説明

半導体処理システムの洗浄方法

マイクロ電子デバイスの製造において使用される半導体処理システムのコンポーネントから残留物を洗浄するための方法および装置。残留物を効果的に除去するために、コンポーネントは、十分な時間の間および十分な条件下において、気相反応物質に接触させられて、残留物を少なくとも部分的に除去する。残留物とコンポーネントを構成する物質とが異なる場合には、気相反応物質は、残留物と選択的に反応し、イオン注入装置のコンポーネントを構成する物質とは最小限だけ反応する。残留物とコンポーネントを構成する物質とが同一である場合には、気相反応物質は、残留物およびコンポーネントパーツの両方と反応し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体処理システムの洗浄に関する。
【0002】
種々の特定の態様において、本発明は、マイクロ電子デバイスの製造において使用されるイオン注入システムの1つまたは複数のコンポーネントの洗浄のための方法および装置に関する。他の態様において、本発明は、マイクロ電子デバイスの製造において使用されるCVDシステム内で使用される1つまたは複数のコンポーネントの洗浄のための方法および装置に関する。
【0003】
一態様において、本発明は、十分な時間の間および十分な条件下において、気相反応物質にシステムおよび/またはコンポーネントを接触させて、コンポーネントから残留物を少なくとも部分的に除去することにより、システムおよびシステム内に含まれるコンポーネントから残留物をイン−サイチュ(in−situ)除去することに関する。残留物とコンポーネントを構成する物質とが異なる場合には、気相反応物質は残留物と選択的に反応し、システムのコンポーネントを構成する物質とは最小限だけ反応する。残留物とコンポーネントを構成する物質とが共通する物質を含む場合には、気相反応物質は残留物およびコンポーネントパーツの両方と反応し得る。
【0004】
種々の特定の実施形態において、本発明は、洗浄試薬が進入ポイントからシステムを通り排出手段を介して出るように連続的に流れてイン−サイチュ洗浄を行う動的洗浄と、洗浄蒸気がシステム内に流入し、次いでシステムが密閉状態に保たれて蒸気が堆積物質と反応するのを可能にし、その後ガス状生成物をシステムからポンプ吸出する静的洗浄と、イオン源内のプラズマをサポートする蒸気としての、例えばXeFなどのキセノンフッ化物の使用とに関する。
【背景技術】
【0005】
(関連出願に関する申告)
この出願は、以下の4つ米国仮特許出願、すなわち2006年4月26日に出願された第60/795,216号、2006年7月20日に出願された第60/832,037号、2006年9月21日に出願された60/826,409号および2007年2月5日に出願された第60/888,311号の利益を主張する。
【0006】
イオン注入は、集積回路の製造において、半導体ウェーハ中に制御された量のドーパント不純物を正確に添加するために使用され、マイクロ電子/半導体製造における重要なプロセスである。このような注入システムでは、イオン源が、所望のドーパント元素ガスをイオン化し、イオンが、イオン源から所望のエネルギーのイオンビームの形態で引き出される。引出しは、適切に形状設定された引出電極間に高電圧を印加することによって達成されるが、この引出電極は、引き出されたビームが通過するための孔を含む。次いで、イオンビームは、半導体ウェーハなどの加工物の表面に向けられて、加工物にドーパント元素を注入する。ビームのイオンは、加工物の表面を貫通して、所望の導電率の領域を形成する。
【0007】
通常、熱電極を使用しアークにより作動されるフリーマン型およびバーナス型、マグネトロンを使用するマイクロ波型、傍熱型陰極源およびRFプラズマ源を含む、いくつかのタイプのイオン源が、市販のイオン注入システムにおいて使用され、通常それらは全て真空内で作動される。イオン源は、ドーパントガス(通常「供給原料ガス」と呼ばれる)を充填された真空チャンバ内に電子を導入することによってイオンを発生する。電子がガス中でドーパント原子および分子と衝突することにより、正および負のドーパントイオンから構成されるイオン化されたプラズマの生成をもたらす。負または正のバイアスを有する引出電極により、正イオンまたは負イオンがそれぞれ平行イオンビームとして孔を通過しイオン源から出ることが可能となり、この平行イオンビームは加工物に向かって加速される。供給原料ガスとしては、BF、B1014、B1822、PH、AsH、PF、AsF、HSe、N、Ar、GeF、SiF、O、H、およびGeHが含まれるがそれらに限定されない。
【0008】
現在、最新技術のデバイスの製造には、約10〜15の注入ステップがある。ウェーハサイズの増大化、限界寸法の縮小、および回路の複雑性の増大により、イオン注入ツールに関して、より優れたプロセス制御、低エネルギーでの高ビーム電流の引出し、および平均故障間隔(MTBF)の短縮化に対する要求がさらに高まりつつある。
【0009】
殆どのメンテナンスを必要とするイオン注入装置ツールのパーツとしては、作動条件に応じて約100から300時間の作動後に整備しなければならないイオン源と、通常は数百時間の作動後に洗浄する必要のある引出電極および高電圧絶縁体とが含まれる。さらに、システムのフィラメントが、作動後に交換を要する可能性がある。
【0010】
理想的な場合においては、全ての供給原料分子がイオン化され引き出されるが、実際には、ある量の供給原料の分解が生じ、これが、イオン源領域上への堆積およびイオン源領域の汚染を引き起こす。例えば、(例えばホスフィンなどの供給原料ガス使用に由来する)リンの残留物は、イオン源領域中の表面上に容易に堆積する。残留物は、イオン源内の低電圧絶縁体上に形成され、電気的短絡を引き起こすおそれがあり、これは、熱電子を生成するために必要なアークを遮断するおそれがある。この現象は、「イオン源グリッチ」として一般的に知られ、これは、イオンビームの不安定性の主要な要因であり、最終的にはイオン源の早期故障を引き起こすことがある。また、残留物は、イオン源絶縁体または引出電極の表面などのイオン注入装置の高電圧コンポーネント上に形成され、強力な高電圧スパークを引き起こす。このようなスパークは、ビームの不安定性のもう1つの要因であり、これらのスパークによって放出されたエネルギーは、センシティブな電子コンポーネントに損傷を与え、装置の故障の増加およびMTBFの低下をもたらすおそれがある。
【0011】
さらに、堆積物は、フィラメントおよび反射電極などのイオン源の要素の上によく生じる。一般的には、このような内部堆積物は、アークチャンバの物質から構成され、タングステンまたはモリブデンから構成されるアークチャンバと組み合わせてフッ化物源供給原料を用いて高プラズマ出力を放出する場合に最もよく見られる。一般的に、ハロゲン化物非含有原料を使用するイオン注入システム用のイオン源の寿命は、約100から300時間であり、GeFなどのいくつかのハロゲン化物含有物質を用いる場合には、イオン源の作動に対する内部堆積物による悪影響のために、イオン源の寿命は10から50時間ほどまでに短くなる可能性がある。
【0012】
また、イオン注入装置内の残留物により引き起こされる作動上の問題に加えて、洗浄のためにコンポーネントを取り外す際の、毒性または腐食性の蒸気の放出による作業員の安全性に関する重大な問題が存在する。安全性に関する問題は、残留物が存在する場合に常に持ち上がるが、イオン源がイオン注入装置の最も頻繁にメンテナンスされるコンポーネントであるため、特にイオン源領域に関わる問題である。しばしば、休止時間を最小限に抑えるために、汚染されたイオン源は室温を大きく上回る温度で注入装置から取り外されるが、このことが蒸気の放出を増加させ、安全性に関する問題を悪化させる。
【0013】
上述の問題に対処する先行技術の方法は、堆積物の形成を回避する試みと、引出電極およびイオン源の上に(すなわち、公開済みの特許文献1、公開済みの特許文献2および公開済みの特許文献3に記載される引出電極の上に)もたらされる堆積物の洗浄とを含む。しかし、イオン注入システムの全要素を洗浄する追加プロセスの必要性が依然として残る。
【0014】
したがって、イオン注入の技術において、独立した洗浄ステーションを用いたエクス−サイチュ(ex−situ)洗浄プロセスを提供し、それによって、グラファイト製電極などの易損性のコンポーネントに損傷を与えるおそれのあるいかなる機械的摩損もない状態で、注入装置から取り外された汚染されたコンポーネントを安全に洗浄することを可能にすることが望ましい。したがって、また、注入システムから取り外した後でおよび最小限の休止時間でコンポーネントを選択的におよび破壊することなく洗浄するために使用することが可能なオフライン洗浄ステーションを提供することが、イオン注入の技術における重要な進歩となる。
【0015】
また、注入の際に注入装置全体にわたって、特にイオン源領域中に堆積する不要な残留物の効果的な選択的な除去のためのイン−サイチュ洗浄プロセスを提供することが、イオン注入の技術における重要な進歩となる。このようなイン−サイチュ洗浄は、作業員の安全を高め、注入装置の安定的で中断のない作動に寄与する。
【0016】
近年、ホウ素イオンを注入する2つの新たな方法が、従来のイオン注入に対する代替方法として開発されている。これらの代替方法は共に、いかなる反応性ハロゲン化物種もない状態でホウ素含有分子を使用する。これは、イオン源領域中にホウ素の著しい堆積を引き起こす場合があり、イン−サイチュ洗浄方法が有益である。注入の第1の代替方法は、プラズマイオン注入(PIII)であり、ジボランガス(B)または三フッ化ホウ素(BF)から構成されるBイオンを含むプラズマの中にウェーハを浸す。第2の代替方法は、デカボラン(B1014)またはオクタデカボラン(B1822)などの分子種から生成される分子イオンの注入である。したがって、プラズマイオン注入および分子イオン注入などの代替注入方法のためのイン−サイチュ洗浄プロセスを提供することが、イオン注入の技術における重要な進歩となる。
【0017】
化学気相成長(CVD)が、デバイスの製造への、低コストで、高スループットのアプローチを提供する。化学気相成長(CVD)は、基板表面上に固体物質の薄層を生成するための一連の化学反応を伴う化学プロセスである。このプロセスは、マイクロ電子デバイスおよびマイクロ電子製品を製造するために広く用いられる。
【0018】
典型的なCVDプロセスでは、基板が、1つまたは複数の比較的揮発性である前駆物質(すなわち、ケイ素(Si)、タングステン(W)、チタン(Ti)またはタンタル(Ta)を含む)にさらされて、金属酸化物錯体またはケイ酸塩を形成する。前駆物質は、基板表面と反応して、この表面上に固体物質の堆積物を生成する。CVDは、基板上に均一なカバレージの堆積物質を形成するのに非常に適している。
【0019】
化学気相成長は、従来の熱CVDプロセスによって実施することができ、これは、所望の膜を生成するために熱に誘起される化学反応(均一のまたは不均一の)が行われる基板表面に反応ガスを供給することを伴う。代替としては、プラズマプロセスが実施され、制御されたプラズマを形成して反応種を分解しおよび/または励起し、所望の膜を生成する。
【0020】
熱CVDプロセスまたはプラズマCVDプロセスのいずれを用いても、堆積物質の薄膜は、CVD堆積チャンバの内部に堆積する。結果として、これらの薄膜堆積物がこのチャンバの寸法を変えることによって薄膜堆積プロセスの再現精度に影響を及ぼす傾向があるため、これらの薄膜堆積物を定期的に除去しなければならない。また、薄膜堆積物は、剥がれ落ち、このチャンバ内で処理されているウェーハを汚染するおそれがある。
【0021】
半導体処理チャンバおよびリアクタの洗浄のために使用される従来の方法としては、ウェットスクラビングおよびイン−サイチュ洗浄が含まれる。
【0022】
このウェット洗浄方法は、処理チャンバの真空シールを破り、チャンバを分解し、チャンバの内側表面を手作業で拭き取る必要を不可避に伴う。しばしば強酸溶液を使用して、チャンバの内側表面上の堆積物を溶解する。洗浄プロセスが完了すると、チャンバを再び組み立て、再びシールしなくてはならない。
【0023】
このアプローチに付随する固有の問題として、洗浄プロセスにおいて使用しなければならない多量の危険な化学薬品が含まれる。さらに、処理システムを手作業で分解し、その後再び組み立てることは、多大な労力および時間がかかり、処理チャンバのコンポーネントへの損耗を増大させるものであり、チャンバ内に残留汚染物質を残す場合がある。
【0024】
イン−サイチュ洗浄プロセスは、プロセスチャンバを分解することなく行われる。典型的には、プラズマがドライエッチングプロセスのために生成されるか、またはガス状の薬剤がプロセスチャンバを通り流されて、堆積した膜を除去する。
【0025】
最近では、三フッ化塩素(ClF)および他のフッ素基および/またはフッ素含有ハロゲン間化合物(すなわち、CF、NF、C、C、SF)を使用する非プラズマまたはドライ洗浄プロセスが、半導体処理チャンバから固体残留物を除去するのに効果的であることが証明されている。ClFおよび他のフッ素基および/またはフッ素含有ハロゲン間化合物は、そのような固体残留物と反応して揮発性の反応生成物を形成するが、この反応生成物は、真空または他のデバイスにより処理チャンバから容易に除去することが可能である。非特許文献1を、また非特許文献2を参照されたい。
【0026】
特許文献4は、BrF、BrF、ClFまたはIFなどのハロゲン間化合物が処理チャンバを通して連続的に流され、同時にチャンバ内の予め定められた圧力を維持するイン−サイチュ洗浄方法を記載している。処理の終了時に、ハロゲン間化合物ガス流が止められる。しかし、かなりの量の危険物質がシステム中を移動する。この方法で使用される大量の物質が、製造コストを上昇させるだけではなく、危険物質の処分に関わる付随的なコストを生じさせることは明白である。
【0027】
同様の問題が、ハロゲン間化合物ガスの連続流を処理チャンバ内に導入して洗浄剤として使用する、特許文献5に開示されるプロセスに存在する。やはり、反応ガス流は継続し続け、膜の除去が完了するまでは止められない。さらに、上記で引用した先行技術におけるものと同様に、この方法は、使用される大量の危険物質と、製造業者および/または環境に対する関連コストとにより、本質的に問題がある。さらに、連続流洗浄プロセスは、非常に低い圧力下で実施され、洗浄効率が、そのような条件の下で低下する。特許文献6を参照されたい。
【0028】
垂直管式などの熱CVDプロセスで使用するタイプを含む、処理チャンバ内に蓄積される堆積物を除去するための他の既知の方法が、NFを使用する。しかし、NFを熱分解し、反応性フッ素イオンを放出するために、非常に高い温度が必要となる。これらの温度に達しないおよび/またはこれらの温度が保たれない場合には、周囲環境に危険なNFが排出される。さらに、フッ素イオンの反応選択性の低さが、石英リアクタの不要なエッチングを招く。さらに、処理チャンバの形状によっては、均一な洗浄が常に予測可能であるわけではなく、または達成されるわけではない。
【0029】
一方、半導体処理装置の洗浄のためにフッ素基またはフッ素含有ハロゲン間化合物を使用することによって、実現性および商品化可能性という実際的な問題に直面することになる。例えば、ClFを含むフッ素基またはフッ素含有ハロゲン間化合物の供給は腐食度が高く、貯蔵容器および分配容器ならびに関連するプロセス配管および構成部品の適合性などの問題によって、相当の注意と、多大な費用のかかる解決策とが必要となる。
【0030】
さらに、ハロゲン間化合物は、人の気道に極度に炎症を引き起こすものである。ClFの蒸気に対する人間の許容量のしきい値は、100ppbで、半数致死濃度(LC50)は1時間で300ppmと低い。したがって、そのような高い毒性流体の不用意な漏出は、人体の健康に対して危険性が高い。さらに、殆どのハロゲン間化合物は、室温では液体であり、液相で輸送され、ガスに対し液体が元来高濃度であることにより、そのような化合物の輸送に関連する多くの危険が高まる。
【0031】
したがって、これらの化合物にさらされる危険を最小限に抑えて洗浄剤を生成し、他の場合において高反応性のフッ素基またはフッ素含有ハロゲン間化合物の輸送および貯蔵に関連する問題を解消するシステムおよび方法を提供することが、当技術における重要な進歩となる。
【0032】
そのため、CVD技術において、エクス−サイチュ洗浄プロセスおよびイン−サイチュ洗浄プロセスと、それらのプロセスで有用な洗浄剤とを提供することが望ましい。
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0272776号
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0272775号
【特許文献3】国際特許出願第WO2005/059942 A2号
【特許文献4】米国特許第4498953号
【特許文献5】米国特許第5565038号
【特許文献6】米国特許第6534007号
【特許文献7】米国特許第6709610号
【特許文献8】米国特許第6254792号
【特許文献9】米国特許第10/273036号
【特許文献10】米国特許出願第10/784606号
【特許文献11】米国特許出願第10/784750号
【特許文献12】米国特許出願第10/758825号
【特許文献13】米国特許第6921062号
【特許文献14】米国仮特許出願第60/662515号
【特許文献15】米国仮特許出願第60/662396号
【特許文献16】国際特許出願第PCT/US06/08530号
【非特許文献1】Y. Saitoら、「Plasmaless Cleaning Process of Silicon Surface Using Chlorine Trifluoride」、APPLIED PHYSICS LETTERS、56(8)巻、1119〜1121頁、(1990年)
【非特許文献2】D.E. Ibbotsonら、「Plasmaless Dry Etching of Silicon with Fluorine−Containing Compounds」、JOURNAL OF APPLIED PHYSICS、56(10)巻、2939〜2942頁、(1984年)
【非特許文献3】「Thermodynamics of heterogeneous gas equilibriums. II. Gas phase composition and chemical transport reactions in the tungsten−halogen (fluorine、chlorine、bromine) systems」、G. M. Neumann、G. Gottschalk. Zeitschrift fuer Naturforschung、Teil A: Astrophysik、Physik and Physikalische Chemie 26(5)、870 (1971)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
概して、本発明は、例えば半導体処理システムの内部コンポーネントを洗浄するための、イオン注入装置およびCVDの洗浄システムと方法、ならびにこの洗浄のために使用するのに有効な組成物に関する。
【0034】
具体的には、大まかな態様において、本発明は、十分な時間の間および十分な条件下において残留物と接触させられて、少なくとも1つのコンポーネントから残留物を少なくとも部分的に除去する気相反応物質を使用しての、イオン注入装置のコンポーネントのイン−サイチュ洗浄に関する。
【課題を解決するための手段】
【0035】
一態様において、本発明は、
(a)洗浄組成物源容器から、洗浄すべき少なくとも1つのコンポーネントを備える半導体処理システムの少なくとも一部分内に気相反応物質を導入するステップと、
(b)システム内において予め定められた特徴が達成されると、システム内への気相反応物質の導入を終了するステップと、
(c)ある十分な時間の間、システム内で残留物に気相反応物質を反応させて、洗浄すべき少なくとも1つのコンポーネントから残留物を少なくとも部分的に除去するステップと
を含む、半導体処理システムの少なくとも1つのコンポーネントを洗浄する方法に関する。
気相反応物質は、少なくとも1つのコンポーネント上の残留物と選択的に反応する。気相反応物質の導入の終了を決定するための予め定められた特徴は、以下でさらに十分に説明されるように、温度、圧力、種の測定値などを含んでよい。
【0036】
別の態様において、本発明は、
(a)洗浄組成物源容器から、半導体処理システムのイオン源領域の真空チャンバ内に気相物質を導入するステップと、
(b)真空チャンバ内において予め定められた圧力が達成されると、真空チャンバ内への気相物質の導入を終了するステップと、
(c)前記真空チャンバ内のプラズマを使用して、真空チャンバ内で気相反応物質を反応性ハロゲン化物種に分解するステップと、
(d)ある十分な時間の間、真空チャンバ内で残留物に反応性ハロゲン化物種を反応させて、真空チャンバから残留物を少なくとも部分的に除去するステップと
を含む、半導体処理システムのイオン源領域を洗浄する方法に関する。
【0037】
さらに別の態様において、本発明は、
(a)半導体処理システムの洗浄すべき少なくとも1つのコンポーネントに連通的に連結され、洗浄すべき少なくとも1つのコンポーネントの上流に位置し、気相反応物質を中に配する洗浄組成物源と、
(b)洗浄組成物源と洗浄すべき少なくとも1つのコンポーネントとの間の弁と
を備える、半導体処理システムの少なくとも1つのコンポーネントを洗浄するための装置に関する。
【0038】
本発明の他の態様が、
(a)エクス−サイチュ真空チャンバ内に半導体処理システムの少なくとも1つのコンポーネントを配置するステップと、
(b)洗浄組成物源容器から、エクス−サイチュ真空チャンバ内に気相反応物質を導入するステップと、
(c)真空チャンバ内において予め定められた特徴が達成されると、真空チャンバ内への気相反応物質の導入を終了するステップと、
(d)ある十分な時間の間、真空チャンバ内で残留物に気相反応物質を反応させて、真空チャンバ内に含まれる少なくとも1つのコンポーネントから残留物を少なくとも部分的に除去するステップと
を含み、気相反応物質は、少なくとも1つのコンポーネント上の残留物と選択的に反応する、半導体処理システムの少なくとも1つのコンポーネントをエクス−サイチュ洗浄する方法に関する。
【0039】
本発明の他の態様が、イオン注入システムの少なくとも1つまたは複数のコンポーネントからのイオン化関連堆積物の少なくとも部分的な除去を行うように、気相反応物質と堆積物との反応を可能にする条件下において、気相反応物質を含む洗浄組成物に前記1つまたは複数のコンポーネントを接触させるステップを含む、イオン注入システムの1つまたは複数のコンポーネントからイオン化関連堆積物を少なくとも部分的に除去するための、イオン注入システムの前記1つまたは複数のコンポーネントを洗浄する方法に関する。
【0040】
別の態様において、本発明は、エッチャント容器から半導体処理ツールの真空チャンバ内にエッチャントガスを連続的に流し、真空チャンバ内で残留物にエッチャントガスを反応させて、真空チャンバの内側部分または真空チャンバ内に含まれる少なくとも1つのコンポーネントから残留物を少なくとも部分的に除去するステップと、チャンバの排出口の調整弁を使用することにより、チャンバ内のエッチャントガスの分圧を調整するステップとにより、半導体処理ツールの少なくとも1つのコンポーネントを洗浄する方法を提供する。
【0041】
さらに別の態様において、本発明は、エクス−サイチュ真空チャンバ内にコンポーネントを配置するステップと、エッチャント容器からエクス−サイチュ真空チャンバ内にエッチャントガスを連続的に流すステップと、真空チャンバ内で残留物にエッチャントガスを反応させて、真空チャンバ内に含まれる少なくとも1つのコンポーネントから残留物を少なくとも部分的に除去するステップと、容器の排出口中の調整弁の使用により、エッチャントガスの分圧を調整するステップとにより、半導体処理ツールの少なくとも1つのコンポーネントをエクス−サイチュ洗浄する方法を提供する。
【0042】
本発明の別の態様が、イオン注入システムにおけるイオン注入処理の間にイオン化関連堆積物が上に蓄積される1つまたは複数のコンポーネントを含むイオン注入システムと、堆積物に洗浄組成物を接触させることを伴う洗浄条件下において前記1つまたは複数のコンポーネントからの堆積物の少なくとも部分的な除去を行うように、堆積物と反応するガス状ハロゲン化物を含む洗浄組成物を収容する洗浄組成物源、洗浄条件下において、前記1つまたは複数のコンポーネントに接触させるために洗浄組成物源から前記1つまたは複数のコンポーネントに洗浄組成物を移送するように構成される流れ回路および、洗浄条件の間に、流れ回路を通る洗浄組成物の流れを制御して、1つまたは複数のコンポーネントからの堆積物の少なくとも部分的な除去を行うように構成される流れ構成部品を含む、洗浄アセンブリとを備える、イオン注入および洗浄アセンブリに関する。
【0043】
別の態様において、本発明は、例えばXeFのプラズマなどのガス状ハロゲン化合物のプラズマを用いてイオン源を洗浄するステップを含む、例えばBF、AsH、PH、GeF、SiFまたはHSeなどのプラズマを生成するために使用されるイオン源の安定性を向上させる方法に関する。
【0044】
ホウ素、ケイ素、ヒ素、リン、ゲルマニウム、タングステン、モリブデン、セレン、アンチモン、インジウム、タンタルおよび炭素のうちの少なくとも1つを含む堆積物を上に有する基板から前記堆積物を除去する方法であって、十分な時間の間、XeF、XeF、XeF、NF、IF、IF、SF、C、F、CF、KrF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、CおよびCなどのCの化学式の合成物、CHF、CH、CHF、CHF、C、C、CおよびCFなどのCの化学式の合成物、COF、HF、またはCOCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClなどの有機塩化物などのガスを含む気相反応物質に基板を接触させて、基板から前記堆積物を少なくとも部分的に除去するステップを含む方法に関する。
【0045】
本発明のさらに別の態様が、アークチャンバを通して流されるドーパント源ガスからイオン注入システムのアークチャンバ内にプラズマを生成して、注入用のドーパント源イオンを生成するステップと、ドーパント源ガスがアークチャンバを通り流される間の少なくとも一部の時間の間に、ドーパント源ガスと同時にアークチャンバを通して洗浄ガスを流して、イオン注入システム内の洗浄を行うステップとを含み、洗浄ガスは、ガス状ハロゲン化物を含む、イオン注入方法に関する。
【0046】
本発明の別の態様は、シリコン基板中にドーパントイオンを注入するステップと、さらに前記基板中にXeイオン注入するステップとを含む、ドープシリコン基板を形成する方法に関する。
【0047】
他の態様において、本発明は、イオン源内に例えばXeFのプラズマなどのガス状ハロゲン化合物のプラズマを生成して、イオン源のスパッタ洗浄に効果的なXeイオンと、イオン源の下流のコンポーネントのスパッタ洗浄に効果的なXeイオンとを生成するステップを含む、イオン源を洗浄する方法に関する。
【0048】
別の態様において、本発明は、種々のドーパント源ガスを伴って、連続的なイオン生成プロセス間にイオン源を洗浄する方法であって、プラズマを伴ってまたは伴わずに、これらのプロセス間に(すなわち、種々のドーパント源ガスを伴う連続的なイオン生成プロセス間に、プラズマの生成がない状態で、またはプラズマの生成がある状態で、イオン源低温条件下またはイオン源高温条件下において)イオン源を通してXeFおよび同様のものなどのガス状ハロゲン化物を流すステップを含む方法に関する。
【0049】
本発明のさらに別の態様が、同一のドーパント源ガスを伴って、連続的なイオン生成プロセス間にイオン源を洗浄する方法であって、プラズマを伴ってまたは伴わずに、それらのプロセス間にイオン源を通してXeFなどのガス状ハロゲン化物を流すステップを含む方法に関する。
【0050】
具体的には、別の大まかな態様において、本発明は、気相反応物質を使用してCVDシステムまたはその1つまたは複数のコンポーネントを洗浄することに関し、気相反応物質は、十分な時間の間および十分な条件下において、CVDシステム内で残留物に接触させられて、CVDシステム内の1つまたは複数のコンポーネントから残留物を少なくとも部分的に除去する。
【0051】
一態様において、本発明は、
(a)洗浄組成物源容器から半導体処理システムのリアクタ内に気相反応物質を導入するステップと、
(b)リアクタ内において予め定められた特徴が達成されると、リアクタ内への気相反応物質の導入を終了するステップと、
(c)ある十分な時間の間、リアクタ内で残留物に気相反応物質を反応させて、リアクタの内側部分またはリアクタ内に含まれる少なくとも1つのコンポーネントから残留物を少なくとも部分的に除去するステップと
を含み、気相反応物質は、残留物と選択的に反応する、半導体処理システムの少なくとも1つのコンポーネントを洗浄する方法に関する。
【0052】
本発明の別の態様が、CVDシステムにおける堆積処理の間に堆積関連堆積物が上に蓄積される1つまたは複数のコンポーネントを含むCVDシステムと、堆積物に洗浄組成物を接触させることを伴う洗浄条件下において前記1つまたは複数のコンポーネントからの堆積物の少なくとも部分的な除去を行うように、堆積物と反応するガス状ハロゲン化物を含む洗浄組成物を収容する洗浄組成物源、洗浄条件下において、前記1つまたは複数のコンポーネントに接触させるために洗浄組成物源から前記1つまたは複数のコンポーネントに洗浄組成物を移送するように構成される流れ回路および、洗浄条件の間に、流れ回路を通る洗浄組成物の流れを制御して、1つまたは複数のコンポーネントからの堆積物の前記少なくとも部分的な前記除去を行うように構成される流れ構成部品を含む、洗浄アセンブリとを備える、堆積および洗浄アセンブリに関する。
【0053】
本発明のさらに別の態様が、リアクタに供給される前駆物質から基板上に固体膜を形成するステップと、前駆物質がリアクタに供給される間の少なくとも一部の時間の間に、前駆物質と同時にリアクタを通して洗浄ガスを流して、CVDシステム内の洗浄を行うステップとを含み、洗浄ガスは、ガス状ハロゲン化物を含む、CVD方法に関する。
【0054】
別の態様において、本発明は、種々の前駆物質を伴って、連続的な堆積プロセス間にCVDシステムを洗浄する方法であって、それらのプロセス間に源を通してガス状ハロゲン化物を流すステップを含む方法に関する。
【0055】
本発明のさらに別の態様が、同一の前駆物質を伴って、連続的な堆積プロセス間にCVDシステムを洗浄する方法であって、それらのプロセス間に源を通してガス状ハロゲン化物を流すステップを含む方法に関する。
【0056】
他の態様が、XeF、XeF、XeF、NF、IF、IF、KrF、SF、C、F、CF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、COCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClからなる群から選択される少なくとも1つのガスを含む気相反応物質を用いて、イオン源またはイオン源のコンポーネントを洗浄するステップを含む、イオン源の寿命を延ばすための方法に関する。
【0057】
本発明の別の態様が、XeF、XeF、XeF、NF、IF、IF、KrF、SF、C、F、CF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、COCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClからなる群から選択される少なくとも1つのガスを含む気相反応物質を用いて、プロセスツールまたはプロセスツールのコンポーネントを洗浄するステップを含む、プロセスツールの平均故障間隔(MTBF)を延ばすための方法に関する。
【0058】
本発明の他の態様、特徴および実施形態が、確定的な開示および添付の特許請求の範囲からさらに十分に明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
本発明は、基板からの堆積物の除去のための方法および装置に関し、この方法および装置において、基板は、気相反応物質を含む洗浄組成物と接触させられる。本明細書において使用される「気相反応物質」という語は、ガス形態または蒸気形態のハロゲン化物およびハロゲン化物錯体と、これらの化合物および錯体のイオン形態およびプラズマ形態と、これらの化合物、錯体、イオン形態およびプラズマ形態から得られる元素およびイオンとを含む物質として広く解釈されることが意図される。また、本発明において使用される気相反応物質は、「気相反応組成物」、「洗浄剤」、「洗浄ガス」、「エッチャントガス」、「ガス状ハロゲン化物」、「ガス状洗浄剤」、「反応性ハロゲン化物」、「洗浄化合物」、「洗浄組成物」、「洗浄蒸気」、「エッチャント蒸気」またはそれらの語の任意の組合せとして様々に呼ぶことができるが、それらに限定されない。
【0060】
本発明は、半導体処理システムと、他の基板および装置の通常処理作業の際に堆積物の形成を上に被りやすい他の基板および装置との洗浄を企図する。
【0061】
(イオン注入システム)
一実施形態において、本発明は、1つまたは複数のコンポーネントからイオン化関連堆積物を少なくとも部分的に除去するための、イオン注入システムの1つまたは複数のコンポーネントを洗浄する方法を企図する。この方法は、少なくとも部分的な前記除去を実施するために、気相反応物質を堆積物と反応させることが可能な条件の下で、気相反応物質を含む洗浄組成物にこの1つまたは複数のコンポーネントを接触させることを含む。
【0062】
また、供給原料ガスからもたらされる上述のイオン関連堆積物に加えて、イオン注入システム内に形成される堆積物または残留物は、システムコンポーネントを構成する物質との供給原料ガスの反応によってもたらされる場合があることが、本発明により判明している。例えば、イオン注入システムの真空チャンバは、ステンレス鋼またはアルミニウムを使用して構成することができる。また、真空チャンバ内のシステムコンポーネントは、グラファイト(例えば標準のまたはガラス質の)、絶縁体材料(例えば窒化ホウ素)および/または、テフロン(登録商標)、Kel−F、vespel、Viton(登録商標)、Buna−n、ケイ素などのシール材料を使用して構成することができる。セラミックスなどの他のシステムコンポーネントは、中に懸濁する酸化鉛を有するエポキシ、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、窒化ホウ素、Peek(登録商標)、Delrin(登録商標)、Teflon(登録商標)および/またはVespel(登録商標)などの材料から構成することができる。
【0063】
イオン源は、場合によっては少量の銅および銀を含む、タングステン、グラファイト、モリブデンまたはタンタルから構成することができる。通常は、イオン源のアークチャンバは、タングステンまたはモリブデンから構成することができ、あるいはタングステンまたはモリブデンを用いてライニングされたグラファイト製の本体を有することができる。そのような場合、例えばBF、GeFまたはSiFなどのフッ化物源供給物質が、作動温度で例えばチャンバまたはチャンバのライニングからのタングステンもしくはモリブデンなどのアークチャンバの物質と反応して中間副生成物を形成し、もたらされた副生成物は、別の温度の別の位置へと移動し、そこにおいて、副生成物は分解され、タングステンまたはモリブデンを堆積させ、フッ素を遊離させる。したがって、別の実施形態において、本発明は、1つまたは複数のコンポーネントから、アークチャンバの物質と同じイオン化関連堆積物を少なくとも部分的に除去するために、イオン注入システムの1つまたは複数のコンポーネントを洗浄する方法を企図する。
【0064】
本明細書において使用される際に、「イオン化関連堆積物」は、イオン注入システムの通常作動に支障を及ぼし得る任意の物質の堆積物を指す。ガス状ハロゲン化物と反応するイオン化関連堆積物は、イオン源または他のイオン化プロセス装置内で形成されるまたは蓄積されるようなイオン化関連堆積物を含む、任意の適当なタイプのものであることが可能である。この堆積する物質としては、ケイ素、ホウ素、リン、ゲルマニウム、ヒ素、タングステン、モリブデン、セレン、アンチモン、インジウムまたはタンタルが含まれてよく、それらが包含されよく、それらから主としてなるものであってよく、あるいはそれらからなるものであってよい。
【0065】
イオン源のアークチャンバおよび引出電極中の堆積ドーパント物質は、剥離し、小さなパーティクルを形成するおそれがあることが知られている。これらのパーティクルは、イオンビーム、例えばウェーハ中に注入されるドーパントイオンのビームなどのイオンビーム中で移送される可能性がある。いくつかの場合において、そのような移送されるパーティクルは、ウェーハに達し、ウェーハ上のパーティクル汚染を著しく増加させ、ウェーハ上に製造されるデバイスの歩留まりの深刻な低下をもたらす可能性がある。本発明の1つの目的は、フレークおよびパーティクルを形成することが可能となる前にドーパント物質の堆積物を除去し、それによってウェーハ上のパーティクルを減少させ、半導体デバイスの歩留まりを向上させることである。
【0066】
そのような方法において使用される気相反応物質としては、例えばXeF、XeF、XeF、NF、IF、IF、SF、C、F、CF、KrF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、Cからなる群から選択される任意の適当なハロゲン化物、ならびにCOCl、CCl、CHCl、CHCl、CHCl、HOBrおよびBrなどの有機塩化物などの任意の適切なハロゲン化物が含まれてよい。一実施形態では、気相反応物質として、NF、CF、KrF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、ならびにCOCl、CCl、CHCl、CHCl、CHCl、HOBrおよびBrなどの有機塩化物からなる群より選択されるハロゲン化物が含まれる。
【0067】
別の実施形態においては、気相反応物質は、気相反応物質の揮発性を高める「洗浄強化剤」または「共反応物質」と共に投与され、洗浄強化剤または共反応物質なしで気相反応物質を用いる場合と比較してより多くの堆積物の除去をもたらす。例えば、ルイス塩基および電子逆結合種を共に投与することによって、ならびに/あるいは、特許文献7および特許文献8にあるように一酸化炭素、トリフルオロホスフィンおよびトリアルキルフォスフィンからなる群から選択されるものを共に投与することによって、XeFによるイリジウム堆積物の除去を向上させることが可能である。
【0068】
気相反応物質と堆積物との反応を可能にする条件としては、基板から除去することが求められる物質を除去するために、気相反応物質が基板から除去することが求められる物質に接触し、化学的に相互に作用する、温度、圧力、流速、組成などの任意の適当な条件が含まれてよい。
【0069】
使用することのできる多様な条件の例としては、室温、室温を上回る温度、プラズマの存在、プラズマの不在、減圧、常圧などが含まれる。このような気相反応物質の接触のための具体的な温度は、約0℃から約1000℃の範囲内とすることが可能である。この接触は、キャリアガス中の、または混合物のない形態での、または他の洗浄剤やドーパントなどと混合しての、気相反応物質の移送を伴うことが可能である。室温で存在する堆積物との化学反応用の気相反応物質を加熱して、反応速度を高めることができる。
【0070】
気相反応物質と堆積物との間の反応は、様々な反応特性の観察により、モニタリングするおよび/または調整することができる。このような特性としては、圧力、時間、温度、濃度、特定の種の存在、圧力変化率、特定の種の濃度変化率などが含まれてよい。したがって、システム中への気相反応物質の導入は、真空チャンバ内における予め定められた圧力の達成、予め定められた時間量の経過、予め定められた温度の達成、予め定められたシステム内の元素濃度の達成、システム内での特定の副生成物、反応生成物または他の種の発現などの、予め定められた反応特性の達成と同時に終了することができる。
【0071】
一実施形態において、堆積物は、イオン注入システムのコンポーネントとの反応により形成される物質を含む。例えば、除去すべき堆積物は、システムのアークチャンバとの反応に由来するタングステンを含むことがある。そのような堆積物の洗浄において、この洗浄方法は、システムの温度勾配に依拠する。供給物質からのフッ素が、ある温度でアークチャンバと反応して、以下の反応(1)または(2)によってWFを形成する。
3F(g)+W(s)→WF(g) (1)
6F(g)+W(s)→WF(g) (2)
次いで、WFはシステム内の別の位置、概してより高い温度を有する位置に移動し、そこでWFは分解され、タングステンが堆積し、フッ素が放出される。したがって、そのようなタングステンの堆積物を洗浄するために、堆積物を含むコンポーネントの温度は、堆積物が形成される温度より下げられなくてはならない。また、別の例において、アークチャンバまたは他の金属製パーツ中にホウ素の堆積物がある場合には、少量のBFおよび他の金属フッ化物が形成されることがある(例えばMoFを形成させるモリブデンねじ)。
【0072】
この接触は、接触の際の合計圧力変化をモニタリングしながら行うことより、圧力変化がゼロに達した場合に接触を終了させることができる。代替としては、この接触は、気相反応物質またはそれに由来する反応物質もしくは接触において生成される反応生成物の分圧をモニタリングしながら行い、予め定められた値、すなわち終点に分圧が達した場合に接触を終了させることができる。そのような終点のモニタリング装置は、例えば特許文献9「Apparatus and Process for Sensing Fluoro Species in Semiconductor Processing Systems」、特許文献6「Method and Apparatus for Detecting the Endpoint of a Chamber Cleaning」、特許文献10「Nickel−coated free−standing silicon carbide structure for sensing fluoro or halogen species in semiconductor processing systems, and processes of making and using same」、特許文献11「Apparatus and process for sensing fluoro species in semiconductor processing systems」、および特許文献12「Apparatus and process for sensing target gas species in semiconductor processing systems」においてさらに十分に説明されるタイプの終点モニタリングシステムを含む、任意の適切なタイプのものであることが可能であり、それらは全て参照により全体として本明細書に組み込まれる。他の例示のモニタリング装置は、特許文献6「Apparatus and process for sensing fluoro species in semiconductor processing systems」に記載される、半導体チャンバ洗浄プロセスの終点を決定するためのMEMSベースのガス感知機能を含み、これは参照により本明細書に組み込まれる。その発明は、半導体チャンバ洗浄において使用される高度フッ素化ガスに対して測定可能な反応をする薄膜材料(「感知フィルム」)と、そのような高度フッ素化ガスの過酷な使用環境を耐え抜く信頼性の高い形態でのそのような感知フィルムの組込みおよびパッキングとが必要であることにより以前は実施不可能であったMEMSベース感知を可能にした。
【0073】
別の実施形態では、この接触は、気相反応物質の分圧の調整と、したがって反応速度の制御とを可能にするシステムのコンポーネントにより制御可能な気相反応物質流によって行うことができる。さらに別の実施形態では、連続的な予め定められた気相反応物質流により、流れおよび温度などの広範なプロセス条件をシステムにおいて達成することが可能となる。
【0074】
本発明の特定の実施形態は、このような堆積物を上に有する基板からその堆積物を除去する方法に関し、その堆積物としては、ホウ素、ケイ素、ヒ素、リン、ゲルマニウム、タングステン、モリブデン、セレン、アンチモン、インジウム、タンタルおよび炭素が含まれる。この方法は、十分な時間の間、気相反応物質に基板を接触させて、基板から堆積物を少なくとも部分的に除去することを含む。
【0075】
本発明の実施においてキセノンフッ化物を洗浄剤およびプラズマ源試薬として使用することに関して、キセノンフッ化物は、任意の数のフッ素原子を含むことが可能である。しかしながら、Xeに対するFの比率が高いと、より高速でより効率的な洗浄を可能にすると考えられていることを指摘しておく。蒸気圧が高いほど洗浄剤の送出速度が上昇するので、より高い蒸気圧は、より多量の物質の送出を促す。一実施形態では、六フッ化キセノンを洗浄剤またはプラズマ源試薬として使用する。室温でのXeFの蒸気圧は、XeFの蒸気圧に比べて約7倍高いが、XeF同様に、XeFは、水と非常によく反応する。XeFは、水、炭化水素、水素または還元剤の存在または生成を伴わない洗浄環境において、最も有利に使用される。しかし、低い蒸気圧を有する洗浄化合物が使用される場合には、流路内の圧力低下を回避し、洗浄剤の高い送出速度を保つために、流れ回路に対して調節を行うことができる。
【0076】
本発明の実施において洗浄剤として使用される気相反応物質としては、XeF、XeF、XeF、NF、F、SF、C、CF、IF、IF、KrF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、Cと、COCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClなどの有機塩化物とが含まれてよいが、それらに限定されない。
【0077】
本発明の方法を実施するための装置は、気相反応物質を用いた洗浄に対応する任意の適切な態様で構築し構成することができる。一実施形態において、本発明は、(i)イオン注入システムにおけるイオン注入処理の際にイオン化関連堆積物が上に蓄積される1つまたは複数のコンポーネントを含むイオン注入システムと、(ii)堆積物への洗浄組成物の接触を伴う洗浄条件下における1つまたは複数のコンポーネントからの堆積物の少なくとも部分的な除去を実施するように堆積物と反応する気相反応性ハロゲン化物を含む洗浄組成物を含む洗浄組成物源を含む洗浄アセンブリと、(iii)洗浄条件下において1つまたは複数のコンポーネントと接触させるために、洗浄組成物源から1つまたは複数のコンポーネントに洗浄組成物を移送するように構成された流れ回路と、(iv)1つまたは複数のコンポーネントからの堆積物の少なくとも部分的な除去を実施するように、洗浄条件中に流れ回路を通る洗浄組成物流を制御するように構成される流れ構成部品とを備える、イオン注入および洗浄アセンブリを提供する。
【0078】
上述のアセンブリにおける流れ構成部品は、例えば弁、弁アクチュエータ、ポンプ、質量流量制御装置、圧力計、残留ガス分析器、中央演算処理装置、メンブレンなどを含む、任意の適切なタイプのものであることが可能である。
【0079】
このような流れ構成部品は、採用される特定の洗浄条件下において作動するように構成される。
【0080】
このシステムにおけるイオン注入処理の際にイオン化関連堆積物が上に堆積するアセンブリ内の1つまたは複数のコンポーネントは、例えば真空チャンバ、アークチャンバ、電極、フィラメント、高電圧ブッシング、磁石導波管、ウェーハ処理コンポーネント、クランプリング、ホイール、ディスクなどの任意の適切なタイプのものであることが可能である。一実施形態では、このコンポーネントは、真空チャンバ内に含まれる真空チャンバのコンポーネントではない。
【0081】
洗浄組成物源は、洗浄組成物を収容する物質貯蔵および分配パッケージを備えてよい。物質貯蔵および分配パッケージは、例えば概して円筒形状のものであってよい容器を含み、その中に内部容積部分を画成する。この特定の実施形態では、洗浄組成物は、室温の条件時には固体であってよく、その洗浄組成物は、容器内の増大化された表面積部分上に支持されてよい。その増大化された表面積部分は、特許文献13に記載されるトレイ、あるいは例えば陽極酸化処理されたアルミニウムまたはニッケルの発泡体、ステンレス鋼、ニッケル、青銅などの多孔質不活性発泡体などの構造体を中に含んで、関連する洗浄プロセスのイオン化実施ステップのために十分な蒸気圧を生成するように洗浄物質の安定的な蒸発速度を実現することができる。トレイを使用する場合には、容器使用時の分配用の弁頭アセンブリの方へ容器内で上方に蒸気を流すための、付随する流路管を有するトレイの表面上で、洗浄組成物を支持してよい。
【0082】
上述のアセンブリにおける流れ回路は、前記洗浄条件下において、洗浄組成物源からアークチャンバに洗浄組成物を移送するように構成される。そのような構成は、洗浄組成物の多様な特性に依拠するものであってよい。例えば、洗浄組成物の蒸気圧が低い場合には、流路内の不要な圧力低下を回避するために高伝導性を採用することができる。流体伝導性を最大化し、流体阻害性を最小限に抑える方法は、当技術においてよく知られている。
【0083】
イオン化関連堆積物として、例えばホウ素、リン、ヒ素、ゲルマニウム、ケイ素、モリブデン、タングステン、セレン、アンチモン、インジウム、タンタルなどの、ドーパントイオンの生成の際に堆積する物質が含まれることが可能である。
【0084】
本発明の全ての洗浄方法において、この洗浄は、イオン注入システムの、特にイオン源の寿命を延ばすために、追加の方法および装置と適宜結合することができる。このことは、選択される、基板、形成される堆積物、および/または気相反応物質に対応するための、本発明において使用されるイオン注入システムの変更を含んでよい。システムの装置変更は、能動熱制御システムを有する引出電極、放電の頻度/発生を低下させる能動加熱引出電極、好ましくはアルミニウム、モリブデンまたはアルミナ(Al)である金属を含む引出電極、遠隔プラズマ源、引出電極とヒータとの結合、引出電極と冷却デバイスとの結合、平滑で平坦な引出電極、プラズマにより分解されて、反応ガスをイオン化チャンバに移送するためのチャンバ出口および導管を通る反応ガス流を生成することが可能な原料ガスを受けるように構成されたプラズマチャンバ、システムの表面上の汚染物質との反応ガスの発熱反応の実質的な終了を検出するように設計された温度検出器、気相反応物質による損傷を受けやすいシステム内のコンポーネントの保護(この保護は、アルゴンなどの不活性ガス流を含む一実施形態における、気相反応物質を好ましくは通さない、コンポーネントの周囲のシールドの提供を含んでよい)、および/またはアルミニウムまたはアルミナを含むシステムコンポーネントの使用を含めて包含することができるが、それらに限定されない。
【0085】
装置の寿命を延ばすための方法は、放電の頻度および発生を低下させるために引出電極を能動的に加熱すること、イオン源への原料物質の凝結温度を上回るように引出電極を加熱すること、イオン源のタイプに適合するように引出電極の温度を能動的に制御すること(この温度は、加熱されたまたは冷却された作動中のイオン源と組み合わせての、電極の加熱または冷却を含んでよい)、および/または引出しの際に引出電極を高温に保つことを含むが、それらに限定されない。そのような追加の装置の修正および方法は、特許文献1「Method and Apparatus for Extracting Ions from an Ion Source for Use in Ion Implantation」、特許文献2「Method and Apparatus for Extracting Ions from an Ion Source for Use in Ion Implantation」および特許文献3「Method and Apparatus for Extending Equipment Uptime in Ion Implantation」においてさらに十分に記載され、それらは参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0086】
特定の実施形態におけるイオン注入システムが、アークチャンバおよびドーパント源を含む。一例において、このドーパント源は、BFを含んでよく、アークチャンバにBFを供給するように構成することができる。この実施形態におけるアークチャンバは、ドーパント源からアークチャンバに供給されるドーパントから、ドーパントのプラズマを中に生成するように構成される。一例においては、洗浄組成物源に含まれる洗浄組成物が、XeFを含む。アークチャンバは、三フッ化ホウ素のプラズマに由来するホウ素含有堆積物の洗浄のために有効な洗浄条件設定下において、洗浄組成物源からアークチャンバに供給されるXeFからXeFのプラズマを中に生成するように構成することが可能である。代替として、AsH、PH、GeF、SiF、HSe、ならびに他のホウ素含有、ケイ素含有、ヒ素含有、リン含有およびゲルマニウム含有ドーパント源を含む、他のドーパント源を使用することができる。さらに、他のプラズマ源反応物が使用できる。
【0087】
特定の適用例において、本発明は、BFのプラズマを生成するために使用されるイオン源の安定性を高める方法を提供し、この方法は、XeFのプラズマなどのフッ化キセノンプラズマを用いてイオン源を洗浄することを含む。
【0088】
別の実施形態では、本発明は、注入用のドーパント源イオンを形成するために、アークチャンバを通り流れるドーパント源ガスから、イオン注入システムのアークチャンバ内にプラズマを生成することを伴うイオン注入方法に関する。ドーパント源ガスがアークチャンバを通り流れる間の時間の少なくとも一部の間に、気相反応物質が、ドーパント源ガスと同時にアークチャンバを通り流れて、イオン注入システム内の洗浄を行う。
【0089】
一般的に、ドーパント源ガスおよび気相反応物質を同時に流すことは、イン−サイチュ洗浄を達成するために行い得るが、連続的な態様で洗浄動作を実施することが一般的には好ましく、例えばイオン源が第1のドーパント源から第1のプラズマを生成し、その後イオン源が第2のドーパント源から第2のプラズマを生成する場合に、それらの間に洗浄ステップが使用され、気相反応物質がプラズマの生成を伴ってまたはプラズマの生成を伴うことなくイオン源を通り流れる。
【0090】
一実施形態において、本発明は、シリコン基板中にXeイオンを注入することと、その後シリコン基板中にドーパントイオンを注入することとを含む、ドープシリコン基板を形成する方法を提供する。このプロセスにおいて、Xeイオンの注入は、前記基板の結晶構造をアモルファス化する役割を果たす。
【0091】
洗浄のための例えばXeFのプラズマなどのフッ化キセノンプラズマの生成において、Xeイオンは、そのイオン源自体の何らかの低エネルギースパッタ洗浄を行い得る。引出し後に、Xeイオンは、真空壁、イオン光学コンポーネント、ウェーハディスクおよびウェーハホルダなどの、イオン源の下流のコンポーネントの何らかの高エネルギースパッタ洗浄を行い得る。
【0092】
特定の実施形態において、本発明は、マイクロ電子デバイスの製造において使用されるイオン注入システムのイオン源領域を洗浄するための方法および装置に関する。例えば、イオン源領域としては、傍熱型陰極源、フリーマン型源またはバーナス型源が含まれてよい。
【0093】
具体的には、一実施形態において、本発明は、十分な時間の間および十分な条件下において、例えばXeF、XeF、XeF、NF、F、SF、C、CF、IF、IF、KrF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、ならびにCOCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClなどの有機塩化物などの気相反応性ハロゲン化物に、真空チャンバおよび/またはコンポーネントを接触させて、コンポーネントから残留物を少なくとも部分的に除去する、ならびに、残留物とコンポーネントを構成する物質とが異なる場合には、気相反応物質が残留物と選択的に反応し、イオン注入装置のコンポーネントを構成する物質とは最小限だけ反応し(例えば、実質的には反応せず、好ましくは全く反応せず)、残留物とコンポーネントを構成する物質とが同一である場合には、気相反応物質が残留物およびコンポーネントパーツの両方と反応し得るような態様でコンポーネントから残留物を少なくとも部分的に除去することにより、イオン注入装置の真空チャンバおよびその中に含まれるコンポーネントから残留物をイン−サイチュ除去することに関する。
【0094】
本明細書において使用される際に、残留物との気相反応性ハロゲン化物の反応に対して適用される「選択的に」という語は、気相反応性ハロゲン化物と残留物との間の好ましい反応を表すために使用される。イオン注入装置のコンポーネントを構成する物質とは実質的に反応しない状態を保つ一方で、気相反応性ハロゲン化物は、イオン注入装置のコンポーネントが残留物の元素自体と同一または同様の元素を含む場合には、イオン注入装置のコンポーネントを構成する物質を有するものと反応し得る。例えば、選択的に反応し、コンポーネントからタングステンの堆積物を除去する一方で、気相反応物質は、コンポーネント自体の中のタングステンとも反応し得る。そのような共反応が生じるためには、残留物およびコンポーネントが完全に同一の物質である必要はないが、いくつかの物質を共通して含む。
【0095】
別の実施形態において、イオン注入装置のコンポーネントは、イオン注入装置からコンポーネントが移される独立した専用チャンバ内で、エクス−サイチュ洗浄される。
【0096】
さらに詳細にイン−サイチュ洗浄を考察すると、この洗浄は、3つの要素、すなわち洗浄前駆物質の反応特性、洗浄反応副生成物の揮発性および、化学洗浄において使用される反応条件に主に依拠する。洗浄組成物は、注入装置の構成物質の損耗を最小限に抑えつつ、不要な残留物を除去しなければならない。洗浄反応により生成される副生成物は、イオン注入装置の真空システムによるそれらの除去を容易にするのに十分な揮発性を有するものでなければならない。
【0097】
コンポーネント(または複数のコンポーネント)と同一の物質から形成される残留物の除去は、コンポーネント自体のいくらかの損耗を実際にもたらす。具体的には、タングステン製アークチャンバを使用するシステムからタングステンの堆積物を除去するために洗浄剤としてXeFを使用することにより、アークチャンバの内側部分から幾分かのタングステンの除去が生じる。しかし、システム効率を最大限に引き出すためには、アークチャンバの内側部分の物質の幾分かの損失は、システムが洗浄されず、タングステンの堆積物がシステム内に蓄積することが可能になる場合のシステムの作動性能の低下という観点から考えれば、重要ではない。
【0098】
本明細書において使用される際に、「イオン源領域」は、真空チャンバ、イオン源アークチャンバ、イオン源絶縁体、引出電極、抑制電極、高電圧絶縁体、イオン源ブッシング、フィラメントおよび反射電極を含む。
【0099】
例えば、気相反応物質は、XeFの蒸気などのキセノンフッ化物を含んでよい。XeFは、好ましい反応ハロゲン化物ガスであり、室温で昇華するが、ヒータを使用して加熱して、昇華速度を高めることができる。XeFは、効果的なケイ素用エッチャントであることが知られており、微小電気機械システム(MEMS)のデバイスの処理においてケイ素選択エッチャントとして使用されている。具体的には、XeFは、以下の反応にしたがってシリコンと反応する。
2XeF(g)+Si(s)→2Xe(g)+SiF(g) (3)
ケイ素/XeFの反応は、活性化なしに、すなわちプラズマまたは温度加熱なしに生じることが可能であることが重要である。SiとのXeFの反応速度は、SiOとのXeFの反応速度に比べてはるかに速く、これによって、XeFは、Siと選択的に反応するものとなる。
【0100】
XeFまたは他のキセノンフッ化物は、本発明の実施において、金属ホウ素用のエッチャントとして使用するのに有効である。理論により限定することを望まないが、ホウ素は、以下の反応にしたがってエッチングされると考えられる。
3XeF(g)+2B(s)→3Xe(g)+2BF(g) (4)
ヒ素、リンおよびゲルマニウム用のエッチャントとしてのXeFの使用は、我々が知る限りでは報告されていないが、XeFは、以下の反応(4)および(5)にしたがって、これらの物質用の効果的なエッチャントにもなり得る。
5XeF(g)+2As(s)→5Xe(g)+2AsF(g) (5)
5XeF(g)+2P(s)→5Xe(g)+2PF(g) (6)
2XeF(g)+Ge(s)→2Xe(g)+GeF(g) (7)
ケイ素/XeFの反応と同様に、本明細書に開示される反応は、エネルギーによる活性化により、またはエネルギーによる活性化なしに生じ得る。
【0101】
本明細書に開示される方法および装置は、イオン注入装置のコンポーネントから残留物を少なくとも部分的に除去するために、ならびに、残留物物質とコンポーネントを構成する物質とが異なる場合には、残留物が例えばアルミニウム、タングステン、モリブデン、グラファイト、絶縁体材料、シール材料などの、イオン注入装置のコンポーネントを構成する物質に対して選択的に除去されるような態様で、イオン注入装置のコンポーネントからの残留物を少なくとも部分的に除去するために使用されるということが重要である。本明細書で使用される際に、「少なくとも部分的に除去する」という語句は、除去すべき残留物の少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約50%、および最も好ましくは少なくとも約75%を除去することと定義する。
【0102】
しかし、残留物およびコンポーネントを構成する物質が同一である場合には、気相反応物質組成物は、残留物の少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約50%、および最も好ましくは少なくとも約75%が除去されるように、ある量においておよびある時間の間、残留物およびコンポーネントパーツの両方と反応することができる。そのような条件下においては、コンポーネントの内側部分の除去は、最小限に抑えられ、一般的には数ミクロンまたは数十ミクロンの範囲内となる。コンポーネントが最大で約1/4インチまたはそれ以上の全厚を有し得る場合、このような除去がコンポーネントの作動性能に顕著な影響を及ぼすことはない。一般的に、堆積物は均一な厚さまたは堆積を有さないので、これらの堆積物は、洗浄プロセスにおいて、コンポーネント自体の物質よりも高反応性になり得る。そのため、気相反応物質組成物は、コンポーネントパーツとの反応に比べ、残留物との反応に対してより選択的なものとなり得る。
【0103】
滞留モード、連続モードおよび直接導入モードを含む、イオン源領域におけるイン−サイチュ洗浄のためのイオン源領域への気相反応物質組成物の送出モードのいくつかが、以下でさらに十分に説明される。本明細書では、XeF組成物を参照する場合があるが、XeF、XeF、SF、C、IF、IF、KrF、CF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、ならびにCOCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClなどの有機塩化物を含むがそれらに限定されない、他のキセノンフッ化物および他の反応ハロゲン化物組成物を使用し得ることが理解されよう。気相反応物質は、反応ハロゲン化物(または複数の反応ハロゲン化物)を含んでよい、反応ハロゲン化物(または複数の反応ハロゲン化物)から主になるものであってよい、または反応ハロゲン化物(または複数の反応ハロゲン化物)からなるものであってよいことをさらに指摘しておく。
【0104】
XeFは、殆どのイオン注入残留物のイン−サイチュ洗浄に対していくつかの利点を提供する。XeFは、室温にて4Torrの蒸気圧を有する昇華可能な白色の固体である。XeF洗浄の使用によりもたらされる副生成物ガスを減少させることについては、化学吸着ベースのスクラバが、XeFを含む水素化物およびフッ化物の両方の注入装置用種を減少させるために好ましい。洗浄組成物は、特許文献14および特許文献15にもとづく特許文献16「SYSTEM FOR DELIVERY OF REAGENTS FROM SOLID SOURCES」においてさらに十分に説明される固体源送出システムなどの、特にXeFまたは他の洗浄剤の送出に適合する送出源から供給することができ、それらの開示はそれらのそれぞれの全体として本明細書に組み込まれる。
【0105】
他の実施形態においては、他のキセノンフッ化物が、本発明の実施において好ましい組成物である。XeFは、分子量207.28、融点117.1℃、沸点(昇華)115.75℃および濃度4.04g/mLである。さらに他の化合物であるXeFは、分子量245.28、融点49.5℃、沸点75.6℃および濃度3.56g/mLである。フッ素原子の数が多いと、融点は下がり、蒸気圧はより高くなる可能性があることを指摘しておく。より高い蒸気圧は、洗浄剤の送出を促し、より高速なおよびより効率的な洗浄を可能にし得る。
【0106】
別の実施形態では、本発明は、分子量121.8および分解温度約25℃の洗浄剤KrFを提供する。
【0107】
本発明の別の実施形態は、臨界温度37℃の洗浄剤Nを提供する。Nの蒸気圧は、22℃において約380psiである。このような高い蒸気圧を有するため、Nは、本発明の高効率の洗浄剤である。
【0108】
特定の一実施形態において、本発明は、イオン注入システムがタングステンまたはモリブデンを含むアークチャンバを有し、コンポーネント(または複数のコンポーネント)がアークチャンバと同一の物質の堆積物を有するイオン注入システムの、少なくとも1つのコンポーネントを洗浄する方法を提供する。そのような洗浄方法において、洗浄剤はXeFであってよい。本明細書において示される他の洗浄剤を使用してよい。
【0109】
(気相反応物質組成物の滞留モード送出)
静的モードとも呼ばれる滞留モードにおいて、真空チャンバはシールされ、真空ポンプが切り離されまたは止められ、洗浄蒸気が適切な圧力に達するまで洗浄組成物源からチャンバ内に導入される。洗浄蒸気流が止められ、洗浄蒸気は、室温でプラズマによる活性化なしにチャンバ内で堆積物質と反応し、洗浄蒸気が使い果たされ、反応の終点に達し、または予め定められた時間量が経過するまでチャンバ内に滞留する。次いで、洗浄のガス状副生成物が、ポンプ吸出される。全ての堆積物質を効率的に除去するためには、チャンバに洗浄蒸気を充填し、チャンバ内で堆積物に蒸気を反応させ、チャンバから生成物をポンプ吸出する複数回のサイクルを要し得る。このプロセスは「除去/通気プロセス」と呼ばれることがある。このプロセスの間、ターボポンプは止められ、または代替としては、ポンプは適切な仕切弁(例えばVAT仕切弁)を用いて真空システムから切り離される。
【0110】
滞留モード送出の一実施形態において、堆積物は、システムの1つまたは複数のコンポーネントの物質とドーパントとの反応によりもたらされる堆積物である。このような堆積物の洗浄においては、上に残留物が出現するシステムまたはコンポーネントの温度が、下げられる。この物質には、それが形成された温度よりも高い温度で堆積するので、より低い温度が残留物の除去を可能にする。例えば、堆積物がフィラメント上のタングステンの堆積物である場合には、フィラメント電流を下げまたは切断し、それによってフィラメントの温度を洗浄のために下げる。別の例では、堆積物が反射電極上のタングステンの堆積物である場合には、プラズマアーク電流を下げまたは切断し、それによって反射電極の温度を洗浄のために下げる。
【0111】
気相反応物質組成物の滞留モード送出の別の実施形態においては、気相反応ハロゲン化物組成物が中に配されたエッチャント容器が、洗浄すべきイオン注入装置のチャンバに連通的に装着され、エッチャント容器および洗浄すべきチャンバは、それらの間に弁が配設される。洗浄の間、弁は手動によりまたは遠隔操作により開くことができ、それによって、気相反応物質の蒸気を、予め定められた圧力に達するまで洗浄されるべきチャンバに充填することが可能となる。エッチャント容器は、昇華速度および/または昇華圧を高めるために適度に加熱してよい。
【0112】
より好ましい一実施形態において、洗浄装置は、エッチャント容器と真空チャンバとの間に配置される十分な容量の独立した保持チャンバを含む。気相反応物質は、まずこの保持チャンバ内に流され、予め定められた圧力のしきい値に達するまでその中に貯蔵されてよい。この保持チャンバは、要求に応じて真空チャンバに即座にガス流を与え、昇華に伴う「待機時間」を短縮する役割を果たす。チャンバの内側表面上での気相反応物質の凝結を回避しつつ、より高圧での貯蔵を可能にするように、保持チャンバの壁を加熱することができる。さらに、保持チャンバは、真空チャンバ内への気相反応物質の再現可能な送出を実現するために、質量流量制御装置などの流量調整デバイスを備えてよい。気相反応物質の昇華を促進するために、供給用器内において、多孔質アルミニウムなどの熱伝導性材料の孔中に気相反応物質を分散してよい。
【0113】
別の実施形態において、エッチャント容器は、工場の生産環境内において作動中の複数の真空チャンバからの任意の1つまたは複数に連結することができるように、移動カートの上に設置される。また、移動カートは、弁、電子制御装置、保持チャンバ、真空ポンプおよび、種々の真空チャンバへの連結を容易にするためのある長さの真空ベローズを任意に組み込んでよい。また、カートは、工場の安全性を高めるために、毒物排除システムに通気された筐体で包囲してよい。したがって、移動カートは、イオン注入装置などの製造用真空装置の予定メンテナンス期間の間に真空チャンバの洗浄を可能にするように、必要に応じて工場中を移動することができる。
【0114】
好ましい一実施形態において、本発明は、半導体製造ツールの少なくとも1つのコンポーネントを洗浄する方法に関し、前記方法は、
(a)エッチャント容器から半導体製造ツールの真空チャンバ内へエッチャントガスを導入することと、
(b)真空チャンバ内で予め定められた特徴が達成されると、真空チャンバ内へのエッチャントガスの導入を終了することと、
(c)十分な時間の間、真空チャンバ内で残留物にエッチャントガスを反応させて、真空チャンバの内側部分または真空チャンバ内に含まれる少なくとも1つのコンポーネントから残留物を少なくとも部分的に除去することと
を含み、残留物および真空チャンバの内側部分が異なる物質を含む場合には、エッチャントガスは、真空チャンバ内で残留物と選択的に反応し、真空チャンバの内側部分または真空チャンバ内に含まれるコンポーネントとは実質的に反応しない。真空チャンバ内へのエッチャントガスの導入の終了を決定するための予め定められた特徴は、温度、圧力、種の測定値などの特徴にもとづくことができる。
【0115】
真空チャンバ内の残留物と、真空チャンバの内側部分または真空チャンバ内に含まれるコンポーネントとが同一の物質を含む場合、エッチャントガスは、残留物と、および真空チャンバの内側部分または真空チャンバ内に含まれるコンポーネントと、同様の速度で反応し得る。しかし、好ましい一実施形態では、真空チャンバ内の残留物と、真空チャンバの内側部分または真空チャンバ内に含まれるコンポーネントとが同一の物質を含む場合に、エッチングガスは、残留物の形態(例えばより高い表面積部分)により、チャンバまたはチャンバ内のコンポーネントに比べてより高速で残留物と反応する。
【0116】
真空チャンバ内が所望の圧力に達すると、真空チャンバは、シールされ、気相反応物質は、十分な時間の間および十分な条件下において反応して、真空チャンバおよび真空チャンバ内に含まれるコンポーネントから残留物を少なくとも部分的に除去することが可能となる。次いで、真空チャンバを排気することが可能であり、洗浄プロセスは必要に応じて反復される。さらに、排気ガス混合物は、化学吸着層および/または物理吸着層、焼却装置、ウェットスクラバあるいはそれらの組合せを含む(それらに限定されない)減少化ユニットに誘導することができる。
【0117】
内圧、時間および反復洗浄回数は、当業者が容易に決定することができる。残留物洗浄の性質および程度は、所望の残留物除去結果をもたらすプロセス条件を特定するように、時間および/または気相反応物質の接触条件(温度、圧力、濃度および分圧など)を変更しつつ、経験的に決定することができる。例えば、真空チャンバ内でのXeF組成物の分圧は、約0.1Torrから約4.0Torr、好ましくは約0.3Torrから約2.0Torrであってよく、洗浄時間は約1分から約4分であってよく、これは、約2回から約100回反復してよい。好ましくは、XeFの分圧は、約2.0Torrであり、洗浄時間は、約0.1分から約1.0分である。洗浄中の真空チャンバ内の圧力は、圧力が洗浄反応の進行と共に徐々に上昇し、反応が終了した場合には上昇が止まる(圧力変動がゼロになる)はずであるので、注意深くモニタリングすべきである点が重要である。
【0118】
気相反応物質および他の反応副生成物の濃度を測定するために残留ガスを使用してよく、またこれは、洗浄プロセスの進行をモニタリングするためにも有用である場合がある。図3に概略的に図示される残留ガス分析計(RGA)は、真空チャンバに装着することができ、残留物除去反応の副生成物をモニタリングするために使用することができる。RGAは、1amuから100amuの、1amuから200amuの、または1amuから300amuの分析計であってよく、最も好ましくは1amuから300amuの分析計であってよい。
【0119】
活性化が予期されるが、気相反応物質はエネルギーによる活性化なしに反応すると好ましい。したがって、環境に応じて約0℃から約1000℃の範囲内の温度での洗浄が予期されるが、効率的な洗浄を室温にて実施することが可能である。
【0120】
堆積物が、システムの1つまたは複数のコンポーネントを構成する物質と同一物質である場合、洗浄温度は、堆積が生じる温度よりも低くすべきである。温度に対するWおよびFの気相は、図9のように提示されるグラフにおけるものと対応する(グラフは、非特許文献3から再現されたものである)。温度が上昇すると、WおよびFの割合が変化することが理解されよう。具体的には、高いW/F比を有するタングステンフッ化物の量が、約1000Kで始まる温度と共に急激に減少し、同時に、遊離フッ素原子(F)およびフッ素分子(F)の分圧が、温度と共に上昇する。したがって、システムが、低温および高温の両方において限られた量のフッ素を有する場合に、気相におけるタングステンの濃度は、ある中程度の温度時よりも低くなる。低温の場合には、気相のタングステンの減少は、フッ素量の多いタングステンフッ化物(例えばWF、WFおよびWFなど)の形成のためにフッ素が消費されることによって生じる。高温の場合、大量のフッ素が、遊離FまたはF種として存在する。この現象は、中程度温度領域(「高温」スポット)から低温度領域および高温度領域の両方(「低温」スポットおよびフィラメント)へのタングステンの移送に起因するものである。アークチャンバ内にプラズマが存在することにより、タングステンの移送は、フィラメント上での堆積のみが強まり、一方で低温度領域上でのタングステンの堆積がプラズマによるイオン衝撃により妨げられるように変えられる。したがって、フィラメントの洗浄は、タングステンの再堆積を防ぐために、低温の範囲内で実施しなければならない。好ましくは、洗浄は、約0℃から約1000℃の範囲内で実施される。より好ましくは、洗浄は、ほぼ室温から約800Kの範囲内で実施される。
【0121】
したがって、除去すべき残留物がシステムのコンポーネントの物質と異なる場合に、気相反応物質がイオン源領域コンポーネントの構成物質と実質的に反応しないことを確実にするように、プロセスパラメータを選択する。本明細書において使用される際に、「実質的に反応しない」は、気相反応物質全体の約5%未満、好ましくは約2%未満、最も好ましくは約1%未満がイオン源領域のコンポーネントと反応することに相当する。
【0122】
図1は、本発明の一実施形態による、静的モード洗浄を実現するイオン注入装置システム10の概略図である。
【0123】
図1に図示される注入装置システム10のイオン源領域は、真空チャンバ100、アークチャンバ16、加速電極14、減速電極12、陰極18、対陰極20および仕切弁110を含む。洗浄組成物を保持する洗浄組成物源容器(または「エッチャント容器」とも呼ぶ)80が、専用蒸気供給ライン90によって真空チャンバ100に連通的に連結されてよい。アークチャンバ16内に気相反応物質を導入するために、弁84は、手動によりまたは自動で開かれて、容器80から真空チャンバ100に気相反応物質を流すことを可能にする。気相反応物質源の昇華は、ヒータ線88またはオーブンを含む(それらに限定されない)ヒータ86を使用してエッチャント容器80を加熱することによって補助することができる。また、エッチャントヒータは、抵抗熱法、対流熱法、空気からまたは温源から、加熱ランプからもしくは他の輻射機構からの伝導熱によって、あるいは他の効果的な加熱方法によって、加熱してよい。エッチャント容器ハウジング82の全体を水冷却してよい。
【0124】
代替としては、キャリアガス源44から洗浄ガス供給ライン47中に例えばアルゴンなどのキャリアガスを流しつつ、40のような洗浄組成物源容器からアークチャンバ16内に気相反応物質を導入することができる。このような作動においては、ライン47中の弁42および46が、共に開いている。容器40内の気相反応物質を加熱し、または蒸発させて、気相の洗浄剤をアークチャンバおよび真空チャンバに流すことが可能である。
【0125】
さらなる代替形態としては、弁46を閉鎖することによりキャリアガス源44を切り離し、それにより供給ライン47中に、真空チャンバ100内のアークチャンバ16の方へと気相反応物質を流してよい。その作動の間、弁42は開いている。ライン47中で気相反応物質(図1中のXeF)と混合させるために追加の洗浄ガスをガス注入ライン22中に導入して、多成分洗浄ガスを形成してよい。代替として、洗浄プロセスの間、例えばガス注入ライン中の弁(図示せず)を閉鎖することによって、ガス注入ラインを閉鎖してよい。
【0126】
通常のイオン注入作動の際には、ドーパントガスが、ガス注入ライン22中にアークチャンバ16内へと流される。
【0127】
したがって、気相反応物質は、混合物のない形態で、あるいは例えばキャリアガスまたは第2のもしくは他の洗浄ガスなどの別のガス種と組み合わされた形態で、アークチャンバへ、真空チャンバへ導入することができる。
【0128】
図1には図示されないが、保持チャンバが、エッチャント容器と真空チャンバまたはアークチャンバとの間に置かれてよい。
【0129】
洗浄すべきチャンバの内側部分から残留物を少なくとも部分的に除去した後に、弁92を開き、ポンプ96を使用して排出ライン94を介してガスを排気する。
【0130】
これにより、図1のシステム10は、滞留洗浄モードで作動するように適合され、真空チャンバは、シールされ、真空ポンプ96は、切り離されまたは止められ、気相反応物質は、予め定められた圧力に達するまでチャンバ内に導入される。その後、気相反応物質は、堆積物と反応し、真空チャンバ100、アークチャンバ16および真空チャンバ内の他のコンポーネントの化学反応洗浄を行う。洗浄反応が必要な度合に達すると、反応洗浄剤ガス(非反応性ガス、キャリアガス、反応副生成物ガス、真空チャンバ内でシステムコンポーネントからイン−サイチュ生成されるガスなど)は、真空チャンバから排出される。
【0131】
滞留洗浄モードは、システム10を低温状態にして、すなわち真空チャンバおよびその内部のコンポーネントを加熱しない状態で、および室温(例えば20℃〜40℃の範囲内の温度)で実施することが可能であり、それにより、洗浄組成物は、そのような室温で真空チャンバおよびその内部のコンポーネントの洗浄を行うために導入される。代替として、滞留洗浄モード作動は、フィラメントとアークチャンバ本体との間にアーク電圧を印加することなくフィラメントに通電することによってイオン源(アークチャンバ)を高温状態にして実施することが可能であり、これによりフィラメントは、プラズマを生じさせることなく気相反応物質を加熱する。しかし、上述で説明したように、除去すべき残留物がシステムの1つまたは複数のコンポーネントの物質と同一である場合、洗浄は、残留物が形成された温度よりも低温で実施される。
【0132】
洗浄組成物が真空チャンバ内に導入されると、チャンバはシールされ、洗浄組成物は、所望の度合の洗浄作用を実現するのに適当な時間の間、チャンバ内に保持される。洗浄作動が完了した後に真空チャンバから洗浄ガス廃物を真空ポンプで抽出することに加えて、排気によって、例えば廃物が除去されるまでチャンバ全体にわたる不活性ガスまたは他のガスをポンプ吸出することによって、洗浄ガス廃物を洗浄されたチャンバから除去してもよい。
【0133】
チャンバ100が完全にシールされないが、弁92がチャンバ100内の圧力に応答して制御される制御可能な孔を有する弁である洗浄モードは、ポンプ吸出/除去サイクルを必要とせずに一定の洗浄圧力を達成する。
【0134】
したがって、一実施形態において、本発明は、注入チャンバまたは洗浄すべき他のコンポーネント内に洗浄剤の連続流を供給する。さらに、チャンバ内の圧力は、チャンバの排出部上の圧力調整弁により調整することが可能である。このような圧力調整は、パルス式または正弦波式であってよい。チャンバからの排出量を調整することにより、比較的一定な洗浄剤の分圧を保つことができる。このように、高い反応速度が維持されポンプ吸出/除去サイクルを反復する必要性が回避される。この実施形態は、洗浄ガスが絶えず流れて、基板表面上により高い質量伝達速度で洗浄剤を供給するため、境界物質層の厚さが低減されるというさらなる利点を提供する。この実施形態において使用される弁は、当技術において知られる、チャンバからの排出量を調整するのに適当な任意のタイプのものであってよい。
【0135】
別の実施形態において、チャンバへの洗浄ガスの流入を可能にする注入弁は、チャンバ内への洗浄ガスの流入もまた調整し得るように、調節可能なものであってよい。
【0136】
このような連続洗浄は、反応時間の短縮、副生成物種の蓄積の減少、ならびにターボポンプおよび/または任意のパージガス(例えばN)を止める必要性なしに可能なシステム洗浄などの利点を提供することができる。これは、ターボポンプをオンおよびオフするサイクルがその寿命を著しく低下させる場合があり、実際に、洗浄作動を実施するためにポンプを止めることにより作動の制御の複雑性が増し、注入および洗浄プロセスの全体的な所要時間が増加するので、当技術において望ましい。
【0137】
(気相反応物質の連続モード送出)
動的モードとも呼ばれる連続モードにおいて、気相反応物質は、殆どの化学洗浄がアークチャンバ内でまたはその付近で行われるように、真空チャンバ内を低圧(10−2Torr未満、および好ましくは10−4Torr未満)に保ち、アークチャンバ内をより高圧(10−2Torr超、および好ましくは0.1Torr未満)にする高速真空ポンプ吸引によって、真空チャンバを通り(好ましくはアークチャンバを通り)流される。
【0138】
連続モードは多様な様式で実施することが可能である。第1の方式である「連続プラズマ作動」では、気相反応物質は、アークがオンの間にアークチャンバを通り流され、プラズマが生成される。第2の方式である「イオン源低温作動」では、気相反応物質は、チャンバが低温である間にアークチャンバを通り流され、アークはオフであり、それによりプラズマは生成されない。第3の方式である「イオン源高温作動」では、気相反応物質は、フィラメントが通電されるがアーク電圧が印加されず、それによりフィラメントがプラズマを生じさせることなくアークチャンバを加熱する状態で、アークチャンバを通り流される。
【0139】
このように、イオン源が作動中である間に洗浄蒸気をイオン注入装置に導入し、それによって、結果的に生じるプラズマにより洗浄を行うことができる。洗浄蒸気は、通常のイオン注入作動の間にシステムが洗浄を受けるように、ドーパント種と共に同時に導入することが可能である。しかし、堆積物がタングステンまたはモリブデンを含む場合には、洗浄は、システムが作動して通常のイオン注入を実施している時には行われない。
【0140】
代替として、独立した洗浄プラズマを使用して、ドーパント種を交換する間にイオン源を洗浄することが可能である。
【0141】
また、イオン源は、それが作動していない間に化学洗浄することが可能である。その場合、洗浄蒸気は、プラズマを用いずに低温のイオン源の洗浄が可能でなければならない。蒸気が、プラズマによる活性化なしに洗浄することができない場合には、独立したプラズマラジカル源をイオン注入装置の外部に補わなければならない。
【0142】
洗浄蒸気が、その進入ポイントからアークチャンバを通って流れ、イオン注入装置のポンプ排気マニホルドを介して出ているときに、チャンバ内の堆積物の最高レベルの除去が、主に蒸気の流路に沿って行われる。
【0143】
特定の一実施形態において、洗浄剤組成物を中に配されたエッチャント容器が、真空チャンバにまたはアークチャンバに直接または間接的に、連通的に装着され、少なくとも1つの弁が、エッチャント容器と洗浄すべきチャンバ(または複数のチャンバ)との間の洗浄ガス流路中に配設される。エッチャント容器内の気相反応物質に重ねて不活性キャリアガスを連続的に流すようにして、洗浄するチャンバに安定的な気相反応物質流を送出することができる。キャリアガスの流速、エッチャント容器の温度、および洗浄時間は、当業者により容易に決定される経験的なパラメータである。滞留モードと同様に、保持チャンバが、エッチャント容器と洗浄すべきチャンバとの間に置かれてよい。
【0144】
洗浄組成物を保持するエッチャント容器がアークチャンバに連通的に連結される連続洗浄モードの一例が、図2に図示され、システム10の対応するコンポーネントは、上述の図1のシステムの同一または同様のコンポーネントに対応して参照番号を付される。
【0145】
図2のシステム10において、洗浄組成物を保持するエッチャント容器122は、弁130を中に含むガス排出ラインによりマニホルド137に連通的に連結され、さらにマニホルド137は、アークチャンバ16内にガスを流すために、アークチャンバ16に結合されたガス注入ライン139に接合される。
【0146】
この構成において、エッチャント容器122は、源ガスボックス120内に含まれる。また、源ガスボックス120は、ガス容器124、126、128を収容し、1つまたは複数のその容器124、126、128の中に例えばドーパント源ガス、不活性キャリアガス、追加の洗浄ガスなどを含んでよい。ガス容器124は、弁132を中に含むガス排出ラインによりマニホルド137に接合され、ガス容器126は、弁134を中に含むガス排出ラインによりマニホルド137に接合され、ガス容器128は、弁136を中に含むガス排出ラインによりマニホルド137に接合される。
【0147】
マニホルド137に接合されるガス排出ライン中の種々の弁130、132、134、136は、図2のシステムの特定の実施形態において望ましく適切であり得る、空気弁、電磁弁などを含む任意の適切なタイプのものであることが可能である。そのような弁は、プラズマ生成の間に(アークチャンバへのドーパント源ガス流条件間におよび/またはドーパント源ガス流不在条件間に)、あるいはプラズマ不在条件(イオン源高温条件および/またはイオン源低温条件を含む)間に連続モード洗浄を実行するサイクル時間プログラムまたは他のシーケンスにしたがって弁130、132、134、136をプログラム可能な態様で調整する、例えばマイクロプロセッサ、プログラマブル論理制御装置、汎用プログラマブルコンピュータまたは他のCPU装置などの中央演算処理装置(CPU)に、適切な弁アクチュエータによって結合することが可能である。
【0148】
真空チャンバ100を通してガスを流す際に、真空チャンバからのガスの回収は、排出弁92、ポンプ96および排出ライン94により実施される。一例としては、容器122が洗浄ガスを保持してよく、容器124が不活性キャリアガスを保持してよく、容器126が第2の洗浄ガスを保持してよく、容器128がドーパント源ガスを保持してよい。このような構成において、容器128内のドーパントガスは、アークチャンバを通り流れて、プラズマ生成条件下でドーパント種を生成することができる。同時に、またはその後に、洗浄ガス、キャリアガスおよび第2の洗浄ガスが、アークチャンバを通り流れて、アークチャンバのイン−サイチュ洗浄を行うことができる。ポンプ96は、その流れの最中に弁92が開かれた状態で作動して、真空チャンバ100からのガスのポンプ吸出を行う。
【0149】
本明細書において予期される不活性ガスとしては、アルゴン、窒素、キセノンおよびヘリウムが含まれるが、それらに限定されない。さらに代替としては、図1の実施形態における滞留モードに関して先に説明されたヒータを使用してエッチャント容器122を加熱することによる昇華補助が含まれる。図2の実施形態は、異なる変更形態において、真空チャンバ100と流体連通結合される第2の洗浄ガス源を提供されて、例えば連続モード洗浄が洗浄の主要モードとして実施され、真空チャンバが滞留モード洗浄を定期的に受ける場合のように、滞留モード洗浄および連続モード洗浄の両方を実施するために真空チャンバへの洗浄ガスの追加的な進入を可能にすることが認識されよう。
【0150】
排出ライン94は、真空チャンバからの排気ガスの1つまたは複数の成分の濃度を感知し、洗浄プロセスの終点を示唆する対応する出力を生成するようになされる終点モニタリングユニットに結合することができる。このような終点モニタリング装置は、先に説明された任意の適切なタイプのものが可能である。
【0151】
(パルス式圧力洗浄)
パルス式圧力モード送出において、イオン注入システムの洗浄は、システムの反応室内の圧力を変化させることにより行われる。一実施形態において、このシステムは、反応室の出口に調整弁を含む。したがって、このパルス式圧力洗浄は、反応室に一定の洗浄組成物流を提供することにより、および調整弁の設定を変更して、所望に応じて反応室内の圧力の変更を実現することにより、実施することができる。また、パルス式圧力洗浄は、調整弁を予め定められた固定設定にし、反応室に洗浄組成物の変動流を供給することによって、反応室内の圧力が変化するように、実施することができる。
【0152】
(気相反応物質の直接導入モード送出)
直接導入モードにおいて、予め測定された量の例えばペレット形態のXeFなどの洗浄剤組成物が、シールされた真空チャンバ内に導入される。XeFは、真空チャンバ内で完全に昇華し、XeFは、十分な時間の間および十分な条件下において反応して、イオン源領域のコンポーネントから残留物を少なくとも部分的に除去することが可能となる。エッチャントの量および洗浄の所要時間は、当業者により容易に決定される。機械式分配のための方法、すなわちエッチャント容器の使用は、当業者により容易に図られる。洗浄するチャンバの内側部分からの残留物の少なくとも部分的な除去に続き、本明細書の図1の実施形態におけるポンプ96、排出弁94および排出ライン94の使用に関連して説明されたものと同様の態様で、ポンプを作動し、ガス排気ライン中の流量調整弁を開くことにより、真空チャンバから洗浄廃物ガスを排気することが可能である。直接導入洗浄は、必要に応じて反復することができる。
【0153】
本発明の別の実施形態において、気相反応物質は、例えば三フッ化窒素(NF)蒸気を含む。NFは、半導体産業において、例えばCVDリアクタのイン−サイチュチャンバ洗浄などのプラズマエッチング用のフッ素源として使用される。他の適用例が、多結晶シリコン、ケイ素、窒化物、タングステン、ケイ化物およびタングステンの膜のエッチングを含む。具体的には、NFは、プラズマ中で、フッ素基および/またはフッ化物イオンなどの反応性ハロゲン化物種に分解し、前記反応性ハロゲン化物種は、その後除去すべき残留物と反応する。例えば、残留物がホウ素を含む場合に、洗浄は、以下の反応(8)または(9)にしたがって生じ得る。
3F(g)+2B(s)→2BF(g) (8)
3F(g)+B(s)→BF(g) (9)
【0154】
イオン源領域におけるイン−サイチュ洗浄のために、イオン源領域にNF化合物を送出するために、図3を参照として以下でさらに十分に説明される直接解離プラズマ技術を含む多様な技術を使用することが可能である。
【0155】
(気相反応物質の直接解離モード送出)
直接解離プラズマ構成においては、図3の概略的な構成において例証的に図示されるように、NF源222が、アークチャンバ210に連通的に連結され、弁220がそれらの間に置かれる。直接解離プラズマ送出プロセスは、イオン洗浄種が生成されるように洗浄組成物の解離を実行するのに十分なプラズマ条件に洗浄組成物をさらすことを含む。
【0156】
図3のシステムにおいて、NF源は、反応ガス注入管218に連通的に結合され、反応ガス注入管218により、例えばBFなどの反応ドーパントが、アークチャンバ210に導入される。この流れ回路の構成により、他のイオン源ドーパント物質と同時にNFを導入することが可能となる。しかし、アークチャンバ内へのNFの導入の他の手段が、例えば専用のNF注入ラインによるNFの導入などの代替の実施形態で予期される。
【0157】
洗浄の際に、NFは、アークチャンバ210に進入し、フッ化物イオンが、既にあるプラズマ装置(例えばフィラメント212、陰極214および対陰極216)を使用して、またはアークチャンバ210内に設けられた何らかの追加的な電子構成部品を使用して生成される。ガス注入管218または他の希釈剤導入流れ回路によりアークチャンバに希釈ガスを添加して、高反応性フッ化物イオンを希釈することができる。
【0158】
この目的のために、アークチャンバ内へのNFの流速、希釈ガス量、チャンバの圧力、および洗浄の所要時間などのパラメータが、当業者により容易に決定される。また、複数の圧力および流速が予期され、種々の圧力および流速を順次使用して、種々のプラズマ形状と、その結果としての種々の濃度プロファイルとを実行する。種々のプロファイルは、アークチャンバの種々の区域、すなわち外方隅部の洗浄に対して有効である場合がある。チャンバの内側部分からの残留物の少なくとも部分的な除去に続き、ガスが排出ラインを介して排気され、任意に減じられる。
【0159】
NFに加えて、直接解離プラズマ導入モードを使用する導入のために予期される追加の洗浄ガスとしては、XeF、XeF、XeF、IF、IF、KrF、SF、C、CF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、ならびにCOCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClなどの有機塩化物が含まれる。
【0160】
洗浄ガスが、直接解離プラズマ導入モードを使用して源アークチャンバ内に導入される場合、イオンが、源プラズマから引き出されて、アークチャンバの洗浄以外の有用な目的のために使用することができる。例えばXeFプラズマまたは他のキセノンフッ化物プラズマから引き出されるXeイオンは、シリコンウェーハ中に注入することができ、ここで、Xeイオンは高質量であるため、Xeイオンは注入された領域中のシリコン結晶格子をアモルファス化するのに特に効果的であり、このことは、いくつかの注入プロセスにとっていくつかの利点を有する。
【0161】
代替としては、またはさらには、例えばXeFプラズマなどのキセノンフッ化物プラズマから引き出されるXeイオンは、壁、孔、注入ホルダおよびディスクなどの内側面をスパッタ洗浄するために使用することができる。Xeによるスパッタ洗浄は、第1のドーパント種から第2のドーパント種に注入装置の種を変更する際に使用することができる。Xeイオンは高質量であるため、Xeイオンは、第1の注入の際に壁、孔、注入ホルダ、およびディスク中に注入された第1の種のドーパント原子による、第2の種を有する注入物の相互汚染を回避する際に特に効果的である。
【0162】
本発明の別の実施形態において、反応性ハロゲン化物ガスは、例えばATMI, Inc. (Danbury, Connecticut, USA)より市販されるVAC(登録商標)源容器より送出されるフッ素である。フッ素は、極度に腐食性のガスであり、熱または電気による活性化により、または熱または電気による活性化なしに使用することが可能である。活性化なしで、フッ素ガスは、イオン源領域に直接入ることが可能であり、ガスは、十分な時間の間および十分な条件下において自然に反応して、残留物を少なくとも部分的に除去することが可能である。付加的な活性化が必要である場合には、コンポーネントを加熱してまたは高温の状態におき、ガスが十分な時間の間反応して残留物を少なくとも部分的に除去することが可能となるようにしてよい。代替としては、プラズマが、アークチャンバ内で生成されて(先に説明されたように)、フッ素の活性化をさらに誘起してよい。
【0163】
別の実施形態において、本発明は、同一のドーパント源ガスを伴う、または連続的なイオン生成プロセスにおいて他の種々のドーパントガスを伴う、連続的なイオン生成プロセス間のイオン源洗浄の方法に関する。この方法は、プラズマを用いてまたは用いずに、そのようなプロセス間に、XeFあるいは他のキセノンフッ化物(または複数の他のキセノンフッ化物)あるいは他の反応性ハロゲン化物(または複数の他の反応性ハロゲン化物)をイオン源に通して流すことを含む。
【0164】
本明細書において説明される実施形態は、新規に製造されたイオン注入ツールに直接実装することができ、または、代替としては、既に使用されている注入装置に本明細書で説明される洗浄システムを容易に追加設置することができる。
【0165】
他の一実施形態において、エッチャントガス(洗浄組成物)は、例えばBFなどの注入種と混合することができ、それによりエッチングおよび注入が同時に行うことができるようになり、これは、停止時間の短縮および追加の高額な送出システムの不要という点において費用効率が高い。しかし、堆積物がタングステンまたはモリブデンを含む場合には、エッチングおよび注入は同時には実施されない。
【0166】
本発明の様々な実施形態における本発明の利点は、(i)イオン注入システムのイオン源領域中の不要な残留物の選択的な洗浄、(ii)プラズマにより誘起される遊離基の使用なしに残留物を洗浄し、それによりイオン源領域のコンポーネントに対する損傷を最小限に抑える能力、および(iii)室温を含む効率的な洗浄温度を含むが、それらに限定されない。本発明の洗浄技術を使用してのイオン源領域からの残留物除去は、イオン源グリッチおよび引出アーキングを低減し、それによりイオン注入装置のより安定的な作動に寄与する。さらに、イオン源の寿命およびMTBFは延び、それに伴って予防用メンテナンスのコストおよび時間を縮小する。
【0167】
本発明の広範な実施範囲内におけるイオン注入システムの洗浄の頻度および/または連続度合は、幅広く多様であってよく、ある特定のイオン注入システムのために必要であるまたは望ましい洗浄の特定のスケジュールは、本明細書における開示にもとづき、当業者が容易に決定することが可能であることが認識されよう。
【0168】
例として、本発明によるいくつかの特定の実施形態においては、イオン源領域の静的イン−サイチュ洗浄を週に約1〜2回行うことが可能であるが、洗浄の回数は、イオン注入装置が使用される頻度に応じてより多くてもまたはより少なくてもよい。典型的には、洗浄作動全体の長さは、約1時間であるが、洗浄時間は、特定の適用例においてはより長くてもまたはより短くてもよい。イオン源領域の動的イン−サイチュ洗浄を日に約1〜2回行うことができるが、洗浄の回数は、イオン注入装置が使用される頻度に応じてより多くてもまたはより少なくてもよい。典型的には、洗浄作動全体の長さは、約10分であるが、洗浄時間は、特定の適用例においてはより長くてもまたはより短くてもよい。
【0169】
本発明の別の実施形態においては、蒸気相を使用してのイオン源領域のオフライン(エクス−サイチュ)洗浄が使用される。この実施形態では、(例えばグラファイト含有コンポーネントなどの)易損性の、イオン注入装置の任意のパーツからのコンポーネントをオフライン洗浄することができ、それにより、粗い研磨材または液体などの従来のオフラインクリーナにさらす必要性がなくなる。研磨剤は、易損性のコンポーネントに損傷を与えるおそれがあり、洗浄の際に易損性のコンポーネントの孔内に進入する液体は、イオン源領域のポンプダウンの際に、孔からポンプ吸出しなければならないため、蒸気相物質を使用してのオフライン洗浄は、当技術における進歩である。
【0170】
エクス−サイチュ洗浄プロセスにおいて、イオン源または任意の他の電源が切られ、それに関連する隔離弁が閉鎖され、イオン源または他の真空チャンバが常圧に通気される。イオン源領域は、洗浄すべきコンポーネントをイオン源領域から取り外す前に、室温に冷却させられると好ましい。
【0171】
次いで、洗浄すべき真空システムのコンポーネントは、注入装置から取り外され、単純なポンプシステムおよび弁を備える独立したオフライン真空チャンバ内に配置される。エッチャントガスが、十分な時間の間および十分な条件下においてオフライン真空チャンバ内に導入されて、コンポーネントから残留物を少なくとも部分的に除去する。各洗浄段階の後に、毒性の副生成物が、減少化ユニットへポンプ吸出されて、毒性の蒸気を適切に処分する。洗浄は、エクス−サイチュ環境において、連続的なポンプ吸出/除去サイクルにより、または上述で説明した連続流洗浄プロセスにより実施することができる。この実施形態において、イオン注入システムのコンポーネントは、洗浄容器内に入れられ、洗浄ガス流は、排出弁および/または注入弁により調整される。そのため、洗浄剤および任意の副生成物の分圧を調整することができ、反応速度を調整することができ、所望に応じて上昇させるまたは低下させることができる。オフライン真空チャンバは、製造工場内にて例えば約10〜12台などの多数のイオン注入装置に適応可能な独立型ユニットであると好ましい。
【0172】
図4は、XeFを用いて洗浄するように構成されたプロセスシステム300の概略図であり、洗浄作動の効力および特性を評価し、特定の適用例に対する洗浄作動の効力および特性を最適化するために使用し得る構成を示す。
【0173】
図示されるように、このシステム300は、サンプルチップ304を含むプロセスチャンバ302に結合されるXeF源312を含む。図示されるプロセスチャンバ302は、4つのポートを有する。第1のポートは、図4において矢印Aにより概略的に示されるアルゴンキャリアガス源に結合されるガス供給ライン308に結合される。供給ライン308は、質量流量制御装置306と、流量調整弁V3、V4、V5とを含む。ガス供給ライン308に合流するのは、分岐供給ライン310であり、分岐供給ライン310はさらに、本実施形態ではXeFを含む洗浄ガス源312に結合される。分岐供給ライン310は、流量調整弁V1およびV2を含む。これらの様々な弁の中で、弁V2およびV4は、被作動弁、すなわち自動作動のための弁アクチュエータを備える弁であってよく、V1は手動弁であってよく、システムの所与の実装における必要に応じてまたは所望に応じて、手動により、自動的にまたは他の様式により、多様な弁を配置構成し作動させることが可能であることが認められている。
【0174】
プロセスチャンバ302の第2のポートは、2つの枝部を有する管316に結合され、第1の枝部は圧力逃がし弁318に結合され、第2の枝部は圧力計320に結合される。
【0175】
プロセスチャンバ302の第3のポートは、被作動弁V6に結合され、被作動弁V6はさらに、導管330によってターボポンプ324に接合される。ターボポンプ324は、機械式ポンプ326と相互に連結される。機械式ポンプ326は、化学吸着材料を含むハウジングを備えるスクラバ328に接合される排出ライン332にガスを排出する。
【0176】
スクラバ328には、矢印Dにより示される方向にスクラバガス流を流すための廃物ライン341が配設される。
【0177】
プロセスチャンバ302の第4のポートは、スクラバ328に結合される廃物排出ライン340に接合される。廃物排出ライン340は、残留ガス分析装置用質量分析計342、残留ガス分析装置用ターボポンプ344および残留ガス分析装置用バッキングポンプ346をその中に有する。プロセスチャンバの第4のポートから廃物排出ライン340中に排出される廃物は、スクラバ328の方へと矢印BおよびCのそれぞれにより示される方向に廃物排出ライン340中を流れる。
【0178】
図4に図示されるように、作動において、アルゴンガスは、アルゴンキャリアガス源Aから、開いている流量調整弁V3、V4、V5と質量流量制御装置306とを通り、供給ライン308中に流れることができる。XeFは、洗浄ガス源312から分岐供給ライン310およびガス供給ライン308中へと、開かれた弁V1およびV2を通り流れ、プロセスチャンバ302に進入する。プロセスチャンバ302内の圧力は、プロセスチャンバ302内の予め定められた圧力を達成するように圧力逃がし弁318によって維持され、圧力計320によってモニタリングされる。
【0179】
洗浄廃物ガスが、プロセスチャンバ302から導管330を通りターボポンプ324および機械式ポンプ326の方に、スクラバ328へと流れ、最終的には廃物ライン341の方に、大気へまたは他の処理手段へと排出される。
【0180】
廃物が、プロセスチャンバ302から同時に回収され、廃物の分析を行うために、廃物排出ライン340中に、残留ガス分析装置用質量分析計342、残留ガス分析装置用ターボポンプ344および残留ガス分析装置用バッキングポンプ346を通り流される。次いで、分析された廃物は、廃物排出ライン340中をスクラバ328へと流れ、その後システムから廃物ライン341中へ排出される。
【0181】
(CVDシステム)
一実施形態において、本発明は、CVDシステムの1つまたは複数のコンポーネントから堆積関連堆積物を少なくとも部分的に除去するための、CVDシステムの1つまたは複数のコンポーネントを洗浄する方法に関する。この方法は、堆積物の少なくとも部分的な前記除去を行うために、堆積物に気相反応物質を反応させることが可能となる条件下において、気相反応物質を含む洗浄組成物にそのような1つまたは複数のコンポーネントを接触させることを含む。
【0182】
本明細書において使用される際に、「堆積関連堆積物」は、CVDシステムの通常作動を妨げ得る任意の物質の堆積物を指す。気相反応物質が反応する堆積関連堆積物は、CVDリアクタまたは他のCVDプロセス装置内で形成され蓄積されるような堆積関連堆積物を含む、任意の適切なタイプのものであることが可能である。堆積する物質としては、ケイ素、ホウ素、リン、ゲルマニウム、ヒ素、タングステン、モリブデン、セレン、アンチモン、インジウム、タンタルおよび炭素が含まれてよく、それらが包含されよく、それらから主としてなるものであってよく、あるいはそれらからなるものであってよい。
【0183】
一実施形態においてこの方法において使用される気相反応物質は、ガス状ハロゲン化物であり、このガス状ハロゲン化物としては、例えばXeF、XeF、XeF、NF、IF、IF、SF、C、F、CF、KrF、Cl、HCl、CIF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、Cからなる群から選択されるハロゲン化物、ならびにCOCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClなどの有機塩化物などの任意の適切なハロゲン化物が含まれてよい。一実施形態では、気相反応物質として、NF、CF、KrF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、ならびにCOCl、CCl、CHCl、CHCl、CHCl、HOBrおよびBrなどの有機塩化物からなる群より選択されるハロゲン化物が含まれる。
【0184】
気相反応物質と堆積物との反応を可能にする条件としては、気相反応物質が基板から除去すべき物質と化学的に相互に作用して、その物質を除去する、温度、圧力、流速、組成などの任意の適切な条件が含まれてよい。使用することのできる様々な条件の例としては、イオン注入システムの洗浄に関連して上述で説明されたものが含まれる。
【0185】
本発明の方法によって、残留物または粒子の蓄積を被るCVDシステムの任意のコンポーネントを洗浄することができる。一般的には、CVDシステムは、堆積すべき蒸気の前駆物質含有源、この源からリアクタに案内する配管および弁、リアクタ、ならびにリアクタから外へ案内する排気手段などの要素を含み得る。また、リアクタは、前駆物質を分配するためのディスペンサ、サセプタおよび基板を含んでよい。本明細書において使用される際に、リアクタは、「反応室」とも同義的に呼ばれる場合がある。また、リアクタは、加熱システムおよび温度センサを含んでよい。排気手段は、リアクタから外へ案内する弁および配管ならびに/あるいは、蒸気が反応室内に逆行する前に蒸気を誘い込み、リアクタから蒸気を除去するように設計されたトラップを含んでよい。
【0186】
一般的に、ある前駆物質は、CVDプロセス中に分解し、CVDシステムのコンポーネントの上に堆積する。一方で、前駆物質は、CVDシステムの1つまたは複数のコンポーネントの物質と反応し、システム内の他の箇所にその物質を堆積させる可能性がある。この堆積は、ディスペンサ(本明細書においては「シャワーヘッド」とも呼ぶ)、サセプタ、基板の下流のリアクタならびに、排気手段に案内する弁の表面の上に、最も普通に見られる。ある前駆物質は、他の前駆物質以上に分解し、平均的な前駆物質に比べてより多い堆積物および残留物を残す。また、このような前駆物質は、前駆物質含有源、リアクタに案内する配管および弁ならびに、シャワーヘッドの上方またはディスペンサの内部の任意の混合容積部分の上に、堆積物および残留物を残すことがある。
【0187】
前駆物質源は、蒸気の形態でシステムの残りの部分に前駆物質を供給する。気化は、当技術において既知の任意のタイプの気化器を使用して行うことができる。例えば、気化器は、ProEVapシステムのフラッシュ気化器、バブラであってよい。他の気化器および源のタイプが、当業者に知られている。したがって、源の上への堆積は、使用される気化器のタイプにかかわらず、気化器の上への堆積を含んでよい。
【0188】
CVDシステムの構成部品上に残留物および堆積物をもたらすことのある、このシステムで使用される前駆物質は、CVDに適し、当業者に知られている任意の前駆物質を含んでよい。
【0189】
したがって、本発明は、前駆物質自体もしくは任意の反応生成物からもたらされる、または生成物自体による残留物あるいは堆積物を含むCVDシステムの任意のコンポーネントを洗浄することが可能な方法を提供する。また、この洗浄方法は、システムのコンポーネント自体との前駆物質の反応からもたらされる任意の堆積物を洗浄することが可能である。
【0190】
具体的には、一実施形態において、本発明は、十分な時間の間および十分な条件下において、例えばXeF、XeF、XeF、NF、F、XeF、SF、C、CF、IF、IF、KrF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、ならびにCOCl、CCl、CHCl、CHCl、およびCHClなどの有機塩化物などの気相反応性ハロゲン化物に、リアクタおよび/または他のコンポーネントを接触させて、コンポーネントから残留物を少なくとも部分的に除去する、ならびに、残留物とコンポーネントを構成する物質とが異なる場合には、残留物がCVDシステムのコンポーネントを構成する物質に対して選択的に除去されるが、残留物とコンポーネントを構成する物質とが同一である場合には、残留物とコンポーネントを構成する少なくとも幾分かの物質との両方を除去するような態様でコンポーネントから残留物を少なくとも部分的に除去することにより、CVDシステムおよびその中に含まれるコンポーネントから残留物をイン−サイチュ除去することに関する。
【0191】
別の実施形態では、CVDシステムのコンポーネントは、CVDシステムからコンポーネントが移される独立した専用チャンバ内で、エクス−サイチュ洗浄される。
【0192】
さらに詳細にイン−サイチュ洗浄を考察すると、そのような洗浄は、3つの要素、すなわち洗浄前駆物質の反応特性、洗浄反応副生成物の揮発性および、化学洗浄において使用される反応条件に主に依拠する。洗浄組成物は、システムの構成物質の損耗を最小限に抑えつつ、不要な残留物を除去しなければならない。洗浄反応により生成される副生成物は、システムからのそれらの除去を容易にするのに十分な揮発性を有するものでなければならない。
【0193】
リアクタ領域中でイン−サイチュ洗浄を行うために、リアクタ領域に例えばXeFを含む組成物などの気相反応組成物を送出するいくつかのモードは、イオン注入システムの洗浄を参照として上述においてさらに十分に説明される。これらのモードとしては、滞留モード、連続モードおよび直接導入モードが含まれる。本明細書においては、好ましい洗浄剤物質としてXeF組成物が参照されるが、XeF、XeF、SF、C、IF、IF、KrF、CF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、ならびにCOCl、CCl、CHCl、CHCl、およびCHClなどの有機塩化物を含むがそれらに限定されない、他のキセノンフッ化物および他の反応性ハロゲン化物組成物を使用し得ることが理解されよう。気相反応物質は、反応性ハロゲン化物(または複数の反応性ハロゲン化物)を含んでよく、それから主になるものであってよく、またはそれからなるものであってよいことをさらに指摘しておく。
【0194】
CVDシステムの温度設定および圧力設定は、洗浄の際に、システムの洗浄を最適化するために変更することができる。
【0195】
本発明の特徴および利点を、以下の非限定的な例によってさらに十分に示す。
【実施例1】
【0196】
顕微鏡用スライドガラス上へのアルミニウム、ホウ素、タングステンおよびケイ素の電子ビーム蒸着を使用して、試験サンプルを用意した。スライドガラス上の底層のバリア膜としてアルミニウムを使用し、いくつかのサンプルは、保護シリコン層でキャッピングし、他のサンプルは、キャッピングせずにおき、酸化させた。その後、本明細書の図4を参照として示され説明されるタイプのエクス−サイチュリアクタ内にこれらの試験サンプルを配置し、室温にて、300〜400mTorrの圧力で、16回の1分パルスエッチングサイクルの間、試験サンプルのエッチングを実施した。
【0197】
図5は、アルミニウム基層からのホウ素残留物の除去におけるXeFの効力を示す、時間に対するRGAトレースである。パルスエッチングサイクルは、図5のRGA圧力グラフ中のピークにより示される。
【0198】
RGAにより、500nmのホウ素が上に堆積した500nmのアルミニウム基層を有するスライドガラスからのホウ素の除去が測定された。シリコンキャッピング層がないため、エッチングに先立ち、酸化層がホウ素に形成されている可能性があった。XeFエッチングプロセスにより、約4回のサイクルで殆どのホウ素が除去され、それに付随して未反応のXeFが増加したが、これは、ホウ素の除去が低下したまたは完全に停止したことを示唆する。
【0199】
図5は、エッチングに先立ち酸化層が上に形成された場合でも、本発明のXeFシステムおよび方法の使用によりホウ素層が容易に除去されたことを示す。
【0200】
図6は、RGAにより測定された、150nmのタングステンが上に堆積した500nmのアルミニウム基層を有するスライドガラスからのタングステンの除去を示す。シリコンキャッピング層がないため、エッチングに先立ち、酸化層がタングステンに形成されている可能性があった。タングステン合成物は、RGAにより観察されなかったが、モニタリングされたものは、WFであった可能性がある。
【実施例2】
【0201】
図7および図8は、モリブデン製アークチャンバを有する単一フィラメントバーナス型源と、分析されるビームのファラデーカップ測定を用いる80°分析磁石とを含むイオン源試験装置にもとづいてとられたデータを示す。室温にて作動するXeFのシリンダをガスボックス内に設置し、従来の高伝導性のガスラインを用いてXeFのシリンダをイオン源に連結した。
【0202】
図7は、イオン源の安定性を改善するためのXeFのプラズマの使用を示す、時間に対するビーム電流mAのグラフである。イオン源を、そのビーム電流の規格限界で、約12時間の間、BFのプラズマを伴い作動させたが、このビーム電流の規格限界は、約10mAの11の分析されるビームに相当する。図7に示されるビーム電流の測定を開始すると、イオン源は、50kVの引出電圧で著しい不安定性を呈し、この不安定性は、電圧を40kVに下げることにより大きく改善された。予想しなかったことには、XeFのプラズマを20分間放出した後に、イオン源は、さらに約2時間の間はるかに安定的に作動した。
【0203】
このような安定性の改善の仕組みに関していかなる理論または仮説によって限定されることも我々は望まないが、この改善は、源絶縁体からまたはイオン注入装置の高電圧ギャップからのいずれかから堆積物を除去するXeFのプラズマの能力によるところのものであり得る。
【0204】
図8は、低温イオン源用の洗浄剤としてのXeFの使用を示す、時間に対するRGAの分圧(対数−Torr)のグラフである。図8は、イオン源の直上の源真空チャンバの上に配置されるRGAユニットによる測定値を示す。この場合、先にBFから高電流Bビームを放出していた低温イオン源を通して、約2時間の間、XeFの蒸気が流された。ホウ素のエッチングによるBFおよびBFのRGAピークが、グラフにおいて明らかに理解されよう。モリブデン製アークチャンバのエッチングによるMoFの強度は、BFの強度に比べて約1/100の低さである。XeFは測定の初めに非常に消費され、信号はその後上昇することが理解されよう。6000秒後にXeF流を中止し、この時点でエッチングが停止するまで、グラフはホウ素の連続エッチングに関して安定的である。
【実施例3】
【0205】
上述の実施例1は、XeFがスライドガラス上のアルミニウム上のタングステンに反応しないことを示すが、実際的なイオン注入システムに関して、XeFは、フッ化した供給原料ガスにシステムのコンポーネント(具体的にはアークチャンバ)が反応することにより生成されるタングステンの堆積物の効果的な洗浄剤であることが分かっている。
【0206】
52時間の間、最大Bビーム電流で、BFの供給原料を用いてにバーナス型源を作動させた。バーナス型源を取り外し、堆積物に覆われた2つのアルミナ製反射電極絶縁体を取り外した。洗浄前に、両絶縁体を計量した。絶縁体1(ブッシング)の重量は、洗浄前には6.1676gであり、絶縁体2(スペーサ)の重量は、洗浄前には7.0662gであった。エクス−サイチュ真空チャンバ内にこれらの2つの絶縁体を配置し、最大約3Torrの圧力で、XeFを用いて、11回の充填/通気サイクルを使用して洗浄した。各サイクルの長さは約10分間であった。各サイクルにおいて使用したXeFの質量は約0.10gであった。
【0207】
洗浄サイクルを実施する間、RGAスペクトルを継続的に測定した(図10)。各サイクルの後にIRスペクトルを測定した(図11)。
【0208】
サイクルの完了時に、両絶縁体を再び計量した。絶縁体1(ブッシング)の重量は、洗浄後には6.1583gであり、絶縁体2(スペーサ)の重量は、洗浄後には7.0371gであった。したがって、絶縁体1は、洗浄により0.0093g軽くなり、0.2%の損失であり、絶縁体には洗浄により0.0291g軽くなり、0.4%の損失であった。したがって、約0.11gのXeF(単一のサイクル)により、両絶縁体から合計0.0358gのタングステンの堆積物が除去されたことが判明した。
【0209】
絶縁体の上の堆積物は、ホウ素を含まず(図12)、堆積物の主要成分は、タングステンおよび炭素(炭素のデータは本明細書には示さない)であることが判明した。0.0358gのタングステンの汚染物質が、単一のサイクルで、室温でのXeFエッチングによって容易に除去された(図13)が、炭素の堆積物は、全11回のサイクル内に、室温で絶縁体から除去することができなかった。アルミナ製の絶縁体とXeFとの反応は、全く観察されなかった。
【実施例4】
【0210】
新規の未使用のグラファイト製反射電極板の重量は5.179gであった。バーナス型源の中にこのプレートを配置し、次いで52時間の間、最大Bビーム電流で、BFの供給原料を用いてバーナス型源を作動させた。バーナス型源を取り外し、堆積物に覆われた反射電極板を取り外した。反射電極板を洗浄前に計量し、その重量は7.019gであった。エクス−サイチュ真空チャンバ内にプレートを配置し、約2〜3Torrの圧力で、XeFを用いて、52回の充填/通気サイクルを使用して洗浄した。各サイクルの長さは約10分であった。使用したXeFの質量は約4.62gであった。
【0211】
洗浄サイクルを実施する間、圧力を継続的に測定した(図14)。各サイクルの後にIRスペクトルを測定した。IRの結果の梗概が図15に示され、図16〜図18は、それぞれBF領域、XeF領域およびWF領域からのスペクトルのより詳細な図を示す。
【0212】
サイクルの完了時に、プレートを再び計量し、その重量は5.424gであった。したがって、プレートはエッチングにより1.667g軽くなった。したがって、約4.60gのXeFにより、プレートから合計約1.667gの堆積物が除去されたことが判明した。
【0213】
反射電極上の堆積物は、タングステンの割合が高く(約99%)、例えばホウ素などの他の存在物質は、1%未満の量で存在することが判明した。XeFの使用率は、約90%と高いことが分かった。図19は、グラファイト製反射電極のXeFサイクルエッチングの間の、BF、XeFおよびWFの相対的な濃度プロファイルを表す。
【0214】
また、この実験結果は、XeFエッチングにより、グラファイト製イオン源から、大量に堆積したタングステンおよびホウ素の汚染物質を除去することが可能であることを示す。ホウ素のXeFエッチングの生成物は、BFであり、タングステンのXeFエッチングの生成物は、WFである。グラファイト製反射電極自体とXeFとの反応は、全く観察されなかった。したがって、静的洗浄では、高いXeFの使用率が実現可能である。
【0215】
本明細書において、種々の特定の実施形態を参照として本発明が説明されたが、本発明はそれらに限定されず、当業者により予期される様々な他の修正形態および実施形態に及び、それらを包含することが理解されよう。したがって、本発明は、確定的な特許請求の範囲にしたがって、広く解釈され、意味を汲まれるように意図される。
【図面の簡単な説明】
【0216】
【図1】本発明の一実施形態による静的モード洗浄を実現するイオン注入装置システムの概略図である。
【図2】本発明の別の実施形態による動的モード洗浄を実現するイオン注入装置システムの概略図である。
【図3】本発明のさらに別の実施形態による直接解離プラズマ洗浄を実現するイオン注入装置システムの概略図である。
【図4】XeFを用いて洗浄するように構成されたプロセスシステムの概略図である。
【図5】顕微鏡用スライドガラス上のアルミニウム基層からのホウ素残留物の除去におけるXeFの効力を示す、時間に対するRGAトレースである。
【図6】顕微鏡用スライドガラス上のアルミニウム基層上のタングステン層に対するXeFの反応性を示す、時間に対するRGAトレースである。
【図7】イオン源の安定性を改善するXeFのプラズマの使用を示す、時間に対するビーム電流mAのグラフである。
【図8】低温イオン源用の洗浄剤としてのXeFの使用を示す、時間(秒)に対するRGAの分圧のグラフである。
【図9】温度に対するWおよびFの気相のグラフである。
【図10】2つの反射電極絶縁体の洗浄用の洗浄剤としてのXeFの使用を示す、時間(分)に対するRGAの分圧のグラフである。
【図11】2つの反射電極絶縁体のXeF洗浄における、反応生成物のIRスペクトルのWF領域を示す図である。
【図12】2つの反射電極絶縁体のXeF洗浄における、BF領域の質量スペクトルを示す図である。
【図13】2つの反射電極絶縁体のXeF洗浄における、時間(分)に対する5つのポイントの平均ピーク強度のグラフである。
【図14】グラファイト製反射電極板の洗浄用の洗浄剤としてのXeFの使用における、時間(秒)に対する圧力のグラフである。
【図15】グラファイト製反射電極板のXeF洗浄における、反応生成物のIRスペクトルを示す図である。
【図16】グラファイト製反射電極板のXeF洗浄における、反応生成物のIRスペクトルのBF領域を示す図である。
【図17】グラファイト製反射電極板のXeF洗浄における、反応生成物のIRスペクトルのXeF領域を示す図である。
【図18】グラファイト製反射電極板のXeF洗浄における、反応生成物のIRスペクトルのWF領域を示す図である。
【図19】グラファイト製反射電極板のXeF洗浄における、BF、XeFおよびWFの相対的な濃度プロファイルのグラフである。
【符号の説明】
【0217】
10 イオン注入装置システム
12 減速電極
14 加速電極
16 アークチャンバ
18 陰極
20 対陰極
22 ガス注入ライン
40 洗浄組成物容器
42 弁
44 キャリアガス源
46 弁
47 洗浄ガス供給ライン
80 洗浄組成物源容器、エッチャント容器
82 エッチャント容器ハウジング
84 弁
86 ヒータ
88 ヒータ線
90 専用蒸気供給ライン
92 弁
94 排出ライン
96 ポンプ
100 真空チャンバ
110 仕切弁
120 源ガスボックス
122 エッチャント容器
124 ガス容器
126 ガス容器
128 ガス容器
130 弁
132 弁
134 弁
136 弁
137 マニホルド
139 ガス注入ライン
210 アークチャンバ
212 フィラメント
214 陰極
216 対陰極
218 反応ガス注入管
220 弁
222 NF
300 プロセスシステム
302 プロセスチャンバ
304 サンプルチップ
306 質量流量制御装置
308 ガス供給ライン
310 分岐供給ライン
312 XeF源、洗浄ガス源
316 2つの枝部を有する管
318 圧力逃がし弁
320 圧力計
324 ターボポンプ
326 機械式ポンプ
328 スクラバ
330 導管
332 排出ライン
340 廃物排出ライン
341 廃物ライン
342 残留ガス分析装置用質量分析計
344 残留ガス分析装置用ターボポンプ
346 残留ガス分析装置用バッキングポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)洗浄組成物源容器から、洗浄すべき少なくとも1つのコンポーネントを備える半導体処理システムの少なくとも一部分内に気相反応物質を導入するステップと、
(b)前記システムの前記少なくとも一部分内において予め定められた特徴が達成されると、前記システムの前記少なくとも一部分内への前記気相反応物質の導入を終了するステップと、
(c)前記洗浄すべき少なくとも1つのコンポーネントから前記残留物を少なくとも部分的に除去するために十分な時間の間、前記システムの前記少なくとも一部分内で残留物と前記気相反応物質とを反応させるステップと
を含み、前記気相反応物質は、前記少なくとも1つのコンポーネント上の前記残留物と選択的に反応する、半導体処理システムの少なくとも1つのコンポーネントを洗浄する方法。
【請求項2】
前記半導体処理システムはイオン注入装置である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンポーネントは前記イオン注入装置のイオン源領域のコンポーネントである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記イオン源領域内のイオン源が、傍熱型陰極源、フリーマン型源およびバーナス型源からなる群から選択される源を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコンポーネントは、真空チャンバ、アークチャンバ、電極、フィラメント、高電圧ブッシング、磁石導波管、ウェーハ処理コンポーネント、クランプリング、ホイールおよびディスクからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記気相反応物質は、XeF、XeF、XeF、NF、IF、IF、KrF、SF、C、F、CF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、COCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClからなる群から選択されるガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記気相反応物質はXeFを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記残留物は、ケイ素、ホウ素、リン、ゲルマニウム、ヒ素、タングステン、モリブデン、セレン、アンチモン、インジウム、タンタルおよび炭素からなる群から選択される元素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記予め定められた特徴は、予め定められた圧力、予め定められた時間の経過、予め定められた濃度、予め定められた副生成物の発現、予め定められた反応生成物の発現、予め定められた種の発現から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記予め定められた圧力は減圧である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記予め定められた圧力は、約0.1Torrから約4.0Torrまでの分圧である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記予め定められた時間は、約0.1分から約5分までである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記気相反応物質は、前記残留物が前記コンポーネントを構成する物質と異なる場合には、前記コンポーネントを構成する物質と実質的に反応せず、前記気相反応物質は、前記残留物が前記コンポーネントを構成する物質と同一である場合には、前記少なくとも1つのコンポーネント上の前記残留物および前記コンポーネントを構成する前記物質の両方と反応する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
(d)反応させる前記ステップの完了に続いて前記システムを排気するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップ(a)から前記ステップ(d)までを少なくとも1回反復するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記洗浄組成物源容器は、気相反応物質源を収容し、前記洗浄組成物源容器は、前記気相反応物質源の前記気相反応物質への物理的転換速度を上昇させるように、ヒータにより加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ヒータは、オーブン、ヒータ線または加熱ランプを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
不活性ガスが、前記システムの前記少なくとも一部分に前記気相反応物質を移送するために、前記洗浄組成物源容器内に導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記不活性ガスは、アルゴン、窒素、キセノンおよびヘリウムからなる群から選択されるガスを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記洗浄組成物源容器は、前記真空チャンバ内に配置される、または前記システムの真空チャンバの上流に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記洗浄組成物源容器は、前記真空チャンバ内で前記気相反応物質を生成するために、予め測定された量の気相反応物質源を収容する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記気相反応物質源は、固体または液体である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記気相反応物質源は、ペレット状のXeFである、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記残留物と前記気相反応物質とを反応させる前記ステップは、エネルギーによる活性化なしに引き起こされる、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
(a)洗浄組成物源容器から、イオン源領域の真空チャンバ内に気相物質を導入するステップと、
(b)前記真空チャンバ内において予め定められた圧力が達成されると、前記真空チャンバ内への前記気相物質の導入を終了するステップと、
(c)前記真空チャンバ内のプラズマを使用して、前記真空チャンバ内で前記気相反応物質を反応性ハロゲン化物種に分解するステップと、
(d)前記真空チャンバから前記残留物を少なくとも部分的に除去するためにある十分な時間の間、前記真空チャンバ内で残留物と前記反応性ハロゲン化物種とを反応させるステップと
を含む、半導体処理システムのイオン源領域を洗浄する方法。
【請求項26】
前記気相反応物質は、XeF、XeF、XeF、NF、IF、IF、KrF、SF、C、F、CF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、COCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClからなる群から選択される物質を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
(a)洗浄すべき少なくとも1つのコンポーネントが、連通的に連結され、前記洗浄すべき少なくとも1つのコンポーネントの上流に位置し、気相反応物質を中に配する洗浄組成物源と、
(b)前記洗浄組成物源と前記洗浄すべき少なくとも1つのコンポーネントとの間の弁と
を備える、半導体処理システムの少なくとも1つのコンポーネントを洗浄するための装置。
【請求項28】
前記気相反応物質は、XeF、XeF、NF、IF、IF、SF、C、F、CF、KrF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、COCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClからなる群から選択される合成物を含む、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記少なくとも1つのコンポーネントは、真空チャンバ、アークチャンバ、電極、フィラメント、高電圧ブッシング、磁石導波管、ウェーハ処理コンポーネント、クランプリング、ホイールおよびディスクからなる群から選択される、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記コンポーネントは、イオン注入装置のイオン源領域のコンポーネントである、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記イオン源領域内のイオン源が、傍熱型陰極源、フリーマン型源およびバーナス型源からなる群から選択される源を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
(a)エクス−サイチュ(ex−situ)真空チャンバ内に半導体処理システムの少なくとも1つのコンポーネントを配置するステップと、
(b)洗浄組成物源容器から前記エクス−サイチュ真空チャンバ内に気相反応物質を導入するステップと、
(c)前記真空チャンバ内において予め定められた特徴が達成されると、前記真空チャンバ内への前記気相反応物質の導入を終了するステップと、
(d)前記真空チャンバ内に含まれる前記少なくとも1つのコンポーネントから前記残留物を少なくとも部分的に除去するために十分な時間の間、前記真空チャンバ内で残留物と前記気相反応物質とを反応させるステップと
を含み、前記気相反応物質は、前記少なくとも1つのコンポーネント上の前記残留物と選択的に反応する、半導体処理システムの少なくとも1つのコンポーネントをエクス−サイチュ洗浄する方法。
【請求項33】
前記半導体処理システムはイオン注入装置である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記コンポーネントは、イオン源領域からのものである、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記イオン源領域は、傍熱型陰極源、フリーマン型源およびバーナス型源からなる群から選択されるイオン源を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1つのコンポーネントは、真空チャンバ、アークチャンバ、電極、フィラメント、高電圧ブッシング、磁石導波管、ウェーハ処理コンポーネント、クランプリング、ホイールおよびディスクからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記気相反応物質は、XeF、XeF、XeF、NF、IF、IF、SF、C、F、CF、KrF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、COCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClからなる群から選択されるガスを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記気相反応物質はXeFを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記残留物は、ケイ素、ホウ素、リン、ゲルマニウム、ヒ素、タングステン、モリブデン、セレン、アンチモン、インジウム、タンタルおよび炭素からなる群から選択される元素を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記予め定められた特徴は、予め定められた圧力、予め定められた時間の経過、予め定められた濃度、予め定められた副生成物の発現、予め定められた反応生成物の発現、予め定められた種の発現から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
前記予め定められた圧力は減圧である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記予め定められた圧力は、約0.1Torrから約4.0Torrまでである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記予め定められた時間は、約0.1分から約5分までである、請求項32に記載の方法。
【請求項44】
前記気相反応物質は、前記残留物が前記真空チャンバまたは前記コンポーネントのいずれかを構成する物質と異なる場合には、前記真空チャンバまたは前記コンポーネントのいずれかを構成する物質と実質的に反応せず、前記気相反応物質は、前記残留物が前記真空チャンバまたは前記コンポーネントのいずれかを構成する物質と同一である場合には、前記少なくとも1つのコンポーネント上の前記残留物と、前記真空チャンバまたは前記コンポーネントのいずれかを構成する前記物質との両方と反応する、請求項32に記載の方法。
【請求項45】
(e)反応させる前記ステップの完了に続いて前記真空チャンバを排気するステップ
をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記ステップ(b)から前記ステップ(e)までを少なくとも1回反復するステップをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
1つまたは複数のコンポーネントからイオン化関連堆積物を少なくとも部分的に除去するための、イオン注入システムの1つまたは複数のコンポーネントを洗浄する方法であって、前記方法が、前記少なくとも部分的な除去を行うように気相反応物質と前記堆積物との反応を可能にする条件下において、前記1つまたは複数のコンポーネントと前記気相反応物質を含む洗浄組成物とを接触させるステップを含む方法。
【請求項48】
前記気相反応物質は、XeF、XeF、XeF、NF、IF、IF、KrF、SF、C、F、CF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、COCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClからなる群から選択されるガスを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記気相反応物質はXeFを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記条件は室温を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記条件は室温を上回る温度を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記条件はプラズマの存在を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項53】
前記条件はプラズマの不在を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項54】
静的モード洗浄を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項55】
前記1つまたは複数のコンポーネントの温度は室温である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記1つまたは複数のコンポーネントの温度は室温を上回る温度である、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記条件はプラズマの不在を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
動的洗浄を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項59】
前記1つまたは複数のコンポーネントの温度は室温である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記1つまたは複数のコンポーネントの温度は室温を上回る温度である、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記条件はプラズマの存在を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記条件はプラズマの不在を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項63】
前記イオン化関連堆積物はドーパント源ガスのプラズマに由来し、ガス状ハロゲン化物はXeFを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項64】
前記イオン注入システムは、プラズマイオン注入および分子イオン注入からなる群から選択されるイオン注入プロセスを実施するように構成される、請求項47に記載の方法。
【請求項65】
イオン注入システムにおけるイオン注入処理の間にイオン化関連堆積物が上に蓄積される1つまたは複数のコンポーネントを含むイオン注入システムと、前記堆積物に洗浄組成物を接触させることを伴う洗浄条件下において前記1つまたは複数のコンポーネントからの前記堆積物の少なくとも部分的な除去を行うように、前記堆積物と反応する気相反応物質を含む前記洗浄組成物を収容する洗浄組成物源、前記洗浄条件下において、前記1つまたは複数のコンポーネントに接触させるために前記洗浄組成物源から前記1つまたは複数のコンポーネントに前記洗浄組成物を移送するように構成される流れ回路および、前記洗浄条件の間に前記流れ回路を通る前記洗浄組成物の流れを制御して、前記1つまたは複数のコンポーネントからの前記堆積物の前記少なくとも部分的な除去を行うように構成される流れ構成部品を含む、洗浄アセンブリとを備える、イオン注入および洗浄アセンブリ。
【請求項66】
前記洗浄組成物源は、XeF、XeF、XeF、NF、IF、IF、KrF、SF、C、F、CF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、COCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClからなる群から選択される気相反応物質を含む洗浄組成物を収容する、請求項65に記載のアセンブリ。
【請求項67】
前記洗浄組成物源は、XeFを含む洗浄組成物を収容する、請求項65に記載のアセンブリ。
【請求項68】
前記流れ構成部品は、弁、弁アクチュエータ、ポンプ、質量流量制御装置、圧力計、残留ガス分析器および中央演算処理装置からなる群から選択される少なくとも1つのコンポーネントを含む、請求項65に記載のアセンブリ。
【請求項69】
前記流れ構成部品は、室温を含む洗浄条件下において作動するように構成される、請求項65に記載のアセンブリ。
【請求項70】
前記流れ構成部品は、室温を超過する温度を含む洗浄条件下において作動するように構成される、請求項65に記載のアセンブリ。
【請求項71】
前記流れ構成部品は、プラズマの存在を含む洗浄条件下において作動するように構成される、請求項65に記載のアセンブリ。
【請求項72】
前記流れ構成部品は、プラズマの不在を含む洗浄条件下において作動するように構成される、請求項65に記載のアセンブリ。
【請求項73】
前記流れ構成部品は、静的モード洗浄を行うように構成される、請求項65に記載のアセンブリ。
【請求項74】
前記流れ構成部品は、室温を含む洗浄条件下において作動するように構成される、請求項73に記載のアセンブリ。
【請求項75】
前記流れ構成部品は、室温を上回る温度を含む洗浄条件下において作動するように構成される、請求項73に記載のアセンブリ。
【請求項76】
前記流れ構成部品は、プラズマの不在を含む洗浄条件下において作動するように構成される、請求項73に記載のアセンブリ。
【請求項77】
前記流れ構成部品は、動的洗浄を行うように構成される、請求項65に記載のアセンブリ。
【請求項78】
前記流れ構成部品は、室温を含む洗浄条件下において作動するように構成される、請求項77に記載のアセンブリ。
【請求項79】
前記流れ構成部品は、室温を上回る温度を含む洗浄条件下において作動するように構成される、請求項77に記載のアセンブリ。
【請求項80】
前記流れ構成部品は、プラズマの不在を含む洗浄条件下において作動するように構成される、請求項77に記載のアセンブリ。
【請求項81】
前記流れ構成部品は、プラズマの存在を含む洗浄条件下において作動するように構成される、請求項77に記載のアセンブリ。
【請求項82】
前記1つまたは複数のコンポーネントは、真空チャンバ、アークチャンバ、電極、フィラメント、高電圧ブッシング、磁石導波管、ウェーハ処理コンポーネント、クランプリング、ホイールおよびディスクからなる群から選択される少なくとも1つのコンポーネントを含む、請求項65に記載のアセンブリ。
【請求項83】
前記1つまたは複数のコンポーネントは、上に堆積物を有し、前記堆積物は、ホウ素、ヒ素、リン、ゲルマニウム、タングステン、モリブデン、セレン、アンチモン、インジウム、タンタルまたは炭素を含む、請求項65に記載のアセンブリ。
【請求項84】
前記イオン注入システムは、アークチャンバと、ドーパント源ガスを含み、前記アークチャンバにドーパント源ガスを供給するように構成されたドーパント源とを含み、前記アークチャンバは、前記ドーパント源から前記アークチャンバに供給されるドーパント源ガスからプラズマを中に生成するように構成され、前記洗浄組成物源内に収容される前記洗浄組成物は、XeFを含み、前記ドーパント源ガスは、BF、AsH、PH、GeF、SiFおよびHSeからなる群より選択されるガスを含む、請求項65に記載のアセンブリ。
【請求項85】
前記流れ回路は、前記洗浄条件下において、前記洗浄組成物源から前記アークチャンバに前記洗浄組成物を移送するように構成される、請求項84に記載のアセンブリ。
【請求項86】
前記アークチャンバは、前記洗浄条件下において前記洗浄組成物源から前記アークチャンバに供給されるXeFからXeFのプラズマを中に生成するように構成される、請求項85に記載のアセンブリ。
【請求項87】
前記イオン注入システムは、プラズマイオン注入および分子イオン注入からなる群から選択されるイオン注入プロセスを実施するように構成される、請求項65に記載のアセンブリ。
【請求項88】
XeFのプラズマを用いてイオン源を洗浄するステップを含む、BF、AsH、PH、GeF、SiFまたはHSeのプラズマを生成するために使用されるイオン源の安定性を向上させる方法。
【請求項89】
ホウ素、ケイ素、ヒ素、リン、ゲルマニウム、タングステン、モリブデン、セレン、アンチモン、インジウム、タンタルおよび炭素のうちの少なくとも1つを含む堆積物を上に有する基板から前記堆積物を除去する方法であって、前記基板から前記堆積物を少なくとも部分的に除去するために十分な時間の間、気相反応物質に前記基板を接触させるステップを含む方法。
【請求項90】
前記堆積物はホウ素を含む、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記基板はアルミニウムおよびタングステンのうちの少なくとも1つを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項92】
接触させる前記ステップは減圧で実施される、請求項89に記載の方法。
【請求項93】
前記基板の滞留モード洗浄を含む、請求項89に記載の方法。
【請求項94】
(i)接触させる前記ステップの間の全圧の変化をモニタリングし、圧力変化がゼロに達した場合に接触させる前記ステップを終了させるステップと、(ii)ガス状XeFまたはそれに由来する反応物質または接触させる前記ステップにおいて生成される反応生成物の分圧をモニタリングし、前記分圧が予め定められた値に達した場合に接触させる前記ステップを終了させるステップとのうちの一方をさらに含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
接触させる前記ステップは、約0℃から約1000℃の範囲内の温度で実施される、請求項89に記載の方法。
【請求項96】
接触させる前記ステップは、前記基板への、キャリアガス中のガス状XeFの移送を含む、請求項89に記載の方法。
【請求項97】
前記ガス状XeFは、接触させる前記ステップの前に加熱される、請求項89に記載の方法。
【請求項98】
接触させる前記ステップは、前記基板への、少なくとも1つの追加の洗浄ガスと混合された状態の前記ガス状XeFの移送を含む、請求項89に記載の方法。
【請求項99】
前記ガス状XeFと前記基板とを接触させる前記ステップは、プラズマ条件下において実施される、請求項89に記載の方法。
【請求項100】
アークチャンバを通して流されるドーパント源ガスからイオン注入システムの前記アークチャンバ内にプラズマを生成して、注入用のドーパント源イオンを生成するステップと、前記ドーパント源ガスが前記アークチャンバを通り流される間の少なくとも一部の時間の間に、前記ドーパント源ガスと同時に前記アークチャンバを通して洗浄ガスを流して、前記イオン注入システム内の洗浄を行うステップとを含み、前記洗浄ガスは、気相反応物質を含む、イオン注入方法。
【請求項101】
前記気相反応物は、XeF、XeF、XeF、NF、IF、IF、KrF、SF、C、F、CF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、COCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClからなる群から選択される少なくとも1つのガスを含む、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記気相反応物質はNFを含む、請求項100に記載の方法。
【請求項103】
シリコン基板中にXeイオンを注入するステップと、その後前記シリコン基板中にドーパントイオンを注入するステップとを含む、ドープシリコン基板を形成する方法。
【請求項104】
ドーパントイオンを注入する前記ステップは、プラズマイオン注入または分子イオン注入により実施される、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
イオン源内にXeFのプラズマを生成して、前記イオン源のスパッタ洗浄に効果的なXeイオンと、前記イオン源の下流のコンポーネントのスパッタ洗浄に効果的なXeイオンとを生成するステップを含む、イオン源を洗浄する方法。
【請求項106】
種々のドーパント源ガスを伴って、連続的なイオン生成プロセス間にイオン源を洗浄する方法であって、プラズマを伴ってまたは伴わずに、前記プロセス間に前記イオン源を通してXeFを流すステップを含む方法。
【請求項107】
同一のドーパント源ガスを伴って、連続的なイオン生成プロセス間にイオン源を洗浄する方法であって、プラズマを伴ってまたは伴わずに、前記プロセス間に前記イオン源を通してXeFを流すステップを含む方法。
【請求項108】
(a)洗浄組成物源から半導体処理システムの真空チャンバ内に気相反応物質を連続的に流すステップと、
(b)前記真空チャンバの内側部分または前記真空チャンバ内に含まれる少なくとも1つのコンポーネントから残留物を少なくとも部分的に除去するために、前記真空チャンバ内で前記残留物に前記気相反応物質を反応させるステップと、
(c)前記チャンバの排出口の調整弁を使用することにより、前記チャンバ内の前記気相反応物質の分圧を調整するステップと
を含み、前記気相反応物質は、前記真空チャンバまたはその中の前記少なくとも1つのコンポーネントの上の前記残留物と選択的に反応する、半導体処理システムの少なくとも1つのコンポーネントを洗浄する方法。
【請求項109】
前記半導体処理システムはイオン注入装置である、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記コンポーネントは、前記イオン注入装置のイオン源領域のコンポーネントである、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記少なくとも1つのコンポーネントは、真空チャンバ、アークチャンバ、電極、フィラメント、高電圧ブッシング、磁石導波管、ウェーハ処理コンポーネント、クランプリング、ホイールおよびディスクからなる群から選択される、請求項108に記載の方法。
【請求項112】
前記気相反応物質は、XeF、XeF、XeF、NF、IF、IF、KrF、SF、C、F、CF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、COCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClからなる群から選択されるガスを含む、請求項108に記載の方法。
【請求項113】
前記残留物は、ケイ素、ホウ素、リン、ゲルマニウム、ヒ素、タングステン、モリブデン、セレン、アンチモン、インジウム、タンタルおよび炭素からなる群より選択される元素を含む、請求項108に記載の方法。
【請求項114】
前記気相反応物質の連続流は、一定速度で流れている、請求項108に記載の方法。
【請求項115】
前記気相反応物質の連続流は、可変速度で流れている、請求項108に記載の方法。
【請求項116】
前記可変流は、前記チャンバの前記排出口の前記調整弁を使用することにより調整される、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記調整弁は圧力調整弁である、請求項108に記載の方法。
【請求項118】
前記気相反応物質は、前記残留物が前記真空チャンバまたは前記コンポーネントのいずれかを構成する物質と異なる場合には、前記真空チャンバまたは前記コンポーネントのいずれかを構成する物質と実質的に反応せず、前記気相反応物質は、前記残留物が前記真空チャンバまたは前記コンポーネントのいずれかを構成する物質と同一である場合には、前記少なくとも1つのコンポーネント上の前記残留物と、前記真空チャンバまたは前記コンポーネントのいずれかを構成する前記物質との両方と反応する、請求項108に記載の方法。
【請求項119】
(a)エクス−サイチュ真空チャンバ内に半導体処理システムの少なくとも1つのコンポーネントを配置するステップと、
(b)洗浄組成物源容器から前記エクス−サイチュ真空チャンバ内に気相反応物質を連続的に流すステップと、
(c)前記真空チャンバ内に含まれる前記少なくとも1つのコンポーネントから残留物を少なくとも部分的に除去するために、前記真空チャンバ内で前記残留物に前記気相反応物質を反応させるステップと、
(d)前記容器の排出口中の調整弁の使用により、前記気相反応物質の分圧を調整するステップと
を含み、前記気相反応物質は、前記真空チャンバまたはその中の前記少なくとも1つのコンポーネントの上の前記残留物と選択的に反応する、半導体処理システムの少なくとも1つのコンポーネントをエクス−サイチュ洗浄する方法。
【請求項120】
前記半導体処理システムはイオン注入装置である、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記コンポーネントは、前記イオン注入装置のイオン源領域のコンポーネントである、請求項119に記載の方法。
【請求項122】
前記少なくとも1つのコンポーネントは、真空チャンバ、アークチャンバ、電極、フィラメント、高電圧ブッシング、磁石導波管、ウェーハ処理コンポーネント、クランプリング、ホイールおよびディスクからなる群から選択される、請求項119に記載の方法。
【請求項123】
前記気相反応物質は、XeF、XeF、XeF、NF、IF、IF、SF、C、F、CF、KrF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、COCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClからなる群から選択されるガスを含む、請求項119に記載の方法。
【請求項124】
前記残留物は、ケイ素、ホウ素、リン、ゲルマニウム、ヒ素、タングステン、モリブデン、セレン、アンチモン、インジウム、タンタルおよび炭素からなる群より選択される元素を含む、請求項119に記載の方法。
【請求項125】
前記気相反応物質の連続流は、可変速度で流れている、請求項119に記載の方法。
【請求項126】
前記可変流は、前記チャンバの前記排出口の前記調整弁を使用することにより調整される、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記調整弁は圧力調整弁である、請求項119に記載の方法。
【請求項128】
前記気相反応物質は、前記残留物が前記真空チャンバまたは前記コンポーネントのいずれかを構成する物質と異なる場合には、前記真空チャンバまたは前記コンポーネントのいずれかを構成する物質と実質的に反応せず、前記気相反応物質は、前記残留物が前記真空チャンバまたは前記コンポーネントのいずれかを構成する物質と同一である場合には、前記少なくとも1つのコンポーネント上の前記残留物と、前記真空チャンバまたは前記コンポーネントのいずれかを構成する前記物質との両方と反応する、請求項119に記載の方法。
【請求項129】
(a)洗浄組成物源容器から半導体処理システムのリアクタ内に気相反応物質を導入するステップと、
(b)前記リアクタ内において予め定められた特徴が達成されると、前記リアクタ内への前記気相反応物質の導入を終了するステップと、
(c)前記リアクタの内側部分または前記リアクタ内に含まれる少なくとも1つのコンポーネントから残留物を少なくとも部分的に除去するために十分な時間の間、前記リアクタ内で前記残留物に前記気相反応物質を反応させるステップと
を含み、前記気相反応物質は、前記残留物と選択的に反応する、半導体処理システムの少なくとも1つのコンポーネントを洗浄する方法。
【請求項130】
前記半導体製造ツールはCVDシステムである、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記気相反応物質は、XeF、XeF、XeF、NF、IF、IF、KrF、SF、C、F、CF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、COCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClからなる群から選択されるガスを含む、請求項129に記載の方法。
【請求項132】
前記予め定められた特徴は、予め定められた圧力、予め定められた時間の経過、予め定められた濃度、予め定められた副生成物の発現、予め定められた反応生成物の発現、予め定められた種の発現から選択される、請求項129に記載の方法。
【請求項133】
前記気相反応物質は、前記残留物と前記リアクタの前記内側部分とが異な物質を含む場合には、前記リアクタの前記内側部分または前記リアクタ内に含まれる前記コンポーネントと実質的に反応せず、前記気相反応物質は、前記残留物と前記リアクタの前記内側部分とが少なくとも1つの同一の物質を含む場合には、前記リアクタ内の前記残留物と、前記リアクタの前記内側部分または前記リアクタ内に含まれる前記コンポーネントとの両方と反応する、請求項129に記載の方法。
【請求項134】
(d)反応させる前記ステップの完了に続いて前記リアクタを排気するステップ
をさらに含む、請求項129に記載の方法。
【請求項135】
前記ステップ(a)から前記ステップ(d)までを少なくとも1回反復するステップをさらに含む、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
CVDシステムにおける堆積処理の間に堆積関連堆積物が上に蓄積される1つまたは複数のコンポーネントを含むCVDシステムと、前記堆積物に洗浄組成物を接触させることを伴う洗浄条件下において前記1つまたは複数のコンポーネントからの前記堆積物の少なくとも部分的な除去を行うように、前記堆積物と反応する気相反応物質を含む前記洗浄組成物を含む洗浄組成物源、前記洗浄条件下において、前記1つまたは複数のコンポーネントに接触させるために前記洗浄組成物源から前記1つまたは複数のコンポーネントに前記洗浄組成物を移送するように構成される流れ回路および、前記洗浄条件の間に前記流れ回路を通る前記洗浄組成物の流れを制御して、前記1つまたは複数のコンポーネントからの前記堆積物の前記少なくとも部分的な除去を行うように構成される流れ構成部品を含む、洗浄アセンブリとを備える、堆積および洗浄アセンブリ。
【請求項137】
前記洗浄組成物源は、XeF、XeF、XeF、NF、IF、IF、KrF、SF、C、F、CF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、COCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClからなる群から選択される少なくとも1つのガスを含む気相反応物質を含む洗浄組成物を収容する、請求項136に記載のアセンブリ。
【請求項138】
前記流れ構成部品は、弁、弁アクチュエータ、ポンプ、質量流量制御装置、圧力計、残留ガス分析器および中央演算処理装置からなる群から選択される少なくとも1つのコンポーネントを含む、請求項137に記載のアセンブリ。
【請求項139】
リアクタに供給される前駆物質から基板上に固体膜を形成するステップと、前記前駆物質が前記リアクタに供給される間の少なくとも一部の時間の間に、CVDシステム内の洗浄を行うために、前記前駆物質と同時に前記リアクタを通して洗浄ガスを流すステップとを含み、前記洗浄ガスは、気相反応物質を含む、CVD方法。
【請求項140】
前記気相反応物質は、XeF、XeF、XeF、NF、IF、IF、KrF、SF、C、F、CF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、COCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClからなる群から選択される少なくとも1つのガスを含む、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
種々の前駆物質を伴って、連続的な堆積プロセス間にCVDシステムを洗浄する方法であって、前記プロセス間にリアクタを通して気相反応物質を流すステップを含む方法。
【請求項142】
同一の前駆物質を伴って、連続的な堆積プロセス間にCVDシステムを洗浄する方法であって、前記プロセス間に源を通して気相反応物質を流すステップを含む方法。
【請求項143】
XeF、XeF、XeF、NF、IF、IF、KrF、SF、C、F、CF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、COCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClからなる群から選択される少なくとも1つのガスを含む気相反応物質を用いて、イオン源または前記イオン源のコンポーネントを洗浄するステップを含む、イオン源の寿命を延ばすための方法。
【請求項144】
XeF、XeF、XeF、NF、IF、IF、KrF、SF、C、F、CF、Cl、HCl、ClF、ClO、N、N、NF、NFH、NHF、HOBr、Br、C、C、C、CHF、CH、CHF、COF、HF、CHF、C、C、C、CF、C、COCl、CCl、CHCl、CHClおよびCHClからなる群から選択される少なくとも1つのガスを含む気相反応物質を用いて、プロセスツールまたは前記プロセスツールのコンポーネントを洗浄するステップを含む、プロセスツールの平均故障間隔(MTBF)を延ばすための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2010−503977(P2010−503977A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507957(P2009−507957)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/067542
【国際公開番号】WO2007/127865
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(500051993)アドバンスト テクノロジー マテリアルズ,インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】