説明

成膜装置およびバリアメタル形成方法

【課題】スパッタチャンバ内を汚染することなく、バリアメタルを形成することができる成膜装置を提供すること。
【解決手段】実施形態の成膜装置は、第1のプロセスチャンバと、第2のプロセスチャンバと、第3のプロセスチャンバと、を備えている。そして、第1のプロセスチャンバは、スパッタ処理を行うことにより、基板上に第1のバリアメタルを成膜する。また、前記第2のプロセスチャンバは、前記第1のバリアメタルが成膜された前記基板上に第1のガスを導入することにより、前記第1のバリアメタルの上層部を前記第1のガスによって表面処理し、これにより前記第1のバリアメタル上に第2のバリアメタルを形成する。さらに、前記第3のプロセスチャンバは、前記第2のバリアメタルが形成された前記基板にスパッタ処理を行うことにより、前記第2のバリアメタル上に第3のバリアメタルを成膜する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、成膜装置およびバリアメタル形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置を製造する工程の1つに、金属配線層を形成する工程がある。このような金属配線層を複数層に渡って積層する場合、金属材料の拡散防止や相互反応防止のために、下層側の金属配線層と上層側の金属配線層との間にバリアメタルを形成している。
【0003】
バリアメタルは、例えば、Ti(チタン)/TiN(窒化チタン)/Ti(チタン)のように複数層で構成される場合がある。バリアメタルが、Ti/TiN/Tiである場合、スパッタチャンバ内で1層目のTiを成膜した後、同じスパッタチャンバ内に窒素を導入することにより、Tiの上層部をTiNに変化させる。さらに、同じスパッタチャンバ内でTiN上にTiを積層し、これによりTi/TiN/Tiのバリアメタルを形成している。
【0004】
しかしながら、Tiを成膜するプロセスチャンバ内に窒素を流すと、バリアメタルとしてのTiとともにTiを成膜するためのTiスパッタターゲットも窒化されてしまう。そして、Tiスパッタターゲットが窒化されると、TiスパッタターゲットからTiN膜が剥がれ落ち、これによりスパッタチャンバ内が汚染されるという問題があった。このため、スパッタチャンバ内を汚染することなく、バリアメタルを形成することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−232077号公報
【特許文献2】特開平10−242268号公報
【特許文献3】特開2005−79543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、スパッタチャンバ内を汚染することなく、バリアメタルを形成することができる成膜装置およびバリアメタル形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、成膜装置が提供される。前記成膜装置は、第1のプロセスチャンバと、第2のプロセスチャンバと、第3のプロセスチャンバと、を備えている。そして、第1のプロセスチャンバは、スパッタ処理を行うことにより、基板上に第1のバリアメタルを成膜する。また、前記第2のプロセスチャンバは、前記第1のバリアメタルが成膜された前記基板上に第1のガスを導入することにより、前記第1のバリアメタルの上層部を前記第1のガスによって表面処理し、これにより前記第1のバリアメタル上に第2のバリアメタルを形成する。さらに、前記第3のプロセスチャンバは、前記第2のバリアメタルが形成された前記基板にスパッタ処理を行うことにより、前記第2のバリアメタル上に第3のバリアメタルを成膜する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、実施形態に係る成膜装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、金属配線層の断面構成例を示す図である。
【図3】図3は、バリアメタルの形成処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図4は、バリアメタルの構成例を示す図である。
【図5】図5は、TiN膜によるTi膜とAl膜との間の反応抑制を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、実施形態に係る成膜装置およびバリアメタル形成方法を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る成膜装置の構成を示す図である。図1では、成膜装置1を上面側から見た場合の構成例を示している。成膜装置1は、基板(ウエハW)上に複数層からなるバリアメタルを形成する装置である。バリアメタルは、例えば下層側の金属配線層と上層側の金属配線層との間に形成される金属膜であり、金属配線層間における金属材料の拡散防止や相互反応防止のために用いられる。バリアメタルは、例えば、Ti(チタン)/TiN(窒化チタン)/Ti(チタン)で構成されている。
【0011】
成膜装置1は、複数のプロセスチャンバと、各プロセスチャンバを接続するとともにプロセスチャンバ間のウエハWの移動を行うウエハ搬送部20と、ロードロックチャンバ23A,23Bと、を備えている。
【0012】
成膜装置1が備えるプロセスチャンバは、Ti(チタン)スパッタチャンバ2T〜4T、Cold−Al(アルミ)成膜チャンバ6A、Hot−Al(アルミ)成膜チャンバ5A、窒化/酸化(O3/NH3導入)チャンバ10、Degasチャンバ21,22である。
【0013】
ロードロックチャンバ23A,23Bは、それぞれウエハWの搬入/搬出を行うチャンバである。ロードロックチャンバ23A,23Bの何れかに搬入されたウエハWは、成膜装置1内の複数のプロセスチャンバ内で種々の処理が行われることにより、ウエハW上にバリアメタルが形成される。バリアメタルが形成されたウエハWは、ロードロックチャンバ23A,23Bの何れかから搬出される。
【0014】
Degasチャンバ21,22は、バリアメタルを形成する前のウエハWから残留ガスを除去するチャンバである。Degasチャンバ21,22は、チャンバ内を高真空にするとともにウエハWを温めることによって、ウエハWから残留ガスを除去する。
【0015】
Tiスパッタチャンバ2T〜4Tは、ウエハW上にTi膜をスパッタするチャンバである。Tiスパッタチャンバ2T〜4Tには、Tiスパッタターゲット(図示せず)が配置され、Tiスパッタターゲットを用いてウエハW上にTi膜がスパッタされる。
【0016】
窒化/酸化チャンバ10は、ウエハW上のTi膜を表面処理する機能(酸化処理する機能と窒化処理する機能)を有したチャンバである。本実施形態の窒化/酸化チャンバ10は、チャンバ内にO3(オゾン)を導入することにより、ウエハW上のTi膜を酸化させ、これによりTiO(酸化チタン)膜を生成する。また、窒化/酸化チャンバ10は、チャンバ内にNH3(アンモニア)を導入することにより、ウエハW上のTi膜を窒化させ、これによりTiN(窒化チタン)膜を生成する。
【0017】
Cold−Al成膜チャンバ6Aは、ウエハW上にCold−Al膜を成膜するチャンバである。Cold−Al膜は、室温で成膜されるAl膜であり、例えばバリアメタル上にスパッタ成膜される。
【0018】
Hot−Al成膜チャンバ5Aは、ウエハW上にHot−Al膜を成膜するチャンバである。Hot−Al膜は、高温(例えば200℃〜300℃)で成膜されるAl膜であり、例えばCold−Al膜上にスパッタ成膜される。
【0019】
ウエハ搬送部20は、成膜装置1内に搬入されたウエハWを所定の順番で各チャンバへ移動させる。ウエハ搬送部20がウエハWを搬送する順番は、例えばロードロックチャンバ23A、Tiスパッタチャンバ2T、窒化/酸化チャンバ10、Tiスパッタチャンバ3T、Cold−Al成膜チャンバ6A,Hot−Al成膜チャンバ5A、ロードロックチャンバ23Bの順番である。
【0020】
ウエハW上には、例えば、下層側の金属配線層(下層配線)と、この金属配線層を覆う層間絶縁膜と、を形成しておく。そして、層間絶縁膜にビアホールを形成することにより、金属配線層とビアホールを繋げる。ビアホールの形成されたウエハWが成膜装置1内に搬入されると、成膜装置1でウエハW上にバリアメタルが形成される。また、バリアメタル上に上層側の金属配線層(上層配線)としての、Cold−Al膜とHot−Al膜とが成膜され、その後、ウエハWが成膜装置1から搬出される。
【0021】
図2は、金属配線層の断面構成例を示す図である。ウエハW上では、層間絶縁膜34の上層側に下層配線35が形成されている。さらに、層間絶縁膜34および下層配線35の上層側に層間絶縁膜33が成膜され、層間絶縁膜33の上層側にバリアメタル32Xが形成されている。そして、バリアメタル32Xの上層側に上層配線31が成膜されている。
【0022】
下層配線35は、複数層からなる配線層のうちの第N層目(Nは自然数)の配線であり、例えばCu(銅)配線などである。また、上層配線31は、複数層からなる配線層のうちの第(N+1)層目の配線であり、例えばCold−Al膜およびHot−Al膜である。
【0023】
このような、複数層からなる配線を形成する場合、層間絶縁膜34に穴(コンタクトホールまたはビアホール)が開けられ、この穴に下層配線35が埋め込まれる。そして、層間絶縁膜34および下層配線35の上層側に層間絶縁膜33が成膜される。さらに、層間絶縁膜33に穴(ビアホール)が開けられる。このビアホールおよび層間絶縁膜33上にバリアメタル32Xが成膜され、バリアメタル32X上に上層配線31が成膜される。
【0024】
なお、下層配線35は、Cu配線に限らず、Al配線、Al−Si配線、Al−Si−Cu配線などの他の配線であってもよい。また、上層配線31は、Al配線に限らず、Cu配線、Al−Si配線、Al−Si−Cu配線などの他の配線であってもよい。また、ここでは、下層配線35が埋め込み型の配線である場合を示しているが、下層配線35は埋め込み型以外の配線パターンであってもよい。
【0025】
つぎに、バリアメタル32Xの形成処理手順について説明する。図3は、バリアメタルの形成処理手順を示すフローチャートである。ここでは、バリアメタル32Xが、Ti/TiO/TiN/Tiの4層構造である場合について説明する。
【0026】
ウエハW上にバリアメタル32Xを形成する場合、ウエハWがロードロックチャンバ23A,23Bの何れか一方から成膜装置1内に搬入される。このウエハWは、Degasチャンバ21,22の何れか一方でウエハW内の残留ガスが除去される。
【0027】
この後、ウエハWは、Tiスパッタチャンバ2T〜4Tの何れかに搬入される(ステップS10)。そして、Tiスパッタチャンバ2T〜4Tの何れかでウエハW上に下層側Ti膜がスパッタされる(ステップS20)。
【0028】
下層側Ti膜がスパッタされたウエハWは、窒化/酸化チャンバ10内に搬入される(ステップS30)。そして、窒化/酸化チャンバ10内にO3が導入されて下層側Ti膜の上層部が酸化され、これにより下層側Ti膜上にTiO膜が生成される。さらに、窒化/酸化チャンバ10内にNH3が導入されてTiO膜の上層部が窒化され、これによりTiO膜上にTiN膜が生成される。これにより、Tiが酸化/窒化処理される(ステップS40)。
【0029】
この後、ウエハWは、Tiスパッタチャンバ2T〜4Tの何れかに搬入される(ステップS50)。そして、Tiスパッタチャンバ2T〜4Tの何れかでウエハW上に上層側Ti膜がスパッタされる(ステップS60)。
【0030】
これにより、下層側Ti膜/TiO/TiN/上層側Ti膜からなるバリアメタル32XがウエハW上に形成される。バリアメタル32Xが形成されたウエハWは、ロードロックチャンバ23A,23Bの何れか一方から成膜装置1の外部に搬出される。
【0031】
ここで、バリアメタル32Xの構成例について説明する。図4は、バリアメタルの構成例を示す図である。バリアメタル32Xは、Tiと、TiNと、TiOと、が組み合わされた構成となっている。バリアメタル32Xは、例えば、下層側Ti膜と、中間膜と、上層側Ti膜と、によって構成され、中間膜がTi膜、TiN膜、TiO膜の何れか又はその組み合わせによって構成されている。
【0032】
図4の(a)、(b)では、それぞれ5層構造のバリアメタル32a,32bを示している。また、図4の(c)、(d)では、それぞれ4層構造のバリアメタル32c,32dを示し、図4の(e)、(f)では、それぞれ3層構造のバリアメタル32e,32fを示している。
【0033】
図4の(a)に示すように、バリアメタル32aは、下層側から順番に下層側Ti膜41a、TiN膜42a、Ti膜43a、TiO膜44a、上層側Ti膜45aが積層された構成となっている。
【0034】
また、図4の(b)に示すように、バリアメタル32bは、下層側から順番に下層側Ti膜41b、TiO膜44b、Ti膜43b、TiN膜42b、上層側Ti膜45bが積層されて構成されている。
【0035】
また、図4の(c)に示すように、バリアメタル32cは、下層側から順番に下層側Ti膜41c、TiN膜42c、TiO膜44c、上層側Ti膜45cが積層されて構成された構成となっている。
【0036】
また、図4の(d)に示すように、バリアメタル32dは、下層側から順番に下層側Ti膜41d、TiO膜44d、TiN膜42d、上層側Ti膜45dが積層された構成となっている。
【0037】
また、図4の(e)に示すように、バリアメタル32eは、下層側から順番に下層側Ti膜41e、TiN膜42e、上層側Ti膜45eが積層された構成となっている。
【0038】
また、図4の(f)に示すように、バリアメタル32fは、下層側から順番に下層側Ti膜41f、TiO膜44f、上層側Ti膜45fが積層された構成となっている。
【0039】
バリアメタル32a〜32fは、それぞれ下層側から順番に膜を積層していくことにより形成されていく。バリアメタル32a〜32fを形成する際には、下層側Ti膜41a〜41fがTiスパッタチャンバ2T〜4Tの何れかで成膜される。また、上層側Ti膜45a〜45fがTiスパッタチャンバ2T〜4Tの何れかで成膜される。
【0040】
バリアメタル32aの中間膜を形成する場合、窒化/酸化チャンバ10でTiN膜42aが生成される。そして、Tiスパッタチャンバ2T〜4Tの何れかでTi膜43aが成膜され、その後、窒化/酸化チャンバ10でTiO膜44aが生成される。
【0041】
また、バリアメタル32bの中間膜を形成する場合、窒化/酸化チャンバ10でTiO膜44bが生成される。そして、Tiスパッタチャンバ2T〜4Tの何れかでTi膜43bが成膜され、その後、窒化/酸化チャンバ10でTiN膜42bが生成される。
【0042】
また、バリアメタル32cの中間膜を形成する場合、窒化/酸化チャンバ10でTiN膜42cが生成される。その後、窒化/酸化チャンバ10でTiN膜42cをO3で酸化することにより、TiN膜42c上にTiO膜44cが生成される。
【0043】
また、バリアメタル32dの中間膜を形成する場合、窒化/酸化チャンバ10でTiO膜44dが生成され。その後、窒化/酸化チャンバ10でTiO膜44dをNH3で窒化することにより、TiO膜44d上にTiN膜42dが生成される。
が生成される。
【0044】
また、バリアメタル32eの中間膜を形成する場合、窒化/酸化チャンバ10でTiN膜42eが生成される。また、バリアメタル32fの中間膜を形成する場合、窒化/酸化チャンバ10でTiO膜44fが生成される。
【0045】
なお、図4に示したバリアメタル32a〜32fの構成は一例であり、バリアメタル32Xは、何れの膜を何れの順番で積層してもよい。バリアメタル32Xの構成は、例えば下層側の金属配線層の材質、上層側の金属配線層の材質、バリアメタル形成以降のプロセスなどに応じて決められる。
【0046】
本実施の形態ではバリアメタル32XにTiNを用いているので、Al膜とTi膜との間の反応やCu膜とTi膜との間の反応を防止することが可能となる。また、本実施の形態ではバリアメタル32XにTiOを用いているので、Cu膜とTi膜との間の反応を防止することが可能となる。
【0047】
Hot−Al膜を成膜する際に大きなスパッタ入熱がTi膜(上層側Ti膜や下層側Ti膜)に加えられると、Ti膜とAl膜が反応してAl3Ti層が生成される。このため、上層側Ti膜とAl膜が反応することによって生成されるAl3Ti層と、下層側Ti膜とAl膜が反応することによって生成されるAl3Ti層と、の両方が生成されることとなる。そして、多くのAl3Ti層が生成されると、ビアホールの埋め込み特性が悪くなる。
【0048】
一方、本実施の形態では、上層側Ti膜と下層側Ti膜との間にSiN膜が生成されている。このため、Hot−Al膜を成膜する際に大きなスパッタ入熱がTi膜に加えられても、下層側Ti膜とAl膜との間の反応を抑制することができる。したがって、ビアホールの埋め込み特性が良くなる。
【0049】
ここで、TiN膜によるTi膜とAl膜との間の反応抑制について説明する。図5は、TiN膜によるTi膜とAl膜との間の反応抑制を説明するための図である。ここでは、図4の(e)で説明したバリアメタル32eに大きなスパッタ入熱を加えた場合のAl膜の反応について説明する。
【0050】
バリアメタル32eは、下層側Ti膜41e、TiN膜42e、上層側Ti膜45eの順番でこれらの膜が積層されて形成される。この後、上層側Ti膜45eの上層にCold−Al膜とAl膜51(Hot−Al膜)をスパッタによって積層すると、Al膜51をスパッタする際のスパッタ入熱によって、Al膜51と上層側Ti膜45eとが反応する。これにより、Al3Ti層50が生成される。また、Al膜51は、TiN膜42eとは反応しないので、Al3Ti層50はTiN膜42e上にとどまる。このため、下層側Ti膜41eはAl膜51と反応することはなく、ビアホールの埋め込み特性を維持できる。
【0051】
このように、本実施形態では、Tiの窒化処理や酸化処理をTiスパッタチャンバ2T〜4Tとは別のチャンバである窒化/酸化チャンバ10で行うので、Tiスパッタチャンバ2T〜4TのTiスパッタターゲットが窒化や酸化されることを防止できる。このため、TiスパッタターゲットからTiNやTiOが剥がれ落ちることを防止できる。したがって、Tiスパッタチャンバ2T〜4T内を汚染することなく、バリアメタル32Xを形成することが可能となる。
【0052】
また、本実施の形態では、NH3を用いてウエハW上のTi膜を窒化させているので、N2を用いてTi膜を窒化させる場合よりも短時間でTi膜を窒化させることが可能となる。また、NH3を用いた窒化処理を行っているので、深いトレンチ構造のホールパターンへも均一なTiN膜を生成することが可能となる。換言すると、アスペクト比が大きなホールパターンへも均一なTiN膜を埋め込むことが可能となる。
【0053】
また、本実施の形態では、O3を用いてウエハW上のTi膜を酸化させているので、O2を用いてTi膜を酸化させる場合よりも短時間でTi膜を酸化させることが可能となる。また、O3を用いた酸化処理を行っているので、深いトレンチ構造のホールパターンへも均一なTiO膜を生成することが可能となる。換言すると、アスペクト比が大きなホールパターンへも均一なTiO膜を埋め込むことが可能となる。
【0054】
成膜装置1によるバリアメタル32Xの形成は、例えばウエハプロセスのレイヤ毎に行われる。具体的には、ウエハWに第N層目の配線を形成する処理と、成膜装置1によって第N層目の配線上にバリアメタル32Xを形成する処理と、バリアメタル32X上に第(N+1)層目の配線を形成する処理と、が繰り返される。
【0055】
配線層から配線パターンを形成する場合には、ウエハW上に配線層を成膜した後、配線層上にレジストが塗布される。そして、レジストの塗布されたウエハWにマスクを用いて露光を行ない、その後、ウエハWを現像してウエハW上にレジストパターンを形成する。そして、レジストパターンをマスクとして配線層をエッチングする。これにより、配線層を用いた配線パターンをウエハW上に形成する。
【0056】
同様に、層間絶縁膜にホールパターンを形成する場合には、ウエハW上に層間絶縁膜を成膜した後、層間絶縁膜上にレジストが塗布される。そして、レジストの塗布されたウエハWにマスクを用いて露光を行ない、その後、ウエハWを現像してウエハW上にレジストパターンを形成する。そして、レジストパターンをマスクとして層間絶縁膜をエッチングする。これにより、層間絶縁膜にホールパターンが形成される。
【0057】
半導体装置(半導体集積回路)を製造する際には、配線パターンの形成、配線パターン上への層間絶縁膜の成膜、層間絶縁膜へのホールパターンの形成、ホールパターンなどへのバリアメタル32Xの形成、バリアメタル32X上への配線パターンの形成、配線パターン上への層間絶縁膜の成膜などがレイヤ毎に繰り返される。
【0058】
このように実施形態によれば、Tiの窒化処理や酸化処理をTiスパッタチャンバ2T〜4Tとは別のチャンバである窒化/酸化チャンバ10で行うので、Tiスパッタチャンバ2T〜4T内を汚染することなく、TiNやTiOなどのバリアメタルを形成できる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1…成膜装置、2T〜4T…Tiスパッタチャンバ、10…窒化/酸化チャンバ、31…上層配線、32X,32a〜32f…バリアメタル、33,34…層間絶縁膜、35…下層配線、41a〜41f…下層側Ti膜、42a〜42e…TiN膜、43a,43b…Ti膜、44a〜44d,44f…TiO膜、45a〜45f…上層側Ti膜、50…Al3Ti層、51…Al膜、W…ウエハ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパッタ処理を行うことにより、基板上に第1のバリアメタルを成膜する第1のプロセスチャンバと、
前記第1のバリアメタルが成膜された前記基板上に第1のガスを導入することにより、前記第1のバリアメタルの上層部を前記第1のガスによって表面処理し、これにより前記第1のバリアメタル上に第2のバリアメタルを形成する第2のプロセスチャンバと、
前記第2のバリアメタルが形成された前記基板にスパッタ処理を行うことにより、前記第2のバリアメタル上に第3のバリアメタルを成膜する第3のプロセスチャンバと、
を備えることを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記第3のバリアメタルが成膜された前記基板上に第2のガスを導入することにより、前記第3のバリアメタルの上層部を前記第2のガスによって表面処理し、これにより前記第3のバリアメタル上に第4のバリアメタルを生成する第4のプロセスチャンバと、
前記第4のバリアメタルが形成された前記基板にスパッタ処理を行うことにより、前記第4のバリアメタル上に第5のバリアメタルを成膜する第5のプロセスチャンバと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
下層側の配線パターンが形成された基板を第1のプロセスチャンバに搬入する第1の搬入ステップと、
前記第1のプロセスチャンバ内でスパッタ処理を行うことにより、前記下層側の配線パターン上に第1のバリアメタルとしての第1のチタン膜を成膜する第1の成膜ステップと、
前記第1のチタン膜が成膜された基板を第2のプロセスチャンバに搬入する第2の搬入ステップと、
前記第2のプロセスチャンバ内に第1のガスを導入することにより、前記第1のチタン膜の上層部を前記第1のガスによって表面処理し、これにより前記第1のバリアメタル上に第2のバリアメタルとしての第1のチタン化合物膜を生成する第2の成膜ステップと、
前記第1のチタン化合物膜が生成された基板を第3のプロセスチャンバに搬入する第3の搬入ステップと、
前記第3のプロセスチャンバ内でスパッタ処理を行うことにより、前記第1のチタン化合物膜上に第3のバリアメタルとしての第2のチタン膜を成膜する第3の成膜ステップと、
を含むことを特徴とするバリアメタル形成方法。
【請求項4】
前記第1のガスはアンモニアであり、
前記第1のチタン化合物膜は、窒化チタンであることを特徴とする請求項3に記載のバリアメタル形成方法。
【請求項5】
前記第1のガスはオゾンであり、
前記第1のチタン化合物膜は、酸化チタンであることを特徴とする請求項3に記載のバリアメタル形成方法。
【請求項6】
前記第1のガスはアンモニアおよびオゾンであり、
前記第1のチタン化合物膜は、窒化チタンおよび酸化チタンであることを特徴とする請求項3に記載のバリアメタル形成方法。
【請求項7】
前記第2のチタン膜が成膜された基板を第4のプロセスチャンバに搬入する第4の搬入ステップと、
前記第4のプロセスチャンバ内に第2のガスを導入することにより、前記第2のチタン膜の上層部を前記第2のガスによって表面処理し、これにより前記第3のバリアメタル上に第4のバリアメタルとしての第2のチタン化合物膜を生成する第4の成膜ステップと、
前記第2のチタン化合物膜が生成された基板を第5のプロセスチャンバに搬入する第5の搬入ステップと、
前記第5のプロセスチャンバ内でスパッタ処理を行うことにより、前記第2のチタン化合物膜上に第5のバリアメタルとしての第3のチタン膜を成膜する第5の成膜ステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項3〜6のいずれか1つに記載のバリアメタル形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−55151(P2013−55151A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191014(P2011−191014)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】