説明

半導体装置

【課題】半導体チップからダイパッドへ効率良く放熱する半導体装置を実現できるようにする。
【解決手段】半導体装置は、ダイパッド121を含むリードフレーム102と、ダイパッド121のチップ搭載領域にダイボンド材132により接合された半導体チップ101とを備えている。チップ搭載領域は、半導体チップ101に間隔をおいて外嵌する第1の部分124aと、第1の部分124aよりもその壁面と半導体チップ101の側面との間隔が大きい第2の部分124bとを含む凹部124である。半導体チップ101の側面と凹部124の壁面との間にはダイボンド材132が充填されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特にリードフレームを用いた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置は、半導体チップを金属製のダイパッドに接合し、半導体チップの電極端子とリードとを金属ワイヤを用いて接続した構造となっている。半導体チップをダイパッドにダイボンド材を用いて接合することにより、半導体チップから発生する熱を、ダイパッドを介して放熱することが可能となる。
【0003】
近年、半導体チップの高集積化に伴い、半導体チップの発熱量が増大している。一般に、半導体チップは、その底面がダイボンド材を介してダイパッドと接合されている。このため、半導体チップにおいて発生する熱は、その底面からダイパッドに伝わり、放熱される。一方、半導体チップの微細化も進められており、半導体チップの底面積は小さくなる傾向にある。このため、半導体チップの底面からダイパッドへ放熱することが次第に困難となってきている。
【0004】
半導体チップからダイパッドへ効率良く放熱するために、半導体チップの底面からだけでなく、側面からもダイパッドへ熱を伝えられるようにすることが考えられる。具体的には、ダイパッドに凹部を設け、この凹部に半導体チップをはめ込むことが考えられる。例えば、特許文献1にはダイパッドに浅い凹部を有するリードフレームが開示されている。しかし、この凹部は半導体チップの位置決め用であり、その深さは半導体チップの厚さの5分の1程度である。また、半導体チップの側面と凹部の壁面とは接合されていない。このため、半導体チップからダイパッドへの熱の伝達にはほとんど寄与しない。
【0005】
また、特許文献2には、半導体チップを取り囲むような側壁部を有する深皿形状のダイパッドを有するリードフレームが開示されている。しかし、このリードフレームは半導体チップの吸湿を低減することを目的としており、半導体チップの側面と凹部の側壁との間には封止樹脂が充填されている。このため、半導体チップの側面からダイパッドへの熱の伝達効率は非常に低い。
【0006】
特許文献3には、上部が広がった傾斜した壁面を有する凹部の底面に半導体チップを接合した例が開示されている。この場合には、半導体チップが発光ダイオードであり、凹部は発光ダイオードからの光を効率良く外部に取り出すために設けられている。このため、半導体チップの側面と凹部の壁面との間隔が大きく、さらに半導体チップの側面と凹部の壁面との間には樹脂又はガラス等が充填されている。従って、半導体チップの側面からの放熱にはほとんど寄与しない。
【0007】
特許文献4には、凹部内に半導体チップを配置し、半導体チップの側面と凹部の壁面との間に伝熱性物質を充填した半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−47810号公報
【特許文献2】特開平5−29529号公報
【特許文献3】特開2001−36145号公報
【特許文献4】実開平5−73964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来の半導体装置には、以下のような問題がある。半導体チップの底面及び側面と、凹部の底面及び壁面との間に充填する伝熱性物質には、フィラーを混合したペースト状のダイボンド材又はフィルム状のダイボンド材等を使用する必要がある。これらのダイボンド材の熱伝導率は、0.2W/m・K〜数W/m・K程度でしかない。これは半導体チップの基板であるシリコン(約148W/m・K)及びダイパッドである銅合金(約200W/m・K〜360W/m・K)と比べて、桁違いに低い。また、金属はんだ(数十W/m・K)と比べても非常に低い。さらに、伝熱性物質を半導体チップと凹部との間に均一に充填するためには、半導体チップと凹部との間に十分な隙間を確保しなければならない。このため、半導体チップからダイパッドへの十分な熱の伝達ができないという問題がある。
【0010】
本発明は、前記の問題を解決し、半導体チップからダイパッドへ効率良く放熱する半導体装置を実現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するため、本発明は半導体装置を、ダイパッドに形成された余剰のダイボンド材を流し込む部分を有する凹部にダイボンド材を介して半導体チップを接合する構成とする。
【0012】
本発明に係る半導体装置は、ダイパッドを含むリードフレームと、ダイパッドのチップ搭載領域にダイボンド材により接合された半導体チップとを備え、チップ搭載領域は、半導体チップに間隔をおいて外嵌する第1の部分と、第1の部分よりもその壁面と半導体チップの側面との間隔が大きい第2の部分とを含む凹部であり、半導体チップの側面と凹部の壁面との間にはダイボンド材が充填されている。
【0013】
本発明の半導体装置は、チップ搭載領域が、半導体チップに間隔をおいて外嵌する第1の部分と、第1の部分よりもその壁面と半導体チップの側面との間隔が大きい第2の部分とを含む凹部である。このため、半導体チップをチップ搭載部に接合する際に、余剰のダイボンド材は第2の部分に流れ込む。従って、第1の部分における半導体チップの側面と凹部の壁面との間隔を小さくしても、半導体チップの側面と凹部の壁面との間に均一にダイボンド材が充填された状態で接合される。その結果、半導体チップの側面からダイパッドへ効率良く熱を伝えることができ、放熱性に優れた半導体装置を実現することができる。
【0014】
本発明の半導体装置において、半導体チップは、平面方形状であり、第2の部分は、半導体チップの角部と対応する部分に形成されていてもよい。
【0015】
本発明の半導体装置において、凹部は、半導体チップの厚さの2分の1以上且つ半導体チップの厚さ未満の深さとすればよい。
【0016】
本発明の半導体装置において、第1の部分における半導体チップの側面と凹部の壁面との間隔は、5μm以上且つ200μm以下とすればよい。
【0017】
本発明の半導体装置において、半導体チップは、平面方形状であり、半導体チップの厚さは、長辺の長さの20分の1以上とすればよい。
【0018】
本発明の半導体装置において、ダイパッドにおける凹部が形成された部分の厚さは、ダイパッドの他の部分における厚さと等しくてもよい。
【0019】
本発明の半導体装置において、凹部は、半切断プレス加工により形成してもよい。
【0020】
本発明の半導体装置において、ダイパッドは、その上面が凹部の側から外縁部に向かって次第に低くなるように傾斜していてもよい。
【0021】
本発明の半導体装置において、ダイパッドは、底板と底板の上に接合された枠体とを有していてもよい。
【0022】
本発明の半導体装置において、枠体は、その高さが凹部の側から外縁部に向かって次第に低くなるように傾斜していてもよい。
【0023】
本発明の半導体装置は、半導体チップ及びリードフレームを封止する絶縁モールドをさらに備え、リードフレームは、絶縁モールドの外側に突出した複数のリードを有していてもよい。
【0024】
本発明の半導体装置において、複数のリードの1つは、ダイパッドと一体であってもよい。
【0025】
本発明の半導体装置において、半導体チップはチップ端子を有し、チップ端子とリードとはバンプにより接続されていてもよい。
【0026】
本発明の半導体装置において、ダイパッドは、実装基板に実装された際に、半導体チップを搭載した面と反対側の面が実装基板側となるように、リードと接続されていてもよい。
【0027】
本発明の半導体装置において、ダイパッドは、実装基板に実装された際に、半導体チップを搭載した面が実装基板側となるように、リードと接続されていてもよい。
【0028】
本発明の半導体装置において、ダイパッドは、半導体チップを搭載した面と反対側の面が絶縁モールドから露出していてもよい。
【0029】
本発明の半導体装置において、リードは、絶縁モールドに覆われたインナーリード部と、絶縁モールドから突出したアウターモールド部とを有し、インナーリード部の厚さは、アウターリード部側の部分よりも、半導体チップ側の部分において薄くてもよい。
【0030】
本発明の半導体装置において、インナーリード部の厚さは、アウターリード部側から半導体チップ側に向かって連続的に薄くなっていてもよい。
【0031】
本発明の半導体装置において、半導体チップは、発光ダイオードであってもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る半導体装置によれば、半導体チップからダイパッドへ効率良く放熱する半導体装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】(a)及び(b)は一実施形態に係る半導体装置を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のIb−Ib線における断面図である。
【図2】一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す平面図である。
【図3】一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す平面図である。
【図4】一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す断面図である。
【図5】一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す断面図である。
【図6】一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す断面図である。
【図7】一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す断面図である。
【図8】一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す断面図である。
【図9】一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す断面図である。
【図10】一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す断面図である。
【図11】一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す断面図である。
【図12】一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す断面図である。
【図13】一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す断面図である。
【図14】一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す断面図である。
【図15】一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す断面図である。
【図16】一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す断面図である。
【図17】一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1(a)及び(b)に示すように、一実施形態に係る半導体装置は、QFP(Quad Flat Package)タイプの半導体装置であり、半導体チップ101が、リードフレーム102に搭載されている。リードフレーム102は、半導体チップ101を搭載するダイパッド121と、半導体チップ101のチップ端子111とワイヤ131により接続されたリード122とを有している。半導体チップ101及びリードフレーム102は、樹脂からなる絶縁モールド133により封止されている。但し、図1(a)においては、ワイヤ131及び絶縁モールド133の図示を省略している。リード122は、絶縁モールド133に覆われたインナーリード部122Aと、絶縁モールド133の外側に突出したアウターリード部122Bとを有している。半導体チップ101は、ダイパッド121のチップ搭載領域にダイボンド材132により接合されている。チップ搭載領域は、ダイパッド121に形成された凹部124である。凹部124は、半導体チップ101に間隔をおいて外嵌した第1の部分124aと、半導体チップ101の角部と対応する部分に設けられた第2の部分124bとを含む。第2の部分124bは、半導体チップ101の側面と凹部の壁面との間隔が第1の部分124aよりも大きい。
【0035】
本実施形態においては、凹部124の深さは、半導体チップ101の高さとほぼ等しく、半導体チップ101は底面だけでなく、側面の大部分もダイボンド材132によりダイパッド121と接合されている。このため、半導体チップ101とダイパッド121との接触面積Aは、A=L×B+(L+B)×H×2となる。但し、Lは半導体チップ101の縦方向の長さであり、Bは半導体チップ101の横方向の長さであり、Hは半導体チップ101の厚さである。このように、底面だけがダイパッド121と接合されている場合よりも、(L+B)×Hだけ接触面積が大きくなる。熱抵抗θは、θ=t/(λ・A) (但し、λはダイボンド材の熱伝導率であり、tはダイボンド材の厚さである。)であるため、半導体チップ101を凹部に収容して接触面積Aを大きくすることにより、熱抵抗θを低減できる。
【0036】
熱抵抗θを小さくするためには、接触面積Aを大きくするだけでなく、ダイボンド材の厚さtをできるだけ薄くすることが好ましい。半導体チップを凹部に搭載する場合、凹部のサイズを半導体チップの外形と正確に同じにできれば、半導体チップの側面と凹部の壁面とが直接接するため最も熱抵抗を小さくできる。しかし、実際にはこのような加工は不可能である。このため、予め凹部にダイボンド材を薄く塗布し、半導体チップの側面と凹部の壁面との間にダイボンド材が均一に充填されるようにする必要がある。しかし、ダイボンド材は一般にフィラーを含み粘度が大きいため、塗布する厚さを薄くすることには限界がある。また、半導体チップの側面と凹部の壁面との間隔を小さくするためには、ダイボンド材を塗布する厚さを正確に制御する必要がある。例えば、ダイボンド材が不足すればボイドが発生する。一方、過剰になればダイボンド材があふれ出し、半導体チップの素子形成面に回り込んでしまう。このため、半導体チップの側面と凹部の壁面との間隔を小さくすることは困難である。
【0037】
一方、本実施形態の半導体装置は、凹部124が半導体チップ101に間隔をおいて外嵌した第1の部分124aと、半導体チップ101の角部と対応する部分に設けられた第2の部分124bとを含む。このため、第1の部分124aにおける余剰のダイボンド材は、第2の部分124bに流れ込む。このため、第1の部分124aにおいて半導体チップ101の側面と凹部124の壁面との間隔を非常に小さくすることができる。例えば、第1の部分124aにおける半導体チップ101の側面と凹部124の壁面との間隔は、5μm〜200μm程度とすることができる。このため、ダイボンド材132の厚さtを薄くすることができ、熱抵抗をさらに低減できる。
【0038】
本実施形態においては、凹部124の深さを半導体チップ101の厚さとほぼ等しくしている。このようにすれば、半導体チップ101を凹部124に収容した際に半導体チップ101側面のほぼ全面がダイパッド121と接合されることになり、接触面積を最大とすることができる。しかし、必ずしも凹部124の深さを半導体チップ101の厚さと等しくする必要はなく、半導体チップ101の厚さの1/10以上あれば、接触面積の増大による熱抵抗の低減効果が得られ、より効果的に熱抵抗を低減するためには1/2以上とすることが好ましい。但し、凹部124の深さが半導体チップ101の厚さよりも大きくなると、半導体チップ101の素子形成面にダイボンド材132が回り込むおそれがある。このため、凹部124の深さは半導体チップ101の厚さよりも小さいことが好ましい。半導体チップ101の下面と凹部124の底面との間にもダイボンド材132が存在するため、凹部124の深さは厳密には半導体チップ101の厚さと半導体チップ101の下側に存在するダイボンド材132の厚さとの和に基づいて設計する必要がある。しかし、半導体チップ101の下側に存在するダイボンド材132の厚さは、半導体チップ101の厚さよりも薄く、通常は無視してかまわない。
【0039】
半導体チップ101の形状は特に問わないが、あまりにも極端に厚さが薄い場合には、側面からの放熱が小さくなる。半導体チップ101が平面方形状の場合には、半導体チップの厚さが、長辺の長さの1/20以上である場合には、チップ搭載部を凹部とする効果が特に大きくなる。但し、半導体チップの厚さは、基板の厚さによってほぼ決まるため、最大でも0.5mm〜0.8mm程度となる。
【0040】
本実施形態においては、第2の部分124bを平面三角形状としているが、余剰のダイボンド材132を吸収できればよく、どの様な平面形状であってもよい。例えば、図2に示すように平面方形状としてもよく、図3に示すように平面円形状としてもよい。本実施形態においては、半導体チップ101が平面方形状であり、その4つの角部に対応して第2の部分124bを4個所設けているが、全ての角部の設ける必要はなく、少なくとも1つの角部に設けられていればよい。また、角部以外の部分に設けられていてもよい。但し、全ての角部又は対称の角部若しくは辺部に余剰のダイボンド材132を吸収する部分を設けることによりダイボンド材132の流れを対称にし、半導体チップ101と凹部124との間に均一にダイボンド材132を充填することが容易となる。このため、半導体チップ101から周囲への不均一な熱伝導をおさえることができる。半導体チップ101は平面方形状である必要はなく、平面三角形状、平面6角形状又は平面8角形状等の平面多角形状や平面円形状等であって問題はない。
【0041】
図1〜3においては、ダイパッド121の凹部124を囲む部分の上面が平坦に形成されている例を示したが、図4に示すように凹部124を囲む部分は、その高さが外縁部に向かって次第に低くなるように傾斜していてもよい。このようにすれば、ワイヤ131がダイパッド121と接触する危険性を小さくすることができる。
【0042】
図1〜3においては、ダイパッド121の半導体チップ101を搭載する面と反対側の面(裏面)が絶縁モールド133に覆われている構成を示したが、図5に示すようにダイパッド121の裏面が絶縁モールド133から露出している構成としてもよい。このような構成とすれば、ダイパッド121の裏面にヒートシンク又は冷却器等を直接接触させることができ、放熱性をさらに向上させることができる。
【0043】
凹部124は、どのようにして形成してもよい。例えば、銅合金等の金属板を切削又はエッチングすることにより形成すればよい。また、半切断プレス加工等により形成してもよい。この場合には、図6に示すようにダイパッド121の裏面に凹部124に対応して凸部が形成される。このため、ダイパッド121の厚さは、凹部124と他の部分とにおいてほぼ等しくなる。プレスの精度等にもよるが、凹部124における厚さd1と他の部分における厚さd2との差は±10%以下とすることができる。また、ダイパッド121の裏面に凸部が形成されているため、ダイパッド121の裏面を絶縁モールド133から露出させることが容易となるという利点も得られる。
【0044】
また、図7に示すように底板121Aと枠体121Bとを接合することにより、凹部124を形成してもよい。このようにすれば、インナーリード部122Aの端部と、ダイパッド121の端部と平面視において重ねることができ、半導体装置のサイズを大きくすることなく、ダイパッド121のサイズを大きくすることが容易にできるという利点も得られる。また、図7に示すように、半導体チップ101側から反対側に向かって枠体121Bの高さが次第に低くなるようにすることが容易であり、このようにすればワイヤ131とダイパッド121とが接触する危険性を小さくすることができる。なお、底板121Aの裏面は絶縁モールド133に覆われていなくてもよい。
【0045】
図1〜7において、半導体チップ101のチップ端子111とインナーリード部122Aとをワイヤ131により接続する例を示したが、図8に示すようにバンプ134により接続してもよい。バンプ134は、高さを100μm以下とすればよい。このようにすれば、リード122と半導体チップ101との間隔を小さくでき、半導体チップ101において発生した熱をリード122へ効率良く伝達し、放熱することができる。
【0046】
図8は、半導体装置をプリント基板等の実装基板151等に実装した際に、ダイパッド121の裏面が実装基板151側となるようにした例を示しているが、図9に示すようにダイパッド121の裏面が実装基板151と反対側となるようにしてもよい。図8及び図9においても、ダイパッド121の裏面は絶縁モールド133に覆われていなくてもよい。
【0047】
図8及び図9においては、インナーリード部122Aの厚さを一定とした例を示したが、図10及び図11に示すように半導体チップ101側においてアウターリード部122B側よりも厚さを薄くしてもよい。このようにすることにより、リード122のピッチを狭くすることができ、ピン数が多い場合にも半導体装置を小さくできる。
【0048】
図10及び図11においては、インナーリード部122Aの厚さを連続的に変化させた例を示したが、図12及び図13に示すように、段差を設けるようにしてもよい。段差を設ける場合には、図14及び図15に示すようにしてもよい。
【0049】
図16に示すように、半導体チップ101を発光ダイオード(LED)又はレーザダイオード等の発光素子としてもよい。この場合には絶縁モールド133の一部を、透明樹脂等からなる透明窓136とすればよい。LEDの場合にはチップの底面積が小さい場合が多く、側面からも放熱できるようにすることの効果が大きい。発光素子に代えて、可視光若しくは赤外光等の受光素子又はイメージセンサ等とすることも可能である。
【0050】
また、図17に示すようにリード122の1つをダイパッド121と一体としてもよい。このようにすれば、ダイパッド121のトータルの面積が大きくなるため、放熱効果をさらに向上させることができる。また、半導体チップ101の裏面に電極を設け、ダイボンド材132を導電性とすれば、ダイパッド121と一体となったリード122とチップ端子111とをワイヤ131により接続しなくてもよい。QFPの場合にも、リード122の少なくとも1つをダイパッド121と一体としてもよい。
【0051】
本実施形態において、ダイパッド121及びリード122は銅又は銅を含む合金等とすればよい。チップ端子111とリード122とを接続するワイヤは例えばアルミニウム線とすればよい。バンプ134は、金ワイヤバンプ又ははんだバンプ等とすればよい。絶縁モールド133は、絶縁性の樹脂又はセラミックス等とすればよい。
【0052】
ダイボンド材は、熱伝導率λが1W/m・K〜50W/m・K程度ある材料を用いることが好ましい。可能であればさらに熱伝導率が高い材料であってもよい。また、厚さが薄いことが好ましく、ダイボンド材の材質により異なるが1μm〜40μm程度とすることが好ましい。種々の材質のダイボンド材を用いることができるが、熱ストレスの観点から、銀に代表される金属等のフィラーを樹脂へ配合したペースト又はグリスが好ましい。樹脂は熱伝導率が高いものが好ましく、エポキシ及びアクリル等を用いることができる。この場合、樹脂骨格の熱伝導率を0.2W/m・K〜0.5W/m・Kとすることができ、さらに樹脂骨格を改良することにより樹脂骨格の熱伝導率を1W/m・K程度まで高めることができる。このような、樹脂に金属等のフィラーを加えたダイボンド材の場合、ほとんどの熱伝導をフィラーにて担うことができる。フィラーは金属だけでなく、カーボンナノチューブ等の炭素フィラーとしてもよい。金属又は炭素フィラーを配合したダイボンド材を用いることによりλを1W/m・K〜20W/m・K程度とすることができる。金属フィラーを配合したペースト等を用いることによりコストも低減できる。接合部の厚さを薄くするためには配合するフィラーの径をできるだけ小さくすることが好ましい。はんだ等の溶融金属からなるダイボンド材を用いた場合には接合工程のコストがかかるが、λを50W/m・K程度とすることができ、熱伝導をより向上できる。溶融金属の場合、金属側の濡れ性を向上させることにより接合部の厚さをより薄くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る半導体装置は、半導体チップからダイパッドへ効率良く放熱する半導体装置を実現でき、特に発熱量が大きい半導体装置等として有用である。
【符号の説明】
【0054】
101 半導体チップ
102 リードフレーム
111 チップ端子
121 ダイパッド
121A 底板
121B 枠体
122 リード
122A インナーリード部
122B アウターリード部
124 凹部
124a 第1の部分
124b 第2の部分
131 ワイヤ
132 ダイボンド材
133 絶縁モールド
134 バンプ
136 透明窓
151 実装基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイパッドを含むリードフレームと、
前記ダイパッドのチップ搭載領域にダイボンド材により接合された半導体チップとを備え、
前記チップ搭載領域は、前記半導体チップに間隔をおいて外嵌する第1の部分と、前記第1の部分よりもその壁面と前記半導体チップの側面との間隔が大きい第2の部分とを含む凹部であり、
前記半導体チップの側面と前記凹部の壁面との間には前記ダイボンド材が充填されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記半導体チップは、平面方形状であり、
前記第2の部分は、前記半導体チップの角部と対応する部分に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記凹部は、前記半導体チップの厚さの10分の1以上且つ前記半導体チップの厚さ未満の深さであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の部分における前記半導体チップの側面と前記凹部の壁面との間隔は、5μm以上且つ200μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体チップは、平面方形状であり、
前記半導体チップの厚さは、長辺の長さの20分の1以上であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ダイパッドにおける前記凹部が形成された部分の厚さは、前記ダイパッドにおける他の部分の厚さと等しいことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記凹部は、半切断プレス加工により形成されていることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ダイパッドは、その上面が前記凹部の側から外縁部に向かって次第に低くなるように傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ダイパッドは、底板と、前記底板の上に接合された枠体とを有していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記枠体は、その高さが前記凹部の側から外縁部に向かって次第に低くなるように傾斜していることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体チップ及びリードフレームを封止する絶縁モールドをさらに備え、
前記リードフレームは、前記絶縁モールドの外側に突出した複数のリードを有していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記複数のリードの1つは、前記ダイパッドと一体であることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記半導体チップはチップ端子を有し、
前記チップ端子と前記リードとはバンプにより接続されていることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記ダイパッドは、実装基板に実装された際に、前記半導体チップを搭載した面と反対側の面が前記実装基板側となるように、前記リードと接続されていることを特徴とする請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記ダイパッドは、実装基板に実装された際に、前記半導体チップを搭載した面が前記実装基板側となるように、前記リードと接続されていることを特徴とする請求項13に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記ダイパッドは、前記半導体チップを搭載した面と反対側の面が前記絶縁モールドから露出していることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記リードは、前記絶縁モールドに覆われたインナーリード部と、前記絶縁モールドから突出したアウターモールド部とを有し、
前記インナーリード部の厚さは、前記アウターリード部側の部分よりも、前記半導体チップ側の部分において薄いことを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記インナーリード部の厚さは、前記アウターリード部側から前記半導体チップ側に向かって連続的に薄くなっていることを特徴とする請求項17に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記半導体チップは、発光ダイオードであることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−109328(P2012−109328A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255522(P2010−255522)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】