説明

検出条件最適化方法、プログラム作成方法、並びに露光装置及びマーク検出装置

【課題】アライメントマークの検出条件を最適化する。
【解決手段】アライメント検出系を用いてウエハ上に形成されたアライメントマーク(EGAマーク又はサーチマーク)が複数の照明条件及び結像条件で検出される。しかる後、得られた検出信号を信号処理アルゴリズムを用いて解析処理し、検出信号の波形の形状に関する判定量が求められ(ステップ302〜310)、その判定量に基づいて複数のマークの検出結果の再現性が評価される(ステップ312)。そして、その解析結果に基づいて複数の照明条件及び結像条件が最適化される(ステップ314)。これにより、検出結果の再現性を向上するようにアライメントマークの検出条件を最適化することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出条件最適化方法、プログラム作成方法、並びに露光装置及びマーク検出装置に係り、さらに詳しくは、基板上に形成された位置合わせ用のマークの検出条件を最適化する検出条件最適化方法、該検出条件最適化方法を利用するプログラム作成方法、並びに前記検出条件最適化方法の実施に好適な露光装置及びマーク検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子、液晶表示素子等のマイクロデバイス(電子デバイスなど)の製造におけるリソグラフィ工程では、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆるステッパ)、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが比較的多く用いられている。
【0003】
この種の投影露光装置において重ね合わせ露光を行う際には、被露光基板としてのウエハ(又はガラスプレート等)上の各ショット領域に既に形成されている回路パターンと、これから露光するマスクとしてのレチクルのパターンとの位置合わせであるウエハのファインアライメントを高精度に行う必要がある。従来の高精度なファインアライメントの方式として、例えば特許文献1に開示されるように、ウエハ上の選択された所定個数のショット領域(サンプルショット)に付設されたファインアライメントマーク(ウエハマーク)の座標位置を計測し、得られる計測結果を統計処理して各ショット領域の配列座標を算出するエンハンスト・グローバル・アライメント(EGA)方式が知られている。
【0004】
EGA方式のファインアライメントを行う際には、アライメントセンサの検出レンジ内に被検マークが確実に収まるように、予めサーチアライメントが行われる。すなわち、ウエハ上に形成されている所定のサーチアライメント・マーク(サーチマーク)の位置を検出することによって、ウエハの大まかなショット配列が求められ、このショット配列に基づいて各サンプルショットのウエハマークがアライメントセンサの検出レンジ内に位置決めされていた。
【0005】
上述のファインアライメントでは、ウエハマーク(EGAマーク)の位置情報を正確に計測することが重要である。また、サーチアライメントでは、サーチマークを確実に検出することが重要である。マーク構造は、投影露光装置で作成中の半導体素子等に依存しており、マークの構造次第で、大きな信号波形が得られて検出が容易な場合、あるいは逆に小さな信号波形しか得られず検出が困難な場合もある。また、特にファインアライメントの際には、信号波形の検出は可能であっても、信号波形が小さいため、処理系のノイズの影響を受け、計測再現性(位置計測精度)が不十分となる場合もある。特に、そのような困難な状況の場合、被検マーク(EGAマーク又はサーチマーク)を検出するマーク検出系(ウエハライメント系(アライメントセンサ))のマーク検出時の検出条件(計測条件)を、最適化すると効果的である。従来、最適化の際には、ウエハライメント(サーチアライメント又はファインアライメント)の処理手順を規定するプロセスプログラム(以下、レシピファイルとも呼ぶ)の作成の際に、技術者によって、計測条件の最適化が行われていた。
【0006】
しかしながら、最近の露光装置では要求されるアライメント精度が厳しくなり、これに伴ってアライメントマークの種類、大きさなどが多様化し、また、サーチマークが従来に比べて小型になってきた。このため、プロセスプログラムの作成時に技術者が計測条件の最適化を行うことの負担が大きくなり、また、計測条件の最適化そのものを行うことも困難になりつつある。また、複数の投影露光装置を用いて半導体素子等を製造する場合、複数の投影露光装置間の重ね合わせ精度の差が少ないことも重要である。この点でも、計測条件の最適化を行い、誤差要因を減らすことが重要となりつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,780,617号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、基板上に形成された位置合わせ用のマークの検出条件を最適化する検出条件最適化方法であって、基板上に形成された複数の前記マークを、マーク検出系を用いて複数の照明条件及び結像条件の下で検出することと;前記マーク検出系からの検出信号を所定の信号処理アルゴリズムを用いて解析し、前記検出信号の波形の形状に関する判定量を求め、該判定量に基づいて前記複数のマークの検出結果の再現性を評価し、該評価結果に基づいて前記複数の照明条件及び結像条件を最適化することと;を含む検出条件最適化方法が、提供される。
また、このような基本処理に加え、波形の形状に関する判定量を求める前に、マーク検出系からの検出信号を複数のフィルタ処理を行い、信号波形を変形させ適用しても良い。
【0009】
ここで、マークの検出条件は、マーク検出時におけるマーク検出系の照明条件(例えば照明波長、照明方法、照明開口数など)及び結像条件(フォーカス、結像開口数、収差など)は、勿論、マーク検出後における検出した結果の処理に伴う種々の条件をも含む。すなわち、マークの検出条件とは、位置合わせ用のマークの検出の結果(位置情報)を得るまでのマーク検出に関する種々の条件を含む概念であり、広義のマークの計測条件とほぼ同じ意味である。本明細書では、かかる意味で、マークの検出条件又は検出条件なる用語を用いている。
【0010】
これによれば、複数のマークの検出結果の再現性の評価結果に基づいて、計測再現性が良好となる最適な照明条件及び結像条件を選択(又は決定)することが可能になる。従って、マークの検出条件の最適化を短時間で、及び/又は効率的に行うことが可能になる。
【0011】
ここでは、フィルタ処理自体は必須条件ではないが、信号波形によっては大きな改善効果が期待できる。
【0012】
ここで、一般的な照明条件設定の変更、結像条件設定の変更の効果について述べる。
【0013】
収差に関しては、通常条件を変えることは必須ではないが、たとえば、照明条件を変更した際に収差の状態が変化し、微小量変更することが効果的な場合には、照明条件変更と一緒に収差状態を変更することが効果的である。前述したが、マーク構造は、投影露光装置で作成中の半導体素子等に依存しており、マークの構造次第で、大きな信号波形が得られて検出が容易な場合、あるいは逆に小さな信号波形しか得られず検出が困難な場合もある。これらの条件は、半導体素子の構造が薄膜層や金属層を持つことが多いことから、波長依存性を持つことが多く、照明波長条件を切り換えることで、ある波長では小さかった信号が、大きく改善される可能性がある。また、アライメントマークを構成する要素として、ライン部及びスペース部の線幅に加え、反射率、段差等の構造が半導体素子等の製造プロセスにより異なっているために、一般的に異なる信号波形となる(ここで段差はマークを構成する物質がライン部とスペース部で異なり、光の光路長が異なることにより発生する位相差成分も含めている)。FIA光学系においては、特に明視野照明系において、照明光束の開口数NAが結像光学系の開口数NAよりも小さく(比率にして0.8程度)設定されているが、一般にこのような光学系の設定は部分コヒーレント光学系と呼ばれ、結像特性として、アライメントマークの構造(前述した3つの要素)次第では、初期フォーカス位置よりも、デフォーカス位置(フォーカス位置を変更した場合)の方が、より大きな信号波形が得られるという既知の特徴がある。よって、初期フォーカス位置での信号波形に加え、デフォーカス位置での信号波形を確認し、デフォーカス位置での信号波形の方が良好な場合は、フォーカス設定を変えることが望ましい。さらに、前述した、波長を切り換えた際に異なる信号波形が得られる場合には、最適なフォーカス設定位置も、波長により変わることが多くあるため、波長を切り換えた際に、フォーカス位置も変えて信号波形を確認すると計測精度向上に効果がある。
【0014】
また、照明条件変更として、明視野照明を暗視野照明に切り換えると以下の効果が期待できる。まず、一般に、暗視野像はマークがない場合は真っ暗で何も見えない状態となり、位相パターンと呼ばれるマーク構造に近い場合、マークのエッジ部が光った像となる。よって、真っ暗の状態から、マークがある場合にのみマークエッジ部が光る像が得られるので、得られた像は基本的にコントラストが非常に良いという特徴がある。以下のコントラストの式で、最小強度がゼロに近いためコントラストが高くなる。
コントラスト = (最大強度−最小強度)/(最大強度+最小強度)
しかし、一方、暗視野照明は得られた像の最大強度自体は小さくなる傾向があり、明るい輝度の光源が必要となる。光源の輝度には、光源自体で決まる限界があるため、信号強度の大きさ、つまり最大強度が大きいという点では、明視野照明の方が有利である。
【0015】
また、マークの構造は、アライメントマークを構成する要素として、ライン部及びスペース部の線幅に加え、反射率、段差等の構造が半導体素子等の製造プロセスにより異なっているために、異なる信号波形となる(ここで段差はマークを構成する物質がライン部とスペース部で異なり、光の光路長が異なることにより発生する位相差成分も含めている)のであるが、一般にこれらマーク構造が変化すると、光学系に残存する収差との相互作用で信号波形が横にずれて計測される。一般に、この横ズレをTIS(Tool Induced Shift)と呼ぶことも多い。光学系の収差としては、ザイデル5収差のコマ収差に加え、照明光束がウエハ面に対し垂直方向からずれていたり(一般に照明光束のテレセントリシティ誤差:ここでは照明テレセンと呼ぶ)、結像光学系の開口絞りが偏心していることにより、ウエハで反射した照明光束が、結像光学系の開口絞り中心を通過しない誤差(ここで、この誤差をケラレと呼ぶ)が挙げられる。コマ収差やケラレ誤差は、非常に良く出来た光学系でも微少量残存しており、非常に微小な位置計測精度(例えばnmオーダ)が要求される場合は問題になる。
【0016】
なお、これらの収差を調整する手法としては、結像光学系のレンズを偏心させ微小量のコマ収差を発生させて調整する手法や、開口絞りを偏心させてケラレを調整する手法がある。
【0017】
近年の最先端半導体露光装置の場合、1枚のプロセスウエハに対して、EGA計測点数をかなり多く設定し(例えば16点)、重ね精度を向上させる手法がとられるが、1枚のウエハ内のアライメントマークのマーク構造に誤差がある場合、各マークはそれぞれランダムに位置ずれ要因を持ち、結果としてEGA各点の計測結果がばらつくことになる。このような誤差をここでは1枚のウエハ内の各EGAマークがランダムに引き起こす位置誤差という意味で、TISランダム成分と呼ぶことにする。TISランダム成分が大きいと、EGA計測で線形成分を補正して露光しても、TISランダム成分に起因したランダム成分誤差(EGAランダム誤差と呼ぶ)が残存し重ね合わせ精度が悪くなってしまう。
【0018】
さて、EGAランダム誤差を誘発するのは、上記TISランダム成分だけではない。一般に、アライメントマークの理想的なファイン計測用のマーク構造は、マーク中心線に対して、線対称となる構造である。たとえば、複数本あるライン部が、マーク中心線に対して線対称であること。マークライン部、スペース部の反射率が、マーク中心線に対して線対称であること。マークの段差構造(もしくは、透明層の位相差)が、マーク中心線に対して線対称であること、等が必要である。近年、露光線幅が非常に細密になり、投影露光時のフォーカスを厳密にあわせる必要性から、半導体製造プロセス中で、ウエハ面をCMP処理(Chemical Mechanical Polishing)し平坦にすることが多いが、この工程により、アライメントマークがマーク中心線に対し非対称となる懸念が指摘されている。また、ウエハ中心部と周辺部で、非対称の度合いが変わっている場合も想定される。マーク構造の非対称は計測位置ずれを誘発する。一般に、この横ズレをWIS(Wafer Induced Shift)と呼ぶことも多い。EGA計測対象のマークで、このようなマーク構造の非対称バラつきが生じている場合、ランダムな位置誤差を誘発し、結果としてEGAランダム成分を悪化させる。近年、このようなマーク非対称誤差に関しても、発生量は小さくなり改善されていると考えられるが、非常に良く出来たプロセスウエハでも微少量残存しており、非常に微小な位置計測精度(例えばnmオーダ)が要求される場合は問題になる。このような誤差をここでは1枚のウエハ内の各EGAマークがランダムに引き起こす位置誤差という意味で、WISランダム成分と呼ぶことにする。WISランダム成分が大きいと、EGA計測で線形成分を補正して露光しても、WISランダム成分に起因したランダム成分誤差(EGAランダム誤差と呼ぶ)が残存し重ね合わせ精度が悪くなってしまう。
【0019】
上記の判定要素を考慮した上で、どの照明波長設定が良いか、どのフォーカス設定が良いか、また、明視野照明と暗視野照明のどちらの設定が有利かに関し、実際の信号波形により判断する必要があるが、ここで判定が必要な項目をまとめると、以下の3点となる。
1.計測再現性判定
2.TISランダム誤差要因判定
3.WISランダム誤差要因判定
詳細は後述するが、1.計測再現性判定に関しては、光学系で使用する撮像素子のノイズ特性を解析の上、事前に光学ティーチングシミュレーションを行って換算係数を求めておけば、信号波形から所定の信号処理アルゴリズムを用いて特徴を抽出し換算することで、数値的に算出することができる。
【0020】
光学ティーチングシミュレーションとは、想定した多種多様な構造を持つアライメントマークの光学像を、各種光学設定条件(照明条件及び/又は結像条件)、収差設定、フォーカス設定条件で発生させ、A/D変換により撮像素子で計測された信号波形を擬似的に得たうえ、実際の装置と同様の信号処理アルゴリズムにて擬似的に各種特徴量及び/又は判定量を算出し評価する処理を意味する。計測再現性判定の換算係数を求める場合、光学像に撮像素子に対し解析した結果のノイズを、前記、擬似的に発生させた信号波形に付加しシミュレーションを行なう。詳細は実施例で説明するが、このようにして求めた換算係数と判定量は非常に計測再現性との相関が良い。
【0021】
また、2.TISランダム誤差要因判定においては、1枚のウエハ内の複数マークを計測し、信号波形から所定の信号処理アルゴリズムを用いてマーク構造(線幅、段差、ライン部とスペース部の反射率比)に相当する特徴を抽出し、ウエハ内のばらつき量を算出することで誤差量を判断することができる。
【0022】
やはり、事前に光学系に収差が残存している状態での光学像を発生させ、光学ティーチングシミュレーションを行ない、収差とマーク構造誤差の相互作用を事前に解析しておく。例えば、マーク構造として、ライン部とスペース部の反射率差が大きいマークや、コントラストが大きなマークは収差とマーク構造誤差の相互作用が小さく、また、初期フォーカス位置で最もエッジスロープが大きくなるマークは収差とマーク構造誤差の相互作用が小さい傾向にあることが判明する。このような傾向にあるか否かは、半導体素子等の製造プロセスで決まるマーク構造次第である。光学ティーチングシミュレーションの結果から、収差とマーク構造誤差の相互作用が小さい傾向にあるマークでは、ウエハ内のマーク構造のバラつきが大きい場合でも、実際のTISランダム発生量は小さい傾向にあることがわかる。このように、シミュレーションの結果をデータベースにしておけば、例えば、1枚のウエハを計測し、ライン部とスペース部の反射率差や、コントラストを判定し、また、計測に最適な最もエッジスロープが大きくなるフォーカス位置と、初期フォーカス位置の差分を判定すれば、収差とマーク構造誤差の相互作用に対する重みが、マーク誤差(線幅、段差、ライン部とスペース部の反射率比)毎に判定できる。よって、各マーク誤差のウエハ内のバラつき量を、収差とマーク構造誤差の相互作用に対する重みを係数として和をとれば、TISランダム誤差を予想することができる。
【0023】
また、3.WISランダム誤差要因判定においては、1枚のウエハ内の複数マークを計測し、まず位置計測を行いマーク中心線を求め、次に、信号波形の特徴として、信号波形を微分した波形の極値(つまりエッジスロープを表す微分最大、最小値)の位置、微分値、信号強度を所定の信号処理アルゴリズムを用いて求める。マーク中心線に対し、ほぼ線対称となる位置にあるエッジスロープ位置をペアの特徴量として抽出し、ペア毎に線対称からのズレ量、つまりエッジスロープ位置に関しては、線対称ペア平均値とマーク中心との差分値を、また、微分値や信号強度に関しては単に非対称ペアの差分値を求めると、それが非対称の度合いを表す判定量となる。これらの判定量のうち、例えば、1枚のウエハ内の各マークに対し、エッジスロープ位置の非対称を算出し、非対称値のバラつきをみることで、WISランダム誤差を把握することができる。また、フィルタ処理を行う場合には、上記3つの判定項目に対しても改善の可能性が期待できる。
【0024】
本発明は、1.の計測再現性判定に関するものであるが、TISランダム誤差要因判定やWISランダム誤差要因判定も適宜併用して実施し総合判定しても構わない。
【0025】
また、本発明の第2の態様によれば、本発明の検出条件最適化方法を利用して前記複数のマークの検出信号の検出条件を最適化して、前記基板の位置合わせ手順を定めるプログラムを作成するプログラム作成方法が提供される。
【0026】
また、本発明の第3の態様によれば、基板上に複数のパターンを重ね合わせて形成する露光装置であって、基板上に形成された位置合わせ用のマークを検出するマーク検出系と;前記マーク検出系を用いて複数の前記マークを複数の照明条件及び結像条件の下で検出して得られる検出信号を所定の信号処理アルゴリズムを用いて解析し、前記検出信号の波形の形状に関する判定量を求め、該判定量に基づいて前記複数のマークの検出結果の再現性を評価し、該評価結果に基づいて前記複数の照明条件及び結像条件を最適化する最適化装置と;を備える露光装置が、提供される。
ここで、波形の形状に関する判定量を求める前に、マーク検出系からの検出信号を複数のフィルタ処理を行い、信号波形を変形させ適用しても良い。
【0027】
これによれば、マークの検出条件の最適化を短時間で、及び/又は効率的に行うことが可能になる。
【0028】
本発明の第4の態様によれば、基板上に形成された位置合わせ用のマークを検出するマーク検出系と;前記マーク検出系を用いて複数の前記マークを複数の照明条件及び結像条件の下で検出して得られる検出信号を所定の信号処理アルゴリズムを用いて解析し、前記検出信号の波形の形状に関する判定量を求め、該判定量に基づいて前記複数のマークの検出結果の再現性を評価し、該評価結果に基づいて前記複数の照明条件及び結像条件を最適化する最適化装置と;を備えるマーク検出装置が、提供される。
ここで、波形の形状に関する判定量を求める前に、マーク検出系からの検出信号を複数のフィルタ処理を行い、信号波形を変形させ適用しても良い。
【0029】
これによれば、複数のマークの検出結果の再現性の評価結果に基づいて、計測再現性が良好となる最適な照明条件及び結像条件を選択(又は決定)することが可能になる。従って、マークの検出条件の最適化を短時間で、及び/又は効率的に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】一実施形態の露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の主制御装置によって実行されるアライメント計測(EGA計測)のレシピファイル(プロセスプログラム)の作成の処理アルゴリズムを示すフローチャートである。
【図3】図3(A)は、ウエハ上の複数のショット領域と各ショット領域に付設されるアライメントマークの配置を示す図、図3(B)は図3(A)中の1つのショット領域を取り出して示す図である。
【図4】図2のステップ108(アライメントマーク検出処理)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図5】図5(A)はEGAマーク、図5(B)はEGAマークのX成分に対応する1次元信号、図5(C)はEGAマークのY成分に対応する1次元信号を示す図である。
【図6】検出信号の規格化を説明するための図である。
【図7】図2のステップ110(検出信号に対する特徴量抽出処理および計測再現性計算処理)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】図8(A)及び図8(B)は代表的なフィルタ処理の利得関数を表す図、並びに図8(C)及び図8(D)はそれぞれフィルタ処理の前後の検出信号を示す図である。
【図9】図9(A)及び図9(B)は、検出信号の特徴量を示す図(その1及びその2)である。
【図10】図10(A)及び図10(B)は、検出信号の特徴量を示す図(その3及びその4)である。
【図11】図11(A)及び図11(B)は、特徴点のグループ処理を説明するための図である。
【図12】形状に関する判定量である振幅、コントラスト及びエッジスロープを説明するための図である。
【図13】形状に関する判定量を総合評価して計測再現性を評価する手順を説明するための図である。
【図14】図14(A)及び図14(B)は、形状に関する判定量と計測再現性との相関を示す図(その1及びその2)である。
【図15】光学ティーチングの結果(その1)を示す図である。
【図16】光学ティーチングの結果(その2)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図16に基づいて説明する。
【0032】
図1には、本発明の検出条件最適化方法を好適に実施可能な露光装置100の概略構成が示されている。露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))である。
【0033】
露光装置100は、照明系IOP、レチクルRを保持するレチクルステージRST、レチクルRに形成されたパターンの像を感応剤(レジスト)が塗布されたウエハW上に投影する投影ユニットPU、ウエハWを保持してXY平面内を移動するウエハステージWST、ウエハステージWSTを駆動する駆動系22、及びこれらの制御系等を備えている。制御系は装置全体を統括制御するマイクロコンピュータ(あるいはワークステーション)などを含む主制御装置28を中心として構成されている。
【0034】
照明系IOPは、例えばArFエキシマレーザ(出力波長193nm)(又はKrFエキシマレーザ(出力波長248nm)など)から成る光源、及び該光源に送光光学系を介して接続された照明光学系を含む。照明光学系としては、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、ビームスプリッタ、レチクルブラインド等(いずれも不図示)を含み、光源から射出されたレーザビームを整形し、この整形されたレーザビーム(以下、照明光ともいう)ILにより、レチクルR上でX軸方向(図1における紙面直交方向)に細長く伸びるスリット状の照明領域をほぼ均一な照度で照明する。
【0035】
レチクルステージRSTは、照明系IOPの図1における下方に配置されている。レチクルステージRST上にレチクルRが載置されている。レチクルRは、不図示のバキュームチャック等を介してレチクルステージRSTに吸着保持されている。レチクルステージRSTは、不図示のレチクルステージ駆動系によって、水平面(XY平面)内で微小駆動可能であるとともに、走査方向(ここでは図1の紙面内左右方向であるY軸方向とする)に所定ストローク範囲で走査される。レチクルステージRSTの位置情報は、レチクルステージRSTに固定された移動鏡12を介してレーザ干渉計14によって計測され、レーザ干渉計14の計測値が主制御装置28に供給されている。なお、移動鏡12に代えて、レチクルステージRSTの端面を鏡面加工して反射面(移動鏡12の反射面に相当)を形成しても良い。
【0036】
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置されている。投影ユニットPUは、鏡筒40と、該鏡筒40内に所定の位置関係で保持された複数の光学素子を含む投影光学系PLとを有している。投影光学系PLとしては、ここでは両側テレセントリックな縮小系であって、光軸AXpと平行な方向(Z軸方向)に配列された複数枚のレンズエレメント(図示省略)を含む屈折光学系が用いられている。
【0037】
投影光学系PLの投影倍率は、一例として1/4とされている。このため、前述の如く照明光ILによりレチクルRが均一な照度で照明されると、その照明領域内のレチクルRのパターンが投影光学系PLにより縮小されて、レジストが塗布されたウエハW上に投影され、ウエハW上の被露光領域(ショット領域)の一部にパターンの縮小像(部分像)が形成される。このとき、投影光学系PLは視野内の一部(すなわち、露光エリアであって、投影光学系PLに関して照明領域と共役な矩形領域)に上記パターンの縮小像を形成する。
【0038】
ウエハステージWSTは、リニアモータ等を含む駆動系22によって、X軸方向、Y軸方向に所定ストロークで駆動されるとともに、Z軸方向、X軸回りの回転方向(θx方向)、Y軸回りの回転方向(θy方向)、及びZ軸回りの回転方向(θz方向)に微小駆動される。ウエハステージWST上に不図示のウエハホルダを介してウエハWが真空吸着等によって保持されている。
【0039】
ウエハステージWSTの位置情報は、ウエハステージWSTに固定された移動鏡24を介してレーザ干渉計システム(以下、「干渉計システム」と略述する)26によって計測され、干渉計システム26の計測値が主制御装置28に供給されている。主制御装置28は、干渉計システム26の計測値に基づいて、ウエハステージWSTのXY平面内の位置情報(回転情報(ヨーイング量(θz方向の回転量)、ピッチング量(θx方向の回転量)、ローリング量(θy方向の回転量))を含む)を計測する。なお、ウエハステージWSTの端面を鏡面加工して反射面(移動鏡24の反射面に相当)を形成しても良い。また、ウエハステージWSTに代えて、X軸方向、Y軸方向及びθz方向に移動する第1ステージと、該第1ステージ上でZ軸方向、θx方向及びθy方向に微動する第2ステージとを備えるステージを、用いても良い。
【0040】
干渉計システム26の計測値は主制御装置28に供給され、主制御装置28は干渉計システム26の計測値に基づいて駆動系22を介してウエハステージWSTのXY平面内の位置(θz方向の回転を含む)を制御する。
【0041】
また、ウエハW表面のZ軸方向の位置及び傾斜量は、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示される送光系50a及び受光系50bを有する斜入射方式の多点焦点位置検出系から成るフォーカスセンサAFSによって計測される。このフォーカスセンサAFSの計測値も主制御装置28に供給されている。
【0042】
また、ウエハステージWST上には、表面がウエハWの表面と同じ高さになるように基準板FPが固定されている。基準板FPの表面には、後述するアライメント検出系ASのいわゆるベースライン計測等に用いられる基準マークなどが形成されている。
【0043】
投影ユニットPUの鏡筒40の側面に、ウエハWに形成されたアライメントマーク及び上記基準マークを検出するアライメント検出系ASが設けられている。このアライメント検出系ASとしては、一例としてハロゲンランプ等のブロードバンド(広帯域)光でマークを照明し、このマーク画像を画像処理することによってマーク位置を計測する画像処理方式の結像式アライメントセンサの一種であるFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。
【0044】
アライメント検出系ASの検出信号は、アライメント制御装置16に供給され、アライメント制御装置16は、その検出信号をA/D変換し、このデジタル化された波形信号を演算処理してマーク位置を検出する。ここで、アライメント検出系ASには、アライメントマークの光学像を受光する撮像素子が用いられているが、近年、撮像素子の進化は著しく、A/D変換が撮像素子(アライメント検出系AS内)で行なわれ、アライメント制御装置16にはデジタル信号が供給され、アライメント制御装置16では、既にデジタル化された波形信号を演算処理してマーク位置を検出することも多い。この結果は、アライメント制御装置16から主制御装置28に供給される。
【0045】
アライメント検出系ASとして、本実施形態では、少なくとも照明条件及び結像条件の変更(又は切り換え)が可能な検出系が採用されている。照明条件は、波長選択フィルタ(照明波長)、照明開口絞り(照明開口数)、及びNDフィルタ(ニュートラル・デンシティ・フィルタ)の少なくとも1つを切り換えることにより、変更される。照明波長として、例えば、グリーン(例えば波長530〜610nm)、オレンジ(例えば波長600〜710nm)、レッド(例えば波長700〜800nm)、ブロード(例えば波長530〜800nm)、シアン(例えば480〜520nm)、及び近赤外(770〜850nm)の6つの波長帯域が用意されている。
【0046】
照明開口絞りとして、直径の異なる複数の円形絞り(通常絞り、小σ絞り)と、輪帯比の異なる複数の輪帯絞りとが切り換え可能に設けられている。複数の輪帯絞りは、結像光学系の開口数より大きな開口数を有する輪帯絞りを含む。本実施形態では、例えば、その結像光学系の開口数より大きな開口数を有する輪帯絞りを照明光路内に位置させることで、明視野照明から暗視野照明に切り換えることができる。なお、輪帯遮光形状の遮光部を備えた結像開口絞りを結像光路上に挿脱可能に構成し、輪帯絞り(照明絞り)と併用することで、暗視野照明を実現しても良い。
【0047】
また、特にファイン計測時には、照明開口絞りの光軸に対する偏心は、ウエハ上に導光する光束の倒れ(テレセントリシティ性の悪化)を防ぐため、非常に厳密に位置調整される必要があるが、明視野照明時の円形発光部と、暗視野照明時の輪帯発光部との位置ずれ(偏心ずれ)を考慮すると、例えば特開2007−42966号公報に開示されるように、円形と輪帯の2重丸構造の絞りとすると共に、ライトガイドファイバで光を導光し、円形発光部に光を導くファイバ束と、輪帯発光部に光を導くファイバ束を別束として構成し、合成し、各ファイバ束に導光する入射光を切り換え構造としても良い。
【0048】
NDフィルタを有する減光装置として、例えば複数段の回転板を有する装置が用いられる。ここで、各回転板には透過率(減光率)の異なる複数のNDフィルタが設けられている。減光装置は、回転板を回転制御してNDフィルタを切り換えることにより、透過率(減光率)、すなわち照度を設定する。結像条件には、フォーカス(フォーカスオフセット)、結像開口数、収差等が含まれる。これらの条件は、例えば、アライメント検出系ASの光学系を構成する光学素子を微小駆動することにより調整される。なお、照明条件及び結像条件の変更は、主制御装置28の指示に基づき、アライメント制御装置16によって行われる。また、計測精度がファインアライメントに比べ緩いサーチアライメントにおいては、アライメント検出系ASに搭載されるAGC(Auto Gain Control)機能を用いることも可能である。なお、アライメント検出系ASと同様(ただし、波長選択フィルタの数など一部相違する)の構成のアライメントセンサは、例えば米国特許出願公開第2008/0013073号明細書などに開示されている。
【0049】
さらに、本実施形態の露光装置100では、図示は省略されているが、レチクルRの上方に、例えば米国特許第5,646,413号明細書等に開示される、露光波長の光を用いたTTR(Through The Reticle)アライメント系から成る一対のレチクルアライメント検出系が設けられ、該レチクルアライメント検出系の検出信号は、アライメント制御装置16を介して主制御装置28に供給される。
【0050】
次に、本実施形態の露光装置100で行われるアライメント計測(EGA計測)のレシピファイル(プロセスプログラム)の作成について説明する。ここでは、主制御装置28(内のCPU)によって実行される処理アルゴリズムを示す図2のフローチャートに沿って、適宜他の図面を参照して説明する。
【0051】
まず、ステップ102において、不図示のウエハローダを用いてウエハステージWST上に搭載された不図示のウエハホルダ上にウエハをロードする。ここでは、実際にデバイスの製造に用いられる、少なくとも1層のレチクルパターンの転写が行われ、レチクルパターンとともに転写されたサーチアライメントマークとファインアライメントマークとが形成されたウエハWがウエハホルダ上にロードされる。図3(A)に示されるように、ウエハW上の各ショット領域Sには、アライメントマークとして、ファインアライメントマーク(EGAマーク)32及びサーチアライメントマーク(サーチマーク)33が形成されている(ファインアライメントマークに関しては、正確には、各ショット領域Sの周囲のスクライブライン上に形成される)。図3(B)に示されるように、EGAマーク32は、それぞれX軸方向、X軸方向、及びY軸方向に所定ピッチで形成された凹凸のライン・アンド・スペースパターン(マルチバーパターン)32X,32X,32Yを含む。以下では、これら3つのマルチバーパターン32X,32X,32Yを、それぞれ、第1X成分、第2X成分、及びY成分とも呼ぶ。サーチマーク33は、X軸方向に所定ピッチで並ぶマルチパターンとY軸方向に所定ピッチで並ぶマルチパターンとが重ねて形成された格子状のパターンである。なお、通常は、サーチマーク33の方が大きいが、図3(A)及び図3(B)では、各マークの大小関係及び大きさなどは、実際とは異なっている。EGAマーク32及びサーチマーク33の設計パラメータ(形状、数、及び位置等)、及びウエハWの設計パラメータ(ウエハWの大きさ及び区画領域のレイアウト等)は予め定められており、後述する検出条件の最適化処理(レシピファイル作成手順の一部)に先立ってメモリ(不図示)に記憶されているものとする。なお、以下では、区別が必要な場合を除き、EGAマーク及びサーチマークのいずれをもアライメントマークと呼ぶ。
【0052】
次のステップ104では、ウエハホルダ上にロードされたウエハのサーチアライメントを行う。具体的には、例えば、ウエハ中心に関してほぼ対称に周辺部に位置する2つのサーチマークをアライメント検出系ASを用いて検出する。これらのサーチマークの検出は、それぞれのサーチマークがアライメント検出系ASの検出視野内に位置するように、ウエハステージWSTを順次位置決めしつつ行われる。そして、アライメント検出系ASの検出結果(アライメント検出系ASの計測座標原点と各サーチアライメントマークとの相対位置関係)と各サーチアライメントマーク検出時の干渉計システム26の計測値とに基づいて2つのサーチアライメントマークのステージ座標系上の位置座標を求める。しかる後、2つのサーチアライメントマークの位置座標から、ウエハの中心ずれ、及び残留回転誤差を算出し、少なくとも残留回転誤差がほぼ零となるようにウエハステージWST(又はウエハホルダ)を微小回転させる。これにより、ウエハのサーチアライメントが終了する。
【0053】
ステップ106では、光量(照度)の最適化を行う。具体的には、所定の基準となる照明条件(例えばコンベンショナル照明で、ブロードの照明帯域(波長帯域)にて、照度(NDフィルタ)を変えつつ、アライメント検出系ASを用いて、初期フォーカス位置(アライメントオートフォーカスの追い込み位置)でEGAの第1サンプルマーク(先頭サンプルショット領域の第1マーク)を検出する。そして、主制御装置28は、得られる撮像信号のコントラストが最適となる照度を見つけることによって、照度、すなわちアライメント検出系ASの検出光の光量を最適化する。
【0054】
次のステップ107では、フォーカス最適化処理(FFO:FIA focus optimization)を行う。前述したように、アライメントマークの構造は、投影露光装置で作成中の半導体素子等に依存しており、マークの構造次第で、大きな信号波形が得られて検出が容易な場合、あるいは逆に小さな信号波形しか得られず検出が困難な場合もある。アライメントマークを構成する要素として、ライン部及びスペース部の線幅に加え、反射率、段差等の構造が半導体素子等の製造プロセスにより異なっているために、異なる信号波形となる(ここで段差はマークを構成する物質がライン部とスペース部で異なり、光の光路長が異なることにより発生する位相差成分も含めている)。FIA光学系においては、特に明視野照明系において、照明光束の開口数NAが結像光学系の開口数NAよりも小さく(比率にして0.8程度)設定されているが、一般にこのような光学系の設定は部分コヒーレント光学系と呼ばれ、結像特性として、アライメントマークの構造(前述した3つの要素)次第では、初期フォーカス位置よりも、デフォーカス(フォーカス位置を変更した場合)の方が、より大きな信号波形が得られるという既知の特徴がある。
【0055】
また、詳しくは後述するが、信号波形が大きく、コントラストが大きく、エッジスロープ(波形を形成する曲線の角度成分)が急峻なほど、計測精度が良いという特徴がある。
【0056】
フォーカス最適化は、ウエハステージをZ方向に移動させつつ、アライメントマークを検出し、各フォーカス位置でのエッジスロープ最大値(又は、コントラスト最大値)を計測し、フォーカスに対する曲線分布を獲得し、そのピーク位置となるフォーカス位置を検出する既知の処理である。処理の結果得られたフォーカス位置は、最適フォーカス位置として記憶しておく。
【0057】
同様にして、暗視野照明においても、FFO計測処理を行う。暗視野照明では、原理的には初期フォーカス位置と、最適化にて検出されたフォーカス位置の差はないが、アライメントマーク構造次第では、マーク部分が必ずしもウエハ表面と一致しているとは限らないため、実施する。ただし、予め誤差が少ないと判明している場合は、実施しなくても良い。
【0058】
しかる後、ステップ108のアライメントマーク検出処理のサブルーチンに移行する。このステップ108のアライメントマーク検出処理(のサブルーチンの処理)と、次のステップ110の所定の信号処理アルゴリズムを用いた検出信号の特徴量抽出と判定処理の(のサブルーチンの処理)との両者が、光学ティーチング処理と呼ばれる処理に該当する。
【0059】
ステップ108のサブルーチンでは、まず、図4のステップ202において、アライメント検出系ASの照明波長の設定又は変更を行う。ここでの照明波長の設定は、前述のブロード、グリーン、オレンジ、レッド、シアン、及び近赤外の6つの波長帯域の中から予め定められた順番で、順次波長帯域を設定(変更)することで行われる。一例として、第1番目として、ブロードが定められているものとする。この場合、前述の光量最適化のときにすでにブロードが設定されているので、特に何も行う必要はない。
【0060】
次のステップ204では、アライメント検出系ASの照明方法及び結像条件の設定又は変更する。ここで、照明方法の設定/変更は、照明系開口絞りの選択設定によって実現される。従って、通常照明、変形照明などの他、明視野照明、暗視野照明などの設定/変更も含まれる。前述の如く、例えば、結像光学系の開口数(NA)より大きな照明開口数の輪帯絞りを用いて輪帯照明を行うと暗視野照明になる。
【0061】
また、結像条件には、前述の如く、アライメント検出系ASの結像光学系のフォーカス位置、結像開口数、及び収差などが含まれる。従って、結像開口数を変更しても良いが、以下では、説明の便宜上、結像条件の設定/変更は、主として結像光学系のフォーカス位置の設定/変更を指す。
【0062】
照明方法及び結像条件の設定又は変更は、予め定めた順番で、照明系開口絞りと暗視野又は明視野との組み合わせを設定し、さらに各組み合わせについて予め定められているフォーカス位置を所定の順番で設定することで行われる。
【0063】
ここでは、主制御装置28は、一例として、通常照明絞りと輪帯照明絞りとの切り替えにより、明視野照明と暗視野照明とを切り替え、明視野照明については、フォーカス位置を、前述したフォーカス最適化FFO処理にて検出した最適フォーカス位置、及び最適フォーカス位置を中心とする正負両側への各1点のフォーカス位置、最良フォーカス位置(いわゆるゼロ点)、及び最良フォーカス位置を中心とする正負両側への各10点のステップフォーカス位置を設定し、また、暗視野照明については、前述したフォーカス最適化FFO処理にて検出した最適フォーカス位置(最適化が不要の場合は、そのまま最良フォーカス位置(いわゆるゼロ点))、及び正負両側への各1点のフォーカス位置を設定するものとする。
【0064】
従って、本実施形態では、1つの照明波長に対して、このステップ204において、25通りの照明方法と結像条件との組み合わせが設定されることになる。
【0065】
次のステップ206では、現在設定されているアライメント光学条件の設定下で、アライメント検出系ASを用いて、予め定められた数、例えば20個のショット領域に付設されているアライメントマーク(ここでは、EGAマーク)を検出する。主制御装置28は、ウエハステージWSTをXY方向に駆動して、ウエハW上に付設された予め定められた数のアライメントマークをアライメント検出系ASの検出視野内に順次位置決めし、撮像する。
【0066】
次のステップ208では、得られた撮像結果を、アライメントマークのX、Y成分のそれぞれについての1次元信号に変換する。例えば、図5(A)に示されるEGAマーク32に対し、それぞれ走査線LX1,LX2に関するX成分32X,32Xの1次元信号と、走査線Lに関するY成分32Yの1次元信号と、が抽出される。あるいは、走査線LX1,LX2に平行な複数の走査線についてのX成分32X,32Xの輝度値(画素値)を加算した、あるいはその加算値の平均をとった1次元信号と、走査線Lに平行な複数の走査線についてのY成分32Yの輝度値を加算した、あるいはその加算値の平均をとった1次元信号と、が抽出される。いずれにしてもX成分32X,32Xの1次元信号として図5(B)に示されるような波形の信号が得られ、Y成分32Yの1次元信号として図5(C)に示されるような波形の信号が得られる。
【0067】
次のステップ210では、得られた(検出された)1次元信号(以下、検出信号と呼ぶ)を検出光の光量(本実施形態ではAGC機能により調整される量)及び信号強度のブラックレベル(原点)BLに応じて規格化し、その検出信号(規格化後)を、アライメント検出系ASの照明条件及び結像条件と対応付けて、記憶装置(不図示)に記憶する。例えば、図6に示されるように、検出信号IはI’=(I−BL)/(IMax−BL)と規格化される。ここで、IMaxは最大階調であり、アライメント検出系ASで検出可能な限界信号強度に対応する。また、検出精度を改善するために、例えば、1つのアライメントマークを複数回に分けて撮像する場合等には、これらも考慮して検出信号が規格化される。
【0068】
次のステップ212では、予定されていた全ての照明方法と結像条件との組み合わせについて、現在設定中のアライメント検出系ASの照明波長におけるアライメントマークの検出が終了したか否かを判断する。そして、判断が否定された場合、ステップ204に戻って次の照明方法及び結像条件の組み合わせに変更し、変更後の照明方法及び結像条件に対してステップ206〜210の処理を行う。その後、ステップ212における判断が肯定されるまで、ステップ206、208,210、212のループの処理が繰り返し行われる。そして、ステップ212の判断が肯定されると、ステップ214に進む。
【0069】
ステップ214では、アライメント検出系ASの全ての照明波長、本実施形態では6つの照明波長について、アライメントマークの検出が終了したか否かを判断する。そして、この判断が否定された場合、ステップ202に戻って次の照明波長に変更し、変更後の照明波長について、ステップ212における判断が肯定されるまで、ステップ204〜ステップ212のループの処理を繰り返し行う。その後、ステップ214における判断が肯定されるまで、ステップ202以下の処理が繰り返し行われる。そして、ステップ214の判断が肯定されると、アライメントマーク検出処理のサブルーチンの処理を終了し、図2のメインルーチンのステップ110にリターンする。
【0070】
以上のステップ108までの処理により、1つのアライメントマークについて27×6=162通りの照明条件及び結像条件に対する検出信号が得られる。
【0071】
ステップ110、すなわち検出信号の特徴量抽出と判定処理のサブルーチンでは、まず、図7のステップ302において、アライメントマーク検出処理により得られたアライメントマークの検出信号を所定の信号処理アルゴリズムを用いて解析処理するための解析条件の設定又は変更を行う。ここで、設定又は変更される解析条件には、ノイズの除去等、検出信号を整形するための複数のフィルタ処理及び該複数のフィルタ処理の組み合わせ、並びに複数のフィルタ処理のそれぞれのフィルタ特性を含むことも出来る。このステップ302の処理は、これらの解析条件を、予め定められた順番で、順次設定(変更)することで行われる。なお、通常処理として、ステップ304のフィルタ処理を行わない解析を実施することとしても構わない。この場合は、ステップ302でフィルタ処理なしに設定し、ステップ304では処理を実施しなければ良い。
【0072】
本実施形態で、必須の項目ではないが、フィルタ処理を行う場合には、以下のように実施する。
【0073】
複数のフィルタ処理として、例えば図8(A)に示される利得関数を有する低域通過フィルタ、高域通過フィルタ、及び帯域通過フィルタ、並びに図8(B)に示される利得関数を有する櫛形フィルタ等を用いる処理が用意されている。フィルタ処理の組み合わせには、これらのフィルタ処理の任意の組み合わせが含まれる。フィルタ特性には、例えば、低域通過フィルタ、高域通過フィルタ、及び帯域通過フィルタに対してカットオフ周波数、櫛形フィルタに対してカットオフ周波数、バンド幅、及びバンド間隔が含まれる。
【0074】
なお、前述したが、ここで、フィルタ処理とは、いわゆるデジタル信号処理により、信号波形の周波数成分(光学像の場合は空間周波数と呼ばれるが信号波形処理自体は同様であるため、図8内では周波数と表記されている)の帯域を制限し、周波数特性を変更する処理を表すものとする。例えば、低域通過フィルタという場合、信号波形の周波数成分は低い周波数のものだけとなり、高い周波数成分は削除されることを表す。
【0075】
一般に撮像素子(一般に言うCCD等の2次元画像を得られるセンサ)は、2次元に整列した多数の画素を持ち、光学系により結像されたアライメントマーク像を、所定の画素ピッチでサンプリングし、2次元画像信号を得ることができる。このようにして得られた画像の強度分布から、光学的なアライメントマーク像の強度分布が得られ、さらに前記フィルタ処理を行い周波数特性を変更する処理を適用することができる。
【0076】
なお、図8(B)に示される櫛形フィルタであるが、図8(B)では例として8個の櫛形状を持つ特性が示されているが、一般に多数の各櫛形状部の高さ(利得)を個々に変化させ、高さゼロを含む各種設定とすることも可能である。また、図8(A)及び図8(B)の各フィルタは、簡略化のため矩形形状で示されているが、図示は省略するが、一般に信号処理に最適化させ、矩形形状よりも角に丸みを持つ形状を採用するなど、より最適な形状として採用することができる。
【0077】
次のステップ304では、アライメントマーク検出処理により得られた全ての検出条件に対するアライメントマークの検出信号に対して、ステップ302において設定された解析条件、すなわち設定されたフィルタ特性を有するフィルタ処理又はその組み合わせを用いた処理を行う。処理された検出信号は、解析条件と対応付けて記憶装置(不図示)に記憶される。
【0078】
図8(C)及び図8(D)には、ノイズ除去に適したフィルタ処理の組み合わせを用いた処理の適用前後の検出信号の一例が示されている。図8(C)に示される処理前の検出信号が、帯域通過フィルタによって、図8(D)に示されるように主要な周波数成分が取出されている。このように、フィルタ処理が効果的な場合もある。
【0079】
次のステップ306では、予定された全ての解析条件における、検出信号のフィルタ処理が終了したか否か判断する。そして、この判断が否定された場合、ステップ302に戻って次の解析条件に変更し、ステップ304において変更後の解析条件における検出信号のフィルタ処理を行う。そして、ステップ306における判断が肯定されるまで、ステップ302、304、306のループの処理を繰り返す。そして、ステップ306における判断が肯定されると、次のステップ308に移行する。
【0080】
ステップ308では、所定の信号処理アルゴリズムを用いて検出信号の特徴量を抽出する。ここで、特徴量の一例について説明する。アライメントマーク中の各ラインパターンに対応して、例えば図9(A)に示されるような波形の1つの信号(ピース信号と呼ぶ)が得られる。図9(A)中に破線で示されるピース信号の信号波形の変曲点が、所定の信号処理アルゴリズムを用いて特徴点として抽出可能である。従って、ピース信号毎に、信号波形の変曲点の位置と変曲点での信号強度と傾き(微分値)とを、信号処理アルゴリズムにより特徴量として求めることができる。なお、変曲点とは、信号波形を微分した波形が、ピース信号内で極大及び極小となる点であり、図9(A)においては、4点の変曲点が抽出されている。同様に、図9(B)中に破線で示されるピース信号の信号波形の極値点が、信号処理アルゴリズムにより特徴点として抽出可能である。従って、ピース信号毎に、信号波形の極値点の位置と極値点での信号強度と、極値点での微分値を、特徴量として求めることができる。なお、極値点とは、信号波形が極大及び極小となる点である。従って、得られた極値点での微分値はほぼゼロとなり、極値点であることを確認することができる。
【0081】
なお、極値点の位置は、極値点を挟む2つの変曲点の中点の位置として求めることもできる。光学像の傾向として、極値点は極値点を挟む2つの変曲点の間に1点でない場合が想定される(2つの変曲点の間で信号波形に微小なうねり成分がある場合)が、このような場合、2つの変曲点の中点を極値点と仮定する本手法は有効である。同時に得られる極値点での信号波形の傾き(微分値)も、本手法の場合ゼロでない値をとるため、有効に活用できる。また、ノイズの影響等で、極値点が定まりにくい場合は、いわゆる所定幅で移動平均処理(スムージング)を施した後に、極値点を検出しても構わない。
【0082】
また、図10(A)中に破線で示されるピース信号の最大値及び最小値が特徴量として抽出可能である。前述した極値点での特徴量と異なり、ピース信号の単に波形最大値と最小値を抽出しピース信号の特徴量とすることができる。信号波形はピース信号毎に異なる形状になっていることが想定されるため、極値点に依存しない本特徴量を抽出する。さらに、図10(B)中に破線で示されるピース信号の波形中心と、相互に隣接するピース信号の波形間の中間点が抽出可能であり、それらの点の位置と対応する信号強度とを、特徴量として求めることができる。ここで、ピース信号の波形中心はすでに算出されていることが必要となるが、ピース信号の波形中心を求める既存の手法として、ピース信号部の信号波形を抽出し、信号波形の左右を反転させた信号波形を作り、元の信号に対して位置をずらして波形の相関をみる(いわゆる畳み込み処理)ことで、その最も相関が高い位置を中心位置とする手法を用いることができる。また、アライメントマーク中心に関しても、同様にして算出した各ピース信号の波形中心座標を平均処理することで求めることが可能である。
【0083】
前述した、変曲点位置及び/又は極値位置などを含め、特徴量の位置情報は、各ピース信号の波形中心点、及び/又はアライメントマークの中心点を原点として相対座標(例えば各ピース信号毎に、各ピースの波形中心を原点とした、あるいはアライメントマーク中心点を原点とした座標)にて管理することが可能である。抽出された特徴点及び対応する特徴量は、解析条件及びアライメントマーク(を構成するマークライン)と対応付けて、記憶装置(不図示)に記憶される。
【0084】
なお、抽出された特徴点(及び特徴量)は、対応するアライメントマーク毎にグループ化して管理される。グループ内では、例えば図11(A)に示されるように、位置(配置)に応じて特徴点にラベルが付される。この例では、m個の特徴点に、1からmまでの数字がラベルとして付されている。ただし、アライメントマークの構造差に起因する信号波形の形状差及び変形、又は検出誤差等により、特徴点が現れる位置が本来の位置からずれる、あるいは期待する特徴点が検出できないこともある。例えば図11(B)に、複数のアライメントマークによるk個の信号波形によりm個のグループを構成した例が示されている。この図11(B)では、検出信号のうち、2番目の検出信号に属するp−2番目の特徴点と、k番目の検出信号に属するp+1番目の特徴点が検出されていない状態が示されている。
【0085】
この様なグループ化を行なう手法を図11(B)で説明する。主制御装置28は、前述したように複数のアライメントマークのそれぞれの波形に対応するマーク中心位置を記憶しており、各特徴点はマーク中心を原点として相対位置座標で管理することができる。従って、各波形による特徴点の中心位置(マーク中心)を合わせて、各波形に含まれる特徴点の位置を相互に比較することができる。ここで、対応する特徴点の位置は、所定幅の比較範囲内で比較される。すなわち、位置が比較範囲内であり、傾き(微分値)の符号が同じとなり、さらに複数候補が含まれた場合には最も位置が近いことを確認し、対応する特徴点であると判断される。なお、対応する特徴点が確認できなかった場合、その特徴点が含まれるグループ内の他の特徴点のラベルが振りなおされる。
【0086】
図7に戻り、ステップ310では、ステップ308で得られた特徴量を用いて検出信号の信号波形の形状に関する判定量を求める。主制御装置28は、形状に関する判定量として、図12に示されるように、ピース信号内の検出信号の最大及び最小強度より振幅(=最大強度−最小強度)及びコントラスト(=(最大強度−最小強度)/(最大強度+最小強度))、並びに変曲点での検出信号の傾きの最大より最大エッジスロープ(単にエッジスロープと呼ぶ)を求める。
【0087】
次のステップ312では、ステップ310において求めた形状に関する判定量を用いて、アライメントマークの検出結果の計測再現性を評価する。主制御装置28は、図13に示されるように、形状に関する判定量である振幅、コントラスト、及びエッジスロープを用いて計測再現性を評価する。主制御装置28は、各判定量を、例えば、4段階(A〜D)でランク付けして評価する。図13に示される例では、振幅はランクA、コントラストはランクC、エッジスロープはランクBと評価されている。主制御装置28は、これらの評価を総合して、計測再現性を評価する。評価手法の一例として、各判定量のランクと、与える点数の関係に関して、3種の判定量ランクが決まると1つの点数が対応するような参照可能な関係となるデータベースを持つ方法がある。図13では、ランクA、B,C,及びDに対して予め用意したデータベースを参照し、総合点(スコア)600と評価されている。
【0088】
各判定量のランク付け(評価)は、例えば図14(A)に示される各判定量と計測再現性との相関に基づいて、適切な総合点が決められるように定められる。ここで、相関は、予め、光学ティーチングシミュレーション等により求められる。ここで、計測再現性に関する光学ティーチングシミュレーションとは、想定した多種多様な構造を持つアライメントマークの光学像を、各種光学設定条件(照明条件及び/又は結像条件)、フォーカス設定条件で発生させ、A/D変換により撮像素子で計測された信号波形を擬似的に得たうえ、所定の電気ノイズを付加し、さらに実際の装置と同様の信号処理にて擬似的に各種特徴量及び/又は判定量を算出し評価する処理を意味する。光学ティーチングシミュレーションの結果を整理することで、点数を参照するためのデータベースを作成することができる。高い計測再現性から低い計測再現性を与える判定量の範囲が、順に、ランクA〜Dに分類される。判定量は、その値が位置する範囲に対応するランクを用いて評価される。
【0089】
なお、図14(A)から明らかなように、判定量によって、計測再現性に対する相関が大きく異なる。例えば、コントラストは、計測再現性に対する相関は弱く、振幅及びエッジスロープのそれぞれは、計測再現性に対する相関が強い。そこで、各判定量の計測再現性に対する相関の程度を考慮して、計測再現性を総合評価すると良い。前述した光学ティーチングシミュレーションでは、このような点を考慮し、最終的なデータベースを作成している。
【0090】
また、検出信号に含まれるノイズの主要成分に応じて新しい判定量を定義することも可能である。例えば、アライメント検出系内の撮像素子によるショットノイズ成分(受光光量に応じて増加する電気ノイズ)が支配的である場合、図14(A)に示されるように、振幅及びコントラストとエッジスロープの積の平方根のそれぞれと計測再現性の逆数との相関が強くなる。そこで、例えばコントラストとエッジスロープの積の平方根の逆数σを新しい判定量として採用することができる。さらに、ブラックレベルノイズ成分(いわゆるホワイトノイズであり、常に発生する電気ノイズ成分)も無視できない場合は、図14(B)に示されるように、エッジスロープと計測再現性の逆数との関係も無視できなくなる。そこで、エッジスロープの逆数σとσとの自乗和の平方根σ(=√(α・σ+β・σ))を新しい判定量として用いることができる。ただし、αとβ(α+β=1)は重み係数であり、予め、光学ティーチングシミュレーション等により求められる。これらの判定量を使えば、光学ティーチングシミュレーションの結果からは、かなり正確に計測再現性を予想可能と考えられる。
【0091】
光学ティーチングシミュレーションの結果は、正確であることが望ましいが、現実的には、実際のアライメント検出系を用いて、評価用のアライメントマークの計測を行い、計測再現性を評価し、前述した参照用データベースそのもの、及び/又は判定量に関しても修正を行い、計測再現性の得点の値そのもの及びその誤差を確認することが望ましい。
【0092】
図7に戻り、ステップ314では、上記ステップ312において得られた評価(の結果)に基づいて、評点を算出する。フィルタ処理を行う場合は、フィルタ処理毎に評点を算出する。
【0093】
次のステップ316では、ステップ314にて算出した評点を記憶装置に保存した後、検出信号の特徴量抽出と判定処理のサブルーチンの処理を終了する。主制御装置28は、図15に示されるように、照明条件及び結像条件毎に振幅、コントラスト等の判定量を表示する。ただし、判定量の値に限らず、それに基づくランク等の形で表示することとしても良い。また、主制御装置28は、図16に示されるように、照明条件及び結像条件毎に保存された計測再現性評点が表示される。計測再現性は、前述の評点に限らず、それに基づくランク等の形で表示することとしても良い。ここで、判定量の値又はランクに基づいて推奨される条件を強調して表示すると良い。これにより、オペレータ(又は技術者)等は、デバイス製造に最適又は好適な照明条件及び結像条件を選択することができる。なお、主制御装置28は、モニタに表示する光学ティーチングの結果の情報を、照明条件及び結像条件と関連づけて、記憶装置に記憶する。複数のフィルタ処理を実施した場合は、フィルタ処理の数分だけ、図15、図16の表示を増やして表示し、フィルタ処理の効果を確認可能とすればよい。
【0094】
検出信号の特徴量抽出と判定処理のサブルーチンの処理を終了すると、メインルーチンのステップ112に戻り、最適な照明条件及び結像条件が決定されるのを待つ。そして、オペレータが、モニタ上の表示を見てキーボード、マウス、等のポインティングデバイスを介して最適な照明条件及び結像条件を選択し、あるいは決定してその入力がなされると、ステップ112における判断が肯定され、ステップ114に移行する。
【0095】
ステップ114では、上記の選択(又は決定)された最適な照明条件及び結像条件を用いてアライメント計測(EGA計測)のレシピファイルを作成する。この際、フィルタ処理を行っている場合は、フィルタ処理を設定しても構わない。レシピファイルの作成は、予め、最適化の対象である条件の数値等を空白としたレシピファイルを用意しておき、この空白に決定された最適条件を当てはめることで容易に行うことができる。これにより、実際のウエハの露光処理の際には、主制御装置28が、作成されたレシピファイルを読み出し、その内容に従ってウエハのファインアライメントを行うことが可能になる。
【0096】
本実施形態では、計測再現性について判断しているが、前述したように、一般に判定が必要な項目は、少なくても、1.計測再現性判定、2.TISランダム誤差要因判定、3.WISランダム誤差要因判定、の3点あると考えられる。2.、3.の項目に対しても、所定の特徴量から判定を行い評点を得て、本実施形態で得られた計測再現性の評点と比較して総合的に判断してももちろん構わない。
【0097】
なお、上記ステップ112のオペレータの処理に代えて、光学ティーチングの結果に基づいて、主制御装置28が、最良の照明条件及び結像条件を選択することとしても良い。この場合、主制御装置28は、重ね精度が最良となるように、最良の計測再現性を与える照明条件及び結像条件が選択される。そして、ステップ114では、選択した最適化条件を用いてアライメント計測(EGA計測)のレシピファイル(プロセスプログラム)を作成する。これにより、ほぼ全自動で、EGAマークに応じた最適計測条件を含むEGA計測のレシピファイルを作成することが可能になる。
【0098】
なお、これまでは、説明が必要以上に煩雑になるのを避けるため、EGA計測のレシピファイルの作成について説明したが、サーチアライメント計測のレシピファイルの作成も上記のEGA計測のレシピファイルの作成と同様にして行うことができる。この場合、アライメント検出系ASの照明波長の設定又は変更(ステップ202)、及び照明方法及び結像条件の設定又は変更(ステップ204)での処理の内容は、幾分相違するとともに、検出対象がEGAマークの代わりにサーチマークになる。しかし、かかる相違点を除けば、前述のステップ102〜114、ステップ202〜214、ステップ302〜316とほぼ同じ処理アルゴリズムに従ってサーチアライメント計測のレシピファイルを作成することができる。
【0099】
以上説明したように、本実施形態に係る露光装置100によると、主制御装置28により、アライメント検出系ASを用いてウエハW上に形成されたアライメントマーク(EGAマーク又はサーチマーク)が複数の照明条件及び結像条件で検出され、信号処理アルゴリズムを用いて検出信号の波形の形状に関する判定量が求められ(ステップ302〜310)、その判定量に基づいて複数のマークの検出結果の再現性が評価され(ステップ312)、その評価結果に基づいて計測再現性が良好となる最適な照明条件及び結像条件を選択(又は決定)することが可能になる(ステップ314)。従って、計測に最適な照明条件及び結像条件を短時間で、及び/又は効率的に行うことが可能になる。ここで、なお、上記ステップ112のオペレータの処理に代えて、光学ティーチングの結果に基づいて、主制御装置28が、最良の照明条件及び結像条件を選択する場合には、最適な照明条件及び結像条件の選択も不要である。また、フィルタ処理を行う場合には、合わせて最適なフィルタ処理も設定可能となる。なお、最適な照明条件及び結像条件でも計測再現性が不十分な場合は、計測処理を一つのマークに対して複数回行い(または信号を複数回分積算処理する)、ノイズの影響を減らし計測再現性を良くすることも可能となる。
【0100】
また、本実施形態の露光装置100によると、主制御装置28が、最適化された検出条件を、アライメント計測の処理手順を規定するプロセスプログラム(レシピファイル)中の対応する条件として決定することで、アライメント計測のレシピファイルが作成される。ウエハの処理の際には、主制御装置28が、作成されたレシピファイルを読み出し、このレシピファイルに基づいて、ウエハのサーチアライメントを確実かつ正確に行うこと、またウエハのファインアライメント(EGA)を精度良く行うことが可能となる。
【0101】
また、本実施形態の露光装置100では、上述のようにウエハのファインアライメントを精度良く行うことができるので、このファインアライメントの結果に基づいて露光の際の際にレチクルRのパターンをウエハW上の各ショット領域に精度良く重ね合わせて転写することが可能になる。
【0102】
なお、上記実施形態で、光学ティーチングの結果に基づいて、主制御装置28が、最良の照明条件及び結像条件を選択する場合に、「重ね合わせ精度優先」と「スループット優先」との2つのモードのいずれかに従って最良条件を選択することとしても良い。前述したように、最適な照明条件及び結像条件で、さらにフィルタ処理を行っても計測再現性が不十分な場合は、計測処理を1つのマークに対して複数回行い(または信号を複数回分積算処理する)、ノイズの影響を減らし計測再現性を良くすることも可能である。しかし、その分処理時間がかかるためスループットが悪化する。このような場合に、重ね合わせ精度優先モードでは、十分な精度が得られるまで1つのマークに対する計測回数を増やすが、スループット優先モードでは計測再現性を若干犠牲にして、スループット重視で計測を行うこととする。
【0103】
また、照明条件及び結像条件に優先度をつけることも可能である。例えば、照明波長に対し、使用頻度の高いブロードを標準条件とする。あるいは、優先度の高い照明条件及び結像条件に対してのみ、検出条件の最適化が行われる。例えば、使用頻度の高いブロードを最優先、次に計測再現性の改善が期待されるグリーン、オレンジ、及びレッド、最後に特殊な状況で主に使用されるシアン及び近赤外の順に優先順位が付けられる。また、照明方法及び結像条件に対し、使用頻度の高い明視野照明で最良フォーカス位置を最優先、次に大きな段差を有するマークの検出に好適な明視野照明で最適フォーカス位置、最後にアライメント検出系に由来する検出誤差(TIS:Tool Induced Shift)の発生が抑制される暗視野照明で最良フォーカス位置の順に優先順位が付けられる。あるいは、明視野照明におけるTISが小さく暗視野照明における計測再現性が高い場合、明視野照明で最良フォーカス位置を優先する。また、明視野照明におけるTISが小さく暗視野照明における計測再現性が低い場合には、明視野照明で最適フォーカス位置を優先する。明視野照明におけるTISが大きく暗視野照明における計測再現性が高い場合、暗視野照明で最良フォーカス位置を優先する。明視野照明におけるTISが大きく暗視野照明における計測再現性が低い場合、オペレータ(又は技術者)に判断を委ねることとする。
【0104】
また、上記実施形態では、レシピファイルを作成する際に、本発明に係る検出条件最適化方法の一例が実施される場合について説明したが、これに限らず、実際のウエハの処理の際に、パイロットウエハ又はロット先頭ウエハなどを用いて、上記のステップ114を除く処理、すなわちアライメントマークの検出条件の最適化処理を行うこととしても良い。この場合にも、EGAマーク(及びサーチマーク)の検出条件が最適化され、その最適化された条件に従うことで、ウエハのファインアライメント(EGA)(及びサーチアライメント)を精度良く行うことが可能となる。
【0105】
なお、上記実施形態では、単独のアライメント検出系ASを備える露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに開示される複数のアライメント検出系を備えた露光装置にも本発明は好適に適用できる。この場合、複数のアライメント検出系のそれぞれが収差等、異なる光学特性を有するため、それぞれの検出系について検出条件の最適化を行う必要がある。ただし、この手続を簡略化するために、複数のアライメント検出系のうちの1つ(プライマリアライメント系と呼ぶ)についてのみ検出条件の最適化を行う。そして、複数のアライメント検出系のそれぞれを用いて同じアライメントマークを検出し、その結果からプライマリアライメント系を基準とするその他のアライメント系についてのTISの差分を求める。この差分を用いてその他のアライメント系の検出結果を補正することにより、プライマリアライメント系に対して得られた最適な検出条件を共用することができる。
【0106】
なお、上記実施形態では、アライメント計測のレシピファイルを露光装置が作成し、その際に、検出条件を最適化する場合について説明したが、これに限らず、本発明の検出条件最適化方法及びプログラム作成方法を、露光装置以外の画像処理方式のアライメントセンサ(マーク検出系)を備えた装置(マーク検出装置)、例えば重ね合わせ測定機などで行うようにすることもできる。この場合、基本的には、上記実施形態と同等の効果を得ることができ、それらの装置でマークの検出条件の最適化及びアライメント計測のレシピファイルの作成が可能となる。
【0107】
また、上記実施形態では、説明の簡略化のため、主制御装置28が、検出条件の最適化を含むアライメント計測に関する処理、レシピファイルの作成などを全て行うものとしたが、例えば主制御装置28が行う各種処理を、複数のハードウェアで分担して行うようにしても良い。例えば、前述の図2のフローチャートで示される各ステップの処理を、複数のマイクロコンピュータで適宜分担して行うようにしても良い。
【0108】
なお、上記実施形態では、光源として、KrFエキシマレーザ(出力波長248nm)などの紫外光源、ArFエキシマレーザ等の真空紫外域のパルスレーザ光源などを用いるものとしたが、これに限らず、水銀ランプは勿論、F2レーザ、あるいはAr2レーザ(出力波長126nm)などの他の真空紫外光源を用いても良い。また、例えば、真空紫外光として上記各光源から出力されるレーザ光に限らず、DFB半導体レーザ又はファイバレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(Er)(又はエルビウムとイッテルビウム(Yb)の両方)がドープされたファイバアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
【0109】
更に、照明光ILとしてEUV光、X線、あるいは電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置、投影光学系を用いない、例えばプロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナー、及び例えば米国特許出願公開第2005/0259234号明細書などに開示される、投影光学系とウエハとの間に液体が満たされる液浸型露光装置などにも本発明を適用しても良い。
【0110】
また、上述の各実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク、あるいは光反射性の基板上に所定の反射パターンを形成した光反射型マスクを用いたが、それらに限定されるものではない。例えば、そのようなマスクに代えて、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(光学系の一種とする)を用いるようにしても良い。このような電子マスクは、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されている。なお、上述の電子マスクとは、非発光型画像表示素子と自発光型画像表示素子との双方を含む概念である。
【0111】
また、例えば、2光束干渉露光と呼ばれているような、複数の光束の干渉によって生じる干渉縞を基板に露光するような露光装置にも適用することができる。そのような露光方法及び露光装置は、例えば、国際公開第01/035168号に開示されている。
【0112】
なお、上記実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式等の走査型露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、ステップ・アンド・リピート方式又はステップ・アンド・スティッチ方式の投影露光装置にも本発明は好適に適用できる。
【0113】
なお、本発明は、半導体素子製造用の露光装置に限らず、液晶表示素子などを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、及び撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン、有機EL、DNAチップなどの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0114】
なお、これまでは、基板上にパターンを形成する露光装置について説明したが、スキャン動作により、基板上にパターンを形成する方法は、露光装置に限らず、例えば米国特許第6,973,710号明細書などに開示されるインクジェットヘッド群と同様のインクジェット式の機能性液体付与装置を備えた素子製造装置を用いても実現可能である。
【0115】
上記米国特許明細書に開示されるインクジェットヘッド群は、所定の機能性液体(金属含有液体、感光材料など)をノズル(吐出口)から吐出して基板(例えばPET、ガラス、シリコン、紙など)に付与するインクジェットヘッドを複数有している。このインクジェットヘッド群のような機能性液体付与装置を用意して、パターンの生成に用いることとすれば良い。この機能性液体付与装置を備えた素子製造装置では、基板を固定して、機能性液体付与装置を走査方向にスキャンしても良いし、基板と機能性液体付与装置とを相互に逆向きに走査しても良い。
【0116】
半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置によりレチクルのパターンをウエハに転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。従って、その半導体デバイスを生産性良く製造することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
以上説明したように、本発明の検出条件最適化方法は、アライメントマークの検出条件を最適化するのに適している。また、本発明のプログラム作成方法は、アライメント計測のレシピを作成するのに適している。また、本発明の露光装置は、基板上にパターンを重ね形成するのに適している。
【符号の説明】
【0118】
16…アライメント制御装置、28…主制御装置、100…露光装置、S…ショット領域、32…ファインアライメントマーク、33…サーチアライメントマーク、AS…アライメント検出系、W…ウエハ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された位置合わせ用のマークの検出条件を最適化する検出条件最適化方法であって、
基板上に形成された複数の前記マークを、マーク検出系を用いて複数の照明条件及び結像条件の下で検出することと;
前記マーク検出系からの検出信号を所定の信号処理アルゴリズムを用いて解析し、前記検出信号の波形の形状に関する判定量を求め、該判定量に基づいて前記複数のマークの検出結果の再現性を評価し、該評価結果に基づいて前記複数の照明条件及び結像条件を最適化することと;
を含む検出条件最適化方法。
【請求項2】
前記所定の信号処理アルゴリズムは、複数のフィルタ処理を含み、
前記最適化することでは、前記複数のフィルタ処理の処理条件をさらに最適化する請求項1に記載の検出条件最適化方法。
【請求項3】
前記複数のフィルタ処理の処理条件には、前記複数のマークの検出結果の再現性を向上する前記複数のフィルタ処理の最適な組み合わせが含まれる請求項2に記載の検出条件最適化方法。
【請求項4】
前記複数のフィルタ処理の処理条件には、前記複数のフィルタのそれぞれのフィルタ特性が含まれる請求項2又は3に記載の検出条件最適化方法。
【請求項5】
前記複数のフィルタ処理には、低域通過フィルタ、高域通過フィルタ、帯域通過フィルタ、及び櫛形フィルタのうちの少なくとも1つが含まれる請求項2〜4のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項6】
前記最適化することでは、前記複数のマークの検出信号から、該検出信号の波形の極値点及び変曲点の少なくとも一方についての位置、該位置での前記検出信号の強度及び傾きのうちの少なくとも1つを含む特徴量を抽出し、該特徴量を用いて前記形状に関する判定量を求める請求項1〜5のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項7】
前記形状に関する判定量には、振幅、コントラスト、及びエッジスロープのうちの少なくとも1つが含まれる請求項1〜6のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項8】
前記形状に関する判定量には、振幅、コントラスト、及びエッジスロープの任意の組み合わせの関数が含まれる請求項1〜7のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項9】
前記最適化することに先立って、前記判定量と前記再現性の対応関係が求められ、
前記最適化することでは、さらに前記対応関係を用いて前記再現性を評価する請求項1〜8のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項10】
前記最適化することでは、前記判定量を個別に評価し、該評価結果を総合することにより前記再現性を評価する請求項1〜9のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項11】
前記複数の照明条件には、前記マーク検出系の照明方法又は照明波長が含まれる請求項1〜10のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項12】
前記マーク検出系の照明方法には、前記マーク検出系の照明開口数が含まれる請求項11に記載の検出条件最適化方法。
【請求項13】
前記複数の結像条件には、前記マーク検出系のフォーカス位置又は結像開口数が含まれる請求項1〜12のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項14】
前記複数のマークには、前記基板を粗く位置合わせするためのマークと精密に位置合わせするためのマークとが含まれる請求項1〜13のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の検出条件最適化方法を利用して前記複数のマークの検出信号の検出条件を最適化して、前記基板の位置合わせ手順を定めるプログラムを作成するプログラム作成方法。
【請求項16】
基板上に複数のパターンを重ね合わせて形成する露光装置であって、
基板上に形成された位置合わせ用のマークを検出するマーク検出系と;
前記マーク検出系を用いて複数の前記マークを複数の照明条件及び結像条件の下で検出して得られる検出信号を所定の信号処理アルゴリズムを用いて解析し、前記検出信号の波形の形状に関する判定量を求め、該判定量に基づいて前記複数のマークの検出結果の再現性を評価し、該評価結果に基づいて前記複数の照明条件及び結像条件を最適化する最適化装置と;
を備える露光装置。
【請求項17】
前記所定の信号処理アルゴリズムは、複数のフィルタ処理を含み、
前記最適化装置は、前記複数のフィルタ処理の処理条件をさらに最適化する請求項16に記載の露光装置。
【請求項18】
前記複数のフィルタ処理の処理条件には、前記複数のマークの検出結果の再現性を向上する前記複数のフィルタ処理の最適な組み合わせが含まれる請求項17に記載の露光装置。
【請求項19】
前記複数のフィルタ処理の処理条件には、前記複数のフィルタのそれぞれのフィルタ特性が含まれる請求項17又は18に記載の露光装置。
【請求項20】
前記複数のフィルタ処理には、低域通過フィルタ、高域通過フィルタ、帯域通過フィルタ、及び櫛形フィルタのうちの少なくとも1つが含まれる請求項17〜19のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項21】
前記最適化装置は、前記複数のマークの検出信号から、該検出信号の波形の極値点及び変曲点の少なくとも一方についての位置、該位置での前記検出信号の強度及び傾きのうちの少なくとも1つを含む特徴量を抽出し、該特徴量を用いて前記形状に関する判定量を求める請求項16〜20のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項22】
前記形状に関する判定量には、振幅、コントラスト、及びエッジスロープのうちの少なくとも1つが含まれる請求項16〜21のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項23】
前記形状に関する判定量には、振幅、コントラスト、及びエッジスロープの任意の組み合わせの関数が含まれる請求項16〜22のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項24】
前記最適化装置は、予め前記判定量と前記再現性の対応関係を求め、該対応関係を用いて前記再現性を評価する請求項16〜23のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項25】
前記最適化装置は、前記判定量を個別に評価し、該評価結果を総合することにより前記再現性を評価する請求項16〜24のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項26】
前記複数の照明条件には、前記マーク検出系の照明方法又は照明波長が含まれる請求項16〜25のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項27】
前記マーク検出系の照明方法には、前記マーク検出系の照明開口数が含まれる請求項26に記載の露光装置。
【請求項28】
前記複数の結像条件には、前記マーク検出系のフォーカス位置又は結像開口数が含まれる請求項16〜27のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項29】
前記複数のマークには、前記基板を粗く位置合わせするためのマークと精密に位置合わせするためのマークとが含まれる請求項16〜28のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項30】
基板上に形成された位置合わせ用のマークを検出するマーク検出系と;
前記マーク検出系を用いて複数の前記マークを複数の照明条件及び結像条件の下で検出して得られる検出信号を所定の信号処理アルゴリズムを用いて解析し、前記検出信号の波形の形状に関する判定量を求め、該判定量に基づいて前記複数のマークの検出結果の再現性を評価し、該評価結果に基づいて前記複数の照明条件及び結像条件を最適化する最適化装置と;
を備えるマーク検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図15】
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【図16】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−38794(P2012−38794A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175078(P2010−175078)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】