説明

情報記録装置、情報記録方法、情報記録プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体

【課題】移動体の走行状態を保存する記録媒体の容量を不足させることなく、最適な走行状態の保存を図ること。
【解決手段】連続的に入力されてくる移動体の走行状態に関する情報を上書き保存する情報記録装置100において、設定部101は、目的地点を設定する。算出部102は、設定部101によって設定された目的地点までの所要時間を算出する。決定部103は、移動体の挙動の検出感度を、算出部102によって算出された所要時間に応じた検出感度に決定する。検出部104は、決定部103によって決定された検出感度により移動体の挙動を検出する。そして、保存部105は、検出部104によって移動体の挙動が検出されたときの移動体の走行状態に関する情報を記録媒体に保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報を記録する情報記録装置、情報記録方法、情報記録プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体に関する。ただし、この発明の利用は、上述した情報記録装置、情報記録方法、情報記録プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体には限られない。
【背景技術】
【0002】
従来、飛行機に搭載されたフライトレコーダと同様に、走行中の車両の周辺状況の記録をおこなうドライブレコーダが知られている。このようなドライブレコーダは、たとえば、車両前方を撮影する前方カメラ、後方を撮影する後方カメラ、前方および後方映像を基準信号に同期して画像メモリの所定領域に書き込む分割映像形成部を備える。
【0003】
ドライブレコーダは、画像メモリ情報に車両位置情報および時刻情報を付与してバッファメモリに定常的に記録する。そして、衝撃検知センサの所定値以上となることをトリガーとして映像を保存し、あて逃げ事件などの事件に遭遇したとき、あて逃げ車両の特定や事故における検証資料として利用する提案がされている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−224105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術によれば、衝撃検知センサが所定値以上の衝撃を検知することをトリガーとして映像を保存するため、映像の記録を優先する場合は、トリガーとなる衝撃検知センサの感度を高く設定する必要がある。感度を高くすると、軽微な事故や事故未遂(ヒヤリハット)についても、衝撃を検知して映像を保存することができる。その反面、多くの映像を保存することで、記録媒体の容量がオーバーフローしてしまい、重大な事故に遭遇したときに映像の保存ができなくなる可能性があるという問題が一例として挙げられる。特に、出発地点から到着地点まで長時間継続して運転する場合は、運転の序盤で多くの映像を保存すると、終盤で記録媒体の容量がなくなってしまうという問題が一例として挙げられる。
【0006】
一方、記録媒体の記録容量を優先する場合は、トリガーとなる衝撃検知センサの感度を低く設定する必要がある。感度を低くすると、軽微な事故や事故未遂(ヒヤリハット)については映像を保存することなく、重大な事故に遭遇したときに映像の保存ができなくなる可能性が低減する。その反面、軽微な事故や事故未遂(ヒヤリハット)の映像を分析して、事故予防に役立てることができなくなるという問題が一例として挙げられる。
【0007】
さらに、取り替え可能な複数の記録媒体を使用して、記録媒体の容量の空きがなくなった際に、ユーザが予備の記録媒体に取り替える構成とした場合は、ユーザに予備の記録媒体の準備を強いる負担を与えるとともに、取り替える間に重大な事故に遭遇すると映像が保存できないという問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる情報記録装置は、連続的に入力されてくる移動体の走行状態に関する情報を上書き保存する情報記録装置において、目的地点を設定する設定手段と、前記設定手段によって設定された目的地点までの所要時間を算出する算出手段と、前記移動体の挙動の検出感度を、前記算出手段によって算出された所要時間に応じた検出感度に決定する決定手段と、前記決定手段によって決定された検出感度により前記移動体の挙動を検出する検出手段と、前記検出手段によって前記移動体の挙動が検出されたときの前記移動体の走行状態に関する情報を記録媒体に保存する保存手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4の発明にかかる情報記録方法は、連続的に入力されてくる移動体の走行状態に関する情報を上書き保存する情報記録方法において、目的地点を設定する設定工程と、前記設定工程によって設定された目的地点までの所要時間を算出する算出工程と、前記移動体の挙動の検出感度を、前記算出工程によって算出された所要時間に応じた検出感度に決定する決定工程と、前記決定工程によって決定された検出感度により前記移動体の挙動を検出する検出工程と、前記検出工程によって前記移動体の挙動が検出されたときの前記移動体の走行状態に関する情報を記録媒体に保存する保存工程と、を含んだことを特徴とする。
【0010】
また、請求項5の発明にかかる情報記録プログラムは、請求項4に記載の情報記録方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6の発明にかかるコンピュータに読み取り可能な記録媒体は、請求項5に記載の情報記録プログラムを記録したことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる情報記録装置、情報記録方法、情報記録プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態)
(情報記録装置の機能的構成)
図1を用いて、本実施の形態にかかる情報記録装置の機能的構成について説明する。図1は、本実施の形態にかかる情報記録装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【0014】
図1において、連続的に入力されてくる移動体の走行状態に関する情報を上書き記録する情報記録装置100は、設定部101と、算出部102と、決定部103と、検出部104と、保存部105と、検知部106と、を含み構成されている。
【0015】
設定部101は、移動体における目的地点を設定する。目的地点の設定は、たとえば、ユーザが図示しない入力部を操作しておこなう構成でもよく、立ち寄り地点や休憩地点などを設定する構成でもよい。
【0016】
算出部102は、設定部101によって設定された目的地点までの所要時間を算出する。所要時間の算出は、たとえば、移動体の移動速度と出発地点あるいは現在地点から目的地点までの距離と、に基づいて算出する構成でもよく、道路情報や渋滞情報などの道路交通情報を加味する構成としてもよい。また、目的地点に到達する到達時刻を算出してもよい。
【0017】
決定部103は、移動体の挙動の検出感度を、算出部102によって算出された所要時間に応じた検出感度に決定する。移動体の挙動は、たとえば、後述する検出部104によって検出するもので、移動体の動作や操作を含む情報などでもよい。また、検出感度は、検出部104における挙動を検出する感度である。
【0018】
また、決定部103は、算出部102によって算出された所定時間内の、記録媒体への保存部105による保存量が所定量以下となるように検出感度を決定する構成でもよい。さらに、決定部103は、後述する検知部106によって検知された記録媒体の残量に応じた検出感度を決定する構成でもよい。
【0019】
検出部104は、決定部103によって決定された検出感度によって移動体の挙動を検出する。移動体の挙動は、たとえば、移動体の動作や操作を含む情報で、移動体に搭載された各種センサの出力に基づいて検出する構成でもよい。より具体的には、振動センサやGセンサや移動体に対する接触センサ、およびハンドル操作や方向指示信号の入力操作やアクセルペダルの操作やブレーキペダルの操作などの操作に関する情報を検出できるセンサでもよい。また、挙動の検出は、たとえば、各種センサの出力に所定のしきい値あるいは所定のパターンを設けて、しきい値以上あるいは所定のパターンと近似する出力となる場合に検出することとしてもよい。より具体的には、移動体が危険な挙動を示す場合のしきい値でもよく、衝突などによる所定値以上あるいは所定のパターンの急激な振動やG、所定の角度以上あるいは所定のパターンの急ハンドルをおこなう操作や不必要あるいは所定のパターンの加速および減速などを検出する構成でもよい。
【0020】
保存部105は、検出部104によって移動体の挙動が検出されたときの移動体の走行状態に関する情報を記録媒体に保存する。走行状態に関する情報は、たとえば、移動体の移動経路、移動速度、移動体周辺の映像・音声、判断されたときの時間および検出部104の検出結果などを含む情報である。
【0021】
検知部106は、記録媒体の残量を検知する。残量の検知は、たとえば、保存部105による保存の回数や保存したデータ容量に基づいておこなうものでもよい。そして、検知部106によって検知された残量に基づいて、前述の決定部103によって検出部104の検出感度を決定する構成としてもよい。
【0022】
(情報記録装置の処理の内容)
つぎに、図2を用いて本実施の形態にかかる情報記録装置100の処理の内容について説明する。図2は、本実施の形態にかかる情報記録装置の処理の内容を示すフローチャートである。図2のフローチャートにおいて、まず、設定部101は、移動体における目的地点の設定を受け付ける(ステップS201)。目的地点の設定は、たとえば、ユーザが図示しない入力部を操作しておこなう構成でもよく、立ち寄り地点や休憩地点などを設定する構成でもよい。
【0023】
そして、算出部102は、ステップS201において設定された目的地点までの所要時間を算出する(ステップS202)。所要時間の算出は、たとえば、移動体の移動速度と出発地点あるいは現在地点から目的地点までの距離と、に基づいて算出する構成でもよく、道路情報や渋滞情報などの道路交通情報を加味する構成としてもよい。また、目的地点に到達する到達時刻を算出してもよい。
【0024】
つづいて、決定部103は、ステップS202において算出された所要時間に応じて、移動体の挙動を検出する検出感度を決定する(ステップS203)。検出感度は、たとえば、検出部104における移動体の挙動を検出する感度である。
【0025】
そして、検出部104は、ステップS203において決定された検出感度によって移動体の挙動を検出する(ステップS204)。移動体の挙動は、たとえば、移動体の動作や操作を含む情報で、移動体に搭載された各種センサの出力に基づいて検出する構成でもよい。また、挙動の検出は、たとえば、各種センサに所定のしきい値を設けて、しきい値以上の出力となる場合に検出することとしてもよい。
【0026】
つぎに、保存部105は、図示しない記録媒体に、ステップS204において移動体の挙動が検出されたときの移動体の走行状態に関する情報を保存して(ステップS205)、一連の処理を終了する。走行状態に関する情報は、たとえば、移動体の移動経路、移動速度、移動体周辺の映像・音声、挙動が検出されたときの時間および検出部104の検出結果などを含む情報である。
【0027】
また、本図において、ステップS203では、目的地点までの所要時間に応じて、検出感度を決定する構成としているが、所定時間内の記録媒体への保存部105による保存量が所定量以下となるように検出感度を決定する構成でもよい。また、検知部106によって検知された記録媒体の残量に応じた検出感度を決定する構成でもよい。
【0028】
以上説明したように、本実施の形態によれば、目的地点までの所要時間や記録媒体の容量に応じて、移動体の挙動の検出感度を決定して、移動体の挙動が検出されたときの移動体の走行状態を記録媒体へ保存する。したがって、走行状態を保存する記録媒体の容量が不足することなく、最適に走行状態を保存し、保存された走行状態を事故検証や事故予防の資料に役立てることができる。
【実施例1】
【0029】
以下に、本発明の実施例1について説明する。本実施例1では、たとえば、車両(四輪車、二輪車を含む)などの移動体に搭載されるナビゲーション装置によって、本発明の情報記録装置を実施した場合の一例について説明する。
【0030】
(ナビゲーション装置の周辺機器構成)
まず、図3を用いて、本実施例1にかかるナビゲーション装置の周辺機器構成について説明する。図3は、本実施例1にかかるナビゲーション装置が設置された車両のダッシュボード付近の一例を示す説明図である。
【0031】
図3において、ナビゲーション装置300は、車両のダッシュボードに設置されている。ナビゲーション装置300は、本体部Mおよび表示部(ディスプレイ)Dによって構成され、表示部Dには車両の現在地点や地図情報、現在時刻などが表示される。
【0032】
また、ナビゲーション装置300には、ダッシュボード上に設置された車載用カメラ311、サンバイザーに設置された車載用マイク312が接続されている。車載用カメラ311は、車外前方を撮影する固定式カメラと、車室内を撮影する固定式カメラにより構成される。車載用マイク312は、ナビゲーション装置300の音声入力による操作や車内の様子を記録する際などに用いられる。
【0033】
また、図示しないが、車載用カメラ311は、車両の後部に取り付けられていてもよい。車両の後部に車載用カメラ311が取り付けられている場合、車両の後方の安全確認ができる他、他の車両から追突された際に追突時の状況を記録することができる。この他、車載用カメラ311は、暗所の記録をおこなう赤外線カメラであってもよい。また、車載用カメラ311および車載用マイク312は、車両に複数設置された固定式のカメラや、可動式のカメラであってもよい。
【0034】
ナビゲーション装置300は、目的地点までの経路探索および情報記録をおこなう他、車両の走行状態について記録するドライブレコーダ機能を有している。ドライブレコーダ機能は、車載用カメラ311や車載用マイク312で得られた映像および音声や後述するGPSユニット415や各種センサ416で得られた車両の現在地点情報や走行速度の変化などを、ナビゲーション装置300の記録媒体(後述する磁気ディスク405、光ディスク407)に記録する。
【0035】
このようなドライブレコーダ機能を用いて走行状態を常時記録することによって、自車が事故に巻き込まれた場合や、自車の周囲で事故が発生した場合に、事実関係の究明に用いる資料を得ることができる。ドライブレコーダ機能を用いて記録する情報は、記録媒体の記録容量を超えない限り蓄積してもよいし、所定時間分の記録を残して逐次消去してもよい。また、記録媒体は、走行状態を常時記録する上書き記録用の記録領域と、事故に巻き込まれた場合に走行状態を保存する保存用の保存領域を有するものであってもよいし、上書き記録用の記録媒体と保存用の記録媒体をそれぞれ複数備える構成としてもよい。
【0036】
(ナビゲーション装置300のハードウェア構成)
つぎに、図4を用いて、本実施例1にかかるナビゲーション装置300のハードウェア構成について説明する。図4は、本実施例1にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0037】
図4において、ナビゲーション装置300は、車両などの移動体に搭載されており、CPU401と、ROM402と、RAM403と、磁気ディスクドライブ404と、磁気ディスク405と、光ディスクドライブ406と、光ディスク407と、音声I/F(インターフェース)408と、マイク409と、スピーカ410と、入力デバイス411と、映像I/F412と、ディスプレイ413と、通信I/F414と、GPSユニット415と、各種センサ416と、カメラ417と、を備えている。また、各構成部401〜417はバス420によってそれぞれ接続されている。
【0038】
まず、CPU401は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM402は、ブートプログラム、経路探索プログラム、経路誘導プログラム、音声生成プログラム、地図情報表示プログラム、通信プログラム、データベース作成プログラム、データ解析プログラムなどのプログラムを記録している。また、RAM403は、CPU401のワークエリアとして使用される。
【0039】
ここで、経路探索プログラムは、後述する光ディスク407に記録されている地図情報などを利用して、出発地点から目的地点までの最適な経路を探索させる。ここで、最適な経路とは、目的地点までの最短(あるいは最速)経路やユーザが指定した条件に最も合致する経路などである。また、目的地点のみならず、立ち寄り地点や休憩地点までの経路を探索してもよい。経路探索プログラムを実行することによって探索された誘導経路は、CPU401を介して音声I/F408や映像I/F412へ出力される。
【0040】
また、経路誘導プログラムは、経路探索プログラムを実行することによって探索された誘導経路情報、通信I/F414によって取得されたナビゲーション装置300の現在地点情報、光ディスク407から読み出された地図情報に基づいて、リアルタイムな経路誘導情報の生成をおこなわせる。経路誘導プログラムを実行することによって生成された経路誘導情報は、CPU401を介して音声I/F408や映像I/F412へ出力される。
【0041】
また、音声生成プログラムは、パターンに対応したトーンと音声の情報を生成させる。すなわち、経路誘導プログラムを実行することによって生成された経路誘導情報に基づいて、案内ポイントに対応した仮想音源の設定と音声ガイダンス情報の生成をおこない、CPU401を介して音声I/F408へ出力する。
【0042】
また、地図情報表示プログラムは、映像I/F412によってディスプレイ413に表示する地図情報の表示形式を決定させ、決定された表示形式によって地図情報をディスプレイ413に表示させる。
【0043】
また、CPU401は、トリガー検知のしきい値を設定する。トリガーは、たとえば、
後述するドライブレコーダ用画像を保存するきっかけとなるもので、各種センサ416における、所定のしきい値以上の出力や所定のパターンと近似する出力などをトリガーとする構成でもよい。また、トリガー検知のしきい値は、たとえば、トリガーを検知するしきい値で、各種センサ416のセンサ検出感度などでもよい。
【0044】
また、CPU401による、トリガー検知のしきい値の設定は、たとえば、目的地点や立ち寄り地点までの所要時間や後述する磁気ディスク405、光ディスク407などの記録媒体の容量に基づいておこなう構成でもよい。記録媒体の容量は、保存領域の残量を検知して、残量に応じたしきい値を設定する構成でもよい。
【0045】
磁気ディスクドライブ404は、CPU401の制御にしたがって磁気ディスク405に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク405は、磁気ディスクドライブ404の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク405としては、たとえば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
【0046】
また、光ディスクドライブ406は、CPU401の制御にしたがって光ディスク407に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク407は、光ディスクドライブ406の制御にしたがってデータの読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク407は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。また、この着脱可能な記録媒体として、光ディスク407のほか、MO、メモリカードなどであってもよい。
【0047】
磁気ディスク405、光ディスク407に記録される情報の一例として、図3に示した車載用カメラ311や車載用マイク312で得られた車内外の映像や音声、後述するGPSユニット415で検出された車両の現在地点情報、後述する各種センサ416からの出力値などが挙げられる。これらの情報は、ナビゲーション装置300が有するドライブレコーダ機能によって記録され、交通事故発生時の検証用資料などとして用いられる。
【0048】
その他、磁気ディスク405、光ディスク407に記録される情報の他の一例として、経路探索・経路誘導などに用いる地図情報が挙げられる。地図情報は、建物、河川、地表面などの地物(フィーチャ)をあらわす背景データと、道路の形状をあらわす道路形状データとを有しており、ディスプレイ413の表示画面において2次元または3次元に描画される。ナビゲーション装置300が経路誘導中の場合は、地図情報と後述するGPSユニット415によって取得された自車の現在地点とが重ねて表示されることとなる。
【0049】
道路形状データは、さらに交通条件データを有する。交通条件データには、たとえば、各ノードについて、信号や横断歩道などの有無、高速道路の出入り口やジャンクションの有無、各リンクについての長さ(距離)、道幅、進行方向、道路種別(高速道路、有料道路、一般道路など)などの情報が含まれている。
【0050】
また、交通条件データには、過去の渋滞情報を、季節・曜日・大型連休・時刻などを基準に統計処理した過去渋滞情報を記憶している。ナビゲーション装置300は、後述する通信I/F414によって受信される道路交通情報によって現在発生している渋滞の情報を得るが、過去渋滞情報により、指定した時刻における渋滞状況の予想をおこなうことが可能となる。
【0051】
なお、本実施例1では地図情報を磁気ディスク405、光ディスク407に記録するようにしたが、これに限るものではない。地図情報は、ナビゲーション装置300のハードウェアと一体に設けられているものに限って記録されているものではなく、ナビゲーション装置300外部に設けられていてもよい。その場合、ナビゲーション装置300は、たとえば、通信I/F414を通じて、ネットワークを介して地図情報を取得する。取得された地図情報はRAM403などに記憶される。
【0052】
また、音声I/F408は、音声入力用のマイク409(たとえば、図3の車載用マイク312)および音声出力用のスピーカ410に接続される。マイク409に受音された音声は、音声I/F408内でA/D変換される。また、スピーカ410からは音声が出力される。なお、マイク409から入力された音声は、音声データとして磁気ディスク405あるいは光ディスク407に記録可能である。
【0053】
また、入力デバイス411は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、マウス、タッチパネルなどが挙げられる。
【0054】
また、映像I/F412は、ディスプレイ413およびカメラ417(たとえば、図3の車載用カメラ311)と接続される。映像I/F412は、具体的には、たとえば、ディスプレイ413全体の制御をおこなうグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいて、ディスプレイ413を表示制御する制御ICなどによって構成される。
【0055】
ディスプレイ413には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。このディスプレイ413は、たとえば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。ディスプレイ413は、たとえば、図3の表示部Dのような態様で設置される。また、ディスプレイ413は、車両に複数備えられていてもよく、たとえば、運転者に対するものと後部座席に着座する搭乗者に対するものなどである。
【0056】
カメラ417は、車両内部あるいは外部の映像を撮影する。映像は静止画あるいは動画のどちらでもよく、たとえば、カメラ417によって車両内部の搭乗者の挙動を撮影し、撮影した映像を映像I/F412を介して磁気ディスク405や光ディスク407などの記録媒体に出力する。また、カメラ417によって車両外部の状況を撮影し、撮影した映像を映像I/F412を介して磁気ディスク405や光ディスク407などの記録媒体に出力する。また、記録媒体に出力された映像は、ドライブレコーダ用画像として上書き記録や保存がおこなわれる。
【0057】
また、通信I/F414は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置300とCPU401とのインターフェースとして機能する。通信I/F414は、さらに、無線を介してインターネットなどの通信網に接続され、この通信網とCPU401とのインターフェースとしても機能する。
【0058】
通信網には、LAN、WAN、公衆回線網や携帯電話網などがある。具体的には、通信I/F414は、たとえば、FMチューナー、VICS(Vehicle Information and Communication System)/ビーコンレシーバ、無線ナビゲーション装置、およびその他のナビゲーション装置によって構成され、VICSセンターから配信される渋滞や交通規制などの道路交通情報を取得する。なお、VICSは登録商標である。
【0059】
また、GPSユニット415は、GPS衛星からの受信波や後述する各種センサ416(たとえば、角速度センサや加速度センサ、タイヤの回転数など)からの出力値を用いて、車両の現在地点(ナビゲーション装置300の現在地点)を示す情報を算出する。現在地点を示す情報は、たとえば緯度・経度、高度などの、地図情報上の1点を特定する情報である。また、GPSユニット415は、各種センサ416からの出力値を用いて、オドメーター、速度変化量、方位変化量を出力する。これにより、急ブレーキ、急ハンドルなどの動態を解析することができる。
【0060】
ここで、GPSユニット415を用いた現在地点の特定方法について説明する。まず、GPSにおいては、地球の周りの6つの軌道面に4個ずつ、合計24個のGPS衛星が配置されている。これらの衛星は、毎日同じ時刻に同じ衛星が位置するように軌道が調整され、地球上のどの地点からも(ただし、見通しのよい場所である必要がある)常に5ないし6個の衛星が見える。
【0061】
GPS衛星には、セシウム(Cs)の原子時計(発振器)が搭載されており、各衛星の時刻と同期を受けつつ正確な時刻を刻んでいる。さらに、各衛星には予備としてセシウム発振器が1台、ルビジウム(Rb)発振器が2台搭載されている。これは、GPSによる位置計測には正確な時刻が不可欠なためである。
【0062】
GPS衛星からは1575.42MHz(L1)および1227.60MHz(L2)の2つの周波数の電波(以下、GPS信号という)が送信されている。この電波は疑似ランダム符号(Pseudo Random Noise Code)と呼ばれる乱数符号で変調されており、GPSユニット415などで受信した場合には、乱数表に相当するコードを参照し信号内容を解読する。
【0063】
GPSユニット415は、解読したコードと自装置内の時計によって、GPS衛星からGPS信号が発射された時刻と、自装置がGPS信号を受信した時刻との信号の時間差を計測する。そして、時間差に電波の伝播速度を掛け合わせ、GPS衛星から自装置までの距離を算出する(距離=速度×時間)。なお、この時刻は協定世界時(UTC)に同期されている。
【0064】
GPS衛星からは、軌道の正確な情報が送られてくるため、GPS衛星の現在地点は正確に知ることができる。したがって、GPS衛星からの距離が分かれば、自装置の現在地点はGPS衛星を中心として、求めた距離を半径とする球面上のいずれかの地点となる。なお、GPS信号の符号列は約1msの間隔で繰り返し送られる。GPS信号の伝播速度は、400,000km/秒であるため、最大測定距離は、400,000×0.001=400kmとなる。したがって、100km程度の精度においては、あらかじめ自装置の現在地点を知っておく必要がある。
【0065】
このように、各GPS衛星のうち3つの衛星からの距離を算出すれば、自装置の現在地点は3つの球面が交わる2点のうちのいずれか一方となる。また、2点のうち一方は、予測できる地点からかけ離れているため、原理的には1点が決定されることとなる。しかしながら、実際には算出される現在地点の候補点(3つの面の交点)は2点にならない。これは、主にGPSユニット415に搭載された時計の精度が、GPS衛星に搭載された原子時計に比べて低いため、計算結果に誤差が生じてしまうためである。
【0066】
このため、GPSユニット415では、合計4つのGPS衛星からGPS信号を受信する。これは、GPSユニット415側の時計の誤差分を別の未知数として、新たな情報(方程式)を導入することで解を得ると考えることができる。このように、GPSユニット415は、4つのGPS衛星からのGPS信号を受信することによって、1点に収束するほぼ正確な現在地点を求めることができる。
【0067】
各種センサ416は、車速センサや加速度センサ、Gセンサ、角速度センサなどであり、その出力値は、GPSユニット415による現在地点の算出や、速度や方位の変化量の測定などに用いられる。また、各種センサ416は、ドライバーによる車両の各操作を検知するセンサなども含む。車両の各操作の検知は、たとえば、ハンドル操作やウインカーの入力やアクセルペダルの踏み込みやブレーキペダルの踏み込みなどを検知する構成としてもよい。また、各種センサ416の出力値は、ドライブレコーダ機能で記録するデータとしてもよい。
【0068】
また、各種センサ416においては、あらかじめ、ドライブレコーダ用画像を保存する際のトリガーを設定しておき、トリガーが検知された場合にドライブレコーダ用画像を保存する構成としてもよい。各種センサ416におけるトリガーは、たとえば、振動センサで規定以上の振動や所定の振動パターンを検知した場合に設定してもよい。所定の振動パターンは、急激な立ち上がりなど、異常を示す振動パターンであればよい。また、トリガーは、たとえば、Gセンサで規定以上のGや所定のGのかかり方のパターンを検知した場合に設定してもよい。所定のGのかかり方は、急激な立ち上がりなど、異常を示すパターンであればよい。あるいは、車体の接触センサによる、他との接触の有無やエアバッグなどの作動や車両の停止をトリガーとする構成でもよい。さらに、前述のトリガーは一つ以上であればよく、複数を組み合わせてトリガーとしてもよい。
【0069】
なお、実施の形態にかかる情報記録装置100の機能的構成のうち、設定部101はCPU401および入力デバイス411によって、算出部102や決定部103や検知部106はCPU401によって、検出部104は各種センサ416によって、保存部105は磁気ディスク405や光ディスク407によって、それぞれその機能を実現する。
【0070】
(ナビゲーション装置300の処理の内容)
つぎに、図5を用いて、本実施例1にかかるナビゲーション装置300の処理の内容について説明する。図5は、本実施例1にかかるナビゲーション装置における処理の内容を示すフローチャートである。図5のフローチャートにおいて、まず、CPU401は、目的地点が設定されているか否かを判断する(ステップS501)。目的地点の設定は、たとえば、ユーザが入力デバイス411を操作しておこなってもよく、立ち寄り地点や休憩地点などを設定する構成としてもよい。
【0071】
ステップS501において、目的地点が設定されている場合(ステップS501:Yes)は、つづいて、CPU401は目的地点までの所要時間を算出する(ステップS502)。所要時間の算出は、たとえば、車両の走行速度と出発地点から目的地点までの距離と、に基づいて算出する構成でもよく、通信I/F414を介して取得される道路情報や渋滞情報などの道路交通情報を加味する構成としてもよい。また、目的地点に到達するまで所定間隔で更新する構成でもよい。換言すれば、目的地点に到達するまでに、渋滞状況の変化や立ち寄り地点の追加などによって所要時間に変化があった場合には、その都度所要時間を算出する構成としてもよい。また、現在時刻を参照して目的地点に到達する到達時刻を算出してもよい。
【0072】
つぎに、CPU401は、ステップS502において算出された所要時間に応じて、トリガー検知のしきい値を設定する(ステップS503)。トリガー検知のしきい値は、たとえば、ドライブレコーダ用画像を保存するトリガーとなるセンサのセンサ検出感度などでもよい。所要時間に応じたしきい値は、たとえば、目的地点までの所要時間が長時間となる場合に、センサ検出感度をダウンする構成でもよい。より具体的には、目的地点までの所要時間が3時間を超える場合は、センサ検出感度を30%ダウンし、5時間を超える場合は、センサ検出感度を50%ダウンする。
【0073】
また、ステップS503における、所要時間に応じたしきい値は、所定間隔で更新される所要時間について、複数の段階に分けて設定する構成でもよい。より具体的には、所要時間が5時間を超えている段階ではセンサ検出感度を50%ダウンし、所要時間が3時間を超えて5時間以下である場合にセンサ検出感度を30%ダウンする構成でもよい。くわえて、ステップS503においては、目的地点に到達するまでに、渋滞状況の変化や立ち寄り地点の追加などによって所要時間に変化があった場合には、その都度算出された所要時間に応じて、しきい値を再設定してもよい。さらに、所要時間に応じたしきい値は、詳細は図6に後述するが、記録媒体などに記録された標準しきい値表に基づいて設定してもよい。
【0074】
ステップS501において、目的地点が設定されていない場合(ステップS501:No)は、トリガー検知のしきい値を標準に設定する(ステップS504)。なお、標準のトリガー検知のしきい値の設定は、標準時の所定値を設定してもよいし、実施例2に後述するように、保存領域の残量に基づいておこなってもよい。
【0075】
そして、カメラ417は、ドライブレコーダ用画像の撮影を開始する(ステップS505)。ドライブレコーダ用画像は、たとえば、車両周辺の画像などで一定時間における動画でもよい。また、ドライブレコーダ用画像は、磁気ディスク405や光ディスク407などの記録媒体に上書き記録する構成でもよい。上書き記録は、たとえば、一定時間における動画を、記録媒体の記録容量を超えないように、順次上書きして記録することであり、上書き記録用の記録媒体や上書き記録用の記録領域を有する記録媒体に記録する。
【0076】
つぎに、CPU401は、ステップS503あるいはステップS504において設定されたトリガー検知のしきい値によってトリガーを検知したか否かを判断する(ステップS506)。トリガーは、たとえば、ステップS503において設定されたセンサ検出感度における各種センサ416の出力によって、ドライブレコーダ用画像を保存するきっかけなどでよい。より具体的には、トリガーは、振動センサで規定以上の振動や所定の振動パターンを検知した場合に設定してもよい。所定の振動パターンは、急激な立ち上がりの振動など、異常を示す振動パターンであればよい。また、トリガーは、たとえば、Gセンサで規定以上のGや所定のGのかかり方のパターンを検知した場合に設定してもよい。所定のGのかかり方は、急激な立ち上がりのGなど、異常を示すパターンであればよい。あるいは、車体の接触センサによる、他との接触の有無やエアバッグなどの作動をトリガーとする構成でもよい。
【0077】
また、トリガーは、ステップS503において設定されたセンサ検出感度における各種センサ416の出力によって車両の危険な挙動の原因となるドライバーの運転操作を検知して、トリガーとする構成としてもよい。より具体的には、所定の角速度を超えた急ハンドルやウインカーを出さずに指定以上の角度のハンドル操作や眠気を催したときに特有なハンドル操作など通常と異なるハンドル操作をトリガーとしてもよい。また、指定の加速度以上の加速・減速や信号のない交差点で減速がなかったことや赤信号(黄信号)で減速がなかったことや眠気を催したときに特有のペダル操作など通常と異なるペダル操作をトリガーとする構成としてもよい。なお、ハンドル操作やペダル操作の異常は、あらかじめ動作パターンを登録して、登録された動作パターンと比較する構成でもよい。また、信号のない交差点やその他停止の必要がある地点は、記録媒体に記録された地図情報に基づいて取得してもよい。信号の色は、カメラ417で撮影した画像から判断する構成でもよい。
【0078】
ステップS506において、トリガーを検知した場合(ステップS506:Yes)は、磁気ディスク405や光ディスク407などの記録媒体は、ステップS505において上書き記録されているドライブレコーダ用画像を保存する(ステップS507)。ドライブレコーダ用画像は、たとえば、ステップS506においてトリガーを検知した検知時点とその前後一定時間における画像を保存する構成でもよい。また、一定時間は搭乗者によって設定できる構成でもよく、検知時点から一定時間内に再度特定挙動を検知した場合は、保存する時間を延長できる構成でもよい。また、ドライブレコーダ用画像の保存は、保存用の記録媒体や保存用の記録領域を有する記録媒体に記録する構成でもよい。
【0079】
そして、ステップS507において、ドライブレコーダ用画像の保存の終了後、CPU401は、目的地点に到達したか否かを判断する(ステップS508)。保存の終了は、たとえば、入力デバイス411を介して保存終了の指示を受け付けてもよい。保存終了の指示は、たとえば、保存の開始を搭乗者に報知して、搭乗者が入力デバイス411を操作して入力する構成でもよい。また、ステップS506においてトリガーを検知した時点から、所定時間経過後に保存終了する構成でもよい。
【0080】
また、ステップS506において、トリガーを検知しなかった場合(ステップS506:No)は、ステップS508に移行して、CPU401は、目的地点に到達したか否かを判断する(ステップS508)。
【0081】
ここで、ステップS508において、目的地点に到達した場合(ステップS508:Yes)は、そのまま一連の処理を終了する。また、ステップS508において、目的地点に到達していない場合(ステップS508:No)は、ステップS501に戻って処理を繰り返す。なお、ステップS508において、目的地点へ到達する代わりに、車両が停止した段階で車両の走行が終了したと判断して、一連の処理を終了する構成としてもよい。
【0082】
なお、本図の説明では、ステップS505において車両周辺の画像をドライブレコーダ用画像として撮影して上書き記録する構成としているが、その他各種センサ416の出力など走行状態に関する情報をあわせて上書き記録する構成としてもよい。また、その場合、ステップS506において、トリガーを検知した段階で、検知した検知時点とその前後一定時間における出力を保存してもよい。
【0083】
つぎに、図6を用いて、本実施例1にかかるトリガー検知のしきい値の設定について、標準しきい値表の一例について説明する。図6は、本実施例1にかかる標準しきい値表の一例を示す説明図である。
【0084】
図6において、標準しきい値表600は、センサ検出感度601と、標準保存回数602と、を有している。センサ検出感度601は、各種センサ416の検出感度を示すものである。また、標準保存回数602は、センサ検出感度601と関連づけられており、単位時間あたりに記録媒体の記録領域に保存する標準の回数である。より具体的には、たとえば、センサ検出感度601が100%のセンサを用いてトリガー検知をおこなった場合、記録領域には標準的に1時間あたり10回保存することとなる。同様に、センサ検出感度601が80%のセンサを用いてトリガー検知をおこなった場合、記録領域には標準的に1時間あたり8回保存することとなる。
【0085】
ここで、本実施例1におけるトリガー検知のしきい値は、目的地点までの所要時間と記録領域の容量とに基づいて、センサ検出感度601を設定する構成でもよい。より具体的には、たとえば、記録領域の許容量が35回である場合に、目的地点までの所要時間が5時間であるとすると、標準保存回数602は6回まで許容量を超えることがない。したがって、センサ検出感度601を60%に設定する。つまり、本実施例1におけるトリガー検知のしきい値の設定は、標準しきい値表600に基づいて、(標準保存回数)×(所要時間)<(許容量)となる、最大の標準保存回数602に応じたセンサ検出感度601を設定することとしてもよい。
【0086】
なお、記録領域の許容量を保存回数とする代わりに、保存時間としてトリガー検知のしきい値を設定する構成でもよい。その場合、標準しきい値表600における標準保存回数602は、単位時間あたりにドライブレコーダ用画像を保存する時間として、前述とほぼ同様にして、センサ検出感度601を設定すればよい。
【0087】
以上説明したように、本実施例1によれば、目的地点までの所要時間に応じて、トリガー検知のしきい値となるセンサ検出感度を設定する。そして、設定されたセンサ検出感度によってトリガーを検知してドライブレコーダ用画像を保存するため、所要時間の長い場合でも、記録領域が不足することなく、ドライブレコーダ用画像を保存できる。したがって、ドライブレコーダ用画像を確実に保存することができ、事故検証や事故予防の資料に役立てることができる。
【0088】
また、本実施例1によれば、ドライブレコーダ用画像とともに、各種センサ416の出力など走行状態に関する情報を保存することもできる。したがって、より詳細な事故検証や事故予防の資料を取得することができ、確実に事故検証や事故予防がおこなえる。また、記録媒体を取り替えることなく保存することができ、ユーザに予備の記録媒体の準備を強いることなくドライブレコーダ用画像を保存できる。
【0089】
さらに、本実施例1によれば、目的地点までの所要時間の変化に応じて、トリガー検知のしきい値を設定することができる。したがって、一般的に長時間ドライブの終盤に事故が起きやすいとされているが、ドライブの終盤でも、所要時間が少なくなるほど、センサ検出感度601を上げることで、確実かつ詳細にドライブレコーダ用画像の保存がおこなえる。
【実施例2】
【0090】
つぎに、本発明の実施例2について説明する。本実施例2は、前述の実施例1で説明したナビゲーション装置300で、記録媒体における記録領域の残量に基づいて、トリガー検知のしきい値を設定する場合について説明する。なお、本実施例2にかかるナビゲーション装置300の周辺機器構成については、図3とほぼ同様であるため説明を省略する。また、本実施例2にかかるナビゲーション装置300のハードウェア構成については、図4とほぼ同様であるため説明を省略する。
【0091】
(ナビゲーション装置300の処理の内容)
ここで、図7を用いて、本実施例2にかかるナビゲーション装置300の処理の内容について説明する。図7は、本実施例2にかかるナビゲーション装置の処理の内容を示すフローチャートである。図7のフローチャートにおいて、まず、ナビゲーション装置300は、車両が走行中となったか否かを判断する(ステップS701)。車両の走行に関する判断は、たとえば、各種センサ416の出力を参照しておこなってもよい。ここで、車両が走行中となるのを待って、走行中となった場合(ステップS701:Yes)は、CPU401は、磁気ディスク405や光ディスク407などの記録媒体における保存領域の残量を検知する(ステップS702)。ここで保存領域は、たとえば、記録媒体におけるドライブレコーダ用画像の保存用の記録媒体や保存用の記録領域などである。残量の検知は、たとえば、保存領域において、ドライブレコーダ用画像を保存できる割合などでもよい。また、保存領域は所定間隔で更新する構成でもよく、換言すれば、最初に残量を検知した後も、目的地点に到達するまで、常時あるいは定期的に残量をチェックすることとしてもよい。
【0092】
つぎに、CPU401は、ステップS702において検知された保存領域の残量に応じて、トリガー検知のしきい値を設定する(ステップS703)。トリガー検知のしきい値は、たとえば、ドライブレコーダ用画像を保存するトリガーとなるセンサのセンサ検出感度などでもよい。残量に応じたしきい値は、たとえば、保存領域の残量が減少した場合に、センサ検出感度をダウンする構成でもよい。より具体的には、保存領域の残量が半分より少なくなった場合は、センサ検出感度を30%ダウンしたり、保存領域の残量が30%より少なくなった場合は、センサ検出感度を50%ダウンしてもよい。
【0093】
また、ステップS703における、保存領域の残量に応じたしきい値は、所定間隔で更新される残量について、複数の段階に分けて設定する構成でもよい。より具体的には、保存領域の残量が半分より少なく30%以上段階ではセンサ検出感度を30%ダウンし、保存領域の残量が30%より少なくなった場合にセンサ検出感度を50%ダウンする構成でもよい。換言すれば、常時あるいは定期的に保存領域の残量をチェックして、複数の段階における指定残量を下回ったら、その都度検知される残量に応じて、しきい値を再設定してもよい。
【0094】
そして、カメラ417は、ドライブレコーダ用画像の撮影を開始する(ステップS704)。ドライブレコーダ用画像は、たとえば、車両周辺の画像などで一定時間における動画でもよい。また、ドライブレコーダ用画像は、磁気ディスク405や光ディスク407などの記録媒体に上書き記録する構成でもよい。上書き記録は、たとえば、一定時間における動画を、記録媒体の記録容量を超えないように、順次上書きして記録することであり、上書き記録用の記録媒体や上書き記録用の記録領域を有する記録媒体に記録する。
【0095】
つぎに、CPU401は、ステップS703において設定されたトリガー検知のしきい値によってトリガーを検知したか否かを判断する(ステップS705)。トリガーは、たとえば、ステップS703において設定されたセンサ検出感度における各種センサ416の出力によって、ドライブレコーダ用画像を保存するきっかけなどでよい。より具体的には、トリガーは、振動センサで規定以上の振動や所定の振動パターンを検知した場合に設定してもよい。所定の振動パターンは、急激な立ち上がりの振動など、異常を示す振動パターンであればよい。また、トリガーは、たとえば、Gセンサで規定以上のGや所定のGのかかり方のパターンを検知した場合に設定してもよい。所定のGのかかり方は、急激な立ち上がりのGなど、異常を示すパターンであればよい。あるいは、車体の接触センサによる、他との接触の有無やエアバッグなどの作動をトリガーとする構成でもよい。
【0096】
また、トリガーは、ステップS703において設定されたセンサ検出感度における各種センサ416の出力によって車両の危険な挙動の原因となるドライバーの運転操作を検知して、トリガーとする構成としてもよい。より具体的には、所定の角速度を超えた急ハンドルやウインカーを出さずに指定以上の角度のハンドル操作や眠気を催したときに特有なハンドル操作など通常と異なるハンドル操作をトリガーとしてもよい。また、指定の加速度以上の加速・減速や信号のない交差点で減速がなかったことや赤信号(黄信号)で減速がなかったことや眠気を催したときに特有のペダル操作など通常と異なるペダル操作をトリガーとする構成としてもよい。なお、ハンドル操作やペダル操作の異常は、あらかじめ動作パターンを登録して、登録された動作パターンと比較する構成でもよい。また、信号のない交差点やその他停止の必要がある地点は、記録媒体に記録された地図情報に基づいて取得してもよい。信号の色は、カメラ417で撮影した画像から判断する構成でもよい。
【0097】
ステップS705において、トリガーを検知した場合(ステップS705:Yes)は、磁気ディスク405や光ディスク407などの記録媒体は、ステップS704において上書き記録されているドライブレコーダ用画像を保存する(ステップS706)。ドライブレコーダ用画像は、たとえば、ステップS705においてトリガーを検知した検知時点とその前後一定時間における画像を保存する構成でもよい。また、一定時間は搭乗者によって設定できる構成でもよく、検知時点から一定時間内に再度特定挙動を検知した場合は、保存する時間を延長できる構成でもよい。また、ドライブレコーダ用画像の保存は、保存用の記録媒体や保存用の記録領域を有する記録媒体に記録する構成でもよい。
【0098】
そして、ステップS706において、ドライブレコーダ用画像の保存の終了後、CPU401は、車両の走行が終了したか否かを判断する(ステップS707)。保存の終了は、たとえば、入力デバイス411を介して保存終了の指示を受け付けてもよい。保存終了の指示は、たとえば、保存の開始を搭乗者に報知して、搭乗者が入力デバイス411を操作して入力する構成でもよい。また、ステップS705においてトリガーを検知した時点から、所定時間経過後に保存終了する構成でもよい。
【0099】
また、ステップS705において、トリガーを検知しなかった場合(ステップS705:No)は、ステップS707に移行して、CPU401は、車両の走行が終了したか否かを判断する(ステップS707)。
【0100】
ステップS707において、車両の走行が終了しない場合(ステップS707:No)は、ステップS702に戻って処理を繰り返す。また、ステップS707において、車両の走行が終了した場合(ステップS707:Yes)は、そのまま一連の処理を終了する。車両の走行に関する判断は、たとえば、各種センサ416の出力を参照しておこなってもよい。より具体的には、各種センサ416の出力が停止した時点で車両の走行が終了したと判断してもよい。
【0101】
なお、本図の説明では、ステップS704において車両周辺の画像をドライブレコーダ用画像として撮影する構成としているが、その他車両の走行状態に関する情報を取得する構成としてもよい。走行状態に関する情報は、たとえば、車速や搭乗者の動作・言動など各種センサ416で検知する車両の操作の情報を含む構成でもよい。また、その場合、ステップS706において、ドライブレコーダ用画像の保存とともに、走行状態に関する情報を保存する構成としてもよい。なお、ドライブレコーダ用画像や走行状態に関する情報の保存は、少なくともどちらか一方を保存する構成であればよく、保存した情報は、事故時や事故未遂(ヒヤリハット)時の検証資料としてもよい。
【0102】
また、本実施例2において、保存領域の残量を検知する代わりに、単位時間あたりの保存回数頻度または保存時間割合を検出して、頻度または割合が指定値を超えた場合にトリガー検知のしきい値を変化させてもよい。また、トリガー検知のしきい値は、単位時間あたりの保存回数頻度または保存時間割合が指定値程度となるように変化させてもよい。
【0103】
以上説明したように、本実施例2によれば、記録媒体における保存領域の残量に応じて、トリガー検知のしきい値となるセンサ検出感度を設定する。そして、設定されたセンサ検出感度によってトリガーを検知してドライブレコーダ用画像を保存するため、保存領域が少なくなるとセンサ検出感度を減少させることで、保存領域が少ない段階でも重大事故に関して、漏れることなくドライブレコーダ用画像を保存することができる。
【0104】
また、本実施例2によれば、一般的に長時間ドライブの終盤に事故が起きやすいとされているが、ドライブ序盤では保存領域を使用せずに、ドライブの終盤での保存領域に応じたセンサ検出感度によって確実かつ詳細に、ドライブレコーダ用画像の保存がおこなえる。
【0105】
以上説明したように、本発明によれば、目的地点までの所要時間や記録媒体の容量に応じて、移動体の挙動の検出感度を決定して、移動体の挙動が検出されたときの移動体の走行状態を記録媒体へ保存する。したがって、走行状態を保存する記録媒体の容量が不足することなく、最適に走行状態を保存し、保存された走行状態を事故検証や事故予防の資料に役立てることができる。
【0106】
また、以上説明したように、本発明によれば、目的地点までの所要時間に応じて、トリガー検知のしきい値となるセンサ検出感度を設定する。そして、設定されたセンサ検出感度によってトリガーを検知してドライブレコーダ用画像を保存するため、所要時間の長い場合でも、記録領域が不足することなく、ドライブレコーダ用画像を保存できる。したがって、ドライブレコーダ用画像を確実に保存することができ、事故検証や事故予防の資料に役立てることができる。
【0107】
さらに、本発明によれば、ドライブレコーダ用画像とともに、各種センサ416の出力など走行状態に関する情報を保存することもできる。したがって、より詳細な事故検証や事故予防の資料を取得することができ、確実に事故検証や事故予防がおこなえる。また、記録媒体を取り替えることなく保存することができ、ユーザに予備の記録媒体の準備を強いることなくドライブレコーダ用画像を保存できる。
【0108】
加えて、本発明によれば、目的地点までの所要時間の変化に応じて、トリガー検知のしきい値を設定することができる。したがって、一般的に長時間ドライブの終盤に事故が起きやすいとされているが、ドライブの終盤でも、所要時間が少なくなるほど、センサ検出感度を上げることで、確実かつ詳細にドライブレコーダ用画像の保存がおこなえる。
【0109】
また、本実施例1では、目的地点までの所要時間に応じたトリガー検知のしきい値を設定する構成としたが、目的地点までの所要時間を算出する代わりに、目的地点までの所要距離に応じてトリガー検知のしきい値を設定することとしてもよい。そうすることで、時間を算出する負荷をかけることなく、ドライブレコーダ用画像を確実に保存することができ、事故検証や事故予防の資料に役立てることができる。
【0110】
また、本発明によれば、トリガー検知のしきい値として、センサ検出感度を設定する構成としているが、センサ検出感度を設定する代わりに、トリガーを検知するセンサの選択をおこなう構成としてもよい。さらに、トリガーとなるセンサにおいて、車両の異常を検出するしきい値自体を設定する構成としてもよい。こうすることで、本発明の汎用性を高めることができる。
【0111】
また、本発明は、本実施例1あるいは本実施例2の機能を少なくとも一つ以上有していればよい。たとえば、本実施例1と本実施例2の機能を有している場合には、所要時間でセンサ検出感度を設定して、なおかつ残量が少なくなったらセンサ検出感度を低くできるため、保存領域がなくなることがなく、的確にドライブレコーダ用画像の保存を図ることができる。
【0112】
また、本実施例1では、ドライブレコーダ用画像や車両の走行状態を記録媒体に記録する構成であるが、外部のサーバへ送信して、外部サーバで管理するようにしてもよい。また、本発明においては、データ保護機能やデータを暗号化する機能を有するものとすれば、データの改ざんを防止することができ、適切なデータの利用を図ることができる。
【0113】
なお、本実施の形態で説明した情報記録方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本実施の形態にかかる情報記録装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態にかかる情報記録装置の処理の内容を示すフローチャートである。
【図3】本実施例1にかかるナビゲーション装置が設置された車両のダッシュボード付近の一例を示す説明図である。
【図4】本実施例1にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図5】本実施例1にかかるナビゲーション装置における処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】本実施例1にかかる標準しきい値表の一例を示す説明図である。
【図7】本実施例2にかかるナビゲーション装置の処理の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0115】
100 情報記録装置
101 設定部
102 算出部
103 決定部
104 検出部
105 保存部
106 検知部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に入力されてくる移動体の走行状態に関する情報を上書き保存する情報記録装置において、
目的地点を設定する設定手段と、
前記設定手段によって設定された目的地点までの所要時間を算出する算出手段と、
前記移動体の挙動の検出感度を、前記算出手段によって算出された所要時間に応じた検出感度に決定する決定手段と、
前記決定手段によって決定された検出感度により前記移動体の挙動を検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記移動体の挙動が検出されたときの前記移動体の走行状態に関する情報を記録媒体に保存する保存手段と、
を備えることを特徴とする情報記録装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記所要時間内の前記記録媒体への保存量が所定量以下となるように前記検出感度を決定することを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項3】
前記記録媒体の残量を検知する検知手段を有し、
前記決定手段は、前記移動体の挙動の検出感度を、前記検知手段によって検知された残量に応じた検出感度に決定することを特徴とする請求項1または2に記載の情報記録装置。
【請求項4】
連続的に入力されてくる移動体の走行状態に関する情報を上書き保存する情報記録方法において、
目的地点を設定する設定工程と、
前記設定工程によって設定された目的地点までの所要時間を算出する算出工程と、
前記移動体の挙動の検出感度を、前記算出工程によって算出された所要時間に応じた検出感度に決定する決定工程と、
前記決定工程によって決定された検出感度により前記移動体の挙動を検出する検出工程と、
前記検出工程によって前記移動体の挙動が検出されたときの前記移動体の走行状態に関する情報を記録媒体に保存する保存工程と、
を含んだことを特徴とする情報記録方法。
【請求項5】
請求項4に記載の情報記録方法をコンピュータに実行させることを特徴とする情報記録プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載の情報記録プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−122515(P2007−122515A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−315330(P2005−315330)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】