説明

基板上に堆積された膜組成物及びその半導体デバイス

【課題】基板上に堆積された膜組成物及びその半導体デバイスを提供すること。
【解決手段】基板を少なくとも1つの付着性材料に、この材料が基板上に吸着するのに十分な露出を行うことによってイニシエーション層を形成する。イニシエーション層は第1の反応性部位を与え、この部位を第1の反応材料と、原子層堆積条件下で化学的に反応させて第2の反応性部位を形成する。第2の反応性部位を第2の反応材料と、イニシエーション層上に反応層を形成するのに十分なプロセス条件下で化学的に反応させる。このプロセスを繰り返して、連続的な反応層をイニシエーション層上に形成することができる。イニシエーション層を構成する付着性材料は、原子層堆積法によって劣化しないものである。イニシエーション層は、1つまたは複数の反応層とともに最終的な膜を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に堆積された膜組成物及びその半導体デバイスに関し、より詳細には、付着性(adherent)材料を用いて表面領域(coverage)を改善するための原子層堆積プロセスに関する。また、本発明は、基板の表面上に吸着された材料上に形成される連続層を有する新しい膜組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体デバイスの製造で使用される基板上に薄膜を付着するための様々な技術が開発されている。より確立された技術の中に、化学気相成長法(CVD)がある。CVDの変形である原子層堆積法(ALD;Atomic Layer Doposition)は、非常に均一で共形な膜堆積を実現する潜在的に優れた方法として現在浮上している比較的新しい技術である。ALDは、CVDよりも遅いプロセスであるが、複雑なトポロジ上に超均一な薄い堆積層を維持する優れた能力を示すことが多い。ALDはCVDほどには流量に依存しないため、これは少なくとも部分的には本当である。ALDのこの流量非依存性によって、従来のCVD法の場合よりも低い温度で処理することができる。
【0003】
ALDプロセスは、基板の堆積表面での化学吸着によって進行する。ALD技術は、例えば、エレクトロルミネセンス表示装置用の硫化亜鉛の多結晶およびアモルファス膜ならびに誘電体酸化物を成長させるために数年前に開発された原子層エピタキシのコンセプトに基づいている。ALDの手法は、反応性前駆体分子の飽和した単層を化学吸着によって形成する原理に基づいている。ALDにおいては、適切な反応性前駆体を、交互にパルス状に堆積チャンバ内へ送る。反応性前駆体の各導入は、不活性ガス(たとえばAr)のパージによって分離される。それぞれの前駆体の導入によって、以前に堆積された層に追加される新しい原子層が与えられて、堅い膜の均一な層が形成される。このサイクルは、所望する膜厚が得られるまで繰り返すことができる。すなわちガスAxを導入した後にガスByを導入して、AB材料の単層を形成する。AxそしてByを導入するこのプロセスを多数回繰り返して、所望する厚さのAB膜を得ることができる。
【0004】
ALDでは通常、広範囲の表面トポロジに渡って高品質で均一な膜を形成することができるが、それでもやはり問題が起こる可能性がある。一般的に、堆積開始すなわち最初の層または数層を形成することが、ALDを用いる膜形成の最も問題の多い段階であることが多い。たとえば先の例では、Axガスの亜族(subgroup)xは、連続する単層の立体的配置(sterically)構成を妨げるような、大きくて巨大な分子である可能性がある。さらにAxの化学吸着性というのは、Axが、その下の基板に適切に付着しても他の反応材料に吸着して連続層の形成に使用する化合物のその後の反応を阻む可能性があるようなものである場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、当該技術分野において、この形成手法に付随する欠点を克服する新しいALD法が必要とされている。また、半導体デバイスにおける広範囲の基板上で用いるための新しい膜組成物が必要とされている。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、基板上に堆積された膜組成物及びその半導体デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって、半導体デバイスにおける基板上に膜を堆積する方法が提供される。以下に説明するALDプロセス条件を用いて、最初に基板を少なくとも1つの付着性材料に、材料が基板の表面上に付着または吸着するのに十分な量において露出させることによって、基板上にイニシエーション層(initiation layer)を形成する。イニシエーション層は、少なくとも1つの第1の反応性部位(反応物)(reactive moiety)を与える。次にこの第1の反応性部位を、少なくとも1つの第1の反応材料と化学的に反応させて、第2の反応性部位(反応物)を形成する。次に第2の反応性部位(反応物)を、少なくとも1つの第2の反応材料と化学的に反応させて、イニシエーション層上に反応層を形成する。イニシエーション層は、反応層を形成する間に実質的に劣化せず、反応層とともに最終的な膜を構成することができる。またさらなる反応層をイニシエーション層上に形成しても良く、その結果、これらの層が全て一緒になって最終的な膜を構成する。
【0008】
本発明の他の態様においては、半導体デバイスにおける基板上で用いるのに適した膜が提供される。膜は、付着性材料のイニシエーション層と、イニシエーション層上に形成された1つまたは複数の反応層とを有する。各反応層は、金属または金属を含む化合物から構成されていても良い。
【0009】
本発明のさらなる利点および特徴は、以下の詳細な説明および本発明の種々の実施形態を例示する図面からより容易に明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、半導体デバイスにおける基板上への原子層堆積法(ALD)を用いた膜の堆積に関する。
【0011】
本明細書においては、用語「ウェハ」または「基板」にも言及し、これらは、シリコンベース、シリコンオンインシュレータ(SOI)またはシリコンオンサファイア(SOS)構造、ドープまたはアンドープの半導体、ベースとなる半導体土台によって支持されたシリコンのエピタキシャル層、および他の半導体構造を含むと理解すべきである。加えて、以下の説明において「ウェハ」または「基板」に言及するときには、事前のプロセスステップを用いてアレイ、領域、または接合を、ベースとなる半導体構造または土台内または上に形成している場合がある。加えて半導体は、シリコンベースである必要はなく、シリコン−ゲルマニウム、ゲルマニウム、またはガリウムヒ素をベースとすることもできる。また、本明細書で用いる用語「基板」は、一般的なベースまたは土台構造のどのタイプをも指す場合がある。
【0012】
種々の実施形態を通して同様の数字は同様の構成要素を示す図面を参照して、図1は、製造工程の中間段階における基板12を有する半導体デバイス10を示す断面図である。本発明によれば、最初にイニシエーション層14を、ALDの場合に用いる反応条件の下で基板12上に堆積させる。すなわち、好適なALD反応チャンバ内で、約100℃から約600℃の範囲の温度において反応が行われる。好ましくは、動作温度は、約200℃から約400℃の範囲であり、より望ましくは、約250℃から約350℃の範囲である。ALDプロセスに対する動作圧力は通常、約1.0mTorrから約10Torrの範囲であり、より好ましくは、約30mTorrから約1Torrの範囲である。ALD反応チャンバに入るガス状物質の流量は変化させても良く、当業者であれば容易に調整することができる。
【0013】
イニシエーション層14は、基板12の表面に付着(adheres)または固着(sticks)する付着性材料から構成される。好ましい実施形態においては、付着性材料は、化学吸着性(chemisorbent)、吸着性、または化学的吸着性(chemiadsorbent)材料と言われることもある。用語「化学吸着」、「吸着」、および「化学的吸着」は、本明細書では交換可能であると理解すべきであり、イニシエーション層が物理的および/または化学的な力によって基板12の表面に付着または固着することを意味するものとする。したがって、イニシエーション層は好ましくは、「化学吸着性」材料から構成されていると述べても良く、したがって、用語「化学吸着性」は、イニシエーション層が基板12に付着または固着することができる全てのメカニズム(例えば、化学的、物理的、および組み合わせたメカニズム)を包含することが意図されている。上記化合物または材料は全て、本明細書において用いることが意図されているが、付着性材料は実質的に基板に依存しないことが好ましく、すなわち、広範囲の半導体基板材料、特に広範囲のシリコンベースの化合物、例えば、シリコンおよびドープドポリシリコンに付着できることを意味する。イニシエーション層14として用いる好ましい付着性材料は、チタン含有化合物であり、そのうちテトラキスジメチルアミノ(tetrakisdimethylamino)チタン(Ti(−N(CH)(TDMAT)および塩化チタン(TiCl)が、単独または組み合わせの何れかにおいて、望ましい。TDMATが特に望ましいと考えられ、現在、特に良好な付着性材料であることが分かっている。他の有用な付着性材料は、塩化亜鉛である。他の有用な化合物としては、例えば、テトラエトキシオルソシリケート(tetraethoxyorthosilicate)(TEOS)、三塩化アルミニウム、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、およびトリメチル亜鉛(trimethylzinc)を挙げることができる。
【0014】
イニシエーション層14を形成する付着性材料による基板12への吸着レベルは、少なくとも約1%から約10%の範囲であることが好ましい。より好ましくは、吸着レベルは少なくとも約30%とするのが好ましい。これは、イニシエーション層の形成中に、基板12の表面積の約30%以上に等しい全体量が、付着性材料を基板に付着または化学吸着させることが好ましいことを意味する。現在の吸着手法では、基板の表面積の少量またはごく僅かでさえある部分のみが覆われる結果となることが多い。本明細書の本発明においては、はるかに高い付着レベルが意図されている。したがって、約50%を超える付着レベルを有することが望ましい。約80%を超える、および約90%さえ超える付着レベルを達成することが、さらにより好ましい。このように付着レベルが高くなると、基板表面に付着または吸着される材料が多くなる。これは言い換えると、後述するようにさらなる膜層を形成するためのその後の反応に利用できる付随的な化学的部位が多くなることを意味する。また、吸着レベルがより高いということは、イニシエーション層が、基板に良好に固定され、言い換えればさらなる膜層を支持できることを意味する。達成される実際の吸着レベルは、結局は複数の要因によって決まると考えられる。これには、これまで説明してきたプロセスパラメータだけでなく、使用する化学吸着性材料、基板の組成およびトポグラフィが含まれる。
【0015】
イニシエーション層14は、基板の表面に対して高い吸着レベルを有していなければならないが、イニシエーション層またはより具体的にはその化学的反応物による他の膜形成材料に対する吸着も、実質的に全く無しでなければならない。言い換えれば、イニシエーション層は、この膜形成材料に対して、化学吸着という意味で固着も付着もしてはならないが、その代わりに膜形成材料と、従来的な意味で化学的に反応してさらなる膜層を形成しなければならない。
【0016】
イニシエーション層14を形成する付着性材料は、少なくとも1つの反応性部位16を、その構成要素として与えなければならない。この部位16は、さらなる化学反応が可能であればどんな化学的部位であっても良い。何らかの特定の理論によって束縛されることは望まないが、反応性部位16は、イニシエーション層の表面から突き出るか延びて、さらなる化学反応に対して立体的配置に好ましい位置にあるように見える。例えば、化学的配位子基(chemical ligand group)は、水素(−H)またはクロロ−(−Cl)基などの個々の原子と同様に、反応性部位16を構成することができる(例えば、−CH、−NH)。さらなる例としては、化合物TDMATが与える反応性部位16は、1つまたは複数のジメチルアミノ配位子(−N(CH)であり、例えば、−Ti(−N(CH、=Ti(−N(CH、≡Ti(−N(CH)としてである。塩化チタン(TiCl)を用いる例では、反応性部位16は、クロロ−(−Cl)置換基であり、例えば、−TiCl、=TiCl、および≡TiClである。
【0017】
次に、図2Aを参照して、イニシエーション層14を形成する付着性材料の第1の反応性部位16を、少なくとも1つの第1の反応材料18と反応させる。次に、図2Bを参照して、前述のALD条件の下で、第1の反応材料18が第1の反応性部位16と反応して、第2の反応性部位20を形成する。反応は、例えば、第1の反応材料18の1つまたは複数の化学成分が、第1の反応性部位16の1つまたは複数の成分を置換して、第2の反応性部位20を形成する置換反応であっても良い。TDMATがイニシエーション層14に対する付着性材料として機能し、1つまたは複数の露出するジメチルアミノ配位子が第1の反応性部位16として機能する例では、第1の反応材料18は、ガス状の窒素含有化合物(その混合物を含む)からなる群から選択される1つまたは複数種の化合物であっても良い。これらの化合物としては、例えば、一酸化窒素、亜酸化窒素、窒素、およびアンモニア(NH)を挙げることができる。窒素およびアンモニアが好ましく、アンモニアが特に好ましい。アンモニアを導入することにより、例えば、Ti−N−H結合単位(linkage unit)を第2の反応性部位20として形成することができる。他の好適な第1の反応材料18としては、SiH、PH、HS、および水蒸気さえ挙げることができる。
【0018】
次に、図3Aを参照して、ALDプロセスを継続させて、第2の反応材料22を第2の反応性部位20と反応させる。第2の反応材料22は、部位20と反応して膜層をイニシエーション層14上に形成するのであれば、どんな化学元素または化合物であっても良い。ある実施形態においては、第2の反応材料22は水蒸気であっても良い。他の実施形態においては、第2の反応材料は好ましくは、金属または金属を含む化合物である。これらの中で、タングステンを含む化合物が特に望ましいと考えられる。TDMATをイニシエーション層14に対する付着性材料として用いるときで、かつ窒素を含む化合物を第1の反応材料18として用いるときに使用する場合には、六フッ化タングステン(WF)が特に好ましい。WFを第2の反応材料22として導入することによって、水素(−H)基を置換してTi−N−W−F結合を形成することができる。
【0019】
次に、図3Bを参照して、第2の反応性部位20と第2の反応材料22との反応から反応層24を形成する。反応層24は少なくとも部分的に、イニシエーション層14をオーバーレイし、好ましくは、イニシエーション層の殆どまたは全てを覆うものとする。加えて、前述したALDプロセス条件の下では、反応層24の形成で終わる第2の反応性部位20と第2の反応材料22との間の反応中に、イニシエーション層14は実質的に劣化しないことが好ましい。言い換えれば、本発明によって、基板12の表面に最初に形成されたイニシエーション層14の少なくとも実質的に大部分が、反応層24の形成後に依然として表面に吸着されていることがもたらされる。より望ましくは、イニシエーション層の少なくとも約90%が、反応層24の形成後に依然として基板12に吸着されている。イニシエーション層の少なくとも約95%が、ALDプロセス中に依然として損なわれないでいることがさらにより好ましい。より好ましくは、イニシエーション層の約100%が保存される。
【0020】
図4Aから図4Dに示す本発明のさらなる実施形態においては、第1の反応材料18をその後にさらに導入することを、単独で、または第2の反応材料22をその後にさらに導入することと共に行うことによって、さらなるまたは連続的な反応層26、28、30、および32などを、第1の反応層24の上に、前述したALDプロセスパラメータ(温度、圧力、および流量)を用いて形成することができる。このような方法で形成することができるさらなる反応層の数に対しては、理論的に全く制限がなく、所望する膜の最終的な厚さ次第である。少なくとも約1、2、3、4、または約5以上のさらなる反応層でさえ存在できる。ある実施形態においては、第1の反応層24上に形成された5を超えるさらなる層、および約10以上もの連続した反応層が存在することができる。イニシエーション層14は、反応層24、26、28、30、および32などとともに、基板12上の最終的な膜を構成する。
【0021】
イニシエーション層および反応層は、異なる材料から構成されていることが好ましい。したがって、TDMATを用いてイニシエーション層14を形成する例においては、WNxの連続的な反応層を(第1の反応材料18としてNHを、そして第2の反応材料22としてWFを用いて)、Ti層上に堆積させて、最終的な膜を形成することが好ましいと考えられる(ここで、xは好ましくは整数1、2、3、4などである)。ここでもう一度、連続的な反応層のそれぞれを前述の方法で形成する間に、イニシエーション層14は実質的に劣化しないことに留意されたい。また、イニシエーション層は、第1の反応層24と比べて、ひいては、その上に形成されるさらなる層26、28、30、および32などの何れと比べても、比較的薄い層である。イニシエーション層は、約50Åの厚さよりも大きくてはいけなく、好ましくは、約10Åの厚さを超えてはいけない。イニシエーション層は約1または2Åの厚さを上回らないことが、さらに望ましい。各反応層は、イニシエーション層の約2倍の厚さから、より好ましくは、約10倍から約100倍の厚さの範囲までの、どこにあっても良い。全体としては、最終的な膜は通常、約数百オングストロームの厚さ程度である
【0022】
次に、図5Aから図5Dを参照して、本発明の他の実施形態が示されている。イニシエーション層14を構成する多くの付着性材料が、膜層の均一な堆積を問題あるものにする可能性がある、大きくて巨大なおよび/または立体的配置に好ましくない反応性部位16を与えることが考えられる。非常に共形な膜を実現してその上に実質的に均一な厚さの反応層24および26などを形成するためには、1つまたは複数のイニシエーション層14を、反応層24および26などとともに、図5Aに示すように、ALDプロセスにより、基板12の1つまたは複数の一部上にのみ形成することを最初に始めることが望ましいと考えられる。その後、図5Bに示すように、ALDプロセスにより、イニシエーション層14aを構成する付着性材料を基板12上へさらに堆積させることで始めて、その後に層24aおよび26aなどの堆積を行うことで、次にALDプロセスを繰り返す。図5Cおよび5Dに示すように、次に連続的な反応層24b、26b、および24c、26cを、新たに設けたイニシエーション層14bおよび14cの上に、それぞれ形成しても良い。このような方法で連続的に堆積させることによって、イニシエーション層上に存在する反応性部位16および20(図1、2、および3に示す)の化学的反応性を最も有利に利用する一方で、これらの部位が与え得るわずかな立体配置的な不都合も最小限にする方法で、最終的な膜を形成および「ビルドアップ(built up)」できる場合が多い。このような形で形成された膜は、従来形成されている膜より均一に付着することが可能であることが多い。
【0023】
少なくとも部分的には、その表面領域(coverage)が改善されているために、本明細書で述べる膜は半導体製造業において広く適用できる。1つの例は、本発明の膜を、図6に示すようにバリア膜として用いることである。半導体デバイス110は、基板112を有し、その上にゲートスタック140が形成されている。またフィールド酸化膜領域142とゲート酸化膜領域144とが、基板112内に形成されている。また絶縁層146(通常は、ボロフォスフォシリケートガラス(BPSG)などの材料からなる)が、基板112およびゲートスタック140上に形成されている。絶縁材料146の層は、実際には、例えば、BPSGからなる絶縁材料の1つまたは複数の層として形成される場合がある。絶縁層146内に注入されているのが示されているのは、導体プラグ148であり、これは当該技術分野で知られる好適な材料で形成することができる。ビア(via)またはコンタクト150が、ウェットもしくはドライエッチングまたは他の既知の手法を用いて導体プラグ148上に形成されている。バリア膜152を、本発明の方法を用いてコンタクト150の側面上に形成する。バリア膜152は、導電プラグ148を構成する材料とコンタクト150内に導入されるその後のどの材料との間の反応も防止するように作用する。例としてバリア膜は、TDMATから形成されたTiの薄いイニシエーション層と、その上のWNxの連続的な反応層(第1の反応材料としてNHを使用し、第2の反応材料としてWFを使用する)とから形成されていても良い。
【0024】
本発明のさらに他の実施形態を図7に示す。ゲートスタック140を形成する前に、本発明のゲート膜154を基板112の上に形成しても良い。ゲート膜154は、TEOSのイニシエーション層上に形成された二酸化ケイ素(SiO)などの層で形成される。SiO層そのものは、第1の反応材料としてのSiHと第2の反応材料としてのHO蒸気から形成される。ゲート膜154を形成したら、次に、ゲートスタックをその上に、当該技術分野において既知の方法を用いて形成する。ゲートスタック140と接触していない部分の膜154を、当該技術分野において既知のエッチングまたはCMP法を用いて除去する。
【0025】
本発明に基づいて形成した1つまたは複数の膜を用いる集積回路を含む典型的なプロセッサベースのシステムを、図8に200で概略的に例示する。コンピュータシステムなどのプロセッサベースのシステムは、例えば一般的に、バスシステム270(1つまたは複数のバスおよび/またはバスブリッジを含む場合がある)を通じて、1つまたは複数の入力/出力(I/O)デバイス240およびハードドライブ250と通信する、中央演算処理装置(CPU)210(例えば、マイクロプロセッサ)を含む。またコンピュータシステム200は、ハードディスクドライブ220、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ230、ランダムアクセスメモリ(RAM)260、読取り専用メモリ(ROM)280を含み、また、コンピュータシステムの場合には、他の周辺機器、例えば、コンパクトディスク(CD)ROMドライブ230(やはりバス270を通じてCPU210と通信する)を備える場合がある。本発明は、プロセッサ、RAM、およびROMの1つまたは複数において用いても良い。図8では、1つの典型的なコンピュータシステムアーキテクチャを示しているが、他の多くのものも可能である。
【0026】
前述した記載は、本発明の目的、特徴、利点を達成する例示的な実施形態を説明している。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、記載した実施形態に多くの変形、変更、置換を行っても良いことが明らかである。本発明は、前述の記載または実施形態によって限定されるとみなすべきではなく、添付の特許請求の範囲の解釈される範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】製造工程の中間段階における半導体デバイスを示す断面図である。
【図2A】製造工程のさらなる段階における図1に示した半導体デバイスを示す断面図である。
【図2B】製造工程のさらなる段階における図1に示した半導体デバイスを示す断面図である。
【図3A】製造工程のさらなる段階における図2に示した半導体デバイスを示す断面図である。
【図3B】製造工程のさらなる段階における図2に示した半導体デバイスを示す断面図である。
【図4A】製造工程のさらなる段階における図2に示した半導体デバイスを示す断面図である。
【図4B】製造工程のさらなる段階における図2に示した半導体デバイスを示す断面図である。
【図4C】製造工程のさらなる段階における図2に示した半導体デバイスを示す断面図である。
【図4D】製造工程のさらなる段階における図2に示した半導体デバイスを示す断面図である。
【図5A】本発明の代替的な実施形態による製造工程の連続する段階における半導体デバイスを示す断面図である。
【図5B】本発明の代替的な実施形態による製造工程の連続する段階における半導体デバイスを示す断面図である。
【図5C】本発明の代替的な実施形態による製造工程の連続する段階における半導体デバイスを示す断面図である。
【図5D】本発明の代替的な実施形態による製造工程の連続する段階における半導体デバイスを示す断面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるバリア膜を例示する半導体デバイスを示す断面図である。
【図7】本発明の一実施形態による二酸化ケイ素膜を示す半導体ゲートスタックを示す断面図である。
【図8】本発明の膜を用いる集積回路を含む典型的なプロセッサベースシステムを示すブロックダイアグラムである。
【符号の説明】
【0028】
10 半導体デバイス
12 基板
14 イニシエーション層
16 第1の反応物
18 第1の反応材料
20 第2の反応物
22 第2の反応材料
24 反応層
26,28,30,32 層
110 半導体デバイス
112 基板
140 ゲートスタック
142 フィールド酸化膜領域
144 ゲート酸化膜領域
146 絶縁層
148 導体プラグ
150 ビア(via)またはコンタクト
152 バリア膜
154 ゲート膜
200 コンピュータシステム
210 中央演算処理装置(CPU)
220 ハードディスクドライブ
230 フロッピー(登録商標)ディスクドライブ
240 入力/出力(I/O)デバイス
250 ハードドライブ
260 ランダムアクセスメモリ(RAM)
270 バスシステム
280 読取り専用メモリ(ROM)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスにおける基板上に形成された膜組成物であって、
前記基板の表面に吸着された付着性材料のイニシエーション層と、
該イニシエーション層上の1つまたはそれ以上の反応層であって、それぞれ金属または金属化合物から構成される反応層とを備え、
前記付着性材料は、前記イニシエーション層を形成する際に少なくとも30%だけ吸着されていることを特徴とする膜組成物。
【請求項2】
前記イニシエーション層は、50Åを超えない厚さであることを特徴とする請求項1に記載の膜組成物。
【請求項3】
前記イニシエーション層は、10Åを超えない厚さであることを特徴とする請求項2に記載の膜組成物。
【請求項4】
前記イニシエーション層は、前記基板上に化学吸着するが、前記さらなる層には化学吸着しないことを特徴とする請求項1に記載の膜組成物。
【請求項5】
少なくとも2つのさらなる反応層を含むことを特徴とする請求項1に記載の膜組成物。
【請求項6】
少なくとも5つのさらなる反応層を含むことを特徴とする請求項5に記載の膜組成物。
【請求項7】
少なくとも10のさらなる反応層を含むことを特徴とする請求項6に記載の膜組成物。
【請求項8】
前記さらなる反応層は、前記イニシエーション層の少なくとも5倍の厚さであることを特徴とする請求項6に記載の膜組成物。
【請求項9】
前記膜はバリア膜であることを特徴とする請求項1に記載の膜組成物。
【請求項10】
前記膜はゲート酸化膜であることを特徴とする請求項1に記載の膜組成物。
【請求項11】
前記イニシエーション層は、少なくとも50%の前記基板上に吸着されることを特徴とする請求項8に記載の膜組成物。
【請求項12】
前記イニシエーション層は、少なくとも80%の前記基板上に吸着されることを特徴とする請求項5に記載の膜組成物。
【請求項13】
前記イニシエーション層は、少なくとも90%の前記基板上に吸着されることを特徴とする請求項12に記載の膜組成物。
【請求項14】
前記イニシエーション層は、少なくとも1つの亜鉛含有化合物であることを特徴とする請求項1に記載の膜組成物。
【請求項15】
前記イニシエーション層は、亜鉛塩であることを特徴とする請求項14に記載の膜組成物。
【請求項16】
前記亜鉛塩は、塩化亜鉛であることを特徴とする請求項15に記載の膜組成物。
【請求項17】
前記反応層は、硫化亜鉛であることを特徴とする請求項14に記載の膜組成物。
【請求項18】
前記反応層は、タングステン含有化合物であることを特徴とする請求項1に記載の膜組成物。
【請求項19】
前記反応層は、窒化タングステン(WNx)であり、前記イニシエーション層は、チタン含有化合物であることを特徴とする請求項18に記載の膜組成物。
【請求項20】
前記イニシエーション層は、本質的にチタンからなることを特徴とする請求項19に記載の膜組成物。
【請求項21】
基板と、
該基板上の絶縁層と、
該絶縁層内に形成された導電性コンタクトと、
該コンタクトの表面の少なくとも一部を被覆するバリア膜であって、該バリア膜はイニシエーション層および該イニシエーション層上の少なくとも1つの反応層を備え、前記イニシエーション層は前記コンタクトの表面に付着する少なくとも1つの材料から構成されるバリア膜とを備えることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項22】
前記イニシエーション層は、10Åを超えない厚さであることを特徴とする請求項21に記載の半導体デバイス。
【請求項23】
前記イニシエーション層は、前記表面に化学吸着するが、前記さらなる層には化学吸着されないことを特徴とする請求項21に記載の半導体デバイス。
【請求項24】
前記イニシエーション層は、チタン含有化合物から構成されることを特徴とする請求項21に記載の半導体デバイス。
【請求項25】
前記イニシエーション層は、チタンから構成されることを特徴とする請求項24に記載の半導体デバイス。
【請求項26】
前記反応層は、タングステン含有化合物から構成されることを特徴とする請求項21に記載の半導体デバイス。
【請求項27】
前記反応層は、窒化タングステンから構成されることを特徴とする請求項26に記載の半導体デバイス。
【請求項28】
前記反応層は、亜鉛塩から構成されることを特徴とする請求項21に記載の半導体デバイス。
【請求項29】
前記亜鉛塩は、硫化亜鉛であることを特徴とする請求項27に記載の半導体デバイス。
【請求項30】
前記イニシエーション層は、塩化亜鉛であることを特徴とする請求項28に記載の半導体デバイス。
【請求項31】
基板と、
該基板上に形成された少なくとも1つのゲートスタックと、
該ゲートスタック内のゲート酸化膜であって、前記ゲート酸化膜は少なくとも1つのイニシエーション層と少なくとも1つの反応層とから構成され、前記イニシエーション層は前記基板に付着する材料で形成されるゲート酸化膜とを備えることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項32】
前記ゲート酸化膜は、イニシエーション層と少なくとも1つの反応層とから形成されることを特徴とする請求項31に記載の半導体デバイス。
【請求項33】
前記ゲート酸化膜は、前記基板と接触するイニシエーション層と、前記ゲートスタックと接触する少なくとも1つの反応層とを備えることを特徴とする請求項32に記載の半導体デバイス。
【請求項34】
前記イニシエーション層は、前記基板に化学吸着するが前記反応層には化学吸着しない化学吸着性材料から構成されることを特徴とする請求項33に記載の半導体デバイス。
【請求項35】
前記ゲート酸化膜は、TEOSのイニシエーション層と前記イニシエーション層上に形成されたSiOの反応層とから構成されることを特徴とする請求項34に記載の半導体デバイス。
【請求項36】
前記反応層は、SiHとHOとから形成されることを特徴とする請求項35に記載の半導体デバイス。
【請求項37】
プロセッサと、
該プロセッサに結合された集積回路デバイスと
を備えるプロセッサベースのシステムであって、
前記プロセッサと集積回路デバイスの少なくとも一方は、
基板と、
該基板上の絶縁層と、
該絶縁層内にあり前記基板の領域と接触する導電性プラグであって、前記導電性プラグはALDバリア膜によって覆われた表面を有し、前記バリア膜はイニシエーション層と少なくとも1つの反応層とを含む導電性プラグとを備えることを特徴とするシステム。
【請求項38】
前記イニシエーション層は、少なくとも1つのチタン含有化合物から形成されることを特徴とする請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記反応層はそれぞれ、WNxから形成されることを特徴とする請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記集積回路デバイスは、メモリ回路であることを特徴とする請求項37に記載のシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−10888(P2008−10888A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235523(P2007−235523)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【分割の表示】特願2002−544771(P2002−544771)の分割
【原出願日】平成13年11月1日(2001.11.1)
【出願人】(500014068)マイクロン テクノロジー,インコーポレイテッド (69)
【氏名又は名称原語表記】MICRON TECHNOLOGY, INC.
【Fターム(参考)】