説明

情報提供システム、ナビゲーションシステム

【課題】ユーザの嗜好の変化に対応して車両から情報を提供することができる情報提供システム及びナビゲーションシステムを提供すること。
【解決手段】ネットワーク1を介して接続されたサーバ2から車両4に情報を提供する情報提供システムにおいて、車両4は、目的地を入力する目的地入力手段130と、目的地にある施設に対応づけて、ユーザの嗜好の程度を示す嗜好値を記憶した目的地履歴記憶手段141と、施設に対するユーザの嗜好を検出して嗜好値を増減する嗜好値設定手段12と、を有し、サーバ2は、施設の施設情報を記憶する施設情報記憶手段241と、施設情報記憶手段から抽出した施設情報を車両4に送信する送信部22とを有し、車両4は、サーバ2から送信された施設情報が更新されているか否かを判断する判断部16を有し、施設情報が更新されている施設のうち嗜好値が高い施設情報を表示手段150に表示する、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに情報を提供する情報提供システム、ナビゲーションシステムに関し、特に、ネットワークを介して接続されたサーバから情報を取得してユーザに提供する情報提供システム、ナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが車両により目的地に向けて移動している間、車両に搭載されたナビゲーションシステムが、車両の現在位置に応じて近くにある飲食店や観光情報を自動的に提供する情報提供システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、同じ位置を走行していてもユーザ毎の嗜好が異なるため、ユーザ毎にユーザの好みのイベント情報を登録しておく情報提供装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。イベント情報を予め登録しておくので、所望のイベントを選択するだけでイベントの開催場所までの経路等を表示することができるため、例えば定期的に開催されるが開催場所が不定のイベントの場所等をサーバから取得してユーザに提供することができる。
【特許文献1】特開2004−199283号公報
【特許文献2】特開2003−337850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2記載の情報提供装置では、ユーザが登録しない限り情報提供可能なイベントが増えることがないため、ユーザの嗜好が変わったり所望のイベントが増えたりした場合にユーザの嗜好を迅速に反映することができないという問題がある。
【0005】
すなわち、このような情報提供システムでは、車両の現在位置のみに基づいて情報を提供したのではユーザの嗜好に沿ったものとならず、過去の設定のみに基づいて情報を提供したのではユーザの嗜好の変化に対応することが困難となる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、ユーザの嗜好の変化に対応して車両から情報を提供することができる情報提供システム及びナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、ネットワークを介して接続されたサーバから車両に情報を提供する情報提供システムにおいて、車両は、目的地を入力する目的地入力手段と、目的地にある施設に対応づけて、ユーザの嗜好の程度を示す嗜好値を記憶した目的地履歴記憶手段と、施設に対するユーザの嗜好を検出して嗜好値を増減する嗜好値設定手段(例えば、嗜好値計算部12)と、を有し、と、施設に対応づけて嗜好値を記憶した目的地履歴記憶手段と、を有し、サーバは、施設の施設情報を記憶する施設情報記憶手段と、施設情報記憶手段から抽出した施設情報を車両に送信する送信部とを有し、車両は、サーバから送信された施設情報が更新されているか否かを判断する判断部を有し、施設情報が更新されている施設のうち嗜好値が高い施設情報を表示手段に表示する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
ユーザの嗜好の変化に対応して車両から情報を提供することができる情報提供システム及びナビゲーションシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態に係る情報提供システムの全体構成図を示す。情報提供システムは、車両4からユーザが嗜好する施設のリストをサーバ2に送信して、サーバ2からそのリストに載っている施設の施設情報を車両4に送信する。ユーザが嗜好する施設かどうかを、目的地の設定の度に増減することでユーザの嗜好の変化に迅速に対応してユーザが嗜好する施設の情報を提供する。
【0011】
サーバ2は、インターネット等のネットワーク1に接続されている。また、車両4のナビゲーションシステム(以下、単にナビシステムという)10は、ネットワーク1に接続された基地局3と無線又は有線で通信可能に構成されている。通信方式の形態は、例えば、基地局3からサーバ2までは公衆電話交換網(PSTN)やデジタル通信ネットワーク(ISDN)、光ファイバ等の有線で接続され、基地局3から車両4までは携帯電話網、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、衛星電話、ビーコン等の無線で接続される。データの送受信には例えばTCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)等のプロトコルと上位互換であるHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)やFTP(File Transfer Protocol)、MIME(Multipurpose Internet Mail Extension)等のプロトコルが使用される。
【0012】
図2(a)はナビシステム10のブロック図を示す。ナビシステム10は、ナビシステムを制御するナビECU(Electronic Control Unit)100、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信するGPS受信機120、ユーザからの操作を入力するための入力装置130、後述の目的地履歴141や道路地図142、ユーザ認証情報等を記憶しておく記憶装置140、電子地図や施設情報を表示するための表示装置150を有する。
【0013】
ナビECU100は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)、プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、データやプログラムを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、電源を切っても保持しておく情報を記憶するNV−RAM(Non-Volatile RAM)、他のECUと通信する通信部、データを入出力する入出力インターフェイス等がバスにより接続されたマイコンとして構成される。
【0014】
GPS受信機120は、所定の軌道を周回する複数のGPS衛星のうち現在の車両の位置から所定の仰角に入るGPS衛星を好ましくは4つ以上選択し、それらのGPS衛星から発信される電波を受信する。なお、位置を測位するための電波を衛星からでなく、位置の知られた地上の基地局が受信してもよい。
【0015】
GPS衛星が発信する電波は、搬送波を衛星毎に固定の疑似ランダム符号により変調されているので、GPS受信機120は、選択したGPS衛星の疑似ランダム符号を生成して、受信される電波の復調するとともに、疑似ランダム符号のコードレプリカを生成し、その位相差に基づき電波の到達時間を算出する。到達時間に光速cを乗じると捕捉したGPS衛星までの距離となるので、4つの衛星との距離が地上で一点(理想的には)に交わる位置を車両の現在位置(緯度、経度、標高)としてナビECU100に出力される。なお、ナビECU100は、車速センサ及びジャイロセンサを用いて自律航法によりさらに自車両の位置を高精度に推定すると共に、道路地図に推定した自車両の位置を対応づけるマップマッチング法により、地図上に表示する自車両の位置を高精度に決定する。
【0016】
通信ユニット110は、携帯電話網や無線LANに接続してデータを搬送する電波を変調及び復調し、サーバ2との間でデータを送受信する。
【0017】
入力装置130は、押下式のキーボード、ボタン、リモコン、十字キー、タッチパネル等により構成され、運転者や乗員からの操作を受け付ける。また、マイクを備え運転者の発する音声を音声認識回路で認識することで操作を入力してもよい。例えば、目的地は、住所、郵便番号、電話番号、ランドマーク名等により設定できる。
【0018】
表示装置150は、液晶や有機EL、HUD(Head Up Display)等であり、施設情報、操作メニュー、交通情報、道路地図、目的地までのルート等を表示する。また、表示装置28にタッチパネルを設け、入力装置130の一部として用いることができる。施設情報や経路案内は音声などのスピーカから出力してもよい。表示装置150やスピーカは、その他テレビやラジオなどのメディアや音楽プレーヤ、DVD(Digital Versatile Disk)プレーヤの出力にも使用される。
【0019】
記憶装置140は例えば、ハードディスク、書き換え型DVD、フラッシュメモリ等の記録媒体により構成される。記録装置140には道路地図142が記憶されており、道路網や交差点などの道路地図情報が、緯度・経度に対応づけて格納されている。道路地図は、実際の道路網をノード(道路と道路が交差する点、すなわち交差点)及びリンク(ノードとノードを接続する道路)に対応づけて、テーブル状のデータベースとして構成される。また、記憶装置140にはナビシステム10において設定された目的地が記憶された後述の目的地履歴141が格納されている。
【0020】
図2(b)はサーバ2のブロック図を示す。サーバ2はCPU210を備えており、このCPU210に、BIOSなどを記憶した読出し専用メモリであるROM220と、各種データを書換え可能に記憶してCPU210の作業エリアとして機能するRAM230と、パラメータなどを記憶するNV−RAMと、がバス290で接続されており、コンピュータを構成している。さらにバス290には、OS(Operating System)やプログラム、ファイルが記憶された例えばHDDの記憶装置240と、記憶媒体280を読み取るドライブ装置250と、ネットワーク1に接続するためのNIC(Network Interface Card)260とが接続されている。なお、記憶媒体280は、CD−ROM、DVDなどの各種の光ディスク、各種光磁気ディスク、半導体メモリ等、各種方式のメディアを用いることができる。
【0021】
記憶装置240には、種々の施設の情報として後述する施設情報241が記憶されている。なお、施設とは、公園、アミューズメント施設、名所、自然地形、温泉、水族館、遊園地、テーマパーク、博物館、歴史建造物、デパート、飲食店、レジャーランド、観光スポット、野球場、サッカー場、コンサート、フリーマーケット等、車両で目的地とする場合がある全ての対象をいい、車両が駐停車するか否かは問わず、単に通過するだけでもよい。また、施設は目的地の位置に存在する地物であるが、目的地と施設とが一致する場合もある。
【0022】
図3はナビECU100及びサーバ2の機能図を示す。ナビECU100は、起動処理部11、嗜好値計算部12、施設リスト作成部13、データ送信部14、データ受信部15及び判断部16とを有する。
【0023】
ナビECU100のCPUがROM又は記憶装置140に格納されたプログラムを実行すると、起動処理部11、嗜好値計算部12、施設リスト作成部13、データ送信部14、データ受信部15及び判断部16が実現される。
【0024】
起動処理部11はナビシステム10の電源ONによる起動を監視する。電源ONを検知した場合、起動処理部11は、ユーザにおすすめの施設を提案するために、嗜好値計算部12へ処理開始を通知する。
【0025】
嗜好値計算部12は、目的地履歴141から目的地に設定された各施設の嗜好値を算出し、嗜好値の高い施設の上位数件を施設リスト作成部13へ通知する。嗜好値とは、当該施設をユーザが嗜好する程度であり大きいほどユーザが嗜好する可能性が高いことを示す。
【0026】
嗜好値計算部12は、以下のような嗜好値の増減要因に基づき嗜好値を算出する。
(a)目的地に設定された場合に嗜好値を増加させる
(b)目的地の最後まで案内を実施した場合に嗜好値を増加させる
(c)案内の途中で目的地を削除された場合に嗜好値は減少させる
(d)目的地履歴の施設情報は一定期間経過毎に嗜好値は減少(古い順に減少大)させる
(e)提案時にユーザが「提案された施設へ行く」を選択した場合に嗜好値は増加させる
(f)提案時にユーザが「提案された施設へ行かない」を選択した場合に嗜好値は減少させる
(g)提案時にユーザが「次回行く」を選択した場合に嗜好値は減少((f)よりは少なめに減少)させる
(h)・所定のジャンルの施設(遊園地や映画館等)を選択した場合には、目的地履歴141の同じジャンルの施設ついても嗜好値を増加させる((a)より増加量を小さくする。)。
・施設と提携する駐車場を目的地として設定した場合、当該施設について嗜好値を増加させる((a)より増加量を小さくする。)。
【0027】
嗜好値計算部12はこのような要因に基づき嗜好値を「−AAA〜+ZZZ」までの範囲で変化させて、嗜好値がある一定の値以上の施設をユーザが嗜好する可能性が高いと判定して施設リスト作成部13へ通知する。
【0028】
a)〜h)の各嗜好値の増減値は設計事項であるが、例えば各増減値をA〜H(いずれも正の値)とした場合、増加させる場合の増加量は次のように、
増加量 : A > E > B > H
減少量は次のようになる。
減少量 : |−F| > |−D| > |−C| > |−G|
施設リスト作成部13は、嗜好値計算部12から渡された嗜好値の高い施設の上位数件の施設リストを作成する。作成した施設リストはデータ送信部14へ送出される。
【0029】
データ送信部14は、通信ユニット110を使用して、施設リスト作成部13が作成した施設リストをサーバ2へ送信する。
【0030】
データ受信部15は、サーバ2側に送信した施設リストに基づきサーバ2が抽出した施設情報を、通信ユニット110を使用して受信する。また、受信した施設情報を判断部16へ送出する。
【0031】
判断部16は、サーバ2から送信された施設情報に変化があったもの(更新されたもの)があるか否かを判定し、施設情報に変化がある場合には変化のあった施設情報から嗜好値の一番高い施設の施設情報を表示装置150へ送信する。なお、嗜好値の上位数件の施設リストをそのまま表示するように施設リストを表示装置150へ送出してもよい。
【0032】
更新されたか否かは、例えば、最後に目的地に設定した日の後にその施設に所定のイベント(映画、アトラクション等)の開催期間が設定さているか否かに基づき判定される。最後に目的地に設定した日の後に開催期間が設定されている施設は、ユーザが嗜好する可能性が高く、かつ、そのイベントが更新されていることを示す。このような施設の施設情報を表示することで、イベントに行くことを忘れていたユーザにとって有益である。更新されたか否かは、送信される施設情報を所定期間記憶しておき、更新情報同士を比較して判断してもよい。
【0033】
表示装置150は、通知された施設情報を表示して、ユーザにおすすめの施設を提案する。提案する際は、施設情報と共にユーザが表示された施設の評価を入力できるように、タッチパネルの画面に評価入力ボタンを表示したり、音声によりユーザの評価の入力を促す。
【0034】
図4(a)は表示装置150に表示された施設情報及び評価入力ボタンの一例を示す。図4(a)では、映画館の施設情報と共に、「提案された施設へ行く」、「提案された施設へ行かない」、「次回行く」の3つの評価入力ボタンが表示されている。入力装置130を用いてユーザが3つの評価入力ボタンのいずれかを選択することでユーザの評価が入力される。
【0035】
図4(c)は記憶装置140に記憶された目的地履歴141の一例を示す図である。目的地履歴141は、目的地として設定された目的地の位置情報、目的地として設定された設定日、嗜好値計算部12で計算された嗜好値等の情報を記憶している。図4(c)では目的地の一例として「映画館A」「映画館B」が記憶されている。なお、登録される目的地は、「行ったことがある」、「目的地として設定されたことがある」又は「目的地として提案されたことがある」場所をいい、すなわち必ずしも目的地まで行ったことは必要とされない。
【0036】
初期状態の目的地履歴には何ら目的地を記憶せずユーザがナビシステム10を使用するにつれ目的地と嗜好値が登録されるようにしてもよいし、例えばユーザへのアンケート結果を入力して、ユーザの嗜好に応じた初期の目的地を登録してもよい。
【0037】
続いて、サーバ2の機能図について図3(b)に基づき説明する。受信部21は、ナビシステム10から送信された施設リストをNIC260等の通信装置を用いて受信する。
【0038】
取得部23は、施設リストに記載されている各施設の情報を施設情報241から抽出する。図4(b)は記憶装置240に記憶された施設情報241の一例を示す。施設情報241は、施設に対応づけて、施設の開催(開館)時間、イベント内容、開催場所等、施設を利用するための情報が記憶されている。例えば、施設が映画館の場合、上映する映画名、上映期間等であり、施設が遊園地の場合、アトラクション名、利用可能時間等である。
【0039】
なお、施設情報241は定期的に、又は、RSS(Rich Site Summery)のように更新の通知を受けて各施設の情報の更新を繰り返し、最新の情報を保っている。サーバ2は一台でなくてもよく、また、サーバ2が施設情報を検索する検索エンジンを有していてもよい。
【0040】
送信部22は、NIC260等の通信装置を用いて施設情報をナビシステム10へ送信する。
【0041】
以上の構成を用いて、ナビECU100が嗜好値に基づきユーザの嗜好に合った施設を提案する手順を図5(a)のフローチャート図に基づき説明する。
【0042】
なお、1台の車両を複数のユーザで利用することがあるので、乗車時にユーザ認証をしておくことが好適である。ユーザ認証は、静脈や指紋等の生体情報、パスワード入力等で行うことができる。
【0043】
ナビシステム10の電源がオンになると、起動処理部11がナビECU100の初期化、現在位置の取得、地図データの読み込みなど、所定の初期設定を行う。そして、起動処理部11は嗜好値に基づく目的地提案処理を開始する(S101)。
【0044】
目的地提案処理が開始されると、嗜好値計算部12は目的地履歴141 に記憶されている当該ユーザの目的地履歴を取得する(S102)。目的地履歴には各施設の最後の設定日や計算された嗜好値が既に付加されている。
【0045】
ついで、嗜好値計算部12は各施設の嗜好値を計算する(S103)。具体的には既に付加されている嗜好値から、各施設の最終の目的設定日から一定期間経過する毎に嗜好値をマイナスしていく。したがって、最終の目的設定日が過去になるほど、嗜好値が減少することとなる。
【0046】
最終の目的設定日に従い嗜好値をマイナスした後、嗜好値計算部12は、記憶されている目的地設定履歴について、基準値以上の嗜好値の目的地があるか否かを判定する(S104)。基準値は、例えば、嗜好値の平均、嗜好値が正のもの、又は、嗜好値の上位数件等である。
【0047】
基準値以上の目的地設定履歴が記憶されていない場合(S103のNo)、ユーザに提案できる施設がないものとして処理を終了する。
【0048】
基準値以上の目的地設定履歴が記憶されている場合(S103のYes)、施設リスト作成部13は、嗜好値が基準値以上の目的地設定履歴の施設について施設リストを作成する(S105)。施設リストには施設名、ジャンル、嗜好値、目的地の最後の設定日が記載される。
【0049】
ついで、データ送信部14はサーバ2に施設リストを送信し、データ受信部15は各施設の最新の施設情報を取得する(S106)。取得する情報は、例えば施設リストの施設に対し、その施設のイベントの有無、開催期間、イベント内容である。
【0050】
データ受信部15は、正常にサーバ2から施設情報を取得できたか否かを確認する(S107)。正常に取得できなかった場合(S107のNo)にはそのまま処理を終了する。なお、再度、サーバ2に施設情報を要求してもよい。
【0051】
正常に取得した場合(S107のYes)、判断部16はステップS105で作成した施設リストの嗜好値の高い順に施設情報に変化がないかをチェックする(S108)。施設情報が変化したか否かを判定するのは、何か新しいイベントが開催されているか否かを判定するためである。例えば、その施設の最後の設定日がイベントの開催期間内でない場合には施設情報に変化があると判定する。全ての施設情報に変化がない場合(S108のNo)、判断部16はそのまま処理を終了する。
【0052】
施設情報に変化がある場合(S108のYes)、判断部16は施設情報に変化のあった施設の施設情報を表示装置150に表示させる(S109)。表示する施設情報は、例えば嗜好値が最も高いものから順に表示する。なお、図4(a)に示すように施設情報と共に評価入力ボタンを表示する。
【0053】
ユーザは施設情報をみて、「提案された施設へ行く」か否か等の評価を評価入力ボタン等から入力する。
【0054】
ついで、嗜好値計算部12は「提案された施設へ行く」評価の入力があったか否かを判定する(S110)。「提案された施設へ行く」が選択された場合(S110のYes)、嗜好値計算部12は、選択された施設の嗜好値を増加(例えば、増加量E)し、目的地履歴141を更新する。
【0055】
また、嗜好値計算部12は「次回行く」評価の入力があったか否かを判定する(S112)。ユーザから「次回行く」という評価が入力された場合、嗜好値計算部12は選択された施設の嗜好値をマイナス(例えば、減少量G)し、目的地履歴141
を更新する(S114)。
【0056】
また、ユーザから「次回行く」という評価が入力されない場合(S112のNo)、嗜好値計算部12は選択された施設の嗜好値を大幅にマイナス(例えば、減少量F)し、目的地履歴141
を更新する(S113)。
【0057】
以上のようにして、ユーザの嗜好に応じた施設をユーザに提案することができる。ユーザの嗜好は嗜好値に応じて判定され、嗜好値はユーザからの評価に基づきその度に増減されるのでユーザの嗜好の変化を迅速に反映することができる。また、嗜好値の高い施設のうち施設情報が変化した施設を提案するので、ユーザの好む施設の情報を適切なタイミングで提案できる。
【0058】
続いて、嗜好値計算部12が設定された目的地に応じて嗜好値を増減する手順を図5(b)のフローチャート図に基づき説明する。図5(b)では、ユーザがナビシステム10に所望の目的地を設定した場合の嗜好値の計算について説明する。
【0059】
ナビシステム10にユーザが目的地を入力すると、嗜好値計算部12が嗜好値の計算を開始する(S201)。
【0060】
嗜好値計算部12は設定した目的地がある施設と提携している提携駐車場であるか否かを判定する(S202)。提携駐車場であるか否かは、記憶装置140の道路地図142に目的地の駐車場と関連づけられた施設(以下、提携施設という)があるか否かにより判定できる。提携施設と提携した駐車場でない場合(S202のNo)、ステップS205に進む。
【0061】
提携施設と提携した駐車場である場合(S202のYes)、目的地履歴141に提携施設が記憶されているか否かを判定する(S203)。目的地履歴141に提携施設が記憶されていない場合(S203のNo)、ステップS205に進む。
【0062】
目的地履歴141に提携施設が記憶されている場合、実質的にその提携施設を目的地と設定したことと同等なので、嗜好値計算部12は目的地履歴141の提携施設の嗜好値を増大する(S204)。すなわち、嗜好値計算部12は、提携施設の嗜好値を増大し、目的地履歴141を更新する。増大量は例えばHである。
【0063】
このような処理により、駐車場と施設が離れた大型の施設などを利用する場合、ユーザが直接駐車場を目的地として設定しても、提携施設の嗜好値を増大させることができ、ユーザの嗜好を反映して嗜好値を増大できる。
【0064】
ついで、嗜好値計算部12は、目的地履歴141に今回目的地として設定された施設又は提携施設と同じジャンルの施設が記憶されているか否かを判定する(S205)。設定した目的地と同じジャンル(例えば、映画館)の施設はユーザが嗜好する傾向が強いと判定できるため、目的地履歴141に同じジャンルの施設がある場合(S205のNo)、嗜好値計算部12は目的地履歴141の同じジャンルの施設の嗜好値を増大し、更新する(S206)。この場合の増大量は、例えばHである。
【0065】
ついで、嗜好値計算部12は、ステップS201で設定した目的地の施設についても嗜好値を増大しておく(S207)。この場合の増大量は、例えばAである。設定された目的地が未だ目的地履歴141に記憶されていない場合は、新たに目的地となる施設として登録し、初期の嗜好値(例えば、ゼロ)を設定する。
【0066】
ついで、ナビECU100は設定された目的地までのルートを探索しルート案内を開始する(S208)。
【0067】
そして、目的地までルート案内を実施したか否かを判定する(S209)。目的地までルート案内する場合(S209のYes)、ユーザの当該施設に対する嗜好が強いと判定できるため、目的地の施設の嗜好値を増大して、目的地履歴141を更新する(S210)。この場合の増大量は、例えばBである。
【0068】
目的地まで案内が終了せずに途中で案内が終了されたような場合(S209のNo)、ユーザの当該施設に対する嗜好が低いと判定できるので、設定した目的地の施設の嗜好値をマイナスして、目的地履歴141を更新する(S211)。この場合の減少量は、例えばCである。
【0069】
以上のように、本実施の携帯の情報提供システムによれば、目的地が設定される度にユーザの嗜好値を増減することができるので、最新のユーザの嗜好に基づき施設を提供することができる。嗜好値の増減量は、嗜好の程度を示す指標(目的地まで到達するか否か等)により決定するので、ユーザの嗜好を正確に反映した嗜好値とすることができる。また、ユーザが駐車場を目的地に設定する場合も、提携した施設の嗜好値を増大することができるので、ユーザが普段ナビシステム10を利用する形態でも施設の嗜好値を正確に増大することができる。さらに、設定した施設と同じジャンルの施設の嗜好値を一律に増大できるので、ユーザの嗜好する可能性の高い施設を提供しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】情報提供システムの全体構成図である。
【図2】ナビシステム、サーバのブロック図である。
【図3】ナビECU、サーバの機能図である。
【図4】表示される施設情報、目的地履歴の一例を示す図である。
【図5】嗜好値に基づきユーザの嗜好に合った施設を提案するフローチャート図、設定された目的地に応じて嗜好値を増減するフローチャート図である。
【符号の説明】
【0071】
1 ネットワーク
2 サーバ
3 中継器
4 車両
10 ナビシステム
11 起動処理部
12 嗜好値計算部
13 施設リスト作成部
14 データ送信部
15 データ受信部
16 判断部
21 受信部
22 送信部
23 取得部
100 ナビECU
110 通信ユニット
120 GPS受信機
130 入力装置
140 記憶装置
150 表示装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続されたサーバから車両に情報を提供する情報提供システムにおいて、
前記車両は、目的地を入力する目的地入力手段と、
前記目的地にある施設に対応づけて、ユーザの嗜好の程度を示す嗜好値を記憶した目的地履歴記憶手段と、
前記施設に対するユーザの嗜好を検出して前記嗜好値を増減する嗜好値設定手段と、を有し、
前記サーバは、
前記施設の施設情報を記憶する施設情報記憶手段と、
前記施設情報記憶手段から抽出した前記施設情報を前記車両に送信する送信部とを有し、
前記車両は、前記サーバから送信された前記施設情報が更新されているか否かを判断する判断部を有し、
前記施設情報が更新されている前記施設のうち前記嗜好値が高い前記施設情報を表示手段に表示する、ことを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
前記嗜好値設定手段は、前記目的地の入力回数が多いほど前記施設の前記嗜好値を増大し、入力された日が過去の前記施設ほど前記嗜好値を減少させる、
ことを特徴とする請求項1記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記嗜好値設定手段は、前記表示手段に表示された前記施設情報の施設が前記目的地入力手段から目的地として入力されるか否かに応じて、当該施設の前記嗜好値を増減する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記判断部は、前記施設を目的地に設定した日付と前記施設で開催されるイベントの開催期間とに基づき、前記施設情報が更新されているか否かを判断する。
ことを特徴とする請求項1記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記目的地履歴記憶手段は、前記施設のジャンル情報を施設毎に記憶しており、
前記嗜好値設定手段は、同じジャンルの前記施設の前記嗜好値をリンクして増減する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報提供システム。
【請求項6】
前記嗜好値設定手段は、前記目的地入力手段により駐車場が前記目的地に設定された場合、設定された前記駐車場と提携した前記施設を地図データから抽出し、該施設の前記嗜好値を増大させる、
ことを特徴とする請求項1記載の情報提供システム。
【請求項7】
ネットワークを介して接続されたサーバから提供された施設情報を表示する車両のナビゲーションシステムにおいて、
目的地を入力する目的地入力手段と、
前記目的地にある施設に対応づけて、ユーザの嗜好の程度を示す嗜好値を記憶した目的地履歴記憶手段と、
前記施設に対するユーザの嗜好を検出して前記嗜好値を増減する嗜好値設定手段と、
前記サーバから送信された前記施設情報が更新されているか否かを判断する判断部と、を有し、
前記施設情報が更新されている前記施設のうち前記嗜好値が高い前記施設情報を表示手段に表示する、ことを特徴とするナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−322228(P2007−322228A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152106(P2006−152106)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】