説明

半導体装置

【課題】デジタル領域とアナログ領域とが混載された半導体装置におけるデジタル領域からアナログ領域へのノイズ伝搬を効果的に抑制する。
【解決手段】デジタル領域120とアナログ領域130とが混載された半導体装置100は、平面視でデジタル領域120およびアナログ領域130の外周を取り囲む環状のシールリング140と、シールリング140で囲まれた領域内で、デジタル領域120とアナログ領域130との間に設けられ、アナログ領域130をデジタル領域120から隔離するとともに、シールリング140に電気的に接続されたガードリング150と、ガードリング150と当該ガードリング近傍で電気的に接続された電極パッド160aとを含む。電極パッド160aは、外部の接地端子(180a)に接続されて接地電位とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル領域およびアナログ領域が混載された半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置には、回路が形成される素子形成領域を外界の水分等の影響から保護するために、素子形成領域の外周に、シールリングと呼ばれる保護構造が設けられる。シールリングは、基板上の多層配線構造の全層にわたって形成される。また、シールリングは、素子形成領域に形成される配線やビア等と同様のたとえば銅を主成分とする導電膜によって形成される。
【0003】
特許文献1(特開2008−177246号公報)には、コンタクトと、基板表面の拡散層とを介してガードリング(シールリング)を接地電位に接続した構成が記載されている。当該文献には、複数のガードリングで形成される寄生バイポーラ素子の動作を抑制するために、コンタクトを適切に配置する技術が記載されている。
【0004】
特許文献2(特開2008−071931号公報)には、素子形成領域及び該素子形成領域を囲んで形成された周辺領域を有する半導体チップと、半導体チップの周辺領域上に複数個同心円状に形成され、金属層を複数積み上げてなる金属リングと、素子領域上に形成された多層に形成された配線とを具備し、多層に形成された配線のうち、複数の金属リングの最内周の金属リング(シールリング)に近接した配線領域には上下に電気的に接続された積層配線層を有し、該積層配線層と最内周の金属リングとは、対向する一対の電極として所定の電位差を有するキャパシタを構成している半導体装置が記載されている。ここで、積層配線層は、電源電位に接続され、最内周の金属リングは、接地電位に接続されている。これにより、大容量のキャパシタが必要な半導体装置のチップサイズを小さくすることができるとされている。
【0005】
特許文献3(特表2007−531281号公報)には、分離ガードリングがチップ金属を介して接地リード線に接続されること(段落0033)、および分離ガードリングがチップ金属を介してオフチップ接地へ結合されるボンドパッドに接続されることが記載されている(段落0034)。
【0006】
特許文献4(特開2004−327941号公報)には、P型基板の表面に、内部回路を囲むようにリング状のp拡散領域を形成し、P型基板上のp拡散領域の直上域を含む領域にシャント配線を形成した構成が記載されている。ここで、シャント配線は、複数のコンタクトによりp拡散領域に接続されている。シャント配線には、内部回路を囲む環状のリング部と、このリング部から引き出されたメアンダ型インダクタとが設けられている。メアンダ型インダクタの一端は接地電位配線GNDに接続されており、P型基板及びp拡散領域とシャント配線との間の寄生容量と、シャント配線のインダクタンスとにより、共振回路が形成される。これにより、基板ノイズにおける所望の周波数成分を選択的に除去できるとされている。
【0007】
特許文献5(特開平01−103859号公報)には、ガードリング(シールリング)に接地電位が与えられることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−177246号公報
【特許文献2】特開2008−071931号公報
【特許文献3】特表2007−531281号公報
【特許文献4】特開2004−327941号公報
【特許文献5】特開平01−103859号公報
【特許文献6】特開2006−147668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、基板上の素子形成領域に、デジタル回路が形成されたデジタル領域とアナログ回路が形成されたアナログ領域とが混載された半導体装置においては、デジタル領域で発生するノイズがシールリングを介してアナログ領域に伝搬し、アナログ領域に設けられた素子の誤作動を引き起こすことがある(特許文献6(特開2006−147668号公報))。また、基板を介してノイズが伝搬することもある。
【0010】
上述したように、従来、シールリングを接地する技術は知られているが、従来の方法では、このようなデジタル領域とアナログ領域とが混載された半導体装置において、ノイズの伝搬の低減化が不充分だった。本発明者の検討によれば、単にデジタル領域とアナログ領域とを含む素子形成領域を取り囲むシールリングを接地しただけでは、とくにデジタル領域で高周波の信号が用いられる場合に、デジタル領域で発生したノイズのアナログ領域への伝搬を充分に行うことができないことが明らかになった。これは、とくに、高周波の信号を用いた場合、基板を介して伝搬するノイズの影響が大きくなるためと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、
デジタル領域とアナログ領域とが混載された半導体装置であって、
基板と、
前記基板上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜中に埋設された第1の導電膜により構成され、平面視で前記デジタル領域および前記アナログ領域の外周を取り囲む環状のシールリングと、
前記層間絶縁膜中に埋設された第2の導電膜により構成され、前記シールリングで囲まれた領域内で、前記デジタル領域と前記アナログ領域との間に設けられ、前記アナログ領域を前記デジタル領域から隔離するとともに、前記シールリングに電気的に接続されたガードリングと、
前記ガードリング近傍で当該ガードリングと電気的に接続された第1の電極パッドと、
を含み、
前記第1の電極パッドは、外部の接地端子に接続されて接地電位とされた半導体装置が提供される。
【0012】
この構成によれば、デジタル領域とアナログ領域との間に、アナログ領域をデジタル領域から隔離するガードリングが設けられ、当該ガードリングが接地電位とされているので、デジタル領域からアナログ領域に伝搬するノイズをグランドに逃がすことができる。また、接地電位とされる第1の電極パッドが、ガードリング近傍で当該ガードリングと電気的に接続されているので、高周波の信号を用いた場合でも、デジタル領域からのノイズを低インピーダンスでガードリングを介してグランドに逃がすことができる。これにより、デジタル領域で発生したノイズによるアナログ領域中のノイズの影響を受けやすい回路への影響を低減して、当該回路の特性の劣化を防ぐことができる。また、シールリングも、ガードリングと電気的に接続されているため、接地電位とすることができ、シールリングを介して伝搬するノイズの影響も低減することができる。
【0013】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、デジタル領域とアナログ領域とが混載された半導体装置におけるデジタル領域からアナログ領域へのノイズ伝搬を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の一例を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の他の例を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における半導体装置の基板上のウェルの形成状態を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態における半導体装置の構成を模式的に示す回路図である。
【図6】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の他の例を示す平面図である。
【図7】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の他の例を示す平面図である。
【図8】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の他の例を示す平面図である。
【図10】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の他の例を示す平面図である。
【図11】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の他の例を示す平面図である。
【図12】本発明の実施の形態における半導体装置の効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0017】
図1は、本実施の形態における半導体装置の構成を示す平面図である。図2は、図1のI−I’断面およびII−II’断面を示す断面図である。
半導体装置100は、デジタル領域120とアナログ領域130とが混載された構成とすることができる。ここで、デジタル領域120とは、ロジック回路が形成された領域とすることができる。本実施の形態において、デジタル領域120では、たとえば10Hz以上程度の高周波の信号が用いられる構成とすることができる。アナログ領域130とは、アナログ回路が形成された領域とすることができる。アナログ領域130には、たとえばLNA(Low Noise Amplifier)等のノイズの影響を受けやすい被保護回路132が形成されている。
【0018】
半導体装置100は、基板102と、基板102上に形成されたpウェル104およびnウェル106と、pウェル104およびnウェル106上にそれぞれ形成された拡散層110および拡散層112と、ウェルや拡散層を分離する素子分離絶縁膜108と、その上に形成された層間絶縁膜114とを含む。基板102は、シリコン基板等の半導体基板とすることができる。
【0019】
また、半導体装置100は、層間絶縁膜114に埋設された第1の導電膜142により構成されたシールリング140と、層間絶縁膜114中に埋設された第2の導電膜152により構成されたガードリング150とを含む。シールリング140は、平面視でデジタル領域120およびアナログ領域130の外周を取り囲む環状に形成される。つまり、シールリング140は、基板102の周縁に沿って設けられている。シールリング140は、たとえば、半導体装置100のダイシングラインに沿って設けられた構成とすることができるが、必ずしもダイシングラインに沿って設けられていなくてもよく、少なくともデジタル領域120とアナログ領域130とを囲む構成となっていればよい。本実施の形態において、シールリング140は、半導体装置100内のデジタル領域120およびアナログ領域130を含む素子形成領域内に外界の水分等が浸入するのを防ぐ機能を有する。第1の導電膜142および第2の導電膜152は、銅(Cu)等の金属により形成され、シングルダマシン法やデュアルダマシン法等により形成された配線やビアとすることができる。
【0020】
本実施の形態において、ガードリング150は、デジタル領域120で発生したノイズがアナログ領域130に伝搬するのを防ぐ機能を有する。ガードリング150は、平面視で、シールリング140で囲まれた領域内で、デジタル領域120とアナログ領域130との間に設けられ、アナログ領域130をデジタル領域120から隔離するとともに、シールリング140に電気的に接続される。シールリング140とガードリング150とは、第1の導電膜142や第2の導電膜152によって電気的に接続されている。
【0021】
図2に示すように、シールリング140およびガードリング150は、それぞれ、基板102と接続された構成とすることができる。シールリング140は、基板102上に設けられた多層配線構造の全層にわたって設けられた構成とすることができる。ここでは、層間絶縁膜114を単体で示しているが、層間絶縁膜114は、複数の絶縁膜の積層構造とすることができる。シールリング140を多層配線構造の全層にわたって設けることにより、デジタル領域120およびアナログ領域130(図1参照)に外部から水分等が浸入するのを防ぐことができる。また、ここでは、シールリング140を一重のリング状の第1の導電膜142で構成した例を示しているが、シールリング140は、多重のリング状の第1の導電膜142により構成することもできる。
【0022】
ガードリング150は、基板102上に設けられた多層配線構造の一部の層にのみ設けられた構成とすることができる。また、ガードリング150は、図3に示すように、シールリング140と同様、基板102上に設けられた多層配線構造の全層にわたって設けられた構成とすることもできる。
【0023】
本実施の形態において、基板102は、pウェル104と同じ導電型で、p型不純物を含む構成とすることができる。また、シールリング140の下には、基板102と反対導電型のnウェル106が形成されている。拡散層110および拡散層112は、基板102と同じ導電型のp拡散層とすることができる。また、拡散層110および拡散層112表面には、それぞれシリサイド層111およびシリサイド層113が形成された構成とすることができる。
【0024】
図4は、図2のA−A’断面を示す、基板102上のウェルの形成状態を示す平面図である。以下、図2から図4を参照して説明する。
nウェル106の上には、基板と同じ導電型の拡散層110が形成されている。シールリング140は、拡散層110およびnウェル106を介して、基板102と接続される。このような構成により、シールリング140を構成する第1の導電膜142と基板102との間には、拡散層110とnウェル106、およびnウェル106と基板102との間にpn接合部が設けられることになる。このようなpn接合部を設けることにより、pn接合部の空乏層の広がりにより、シールリング140と基板102との間のインピーダンスが高くなる。そのため、デジタル領域120から基板102へのノイズの伝搬を抑制することができる。これにより、シールリング140および基板102を介したデジタル領域120からアナログ領域130へのノイズの伝搬を抑制することができる。
【0025】
一方、ガードリング150の下には、nウェル106は形成されず、ガードリング150を構成する第2の導電膜152は、基板102と反対導電型の拡散層を介することなく、基板102に接続される。第2の導電膜152は、基板102と同じ導電型の拡散層112と基板102と同じ導電型のpウェル104を介して基板102に接続される。本実施の形態において、基板102は、接地した構成とすることができる。このような構成とすると、ガードリング150から基板102にノイズを逃がすこともでき、デジタル領域120からアナログ領域130へのノイズの伝搬を防ぐことができる。本実施の形態において、シールリング140下にだけ選択的にnウェル106を形成することにより、デジタル領域120において、シールリング140から基板102にノイズが伝わらないようにすることができるとともに、ガードリング150からは、ノイズを接地電位に逃がすことができ、デジタル領域120からアナログ領域130へのノイズの伝搬を効果的に抑制することができる。
【0026】
さらに、図1に示すように、半導体装置100のアナログ領域130内において、層間絶縁膜114(図2参照)上の表面には、複数の電極パッド160が設けられている。各電極パッド160は、それぞれ、ボンディングワイヤ170を介してアウターリード180に接続される。
【0027】
本実施の形態において、複数の電極パッド160のうち、ガードリング150近傍に配置された電極パッド160a(第1の電極パッド)は、ガードリング150の近傍で、接続部材162aを介してシールリング140を構成する第1の導電膜142に接続されている。また、電極パッド160aは、ボンディングワイヤ170aを介して半導体装置100外部の接地端子であるアウターリード180aに接続されている。アウターリード180aは、接地電位とされている。
【0028】
本実施の形態において、ガードリング150に近接した位置に、電極パッド160aを配置し、電極パッド160aをシールリング140を介してガードリング150と電気的に接続する。このような構成で、電極パッド160aを接地電位とすることにより、ガードリング150と電極パッド160aとの間を低インピーダンスとすることができる。本実施の形態において、ガードリング150は、シールリング140と電気的に接続されているので、電極パッド160aは、シールリング140を介してガードリング150と電気的に接続されていることになる。これにより、シールリング140からノイズをグランド(接地電位)に逃がすことができるとともに、ガードリング150からもノイズをグランドに効率よく逃がすことができる。
【0029】
また、被保護回路132は、デジタル領域120から遠い位置に設けることができる。図5は、半導体装置100の構成を模式的に示す回路図である。図5に示すように、ノイズ源であるデジタル領域120から接地電位とされた電極パッド160aまでのインピーダンスZ2が、デジタル領域120と被保護回路132との間のインピーダンスZ1よりも充分小さければ、デジタル領域120からの信号(ノイズ源電力)が電極パッド160aに伝搬する。一方、インピーダンスZ2が大きくなると、被保護回路132に伝搬する信号が多くなる。
【0030】
本実施の形態において、電極パッド160a等、ガードリング150を接地するための電極パッドのうちの少なくとも一つは、所定の周波数において、デジタル領域120から被保護回路132へのノイズの伝搬経路とガードリング150とが交差する交差点から当該電極パッドまでの導電経路に基づき算出されるインピーダンスZ2が、交差点から被保護回路132までの伝搬経路に基づき算出されるインピーダンスZ1より小さい値(たとえばインピーダンスZ1の1/2程度)となるようにガードリング150に接続される。ここで、交差点から当該電極パッドまでの導電経路、交差点から第2の導電膜152や第1の導電膜142等を経由して電極パッド160aに至る経路のことである。交差点から当該電極パッドまでの導電経路および交差点から被保護回路132までの伝搬経路におけるそれぞれのインピーダンスは、たとえばAssura−RCX(登録商標)等のシミュレーションソフトを用いて算出することができる。本実施の形態において、被保護回路132の配置および電極パッド160aの配置は、このようなシミュレーション結果を考慮して決定することができる。
【0031】
さらに、本実施の形態において、電極パッド160aに加えて、被保護回路132の近接した位置に、さらに電極パッド160(図中電極パッド160cと示す)を配置し、当該電極パッド160を接続部材162cを介してシールリング140と接続し、ボンディングワイヤ170cを介して接地電位とされたアウターリード180cと接続した構成とすることができる。さらに、同様に、接地電位とされた電極パッド160を複数箇所でそれぞれ接続部材162を介してシールリング140やガードリング150と接続することができる。このようにシールリング140やガードリング150を複数形路で接地電位に接続することにより、低インピーダンスを保つようにすることができる。
【0032】
また、図6に示すように、電極パッド160aは、接続部材162aを介してガードリング150を構成する第2の導電膜152に接続された構成とすることもできる。この場合も、電極パッド160aは、ボンディングワイヤ170aを介して半導体装置100外部の接地端子であるアウターリード180aに接続されている。さらに、図7に示すように、複数の電極パッド160のうち、ガードリング150近傍に配置された電極パッド160aおよび電極パッド160bが、それぞれ、第2の導電膜152および第1の導電膜142に接続されるようにすることもできる。ここでは図示していないが、電極パッド160aは、その下層に形成された接続部材162aを介してガードリング150と電気的に接続されている。この場合、電極パッド160bは、接続部材162bを介して第1の導電膜142と接続され、またボンディングワイヤ170bを介して接地されたアウターリード180bと接続され、接地された構成とすることができる。
【0033】
また、本実施の形態において、接地端子と接続される電極パッド160(電極パッド160a、電極パッド160b、電極パッド160c等)は、平面視で、ボンディングワイヤ170(ボンディングワイヤ170a、ボンディングワイヤ170b、ボンディングワイヤ170c等)と接続される箇所と重ならない箇所において、層間絶縁膜114(図2参照)中に形成されたビアと接続され、当該ビアを介して第1の導電膜142または第2の導電膜152と接続された構成とすることができる。
【0034】
図8は、図1のIII−III’断面の一部の層を示す断面図である。
ここでは、電極パッド160aおよび第1の導電膜142が接続される場合を例として示す。他の電極パッドと導電膜とが接続される場合も同様とすることができる。なお、図1等の平面図において、説明のために接続部材162を示しているが、接続部材162は、電極パッド160と同層に設けられるのではなく、電極パッド160が形成された層の下層の電極パッド160とは異なる層に形成されことができる。
電極パッド160aは、平面視で、ボンディングワイヤ170aと接続される箇所と重ならない箇所において、層間絶縁膜114(ここでは不図示)中に形成されたビア164と接続される。電極パッド160aは、ビア164を含む接続部材162aを介して第1の導電膜142と接続される。このような構成とすることにより、ボンディングワイヤ形成時に電極パッド160(電極パッド160a、電極パッド160b、電極パッド160c等)のボンディング箇所にダメージが生じても、電極パッド160とシールリング140やガードリング150を低インピーダンスでビアを介して接続することができる。また、電極パッド160とシールリング140やガードリング150をビア164を介して接続することにより、ボンディングワイヤ形成時に電極パッド160にクラックが生じても、シールリング140やガードリング150にまで影響を及ぼさないようにすることができる。
【0035】
次に、本実施の形態における半導体装置100の他の例を説明する。
電極パッド160a、電極パッド160b、電極パッド160c等の電極パッド160と接続する接地端子は、半導体装置100が搭載されるダイパッドとすることもできる。図9は、ダイパッド182も示す半導体装置100の平面図である。ここでは、ダイパッド182を接地電位とすることができる。このような構成とした場合、基板102の裏面もダイパッド182と電気的に接続され、ダイパッド182を介して接地された構成とすることができる。このような構成とすると、電極パッド160aの電位と基板102の電位とを同じとすることができ、安定的に、ガードリング150を接地電位に接続することができる。これにより、GNDピン数を削減できるとともにボンディング長を短くでき、電極パッド160aを低インピーダンスで接地電位に接続することができる。
【0036】
また、以上の実施の形態において、電極パッド160a等の電極パッド160をボンディングワイヤを介して接地端子と接続する例を示したが、電極パッド160は、ボンディングワイヤではなく、フリップチップ接続等により、接地端子と接続することもできる。図10には、電極パッド160をフリップチップ接続で外部の接地端子と接続する場合を例として示す。このような構成とした場合、ボンディングワイヤ170との接続を考慮する必要がないため、任意の箇所に電極パッド160を配置しやすくなる。そのため、たとえば、半導体装置100上の中心部のガードリング150上等にも電極パッド160aを配置することができる。図示していないが、電極パッド160aは、その下層に形成された接続部材162aを介してガードリング150と電気的に接続されている。これにより、電極パッド160とガードリング150とのインピーダンスをより低くすることができ、ノイズを低減することができる。
【0037】
また、図11に示すように、ガードリング150は、アナログ領域130を囲む構成とすることもできる。また、ガードリング150は、アナログ領域130をリング状に囲んだ構成とすることもできる。
【0038】
次に、本実施の形態における半導体装置100の効果を説明する。
本実施の形態の半導体装置100によれば、デジタル領域120とアナログ領域130との間に、アナログ領域130をデジタル領域120から隔離するガードリング150が設けられ、ガードリング150が接地電位とされている。これにより、デジタル領域120からアナログ領域130に伝搬するノイズをグランドに逃がすことができる。また、接地電位とされる電極パッド160aが、ガードリング150近傍でガードリング150と電気的に接続されているので、高周波の信号を用いた場合でも、デジタル領域120からのノイズを低インピーダンスでガードリング150を介してグランドに逃がすことができる。
【0039】
図12は、本実施の形態における半導体装置100の効果を説明するための図である。ここでは、図1に示したような構成の半導体装置100において、所定の周波数において、ノイズ源とセンサとの間にガードリングを配置し、当該ガードリングと接地電位との間にインダクタを接続した。ガードリングとセンサとの距離は0.16μm、ノイズ源とセンサとの距離は50μmとした。このような状態で、インダクタの寄生インダクタンスを変化させた場合の、センサにおけるノイズ源からのノイズの伝搬性をシミュレーションで算出した。図12において、シミュレーション結果を破線で示す。また、ガードリングを配置しなかった場合のセンサでのノイズの測定結果も示す。ここで、ガードリングを配置していた場合、寄生インダクタンスが低い場合は、ノイズが大幅に低減されている。一方、ガードリングを配置していた場合でも、インダクタの寄生インダクタンスが増加するにつれて、ガードリングが配置されていない場合と同様のノイズがセンサに伝搬することが明らかになった。本実施の形態の半導体装置100において、電極パッド160aを、ガードリング150と電極パッド160aとの間のインピーダンスが低くなるように配置することにより、ガードリング150を配置したことの効果を充分に発揮することができる。
【0040】
以上のように、本実施の形態における半導体装置100により、デジタル領域120で発生したノイズによるアナログ領域130中の被保護回路132への影響を低減して、被保護回路132の特性の劣化を防ぐことができる。また、シールリング140も、ガードリング150と電気的に接続されているため、接地電位とすることができ、シールリング140を介して伝搬するノイズの影響も低減することができる。
【0041】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0042】
以上の実施の形態において、図2および図3に示したように、シールリング140が形成された領域には、基板102と反対導電型のnウェル106を設ける構成とした。他の例において、シールリング140の下方にnウェル106を設けず、拡散層110を基板102と反対導電型の不純物拡散層とすることもできる。このようにしても、シールリング140と基板102との間にpn接合部が設けられるので、pn接合部の空乏層の広がりにより、シールリング140と基板102との間のインピーダンスが高くなる。そのため、デジタル領域120から基板102へのノイズの伝搬を抑制することができる。これにより、シールリング140および基板102を介したデジタル領域120からアナログ領域130へのノイズの伝搬を抑制することができる。
【0043】
以上の実施の形態では、接地端子として、アウターリードまたはダイパッドを用いる例を示したが、接地端子は、プリント基板等の配線基板に設けられた端子とすることもできる。
【0044】
さらに、図示していないが、デジタル領域120にも電極パッドが設けられ、接地端子と接続されるようにすることもできる。
【0045】
また、電極パッド160a等の電極パッド160をボンディングワイヤを介して接地端子と接続する構成の場合も、配置が可能であれば、電極パッド160をガードリング150の上等、半導体装置100の中心部に配置してもよい。
【符号の説明】
【0046】
100 半導体装置
102 基板
104 pウェル
106 nウェル
108 素子分離絶縁膜
110 拡散層
111 シリサイド層
112 拡散層
113 シリサイド層
114 層間絶縁膜
120 デジタル領域
130 アナログ領域
132 被保護回路
140 シールリング
142 第1の導電膜
150 ガードリング
152 第2の導電膜
160 電極パッド
160a 電極パッド
160b 電極パッド
160c 電極パッド
162 接続部材
162a 接続部材
162b 接続部材
162c 接続部材
164 ビア
170 ボンディングワイヤ
170a ボンディングワイヤ
170b ボンディングワイヤ
170c ボンディングワイヤ
180 アウターリード
180a アウターリード
180b アウターリード
180c アウターリード
182 ダイパッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル領域とアナログ領域とが混載された半導体装置であって、
基板と、
前記基板上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜中に埋設された第1の導電膜により構成され、平面視で前記デジタル領域および前記アナログ領域の外周を取り囲む環状のシールリングと、
前記層間絶縁膜中に埋設された第2の導電膜により構成され、前記シールリングで囲まれた領域内で、前記デジタル領域と前記アナログ領域との間に設けられ、前記アナログ領域を前記デジタル領域から隔離するとともに、前記シールリングに電気的に接続されたガードリングと、
前記ガードリング近傍で当該ガードリングと電気的に接続された第1の電極パッドと、
を含み、
前記第1の電極パッドは、外部の接地端子に接続されて接地電位とされた半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1の電極パッドは、平面視で前記アナログ領域内の前記ガードリング近傍に配置された半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置において、
前記第1の電極パッドは、前記層間絶縁膜中に埋設された導電膜を介して前記第1の導電膜または前記第2の導電膜と接続された半導体装置。
【請求項4】
請求項1から3いずれかに記載の半導体装置において、
前記第1の電極パッドは、前記層間絶縁膜中に埋設された導電膜を介して前記第1の導電膜と接続され、前記第1の電極パッドは、前記シールリングを介して前記ガードリングに接続された半導体装置。
【請求項5】
請求項1から4いずれかに記載の半導体装置において、
複数の前記第1の電極パッドを含み、
前記複数の第1の電極パッドの一部は、前記層間絶縁膜中に埋設された導電膜を介して前記第1の導電膜と接続され、
前記複数の第1の電極パッドの他の一部は、前記層間絶縁膜中に埋設された導電膜を介して前記第2の導電膜と接続された半導体装置。
【請求項6】
請求項1から5いずれかに記載の半導体装置において、
前記基板には、前記シールリングの下方において、前記基板の導電型と反対導電型の第1の拡散層が形成されており、
前記シールリングの前記第1の導電膜は、前記第1の拡散層を介して前記基板に接続された半導体装置。
【請求項7】
請求項1から6いずれかに記載の半導体装置において、
前記ガードリングの前記第2の導電膜は、前記基板の導電型と反対導電型の拡散層を介すことなく、前記基板に接続された半導体装置。
【請求項8】
請求項1から7いずれかに記載の半導体装置において、
前記基板が接地されている半導体装置。
【請求項9】
請求項1から8いずれかに記載の半導体装置において、
前記アナログ領域には、ノイズの影響を受けやすい被保護回路が形成されており、
前記第1の電極パッドは、所定の周波数において、前記デジタル領域から前記被保護回路へのノイズの伝搬経路と前記ガードリングとが交差する交差点から当該第1の電極パッドまでの導電経路に基づき算出されるインピーダンスZ2が、前記交差点から前記被保護回路までの前記伝搬経路に基づき算出されるインピーダンスZ1の1/2となるように、前記ガードリングに接続された半導体装置。
【請求項10】
請求項1から9いずれかに記載の半導体装置において、
前記第1の電極パッドは、ボンディングワイヤを介して前記接地端子に接続された半導体装置。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置において、
前記第1の電極パッドは、平面視で、前記ボンディングワイヤと接続される箇所と重ならない箇所において、前記層間絶縁膜中に形成されたビアと接続され、当該ビアを介して前記第1の導電膜または前記第2の導電膜と接続された半導体装置。
【請求項12】
請求項1から11いずれかに記載の半導体装置において、
前記接地端子は、配線基板に設けられた端子、当該半導体装置が搭載されるダイパッド、またはリードである半導体装置。
【請求項13】
請求項1から12いずれかに記載の半導体装置において、
前記接地端子は、当該半導体装置が搭載されるダイパッドであって、前記基板は、当該ダイパッドを介して接地されている半導体装置。
【請求項14】
請求項1から13いずれかに記載の半導体装置において、
前記アナログ領域には、ノイズの影響を受けやすい被保護回路が形成されており、
前記被保護回路近傍で前記シールリングまたは前記ガードリングと電気的に接続された電極パッドをさらに含み、当該電極パッドは、外部の接地端子に接続されて接地電位とされた半導体装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−3570(P2011−3570A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142973(P2009−142973)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】