説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】基板の一方の面と端面部分(エッジ部分)を液体により処理をする際に、他方の面側への液体の回り込みを防ぐことができる基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置1は、回転する基板Wに対して処理用の液体28を供給して基板Wの処理をする際に、基板Wの一方の面31と基板Wの端面部分33に対して処理用の液体28を供給する物理洗浄ツール15と、基板Wの他方の面32に対して保護用の流体55を供給して基板の他方の面側に処理用の液体が回り込むのを防止する回り込み防止用供給ノズル53と、を備え、回り込み防止用供給ノズル53は、基板Wの回転方向において少なくとも一か所に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置および基板処理方法に関し、特に、基板の処理対象面である一方の面および基板の端面部分(エッジ部分)を処理する基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置が、半導体ウエハや液晶基板の洗浄処理する場合には、基板を回転させながら行うことがある。このような基板処理装置では、基板の一方の面のみを液体を用いて処理を行い、他方の面は液体を供給することなく乾燥状態のままで処理を実施している(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、この種の基板処理装置とは別に、基板の端面部分のみを、物理洗浄ツール(ブラシや2流体ノズル)を用いて処理を行う基板処理装置がある。
【特許文献1】特開2007―103825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来では、基板の一方の面の処理と基板の端面部分の処理とを同一の基板処理装置により実施することができず、基板の一方の面の処理と基板の端面部分の処理は、別々の基板処理装置を用意して個別に行っていた。
【0005】
このように、基板の一方の面の処理と基板の端面部分の処理を同一の基板処理装置で行うことができない理由は、物理洗浄ツールにより基板の処理を行う際に、基板の他方の面(非処理面)に処理液が回り込んでしまい、他方の面が液体(処理液)により汚れてしまうからである。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板の一方の面と端面部分(エッジ部分)を液体により処理をする際に、他方の面側への液体の回り込みを防ぐことができる基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基板処理装置は、回転する基板に対して処理用の液体を供給して前記基板の処理をする基板処理装置であって、前記基板の一方の面と前記基板の端面部分に対して前記処理用の液体を供給する物理洗浄ツールと、前記基板の他方の面に対して保護用の流体を供給して前記基板の他方の面側に前記処理用の液体が回り込むのを防止する回り込み防止用供給ノズルと、を備え、前記回り込み防止用供給ノズルは、前記基板の回転方向において少なくとも一か所に固定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の基板処理方法は、回転する基板に対して処理用の液体を供給して前記基板の処理をする基板処理方法であって、物理洗浄ツールは、前記基板の一方の面と前記基板の端面部分に対して前記処理用の液体を供給し、回り込み防止用供給ノズルは、前記基板の回転方向において少なくとも一か所に固定されており、前記基板の他方の面に対して保護用流体を供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板の一方の面と端面部分(エッジ部分)を液体により処理をする際に、他方の面側への液体の回り込みを防ぐことができる基板処理装置および基板処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の基板処理装置の好ましい実施形態を示す平面図である。
【0012】
図1に示す基板処理装置1は、カセットステーション2と、ロボット3と、複数の処理ユニット4,4を備えている。
【0013】
基板処理装置1は、枚葉式の基板処理を行う装置であり、カセットステーション2は、複数のカセット5,5を有しており、各カセット5は複数枚の基板Wを収容している。基板Wとしては、例えば半導体ウエハ基板である。
【0014】
ロボット3は、カセットステーション2と複数の処理ユニット4,4の間に配置されている。ロボット3は、各カセット5に収容されている基板Wを処理ユニット4側に搬送する。また、ロボット3は、処理ユニット4側の処理後の基板Wを、別のカセット5に搬送して戻す。各処理ユニット4は、例えば基板Wを保持して回転させて、基板Wを洗浄処理するのに用いられる。
【0015】
図2は、図1に示す基板処理装置1の処理ユニット4の構成例を示している。
【0016】
図2に示す枚葉式の処理ユニット4は、基板保持部11と、移動操作部12と、ダウンフロー用のフィルタ付きファン13と、カップ14と、物理洗浄ツール15と、処理室16と、そして回り込み防止部40を有する。
【0017】
基板保持部11は、円板のベース部材17と、回転軸18と、モータ19を有しており、ベース部材17の上には基板Wが例えば真空吸引により着脱可能に固定される。処理室16内には、カップ14と物理洗浄ツール15とベース部材17とモータ19の回転軸18が収容されている。回転軸18の先端部にはベース部材17が固定されている。モータ19が制御部20の指令により動作することで、ベース部材17とともにベース部材17上の基板Wは、洗浄処理の際にR方向に連続回転する。
【0018】
図2に示す物理洗浄ツール15は基板Wの上部に配置されており、物理洗浄ツール15は、制御部20の指令により移動操作部12が動作すると、Z方向(上下方向)とX方向(基板Wの半径方向)に移動可能である。
【0019】
図2に示すように、物理洗浄ツール15は例えば2流体洗浄ツール(2流体ノズル)である。物理洗浄ツール15は、液体供給部21に対してバルブ22と配管23を介して接続され、物理洗浄ツール15は、気体供給部24に対してバルブ25と配管26を介して接続されている。
【0020】
物理洗浄ツール15は、液体と気体を、基板Wの一方の面31と、基板Wの端面部分(エッジ部分)33に対して供給する。この基板Wの一方の面31は、処理対象面であり上面である。基板Wの他方の面32は、非処理面であり下面であり、処理の際に処理用の液体が付かないように保護すべき面である。
【0021】
図3は、図2に示す回り込み防止部40の構造例と、物理洗浄ツール15の構造例を詳しく示している。
【0022】
図3に示すように、物理洗浄ツール15は、内筒15Bと外筒15Cを有しており、外筒15Cは内筒15Bの外側に配置され、内筒15Bと外筒15Cは同心円状に配置されている。内筒15Bの中央通路15Dからは処理用の液体28が供給され、外筒15Cの外側リング状通路15Fを通じて気体29が供給されることで、霧吹きの原理を利用して、気体29の気流が発生する負圧で処理用の液体28を霧化させる。この霧化された処理用の液体28は、基板Wの一方の面31に供給されるようになっている。
【0023】
図3に示す液体供給部21が供給する処理用の液体28は、一例として洗浄用の薬液であり、気体供給部24が供給する気体29は、例えば窒素ガスのような不活性ガスである。図2に示すようにバルブ22,25の開閉量は、制御部20の指令により制御できる。
【0024】
次に、図2と図3を参照して、物理洗浄ツール15から供給される霧化された処理用の液体28が、基板Wの他方の面32側に回り込むのを阻止するために、回り込み防止部40が設けられている。
【0025】
ここで、この回り込み防止部40の構造例について説明する。
【0026】
図2と図3に示す回り込み防止部40は、図2に示すカップ14内に配置されており、物理洗浄ツール15から供給される処理用の液体28と気体29で霧化させて処理用の液体28が、基板Wの端面部分33を経て、霧化された処理用が基板Wの他方の面32側に回り込むのを確実に防止する。
【0027】
この回り込み防止部40が供給する保護用の流体は、物理洗浄ツール15からの霧化された処理用の液体28が基板Wの端面部分33を経て基板Wの他方の面32側に回り込まないように、基板Wの他方の面32を保護する流体の一例である。
【0028】
この保護用の流体は、例えば基板保護気体55である。この基板保護気体55は、図2と図3に示す流体供給部50内に蓄えられており、流体供給部50からバルブ51と配管52を介して、供給ノズル53に供給されるようになっている。基板保護気体55は、例えば窒素ガス等の不活性ガスや、乾燥空気(ドライエア)を採用できる。
【0029】
図3に示す回り込み防止部40は、供給ノズル53を有する本体部59と、基板保護気体55を案内する案内部56と、排出部57とを有する。本体部59は、上面部58と、底面部59Bと、外周面部60により形成されており、供給ノズル53は、上面部58の傾斜部分58Cと外周面部60の傾斜部分60Cと側壁60D、60Fにより形成されており、供給ノズル53は基板Wの端面部分33に向けて斜め上方に向けて形成されている。
【0030】
基板WはR方向に回転する。物理洗浄ノズル15は、X方向とZ方向に移動可能な移動ノズルである。これに対して、図3と図4に示す供給ノズル53は、基板Wが回転する方向(全周方向)に渡って形成されているのではなく、基板Wが回転する方向について一か所の位置Pにおいて固定されているので、供給ノズル53は固定ノズルである。すなわち、この供給ノズル53は、図4に示すように回転中心軸CLを通る直径方向に沿って、しかも外側に向けて固定されている。
【0031】
図3に示すように供給ノズル53は、水平線Tに対して角度θで斜め上方に向けて形成されており、この角度θは、図示例では、例えば45度よりも小さい角度である。水平線Tは、回転中心軸CLに対して直交している。
【0032】
図4は、図3に示す回り込み防止部40を示す平面図である。
【0033】
図3と図4に示すように、すでに説明したように、この供給ノズル53は、基板Wの回転中心軸CLに関する全周方向Sに関して、一か所の設定位置Pに設けられている。すなわち、供給ノズル53は、全周方向Sにわたって形成されているのではなく、基板Wの端面部分33に向けて一か所の位置だけに設けられている。
【0034】
図5は、供給ノズル53の開口面積を調整する調整装置70の例を示している。
【0035】
図5に示す例では、供給ノズル53の開口73の断面形状は、例えば矩形形状である。開口面積の調整装置70は、アクチュエータ71と開閉調整板72を有している。アクチュエータ71には開閉調整板72が固定されており、アクチュエータ71が制御部20の指令より動作することにより、開閉調整板72がM方向に移動して位置決めされることで、開口73の開口面積を任意に調整することができる。しかも、図3に示す流体供給部50のバルブ51の開閉量は、制御部20の指令により調整できるようになっている。
【0036】
このように、開閉調整板72により供給ノズル53の開口面積を調整し、流体供給部50のバルブ51の開閉量を調整することができ、開口面積の調整とバルブ51の開閉量の調整の一方もしくは両方を行うことにより、基板保護気体55を基板Wの他方の面32側に供給するための供給流量は、基板Wの上面に供給される処理用の液体と気体の供給量に応じて、供給される処理用の液体と気体が基板Wの他方の面32側に回り込むのを防止するために、調整可能である。
【0037】
図5に示すように、排出部57は、供給ノズル53に対応した位置に設けられており、基板Wの端面部分33に向けて供給された基板保護気体55を、本体部57と案内部56の外側に排出するために設けられている。
【0038】
次に、上述した構成の基板処理装置1による基板Wの処理について説明する。
【0039】
以下に説明する処理は、処理用の液体28として洗浄処理用の薬液を用い、気体29としては窒素ガスを用いて、基板Wの一方の面31と端面部分33の内の少なくとも一方を洗浄処理する例を説明する。
【0040】
まず、図2に示すように、基板Wは、この基板Wの一方の面31を上面にして、ベース部材17上に例えば真空吸引により固定される。そして、モータ19が作動して、ベース部材17とともに基板Wが、R方向に連続回転される。しかも、移動操作部12が作動されることで、物理洗浄ツール15は、図4に示すように基板Wの中心付近である中心軸CLと、基板Wの周縁部の供給ノズル53の付近位置CBと、の間で移動される。
【0041】
図3に示す制御部20の指令によりバルブ22を開くことで、処理用の液体28が液体供給部21から配管23を通じて、物理洗浄ツール15の中央通路15Dから供給され、かつバルブ25を開くことで、気体29が気体供給部24から配管26を通じて、物理洗浄ツール15の外側リング状通路15Fを通じて供給される。これにより、処理用の液体28が気体29により霧吹きの原理を使用して霧化されて、基板Wの一方の面31と端面部分33に均一になるように供給される。この例では、基板Wの一方の面31と端面部分33は、同一の基板処理装置により同時に洗浄処理できるが、基板Wの一方の面31だけを洗浄処理するようにしても良い。
【0042】
このように基板Wの一方の面31と端面部分33を同時に洗浄処理する際には、図2と図3に示す制御部20の指令によりバルブ51を開くことにより、保護用の流体の一例である基板保護気体55が、流体供給部50からバルブ51と配管52を通じて、供給ノズル53から基板Wの端面部分33方向に向けて、斜め上方に向けて供給される。
【0043】
これにより、物理洗浄ツール15から基板Wの一方の面31と端面部分33に供給される霧化された処理用の液体28が、基板Wの非処理面である他方の面32側に回り込まないようにして他方の面32に供給されてしまう現象を防止できる。
【0044】
しかも、基板保護気体55が、供給ノズル53から基板Wの端面部分33方向に向けて斜め上方に向けて供給されるので、この基板保護気体55は基板Wの他方の面32を確実に覆うことができ、霧化された処理用の液体28が基板Wの非処理面である他方の面32側に回り込むことを防ぐことができる。これにより、特に基板の端面部分において処理用の液体が回り込んでくることを確実に防げる。
【0045】
このため、処理面である基板Wの一方の面31と端面部分33は薬液により洗浄でき、この薬液は非処理面である基板Wの他方の面32には付着しない。基板Wの一方の面31と端面部分33のみのウェット処理が可能であり、他方の面32をドライ状態に保持することができる。また、基板Wの端面部分33のみの物理処理(例えば洗浄処理)が可能である。
【0046】
特に、仮に本発明の範囲外ではある基板保護気体55が基板Wの全周方向に渡って同時に供給できる構造を採用するのに比べて、本発明の実施形態では、一か所の固定された供給ノズル53が基板保護気体55を供給できる構造なので、基板保持気体55の使用量を減らすことができる。
【0047】
図5に示すように、供給ノズル53の開口面積を調整し、バルブ51の開閉度合を調整することで、基板保護気体55の基板Wの端面部分33に対する供給量を適切に調整することができる。すなわち、基板Wの他方の面32側に処理用の液体28が回り込まないようにできる程度に、基板保護気体55の使用量を調整できる。
【0048】
本発明の実施形態では、基板Wの洗浄処理に用いる物理洗浄ツール15は移動可能であり、基板Wは回転する。しかし、供給ノズル53が回転しないで固定ノズルであるので、物理洗浄ツール15から霧化された処理用の液体28を吹き付ける基板Wの一か所の位置に対して、供給ノズル53は基板保護気体55を集中して吹き付けることができる。
【0049】
本発明の範囲外の基板保護気体が基板Wの全周方向に渡って同時に供給できる構造では、気体が基板Wの全周方向に供給されているために、気体圧力が低下して、基板の他方の面32に回り込む霧化された処理用の液体28を防止することが難しい。
【0050】
しかし、本発明の実施形態のように、基板保護気体55を供給する供給ノズル53が少なくとも1箇所に固定して配置されることで、基板保護気体55を基板Wに対して集中して供給できるので、基板保護気体55の気体圧力が低下することなく安定して供給できる。
【0051】
また、本発明の実施形態では、基板Wの全周方向に基板保護気体55を供給することが無いために、基板保護気体55の供給量を削減することができ、少量の基板保護気体55の供給量で、基板Wの他方の面32に回り込もうとする霧化された処理用の液体28の回り込みを防止することができる。
【0052】
このため、基板保護気体55の吐出し量を少なくして、物理洗浄ツール15が吹き付ける液体と気体が基板Wの非処理面である他方の面32側に回り込むことを防止することができる。
【0053】
図6は、本発明の別の実施形態を示している。
【0054】
図2〜図4に示す実施形態では、供給ノズル53が一か所の位置Pに設けられているが、図6の実施形態では、供給ノズル53が二か所の位置P、P1に設けられている。図6に示す実施形態の他の要素は、図2〜図4に示す実施形態の対応する要素と実質的に同じである。
【0055】
これらの二か所の供給ノズル53,53は、180度反対の位置P、P1に形成されている。物理洗浄ツール15は、図6に示すように基板Wの周縁部の供給ノズル53の付近位置CBと、基板Wの中心軸CL(付近)と、そして基板Wの周縁部の供給ノズル53の付近位置CDの間で移動される。
【0056】
各供給ノズル53が回転しないで固定ノズルであるので、物理洗浄ツール15が液体と気体を吹き付ける基板Wの二か所の位置P、P1に対して、供給ノズル53は基板保護気体55を集中して吹き付けることができる。このため、基板保護気体55の吐出し量を少なくして、物理洗浄ツール15が吹き付ける液体と気体が、基板Wの他方の面32側に回り込むことを防止することができる。
【0057】
図7は、基板保護気体55のガス流量と、供給ノズル53の開口面積との関係例を示すグラフである。図7を参照すると、供給ノズル53の開口面積が大きくなるのでガス流量が増加する。
【0058】
本発明の基板処理装置は、回転する基板に対して処理用の液体を供給して基板の処理をする基板処理装置であって、基板の一方の面と基板の端面部分に対して処理用の液体を供給する物理洗浄ツールと、基板の他方の面に対して保護用の流体を供給して基板の他方の面側に処理用の液体が回り込むのを防止する回り込み防止用供給ノズルと、を備え、回り込み防止用供給ノズルは、基板の回転方向において少なくとも一か所に固定されていることを特徴とする。これにより、基板の一方の面と端面部分(エッジ部分)を処理用の液体により処理をする際に、他方の面側への処理用の液体の回り込みを確実に防ぐことができる。このため、基板の一方の面は処理用の液体によりウェット処理を行う際に、基板の他方の面側はドライ状態に保持することができる。また、回り込み防止用供給ノズルは、基板の回転方向において少なくとも一か所に固定されている流体の使用量を削減できる。
【0059】
回り込み防止用供給ノズルは、基板の回転方向において180度反対の位置の2か所に固定されている。これにより、2か所の回り込み防止用供給ノズルから供給される保護用の流体により、基板の他方の面に処理用の液体が回り込むのを防げる。
【0060】
回り込み防止用供給ノズルは、基板の端面部分に向けて保護用の流体を供給する。これにより、特に基板の端面部分において処理用の液体が回り込んでくることを確実に防ぐことができる。
【0061】
物理洗浄ツールは、処理用の液体を供給する内筒と、処理用の液体を霧化するために気体を供給する外筒と、を有する2流体ノズルである。これにより、処理用の液体を霧化して基板の一方の面と端面部分に確実に供給できる。
【0062】
保護用流体は、窒素ガス等の不活性ガスや乾燥空気(ドライエア)である。これにより、基板の他方の面は、ドライ状態に保持できる。
【0063】
本発明の基板処理方法は、回転する基板に対して処理用の液体を供給して基板の処理をする基板処理方法であって、
物理洗浄ツールは、基板の一方の面と基板の端面部分に対して処理用の液体を供給し、
回り込み防止用供給ノズルは、基板の回転方向において少なくとも一か所に固定されており、基板の他方の面に対して保護用流体を供給する。これにより、基板の一方の面と端面部分(エッジ部分)を液体により処理をする際に、他方の面側への液体の回り込みを防ぐことができる。このため、基板の一方の面は液体によりウェット処理を行う際に、基板の他方の面側はドライ状態に保持することができる。また、回り込み防止用供給ノズルは、基板の回転方向において少なくとも一か所に固定されている液体の使用量を削減できる。
【0064】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形例を採用できる。
【0065】
例えば、物理洗浄ツールは、蒸気を供給でき、これにより、基板の一方の面と端面部分が、蒸気により洗浄できるようにしても良い。すなわち、物理洗浄ツールとしては、2流体洗浄ノズルに代えて、蒸気を基板Wの一方の面、および基板の端面に供給して処理できる蒸気処理ツールを採用しても良い。供給ノズル53の断面形状は、矩形形状であっても円形形状であっても、楕円形状であっても良い。
【0066】
さらに、本発明の実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、本発明の実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の基板処理装置の好ましい実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示す基板処理装置の処理ユニットの構成例を図である。
【図3】図2に示す回り込み防止部の構造を詳しく示す図である。
【図4】図3に示す回り込み防止部を示す平面図である。
【図5】供給ノズルの開口面積を調整する調整装置の例を示す図である。
【図6】本発明の別の実施形態を示す図である。
【図7】基板保護気体のガス流量と、供給ノズルの開口面積との関係例を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1 基板処理装置
4 処理ユニット
11 基板保持部
12 移動操作部
15 物理洗浄ツール
15B 内筒
15C 外筒
20 制御部
21 液体供給部
24 気体供給部
50 流体供給部
31 基板の一方の面
32 基板の他方の面
33 基板Wの端面部分(エッジ部分)
40 回り込み防止部
53 供給ノズル(回り込み防止用供給ノズル)
55 基板保護気体(保護用の流体の一例)
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する基板に対して処理用の液体を供給して前記基板の処理をする基板処理装置であって、
前記基板の一方の面と前記基板の端面部分に対して前記処理用の液体を供給する物理洗浄ツールと、
前記基板の他方の面に対して保護用の流体を供給して前記基板の他方の面側に前記処理用の液体が回り込むのを防止する回り込み防止用供給ノズルと、
を備え、
前記回り込み防止用供給ノズルは、前記基板の回転方向において少なくとも一か所に固定されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記回り込み防止用供給ノズルは、前記基板の回転方向において180度反対の位置の2か所に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記回り込み防止用供給ノズルは、前記基板の前記端面部分に向けて前記保護用の流体を供給する請求項1または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記物理洗浄ツールは、前記処理用の液体を供給する内筒と、前記処理用の液体を霧化するために気体を供給する外筒と、を有する2流体ノズルであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つの項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記物理洗浄ツールは、蒸気を供給することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記保護用流体は、不活性ガスであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つの項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記保護用流体は、ドライエアであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つの項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
回転する基板に対して処理用の液体を供給して前記基板の処理をする基板処理方法であって、
物理洗浄ツールは、前記基板の一方の面と前記基板の端面部分に対して前記処理用の液体を供給し、
回り込み防止用供給ノズルは、前記基板の回転方向において少なくとも一か所に固定されており、前記基板の他方の面に対して保護用流体を供給することを特徴とする基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−109118(P2010−109118A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279146(P2008−279146)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】