃度のドーパント種352を含み得る。例えば、ゲート電極材料360におけるドーパント種352の濃度が、埋め込み絶縁層306に隣接した底面あるいはフィン308の側壁面よりも、最上面において高くなるようにしてもよい。
【0089】
一部の実施形態では、第1の領域317内および第2の領域318内のゲート電極材料320に、第1のレベルのドーパントが注入される。次いで、例えば、第1の領域317がマスクされ、そして第2の領域318内のゲート電極材料320に追加量のドーパントが注入されて、第1の領域317内のドーパントの第1のレベルとは異なる第2の領域318内のドーパントの第2のレベルが設定される。
【0090】
一実施形態では、354に示されているように、基材302方向の角度に注入プロセスが向けられることが好ましい。この角度は、例えば基材302の最上面(0度)に対して約30〜60度であることが好ましいが、他の角度であってもよい。例えば、フィン308のアスペクト比は比較的高くてもよく、また注入プロセス354方向の角度付けによって、フィン308の側壁に沿ったゲート電極材料320内へのドーパント種354の注入が補助される。
【0091】
一部の実施形態では、基材302が複数回回転され、そして一定の角度に向けられた注入プロセス354が繰り返されて、フィン308上のゲート電極材料360の各側への注入が行われる。例えば、基材302へ1度目の注入が行われ、そして基材302が90度回転される。基材302へ2度目の注入が行われ、そして基材302が再び90度回転される。一部の実施形態では、基材は、ゲート電極材料360の全ての側壁へ注入を行うために、注入および回転されることが好ましい。これには、例えば4つの注入プロセスおよび3つの回転が含まれる。
【0092】
別の実施形態では、例えば、ゲート電極材料360の少なくとも1つの側面では、フィン308の1方の側壁に沿って、フィン308の他方の側壁よりも高濃度のドーパントが注入されることが好ましい。これらの実施形態では、基材302は全く回転されず、ドーパント注入工程は1工程のみであり得る。あるいは、例えば第2のドーパント注入プロセスが行われる前に、基材302が一度のみ回転されるようにしてもよい。例えば、ドーパント種がフィン構造の第1の側壁へ注入されるが、フィン構造の第2の側壁へは注入されないようにしてもよい。
【0093】
次に、ドーパント種を注入して仕事関数を調整した実験結果について説明する。TiSiNを含み、厚さが250オングストロームであり、最初のSi濃度が約25〜30%であるゲート電極材料が堆積された。表1は、6つの異なるタイプのデバイスに対する、仕事関数がミッドギャップレベル(4.65eV)周辺において対称的なCMOS FinFETプロセスの実施例を示している:
【0094】
【表1】
【0095】
注入量を変えることによって仕事関数に最大の影響を及ぼした最も成果の高い結果は、例えばSiO2絶縁膜からなるゲート絶縁膜を有するPMOSおよびNMOSデバイスであった。
【0096】
図11は、本発明の一実施形態に従って、様々なレベルでシリコンがドーピングされ、また様々なゲート絶縁材料を有した、様々なタイプのトランジスタデバイスに対するTiSiNの仕事関数を示したグラフである。表2は、図11に示されているグラフの材料および素子数を示している:
【0097】
【表2】
【0098】
図12は、トリゲートトランジスタデバイスにおいて実施した本発明の一実施形態の断面図を示している。この実施形態では、SOI基板402の半導体材料408の第2の層の最上面においてハードマスクは用いられない。あるいは、ハードマスクは、フィン構造408を形成するために半導体材料408の第2の層がパターン形成された後に除去される。
【0099】
この実施形態では、各トランジスタは、フィン構造408上に第1のゲート電極を3つ有している。第1のゲート電極は、フィン構造408の第1の側壁に配置されていて、第2のゲート電極は、フィン構造408の第2の側壁に配置されている。
【0100】
この第2の側壁は、同一のフィン構造408の第1の側壁に対向している。第3のゲート電極は、各フィン構造408の最上面に配置されている。例えば、フィン構造408は、第1の領域417および第2の領域418内のトランジスタのチャネルとして機能する。例えば、図1〜図5、および図6ならびに図7を参照しながら説明したように、ゲート電極の厚さを用いてゲート電極420の仕事関数を調整することができる。
【0101】
あるいは、第1の領域417、第2の領域418、あるいは第1の領域417と第2の領域418との両方へ異なるドーピングレベルのドーパント種を注入することによって、ゲート電極420の仕事関数を調整することができる。
【0102】
図13に示されているように、半導体デバイスのプロセスを継続する。図13は、本発明の実施形態に従って複数ゲートFinFETデバイスを有した半導体デバイス300を示す図であって、上部金属層および絶縁層がFinFETデバイス上に形成された後の状態を示している。図14は、図13に示されているFinFETデバイスのフィン構造を、図13に対して垂直に示した図である。
【0103】
フィン構造308の一部にドーパントが注入されて、図14に示されているようにソース領域308bおよびドレイン領域308cが形成される。ソース領域308bとドレイン領域308cとの間に配置されたチャネル308aは、例えば図14にも示されている。ソース領域308bおよびドレイン領域308cを形成するための注入工程は、例えば一部の実施形態では、本明細書に記載の製造プロセス工程の前に行ってもよい。
【0104】
図14にも示されているように、ゲート電極324/320およびハードマスク310/312/314の側壁に、例えば酸化物、窒化物、またはこれらの組み合わせなどの絶縁材料からなるスペーサ394が形成される。CMOS FinFETまたはトリゲートトランジスタ上に、例えば絶縁層384および390などの絶縁層および導電層が形成される。
【0105】
コンタクト386a(図13)は、複数ゲートデバイスのゲートに電気的接触を与える。例えば、半導体材料324上に形成されたケイ化物材料との接触を形成する。同様に、コンタクト386b(図14)は、ソース308b上に形成されたケイ化物382を介して、ソース308bに電気的接触を与える。そしてコンタクト386cは、ドレイン308c上に形成されたケイ化物382を介して、ドレイン308cに電気的接触を与える。
【0106】
コンタクト386a、386b、386cへ電気的接触を与える導電線388a、388b、388cなどの絶縁材料およびコンタクトの最上面に、さらなる金属層および絶縁層を形成およびパターン形成してもよい。コンタクト上にボンドパッド(図示せず)が形成され、そして複数の半導体デバイス300が個別または別々にされて、個々のダイとなる。ボンドパッドは、例えば集積回路パッケージ(図示せず)のリード(lead)に接続されて、半導体デバイス300の複数ゲートトランジスタに電気的接触を与える。
【0107】
複数ゲートトランジスタは、一実施形態では、第1の領域317にPMOSトランジスタを有し、そして第2の領域318にNMOSトランジスタを有していることが好ましい。本発明の実施形態によると、ゲート電極材料320は、NMOSトランジスタにおける厚さよりもPMOSトランジスタにおける厚さの方が大きいことが好ましく、またPMOSトランジスタにおけるドーパント濃度よりもNMOSトランジスタにおけるドーパント濃度の方が高いことが好ましい。
【0108】
ゲート電極材料320の厚さ、またはゲート電極材料320のドーパントレベルによって、一実施形態では、PMOSトランジスタのゲート材料の仕事関数が約4.85eVになり、また一実施形態では、NMOSトランジスタのゲート材料の仕事関数が約4.45eVになる。
【0109】
別の実施形態では、例えばPMOSトランジスタのゲート電極の仕事関数は、約4.5〜4.9eVであることが好ましく、またNMOSトランジスタのゲート電極の仕事関数は、約4.2〜4.6eVであることが好ましい。一実施形態では、トランジスタ120および122は、例えばそれぞれ約+0.3および−0.3Vなどの、ほぼ対称的な閾値電圧を有していることが好ましい。しかしこの閾値電圧は、例えば対称的なVt値が約+/−0.1V〜約15Vなど、他の電圧レベルであってもよい。
【0110】
本発明の実施形態は、いくつかの異なる複数ゲートトランジスタデバイスのアプリケーションにおいて技術的優位性を達成する。例えば、本発明の実施形態は、NMOS高性能(HP)デバイス、NMOS低動作電力(LOP)デバイス、NMOS低待機電力(LSTP)デバイス、PMOS高性能デバイス、PMOS低動作電力デバイス、およびPMOS低待機電力デバイスにおいて実施可能である。
【0111】
これらのHPデバイス、LOPデバイス、およびLSTPデバイスのパラメータは、2002版のInternational Technology Roadmap for Semiconductors (ITRS)において規定されている。上記文献は本明細書に参照として引用される。本発明の一部の実施形態によると、1つのタイプ(例えばNMOSまたはPMOS)の全てのデバイスは、注入ドーピングレベルが同一であって、デバイスのタイプ(例えばHP、LOP、またはLSTP)に応じて異なる厚さのゲート電極を有していることが好ましい。例えば、さらなる注入プロセスを任意で行ってもよいが、必要ではない。
【0112】
図15〜図17は、デバイスタイプ(例えば低待機電力、低動作電力、または高性能)に基づいて、所望の変換特性を得るために注入量を変えた場合の図を示している。例えば図15は、本発明の一実施形態に従って、厚さが約100オングストロームのTiSiNゲート材料を有し、かつ低待機電力デバイスに対して最適化された量のSiがNMOSゲートに注入された、低待機電力のCMOSトリゲートデバイスの変換特性を測定した図である。
【0113】
このグラフは、2つの異なるドレイン/ソース間電圧(VDS)に対する、非ドープチャネル、およびゲート材料としてポリシリコンを有するPMOSおよびNMOSトリゲートデバイスに対して計算されたものである。538aの曲線は、PMOSトランジスタに対するドレイン電圧(Vd)が1.2Vの場合のゲート/ソース電圧レベル(VGS)に対するドレイン電流を示し、538bの曲線は、PMOSトランジスタに対するVdが0.05Vの場合のID vs.VGSを示している。
【0114】
540aの曲線は、NMOSトランジスタに対するVdが1.2Vの場合のIDvs.VGSを示し、540bの曲線は、NMOSトランジスタに対するVdが0.05Vの場合のID vs.VGSを示している。例えば、曲線538aおよび540a、ならびに538bおよび540bは、VGSが0、そして領域544におけるドレイン電流IDが約1.00E−11の部分で交差している。
【0115】
図16は、PMOSデバイス用のTiSiNゲート材料の厚さが約200オングストロームであり、NMOSデバイス用のゲート材料の厚さが約75オングストロームである高性能CMOSトリゲートデバイスの推定変換特性を示している。NMOSデバイスのゲート材料に、高性能デバイスに対して最適化された濃度のSiが注入される。638aの曲線は、PMOSトランジスタに対するVdが1.2Vの場合のID vs.VGSを示し、638bの曲線は、PMOSトランジスタに対するVdが0.005Vの場合のID vs.VGSを示している。640aの曲線は、NMOSトランジスタに対するVdが1.2Vの場合のID vs.VGSを示し、640bの曲線は、NMOSトランジスタに対するVdが0.005Vの場合のID vs.VGSを示している。例えば、曲線638aおよび640a、ならびに638bおよび640bは、VGSが0、そして領域644におけるドレイン電流IDが約1.00E−8〜1.00E−9の部分で交差している。
【0116】
図17は、PMOSデバイス用のTiSiNゲート材料の厚さが約200オングストロームであり、NMOSデバイス用のTiSiNゲート材料の厚さが約75オングストロームである低動作電力CMOSトリゲートデバイスの推定変換特性を示している。NMOSデバイスのゲート材料に、低動作電力デバイスに対して最適化された濃度のSiが注入される。738aの曲線は、PMOSトランジスタに対するVdが1.2Vの場合のID vs.VGSを示し、738bの曲線は、PMOSトランジスタに対するVdが0.05Vの場合のID vs.VGSを示している。
【0117】
740aの曲線は、NMOSトランジスタに対するVdが1.2Vの場合のID vs.VGSを示し、740bの曲線は、NMOSトランジスタに対するVdが0.05Vの場合のID vs.VGSを示している。例えば、曲線738aおよび740a、ならびに738bおよび740bは、VGSが0、そして領域744におけるドレイン電流IDが約1.00E−10の部分で交差している。
【0118】
このように、図15〜図17に示し、かつ本明細書において説明したように、本発明の実施形態に従って、PMOSおよびNMOSトランジスタに対して複数ゲートCMOSデバイスのゲート材料のドーピング注入レベルおよびゲート材料の厚さを調節して、CMOSデバイスの変換特性および所望の性能を得ることができる。
【0119】
本発明の実施形態に従って、金属を含有したPMOSおよびNMOSデバイスを有したCMOS複数ゲートデバイスを備えた新規の半導体デバイスが形成される。本発明の好ましい実施形態は、半導体デバイス100、200、300、400、およびその構造を製造するための方法を提供することを利点の一つとする。第1の領域117、217、317、417、および第2の領域118、218、318、418にそれぞれ形成された複数ゲートPMOSおよびNMOSトランジスタは、ほぼ対称的なVtを有していることが好ましい。例えば、Vtpは約−0.3Vであり、Vtnはそのほぼ同じ正の値(例えば+0.3V)であってよい。
【0120】
例えば金属ゲート層の厚さ、および/またはドーパント注入レベルによって、複数ゲートPMOSおよびNMOSデバイスのゲート電極材料の仕事関数が規定される。本発明の実施形態によると、PMOSおよびNMOSトランジスタのゲート材料の厚さか、ゲート材料のドーパント注入レベルかのいずれか、あるいはこれら両方を用いて、PMOSおよびNMOSトランジスタの仕事関数を調節することができる。
【0121】
本発明の実施形態およびその利点について詳しく説明してきたが、特許請求の範囲によって規定された本発明の精神および範囲を逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換、および修正を加えることができることについて理解されたい。例えば、本明細書に記載されている多くの特徴、機能、プロセス、および材料は、本発明の範囲内において変更可能であることは、当業者であれば容易に理解できるであろう。
【0122】
さらに、本発明の応用範囲は、本明細書に記載のプロセス、機器、製造、組成物、手段、方法、および工程の具体的実施形態に限定されるものではない。当業者であれば本発明の開示内容から容易に理解できるように、本明細書に記載されている実施形態とほぼ同一の機能を行う、あるいはほぼ同様の結果をもたらす既存または後発のプロセス、機器、製造、組成物、手段、方法、および工程は、本発明に従って利用することができる。従って、このようなプロセス、機器、製造、組成物、手段、方法、または工程は、特許請求の範囲内に包含される。
【0123】
〔図面の簡単な説明〕
本発明および本発明の利点をより完全に理解するために、添付図面と共に以下の説明を参照する。添付図面は次の通りである。
【0124】
図1〜図5は、本発明の好ましい実施形態に従った様々な製造段階における半導体デバイスの断面図であって、CMOSデバイスは、ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを有している。
【0125】
図6および図7は、ゲート材料の厚さが異なる複数ゲートトランジスタを備えたCMOSデバイスの、本発明の一実施形態に従った別の製造方法を示す断面図である。
【0126】
図8は、本発明の実施形態に従った様々な仕事関数およびゲート絶縁膜材料の厚さを示すグラフである。
【0127】
図9は、非ドープチャネル、およびゲート材料としてポリシリコンを有するPMOSおよびNMOS FinFETの変換特性(transfer characteristic)であって、FinFET CMOSデバイスの変換特性に対して本発明の実施形態が及ぼす影響を示す図である。
【0128】
図10は、ゲート材料にドーパント種を注入することによってNMOSトランジスタの仕事関数が調節された、本発明の別の実施形態の断面図である。
【0129】
図11は、本発明の一実施形態に従って、シリコンの様々なドーピングレベル、および様々なゲート絶縁膜材料を用いた場合における、様々な種類のトランジスタデバイスに対するTiSiNの仕事関数を示すグラフである。
【0130】
図12は、トリゲートトランジスタデバイスとして実施された本発明の一実施形態の断面図である。
【0131】
図13は、上部金属層および絶縁層がFinFETデバイス上に形成された後の状態を示す、本発明の実施形態によるFinFETデバイスを示す図である。
【0132】
図14は、図13に示されているFinFETデバイスのフィン構造を、図13に示されている図に対して垂直な方向から見た場合の図である。
【0133】
図15は、本発明の一実施形態に従って、NMOSゲートにSiが注入されたTiSiNゲートを備えた、低待機電力(LSTP)のCMOSトリゲートデバイスの変換特性を測定した図である。
【0134】
図16は、本発明の一実施形態に従って、NMOSゲートにSiが注入されたTiSiNゲートを備えた、高性能(HP)のCMOSトリゲートデバイスの推定変換特性を示す図である。
【0135】
図17は、本発明の一実施形態に従って、NMOSゲートにSiが注入されたTiSiNゲートを備えた、低動作電力(LOP)のCMOSトリゲートデバイスの推定変換特性を示す図である。
【0136】
それぞれに図において対応している数字および符号は、特に記載がない限り同じ部品を表している。これらの図は、好ましい実施形態に関連した形態を分かりやすく示したものであって、サイズを縮小するために描かれたものでは必ずしもない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスであって、
第1のドーパントレベルを有する少なくとも2つの第1のゲート電極を備えた第1のトランジスタと、
上記第1のトランジスタに隣接していると共に、上記第1のドーパントレベルとは異なる第2のドーパントレベルを有する少なくとも2つの第2のゲート電極を備えている第2のトランジスタと、を有しており、
上記第1のドーパントレベルが、上記少なくとも2つの第1のゲート電極の第1の仕事関数を規定し、
上記第2のドーパントレベルが、上記少なくとも2つの第2のゲート電極の第2の仕事関数を規定し、
上記第2の仕事関数は、上記第1の仕事関数とは異なっている、半導体デバイス。
【請求項2】
上記第1のトランジスタが、PMOSトランジスタを備え、
上記第2のトランジスタが、NMOSトランジスタを備え、
上記第2のドーパントレベルが、上記第1のドーパントレベルよりも大きい、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
上記第1のトランジスタが、PMOSトランジスタを備え、
上記第2のトランジスタが、NMOSトランジスタを備え、
上記第1のドーパントレベルが、ドーパント種の注入を含んでいない、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
上記少なくとも2つの第1のゲート電極、および上記少なくとも2つの第2のゲート電極が、TiSiN、TiN、TaN、Ta、Ru、HfN、W、Al、Ru、RuTa、TaSiN、NiSix、CoSix、TiSix、Ir、Y、Pt、Ti、PtTi、Pd、Re、Rh、ホウ化物、リン化物、あるいはTi、Hf、Zr、TiAlN、Mo、MoN、ZrSiN、ZrN、HfN、HfSiN、WN、Ni、Pr、VN、TiWのアンチモン化合物、これらが部分的にケイ化された材料、これらが完全にケイ化された材料、および/または、これらの組み合わせを含んでいる、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
少なくとも上記第2のドーパントレベルのドーパント種が、N以外の金属を含んでいる、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
少なくとも上記第2のドーパントレベルのドーパント種が、Si、B、As、P、C、Ge、Sb、あるいはこれらの組み合わせを含んでいる、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
上記第1のトランジスタが、少なくとも1つの第1のフィン構造を有し、
上記少なくとも2つの第1のゲート電極が、上記少なくとも1つの第1のフィン構造の第1の側壁上と、上記少なくとも1つの第1のフィン構造の上記第1の側壁に対向する、上記少なくとも1つの第1のフィン構造の第2の側壁上と、に配置されており、
上記少なくとも1つの第1のフィン構造が、上記第1のトランジスタのチャネルを有し、
上記第2のトランジスタが、少なくとも1つの第2のフィン構造を有し、
上記少なくとも2つの第2のゲート電極が、上記少なくとも1つの第2のフィン構造の第1の側壁上と、該第1の側壁に対向する、上記少なくとも1つの第2のフィン構造の第2の側壁上と、に配置されており、
上記少なくとも1つの第2のフィン構造が、上記第2のトランジスタのチャネルを有している、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
上記第2のトランジスタのドーパントプロファイルが、上記少なくとも1つの第2のフィン構造の上記第2の側壁上の上記第2のゲート電極のドーパントプロファイルと、上記少なくとも1つの第2のフィン構造の上記第1の側壁上の上記第2のゲート電極において異なる、請求項7に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
上記第2のトランジスタのドーパントプロファイルが、上記少なくとも1つの第2のフィン構造の上記第2の側壁上の上記第2のゲート電極のドーパントプロファイルと、上記少なくとも1つの第2のフィン構造の上記第1の側壁上の上記第2のゲート電極において略同じである、請求項7に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
上記第1のドーパントレベルが、ドーパント種を含み、
上記第2のドーパントレベルが、上記ドーパント種を含み、
上記第1のトランジスタが、上記少なくとも1つの第1のフィン構造内に形成された第1のソース領域と第1のドレイン領域とを含み、
上記第2のトランジスタが、上記少なくとも1つの第2のフィン構造内に形成された第2のソース領域と第2のドレイン領域とを含み、
上記第1のソース領域、上記第1のドレイン領域、上記第2のソース領域、および上記第2のドレイン領域が、上記ドーパント種を含んでいる、請求項7に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
第1のパラメータを有する少なくとも2つの第1のゲート電極を備えた第1のトランジスタを形成する工程と、
上記第1のトランジスタに隣接していると共に、上記第1のパラメータとは異なる第2のパラメータを有する少なくとも2つの第2のゲート電極を備えている第2のトランジスタを形成する工程と、を含み、
上記第1のパラメータが第1のドーパントレベルを含み、上記第2のパラメータが第2のドーパントレベルを含んでいる、半導体デバイスの方法。
【請求項12】
上記第1のトランジスタおよび上記第2のトランジスタを形成する工程が、
半導体材料からなる複数のフィン上にゲート材料を形成し、上記第1のトランジスタの上記ゲート材料をマスキングし、そして上記第2のトランジスタの上記ゲート材料へドーパント種を注入する工程を含んでいる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
上記第2のトランジスタの上記ゲート材料内へ上記ドーパント種を注入する工程が、上記ドーパント種を、斜めに注入する工程を含んでいる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上記複数のフィンの各々が、第1の側壁と、該第1の側壁に対向する第2の側壁を有し、
上記第2のトランジスタの上記ゲート材料の上記ドーパント種を注入する工程が、上記複数のフィンの上記第2の側壁上ではなく、上記複数のフィンの上記第1の側壁上へ上記ドーパント種を注入する工程を含んでいる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
上記半導体デバイスを回転させる工程と、上記ドーパント種を斜めに繰り返して注入する工程とをさらに含んでいる、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
上記第2のトランジスタの上記ゲート材料へ上記ドーパント種を注入する工程が、Si、B、As、P、C、Ge、Sb、あるいはこれらの組み合わせを注入する工程を含んでいる、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
上記ゲート材料へ上記ドーパント種を注入する前に、上記複数のフィン内に上記ドーパント種を注入することによって、上記複数の各フィン内にソース領域とドレイン領域とを形成する工程をさらに含んでおり、
上記複数のフィン内への上記ドーパント種の注入が、上記ドーパント種の第1の量および第1のエネルギーレベルを含んでおり、
上記ゲート材料への上記ドーパント種の注入が、上記ドーパント種の第1の量よりも少ない第2の量、および上記第1のエネルギーレベルよりも小さい第2のエネルギーレベルを含んでいる、請求項12に記載の方法。
【請求項1】
半導体デバイスであって、
第1のドーパントレベルを有する少なくとも2つの第1のゲート電極を備えた第1のトランジスタと、
上記第1のトランジスタに隣接していると共に、上記第1のドーパントレベルとは異なる第2のドーパントレベルを有する少なくとも2つの第2のゲート電極を備えている第2のトランジスタと、を有しており、
上記第1のドーパントレベルが、上記少なくとも2つの第1のゲート電極の第1の仕事関数を規定し、
上記第2のドーパントレベルが、上記少なくとも2つの第2のゲート電極の第2の仕事関数を規定し、
上記第2の仕事関数は、上記第1の仕事関数とは異なっている、半導体デバイス。
【請求項2】
上記第1のトランジスタが、PMOSトランジスタを備え、
上記第2のトランジスタが、NMOSトランジスタを備え、
上記第2のドーパントレベルが、上記第1のドーパントレベルよりも大きい、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
上記第1のトランジスタが、PMOSトランジスタを備え、
上記第2のトランジスタが、NMOSトランジスタを備え、
上記第1のドーパントレベルが、ドーパント種の注入を含んでいない、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
上記少なくとも2つの第1のゲート電極、および上記少なくとも2つの第2のゲート電極が、TiSiN、TiN、TaN、Ta、Ru、HfN、W、Al、Ru、RuTa、TaSiN、NiSix、CoSix、TiSix、Ir、Y、Pt、Ti、PtTi、Pd、Re、Rh、ホウ化物、リン化物、あるいはTi、Hf、Zr、TiAlN、Mo、MoN、ZrSiN、ZrN、HfN、HfSiN、WN、Ni、Pr、VN、TiWのアンチモン化合物、これらが部分的にケイ化された材料、これらが完全にケイ化された材料、および/または、これらの組み合わせを含んでいる、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
少なくとも上記第2のドーパントレベルのドーパント種が、N以外の金属を含んでいる、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
少なくとも上記第2のドーパントレベルのドーパント種が、Si、B、As、P、C、Ge、Sb、あるいはこれらの組み合わせを含んでいる、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
上記第1のトランジスタが、少なくとも1つの第1のフィン構造を有し、
上記少なくとも2つの第1のゲート電極が、上記少なくとも1つの第1のフィン構造の第1の側壁上と、上記少なくとも1つの第1のフィン構造の上記第1の側壁に対向する、上記少なくとも1つの第1のフィン構造の第2の側壁上と、に配置されており、
上記少なくとも1つの第1のフィン構造が、上記第1のトランジスタのチャネルを有し、
上記第2のトランジスタが、少なくとも1つの第2のフィン構造を有し、
上記少なくとも2つの第2のゲート電極が、上記少なくとも1つの第2のフィン構造の第1の側壁上と、該第1の側壁に対向する、上記少なくとも1つの第2のフィン構造の第2の側壁上と、に配置されており、
上記少なくとも1つの第2のフィン構造が、上記第2のトランジスタのチャネルを有している、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
上記第2のトランジスタのドーパントプロファイルが、上記少なくとも1つの第2のフィン構造の上記第2の側壁上の上記第2のゲート電極のドーパントプロファイルと、上記少なくとも1つの第2のフィン構造の上記第1の側壁上の上記第2のゲート電極において異なる、請求項7に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
上記第2のトランジスタのドーパントプロファイルが、上記少なくとも1つの第2のフィン構造の上記第2の側壁上の上記第2のゲート電極のドーパントプロファイルと、上記少なくとも1つの第2のフィン構造の上記第1の側壁上の上記第2のゲート電極において略同じである、請求項7に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
上記第1のドーパントレベルが、ドーパント種を含み、
上記第2のドーパントレベルが、上記ドーパント種を含み、
上記第1のトランジスタが、上記少なくとも1つの第1のフィン構造内に形成された第1のソース領域と第1のドレイン領域とを含み、
上記第2のトランジスタが、上記少なくとも1つの第2のフィン構造内に形成された第2のソース領域と第2のドレイン領域とを含み、
上記第1のソース領域、上記第1のドレイン領域、上記第2のソース領域、および上記第2のドレイン領域が、上記ドーパント種を含んでいる、請求項7に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
第1のパラメータを有する少なくとも2つの第1のゲート電極を備えた第1のトランジスタを形成する工程と、
上記第1のトランジスタに隣接していると共に、上記第1のパラメータとは異なる第2のパラメータを有する少なくとも2つの第2のゲート電極を備えている第2のトランジスタを形成する工程と、を含み、
上記第1のパラメータが第1のドーパントレベルを含み、上記第2のパラメータが第2のドーパントレベルを含んでいる、半導体デバイスの方法。
【請求項12】
上記第1のトランジスタおよび上記第2のトランジスタを形成する工程が、
半導体材料からなる複数のフィン上にゲート材料を形成し、上記第1のトランジスタの上記ゲート材料をマスキングし、そして上記第2のトランジスタの上記ゲート材料へドーパント種を注入する工程を含んでいる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
上記第2のトランジスタの上記ゲート材料内へ上記ドーパント種を注入する工程が、上記ドーパント種を、斜めに注入する工程を含んでいる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上記複数のフィンの各々が、第1の側壁と、該第1の側壁に対向する第2の側壁を有し、
上記第2のトランジスタの上記ゲート材料の上記ドーパント種を注入する工程が、上記複数のフィンの上記第2の側壁上ではなく、上記複数のフィンの上記第1の側壁上へ上記ドーパント種を注入する工程を含んでいる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
上記半導体デバイスを回転させる工程と、上記ドーパント種を斜めに繰り返して注入する工程とをさらに含んでいる、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
上記第2のトランジスタの上記ゲート材料へ上記ドーパント種を注入する工程が、Si、B、As、P、C、Ge、Sb、あるいはこれらの組み合わせを注入する工程を含んでいる、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
上記ゲート材料へ上記ドーパント種を注入する前に、上記複数のフィン内に上記ドーパント種を注入することによって、上記複数の各フィン内にソース領域とドレイン領域とを形成する工程をさらに含んでおり、
上記複数のフィン内への上記ドーパント種の注入が、上記ドーパント種の第1の量および第1のエネルギーレベルを含んでおり、
上記ゲート材料への上記ドーパント種の注入が、上記ドーパント種の第1の量よりも少ない第2の量、および上記第1のエネルギーレベルよりも小さい第2のエネルギーレベルを含んでいる、請求項12に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−66433(P2011−66433A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242271(P2010−242271)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【分割の表示】特願2006−267833(P2006−267833)の分割
【原出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (331)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【分割の表示】特願2006−267833(P2006−267833)の分割
【原出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (331)
【Fターム(参考)】
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