基板処理装置及び方法
基板処理装置は、基板保持機構(14)の回転速度に応じて変化する保持力で基板(W)を保持する基板保持機構(14)と、基板保持機構(14)を回転させて基板保持機構(14)により保持された基板(W)を回転させる基板回転機構(22)と、基板保持機構(14)により保持された基板(W)の任意の位置に処理液を供給する処理液供給機構(12,15,19)とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び方法に関し、特に、基板に処理液を供給しながら半導体ウエハ等の回転している基板を処理する基板処理装置及び基板処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基板を基板保持回転機構で保持した状態で回転させ、該基板(半導体ウエハ等)の表裏面や端面に洗浄液やエッチング液等の薬液(以下、「基板処理液」という。)を供給する基板処理装置がある。この基板処理装置の基板保持回転機構は複数個の基板保持機構を有し、基板の外周部を把持することで基板を保持している。ところが、このような基板保持回転機構で保持され回転している基板に基板処理液を供給しても、基板保持機構が基板に当接する部分、即ち、基板保持機構で保持された部分には基板処理液が供給されない。従って、従来の基板処理装置は、基板のその部分が基板処理液で処理(洗浄又はエッチング)されないという問題があった。
【0003】
そのため、従来、複数の基板保持機構で基板を保持し、処理工程の途中で基板を交替で保持することで、基板保持機構による保持部分に処理残りが生じないようにした基板処理装置があった。すなわち、複数の基板保持機構で該基板を保持する一方で、他の基板保持機構が交替で該基板を離脱する。しかしながら、この基板処理装置は、機構が複雑で、基板処理の工程で煩雑な処理が必要となる。
【0004】
また、従来、例えば基板の裏面を吸着等することによって基板を保持し、該基板を回転させながら基板の端面に基板処理液を供給する工程を含む第1処理工程と、基板の端面を保持し、該基板を回転させながら基板の裏面に基板処理液を供給する工程を含む第2処理工程とを行う基板処理装置があった。
【0005】
一方、従来の基板処理装置では、基板の薬液処理工程、洗浄液による洗浄工程、乾燥工程といった一連の工程を経る処理を行っていたが、薬液処理工程において基板や基板保持回転機構等に付着した薬液が、基板の表面に跳ね返って付着したり、該薬液がミスト状になって基板上の膜に付着したりすることで、基板が薬液によって汚染されてしまうおそれがある。そのため、薬液処理工程を行う装置と洗浄工程や乾燥工程を行う装置とを分けてそのような汚染を防ぐ必要があった。すなわち、従来、枚葉式基板処理装置で薬液処理、純水洗浄、乾燥といった一連の処理を行う場合、基板乾燥時に薬液が基板上への跳ね返ったり、基板乾燥時に薬液がミストとなって基板上の膜に悪影響を与えないように、基板処理を行う装置と基板の乾燥を行う装置を分けていた。
【0006】
しかしながら、基板の端面を処理するための機構と基板の裏面を処理するための機構とを基板処理装置内で分けたり、薬液処理工程を行う装置と洗浄工程、乾燥工程を行う装置を基板処理装置内で分けたりすると、基板処理装置のフットプリントが増加するという問題や、基板処理のスループットが低下するという問題があった。従って、搬送時間増加によるフットプリント増加やスループット低下を防ぐため、上記処理を1つの装置で実施することが望まれている。
【0007】
また、薬液処理、純水洗浄、乾燥といった一連の処理を1つの装置で実施するものもあるが、この基板処理装置は構造が複雑である上、基板乾燥時に薬液が基板上への跳ね返ることを十分に防止することができない。また、該装置は薬液がミストとなって基板上の膜に悪影響を及ぼすことを充分に防止することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、基板の基板保持部分に処理残りが発生することがなく、洗浄工程や乾燥工程で基板に薬液が付着して汚染されることがない基板処理装置及び方法を提供することを第1の目的とする。
【0009】
また、薬液処理、純水洗浄、乾燥といった一連の処理を1つの装置で行い、基板処理液の跳ね返りや薬液の雰囲気、ミストによる基板の汚染を防止することができる基板処理装置及び方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、基板を保持する基板保持力をその回転速度に応じて変化させつつ該基板を保持する基板保持機構と、上記基板保持機構を回転させて上記基板保持機構により保持された基板を回転させる基板回転機構と、上記基板保持機構により保持された基板の任意の位置に処理液を供給する処理液供給機構とを備えた基板処理装置が提供される。
【0011】
上記基板処理装置は、基板を保持する基板保持力をその回転速度に応じて変化させる基板保持機構を具備するので、基板保持機構の回転速度を設定することで任意の基板保持力を得ることができ、目的とする保持力で基板を保持できる。
【0012】
上記基板処理装置は、上記基板回転機構の回転速度と該基板保持機構に保持された上記基板の回転速度とを相対的に変化させる駆動機構を更に備えていてもよい。これにより、基板の基板保持機構で保持される保持位置を変えることができ、基板に処理残りの部分が発生することを防げる。また、基板を回転させた状態で基板の保持位置を移動させることができるので、基板処理の工程が増えることなく保持部分に処理残りが発生することを防げる。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、基板の外周部を保持する基板保持機構と、上記基板保持機構が取り付けられ、上記基板の少なくとも一面に対向するベース部と、上記ベース部の中央部に設けられた回転軸と、上記基板に薬液と第1の洗浄液とを選択的に供給可能な第1の液供給ノズルと、上記第1のノズルに供給する薬液と第1の洗浄液とを切り替える切替機構と、上記基板保持機構の内壁面と上記ベース部の上面に第2の洗浄液を供給可能な第2の液供給ノズルと、上記基板と上記ベース部との間の空間にガスを供給可能なガス供給ノズルと、上記第1の液供給ノズル、上記第2の液供給ノズル、及び上記ガス供給ノズルを有し、上記回転軸の内部に配置されたノズル構成体とを備えた基板処理装置が提供される。
【0014】
これらのノズルを適宜操作して、薬液、洗浄液、ガスの供給又は停止を行うことにより、基板乾燥時に薬液が基板上に跳ね返ったり、ミストとなって基板上の膜に悪影響を与えることがない。
【0015】
上記第1の液供給ノズルは、上記第1の洗浄液により上記第1の液供給ノズルと上記ノズル構成体の外表面及びその近傍を洗浄できるように構成されていてもよい。これにより、上記第1の液供給ノズルと上記ノズル構成体の外表面及びその近傍を洗浄できるので、この部分から付着する薬液が飛散し、基板上の膜に悪影響を与えることを防止できる。
【0016】
上記基板処理装置は、上記第1の液供給ノズルに接続された第1のラインと、上記第2の液供給ノズルに接続された第2のラインと、上記第1のラインと上記第2のラインの内部に残留する液を排出する液排出機構とを更に備えていてもよい。これにより、乾燥時に基板とベース部との間に負圧が形成されても、液排出機構により、ノズルや該ノズルに接続されたライン内の液がノズルから飛出すことが防止される。従って、基板上に液やミストが付着し基板の膜に悪影響を与えることがない。
【0017】
上記基板処理装置は、上記回転軸とノズル構成体との間の間隙にパージガスを供給可能なパージガス供給ラインを更に備えていてもよい。これにより、回転軸内に液やミストが進入することがない。
【0018】
上記基板処理装置は、上記基板保持機構の外壁面に第3の洗浄液を供給する第3の液供給ノズルを更に備えていてもよい。第3の液供給ノズルは、上述した効果をより効果的に発揮することができる。
【0019】
上記基板処理装置は、上記基板保持機構の外周部に設けられ、該基板保持機構を囲む上下動可能な飛散防止カップを更に備えていてもよい。これにより、飛散防止カップの内壁面もノズル構成体のノズルから供給され基板上面を伝わって流れる洗浄液で洗浄することができるから、飛散防止カップで跳ね返った洗浄液やミストにより基板が汚染されることがない。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、基板保持機構により基板を保持し、上記基板保持機構を基板回転機構により回転させて上記基板を回転させ、上記基板保持機構の回転速度と上記基板の回転速度とを相対的に変化させつつ、回転する基板の任意の位置に基板処理液を供給して基板を処理する基板処理方法が提供される。基板保持機構の回転速度を加速又は減速して該基板保持機構の回転速度と上記基板の回転速度とを相対的に変化させてもよい。
【0021】
これにより、基板保持機構が基板を保持する部分を変えることができる。従って、基板保持機構が基板を保持する部分では基板が処理されないことが防止される。また、基板を処理液で処理しつつ基板保持機構が基板を保持する部分を変えることができる。従って、付加的な工程なしに、保持部分で基板が処理されないことが防止される。
【0022】
上記基板保持機構の回転速度を第1の回転速度から第2の回転速度へと変化させ、該基板保持機構の回転速度を第2の回転速度から第1の回転速度に戻してもよい。これにより、速やかに基板を基板保持回転機構と同じ回転速度に戻すことができる。
【0023】
上記基板保持機構の回転速度を加速又は減速すると同時に又はそれ以降に上記基板処理液の供給を停止してもよい。これにより、基板保持機構が基板を保持する部分における摩擦力を大きくできる。従って、基板の回転速度を基板保持機構と同じ回転速度により速やかに戻すことができる。
【0024】
本発明の第4の態様によれば、基板保持機構により基板を保持し、上記基板保持機構を基板回転機構により回転させて上記基板を回転させ、回転する基板に処理液を供給して基板を処理し、上記処理液の供給後に、上記基板を第1の高回転速度で回転させ、第1の高回転速度で回転する基板の少なくとも一面に洗浄液を供給し、該基板に付着した上記処理液を洗浄し、上記基板の少なくとも一面を上記洗浄液で覆った状態で上記基板保持機構及び上記基板回転機構の少なくとも1つに付着した薬液を除去する基板処理方法が提供される。上記第1の高回転速度は1000〜3000rpmの範囲とすることができる。
【0025】
この場合には、基板保持機構から薬液が飛散しても、該薬液が基板に付着することが防止される。また、基板保持機構から薬液が飛散し跳ねた際にミストになってこれが基板の表面や裏面に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0026】
上記基板を第2の高回転速度で回転させて上記洗浄液を除去し上記基板を乾燥させてもよい。この場合において、任意の時間上記基板を上記第1の高回転速度と略同一の高回転速度で回転させてもよい。洗浄工程で基板保持機構が高速で回転するので、該基板保持機構に付着した薬液が確実に除去される。また、洗浄工程で基板保持機構に付着した薬液を確実に除去できるので、該薬液が乾燥工程で基板に付着して基板の汚染を引き起こすことが防止される。
【0027】
本発明の第5の態様によれば、基板保持機構により基板を保持し、上記基板保持機構を基板回転機構により回転させて上記基板を回転させ、回転する基板に処理液を供給して基板を処理し、回転する基板に洗浄液を供給して上記基板保持機構を洗浄する基板処理方法が提供される。上記洗浄液を供給しながら上記基板保持機構を300rpmよりも低い回転速度で回転させてもよい。これにより、基板を洗浄するときに基板保持機構に付着した薬液を洗浄することができる。
【0028】
本発明の第6の態様によれば、基板保持機構により基板を保持し、上記基板保持機構を基板回転機構により回転させて上記基板を回転させ、回転する基板に処理液を供給して基板を処理し、上記処理液の供給後に、上記基板を第1の高回転速度で回転させ、第1の高回転速度で回転する基板の少なくとも一面に洗浄液を供給し、該基板に付着した上記処理液を洗浄し、上記基板の少なくとも一面を上記洗浄液で覆った状態で上記基板保持機構及び上記基板回転機構の少なくとも1つに付着した薬液を除去し、回転する基板に洗浄液を供給して上記基板保持機構を洗浄し、任意の時間上記基板を第1の高回転速度と略同一の第2の回転速度で回転させ、上記洗浄液を除去し上記基板を回転させる基板処理方法が提供される。上記洗浄液として、純水、脱気水、ガス溶存水を用いてもよい。
【0029】
これにより、基板保持機構が高速で回転されるので、基板保持機構に付着した薬液を基板の洗浄工程で確実に除去することができる。薬液が基板保持機構から基板上に飛散しても、薬液が基板に付着することが防止される。また、基板保持機構から飛散した薬液が跳ねた際にミストになってこれが基板の表面や裏面に悪影響を及ぼすことが防止される。また、基板保持機構の洗浄工程によって、基板保持機構に付着した薬液を確実に除去することができる。それに加えて、基板の洗浄工程及び基板保持機構の洗浄工程において基板保持機構に付着した薬液が確実に除去される。従って、乾燥工程において基板に薬液が付着することが防止され、基板の汚染が防止される。
【0030】
上記処理液を基板の外周部に供給することで、該基板の外周部に形成された膜を除去してもよい。上記除去される膜を、Cu、Co、Co合金、Ta、Ta−N、W、W−N、Ti、Ti−N、Ni、Ru、P、B、Moのうちのいずれか一つを含む膜、又はCu、Co、Co合金、Ta、Ta−N、W、W−N、Ti、Ti−N、Ni、Ru、P、B、Moのうちのいずれか一つを含む膜を複数積層した膜としてもよい。これにより、基板の膜を処理する途中で、基板保持機構が基板を保持する部分を移動させることができる。従って、基板の外周部に形成された膜を、処理残りの部分を生じさせずに除去することができる。また、膜を除去する処理の途中で基板の保持部を移動させることができるので、付加的な工程なしに、保持部分で基板が処理されないことが防止される。
【0031】
本発明の第7の態様によれば、基板保持機構により基板を保持し、上記基板保持機構を基板回転機構により回転させて上記基板を回転させ、回転する基板に処理液を供給して基板を処理し、第1の液供給ノズルから薬液を上記基板に供給し、上記第1の液供給ノズルから供給される液体を洗浄液に切替え、上記洗浄液を上記基板に供給し、上記第1の液供給ノズル及びその近傍に洗浄液を供給して該第1の液供給ノズル及びその近傍を洗浄し、上記基板保持機構を回転させ上記基板に付着する液を除去して乾燥する基板処理方法が提供される。
【0032】
これにより、乾燥工程において薬液が基板上へ跳ね返ることが防止される。また、薬液のミストが基板上の膜上に悪影響を与えることが防止される。また、第1の液供給ノズル及び第1の液供給ノズルの近傍を洗浄することができるので、第1の液供給ノズル及び第1の液供給ノズルの近傍に残留する液やそのミストにより基板上の膜に悪影響を与えることがない。
【0033】
上記洗浄液の供給を停止し、上記停止後、上記基板の乾燥前に上記第1の液供給ノズルと該第1の液供給ノズルに接続されたライン内に残留する液を排出してもよい。これにより、乾燥工程において基板とベース部との間に負圧が形成されても、液排出機構により、ノズルや該ノズルに接続されたライン内の液がノズルから飛出すことが防止される。従って、基板上に液やミストが付着し基板の膜に悪影響を与えることがない。
【0034】
また、上記基板の乾燥前に第2の液供給ノズルから洗浄液を供給し、上記基板保持機構の内壁面と、該基板保持機構が取り付けられたベース部の上面とを洗浄してもよい。これにより、基板保持機構の内面とベース部の上面とを洗浄することができるので、基板の膜への悪影響をより効果的に防止することができる。
【0035】
上記基板の乾燥の際に、上記基板と、該基板保持機構が取り付けられたベース部との間の空間にガス供給ノズルからガスを供給してもよい。これにより、ミスト等が該空間に進入できなくなり、ミストが悪影響を与えることが防止される。このガスにより基板の下面中央部にある液を吹き飛ばすことができる。従って、ガスは、スピン乾燥時に振りきりにくい基板の下面中央を乾燥する補助の作用を奏する。
【0036】
上記第1の液供給ノズル及びその近傍の洗浄において、上記ガス供給ノズルから上記基板と上記ベース部との間の空間にガスを供給してもよい。ガスにより液が該空間に侵入することが防止されるので、乾燥工程においてガスを効果的に供給することができる。
【0037】
本発明の上述した目的ならびにその他の目的及び効果は、本発明の好ましい実施形態を一例として図示した添付図面と照らし合わせれば、以下に述べる説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明に係る基板処理装置の実施形態について、図1から図16を参照して詳細に説明する。なお、図1から図16において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0039】
図1に本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置1の概略構成を示す。図1に示すように、この基板処理装置1は、処理対象である半導体ウエハ等の基板Wを回転させる基板回転機構としての回転軸22と、回転軸22の上端部から水平方向外側に放射状に延伸して設けられた複数個のベース部17と、ベース部17の先端部に設けられた基板保持機構14とで構成される基板保持回転機構20を具備している。ベース部17及び基板保持機構14は、複数組(少なくとも3組)設けられており、複数個の基板保持機構14の中央部に基板Wが保持される。
【0040】
基板処理装置1は、回転軸22に取り付けられた駆動装置を有している。基板保持回転機構20は、基板保持機構14により基板Wを保持した状態で回転軸22を中心に基板Wを回転させる。駆動装置は、基板保持回転機構20を任意の加速度で加速/減速させ、目的とする回転速度で回転軸22を回転させる。例えば、Si基板に積層された熱酸化膜、Cuスパッタ膜及び熱酸化膜上に積層されたCuめっき膜を有するSi基板を用いてもよい。熱酸化膜は1000Åの厚さでもよい。Ta−N膜は300Åの厚さでもよい。Cuスパッタ膜は1500Åの厚さでもよい。なお、熱酸化膜はSi基板の表面と裏面の両面に積層され、それ以外の膜は、Si基板の表面にのみ積層されている。
【0041】
基板処理装置1は、基板保持回転機構20の内側中央部付近に配置されたノズル構造体5を備えている。ノズル構造体5は、基板保持機構14に保持された基板Wの裏面側に向かって開口したノズル15と、略水平方向に向かって開口したノズル16とを有する。ノズル構造体5は、回転軸22とは別に構成されており、回転軸22が回転しても回転することはない。ノズル15は基板Wの裏面に基板処理液を供給し、ノズル16は、略扇形状に基板処理液を噴出しベース部17の上面や基板保持機構14の内側(回転軸22側)の面に基板処理液を供給する。
【0042】
また、ノズル15には、基板洗浄液を供給する薬液ライン31,32と、他の薬液を供給する薬液ライン33とが接続されており、これら薬液ライン31,32,33に設けたバルブ31a,32a,33aをそれぞれ開閉することで、ノズル15から供給される基板処理液の種類を切り替えることができる。このようにして、バルブ31a,32a,33aは、ノズル15に供給される基板処理液を切り替えるための切替装置として作用する。また、ノズル16には基板洗浄液を供給する液供給ライン34が接続されており、この液供給ライン34にはバルブ34aが設けられている。ここで、基板洗浄液としては、一般にDIW(純水)又はガス溶存水が使用されるが、他の薬液を使用して洗浄を行う場合もある。
【0043】
基板処理装置1はまた、基板保持回転機構20を洗浄液で洗浄する基板保持回転機構20の外側に設置されたノズル18を備えている。このノズル18は、その先端部から略扇形状に噴射された洗浄液を、基板保持機構14の外側(回転軸22と反対側)の面とベース部17の外側の面に供給することでこれらの面を洗浄する。なお、ノズル18には、バルブ37aを取り付けた洗浄液ライン37が接続されている。
【0044】
基板処理装置1は更に、基板保持回転機構20の上方に設置されたノズル11及び12を備えている。ノズル11は基板Wの表面に洗浄液を供給し、ノズル12は基板Wの表面に薬液を供給する。ノズル11はバルブ35aが設けられた液供給ライン35に接続されている。ノズル12はバルブ36aが設けられた液供給ライン36に接続されている。これらノズル11と12とから供給される洗浄液及び薬液の流量はそれぞれ、バルブ35aと36aの開度を調整することで多段階に切り替えることができる。
【0045】
基板処理装置1には、基板Wに供給された基板処理液が飛散するのを防止する飛散防止カップ13が設置されている。飛散防止カップ13は基板保持回転機構20を囲むように設置されている。飛散防止カップ13は上下方向に移動し、図1に示す位置、即ち基板保持機構14と略同じ高さの位置にあるときは、主にその傾斜部13aで基板保持回転機構20及び基板Wから飛散する基板処理液を受け止める。
【0046】
図1に示すように、基板処理装置1は、飛散防止カップ13の外側に設置されたアーム部23を備えている。アーム部23は揺動及び上下動自在に構成されている。このアーム部23の先端部に、基板Wに基板処理液を供給するエッジノズル19が取り付けられている。アーム部23は、エッジノズル19を所望の位置に移動させることができ、例えば、エッジノズル19を基板Wの上部に位置させて基板Wの任意の場所に基板処理液を供給したり、エッジノズル19を飛散防止カップ13の外側に待避させたりすることができる。なお、エッジノズル19には、バルブ38aを取り付けた液供給ライン38が接続されている。
【0047】
また、回転軸22はN2バルブ39aが設けられたN2ガス供給ライン39に接続されている。基板Wの処理中は、N2バルブ39aを開いてN2ガス供給ライン39からN2ガスを供給することで、基板Wの処理中に、基板洗浄液や薬液等の基板処理液が回転軸22内に入り込むのを防いでいる。
【0048】
以下、基板保持機構14の構成について詳細に説明する。図2A及び図2Bは基板保持機構14の1つを示す部分拡大図で、図2Aは基板保持機構14の平面図であり、図2Bは図2AのA−A部分概略断面図である。図2A及び図2Bに示すように基板保持機構14は、本体部25上部の回転軸22側に形成された水平面25a及び、基板Wを載置する水平面25a上に設置された凸部25cを有する本体部25を備えている。また、本体部25には、互いに所定の間隔をおいて対面する一対の側板部25b,25bが形成され、これら側板部25b,25bの間に支軸29が水平に掛け渡され、この支軸29が爪部27に挿通されており、爪部27は支軸29を中心として回動自在に取り付けられている。
【0049】
爪部27の支軸29が挿通された位置は、爪部27の支軸29よりも下側に位置する下部27aの質量が、爪部27の支軸29よりも上側に位置する上部27bの質量よりも大きくなる位置となっている。基板保持回転機構20が回転する際、基板保持機構14が図2Aに示すB方向に回転し、この回転速度が加速していくと、爪部27に遠心力が働き、爪部27は支軸29を中心として図3Aに示す方向、即ち、爪部27の上部27bに設けられた押え部28が基板Wの上面に当接する方向に回動する。そして、図3Bに示すように、凸部25cに載置された基板Wを、押え部28が凸部25cの上側から挟み込んでこれを保持する。
【0050】
押え部28が基板Wを押え込む力、即ち基板保持機構14が基板Wを保持する保持力は、基板保持回転機構20の回転速度によって決まり、基板保持回転機構20の回転速度が大きくなるほど基板保持機構14の保持力が大きくなる。従って、基板保持回転機構20の回転速度を加速するに従って、押え部28及び凸部25cと基板Wとの当接部分に生じる静止摩擦力又は最大摩擦力又は動摩擦力等の摩擦力が増加することとなる。
【0051】
次に、基板保持機構14で保持された基板Wを保持する保持位置を移動させる方法について説明する。まず、図2A及び図2Bに示すように、基板保持機構14の凸部25cに基板Wを載置し、その状態で基板保持機構14を回転させる。基板保持機構14の回転速度を上げていくと、爪部27は次第に図3Aの矢印Cに示した方向に回動し始め、図3Bに示すように、押え部28が基板Wを基板Wの上側から押え込むことで、押え部28と凸部25cとで基板Wが保持される。このとき基板保持機構14で保持された基板Wは、基板保持機構14と一体となって回転する。更に基板保持機構14の回転速度を上げていくと、基板保持機構14が基板Wを保持する保持力が増加する。ここで、所望の保持力になるまで基板保持機構14の回転速度を上げた後、基板保持機構14の回転速度(これを、以下「初期回転速度」という)を一定に保つ。
【0052】
初期回転速度からの基板保持機構14の回転速度の変化の例を図4Aから図4C、図5A及び図5Bに示す。まず、図4Aに示すように、初期回転速度N0(図4Aの場合、350rpm)で回転する基板保持機構14の回転速度を、基板Wに生じる慣性力が、押え部28及び凸部25cと基板Wとの当接部分に生じる静止摩擦力(最大摩擦力)よりも大きな値となるような加速度α1(図4Aでは1000rpm/s)で加速させて、基板保持機構14の回転速度N1(図4Aでは400rpm)に加速することで、押え部28及び凸部25cと基板Wとの当接部分にすべりを生じさせて、押え部28が基板Wを保持している保持位置を移動させる。このとき、基板保持機構14に対する基板Wの相対回転速度が変化し、基板Wは、基板保持機構14に対して相対的に移動を始める。その後、押え部28及び凸部25cと基板Wとの当接部分に生じる動摩擦力によって、次第に基板Wの基板保持機構14に対する相対回転速度が減速してゆき、所定時間経過後には、再び基板Wの回転速度と基板保持機構14の回転速度は同じ回転速度N1になり、基板Wは当初の保持位置と異なる位置で保持された状態で、基板保持機構14と一体に回転する。
【0053】
また、一方で図5Aに示すように、初期回転速度n0(図5Aの場合400rpm)で回転する基板保持機構14の回転速度を、基板Wに生じる慣性力が、押え部28及び凸部25cと基板Wとの当接部分に生じる静止摩擦力(最大摩擦力)よりも大きな値となるような加速度β1(図5Aでは−1000rpm/s)で減速させて、回転速度n1(図5Aでは350rpm)にすることで、押え部28及び凸部25cと基板Wとの当接部分にすべりが生じて、押え部28が基板Wを保持している保持位置が、前記した加速度α1で回転速度を加速させた場合とは逆の方向に移動する。この場合も、基板保持機構14に対して相対的に移動を始めた基板Wは、その後、押え部28及び凸部25cと基板Wとの当接部分に生じる動摩擦力によって、次第に基板保持機構14に対する相対速度が減速していく。所定時間経過後には、基板Wと基板保持機構14の回転速度は同じ回転速度n1になり、基板Wは当初の保持位置と異なる位置で保持された状態で、基板保持機構14と一体に回転する。
【0054】
また、基板保持機構14の回転速度を変化させた後、基板Wの回転速度が基板保持機構14と同じ回転速度に達するのに時間がかかる場合は、基板保持機構14の回転速度は次のように制御してもよい。図4B、図5Bに示すように、加速度α1及び加速度β1で基板保持機構14の回転速度を回転速度N1又は回転速度n1に加速又は減速させる。回転速度N1又は回転速度n1を一定に保って所定の時間(保持時間T1とする)回転させた後、再び基板保持機構14の回転速度を加速度α2(図4Bの場合−100rpm/s)又は加速度β2(図5Bの場合100rpm/s)で減速又は加速させて、初期回転速度N0又はn0に等しい回転速度N2又はn2にする。このように、一度、加速又は減速させた基板保持機構14の回転速度を、その後、減速又は加速させて初期回転速度に一致させ、あるいは近づけることで、より早く基板Wの回転速度を基板保持機構14と同じ回転速度にすることができる。
【0055】
また、特に基板保持機構14の回転速度を加速させた際には、基板Wに押え部28と凸部25cとの当接部分に生じる摩擦力(動摩擦力)がかかっても、基板Wの相対回転速度が減速していく場合もある。このときには、図4Cに示すように、基板保持機構14の回転速度を初期回転速度N0から加速度α1で加速させた後、すぐに加速度α2で減速させて、初期回転速度N0以下の回転速度N1で一定に保つことで、速やかに基板Wの回転速度を基板保持機構14の回転速度と同じ回転速度にすることができる。
【0056】
また、基板Wの回転速度と基板保持機構14の回転速度とが異なることで、基板保持機構14による保持位置がずれているときに、基板保持機構14の凸部25cや押え部28と基板Wとの接触部分に基板処理液が入り込むと、押え部28や凸部25cと基板Wとの当接部分に生じる摩擦力が小さくなってしまう場合がある。そこで、速やかに基板Wを基板保持機構14と同じ回転速度にするためには、所定のタイミングにおいて、ノズル15,16,11,12等からの基板処理液の供給を停止すればよい。例えば、基板保持機構14の回転速度を加速させると同時に、ノズル15から基板Wの裏面への基板処理液の供給を停止すれば、基板保持機構14の回転速度に対する基板Wの回転速度が変化するときに凸部25cや押え部28と基板Wとの接触部分に基板処理液が入り込まないので、この接触部分における摩擦力を大きくすることができる。その結果、基板保持機構14の回転速度と基板Wの回転速度を速やかに同じ回転速度にすることができる。基板処理液の供給の停止は、必ずしも基板保持機構14の回転速度を加速させるのと同時でなくともよい。基板保持機構14の回転速度を加速させた後、それ以降においてノズル15から基板Wの裏面への基板処理液の供給を停止してもよい。
【0057】
なお、基板保持機構14の回転速度に対する基板Wの相対回転速度を変化させる方法は上記に限られるのではなく、例えば、基板保持回転機構20の初期回転速度が低い場合は、押え部28が基板Wに当接せずに、基板Wが押え部28で保持されていない状態で回転するが、この場合には、基板Wの裏面に、ノズル15から基板処理液を供給することで、供給された処理液が基板Wに対する抵抗となり、基板保持機構14の回転速度に対する基板Wの相対回転速度を変化させることができる。また、ノズル15から基板Wの裏面に供給する基板処理液の流量及び流速を大きくして、基板Wを持ち上げて、凸部25cと基板Wの間に隙間を作ることで、基板保持機構14の回転速度に対する基板Wの相対回転速度を低くすることもできる。
【0058】
以上のような、初期回転速度N0又はn0、初期回転速度N0又はn0から加速度α1又はβ1で変化させた後の回転速度N1又はn1、回転速度N1又はn1の保持時間である保持時間T1や、回転速度N1又はn1から加速度α2又はβ2で変化させた後の回転速度N2又はn2、回転速度N2又はn2の保持時間である保持時間T2等の条件により定まる基板保持機構14の回転動作や、基板処理液の供給を停止させるタイミングや、基板Wに形成される膜種や、基板Wの処理条件等に応じて、基板保持機構14で基板Wを保持する保持位置が移動する移動量についてのデータベースを構築すれば、このデータベースを用いることで、所望の移動量を得るために必要な回転動作を割り出すことができ、その条件で基板保持機構14を回転させて基板Wを処理することができる。
【0059】
また、図1に示すように、基板処理装置1はノッチ/オリエンテーションフラットセンサー21を備えてもよい。ノッチ/オリエンテーションフラットセンサー21は、基板Wの処理中に、基板Wのノッチ/オリエンテーションフラット位置の移動有無、及びその移動量を計測することもできる。また、基板処理の工程中に、基板保持位置の所望の移動量が得られなかった場合には、予め設定された回数だけ上記した基板保持機構14の回転速度を変化させる動作を繰り返し、その後、所望の移動量が得られたかどうかの判定をする作業を繰り返すこともできる。更に、警報機(図示せず)を設けて、上記判定の結果所望の移動量が得られなかった場合には、警報を発するように構成することもできる。
【0060】
上述したように、基板保持機構14の回転速度に対する基板Wの相対的な回転速度を変化させることで、基板保持機構14が基板Wを保持する保持位置を移動させ、またその保持位置の移動量を所望の移動量に設定することができる。
【0061】
次に、上述した基板処理装置1を用いた基板処理の工程例を説明する。この例では、基板Wの洗浄とベベル部分(エッジ部及びその近傍)のエッチングを行う場合について、図6に示すフローチャートと、図1、図6乃至図9とを用いて説明する。
【0062】
まず、基板処理装置1の飛散防止カップ13を、図7に示す位置まで下降させて、その状態で、ロボットハンド(図示せず)等で基板Wを搬送して基板保持機構14の中央部に落とし込む。これにより基板Wを凸部25c上に載置する(STEP1)。
【0063】
飛散防止カップ13を上昇させて、図1に示す位置に移動する(STEP2)。
【0064】
基板保持回転機構20を回転させて、基板保持機構14及びその上に載置された基板Wを初期速度350rpmで回転させる。このとき、初期速度に達するまでの基板保持回転機構20の加速度を、400rpm/sに設定する。この加速度では、基板Wの自重により基板Wと凸部25cとの間に生じる静止摩擦力(最大摩擦力)の方が、基板Wに生じる慣性力よりも大きいので、基板保持機構14による基板Wの保持部分が基板保持機構14からすべることはなく、基板Wの回転速度は基板保持機構14の回転速度に対して相対的に変化しない。そして、基板Wが回転速度350rpmで回転している状態で、ノズル12から基板Wの表面に薬液として硫酸を供給し、また、ノズル15から基板Wの裏面に薬液として硫酸と過酸化水素水の混合液を供給して、基板処理を行う(STEP3)。
【0065】
同じく基板Wが回転速度350rpmで回転している状態で、アーム部23を上方に移動し、エッジノズル19を飛散防止カップ13よりも高い位置に移動させた後、アーム部23の軸を回転させて基板Wの上部にエッジノズル19を移動させる。更に、エッジノズル19を基板Wの上面から2cm程度の高さに移動させ、図8に示す状態にする。この位置で、エッジノズル19から薬液として過酸化水素水を基板Wの外周部に供給する。詳細にはその供給位置は、基板Wの端部(外周端部)から内側に3mm以内の位置とし、これにより、基板Wの端部より内側3mmまでの部分を、ノズル12から供給される硫酸と、エッジノズル19から供給される過酸化水素水との混合液で処理することで、この部分に形成されたCu膜をエッチングする(STEP4)。なお、この状態では、基板Wの、基板保持機構14で保持された保持部分には処理液が供給されないため、この保持部分のエッチング処理は行われない。
【0066】
ノズル12で供給する硫酸と、エッジノズル19で供給する過酸化水素水との混合液を所定の時間供給した後、基板保持機構14による基板Wの保持位置を移動させるため、これら薬液を供給し続けた状態で、基板保持機構14の回転速度を400rpmに上げる。このとき、基板保持機構14の回転速度の加速度は1000rpm/sとする。この動作によって基板保持機構14が基板Wを保持する保持部分にすべりが生じて、当初に基板保持機構14で基板Wを保持していた保持位置が移動するので、基板処理液は基板Wの全表面及び全側面に供給されることとなる。なお、基板Wの回転速度は、所定時間経過後に基板保持機構14の回転速度と同じ回転速度である400rpmまで上昇し、再び基板Wは基板保持機構14と一体に回転する(STEP5)。
【0067】
更に基板Wに所定の時間薬液を供給した後、ノズル12からの薬液の供給を停止し、ノズル11から洗浄液であるDIWを基板Wに供給すると共に、ノズル15から、硫酸と過酸化水素水の混合液に代えて、洗浄液であるDIWを供給する。また、アーム部23を上下動及び揺動させることにより、エッジノズル19を飛散防止カップ13の外部まで移動させ、図1に示す位置に待避させる(STEP6)。
【0068】
そして、飛散防止カップ13を下降させて、図9に示す位置に移動させる(STEP7)。このとき、基板Wや基板保持機構14に付着した基板処理液が、飛散防止カップ13に飛んでその内壁部で跳ねが生じることを少なくするために、基板保持回転機構20の回転速度は100rpm〜300rpm程度とすることが望ましい。
【0069】
飛散防止カップ13の移動が完了した後、ノズル18からDIWを供給し、基板保持機構14の外側面、及びベース部17の外側面を洗浄する。また、ノズル16からDIWを供給し、ベース部17の上面、及び基板保持機構14の回転軸22側の面(内側面)を洗浄する。また、ノズル15に接続された薬液ライン31からのDIWの供給を停止し、薬液ライン32からDIWの供給を行う。薬液ライン32からDIWを供給する流量及び流速は、DIWが基板Wの裏面に到達しない程度の流量、流速とし、これによりノズル15、ノズル16自体をDIWで洗浄する(STEP8)。
【0070】
上記の洗浄処理を所定時間行った後、飛散防止カップ13を再び図1に示す位置まで上昇させる(STEP9)。
【0071】
そして、ノズル11,15,16,18からのDIWの供給を停止し、基板保持回転機構20の回転速度を2000rpmに上げて基板Wのスピン乾燥を行う。このとき、回転速度が2000rpmに達するまでの基板保持機構14の回転速度の加速度を400rpm/sとし、この加速度では基板保持機構14による基板Wの保持部分に基板保持機構14からのすべりが生じないので、基板Wの回転速度は、基板保持機構14の回転速度に対して相対的に変化することはない。また、STEP8で供給したDIWにより、飛散防止カップ13の内壁や、基板保持回転機構20はすでに洗浄されているため、基板Wは、薬液の影響のない状態でスピン乾燥される(STEP10)。
【0072】
所定の時間スピン乾燥を行った後、基板保持回転機構20の回転を止めて基板Wの回転を停止させ、基板Wの処理を終了する。このとき、基板保持回転機構20を停止させるまでの基板保持回転機構20の加速度は−400rpm/sとし、この加速度では基板保持機構14による基板Wの保持部分に基板保持機構14からのすべりが生じないので、基板Wの回転速度は、基板保持機構14の回転速度に対して相対的に変化することはない。基板Wの回転が停止したら、飛散防止カップ13を図7に示す位置まで下降させ、ロボットハンドで基板Wを取り出す(STEP11)。
【0073】
上記一連の工程により、基板W上面の外周端部から内側3mmまでの部分と、基板Wの側面とに形成されたCu膜のエッチングと、基板Wの裏面の洗浄とを行うことができる。また、基板Wの表面に供給した硫酸により、基板Wの表面に形成されたCu膜の表面に薄く存在するCu酸化膜を除去することができる。なお、このCu酸化膜の除去が不要な場合は、STEP3で、ノズル12から硫酸を供給する工程に代えて、ノズル11からDIWを供給し、STEP4で、エッジノズル19から過酸化水素水を供給する代わりに硫酸と過酸化水素水の混合液を供給してもよい。
【0074】
なお、上記した基板Wの外周部に形成された除去される不必要な膜はCu膜に限定されない。例えば本発明では、Co、Co−W−PやCo−W−B等のCo合金、Ta、Ta−N、W、W−N、Ti、Ti−N、Ni、Ru、P、B及びMoのうちのいずれか1つを含む膜、又はこれらのうちのいずれか1つを含む膜を複数積層した膜であってもよい。
【0075】
次に、基板処理装置1を用いた基板処理の他の工程を説明する。ここでは、基板Wの洗浄とベベル部分(エッジ部及びその近傍)のエッチングを行う場合について、図10に示すフローチャートと、図1、図7乃至図9とを用いて説明する。
【0076】
まず、基板処理装置1の飛散防止カップ13を図7に示す位置まで下降させて、その状態で、ロボットハンド(図示せず)等で基板Wを搬送して基板保持機構14の中央部に落とし込む。これにより基板Wを基板保持機構14の凸部25c上に載置する(STEP1)。
【0077】
飛散防止カップ13を上昇させて、図1に示す位置に移動する(STEP2)。
【0078】
基板保持回転機構20を回転させて、基板保持機構14及びその上に載置された基板Wを初期速度350rpmで回転させる。このとき、初期速度に達するまでの基板保持回転機構20の加速度を、400rpm/sに設定する。この加速度では、基板Wの自重により基板Wと凸部25cとの間に生じる静止摩擦力(最大摩擦力)の方が、基板Wに生じる慣性力よりも大きいので、基板保持機構14による基板Wの保持部分が基板保持機構14からすべることがなく、基板Wの回転速度は、基板保持機構14の回転速度に対して相対的に変化することはない。そして、基板Wが回転速度350rpmで回転している状態で、ノズル12から基板Wの表面に薬液として硫酸を供給し、また、ノズル15から基板Wの裏面に薬液として硫酸と過酸化水素水の混合液を供給して基板処理を行う(STEP3)。
【0079】
基板Wが回転速度350rpmで回転している状態で、アーム部23を上方に移動し、エッジノズル19を飛散防止カップ13よりも高い位置に移動させた後、アーム部23の軸を回転させて基板Wの上部にエッジノズル19を移動させる。更に、エッジノズル19を基板Wの上面から2cm程度の高さに移動させ、図8に示す状態にする。この位置で、エッジノズル19から薬液として過酸化水素水を基板Wの外周部に供給する。その供給位置は、詳細には、基板Wの端部(外周端部)から内側に3mm以内の位置とし、これにより、基板Wの端部より内側3mmまでの部分を、ノズル12から供給される硫酸と、エッジノズル19から供給される過酸化水素水との混合液で処理することで、この部分に形成されたCu膜をエッチングする(STEP4)。なおこの状態では、基板Wの、基板保持機構14で保持された保持部分には処理液が供給されないため、この保持部分のエッチング処理は行われない。
【0080】
ノズル12で供給する硫酸と、エッジノズル19で供給する過酸化水素水との混合液を所定の時間供給した後、基板保持機構14による基板Wの保持位置を移動させるため、これら薬液を供給し続けた状態で、基板保持機構14の回転速度を400rpmに上げる。このとき、基板保持機構14の回転速度の加速度は1000rpm/sとする。この動作によって基板保持機構14が基板Wを保持する保持部分にすべりが生じて、当初に基板保持機構14で基板Wを保持していた保持位置が移動するので、基板処理液は基板Wの全表裏面及び全側面に供給されることとなる。なお、基板Wの回転速度は、所定時間経過後に基板保持機構14の回転速度と同じ回転速度である400rpmまで上昇し、再び基板Wは基板保持機構14と一体に回転する(STEP5)。
【0081】
基板Wに所定の時間薬液を供給した後、ノズル11から洗浄液であるDIWの供給を開始し、その後、ノズル12からの薬液の供給を停止する。ここでは、基板Wの表面が露出した状態になることを防止するため、ノズル11から洗浄液であるDIWの供給を開始した後で、ノズル12からの薬液の供給を停止することが望ましい。一方、ノズル15から、硫酸と過酸化水素水の混合液に代えて、洗浄液であるDIWを供給する。また、アーム部23を上下動及び揺動させることにより、エッジノズル19を飛散防止カップ13の外部まで移動させ、図1に示す位置に待避させる(STEP6)。
【0082】
基板Wの表面及び裏面にノズル11及び15から所定の時間DIWを供給し、基板Wの表裏面に付着した薬液をそれぞれ洗浄する。また、ノズル16からDIWを供給し、ベース部17の上面、及び基板保持機構14の回転軸22側の面(内側面)を洗浄する。更に、ノズル15に接続された薬液ライン31からのDIWの供給を停止し、薬液ライン32からDIWの供給を行う。この薬液ライン32からDIWを供給する流量及び流速は、DIWが基板Wの裏面に到達しない程度の流量、流速とし、これによりノズル15及び16自体をDIWで洗浄する(STEP7)。
【0083】
基板Wの表面及び裏面にDIWを供給している状態で、基板保持回転機構20の回転速度を2000rpmに上げる(STEP8−1)。これにより基板保持機構14に付着した薬液を振り飛ばして除去することができる。このとき、基板Wの表面及び裏面にはそれぞれノズル11及びノズル15からDIWが供給されていることで、該基板Wの表裏面はDIWによって覆われており、基板保持機構14から基板Wに振り飛ばされた薬液が基板Wに向かって跳ねても、これが基板Wの表面及び裏面に付着することを防止できる。また、基板保持機構14から飛散した薬液が飛散防止カップ13等に当たって跳ね返った際にこれがミスト状になって基板Wの表面や裏面に悪影響を及ぼすことを防止できる。なおここでは、基板保持回転機構20の回転速度は、後述するスピン乾燥工程における基板保持回転機構20の回転速度と等しい回転速度である2000rpmとした。このように、洗浄工程において、任意の時間スピン乾燥工程と同程度の高い回転速度で基板保持回転機構20を回転させることによって、基板保持機構14に付着した薬液を確実に振り飛ばして除去することができる。
【0084】
基板Wの表面及び裏面にDIWを供給している状態で、基板保持回転機構20の回転速度を50rpmに落とす(STEP8−2)。この回転速度では、基板Wに供給されたDIWが基板保持機構14を伝って流れるため、基板保持機構14に付着した薬液をDIWによって洗浄して落とすことができる。
【0085】
STEP8−1とSTEP8−2の工程は、いずれか片方のみを行ってもよいし両方を行っても良い。STEP8−1とSTEP8−2の工程の両方を行う場合はその順序は上記に限定されず、STEP8−2の工程をSTEP8−1の工程より先に行ってもよい。
【0086】
次に、基板保持回転機構20の回転速度を100rpmと加速し、その後飛散防止カップ13を図9に示す位置に移動させる(STEP9)。このとき、基板Wや基板保持機構14に付着した基板処理液が、飛散防止カップ13に飛んでその内壁部で跳ねが生じることを少なくするために、基板保持回転機構20の回転速度は100rpm〜300rpm程度とすることが望ましい。飛散防止カップ13が図9に示す位置にあると、飛散防止カップ13の内壁上部で、基板Wや基板保持機構14から飛んだDIWを飛散防止カップ13が受け止める。このとき、適切な基板Wの回転速度やDIWの流量を設定することで、飛散防止カップ13の上部内壁で受け止められたDIWが飛散防止カップ13の内壁の下方に流れて行き、飛散防止カップ13の内壁を洗浄することができる。
【0087】
所定の時間DIWによる洗浄を行った後、飛散防止カップ13を図1に示す位置に移動させる(STEP10)。
【0088】
そして、ノズル11,15,16からのDIWの供給を停止し、基板保持回転機構20の回転速度を2000rpmに上げてスピン乾燥を行う(STEP11)。このとき、STEP6〜STEP9で供給したDIWにより、飛散防止カップ13の内壁や基板保持回転機構20はすでに洗浄されているため、基板Wは、薬液の影響のない状態でスピン乾燥される。
【0089】
所定の時間スピン乾燥を行った後、基板保持回転機構20の回転を止めて基板Wの回転を停止させ、基板Wの処理を終了する。基板Wの回転が停止したら、飛散防止カップ13を図7に示す位置まで下降させ、ロボットハンドで基板Wを取り出す(STEP12)。
【0090】
上記一連の工程により、基板W上面の外周端部から内側3mmまでの部分と、基板Wの側面とに形成されたCu膜のエッチングと、基板Wの裏面の洗浄とを行うことができる。また、基板Wの表面に供給した硫酸により、Cu膜の表面に薄く存在するCu酸化膜を除去することができる。なお、このCu酸化膜の除去が不要な場合は、STEP3で、ノズル12から硫酸を供給する工程に代えて、ノズル11からDIWを供給し、STEP4で、エッジノズル19から過酸化水素水を供給する代わりに硫酸と過酸化水素水の混合液を供給してもよい。
【0091】
なお、基板Wの外周部に形成された除去される不必要な膜はCu膜に限定されない。例えば本発明では、Co、Co−W−PやCo−W−B等のCo合金、Ta、Ta−N、W、W−N、Ti、Ti−N、Ni、Ru、P、B及びMoのうちのいずれか1つを含む膜、又はこれらのうちのいずれか1つを含む膜を複数積層した膜であってもよい。
【0092】
上記した工程によれば、STEP8−1の洗浄工程において、基板Wの表面及び裏面にDIWを供給してこれを覆いながら基板保持機構14を高速で回転させるので、基板保持機構14に付着した薬液を確実に振り落とすことができ、且つ基板Wの表裏面が薬液で汚染されることを防止できる。これにより、STEP11のスピン乾燥の工程では、基板保持機構14に付着した薬液は既に落とされているため、基板Wが薬液で汚染されるおそれがなくなる。よって、基板Wの洗浄工程と乾燥工程とを同一の装置で行うことが可能となり、基板処理装置のフットプリントの増加を防止できると共に、基板処理装置のスループットを増加させることができる。なお、上記した洗浄液としては、純水、脱気水、ガス溶存水等を用いるとよい。
【0093】
図11は本発明の第2の実施形態における基板処理装置101の側面図、図12は図11に示す基板処理装置101の基板保持機構(基板保持チャック)114とベース部(チャック保持ベース)117を示す平面図である。基板処理装置101には、円板状のベース部117、ベース部117の外周近傍(ベース部117の外周から所定寸法内側)に半導体ウエハ等の基板Wを保持する基板保持機構114を3個以上(図12では4個)、及びベース部117の中央部に設置された回転軸122が配置されている。ベース部117は、駆動機構(図示せず)により回転軸122を中心に基板Wを基板保持機構114によって保持した状態で回転できるようになっている。ベース部117は、基板Wよりやや大きく該基板Wの下面全面を被うようになっている。これにより、高速回転により基板Wの乾燥を行う際、基板Wから振り切られた液がベース部117に跳ね返り基板Wの下面に付着するのを抑制できるようになっている。
【0094】
基板処理装置101は、バルブV1が設置され薬液ラインL1に接続された薬液供給ノズル112と、バルブV2が設置され純水ラインL2に接続された洗浄液供給ノズル111を備えている。バルブV1を開いて薬液供給ノズル112に薬液151を供給することにより、基板Wの上面に薬液供給ノズル112から薬液151が供給されるようになっており、バルブV2を開いて洗浄液供給ノズル111に純水(DIW)152を供給することにより、基板Wの上面に純水152が供給されるようになっている。
【0095】
基板処理装置101はまた、回転軸122を貫通するノズル構造体105を備え、該ノズル構造体105は基板Wの下方に位置するベース部117の中央部に配置されている。ノズル構造体105は、ノズル115,116,170を具備する。ノズル115にはバルブV3が設置された薬液ラインL3、バルブV5が設置された純水ラインL5、及びバルブV4が設置された排水ラインL4に接続されている。それぞれ薬液153、純水154が薬液ラインL3及び純水ラインL5を介してノズル115に供給できるようになっている。ノズル116はバルブV6が設置された純水ラインL6、及びバルブV7が設置された排水ラインL7に接続されている。純水156は純水ラインL6を介してノズル116に供給されるようになっている。排水ラインL7は排水配管154に接続されている。ノズル170はバルブV8が設置されたガスラインL8に接続されている。N2ガス158はガスラインL8を介してノズル170に供給されるようになっている。回転軸122とノズル構造体105の間の間隙161はバルブV9が設置されたパージガス供給ラインL9に接続されている。N2ガス159はパージガス供給ラインL9を介してパージガスとして間隙161に供給されるようになっている。
【0096】
また、基板保持機構114とベース部117を囲むように配置された飛散防止カップ113が配置され、該飛散防止カップ113の上端部にはノズル118が取り付けられている。該ノズル118は、バルブV10が設置された純水ラインL10に接続されている。該ノズル118には純水ラインL10を介して純水160が供給されるようになっている。
【0097】
ノズル115にはバルブV3及びV5により薬液153及び純水154を切り替えて供給することにより、該ノズル115から薬液153及び純水154を基板Wの下面に切り替えて供給できるようになっている。液体(主に純水154)は基板Wに到達しない流量でノズル115から供給される。また、なお、液が基板Wに到達しない流量とは、該液がノズル115から基板Wに直接吹き付けることなく、あるいはノズル115から溢れ出される程度の単位時間当りの流量を言う。これにより、液がノズル構造体105の上面に伝わって流れることができるようになり、ノズル構造体105(ノズル115及びその近傍)を洗浄することができる。更に、ノズル115はバルブV4を介して排水配管155とも接続されており、バルブV3及びV5を閉じ、バルブV4のみを開くことで、ノズル115及び該ノズル115に接続されたライン内に残留する液を排水配管155へ排出できる。
【0098】
本実施形態では、ノズル115に接続されたライン(薬液ラインL3、純水ラインL5、排水ラインL4)内とノズル構造体105を洗浄することを特徴としている。そのためまずバルブV3を開いて薬液ラインL3を通して薬液153をノズル115に供給し、該ノズル115から薬液153を基板Wに供給し、次にノズル115に接続されたライン内の液を抜くためバルブV3を閉じ、バルブV4を開とする。これによりノズル115に接続されたライン内の薬液153は速やかに排水配管155に排出できる。次にバルブV4を開いたままバルブV5を開く。これにより、純水ラインL5と薬液ラインL3の分岐点Pから排水ラインL4へと純水154が流すことができ、ライン内を洗浄することができる。更にバルブV5を開いたままバルブV4を閉じることで、純水ラインL5と薬液ラインL3の分岐点Pからノズル115へ純水154を流すことができ、該ライン内を洗浄することができる。
【0099】
ここで、ノズル115から出る純水154を基板Wの下面に到達しない流量で供給することで、ノズル115,116,170を具備するノズル構造体105を洗浄することができる。先に純水ラインL5と薬液ラインL3の分岐点Pを洗浄しておくことが重要であり、分岐点Pの洗浄を行わない場合、ノズル115からは僅かな薬液153を含む純水154が供給され続けることになる。
【0100】
また、基板Wをスピン乾燥させる前に、ノズル115につながるバルブV4のみを開いておくことで、ノズル115及びそれに接続されるライン内の液を排水配管155を通して排出できる。スピン乾燥などの高速回転時に基板Wとベース部117の間が負圧になって、ノズル115及びそれに接続されているライン内の液が飛出すことなく、良好に基板Wを乾燥することができる。逆に、ノズル115,116,170を有するノズル構造体105に薬液が残留しているとスピン乾燥時に基板Wとベース部117の間が負圧になり、薬液が飛散し基板に付着する問題が発生することがある。
【0101】
ノズル116からは液をスプレー状に供給することができ、バルブV7を閉じ、バルブV6を開くことにより、純水ラインL6を通してノズル116に純水156を供給する。従って、純水156を該ノズル116から基板Wの下面、ベース部117上面及び基板保持機構114内壁面に供給してこれらの面を洗浄することができる。ノズル構造体105の洗浄とノズル116によるベース部117及び基板保持機構114内壁面の洗浄により基板Wの下面を被う部材の全てを洗浄することができる。更にスピン乾燥前にバルブV7のみを開くことでノズル116に接続されたラインの液を排水ラインL7を通して排水配管157へ排水することができる。これにより、先にノズル115で述べたように、スピン乾燥などの処理中に基板Wとベース部117の間が負圧になっても、ノズル115、及びノズル116に接続されたライン内の液がノズル115から飛出すことがなく良好に基板を乾燥することができる。
【0102】
ノズル170からはガスラインL8及びバルブV8を通してN2ガス158を供給することができ、これにより基板Wとベース部117の間の空間を高圧で好ましくは(スピン乾燥時にも)外部より高い圧力に保つようにN2ガス158で満たすことができる。これにより基板Wの下面とベース部117との間に薬液やミストが入り込むことを抑制することができる。また、このN2ガスにより基板Wの下面中央部にある液を吹き飛ばすことができ、それはスピン乾燥時液を振りきりにくい基板W下面中央の乾燥補助の効果を持つ。N2ガスは主に基板乾燥時に供給することで薬液やミストが入り込むことを抑制したり、基板の乾燥の補助の効果が得られるが、N2ガスを供給するノズル170を含む部材を洗浄液で洗う際、液がノズル170に入り込む可能性がある。そのため、ノズル115,116,170を具備するノズル構造体105を洗浄する際、又はノズル115により基板Wの裏面の薬液処理中やノズル116により、基板Wの下面を被う部材の全てを純水で洗浄する際等、ノズル170に液が入り込まない程度のN2ガス流量を供給することで、乾燥時にノズル170から入り込んだ液が吹き出して乾燥行程に悪影響を与えることを防ぐ。
【0103】
基板Wの洗浄液としては、一般的に純水(DIW)又はガス溶存水が使用されるが、洗浄の目的に応じて薬液の使用もあり得る。基板Wの下面に供給するガスとしては、N2ガスや、乾燥空気などが挙げられるが、これに限定するものではなく、例えば各種不活性ガスでもよい。
【0104】
図11において、飛散防止カップ113は基板Wを処理する薬液が飛散することを防止する受けとなり、図11における位置では主に飛散防止カップ113の傾斜部113aに基板処理液である薬液や洗浄液を受ける。図13は飛散防止カップ113を飛散防止カップ113の内壁洗浄位置に移動した場合を示す。この位置にある飛散防止カップ113は、洗浄液をその上部で受ける。図13における位置で適切な基板回転速度、洗浄液流量を設定することで、飛散防止カップ113の上部内壁に受けた洗浄液が下方に流れて行き、飛散防止カップ113の内壁を洗浄することができる。ノズル118はバルブV10及び純水ラインL10を通して純水160を供給することで、該純水160をスプレー状に噴射するノズルであり、基板保持機構114の外壁と基板Wとベース部117の側面に純水160を供給してこれらの面を洗浄することができる。
【0105】
図14は基板Wを基板処理装置101に受渡しする時の飛散防止カップ113の位置を示す。図14において、飛散防止カップ113の位置ではロボット等による基板Wの基板処理装置101への出し入れが行なわれる。回転軸122とノズル構造体105の間の間隙161には基板Wの処理中常にバルブV9を開いてパージ用のN2ガスを供給しており、液やミストが回転軸122内に入り込まないようにしている。
【0106】
上記構成の基板処理装置において、処理する基板Wとして半導体ウエハを用いる例を下記に説明する。ベアSi表面を上向きにした半導体ウエハ上で以下のステップ1〜ステップ9の処理が行われる。
【0107】
飛散防止カップ113を図14に示す位置、即ち基板保持機構114が飛散防止カップ113の上端部より上方に所定量突出するような位置に移動する。この状態で基板処理装置101がロボットハンド等で搬送された基板Wを受け取り、基板保持機構114で基板Wの外周を保持する(STEP1)。
【0108】
飛散防止カップ113を図11に示す位置、即ち飛散防止カップ113の上端が基板保持機構114の上端より所定量上になるように、飛散防止カップ113を上昇させる(STEP2)。
【0109】
ベース部117、基板保持機構114及び基板Wを約500rpmで回転させる。バルブV1を開いて薬液ラインL1を通して薬液供給ノズル112に薬液151として弗化水素酸を供給し、該薬液供給ノズル112から基板Wの上面に薬液151を供給する。バルブV3を開いてノズル115に薬液153として弗化水素酸を供給し、該ノズル115から基板Wの下面に薬液153を供給する(STEP3)。
【0110】
薬液供給ノズル112から所定時間薬液151として弗化水素酸を供給した後、バルブV1を閉じて薬液151の供給を停止する。基板Wの面を露出させないため、バルブV1を閉じるよりバルブV2を開くのを早くし、洗浄液供給ノズル111から純水を供給するのを薬液供給ノズル112からの薬液停止より早くし、純水152と薬液151が同時に基板Wの上面に供給されている時間を持たせるとよい。バルブV6を開いてノズル116から純水156を供給する。バルブV3を閉じてノズル115からの薬液153の供給を停止し、バルブV4を開いてノズル115に接続されているライン内の液を排水配管155に排出する(STEP4)。
【0111】
所定の時間基板Wの上面、下面に洗浄液供給ノズル111から純水152、ノズル116から純水156をそれぞれ供給して、基板Wの上下面に残留する薬液を洗浄する。このとき、ノズル116から純水156を供給して、ベース部117の上面及び基板保機構114の内壁面を洗浄することも行う。上記基板Wの上下面に残留する薬液を洗浄している際に、バルブV4を閉じた後、バルブV5を開いてノズル115から純水154を供給する。ノズル115から純水154を供給する流量は純水154が基板Wの下面に到達しない程度の量とし、これによりノズル115,116,170を有するノズル構造体105を洗浄する。バルブV8を開いてノズル170にN2ガスを供給することにより、乾燥時までガスを吹き付け、ノズル170に純水が入り込むのを防ぐ(STEP5)。
【0112】
ベース部117、基板保持機構114及び基板Wの回転速度を100rpmに落とした後、飛散防止カップ113を図13に示す位置に移動する。この移動により飛散防止カップ113の内壁に基板Wを伝わった純水を供給し、飛散防止カップ113の内壁は純水によって洗浄することができる。バルブV10を開き、基板保持機構114の外壁面及びベース部117の側面を洗浄する(STEP6)。ベース部117及び基板保持機構114の回転速度は飛散防止カップ113の内壁での跳ねを少なくするため、100〜300pm程度が好ましい。
【0113】
所定の時間洗浄を行った後、飛散防止カップ113を図11の位置に移動する(STEP7)。
【0114】
バルブV2を閉じ洗浄液供給ノズル111への純水152の供給を停止し、バルブV5及びバルブV6を閉じノズル115及び116への純水の供給を停止した後、1秒間バルブV4及びV7を開いて、ノズル115,116、及びそれに接続されたライン内の液を排水配管155、排水配管157に排出する(STEP8)。これによりノズル115,116,170を有するノズル構造体105付近の液を最小限にすることができる。
【0115】
バルブV4及びV7を閉じた後、ベース部117、基板保持機構114及び基板Wの回転を加速し2000rpmで所定の時間回転させる(STEP9)。この動作により基板Wに付着した液は遠心力で振りきられ基板Wを好適に乾燥させることができる。
【0116】
特にSTEP9での基板Wの下面の保護及びミストの進入抑制により、基板Wの下面を好適に処理できる。基板Wの下面はベース部117により保護されているため周囲からの液の跳ね返りを抑えることができる。基板Wとベース部117の間の空間はN2ガスを供給しているため、周囲からのミストの進入を抑えることができる。基板の下面に相対するベース部117やノズル115,116,170を有するノズル構造体105は洗浄されており、ノズル115及び116とそれに接続された両ライン内の液は排出されているため、基板Wの加速や減速により液が巻きあがることもない。また、STEP5〜8においてノズル170内に処理液がたまらないようにガスを供給していたため、乾燥時に効果的にガスを供給することができる。
【0117】
基板保持機構114の内壁面及び外壁面、飛散防止カップ113の内壁面も洗浄されているため、たとえ薬液が飛散防止カップ113の内壁に跳ね散っても、薬液のミストが飛散防止カップ113の内壁に発生することがない。それらの効果により基板Wの下面にウォータマークや薬液の残留、雰囲気による影響なくベアSi基板Wを処理することができる。
【0118】
図15は、本発明にかかる基板処理装置を組み込んだCuめっき装置50を示す平面図である。このCuめっき装置50は、図15に示すように、基板カセット511,512,513,514と、基板搬送ロボット521,522と、洗浄槽531,532と、めっき槽541,542,543,544と、基板置き台55とを備えている。洗浄槽531,532はそれぞれ本発明にかかる基板処理装置を備えている。また、洗浄槽53−1,53−2には洗浄薬液供給装置56が接続され、めっき槽541,542,543,544にはめっき薬液供給装置57が接続されている。また、Cuめっき装置50は、表示部59及び制御部58を備え、制御部58からの制御信号がCuめっき装置50の各部に送られるようになっている。
【0119】
このCuめっき装置50では、制御部58から送られる制御信号に基づいて、基板搬送ロボット521が、基板カセット511〜514のいずれかから未処理の基板Wを一枚ずつ取り出して基板置き台55上に載置する。基板置き台55上に載置された基板Wは、基板搬送ロボット522によってめっき槽541〜544に順次送られて、めっき槽541〜544内で基板Wの表面にCuめっきが施される。その後、基板Wは、基板搬送ロボット522によって、洗浄槽531,532に送られて、洗浄槽531,532内で洗浄及びエッチング処理が基板Wの表面に施される。なお、めっき槽541〜544で用いられるめっき液は、めっき薬液供給装置57から供給され、洗浄槽531,532で用いられる洗浄液は、洗浄薬液供給装置56から供給される。
【0120】
このCuめっき装置50は、洗浄薬液供給装置56やめっき薬液供給装置57や、測定装置等の付帯装置(図示せず)を、制御部58から出される制御信号で制御している。制御部58は、入力レシピに従った操作を行うように洗浄薬液供給装置56やめっき薬液供給装置57等の各装置に制御信号を送る。この制御信号により、めっき液供給ライン60や洗浄液供給ライン61等に設けたバルブ(図示せず)類をそれぞれ開閉したり、モータ(図示せず)を駆動する。また、流量計等を設け、この場合、この流量計からの信号を制御部58に入力して、流量検出値が予め設定された設定値と合致するようにフィードバック制御を行うことや、流量検出値が予め設定された許容値の範囲外である場合や流量計から異常信号が出された場合は、装置を停止させることも可能である。なお、洗浄薬液供給装置56、めっき薬液供給装置57、制御部58、表示部59等はCuめっき装置50に組み込んでもよい。
【0121】
図16は、本発明にかかる基板処理装置を組み込んだ無電解めっき装置70を示す平面図である。図16に示すようにこの無電解めっき装置70は、基板カセット711,712,713,714と、基板搬送ロボット721,722と、洗浄槽73と、ロール洗浄機76と、無電解めっき槽741,742と、前処理槽77と、シード塗布槽78と、基板置き台75とを備えている。洗浄槽73は本発明にかかる基板処理装置を備えている。また、洗浄槽73,及びロール洗浄機76には洗浄薬液供給装置82が接続され、無電解めっき槽741,742、前処理槽77、シード塗布槽78には薬液供給装置83が接続されている。また、無電解めっき装置70は表示部79及び制御部84を備え、制御部84からの制御信号が無電解めっき装置70の各部に送られるようになっている。
【0122】
この無電解めっき装置70は、制御部84から送られる制御信号に基づいて、基板搬送ロボット721が、基板カセット711〜714のいずれかから未処理の基板Wを一枚ずつ取り出して基板置き台75上に載置する。基板置き台75上に載置された基板Wは、基板搬送ロボット722によって前処理槽77に送られ、前処理槽77で基板Wに前処理が施されると共に、基板Wはシード塗布槽78に送られて基板の表面にシード層が形成され、その後、無電解めっき槽741,742に搬送されて、基板Wの表面にめっき層が形成される。めっき層が形成された基板Wは、洗浄槽73に送られ、その洗浄及びエッチング処理が基板Wの表面に施される。
【0123】
例えば、洗浄槽73での基板処理装置における処理を図1を参照して説明すると、ノズル12から基板Wの表面に薬液として硫酸が供給され、ノズル15から基板Wの裏面に硫酸と過酸化水素水の混合液が供給される。更に、エッジノズル19から基板Wのエッジ部分に過酸化水素水が供給されることで、この過酸化水素水とノズル12から供給された硫酸との混合液により基板Wのエッジ部分がエッチング処理される。また、ノズル11から基板Wの表面にDIWを供給し、ノズル15から基板Wの裏面に硫酸と過酸化水素水の混合液を供給し、エッジノズル19から基板Wのエッジ部分に硫酸と過酸化水素水の混合液を供給してもよい。
【0124】
これらの処理が終了した後、ノズル11及び15から基板Wの表面及び裏面にDIWが供給されて基板Wの洗浄がそれぞれ行われる。その後、基板Wはロール洗浄機76へ送られる。なお、無電解めっき槽741,742で用いられるめっき液、前処理槽77で用いられる前処理液、シード塗布槽78で用いられるシード塗布液は、薬液供給装置83から供給され、洗浄槽73及びロール洗浄機76で用いられる洗浄液は、洗浄薬液供給装置82から供給される。
【0125】
この無電解めっき装置70は、洗浄薬液供給装置82や薬液供給装置83や、測定装置等の付帯装置(図示せず)を、制御部84から出される制御信号で制御している。制御部84は、入力レシピに従った操作を行うように洗浄薬液供給装置82や薬液供給装置83等の各装置に制御信号を送る。この制御信号により、薬液供給ライン80や洗浄液供給ライン81等に設けたバルブ類(図示せず)をそれぞれ開閉したり、モータ(図示せず)を駆動する。また、流量計等を設けて、この流量計からの信号を制御部84に入力して、流量検出値が予め設定された設定値と合致するようにフィードバック制御を行うことや、流量検出値が予め設定された許容値の範囲外である場合や流量計から異常信号が出された場合は、装置を停止させることも可能である。なお、洗浄薬液供給装置82、薬液供給装置83、制御部84、表示部79等は無電解めっき装置70に組み込んでもよい。
【0126】
なお、上記各実施形態で説明した基板処理装置で行われる基板処理は、上述したものに限られるものではなく、例えば、基板処理装置のノズル等の設置位置及び、これらから供給される洗浄液や薬液の種類や供給するタイミング等を変更することで、基板Wの種類に応じた処理を行うように構成することができる。なお直接明細書及び図面に記載のないいずれの形状、構造、材質であっても、上述した本願発明の作用及び効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。
【0127】
本発明の好ましい実施形態について図示及び説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び改変が可能であることは容易に理解できよう。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、基板に処理液を供給しながら半導体ウエハ等の回転している基板を処理する基板処理装置に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置を示す概略図である。
【図2A】図2Aは、図1に示す基板処理装置の基板保持機構を示す部分平面図である。
【図2B】図2Bは、図2AのA−A部分概略断面図である。
【図3】図3A及び図3Bは、図2Bの基板保持機構の動作説明断面図である。
【図4】図4Aから図4Cは、図1に示す基板処理装置の基板保持機構の回転速度の変化の例を示すグラフである。
【図5】図5A及び図5Bは、図1に示す基板処理装置の基板保持機構の回転速度の変化の例を示すグラフである。
【図6】図6は、図1に示す基板処理装置における処理工程の例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、図1に示す基板処理装置の動作を示す概略図である。
【図8】図8は、図1に示す基板処理装置の動作を示す概略図である。
【図9】図9は、図1に示す基板処理装置の動作を示す概略図である。
【図10】図10は、図1に示す基板処理装置における他の処理工程の例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の第2の実施形態に係る基板処理装置の側面図である。
【図12】図12は、図11に示す基板処理装置の基板保持チャックとチャック保持ベースを示す平面図である。
【図13】図13は、図11に示す基板処理装置の動作を示す概略図である。
【図14】図14は、図11に示す基板処理装置の動作を示す概略図である。
【図15】図15は、本発明に係る基板処理装置を組み込んだCuめっき装置を示す平面図である。
【図16】図16は、本発明に係る基板処理装置を組み込んだ無電解めっき装置を示す平面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び方法に関し、特に、基板に処理液を供給しながら半導体ウエハ等の回転している基板を処理する基板処理装置及び基板処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基板を基板保持回転機構で保持した状態で回転させ、該基板(半導体ウエハ等)の表裏面や端面に洗浄液やエッチング液等の薬液(以下、「基板処理液」という。)を供給する基板処理装置がある。この基板処理装置の基板保持回転機構は複数個の基板保持機構を有し、基板の外周部を把持することで基板を保持している。ところが、このような基板保持回転機構で保持され回転している基板に基板処理液を供給しても、基板保持機構が基板に当接する部分、即ち、基板保持機構で保持された部分には基板処理液が供給されない。従って、従来の基板処理装置は、基板のその部分が基板処理液で処理(洗浄又はエッチング)されないという問題があった。
【0003】
そのため、従来、複数の基板保持機構で基板を保持し、処理工程の途中で基板を交替で保持することで、基板保持機構による保持部分に処理残りが生じないようにした基板処理装置があった。すなわち、複数の基板保持機構で該基板を保持する一方で、他の基板保持機構が交替で該基板を離脱する。しかしながら、この基板処理装置は、機構が複雑で、基板処理の工程で煩雑な処理が必要となる。
【0004】
また、従来、例えば基板の裏面を吸着等することによって基板を保持し、該基板を回転させながら基板の端面に基板処理液を供給する工程を含む第1処理工程と、基板の端面を保持し、該基板を回転させながら基板の裏面に基板処理液を供給する工程を含む第2処理工程とを行う基板処理装置があった。
【0005】
一方、従来の基板処理装置では、基板の薬液処理工程、洗浄液による洗浄工程、乾燥工程といった一連の工程を経る処理を行っていたが、薬液処理工程において基板や基板保持回転機構等に付着した薬液が、基板の表面に跳ね返って付着したり、該薬液がミスト状になって基板上の膜に付着したりすることで、基板が薬液によって汚染されてしまうおそれがある。そのため、薬液処理工程を行う装置と洗浄工程や乾燥工程を行う装置とを分けてそのような汚染を防ぐ必要があった。すなわち、従来、枚葉式基板処理装置で薬液処理、純水洗浄、乾燥といった一連の処理を行う場合、基板乾燥時に薬液が基板上への跳ね返ったり、基板乾燥時に薬液がミストとなって基板上の膜に悪影響を与えないように、基板処理を行う装置と基板の乾燥を行う装置を分けていた。
【0006】
しかしながら、基板の端面を処理するための機構と基板の裏面を処理するための機構とを基板処理装置内で分けたり、薬液処理工程を行う装置と洗浄工程、乾燥工程を行う装置を基板処理装置内で分けたりすると、基板処理装置のフットプリントが増加するという問題や、基板処理のスループットが低下するという問題があった。従って、搬送時間増加によるフットプリント増加やスループット低下を防ぐため、上記処理を1つの装置で実施することが望まれている。
【0007】
また、薬液処理、純水洗浄、乾燥といった一連の処理を1つの装置で実施するものもあるが、この基板処理装置は構造が複雑である上、基板乾燥時に薬液が基板上への跳ね返ることを十分に防止することができない。また、該装置は薬液がミストとなって基板上の膜に悪影響を及ぼすことを充分に防止することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、基板の基板保持部分に処理残りが発生することがなく、洗浄工程や乾燥工程で基板に薬液が付着して汚染されることがない基板処理装置及び方法を提供することを第1の目的とする。
【0009】
また、薬液処理、純水洗浄、乾燥といった一連の処理を1つの装置で行い、基板処理液の跳ね返りや薬液の雰囲気、ミストによる基板の汚染を防止することができる基板処理装置及び方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、基板を保持する基板保持力をその回転速度に応じて変化させつつ該基板を保持する基板保持機構と、上記基板保持機構を回転させて上記基板保持機構により保持された基板を回転させる基板回転機構と、上記基板保持機構により保持された基板の任意の位置に処理液を供給する処理液供給機構とを備えた基板処理装置が提供される。
【0011】
上記基板処理装置は、基板を保持する基板保持力をその回転速度に応じて変化させる基板保持機構を具備するので、基板保持機構の回転速度を設定することで任意の基板保持力を得ることができ、目的とする保持力で基板を保持できる。
【0012】
上記基板処理装置は、上記基板回転機構の回転速度と該基板保持機構に保持された上記基板の回転速度とを相対的に変化させる駆動機構を更に備えていてもよい。これにより、基板の基板保持機構で保持される保持位置を変えることができ、基板に処理残りの部分が発生することを防げる。また、基板を回転させた状態で基板の保持位置を移動させることができるので、基板処理の工程が増えることなく保持部分に処理残りが発生することを防げる。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、基板の外周部を保持する基板保持機構と、上記基板保持機構が取り付けられ、上記基板の少なくとも一面に対向するベース部と、上記ベース部の中央部に設けられた回転軸と、上記基板に薬液と第1の洗浄液とを選択的に供給可能な第1の液供給ノズルと、上記第1のノズルに供給する薬液と第1の洗浄液とを切り替える切替機構と、上記基板保持機構の内壁面と上記ベース部の上面に第2の洗浄液を供給可能な第2の液供給ノズルと、上記基板と上記ベース部との間の空間にガスを供給可能なガス供給ノズルと、上記第1の液供給ノズル、上記第2の液供給ノズル、及び上記ガス供給ノズルを有し、上記回転軸の内部に配置されたノズル構成体とを備えた基板処理装置が提供される。
【0014】
これらのノズルを適宜操作して、薬液、洗浄液、ガスの供給又は停止を行うことにより、基板乾燥時に薬液が基板上に跳ね返ったり、ミストとなって基板上の膜に悪影響を与えることがない。
【0015】
上記第1の液供給ノズルは、上記第1の洗浄液により上記第1の液供給ノズルと上記ノズル構成体の外表面及びその近傍を洗浄できるように構成されていてもよい。これにより、上記第1の液供給ノズルと上記ノズル構成体の外表面及びその近傍を洗浄できるので、この部分から付着する薬液が飛散し、基板上の膜に悪影響を与えることを防止できる。
【0016】
上記基板処理装置は、上記第1の液供給ノズルに接続された第1のラインと、上記第2の液供給ノズルに接続された第2のラインと、上記第1のラインと上記第2のラインの内部に残留する液を排出する液排出機構とを更に備えていてもよい。これにより、乾燥時に基板とベース部との間に負圧が形成されても、液排出機構により、ノズルや該ノズルに接続されたライン内の液がノズルから飛出すことが防止される。従って、基板上に液やミストが付着し基板の膜に悪影響を与えることがない。
【0017】
上記基板処理装置は、上記回転軸とノズル構成体との間の間隙にパージガスを供給可能なパージガス供給ラインを更に備えていてもよい。これにより、回転軸内に液やミストが進入することがない。
【0018】
上記基板処理装置は、上記基板保持機構の外壁面に第3の洗浄液を供給する第3の液供給ノズルを更に備えていてもよい。第3の液供給ノズルは、上述した効果をより効果的に発揮することができる。
【0019】
上記基板処理装置は、上記基板保持機構の外周部に設けられ、該基板保持機構を囲む上下動可能な飛散防止カップを更に備えていてもよい。これにより、飛散防止カップの内壁面もノズル構成体のノズルから供給され基板上面を伝わって流れる洗浄液で洗浄することができるから、飛散防止カップで跳ね返った洗浄液やミストにより基板が汚染されることがない。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、基板保持機構により基板を保持し、上記基板保持機構を基板回転機構により回転させて上記基板を回転させ、上記基板保持機構の回転速度と上記基板の回転速度とを相対的に変化させつつ、回転する基板の任意の位置に基板処理液を供給して基板を処理する基板処理方法が提供される。基板保持機構の回転速度を加速又は減速して該基板保持機構の回転速度と上記基板の回転速度とを相対的に変化させてもよい。
【0021】
これにより、基板保持機構が基板を保持する部分を変えることができる。従って、基板保持機構が基板を保持する部分では基板が処理されないことが防止される。また、基板を処理液で処理しつつ基板保持機構が基板を保持する部分を変えることができる。従って、付加的な工程なしに、保持部分で基板が処理されないことが防止される。
【0022】
上記基板保持機構の回転速度を第1の回転速度から第2の回転速度へと変化させ、該基板保持機構の回転速度を第2の回転速度から第1の回転速度に戻してもよい。これにより、速やかに基板を基板保持回転機構と同じ回転速度に戻すことができる。
【0023】
上記基板保持機構の回転速度を加速又は減速すると同時に又はそれ以降に上記基板処理液の供給を停止してもよい。これにより、基板保持機構が基板を保持する部分における摩擦力を大きくできる。従って、基板の回転速度を基板保持機構と同じ回転速度により速やかに戻すことができる。
【0024】
本発明の第4の態様によれば、基板保持機構により基板を保持し、上記基板保持機構を基板回転機構により回転させて上記基板を回転させ、回転する基板に処理液を供給して基板を処理し、上記処理液の供給後に、上記基板を第1の高回転速度で回転させ、第1の高回転速度で回転する基板の少なくとも一面に洗浄液を供給し、該基板に付着した上記処理液を洗浄し、上記基板の少なくとも一面を上記洗浄液で覆った状態で上記基板保持機構及び上記基板回転機構の少なくとも1つに付着した薬液を除去する基板処理方法が提供される。上記第1の高回転速度は1000〜3000rpmの範囲とすることができる。
【0025】
この場合には、基板保持機構から薬液が飛散しても、該薬液が基板に付着することが防止される。また、基板保持機構から薬液が飛散し跳ねた際にミストになってこれが基板の表面や裏面に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0026】
上記基板を第2の高回転速度で回転させて上記洗浄液を除去し上記基板を乾燥させてもよい。この場合において、任意の時間上記基板を上記第1の高回転速度と略同一の高回転速度で回転させてもよい。洗浄工程で基板保持機構が高速で回転するので、該基板保持機構に付着した薬液が確実に除去される。また、洗浄工程で基板保持機構に付着した薬液を確実に除去できるので、該薬液が乾燥工程で基板に付着して基板の汚染を引き起こすことが防止される。
【0027】
本発明の第5の態様によれば、基板保持機構により基板を保持し、上記基板保持機構を基板回転機構により回転させて上記基板を回転させ、回転する基板に処理液を供給して基板を処理し、回転する基板に洗浄液を供給して上記基板保持機構を洗浄する基板処理方法が提供される。上記洗浄液を供給しながら上記基板保持機構を300rpmよりも低い回転速度で回転させてもよい。これにより、基板を洗浄するときに基板保持機構に付着した薬液を洗浄することができる。
【0028】
本発明の第6の態様によれば、基板保持機構により基板を保持し、上記基板保持機構を基板回転機構により回転させて上記基板を回転させ、回転する基板に処理液を供給して基板を処理し、上記処理液の供給後に、上記基板を第1の高回転速度で回転させ、第1の高回転速度で回転する基板の少なくとも一面に洗浄液を供給し、該基板に付着した上記処理液を洗浄し、上記基板の少なくとも一面を上記洗浄液で覆った状態で上記基板保持機構及び上記基板回転機構の少なくとも1つに付着した薬液を除去し、回転する基板に洗浄液を供給して上記基板保持機構を洗浄し、任意の時間上記基板を第1の高回転速度と略同一の第2の回転速度で回転させ、上記洗浄液を除去し上記基板を回転させる基板処理方法が提供される。上記洗浄液として、純水、脱気水、ガス溶存水を用いてもよい。
【0029】
これにより、基板保持機構が高速で回転されるので、基板保持機構に付着した薬液を基板の洗浄工程で確実に除去することができる。薬液が基板保持機構から基板上に飛散しても、薬液が基板に付着することが防止される。また、基板保持機構から飛散した薬液が跳ねた際にミストになってこれが基板の表面や裏面に悪影響を及ぼすことが防止される。また、基板保持機構の洗浄工程によって、基板保持機構に付着した薬液を確実に除去することができる。それに加えて、基板の洗浄工程及び基板保持機構の洗浄工程において基板保持機構に付着した薬液が確実に除去される。従って、乾燥工程において基板に薬液が付着することが防止され、基板の汚染が防止される。
【0030】
上記処理液を基板の外周部に供給することで、該基板の外周部に形成された膜を除去してもよい。上記除去される膜を、Cu、Co、Co合金、Ta、Ta−N、W、W−N、Ti、Ti−N、Ni、Ru、P、B、Moのうちのいずれか一つを含む膜、又はCu、Co、Co合金、Ta、Ta−N、W、W−N、Ti、Ti−N、Ni、Ru、P、B、Moのうちのいずれか一つを含む膜を複数積層した膜としてもよい。これにより、基板の膜を処理する途中で、基板保持機構が基板を保持する部分を移動させることができる。従って、基板の外周部に形成された膜を、処理残りの部分を生じさせずに除去することができる。また、膜を除去する処理の途中で基板の保持部を移動させることができるので、付加的な工程なしに、保持部分で基板が処理されないことが防止される。
【0031】
本発明の第7の態様によれば、基板保持機構により基板を保持し、上記基板保持機構を基板回転機構により回転させて上記基板を回転させ、回転する基板に処理液を供給して基板を処理し、第1の液供給ノズルから薬液を上記基板に供給し、上記第1の液供給ノズルから供給される液体を洗浄液に切替え、上記洗浄液を上記基板に供給し、上記第1の液供給ノズル及びその近傍に洗浄液を供給して該第1の液供給ノズル及びその近傍を洗浄し、上記基板保持機構を回転させ上記基板に付着する液を除去して乾燥する基板処理方法が提供される。
【0032】
これにより、乾燥工程において薬液が基板上へ跳ね返ることが防止される。また、薬液のミストが基板上の膜上に悪影響を与えることが防止される。また、第1の液供給ノズル及び第1の液供給ノズルの近傍を洗浄することができるので、第1の液供給ノズル及び第1の液供給ノズルの近傍に残留する液やそのミストにより基板上の膜に悪影響を与えることがない。
【0033】
上記洗浄液の供給を停止し、上記停止後、上記基板の乾燥前に上記第1の液供給ノズルと該第1の液供給ノズルに接続されたライン内に残留する液を排出してもよい。これにより、乾燥工程において基板とベース部との間に負圧が形成されても、液排出機構により、ノズルや該ノズルに接続されたライン内の液がノズルから飛出すことが防止される。従って、基板上に液やミストが付着し基板の膜に悪影響を与えることがない。
【0034】
また、上記基板の乾燥前に第2の液供給ノズルから洗浄液を供給し、上記基板保持機構の内壁面と、該基板保持機構が取り付けられたベース部の上面とを洗浄してもよい。これにより、基板保持機構の内面とベース部の上面とを洗浄することができるので、基板の膜への悪影響をより効果的に防止することができる。
【0035】
上記基板の乾燥の際に、上記基板と、該基板保持機構が取り付けられたベース部との間の空間にガス供給ノズルからガスを供給してもよい。これにより、ミスト等が該空間に進入できなくなり、ミストが悪影響を与えることが防止される。このガスにより基板の下面中央部にある液を吹き飛ばすことができる。従って、ガスは、スピン乾燥時に振りきりにくい基板の下面中央を乾燥する補助の作用を奏する。
【0036】
上記第1の液供給ノズル及びその近傍の洗浄において、上記ガス供給ノズルから上記基板と上記ベース部との間の空間にガスを供給してもよい。ガスにより液が該空間に侵入することが防止されるので、乾燥工程においてガスを効果的に供給することができる。
【0037】
本発明の上述した目的ならびにその他の目的及び効果は、本発明の好ましい実施形態を一例として図示した添付図面と照らし合わせれば、以下に述べる説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明に係る基板処理装置の実施形態について、図1から図16を参照して詳細に説明する。なお、図1から図16において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0039】
図1に本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置1の概略構成を示す。図1に示すように、この基板処理装置1は、処理対象である半導体ウエハ等の基板Wを回転させる基板回転機構としての回転軸22と、回転軸22の上端部から水平方向外側に放射状に延伸して設けられた複数個のベース部17と、ベース部17の先端部に設けられた基板保持機構14とで構成される基板保持回転機構20を具備している。ベース部17及び基板保持機構14は、複数組(少なくとも3組)設けられており、複数個の基板保持機構14の中央部に基板Wが保持される。
【0040】
基板処理装置1は、回転軸22に取り付けられた駆動装置を有している。基板保持回転機構20は、基板保持機構14により基板Wを保持した状態で回転軸22を中心に基板Wを回転させる。駆動装置は、基板保持回転機構20を任意の加速度で加速/減速させ、目的とする回転速度で回転軸22を回転させる。例えば、Si基板に積層された熱酸化膜、Cuスパッタ膜及び熱酸化膜上に積層されたCuめっき膜を有するSi基板を用いてもよい。熱酸化膜は1000Åの厚さでもよい。Ta−N膜は300Åの厚さでもよい。Cuスパッタ膜は1500Åの厚さでもよい。なお、熱酸化膜はSi基板の表面と裏面の両面に積層され、それ以外の膜は、Si基板の表面にのみ積層されている。
【0041】
基板処理装置1は、基板保持回転機構20の内側中央部付近に配置されたノズル構造体5を備えている。ノズル構造体5は、基板保持機構14に保持された基板Wの裏面側に向かって開口したノズル15と、略水平方向に向かって開口したノズル16とを有する。ノズル構造体5は、回転軸22とは別に構成されており、回転軸22が回転しても回転することはない。ノズル15は基板Wの裏面に基板処理液を供給し、ノズル16は、略扇形状に基板処理液を噴出しベース部17の上面や基板保持機構14の内側(回転軸22側)の面に基板処理液を供給する。
【0042】
また、ノズル15には、基板洗浄液を供給する薬液ライン31,32と、他の薬液を供給する薬液ライン33とが接続されており、これら薬液ライン31,32,33に設けたバルブ31a,32a,33aをそれぞれ開閉することで、ノズル15から供給される基板処理液の種類を切り替えることができる。このようにして、バルブ31a,32a,33aは、ノズル15に供給される基板処理液を切り替えるための切替装置として作用する。また、ノズル16には基板洗浄液を供給する液供給ライン34が接続されており、この液供給ライン34にはバルブ34aが設けられている。ここで、基板洗浄液としては、一般にDIW(純水)又はガス溶存水が使用されるが、他の薬液を使用して洗浄を行う場合もある。
【0043】
基板処理装置1はまた、基板保持回転機構20を洗浄液で洗浄する基板保持回転機構20の外側に設置されたノズル18を備えている。このノズル18は、その先端部から略扇形状に噴射された洗浄液を、基板保持機構14の外側(回転軸22と反対側)の面とベース部17の外側の面に供給することでこれらの面を洗浄する。なお、ノズル18には、バルブ37aを取り付けた洗浄液ライン37が接続されている。
【0044】
基板処理装置1は更に、基板保持回転機構20の上方に設置されたノズル11及び12を備えている。ノズル11は基板Wの表面に洗浄液を供給し、ノズル12は基板Wの表面に薬液を供給する。ノズル11はバルブ35aが設けられた液供給ライン35に接続されている。ノズル12はバルブ36aが設けられた液供給ライン36に接続されている。これらノズル11と12とから供給される洗浄液及び薬液の流量はそれぞれ、バルブ35aと36aの開度を調整することで多段階に切り替えることができる。
【0045】
基板処理装置1には、基板Wに供給された基板処理液が飛散するのを防止する飛散防止カップ13が設置されている。飛散防止カップ13は基板保持回転機構20を囲むように設置されている。飛散防止カップ13は上下方向に移動し、図1に示す位置、即ち基板保持機構14と略同じ高さの位置にあるときは、主にその傾斜部13aで基板保持回転機構20及び基板Wから飛散する基板処理液を受け止める。
【0046】
図1に示すように、基板処理装置1は、飛散防止カップ13の外側に設置されたアーム部23を備えている。アーム部23は揺動及び上下動自在に構成されている。このアーム部23の先端部に、基板Wに基板処理液を供給するエッジノズル19が取り付けられている。アーム部23は、エッジノズル19を所望の位置に移動させることができ、例えば、エッジノズル19を基板Wの上部に位置させて基板Wの任意の場所に基板処理液を供給したり、エッジノズル19を飛散防止カップ13の外側に待避させたりすることができる。なお、エッジノズル19には、バルブ38aを取り付けた液供給ライン38が接続されている。
【0047】
また、回転軸22はN2バルブ39aが設けられたN2ガス供給ライン39に接続されている。基板Wの処理中は、N2バルブ39aを開いてN2ガス供給ライン39からN2ガスを供給することで、基板Wの処理中に、基板洗浄液や薬液等の基板処理液が回転軸22内に入り込むのを防いでいる。
【0048】
以下、基板保持機構14の構成について詳細に説明する。図2A及び図2Bは基板保持機構14の1つを示す部分拡大図で、図2Aは基板保持機構14の平面図であり、図2Bは図2AのA−A部分概略断面図である。図2A及び図2Bに示すように基板保持機構14は、本体部25上部の回転軸22側に形成された水平面25a及び、基板Wを載置する水平面25a上に設置された凸部25cを有する本体部25を備えている。また、本体部25には、互いに所定の間隔をおいて対面する一対の側板部25b,25bが形成され、これら側板部25b,25bの間に支軸29が水平に掛け渡され、この支軸29が爪部27に挿通されており、爪部27は支軸29を中心として回動自在に取り付けられている。
【0049】
爪部27の支軸29が挿通された位置は、爪部27の支軸29よりも下側に位置する下部27aの質量が、爪部27の支軸29よりも上側に位置する上部27bの質量よりも大きくなる位置となっている。基板保持回転機構20が回転する際、基板保持機構14が図2Aに示すB方向に回転し、この回転速度が加速していくと、爪部27に遠心力が働き、爪部27は支軸29を中心として図3Aに示す方向、即ち、爪部27の上部27bに設けられた押え部28が基板Wの上面に当接する方向に回動する。そして、図3Bに示すように、凸部25cに載置された基板Wを、押え部28が凸部25cの上側から挟み込んでこれを保持する。
【0050】
押え部28が基板Wを押え込む力、即ち基板保持機構14が基板Wを保持する保持力は、基板保持回転機構20の回転速度によって決まり、基板保持回転機構20の回転速度が大きくなるほど基板保持機構14の保持力が大きくなる。従って、基板保持回転機構20の回転速度を加速するに従って、押え部28及び凸部25cと基板Wとの当接部分に生じる静止摩擦力又は最大摩擦力又は動摩擦力等の摩擦力が増加することとなる。
【0051】
次に、基板保持機構14で保持された基板Wを保持する保持位置を移動させる方法について説明する。まず、図2A及び図2Bに示すように、基板保持機構14の凸部25cに基板Wを載置し、その状態で基板保持機構14を回転させる。基板保持機構14の回転速度を上げていくと、爪部27は次第に図3Aの矢印Cに示した方向に回動し始め、図3Bに示すように、押え部28が基板Wを基板Wの上側から押え込むことで、押え部28と凸部25cとで基板Wが保持される。このとき基板保持機構14で保持された基板Wは、基板保持機構14と一体となって回転する。更に基板保持機構14の回転速度を上げていくと、基板保持機構14が基板Wを保持する保持力が増加する。ここで、所望の保持力になるまで基板保持機構14の回転速度を上げた後、基板保持機構14の回転速度(これを、以下「初期回転速度」という)を一定に保つ。
【0052】
初期回転速度からの基板保持機構14の回転速度の変化の例を図4Aから図4C、図5A及び図5Bに示す。まず、図4Aに示すように、初期回転速度N0(図4Aの場合、350rpm)で回転する基板保持機構14の回転速度を、基板Wに生じる慣性力が、押え部28及び凸部25cと基板Wとの当接部分に生じる静止摩擦力(最大摩擦力)よりも大きな値となるような加速度α1(図4Aでは1000rpm/s)で加速させて、基板保持機構14の回転速度N1(図4Aでは400rpm)に加速することで、押え部28及び凸部25cと基板Wとの当接部分にすべりを生じさせて、押え部28が基板Wを保持している保持位置を移動させる。このとき、基板保持機構14に対する基板Wの相対回転速度が変化し、基板Wは、基板保持機構14に対して相対的に移動を始める。その後、押え部28及び凸部25cと基板Wとの当接部分に生じる動摩擦力によって、次第に基板Wの基板保持機構14に対する相対回転速度が減速してゆき、所定時間経過後には、再び基板Wの回転速度と基板保持機構14の回転速度は同じ回転速度N1になり、基板Wは当初の保持位置と異なる位置で保持された状態で、基板保持機構14と一体に回転する。
【0053】
また、一方で図5Aに示すように、初期回転速度n0(図5Aの場合400rpm)で回転する基板保持機構14の回転速度を、基板Wに生じる慣性力が、押え部28及び凸部25cと基板Wとの当接部分に生じる静止摩擦力(最大摩擦力)よりも大きな値となるような加速度β1(図5Aでは−1000rpm/s)で減速させて、回転速度n1(図5Aでは350rpm)にすることで、押え部28及び凸部25cと基板Wとの当接部分にすべりが生じて、押え部28が基板Wを保持している保持位置が、前記した加速度α1で回転速度を加速させた場合とは逆の方向に移動する。この場合も、基板保持機構14に対して相対的に移動を始めた基板Wは、その後、押え部28及び凸部25cと基板Wとの当接部分に生じる動摩擦力によって、次第に基板保持機構14に対する相対速度が減速していく。所定時間経過後には、基板Wと基板保持機構14の回転速度は同じ回転速度n1になり、基板Wは当初の保持位置と異なる位置で保持された状態で、基板保持機構14と一体に回転する。
【0054】
また、基板保持機構14の回転速度を変化させた後、基板Wの回転速度が基板保持機構14と同じ回転速度に達するのに時間がかかる場合は、基板保持機構14の回転速度は次のように制御してもよい。図4B、図5Bに示すように、加速度α1及び加速度β1で基板保持機構14の回転速度を回転速度N1又は回転速度n1に加速又は減速させる。回転速度N1又は回転速度n1を一定に保って所定の時間(保持時間T1とする)回転させた後、再び基板保持機構14の回転速度を加速度α2(図4Bの場合−100rpm/s)又は加速度β2(図5Bの場合100rpm/s)で減速又は加速させて、初期回転速度N0又はn0に等しい回転速度N2又はn2にする。このように、一度、加速又は減速させた基板保持機構14の回転速度を、その後、減速又は加速させて初期回転速度に一致させ、あるいは近づけることで、より早く基板Wの回転速度を基板保持機構14と同じ回転速度にすることができる。
【0055】
また、特に基板保持機構14の回転速度を加速させた際には、基板Wに押え部28と凸部25cとの当接部分に生じる摩擦力(動摩擦力)がかかっても、基板Wの相対回転速度が減速していく場合もある。このときには、図4Cに示すように、基板保持機構14の回転速度を初期回転速度N0から加速度α1で加速させた後、すぐに加速度α2で減速させて、初期回転速度N0以下の回転速度N1で一定に保つことで、速やかに基板Wの回転速度を基板保持機構14の回転速度と同じ回転速度にすることができる。
【0056】
また、基板Wの回転速度と基板保持機構14の回転速度とが異なることで、基板保持機構14による保持位置がずれているときに、基板保持機構14の凸部25cや押え部28と基板Wとの接触部分に基板処理液が入り込むと、押え部28や凸部25cと基板Wとの当接部分に生じる摩擦力が小さくなってしまう場合がある。そこで、速やかに基板Wを基板保持機構14と同じ回転速度にするためには、所定のタイミングにおいて、ノズル15,16,11,12等からの基板処理液の供給を停止すればよい。例えば、基板保持機構14の回転速度を加速させると同時に、ノズル15から基板Wの裏面への基板処理液の供給を停止すれば、基板保持機構14の回転速度に対する基板Wの回転速度が変化するときに凸部25cや押え部28と基板Wとの接触部分に基板処理液が入り込まないので、この接触部分における摩擦力を大きくすることができる。その結果、基板保持機構14の回転速度と基板Wの回転速度を速やかに同じ回転速度にすることができる。基板処理液の供給の停止は、必ずしも基板保持機構14の回転速度を加速させるのと同時でなくともよい。基板保持機構14の回転速度を加速させた後、それ以降においてノズル15から基板Wの裏面への基板処理液の供給を停止してもよい。
【0057】
なお、基板保持機構14の回転速度に対する基板Wの相対回転速度を変化させる方法は上記に限られるのではなく、例えば、基板保持回転機構20の初期回転速度が低い場合は、押え部28が基板Wに当接せずに、基板Wが押え部28で保持されていない状態で回転するが、この場合には、基板Wの裏面に、ノズル15から基板処理液を供給することで、供給された処理液が基板Wに対する抵抗となり、基板保持機構14の回転速度に対する基板Wの相対回転速度を変化させることができる。また、ノズル15から基板Wの裏面に供給する基板処理液の流量及び流速を大きくして、基板Wを持ち上げて、凸部25cと基板Wの間に隙間を作ることで、基板保持機構14の回転速度に対する基板Wの相対回転速度を低くすることもできる。
【0058】
以上のような、初期回転速度N0又はn0、初期回転速度N0又はn0から加速度α1又はβ1で変化させた後の回転速度N1又はn1、回転速度N1又はn1の保持時間である保持時間T1や、回転速度N1又はn1から加速度α2又はβ2で変化させた後の回転速度N2又はn2、回転速度N2又はn2の保持時間である保持時間T2等の条件により定まる基板保持機構14の回転動作や、基板処理液の供給を停止させるタイミングや、基板Wに形成される膜種や、基板Wの処理条件等に応じて、基板保持機構14で基板Wを保持する保持位置が移動する移動量についてのデータベースを構築すれば、このデータベースを用いることで、所望の移動量を得るために必要な回転動作を割り出すことができ、その条件で基板保持機構14を回転させて基板Wを処理することができる。
【0059】
また、図1に示すように、基板処理装置1はノッチ/オリエンテーションフラットセンサー21を備えてもよい。ノッチ/オリエンテーションフラットセンサー21は、基板Wの処理中に、基板Wのノッチ/オリエンテーションフラット位置の移動有無、及びその移動量を計測することもできる。また、基板処理の工程中に、基板保持位置の所望の移動量が得られなかった場合には、予め設定された回数だけ上記した基板保持機構14の回転速度を変化させる動作を繰り返し、その後、所望の移動量が得られたかどうかの判定をする作業を繰り返すこともできる。更に、警報機(図示せず)を設けて、上記判定の結果所望の移動量が得られなかった場合には、警報を発するように構成することもできる。
【0060】
上述したように、基板保持機構14の回転速度に対する基板Wの相対的な回転速度を変化させることで、基板保持機構14が基板Wを保持する保持位置を移動させ、またその保持位置の移動量を所望の移動量に設定することができる。
【0061】
次に、上述した基板処理装置1を用いた基板処理の工程例を説明する。この例では、基板Wの洗浄とベベル部分(エッジ部及びその近傍)のエッチングを行う場合について、図6に示すフローチャートと、図1、図6乃至図9とを用いて説明する。
【0062】
まず、基板処理装置1の飛散防止カップ13を、図7に示す位置まで下降させて、その状態で、ロボットハンド(図示せず)等で基板Wを搬送して基板保持機構14の中央部に落とし込む。これにより基板Wを凸部25c上に載置する(STEP1)。
【0063】
飛散防止カップ13を上昇させて、図1に示す位置に移動する(STEP2)。
【0064】
基板保持回転機構20を回転させて、基板保持機構14及びその上に載置された基板Wを初期速度350rpmで回転させる。このとき、初期速度に達するまでの基板保持回転機構20の加速度を、400rpm/sに設定する。この加速度では、基板Wの自重により基板Wと凸部25cとの間に生じる静止摩擦力(最大摩擦力)の方が、基板Wに生じる慣性力よりも大きいので、基板保持機構14による基板Wの保持部分が基板保持機構14からすべることはなく、基板Wの回転速度は基板保持機構14の回転速度に対して相対的に変化しない。そして、基板Wが回転速度350rpmで回転している状態で、ノズル12から基板Wの表面に薬液として硫酸を供給し、また、ノズル15から基板Wの裏面に薬液として硫酸と過酸化水素水の混合液を供給して、基板処理を行う(STEP3)。
【0065】
同じく基板Wが回転速度350rpmで回転している状態で、アーム部23を上方に移動し、エッジノズル19を飛散防止カップ13よりも高い位置に移動させた後、アーム部23の軸を回転させて基板Wの上部にエッジノズル19を移動させる。更に、エッジノズル19を基板Wの上面から2cm程度の高さに移動させ、図8に示す状態にする。この位置で、エッジノズル19から薬液として過酸化水素水を基板Wの外周部に供給する。詳細にはその供給位置は、基板Wの端部(外周端部)から内側に3mm以内の位置とし、これにより、基板Wの端部より内側3mmまでの部分を、ノズル12から供給される硫酸と、エッジノズル19から供給される過酸化水素水との混合液で処理することで、この部分に形成されたCu膜をエッチングする(STEP4)。なお、この状態では、基板Wの、基板保持機構14で保持された保持部分には処理液が供給されないため、この保持部分のエッチング処理は行われない。
【0066】
ノズル12で供給する硫酸と、エッジノズル19で供給する過酸化水素水との混合液を所定の時間供給した後、基板保持機構14による基板Wの保持位置を移動させるため、これら薬液を供給し続けた状態で、基板保持機構14の回転速度を400rpmに上げる。このとき、基板保持機構14の回転速度の加速度は1000rpm/sとする。この動作によって基板保持機構14が基板Wを保持する保持部分にすべりが生じて、当初に基板保持機構14で基板Wを保持していた保持位置が移動するので、基板処理液は基板Wの全表面及び全側面に供給されることとなる。なお、基板Wの回転速度は、所定時間経過後に基板保持機構14の回転速度と同じ回転速度である400rpmまで上昇し、再び基板Wは基板保持機構14と一体に回転する(STEP5)。
【0067】
更に基板Wに所定の時間薬液を供給した後、ノズル12からの薬液の供給を停止し、ノズル11から洗浄液であるDIWを基板Wに供給すると共に、ノズル15から、硫酸と過酸化水素水の混合液に代えて、洗浄液であるDIWを供給する。また、アーム部23を上下動及び揺動させることにより、エッジノズル19を飛散防止カップ13の外部まで移動させ、図1に示す位置に待避させる(STEP6)。
【0068】
そして、飛散防止カップ13を下降させて、図9に示す位置に移動させる(STEP7)。このとき、基板Wや基板保持機構14に付着した基板処理液が、飛散防止カップ13に飛んでその内壁部で跳ねが生じることを少なくするために、基板保持回転機構20の回転速度は100rpm〜300rpm程度とすることが望ましい。
【0069】
飛散防止カップ13の移動が完了した後、ノズル18からDIWを供給し、基板保持機構14の外側面、及びベース部17の外側面を洗浄する。また、ノズル16からDIWを供給し、ベース部17の上面、及び基板保持機構14の回転軸22側の面(内側面)を洗浄する。また、ノズル15に接続された薬液ライン31からのDIWの供給を停止し、薬液ライン32からDIWの供給を行う。薬液ライン32からDIWを供給する流量及び流速は、DIWが基板Wの裏面に到達しない程度の流量、流速とし、これによりノズル15、ノズル16自体をDIWで洗浄する(STEP8)。
【0070】
上記の洗浄処理を所定時間行った後、飛散防止カップ13を再び図1に示す位置まで上昇させる(STEP9)。
【0071】
そして、ノズル11,15,16,18からのDIWの供給を停止し、基板保持回転機構20の回転速度を2000rpmに上げて基板Wのスピン乾燥を行う。このとき、回転速度が2000rpmに達するまでの基板保持機構14の回転速度の加速度を400rpm/sとし、この加速度では基板保持機構14による基板Wの保持部分に基板保持機構14からのすべりが生じないので、基板Wの回転速度は、基板保持機構14の回転速度に対して相対的に変化することはない。また、STEP8で供給したDIWにより、飛散防止カップ13の内壁や、基板保持回転機構20はすでに洗浄されているため、基板Wは、薬液の影響のない状態でスピン乾燥される(STEP10)。
【0072】
所定の時間スピン乾燥を行った後、基板保持回転機構20の回転を止めて基板Wの回転を停止させ、基板Wの処理を終了する。このとき、基板保持回転機構20を停止させるまでの基板保持回転機構20の加速度は−400rpm/sとし、この加速度では基板保持機構14による基板Wの保持部分に基板保持機構14からのすべりが生じないので、基板Wの回転速度は、基板保持機構14の回転速度に対して相対的に変化することはない。基板Wの回転が停止したら、飛散防止カップ13を図7に示す位置まで下降させ、ロボットハンドで基板Wを取り出す(STEP11)。
【0073】
上記一連の工程により、基板W上面の外周端部から内側3mmまでの部分と、基板Wの側面とに形成されたCu膜のエッチングと、基板Wの裏面の洗浄とを行うことができる。また、基板Wの表面に供給した硫酸により、基板Wの表面に形成されたCu膜の表面に薄く存在するCu酸化膜を除去することができる。なお、このCu酸化膜の除去が不要な場合は、STEP3で、ノズル12から硫酸を供給する工程に代えて、ノズル11からDIWを供給し、STEP4で、エッジノズル19から過酸化水素水を供給する代わりに硫酸と過酸化水素水の混合液を供給してもよい。
【0074】
なお、上記した基板Wの外周部に形成された除去される不必要な膜はCu膜に限定されない。例えば本発明では、Co、Co−W−PやCo−W−B等のCo合金、Ta、Ta−N、W、W−N、Ti、Ti−N、Ni、Ru、P、B及びMoのうちのいずれか1つを含む膜、又はこれらのうちのいずれか1つを含む膜を複数積層した膜であってもよい。
【0075】
次に、基板処理装置1を用いた基板処理の他の工程を説明する。ここでは、基板Wの洗浄とベベル部分(エッジ部及びその近傍)のエッチングを行う場合について、図10に示すフローチャートと、図1、図7乃至図9とを用いて説明する。
【0076】
まず、基板処理装置1の飛散防止カップ13を図7に示す位置まで下降させて、その状態で、ロボットハンド(図示せず)等で基板Wを搬送して基板保持機構14の中央部に落とし込む。これにより基板Wを基板保持機構14の凸部25c上に載置する(STEP1)。
【0077】
飛散防止カップ13を上昇させて、図1に示す位置に移動する(STEP2)。
【0078】
基板保持回転機構20を回転させて、基板保持機構14及びその上に載置された基板Wを初期速度350rpmで回転させる。このとき、初期速度に達するまでの基板保持回転機構20の加速度を、400rpm/sに設定する。この加速度では、基板Wの自重により基板Wと凸部25cとの間に生じる静止摩擦力(最大摩擦力)の方が、基板Wに生じる慣性力よりも大きいので、基板保持機構14による基板Wの保持部分が基板保持機構14からすべることがなく、基板Wの回転速度は、基板保持機構14の回転速度に対して相対的に変化することはない。そして、基板Wが回転速度350rpmで回転している状態で、ノズル12から基板Wの表面に薬液として硫酸を供給し、また、ノズル15から基板Wの裏面に薬液として硫酸と過酸化水素水の混合液を供給して基板処理を行う(STEP3)。
【0079】
基板Wが回転速度350rpmで回転している状態で、アーム部23を上方に移動し、エッジノズル19を飛散防止カップ13よりも高い位置に移動させた後、アーム部23の軸を回転させて基板Wの上部にエッジノズル19を移動させる。更に、エッジノズル19を基板Wの上面から2cm程度の高さに移動させ、図8に示す状態にする。この位置で、エッジノズル19から薬液として過酸化水素水を基板Wの外周部に供給する。その供給位置は、詳細には、基板Wの端部(外周端部)から内側に3mm以内の位置とし、これにより、基板Wの端部より内側3mmまでの部分を、ノズル12から供給される硫酸と、エッジノズル19から供給される過酸化水素水との混合液で処理することで、この部分に形成されたCu膜をエッチングする(STEP4)。なおこの状態では、基板Wの、基板保持機構14で保持された保持部分には処理液が供給されないため、この保持部分のエッチング処理は行われない。
【0080】
ノズル12で供給する硫酸と、エッジノズル19で供給する過酸化水素水との混合液を所定の時間供給した後、基板保持機構14による基板Wの保持位置を移動させるため、これら薬液を供給し続けた状態で、基板保持機構14の回転速度を400rpmに上げる。このとき、基板保持機構14の回転速度の加速度は1000rpm/sとする。この動作によって基板保持機構14が基板Wを保持する保持部分にすべりが生じて、当初に基板保持機構14で基板Wを保持していた保持位置が移動するので、基板処理液は基板Wの全表裏面及び全側面に供給されることとなる。なお、基板Wの回転速度は、所定時間経過後に基板保持機構14の回転速度と同じ回転速度である400rpmまで上昇し、再び基板Wは基板保持機構14と一体に回転する(STEP5)。
【0081】
基板Wに所定の時間薬液を供給した後、ノズル11から洗浄液であるDIWの供給を開始し、その後、ノズル12からの薬液の供給を停止する。ここでは、基板Wの表面が露出した状態になることを防止するため、ノズル11から洗浄液であるDIWの供給を開始した後で、ノズル12からの薬液の供給を停止することが望ましい。一方、ノズル15から、硫酸と過酸化水素水の混合液に代えて、洗浄液であるDIWを供給する。また、アーム部23を上下動及び揺動させることにより、エッジノズル19を飛散防止カップ13の外部まで移動させ、図1に示す位置に待避させる(STEP6)。
【0082】
基板Wの表面及び裏面にノズル11及び15から所定の時間DIWを供給し、基板Wの表裏面に付着した薬液をそれぞれ洗浄する。また、ノズル16からDIWを供給し、ベース部17の上面、及び基板保持機構14の回転軸22側の面(内側面)を洗浄する。更に、ノズル15に接続された薬液ライン31からのDIWの供給を停止し、薬液ライン32からDIWの供給を行う。この薬液ライン32からDIWを供給する流量及び流速は、DIWが基板Wの裏面に到達しない程度の流量、流速とし、これによりノズル15及び16自体をDIWで洗浄する(STEP7)。
【0083】
基板Wの表面及び裏面にDIWを供給している状態で、基板保持回転機構20の回転速度を2000rpmに上げる(STEP8−1)。これにより基板保持機構14に付着した薬液を振り飛ばして除去することができる。このとき、基板Wの表面及び裏面にはそれぞれノズル11及びノズル15からDIWが供給されていることで、該基板Wの表裏面はDIWによって覆われており、基板保持機構14から基板Wに振り飛ばされた薬液が基板Wに向かって跳ねても、これが基板Wの表面及び裏面に付着することを防止できる。また、基板保持機構14から飛散した薬液が飛散防止カップ13等に当たって跳ね返った際にこれがミスト状になって基板Wの表面や裏面に悪影響を及ぼすことを防止できる。なおここでは、基板保持回転機構20の回転速度は、後述するスピン乾燥工程における基板保持回転機構20の回転速度と等しい回転速度である2000rpmとした。このように、洗浄工程において、任意の時間スピン乾燥工程と同程度の高い回転速度で基板保持回転機構20を回転させることによって、基板保持機構14に付着した薬液を確実に振り飛ばして除去することができる。
【0084】
基板Wの表面及び裏面にDIWを供給している状態で、基板保持回転機構20の回転速度を50rpmに落とす(STEP8−2)。この回転速度では、基板Wに供給されたDIWが基板保持機構14を伝って流れるため、基板保持機構14に付着した薬液をDIWによって洗浄して落とすことができる。
【0085】
STEP8−1とSTEP8−2の工程は、いずれか片方のみを行ってもよいし両方を行っても良い。STEP8−1とSTEP8−2の工程の両方を行う場合はその順序は上記に限定されず、STEP8−2の工程をSTEP8−1の工程より先に行ってもよい。
【0086】
次に、基板保持回転機構20の回転速度を100rpmと加速し、その後飛散防止カップ13を図9に示す位置に移動させる(STEP9)。このとき、基板Wや基板保持機構14に付着した基板処理液が、飛散防止カップ13に飛んでその内壁部で跳ねが生じることを少なくするために、基板保持回転機構20の回転速度は100rpm〜300rpm程度とすることが望ましい。飛散防止カップ13が図9に示す位置にあると、飛散防止カップ13の内壁上部で、基板Wや基板保持機構14から飛んだDIWを飛散防止カップ13が受け止める。このとき、適切な基板Wの回転速度やDIWの流量を設定することで、飛散防止カップ13の上部内壁で受け止められたDIWが飛散防止カップ13の内壁の下方に流れて行き、飛散防止カップ13の内壁を洗浄することができる。
【0087】
所定の時間DIWによる洗浄を行った後、飛散防止カップ13を図1に示す位置に移動させる(STEP10)。
【0088】
そして、ノズル11,15,16からのDIWの供給を停止し、基板保持回転機構20の回転速度を2000rpmに上げてスピン乾燥を行う(STEP11)。このとき、STEP6〜STEP9で供給したDIWにより、飛散防止カップ13の内壁や基板保持回転機構20はすでに洗浄されているため、基板Wは、薬液の影響のない状態でスピン乾燥される。
【0089】
所定の時間スピン乾燥を行った後、基板保持回転機構20の回転を止めて基板Wの回転を停止させ、基板Wの処理を終了する。基板Wの回転が停止したら、飛散防止カップ13を図7に示す位置まで下降させ、ロボットハンドで基板Wを取り出す(STEP12)。
【0090】
上記一連の工程により、基板W上面の外周端部から内側3mmまでの部分と、基板Wの側面とに形成されたCu膜のエッチングと、基板Wの裏面の洗浄とを行うことができる。また、基板Wの表面に供給した硫酸により、Cu膜の表面に薄く存在するCu酸化膜を除去することができる。なお、このCu酸化膜の除去が不要な場合は、STEP3で、ノズル12から硫酸を供給する工程に代えて、ノズル11からDIWを供給し、STEP4で、エッジノズル19から過酸化水素水を供給する代わりに硫酸と過酸化水素水の混合液を供給してもよい。
【0091】
なお、基板Wの外周部に形成された除去される不必要な膜はCu膜に限定されない。例えば本発明では、Co、Co−W−PやCo−W−B等のCo合金、Ta、Ta−N、W、W−N、Ti、Ti−N、Ni、Ru、P、B及びMoのうちのいずれか1つを含む膜、又はこれらのうちのいずれか1つを含む膜を複数積層した膜であってもよい。
【0092】
上記した工程によれば、STEP8−1の洗浄工程において、基板Wの表面及び裏面にDIWを供給してこれを覆いながら基板保持機構14を高速で回転させるので、基板保持機構14に付着した薬液を確実に振り落とすことができ、且つ基板Wの表裏面が薬液で汚染されることを防止できる。これにより、STEP11のスピン乾燥の工程では、基板保持機構14に付着した薬液は既に落とされているため、基板Wが薬液で汚染されるおそれがなくなる。よって、基板Wの洗浄工程と乾燥工程とを同一の装置で行うことが可能となり、基板処理装置のフットプリントの増加を防止できると共に、基板処理装置のスループットを増加させることができる。なお、上記した洗浄液としては、純水、脱気水、ガス溶存水等を用いるとよい。
【0093】
図11は本発明の第2の実施形態における基板処理装置101の側面図、図12は図11に示す基板処理装置101の基板保持機構(基板保持チャック)114とベース部(チャック保持ベース)117を示す平面図である。基板処理装置101には、円板状のベース部117、ベース部117の外周近傍(ベース部117の外周から所定寸法内側)に半導体ウエハ等の基板Wを保持する基板保持機構114を3個以上(図12では4個)、及びベース部117の中央部に設置された回転軸122が配置されている。ベース部117は、駆動機構(図示せず)により回転軸122を中心に基板Wを基板保持機構114によって保持した状態で回転できるようになっている。ベース部117は、基板Wよりやや大きく該基板Wの下面全面を被うようになっている。これにより、高速回転により基板Wの乾燥を行う際、基板Wから振り切られた液がベース部117に跳ね返り基板Wの下面に付着するのを抑制できるようになっている。
【0094】
基板処理装置101は、バルブV1が設置され薬液ラインL1に接続された薬液供給ノズル112と、バルブV2が設置され純水ラインL2に接続された洗浄液供給ノズル111を備えている。バルブV1を開いて薬液供給ノズル112に薬液151を供給することにより、基板Wの上面に薬液供給ノズル112から薬液151が供給されるようになっており、バルブV2を開いて洗浄液供給ノズル111に純水(DIW)152を供給することにより、基板Wの上面に純水152が供給されるようになっている。
【0095】
基板処理装置101はまた、回転軸122を貫通するノズル構造体105を備え、該ノズル構造体105は基板Wの下方に位置するベース部117の中央部に配置されている。ノズル構造体105は、ノズル115,116,170を具備する。ノズル115にはバルブV3が設置された薬液ラインL3、バルブV5が設置された純水ラインL5、及びバルブV4が設置された排水ラインL4に接続されている。それぞれ薬液153、純水154が薬液ラインL3及び純水ラインL5を介してノズル115に供給できるようになっている。ノズル116はバルブV6が設置された純水ラインL6、及びバルブV7が設置された排水ラインL7に接続されている。純水156は純水ラインL6を介してノズル116に供給されるようになっている。排水ラインL7は排水配管154に接続されている。ノズル170はバルブV8が設置されたガスラインL8に接続されている。N2ガス158はガスラインL8を介してノズル170に供給されるようになっている。回転軸122とノズル構造体105の間の間隙161はバルブV9が設置されたパージガス供給ラインL9に接続されている。N2ガス159はパージガス供給ラインL9を介してパージガスとして間隙161に供給されるようになっている。
【0096】
また、基板保持機構114とベース部117を囲むように配置された飛散防止カップ113が配置され、該飛散防止カップ113の上端部にはノズル118が取り付けられている。該ノズル118は、バルブV10が設置された純水ラインL10に接続されている。該ノズル118には純水ラインL10を介して純水160が供給されるようになっている。
【0097】
ノズル115にはバルブV3及びV5により薬液153及び純水154を切り替えて供給することにより、該ノズル115から薬液153及び純水154を基板Wの下面に切り替えて供給できるようになっている。液体(主に純水154)は基板Wに到達しない流量でノズル115から供給される。また、なお、液が基板Wに到達しない流量とは、該液がノズル115から基板Wに直接吹き付けることなく、あるいはノズル115から溢れ出される程度の単位時間当りの流量を言う。これにより、液がノズル構造体105の上面に伝わって流れることができるようになり、ノズル構造体105(ノズル115及びその近傍)を洗浄することができる。更に、ノズル115はバルブV4を介して排水配管155とも接続されており、バルブV3及びV5を閉じ、バルブV4のみを開くことで、ノズル115及び該ノズル115に接続されたライン内に残留する液を排水配管155へ排出できる。
【0098】
本実施形態では、ノズル115に接続されたライン(薬液ラインL3、純水ラインL5、排水ラインL4)内とノズル構造体105を洗浄することを特徴としている。そのためまずバルブV3を開いて薬液ラインL3を通して薬液153をノズル115に供給し、該ノズル115から薬液153を基板Wに供給し、次にノズル115に接続されたライン内の液を抜くためバルブV3を閉じ、バルブV4を開とする。これによりノズル115に接続されたライン内の薬液153は速やかに排水配管155に排出できる。次にバルブV4を開いたままバルブV5を開く。これにより、純水ラインL5と薬液ラインL3の分岐点Pから排水ラインL4へと純水154が流すことができ、ライン内を洗浄することができる。更にバルブV5を開いたままバルブV4を閉じることで、純水ラインL5と薬液ラインL3の分岐点Pからノズル115へ純水154を流すことができ、該ライン内を洗浄することができる。
【0099】
ここで、ノズル115から出る純水154を基板Wの下面に到達しない流量で供給することで、ノズル115,116,170を具備するノズル構造体105を洗浄することができる。先に純水ラインL5と薬液ラインL3の分岐点Pを洗浄しておくことが重要であり、分岐点Pの洗浄を行わない場合、ノズル115からは僅かな薬液153を含む純水154が供給され続けることになる。
【0100】
また、基板Wをスピン乾燥させる前に、ノズル115につながるバルブV4のみを開いておくことで、ノズル115及びそれに接続されるライン内の液を排水配管155を通して排出できる。スピン乾燥などの高速回転時に基板Wとベース部117の間が負圧になって、ノズル115及びそれに接続されているライン内の液が飛出すことなく、良好に基板Wを乾燥することができる。逆に、ノズル115,116,170を有するノズル構造体105に薬液が残留しているとスピン乾燥時に基板Wとベース部117の間が負圧になり、薬液が飛散し基板に付着する問題が発生することがある。
【0101】
ノズル116からは液をスプレー状に供給することができ、バルブV7を閉じ、バルブV6を開くことにより、純水ラインL6を通してノズル116に純水156を供給する。従って、純水156を該ノズル116から基板Wの下面、ベース部117上面及び基板保持機構114内壁面に供給してこれらの面を洗浄することができる。ノズル構造体105の洗浄とノズル116によるベース部117及び基板保持機構114内壁面の洗浄により基板Wの下面を被う部材の全てを洗浄することができる。更にスピン乾燥前にバルブV7のみを開くことでノズル116に接続されたラインの液を排水ラインL7を通して排水配管157へ排水することができる。これにより、先にノズル115で述べたように、スピン乾燥などの処理中に基板Wとベース部117の間が負圧になっても、ノズル115、及びノズル116に接続されたライン内の液がノズル115から飛出すことがなく良好に基板を乾燥することができる。
【0102】
ノズル170からはガスラインL8及びバルブV8を通してN2ガス158を供給することができ、これにより基板Wとベース部117の間の空間を高圧で好ましくは(スピン乾燥時にも)外部より高い圧力に保つようにN2ガス158で満たすことができる。これにより基板Wの下面とベース部117との間に薬液やミストが入り込むことを抑制することができる。また、このN2ガスにより基板Wの下面中央部にある液を吹き飛ばすことができ、それはスピン乾燥時液を振りきりにくい基板W下面中央の乾燥補助の効果を持つ。N2ガスは主に基板乾燥時に供給することで薬液やミストが入り込むことを抑制したり、基板の乾燥の補助の効果が得られるが、N2ガスを供給するノズル170を含む部材を洗浄液で洗う際、液がノズル170に入り込む可能性がある。そのため、ノズル115,116,170を具備するノズル構造体105を洗浄する際、又はノズル115により基板Wの裏面の薬液処理中やノズル116により、基板Wの下面を被う部材の全てを純水で洗浄する際等、ノズル170に液が入り込まない程度のN2ガス流量を供給することで、乾燥時にノズル170から入り込んだ液が吹き出して乾燥行程に悪影響を与えることを防ぐ。
【0103】
基板Wの洗浄液としては、一般的に純水(DIW)又はガス溶存水が使用されるが、洗浄の目的に応じて薬液の使用もあり得る。基板Wの下面に供給するガスとしては、N2ガスや、乾燥空気などが挙げられるが、これに限定するものではなく、例えば各種不活性ガスでもよい。
【0104】
図11において、飛散防止カップ113は基板Wを処理する薬液が飛散することを防止する受けとなり、図11における位置では主に飛散防止カップ113の傾斜部113aに基板処理液である薬液や洗浄液を受ける。図13は飛散防止カップ113を飛散防止カップ113の内壁洗浄位置に移動した場合を示す。この位置にある飛散防止カップ113は、洗浄液をその上部で受ける。図13における位置で適切な基板回転速度、洗浄液流量を設定することで、飛散防止カップ113の上部内壁に受けた洗浄液が下方に流れて行き、飛散防止カップ113の内壁を洗浄することができる。ノズル118はバルブV10及び純水ラインL10を通して純水160を供給することで、該純水160をスプレー状に噴射するノズルであり、基板保持機構114の外壁と基板Wとベース部117の側面に純水160を供給してこれらの面を洗浄することができる。
【0105】
図14は基板Wを基板処理装置101に受渡しする時の飛散防止カップ113の位置を示す。図14において、飛散防止カップ113の位置ではロボット等による基板Wの基板処理装置101への出し入れが行なわれる。回転軸122とノズル構造体105の間の間隙161には基板Wの処理中常にバルブV9を開いてパージ用のN2ガスを供給しており、液やミストが回転軸122内に入り込まないようにしている。
【0106】
上記構成の基板処理装置において、処理する基板Wとして半導体ウエハを用いる例を下記に説明する。ベアSi表面を上向きにした半導体ウエハ上で以下のステップ1〜ステップ9の処理が行われる。
【0107】
飛散防止カップ113を図14に示す位置、即ち基板保持機構114が飛散防止カップ113の上端部より上方に所定量突出するような位置に移動する。この状態で基板処理装置101がロボットハンド等で搬送された基板Wを受け取り、基板保持機構114で基板Wの外周を保持する(STEP1)。
【0108】
飛散防止カップ113を図11に示す位置、即ち飛散防止カップ113の上端が基板保持機構114の上端より所定量上になるように、飛散防止カップ113を上昇させる(STEP2)。
【0109】
ベース部117、基板保持機構114及び基板Wを約500rpmで回転させる。バルブV1を開いて薬液ラインL1を通して薬液供給ノズル112に薬液151として弗化水素酸を供給し、該薬液供給ノズル112から基板Wの上面に薬液151を供給する。バルブV3を開いてノズル115に薬液153として弗化水素酸を供給し、該ノズル115から基板Wの下面に薬液153を供給する(STEP3)。
【0110】
薬液供給ノズル112から所定時間薬液151として弗化水素酸を供給した後、バルブV1を閉じて薬液151の供給を停止する。基板Wの面を露出させないため、バルブV1を閉じるよりバルブV2を開くのを早くし、洗浄液供給ノズル111から純水を供給するのを薬液供給ノズル112からの薬液停止より早くし、純水152と薬液151が同時に基板Wの上面に供給されている時間を持たせるとよい。バルブV6を開いてノズル116から純水156を供給する。バルブV3を閉じてノズル115からの薬液153の供給を停止し、バルブV4を開いてノズル115に接続されているライン内の液を排水配管155に排出する(STEP4)。
【0111】
所定の時間基板Wの上面、下面に洗浄液供給ノズル111から純水152、ノズル116から純水156をそれぞれ供給して、基板Wの上下面に残留する薬液を洗浄する。このとき、ノズル116から純水156を供給して、ベース部117の上面及び基板保機構114の内壁面を洗浄することも行う。上記基板Wの上下面に残留する薬液を洗浄している際に、バルブV4を閉じた後、バルブV5を開いてノズル115から純水154を供給する。ノズル115から純水154を供給する流量は純水154が基板Wの下面に到達しない程度の量とし、これによりノズル115,116,170を有するノズル構造体105を洗浄する。バルブV8を開いてノズル170にN2ガスを供給することにより、乾燥時までガスを吹き付け、ノズル170に純水が入り込むのを防ぐ(STEP5)。
【0112】
ベース部117、基板保持機構114及び基板Wの回転速度を100rpmに落とした後、飛散防止カップ113を図13に示す位置に移動する。この移動により飛散防止カップ113の内壁に基板Wを伝わった純水を供給し、飛散防止カップ113の内壁は純水によって洗浄することができる。バルブV10を開き、基板保持機構114の外壁面及びベース部117の側面を洗浄する(STEP6)。ベース部117及び基板保持機構114の回転速度は飛散防止カップ113の内壁での跳ねを少なくするため、100〜300pm程度が好ましい。
【0113】
所定の時間洗浄を行った後、飛散防止カップ113を図11の位置に移動する(STEP7)。
【0114】
バルブV2を閉じ洗浄液供給ノズル111への純水152の供給を停止し、バルブV5及びバルブV6を閉じノズル115及び116への純水の供給を停止した後、1秒間バルブV4及びV7を開いて、ノズル115,116、及びそれに接続されたライン内の液を排水配管155、排水配管157に排出する(STEP8)。これによりノズル115,116,170を有するノズル構造体105付近の液を最小限にすることができる。
【0115】
バルブV4及びV7を閉じた後、ベース部117、基板保持機構114及び基板Wの回転を加速し2000rpmで所定の時間回転させる(STEP9)。この動作により基板Wに付着した液は遠心力で振りきられ基板Wを好適に乾燥させることができる。
【0116】
特にSTEP9での基板Wの下面の保護及びミストの進入抑制により、基板Wの下面を好適に処理できる。基板Wの下面はベース部117により保護されているため周囲からの液の跳ね返りを抑えることができる。基板Wとベース部117の間の空間はN2ガスを供給しているため、周囲からのミストの進入を抑えることができる。基板の下面に相対するベース部117やノズル115,116,170を有するノズル構造体105は洗浄されており、ノズル115及び116とそれに接続された両ライン内の液は排出されているため、基板Wの加速や減速により液が巻きあがることもない。また、STEP5〜8においてノズル170内に処理液がたまらないようにガスを供給していたため、乾燥時に効果的にガスを供給することができる。
【0117】
基板保持機構114の内壁面及び外壁面、飛散防止カップ113の内壁面も洗浄されているため、たとえ薬液が飛散防止カップ113の内壁に跳ね散っても、薬液のミストが飛散防止カップ113の内壁に発生することがない。それらの効果により基板Wの下面にウォータマークや薬液の残留、雰囲気による影響なくベアSi基板Wを処理することができる。
【0118】
図15は、本発明にかかる基板処理装置を組み込んだCuめっき装置50を示す平面図である。このCuめっき装置50は、図15に示すように、基板カセット511,512,513,514と、基板搬送ロボット521,522と、洗浄槽531,532と、めっき槽541,542,543,544と、基板置き台55とを備えている。洗浄槽531,532はそれぞれ本発明にかかる基板処理装置を備えている。また、洗浄槽53−1,53−2には洗浄薬液供給装置56が接続され、めっき槽541,542,543,544にはめっき薬液供給装置57が接続されている。また、Cuめっき装置50は、表示部59及び制御部58を備え、制御部58からの制御信号がCuめっき装置50の各部に送られるようになっている。
【0119】
このCuめっき装置50では、制御部58から送られる制御信号に基づいて、基板搬送ロボット521が、基板カセット511〜514のいずれかから未処理の基板Wを一枚ずつ取り出して基板置き台55上に載置する。基板置き台55上に載置された基板Wは、基板搬送ロボット522によってめっき槽541〜544に順次送られて、めっき槽541〜544内で基板Wの表面にCuめっきが施される。その後、基板Wは、基板搬送ロボット522によって、洗浄槽531,532に送られて、洗浄槽531,532内で洗浄及びエッチング処理が基板Wの表面に施される。なお、めっき槽541〜544で用いられるめっき液は、めっき薬液供給装置57から供給され、洗浄槽531,532で用いられる洗浄液は、洗浄薬液供給装置56から供給される。
【0120】
このCuめっき装置50は、洗浄薬液供給装置56やめっき薬液供給装置57や、測定装置等の付帯装置(図示せず)を、制御部58から出される制御信号で制御している。制御部58は、入力レシピに従った操作を行うように洗浄薬液供給装置56やめっき薬液供給装置57等の各装置に制御信号を送る。この制御信号により、めっき液供給ライン60や洗浄液供給ライン61等に設けたバルブ(図示せず)類をそれぞれ開閉したり、モータ(図示せず)を駆動する。また、流量計等を設け、この場合、この流量計からの信号を制御部58に入力して、流量検出値が予め設定された設定値と合致するようにフィードバック制御を行うことや、流量検出値が予め設定された許容値の範囲外である場合や流量計から異常信号が出された場合は、装置を停止させることも可能である。なお、洗浄薬液供給装置56、めっき薬液供給装置57、制御部58、表示部59等はCuめっき装置50に組み込んでもよい。
【0121】
図16は、本発明にかかる基板処理装置を組み込んだ無電解めっき装置70を示す平面図である。図16に示すようにこの無電解めっき装置70は、基板カセット711,712,713,714と、基板搬送ロボット721,722と、洗浄槽73と、ロール洗浄機76と、無電解めっき槽741,742と、前処理槽77と、シード塗布槽78と、基板置き台75とを備えている。洗浄槽73は本発明にかかる基板処理装置を備えている。また、洗浄槽73,及びロール洗浄機76には洗浄薬液供給装置82が接続され、無電解めっき槽741,742、前処理槽77、シード塗布槽78には薬液供給装置83が接続されている。また、無電解めっき装置70は表示部79及び制御部84を備え、制御部84からの制御信号が無電解めっき装置70の各部に送られるようになっている。
【0122】
この無電解めっき装置70は、制御部84から送られる制御信号に基づいて、基板搬送ロボット721が、基板カセット711〜714のいずれかから未処理の基板Wを一枚ずつ取り出して基板置き台75上に載置する。基板置き台75上に載置された基板Wは、基板搬送ロボット722によって前処理槽77に送られ、前処理槽77で基板Wに前処理が施されると共に、基板Wはシード塗布槽78に送られて基板の表面にシード層が形成され、その後、無電解めっき槽741,742に搬送されて、基板Wの表面にめっき層が形成される。めっき層が形成された基板Wは、洗浄槽73に送られ、その洗浄及びエッチング処理が基板Wの表面に施される。
【0123】
例えば、洗浄槽73での基板処理装置における処理を図1を参照して説明すると、ノズル12から基板Wの表面に薬液として硫酸が供給され、ノズル15から基板Wの裏面に硫酸と過酸化水素水の混合液が供給される。更に、エッジノズル19から基板Wのエッジ部分に過酸化水素水が供給されることで、この過酸化水素水とノズル12から供給された硫酸との混合液により基板Wのエッジ部分がエッチング処理される。また、ノズル11から基板Wの表面にDIWを供給し、ノズル15から基板Wの裏面に硫酸と過酸化水素水の混合液を供給し、エッジノズル19から基板Wのエッジ部分に硫酸と過酸化水素水の混合液を供給してもよい。
【0124】
これらの処理が終了した後、ノズル11及び15から基板Wの表面及び裏面にDIWが供給されて基板Wの洗浄がそれぞれ行われる。その後、基板Wはロール洗浄機76へ送られる。なお、無電解めっき槽741,742で用いられるめっき液、前処理槽77で用いられる前処理液、シード塗布槽78で用いられるシード塗布液は、薬液供給装置83から供給され、洗浄槽73及びロール洗浄機76で用いられる洗浄液は、洗浄薬液供給装置82から供給される。
【0125】
この無電解めっき装置70は、洗浄薬液供給装置82や薬液供給装置83や、測定装置等の付帯装置(図示せず)を、制御部84から出される制御信号で制御している。制御部84は、入力レシピに従った操作を行うように洗浄薬液供給装置82や薬液供給装置83等の各装置に制御信号を送る。この制御信号により、薬液供給ライン80や洗浄液供給ライン81等に設けたバルブ類(図示せず)をそれぞれ開閉したり、モータ(図示せず)を駆動する。また、流量計等を設けて、この流量計からの信号を制御部84に入力して、流量検出値が予め設定された設定値と合致するようにフィードバック制御を行うことや、流量検出値が予め設定された許容値の範囲外である場合や流量計から異常信号が出された場合は、装置を停止させることも可能である。なお、洗浄薬液供給装置82、薬液供給装置83、制御部84、表示部79等は無電解めっき装置70に組み込んでもよい。
【0126】
なお、上記各実施形態で説明した基板処理装置で行われる基板処理は、上述したものに限られるものではなく、例えば、基板処理装置のノズル等の設置位置及び、これらから供給される洗浄液や薬液の種類や供給するタイミング等を変更することで、基板Wの種類に応じた処理を行うように構成することができる。なお直接明細書及び図面に記載のないいずれの形状、構造、材質であっても、上述した本願発明の作用及び効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。
【0127】
本発明の好ましい実施形態について図示及び説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び改変が可能であることは容易に理解できよう。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、基板に処理液を供給しながら半導体ウエハ等の回転している基板を処理する基板処理装置に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置を示す概略図である。
【図2A】図2Aは、図1に示す基板処理装置の基板保持機構を示す部分平面図である。
【図2B】図2Bは、図2AのA−A部分概略断面図である。
【図3】図3A及び図3Bは、図2Bの基板保持機構の動作説明断面図である。
【図4】図4Aから図4Cは、図1に示す基板処理装置の基板保持機構の回転速度の変化の例を示すグラフである。
【図5】図5A及び図5Bは、図1に示す基板処理装置の基板保持機構の回転速度の変化の例を示すグラフである。
【図6】図6は、図1に示す基板処理装置における処理工程の例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、図1に示す基板処理装置の動作を示す概略図である。
【図8】図8は、図1に示す基板処理装置の動作を示す概略図である。
【図9】図9は、図1に示す基板処理装置の動作を示す概略図である。
【図10】図10は、図1に示す基板処理装置における他の処理工程の例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の第2の実施形態に係る基板処理装置の側面図である。
【図12】図12は、図11に示す基板処理装置の基板保持チャックとチャック保持ベースを示す平面図である。
【図13】図13は、図11に示す基板処理装置の動作を示す概略図である。
【図14】図14は、図11に示す基板処理装置の動作を示す概略図である。
【図15】図15は、本発明に係る基板処理装置を組み込んだCuめっき装置を示す平面図である。
【図16】図16は、本発明に係る基板処理装置を組み込んだ無電解めっき装置を示す平面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持力をその回転速度に応じて変化させつつ該基板を保持する基板保持機構と、
前記基板保持機構を回転させて前記基板保持機構により保持された基板を回転させる基板回転機構と、
前記基板保持機構により保持された基板の任意の位置に処理液を供給する処理液供給機構と、
を備えた、基板処理装置。
【請求項2】
前記基板回転機構の回転速度と該基板保持機構に保持された前記基板の回転速度とを相対的に変化させる駆動機構を更に備えた、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
基板の外周部を保持する基板保持機構と、
前記基板保持機構が取り付けられ、前記基板の少なくとも一面に対向するベース部と、
前記ベース部の中央部に設けられた回転軸と、
前記基板に薬液と第1の洗浄液とを選択的に供給可能な第1の液供給ノズルと、
前記第1のノズルに供給する薬液と第1の洗浄液とを切り替える切替機構と、
前記基板保持機構の内壁面と前記ベース部の上面に第2の洗浄液を供給可能な第2の液供給ノズルと、
前記基板と前記ベース部との間の空間にガスを供給可能なガス供給ノズルと、
前記第1の液供給ノズル、前記第2の液供給ノズル、及び前記ガス供給ノズルを有し、前記回転軸の内部に配置されたノズル構成体と、
を備えた、基板処理装置。
【請求項4】
前記第1の液供給ノズルは、前記第1の洗浄液により前記第1の液供給ノズルと前記ノズル構成体の外表面及びその近傍を洗浄できるように構成されている、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1の液供給ノズルに接続された第1のラインと、
前記第2の液供給ノズルに接続された第2のラインと、
前記第1のラインと前記第2のラインの内部に残留する液を排出する液排出機構と、
を更に備えた、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記回転軸とノズル構成体との間の間隙にパージガスを供給可能なパージガス供給ラインを更に備えた、請求項3記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記基板保持機構の外壁面に第3の洗浄液を供給する第3の液供給ノズルを更に備えた、請求項3記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記基板保持機構の外周部に設けられ、該基板保持機構を囲む上下動可能な飛散防止カップを更に備えた、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
基板保持機構により基板を保持し、
前記基板保持機構を基板回転機構により回転させて前記基板を回転させ、
前記基板保持機構の回転速度と前記基板の回転速度とを相対的に変化させつつ、回転する基板の任意の位置に基板処理液を供給して基板を処理する、基板処理方法。
【請求項10】
前記基板保持機構の回転速度と前記基板の回転速度とを相対的に変化させる工程では、
前記基板保持機構の回転速度を加速又は減速して該基板保持機構の回転速度と前記基板の回転速度とを相対的に変化させる、請求項9に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記基板保持機構の回転速度と前記基板の回転速度とを相対的に変化させる工程では、
前記基板保持機構の回転速度を加速又は減速すると同時に又はそれ以降に前記基板処理液の供給を停止する、請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記基板保持機構の回転速度と前記基板の回転速度とを相対的に変化させる工程では、
該基板保持機構の回転速度を第1の回転速度から第2の回転速度へと変化させ、
該基板保持機構の回転速度を第2の回転速度から第1の回転速度に戻す、請求項9に記載の基板処理方法。
【請求項13】
基板保持機構により基板を保持し、
前記基板保持機構を基板回転機構により回転させて前記基板を回転させ、
回転する基板に処理液を供給して基板を処理し、
前記処理液の供給後に、前記基板を第1の高回転速度で回転させ、
第1の高回転速度で回転する基板の少なくとも一面に洗浄液を供給し、該基板に付着した前記処理液を洗浄し、
前記基板の少なくとも一面を前記洗浄液で覆った状態で前記基板保持機構及び前記基板回転機構の少なくとも1つに付着した薬液を除去する、基板処理方法。
【請求項14】
前記第1の高回転速度は1000〜3000rpmの範囲である、請求項13に記載の基板処理方法。
【請求項15】
更に、前記基板を第2の高回転速度で回転させて前記洗浄液を除去し前記基板を乾燥させる、請求項13に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記基板を第2の高回転速度で回転させる工程では、任意の時間前記基板を前記第1の高回転速度と略同一の高回転速度で回転させる、請求項15に記載の基板処理方法。
【請求項17】
基板保持機構により基板を保持し、
前記基板保持機構を基板回転機構により回転させて前記基板を回転させ、
回転する基板に処理液を供給して基板を処理し、
回転する基板に洗浄液を供給して前記基板保持機構を洗浄する、基板処理方法。
【請求項18】
前記基板保持機構を回転させる工程では、前記洗浄液を供給しながら前記基板保持機構を300rpmよりも低い回転速度で回転させる、請求項17に記載の基板処理方法。
【請求項19】
基板保持機構により基板を保持し、
前記基板保持機構を基板回転機構により回転させて前記基板を回転させ、
回転する基板に処理液を供給して基板を処理し、
前記処理液の供給後に、前記基板を第1の高回転速度で回転させ、
第1の高回転速度で回転する基板の少なくとも一面に洗浄液を供給し、該基板に付着した前記処理液を洗浄し、
前記基板の少なくとも一面を前記洗浄液で覆った状態で前記基板保持機構及び前記基板回転機構の少なくとも1つに付着した薬液を除去し、
回転する基板に洗浄液を供給して前記基板保持機構を洗浄し、
任意の時間前記基板を第1の高回転速度と略同一の第2の回転速度で回転させ、前記洗浄液を除去し前記基板を回転させる、基板処理方法。
【請求項20】
前記洗浄液として、純水、脱気水、ガス溶存水を用いる、請求項13乃至請求項19のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項21】
前記処理液の供給工程では、前記処理液を基板の外周部に供給することで、該基板の外周部に形成された膜を除去する、請求項9乃至請求項20のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項22】
前記除去される膜は、Cu、Co、Co合金、Ta、Ta−N、W、W−N、Ti、Ti−N、Ni、Ru、P、B、Moのうちのいずれか一つを含む膜、又はCu、Co、Co合金、Ta、Ta−N、W、W−N、Ti、Ti−N、Ni、Ru、P、B、Moのうちのいずれか一つを含む膜を複数積層した膜である、請求項21に記載の基板処理方法。
【請求項23】
基板保持機構により基板を保持し、
前記基板保持機構を基板回転機構により回転させて前記基板を回転させ、
回転する基板に処理液を供給して基板を処理し、
第1の液供給ノズルから薬液を前記基板に供給し、
前記第1の液供給ノズルから供給される液体を洗浄液に切替え、
前記洗浄液を前記基板に供給し、
前記第1の液供給ノズル及びその近傍に洗浄液を供給して該第1の液供給ノズル及びその近傍を洗浄し、
前記基板保持機構を回転させ前記基板に付着する液を除去して乾燥する、基板処理方法。
【請求項24】
更に、前記洗浄液の供給を停止し、
前記停止後、前記基板の乾燥前に前記第1の液供給ノズルと該第1の液供給ノズルに接続されたライン内に残留する液を排出する、請求項23に記載の基板処理方法。
【請求項25】
更に、前記基板の乾燥前に第2の液供給ノズルから洗浄液を供給し、前記基板保持機構の内壁面と、該基板保持機構が取り付けられたベース部の上面とを洗浄する、請求項23に記載の基板処理方法。
【請求項26】
更に、前記基板の乾燥の際に、前記基板と、該基板保持機構が取り付けられたベース部との間の空間にガス供給ノズルからガスを供給する、請求項23に記載の基板処理方法。
【請求項27】
更に、前記第1の液供給ノズル及びその近傍の洗浄において、前記ガス供給ノズルから前記基板と前記ベース部との間の空間にガスを供給する、請求項26に記載の基板処理方法。
【請求項1】
基板を保持する基板保持力をその回転速度に応じて変化させつつ該基板を保持する基板保持機構と、
前記基板保持機構を回転させて前記基板保持機構により保持された基板を回転させる基板回転機構と、
前記基板保持機構により保持された基板の任意の位置に処理液を供給する処理液供給機構と、
を備えた、基板処理装置。
【請求項2】
前記基板回転機構の回転速度と該基板保持機構に保持された前記基板の回転速度とを相対的に変化させる駆動機構を更に備えた、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
基板の外周部を保持する基板保持機構と、
前記基板保持機構が取り付けられ、前記基板の少なくとも一面に対向するベース部と、
前記ベース部の中央部に設けられた回転軸と、
前記基板に薬液と第1の洗浄液とを選択的に供給可能な第1の液供給ノズルと、
前記第1のノズルに供給する薬液と第1の洗浄液とを切り替える切替機構と、
前記基板保持機構の内壁面と前記ベース部の上面に第2の洗浄液を供給可能な第2の液供給ノズルと、
前記基板と前記ベース部との間の空間にガスを供給可能なガス供給ノズルと、
前記第1の液供給ノズル、前記第2の液供給ノズル、及び前記ガス供給ノズルを有し、前記回転軸の内部に配置されたノズル構成体と、
を備えた、基板処理装置。
【請求項4】
前記第1の液供給ノズルは、前記第1の洗浄液により前記第1の液供給ノズルと前記ノズル構成体の外表面及びその近傍を洗浄できるように構成されている、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1の液供給ノズルに接続された第1のラインと、
前記第2の液供給ノズルに接続された第2のラインと、
前記第1のラインと前記第2のラインの内部に残留する液を排出する液排出機構と、
を更に備えた、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記回転軸とノズル構成体との間の間隙にパージガスを供給可能なパージガス供給ラインを更に備えた、請求項3記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記基板保持機構の外壁面に第3の洗浄液を供給する第3の液供給ノズルを更に備えた、請求項3記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記基板保持機構の外周部に設けられ、該基板保持機構を囲む上下動可能な飛散防止カップを更に備えた、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
基板保持機構により基板を保持し、
前記基板保持機構を基板回転機構により回転させて前記基板を回転させ、
前記基板保持機構の回転速度と前記基板の回転速度とを相対的に変化させつつ、回転する基板の任意の位置に基板処理液を供給して基板を処理する、基板処理方法。
【請求項10】
前記基板保持機構の回転速度と前記基板の回転速度とを相対的に変化させる工程では、
前記基板保持機構の回転速度を加速又は減速して該基板保持機構の回転速度と前記基板の回転速度とを相対的に変化させる、請求項9に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記基板保持機構の回転速度と前記基板の回転速度とを相対的に変化させる工程では、
前記基板保持機構の回転速度を加速又は減速すると同時に又はそれ以降に前記基板処理液の供給を停止する、請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記基板保持機構の回転速度と前記基板の回転速度とを相対的に変化させる工程では、
該基板保持機構の回転速度を第1の回転速度から第2の回転速度へと変化させ、
該基板保持機構の回転速度を第2の回転速度から第1の回転速度に戻す、請求項9に記載の基板処理方法。
【請求項13】
基板保持機構により基板を保持し、
前記基板保持機構を基板回転機構により回転させて前記基板を回転させ、
回転する基板に処理液を供給して基板を処理し、
前記処理液の供給後に、前記基板を第1の高回転速度で回転させ、
第1の高回転速度で回転する基板の少なくとも一面に洗浄液を供給し、該基板に付着した前記処理液を洗浄し、
前記基板の少なくとも一面を前記洗浄液で覆った状態で前記基板保持機構及び前記基板回転機構の少なくとも1つに付着した薬液を除去する、基板処理方法。
【請求項14】
前記第1の高回転速度は1000〜3000rpmの範囲である、請求項13に記載の基板処理方法。
【請求項15】
更に、前記基板を第2の高回転速度で回転させて前記洗浄液を除去し前記基板を乾燥させる、請求項13に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記基板を第2の高回転速度で回転させる工程では、任意の時間前記基板を前記第1の高回転速度と略同一の高回転速度で回転させる、請求項15に記載の基板処理方法。
【請求項17】
基板保持機構により基板を保持し、
前記基板保持機構を基板回転機構により回転させて前記基板を回転させ、
回転する基板に処理液を供給して基板を処理し、
回転する基板に洗浄液を供給して前記基板保持機構を洗浄する、基板処理方法。
【請求項18】
前記基板保持機構を回転させる工程では、前記洗浄液を供給しながら前記基板保持機構を300rpmよりも低い回転速度で回転させる、請求項17に記載の基板処理方法。
【請求項19】
基板保持機構により基板を保持し、
前記基板保持機構を基板回転機構により回転させて前記基板を回転させ、
回転する基板に処理液を供給して基板を処理し、
前記処理液の供給後に、前記基板を第1の高回転速度で回転させ、
第1の高回転速度で回転する基板の少なくとも一面に洗浄液を供給し、該基板に付着した前記処理液を洗浄し、
前記基板の少なくとも一面を前記洗浄液で覆った状態で前記基板保持機構及び前記基板回転機構の少なくとも1つに付着した薬液を除去し、
回転する基板に洗浄液を供給して前記基板保持機構を洗浄し、
任意の時間前記基板を第1の高回転速度と略同一の第2の回転速度で回転させ、前記洗浄液を除去し前記基板を回転させる、基板処理方法。
【請求項20】
前記洗浄液として、純水、脱気水、ガス溶存水を用いる、請求項13乃至請求項19のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項21】
前記処理液の供給工程では、前記処理液を基板の外周部に供給することで、該基板の外周部に形成された膜を除去する、請求項9乃至請求項20のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項22】
前記除去される膜は、Cu、Co、Co合金、Ta、Ta−N、W、W−N、Ti、Ti−N、Ni、Ru、P、B、Moのうちのいずれか一つを含む膜、又はCu、Co、Co合金、Ta、Ta−N、W、W−N、Ti、Ti−N、Ni、Ru、P、B、Moのうちのいずれか一つを含む膜を複数積層した膜である、請求項21に記載の基板処理方法。
【請求項23】
基板保持機構により基板を保持し、
前記基板保持機構を基板回転機構により回転させて前記基板を回転させ、
回転する基板に処理液を供給して基板を処理し、
第1の液供給ノズルから薬液を前記基板に供給し、
前記第1の液供給ノズルから供給される液体を洗浄液に切替え、
前記洗浄液を前記基板に供給し、
前記第1の液供給ノズル及びその近傍に洗浄液を供給して該第1の液供給ノズル及びその近傍を洗浄し、
前記基板保持機構を回転させ前記基板に付着する液を除去して乾燥する、基板処理方法。
【請求項24】
更に、前記洗浄液の供給を停止し、
前記停止後、前記基板の乾燥前に前記第1の液供給ノズルと該第1の液供給ノズルに接続されたライン内に残留する液を排出する、請求項23に記載の基板処理方法。
【請求項25】
更に、前記基板の乾燥前に第2の液供給ノズルから洗浄液を供給し、前記基板保持機構の内壁面と、該基板保持機構が取り付けられたベース部の上面とを洗浄する、請求項23に記載の基板処理方法。
【請求項26】
更に、前記基板の乾燥の際に、前記基板と、該基板保持機構が取り付けられたベース部との間の空間にガス供給ノズルからガスを供給する、請求項23に記載の基板処理方法。
【請求項27】
更に、前記第1の液供給ノズル及びその近傍の洗浄において、前記ガス供給ノズルから前記基板と前記ベース部との間の空間にガスを供給する、請求項26に記載の基板処理方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2007−523463(P2007−523463A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523459(P2006−523459)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【国際出願番号】PCT/JP2005/003423
【国際公開番号】WO2005/080007
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【国際出願番号】PCT/JP2005/003423
【国際公開番号】WO2005/080007
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】
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