説明

樹脂成形品

【課題】 放熱性を付与するための加工工数や組み付け工数が少なく、かつ、放熱特性の良好な樹脂成形品を提供する。
【解決手段】 電気配線用金属部材1の一部1Aを第1熱可塑性樹脂2からなる第1樹脂成形部3内に直接埋設し、さらに、第1樹脂成形部3の一部を第1熱可塑性樹脂より熱伝導率の低い第2熱可塑性樹脂からなる第2樹脂成形部9内に埋設して、電気配線用金属部材1、第1樹脂成形部3及び第2樹脂成形部9を一体化する。第1樹脂成形部3は第2樹脂成形部9に埋設されずに外部に露出した箇所を有し、当該箇所の露出表面3Bから電気配線用金属部材1に至るまでの第1熱可塑性樹脂により形成された熱可塑性樹脂層3Aの厚みtを0.4〜1mmとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱特性に優れた樹脂成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電気・電子機器の高性能化・小型軽量化が進んでおり、実装部品、あるいは周囲部品の発熱によって機器が高温状態にさらされるため、各種部材の劣化や実装部品の機能低下の懸念がある。特に、自動車の制御システムは、従来、機械的に動作していた各部の機構を電動化し、それらを電気的に連携させ制御する方式へ移行しつつあり、電子部品はより分散してより熱源に近い位置に配置される傾向にある。更に、パワートレインの電動化の流れの中で、実装部品そのものに対する高出力化(高電圧化、大電流化)、コンパクト化の要求も増大の一途を辿っており、発熱量も急速に増大している。このような高発熱化、高温化の傾向は、車載機器に限らず、あらゆる電気・電子機器において同様に見受けられ、また、益々顕著になると予想される。そのような状況に対応するため、電気・電子機器を構成する各部材の放熱特性を向上させる技術への要求が高まっている。
【0003】
その対策として、特許文献1には、高温のバスバーから放熱プレートへの熱伝導度が高く、熱伝導度の低下のない高い冷却効率が維持されるバスバーの放熱プレートへの取り付け構造が開示されている。この技術では、金属製の放熱プレートには、ねじ穴を有する凸部を形成し、バスバーには、この凸部が嵌挿される穴を形成する。そして、バスバーの穴に放熱プレートの凸部を嵌挿させ、バスバーと放熱プレートとを絶縁部材を介して当接し、ねじ穴にねじを螺合して締結するというものである。
【0004】
一方、熱可塑性樹脂成形品は、多くの電気・電子機器において、構造部材等に用いられている。熱可塑性樹脂成形品は、絶縁性であるため、熱可塑性樹脂成形品を、従来金属材料が用いられていた構造部材等に適用することで、構造部材等の絶縁構造を簡略化することができる。これにより、構造部材等の成形加工性が向上し、コストダウン、ならびに軽量化することができる。
【0005】
しかし、熱可塑性樹脂成形品の熱伝導率は、約0.3〜0.6W/m・Kであり、金属材料やセラミック材料に比べて非常に低い。また成形性の観点から、樹脂層の厚みが所定厚み以上必要であるため、放熱性の観点からその適用範囲が制限される。
【0006】
そのため、熱可塑性樹脂成形品の熱伝導率を高めるため、樹脂よりも熱伝導率の高い充填材を添加し、高熱伝導化、高放熱化がされている。一般には熱伝導率の高い、金属やカーボンなどの導電性物質を充填する。絶縁性の充填材としては、タルク、シリカ、アルミナ、マグネシア等が挙げられる。高い熱伝導率を有する物質を体積分率で多く充填するほど、熱伝導率を向上させることができる。しかし、これらの充填材を添加することにより、成形性、機械特性、絶縁性が低下する。また、充填材の種類によっても、特性、特徴は種々異なり、目的に合った充填材の組合せや配合の調整が必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−217736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載される技術では、放熱プレートにねじ穴を有する凸部を形成する加工工数や、バスバーと放熱プレートとの間に絶縁部材(例えば、絶縁シートや絶縁グリス)を介在させるという組み付け工数が増加するという問題がある。またバスバーと放熱プレートとの間に介在させる絶縁部材の種類によっては、放熱特性が不十分となるという問題もある。
【0009】
一方、熱可塑性樹脂成形品では、その熱伝導性を考慮すると、放熱部の樹脂層の厚みは、絶縁性を確保できる範囲で薄くすることが望ましい。しかしながら、熱可塑性樹脂の流動性が悪い場合、薄肉部に熱可塑性樹脂が十分に充填しなかったり、ウェルドが生じたりすることにより、信頼性が低下してしまう。このため、熱可塑性樹脂には、熱伝導性と共に高い流動性が要求される。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、放熱性を付与するための加工工数や組み付け工数が少なく、かつ、放熱特性の良好な樹脂成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、電気配線用金属部材をインサート部品として有し、電気配線用金属部材の一部が電気絶縁性の熱可塑性樹脂からなる樹脂成形部に埋設されるようにインサート成形された樹脂成形品を対象とする。本発明において、電気配線用金属部材の材質や形状は、特に限定されるものではない。例えば、銅材やアルミニウム材を使用することができる。銅材を使用した場合は、電気抵抗が非常に小さいため、電流による発熱量を小さくすることができる。一方、電子部品の小型化、軽量化のために、銅材の体積(厚みや面積)を低減したり、軽量なアルミニウム材に変更したいという要求がある。このため、電気抵抗が従来よりも大きくなり、通電による発熱量が大きくなってきている。
【0012】
本発明では、電気配線用金属部材の一部が、第1熱可塑性樹脂からなる第1樹脂成形部内に直接埋設されている。さらに、第1樹脂成形部の一部が第1熱可塑性樹脂より熱伝導率の低い第2熱可塑性樹脂からなる第2樹脂成形部内に埋設されて、電気配線用金属部材、第1樹脂成形部及び第2樹脂成形部が一体化されている。また、第1樹脂成形部の一部を第2樹脂成形部内に埋設する代わりに、電気配線用金属部材の残部の全部または一部が第2熱可塑性樹脂からなる第2樹脂成形部内に埋設されて、電気配線用金属部材、第1樹脂成形部及び第2樹脂成形部を一体化してもよい。これらの構成にすると、放熱性を付与するための加工工数や組み付け工数を少なくすることができるため、第1熱可塑性樹脂の使用量を低減することができ、また樹脂成形品のコストを低減することができる。また、本発明の樹脂成形品は、熱可塑性樹脂にて成形を行うことにより、自由な形状に設計することができ、また製造工程も簡単なことから、低コストで製造することができる。
【0013】
また、電気配線用金属部材に制御用電子部品が近接して配置される場合に、電気配線用金属部材の熱が、第1熱可塑性樹脂を通して制御用電子部品側へ伝わってしまうと、温度上昇による制御不良を起こすおそれがある。そこで本発明では、放熱に関与しない箇所においては、電気配線用金属部材と一体化した第1熱可塑性樹脂を、第1熱可塑性樹脂より熱伝導率が低い第2熱可塑性樹脂にて一体化することによって、制御用電子部品に伝わる熱を抑制することができる。
【0014】
さらに、本発明では、第1樹脂成形部及び第2樹脂成形部に埋設されず外部に露出した箇所を有し、当該箇所の露出表面から電気配線用金属部材に至るまでの第1熱可塑性樹脂により形成された熱可塑性樹脂層の厚みが0.4mm以上1mm以下となっている。このように第1熱可塑性樹脂により形成された樹脂層が外部に露出することにより、当該樹脂層を放熱部材に直接接触させることができ、電気配線用金属部材の熱を放熱部材に伝達することができる。また、熱可塑性樹脂層の厚みをこのような厚み寸法にすることにより、高温になった電気配線用金属部材の熱が樹脂層を介して放熱されるため、十分な放熱特性を確保することができる。
【0015】
なお、放熱部材は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金を使用することができる。アルミニウムやアルミニウム合金は、加工性が良く、コストが低く、錆び難く、熱伝導率が高い等の利点があるため、放熱板として適している。また、放熱部材の形状は、単なる平板でもよいが、冷却効率を高めるために、厚みを4〜10mm程度とし、樹脂絶縁層と接する面の反対面に冷却フィンのような形状を施すこともできる。
【0016】
第1樹脂成形部を構成する第1熱可塑性樹脂には、熱伝導率が1.2W/m・K以上の熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。前述のように電気配線用金属部材は発熱量が大きくなる傾向があるため、熱伝導率が1.2W/m・K以上である第1熱可塑性樹脂に電気配線用金属部材を埋設して保持することにより、熱伝導率が比較的高い第1熱可塑性樹脂の樹脂層を介して電気配線用金属部材の熱を確実に放熱することができる。
【0017】
第1熱可塑性樹脂は、特に限定されるものではないが、好ましくは、マトリックス樹脂と無機充填材を含む。無機充填材の熱伝導率は、好ましくは30W/m・K以上である。また、無機充填材の含有量は、好ましくはマトリックス樹脂と無機充填材の合計体積に対して20体積%以上50体積%以下であり、より好ましくは35体積%以上45体積%以下である。これにより、第1熱可塑性樹脂による樹脂成形品の熱伝導率を高くすることができ、樹脂成形品の放熱特性を向上することができる。また、第1熱可塑性樹脂の成形時の流動性も確保することができる。
【0018】
熱伝導率が30W/m・K以上である無機充填材は、例えば、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、アルミナ等が挙げられる。これら無機充填材を単独あるいは2種類以上を組み合わせて用いてもよい。上記の無機充填材は、各種シランカップリング剤、アルコキシシラン化合物、シリコーンオイル、チタネートカップリング剤等で表面処理がなされていてもよい。
【0019】
窒化ホウ素は、形状が鱗片状であり、かつ、粒子単体の平均粒径が好ましくは18μm以上であり、さらに好ましくは35μm以上である。また、酸化マグネシウムは、形状が粒子状であり、平均粒径が好ましくは30μm以上であり、さらに好ましくは50μm以上である。これにより、同じ充填量であっても、無機充填材同士の接触確率が高くなり、樹脂組成物の熱伝導率を高くすることができる。このため、所望の熱伝導率を確保するための無機充填材の充填量を少なくすることができ、しかも良好な成形性・機械強度が確保できる。ここで「粒子単体の平均粒径」とは一次粒子の平均粒径を意味する。また、平均粒径は、公知のレーザー回折・散乱法による粒度測定装置を用いて測定したものであり、粒度分布を測定して得られた累積重量が50%である時の粒子径を示す。また、レーザー回折・散乱法とは、充填材粒子にレーザー光を照射したときに、粒子径により散乱光の強度パターンが変化することを利用した測定法である。
【0020】
また、酸化マグネシウムは、吸湿性が高い無機充填材であるため、シラン系またはシリコーン系の表面処理を行うことにより、吸湿率を0.4%以下にしたものを使用することが好ましい。これにより、熱伝導性・吸湿処理後の絶縁性に優れた樹脂組成物とすることができる。ここで、吸湿率は、温度90℃、相対湿度90%の雰囲気下で、48時間処理した際の質量変化率である。なお、無機充填材は、窒化ホウ素及び吸水率が0.3%以下の酸化マグネシウムを併用することが好ましい。これにより、樹脂成形品の熱伝導率の異方性を低減し、またコストダウンを図ることができる。
【0021】
マトリックス樹脂は、特に限定するものではないが、例えば、ポリアリーレンサルファイド樹脂や溶融状態で液晶性を示す溶融液晶性樹脂等を使用することができる。
【0022】
マトリックス樹脂として使用可能なポリアリーレンサルファイド樹脂は、繰り返し単位が下記式で示される重合体である。
【化1】

【0023】
ポリアリーレンサルファイド樹脂の中でも、ポリアリーレン基がフェニレン基であるポリフェニレンサルファイド樹脂が好ましい。フェニレン基としては、下記式で表わされる構造のものを使用することができる。これらの構成を有するホモポリマー、コポリマー、あるいはそれらの混合物でもよい。
【化2】

【0024】
特に、マトリックス樹脂として、300℃における溶融粘度が170Pa・s以下であるポリフェニレンサルファイド樹脂を用いると、十分な耐熱性と流動性が得られる。なお、溶融粘度が低いほど樹脂の成形性は向上するため、ポリフェニレンサルファイド樹脂の300℃における溶融粘度の下限値は特に定めていない。
【0025】
また、マトリックス樹脂として溶融液晶性樹脂を用いると、分子鎖が成形時に配向して、熱伝導率の高い樹脂成形品を得することができる。なお、溶融液晶性樹脂が、主鎖に全芳香族ポリエステル骨格を有し、モノマー中における芳香族ポリエステルの割合が高いほど、より高い熱伝導率の樹脂成形品が得られる。その中でも、290℃における溶融粘度が90Pa・s以下溶融液晶性樹脂は、流動性が良好で、分子鎖が成形時に配向し易く、熱伝導率のより高い樹脂成形品を得することができる。なお、溶融粘度が低いほど樹脂の成形性は向上するため、溶融液晶性樹脂の290℃における溶融粘度の下限値は特に定めていない。
【0026】
また、使用するマトリックス樹脂の熱伝導率が0.5W/m・K以上であれば、熱伝導率が高く、放熱特性に優れる樹脂成形品が得られるので好ましい。
【0027】
なお、溶融粘度は、公知の粘度測定装置を用いて、所定の条件下でノズルから押し出した際の溶融粘度として測定することができる。
【0028】
上記のほか、本発明で使用できるマトリックス樹脂は、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合体などのスチレン系(共)重合体;ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂などのゴム強化樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体などの炭素数2〜10のα−オレフィンの少なくとも一種からなるα−オレフィン(共)重合体及びその変性重合体(塩素化ポリエチレン等)、環状オレフィン共重合体などのオレフィン系樹脂;アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのエチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、エチレン・塩化ビニル重合体、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の(メタ)アクリル酸エステルの1種以上を用いた(共)重合体などのアクリル系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,12等のポリアミド系樹脂(PA);ポリエチレンテレフタート(PET)、ポリブチレンテレフタート(PBT)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリアセタール樹脂(POM);ポリカーボネート樹脂(PC);ポリアリレート樹脂;ポリフェニレンエーテル;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のイミド系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトン系のケトン系樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスルホン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリ酢酸ビニル;ポリエチレンオキシド;ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル;ポリビニルブチラール;フェノキシ樹脂;感光性樹脂;生分解性プラスチック等の樹脂が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。これらの中では、ゴム強化樹脂、ポリカーボネート樹脂及びこれらのアロイ、オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂が好ましい。
【0029】
本発明の第1熱可塑性樹脂には、本発明の目的を逸脱しない範囲で、タルク、炭酸カルシウム等の安価な無機充填材や絶縁性の無機繊維を配合してもよい。例えば、アルミナ繊維であれば、機械強度、成形時の樹脂流れ方向における熱伝導率の高い樹脂成形品が得られるので好ましい。絶縁性の無機繊維は、例えば、繊維径が0.5〜5μm、繊維長が5〜500μmである。絶縁性の無機繊維は、各種シランカップリング剤、アルコキシシラン化合物、シリコーンオイル、チタネートカップリング剤等で表面処理がなされていてもよい。
【0030】
第1熱可塑性樹脂より熱伝導率が低い第2熱可塑性樹脂も、特に限定されるものではない。例えば、マトリックス樹脂のみを含むものでもよいし、マトリックス樹脂に必要に応じて無機充填材を含めたものでもよい。強度向上のためのガラス繊維を含むことも好ましい。
【0031】
第2熱可塑性樹脂のマトリックス樹脂も、特に限定するものではないが、第1熱可塑性樹脂に使用するマトリックス樹脂と同じ樹脂系材料を用いてもよいし、異なる樹脂系材料を用いてもよい。第1熱可塑性樹脂に使用するマトリックス樹脂と同じ樹脂系材料を用いると、第1熱可塑性樹脂との密着性が良好になる。また、本発明の第2熱可塑性樹脂にも、第1熱可塑性樹脂と同様の無機充填材や無機繊維を配合することができる。
【0032】
本発明に係る樹脂成形品は、特にその用途を限定するものではないが、例えば、筐体、放熱機能を付与する電気・電子機器部品等の用途が好ましい。成形方法としては、射出成形、トランスファ成形、圧縮成形等が挙げられる。このとき、電気配線用金属部材は第1熱可塑性樹脂と一体化されており、さらに、第1熱可塑性樹脂と一体化された電気配線用金属部材をインサート部品として第2熱可塑性樹脂により成形することが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る樹脂成形品は、電気配線用金属部材の一部が第1熱可塑性樹脂からなる第1樹脂成形部に直接埋設され、第1樹脂成形部の一部が第1熱可塑性樹脂より熱伝導率の低い第2熱可塑性樹脂からなる第2樹脂性形部に埋設されずに外部に露出したままの箇所を残しているため、高温になった電気配線用金属部材の熱を当該箇所の樹脂層を介して伝導させて放熱を行うことにより、放熱性を付与するための加工工数や組み付け工数を少なくすることができる。また、この露出する箇所の露出表面から電気配線用金属部材に至るまでの第1熱可塑性樹脂により形成された熱可塑性樹脂層の厚みが0.4〜1mmに設定されているため、十分な放熱特性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る樹脂成形品の断面説明図であり、(A)は縦断面図、(B)は横断面図である。
【図2】本発明に係る他の樹脂成形品の断面説明図(縦断面図)である。
【図3】本発明に係る他の樹脂成形品の断面説明図(縦断面図)である。
【図4】本発明に係る他の樹脂成形品の断面説明図であり、(A)は縦断面図、(B)は横断面図である。
【図5】本発明に係る他の樹脂成形品の断面説明図であり、(A)は縦断面図、(B)は横断面図である。
【図6】本発明に係る樹脂成形品の実施の形態を示す説明図であり、(A)は平面図、(B)は断面図、(C)は(B)の一部を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の樹脂成形品の実施の形態について説明する。まず、第1の実施の形態では、図1(A)及び(B)に示すように、電気配線用金属部材1の一部1Aが、第1熱可塑性樹脂からなる第1樹脂成形部3内に直接埋設されている。そして、第1樹脂成形部3の一部は第2熱可塑性樹脂からなる第2樹脂成形部9内に埋設されて、電気配線用金属部材1、第1樹脂成形部3及び第2樹脂成形部9が一体化されて構成されている。
【0036】
言い換えると、第1の実施の形態では、図1(A)に示すように、電気配線用金属部材1の所定部分を縦断面で見たときに、電気配線用金属部材1の周囲全体が第1樹脂成形部3に埋設されてインサート成形されている。さらに、第1熱可塑性樹脂からなる第1樹脂成形部3は、下面(後述する露出表面3B)だけを外部に露出させた状態で第2樹脂成形部9に埋設されて一体化されている。第1熱可塑性樹脂の熱伝導率は1.2W/m・K以上であり、第2熱可塑性樹脂の熱伝導率は第1熱可塑性樹脂の熱伝導率より低くなっている。ここで「熱伝導率が1.2W/m・K以上」とは、第1熱可塑性樹脂の成形時における樹脂の流れ方向(以下、「面方向」という)及び樹脂の流れ方向に対して垂直な方向(以下、「厚み方向」という)がともに1.2W/m・K以上であることをいう。第1熱可塑性樹脂からなる第1樹脂成形部3が外部に露出している箇所の露出表面3B(下面)においては、露出表面3Bから電気配線用金属部材1に至るまでの第1熱可塑性樹脂により形成した熱可塑性樹脂層3Aの厚み(図1(A)において「t」で示す)が0.4〜1mmとなっている。なお、熱可塑性樹脂層3Aは、図示しないアルミニウム製の放熱部材に当接される。
【0037】
図2は、第2の実施の形態の樹脂成形品を示す。なお、図2に示す第2の実施の形態において、図1に示す第1の実施の形態と共通する部分については、図1に付した符号の数に100を加えた数の符号を付して説明を省略する。この第2の実施の形態では、電気配線用金属部材101の一部101Aが第1樹脂成形部103に埋設され、電気配線用金属部材101の残部101B(第1樹脂成形部103に埋設された電気配線用金属部材101の一部101Aを除く部分)の全部が第2樹脂成形部109内に埋設されて、電気配線用金属部材101、第1樹脂成形部103及び第2樹脂成形部109が一体化されている。
【0038】
言い換えると、第2の実施の形態では、図2の縦断面図に示すように、電気配線用金属部材101の所定部分を縦断面で見たときの電気配線用金属部材101の周囲の一部101Aが、第1樹脂成形部103に埋設されており、同周囲の他の部分(電気配線用金属部材101の残部101Bの全部)が第2樹脂成形部109に直接埋設されると共に、第1樹脂成形部103が下面(露出表面103B)だけを外部に露出させた状態で第2樹脂成形部109に埋設されて、電気配線用金属部材101、第1樹脂成形部103及び第2樹脂成形部109が一体化されている。第1樹脂成形部103が外部に露出している箇所の露出表面103Bから電気配線用金属部材101に至るまでの第1熱可塑性樹脂により形成した熱可塑性樹脂層103Aの厚みtは、第1の実施の形態と同様である。
【0039】
なお、放熱特性の向上という観点から、第1の実施の形態では、図1に示すように、電気配線用金属部材1の所定部分を縦断面で見たときの電気配線用金属部材1の周囲全体が、第1樹脂成形部3に埋設されていることが好ましい。一方、第2の実施の形態では、図2に示すように、電気配線用金属部材101は、必ずしも電気配線用金属部材101の周囲全体が第1樹脂成形部103に埋設されている必要はなく、電気配線用金属部材101が第1樹脂成形部103に埋設されていない部分(電気配線用金属部材101の残部(露出表面103B))の全部が第2樹脂成形部109内に埋設されていてもよい。また、後述する図3に示す第3の実施の形態で説明するように、設計上の理由や電気的接続のために、電気配線用金属部材201の周囲の一部が第1樹脂成形部203及び第2樹脂成形部209のいずれにも埋設されていなくてもよい。放熱特性の向上という観点からは、電気配線用金属部材を埋設した第1樹脂成形部が第2樹脂成形部に埋設されずに外部に露出している面積はより広い方が好ましい。
【0040】
図3は、第3の実施の形態の樹脂成形品を示す。なお、図3に示す第3の実施の形態において、図1に示す第1の実施の形態と共通する部分については、図1に付した符号の数に200を加えた数の符号を付して説明を省略する。この第3の実施の形態では、電気配線用金属部材201の一部201Aが第1樹脂成形部203に埋設され、電気配線用金属部材201の残部201Bの一部が第2樹脂成形部209内に埋設されて、電気配線用金属部材201、第1樹脂成形部203及び第2樹脂成形部209が一体化されている。
【0041】
言い換えると、第3の実施の形態では、図3の縦断面図に示すように、電気配線用金属部材201の所定部分を縦断面で見たときの、電気配線用金属部材201の周囲の一部201Aが第1樹脂成形部203に埋設されており、電気配線用金属部材201の周囲の他の部分の一部(電気配線用金属部材201の残部201Bの一部が第2樹脂成形部209に直接埋設されると共に、第1樹脂成形部203が下面(露出表面203B)を外部に露出させた状態で第2樹脂成形部209に埋設されて一体化されている。第1樹脂成形部203が外部に露出している箇所の露出表面203Bから電気配線用金属部材201に至るまでの第1熱可塑性樹脂により形成した熱可塑性樹脂層203Aの厚みtは、第1の実施形態と同様である。
【0042】
なお、樹脂成形品の強度向上という観点からは、電気配線用金属部材の所定部分を縦断面で見たときの電気配線用金属部材の周囲全体が第1樹脂成形部及び/または第2樹脂成形部に埋設されていることが好ましい(図1及び図2参照)。しかし、設計上の理由や電気的接続のために、図3に示す第3の実施の形態のように、電気配線用金属部材201の所定部分を縦断面で見たときの、電気配線用金属部材201の周囲の一部に第1樹脂成形部203と第2樹脂成形部209のいずれにも埋設されていない部分203Dがあってもよい。
【0043】
第1熱可塑性樹脂により形成された第1樹脂成形部が外部に露出した露出表面から電気配線用金属部材に至る第1熱可塑性樹脂により形成した熱可塑性樹脂層を所定厚みに設定した箇所は、設計上の理由や放熱部材と接触させるために、その面積や個数を適宜選択することができる。
【0044】
また、第1の実施の形態では、電気配線用金属部材1の平面方向下面において、第1熱可塑性樹脂により形成された熱可塑性樹脂層3Aの下面(露出表面3B)を外部に露出させ、熱可塑性樹脂層3Aを介して放熱を行うようにしているが(図1参照)、第4及び第5の実施の形態のように、電気配線用金属部材301及び401の厚み方向の端面において、第1熱可塑性樹脂により形成された熱可塑性樹脂層303A,403Aの面を外部に露出させ、当該樹脂層を介して放熱を行うこともできる(図4及び図5参照)。
【0045】
これらの構成では、絶縁特性を維持しながら、高温になった電気配線用金属部材から第1熱可塑性樹脂により形成された熱可塑性樹脂層を介して十分な放熱特性を確保することができる。
【実施例】
【0046】
以下、本発明に係る樹脂成形品の実施例を説明する。なお、本実施例では、下記に示す材料を使用した。この場合、溶融粘度は、島津製作所製フローテスタCFT−500A型を用いて測定したものであり、所定温度で加熱溶融された樹脂を0.2kNの加重下で、内径:2mm,長さ:10mmのノズルから押し出した際の溶融粘度である。また、平均粒径は、公知のレーザー回折・散乱法による粒度測定装置(日機装株式会社製「マイクロトラックSPA−7997型」)を用いて測定したものであり、粒度分布を測定して得られた累積重量が50%であるときの粒子径である。
【0047】
マトリックス樹脂
(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂:DIC製「LR−300G」(300℃における溶融粘度170Pa・s)
(B)ポリフェニレンサルファイド樹脂:東レ製「A503F1」(300℃における溶融粘度:230Pa・s)
無機充填材
(1)窒化ホウ素:電気化学工業製「SGP」(粒子単体の平均粒径:18μm、形状:鱗片状)
(2)酸化マグネシウム:宇部興産社製「RF−50−C」(凝集体の平均粒径:50μm、形状:塊状(凝集体)、吸湿率:0.3%、表面処理:ビニルシラン処理)
実施例1〜6、比較例1〜4
(第1熱可塑性樹脂の準備)
マトリックス樹脂と無機充填材(窒化ホウ素及び酸化マグネシウム)をヘンシェルミキサで混合した後、2軸混練機を用いて溶融混練(シリンダ温度260〜320℃)し、ペレット状の第1熱可塑性樹脂を作製した。なお、マトリックス樹脂及び無機充填材は、実施例毎に表1〜2に示した材料を使用した。また、無機充填材の配合は、実施例毎に表1〜2に示した量となるよう調整した。
【0048】
(第2熱可塑性樹脂の準備)
マトリックス樹脂(B)をそのまま用い、強度向上のためのガラス繊維を含有した。
【0049】
図6に示すように、インサート部品となる電気配線用金属部材501,502をそれぞれ金型内へセットし、上記ペレット状の第1熱可塑性樹脂を、シリンダ温度280〜340℃、金型温度150℃、射出速度80mm/s、保圧力40MPaの条件で射出成形を行い、電気配線用金属部材501,502がそれぞれ一体化した第1樹脂成形部503を作製した。
【0050】
その後、第1樹脂成形部503と一体化した電気配線用金属部材501をインサート部品として、第2熱可塑性樹脂を、シリンダ温度280〜340℃、金型温度150℃、射出速度80mm/s、保圧力40MPaの条件で射出成形を行い、電気配線用金属部材501、第1樹脂成形部503及び第2樹脂成形部509が一体化した樹脂成形品505を作製した。このとき、第2熱可塑性樹脂は、上記マトリックス樹脂(B)を使用した。
【0051】
なお、本実施例における樹脂成形品505は、図6に示すように、スペーサ504(厚み1mmのポリフェニレンサルファイド樹脂板状体)を使用して、その両側に電気配線用金属部材501,502(厚み2mmの銅バスバー(C1100))を2枚配置した構成としている。これを、その一部が第1熱可塑性樹脂からなる第1樹脂成形部503に埋め込まれるようにインサート成形した。さらに、第1熱可塑性樹脂からなる第1樹脂成形部503を、その下面を露出するようにして第2熱可塑性樹脂からなる第2樹脂成形部509に埋め込んで一体化した樹脂成形品505とした。第1熱可塑性樹脂からなる第1樹脂成形部503が外部に露出している箇所において、表面から電気配線用金属部材501に至るまでの第1熱可塑性樹脂により形成された熱可塑性樹脂層の厚み(図6において「t」で示す)が、実施例毎に表1〜2に示した厚みになるように調整している。
【0052】
上記の各実施例と比較例における樹脂成形品について、熱伝導率、熱抵抗器温度、耐電圧性を評価した。また、第1熱可塑性樹脂の樹脂組成物について、成形性を評価した。その結果を表1〜2に示した。表中に示した各特性は、次のようにして評価した。
【0053】
熱伝導率:フラッシュ法装置(NETZSCH社製XeフラッシュアナライザLFA447型)を用いて行った(ASTM E1461準拠)。同装置で測定した熱拡散率に、アルキメデス法により測定した密度とDSC法により測定した比熱を乗じて、熱伝導率を求めた。なお、樹脂成形品における第1熱可塑性樹脂の樹脂層の面方向及び厚み方向について熱伝導率を評価した。
【0054】
熱抵抗器温度:図6に示す樹脂成形品505を用いて、放熱特性を評価した。樹脂成形品505は、第1熱可塑性樹脂層503Aが冷却機にグリースを介して圧着されている。この冷却機内は常時40℃の水が一定の流量で流れている。また電気配線用金属部材501には発熱素子(熱抵抗器)が実装されている。この発熱素子に15Wの電力を入力し、入力10分後の熱抵抗器温度を測定した。
【0055】
耐電圧性:図6に示す樹脂成形品505を用いて、耐電圧性を評価した。なお、この評価では、電気配線用金属部材501の直下に第1熱可塑性樹脂の樹脂層503Aを介して、アルミニウム板(材質:5052、形状、サイズは電気配線用金属部材501と同じ)にAC3.0kVの電圧を60秒間印加し、漏れ電流値を確認した。漏れ電流値が600μA以下の場合を、「○」、漏れ電流値が600μAを超える場合を「×」とした。
【0056】
耐湿絶縁性:図1に示す樹脂成形品を用いて、AC600Vを連続で印加した状態で、温度85℃、相対湿度85%の雰囲気下で、1000時間処理した。この樹脂成形品を、上記の耐電圧性に準じて、評価した。
【0057】
成形性:樹脂成形品505の外観から次の様に成形性を判断した。○:射出成形が可能である、△:射出成形が可能であるが、外観が一部不良であった、×:成形ができなかった。
【表1】

【表2】

【0058】
表1〜2から明らかなように、本発明に係る樹脂成形品は、電気配線用金属部材の一部が熱伝導率の比較的高い第1熱可塑性樹脂からなる第1樹脂成形部に直接埋設され、さらに、第1樹脂成形部の一部が第1熱可塑性樹脂より熱伝導率の低い第2熱可塑性樹脂による第2樹脂成形部に埋設されず外部に露出した箇所を残している。そして、この露出する箇所の露出表面から電気配線用金属部材に至るまでの第1熱可塑性樹脂により形成された熱可塑性樹脂層の厚みが0.4mm以上1mm以下の条件下で露出した箇所の樹脂層を介して放熱を行うことにより、加工工数や組み付け工数を少なくしながら、十分な放熱特性を確保できることが理解できる(実施例1〜6と比較例1〜4の対照)。特に、実施例1〜6では、第1熱可塑性樹脂の熱伝導率が1.2W/m・K以上であることも、放熱特性の維持に寄与したものと考えられる。
【0059】
比較例1及び4では、電気配線用金属部材の所定部分を縦断面で見たときの周囲を、熱伝導率1.2W/m・K未満の熱可塑性樹脂にて一体化しているため、放熱特性が不十分であり、熱抵抗器温度が高くなったものと考えられる。また、比較例2では、第1熱可塑性樹脂の樹脂層の厚みが1mmを超えているため、熱抵抗が高く、放熱特性が不十分であり、熱抵抗器温度が高くなったものと考えられる。また比較例3では、第1熱可塑性樹脂の樹脂層の厚みが0.4mm未満であるため、十分な成形ができなかったものと考えられる。
【符号の説明】
【0060】
1,101,201,301,401,501 電気配線用金属部材
1A,101A,201A 電気配線用金属部材の一部
3,103,203,303,403,503 第1樹脂成形部
3A,103A,203A,303A,403A,503A 熱可塑性樹脂層
3B,103B,203B,303B,403B,503B 露出表面
9,109,209,309,409,509 第2樹脂成形部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気配線用金属部材をインサート部品として有し、前記電気配線用金属部材の一部が電気絶縁性の熱可塑性樹脂からなる樹脂成形部に埋設されるようにインサート成形された樹脂成形品であって、
前記電気配線用金属部材の一部が、第1熱可塑性樹脂からなる第1樹脂成形部内に直接埋設され、
前記第1樹脂成形部の一部が前記第1熱可塑性樹脂より熱伝導率の低い第2熱可塑性樹脂からなる第2樹脂成形部内に埋設されるか、前記電気配線用金属部材の残部の全部または一部が前記第2熱可塑性樹脂からなる第2樹脂成形部内に埋設されて、前記電気配線用金属部材、前記第1樹脂成形部及び前記第2樹脂成形部が一体化されており、
前記第1樹脂成形部は前記第2樹脂成形部に埋設されずに外部に露出した箇所を有し、当該箇所の露出表面から前記電気配線用金属部材に至るまでの前記第1熱可塑性樹脂により形成された熱可塑性樹脂層の厚みが0.4〜1mmであることを特徴とする樹脂成形品。
【請求項2】
前記第1熱可塑性樹脂の熱伝導率が1.2W/m・K以上である請求項1に記載の樹脂成形品。
【請求項3】
前記第1熱可塑性樹脂は、マトリックス樹脂と無機充填材を含み、
前記無機充填材の熱伝導率が30W/m・K以上であり、
前記無機充填材の含有量が前記マトリックス樹脂と前記無機充填材の合計体積に対して20〜50体積%であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂成形品。
【請求項4】
前記マトリックス樹脂は、ポリアリーレンサルファイド樹脂である請求項3に記載の樹脂成形品。
【請求項5】
前記ポリアリーレンサルファイド樹脂は、ポリフェニレンサルファイド樹脂であり、かつ、300℃における溶融粘度が170Pa・s以下である請求項4に記載の樹脂成形品。
【請求項6】
前記マトリックス樹脂は、溶融状態で液晶性を示す溶融液晶性樹脂であり、かつ、290℃における溶融粘度が90Pa・s以下である請求項3に記載の樹脂成形品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−236298(P2012−236298A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105664(P2011−105664)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000001203)新神戸電機株式会社 (518)
【Fターム(参考)】