説明

半導体装置の製造方法

【課題】高い結晶品質を有する量子ドットを高密度に形成しうる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】下地層10上に、自己組織化成長により量子ドット16を形成する工程と、量子ドット16を形成する工程の前又は量子ドット16を形成する工程の際に、下地層10の表面にSb又はGaSbを照射する工程と、量子ドット16の表面をAs原料ガスによりエッチングすることにより、量子ドット16の表面に析出したSbを含むInSb層18を除去する工程と、InSb層18が除去された量子ドット16上に、キャップ層22を成長する工程とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に係り、特に、自己組織化成長により量子ドットを形成する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、量子ドットを用いた半導体素子、例えば半導体レーザの活性層に量子ドットを導入した量子ドットレーザ等に関する研究が盛んに行われている。
【0003】
量子ドットレーザ等に用いられる量子ドットの形成技術としては、自己組織化成長により量子ドットを形成する技術が知られている。これは、格子不整合の半導体をある条件で気相エピタキシャル成長することで、3次元の微細構造である量子ドットが自己形成される現象を用いたものである。
【0004】
量子ドットの自己形成については、いくつかの形成モードが知られている。中でも最も知られている形成モードは、Stranski-Krastanowモード(S−Kモード)と呼ばれるモードである。S−Kモードとは、エピタキシャル成長される半導体結晶が、成長開始当初は2次元成長(膜成長)するが、膜の弾性限界を超えた段階で3次元成長するモードのことである。下地の材料より格子定数の大きい膜をエピタキシャル成長することにより、3次元成長島よりなる量子ドットが自己形成される。
【0005】
しかしながら、自己組織化成長により量子ドットが形成された従来の量子ドットレーザは、量子ドットの密度が5×1010cm−2以下と不十分であるため、10Gbps以上の高速直接変調ができないという難点を有していた。そこで、量子ドットの密度の向上を図るため、新しい量子ドットの成長方法が提案されている。このような新しい量子ドットの成長方法のひとつとして、量子ドットを成長する前に、量子ドットを成長する下地の半導体層に対してSbを照射する方法が提案されている。
【0006】
量子ドットを成長する下地の半導体層に対してSbを照射する従来の量子ドットの成長方法について図31を用いて説明する。なお、以下では、GaAsよりなる下地層上に、InAsよりなる量子ドットを成長する場合について説明する。
【0007】
まず、GaAsよりなる下地層100の表面にSbを照射する。これにより、下地層100の表面に、1原子層(monolayer、ML)程度のSb層102を形成する(図31(a))。
【0008】
次いで、表面にSb層102が形成された下地層100上に、例えばMOCVD法により、InAsよりなる量子ドット層104を成長する。InAsは下地層100のGaAsと格子定数が異なるため、量子ドット層104には、S−Kモードにより量子ドット106が形成される(図31(b))。
【0009】
量子ドット層104が成長する間、下地層100の表面のSbは、量子ドット層104の材料であるInAsのAsと相互拡散し、量子ドット層104の表面に析出していく。こうして、量子ドット層104の表面に、Sbを含む表面層、例えばInSb層108が形成される(図31(c))。
【0010】
次いで、表面にInSb層108が形成された量子ドット層104上に、例えばMOCVD法により、量子ドット106を埋め込むように、GaAsよりなるキャップ層110を成長する(図31(d))。
【特許文献1】特開2005−093553号公報
【特許文献2】特開2004−335665号公報
【特許文献3】特開平6−204498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した図31に示す量子ドットの成長方法によれば、これまでと比較して量子ドットの密度を2倍程度増加することができることが知られている。しかしながらその反面、量子ドットの結晶品質が劣化し、量子ドットの発光効率が低下するという不都合があった。
【0012】
また、量子ドット層を活性層に用いた量子ドットレーザにおいては、量子ドット層を積層して活性層を構成することが行われている。しかしながら、量子ドット層の積層数が多くなると、下地の歪みが蓄積されるため、上層の量子ドット層において、量子ドットのサイズ分布や密度が下層の量子ドット層と大きく異なったり、欠陥が生じたりする等の不都合があった。
【0013】
また、従来の量子ドットレーザにおいては、量子ドットを破壊しないように例えば600℃程度の比較的低温の成長温度でクラッド層を成長する必要があった。しかしながら、このように低温の成長温度でクラッド層を成長したのでは、SCH(Separate Confinement Heterostructure)層、活性層、コンタクト層等のクラッド層と隣接する半導体層とクラッド層との界面の粗さが増大してしまっていた。この結果、光の散乱損失が増大するという不都合があった。
【0014】
本発明の目的は、高い結晶品質を有する量子ドットを高密度に形成しうる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0015】
また、本発明の他の目的は、欠陥を生じることなく、量子ドットのサイズ分布及び密度を層間で均一に保ちつつ、複数層の量子ドット層を繰り返して形成しうる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0016】
また、本発明の更に他の目的は、光半導体装置の活性層に量子ドット層を用いる場合において、量子ドットの発光特性の劣化を伴うことなく、結晶品質の高いクラッド層及びコンタクト層を活性層上に成長しうる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一観点によれば、下地層上に、自己組織化成長により量子ドットを形成する工程と、前記量子ドットの表面に、有機Sb原料ガスを照射する工程と、前記量子ドット上に、キャップ層を成長する工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0018】
また、本発明の他の観点によれば、下地層上に、自己組織化成長により量子ドットを形成する工程と、前記量子ドットを形成する工程の前又は前記量子ドットを形成する工程の際に、前記下地層の表面にSb又はGaSbを照射する工程と、前記量子ドット上に、キャップ層を成長する工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0019】
また、本発明の更に他の観点によれば、自己組織化成長により形成される量子ドットを含む量子ドット層を成長する工程と;前記量子ドット層の表面に、有機Sb原料ガスを照射する工程と;前記量子ドット層上に、キャップ層を成長する工程とを繰り返すことにより、半導体基板上に、前記量子ドット層をn層(nは2以上の整数)含む活性層を形成する工程を有し、前記活性層を形成する工程では、第i層目(iは1≦i≦n−1を満たす整数)の前記量子ドット層の成長時のV/III比よりも、第i+1層目の前記量子ドット層の成長時のV/III比を高く設定する半導体装置の製造方法が提供される。
【0020】
また、本発明の更に他の観点によれば、自己組織化成長により形成される量子ドットを含む量子ドット層を成長する工程と;前記量子ドット層を成長する工程の前又は前記量子ドット層を成長する工程の際に、前記量子ドット層の下地層の表面にSb又はGaSbを照射する工程と;前記量子ドット層上に、キャップ層を成長する工程とを繰り返すことにより、半導体基板上に、前記量子ドット層をn層(nは2以上の整数)含む活性層を形成する工程を有し、前記活性層を形成する工程では、第i層目(iは1≦i≦n−1を満たす整数)の前記量子ドット層の成長時のV/III比よりも、第i+1層目の前記量子ドット層の成長時のV/III比を高く設定する半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、量子ドットの表面に、有機Sb原料ガスを照射することによりSbを含む被覆層を形成するので、量子ドットの形状を保ち、量子ドットの発光波長を長波長化することができる。
【0022】
また、本発明によれば、量子ドットを形成する工程の前又は量子ドットを形成する工程の際に、下地層の表面にSb又はGaSbを照射する工程を有する半導体装置の製造方法において、量子ドットを形成する工程の後、キャップ層を成長する工程の前に、量子ドットの表面をAs原料ガスによりエッチングすることにより、量子ドットの表面に析出したSbを含む表面層を除去するので、高い結晶品質を有する量子ドットを高密度に形成することができる。
【0023】
また、本発明によれば、量子ドットの表面のSbがキャップ層の最表面に拡散するのに十分な0.275nm/s以下の成長速度でキャップ層を成長するので、量子ドットの結晶品質を向上することができる。
【0024】
また、本発明によれば、量子ドット層をn層(nは2以上の整数)含む活性層を形成する工程において、第i層目(iは1≦i≦n−1を満たす整数)の量子ドット層の成長時のV/III比よりも、第i+1層目の量子ドット層の成長時のV/III比を高く設定するので、欠陥を生じることなく、量子ドットのサイズ分布及び密度を層間で均一に保ちつつ、複数層の量子ドット層を繰り返して形成することができる。
【0025】
また、本発明によれば、量子ドットを含む活性層上に、610〜660℃の成長温度で、Ga原料としてトリメチルガリウムを用いてクラッド層を成長するので、量子ドットの発光特性の劣化や量子ドットの破壊を伴うことなく、結晶品質が高く平坦な上部クラッド層を成長することができる。
【0026】
また、本発明によれば、クラッド層上に、600〜610℃の成長温度で、Ga原料としてトリエチルガリウムを用いてコンタクト層を成長するので、量子ドットの発光特性の劣化や量子ドットの破壊を伴うことなく、結晶品質の高いコンタクト層を成長することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[本発明の原理]
はじめに、本発明の原理について説明する。
【0028】
量子ドットを成長する前に、量子ドットを成長する下地層の表面にSbを照射する従来の量子ドットの成長方法には、量子ドットの高密度化を実現することができるという利点がある。その反面、量子ドットの結晶品質が劣化し、発光効率が低下するという不都合があった。
【0029】
本願発明者等は、この原因について実験的研究を重ね、量子ドット層が成長する間に量子ドット層の表面にSbが析出することにより形成されたInSb層等のSbを含む表面層に欠陥が存在しているという結果を得た。
【0030】
図1は、図31に示す従来の量子ドットの成長方法において生じる欠陥を説明する概略断面図である。従来の量子ドットの成長方法では、図示するように、量子ドット層104が成長する間に量子ドット層104の表面にSbが析出し、Sbを含む表面層、例えばInSb層108が形成される。このInSb層108に、図中×印で示すように欠陥が生じている。
【0031】
このようなInSb層108は、量子ドット104の結晶品質に影響を与え、発光効率の低下の原因になっていると考えられる。したがって、量子ドット層104の表面に析出したSbを除去することにより、結晶品質の高い量子ドットを高密度に形成することができる。
【0032】
本発明による半導体装置の製造方法は、かかる知見に基づくものであり、量子ドット層の表面に析出したSbを除去する工程を有することに主たる特徴の一つがある。以下、本発明による半導体装置の製造方法の概略について図2及び図3を用いて説明する。図2及び図3は本発明による半導体装置の製造方法の概略を説明する工程断面図である。
【0033】
まず、GaAsよりなる下地層10の表面に、例えば有機Sb原料ガスを照射することにより、Sbを照射する。これにより、下地層10の表面に、例えば1ML程度のSb層12を形成する(図2(a))。量子ドットの成長前に、下地層10の表面にSbを照射しておくことにより、量子ドットを高密度に成長することができる。なお、Sbの照射に代えて、下地層10の表面にGaSbを照射してもよい。また、Sb又はGaSbは、量子ドットの成長中に、下地層10の表面に照射してもよい。
【0034】
次いで、表面にSb層12が形成された下地層10上に、InAsよりなる量子ドット層14を成長する。InAsは下地層10のGaAsと格子定数が異なるため、量子ドット層14には、S−Kモードと呼ばれる自己組織化成長により量子ドット16が形成される(図2(b))。
【0035】
量子ドット層14が成長する間、下地層10の表面のSbは、量子ドット層14の材料であるInAsのAsと相互拡散し、量子ドット層14の表面に析出していく。こうして、量子ドット層14の表面に、Sbを含む表面層、例えばInSb層18が形成される(図2(c))。
【0036】
次いで、InSb層18が形成された量子ドット層14の表面にAs原料を一定時間照射し、量子ドット層14の表面をAs原料ガスでエッチングする(図2(d))。一定時間照射するAs原料としては、例えば、ターシャリーブチルアルシン(tertiarybutylarsine、TBA)、AsH、As、Asを用いることができる。これにより、量子ドット層14の表面のInSb層18が除去される(図3(a))。
【0037】
このように、本発明による半導体装置の製造方法は、InSb層18が形成された量子ドット層14の表面にAs原料ガスを一定時間照射し、量子ドット層14の表面をAs原料ガスでエッチングすることに主たる特徴の一つがある。As原料ガスを用いたエッチングによりInSb層18が除去されるため、量子ドット16の欠陥を低減し、量子ドット16の結晶品質を向上することができる。
【0038】
次いで、量子ドット層14の表面に、有機Sb原料ガスと、III族金属(In、Ga、Al)の有機原料ガスとを同時に照射する。これにより、量子ドット層14の表面に、III族金属(In、Ga、Al)とSbとを含む被覆層20を形成する(図3(b))。III族金属とSbとを含む被覆層20とは、具体的には、InSb、GaSb、AlSb、又はこれらの混晶よりなるものである。
【0039】
このように、本発明による半導体装置の製造方法は、量子ドット層14の表面に、有機Sb原料ガスと、III族金属(In、Ga、Al)の有機原料ガスと照射することにも主たる特徴の一つがある。
【0040】
InSb等よりなる被覆層20により量子ドット16の表面が被覆されるため、この後のキャップ層22を成長する工程において、量子ドット16の形状を保ち、量子ドット16の発光波長を長波長化することができる。
【0041】
なお、III族金属の有機原料ガスは照射せずに有機Sb原料ガスを単独で照射し、Sbよりなる被覆層20を形成してもよい。
【0042】
次いで、表面に被覆層20が形成された量子ドット層14上に、量子ドット16を埋め込むように、GaAsよりなるキャップ層22を成長する(図3(c))。
【0043】
キャップ層22を成長する間、被覆層20のSbは、キャップ層22の材料であるGaAsのAsと相互拡散し、キャップ層22の表面に析出していく。こうして、キャップ層22の表面に、Sbを含む表面層、例えばGaSb層24が形成される(図3(c))。
【0044】
ここで、本発明による半導体装置の製造方法は、キャップ層22を成長する工程において、Sbがキャップ層22の最表面まで拡散するのに十分な低成長速度でキャップ層22を成長することにも主たる特徴がある。具体的には、キャップ層22を0.275nm/s以下の成長速度で成長する。これにより、量子ドット層14の表面のSbを十分に除去することができる。
【0045】
なお、本発明においては、図2(a)及び図2(c)に示す量子ドット層14を成長する工程の後に、図2(d)及び図3(a)に示すAs原料ガスを一定時間照射する工程、及び図3(b)に示す被覆層20を形成する工程を行わずに、キャップ層22を成長する工程を行ってもよい。この場合においても、キャップ層22を0.275nm/s以下の成長速度で成長することにより、量子ドット層14の表面に析出したSbを十分に除去することができる。このように、キャップ層22を低成長速度で成長することによってもSbを十分に除去することができ、量子ドット16の結晶品質を向上することができる。
【0046】
このように、本発明による半導体装置の製造方法によれば、結晶品質の高い量子ドット16を高密度に成長することができる。
【0047】
こうして製造される本発明による半導体装置における量子ドット16は、密度が例えば5×1010cm−2以上であり、発光波長が例えば1.3μm以上の長波長となっている。
【0048】
さらに、図3(b)に示す被覆層20を形成する工程を行った場合には、量子ドット層14とキャップ層22との界面に以下に述べる構造的特徴を有している。
【0049】
すなわち、低成長速度でキャップ層22を成長した場合であっても、量子ドット層14とキャップ層22との間の被覆層20が完全には除去されない場合がある。この場合、量子ドット層14とキャップ層22との間には、図4に示すように、III族金属とSbとを含む薄膜21、すなわち、InSb、GaSb、AlSb、又はこれらの混晶よりなる薄膜21が残存している。薄膜21の膜厚は、例えば0.5〜1MLである。
【0050】
以下、実施形態を示しつつ本発明を説明する。
【0051】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法について図5乃至図7を用いて説明する。図5は本実施形態による半導体装置の製造方法において供給する原料ガスの分圧等を示すグラフ、図6は本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図、図7は量子ドットの成長後にSb照射を行った場合等における量子ドットの室温でのPL発光スペクトルを示すグラフである。
【0052】
本実施形態による半導体装置の製造方法においては、有機金属気相成長法(MOCVD法)を結晶成長に用いる。
【0053】
まず、MOCVD装置の反応室内に、GaAs基板26を収容する。
【0054】
次いで、基板温度を例えば700℃とし、TBA、トリメチルガリウム(trimethylgallium、TMG)を反応室内に供給する(図5の時間間隔t1)。これにより、GaAs基板26上に、GaAsよりなるバッファ層28を成長する(図6(a))。
【0055】
次いで、TMGの供給を停止し、基板温度を例えば500℃まで徐々に降温する(図5の時間間隔t2)。この間、TBAの供給は継続する。
【0056】
次いで、TBAの分圧を下げて、TBAの供給を継続する(図5の時間間隔t3)。この間、基板温度は例えば500℃に維持する。
【0057】
次いで、基板温度を例えば500℃に維持しつつ、TBAの供給を継続するとともに、トリメチルインジウム(trimethylindium、TMI)を反応室内に供給する(図5の時間間隔t4)。こうして、バッファ層28上に、例えば2.64ML相当のInAsを、例えば成長速度0.011ML/sで成長することにより、InAsよりなる量子ドット層30を成長する。InAsとバッファ層28のGaAsとは格子定数が異なるため、量子ドット層30には、S−Kモードと呼ばれる自己組織化成長により量子ドット32が形成される(図6(b))。
【0058】
次いで、TMIの供給を停止する一方、TBAの供給を継続する(図5の時間間隔t5)。この間、基板温度は例えば500℃に維持する。
【0059】
次いで、基板温度を例えば500℃に維持しつつ、TBAの供給を停止して、トリメチルアンチモン(trimethylantimony、TMSb)を反応室内に供給する(図5の時間間隔t6)。こうして、量子ドット層30の表面にTMSbを照射することにより、量子ドット層30の表面にSb層34を形成する(図6(c))。
【0060】
次いで、基板温度を例えば500℃に維持したまま、分圧を上げてTBAの供給を再開するとともに、トリエチルガリウム(triethylgallium、TEG)を反応室内に供給する(図5の時間間隔t7)。これにより、量子ドット層30上に、量子ドット32を埋め込むようにGaAsよりなるキャップ層36を成長する(図6(d))。
【0061】
キャップ層36が成長する間、量子ドット層30の表面に形成されたSb層34のSbは、キャップ層36の材料であるGaAsのAsと相互拡散し、キャップ層36の表面に析出していく。こうして、キャップ層36の表面に、GaSb層38が形成される。
【0062】
本実施形態による半導体装置の製造方法は、量子ドット層30を成長する工程の後、キャップ層36を成長する工程の前に、量子ドット層30の表面にTMSbを照射する工程を有することに特徴がある。
【0063】
TMSbを照射することにより形成されたSb層34により量子ドット32の表面が被覆されるため、キャップ層36を成長する工程において、量子ドット32の形状を保つことができる。これにより、量子ドット32の発光波長を長波長化することができる。
【0064】
図7は、量子ドットの成長後にTMSbを照射した場合等における量子ドットの室温でのPL発光スペクトルを示すグラフである。図中、▲印で示すスペクトルは、TMSbの照射時間を2秒間とし、GaAsよりなるキャップ層の成長速度を0.1375nm/sとした試料について得られたPL発光スペクトルである。○印で示すスペクトルは、TMSbの照射時間を2秒間とし、GaAsよりなるキャップ層の成長速度を0.275nm/sとした試料について得られたPL発光スペクトルである。破線で示すスペクトルは、TMSbの照射を行わず、GaAsよりなるキャップ層の成長速度を0.275nm/sとした標準試料について得られたPL発光スペクトルである。いずれの試料についても、量子ドットは、2.64ML相当のInAsを、成長速度0.011ML/sで成長することにより形成した。なお、□印、■印で示すスペクトルについてはそれぞれ第2実施形態において説明する。
【0065】
図7に示すスペクトルから明らかなように、量子ドットの成長後にTMSbを照射した試料は、標準試料と比較して、量子ドットの発光波長が長波長側にシフトしていることが分かる。具体的には、標準試料のピーク発光波長は、1.308μmとなっている。これに対し、量子ドットの成長後にTMSbを照射した試料のピーク発光波長は、キャップ層の成長速度が0.1375nm/s、0.275nm/sのいずれの場合も1.357μmとなっている。但し、TMSbを照射した試料は、標準試料と比較して発光強度が低下している。TMSbを照射した試料間では、キャップ層の成長速度がより速い試料の方が発光強度の低下が著しくなっている。
【0066】
このように、本実施形態によれば、量子ドット層30を成長する工程の後、キャップ層36を成長する工程の前に、量子ドット層30の表面にTMSbを照射することにより量子ドット32の表面を被覆するSb層34を形成するので、量子ドット32の形状を保ち、量子ドット32の発光波長を長波長化することができる。
【0067】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による半導体装置の製造方法について図7乃至図9を用いて説明する。図8は本実施形態による半導体装置の製造方法において供給する原料ガスの分圧等を示すグラフ、図9は本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。なお、第1実施形態による半導体装置の製造方法と同一の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し或いは簡略にする。
【0068】
本実施形態による半導体装置の製造方法は、第1実施形態による半導体装置の製造方法とほぼ同様である。本実施形態による半導体装置の製造方法は、量子ドット層30の表面にTMSbとTEGとを同時に照射する点で、TMSbを単独で照射する第1実施形態による半導体装置の製造方法とは異なっている。
【0069】
まず、第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、GaAs基板26上に、GaAsよりなるバッファ層28、InAsよりなる量子ドット層30を成長する(図8の時間間隔t1〜t4、図9(a))。
【0070】
次いで、TMIの供給を停止する一方、TBAの供給を継続する(図8の時間間隔t5)。この間、基板温度は例えば500℃に維持する。
【0071】
次いで、基板温度を例えば500℃に維持しつつ、TBAの供給を停止して、TMSbとTEGとを反応室内に供給する(図8の時間間隔t6)。こうして、量子ドット層30の表面にTMSbとTEGとを同時に照射することにより、量子ドット層30の表面にGaSb層40を形成する(図9(b))。
【0072】
次いで、基板温度を例えば500℃に維持したまま、分圧を上げてTBAの供給を再開するとともに、TEGの供給を継続する(図8の時間間隔t7)。これにより、量子ドット層30上に、量子ドット32を埋め込むようにGaAsよりなるキャップ層36を成長する(図9(c))。
【0073】
キャップ層36が成長する間、量子ドット層30の表面に形成されたGaSb層40のSbは、キャップ層36の材料であるGaAsのAsと相互拡散し、キャップ層36の表面に析出していく。こうして、キャップ層36の表面に、GaSb層42が形成される。
【0074】
本実施形態による半導体装置の製造方法は、量子ドット層30を成長する工程の後、キャップ層36を成長する工程の前に、量子ドット層30の表面にTMSbとTEGとを同時に照射する工程を有することに特徴がある。
【0075】
TMSbとTEGとを同時に照射することにより形成されたGaSb層40により量子ドット32の表面が被覆されるため、キャップ層36を成長する工程において、量子ドット32の形状を保つことができる。これにより、量子ドット32の発光波長を長波長化することができる。
【0076】
図7には、第1実施形態において説明したPL発光スペクトルに加えて、量子ドットの成長後にTMSbとTEGとを同時に照射した場合における量子ドットの室温でのPL発光スペクトルを示している。図中、□印で示すスペクトルは、TMSb及びTEGの照射時間を2秒間とし、GaAsよりなるキャップ層の成長速度を0.275nm/sとした試料について得られたPL発光スペクトルである。■印で示すスペクトルは、TMSb及びTEGの照射時間を2秒間とし、GaAsよりなるキャップ層の成長速度を0.1375nm/sとした試料について得られたPL発光スペクトルである。これらの試料についても、量子ドットは、2.64ML相当のInAsを、成長速度0.011ML/sで成長することにより形成した。
【0077】
図7に示すスペクトルから明らかなように、TMSbを単独で照射した試料と同様に、量子ドットの成長後にTMSbとTEGとを同時に照射した試料も、標準試料と比較して、量子ドットの発光波長が長波長側にシフトしていることが分かる。具体的には、量子ドットの成長後にTMSbとTEGとを照射した試料のピーク発光波長は、キャップ層の成長速度が0.1375nm/sの場合には1.326μm、キャップ層の成長速度が0.
275nm/sの場合には1.344μmとなっている。TMSbを単独で照射した試料と比較すると、発光波長は短波長側にシフトしているものの、TMSbとTEGとを同時に照射した試料では、高い発光強度が得られている。キャップ層の成長速度が0.1375nm/sの場合には、標準試料と同程度の発光強度が得られている。
【0078】
このように、本実施形態によれば、量子ドット層30を成長する工程の後、キャップ層36を成長する工程の前に、量子ドット層30の表面にTMSbとTEGとを同時に照射することにより量子ドット32の表面を被覆するGaSb層40を形成するので、量子ドット32の形状を保ち、量子ドット32の発光波長を長波長化することができる。また、本実施形態によれば、量子ドット層30の表面にTMSbを単独で照射する第1実施形態による半導体装置の製造方法と比較して高い発光強度を得ることができる。
【0079】
なお、本実施形態による半導体装置の製造方法により製造される半導体装置は、量子ドット層30とキャップ層36との界面に以下に述べる構造的特徴を有している。
【0080】
すなわち、低成長速度でキャップ層36を成長した場合であっても、量子ドット層14とキャップ層22との間のGaSb層40が完全には除去されない場合がある。この場合、量子ドット層30とキャップ層36との間には、GaSbよりなる薄膜が残存したものとなっている。
【0081】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による半導体装置の製造方法について図10乃至図13を用いて説明する。図10は本実施形態による半導体装置の製造方法において供給する原料ガスの分圧等を示すグラフ、図11及び図12は本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図、図13は量子ドットのピーク発光波長及び発光強度とTBAによるエッチング時間との関係を示すグラフである。なお、第1実施形態による半導体装置の製造方法と同一の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し或いは簡略にする。
【0082】
本実施形態による半導体装置の製造方法は、量子ドット層30を成長する工程の前に、バッファ層28の表面にTMSbを照射する工程を有する半導体装置の製造方法において、量子ドット層30を成長する工程の後、キャップ層36を成長する工程の前に、量子ドット層30の表面にTBAを一定時間照射し、量子ドット層30の表面をTBAによりエッチングする工程を更に有することに主たる特徴がある。
【0083】
まず、第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、GaAs基板26上に、GaAsよりなるバッファ層28を成長する(図10の時間間隔t1)。
【0084】
次いで、TMGの供給を停止し、基板温度を例えば500℃まで徐々に降温する(図10の時間間隔t2)。この間、TBAの供給は継続する。
【0085】
次いで、TBAの分圧を下げて、TBAの供給を継続する(図10の時間間隔t3)。この間、基板温度は例えば500℃に維持する。
【0086】
次いで、基板温度を例えば500℃に維持しつつ、TBAの供給を停止して、TMSbを反応室内に供給する(図10の時間間隔t4)。こうして、バッファ層28の表面にTMSbを照射することにより、バッファ層28の表面に、例えば1ML程度のSb層44を形成する(図11(a))。量子ドットを成長する前にバッファ層28の表面にTMSbを照射しているため、例えば5×1010cm−2よりも高い密度で量子ドットを成長することが可能となる。
【0087】
次いで、基板温度を例えば500℃に維持しつつ、TBAの供給を再開するとともに、TMIを反応室内に供給する(図10の時間間隔t5)。こうして、バッファ層28上に、InAsよりなる量子ドット層30を成長する。InAsとバッファ層28のGaAsとは格子定数が異なるため、量子ドット層30には、S−Kモードにより量子ドット32が形成される(図11(b))。
【0088】
量子ドット層30が成長する間、バッファ層28の表面のSbは、量子ドット層30の材料であるInAsのAsと相互拡散し、量子ドット層30の表面に析出していく。こうして、量子ドット層30の表面に、InSb層46が形成される(図11(c))。
【0089】
次いで、TMIの供給を停止する一方、TBAの供給を継続する(図10の時間間隔t6)。この間、基板温度は例えば500℃に維持する。
【0090】
次いで、分圧を上げてTBAの供給を継続する(図10の時間間隔t7)。こうして、InSb層46が形成された量子ドット層30の表面にTBAを一定時間照射し、量子ドット層30の表面をTBAによりエッチングする(図12(a))。これにより、量子ドット層30の表面のInSb層46が除去される(図12(b))。
【0091】
このように、本実施形態による半導体装置の製造方法は、InSb層46が形成された量子ドット層30の表面にTBAを一定時間照射し、量子ドット層30の表面をTBAによりエッチングすることに主たる特徴がある。TBAによるエッチングによりInSb層46が除去されるため、量子ドット32の欠陥を低減し、量子ドット32の結晶品質を向上することができる。
【0092】
次いで、基板温度を例えば500℃に維持したまま、分圧を下げてTBAの供給を継続するとともに、TEGを反応室内に供給する(図10の時間間隔t8)。これにより、量子ドット層30上に、量子ドット32を埋め込むようにGaAsよりなるキャップ層36を成長する(図12(c))。
【0093】
図13は、量子ドットのピーク発光波長及び発光強度とTBAによるエッチング時間との関係を示すグラフである。グラフの横軸はTBAによるエッチング時間を示している。グラフの左側縦軸はピーク発光波長を示し、右側縦軸は発光強度を示している。▲印、△印のプロットは、量子ドットの成長前にTMSbの照射を1秒間行った試料について得られた量子ドットのピーク発光波長、発光強度をそれぞれ示している。■印、□印のプロットは、量子ドットの成長前にTMSbの照射を行っていない標準試料について得られた量子ドットのピーク発光波長、発光強度をそれぞれ示している。なお、キャップ層の成長速度は、各試料について共通の0.55nm/sとした。
【0094】
図13に示すように、量子ドットの成長前にTMSbの照射を行った試料の場合、TBAによるエッチングを行わないと、量子ドットの発光強度は標準試料の場合の約300分の1と非常に小さくなっている。このようなTMSbの照射を行った試料に対してTBAによるエッチングを行うと、TBAによるエッチング時間が長くなるに従って、その量子ドットの発光強度は増加している。そして、TBAによるエッチングを20秒間以上行った場合、量子ドットの発光強度は、標準試料の場合の約2分の1にまで増加している。
【0095】
TBAによるエッチングを行うことで発光強度が増加することから、量子ドットの表面に析出したSbに起因する欠陥が低減され、量子ドットの結晶品質が向上しているものと考えられる。
【0096】
このように、本実施形態によれば、量子ドット層30を成長する工程の前に、バッファ層28の表面にTMSbを照射する工程を有する半導体装置の製造方法において、量子ドット32を成長する工程の後、キャップ層36を成長する工程の前に、量子ドット層30の表面にTBAを一定時間照射し、量子ドット層30の表面をTBAによりエッチングすることによりInSb層46を除去するので、高い結晶品質を有する量子ドット32を高密度に形成することができる。
【0097】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による半導体装置の製造方法について図14及び図15を用いて説明する。図14はキャップ層の成長速度が異なる試料について得られた量子ドットの室温でのPL発光スペクトルを示すグラフ、図15は本実施形態による半導体装置の製造方法におけるSbの拡散を説明する概略断面図である。なお、第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し或いは簡略にする。
【0098】
本実施形態による半導体装置の製造方法は、量子ドット層30を成長した後のキャップ層36を成長する工程において、量子ドット層30の表面のSbがキャップ層36の最表面に拡散するのに十分な成長速度、具体的には0.275nm/s以下の成長速度でキャップ層36を成長することに主たる特徴がある。
【0099】
図14は、キャップ層の成長速度が異なる試料について得られた量子ドットの室温でのPL発光スペクトルを示すグラフである。
【0100】
PL発光スペクトルの測定に用いた試料は、表面にSbが析出した量子ドット上にGaAsよりなるキャップ層を成長したものである。量子ドットは、表面にTMSbを1秒間照射したGaAsよりなるバッファ層上に、2.64ML相当のInAsを、成長速度0.011ML/sで成長することにより形成した。なお、標準試料として、バッファ層の表面にTMSbを照射せずに量子ドットを形成した試料を用意した。
【0101】
図中、□印で示すスペクトルは、表面にSbが析出した量子ドット上に成長速度0.275nm/sでキャップ層を成長した試料について得られたPL発光スペクトルである。■印で示すスペクトルは、表面にSbが析出した量子ドット上に成長速度0.55nm/sでキャップ層を成長した試料について得られたPL発光スペクトルである。破線で示すスペクトルは、量子ドット上に成長速度0.275nm/sでキャップ層を成長した標準試料について得られたPL発光スペクトルである。
【0102】
図14から明らかなように、表面にSbが析出した量子ドット上に成長速度0.55nm/sでキャップ層を成長した試料の場合、標準試料と比較して発光波長は長波長側にシフトしている。しかし、その発光強度は、標準試料の約900分の1となっている。
【0103】
これに対して、キャップ層の成長速度を遅くし、表面にSbが析出した量子ドット上に成長速度0.275nm/sでキャップ層を成長した試料の場合、発光強度は、キャップ層の成長速度が同じである標準試料と同程度或いはそれ以上に増加している。また、その発光波長は、標準試料と比較して長波長側にシフトしたままとなっている。
【0104】
上記の結果は、量子ドットの表面のSbの拡散が、キャップ層の成長速度による影響を受けているためであると考えられる。
【0105】
図15(a)は、成長速度0.55nm/sでキャップ層を成長した場合におけるSbの状態を示す概略断面図である。
【0106】
キャップ層36の成長速度が0.55nm/sの場合、量子ドット32の表面のSbは、成長速度が速いために、キャップ層36の材料であるGaAsのAsと効率よく相互拡散することができない。このため、Sbは、量子ドット32の表面にとどまっている。
【0107】
このようにキャップ層36の成長速度が速い場合に抑制されるSbとAsとの相互拡散は、キャップ層36の成長速度を遅くすることにより促進される。
【0108】
そして、キャップ層の36の成長速度が0.275nm/sの場合には、Sbがキャップ層36の最表面まで拡散していると考えられる。この場合、Sbの状態としては、図15(b)又は図15(c)に示す状態が考えられる。図15(b)、図15(c)は、成長速度0.275nm/sでキャップ層を成長した場合におけるSbの状態を示す概略断面図である。
【0109】
まず、図15(b)に示すように、キャップ層36の最表面まで拡散したSbと、キャップ層36中に残留したSbとが混在している状態が考えられる。
【0110】
または、図15(c)に示すように、Sbが完全にキャップ層の36の最表面まで拡散している状態が考えられる。
【0111】
このように、0.275nm/s又はそれ以下の低成長速度でキャップ層36を成長することにより、量子ドット32の表面のSbがキャップ層36の最表面に拡散する。これにより、量子ドット32の結晶品質が向上し、高い発光強度が実現される。
【0112】
本実施形態による半導体装置の製造方法は、量子ドット層30を成長した後のキャップ層36を成長する工程において、量子ドット32の表面のSbがキャップ層36の最表面に拡散するのに十分な0.275nm/s以下の成長速度でキャップ層36を成長するので、量子ドット32の結晶品質を向上し、高い発光強度を実現することができる。
【0113】
なお、第1及び第2実施形態による半導体装置の製造方法においても、上記と同様に、0.275nm/s以下の成長速度でキャップ層36を成長してもよい。これにより、量子ドット層30の表面にSb又はGaSbを照射した場合においても、量子ドット32の結晶品質を向上し、高い発光強度を実現することができる。
【0114】
また、第3実施形態による半導体装置の製造方法においても、上記と同様に、0.275nm/s以下の成長速度でキャップ層36を成長してもよい。これにより、量子ドット層30の表面のSbを更に確実に除去することができ、量子ドット32の結晶品質を向上し、高い発光強度を実現することができる。
【0115】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態による半導体装置の製造方法について図16乃至図18を用いて説明する。図16は本実施形態による半導体装置の製造方法において供給する原料ガスの分圧等を示すグラフ、図17及び図18は本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。なお、第1乃至第4実施形態による半導体装置の製造方法と同様の構成要素については説明を省略し或いは簡略にする。
【0116】
本実施形態による半導体装置の製造方法は、第3実施形態による半導体装置の製造方法において、TBAを一定時間照射する工程の後、キャップ層36を成長する工程の前に、第2実施形態による半導体装置の製造方法と同様に量子ドット32の表面にGaSbを照射する工程を有するものである。さらに、キャップ層36を成長する工程においては、第4実施形態による半導体装置の製造方法と同様に低成長速度でキャップ層36を成長する。
【0117】
まず、第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、GaAs基板26上に、GaAsよりなるバッファ層28を成長する(図16の時間間隔t1)。
【0118】
次いで、TMGの供給を停止し、基板温度を例えば500℃まで徐々に降温する(図16の時間間隔t2)。この間、TBAの供給は継続する。
【0119】
次いで、TBAの分圧を下げて、TBAの供給を継続する(図16の時間間隔t3)。この間、基板温度は例えば500℃に維持する。
【0120】
次いで、基板温度を例えば500℃に維持しつつ、TBAの供給を停止して、TMSbを反応室内に供給する(図16の時間間隔t4)。こうして、バッファ層28の表面にTMSbを照射することにより、バッファ層28の表面に、例えば1ML程度のSb層44を形成する(図17(a))。量子ドットを成長する前にバッファ層28の表面にTMSbを照射しているため、例えば5×1010cm−2よりも高い密度で量子ドットを成長することが可能となる。
【0121】
次いで、基板温度を例えば500℃に維持しつつ、TBAの供給を再開するとともに、TMIを反応室内に供給する(図16の時間間隔t5)。こうして、バッファ層28上に、InAsよりなる量子ドット層30を成長する。InAsとバッファ層28のGaAsとは格子定数が異なるため、量子ドット層30には、S−Kモードにより量子ドット32が形成される(図17(b))。
【0122】
量子ドット層30が成長する間、バッファ層28の表面のSbは、量子ドット層30の材料であるInAsのAsと相互拡散し、量子ドット層30の表面に析出していく。こうして、量子ドット層30の表面に、InSb層46が形成される(図17(c))。
【0123】
次いで、TMIの供給を停止する一方、TBAの供給を継続する(図16の時間間隔t6)。この間、基板温度は例えば500℃に維持する。
【0124】
次いで、分圧を上げてTBAの供給を継続する(図16の時間間隔t7)。こうして、InSb層46が形成された量子ドット層30の表面にTBAを一定時間照射し、量子ドット層30の表面をTBAによりエッチングする(図17(d))。これにより、量子ドット層30の表面のInSb層46が除去される(図18(a))。第3実施形態による半導体装置の製造方法と同様に、TBAによるエッチングによりInSb層46が除去されるため、量子ドット32の欠陥を低減し、量子ドット32の結晶品質を向上することができる。
【0125】
次いで、基板温度を例えば500℃に維持しつつ、TBAの供給を停止して、TMSbとTEGとを反応室内に供給する(図16の時間間隔t8)。こうして、量子ドット層30の表面にTMSbとTEGとを同時に照射することにより、量子ドット層30の表面にGaSb層40を形成する(図18(b))。第2実施形態による半導体装置の製造方法と同様に、キャップ層36を成長する工程の前に、量子ドット層30の表面にTMSbとTEGとを同時に照射するので、量子ドット32の発光波長を長波長化するとともに、高い発光強度を得ることができる。なお、第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様に、TMSbを単独で照射してもよい。
【0126】
次いで、基板温度を例えば500℃に維持したまま、TBAの供給を再開するとともに、TEGの供給を継続する(図16の時間間隔t9)。これにより、量子ドット層30上に、量子ドット32を埋め込むようにGaAsよりなるキャップ層36を成長する(図18(c))。
【0127】
キャップ層36が成長する間、量子ドット層30の表面に形成されたGaSb層40のSbは、キャップ層36の材料であるGaAsのAsと相互拡散し、キャップ層36の表面に析出していく。こうして、キャップ層36の表面に、GaSb層42が形成される。
【0128】
ここで、キャップ層36は、第4実施形態による半導体装置の製造方法と同様に、例えば0.275nm/s以下の成長速度で成長する。量子ドット32の表面のSbがキャップ層36の最表面に拡散するのに十分な成長速度でキャップ層36を成長するので、量子ドット32の結晶品質を向上し、高い発光強度を実現することができる。
【0129】
こうして、本実施形態による半導体装置の製造方法により製造された半導体装置における量子ドット32は、密度が例えば5×1010cm−2以上であり、発光波長が例えば1.3μm以上の長波長となっている。
【0130】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態による半導体装置及びその製造方法について図19乃至図21を用いて説明する。図19は本実施形態による半導体装置の構造を示す断面図、図20及び図21は本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。なお、第5実施形態による半導体装置の製造方法と同様の構成要素については説明を省略し或いは簡略にする。
【0131】
本実施形態では、第5実施形態による半導体装置の製造方法より成長した量子ドット32を半導体レーザの活性層に適用したリッジ型の量子ドットレーザについて説明する。
【0132】
n−GaAs基板50上に、例えば不純物濃度1×1018cm−3のn−GaAsよりなるバッファ層52が形成されている。n−GaAs基板50に導入されているn型不純物の濃度は、例えば1×1018cm−3となっている。バッファ層52に導入されているn型不純物の濃度は、例えば1×1018cm−3となっている。
【0133】
バッファ層52上には、n−Al0.3Ga0.7Asよりなる下部クラッド層54が形成されている。下部クラッド層54に導入されているn型不純物の濃度は、例えば5×1017cm−3となっている。下部クラッド層54の膜厚は、例えば3μmとなっている。
【0134】
下部クラッド層54上には、活性層56が形成されている。活性層56の膜厚は、例えば0.5μmとなっている。活性層56には、第5実施形態による半導体装置の製造方法により成長した量子ドット層30とキャップ層36との積層膜が3層繰り返して形成されている。繰り返し形成された量子ドット層30の間隔は、例えば30nmとなっている。各量子ドット層30の量子ドット32は、密度が例えば5×1010cm−2以上であり、具体的には7×1010cm−2となっている。さらに、発光波長が例えば1.3μm以上の長波長となっている。
【0135】
活性層56上には、p−Al0.3Ga0.7Asよりなる上部クラッド層58が形成されている。上部クラッド層58に導入されているp型不純物の濃度は、5×1017cm−3となっている。上部クラッド層58の膜厚は、例えば3μmとなっている。
【0136】
上部クラッド層58上には、p−GaAsよりなるコンタクト層60が形成されている。コンタクト層60に導入されているp型不純物の濃度は、例えば1×1019cm−3となっている。コンタクト層60の膜厚は、例えば0.5μmとなっている。
【0137】
コンタクト層60及び上部クラッド層58は例えば幅3μmのストライプ状に加工されており、レーザの横モードを安定させるリッジ構造が形成されている。
【0138】
コンタクト層60上には、p側電極62が形成されている。
【0139】
n−GaAs基板50の裏面には、n側電極64が形成されている。
【0140】
こうして、本実施形態による半導体装置が構成されている。
【0141】
本実施形態による半導体装置は、活性層56に、第5実施形態による半導体装置の製造方法により成長した量子ドット層30を3層有している。各量子ドット層30の量子ドット32は、密度が例えば5×1010cm−2以上であり、具体的には7×1010cm−2となっている。したがって、例えば10Gbpsの高速直接変調を実現することができる。
【0142】
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法について図20及び図21を用いて説明する。
【0143】
まず、n−GaAs基板50上に、例えばMOCVD法により、例えば不純物濃度1×1018cm−3のn−GaAsよりなるバッファ層52を成長する。n−GaAs基板50に導入されているn型不純物の濃度は、例えば1×1018cm−3とする。バッファ層52に導入するn型不純物の濃度は、例えば1×1018cm−3とする。
【0144】
次いで、バッファ層52上に、例えばMOCVD法により、n−Al0.3Ga0.7Asよりなる下部クラッド層54を成長する(図20(a))。下部クラッド層54に導入するn型不純物の濃度は、例えば5×1017cm−3とする。下部クラッド層54の膜厚は、例えば3μmとする。
【0145】
次いで、下部クラッド層54上に、第5実施形態による半導体装置の製造方法により、量子ドット層30とキャップ層36との積層膜を3層繰り返して形成する。
【0146】
ここで、第2層目の量子ドット層30の下地層となる第1層目のキャップ層36の表面には、Sbが析出し、GaSb層42が形成される。したがって、第2層目の量子ドット層30を成長する前に第1層目のキャップ層36の表面にTMSbを照射する工程は省略してもよい。なお、第1層目のキャップ層36の表面に形成されたGaSb層42を除去してから、その表面にTMSbを照射した上で、第2層目の量子ドット層30を成長してもよい。
【0147】
同様に、第3層目の量子ドット層30の下地層となる第2層目のキャップ層36の表面にも、Sbが析出し、GaSb層42が形成される。したがって、第3層目の量子ドット層30を成長する前に第2層目のキャップ層36の表面にTMSbを照射する工程も省略してもよい。なお、第2層目のキャップ層36の表面に形成されたGaSb層42を除去してから、その表面にTMSbを照射した上で、第3層目の量子ドット層30を成長してもよい。
【0148】
こうして、下部クラッド層54上に、第5実施形態による半導体装置の製造方法により成長した量子ドット層30とキャップ層36との積層膜が3層繰り返して形成された活性層54を形成する(図20(b))。活性層54の膜厚は、例えば0.5μmとする。また、キャップ層36の膜厚を適宜設定することにより、量子ドット層30の間隔を例えば30nmとする。
【0149】
次いで、活性層56上に、例えばMOCVD法により、p−Al0.3Ga0.7Asよりなる上部クラッド層58を成長する。上部クラッド層58に導入するp型不純物の濃度は、例えば5×1017cm−3とする。上部クラッド層58の膜厚は、例えば3μmとする。
【0150】
次いで、上部クラッド層58上に、例えばMOCVD法により、p−GaAsよりなるコンタクト層60を成長する(図20(c))。コンタクト層60に導入するp型不純物の濃度は、例えば1×1019cm−3とする。コンタクト層60の膜厚は、例えば0.5μmとする。
【0151】
次いで、コンタクト層60及び上部クラッド層58を、活性層56上に上部クラッド層58が100nm程度残存するように例えば幅3μmのストライプ状に加工する(図21(a))。
【0152】
次いで、コンタクト層60上にp側電極62を形成し、GaAs基板50の裏面にn側電極64を形成する(図21(b))。
【0153】
こうして、本実施形態による半導体装置が製造される。
このように、本実施形態によれば、第5実施形態による半導体装置の製造方法により成長した量子ドット32を活性層56に適用するので、高速直接変調を実現することができる量子ドットレーザを提供することができる。
【0154】
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態による半導体装置及びその製造方法について図22乃至図29を用いて説明する。図22は本実施形態による半導体装置の構造を示す概略図、図23、図24、図26及び図29は本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図、図25は本実施形態による半導体装置の製造方法において複数層の量子ドット層を成長する際の各量子ドット層の成長時のV/III比の下限値及び上限値を示すグラフ、図27及び図28は上部クラッド層の成長温度と上部クラッド層表面の二乗平均粗さとの関係、及び量子ドット層のアニール温度と量子ドットの発光のブルーシフトとの関係を示すグラフである。なお、第5実施形態による半導体装置の製造方法と同様の構成要素については説明を省略し或いは簡略にする。
【0155】
本実施形態では、第6実施形態と同様に、第5実施形態による半導体装置の製造方法より成長した量子ドット32を半導体レーザの活性層に適用したリッジ型の量子ドットレーザについて説明する。
【0156】
まず、本実施形態による半導体装置の構造について図22を用いて説明する。図22(a)は本実施形態による半導体装置の構造を示す断面図、図22(b)は本実施形態による半導体装置における活性層を示す拡大断面図である。
【0157】
図22(a)に示すように、n−GaAs基板66上には、n−AlGaAsよりなるn型の下部クラッド層68が形成されている。n−GaAs基板66に導入されているn型不純物の濃度は、例えば1×1018cm−3となっている。下部クラッド層68の組成は、例えばAl0.35Ga0.65Asとなっている。下部クラッド層68に導入されているn型不純物の濃度は、例えば5×1017cm−3となっている。下部クラッド層68の膜厚は、例えば1〜3μmとなっている。なお、下部クラッド層68は、第6実施形態による半導体装置と同様に、n−GaAsよりなるバッファ層を介してn−GaAs基板66上に形成してもよい。
【0158】
下部クラッド層68上には、GaAsよりなるSCH(Separate Confinement Heterostructure)層70が形成されている。SCH層70の膜厚は、例えば40nmとなっている。
【0159】
SCH層70上には、活性層72が形成されている。活性層72には、図22(b)に示すように、第5実施形態による半導体装置の製造方法により成長したInAsよりなる量子ドット層30とGaAsよりなるキャップ層36との積層膜が複数層、例えば5〜10層繰り返して形成されている。キャップ層36は、バリア層として機能する。第1層目の量子ドット層30とSCH層70との間には、GaAsよりなるバリア層71が形成されている。バリア層71及びキャップ層36の膜厚は、それぞれ例えば40nmとなっている。図22(b)では、GaSb層42(図18(c)参照)を省略している。
【0160】
なお、量子ドット層30とキャップ層36との間には、量子ドット32を含む量子ドット層30を覆うInGaAsよりなる応力緩和層を形成してもよい。この場合、応力緩和層の組成は、例えばIn0.1Ga0.9Asとする。
【0161】
本実施形態では、MOCVD法によりn層(nは2以上の整数)のInAsよりなる量子ドット層30を成長する際に、第i層目(iは1≦i≦n−1を満たす整数)の量子ドット層30の成長時のV/III比よりも、第i+1層目の量子ドット層30の成長時のV/III比を高く設定している。これにより、複数層の量子ドット層30が、欠陥を生じることなく、量子ドット32のサイズ分布及び密度を層間で均一に保たれた状態で繰り返して形成されている。この点については後述する。
【0162】
活性層72上には、図22(a)に示すように、GaAsよりなるSCH層74が形成されている。SCH層74の膜厚は、例えば40nmとなっている。
【0163】
SCH層74上には、p−AlGaAsよりなるp型の上部クラッド層76が形成されている。上部クラッド層76の組成は、例えばAl0.35Ga0.65Asとなっている。上部クラッド層76に導入されているp型不純物の濃度は、例えば5×1017〜1×1018cm−3となっている。上部クラッド層76の膜厚は、例えば1〜3μmとなっている。
【0164】
上部クラッド層76上には、p−GaAsよりなるコンタクト層78が形成されている。コンタクト層78に導入されているp型不純物の濃度は、例えば1×1019cm−3となっている。コンタクト層78の膜厚は、例えば0.5μmとなっている。
【0165】
コンタクト層78及び上部クラッド層76は例えば幅3μmのストライプ状に加工されており、レーザの横モードを安定させるリッジ構造が形成されている。
【0166】
コンタクト層78上には、p側電極80が形成されている。
【0167】
n−GaAs基板66の裏面には、n側電極82が形成されている。
【0168】
こうして、本実施形態による半導体装置が構成されている。
【0169】
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法について図23乃至図29を用いて説明する。
【0170】
まず、n−GaAs基板66上に、MOCVD法により、n−AlGaAsよりなるn型の下部クラッド層68を成長する(図23(a))。n−GaAs基板66に導入されているn型不純物の濃度は、例えば1×1018cm−3とする。下部クラッド層68の組成は、例えばAl0.35Ga0.65Asとする。下部クラッド層68に導入するn型不純物の濃度は、例えば5×1017cm−3とする。下部クラッド層68の膜厚は、例えば1〜3μmとする。また、下部クラッド層68の成長時のGa原料としては、TMGを用いる。
【0171】
次いで、下部クラッド層54上に、MOCVD法により、GaAsよりなるSCH層70を成長する(図23(b))。SCH層70の膜厚は、例えば40nmとする。
【0172】
次いで、SCH層70上に、第5実施形態による半導体装置の製造方法により、量子ドット層30とキャップ層36との積層膜を複数層、例えば5〜10層繰り返して形成する。これにより、複数層の量子ドット層30を含む活性層72を形成する(図23(c))。
【0173】
ここで、活性層72の形成方法について図24及び図25を用いて詳述する。
【0174】
まず、SCH層70上に、MOCVD法により、GaAsよりなるバリア層71を成長する(図24(a))。バリア層71の膜厚は、例えば40nmとする。
【0175】
次いで、第5実施形態による半導体装置の製造方法により、量子ドット層30と、バリア層として機能するキャップ層36との積層膜を複数層、例えば5〜10層繰り返して形成する。キャップ層36の膜厚、すなわち量子ドット層30の間隔は例えば40nmとする。
【0176】
なお、各量子ドット層30を成長した後、キャップ層36を成長する前に、量子ドット32を含む量子ドット層30を覆うInGaAsよりなる応力緩和層を形成してもよい。この場合、応力緩和層の組成は、例えばIn0.1Ga0.9Asとする。
【0177】
本実施形態では、MOCVD法によりn層(nは2以上の整数)のInAsよりなる量子ドット層30を成長する際に、第i層目(iは1≦i≦n−1を満たす整数)の量子ドット層30の成長時のV/III比よりも、第i+1層目の量子ドット層30の成長時のV/III比を高く設定する。こうして、量子ドット層30の層数が増加するに従って量子ドット層30の成長時のV/III比を徐々に高くしていく。ここで、量子ドット層30の成長時のV/III比とは、量子ドット層30を成長する際にMOCVD装置の反応室内に供給するIII族原料の供給量に対するV族原料の供給量の比のことをいい、本実施形態では、TMIの供給量に対するTBAの供給量の比のことをいう。
【0178】
このように量子ドット層30の成長時のV/III比を設定する場合において、各量子ドット層30の成長時のV/III比は、図25に示す範囲内で設定する。図25は、本実施形態による半導体装置の製造方法において複数層の量子ドット層30を成長する際の各量子ドット層30の成長時のV/III比の下限値及び上限値を示すグラフである。グラフの縦軸はV/III比を示し、横軸は量子ドット層30の層番号、すなわち第何層目の量子ドット層30であるかを示している。グラフ中、◆印はV/III比の下限値を示し、■印はV/III比の上限値を示している。
【0179】
図25に示すように、第1層目の量子ドット層30の成長時のV/III比は、0.1〜0.8に設定する。
【0180】
また、第2層目の量子ドット層30の成長時の量子ドット層30の成長時のV/III比は、1.3〜3.6に設定する。
【0181】
また、第3層目の量子ドット層30の成長時のV/III比は、1.8〜4.0に設定する。
【0182】
また、第4層目以降の量子ドット層30の成長時のV/III比は、1.8〜4.0に設定する。
【0183】
本実施形態による半導体装置の製造方法は、MOCVD法によりn層(nは2以上の整数)のInAsよりなる量子ドット層30を成長する際に、第i層目(iは1≦i≦n−1を満たす整数)の量子ドット層30の成長時のV/III比よりも、第i+1層目の量子ドット層30の成長時のV/III比を高く設定し、量子ドット層30の層数が増加するに従って量子ドット層30の成長時のV/III比を徐々に高くしていくことに主たる特徴の一つがある。
【0184】
このように量子ドット層30の成長時のV/III比を設定することにより、欠陥を生じることなく、量子ドット32のサイズ分布及び密度を層間で均一に保ちつつ、複数層の量子ドット層30を繰り返して形成することができる。
【0185】
なお、図25に示す量子ドット層30の成長時のV/III比の下限値及び上限値は、以下に述べるように、複数層の量子ドット層30を繰り返して形成する上で重要な意義を有している。
【0186】
まず、或る量子ドット層30の成長時のV/III比が下限値を下回ると、その量子ドット層30に含まれる量子ドット32は、密度が大きくなるものの、サイズ分布が急激に広がるとともに、平均サイズが急激に小さくなってしまう。この結果、その量子ドット層30に含まれる量子ドット32の特性は、下層の量子ドット層30、特に第1層目の量子ドット層30に含まれる量子ドット32の特性と大きく異なってしまう。量子ドットレーザに用いる量子ドットには、均一なサイズ分布及び発光波長1.3μmの実現に充分な大きさのサイズが要求される。このため、下限値を下回るV/III比で成長された量子ドット32は、量子ドットレーザに不適である。
【0187】
また、或る量子ドット層30の成長時のV/III比が上限値を上回ると、その量子ドット層30において、合体した島状体の密度が急激に増加する。これら巨大な島状体は、塑性的に緩和しており、転位が生じている。このため、量子ドット層30には非発光再結合中心が導入され、その光学的な特性は大きく劣化することになる。加えて、巨大な島状体は、複数の量子ドット層30を繰り返し形成することの妨げとなる。
【0188】
本実施形態では、各量子ドット層30の成長時のV/III比を図25に示す下限値及び上限値の範囲内で設定するので、量子ドットレーザに好適な量子ドット32を含む量子ドット層30を複数層繰り返して形成することができる。
【0189】
こうして複数層の量子ドット層30が繰り返して形成された活性層72を形成した後、活性層72上に、MOCVD法により、GaAsよりなるSCH層74を成長する(図26(a))。SCH層74の膜厚は、例えば40nmとする。
【0190】
次いで、SCH層74上に、MOCVD法により、p−AlGaAsよりなるp型の上部クラッド層76を成長する。上部クラッド層76の組成は、例えばAl0.35Ga0.65Asとする。上部クラッド層76に導入するp型不純物の濃度は、例えば5×1017〜1×1018cm−3とする。上部クラッド層76の膜厚は、例えば1〜3μmとする。また、上部クラッド層76の成長条件は、基板温度すなわち成長温度を610〜660℃とし、MOCVD装置の反応室内に供給する原料ガスには、Al原料としてTMA(トリメチルアルミニウム)を、Ga原料としてTMGを、As原料としてTBAを用いる。
【0191】
このように、本実施形態による半導体装置の製造方法は、成長温度を610〜660℃とし、Ga原料としてTMGをMOCVD装置の反応室内に供給して上部クラッド層76を成長することにも主たる特徴の一つがある。
【0192】
ここで、上部クラッド層76の成長温度と、上部クラッド層76表面の二乗平均粗さ及び量子ドット32の発光のブルーシフトとの関係について図27及び図28を用いて説明する。
【0193】
図27は、AlGaAsよりなる上部クラッド層の成長温度と上部クラッド層表面の二乗平均粗さとの関係、及び量子ドット層のアニール温度と量子ドットの発光のブルーシフトとの関係を示すグラフである。なお、図27は、量子ドットを含む量子ドット層を覆うIn0.1Ga0.9Asよりなる応力緩和層を形成していない場合を示している。キャップ層の膜厚は40nmとし、本発明により5層の量子ドット層を繰り返して形成している。量子ドットの基底状態でのピーク発光波長は、1.28μmである。グラフの右側縦軸は上部クラッド層表面の二乗平均粗さを示し、左側縦軸は量子ドットの発光のブルーシフトを示し、グラフの横軸は、二乗平均粗さに対して上部クラッド層の成長温度を示し、発光のブルーシフトに対して量子ドット層のアニール温度を示している。グラフ中、■印は上部クラッド層表面の二乗平均粗さを示し、◆印は量子ドットの発光のブルーシフトを示している。
【0194】
量子ドットレーザを構成する結晶の表面形態の品質は、そのレーザの性能を左右する極めて重要な要素の一つである。すなわち、結晶表面は、できるだけ平坦であることが望ましい。この結晶形態の品質は、結晶の成長温度を増加することにより劇的に改善する。
【0195】
図27に示すように、600℃以下の成長温度で膜厚1.0〜1.4μmのAlGaAsよりなる上部クラッド層を形成した場合、上部クラッド層の表面は、二乗平均粗さが5nmを超える非常に粗いものになっている。
【0196】
これに対して、成長温度が610℃の場合、上部クラッド層表面の粗さは劇的に改善され、二乗平均粗さは2nm程度になっている。さらに、成長温度が620℃以上の場合には、上部クラッド層の表面は、二乗平均粗さが0.4nm以下の平坦なものになっている。成長温度が640℃以上の場合には、二乗平均粗さが0.2nm程度の非常に平坦なものになっている。
【0197】
本実施形態では、610℃以上の成長温度で上部クラッド層76を成長するので、結晶品質が高く平坦な上部クラッド層76を成長することができる。これにより、SCH層74と上部クラッド層76との界面の粗さ及び上部クラッド層76と後工程で成長するコンタクト層78との界面の粗さを低減することができる。これにより、量子ドットレーザにおける光の散乱損失を低減することができる。
【0198】
また、以下に述べるように、本実施形態では、このように比較的高温の成長温度で上部クラッド層76を成長しても、量子ドット32が破壊されたり量子ドット32の発光特性が劣化したりすることもない。
【0199】
上部クラッド層の成長時においては、量子ドットを含む活性層は、非常に高い温度にアニールされることになる。
【0200】
Sbを用いずにInAsよりなる量子ドットとGaAsよりなるキャップ層とを成長する従来の成長方法の場合、量子ドットが非常に高い温度にアニールされると、量子ドットの発光波長が短波長側にシフトする、すなわちブルーシフトすることになる。さらには、量子ドットが破壊されることがある。
【0201】
これに対して、Sbを用いてInAsよりなる量子ドットとGaAsよりなるキャップ層とを成長する本発明の場合は、アニールの影響を受けることは殆どなく、量子ドットが非常に高い温度にアニールされても、量子ドットの発光波長がブルーシフトすることはなく、量子ドットが破壊されることもない。
【0202】
図27では、膜厚1.4μmのAlGaAsよりなる上部クラッド層を成長速度約0.8nm/sで成長した場合に相当する30分間の処理時間でアニール処理を行った場合の本発明による量子ドットの発光のブルーシフトを示している。ここで、量子ドットの発光のブルーシフトとは、アニール処理前後での量子ドットの発光波長のピークの差を意味している。発光のブルーシフトの値0は、アニール処理前後で量子ドットのピーク発光波長に変化がないことを意味している。負の値は、量子ドットのピーク発光波長がブルーシフトしていることを意味し、その絶対値が大きいほどシフト量が大きいことを示している。
【0203】
図27から、660℃のアニール温度までは、量子ドットのピーク発光波長はブルーシフトしていないことが分かる。これに対して、670℃以上のアニール温度では、量子ドットのピーク発光波長が70nm以上ブルーシフトしていることが分かる。
【0204】
本実施形態では、660℃以下の成長温度で上部クラッド層76を成長するため、上部クラッド層76の成長時に、活性層72に含まれる量子ドット32のピーク発光波長がブルーシフトすることはない。
【0205】
このように、本実施形態では、610〜660℃の成長温度でAlGaAsよりなる上部クラッド層76を成長するので、量子ドット32の発光特性の劣化や量子ドット32の破壊を招くことなく、結晶品質が高く平坦な上部クラッド層76を成長することができる。
【0206】
なお、量子ドットの発光のブルーシフトは、量子ドットの被覆状態に依存することが分かっている。
【0207】
図28は、量子ドットを含む量子ドット層を覆うIn0.1Ga0.9Asよりなる応力緩和層を形成した場合について、図27と同様に、量子ドット層のアニール温度と量子ドットの発光のブルーシフトとの関係を示している。図28に示す場合の量子ドット層の積層構造は、応力緩和層を形成している点を除いて図27に示す場合と同様である。この場合の量子ドットの基底状態でのピーク発光波長は、1.305μmである。
【0208】
図28から、応力緩和層を形成した場合、640℃のアニール温度までは、量子ドットのピーク発光波長はブルーシフトしていないことが分かる。これに対して、650℃以上のアニール温度では、量子ドットのピーク発光波長が70nm以上ブルーシフトしていることが分かる。
【0209】
したがって、量子ドット32を含む量子ドット層30を覆う応力緩和層を形成する場合には、上部クラッド層76の成長温度を610〜640℃に設定することが望ましい。
【0210】
こうして上部クラッド層76を成長した後、上部クラッド層76上に、MOCVD法により、p−GaAsよりなるコンタクト層78を成長する(図26(c))。コンタクト層78に導入するp型不純物の濃度は、例えば1×1019cm−3とする。コンタクト層78の膜厚は、例えば0.5μmとする。また、コンタクト層78の成長条件は、成長温度を上部クラッド層76の成長温度から降温して600〜610℃とし、MOCVD装置の反応室内に供給する原料ガスには、Ga原料として上部クラッド層76の成長時に用いたTMGに代えてTEGを用い、As原料としてTBAを用いる。
【0211】
このように、本実施形態による半導体装置の製造方法は、成長温度を上部クラッド層76の成長温度から降温して600〜610℃とし、Ga原料として上部クラッド層76の成長時に用いたTMGに代えてTEGをMOCVD装置の反応室内に供給してコンタクト層78を成長することにも主たる特徴の一つがある。
【0212】
コンタクト層78をこのような成長条件で成長することにより、結晶品質の高いコンタクト層78を成長することができ、上部クラッド層76とコンタクト層78との界面の粗さを更に低減することができる。これにより、量子ドットレーザにおける光の散乱損失を更に低減することができる。また、量子ドットレーザにおけるリーク電流を低減することができる。
【0213】
また、600〜610℃の成長温度でコンタクト層78を成長するので、コンタクト層78の成長時に量子ドット32の発光特性が劣化することもない。また、量子ドット32が破壊されることもない。
【0214】
次いで、コンタクト層78及び上部クラッド層76を、SCH層74上に上部クラッド層76が10〜100nm程度残存するように例えば幅3μmのストライプ状に加工する(図29(a))。
【0215】
次いで、コンタクト層78上にp側電極80を形成し、GaAs基板62の裏面にn側電極82を形成する(図29(b))。
【0216】
こうして、本実施形態による半導体装置が製造される。
【0217】
このように、本実施形態によれば、MOCVD法によりn層のInAsよりなる量子ドット層30を成長する際に、第i層目の量子ドット層30の成長時のV/III比よりも、第i+1層目の量子ドット層30の成長時のV/III比を高く設定し、量子ドット層30の層数が増加するに従って量子ドット層30の成長時のV/III比を徐々に高くしていくので、欠陥を生じることなく、量子ドット32のサイズ分布及び密度を層間で均一に保ちつつ、複数層の量子ドット層30を繰り返して形成することができる。
【0218】
また、本実施形態によれば、成長温度を610〜660℃とし、Ga原料としてTMGをMOCVD装置の反応室内に供給して上部クラッド層76を成長するので、量子ドット32の発光特性の劣化や量子ドット32の破壊を伴うことなく、結晶品質が高く平坦な上部クラッド層76を成長することができる。これにより、SCH層74と上部クラッド層76との界面の粗さ及び上部クラッド層76とコンタクト層78との界面の粗さを低減することができる。これにより、量子ドットレーザにおいて光の散乱損失を低減することができる。
【0219】
さらに、本実施形態によれば、成長温度を上部クラッド層76の成長温度から降温して600〜610℃とし、Ga原料として上部クラッド層76の成長時に用いたTMGに代えてTEGをMOCVD装置の反応室内に供給してコンタクト層78を成長するので、量子ドット32の発光特性の劣化や量子ドット32の破壊を伴うことなく、結晶品質の高いコンタクト層78を成長することができる。したがって、上部クラッド層76とコンタクト層78との界面の粗さを更に低減することができる。これにより、量子ドットレーザにおけるリーク電流を低減することができる。
【0220】
なお、上記では、第5実施形態による半導体装置の製造方法により量子ドット層30とキャップ層36との積層膜を複数層繰り返して形成する場合について説明したが、第1乃至第4実施形態による半導体装置の製造方法のいずれかにより量子ドット層30とキャップ層36との積層膜を複数層繰り返して形成してもよい。この場合においても、上記と同様に量子ドット層30の成長時のV/III比を設定し、量子ドット層30の層数が増加するに従って量子ドット層30の成長時のV/III比を徐々に高くしていくことにより、欠陥を生じることなく、量子ドット32のサイズ分布及び密度を層間で均一に保ちつつ、複数層の量子ドット層30を繰り返して形成することができる。
【0221】
また、上記では、量子ドット層30とキャップ層36との積層膜を複数層繰り返して形成する場合について説明したが、第1乃至第5実施形態による半導体装置の製造方法のいずれかにより量子ドット層30とキャップ層36との積層膜を1層だけ形成してもよい。この場合においても、上記と同様の成長条件で上部クラッド層76の成長することにより、量子ドット32の発光特性の劣化や量子ドット32の破壊を招くことなく、結晶品質が高く平坦な上部クラッド層76を成長することができる。また、上記と同様の成長条件でコンタクト層78を成長することにより、量子ドット32の発光特性の劣化や量子ドット32の破壊を伴うことなく、結晶品質の高いコンタクト層78を成長することができる。
【0222】
[第8実施形態]
本発明の第8実施形態による半導体装置の製造方法について図30を用いて説明する。図30は本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。なお、第7実施形態による半導体装置及びその製造方法と同様の構成要素については説明を省略し或いは簡略にする。
【0223】
本実施形態による半導体装置の製造方法は、第7実施形態による半導体装置の製造方法とほぼ同様である。本実施形態による半導体装置の製造方法は、上部クラッド層76の成長時において、ドーパントを用いることなく、上部クラッド層76の成長時のV/III比を制御することにより、上部クラッド層76のp型キャリア濃度を制御することに特徴がある。
【0224】
まず、第7実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、n−GaAs基板66上に、SCH層74までを形成する(図30(a))。
【0225】
次いで、SCH層74上に、MOCVD法により、p−AlGaAsよりなるp型の上部クラッド層76を成長する(図30(b))。上部クラッド層76の組成は、例えばAl0.35Ga0.65Asとする。上部クラッド層76の膜厚は、例えば1〜3μmとする。また、上部クラッド層76の成長条件は、成長温度を610〜660℃とし、MOCVD装置の反応室内に供給する原料ガスには、Al原料としてTMAを、Ga原料としてTMGを、As原料としてTBAを用いる。
【0226】
本実施形態では、上部クラッド層76の成長時においてp型キャリア濃度を制御するためのドーパントをMOCVD装置の反応室内に供給せずに、上部クラッド層76の成長時のV/III比を制御することにより、上部クラッド層76のp型キャリア濃度を制御する。ここで、上部クラッド層76の成長時のV/III比とは、上部クラッド層76を成長する際にMOCVD装置の反応室内に供給するIII族原料の供給量に対するV族原料の供給量の比のことをいい、本実施形態では、TMA及びTMGの供給量に対するTBAの供給量の比のことをいう。
【0227】
上部クラッド層76のp型キャリア濃度は、上部クラッド層76の成長時のV/III比が増加するに従って減少し、V/III比が減少するに従って増加する。具体的には、上部クラッド層76のp型キャリア濃度は、上部クラッド層76の成長時のMOCVD装置の反応室内のV族原料であるTBAの分圧が増加するに従って減少し、TBAの分圧が減少するに従って増加する。
【0228】
このようなV/III比とp型キャリア濃度との関係に基づき、本実施形態では、上部クラッド層76の成長時のV/III比を例えば1〜10の範囲で制御することにより、上部クラッド層76のp型キャリア濃度を例えば1017〜1018cm−3の範囲に制御する。なお、上部クラッド層76のp型キャリア濃度は、V/III比のほか成長温度にも依存するため、成長温度に応じてV/III比を適宜設定する。
【0229】
上部クラッド層76の成長温度が610〜660℃の場合において、具体的には以下のようにV/III比を設定する。
【0230】
例えば上部クラッド層76のp型キャリア濃度を6×1017cm−3に設定する場合、上部クラッド層76の成長時のV/III比を5〜8に設定する。
【0231】
また、例えば上部クラッド層76のp型キャリア濃度を1.0×1018cm−3に設定する場合、上部クラッド層76の成長時のV/III比を3〜6に設定する。
【0232】
このように、本実施形態による半導体装置の製造方法では、ドーパントを用いることなく、上部クラッド層76の成長時のV/III比を制御することにより、上部クラッド層76のp型キャリア濃度を制御するので、上部クラッド層76のp型キャリア濃度を簡便に所望の濃度に設定することができる。
【0233】
なお、上部クラッド層76の成長時のV/III比は、上部クラッド層76の活性層72側からコンタクト層78側に向かって減少するように制御することが望ましい。すなわち、上部クラッド層76の活性層72側の部分のV/III比が、他の部分のV/III比よりも高くなるように制御することが望ましい。
【0234】
こうして上部クラッド層76を成長した後の工程は第7実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので説明を省略する。
【0235】
このように、本実施形態によれば、ドーパントを用いることなく、上部クラッド層76の成長時のV/III比を制御することにより、上部クラッド層76のp型キャリア濃度を制御するので、上部クラッド層76のp型キャリア濃度を簡便に所望の濃度に設定することができる。
【0236】
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0237】
例えば、上記実施形態では、量子ドット層30としてInAs層を成長する場合について説明したが、量子ドット層30の材料はこれに限定されるものではない。量子ドット層30の材料としては、バッファ層28と格子定数が異なる材料を適宜用いることができ、例えば他のIII−V族半導体を用いることができる。
【0238】
また、上記実施形態では、キャップ層36としてGaAs層を成長する場合について説明したが、キャップ層36の材料はこれに限定されるものではない。キャップ層36の材料としては、InGaAs等を用いることができる。
【0239】
また、上記実施形態では、MOCVD法により半導体層を成長する場合について説明したが、半導体層の成長方法はこれに限定されるものではない。例えば、分子線エピタキシー法(MBE法)等により半導体層を成長してもよい。
【0240】
また、上記実施形態では、量子ドット層30の表面に、有機Sb原料ガスとしてTMSbを照射する場合について説明したが、Sbの照射に用いる有機Sb原料はこれに限定されるものではない。例えば、TMSbのほか、TESb等の有機Sb原料ガスを量子ドット層30の表面に照射することにより、Sbの照射を行ってもよい。
【0241】
また、上記実施形態では、量子ドット層30の表面にTMSbとTEGとを同時に照射する場合について説明したが、GaSbの照射に用いる有機金属原料はこれらに限定されるものではない。例えば、上記の有機Sb原料ガスと、TEGのほか、TMGa等の有機Ga原料ガスとを同時に照射することにより、GaSbの照射を行ってもよい。また、有機Sb原料ガスと、Ga以外のIII族金属(In、Al)の有機原料ガスとを同時に照射してもよい。
【0242】
また、上記実施形態では、量子ドット層30を成長する前にバッファ層28の表面にTMSbを照射する場合について説明したが、Sbの照射はこれに限定されるものではない。TMSbのほか、上記の有機Sb原料ガスをバッファ層28の表面に照射することにより、Sbの照射を行ってもよい。
【0243】
また、上記実施形態では、量子ドット層30を成長する前にバッファ層28の表面にSbを照射する場合について説明したが、量子ドット層30の成長中にバッファ層28の表面にSbを照射してもよい。また、量子ドット層30の成長前又は成長中に、バッファ層28の表面にGaSbを照射してもよい。GaSbの照射は、バッファ層28の表面に有機Sb原料ガスと有機Ga原料ガスとを同時に照射することにより行うことができる。
【0244】
また、上記実施形態では、量子ドット層30の表面にTBAを一定時間照射し、量子ドット層30の表面をTBAでエッチングする場合について説明したが、量子ドット層30の表面に一定時間照射するAs原料はこれに限定されるものではない。例えば、TBAのほか、AsH、As、As等を用いることができる。
【0245】
また、上記実施形態では、量子ドット層30の表面にTBAを一定時間照射することにより、InSb層46を除去する場合について説明したが、その他の方法で量子ドット層30の表面をエッチングすることによりInSb層46を除去してもよい。
【0246】
また、上記第6乃至第8実施形態では、下部クラッド層54、68及び上部クラッド層60、76の材料としてAlGaAsを用いる場合について説明したが、下部クラッド層及び上部クラッド層の材料はこれに限定されるものではなく、例えば他のIII−V族化合物半導体を用いてもよい。
【0247】
また、上記第6乃至第8実施形態では、コンタクト層60、78の材料としてGaAsを用いる場合について説明したが、コンタクト層の材料はこれに限定されるものではなく、例えば他のIII−V族化合物半導体を用いてもよい。
【0248】
また、上記第7及び第8実施形態では、SCH層70、74を形成する場合について説明したが、これらは必ずしも形成しなくてもよい。SCH層74を形成しない場合においては、上述した成長条件で上部クラッド層76を成長することにより、活性層72と上部クラッド層76との界面の粗さを低減することができる。
【0249】
また、上記第6乃至第8実施形態では、量子ドット層を活性層に含む量子ドットレーザに本発明を適用した場合について説明したが、本発明は、量子ドットレーザのほか、量子ドット光増幅器、量子ドット波長変換器、量子ドット波形整形器等、量子ドット層を活性層に含む他の光半導体装置に適用することができる。
【0250】
以上詳述した通り、本発明の特徴をまとめると以下の通りとなる。
【0251】
(付記1) 下地層上に、自己組織化成長により量子ドットを形成する工程と、
前記量子ドットの表面に、有機Sb原料ガスを照射する工程と、
前記量子ドット上に、キャップ層を成長する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0252】
(付記2) 下地層上に、自己組織化成長により量子ドットを形成する工程と、
前記量子ドットを形成する工程の前又は前記量子ドットを形成する工程の際に、前記下地層の表面にSb又はGaSbを照射する工程と、
前記量子ドット上に、キャップ層を成長する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0253】
(付記3) 付記2記載の半導体装置の製造方法において、
前記量子ドットの表面にAs原料ガスを一定時間照射する又は前記量子ドットの表面をエッチングすることにより、前記量子ドットの表面に析出したSbを含む表面層を除去する工程を更に含む
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0254】
(付記4) 付記3記載の半導体装置の製造方法において、
前記表面層を除去する工程の後、前記キャップ層を成長する工程の前に、前記量子ドットの表面に、有機Sb原料ガスを照射する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0255】
(付記5) 付記1又は4記載の半導体装置の製造方法において、
前記有機Sb原料ガスを照射する工程では、前記有機Sb原料ガスとともに、III族金属の有機原料ガスを同時に照射する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0256】
(付記6) 付記1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記キャップ層を成長する工程では、0.275nm/s以下の成長速度で前記キャップ層を成長する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0257】
(付記7) 付記1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記量子ドットを含む活性層を形成し、
前記活性層上に、610〜660℃の成長温度で、Ga原料としてトリメチルガリウムを用いてクラッド層を成長する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0258】
(付記8) 付記7記載の半導体装置の製造方法において、
前記クラッド層を成長する工程の後に、前記クラッド層上に、600〜610℃の成長温度で、Ga原料としてトリエチルガリウムを用いてコンタクト層を成長する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0259】
(付記9) 付記1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記量子ドットを含む活性層を形成し、
前記活性層上に、クラッド層を成長する工程と、
前記クラッド層上に、600〜610℃の成長温度で、Ga原料としてトリエチルガリウムを用いてコンタクト層を成長する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0260】
(付記10) 自己組織化成長により形成される量子ドットを含む量子ドット層を成長する工程と;前記量子ドット層の表面に、有機Sb原料ガスを照射する工程と;前記量子ドット層上に、キャップ層を成長する工程とを繰り返すことにより、半導体基板上に、前記量子ドット層をn層(nは2以上の整数)含む活性層を形成する工程を有し、
前記活性層を形成する工程では、第i層目(iは1≦i≦n−1を満たす整数)の前記量子ドット層の成長時のV/III比よりも、第i+1層目の前記量子ドット層の成長時のV/III比を高く設定する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0261】
(付記11) 自己組織化成長により形成される量子ドットを含む量子ドット層を成長する工程と;前記量子ドット層を成長する工程の前又は前記量子ドット層を成長する工程の際に、前記量子ドット層の下地層の表面にSb又はGaSbを照射する工程と;前記量子ドット層上に、キャップ層を成長する工程とを繰り返すことにより、半導体基板上に、前記量子ドット層をn層(nは2以上の整数)含む活性層を形成する工程を有し、
前記活性層を形成する工程では、第i層目(iは1≦i≦n−1を満たす整数)の前記量子ドット層の成長時のV/III比よりも、第i+1層目の前記量子ドット層の成長時のV/III比を高く設定する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0262】
(付記12) 付記11記載の半導体装置の製造方法において、
前記量子ドットの表面にAs原料ガスを一定時間照射する又は前記量子ドットの表面をエッチングすることにより、前記量子ドットの表面に析出したSbを含む表面層を除去する工程を更に含む
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0263】
(付記13) 付記12記載の半導体装置の製造方法において、
前記表面層を除去する工程の後、前記キャップ層を成長する工程の前に、前記量子ドット層の表面に、有機Sb原料ガスを照射する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0264】
(付記14) 付記10又は13記載の半導体装置の製造方法において、
前記有機Sb原料ガスを照射する工程では、前記有機Sb原料ガスとともに、III族金属の有機原料ガスを同時に照射する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0265】
(付記15) 付記10乃至14のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記キャップ層を成長する工程では、0.275nm/s以下の成長速度で前記キャップ層を成長する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0266】
(付記16) 付記10乃至15のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記活性層を形成する工程の後に、前記活性層上に、610〜660℃の成長温度で、Ga原料としてトリメチルガリウムを用いてクラッド層を成長する工程とを更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0267】
(付記17) 付記16記載の半導体装置の製造方法において、
前記クラッド層を成長する工程の後に、前記クラッド層上に、600〜610℃の成長温度で、Ga原料としてトリエチルガリウムを用いてコンタクト層を成長する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0268】
(付記18) 付記10乃至15のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記活性層を形成する工程の後に、前記活性層上に、クラッド層を成長する工程と、
前記クラッド層上に、600〜610℃の成長温度で、Ga原料としてトリエチルガリウムを用いてコンタクト層を成長する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0269】
(付記19) 付記7又は16記載の半導体装置の製造方法において、
前記クラッド層を成長する工程では、ドーパントを用いることなく、前記クラッド層の成長時のV/III比を制御することにより、前記クラッド層のp型キャリア濃度を制御する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0270】
(付記20) 自己組織化成長により下地層上に形成された量子ドットと、
前記量子ドットを埋め込むキャップ層と、
前記量子ドットとキャップ層との間に形成され、III族金属とSbとを含む薄膜と
を有することを特徴とする半導体装置。
【図面の簡単な説明】
【0271】
【図1】従来の量子ドットの成長方法において発生する欠陥を説明する概略断面図である。
【図2】本発明による半導体装置の製造方法の概略を説明する工程断面図(その1)である。
【図3】本発明による半導体装置の製造方法の概略を説明する工程断面図(その2)である。
【図4】本発明による半導体装置の構造を示す概略断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法において供給する原料ガスの分圧等を示すグラフである。
【図6】本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図7】量子ドットの成長後にSb照射を行った場合等における量子ドットの室温でのPL発光スペクトルを示すグラフである。
【図8】本発明の第2実施形態による半導体装置の製造方法において供給する原料ガスの分圧等を示すグラフである。
【図9】本発明の第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態による半導体装置の製造方法において供給する原料ガスの分圧等を示すグラフである。
【図11】本発明の第3実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図12】本発明の第3実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図13】量子ドットのピーク発光波長及び発光強度とTBAによるエッチング時間との関係を示すグラフである。
【図14】キャップ層の成長速度が異なる試料について得られた量子ドットの室温でのPL発光スペクトルを示すグラフである。
【図15】本発明の第4実施形態による半導体装置の製造方法におけるSbの拡散を説明する概略断面図である。
【図16】本発明の第5実施形態による半導体装置の製造方法において供給する原料ガスの分圧等を示すグラフである。
【図17】本発明の第5実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図18】本発明の第5実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図19】本発明の第6実施形態による半導体装置の構造を示す断面図である。
【図20】本発明の第6実施形態による半導体装置の製造方法の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図21】本発明の第6実施形態による半導体装置の製造方法の製造方法を示す工程断面図である。
【図22】本発明の第7実施形態による半導体装置の構造を示す概略図である。
【図23】本発明の第7実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図24】本発明の第7実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図25】本発明の第7実施形態による半導体装置の製造方法において複数層の量子ドット層を成長する際の各量子ドット層の成長時のV/III比の下限値及び上限値を示すグラフである。
【図26】本発明の第7実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図27】上部クラッド層の成長温度と上部クラッド層表面の二乗平均粗さ、及び量子ドットのアニール温度と量子ドットの発光のブルーシフトとの関係を示すグラフ(その1)である。
【図28】上部クラッド層の成長温度と上部クラッド層表面の二乗平均粗さ、及び量子ドットのアニール温度と量子ドットの発光のブルーシフトとの関係を示すグラフ(その2)である。
【図29】本発明の第7実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その4)である。
【図30】本発明の第8実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図31】従来の量子ドットの成長方法を示す工程断面図である。
【符号の説明】
【0272】
10…下地層
12…Sb層
14…量子ドット層
16…量子ドット
18…InSb層
20…被覆層
21…薄膜
22…キャップ層
24…GaSb層
26…GaAs基板
28…バッファ層
30…量子ドット層
32…量子ドット
34…Sb層
36…キャップ層
38…GaSb層
40…GaSb層
42…GaSb層
44…Sb層
46…InSb層
50、66…GaAs基板
52…バッファ層
54、68…下部クラッド層
56、72…活性層
58、76…上部クラッド層
60、78…コンタクト層
62、80…p側電極
64、82…n側電極
70、74…SCH層
71…バリア層
100…下地層
102…Sb層
104…量子ドット層
106…量子ドット
108…Sb層
110…キャップ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地層上に、自己組織化成長により量子ドットを形成する工程と、
前記量子ドットの表面に、有機Sb原料ガスを照射する工程と、
前記量子ドット上に、キャップ層を成長する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
下地層上に、自己組織化成長により量子ドットを形成する工程と、
前記量子ドットを形成する工程の前又は前記量子ドットを形成する工程の際に、前記下地層の表面にSb又はGaSbを照射する工程と、
前記量子ドット上に、キャップ層を成長する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置の製造方法において、
前記量子ドットの表面にAs原料ガスを一定時間照射する又は前記量子ドットの表面をエッチングすることにより、前記量子ドットの表面に析出したSbを含む表面層を除去する工程を更に含む
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記表面層を除去する工程の後、前記キャップ層を成長する工程の前に、前記量子ドットの表面に、有機Sb原料ガスを照射する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1又は4記載の半導体装置の製造方法において、
前記有機Sb原料ガスを照射する工程では、前記有機Sb原料ガスとともに、III族金属の有機原料ガスを同時に照射する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記量子ドットを含む活性層を形成し、
前記活性層上に、610〜660℃の成長温度で、Ga原料としてトリメチルガリウムを用いてクラッド層を成長する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記量子ドットを含む活性層を形成し、
前記活性層上に、クラッド層を成長する工程と、
前記クラッド層上に、600〜610℃の成長温度で、Ga原料としてトリエチルガリウムを用いてコンタクト層を成長する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
自己組織化成長により形成される量子ドットを含む量子ドット層を成長する工程と;前記量子ドット層の表面に、有機Sb原料ガスを照射する工程と;前記量子ドット層上に、キャップ層を成長する工程とを繰り返すことにより、半導体基板上に、前記量子ドット層をn層(nは2以上の整数)含む活性層を形成する工程を有し、
前記活性層を形成する工程では、第i層目(iは1≦i≦n−1を満たす整数)の前記量子ドット層の成長時のV/III比よりも、第i+1層目の前記量子ドット層の成長時のV/III比を高く設定する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
自己組織化成長により形成される量子ドットを含む量子ドット層を成長する工程と;前記量子ドット層を成長する工程の前又は前記量子ドット層を成長する工程の際に、前記量子ドット層の下地層の表面にSb又はGaSbを照射する工程と;前記量子ドット層上に、キャップ層を成長する工程とを繰り返すことにより、半導体基板上に、前記量子ドット層をn層(nは2以上の整数)含む活性層を形成する工程を有し、
前記活性層を形成する工程では、第i層目(iは1≦i≦n−1を満たす整数)の前記量子ドット層の成長時のV/III比よりも、第i+1層目の前記量子ドット層の成長時のV/III比を高く設定する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置の製造方法において、
前記量子ドットの表面にAs原料ガスを一定時間照射する又は前記量子ドットの表面をエッチングすることにより、前記量子ドットの表面に析出したSbを含む表面層を除去する工程を更に含む
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−124500(P2012−124500A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−289138(P2011−289138)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【分割の表示】特願2007−123592(P2007−123592)の分割
【原出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、文部科学省、科学技術試験研究委託費 光・デバイス技術の開発、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願 平成19年度、新エネルギー・産業技術総合開発機構、「フォトニックネットワーク技術の開発事業」委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】