説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】高耐圧トランジスタの低濃度不純物拡散層がコンタミネーションから保護されて、半導体装置の特性を安定化できるようにする。
【解決手段】基板1の上に、ゲート絶縁膜3a及びゲート電極4aを順次形成し、ゲート電極4aをマスクとして基板1に不純物注入を行うことにより、基板1の上部におけるゲート電極4aの側方に低濃度不純物拡散層5aを形成する。続いて、ゲート電極4aの上から該ゲート電極4aの側方を通って低濃度不純物拡散層5aの上の一部までを連続して覆うように不純物拡散抑制膜7aを形成する。続いて、ゲート電極4a及び不純物拡散抑制膜7aをマスクとして基板1に不純物注入を行うことにより、基板1の上部におけるゲート電極4aの側方に、低濃度不純物拡散層5aよりも不純物濃度が高い高濃度不純物拡散層8aを形成する。その後に、不純物拡散抑制膜7aを残存させた状態で基板1に対して加熱処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、オフセットゲート構造を有するトランジスタを含む半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高機能デバイスには、高耐圧特性を有する高耐圧トランジスタが多く用いられている。例えば、フラッシュメモリには、メモリセルにおけるデータの書込及び消去に必要な高電圧を供給する回路が必要であるため、高耐圧トランジスタが多く用いられている。近年、半導体装置の微細化に伴い、そのような高耐圧トランジスタの特性のばらつきを小さくすることが要求されている。
【0003】
高耐圧特性を得るには、トランジスタにオフセットゲート構造を設けることが知られており、そのようなトランジスタの構成が、例えば特許文献1等に提示されている。
【0004】
以下に、従来の高耐圧トランジスタについて図9を参照しながら説明する。
【0005】
図9に示すように、従来の高耐圧トランジスタにおいて、基板100の上にゲート絶縁膜101及びゲート電極102が順次形成されている。基板100の上部で且つゲート電極102の一側方には第1拡散層103が形成されている。また、基板100の上部で且つゲート電極102の第1拡散層103が形成された側と反対側には、ゲート電極102と離間するように第2拡散層104が形成されている。このように、ゲート端と、第2拡散層104であるソース・ドレイン(S/D)層とが離間しているオフセットゲート構造が形成されていることにより、高耐圧特性を有するトランジスタを得ることができる。
【0006】
このような従来の高耐圧トランジスタを形成する方法について特許文献1に詳細な記載はないが、通常、基板の上部に低濃度不純物拡散層(LDD層:lightly doped drain)を形成した後に、S/D層を形成するための不純物注入及びアッシングが行われる。具体的に想定される従来の高耐圧トランジスタの製造方法は、以下のように行われる。
【0007】
まず、基板にウェルを形成した後に、基板の上にゲート絶縁膜及びゲート電極を順次形成し、ゲート電極をパターニングする。次に、基板の上部で且つゲート電極の側方に、不純物注入によりLDD層を形成する。その後に、ゲート電極の側方のオフセット領域となる部分にレジスト膜を形成し、レジスト膜をマスクとして基板の上部で且つゲート電極の側方に不純物注入を行い、S/D層を形成する。続いて、LDD層の上にレジスト膜のみが形成された状態でアッシング処理を行う。これにより、オフセットゲート構造を有する従来の高耐圧トランジスタが完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭62−045056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来の高耐圧トランジスタの製造方法では、不純物注入により高濃度の不純物が基板に注入された後のアッシング処理により、高濃度の不純物が注入された基板から不純物が放出される。その不純物は、レジスト膜が灰化されて露出したLDD層に再注入されることにより、LDD層はコンタミネーションの影響を受けることとなる。このコンタミネーションは、制御することが困難であり、製造ロット毎にばらつきが生じるため、製造ロット毎に高耐圧トランジスタの特性もばらつくという問題が生じる。
【0010】
具体的に、耐圧、基板リーク電流及び駆動電流の特性がばらつくこととなり、これらの特性のばらつきは、素子の微細化が進行してゲート長及びオフセット長が縮小され、LDD層の深さが浅くなるにつれて、半導体装置により大きい影響を与えることとなる。
【0011】
そこで、本発明は前記の問題に鑑み、その目的は、高耐圧トランジスタの低濃度不純物拡散層をコンタミネーションから保護し、半導体装置の特性を安定化できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するために、本発明は半導体装置の製造方法を、ゲート電極の上から該ゲート電極の側方を通って低濃度不純物拡散層の上の一部までを連続して覆うように不純物拡散抑制膜を形成する工程を含む構成とする。
【0013】
具体的に、本発明に係る第1の半導体装置の製造方法は、基板の上に、ゲート絶縁膜及びゲート電極を順次形成する工程(a)と、ゲート電極をマスクとして基板に不純物注入を行うことにより、基板の上部におけるゲート電極の側方に低濃度不純物拡散層を形成する工程(b)と、ゲート電極の上から該ゲート電極の側方を通って低濃度不純物拡散層の上の一部までを連続して覆うように不純物拡散抑制膜を形成する工程(c)と、ゲート電極及び不純物拡散抑制膜をマスクとして基板に不純物注入を行うことにより、基板の上部におけるゲート電極の側方に、低濃度不純物拡散層よりも不純物濃度が高い高濃度不純物拡散層を形成する工程(d)と、工程(d)よりも後に、不純物拡散抑制膜を残存させた状態で基板に対して加熱処理を行う工程(e)とを備えている。
【0014】
本発明の第1の半導体装置の製造方法によると、ゲート電極の上から該ゲート電極の側方を通って低濃度不純物拡散層の上の一部までを連続して覆うように不純物拡散抑制膜を形成し、不純物拡散抑制膜を残存させた状態で基板に対して加熱処理を行う。このため、低濃度不純物拡散層がコンタミネーションから保護されて、該コンタミネーションによる耐圧、基板リーク電流及び駆動電流の特性のばらつきを防止できるので、半導体装置の特性を安定化することができる。
【0015】
本発明の第1の半導体装置の製造方法は、工程(b)と(c)との間に、ゲート電極の側面に側壁絶縁膜を形成する工程(f)をさらに備え、工程(d)において、側壁絶縁膜をもマスクとして、基板に不純物注入を行ってもよい。
【0016】
本発明の第1の半導体装置の製造方法は、工程(e)よりも後に、高濃度不純物拡散層の上部をシリサイド化する工程(g)をさらに備えていてもよい。
【0017】
本発明の第1の半導体装置の製造方法において、工程(e)の加熱処理はアッシング処理であり、アッシング処理を、基板に高周波バイアスを印加することによって行ってもよい。
【0018】
本発明の第2の半導体装置の製造方法は、高耐圧である第1のトランジスタ、該第1のトランジスタよりも低耐圧である第2のトランジスタ、及び金属シリサイド層を含まない第3のトランジスタを有する半導体装置の製造方法を対象とし、基板の上における第1のトランジスタ、第2のトランジスタ及び第3のトランジスタを形成する領域のそれぞれに、ゲート絶縁膜及びゲート電極を順次形成する工程(a)と、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ及び第3のトランジスタを形成する領域のそれぞれにおいて、各ゲート電極をマスクとして基板に不純物を注入することにより、基板の上部における各ゲート電極の側方に低濃度不純物拡散層を形成する工程(b)と、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ及び第3のトランジスタを形成する領域のそれぞれにおいて、各ゲート電極の側面に側壁絶縁膜を形成する工程(c)と、第1のトランジスタを形成する領域において、ゲート電極の上から側壁絶縁膜の上を通って低濃度不純物拡散層の上の一部までを連続して覆うように不純物拡散抑制膜を形成すると共に、第3のトランジスタを形成する領域において、基板、ゲート電極及び側壁絶縁膜を覆うように金属シリサイド生成抑制膜を形成する工程(d)と、第1のトランジスタを形成する領域では、ゲート電極、側壁絶縁膜及び不純物拡散抑制膜をマスクとし、第2のトランジスタを形成する領域では、ゲート電極及び側壁絶縁膜をマスクとし、第3のトランジスタを形成する領域では、ゲート電極及び側壁絶縁膜をマスクとし且つ金属シリサイド生成抑制膜を貫通するように、基板にそれぞれ不純物を注入することにより、基板の上部におけるゲート電極の側方に低濃度不純物拡散層よりも不純物濃度が高い高濃度不純物拡散層をそれぞれ形成する工程(e)と、工程(e)よりも後に、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ及び第3のトランジスタを形成する領域のそれぞれにおいて、不純物拡散抑制膜及び金属シリサイド生成抑制膜を残存させた状態で基板に対して加熱処理を行う工程(f)と、工程(f)よりも後に、第1のトランジスタを形成する領域において、高濃度不純物拡散層の上部をシリサイド化し、第2のトランジスタを形成する領域において、ゲート電極の上部及び高濃度不純物拡散層の上部をシリサイド化する工程(g)とを備えている。
【0019】
本発明の第2の半導体装置の製造方法によると、第1のトランジスタを形成する領域において、ゲート電極の上から側壁絶縁膜の上を通って低濃度不純物拡散層の上の一部までを連続して覆うように不純物拡散抑制膜を形成し、不純物拡散抑制膜を残存させた状態で基板に対して加熱処理を行う。このため、低濃度不純物拡散層がコンタミネーションから保護されて、該コンタミネーションによる耐圧、基板リーク電流及び駆動電流の特性のばらつきを防止できるので、半導体装置の特性を安定化することができる。
【0020】
本発明の第2の半導体装置の製造方法は、工程(a)において、第1のトランジスタを形成する領域のゲート絶縁膜を、第2のトランジスタを形成する領域のゲート絶縁膜の膜厚よりも厚く形成してもよい。
【0021】
本発明の第2の半導体装置の製造方法は、第3のトランジスタを形成する領域の高濃度不純物拡散層を、その下面が第2のトランジスタを形成する領域の高濃度不純物拡散層の下面よりも上に位置するように形成してもよい。
【0022】
本発明の第2の半導体装置の製造方法において、工程(f)の加熱処理はアッシング処理であり、アッシング処理を、基板に高周波バイアスを印加することによって行ってもよい。
【0023】
本発明の第1の半導体装置は、基板の上に順次形成されたゲート絶縁膜及びゲート電極と、基板の上部におけるゲート電極の側方に形成された低濃度不純物拡散層と、ゲート電極の上から該ゲート電極の側方を通って低濃度不純物拡散層の上の一部までを連続して覆うように形成された不純物拡散抑制膜と、基板の上部におけるゲート電極の側方に、基板面に平行な方向にゲート電極と離間するように形成され、低濃度不純物拡散層よりも不純物濃度が高い高濃度不純物拡散層とを備え、不純物拡散抑制膜は、高濃度不純物拡散層を構成する不純物を含む。
【0024】
本発明の第1の半導体装置によると、ゲート電極の上から該ゲート電極の側方を通って低濃度不純物拡散層の上の一部までを連続して覆うように形成された不純物拡散抑制膜を備えている。このため、不純物拡散抑制膜の下の低濃度不純物拡散層がコンタミネーションから保護されて、該コンタミネーションによる耐圧、基板リーク電流及び駆動電流の特性のばらつきを防止できるので、半導体装置の特性を安定化することができる。
【0025】
本発明の第1の半導体装置は、ゲート電極の側面に形成された側壁絶縁膜をさらに備え、高濃度不純物拡散層は、基板面に平行な方向に側壁絶縁膜と離間していてもよい。
【0026】
本発明の第1の半導体装置は、高濃度不純物拡散層の上部に形成された金属シリサイド層をさらに備えていてもよい。
【0027】
本発明の第2の半導体装置は、高耐圧である第1のトランジスタ、該第1のトランジスタよりも低耐圧である第2のトランジスタ、及び金属シリサイド層を含まない第3のトランジスタを有する半導体装置を対象とし、第1のトランジスタは、基板の上に順次形成された第1のゲート絶縁膜及び第1のゲート電極と、基板の上部における第1のゲート電極の側方に形成された第1の低濃度不純物拡散層と、第1のゲート電極の側面に形成された第1の側壁絶縁膜と、第1のゲート電極の上から第1の側壁絶縁膜の上を通って第1の低濃度不純物拡散層の上の一部までを連続して覆うように形成された不純物拡散抑制膜と、基板の上部における前記第1のゲート電極の側方に、基板面に平行な方向に第1の側壁絶縁膜と離間するように形成され、第1の低濃度不純物拡散層よりも不純物濃度が高い第1の高濃度不純物拡散層と、第1の高濃度不純物拡散層の上部に形成された第1の金属シリサイド層とを備え、第2のトランジスタは、基板の上に順次形成された第2のゲート絶縁膜及び第2のゲート電極と、基板の上部における第2のゲート電極の側方に形成された第2の低濃度不純物拡散層と、第2のゲート電極の側面に形成された第2の側壁絶縁膜と、基板の上部における第2の側壁絶縁膜の側方に形成され、第2の低濃度不純物拡散領域よりも不純物濃度が高い第2の高濃度不純物拡散領域と、第2のゲート電極の上部及び第2の高濃度不純物拡散領域の上部に形成された第2の金属シリサイド層とを備え、第3のトランジスタは、基板の上に順次形成された第3のゲート絶縁膜及び第3のゲート電極と、基板の上部における第3のゲート電極の側方に形成された第3の低濃度不純物拡散層と、第3のゲート電極の側面に形成された第3の側壁絶縁膜と、基板、ゲート電極及び第3の側壁絶縁膜を覆うように形成された金属シリサイド生成抑制膜と、基板の上部における第3の側壁絶縁膜の側方に形成され、第3の低濃度不純物拡散層よりも不純物濃度が高い第3の高濃度不純物拡散層とを備え、不純物拡散抑制膜と金属シリサイド生成抑制膜とは同一の材料からなり、不純物拡散抑制膜は、第1の高濃度不純物拡散層を構成する不純物を含む。
【0028】
本発明の第2の半導体装置によると、第1のゲート電極の上から第1の側壁絶縁膜の上を通って第1の低濃度不純物拡散層の上の一部までを連続して覆うように形成された不純物拡散抑制膜を備えている。この、不純物拡散抑制膜の下の低濃度不純物拡散層がコンタミネーションから保護されて、該コンタミネーションによる耐圧、基板リーク電流及び駆動電流の特性のばらつきを防止できるので、半導体装置の特性を安定化することができる。
【0029】
本発明の第2の半導体装置において、第1のゲート絶縁膜の膜厚は、第2のゲート絶縁膜の膜厚よりも厚くてもよい。
【0030】
本発明の第2の半導体装置において、第3の高濃度不純物拡散層の下面は、第2の高濃度不純物拡散層の下面よりも上に位置してもよい。
【0031】
本発明の第2の半導体装置において、不純物拡散抑制膜が含む不純物は、ヒ素、リン及びホウ素のうちの少なくとも1つであってもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る半導体装置及びその製造方法によると、高耐圧トランジスタの低濃度不純物拡散層がコンタミネーションから保護されて、該コンタミネーションによる耐圧、基板リーク電流及び駆動電流の特性のばらつきを防止できるため、半導体装置の特性を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】(a)〜(c)は本発明の一実施形態に係る半導体装置に含まれるトランジスタをそれぞれ示し、(a)は高耐圧トランジスタを示す断面図であり、(b)は低耐圧トランジスタを示す断面図であり、(c)はESD保護トランジスタを示す断面図である。
【図2】(a)〜(c)は本発明の一実施形態に係る半導体装置に含まれるトランジスタの製造方法の一工程をそれぞれ示し、(a)は高耐圧トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図であり、(b)は低耐圧トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図であり、(c)はESD保護トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図である。
【図3】(a)〜(c)は本発明の一実施形態に係る半導体装置に含まれるトランジスタの製造方法の一工程をそれぞれ示し、(a)は高耐圧トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図であり、(b)は低耐圧トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図であり、(c)はESD保護トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図である。
【図4】(a)〜(c)は本発明の一実施形態に係る半導体装置に含まれるトランジスタの製造方法の一工程をそれぞれ示し、(a)は高耐圧トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図であり、(b)は低耐圧トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図であり、(c)はESD保護トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図である。
【図5】(a)〜(c)は本発明の一実施形態に係る半導体装置に含まれるトランジスタの製造方法の一工程をそれぞれ示し、(a)は高耐圧トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図であり、(b)は低耐圧トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図であり、(c)はESD保護トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図である。
【図6】(a)〜(c)は本発明の一実施形態に係る半導体装置に含まれるトランジスタの製造方法の一工程をそれぞれ示し、(a)は高耐圧トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図であり、(b)は低耐圧トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図であり、(c)はESD保護トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図である。
【図7】(a)〜(c)は本発明の一実施形態に係る半導体装置に含まれるトランジスタの製造方法の一工程をそれぞれ示し、(a)は高耐圧トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図であり、(b)は低耐圧トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図であり、(c)はESD保護トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図である。
【図8】(a)〜(c)は本発明の一実施形態に係る半導体装置に含まれるトランジスタの製造方法の一工程をそれぞれ示し、(a)は高耐圧トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図であり、(b)は低耐圧トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図であり、(c)はESD保護トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図である。
【図9】従来の半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の一実施形態に係る半導体装置について図1を参照しながら説明する。
【0035】
本実施形態の半導体装置は、図1(a)に示すオフセットゲート構造を有する第1のトランジスタであるpMOS(p-channel MOS)構造を有する高耐圧トランジスタと、図1(b)に示す第2のトランジスタであるnMOS(n-channel MOS)構造を有する低耐圧トランジスタと、図1(c)に示す金属シリサイド層を含まない第3のトランジスタであるnMOS構造を有する静電気放電(electrostatic discharge:ESD)保護トランジスタとを備えている。以下に、各トランジスタについて詳細に説明する。
【0036】
図1(a)に示すように、本実施形態に係る半導体装置の高耐圧トランジスタにおいて、例えばp型である第1導電型の半導体基板1の上部に、例えばn型である第2導電型ウェル2が形成され、半導体基板1の上に、ゲート絶縁膜3a及びゲート電極4aが順次形成されている。ゲート電極4aの側面には、側壁絶縁膜6aが形成されている。また、ゲート電極4aの上の所定の位置から側壁絶縁膜6aの上を通って半導体基板1の上の一部までを連続して覆うように不純物拡散抑制膜7aが形成されている。図1(a)では、ゲート電極4aの側方の一方にのみ不純物拡散抑制膜7が形成されているが、その両方に形成されていても構わない。半導体基板1の上部における側壁絶縁膜6aの下、及び半導体基板1と接する不純物拡散抑制膜7aの下には、例えばホウ素(B)等のp型不純物を含む低濃度不純物拡散層である第1導電型LDD層5aが形成されている。半導体基板1の上部における第1導電型LDD層5aのゲート電極4aと反対側の側方には、第1導電型LDD層5aよりも高濃度のB等のp型不純物を含む高濃度不純物拡散層である第1導電型ソース・ドレイン(S/D)層8aが形成されている。ここで、不純物拡散抑制膜7aが形成されている側の第1導電型S/D層8aは、ゲート電極4a及び側壁絶縁膜6aから基板面に平行な方向に離間している。このようなオフセットゲート構造が設けられていることにより、高耐圧特性を有するトランジスタが得られる。第1導電型S/D層8aの上部及びゲート電極の上部における不純物拡散抑制膜7aと接していない領域には、金属シリサイド層9aが形成されている。
【0037】
図1(b)に示すように、本実施形態に係る半導体装置の低耐圧トランジスタにおいて、第1導電型の半導体基板1の上部に、第1導電型ウェル2bが形成され、半導体基板1の上に、ゲート絶縁膜3b及びゲート電極4bが順次形成されている。ゲート電極4bの側面には、側壁絶縁膜6bが形成されている。半導体基板1の上部における側壁絶縁膜6bの下には、例えばヒ素(As)等のn型不純物を含む低濃度不純物拡散層である第2導電型LDD層5bが形成されている。半導体基板1の上部における第2導電型LDD層5bのゲート電極4bと反対側の側方には、第2導電型LDD層5bよりも高濃度のAs等のn型不純物を含む高濃度不純物拡散層である第2導電型S/D層8bが形成されている。第2導電型S/D層8b及びゲート電極4bの上部には金属シリサイド層9bが形成されている。
【0038】
図1(c)に示すように、本実施形態に係る半導体装置のESD保護トランジスタにおいて、第1導電型の半導体基板1の上部に、第1導電型ウェル2cが形成され、半導体基板1の上に、ゲート絶縁膜3c及びゲート電極4cが順次形成されている。ゲート電極4cの側面には、側壁絶縁膜6cが形成されている。半導体基板1の上部における側壁絶縁膜6cの下には、例えばAs等のn型不純物を含む低濃度不純物拡散層である第2導電型LDD層5cが形成されている。半導体基板1の上部における第2導電型LDD層5cのゲート電極4cと反対側の側方には、第2導電型LDD層5cよりも高濃度のAs等のn型不純物を含む高濃度不純物拡散層である第2導電型S/D層8cが形成されている。半導体基板1の上には、半導体基板1、ゲート電極4c及び側壁絶縁膜6cを覆うように金属シリサイド生成抑制膜7cが形成されている。ここで、金属シリサイド生成抑制膜7cは、高耐圧トランジスタの不純物拡散抑制膜7aと同一の材料からなる。また、第2導電型S/D層8cは、金属シリサイド生成抑制膜7cを介した不純物注入により形成されるため、第2導電型S/D層8cは、低耐圧トランジスタの第2導電型S/D層8bよりも半導体基板1の浅い領域に形成される。すなわち、第2導電型S/D層8cの下面は、低耐圧トランジスタの第2導電型S/D層8bの下面よりも上に位置する。
【0039】
本実施形態に係る半導体装置の高耐圧トランジスタにおいて、第1導電型LDD層5aの上に位置する不純物拡散抑制膜7aは、特にその表面側に、第1導電型S/D層8a及び第2導電型S/D層8bから飛散した、例えばB及びAs等の不純物を含む。この不純物は、第1導電型S/D層8a及び第2導電型S/D層8bが形成された後に行われるアッシング処理により、第1導電型S/D層8a及び第2導電型S/D層8bから飛散する。すなわち、不純物拡散抑制膜7aにより、第1導電型S/D層8a及び第2導電型S/D層8bから飛散した不純物による第1導電型LDD層7aのコンタミネーションが防止される。なお、B及びAsの他に、S/D層を形成するための不純物注入にリン(P)等の不純物を用いた場合、不純物拡散抑制膜7aは、P等の不純物を含むこととなる。
【0040】
本発明の一実施形態に係る半導体装置によると、LDD層がコンタミネーションから保護されて、該コンタミネーションによる耐圧、基板リーク電流及び駆動電流の特性のばらつきを防止できるため、半導体装置の特性を安定化することができる。
【0041】
次に、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法について図2〜図8を参照しながら説明する。図2〜図8において、(a)はpMOS構造を有する高耐圧トランジスタを形成する領域を示し、(b)はnMOS構造を有する低耐圧トランジスタを形成する領域を示し、(c)はnMOS構造を有するESD保護トランジスタを形成する領域を示している。以下の説明において、各領域をそれぞれ(a)領域、(b)領域及び(c)領域として説明する。
【0042】
まず、図2に示すように、例えばp型である第1導電型の半導体基板1の上部に、(a)領域では、例えばn型である第2導電型ウェル2aを形成し、(b)領域及び(c)領域では、第1導電型ウェル2b、2cをそれぞれ形成する。続いて、半導体基板1の上に、(a)領域では、膜厚が20nm程度のゲート絶縁膜3aを形成し、(b)領域及び(c)領域では、膜厚が3.5nm程度のゲート絶縁膜3b、3cをそれぞれ形成し、それらの上に共通して膜厚が200nm程度のゲート電極材料4を形成する。
【0043】
次に、図3に示すように、(a)〜(c)領域において、ゲート電極材料4をパターニングし、ゲート電極4a、4b及び4cをそれぞれ形成する。ここで、(a)領域のゲート電極4aのゲート長方向の寸法は、例えば700nm程度であり、(b)領域及び(c)領域のゲート電極4b、4cのゲート長方向の寸法は、例えば180nm程度である。
【0044】
次に、図4に示すように、半導体基板1の上部におけるゲート電極4a、4b及び4cのそれぞれの側方に、(a)領域では、例えばホウ素(B)イオンを注入することにより、低濃度不純物拡散層である第1導電型LDD層5aを形成し、(b)領域及び(c)領域では、例えばヒ素(As)イオンを注入することにより、低濃度不純物拡散層である第2導電型LDD層5b、5cをそれぞれ形成する。ここで、(a)領域におけるBの注入量は、例えば1×1013/cmオーダであり、(b)領域及び(c)領域におけるAsの注入量は、例えば1×1014/cmオーダである。
【0045】
次に、図5に示すように、(a)〜(c)の各領域において、エッチバック法等を用いてゲート電極4a、4b及び4cのそれぞれの側面に膜厚が100nm程度の側壁絶縁膜6a、6b及び6cを形成する。
【0046】
次に、図6に示すように、(a)領域において、ゲート電極4aの所定の位置から側壁絶縁膜6aの上を通って第1導電型LDD層5aの上の一部までを連続して覆うように、膜厚が30nm程度の不純物拡散抑制膜7aを形成する。これと共に、(c)領域において、半導体基板1、ゲート電極4c及び側壁絶縁膜6cを覆うように、膜厚が30nm程度の金属シリサイド生成抑制膜7cを形成する。ここで、不純物拡散抑制膜7aと金属シリサイド生成抑制膜7cとは、同一の材料を用いて形成されてもよい。なお、不純物拡散抑制膜7a及び金属シリサイド生成抑制膜7cは、ウェハの全面に堆積した後に、ウエットエッチング法等により選択的に除去して形成する。前記の領域の他に、後に金属シリサイド層を形成しない領域があれば、その領域の上にも金属シリサイド生成抑制膜7cを形成しても構わない。また、本実施形態において、(a)領域ではゲート電極4aの側方の一方の第1導電型LDD層5aの上にのみ不純物拡散抑制膜7aを形成したが、その両側の第1導電型LDD層5aの上に不純物拡散抑制膜7aを形成しても構わない。
【0047】
次に、図7に示すように、半導体基板1の上部におけるゲート電極4a、4b及び4cのそれぞれの側方に、(a)領域では、高濃度不純物拡散層である第1導電型S/D層8aを形成し、(b)領域及び(c)領域では、それぞれ高濃度不純物拡散層である第2導電型S/D層8b、8cを形成する。
【0048】
具体的に、(a)領域において、半導体基板1の上部におけるゲート電極4aの側方に、ゲート電極4a、側壁絶縁膜6a、不純物拡散抑制膜7a及びその上に予め形成したレジスト膜をマスクとして不純物注入を行うことにより、側壁絶縁膜6aの端部からゲート電極4aと反対側に向かって、例えば約600nmのオフセット領域を設けて、第1導電型S/D層8aを形成する。その不純物注入は、例えばBを用い、加速電圧3keVで注入量を1×1015/cmオーダとして行われる。(b)領域では、半導体基板1の上部におけるゲート電極4bの側方に、ゲート電極4b及び側壁絶縁膜6bをマスクとして不純物注入を行うことにより、第2導電型S/D層8bを形成する。その不純物注入は、例えばAsを用い、加速電圧50keVで注入量を1×1015/cmオーダとして行われる。(c)領域では、半導体基板1の上部におけるゲート電極4cの側方に、ゲート電極4c及び側壁絶縁膜6cをマスクとして不純物注入を行うことにより、第2導電型S/D層8cを形成する。その不純物注入は、例えばAsを用い、加速電圧50keVで注入量を1×1015/cmオーダとして行われる。なお、第2導電型S/D層8b、8cの形成は、同一の不純物注入工程により行われ得る。また、(c)領域の第2導電型S/D層8cの形成のための不純物注入は、金属シリサイド生成抑制膜7cを介して行われるため、必然的に(c)領域の第2導電型S/D層8cは、(b)領域の第2導電型S/D層8bよりも半導体基板1の浅い位置に形成される。すなわち、(c)領域の第2導電型S/D層8cの下面は、(b)領域の第2導電型S/D層8bの下面よりも上に位置し、例えば約30nm以上、上に位置する。
【0049】
各S/D層を形成した後に、基板に対して加熱処理を行う。この加熱処理はアッシング処理であり、半導体基板1の上のレジスト膜を除去する。このようなアッシング処理は、例えば高周波(radio frequency:RF)バイアスを半導体基板1に印加することによって行うことができる。アッシングの際に、第1導電型S/D層8a及び第2導電型S/D層8bから不純物が放出し、(a)領域の第1導電型LDD層5aが露出していると、第1導電型LDD層5aに再注入される。(a)領域の第1導電型LDD層5aの不純物濃度は比較的小さいため、第1導電型LDD層5aに不純物が再注入されると、コンタミネーションにより、高耐圧トランジスタの耐圧、基板リーク電流及び駆動電流の特性にばらつきが生じる。しかしながら、本実施形態においては、高耐圧トランジスタとなる(a)領域の第1導電型LDD層5aの上には不純物拡散抑制膜7aが形成されているため、不純物が第1導電型LDD層5aに再注入されることはなく、高耐圧トランジスタの耐圧、基板リーク電流及び駆動電流の特性が安定する。
【0050】
次に、図8に示すように、(a)領域では、不純物拡散抑制膜7aが形成されずに露出している第1導電型S/D層8aの上部及びゲート電極4aの上部に、金属シリサイド層9aを形成し、(b)領域では、第2導電型S/D層8bの上部、及びゲート電極4bの上部に、金属シリサイド層9bを形成する。
【0051】
以降の工程は周知であり、配線、層間絶縁膜及び保護絶縁膜等を形成して半導体装置を完成する。
【0052】
本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法によると、LDD層がコンタミネーションから保護されて、該コンタミネーションによる耐圧、基板リーク電流及び駆動電流の特性のばらつきを防止できるため、半導体装置の特性を安定化することができる。また、上記の不純物拡散抑制膜は金属シリサイド生成抑制膜と共通の工程により形成されるため、不純物拡散抑制膜を形成するための新たな工程は発生せず、製造工程数の増加を防ぐことができる。
【0053】
なお、本実施形態において、pMOS構造を有する高耐圧トランジスタ、nMOS構造を有する低耐圧トランジスタ及びnMOS構造を有するESD保護トランジスタが混在する半導体装置について説明したが、これらのトランジスタの導電型は前記の例示した導電型に限定されるものではなく、それらを逆の導電型にしても構わない。また、本発明に係る半導体装置は、少なくとも高耐圧トランジスタを含む半導体装置であればよい。さらに、金属シリサイド層を含まない非シリサイド系トランジスタとしてESD保護トランジスタを例示して説明したが、これに限定されるものではなく、他の機能を有する非シリサイド系トランジスタを含んでも構わない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の半導体装置及びその製造方法は、半導体装置の特性を安定化でき、特に、オフセットゲート構造を有するトランジスタを含む半導体装置及びその製造方法等に有用である。
【符号の説明】
【0055】
1 半導体基板
2a (第1のトランジスタの)第2導電型ウェル
2b (第2のトランジスタの)第1導電型ウェル
2c (第3のトランジスタの)第1導電型ウェル
3a (第1のトランジスタの)ゲート絶縁膜
3b (第2のトランジスタの)ゲート絶縁膜
3c (第3のトランジスタの)ゲート絶縁膜
4 ゲート電極材料
4a (第1のトランジスタの)ゲート電極
4b (第2のトランジスタの)ゲート電極
4c (第3のトランジスタの)ゲート電極
5a (第1のトランジスタの)第1導電型低濃度拡散(LDD)層
5b (第2のトランジスタの)第2導電型低濃度拡散(LDD)層
5c (第3のトランジスタの)第2導電型低濃度拡散(LDD)層
6a (第1のトランジスタの)側壁絶縁膜
6b (第2のトランジスタの)側壁絶縁膜
6c (第3のトランジスタの)側壁絶縁膜
7a 不純物拡散抑制膜
7c 金属シリサイド生成抑制膜
8a (第1のトランジスタの)第1導電型ソース・ドレイン(S/D)層
8b (第2のトランジスタの)第2導電型ソース・ドレイン(S/D)層
8c (第3のトランジスタの)第2導電型ソース・ドレイン(S/D)層
9a (第1のトランジスタの)金属シリサイド層
9b (第2のトランジスタの)金属シリサイド層
9c (第3のトランジスタの)金属シリサイド層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上に、ゲート絶縁膜及びゲート電極を順次形成する工程(a)と、
前記ゲート電極をマスクとして前記基板に不純物注入を行うことにより、前記基板の上部における前記ゲート電極の側方に低濃度不純物拡散層を形成する工程(b)と、
前記ゲート電極の上から該ゲート電極の側方を通って前記低濃度不純物拡散層の上の一部までを連続して覆うように不純物拡散抑制膜を形成する工程(c)と、
前記ゲート電極及び不純物拡散抑制膜をマスクとして前記基板に不純物注入を行うことにより、前記基板の上部における前記ゲート電極の側方に、前記低濃度不純物拡散層よりも不純物濃度が高い高濃度不純物拡散層を形成する工程(d)と、
前記工程(d)よりも後に、前記不純物拡散抑制膜を残存させた状態で前記基板に対して加熱処理を行う工程(e)とを備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記工程(b)と(c)との間に、前記ゲート電極の側面に側壁絶縁膜を形成する工程(f)をさらに備え、
前記工程(d)において、前記側壁絶縁膜をもマスクとして、前記基板に不純物注入を行うことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記工程(e)よりも後に、前記高濃度不純物拡散層の上部をシリサイド化する工程(g)をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記工程(e)において、前記加熱処理はアッシング処理であり、
前記アッシング処理を、前記基板に高周波バイアスを印加することによって行うことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
高耐圧である第1のトランジスタ、該第1のトランジスタよりも低耐圧である第2のトランジスタ、及び金属シリサイド層を含まない第3のトランジスタを有する半導体装置の製造方法であって、
基板の上における前記第1のトランジスタ、第2のトランジスタ及び第3のトランジスタを形成する領域のそれぞれに、ゲート絶縁膜及びゲート電極を順次形成する工程(a)と、
前記第1のトランジスタ、第2のトランジスタ及び第3のトランジスタを形成する領域のそれぞれにおいて、前記各ゲート電極をマスクとして前記基板に不純物を注入することにより、前記基板の上部における前記各ゲート電極の側方に低濃度不純物拡散層を形成する工程(b)と、
前記第1のトランジスタ、第2のトランジスタ及び第3のトランジスタを形成する領域のそれぞれにおいて、前記各ゲート電極の側面に側壁絶縁膜を形成する工程(c)と、
前記第1のトランジスタを形成する領域において、前記ゲート電極の上から前記側壁絶縁膜の上を通って前記低濃度不純物拡散層の上の一部までを連続して覆うように不純物拡散抑制膜を形成すると共に、前記第3のトランジスタを形成する領域において、前記基板、ゲート電極及び側壁絶縁膜を覆うように金属シリサイド生成抑制膜を形成する工程(d)と、
前記第1のトランジスタを形成する領域では、前記ゲート電極、側壁絶縁膜及び不純物拡散抑制膜をマスクとし、前記第2のトランジスタを形成する領域では、前記ゲート電極及び側壁絶縁膜をマスクとし、前記第3のトランジスタを形成する領域では、前記ゲート電極及び側壁絶縁膜をマスクとし且つ前記金属シリサイド生成抑制膜を貫通するように、前記基板にそれぞれ不純物を注入することにより、前記基板の上部における前記ゲート電極の側方に前記低濃度不純物拡散層よりも不純物濃度が高い高濃度不純物拡散層をそれぞれ形成する工程(e)と、
前記工程(e)よりも後に、前記第1のトランジスタ、第2のトランジスタ及び第3のトランジスタを形成する領域のそれぞれにおいて、前記不純物拡散抑制膜及び金属シリサイド生成抑制膜を残存させた状態で前記基板に対して加熱処理を行う工程(f)と、
前記工程(f)よりも後に、前記第1のトランジスタを形成する領域において、前記高濃度不純物拡散層の上部をシリサイド化し、前記第2のトランジスタを形成する領域において、前記ゲート電極の上部及び高濃度不純物拡散層の上部をシリサイド化する工程(g)とを備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記工程(a)において、前記第1のトランジスタを形成する領域の前記ゲート絶縁膜を、前記第2のトランジスタを形成する領域の前記ゲート絶縁膜の膜厚よりも厚く形成することを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記工程(e)において、前記第3のトランジスタを形成する領域の前記高濃度不純物拡散層を、その下面が前記第2のトランジスタを形成する領域の前記高濃度不純物拡散層の下面よりも上に位置するように形成することを特徴とする請求項5又は6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記工程(f)において、前記加熱処理はアッシング処理であり、
前記アッシング処理を、前記基板に高周波バイアスを印加することによって行うことを特徴とする請求項5〜7のうちのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
基板の上に順次形成されたゲート絶縁膜及びゲート電極と、
前記基板の上部における前記ゲート電極の側方に形成された低濃度不純物拡散層と、
前記ゲート電極の上から該ゲート電極の側方を通って前記低濃度不純物拡散層の上の一部までを連続して覆うように形成された不純物拡散抑制膜と、
前記基板の上部における前記ゲート電極の側方に、基板面に平行な方向に前記ゲート電極と離間するように形成され、前記低濃度不純物拡散層よりも不純物濃度が高い高濃度不純物拡散層とを備え、
前記不純物拡散抑制膜は、前記高濃度不純物拡散層を構成する不純物を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
前記ゲート電極の側面に形成された側壁絶縁膜をさらに備え、
前記高濃度不純物拡散層は、基板面に平行な方向に前記側壁絶縁膜と離間していることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記高濃度不純物拡散層の上部に形成された金属シリサイド層をさらに備えていることを特徴とする請求項9又は10に記載の半導体装置。
【請求項12】
高耐圧である第1のトランジスタ、該第1のトランジスタよりも低耐圧である第2のトランジスタ、及び金属シリサイド層を含まない第3のトランジスタを有する半導体装置であって、
前記第1のトランジスタは、
基板の上に順次形成された第1のゲート絶縁膜及び第1のゲート電極と、
前記基板の上部における前記第1のゲート電極の側方に形成された第1の低濃度不純物拡散層と、
前記第1のゲート電極の側面に形成された第1の側壁絶縁膜と、
前記第1のゲート電極の上から前記第1の側壁絶縁膜の上を通って前記第1の低濃度不純物拡散層の上の一部までを連続して覆うように形成された不純物拡散抑制膜と、
前記基板の上部における前記第1のゲート電極の側方に、基板面に平行な方向に前記第1の側壁絶縁膜と離間するように形成され、前記第1の低濃度不純物拡散層よりも不純物濃度が高い第1の高濃度不純物拡散層と、
前記第1の高濃度不純物拡散層の上部に形成された第1の金属シリサイド層とを備え、
前記第2のトランジスタは、
前記基板の上に順次形成された第2のゲート絶縁膜及び第2のゲート電極と、
前記基板の上部における前記第2のゲート電極の側方に形成された第2の低濃度不純物拡散層と、
前記第2のゲート電極の側面に形成された第2の側壁絶縁膜と、
前記基板の上部における前記第2の側壁絶縁膜の側方に形成され、前記第2の低濃度不純物拡散領域よりも不純物濃度が高い第2の高濃度不純物拡散領域と、
前記第2のゲート電極の上部及び前記第2の高濃度不純物拡散領域の上部に形成された第2の金属シリサイド層とを備え、
前記第3のトランジスタは、
前記基板の上に順次形成された第3のゲート絶縁膜及び第3のゲート電極と、
前記基板の上部における前記第3のゲート電極の側方に形成された第3の低濃度不純物拡散層と、
前記第3のゲート電極の側面に形成された第3の側壁絶縁膜と、
前記基板、ゲート電極及び第3の側壁絶縁膜を覆うように形成された金属シリサイド生成抑制膜と、
前記基板の上部における前記第3の側壁絶縁膜の側方に形成され、前記第3の低濃度不純物拡散層よりも不純物濃度が高い第3の高濃度不純物拡散層とを備え、
前記不純物拡散抑制膜と前記金属シリサイド生成抑制膜とは同一の材料からなり、
前記不純物拡散抑制膜は、前記第1の高濃度不純物拡散層を構成する不純物を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
前記第1のゲート絶縁膜の膜厚は、前記第2のゲート絶縁膜の膜厚よりも厚いことを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第3の高濃度不純物拡散層の下面は、前記第2の高濃度不純物拡散層の下面よりも上に位置することを特徴とする請求項12又は13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記不純物拡散抑制膜が含む不純物は、ヒ素、リン及びホウ素のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項9〜14のうちのいずれか1項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−21030(P2013−21030A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151161(P2011−151161)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】