半導体装置及びその製造方法
【課題】Cdsubの低減を通じて、出力容量Cossの低減に寄与する半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板と半導体基板上に絶縁膜を介して形成された第1導電型の半導体層とを有するSOI基板と、第1導電型の半導体層からなる活性領域内に、第2導電型の半導体層からなるウェルを形成するとともに、ウェル内および第1導電型の活性領域内に、第1導電型の半導体層からなるソース・ドレイン領域を形成した横型MOSFETにおいて、活性領域のうち、ドレイン領域にコンタクトするように形成されるドレインパッド形成領域9p下の少なくとも一部は、SOI基板の絶縁膜に到達するように形成された絶縁性領域11で構成される。
【解決手段】半導体基板と半導体基板上に絶縁膜を介して形成された第1導電型の半導体層とを有するSOI基板と、第1導電型の半導体層からなる活性領域内に、第2導電型の半導体層からなるウェルを形成するとともに、ウェル内および第1導電型の活性領域内に、第1導電型の半導体層からなるソース・ドレイン領域を形成した横型MOSFETにおいて、活性領域のうち、ドレイン領域にコンタクトするように形成されるドレインパッド形成領域9p下の少なくとも一部は、SOI基板の絶縁膜に到達するように形成された絶縁性領域11で構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置およびその製造方法にかかり、特にSOIパワー半導体素子の高速化および消費電力の低減に関する。
【背景技術】
【0002】
ところで、SOI構造のLDMOSFETの寄生容量は、図10に示すようにゲート・ドレイン間容量Cdg、ゲート・ソース間容量Cgs、ドレイン・ソース間容量Cds、ドレイン・基板間容量Cdsub、ソース・基板間容量Cssubがある。これは、図11に断面図を示すように、各端子間に容量が形成されるためである。SOI構造型のLDMOSFETの出力容量Cossは、図12に示すように、Coss=Cds+Cdg+Cdsubである。ここで、Cdgはゲート・ドレイン間容量であり、通常の縦型MOSFETとSOI構造型のLDMOSFETは同一レベルである。また、Cdsは接合容量であり、埋め込み絶縁膜2の存在により、p型ウェル領域4の、n+型ドレイン領域6側の側面の面積の大きさが限定されるSOI構造は、通常の縦型MOSFETと比較して桁違いにCdsが低くなる。
従って、SOI構造型のLDMOSFETは、出力容量Cossが低減され、同素子が高速動作と低消費電力に優れているとして注目されるに至っている。出力容量Cossは、同素子の高速動作と低消費電力に影響し、小さいほど良い。このCossにおいて、Cdsubが占める割合は少なくなく、素子特性に影響を与えている。
【0003】
ところが、SOI構造型のLDMOSFETにあっては、縦型MOSFETには存在しないCdsub成分を有している。もっとも、縦型MOSFETと比較したとき、Cdsの低減分に比べてCdsubの新規付加分は極めて小さいので、両者の出力容量Cossを比較するとき、Cdsubの新規付加分は問題にならないほど小さい値である。
【0004】
しかしながら、SOI構造型のLDMOSFETにおいては、Cossの絶対値が小さくなったことにより、CdsubはCossのおよそ半分程度の割合を占める場合もあり、Cdsubの大きさは無視できない。
そこで特許文献1では、半導体基板中に形成された、酸化膜とポリシリコン膜により構成された素子間分離領域と、ウエル領域とが隣接するように構成し、容量の低減を図るようにした横型MOSFETを提案している。
しかしながら、Cdsubのなかでもドレインパッド領域の容量Cdsub1が特に無視できないということがわかってきた。
【0005】
例えば、チャネル幅が480μmのMOSFETを設計したとする。この場合、ドレイン領域内に1辺が100μmのドレインパッドを配置したすると、1辺120μmのドレイン領域内に100μmのドレインパッドを配置する設計になる。
(チャネル長120μm×4=480μm)
ここで発生するドレイン−基板間容量Cdsubは、120μmの面積で決まる。
このうちドレインパッド領域によって発生する寄生容量は100μm×100μm=10000μm2 分となる。
また、チャネル形成に必要なドレイン領域の寄生容量は、120μm□から100μm、□を引いた分、すなわち
14400μm2 - 10000μm2= 4400μm2分となる。
【0006】
この例からも明らかなように、ドレインパッドによって発生する寄生容量は、ドレインパッドがチャネル形成に寄与していないにもかかわらず、全体の70%程度とかなり多くを占めていることがわかる。
【0007】
また素子分離方法としてトレンチ内に誘電体膜を形成し、高耐圧化、高集積化をはかるようにした横型MOSFETも提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9-129887号公報
【特許文献2】特開2004-153140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、SOI構造型のLDMOSFETにおいては、Cossの絶対値が小さくなったことにより、CdsubはCossのおよそ半分程度の割合を占める場合もあり、Cdsubの大きさが無視できない。このため、Cdsubの低減が課題となっており、種々の改善がなされているが、さらなる高速化にむけて、特にドレインパッド領域下の容量Cdsub1の低減が求められている。
本発明は、前記実情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、Cdsubの低減を通じて、出力容量Cossの低減に寄与する半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで本発明の半導体装置は、半導体基板と半導体基板上に絶縁膜を介して形成された第1導電型の半導体層とを有するSOI基板と、第1導電型の半導体層からなる活性領域内に、第2導電型の半導体層からなるウェルを形成するとともに、ウェル内および第1導電型の活性領域内に、第1導電型の半導体層からなるソース・ドレイン領域を形成した横型MOSFETにおいて、活性領域のうち、ドレイン領域にコンタクトするように形成されるドレインパッド領域下の少なくとも一部は、SOI基板の絶縁膜に到達するように形成された絶縁性領域で構成される。
【0011】
また、本発明は、上記半導体装置において、絶縁性領域を絶縁性の樹脂膜で構成したことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記半導体装置において、絶縁性領域をポリイミド樹脂膜で構成したことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記半導体装置において、絶縁性領域を酸化シリコン膜で構成したことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記半導体装置において、この絶縁性領域を構成する酸化シリコン膜をCVD法で形成した酸化シリコン膜で構成したことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記半導体装置において、酸化シリコン膜をポリシリコン膜の酸化によって形成した酸化シリコン膜で構成したことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、半導体基板と半導体基板上に絶縁膜を介して形成された第1導電型の半導体層とを有するSOI基板を用意する工程と、この第1導電型の半導体層からなる活性領域内に、第2導電型の半導体層からなるウェルを形成するとともに、ウェル内および第1導電型の活性領域内に、第1導電型の半導体層からなるソース・ドレイン領域を形成する工程とを含む半導体装置の製造方法において、この活性領域を構成する半導体層のうちドレインパッド形成領域の少なくとも一部を、半導体基板上の前記絶縁膜に到達する深さまでエッチング除去する工程と、エッチング除去された領域に絶縁性領域を形成する工程と、絶縁性領域上にのりあげるようにドレインパッドを形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記半導体装置の製造方法において、絶縁性領域を形成する工程が、絶縁性の樹脂膜を塗布する工程を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記半導体装置の製造方法において、絶縁性領域を形成する工程が、CVD法により酸化シリコン膜を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記半導体装置の製造方法において、絶縁性領域を形成する工程は、ポリシリコン膜を形成する工程と、ポリシリコン膜を酸化する工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
以上説明してきたように、本発明によれば、半導体装置を形成する活性領域のドレインパッド領域下の少なくとも一部を、SOI基板の絶縁膜に到達するように形成された絶縁性領域で構成している。このため、絶縁性領域が形成されることによってドレインパッド領域と基板間との間に発生する寄生容量は小さくなり、これによりトータルの寄生容量を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の概略構成を示す要部断面図
【図2】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の上面図
【図3】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の概略構成を示す断面図
【図4】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造工程図
【図5】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の概略構成を示す断面図
【図6】本発明の実施の形態3に係る半導体装置の概略構成を示す断面図
【図7】本発明の実施の形態3に係る半導体装置の製造工程図
【図8】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の概略構成を示す断面図
【図9】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の製造工程図
【図10】通例の半導体装置の概略構成を示す断面図
【図11】通例の半導体装置の等価回路構成を示す図
【図12】通例の半導体装置の等価回路構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係る半導体装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1および2は、本発明の実施の形態1に係るSOI基板上に形成されたLDMOSFETを示す要部概略断面図および上面説明図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の概略構成を示す図である。
なお、以下に示す実施の形態においては、第1導電型をn型、第2導電型をp型として説明するが、第1導電型がp型、第2導電型がn型である場合にも適用可能である。
【0024】
ここで図1は図2のA−A断面図である。本実施の形態に係るLDMOSFETは、従来例として図10に示したLDMOSFETにおいて、n+型ドレイン領域6のドレインパッド形成領域の活性領域(SOI基板の第1導電型の半導体層を構成するn型シリコン層3)に対し、異方性エッチングにより埋め込み絶縁膜2に到達するように111面が露呈するトレンチTを形成し、このトレンチ内に絶縁性の樹脂膜であるポリイミド膜からなる絶縁性領域11が形成されたことを特徴とする。すなわち、ワイヤボンディングのためのボンディングパッド形成領域下を絶縁性領域とすることでの容量を低減し、全体としての寄生容量を低減するものである。ここでポリイミド膜としては、フォトニースと指称する東レ製の樹脂層(比誘電率3)を用いている。
【0025】
すなわち本発明では、半導体基板1としてのシリコン基板と、シリコン基板上に埋め込み絶縁膜2を介して形成された第1導電型の半導体層としてのn型シリコン層(活性領域)3とを有するSOI基板と、この活性領域3内に、第2導電型の半導体層としてn+型シリコン層からなるソース・ドレイン領域5,6を形成した横型MOSFETにおいて、n+型のドレイン領域6に接続され、ドレインパッド形成領域9p下となる領域に、内壁が(111)面となるトレンチTを具備し、このトレンチT内にポリイミド膜を充填し酸化シリコン膜からなる絶縁性領域11を形成したことを特徴とする。ここでは、n型シリコン層からなる活性領域3内に第2導電型ウェル領域であるp型ウェル領域4と、高濃度第1導電型のドレイン領域であるn+型ドレイン領域6とが離間して形成され、高濃度第1導電型のソース領域であるn+型ソース領域5がp型ウェル領域4内に形成されている。このとき、p型ウェル領域4は、埋め込み絶縁膜2に達する深さまで形成されており、p型ウェル領域4内には、高濃度第2導電型のボディコンタクト領域であるp+型ボディコンタクト領域7が形成されている。8はソース電極、9はドレイン電極、10はゲート電極である。8pはソースパッド形成領域、9pはドレインパッド形成領域、10pはゲートパッド形成領域である。ここでゲート電極10は蛇行するように形成したが、これはゲート幅を増大すべく形成したもので、直線でもよいことはいうまでもない。12は絶縁膜である。
【0026】
また、n+型ドレイン領域6と電気的に接続されるようにドレイン電極9が形成され、p型ウェル領域及びn+型ソース領域5と電気的に接続されるようにソース電極8が形成され、n型シリコン層からなる活性領域3表面の、n+型ドレイン領域6とn+型ソース領域5との間に介在するp型ウェル領域4上には、ゲート酸化膜を介して導電性を有するポリシリコンより成るゲート電極10が形成されている。ここで、n型シリコン層からなる活性領域3は、ドリフト領域を形成している。
【0027】
この構成においては、半導体装置を形成する活性領域のドレインパッド形成領域9p下の少なくとも一部を、SOI基板の絶縁膜に到達するように形成された絶縁性領域で構成している。
ここで、ドレイン領域(6)と基板(Sub)1との間に発生する寄生容量(Cdsub)は次式で表される。Cdsub’= Cdsub1 + Cdsub2となる。
Cdsub’= Cdsub1+Cdsub2 < Cdsub
Cdsub : 従来のドレイン領域・基板間の寄生容量
Cdsub’ : 絶縁性領域を形成した後のドレイン領域・基板間の寄生容量
Cdsub1:ドレイン活性層領域−基板間の寄生容量
Cdsub2:ドレインパッド領域−基板間の寄生容量
この構成によれば、絶縁性領域が形成されることによってドレインパッド領域と基板間との間に発生する寄生容量は小さくなり、これによりトータルの寄生容量を小さくすることができる。
すなわち、n+型のドレイン領域6に接続されるドレインパッド形成領域9pは絶縁性領域となっており、この絶縁性領域11上の絶縁性領域による突出領域にドレインパッドが形成されている。このため、ボンディングにあたり、表面が突出しているため、ボンディングが容易である。特に、導電性の箔を用いた帯状電極による電気的接続も容易である。また、ボンディングパッド下には活性領域がないため、他の活性領域(n型シリコン層)3とは電気的には分離されている(DC電圧をかけても電流は流れない)。
このようにして絶縁性領域11が形成されることによってドレイン電極と基板間との間に発生する寄生容量は小さくなり、これによりトータルの寄生容量を小さくすることができる。
【0028】
次に、本実施の形態に係るSOI構造型のLDMOSFETの製造工程について説明する。
図4は、本実施の形態に係るSOI構造型のLDMOSFETの製造工程の一部を示す概略断面図である。本実施の形態に係るSOI構造型のLDMOSFETの製造工程は、通例のSOI構造型のLDMOSFETの製造工程と略同様であるが、トレンチの形成およびトレンチ内に絶縁性領域11としてポリイミド膜を形成する点が特徴である。
【0029】
本実施の形態では、まず図4(a)に示すように、SOI基板を用意し、このn型シリコン層3に対し窒化シリコン膜などのマスクパターンMを形成し、異方性エッチングを施すことで、(111)面をもつようにトレンチTを形成する。
【0030】
そして、トレンチTの内壁にポリイミド樹脂を充填する。このとき、図4(b)に示すように、マスクパターン(M)を残したまま、トレンチTの側壁から活性領域上に乗り上げるように絶縁性領域11を形成する。このとき、またマスクパターン(M)を残したまま表面酸化を行い、トレンチTの内壁に選択的に酸化シリコン膜を形成するようにしてもよい。この点については後述する。
【0031】
そしてこの後、図4(c)に示すように、ポリシリコンを用いてゲート電極10を形成し、このn型シリコン層3内に、図示しないマスクを形成して、高エネルギーイオン注入法によりボロン(B)等のp型不純物を導入し、p型ウェル領域4を形成した後に、n+型ドレイン領域6及びn+型ソース領域5形成のためのn型不純物の導入を行う。
【0032】
そしてこの後、図4(d)に示すように、ソースおよびドレイン電極8,9を形成する。このときドレイン電極9はドレインパッド形成領域9pで突出した表面をもつように、絶縁膜上に乗り上げるようにして形成される。
【0033】
この方法によれば、通例の工程にトレンチエッチングおよび樹脂膜の充填工程のみを追加するだけでよいので、比較的容易に製造することができる。
【0034】
また、SOI構造型のLDMOSFETをインバーター等に応用するためには、その耐圧を実用的な30V以上に設定する必要がある。
【0035】
なお、本実施の形態においては、埋め込み絶縁膜2として酸化シリコン膜を用いたが、窒化アルミニウム(AlN)または、酸化シリコン膜よりも誘電率が低く、かつ、熱伝導率が高い材料を用いるようにすれば、ドレイン・基板間容量Cdsubを低減できるとともに、オン抵抗とドレイン電流によってドリフト領域内に発生する熱を効率良く半導体基板1(シリコン基板)側に逃がして発熱を抑制することができ、熱破壊を防止することができる。
【0036】
また、ドリフト領域をSiに比べて移動度が高く、熱伝導度が高く、高電界強度を有するSiCまたは、同様の特性を有し、Siよりも広いバンドギャップを有する材料により形成すれば、オン抵抗が低くなり、耐圧が高くなるとともに、ドリフト領域内で発生する熱を効率良く半導体基板(シリコン基板)1側に逃がして発熱を抑制することができ、熱破壊を防止することができる。
【0037】
なお前記実施の形態1では、n+型ドレイン領域6に接続されるドレインパッド下領域全体に、絶縁性領域11を形成したが、絶縁性領域11はn+型ドレイン領域6の周りを含めて少なくとも一部に形成されていてもよい。
【0038】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2について説明する。
図5は本発明の実施の形態2のLDMOSFETを示す断面図である。上面図については実施の形態1で説明した図2と同様であるためここでは説明を省略する。
前記実施の形態では、トレンチTを異方性エッチングによって形成し内壁がテーパ面をもつように形成したが、本実施の形態では、n+型ドレイン領域6の周りを囲むように、埋め込み絶縁膜2に到達する断面垂直のトレンチTを形成し、このトレンチTに酸化シリコン層を埋め込むことにより、ドレインパッド形成領域9pに絶縁性領域11sを形成してなることを特徴とする。
【0039】
他の構成については前記実施の形態1と同様である。
製造に際しては、トレンチエッチングのためのエッチング条件を調整する点と、トレンチ内に酸化シリコン膜を充填するように形成する点で実施の形態1の製造方法と異なる。
【0040】
この構成によれば、断面垂直のトレンチを構成しているため、絶縁性領域11sが小さい。このため、占有面積の増大を防止し、小型のLDMOSFETを形成することが可能となる。
【0041】
なおトレンチ内には酸化シリコン膜を充填するようにしたが、ポリイミド樹脂などの絶縁性樹脂でもよく、また、大面積のトレンチを形成する場合には、トレンチ内壁を酸化し、絶縁化した後、ノンドープの多結晶シリコン膜を充填してもよく、熱膨張率の差により反りや歪を生じない程度の膜であればよい。
【0042】
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3について説明する。
図6は本発明の実施の形態3のLDMOSFETを示す断面図、図7(a)乃至(d)はこの工程を示す要部断面図である。
本実施の形態では、常圧CVD法により酸化シリコン膜からなる絶縁性領域11qを形成したことを特徴とするものである。
製造に際しては、図7(a)に示すようにSOI基板の活性領域3を構成するn型シリコン層上にマスクMとしての窒化シリコン膜を形成し、このマスクMを用いて異方性エッチングを行うことにより、図7(b)に示すようにトレンチTを形成する。この後、図7(c)に示すようにCVD法により酸化シリコン膜を成膜し、フォトリソグラフィにより一部を除去し、絶縁性領域11qを形成する。
そしてこの上層にアルミニウム薄膜を形成し、これをパターニングしてドレインパッドを含むドレイン電極9を形成する。
最後に図7(d)に示すように保護膜13を形成し、ドレインパッドとなる領域に開口を形成する。
このようにして、ドレインパッド形成領域9p下に酸化シリコン膜からなる絶縁性領域11qを有する縦型MOSFETが形成される。
この構成により、大幅なチップ面積の低減を図ることができる。
【0043】
他の構成については前記実施の形態1と同様である。
この構成によれば、断面垂直のトレンチを構成しているため、絶縁性領域11qが小さい。このため、占有面積の増大を防止し、小型のLDMOSFETを形成することが可能となる。
【0044】
(実施の形態4)
次に本発明の実施の形態4について説明する。
図8は本発明の実施の形態4のLDMOSFETを示す要部拡大断面図である。
前記実施の形態では、n+型ドレイン領域6にコンタクトするドレインパッド形成領域に、埋め込み絶縁膜2に到達するように、絶縁性領域11pを形成したが、本実施の形態では、n+型ドレイン領域6に当接するようにトレンチを形成し、CVD法により多結晶シリコン膜14を形成したのち、埋め込み絶縁膜2に到達するように、全面酸化を行なうことで、絶縁性領域11pを形成し、ドレインパッド形成領域下の容量を低減するとともに電流が流れないようにしてなることを特徴とする。
本実施の形態では、常圧CVD法により多結晶シリコン膜を形成したことを特徴とするものである。
製造に際しては、図9(a)に示すようにトレンチT形成用のマスクMとして窒化シリコン膜のパターンを形成し、このマスクMを用いて異方性エッチングにより活性領域3に、トレンチTを形成する。この後、図9(b)に示すようにCVD法によりノンドープの多結晶シリコン膜14を成膜する。
この後、図9(c)に示すようにフォトリソグラフィにより一部を除去し、酸化し絶縁性領域11pを形成する。
そしてこの上層にアルミニウム薄膜を形成し、これをパターニングしてドレインパッドを含むドレイン電極9を形成する。
最後に図9(d)に示すように保護膜13を形成し、ドレインパッドとなる領域に開口を形成する。
このようにして、ドレインパッド形成領域9p下に酸化シリコン膜からなる絶縁性領域11pを有する縦型MOSFETが形成される。
他の構成については前記実施の形態1および3と同様である。
【0045】
製造に際しては、SOI基板上にまず絶縁分離領域を形成する工程を付加するのみである。すなわち、n+型ドレイン領域6となる領域を含む活性領域となる領域に窒化シリコン膜などのマスクを形成して、埋め込み絶縁膜2に到達するまで選択酸化を行い、絶縁分離領域11sを形成した後、p型ウェル領域4、n+型ソース領域5、n+型ドレイン領域6p+型ボディコンタクト領域7を形成する。
【0046】
この構成によっても、確実に基板容量を低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
1 半導体基板
2 埋め込み絶縁膜
4 p型ウェル領域
5 n+型ソース領域
6 n+型ドレイン領域
7 p+型ボディコンタクト領域
8 ソース電極
8p ソースパッド形成領域
9 ドレイン電極
9p ドレインパッド形成領域
10 ゲート電極
10p ゲートパッド形成領域
11,11s,11p,11q 絶縁性領域
12 絶縁膜
13 保護膜
14 多結晶シリコン膜
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置およびその製造方法にかかり、特にSOIパワー半導体素子の高速化および消費電力の低減に関する。
【背景技術】
【0002】
ところで、SOI構造のLDMOSFETの寄生容量は、図10に示すようにゲート・ドレイン間容量Cdg、ゲート・ソース間容量Cgs、ドレイン・ソース間容量Cds、ドレイン・基板間容量Cdsub、ソース・基板間容量Cssubがある。これは、図11に断面図を示すように、各端子間に容量が形成されるためである。SOI構造型のLDMOSFETの出力容量Cossは、図12に示すように、Coss=Cds+Cdg+Cdsubである。ここで、Cdgはゲート・ドレイン間容量であり、通常の縦型MOSFETとSOI構造型のLDMOSFETは同一レベルである。また、Cdsは接合容量であり、埋め込み絶縁膜2の存在により、p型ウェル領域4の、n+型ドレイン領域6側の側面の面積の大きさが限定されるSOI構造は、通常の縦型MOSFETと比較して桁違いにCdsが低くなる。
従って、SOI構造型のLDMOSFETは、出力容量Cossが低減され、同素子が高速動作と低消費電力に優れているとして注目されるに至っている。出力容量Cossは、同素子の高速動作と低消費電力に影響し、小さいほど良い。このCossにおいて、Cdsubが占める割合は少なくなく、素子特性に影響を与えている。
【0003】
ところが、SOI構造型のLDMOSFETにあっては、縦型MOSFETには存在しないCdsub成分を有している。もっとも、縦型MOSFETと比較したとき、Cdsの低減分に比べてCdsubの新規付加分は極めて小さいので、両者の出力容量Cossを比較するとき、Cdsubの新規付加分は問題にならないほど小さい値である。
【0004】
しかしながら、SOI構造型のLDMOSFETにおいては、Cossの絶対値が小さくなったことにより、CdsubはCossのおよそ半分程度の割合を占める場合もあり、Cdsubの大きさは無視できない。
そこで特許文献1では、半導体基板中に形成された、酸化膜とポリシリコン膜により構成された素子間分離領域と、ウエル領域とが隣接するように構成し、容量の低減を図るようにした横型MOSFETを提案している。
しかしながら、Cdsubのなかでもドレインパッド領域の容量Cdsub1が特に無視できないということがわかってきた。
【0005】
例えば、チャネル幅が480μmのMOSFETを設計したとする。この場合、ドレイン領域内に1辺が100μmのドレインパッドを配置したすると、1辺120μmのドレイン領域内に100μmのドレインパッドを配置する設計になる。
(チャネル長120μm×4=480μm)
ここで発生するドレイン−基板間容量Cdsubは、120μmの面積で決まる。
このうちドレインパッド領域によって発生する寄生容量は100μm×100μm=10000μm2 分となる。
また、チャネル形成に必要なドレイン領域の寄生容量は、120μm□から100μm、□を引いた分、すなわち
14400μm2 - 10000μm2= 4400μm2分となる。
【0006】
この例からも明らかなように、ドレインパッドによって発生する寄生容量は、ドレインパッドがチャネル形成に寄与していないにもかかわらず、全体の70%程度とかなり多くを占めていることがわかる。
【0007】
また素子分離方法としてトレンチ内に誘電体膜を形成し、高耐圧化、高集積化をはかるようにした横型MOSFETも提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9-129887号公報
【特許文献2】特開2004-153140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、SOI構造型のLDMOSFETにおいては、Cossの絶対値が小さくなったことにより、CdsubはCossのおよそ半分程度の割合を占める場合もあり、Cdsubの大きさが無視できない。このため、Cdsubの低減が課題となっており、種々の改善がなされているが、さらなる高速化にむけて、特にドレインパッド領域下の容量Cdsub1の低減が求められている。
本発明は、前記実情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、Cdsubの低減を通じて、出力容量Cossの低減に寄与する半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで本発明の半導体装置は、半導体基板と半導体基板上に絶縁膜を介して形成された第1導電型の半導体層とを有するSOI基板と、第1導電型の半導体層からなる活性領域内に、第2導電型の半導体層からなるウェルを形成するとともに、ウェル内および第1導電型の活性領域内に、第1導電型の半導体層からなるソース・ドレイン領域を形成した横型MOSFETにおいて、活性領域のうち、ドレイン領域にコンタクトするように形成されるドレインパッド領域下の少なくとも一部は、SOI基板の絶縁膜に到達するように形成された絶縁性領域で構成される。
【0011】
また、本発明は、上記半導体装置において、絶縁性領域を絶縁性の樹脂膜で構成したことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記半導体装置において、絶縁性領域をポリイミド樹脂膜で構成したことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記半導体装置において、絶縁性領域を酸化シリコン膜で構成したことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記半導体装置において、この絶縁性領域を構成する酸化シリコン膜をCVD法で形成した酸化シリコン膜で構成したことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記半導体装置において、酸化シリコン膜をポリシリコン膜の酸化によって形成した酸化シリコン膜で構成したことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、半導体基板と半導体基板上に絶縁膜を介して形成された第1導電型の半導体層とを有するSOI基板を用意する工程と、この第1導電型の半導体層からなる活性領域内に、第2導電型の半導体層からなるウェルを形成するとともに、ウェル内および第1導電型の活性領域内に、第1導電型の半導体層からなるソース・ドレイン領域を形成する工程とを含む半導体装置の製造方法において、この活性領域を構成する半導体層のうちドレインパッド形成領域の少なくとも一部を、半導体基板上の前記絶縁膜に到達する深さまでエッチング除去する工程と、エッチング除去された領域に絶縁性領域を形成する工程と、絶縁性領域上にのりあげるようにドレインパッドを形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記半導体装置の製造方法において、絶縁性領域を形成する工程が、絶縁性の樹脂膜を塗布する工程を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記半導体装置の製造方法において、絶縁性領域を形成する工程が、CVD法により酸化シリコン膜を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記半導体装置の製造方法において、絶縁性領域を形成する工程は、ポリシリコン膜を形成する工程と、ポリシリコン膜を酸化する工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
以上説明してきたように、本発明によれば、半導体装置を形成する活性領域のドレインパッド領域下の少なくとも一部を、SOI基板の絶縁膜に到達するように形成された絶縁性領域で構成している。このため、絶縁性領域が形成されることによってドレインパッド領域と基板間との間に発生する寄生容量は小さくなり、これによりトータルの寄生容量を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の概略構成を示す要部断面図
【図2】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の上面図
【図3】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の概略構成を示す断面図
【図4】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造工程図
【図5】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の概略構成を示す断面図
【図6】本発明の実施の形態3に係る半導体装置の概略構成を示す断面図
【図7】本発明の実施の形態3に係る半導体装置の製造工程図
【図8】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の概略構成を示す断面図
【図9】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の製造工程図
【図10】通例の半導体装置の概略構成を示す断面図
【図11】通例の半導体装置の等価回路構成を示す図
【図12】通例の半導体装置の等価回路構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係る半導体装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1および2は、本発明の実施の形態1に係るSOI基板上に形成されたLDMOSFETを示す要部概略断面図および上面説明図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の概略構成を示す図である。
なお、以下に示す実施の形態においては、第1導電型をn型、第2導電型をp型として説明するが、第1導電型がp型、第2導電型がn型である場合にも適用可能である。
【0024】
ここで図1は図2のA−A断面図である。本実施の形態に係るLDMOSFETは、従来例として図10に示したLDMOSFETにおいて、n+型ドレイン領域6のドレインパッド形成領域の活性領域(SOI基板の第1導電型の半導体層を構成するn型シリコン層3)に対し、異方性エッチングにより埋め込み絶縁膜2に到達するように111面が露呈するトレンチTを形成し、このトレンチ内に絶縁性の樹脂膜であるポリイミド膜からなる絶縁性領域11が形成されたことを特徴とする。すなわち、ワイヤボンディングのためのボンディングパッド形成領域下を絶縁性領域とすることでの容量を低減し、全体としての寄生容量を低減するものである。ここでポリイミド膜としては、フォトニースと指称する東レ製の樹脂層(比誘電率3)を用いている。
【0025】
すなわち本発明では、半導体基板1としてのシリコン基板と、シリコン基板上に埋め込み絶縁膜2を介して形成された第1導電型の半導体層としてのn型シリコン層(活性領域)3とを有するSOI基板と、この活性領域3内に、第2導電型の半導体層としてn+型シリコン層からなるソース・ドレイン領域5,6を形成した横型MOSFETにおいて、n+型のドレイン領域6に接続され、ドレインパッド形成領域9p下となる領域に、内壁が(111)面となるトレンチTを具備し、このトレンチT内にポリイミド膜を充填し酸化シリコン膜からなる絶縁性領域11を形成したことを特徴とする。ここでは、n型シリコン層からなる活性領域3内に第2導電型ウェル領域であるp型ウェル領域4と、高濃度第1導電型のドレイン領域であるn+型ドレイン領域6とが離間して形成され、高濃度第1導電型のソース領域であるn+型ソース領域5がp型ウェル領域4内に形成されている。このとき、p型ウェル領域4は、埋め込み絶縁膜2に達する深さまで形成されており、p型ウェル領域4内には、高濃度第2導電型のボディコンタクト領域であるp+型ボディコンタクト領域7が形成されている。8はソース電極、9はドレイン電極、10はゲート電極である。8pはソースパッド形成領域、9pはドレインパッド形成領域、10pはゲートパッド形成領域である。ここでゲート電極10は蛇行するように形成したが、これはゲート幅を増大すべく形成したもので、直線でもよいことはいうまでもない。12は絶縁膜である。
【0026】
また、n+型ドレイン領域6と電気的に接続されるようにドレイン電極9が形成され、p型ウェル領域及びn+型ソース領域5と電気的に接続されるようにソース電極8が形成され、n型シリコン層からなる活性領域3表面の、n+型ドレイン領域6とn+型ソース領域5との間に介在するp型ウェル領域4上には、ゲート酸化膜を介して導電性を有するポリシリコンより成るゲート電極10が形成されている。ここで、n型シリコン層からなる活性領域3は、ドリフト領域を形成している。
【0027】
この構成においては、半導体装置を形成する活性領域のドレインパッド形成領域9p下の少なくとも一部を、SOI基板の絶縁膜に到達するように形成された絶縁性領域で構成している。
ここで、ドレイン領域(6)と基板(Sub)1との間に発生する寄生容量(Cdsub)は次式で表される。Cdsub’= Cdsub1 + Cdsub2となる。
Cdsub’= Cdsub1+Cdsub2 < Cdsub
Cdsub : 従来のドレイン領域・基板間の寄生容量
Cdsub’ : 絶縁性領域を形成した後のドレイン領域・基板間の寄生容量
Cdsub1:ドレイン活性層領域−基板間の寄生容量
Cdsub2:ドレインパッド領域−基板間の寄生容量
この構成によれば、絶縁性領域が形成されることによってドレインパッド領域と基板間との間に発生する寄生容量は小さくなり、これによりトータルの寄生容量を小さくすることができる。
すなわち、n+型のドレイン領域6に接続されるドレインパッド形成領域9pは絶縁性領域となっており、この絶縁性領域11上の絶縁性領域による突出領域にドレインパッドが形成されている。このため、ボンディングにあたり、表面が突出しているため、ボンディングが容易である。特に、導電性の箔を用いた帯状電極による電気的接続も容易である。また、ボンディングパッド下には活性領域がないため、他の活性領域(n型シリコン層)3とは電気的には分離されている(DC電圧をかけても電流は流れない)。
このようにして絶縁性領域11が形成されることによってドレイン電極と基板間との間に発生する寄生容量は小さくなり、これによりトータルの寄生容量を小さくすることができる。
【0028】
次に、本実施の形態に係るSOI構造型のLDMOSFETの製造工程について説明する。
図4は、本実施の形態に係るSOI構造型のLDMOSFETの製造工程の一部を示す概略断面図である。本実施の形態に係るSOI構造型のLDMOSFETの製造工程は、通例のSOI構造型のLDMOSFETの製造工程と略同様であるが、トレンチの形成およびトレンチ内に絶縁性領域11としてポリイミド膜を形成する点が特徴である。
【0029】
本実施の形態では、まず図4(a)に示すように、SOI基板を用意し、このn型シリコン層3に対し窒化シリコン膜などのマスクパターンMを形成し、異方性エッチングを施すことで、(111)面をもつようにトレンチTを形成する。
【0030】
そして、トレンチTの内壁にポリイミド樹脂を充填する。このとき、図4(b)に示すように、マスクパターン(M)を残したまま、トレンチTの側壁から活性領域上に乗り上げるように絶縁性領域11を形成する。このとき、またマスクパターン(M)を残したまま表面酸化を行い、トレンチTの内壁に選択的に酸化シリコン膜を形成するようにしてもよい。この点については後述する。
【0031】
そしてこの後、図4(c)に示すように、ポリシリコンを用いてゲート電極10を形成し、このn型シリコン層3内に、図示しないマスクを形成して、高エネルギーイオン注入法によりボロン(B)等のp型不純物を導入し、p型ウェル領域4を形成した後に、n+型ドレイン領域6及びn+型ソース領域5形成のためのn型不純物の導入を行う。
【0032】
そしてこの後、図4(d)に示すように、ソースおよびドレイン電極8,9を形成する。このときドレイン電極9はドレインパッド形成領域9pで突出した表面をもつように、絶縁膜上に乗り上げるようにして形成される。
【0033】
この方法によれば、通例の工程にトレンチエッチングおよび樹脂膜の充填工程のみを追加するだけでよいので、比較的容易に製造することができる。
【0034】
また、SOI構造型のLDMOSFETをインバーター等に応用するためには、その耐圧を実用的な30V以上に設定する必要がある。
【0035】
なお、本実施の形態においては、埋め込み絶縁膜2として酸化シリコン膜を用いたが、窒化アルミニウム(AlN)または、酸化シリコン膜よりも誘電率が低く、かつ、熱伝導率が高い材料を用いるようにすれば、ドレイン・基板間容量Cdsubを低減できるとともに、オン抵抗とドレイン電流によってドリフト領域内に発生する熱を効率良く半導体基板1(シリコン基板)側に逃がして発熱を抑制することができ、熱破壊を防止することができる。
【0036】
また、ドリフト領域をSiに比べて移動度が高く、熱伝導度が高く、高電界強度を有するSiCまたは、同様の特性を有し、Siよりも広いバンドギャップを有する材料により形成すれば、オン抵抗が低くなり、耐圧が高くなるとともに、ドリフト領域内で発生する熱を効率良く半導体基板(シリコン基板)1側に逃がして発熱を抑制することができ、熱破壊を防止することができる。
【0037】
なお前記実施の形態1では、n+型ドレイン領域6に接続されるドレインパッド下領域全体に、絶縁性領域11を形成したが、絶縁性領域11はn+型ドレイン領域6の周りを含めて少なくとも一部に形成されていてもよい。
【0038】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2について説明する。
図5は本発明の実施の形態2のLDMOSFETを示す断面図である。上面図については実施の形態1で説明した図2と同様であるためここでは説明を省略する。
前記実施の形態では、トレンチTを異方性エッチングによって形成し内壁がテーパ面をもつように形成したが、本実施の形態では、n+型ドレイン領域6の周りを囲むように、埋め込み絶縁膜2に到達する断面垂直のトレンチTを形成し、このトレンチTに酸化シリコン層を埋め込むことにより、ドレインパッド形成領域9pに絶縁性領域11sを形成してなることを特徴とする。
【0039】
他の構成については前記実施の形態1と同様である。
製造に際しては、トレンチエッチングのためのエッチング条件を調整する点と、トレンチ内に酸化シリコン膜を充填するように形成する点で実施の形態1の製造方法と異なる。
【0040】
この構成によれば、断面垂直のトレンチを構成しているため、絶縁性領域11sが小さい。このため、占有面積の増大を防止し、小型のLDMOSFETを形成することが可能となる。
【0041】
なおトレンチ内には酸化シリコン膜を充填するようにしたが、ポリイミド樹脂などの絶縁性樹脂でもよく、また、大面積のトレンチを形成する場合には、トレンチ内壁を酸化し、絶縁化した後、ノンドープの多結晶シリコン膜を充填してもよく、熱膨張率の差により反りや歪を生じない程度の膜であればよい。
【0042】
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3について説明する。
図6は本発明の実施の形態3のLDMOSFETを示す断面図、図7(a)乃至(d)はこの工程を示す要部断面図である。
本実施の形態では、常圧CVD法により酸化シリコン膜からなる絶縁性領域11qを形成したことを特徴とするものである。
製造に際しては、図7(a)に示すようにSOI基板の活性領域3を構成するn型シリコン層上にマスクMとしての窒化シリコン膜を形成し、このマスクMを用いて異方性エッチングを行うことにより、図7(b)に示すようにトレンチTを形成する。この後、図7(c)に示すようにCVD法により酸化シリコン膜を成膜し、フォトリソグラフィにより一部を除去し、絶縁性領域11qを形成する。
そしてこの上層にアルミニウム薄膜を形成し、これをパターニングしてドレインパッドを含むドレイン電極9を形成する。
最後に図7(d)に示すように保護膜13を形成し、ドレインパッドとなる領域に開口を形成する。
このようにして、ドレインパッド形成領域9p下に酸化シリコン膜からなる絶縁性領域11qを有する縦型MOSFETが形成される。
この構成により、大幅なチップ面積の低減を図ることができる。
【0043】
他の構成については前記実施の形態1と同様である。
この構成によれば、断面垂直のトレンチを構成しているため、絶縁性領域11qが小さい。このため、占有面積の増大を防止し、小型のLDMOSFETを形成することが可能となる。
【0044】
(実施の形態4)
次に本発明の実施の形態4について説明する。
図8は本発明の実施の形態4のLDMOSFETを示す要部拡大断面図である。
前記実施の形態では、n+型ドレイン領域6にコンタクトするドレインパッド形成領域に、埋め込み絶縁膜2に到達するように、絶縁性領域11pを形成したが、本実施の形態では、n+型ドレイン領域6に当接するようにトレンチを形成し、CVD法により多結晶シリコン膜14を形成したのち、埋め込み絶縁膜2に到達するように、全面酸化を行なうことで、絶縁性領域11pを形成し、ドレインパッド形成領域下の容量を低減するとともに電流が流れないようにしてなることを特徴とする。
本実施の形態では、常圧CVD法により多結晶シリコン膜を形成したことを特徴とするものである。
製造に際しては、図9(a)に示すようにトレンチT形成用のマスクMとして窒化シリコン膜のパターンを形成し、このマスクMを用いて異方性エッチングにより活性領域3に、トレンチTを形成する。この後、図9(b)に示すようにCVD法によりノンドープの多結晶シリコン膜14を成膜する。
この後、図9(c)に示すようにフォトリソグラフィにより一部を除去し、酸化し絶縁性領域11pを形成する。
そしてこの上層にアルミニウム薄膜を形成し、これをパターニングしてドレインパッドを含むドレイン電極9を形成する。
最後に図9(d)に示すように保護膜13を形成し、ドレインパッドとなる領域に開口を形成する。
このようにして、ドレインパッド形成領域9p下に酸化シリコン膜からなる絶縁性領域11pを有する縦型MOSFETが形成される。
他の構成については前記実施の形態1および3と同様である。
【0045】
製造に際しては、SOI基板上にまず絶縁分離領域を形成する工程を付加するのみである。すなわち、n+型ドレイン領域6となる領域を含む活性領域となる領域に窒化シリコン膜などのマスクを形成して、埋め込み絶縁膜2に到達するまで選択酸化を行い、絶縁分離領域11sを形成した後、p型ウェル領域4、n+型ソース領域5、n+型ドレイン領域6p+型ボディコンタクト領域7を形成する。
【0046】
この構成によっても、確実に基板容量を低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
1 半導体基板
2 埋め込み絶縁膜
4 p型ウェル領域
5 n+型ソース領域
6 n+型ドレイン領域
7 p+型ボディコンタクト領域
8 ソース電極
8p ソースパッド形成領域
9 ドレイン電極
9p ドレインパッド形成領域
10 ゲート電極
10p ゲートパッド形成領域
11,11s,11p,11q 絶縁性領域
12 絶縁膜
13 保護膜
14 多結晶シリコン膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と前記半導体基板上に絶縁膜を介して形成された第1導電型の半導体層とを有するSOI基板と、
前記第1導電型の半導体層からなる活性領域内に、第2導電型の半導体層からなるウェルを形成するとともに、前記ウェル内および前記第1導電型の前記活性領域内に、第1導電型の半導体層からなるソース・ドレイン領域を形成した横型MOSFETにおいて
前記活性領域のうち、前記ドレイン領域にコンタクトするように形成されるドレインパッド領域下の少なくとも一部は、前記SOI基板の前記絶縁膜に到達するように形成された絶縁性領域で構成される半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記絶縁性領域は絶縁性の樹脂膜で構成された半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置であって、
前記絶縁性領域はポリイミド樹脂膜で構成された半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記絶縁性領域は酸化シリコン膜で構成された半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置であって、
前記酸化シリコン膜はCVD法で形成された酸化シリコン膜である半導体装置。
【請求項6】
請求項4に記載の半導体装置であって、
前記酸化シリコン膜はポリシリコン膜の酸化によって形成された酸化シリコン膜である半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の横型MOSFET半導体装置の製造方法において、
半導体基板と前記半導体基板上に絶縁膜を介して形成された第1導電型の半導体層とを有するSOI基板を用意する工程と、
前記第1導電型の半導体層からなる活性領域内に、第2導電型の半導体層からなるウェルを形成するとともに、前記ウェル内および前記第1導電型の前記活性領域内に、第1導電型の半導体層からなるソース・ドレイン領域を形成する工程とを含む半導体装置の製造方法において、
前記活性領域を構成する半導体層のうちドレインパッド形成領域の少なくとも一部を、前記半導体基板上の前記絶縁膜に到達する深さまでエッチング除去する工程と、
前記エッチング除去された領域に絶縁性領域を形成する工程と、
前記絶縁性領域上にのりあげるようにドレインパッドを形成する工程とを含む半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記絶縁性領域を形成する工程は、絶縁性の樹脂膜を塗布する工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記絶縁性領域を形成する工程は、CVD法により酸化シリコン膜を形成する工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記絶縁性領域を形成する工程は、ポリシリコン膜を形成する工程と、
前記ポリシリコン膜を酸化する工程とを含む半導体装置の製造方法。
【請求項1】
半導体基板と前記半導体基板上に絶縁膜を介して形成された第1導電型の半導体層とを有するSOI基板と、
前記第1導電型の半導体層からなる活性領域内に、第2導電型の半導体層からなるウェルを形成するとともに、前記ウェル内および前記第1導電型の前記活性領域内に、第1導電型の半導体層からなるソース・ドレイン領域を形成した横型MOSFETにおいて
前記活性領域のうち、前記ドレイン領域にコンタクトするように形成されるドレインパッド領域下の少なくとも一部は、前記SOI基板の前記絶縁膜に到達するように形成された絶縁性領域で構成される半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記絶縁性領域は絶縁性の樹脂膜で構成された半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置であって、
前記絶縁性領域はポリイミド樹脂膜で構成された半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記絶縁性領域は酸化シリコン膜で構成された半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置であって、
前記酸化シリコン膜はCVD法で形成された酸化シリコン膜である半導体装置。
【請求項6】
請求項4に記載の半導体装置であって、
前記酸化シリコン膜はポリシリコン膜の酸化によって形成された酸化シリコン膜である半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の横型MOSFET半導体装置の製造方法において、
半導体基板と前記半導体基板上に絶縁膜を介して形成された第1導電型の半導体層とを有するSOI基板を用意する工程と、
前記第1導電型の半導体層からなる活性領域内に、第2導電型の半導体層からなるウェルを形成するとともに、前記ウェル内および前記第1導電型の前記活性領域内に、第1導電型の半導体層からなるソース・ドレイン領域を形成する工程とを含む半導体装置の製造方法において、
前記活性領域を構成する半導体層のうちドレインパッド形成領域の少なくとも一部を、前記半導体基板上の前記絶縁膜に到達する深さまでエッチング除去する工程と、
前記エッチング除去された領域に絶縁性領域を形成する工程と、
前記絶縁性領域上にのりあげるようにドレインパッドを形成する工程とを含む半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記絶縁性領域を形成する工程は、絶縁性の樹脂膜を塗布する工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記絶縁性領域を形成する工程は、CVD法により酸化シリコン膜を形成する工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記絶縁性領域を形成する工程は、ポリシリコン膜を形成する工程と、
前記ポリシリコン膜を酸化する工程とを含む半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−9557(P2012−9557A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142909(P2010−142909)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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