説明

半導体装置の製造方法およびウェハ処理システム

【課題】ドライエッチング加工を行ったウェハにおけるデガスの影響による異物の発生を低減する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、各ウェハ150を略水平にして複数のウェハ150を上下に並べて収容するとともに、側方に設けられたドア104を含む収納容器100に、ドライエッチング加工が行われた複数のウェハを順次収容する工程と、ドア104が開いた状態で、収納容器100に収容すべきすべてのウェハ150が当該収容容器に収容されてから30秒以上、収納容器100内のウェハ150に対して水平方向からパージガスを吹き付ける工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法およびウェハ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エッチング装置等の製造装置でのウェハへの処理を行う際、所定枚数のウェハがたとえばFOUP(Front Opening Unified Pod)等の収納容器に収納されて各製造装置間を搬送される。収納容器が対象の製造装置にロードされると、収納容器のドアが開かれ、ウェハが取り出されて製造装置での処理が行われる。製造装置での処理が終了すると、ウェハが順次収納容器に収容される。すべてのウェハが収納されると、収容容器は密閉されて、次の工程の製造装置に搬送される。従来、このような収容容器内に収容されたウェハに対して、清浄ガス等を吹き付ける処理が行われている(たとえば特許文献1(特開2004−311940号公報))。
【0003】
特許文献2(特開2006−128153号公報)には、FIMS(Front-opening Interface Mechanical Standard)内部における開口部の上部にガス給気パイプを配置し、該パイプより、ポッド内部に収容されたウェハの上面に対して清浄ガスを吹き付けることによって、ウェハからの汚染物質等の除去を行う構成が記載されている。
【0004】
特許文献3(特開2006−351868号公報)には、基板Wを処理する処理部と、複数枚の基板Wを収納する収納容器Cを載置する載置台とを備え、収納容器Cは、収納容器C内の基板Wを略水平にして上下に並べる状態、かつ、収納容器Cに基板Wを搬入出させるための開口を収納容器Cの側方に向けた状態で載置されるようにした構成が記載されている。開口の外側には、ガスを供給する複数のガス供給口が設けられており、各ガス供給口は、収納容器C内の各基板W同士の間に向かって略水平方向にガスを供給する方向に指向されている。これにより、キャリア内に付着したパーティクルやキャリア内のウェハに付着したパーティクルを効果的に除去できるとされている。
【0005】
また、特許文献4(特開2002−261159号公報)には、低誘電率絶縁膜を用いた半導体チップの製造工程において、空気中の水分等を取り除くために、空気清浄器または除湿器を備えた基板搬送容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−311940号公報
【特許文献2】特開2006−128153号公報
【特許文献3】特開2006−351868号公報
【特許文献4】特開2002−261159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、従来、たとえば、ウェハ上に形成された層間絶縁膜に、窒素を含むエッチング阻止膜をストッパとして、配線溝、ビアホールまたはコンタクトホール等の凹部を形成するようなドライエッチング加工を行った場合に、凹部底部に異物が発生するという問題があった。
【0008】
本発明者らは、鋭意検討した結果、このような異物の発生は、ドライエッチング加工で用いるエッチングガスと、被エッチング膜との反応により発生するガス(デガス)の影響であり、デガスの発生直後に他のガスでパージを行って、デガスの濃度を減少させることが異物の低減に効果的であることを見出した。そこで、本発明者らは、エッチング装置での処理が終了して、収容容器に収納されたウェハに対し、パージガスを吹き付ける処理を検討した。
【0009】
その結果、たとえば特許文献2に記載されたように、上部からパージガスを吹き付ける方法では、全ウェハの表面上に均等にパージガスがかからないため、ウェハからのデガスを充分に希釈できず、ビア底部に異物が発生し、改善が必要であった。また、特許文献3に記載されたように、水平方向からパージガスを導入する方法では、上部からパージガスを吹き付けた場合に比べると、異物の発生が低減できたが、一部のウェハにおいては、依然として異物が発生しており、改善が必要であった。また、引用文献4に記載された方法では、搬送途中での水分は除去できるが、発生直後にデガスの濃度を減少させることは考慮されておらず依然として問題があった。さらに、引用文献4に記載された方法では、別途空気清浄器や除湿器等を容器内に設けなければならず、コストがかかるという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、
各ウェハを略水平にして複数のウェハを上下に並べて収容するとともに、側方に設けられたドアを含む収納容器に、ドライエッチング加工が行われた複数のウェハを順次収容する工程と、
前記ドアが開いた状態で、前記収容容器に収容すべきすべてのウェハが当該収容容器に収容されてから30秒以上、前記収容容器内の前記ウェハに対して水平方向からパージガスを吹き付ける工程と、
を含む半導体装置の製造方法が提供される。
【0011】
本発明によれば、
各ウェハを略水平にして複数のウェハを上下に並べて収容するとともに、側方に設けられたドアを含む収納容器に収容された、ドライエッチング加工が行われた直後の複数のウェハに対して、前記ドアが開いた状態で、前記収容容器に収容すべきすべてのウェハが前記収容容器に収容されてから30秒以上、当該水平方向から前記パージガスが吹き付けられるように制御する制御部を含むウェハ処理システムが提供される。
【0012】
従来、特許文献3に記載されたように、ウェハの水平方向からパージガスを導入する方法では、上部からパージガスを吹き付けた場合に比べると、異物の発生が低減できた。しかし、従来は、スループット改善のために、収容容器に収容すべき最後のウェハを収容すると、すぐに収容容器のドアが閉められていた。そのため、収容容器に最後に収容したウェハにおいては、ドライエッチング加工でウェハから発生するデガスの希釈等が充分でなく、異物が発生していた。本発明の構成によれば、ドライエッチング加工が行われた後、収容容器に収容すべき最後のウェハが収容容器に収容されてからも、ウェハに対して水平方向からパージガスが充分吹き付けられるので、ドライエッチング加工でウェハから発生するデガスの希釈や収容容器の雰囲気置換を充分行うことができる。
【0013】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ドライエッチング加工を行ったウェハにおけるデガスの影響による異物の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態におけるウェハ処理システムおよび収納容器の構成を示す平面模式図である。
【図2】図1に示した収納容器の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるエッチング装置が行うドライエッチング加工の一例を示す工程断面図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるエッチング装置が行うドライエッチング加工の他の例を示す工程断面図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるエッチング装置が行うドライエッチング加工の他の例を示す工程断面図である。
【図6】本実施の形態におけるウェハ処理システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図3を参照して説明したシリコン基板等の基板上に形成された層間絶縁膜にデュアルダマシン配線溝を形成する手順を行った際のビアホール底部の下層銅配線上面における異物の発生状況を観察した結果を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるエッチング装置の構成の他の例を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0017】
図1は、本実施の形態におけるウェハ処理システム200および収納容器100の構成を示す平面模式図である。ウェハ処理システム200は、エッチング装置202と、パージガス噴出管210と、ドア移動機構220と、ガス流量制御部230と、および制御部240とを含む。図2は、収納容器100およびパージガス噴出管210の構成を示す断面図である。
【0018】
収納容器100は、側方が解放された収納室102と、収納室102の側方に設けられたドア104とを含む。ドア104は、上下方向にスライドして開閉される構成となっている。収納容器100は、収納室102に、各ウェハ150を略水平にして複数のウェハ150(図2の「1」〜「24」)を上下に並べて収容する。ウェハ150は、収納室102の側方から出し入れされる。収納容器100は、一般的にFOUPといわれるウェハキャリアとすることができる。
【0019】
エッチング装置202は、ウェハ150に対してドライエッチング加工を行う。エッチング装置202は、ウェハローダ(不図示)を付帯しており、収納容器100は、当該ウェハローダにロードされている。ドア移動機構220は、ウェハローダにロードされた収納容器100のドア104の開閉を制御する。本実施の形態において、エッチング装置202において各ウェハ150にドライエッチング加工が行われると、各ウェハは順次収納容器100に回収される。
【0020】
図2に示した例では、「1」のウェハ150から順にドライエッチング加工が行われて順次収納容器100内に回収され、最後に「24」のウェハ150のドライエッチング加工が行われて収納容器100内に回収される。また、エッチング装置202におけるドライエッチング加工は、一度に複数枚のウェハ150に同時に行うようにすることもでき、その場合は、それらのウェハ150が同時に収納容器100内に回収される。
【0021】
パージガス噴出管210は、ウェハローダにロードされた収納容器100内のウェハ150に対して水平方向からパージガスを吹き付ける構成となっている。本実施の形態において、パージガス噴出管210には、複数のパージガス噴出口212が設けられた構成とすることができる。各パージガス噴出口212は、収納容器100内に収容される複数のウェハ150それぞれの上面にパージガスが供給されるような配置とすることができる。ガス流量制御部230は、パージガス噴出管210から噴出されるパージガスの流量を制御する。
【0022】
制御部240は、ドア移動機構220やガス流量制御部230等、ウェハ処理システム200の各構成要素の制御を行う。制御部240の機能については後述する。
【0023】
次に、本実施の形態において、エッチング装置202が行うドライエッチング加工を説明する。本実施の形態において、ドライエッチング加工は、ウェハ150上に形成された層間絶縁膜に、窒素を含むエッチング阻止膜をストッパとして、配線溝、ビアホールまたはコンタクトホール等の凹部を形成する工程を含むことができる。また、他の例として、本実施の形態において、ドライエッチング加工は、ウェハ150上に形成されたアルミニウム膜を所定形状にパターニングする工程を含むことができる。
【0024】
図3は、エッチング装置202が行うドライエッチング加工の一例を示す工程断面図である。ここでは、銅配線を形成するために、シリコン基板等の基板(ウェハ150)上に形成された層間絶縁膜306にデュアルダマシン配線溝326を形成する手順を示す。
【0025】
半導体装置300は、基板(不図示)、当該基板上に形成された層間絶縁膜302、下層銅配線320、さらに層間絶縁膜302および下層銅配線320上にこの順で形成されたエッチング阻止膜304、層間絶縁膜306、および保護絶縁膜308を含む。エッチング阻止膜304は、たとえばSiCN膜とすることができる。ここで、層間絶縁膜306および保護絶縁膜308には、ビアホール322が形成されている。
【0026】
このような半導体装置300に、配線溝を形成するために、保護絶縁膜308上に有機膜310、中間膜312、反射防止膜314、および上層レジスト膜316により構成された多層レジスト膜を形成する。中間膜312は、たとえばシリコン酸化膜とすることができる。上層レジスト膜316には、配線形成用開口部324が形成されている(図3(a))。
【0027】
上層レジスト膜316を用いて、反射防止膜314、中間膜312、有機膜310、保護絶縁膜308、および層間絶縁膜306を順次ドライエッチングして、保護絶縁膜308および層間絶縁膜306に配線溝を形成する。また、ビアホール322底部のエッチング阻止膜304をドライエッチングにより除去する。エッチング終了後、アッシングにより、多層レジスト膜を除去する。これにより、エッチング阻止膜304、層間絶縁膜306、および保護絶縁膜308内に、下層銅配線320に達するデュアルダマシン配線溝326が形成される(図3(b))。ここで、エッチングガスとしては、フッ素を含有するガスをプラズマ励起して用いることができる。
【0028】
ところで、フッ素を含有するエッチングガスを用いて、SiCN膜等窒素を含む膜をエッチングした場合、たとえば下層銅配線320表面に異物が発生することがある。これは、エッチングガスのフッ素と窒素、さらに水の存在によってフッ化アンモニウムが形成され、フッ化アンモニウムによって下層銅配線320表面が汚染されることが原因と考えられる。
【0029】
図4は、エッチング装置202が行うドライエッチング加工の他の例を示す工程断面図である。
ここでは、コンタクトを形成するために、シリコン基板等の基板342(ウェハ150)上に形成された層間絶縁膜346にコンタクトホール358を形成する手順を示す。
【0030】
半導体装置340は、基板342、基板342上に形成されたエッチング阻止膜344、および層間絶縁膜346を含む。このような半導体装置340に、コンタクトホールを形成するために、層間絶縁膜346上に有機膜348、中間膜350、反射防止膜352、および上層レジスト膜354により構成された多層レジスト膜を形成する。中間膜350は、たとえばシリコン酸化膜とすることができる。上層レジスト膜354には、コンタクトホール形成用開口部356が形成されている(図4(a))。
【0031】
上層レジスト膜354を用いて、反射防止膜352、中間膜350、有機膜348、および層間絶縁膜346を順次ドライエッチングして、層間絶縁膜346にコンタクトホール358を形成する。また、コンタクトホール358底部のエッチング阻止膜344をドライエッチングにより除去する。エッチング終了後、アッシングにより、多層レジスト膜を除去する。これにより、エッチング阻止膜344およびコンタクトホール358内に、基板342に達するコンタクトホール358が形成される(図4(b))。ここで、エッチングガスとしては、フッ素を含有するガスをプラズマ励起して用いることができる。
【0032】
このような場合も、エッチング後に、たとえば基板342表面に異物が発生することがある。これは、エッチングガスのフッ素と窒素、さらに水の存在によってフッ化アンモニウムが形成され、フッ化アンモニウムによって基板342表面が汚染されることが原因と考えられる。
【0033】
図5は、エッチング装置202が行うドライエッチング加工の他の例を示す工程断面図である。
ここでは、アルミニウム配線を形成する手順を示す。
【0034】
半導体装置370は、基板(ここでは不図示、ウェハ150に対応)、当該基板上に形成された層間絶縁膜372、TiN/Ti膜374、Al膜376、およびTiN膜378を含む。このような半導体装置370において、TiN膜378、Al膜376、およびTiN/Ti膜374を配線形状にパターニングするために、TiN膜378上に反射防止膜380およびレジスト膜382を形成する。レジスト膜382は、配線形状に形成されている(図5(a))。
【0035】
層間絶縁膜372を用いて、反射防止膜380、TiN膜378、Al膜376、およびTiN/Ti膜374を順次ドライエッチングして、TiN膜378、Al膜376、およびTiN/Ti膜374を配線形状にパターニングする(図5(b))。ここで、エッチングガスとしては、塩素を含有するガスをプラズマ励起して用いることができる。
【0036】
このような場合も、エッチング後に、たとえばAl膜376に異物が発生することがある。これは、エッチングガスの塩素とアルミニウム、さらに水の存在によってHClが形成され、HClによってAl膜376が溶解したことが原因と考えられる。
【0037】
図1および図2戻り、本実施の形態においては、エッチング装置202でのドライエッチング加工が行われた直後のウェハ150が収納容器100に収容されると、ドア104が開いた状態で、ウェハ150に対して水平方向からパージガスを吹き付ける。ウェハ150の水平方向からパージガスが吹き付けられると、図中破線の矢印で示したように、パージガスがウェハ150の上面を移動して、パージガス噴出管210が設けられた箇所とは反対側から排出される。これにより、ウェハ150表面のデガスを均等に除去することができる。
【0038】
本実施の形態において、パージガスとしては、水分濃度が充分小さい、乾燥空気、乾燥酸素、乾燥水素、またはAr、He、窒素等の不活性ガスの乾燥ガスを用いることができる。デガスは大気中に存在する水分との反応により発生するケースが多いため、パージガスとして、水分の少ない乾燥ガスを使用することにより、ウェハ150近傍または収納容器100内部の水分を減少させ、デガスそのものの発生を抑制、異物の発生低減を実現できる。また、パージガスを吹き付けることにより、デガスを希釈することもできる。パージガスの流量は、とくに限定されないが、たとえば、10L/min〜100L/min程度とすることができる。
【0039】
パージガスの吹きつけは、収納容器100に収容すべきすべてのウェハ150が収納容器100に収容されてから所定の時間以上行うことができる。これにより、ウェハ150表面のデガスを希釈することができる。具体的には、本実施の形態において、収納容器100のドア104が開いた状態で、パージガス噴出管210から収納容器100内のウェハ150に対して水平方向からパージガスを吹き付けた状態で、ドア移動機構220がドア104を閉じるタイミングを制御することにより、パージガスを吹き付ける時間を制御する。
【0040】
ここで、制御部240によりこの制御を行うことができる。制御部240は、エッチング装置202でのドライエッチング加工が行われた直後の複数のウェハ150に対して、ドア104が開いた状態で、収納容器100に収容すべきすべてのウェハ150が収納容器100に収容されてから所定の時間以上、収納容器100内のウェハ150に対して水平方向からパージガスが吹き付けられるように制御する。本実施の形態において、所定の時間は、たとえば30秒とすることができる。これにより、ドライエッチング加工でウェハから発生するデガスの希釈や収容容器の雰囲気置換を充分行うことができる。また、所定の時間は、より好ましくは5分とすることができる。これにより、歩留まりを一層向上させることができる。
【0041】
具体的には、本実施の形態において、制御部240は、パージガス噴出管210から収納容器100内のウェハ150に対して水平方向からパージガスを吹き付けた状態で、ドア移動機構220がドア104を閉じるタイミングを制御することにより、パージガスを吹き付ける時間を制御する。
【0042】
制御部240は、コンピュータをこのような手段として機能させるプログラムをコンピュータにインストールすることにより実現することができる。たとえば、制御部240の機能は、ドア開閉信号を出力するソフトウェアのタイマ設定を変更することにより、実現することができる。
【0043】
ウェハ処理システム200の制御部240は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0044】
図6は、本実施の形態におけるウェハ処理システム200の処理手順を示すフローチャートである。
まず、エッチング装置202のウェハローダに収納容器100がロードされる(ステップS100)。次いで、制御部240の制御により、ドア移動機構220が収納容器100のドア104を開く(ステップS102)。なお、本実施の形態においては、少なくともステップS100の収納容器100がエッチング装置202のウェハローダにロードされてから、ステップS116のアンロードまでの間、パージガス噴出管210からウェハ150に対して水平方向からパージガスが流された状態とすることができる。
【0045】
つづいて、エッチング装置202のウェハ移動機構(不図示)により、収納容器100内のウェハ150が順次取り出され(ステップS104)、エッチング装置202においてドライエッチング加工が行われる(ステップS106)。ドライエッチング加工が行われたウェハ150は、順次収納容器100内に収容される(ステップS108)。ここでは、図2に示した「1」のウェハ150から順に、「24」のウェハまでの処理が行われる。
【0046】
制御部240は、収納容器100内に収容すべきすべてのウェハ150が収容されたか否かを判断し(ステップS110)、最後のウェハ150が収容されると(ステップS110のYES)、収納容器100内に収容すべきすべてのウェハ150が収容されてから所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS112)。ここで、所定時間は、30秒以上とすることができる。所定時間経過した場合(ステップS112のYES)、制御部240は、ドア移動機構220を制御して、ドア移動機構220が収納容器100のドア104を閉じる(ステップS114)。この後、収納容器100は、ウェハローダからアンロードされ(ステップS116)、次の工程を行う製造装置に移動される。
【0047】
次に、本実施の形態における半導体装置の製造手順の効果を説明する。
図7は、図3を参照して説明したシリコン基板等の基板(ウェハ150)上に形成された層間絶縁膜306にデュアルダマシン配線溝326を形成する手順を行った際のビアホール322底部の下層銅配線320上面における異物の発生状況を観察した結果を示す図である。図中、「×」は異物の発生が見られ、「××」は「×」よりも異物の発生状況が大きく、「○」は異物の発生が見られなかったことを示す。
【0048】
ここでは、「Slot 1」〜「Slot 24」のウェハ150を、この順でエッチング装置202においてドライエッチング加工を行い、順に収納容器100に回収した。各ウェハ150へのドライエッチング加工は、約5分程度であった。
【0049】
ここで、「なし」とは、ウェハ150のドライエッチング加工中、最初からずっとパージガスを流さなかった場合を示す。また、最後の「Slot 24」のウェハ150を収納容器100に回収後、約2秒でドア104を閉じた。
【0050】
また、「あり」の場合は、ウェハ150のドライエッチング加工中、ウェハ150に対して水平方向からパージガスを流した場合を示す。「あり」の「2sec」、「30sec」、「5min」、「7min」は、それぞれ、収納容器100内に収容すべきすべてのウェハ150が収容されてからさらにドア104を開けたままでパージガスを継続して流した時間を示す。各時間の経過後、ドア104を閉じることにより、パージガスの供給も終了とした。つまり、「あり」の場合、「Slot 1」のウェハ150は、最初にドライエッチング加工が行われ、他のウェハ150へのドライエッチング加工が行われている間ずっとパージガスが吹き付けられていることになる。
【0051】
図示したように、パージガスを最初から流さなかった「なし」の場合は、「slot 1」のウェハ150においても、ビアホール322底部の下層銅配線320上面における異物の発生が見られた。また、「slot 24」のウェハ150においては、ビアホール322底部の下層銅配線320上面における異物の発生が大きく見られた。これは、ウェハ150を収納容器100に回収した後、すぐにドア104を閉じたことにより、最後のウェハではデガスの希釈が全く行われず、異物の発生が大きくなったと考えられる。
【0052】
また、パージガスをウェハ150の水平方向から吹き付けた「あり」の場合でも、最後のウェハ150回収後2秒しかパージガスの供給を行わなかった場合は、最後に回収された「slot 24」のウェハ150において、ビアホール322底部の下層銅配線320上面における異物の発生が見られた。これは、ウェハ150を収納容器100に回収した後、すぐにパージガスの供給を停止し、ドア104を閉じたことにより、最後のウェハではデガスの希釈が充分に行われず、異物が発生したと考えられる。
【0053】
一方、パージガスをウェハ150の水平方向から吹き付けた「あり」の場合、最後のウェハ150回収後30秒以上パージガスの供給を行った場合は、最後に回収された「slot 24」のウェハ150においても、ビアホール322底部の下層銅配線320上面における異物の発生が見られなかった。
【0054】
また、パージガスをウェハ150の水平方向から吹き付けた「あり」の場合で、最後のウェハ150回収後5分以上パージガスの供給を行った場合は、歩留まりが大きく改善された。これは、パージガスの供給を5分以上行うことで、すべてのビアホール322底部において、安定的に充分デガスを希釈することができたためである。また、最後のウェハ150回収後のパージガスの吹きつけ時間を、各ウェハ150へのドライエッチング加工時間と同程度の時間確保することにより、ウェハ間の製造安定性のばらつきも低減することができ、安定的に良好な性能の半導体装置を得ることができる。
【0055】
なお、ここでは図示していないが、パージガスをウェハ150の上方から吹き付けた場合は、最後のウェハ150回収後30秒以上パージガスの吹きつけを行っても、ビアホール322底部の下層銅配線320上面における異物の発生が部分的に見られた。
【0056】
以上のように、本実施の形態における構成によれば、ドライエッチング加工が行われた後、収容容器に収容すべき最後のウェハが収容容器に収容されてからも、ウェハに対して水平方向からパージガスが充分吹き付けられるので、ドライエッチング加工でウェハから発生するデガスの希釈や収容容器の雰囲気置換を充分行うことができる。
【0057】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0058】
以上の実施の形態においては、パージガス噴出管210が固定された例を示したが、パージガス噴出管210は、水平方向や垂直方向に移動可能に構成することができる。たとえば、パージガス噴出管210は、収納容器100のドア104が解放されている際に、収納容器100に対して水平方向に移動可能に構成することができる。これにより、ガス流が右から左に動作する構成とすることができる。
【0059】
さらに、ウェハ処理システム200は、複数個のパージガス噴出管210を含む構成とすることができる。この場合、複数個のパージガス噴出管210から同時にパージガスが噴出されるような構成とすることもできる。
【0060】
また、パージガス噴出管210は、収納容器100に収容されるすべてのウェハ150に対応する数のパージガス噴出口212が設けられていない構成とすることもできる。この場合も、パージガス噴出管210を、上下方向(垂直方向)に移動させて、エッチング装置202におけるドライエッチング加工が行われて収納容器100内に収容されたウェハ150に順にパージガスが噴出されるようにすることができる。
【0061】
さらに、ウェハ処理システム200は、複数個のパージガス噴出管210を含み、複数個のパージガス噴出管210から同時にパージガスが噴出されるような構成とすることもできる。
【0062】
また、パージガス噴出管210に複数のパージガス噴出口212が設けられている場合、最後のウェハ150が収納容器100に収容された後、当該最後に収容されたウェハ150付近のガス流量のみ増大し、パージの効率を増大させるような構成とすることもできる。
【0063】
また、制御部240は、ドア移動機構220を制御して収納容器100のドア104が閉じられるタイミングで、ガス流量制御部230も制御して、パージガス噴出管210からのパージガスの噴出を停止するようにすることもできる。これにより、パージガスの使用量を抑制することができる。
【0064】
また、以上では、収納容器100のドア104の開閉タイミングを制御することにより、パージガスを吹き付ける時間制御を行う例を示したが、ガス流量制御部230の制御により、パージガスを吹き付ける時間を制御することもできる。
【0065】
また、エッチング装置202は、図8に示したように、複数の収納容器100を同時にロード可能な構成とすることもできる。このような構成とした場合、一の収納容器100内に収容された複数のウェハ150へのドライエッチング加工が終了し、当該収納容器100内のウェハ150にパージガスを吹き付けている間に、他の収納容器100内に収容された複数のウェハ150へのドライエッチング加工を行うようにすれば、スループットの低下を防ぎつつ、良好な半導体装置を得ることができる。
【符号の説明】
【0066】
100 収納容器
102 収納室
104 ドア
150 ウェハ
200 ウェハ処理システム
202 エッチング装置
210 パージガス噴出管
212 パージガス噴出口
220 ドア移動機構
230 ガス流量制御部
240 制御部
300 半導体装置
302 層間絶縁膜
304 エッチング阻止膜
306 層間絶縁膜
308 保護絶縁膜
310 有機膜
312 中間膜
314 反射防止膜
316 上層レジスト膜
320 下層銅配線
322 ビアホール
324 配線形成用開口部
326 デュアルダマシン配線溝
340 半導体装置
342 基板
344 エッチング阻止膜
346 層間絶縁膜
348 有機膜
350 中間膜
352 反射防止膜
354 上層レジスト膜
356 コンタクトホール形成用開口部
358 コンタクトホール
370 半導体装置
372 層間絶縁膜
374 TiN/Ti膜
376 Al膜
378 TiN膜
380 反射防止膜
382 レジスト膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各ウェハを略水平にして複数のウェハを上下に並べて収容するとともに、側方に設けられたドアを含む収納容器に、ドライエッチング加工が行われた複数のウェハを順次収容する工程と、
前記ドアが開いた状態で、前記収容容器に収容すべきすべてのウェハが当該収容容器に収容されてから30秒以上、前記収容容器内の前記ウェハに対して水平方向からパージガスを吹き付ける工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記パージガスを吹き付ける工程において、前記収容容器の外部から前記収容容器内の前記ウェハに対して水平方向から前記パージガスを吹き付けた状態で、前記ドアを閉めることにより、前記パージガスを吹き付ける時間を制御する半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ドライエッチング加工は、前記ウェハ上の層間絶縁膜に、窒素を含むエッチング阻止膜をストッパとして凹部を形成する工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置の製造方法において、
前記凹部を形成する工程において、エッチングガスがフッ素を含有する半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の半導体装置の製造方法において、
前記凹部は、配線溝、ビアホールまたはコンタクトホールである半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1から5いずれに記載の半導体装置の製造方法において、
前記ドライエッチング加工は、前記ウェハ上に形成されたアルミニウム膜を所定形状にパターニングする工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
前記アルミニウム膜を所定形状にパターニングする工程において、前記エッチングガスが塩素を含有する半導体装置の製造方法。
【請求項8】
各ウェハを略水平にして複数のウェハを上下に並べて収容するとともに、側方に設けられたドアを含む収納容器に収容された、ドライエッチング加工が行われた直後の複数のウェハに対して、前記ドアが開いた状態で、前記収容容器に収容すべきすべてのウェハが前記収容容器に収容されてから30秒以上、当該水平方向から前記パージガスが吹き付けられるように制御する制御部を含むウェハ処理システム。
【請求項9】
請求項8に記載のウェハ処理システムにおいて、
前記ドアの開閉を制御するドア移動機構と、
前記収容容器内の前記ウェハに対して水平方向から前記パージガスを吹き付けるパージガス噴出管と、
をさらに含み、
前記制御部は、前記パージガス噴出管から前記収容容器内の前記ウェハに対して水平方向から前記パージガスを吹き付けた状態で、前記ドア移動機構が前記ドアを閉じるタイミングを制御することにより、前記パージガスを吹き付ける時間を制御するウェハ処理システム。
【請求項10】
コンピュータを、
各ウェハを略水平にして複数のウェハを上下に並べて収容するとともに、側方に設けられたドアを含む収納容器に収容された、ドライエッチング加工が行われた直後の複数のウェハに対して、前記ドアが開いた状態で、前記収容容器に収容すべきすべてのウェハが前記収容容器に収容されてから30秒以上、前記収容容器内の前記ウェハに対して水平方向から前記パージガスが吹き付けられるように制御する制御手段として機能させるプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムにおいて、
前記制御手段は、前記収容容器の外部から前記収容容器内の前記ウェハに対して水平方向から前記パージガスを吹き付けた状態で、前記収容容器の前記ドアを閉じるタイミングを制御することにより、前記パージガスを吹き付ける時間を制御するプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−165943(P2010−165943A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8102(P2009−8102)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】