説明

携帯型通信端末、避難路表示システムおよび危険報知装置

【課題】
大地震等、災害発生時に、アラーム情報等を取得し、所持者を安全地域に速やかに誘導できる携帯型通信端末およびこの携帯型通信端末を用いた避難路表示システム、ならびに化学剤テロ等により対象空間において発生する火炎や有毒ガス、爆発性ガス等の有害ガスを検出し当該ガスの発生を複数の携帯型通信端末に報知する危険報知システムを提供する。
【解決手段】
携帯型通信端末2は、方位特定装置21と、地図情報MAP,避難経路情報ECPからなるアラーム情報ALMをブロードキャスト受信する通信回路22と、方位情報DRCと、アラーム情報ALMとから、前記地図情報MAPにかかる地図および/または前記避難経路情報ECPにかかる避難経路を実方位に対応させてディスプレイ24に表示する表示回路23と、ディスプレイ24とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大地震等、災害発生時に災害情報を取得し所持者を安全地域に誘導するための携帯型通信端末およびこの携帯型通信端末と基地局とからなる避難路表示システム、ならびに、対象空間において発生する火炎や有害ガスを検出し当該ガスの発生を複数の携帯型通信端末に報知する危険報知装置および危険報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば火災覚知センサ(火災検出センサ)として、赤外線カメラにより対象領域を撮影して温度分布画像を作成し、時間的に前後する温度分布画像の差分を検出し、差分があるときに火災が発生したと判断する技術が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、火災時に発生する煙を検知し、避難誘導路の確保を行う火災避難誘導システムも知られている。このシステムでは、建屋内に複数配設した煙検知手段により煙の発生を監視する。煙検知手段は煙を検知したときは、画像処理手段は検知情報に基づき、煙の流れ挙動を求める。避難誘導表示手段は画像処理手段により求めた煙の発生位置および拡散流れ方向から、拡散方向とは離れる方向を避難誘導方向として建屋内に表示する(特許文献2)。
【0004】
また、火災時以外、近年では、たとえば空港,劇場,地下鉄構内等の施設においては、化学剤テロ(有害ガスの散布)、爆発物テロ等の危険に晒されることがあり、空港等では手荷物検査によりこれらのテロの発生を防いでいる。
【特許文献1】特開平9−62964号公報
【特許文献2】特開2000−233029公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に示された火災覚知センサ(火災検出センサ)は火災を自動的に検出するに止まり、避難経路情報の提供はなされない。このため、たとえば空港,劇場,地下鉄構内等の施設において、この種の火災検出センサが火災の発生を検知したときは、サイレンが鳴らされることがあり、人が多い施設内ではいわゆるパニックとなるおそれがある。また、パニックの発生を回避するためにサイレンは鳴らさずに施設職員が火災発生を施設内の人々に火災が発生したことをアナウンスして、予め定められた手順にしたがって人々を避難路に誘導することもあるが、誘導手順を誤った場合には大災害に発展するおそれがある。
【0006】
また、特許文献2に記載された火災避難誘導システムは、たとえば火煙により避難路誘導表示が見づらくなったり、大地震等において通信線が断線したりシステム(制御用のコンピュータ)がダウンしたときには、機能できなくなるという問題がある。
【0007】
さらに、空港の施設においては、前述したように手荷物検査等、警備上の観点からの化学剤テロや爆弾テロの防止が図られているものの、有害ガスが散布された場合や爆弾が発見されたときや爆弾が爆発したときに、充分な対処がなされるとはいえない。たとえば、有害ガスの散布等があった場合には、被害者が出た後に散布の事実がわかるため、有害ガスが散布された場所の近くにいる旅行者等はパニックに陥るであろうし、仮に避難の要請がアナウンスされたとしても、どの方向に避難するべきかを判断することは困難であることが充分に予想される。
【0008】
たとえば、同時に同一空港内の複数箇所で化学剤が散布されたときには、広範囲に存在する多数の人々に避難経路を指示することは困難である。また、散布された有害ガスの種類に応じて適切な応急治療が必要であるが、現実には、化学鑑定の専門家等がその種類を特定するまでに時間がかかることも予想され、適切な応急処置が速やかに行われないことも危惧される。このような事情は、爆弾が発見されたときや爆弾が爆発したときも同様であり、即座に避難経路を人々に指示することは困難であり、爆弾が爆発してけが人が出たような場合にも適切な応急治療を施すことが容易でない場合がある。
【0009】
本発明の目的は、大地震等、災害発生時に、アラーム情報等を取得し、所持者を安全地域に速やかに誘導できる携帯型通信端末およびこの携帯型通信端末を用いた避難路表示システムを提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、化学剤テロ等により対象空間において発生する火炎や有毒ガス、爆発性ガス等の有害ガスを検出し当該ガスの発生を複数の携帯型通信端末に報知する危険報知装置および危険報知システムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の携帯型通信端末は以下の(1)から(4)を要旨とする。
(1) 災害情報を受信する受信部と、当該災害情報を表示するディスプレイとを備えることを特徴とする携帯型通信端末。
(2) 前記受信部は、ブロードキャスト受信する通信回路を備えることを特徴とする前記(1)に記載の携帯型通信端末。
(3) 方位特定装置と、前記方位特定装置から受け取った方位情報と、前記受信部から受け取った安全地域の情報を含む地図情報および/または安全地域への避難経路を含む避難経路情報とから、前記地図情報にかかる地図および/または前記避難経路情報にかかる避難経路を実方位に対応させて前記ディスプレイに表示する表示回路と、
をさらに備えることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の携帯型通信端末。
(4) GPS端末機能を備えることを特徴とする前記(1)から(3)に記載の携帯型通信端末。
【0012】
本発明の避難路表示システムは以下の(5),(6)を要旨とする。
(5) 安全地域の情報を含む地図情報および/または安全地域への避難経路を含む避難経路情報を格納するメモリおよび災害発生時に前記地図情報および/または避難経路情報を前記(1)から(4)の何れかに記載の携帯型通信端末へ送信する通信回路とを備えた基地局、
を有することを特徴とする避難路表示システム。
(6) 前記基地局は、前記地図情報および/または前記避難経路情報の送信に先立って、前記携帯型通信端末に自動起動要求信号を送信することを特徴とする前記(5)に記載の避難路表示システム。
【0013】
本発明の危険報知装置は以下の(7)から(12)を要旨とする。
(7) 対象空間において発生する火煙または有害ガスを検出し当該火煙または有害ガスの発生を複数の携帯型通信端末に報知する危険報知装置であって、
火煙または有害ガスを検出する検出装置と、
前記検出装置が火煙または有害ガスを検出したとき、火煙または有害ガスの発生場所情報および/または避難情報を通信網を介して前記携帯型通信端末に発信する情報発信部と、
を有することを特徴とする危険報知装置。
(8) 前記検出装置は、
前記対象空間にレーザ光を発射して当該対象空間を走査するレーザ光発射装置と、
前記対象空間中で散乱されて戻ってくる前記レーザ光を検出し検出値を出力するレーザ光検出装置と
を備えることを特徴とする前記(7)に記載の危険報知装置。
(9) 前記レーザ光発射装置は広帯域コヒーレント光を発射し、
前記レーザ光検出装置は各周波数での応答を検出し、
ていることを特徴とする前記(8)に記載の危険報知装置。
(10) 前記検出装置は、
前記検出値と比較して火炎・有害ガスの有無を判定する基準条件情報を記憶したスペクトルアナライザをさらに備えることを特徴とする前記(7)〜(9)のいずれか一項に記載の危険報知装置。
(11) 前記避難情報には、少なくとも、安全地域の情報を含む地図情報および/または安全地域への避難経路を含む避難経路情報が包含され、発生場所情報が地図情報であることを特徴とする前記(7)〜(10)のいずれか一項に記載の危険報知装置。
(12) 前記避難情報には、前記有害ガスを吸引したときの応急処置の記述が含まれることを特徴とする前記(7)〜(11)のいずれか一項に記載の危険報知装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明の携帯型通信端末および避難路表示システムによれば、大地震等の災害発生時に、アラーム情報等を取得し、所持者を安全地域に速やかに誘導できる。
本発明の危険報知装置および危険報知装置システムによれば、化学剤テロ、爆弾の爆発等により対象空間において発生する火炎や有害ガスを検出し、さらに場合によっては有害ガスの種類を検出し、当該ガスの発生を複数の携帯型通信端末に報知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の避難路表示システムを示す説明図である。図1において、避難路表示システム1は、本発明の携帯型通信端末(本実施形態では携帯型電話機)2と、基地局3とからなる。基地局3は既存の携帯型電話回線網の基地局に改変を加え、あるいは既存の携帯型電話回線網の基地局の中継回路にメモリやブロードキャスト通信回路を付加することにより構成できる。
【0016】
基地局3は、図2(A)に示すように、通常の基地局が備える中継回路30(図示はしないが、CPU,メモリ等,通信回路等を備えている)のほかに、地図情報MAPおよび避難経路情報ECPを格納するメモリ31、災害発生時にこれらの情報をブロードキャスト送信するブロードキャスト通信回路32を備えている。なお、図2(A)では基地局3はバックアップ電源33を備えており、停電時であっても携帯型通信端末2に地図情報MAPおよび避難経路情報ECPからなるアラーム情報ALMを送信することができる。
【0017】
ブロードキャスト通信回路32は、ブロードキャスト送信をのみを行えばよいので受信機能は備えなくてもよい。なお、このブロードキャスト通信回路32として、中継回路30の通信回路の一部(プロセッサ、インタフェース等)を使用することもできる。
【0018】
メモリ31は、CMOS等の不揮発メモリを使用できる。なお、このメモリ31として、中継回路30内のメモリを使用することもできる。
地図情報MAPは図2(B)に示すように安全地域(避難場所)SRGが表示された地図画像であり、避難経路情報ECPは本実施形態では地図情報MAPに重ねて表示される黒塗り矢印である。地図情報MAPは、中継回路30を介してたとえば携帯電話事業者により最新の情報に更新され、あるいは携帯型通信端末2の所有者が、アップデートすることができる。避難経路情報ECPは、一種類であってもよいが、たとえば昼間と夜間とで交通事情等の条件が異なることがあるので、必ずしも一種類とは限らない。図2(B)では、上記避難経路に加え、現在どの方向に逃げればよいかを示す情報が白抜き矢印で強調表示されている(この矢印を符号Kで示す)。なお、図示はしないが、昼間と夜間との認識を行う場合には基地局3には時計機能が備えられる。
【0019】
携帯型通信端末2は、災害発生時に災害情報DISを取得し所持者を安全地域SRGに誘導するための情報を表示するために使用されるもので、携帯型通信端末2は、方位特定装置21と、通信回路22と、表示回路23と、ディスプレイ24とを備えている。
【0020】
方位特定装置21は、典型的には磁気方位コンパスであるが、GPS端末機能を搭載した携帯型通信端末2の場合には、GPSの方位コンパス機能を使用することができる。
通信回路22は、上述した基地局3から安全地域の情報を含む地図情報MAPおよび安全地域への避難経路の情報を含む避難経路情報ECPからなるアラーム情報ALMをブロードキャスト受信することができる。なお、通信回路22は、アラーム情報ALMを必ずしも基地局3からブロードキャスト受信する必要はなく、たとえば携帯型通信端末2がアドホック無線対応機器である場合には、すでにアラーム情報ALMを取得している他の携帯型通信端末2から当該アラーム情報ALMを受信することができる。
【0021】
一般に、アドホック無線の通信距離は短い(たとえば、50〜100m程度)。したがって、アラーム情報ALMが転送される際に、リンク回数を制限することで他の携帯型通信端末2から受信した地図情報MAPに含まれる地図に自分が存在している場所が含まれなかったり、避難経路情報ECPが実際と違っているといった問題は生じにくい。たとえば、携帯型通信端末Aから携帯型通信端末B、携帯型通信端末Bから携帯型通信端末Cに転送された時点で、以降の転送を禁止することができる。
【0022】
表示回路23は、方位特定装置21から受け取った方位情報DRCと、通信回路22から受け取ったアラーム情報ALMとから、地図情報MAPにかかる地図および避難経路情報ECPにかかる避難経路を、実方位に対応させてディスプレイ24に表示することができる。図4(A−1),(A−2)、図4(B−1),(B−2)に、避難経路を、実方位に対応させてディスプレイ24に表示させた例を示す。図4(A−1)と図4(B−1)とでは携帯型通信端末2の向きは違っているが、ディスプレイ24には実方向に即した避難経路情報ECPおよび逃げるべき方向を示す矢印Kが示されている。
【0023】
なお、基地局3は、ブロードキャストに先立って、携帯型通信端末2に自動起動要求信号を送信することができ、携帯型通信端末2は、自動起動要求信号ASRを受信したときは自動起動する。この場合、携帯型通信端末2は、着信時自動起動機能を備えることが前提である。
災害発生時には、基地局3の回線数が飽和する等の理由により、携帯型電話機(携帯型通信端末2)は、通常の携帯電話回線での通話ができなくなる。本実施形態では、基地局3が携帯通信端末2にブローキャストするので、携帯型通信端末2は確実にアラーム情報ALMを受信することができる.
【0024】
なお、携帯型通信端末2は、GPS端末機能を搭載しているときは自己位置を特定できる。携帯型通信端末2がGPS端末機能を搭載していないときには、基地局3からの位置情報に基づき自己位置を特定することができる。この場合には携帯型通信端末2は、可変指向性アンテナを備えていてもよい。
【0025】
図5は本発明の危険報知装置および危険報知システムの第1実施形態を示す説明図である。
図5において、危険報知装置6は、対象空間100において発生する火煙Fまたは有害ガスGを検出しこの火煙Fまたは有害ガスGの発生を複数の携帯型通信端末5(本実施形態では携帯型電話機)に報知するために使用される。
また危険報知システム4Aは、危険報知装置6と、携帯型通信端末5と、基地局7とを有している。
【0026】
対象空間100は、たとえば空港等の屋内であるが、屋外であってもよい。また、煙は典型的には火煙であり、有害ガスGは、たとえば、びらん剤(マスタード,ルイサイト)、神経剤の(サリン,VX)等の有害ガスである。もちろん、一酸化他のガス(NO)等の他のガスも検出することができるし、プラスチック爆弾等から漏れ出す揮発ガスを検出することもできる。
【0027】
なお、図5では、携帯型通信端末5は、一般の旅行者等が所持している携帯型電話機としたが、施設職員等の特定人が持っている携帯型電話機とすることができる。この場合には、施設職員等は携帯型通信端末5のディスプレイの表示を見ながら人々を誘導することができる。
【0028】
携帯型通信端末5は、図6に示すように、方位特定装置51と、通信回路52と、表示回路53と、ディスプレイ54とを備えている。基本的に、携帯型通信端末5の構成は、図3に示した携帯型通信端末2と同じであり、方位特定装置51,通信回路52,表示回路53、ディスプレイ54は、図3に示した方位特定装置21,通信回路22,表示回路23,ディスプレイ24と同じであり、GPS端末機能を搭載していてもよいし、後述する基地局7からの位置情報に基づき自己位置を特定する機能を備えていてもよい。また、前述したアドホック無線機能を備えていてもよい。
【0029】
本実施形態の携帯型通信端末5は、前述したように災害発生時に災害情報DISを取得し所持者を安全地域SRGに誘導するための情報をディスプレイ54に表示するために使用されるし、本実施形態におけるように、有害ガス発生時に後述するアラーム情報ALMを取得し所持者を安全地域SRGに誘導するための情報をディスプレイ54に表示するためにも使用される。
このため、本実施形態の携帯型通信端末5は、携帯電話基地局がブロードキャスト送信する情報や、たとえば空港内等に設置された無線LAN基地局(たとえば、警備会社等により設置される)がブロードキャスト送信する情報も受信できるように構成されている。
【0030】
図7は、危険報知装置6を示すブロック図である。図7において、危険報知装置6は、複数のガス探査装置61と、スペクトルアナライザ62と、アラーム情報発信部63と、システム制御装置64とを備えている。
【0031】
ガス探査装置61は、レーザ光発射装置611およびレーザ光検出装置612を備えており、レーザ光発射装置611は、対象空間100にレーザ光Bを発射して対象空間100を走査することができる。
本実施形態では、レーザ光発射装置611は、複数の周波数ピークP1〜PNを持つレーザ光B(たとえば、周波数コム光またはスーパーコンティニウム光)により対象空間を二次元走査(平面角走査)または三次元走査(立体角走査)することができる。周波数コム光またはスーパーコンティニウム光として波長が500〜3000nmのものが使用できる。
【0032】
レーザ光Bは、複数の周波数ピークが含まれた状態で出力することもできるし、周波数掃引する(出力周波数を鋸歯状に変化させる)こともできる。レーザ光検出装置612は、レーザ光Bの応答SP1〜RSP1(散乱,吸収等)を検出することができるもので、たとえば周波数フィルタとフォトダイオードとにより構成することができる。
また、レーザ光検出装置612として、望遠鏡を使用することができ、この場合にはレーザ光検出装置612はレーザ光発射装置611とともにレーザレーダを構成する。
【0033】
周波数コム光またはスーパーコンティニウム光のブロードバンド光源を使用することで、有害ガスについてはその種類を同定することができ、アラーム情報ALMに適切な応急処置情報を含めることができるし、正確な火災発生の検出、精度の高い有害ガスの検出を行うこともでき、誤報の可能性が大幅に低減する(誤報の可能性を実質上ゼロにできる)。また、さらに、煙や有害ガスの流動方向あるいは拡大方向までをも検知することで、より最適な安全圏、該安全圏への逃避誘導をディスプレイ54のディスプレイに表示することができる。
【0034】
スペクトルアナライザ62は、検出した応答にかかる情報(応答情報)RSPと比較される基準条件情報REFを記憶している。指定してある周波数にピークが現れたときは、アラーム情報発信部63にその旨の信号を送出する。スペクトルアナライザ62は各応答RSP1〜RSP1にかかる情報ECD1〜ECDNと比較される火炎・有害ガスの有無を判定する基準条件情報REFを記憶する。
【0035】
アラーム情報発信部63は、応答情報RSPが基準条件情報REFを満たすときは有害ガス発生場所情報GGPおよび避難経路情報ECRを含むアラーム情報ALMを発信することができる。ガス発生場所情報GGPは、文字情報であることもあるが、本実施形態では地図情報MAPである。
【0036】
通常、このアラーム情報発信部63の機能は、システム制御装置64によりソフトウェア的に行うことができる。この場合には、アラーム情報発信部63は、システム制御装置64の機能の一つとして捉えられる。
【0037】
システム制御装置64は、CPU,ROM,RAMとからなり、システム全体を管理する。上述したようにシステム制御装置64は、アラーム情報発信部63としての機能を奏することができる。
【0038】
基地局7は、図8に示すように通信回路71を備えている。この通信回路71は、アラーム情報ALMをアラーム情報発信部63から受信し、これを携帯型通信端末5に送信することができる。
基地局7の通信回路71は、安全地域を含む地図情報MAPおよび安全地域への避難経路情報ECP(方向情報のみであってもよい)を含むアラーム情報ALMをブロードキャスト送信し、携帯型通信端末5の通信回路52は、アラーム情報ALMのブロードキャスト受信を行う。
携帯型通信端末5の表示回路53は、方位特定装置51から受け取った方位情報DRCと、通信回路52から受け取った前記アラーム情報ALMとから、地図情報MAPにかかる地図および避難経路情報ECPにかかる避難経路を実方位に対応させてディスプレイ54に表示する。
【0039】
なお、基地局7は、ブロードキャスト送信に先立って、各携帯型通信端末5に自動起動要求信号を送信することができ、携帯型通信端末5は、自動起動要求信号ASRを受信したときは自動起動する。この場合、携帯型通信端末5は、着信時自動起動機能を備えることが前提である。
【0040】
アラーム情報ALMには、有害ガスGを吸引したときの応急処置の記述を含ませることができる。この場合の記述は、アラーム情報発信部63は、スペクトルアナライザ62が解析したガス種に応じたものである。
なお、アラーム情報発信部63は、有害ガス発生場所に近い基地局7と、有害ガス発生場所から離れた基地局7とでは異なる内容のアラーム情報ALMを発信することができる。たとえば、有害ガス発生場所に近い基地局7に発行されるアラーム情報ALMには緊急を要する旨のコメントを付属させ、有害ガス発生場所から離れた基地局7には危険度は高くない旨のコメントを付属させることができる。
【0041】
図9は本発明の危険報知装置および危険報知システムの第2実施形態を示す図である。図9において、危険報知装置6は、第1実施形態において説明したと同様、対象空間100において発生する火煙Fまたは有害ガスGを検出しこの火煙Fまたは有害ガスGの発生を複数の携帯型通信端末5に報知するために使用される。図9において危険報知システム4Bは、危険報知装置6と、携帯型通信端末5と、基地局7を有している。
【0042】
危険報知装置6は、有害ガス検出装置60と、アラーム情報発信部63と、システム制御装置64とからなる。
本実施形態において、有害ガス検出装置60は非走査型であり、具体的には、ガスクロマトグラフィー,マススペクトログラフィー等である。この有害ガス検出装置60により、複数種類の(あるいは、特定の)有害ガスGを検出することができる。
アラーム情報発信部63、システム制御装置64の構成は第1実施形態のアラーム情報発信部63、システム制御装置64と概ね同一である。
【0043】
図7において、アラーム情報発信部63は、第1実施形態におけると同様、有害ガス検出装置60が有害ガスGを検出したときは、有害ガス発生場所情報GGPおよび避難経路情報ECRからなるアラーム情報ALMを発信する。
基地局7の構成は第1実施形態の基地局7の構成と概ね同一であり、通信回路71は、安全地域を含む地図情報MAPおよび安全地域への避難経路情報ECP(方向情報のみであってもよい)を含むアラーム情報ALMをブロードキャスト送信し、携帯型通信端末5の通信回路52は、アラーム情報ALMのブロードキャスト受信を行う。
また、図9においても携帯型通信端末5は、図6の携帯型通信端末5と同様の構成であり、方位特定装置51と、通信回路52と、表示回路53とディスプレイ54とを備えている。
【0044】
なお、上記の実施形態では説明はしなかったが、携帯型通信端末5のスピーカから、ディスプレイ54に表示される画像にあわせて音声を出力するようにも構成できる。
また、上記の実施形態では基地局がブロードキャスト送信し、携帯型端末がブロードキャスト受信する場合を説明したが、基地局の許容回線数が多いときは、当該基地局は携帯型端末装置に通常の態様で回線接続する(個別に接続する)ようにもできる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の避難路表示システムの一実施形態を示す説明図である。
【図2】(A)は基地局を示す図であり、(B)は地図画像を示す図である。
【図3】携帯通信端末の概要を示す図である。
【図4】(A),(B)は避難経路を実方位に対応させて表示した様子を示す図である。
【図5】本発明の危険報知システムの第1実施形態を示す説明図である。
【図6】図4において使用される携帯型通信端末を示す図である。
【図7】図6の危険報知システムのシステム本体を示すブロック図である。
【図8】図6の危険報知システムのシスの基地局を示す図である。
【図9】危険報知システムのシスの第2実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1 避難路表示システム
2 携帯型通信端末
3,7 基地局
4A,4B 危険報知システム
5 携帯型通信端末
6 危険報知装置
21 方位特定装置
22 通信回路
23 表示回路
24 ディスプレイ
30 中継回路
31 メモリ
32 ブロードキャスト通信回路
33 バックアップ電源
51 方位特定装置
52 通信回路
53 表示回路
54 ディスプレイ
61 ガス探査装置
62 スペクトルアナライザ
63 アラーム情報発信部
64 システム制御装置
100 対象空間
611 レーザ光発射装置
612 レーザ光検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害情報を受信する受信部と、
当該災害情報を表示するディスプレイと
を備えることを特徴とする携帯型通信端末。
【請求項2】
前記受信部は、ブロードキャスト受信する通信回路を備えることを特徴とする請求項1に記載の携帯型通信端末。
【請求項3】
方位特定装置と、
前記方位特定装置から受け取った方位情報と、前記受信部から受け取った安全地域の情報を含む地図情報および/または安全地域への避難経路を含む避難経路情報とから、前記地図情報にかかる地図および/または前記避難経路情報にかかる避難経路を実方位に対応させて前記ディスプレイに表示する表示回路と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯型通信端末。
【請求項4】
GPS端末機能を備えることを特徴とする請求項1から3に記載の携帯型通信端末。
【請求項5】
安全地域の情報を含む地図情報および/または安全地域への避難経路を含む避難経路情報を格納するメモリおよび災害発生時に前記地図情報および/または避難経路情報を請求項1から4の何れかに記載の携帯型通信端末へ送信する通信回路とを備えた基地局、
を有することを特徴とする避難路表示システム。
【請求項6】
前記基地局は、前記地図情報および/または前記避難経路情報の送信に先立って、前記携帯型通信端末に自動起動要求信号を送信することを特徴とする請求項5に記載の避難路表示システム。
【請求項7】
対象空間において発生する火煙または有害ガスを検出し当該火煙または有害ガスの発生を複数の携帯型通信端末に報知する危険報知装置であって、
火煙または有害ガスを検出する検出装置と、
前記検出装置が火煙または有害ガスを検出したとき、火煙または有害ガスの発生場所情報および/または避難情報を通信網を介して前記携帯型通信端末に発信する情報発信部と、
を有することを特徴とする危険報知装置。
【請求項8】
前記検出装置は、
前記対象空間にレーザ光を発射して当該対象空間を走査するレーザ光発射装置と、
前記対象空間中で散乱されて戻ってくる前記レーザ光を検出し検出値を出力するレーザ光検出装置と
を備えることを特徴とする請求項7に記載の危険報知装置。
【請求項9】
前記レーザ光発射装置は広帯域コヒーレント光を発射し、
前記レーザ光検出装置は各周波数での応答を検出し、
ていることを特徴とする請求項8に記載の危険報知装置。
【請求項10】
前記検出装置は、
前記検出値と比較して火炎・有害ガスの有無を判定する基準条件情報を記憶したスペクトルアナライザをさらに備えることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の危険報知装置。
【請求項11】
前記避難情報には、少なくとも、安全地域の情報を含む地図情報および/または安全地域への避難経路を含む避難経路情報が包含され、発生場所情報が地図情報であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の危険報知装置。
【請求項12】
前記避難情報には、前記有害ガスを吸引したときの応急処置の記述が含まれることを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項に記載の危険報知装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−60370(P2007−60370A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244136(P2005−244136)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】