説明

半導体装置

【課題】手間を要さずに回路部のテストを行うことができ、スクライブ領域の有効活用を図ることができ、半導体チップを安定的に製造することができ、非接触で外部との通信を行うことができる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、半導体チップ形成領域14Bと、半導体チップ形成領域14B間に位置するスクライブ領域14Aとが形成された半導体ウェハ11と、半導体ウェハ11上に設けられた複数の半導体チップの回路部12と、各半導体チップ形成領域14B内に設けられ、各回路部12に電気的に接続される複数の第一の導電層13と、第一の導電層13同士をスクライブ領域14Aの一部をまたいで電気的に接続する第一の接続部15とを有する。第一の導電層13および第一の接続部15のいずれか一方に、外部電源供給用あるいは接地用のパッド16が接続される。半導体装置1は、回路部12に接続され、容量結合あるいは誘導結合により外部との通信を行う通信部Tを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体チップの製造過程において、半導体ウェハ上に複数の半導体チップの回路部が形成された状態で、前記回路部のテストを行うことがある。
このとき、非接触で外部装置と通信を行い、回路部のテストを行う方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
このようなテストを行う場合において、電源の供給や、接地までも非接触で行うことは難しい。そのため、各回路部にそれぞれ接続されるパッドを形成し、このパッドに探針して電源を供給したり、接地したりしている。外部装置との通信を非接触で行っても、各回路部ごとに、それぞれに接続されたパッドそれぞれにピンをあてて、電源を供給したり、接地したりするため、接触方式で行う際に生じる手間、すなわち、複数のパッドと複数のピンとの位置合わせに手間を要するという課題が生じてしまう。
そこで、特許文献1では、図15に示すような半導体装置100を提案している。この半導体装置100では、各半導体チップ104がスクライブ領域の配線101、102に接続されている。
この配線101,102を介して電源を供給したり、接地したりすることで、一部の半導体チップ104の電源パッドにピンをたてれば、電源が供給できるとされている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−30877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された半導体装置100では、以下のような課題がある。
この半導体装置100においては、スクライブ領域全域にわたって、配線101,102が引き回されている。従って、半導体装置100を半導体チップ104ごとにダイシングする際に、多量の配線の屑が発生してしまう。このような多量の屑は、半導体チップに付着し、半導体チップの性能に影響をおよぼすことがある。
さらには、通常、スクライブ領域内には、半導体チップ内部のトランジスタの性能をチェックするような回路や、アライメントマーク等が形成される。従って、特許文献1のように、スクライブ領域全域にわたって電源配線を引き回すことは、現実には困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、複数の半導体チップ形成領域と、前記半導体チップ形成領域間に位置するスクライブ領域とが形成された半導体ウェハと、前記半導体ウェハの各半導体チップ形成領域内に設けられた半導体チップの回路部と、前記各半導体チップ形成領域内に設けられ、各回路部に電気的にそれぞれ接続される複数の第一の導電層と、前記第一の導電層同士を前記クライブ領域の一部をまたいで電気的に接続する第一の接続部と、前記回路部に接続され、容量結合あるいは誘導結合により外部との信号の通信を行う通信部とを有し、前記第一の導電層および前記第一の接続部の少なくともいずれか一方に、外部電源供給用あるいは接地用のパッドが設けられている半導体装置が提供される。
【0006】
この発明によれば、半導体装置は、各半導体チップの回路部に電気的に接続される第一の導電層と、第一の導電層同士を前記半導体ウェハのスクライブ領域の一部をまたいで電気的に接続する第一の接続部とを有する。そして、第一の導電層および第一の接続部の少なくともいずれか一方に、外部電源供給用あるいは接地用のパッドが設けられている。
そのため、一つのパッドを介して、複数の半導体チップの回路部に電源を供給したり、接地したりすることができる。
これにより、従来の半導体装置のように、多数のパッドと、多数のピンとの位置あわせに手間がかかってしまうことを防止できる。
本発明の半導体装置では、回路部のテストを行う際に、外部との通信を容量結合あるいは誘導結合により非接触で行うことができ、かつ、一つのパッドを介して、複数の半導体チップの回路部に電源を供給したり、接地したりすることができるので、半導体装置の回路部のテストを行う際に、多数のパッドと、多数のピンとの位置あわせに手間がかかってしまうことを確実に防止でき、テストを行い易くすることができる。
さらに、従来の半導体装置に比べ、パッドの数を低減させることが可能となる。
【0007】
また、本発明では、半導体チップを安定的に製造することができる。
これは以下のような理由によるものである。
各半導体チップの回路部に接続される第一の導電層同士を接続する接続部は、スクライブ領域の一部をまたいで配置される。
特許文献1に開示された半導体装置のように、スクライブ領域全域にわたって配線が形成されないため、ダイシングを行う際に、大量の屑が発生してしまうことを抑制できる。これにより、半導体チップの性能の低下等を防止することができ、半導体チップを安定的に製造することができる。
【0008】
さらには、第一の接続部は、スクライブ領域の一部をまたいで配置されるため、第一の接続部がスクライブ領域に形成される半導体チップ内部のトランジスタの性能をチェックするような回路や、アライメントマーク等のじゃまにならない。これにより、スクライブ領域の有効活用を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、手間を要さずに回路部のテストを行うことができるとともに、スクライブ領域の有効活用を図ることができ、さらには半導体チップを安定的に製造することができ、非接触で外部との通信を行うことができる半導体装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
(第一実施形態)
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
はじめに、図1を参照して、本実施形態の半導体装置1の概要について説明する。図1は半導体装置1の平面図を模式的に示す図である。
本実施形態の半導体装置1は、複数の半導体チップ形成領域14Bと、半導体チップ形成領域14B間に位置するスクライブ領域14Aとが形成された半導体ウェハ11と、半導体ウェハ11上に設けられた複数の半導体チップの回路部12と、前記各半導体チップ形成領域14B内に設けられ、各回路部12に電気的に接続される複数の第一の導電層13と、第一の導電層13同士をスクライブ領域14Aの一部をまたいで電気的に接続する第一の接続部15とを有する。
前記第一の導電層13および前記第一の接続部15の少なくともいずれか一方に、外部電源供給用あるいは接地用のパッド16が設けられている。
さらに、この半導体装置1は、回路部12に接続され、容量結合あるいは誘導結合により外部との通信を行う通信部Tを有する。(図5参照)
【0011】
次に、本実施形態の半導体装置1の詳細について説明する。
半導体装置1は、前述した半導体ウェハ11、回路部12、第一の導電層13、第一の接続部15、パッド16、通信部Tに加え、第二の導電層17,第二の接続部18、パッド19を備えている。
半導体ウェハ11は、たとえば、シリコンウェハである。この半導体ウェハ11上には、複数の半導体チップ形成領域14Bが形成されており、対向する半導体チップ形成領域14B間は、スクライブ領域14Aとなっている。
半導体チップ形成領域14Bは、図1の点線で囲んだ領域であり、本実施形態では、4つ以上形成されて、マトリクス状に配置される。ここでは、n行×m列(n、m≧2)のマトリクス状に配置される。
また、半導体ウェハ11上には、複数のスクライブ領域14Aが形成されている。図1には、スクライブ領域14Aのうち、一対の半導体チップ形成領域14B間にそれぞれ位置する4つのスクライブ領域14A1と、4つの半導体チップ形成領域14Bに挟まれる一つのスクライブ領域14A2とが示されている。スクライブ領域14A1と、スクライブ領域14A2とで、スクライブ領域は全体として格子状に形成される。
【0012】
各半導体チップ形成領域14B内には、それぞれ半導体チップの回路部12が形成されている。
半導体チップ形成領域14B内であって各回路部12の外周側には、回路部12の周囲を完全に囲むように、平面リング状の第一の導電層13が設けられている。
【0013】
この第一の導電層13は、シールリング13である。このシールリング13は、図2の断面図に示すように、半導体ウェハ11上の絶縁層21内に形成されている。図2は、図1のII−II方向の断面図である。
【0014】
絶縁層21は、半導体ウェハ11の半導体チップ形成領域14Bおよびスクライブ領域14Aを被覆している。この絶縁層21は、半導体ウェハ11側から第一〜第六の層間絶縁膜21A〜21Fが積層されたものである。なお、図示しないが、第六の層間絶縁膜21F上にはパッシベーション膜が形成されている。
第一の層間絶縁膜21Aは、シリコン酸化膜であり、第二〜第六の層間絶縁膜21B〜21Fは、シリコン酸化膜よりも誘電率が低いLow−K膜である。
【0015】
シールリング13は、第二の層間絶縁膜21B中に形成された金属層131と、第三の層間絶縁膜21Cに形成されたビア132と、第四の層間絶縁膜21Dに形成された金属層133と、第五の層間絶縁膜21Eに形成されたビア134と、第六の層間絶縁膜21Fに形成された金属層135とを備えて構成されている。
金属層131,133,135,ビア132,134は、たとえば、銅を主成分とする導電体である。
なお、シールリング13は第一の層間絶縁膜21A中には形成されておらず、シールリング13は、第一の層間絶縁膜21Aにより、半導体ウェハ11に対し絶縁されている。
【0016】
このシールリング13の金属層131は、図示しないが、回路部12内の配線に接続されている。
また、シールリング13は、図1に示したように平面矩形枠状に形成されている。さらに、このシールリング13は、図1のIII-III方向の断面図である図3に示すように、スリット状(壁状)に形成されており、回路部12の周囲を完全に囲んでいる。
【0017】
隣接し、対向配置されたシールリング13同士(マトリクス状に配置された半導体チップ形成領域14Bの行方向、および列方向に隣接するシールリング13同士)は、導電性の第一の接続部15により接続されている。ここでは、第一の接続部15は、金属層、例えば銅を主成分とする層である。これにより、本実施形態では、すべての回路部12がシールリング13および第一の接続部15を介して電気的に接続されることとなる。
【0018】
この第一の接続部15は、第六の層間絶縁膜21F内に形成され、対向する一対のシールリング13の対向する領域間、具体的には、対向する一対の辺同士を接続している。
さらに、この第一の接続部15は、各半導体チップ形成領域14B間のスクライブ領域14A1をまたぐように配置されている。第一の接続部15は、スクライブ領域14A1の一部のみをまたぐように配置され、スクライブ領域14A1全域にわたって形成されていない。
また、半導体ウェハ11を平面視した際に、第一の接続部15はスクライブ領域14A1の長手方向(ダイシングラインに沿った方向)と交差する方向(ここでは、略直交する方向)に延在しており、第一の接続部15の長手方向が、スクライブ領域14A1の長手方向(ダイシングライン)と交差(直交)している。
なお、本実施形態では、スクライブ領域14A1,14A2には、ダイシングラインに沿って延びる電源供給用の配線および接地用の配線は配置されていない。
さらに、第一の接続部15上には、パッド16が設けられる。このパッド16は、前述したパッシベーション膜上に設けられ、パッシベーション膜に形成された開口を通るコンタクトを介して第一の接続部15に接続される。
【0019】
このような第一の接続部15とシールリング13との間には、電気ヒューズEが設けられている(図2参照)。
この電気ヒューズEは、第一の接続部15とシールリング13との電気的接続を切断する手段であり、回路部12に大電流が流れた場合に、切断され、他の回路部12を大電流から保護するためのものである。
本実施形態では、電気ヒューズEは、シールリング13の金属層133と、第一の接続部15とを接続しており、金属層133から延びる第一の領域E1と、この第一の領域E1から第一の接続部15へ向かって延びる第二の領域E2とを有し、断面略L字型となっている。
【0020】
図1に示すように、パッド16は、外部電源供給用のものであり、このパッド16を介して、電源が供給される。パッド16は、スクライブ領域14Aに配置される。
パッド16は、一部の第一の接続部15に接続されていればよく、各第一の接続部15上に設けられている必要はない。
【0021】
再度、図1に示すように、第二の導電層17は、シールリング13の外周側に配置され、各シールリング13を囲むようにリング状に設けられている。本実施形態では、第二の導電層17はシールリング13と同様、平面矩形枠状に形成されている。
この第二の導電層17は、図4に示すように、第一の層間絶縁膜21A内に形成されたビア171と、第二の層間絶縁膜21B内に形成された金属層172とを備える。ビア171,金属層172はいずれも銅を主成分とする導電体である。
金属層172は平面矩形枠状に形成されており、ビア171は所定の間隔をあけて、点在して配置されている。
【0022】
第一の層間絶縁膜21A内に形成されたビア171は、第一の層間絶縁膜21A内のポリシリコン膜22に接続されている。ポリシリコン膜22は、シールリング13や、第二の導電層17の辺と直交するように延在し、平面略矩形形状となっている。このポリシリコン膜22は、シールリング13の辺の下側を通り、回路部12の配線121に接続される。このポリシリコン膜22は、ゲート電極を形成する際に、同時に形成することができる。なお、ポリシリコン膜22と、基板11との間には、ゲート絶縁膜Fが配置されている。
【0023】
図1に示すように、第二の導電層17のうち、隣接し対向する第二の導電層17同士は、金属層172が第二の接続部18により電気的に接続されている。
第二の接続部18は、第二の層間絶縁膜21B内に形成されている。また、第二の接続部18は、第一の接続部15同様、対向する一対の第二の接続部18の対向する領域間、具体的には、対向する一対の辺同士を接続している。
さらに、この第二の接続部18は、各半導体チップ形成領域14B間のスクライブ領域14A1をまたぐように配置されている。第二の接続部18は、スクライブ領域14A1の一部のみをまたぐように配置され、スクライブ領域14A1全域にわたって形成されていない。
また、半導体ウェハ11を平面視した際に、第二の接続部18はスクライブ領域14A1の長手方向(ダイシングラインに沿った方向)と交差する方向(ここでは、略直交する方向)に延在しており、第二の接続部18の長手方向が、スクライブ領域14A1の長手方向(ダイシングライン)と交差(直交)している。
さらに、このような第二の接続部18上には、パッド19が設けられる。このパッド19は、前述したパッシベーション膜上に設けられ、パッシベーション膜に形成された開口、さらには、第三の層間絶縁膜21C、第四の層間絶縁膜21D、第五の層間絶縁膜21E、第六の層間絶縁膜21Fを貫通するコンタクト(図示略)介して第二の接続部18に接続される。
このパッド19は、接地用のものである。このパッド19は、スクライブ領域14Aに配置される。パッド19も、一部の第二の接続部18に接続されていればよく、各第二の接続部18上に設けられている必要はない。
【0024】
さらに、図5に示すように、半導体装置1は、各半導体チップ形成領域14B内に、通信部Tを有する。この通信部Tは、回路部12に接続されている。ここで、通信部Tは、インダクタであり、たとえば、絶縁膜21E内に形成されている。通信部T上には、絶縁膜21F等を介して、ボンディングパッドPが積層されている。
通信部Tは、一つの回路部12に対し複数接続されている。通信部Tは、電磁誘導により、非接触で外部との通信を行う。なお、図5において、符号26は、電源線(シールリング13や、第一の接続部15を含んで構成される)、符号27は回路部12と、通信部Tや、ボンディングパットPとを接続する信号線、符号25は、接地線(シールリング17、第二の接続部18を含んで構成される)を示す。
半導体装置1の回路構成を図6に示す。通信部TおよびボンディングパッドPは、回路部12にそれぞれ接続されている。また、各通信部Tは、回路部12の異なる領域に接続されている。
なお、本実施形態では、各半導体チップ形成領域14B内に非接触で外部との通信を行う通信部Tがあるとしたが、これに限らず、一部の半導体チップ形成領域14B内に接触方式で外部との通信を行う通信部があってもよい。
また、ここでは、通信部Tは、ボンディングパッドPに積層されているとしたが、これに限らず、図8に示すように、半導体チップ形成領域14Bであって、ボンディングパッドPの外周に設けられていてもよい。ここでは、通信部Tは、ボンディングパッドPの外周を囲むように設けられている。
【0025】
次に、このような半導体装置1のテスト方法について説明する。
まず、一つのパッド16にプローブピンをたて、電源電圧を供給する。
一方で、一つのパッド19にプローブピンをたて接地する。
パッド16は、第一の接続部15に接続されているため、第一の接続部15を介して2つのシールリング13に電源が供給されることとなる。さらに、シールリング13は他の第一の接続部15を介して他のシールリング13に接続されているため、他のシールリング13にも電源が供給される。
一方、各シールリング13は各回路部12に接続されており、さらには、各回路部12は、ポリシリコン膜22、第二の導電層17、第二の接続部18を介してパッド19に接続されている。
以上のような構成により、各回路部12に電源が供給され、各回路部12が駆動可能となる。
次に、図7に示すように、半導体装置1に対し、テスタ3を近づける。このテスタ3は、インダクタ31を複数有する。テスタ3のインダクタ31が、半導体装置1の通信部Tと対向するように、テスタ3と、半導体装置1とを接触しないように配置する。そして、テスタ3側のインダクタ31から、それぞれテスト信号を半導体装置1に出力する。半導体装置1側の通信部Tは、テスタ3側のインダクタからの信号を電気信号に変換し、回路部12に供給する。これにより回路部12が駆動し、半導体装置1のテストが行われる。
なお、ここでは、テスタ3側から半導体装置1に向かって信号が送信されるとしたが、これに限らず、半導体装置1側からテスタ側に向かって信号が送信されるとしてもよい。
半導体装置1は、以上のようなテストが終了した後、半導体チップごとにダイシングされる。第一の接続部15、第二の接続部18、パッド16,19は、スクライブ領域14Aに設けられているため、ダイシングにおいて切断されることとなる。
【0026】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
半導体装置1は、各半導体チップの回路部12に電気的に接続されるシールリング13と、シールリング13同士を接続する第一の接続部15とを備える。また、半導体装置1は、各半導体チップの回路部12に接続される第二の導電層17と、各第二の導電層17同士を接続する第二の接続部18とを備える。
そして、一部の第一の接続部15には、電源供給用のパッド16が接続され、一部の第二の接続部18には接地用のパッド19が接続されている。
従って、電源供給用のパッド16に電源供給用のプローブピンを接触させ、接地用のパッド19に接地用のプローブピンを接触させることで、複数の回路部12に同時に電源を供給することができる。
これにより、従来の半導体装置のように、多数のパッドと、多数のピンとの位置あわせに手間がかかってしまうことを防止できる。さらに、従来の半導体装置に比べ、パッドの数を低減させることが可能となる。
【0027】
また、半導体装置1は、各半導体チップの回路部12に電気的に接続されるシールリング13と、シールリング13同士を接続する第一の接続部15とを備える。また、半導体装置1は、各半導体チップの回路部12に接続される第二の導電層17と、各第二の導電層17同士を接続する第二の接続部18とを備える。
第一の接続部15および第二の接続部18は、半導体ウェハのスクライブ領域14Aの一部をまたいで配置されている。
特許文献1に開示された半導体装置のように、スクライブ領域全周にわたって電源用の配線が形成されている場合には、ダイシングを行う際に、大量の屑が発生してしまうが、本実施形態のように、第一の接続部15および第二の接続部18を、スクライブ領域14Aの一部をまたいで配置することで、ダイシングの際の、大量の屑の発生を防止することができる。
さらには、第一の接続部15、第二の接続部18は、スクライブ領域14Aの一部をまたいで配置されるため、スクライブ領域14Aに形成される半導体チップ内部のトランジスタの性能をチェックするような回路や、アライメントマーク等のじゃまにならない。
【0028】
さらに、本実施形態では、回路部12への電源供給にシールリング13を使用している。このシールリング13は、回路部12への湿気の透過を防止するものである。このようなシールリング13を使用して、回路部12への電源供給を行うことで、新たな部材を設ける必要がなく、製造コストの増加を抑制することができる。
【0029】
また、本実施形態では、第一の接続部15は、対向する一対のシールリング13の対向する辺間を接続しており、さらに、スクライブ領域14A1のダイシングラインと略直交する方向に延在している。
同様に、第二の接続部18も、対向する第二の導電層17の対向する辺間を接続しており、スクライブ領域14A1のダイシングラインと略直交する方向に延在している。
このようにすることで、第一の接続部15、第二の接続部18の長さを比較的短くし、スクライブ領域14A1において、第一の接続部15、第二の接続部18の占める割合を小さくすることで、スクライブ領域14A1の有効活用を図ることができる。
【0030】
また、本実施形態では、シールリング13の下部に配置された第一の層間絶縁膜21A中にポリシリコン膜22を設け、このポリシリコン膜22を介して、第二の導電層17と、回路部12とを接続している。すなわち、ポリシリコン膜22が接地用配線として機能している。これにより、電源供給に使用されるシールリング13と、接地用配線として使用されるポリシリコン膜22とが干渉せず、各回路部12を確実に電源を供給し、駆動させることができる。
また、このようにシールリング13と干渉しないポリシリコン膜22を設けることで、シールリング13を電源供給用として使用することができ、新たな部材を設ける必要がなく、製造コストの増加を抑制することができる。
【0031】
さらに、本実施形態では、第一の層間絶縁膜21Aには、シールリング13が設けられていない。しかしながら、第一の層間絶縁膜21Aは、シリコン酸化膜であるため、湿気を通しにくいため、シールリング13が設けられていなくても、回路部12を湿気から保護することができる。
【0032】
さらに、本実施形態では、ボンディングパッドPと、通信部Tとが積層された構造となっている。これにより、通信部Tと、ボンディングパットPとを効率的に配置することができ、半導体装置1の大型化を防止できる。
また、本実施形態の半導体装置1は一つの回路部12につき、複数の通信部Tが接続されており、各通信部Tは回路部12の異なる領域に接続されている。そのため、回路部12のうち、異なる領域を一度にテストすることが可能である。
【0033】
(第二実施形態)
図9〜11を参照して、本発明の第二実施形態について説明する。
第一実施形態 では、回路部12と第二の導電層17とをポリシリコン膜22を介して接続していた。これに対し、本実施形態では、回路部12と、第二の導電層17とを半導体ウェハ11表面層に形成されたウェル(不純物拡散層)111を介して接続されている。
なお、図10は、図9のVII-VII方向の断面図である。図11は、図9のIX-IX方向の断面図である。
また、他の点は前記実施形態と同様である。
【0034】
以下に、本実施形態について詳細に説明する。
【0035】
図11に示すように、不純物拡散層111は、半導体ウェハ11表面に不純物を拡散させたものであり、例えば、P+の不純物拡散層である。この不純物拡散層111には、第二の導電層17が電気的に接続される。また、不純物拡散層111と回路部12とは、配線121を介して電気的に接続されている。
従って、不純物拡散層111は、本実施形態では、接地用の配線として機能することとなる。
【0036】
さらに、本実施形態では、図9に示すように、第一の接続部15に接続されるパッドは、スクライブ領域14Aの交点上に設けられた位置合わせマーク24となっている。この位置合わせマーク24は十字形状であり、第六の層間絶縁膜21F中には、図示しないが第一の接続部15と位置合わせマーク24とを接続する接続線が設けられる。
【0037】
このような本実施形態によれば、前記実施形態と同様の効果を奏することができるうえ、以下の効果を奏することができる。
【0038】
(第三実施形態)
第一実施形態 では、シールリング13は、第一の層間絶縁膜21Aにより、半導体ウェハ11とは絶縁されていた。これに対し、本実施形態では、図12に示すように、シールリング13は、第一の層間絶縁膜21A中に設けられた金属製のコンタクト23に接続され、半導体ウェハ11と電気的に接続されている。他の点は、第一実施形態と同様である。
シールリング13と、前記半導体ウェハ11とは、前述した複数のコンタクト23により接続されている。このコンタクト23は、図13の模式図にも示すように、シールリング13の一部と半導体ウェハ11とを接続しており、シールリング13のように回路部12の周囲を完全に囲むものではない。コンタクト23は、所定の間隔をあけて点在している。ポリシリコン膜22は、コンタクト23間を通るように配置されている。
なお、図13は、シールリング13の一部を拡大し、模式的に示した平面図である。
他の点は、第一実施形態と同様である。なお、本実施形態において、第二実施形態と同様の位置あわせマーク24を設けても良い。
このような本実施形態によれば、前記実施形態と同様の効果を奏することができるうえ、以下の効果を奏することができる。
本実施形態では、第一の層間絶縁膜21A中にコンタクト23が形成されているので、第一の層間絶縁膜21Aを湿気が透過するのをより確実に防止することができる。
また、位置合わせマーク24を電源供給用のパッドとして使用しているので、電源供給用のパッドを新たに設ける必要がなく、製造コストの低減を図ることができる。
【0039】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
たとえば、第一実施形態、第三実施形態では、回路部12と、第二の導電層17とをポリシリコン膜22を介して接続していたが、これに限らず、ポリシリコン膜22にかえて、第二実施形態のように半導体ウェハ表面層に形成されたウェルにより接続してもよい。
たとえば、第三実施形態において、第二の導電層17と、回路部12とを第二実施形態のように、不純物拡散層111にて接続する場合には、シールリング13、第二の導電層17がいずれも、半導体ウェハ11に接続されることとなる。そこで、図14に示すように、半導体ウェハ11に、半導体ウェハ11と逆の導電型のn型の不純物拡散層112を形成し、この不純物拡散層112中にp型の不純物拡散層113を形成し、不純物拡散層113を介して、シールリング13と、回路部12とを接続すればよい。さらに、不純物拡散層111の電位を基板11と異なる電位としたい場合には、半導体ウェハ11と逆の導電型のn型の不純物拡散層を形成し、このn型の不純物拡散層中に不純物拡散層111を形成してもよい。
【0040】
また、前記各実施形態では、第一の導電層13と、第一の接続部15との接続を切断する手段として、ヒューズEを設けたが、これに限らず、前記導電層と、前記接続部との電気的接続を切断する手段として、回路や、スイッチを設けてもよい。
【0041】
さらに、前記各実施形態では、半導体装置1の回路部12は、誘導結合により、外部からのテスト信号を受けるものとしたが、これに限られるものではない。
半導体装置1の回路部12は容量結合により、外部との通信を行うものとしてもよい。容量結合により、外部との通信を行う場合には、インダクタを設けず、パッドPを介して、外部との通信をおこなってもよい。
たとえば、テスタ側の電極に電位変化を発生させてテスト信号を半導体装置1に出力する。半導体装置1側の通信部Tは、テスタ側からの信号を電気信号に変換し、回路部12に出力する。
さらに、回路部12には、複数の通信部Tが接続されているとしたが、複数の回路部のうち一部の回路部12には、一つの通信部Tしか接続されていなくてもよい。
【0042】
また、前記各実施形態では、半導体ウェハ11上の全ての回路部12が接続部を介して電気的に接続されていたが、これに限らず、一部の回路部同士のみが電気的に接続されていてもよい。また、たとえば、互いに電気的に接続された第一の回路部群と、互いに電気的に接続された第二の回路部群とがあり、第一の回路部群と第二の回路部群とは、電気的に接続されていなくてもよい。
このような場合には、第一の回路部群のテストと、第二の回路部群のテストとを別々に行うことが可能である。
【0043】
さらに、前記各実施形態では、シールリング13を介して電源を供給し、第二の導電層17を介して接地していたが、これに限らず、たとえば、シールリング13を介して接地を行い、第二の導電層を介して電源を供給してもよい。
また、前記各実施形態では、パッド16を第一の接続部15に接続していたが、これに限らず、パッド16を直接シールリング13に接続してもよい。同様にパッド19を第二の導電層17に接続してもよい。
【0044】
さらに、前記各実施形態では、第一の接続部15により、シールリング13の対向する辺同士を接続し、第一の接続部15はスクライブ領域14A1の一部をまたぐとしたが、これに限らず、たとえば、シールリング13の角部同士を第一の接続部で接続し、第一の接続部をスクライブ領域14A2の一部をまたぐものとしてもよい。
同様に、第二の接続部を第二の導電層17の角部同士を接続し、スクライブ領域14A2の一部をまたぐものとしてもよい。
また、第一実施形態において、第一の接続部15に接続されるパッドを位置あわせマーク24としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第一実施形態にかかる半導体装置の平面を模式的に示した図である。
【図2】図1のII-II方向の断面図である。
【図3】図1のIII-III方向の断面図である。
【図4】図1のIV-IV方向の断面図である。
【図5】半導体装置の回路部とパッドとの関係を模式的に示した図である。
【図6】第一実施形態の回路部と、ボンディングパッドと、通信部との関係を示すブロック図である。
【図7】半導体装置のテストを行う状態を模式的に示す図である。
【図8】半導体装置の回路部とパッドとの関係を模式的に示した図である。
【図9】本発明の第二実施形態にかかる半導体装置の平面を模式的に示した図である。
【図10】図9のVII-VII方向の断面図である。
【図11】図9のIX-IX方向の断面図である。
【図12】本発明の第三実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
【図13】シールリングの一部を拡大した図である。
【図14】本発明の変形例を示す図である。
【図15】従来の半導体装置を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1 半導体装置
3 テスタ
11 半導体ウェハ
12 回路部
13 シールリング(第一の導電層)
14A スクライブ領域
14A1 スクライブ領域
14A2 スクライブ領域
14B 半導体チップ形成領域
15 第一の接続部
16 パッド
17 第二の導電層
18 第二の接続部
19 パッド
21A 層間絶縁膜
21B 層間絶縁膜
21C 層間絶縁膜
21D 層間絶縁膜
21E 層間絶縁膜
21F 層間絶縁膜
21 絶縁層
22 ポリシリコン膜
23 コンタクト
24 位置あわせマーク
25 接地線
26 電源線
27 信号線
31 インダクタ
100 半導体装置
101,102 配線
104 半導体チップ
111 不純物拡散層
112 不純物拡散層
113 不純物拡散層
121 配線
131 金属層
132 ビア
133 金属層
134 ビア
135 金属層
171 ビア
172 金属層
E 電気ヒューズ
P ボンディングパット
T 通信部
F 絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体チップ形成領域と、前記半導体チップ形成領域間に位置するスクライブ領域とが形成された半導体ウェハと、
前記半導体ウェハの前記各半導体チップ形成領域内に設けられた半導体チップの回路部と、
前記各半導体チップ形成領域内に設けられ、前記各回路部に電気的にそれぞれ接続される複数の第一の導電層と、
前記第一の導電層同士を前記クライブ領域の一部をまたいで電気的に接続する第一の接続部と、
前記回路部に接続され、容量結合あるいは誘導結合により外部との通信を行う通信部とを有し、
前記第一の導電層および前記第一の接続部の少なくともいずれか一方に、外部電源供給用あるいは接地用のパッドが設けられている半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記通信部は、前記回路部に接続されたボンディングパットに積層して設けられている半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記通信部は、前記回路部に接続されたボンディングパットの外周に設けられている半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体装置において、
前記回路部には、複数の前記通信部が接続されている半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置において、
前記第一の導電層は、前記各回路部を囲むように設けられるシールリングである半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置において、
前記第一の接続部は、隣接する一対の前記回路部に接続された一対の前記シールリングの対向する領域間を接続するものである半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記第一の接続部は、前記スクライブ領域のダイシングラインと略直交する方向に延在する半導体装置。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれかに記載の半導体装置において、
前記半導体ウェハ上には絶縁膜が設けられており、
前記シールリングは、前記絶縁膜上に配置され、
各半導体チップ形成領域内であり、前記各シールリングの外側の前記絶縁膜上には、第二の導電層が設けられ、
前記回路部と、前記第二の導電層とは、前記シールリングの下方を通り、前記絶縁膜内部を通るポリシリコン膜を介して接続され、
前記第二の導電層同士は、前記スクライブ領域の一部をまたいで配置される第二の接続部により電気的に接続される半導体装置。
【請求項9】
請求項5乃至7のいずれかに記載の半導体装置において、
前記半導体ウェハ上には絶縁膜が設けられており、
前記シールリングは、前記絶縁膜上に配置され、
各半導体チップ形成領域内であり、前記各シールリングの外側の前記絶縁膜上には、第二の導電層が設けられ、
前記回路部と、前記第二の導電層とは、前記シールリングの下方を通り、前記半導体ウェハ表面層に形成された不純物拡散層を介して接続され、
前記第二の導電層同士は、前記スクライブ領域の一部をまたいで配置される第二の接続部により電気的に接続される半導体装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の半導体装置において、
前記シールリングと、前記半導体ウェハとは、前記絶縁膜に設けられた複数のコンタクトにより接続されており、
前記ポリシリコン膜あるいは前記不純物拡散層は、前記半導体ウェハを平面視した際に、前記コンタクト間を通るように配置されている半導体装置。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれかに記載の半導体装置において、
前記第二の接続部は、各回路部に接続された前記第二の導電層のうち、対向する領域間を接続するものである半導体装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の半導体装置において、
前記パッドは、前記スクライブ領域に形成された位置合わせマークである半導体装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかに記載の半導体装置において、
前記第一の導電層と、前記第一の接続部との電気的接続を切断する手段を備える半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−153753(P2010−153753A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333090(P2008−333090)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】