説明

地点登録システム及び地点登録方法

【課題】特別地点を精度良く登録することができるようにする。
【解決手段】現在地検出部と、特別地点で車両が停止していたかどうかを表す停止指標に基づいて、特別地点候補を収集する条件が成立したかどうかを判定する収集条件成立判定処理手段と、条件が成立した時点における現在地を読み込み、現在地によって表される地点を特別地点候補とし、かつ、互いに近接しているもの同士をグループに分けて記録部に記録する特別地点候補記録処理手段と、各グループごとに各特別地点候補を候補リストとして表示部35に表示する特別地点候補表示処理手段とを有する。互いに近接している特別地点候補同士を、グループごとに候補リストとして表示するようになっているので、特別地点を精度良く認識することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地点登録システム及び地点登録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置においては、GPS(グローバルポジショニングシステム)によって車両の現在の位置、すなわち、現在地が検出されるとともに、ジャイロセンサによって検出された車両の旋回角に基づいて、車両の方位、すなわち、自車方位が検出され、データ記録部から地図データが読み出され、表示部に地図画面が形成され、該地図画面に、現在地を表す自車位置、自車位置の周辺の地図及び自車方位が表示されるようになっている。したがって、操作者である運転者は、前記地図画面に表示された自車位置、自車位置の周辺の地図及び自車方位に従って車両を走行させることができる。
【0003】
また、運転者が目的地を入力し、探索条件を設定すると、該探索条件に基づいて、経路探索処理が行われ、前記地図データに従って現在地で表される出発地から目的地までの経路が探索される。そして、探索された経路、すなわち、探索経路は前記地図画面に自車位置と共に表示され、探索経路の案内、すなわち、経路案内が行われる。したがって、運転者は表示された探索経路に沿って車両を走行させることができる。
【0004】
ところで、前記ナビゲーション装置においては、利用率が高い特別の地点、すなわち、特別地点として自宅を登録しておき、所定の地点を出発地とし、自宅を目的地とする経路を探索することができるようになっている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【特許文献1】特開平8−210866号公報
【特許文献2】特開2002−62156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のナビゲーション装置においては、主として停止時間を登録する際の条件としているので、自宅以外の地点で長時間停止すると、その地点が自宅として登録されてしまう。そこで、繰り返し停止した地点を自宅として認識することが考えられるが、一般に、ナビゲーション装置によって現在地を検出する際に、数メートル〜数十メートルの検出誤差が生じる可能性がある。したがって、実際は同じ地点で停止していたにもかかわらず、異なる地点で停止していたと判断されることがあり、自宅を精度良く認識することができず、自宅を精度良く登録することができない。
【0006】
本発明は、前記従来のナビゲーション装置の問題点を解決して、特別地点を精度良く登録することができる地点登録システム及び地点登録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明の地点登録システムにおいては、現在地を検出する現在地検出部と、特別地点で車両が停止していたかどうかを表す停止指標を読み込み、該停止指標に基づいて、特別地点候補を収集する条件が成立したかどうかを判定する収集条件成立判定処理手段と、特別地点候補を収集する条件が成立した時点における現在地を読み込み、該現在地によって表される地点を特別地点候補とし、かつ、互いに近接しているもの同士をグループに分けて記録部に記録する特別地点候補記録処理手段と、各グループごとに各特別地点候補を候補リストとして表示部に表示する特別地点候補表示処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、現在地によって表される地点を特別地点候補とし、かつ、互いに近接しているもの同士をグループに分けて記録部に記録し、各グループごとに各特別地点候補を候補リストとして表示部に表示するようになっているので、現在地を検出する際に検出誤差が生じても、特別地点を精度良く認識することができ、特別地点を精度良く登録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示す図である。
【0011】
図において、10はパワートレイン制御部としての自動変速機制御部であり、該自動変速機制御部10は、所定の変速比で変速を行うパワートレイン、例えば、自動変速機としての無段変速機(CVT)、有段変速機(オートマチックトランスミッション)、電動駆動装置等の制御を行う。
【0012】
そして、14は情報端末、例えば、車両に搭載された車載装置としてのナビゲーション装置、63はネットワーク、51は情報提供者としての情報センタであり、前記自動変速機制御部10、ナビゲーション装置14、ネットワーク63、情報センタ51等によってナビゲーションシステムが構成される。
【0013】
前記ナビゲーション装置14は、現在地を検出する現在地検出部としてのGPSセンサ15、地図データのほかに各種の情報が記録された情報記録部としてのデータ記録部16、入力された情報に基づいて、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部17、自車方位を検出する方位検出部としての方位センサ18、操作者である運転者が操作することによって所定の入力を行うための第1の入力部としての操作部34、図示されない画面に表示された画像によって各種の表示を行い、運転者に通知するための第1の出力部としての表示部35、音声によって所定の入力を行うための第2の入力部としての音声入力部36、音声によって各種の表示を行い、運転者に通知するための第2の出力部としての音声出力部37、及び通信端末として機能する送受信部としての通信部38を備え、前記ナビゲーション処理部17に、GPSセンサ15、データ記録部16、方位センサ18、操作部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38が接続される。
【0014】
また、前記ナビゲーション処理部17には、前記自動変速機制御部10、運転者による図示されないアクセルペダルの操作をアクセル開度で検出するエンジン負荷検出部としてのアクセルセンサ42、運転者による図示されないブレーキペダルの操作をブレーキ踏込量で検出する制動検出部としてのブレーキセンサ43、車速を検出する車速検出部としての車速センサ44等が接続される。なお、アクセルセンサ42、ブレーキセンサ43等は運転者による車両の操作情報を検出するための操作情報検出部を構成する。
【0015】
前記GPSセンサ15は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することによって地球上における現在地を検出し、併せて時刻を検出する。本実施の形態においては、現在地検出部としてGPSセンサ15が使用されるようになっているが、該GPSセンサ15に代えて距離センサ、ステアリングセンサ、高度計等を単独で、又は組み合わせて使用することもできる。また、前記方位センサ18としてジャイロセンサ、地磁気センサ等を使用することができる。
【0016】
前記データ記録部16は、地図データファイルから成る地図データベースを備え、該地図データベースに地図データが記録される。該地図データには、交差点に関する交差点データ、ノードに関するノードデータ、道路リンクに関する道路データ、探索用に加工された探索データ、施設に関する施設データ等が含まれる。前記データ記録部16には、所定の情報を音声出力部37によって出力するためのデータも記録される。
【0017】
さらに、前記データ記録部16には、統計データファイルから成る統計データベース、走行履歴データファイルから成る走行履歴データベース等が形成され、前記統計データベースに統計データが、前記走行履歴データベースに走行履歴データが、いずれも実績データとして記録される。
【0018】
前記統計データは、過去に提供された交通情報の実績、すなわち、履歴を表す履歴情報であり、情報提供者としてのVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の図示されない道路交通情報センタ等によって過去に提供された交通情報、国土交通省によって提供された道路交通センサスによる交通量を表すデータである道路交通センサス情報、国土交通省によって提供された道路時刻表情報等を単独で、又は組み合わせて使用し、必要に応じて、加工し、統計処理を施すことによって作成される。なお、前記統計データに、渋滞状況を予測する渋滞予測情報等を加えることもできる。その場合、前記統計データを作成するに当たり、履歴情報に、日時、曜日、天候、各種イベント、季節、施設の情報(デパート、スーパーマーケット等の大型の施設の有無)等の詳細な条件が加えられる。
【0019】
前記統計データのデータ項目には、各道路リンクについてのリンク番号、走行方向を表す方向フラグ、情報の種類を表す情報種別、所定のタイミングごとの渋滞度、前記各道路リンクを走行したときの、所定のタイミングごとの所要時間を表すリンク所要時間、該リンク所要時間の各曜日ごとの平均的なデータ(例えば、曜日平均データ)等から成る。
【0020】
また、走行履歴データは、情報センタ51によって複数の車両、すなわち、自車又は他車から収集され、各車両が走行した道路における車両の走行の実績、すなわち、走行実績を表す実績情報であり、走行データに基づいてプローブデータとして算出され、蓄積される。
【0021】
前記走行履歴データのデータ項目は、各道路リンクを走行したときの、所定のタイミングごとのリンク所要時間、各道路リンクを走行したときの、所定のタイミングごとの渋滞度等から成る。なお、前記統計データに、走行履歴データを加えることができる。また、本実施の形態において、渋滞度は、渋滞の度合いを表す渋滞指標として使用され、渋滞、混雑及び非渋滞の別で表される。
【0022】
前記データ記録部16は、前記各種のデータを記録するために、ハードディスク、CD、DVD、光ディスク等の図示されないディスクを備えるほかに、各種のデータを読み出したり、書き込んだりするための読出・書込ヘッド等の図示されないヘッドを備える。前記データ記録部16にメモリカード等を使用することができる。
【0023】
本実施の形態においては、前記データ記録部16に、前記地図データベース、統計データベース、走行履歴データベース等が配設されるようになっているが、情報センタ51において、前記地図データベース、統計データベース、走行履歴データベース等を配設することもできる。
【0024】
また、前記ナビゲーション処理部17は、ナビゲーション装置14の全体の制御を行う制御装置としての、かつ、演算装置としてのCPU31、該CPU31が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM32、制御用のプログラムのほか、目的地までの経路の探索、経路案内等を行うための各種のプログラムが記録されたROM33、各種のデータ、プログラム等を記録するために使用される図示されないフラッシュメモリを備える。
【0025】
本実施の形態においては、前記ROM33に各種のプログラムを記録し、前記データ記録部16に各種のデータを記録することができるが、プログラム、データ等をディスク等に記録することもできる。この場合、ディスク等から前記プログラム、データ等を読み出してフラッシュメモリに書き込むことができる。したがって、ディスク等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。また、前記自動変速機制御部10の制御用のプログラム、データ等も前記ディスク等に記録することができる。さらに、通信部38を介して前記プログラム、データ等を受信し、ナビゲーション処理部17のフラッシュメモリに書き込むこともできる。
【0026】
前記操作部34は、運転者が操作することによって、走行開始時の現在地を修正したり、出発地及び目的地を入力したり、通過点を入力したり、通信部38を作動させたりするためのものであり、前記操作部34として、表示部35とは独立に配設されたキーボード、マウス等を使用することができる。また、前記操作部34として、前記表示部35に形成された画面に画像で表示された各種のキー、スイッチ、ボタン等の画像操作部をタッチ又はクリックすることによって、所定の入力操作を行うことができるようにしたタッチパネルを使用することができる。
【0027】
前記表示部35としてディスプレイが使用され、表示部35に形成された各種の画面に、車両の現在地を自車位置として、車両の方位を自車方位として表示したり、地図、探索経路、該探索経路に沿った案内情報、交通情報等を表示したり、探索経路における次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向を表示したりすることができるだけでなく、前記画像操作部、操作部34、音声入力部36等の操作案内、操作メニュー、キーの案内を表示したり、FM多重放送の番組等を表示したりすることができる。
【0028】
また、音声入力部36は、図示されないマイクロホン等によって構成され、音声によって必要な情報を入力することができる。さらに、音声出力部37は、図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、音声出力部37から、前記探索経路、案内情報、交通情報等が、例えば、音声合成装置によって合成された音声で出力される。
【0029】
前記通信部38は、前記道路交通情報センタから送信された現況の交通情報、一般情報等の各種の情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信するためのビーコンレシーバ、FM放送局を介してFM多重放送として受信するためのFM受信機等を備える。なお、前記交通情報には、渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況情報等が含まれ、一般情報には、ニュース、天気予報等が含まれる。また、前記ビーコンレシーバ及びFM受信機は、ユニット化されてVICSレシーバとして配設されるようになっているが、別々に配設することもできる。
【0030】
前記交通情報は、情報の種別を表す情報種別、メッシュを特定するためのメッシュ番号、二つの地点(例えば、交差点)間を連結する道路リンクを特定し、かつ、上り/下りの別を表すリンク番号、該リンク番号に対応させて提供される情報の内容を表すリンク情報を含み、例えば、交通情報が渋滞情報である場合、前記リンク情報は、前記道路リンクの始点から渋滞の先頭までの距離を表す渋滞先頭データ、渋滞度、渋滞区間を前記渋滞の先頭から渋滞の末尾までの距離を表す渋滞長、道路リンクを走行するのに必要な時間を表すリンク所要時間等から成る。
【0031】
そして、通信部38は、前記情報センタ51から、前記地図データ、統計データ、走行履歴データ等のデータのほか、交通情報、一般情報等の各種の情報をネットワーク63を介して受信することができる。
【0032】
そのために、前記情報センタ51は、サーバ53、該サーバ53に接続された通信部57及び情報記録部としてのデータベース(DB)58等を備え、前記サーバ53は、制御装置としての、かつ、演算装置としてのCPU54、RAM55、ROM56等を備える。また、前記データベース58に、前記データ記録部16に記録された各種のデータと同様のデータ、例えば、前記地図データ、統計データ、走行履歴データ等が記録される。さらに、情報センタ51は、前記道路交通情報センタから送信された現況の交通情報、一般情報等の各種の情報、及び自車又は他車から収集した走行履歴データをリアルタイムに提供することができる。
【0033】
なお、前記ナビゲーションシステム、ナビゲーション処理部17、CPU31、54、サーバ53等は、単独で又は二つ以上組み合わせることによってコンピュータとして機能し、各種のプログラム、データ等に基づいて演算処理を行う。また、データ記録部16、RAM32、55、ROM33、56、データベース58、フラッシュメモリ等によって記録媒体が構成される。そして、演算装置として、CPU31、54に代えてMPU等を使用することもできる。
【0034】
次に、前記構成のナビゲーションシステムの基本動作について説明する。
【0035】
まず、運転者が起動用スイッチとしての図示されないアクセサリスイッチを操作してオンにすると、ナビゲーション装置14が起動され、CPU31の図示されないナビ初期化処理手段は、ナビ初期化処理を行い、GPSセンサ15によって検出された自車の現在地、方位センサ18によって検出された自車方位を読み込むとともに、各種のデータを初期化する。次に、前記CPU31の図示されないマッチング処理手段は、マッチング処理を行い、読み込まれた現在地の軌跡、及び現在地の周辺の道路を構成する各道路リンクの形状、配列等に基づいて、現在地がいずれの道路リンク上に位置するかの判定を行うことによって、現在地を特定する。
【0036】
続いて、CPU31の図示されない基本情報取得処理手段は、基本情報取得処理を行い、前記地図データを、データ記録部16から読み出して取得するか、又は通信部38を介して情報センタ51等から受信して取得する。なお、地図データを情報センタ51等から取得する場合、前記基本情報取得処理手段は、受信した地図データをフラッシュメモリに書き込む。
【0037】
そして、前記CPU31の図示されない表示処理手段は、表示処理を行い、前記表示部35に各種の画面を形成する。例えば、表示処理手段の地図表示処理手段は、地図表示処理を行い、表示部35に地図画面を形成し、該地図画面に周辺の地図を表示するとともに、現在地を自車位置として、車両の方位を自車方位として表示する。
【0038】
したがって、運転者は、前記地図、自車位置及び自車方位に従って車両を走行させることができる。
【0039】
また、運転者が操作部34を操作して目的地を入力すると、CPU31の図示されない目的地設定処理手段は、目的地設定処理を行い、目的地を設定する。なお、必要に応じて出発地を入力し、設定することもできる。また、あらかじめ所定の地点を登録地点として登録しておき、該登録地点を目的地として設定することができる。続いて、運転者が操作部34を操作して探索条件を入力すると、CPU31の図示されない探索条件設定処理手段は、探索条件設定処理を行い、探索条件を設定する。
【0040】
このようにして、目的地及び探索条件が設定されると、CPU31の図示されない経路探索処理手段は、経路探索処理を行い、前記現在地、目的地、探索条件等を読み込むとともに、データ記録部16から探索データ等を読み出し、現在地、目的地及び探索データに基づいて、現在地で表される出発地から目的地までの経路を前記探索条件で探索し、探索経路を表す経路データを出力する。このとき、各道路リンクごとに付与されたリンクコストの合計が最も小さい経路が探索経路とされる。
【0041】
続いて、前記CPU31の図示されない案内処理手段は、案内処理を行い、経路案内を行う。そのために、前記案内処理手段の経路表示処理手段は、経路表示処理を行い、前記経路データを読み込み、該経路データに従って前記地図画面に探索経路を表示する。また、必要に応じて、前記案内処理手段の音声出力処理手段は、音声出力処理を行い、音声出力部37から探索経路を音声で出力して経路案内を行う。
【0042】
なお、前記情報センタ51において経路探索処理を行うことができる。その場合、CPU31は現在地、目的地、探索条件等を情報センタ51に送信する。該情報センタ51は、現在地、目的地、探索条件等を受信すると、CPU54の図示されない経路探索処理手段は、CPU31と同様の経路探索処理を行い、データベース58から探索データ等を読み出し、現在地、目的地及び探索データに基づいて、出発地から目的地までの経路を前記探索条件で探索し、探索経路を表す経路データを出力する。続いて、CPU54の図示されない送信処理手段は、送信処理を行い、前記経路データをナビゲーション装置14に送信する。したがって、ナビゲーション装置14において、前記基本情報取得処理手段が情報センタ51からの経路データを受信すると、前記案内処理手段は、前述されたような経路案内を行う。
【0043】
そして、探索経路上に案内交差点が存在する場合、車両が案内交差点より所定の距離(例えば、X〔m〕)だけ手前の経路案内地点に到達すると、前記案内処理手段の交差点拡大図表示処理手段は、交差点拡大図表示処理を行い、地図画面の所定の領域に交差点拡大図を形成し、交差点拡大図による経路案内を行い、該交差点拡大図に、案内交差点の周辺の地図、探索経路、案内交差点において目印になる施設等の陸標等を表示し、レーン単位の経路探索が行われている場合には、レーン単位の経路案内を行い、走行レーン等を表示する。また、必要に応じて、前記音声出力処理手段は、音声出力部37から、例えば、「この先X〔m〕で左方向です。」のような音声を出力し、経路案内を行う。
【0044】
ところで、前記構成のナビゲーション装置14は、運転者が目的地等を設定する際の操作部34の操作を簡素化するために、所望の地点をあらかじめ登録しておき、登録された地点を読み出すことができるようにした地点登録機能を有する。
【0045】
該地点登録機能は、一つの地点を自宅として登録する自宅登録機能、複数の所望の地点をメモリ地点として登録するメモリ地点登録機能等を備える。
【0046】
前記自宅登録機能においては、目的地設定画面に形成された自宅ボタンを押下すると、あらかじめ登録された自宅が読み出され、目的地として設定される。また、メモリ地点登録機能においては、目的地設定画面に形成されたメモリ地点ボタンを押下すると、あらかじめ登録されたメモリ地点が読み出され、リスト表示される。したがって、操作者は、リスト表示されたメモリ地点のうちの所望のメモリ地点を選択し、選択ボタンを押下すると、選択されたメモリ地点が目的地として設定される。
【0047】
続いて、前記ナビゲーションシステムを地点登録システムとして利用した自宅登録機能について説明する。本実施の形態においては、利用頻度の高い特別地点として自宅を所定の操作により登録しておき、所定の地点、例えば、現在地を出発地とし、自宅を目的地とする経路を探索することができるようになっている。
【0048】
そのために、CPU31の図示されない特別地点登録処理手段は、特別地点登録処理を行い、地図画面が表示されているときに、運転者が操作部34を操作することによって自宅を登録することができる。
【0049】
図2は本発明の第1の実施の形態における地図画面の例を示す第1の図、図3は本発明の第1の実施の形態における地図画面の例を示す第2の図、図4は本発明の第1の実施の形態における地図画面の例を示す第3の図、図5は本発明の第1の実施の形態における登録手順案内画面の例を示す図、図6は本発明の第1の実施の形態における特別地点候補表示画面の例を示す図である。
【0050】
まず、前記地図表示処理手段は、表示部35(図1)に図2に示されるような地図画面を形成し、該地図画面に周辺の地図を表示するとともに、現在地Prを自車位置として、車両の方位を自車方位として表示する。また、前記地図表示処理手段は、地図画面に「自宅登録」のキーk1を表示する。
【0051】
運転者がキーk1を押すと、前記特別地点登録処理手段の登録手順案内処理手段は、登録手順案内処理を行い、前記地図画面に、図3に示されるようなポップアップによる案内領域AR1を形成し、該案内領域AR1に「自宅の登録方法を選択してください」のメッセージを表示するとともに、「現在地周辺から」のキーk2、「住所から」のキーk3及び「候補から」のキーk4を表示する。本実施の形態においては、現在地Prの周辺から自宅を登録する第1の登録方法、自宅の住所から自宅を登録する第2の登録方法、及びあらかじめ作成された自宅の候補、すなわち、自宅候補から自宅を登録する第3の登録方法がある。なお、自宅候補によって特別地点候補が構成される。
【0052】
そして、運転者が第1の登録方法を選択してキーk2を押すと、前記登録手順案内処理手段は、地図画面に、図4に示されるような登録用画像M1を表示する。該登録用画像M1は、自宅の位置を表示するためのマークm1、及び該マークm1の周辺において、径方向外方に向けて表示され、地図画面をスクロールし、自宅の位置を調整するための複数の矢印m2から成る。また、登録手順案内処理手段は、前記地図画面に、詳細な地図の表示を要求するための「詳細」のキーk5、広域の地図の表示を要求するための「広域」のキーk6、自宅の位置を決定するための「セット」のキーk7等を表示する。運転者が、必要に応じて前記矢印m2を操作することによって、自宅の位置を調整し、キーk7を押すと、前記特別地点登録処理手段の登録実行処理手段は、登録実行処理を行い、マークm1が表示された位置で自宅の登録を実行する。このようにして、自宅を登録することができる。
【0053】
また、運転者が第2の登録方法を選択してキーk3を押すと、前記登録手順案内処理手段は、図5に示されるような登録手順案内画面を形成し、該登録手順案内画面の領域AR2に住所の索引リストを、領域AR3に索引リストをスクロールして変更するスクロールボタン類を、領域AR4に索引リストを読み出すための導入ボタン類を表示するとともに、前の画面を形成するための「戻る」のキーk9を表示する。
【0054】
したがって、運転者は索引リスト、スクロールボタン類及び導入ボタン類を操作することによって、自宅の住所を入力し、決定すると、前記登録手順案内処理手段は、地図画面に図4に示されるような登録用画像M1を表示する。そして、その後、運転者が第1の登録方法と同様の操作を行うと、前記登録実行処理手段は、マークm1が表示された位置で自宅の登録を実行する。このようにして、自宅を登録することができる。
【0055】
また、運転者が第3の登録方法を選択してキーk4を押すと、前記登録手順案内処理手段の特別地点候補表示処理手段は、特別地点候補表示処理を行い、図6に示されるような特別地点候補表示画面を形成し、該特別地点候補表示画面の領域AR6に自宅候補を表す候補リストを、領域AR7に地図上に自宅候補を表す特別地点候補地図を表示するとともに、第3の登録方法から第2の登録方法に変更するための「住所から探す」のキーk11を表示する。さらに、前記登録手順案内処理手段は、前記領域AR7に特別地点候補地図に、自宅候補の位置を表すマークm3、自宅の登録を実行するための「登録」のキーk12、及び自宅候補の位置を修正するための「修正」のキーk13を表示する。
【0056】
したがって、運転者が、候補リストを操作して所定の候補を選択すると、候補に対応する特別地点候補地図が表示される。続いて、運転者が、必要に応じてキーk13を押して自宅候補の位置を修正し、キーk12を押すと、前記登録実行処理手段は、マークm3が表示された位置で自宅の登録を実行する。このようにして、自宅を登録することができる。
【0057】
ところで、第3の登録方法が選択されると、前述されたように、前記特別地点候補表示画面に候補リストが表示されるが、そのために、ナビゲーション装置14において自宅候補が収集され、収集された自宅候補に基づいて、候補リストが自動的に作成されるようになっている。なお、自宅候補によって特別地点候補が構成される。
【0058】
その場合、CPU31の図示されない特別地点候補収集処理手段は、特別地点候補収集処理を行い、自宅候補を収集する。
【0059】
次に、特別地点候補収集処理手段の動作について説明する。
【0060】
図7は本発明の第1の実施の形態における特別地点候補収集処理手段の動作を示すフローチャート、図8は本発明の第1の実施の形態における特別地点候補記録処理手段の動作を説明する図である。
【0061】
前記特別地点候補収集処理手段の停止時間算出処理手段は、停止時間算出処理を行い、運転者が前記アクセサリスイッチを操作してオンにすると、アクセサリスイッチがオフの状態で車両が停止していた時間、すなわち、停止時間を算出する。そのために、前記停止時間算出処理手段は、運転者によってアクセサリスイッチがオフにされると、図示されないタイマ(アクセサリスイッチがオフの状態でも計時を行うリアルタイプクロック)による計時を開始し、前記アクセサリスイッチがオンにされると、計時を終了し、計時を開始してから終了するまでの時間を計時データとして算出し、該計時データに基づいて停止時間を算出する。なお、この場合、停止時間は、自宅で車両が停止していたかどうかを表す停止指標を構成する。
【0062】
次に、前記特別地点候補収集処理手段の収集条件成立判断処理手段は、収集条件成立判断処理を行い、停止時間を読み込み、自宅候補を収集する条件、すなわち、収集条件が成立したかどうかを、停止時間が閾(しきい)値、本実施の形態においては、1時間以上であるかどうかによって判断する。前記収集条件が成立せず、停止時間が1時間より短い場合、前記特別地点候補収集処理手段の計時データ廃棄処理手段は、計時データ廃棄処理を行い、前記計時データを廃棄し、前記収集条件が成立し、停止時間が1時間以上である場合、前記特別地点候補収集処理手段の特別地点候補記録処理手段は、特別地点候補記録処理を行い、自宅候補を収集する条件が成立した時点、すなわち、アクセサリスイッチがオンにされたときの現在地を読み込み、該現在地によって表される地点、すなわち、停止地点を自宅候補とし、該自宅候補を前記RAM32(図1)に設定された記録部としての特別地点候補記録領域に記録点として記録する。
【0063】
ところで、前記特別地点候補記録領域においては、自宅候補が記録点として記録され、各記録点は、互いに近接するもの同士がグループに分けられ、各グループごとに識別子としてグループIDが付与され、座標及び停止時間とグループIDとが対応させて記録される。なお、該グループIDは、最新のグループほど大きい番号が付与される。
【0064】
そこで、前記特別地点候補記録処理手段は、前記自宅候補を記録するに当たり、前記特別地点候補記録領域を参照し、他に既存の記録点があるかどうかを判断し、既存の記録点がない場合、前記特別地点候補記録処理手段は、記録しようとする自宅候補に、新しいグループIDを付与し、自宅候補を特別地点候補記録領域に記録し、記録点とする。
【0065】
なお、自宅候補を記録するに当たり、座標、停止時間及びグループIDのほかに記録日時が、記録点データとして互いに対応させて記録される。
【0066】
また、既存の記録点がある場合、前記特別地点候補収集処理手段の記録点判定処理手段は、記録点判定処理を行い、前記座標に基づいて、自宅候補から所定の範囲、本実施の形態においては、自宅候補を中心とする半径が20〔m〕以下の設定範囲内に既存の記録点があるかどうかを判断し、設定範囲内に既存の記録点がない場合、前記特別地点候補記録処理手段は、記録しようとする自宅候補に、新しいグループIDを付与し、自宅候補を特別地点候補記録領域に記録する。
【0067】
一方、設定範囲内に既存の記録点がある場合、前記記録点判定処理手段は、既存の記録点の数が1であるかどうかを判断し、既存の記録点の数が1である場合、前記特別地点候補記録処理手段は、記録しようとする自宅候補に、前記既存の記録点と同じグループIDを付与し、自宅候補を特別地点候補記録領域に記録する。また、既存の記録点の数が2以上である場合、前記特別地点候補記録処理手段は、自宅候補に、最も近接する記録点と同じグループIDを付与し、自宅候補を特別地点候補記録領域に記録する。なお、自宅候補からの距離が等しく、かつ、異なるグループIDが付与された複数の記録点がある場合、前記特別地点候補記録処理手段は、自宅候補に、各記録点のグループIDのうちの最も番号の大きいグループIDを付与し、自宅候補を特別地点候補記録領域に記録する。
【0068】
例えば、図8において、最初に自宅候補p1を記録しようとする場合、特別地点候補記録領域において既存の記録点がないので、前記特別地点候補記録処理手段は、自宅候補p1にグループID−1を付与し、自宅候補p1を特別地点候補記録領域に記録する。
【0069】
次に、自宅候補p2を記録しようとする場合、特別地点候補記録領域において既存の記録点(自宅候補p1)があり、自宅候補p2を中心とする設定範囲sq1内に既存の記録点(自宅候補p1)があり、しかも、数が1であるので、前記特別地点候補記録処理手段は、自宅候補p2に前記既存の記録点(自宅候補p1)と同じグループID−1を付与し、自宅候補p2を特別地点候補記録領域に記録する。
【0070】
続いて、自宅候補p3を記録しようとする場合、特別地点候補記録領域において既存の記録点(自宅候補p1、p2)があり、自宅候補p3を中心とする設定範囲sq2内に既存の記録点(自宅候補p2)があり、しかも、数が1であるので、前記特別地点候補記録処理手段は、自宅候補p3に前記既存の記録点(自宅候補p2)と同じグループID−1を付与し、自宅候補p3を特別地点候補記録領域に記録する。
【0071】
そして、自宅候補p4を記録しようとする場合、特別地点候補記録領域において既存の記録点(自宅候補p1〜p3)があり、自宅候補p4を中心とする設定範囲sq3内に既存の記録点(自宅候補p2)があり、しかも、数が1であるので、前記特別地点候補記録処理手段は、自宅候補p4に前記既存の記録点(自宅候補p2)と同じグループID−1を付与し、自宅候補p4を特別地点候補記録領域に記録する。
【0072】
さらに、自宅候補p5を記録しようとする場合、特別地点候補記録領域において既存の記録点(自宅候補p1〜p4)があり、自宅候補p5を中心とする設定範囲sq4内に既存の記録点がないので、前記特別地点候補記録処理手段は、自宅候補p5に新しいグループID−2を付与し、自宅候補p5を特別地点候補記録領域に記録する。
【0073】
続いて、前記特別地点候補収集処理手段の集計処理手段は、集計処理を行い、特別地点候補記録領域において同じグループに属する記録点の数がN(10以下の所定の数)以上になるのを待機し、同じグループに属する記録点の数がN以上になると、自宅候補のデータを集計する。そして、前記集計処理手段は、各記録点データに基づいて、同じグループに属する記録点について停止回数の累積値を、累積停止回数として算出し、同じグループに属する記録点について停止時間の平均値を、平均停止時間として算出し、同じグループに属する記録点について座標の平均値を、平均停止座標として算出し、前記特別地点候補記録処理手段は、前記累積停止回数、平均停止時間及び平均停止座標を、集計データとして特別地点候補記録領域に記録する。
【0074】
前記累積停止回数は記録点の利用頻度を表し、平均停止時間は記録点の利用時間を表し、いずれも、記録点の利用率を表す。なお、前記平均停止時間及び平均停止座標は、各停止時間の合計及び停止座標の合計が累積停止回数で除算される。
【0075】
次に、前記集計処理手段は、各グループに属する記録点の記録点データを記録日時順(例えば、記録点データの古い順)に並べ替える。
【0076】
このようにして、例えば、最大でMa個のグループ、本実施の形態においては、100個のグループについて、それぞれ最大でMb個の記録点、本実施の形態においては、10個の記録点が記録されるが、所定のグループで記録点の数がMbになると、前記集計処理手段は、最大Mb/2個の範囲内で記録点を削除する。
【0077】
このように、各自宅候補を収集し、特別地点候補記録領域に記録することができる。本実施の形態においては、各自宅候補が互いに近接しているもの同士がグループに分けられ、グループIDが付与され、停止地点が平均停止座標を算出することによって平均化されるので、仮に、GPSセンサ15によって現在地を検出する際に、数メートル〜数十メートルの検出誤差が生じ、マッチング処理において現在地を正確に特定することができなくて、実際は同じ地点で停止していたにもかかわらず、異なる地点で停止していたと判断されても、自宅を精度良く認識することができ、自宅を精度良く登録することができる。
【0078】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 アクセサリスイッチがオンにされるのを待機し、アクセサリスイッチがオンにされるとステップS2に進む。
ステップS2 計時データに基づいて停止時間を算出する。
ステップS3 停止時間が1時間以上であるかどうかを判断する。停止時間が1時間以上である場合はステップS5に進み、1時間以上でない場合はステップS4に進む。
ステップS4 計時データを廃棄し、処理を終了する。
ステップS5 既存の記録点があるかどうかを判断する。既存の記録点がある場合はステップS6に進み、ない場合はステップS7に進む。
ステップS6 設定範囲内に既存の記録点があるかどうかを判断する。設定範囲内に既存の記録点がある場合はステップS8に進み、ない場合はステップS7に進む。
ステップS7 新しいグループIDを付与して記録し、処理を終了する。
ステップS8 既存の記録点の数が1であるかどうかを判断する。既存の記録点の数が1である場合はステップS10に進み、1でない場合はステップS9に進む。
ステップS9 同じグループに属する記録点の数がN以上になるのを待機し、N以上になるとステップS11に進む。
ステップS10 同じグループIDを付与して記録し、処理を終了する。
ステップS11 集計処理を行う。
ステップS12 各グループIDの記録点データを記録日時順に並べ替える。
ステップS13 最大Mb/2個の範囲内で記録点を削除し、処理を終了する。
【0079】
続いて、前記特別地点候補表示処理手段は、図6に示されるような特別地点候補表示画面に前記各自宅候補を候補リストとして表示する。
【0080】
次に、前記特別地点候補表示処理手段の動作について説明する。
【0081】
図9は本発明の第1の実施の形態における特別地点候補表示処理手段の動作を示すフローチャートである。この場合、各グループをGi(i=1、2、…)とする。
【0082】
まず、前記特別地点候補表示処理手段のコスト算出処理手段は、コスト算出処理を行い、運転者が第3の登録方法を選択してキーk4(図3)を押したかどうかによって、候補リストの表示の要求、すなわち、候補リスト表示要求があったかどうかを判断し、候補リスト表示要求があると、各グループGiごとに、自宅候補が自宅である可能性を表すコストCti(i=1、2、…)を算出する。この場合、コストCtiは、自宅候補が自宅である可能性が高いほど小さく、自宅候補が自宅である可能性が低いほど大きくされる。
【0083】
そのために、前記コスト算出処理手段の第1のコスト指標値算出処理手段は、第1のコスト指標値算出処理を行い、特別地点候補記録領域から各グループGiごとに累積停止回数を読み出し、該累積停止回数の多い順に各グループGiを並べたときの、各グループGiの順位を表す値をηi(i=1、2、…)とし、係数をα1としたとき、各グループGiごとの第1のコスト指標値fi(i=1、2、…)
fi=α1・ηi
を算出する。なお、前記累積停止回数によって、コストCtiを算出する際の第1のコスト評価値が構成される。
【0084】
続いて、前記コスト算出処理手段の第2のコスト指標値算出処理手段は、第2のコスト指標値算出処理を行い、特別地点候補記録領域から各グループGiごとに平均停止時間を読み出し、該平均停止時間の長い順に各グループGiを並べたときの、各グループGiの順位を表す値をεi(i=1、2、…)とし、係数をα2としたとき、各グループGiごとの第2のコスト指標値gi(i=1、2、…)
gi=α2・εi
を算出する。なお、前記平均停止時間によって、コストCtiを算出する際の第2のコスト評価値が構成される。
【0085】
そして、前記コスト算出処理手段の総コスト算出処理手段は、総コスト算出処理を行い、前記第1、第2のコスト指標値fi、giを加算し、コストCti
Cti=fi+gi
=α1・ηi+α2・εi
を算出する。
【0086】
本実施の形態において、前記累積停止回数が多い場合に自宅候補が自宅である可能性を、平均停止時間が長い場合に自宅候補が自宅である可能性より高くするために、前記係数α1を1とし、前記係数α2を2として、
α1<α2
にした。
【0087】
そして、前記コスト算出処理手段は、同じコストCtiのグループがあるかどうかを判断し、同じコストCtiのグループがある場合、記録日時が最も新しいグループのコストCtiを変更し、小さくする。
【0088】
続いて、前記特別地点候補表示処理手段のグループ表示処理手段は、グループ表示処理を行い、コストCtiの大小の順位に基づいて表示される自宅候補の順位を決定する。そして、図6に示される特別地点候補表示画面の領域AR6に、コストCtiの小さい順に、グループGiによって表される自宅候補の名称を表示する。なお、自宅候補の名称は、「○○町○○番地付近」のような、グループGiに属する各記録点を総括する地域の名称で表される。
【0089】
このようにして、領域AR6に表示された自宅候補のうちの所定の自宅候補を選択すると、特別地点登録処理手段は、選択された自宅候補が存在する地点の座標を自宅として記録する。したがって、それ以降、運転者が目的地設定画面で自宅ボタンを押下すると、目的地設定処理手段は、自宅を目的地として設定する。
【0090】
このように、本実施の形態においては、累積停止回数が多いほど、また、平均停止時間が長いほどコストCtiが小さくされ、自宅候補が自宅である可能性が高くされるので、自宅以外の地点で頻繁に停止する地点を自宅として認識することが少なくなる。したがって、自宅を精度良く認識することができ、自宅を精度良く登録することができる。
【0091】
例えば、一回だけ遊びに行った地点等のような、累積停止回数が少ない地点を自宅候補から除外したり、スーパーマーケット、ガソリンスタンド等の立寄り地点等のような、平均停止時間が短い地点を自宅候補から除外したりすることができる。
【0092】
本実施の形態においては、前記候補リスト表示要求があったかどうかを判断し、候補リスト表示要求があると、コストCtiを算出するようになっているが、該コストCtiを算出するに当たり、所定の算出条件を設定することができる。その場合、前記コスト算出処理手段は、各グループGiごとに、特別地点候補記録領域に記録された記録点の数を読み込み、記録点の数が所定の値より多くなったかどうかによって算出条件が成立したかどうかを判断する。そして、算出条件が成立すると、前記コスト算出処理手段は前記コストCtiを算出する。
【0093】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS21 候補リスト表示要求があるのを待機し、候補リスト表示要求があるとステップS22に進む。
ステップS22 第1のコスト指標値fiを算出する。
ステップS23 第2のコスト指標値giを算出する。
ステップS24 コストCtiを算出する。
ステップS25 同じコストCtiのグループがあるかどうかを判断する。同じコストCtiのグループがある場合はステップS26に進み、ない場合はステップS27に進む。
ステップS26 記録日時が最も新しいグループのコストCtiを小さくする。
ステップS27 コストCtiの小さい順に自宅候補の名称を表示し、処理を終了する。
【0094】
ところで、本実施の形態において、前記特別地点登録処理手段は、地図画面が表示されているときに、自宅を登録することができるようになっているが、運転者がアクセサリスイッチをオンにしてナビゲーション装置14(図1)を起動したときに自宅を登録することもできる。
【0095】
次に、ナビゲーション装置14を起動したときに自宅を登録することができるようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0096】
図10は本発明の第2の実施の形態における登録手順案内画面の例を示す図である。
【0097】
この場合、運転者が起動用スイッチとしてのアクセサリスイッチをオンにすると、ナビゲーション装置14(図1)が起動され、それに伴って、前記登録手順案内処理手段は、図10に示されるような登録手順案内画面を作成し、該登録手順案内画面に「お知らせ」、「自宅の登録をしませんか?」及び「登録を行うと、簡単な操作で自宅へのルートが探索できます」のメッセージを表示するとともに、「現在地周辺から」のキーk22、「住所から」のキーk23、「候補から」のキーk24、及び「次回表示しない」のキーk25を表示する。本実施の形態においては、第1の実施の形態と同様に、現在地Pr(図2)の周辺から自宅を登録する第1の登録方法、自宅の住所から自宅を登録する第2の登録方法、及び自宅候補から自宅を登録する第3の登録方法がある。
【0098】
そして、運転者が第1の登録方法を選択してキーk22を押すと、図4に示されるような地図画面が、第2の登録方法を選択してキーk23を押すと、図5に示されるような登録手順案内画面が、第3の登録方法を選択してキーk24を押すと、図6に示されるような特別地点候補表示画面が形成される。したがって、その後、運転者が第1の実施の形態と同様の操作をすると、自宅を登録することができる。
【0099】
次に、運転者が目的地を入力する際に、自宅を登録することができるようにした本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0100】
図11は本発明の第3の実施の形態における目的地入力画面の例を示す第1の図、図12は本発明の第3の実施の形態における目的地入力画面の例を示す第2の図である。
【0101】
この場合、運転者が第1の入力部としての操作部34(図1)を操作して目的地の入力を指示すると、前記目的地設定処理手段は、図11に示されるような目的地入力画面を形成し、続いて、前記登録手順案内処理手段は、目的地入力画面に、図12に示されるようなポップアップによる案内領域AR21を形成し、該案内領域AR21に「自宅の登録がされていません」、「登録画面を表示します」のメッセージを表示し、続いて、図5に示されるような登録手順案内画面を形成するか、又は図6に示されるような特別地点候補表示画面を形成する。
【0102】
なお、前記各実施の形態においては、自宅候補の収集条件が成立したかどうかを、停止指標としての停止時間が1時間以上であるかどうかによって判断するようになっているが、他の収集条件が満たされたときに、収集条件が成立したと判断することもできる。
【0103】
例えば、収集条件成立判断処理手段は、起動用スイッチとしてのアクセサリスイッチがオフにされたときの現在地と、アクセサリスイッチがオンにされたときの現在地とを比較し、収集条件が成立したかどうかを、両現在地が同じかどうかによって判断することができる。この場合、両現在地によって停止指標が構成される。例えば、車両が、フェリーで搬送された場合のように、エンジンが停止させられた状態で移動させられたときには、アクセサリスイッチがオフにされたときの現在地と、アクセサリスイッチがオンにされたときの現在地とが異なるので、仮に、停止時間が1時間以上である場合でも、自宅候補として記録しないようにすることができる。
【0104】
また、運転者が昼間に勤務を行う場合、収集条件が成立したかどうかを、停止指標としてのアクセサリスイッチがオフにされたときの時刻が夜間であるかどうかによって判断したり、停止指標としての停止時間が日を跨(また)ぐかどうかによって判断したりすることができる。そして、車両を後退させて駐車場に入庫し、前進させて駐車場から出庫する場合、収集条件が成立したかどうかを、リバースギアが使用された後にアクセサリスイッチがオフにされたかどうかによって判断することができる。この場合、アクセサリスイッチの信号によって停止指標が構成される。
【0105】
そして、車両による朝の通勤が定常的に行われる場合、収集条件が成立したかどうかを、停止指標としてのアクセサリスイッチがオンにされたときの時刻が一定の時間内に収まるかどうかによって判断することができる。
【0106】
また、本実施の形態においては、記録点判定処理手段は、自宅候補から、自宅候補を中心とする半径が20〔m〕以下の設定範囲内に既存の記録点があるかどうかを判断し、設定範囲内に既存の記録点がある場合、前記特別地点候補記録処理手段は、自宅候補に既存の記録点と同じグループIDを付与し、自宅候補を特別地点候補記録領域に記録するようになっているが、設定範囲内に既存の記録点がある場合に、自宅候補を既存の記録点と同じ地点とみなし、2点を結ぶ線の中間点を記録点として記録することができる。この場合、自宅候補が、既存の記録点に対して大きくずれる可能性が低くなる。
【0107】
また、記録点判定処理手段は、自宅候補の番地が、既存の記録点と同じ番地に属するかどうかを判断し、同じ番地に属する場合、特別地点候補記録処理手段は、自宅候補に前記既存の記録点と同じグループIDを付与し、自宅候補を特別地点候補記録領域に記録することができる。
【0108】
そして、本実施の形態においては、累積停止回数が多い場合及び平均停止時間が長い場合にコストCtiが小さくされるようになっているが、停止時間の累積値を表す累積停止時間を算出し、累積停止時間が長い場合に、コストCtiを小さくすることができる。
【0109】
なお、車両が使用者である運転者に納車される前において、自宅候補の収集がされないように、特別地点候補収集処理が開始されるタイミングは、例えば、最初に経路探索が行われた後に設定される。また、自宅が登録された後は、特別地点候補収集処理の機能は停止され、各記録点データ、集計データ等は削除される。
【0110】
本実施の形態においては、特別地点として自宅を登録するようになっているが、利用頻度の高い勤務先、親戚の家、駅周辺の駐車場等を数箇所程度選択して特別メモリ地点として登録することがあり、該特別メモリ地点を特別地点として登録することができる。
【0111】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における地図画面の例を示す第1の図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における地図画面の例を示す第2の図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における地図画面の例を示す第3の図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における登録手順案内画面の例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における特別地点候補表示画面の例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における特別地点候補収集処理手段の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施の形態における特別地点候補記録処理手段の動作を説明する図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における特別地点候補表示処理手段の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施の形態における登録手順案内画面の例を示す図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態における目的地入力画面の例を示す第1の図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態における目的地入力画面の例を示す第2の図である。
【符号の説明】
【0113】
10 自動変速機制御部
14 ナビゲーション装置
15 GPSセンサ
31 CPU
32 RAM
35 表示部
51 情報センタ
63 ネットワーク
Pr 現在地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在地を検出する現在地検出部と、特別地点で車両が停止していたかどうかを表す停止指標を読み込み、該停止指標に基づいて、特別地点候補を収集する条件が成立したかどうかを判定する収集条件成立判定処理手段と、特別地点候補を収集する条件が成立した時点における現在地を読み込み、該現在地によって表される地点を特別地点候補とし、かつ、互いに近接しているもの同士をグループに分けて記録部に記録する特別地点候補記録処理手段と、各グループごとに各特別地点候補を候補リストとして表示部に表示する特別地点候補表示処理手段とを有することを特徴とする地点登録システム。
【請求項2】
前記停止指標は車両の停止時間であり、前記収集条件成立判定処理手段は停止時間が閾値以上であるかどうかによって特別地点候補を収集する条件が成立したかどうかを判定する請求項1に記載の地点登録システム。
【請求項3】
運転者による起動用スイッチの操作に基づいて、前記停止時間を算出する停止時間算出処理手段を有する請求項2に記載の地点登録システム。
【請求項4】
前記特別地点候補記録処理手段は、記録しようとする特別地点候補を中心とする設定範囲内に、既に記録された特別地点候補がある場合に、記録しようとする特別地点候補に、既に記録された特別地点候補と同じグループであることを表す識別子を付与して記録する請求項1に記載の地点登録システム。
【請求項5】
現在地を検出し、特別地点で車両が停止していたかどうかを表す停止指標を読み込み、該停止指標に基づいて、特別地点候補を収集する条件が成立したかどうかを判定し、特別地点候補を収集する条件が成立した時点における現在地を読み込み、該現在地によって表される地点を特別地点候補とし、かつ、互いに近接しているもの同士をグループに分けて記録部に記録し、各グループごとに各特別地点候補を候補リストとして表示部に表示することを特徴とする地点登録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−71801(P2007−71801A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−261551(P2005−261551)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】