説明

欠陥検査方法及びその装置

【課題】被検査対象基板上に繰り返して形成される様々な回路パターン上に生じる欠陥または異物を、光学条件に依存せず、正常な回路パターンと弁別して欠陥を検出する欠陥検査方法及びその装置を提供することにある。
【解決手段】被検査対象基板から取得した画像信号に対して、着目画素を含むその周囲に切り出す着目局所領域と、前記着目画素に対応する複数の対応画素の各々を含むその周囲に切り出す複数の対応局所領域の各々を設定し、該設定された着目局所領域の画像信号と前記局所領域設定ステップで設定された複数の対応局所領域の画像信号との類似度を探索し、該探索される類似度情報を用いて、前記着目局所領域の画像信号に類似する前記対応局所領域の画像信号を複数決定し、該決定した前記複数の対応局所領域の画像信号と前記着目局所領域の画像信号とを比較して総合的に欠陥を判定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LSI、液晶やプラズマディスプレイなどのFPD基板を製造する際に生じる欠陥の検査方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2000−105203号公報(特許文献1)において、LSIや液晶基板を製造する際に生じる異物または欠陥の検査に関して、被検査対象基板上に存在する回路パターンの繰返しパターン(密な繰返しであり、ダイのような繰返しではない)からの回折光パターンを空間フィルタによって遮光することも述べられている。更には、欠陥判定過程において、本来同一の回路パターンが形成された箇所またはその近傍から得られる信号を基にしてばらつきを算出し、算出されたばらつきに基づいて判定基準(しきい値)を設定し、異物等の欠陥を示す信号を抽出することが述べられている。
【0003】
また、特開平10−90192号公報(特許文献2)において、サンプル上の第1パターンの検査点に存在する欠陥を探索する為に、同じデザインの第2パターンの少なくとも1つの既知の検査応答を参照することを特徴とした欠陥検査方法とその装置について述べられている。検査に当っては、サンプル上の第1及び第2パターン上では互いに同等の観察点を用いる事が重要であり、少なくとも1回の探索を行いそれに依って少なくとも2つの検査応答を発生させ、その2つの応答(暗視野と明視野からの応答信号が代表的である)は、光電的手法で別々に検出し、別々に比較して、個別に差分信号(第1と第2パターン間の)を形成する技術について述べられている。即ち、第1パターンに於ける第1と第2応答を検出しその結果を各々対応する第2パターンのそれぞれの同じ検査点からの2つの応答との間でそれぞれ比較処理を実施し、その結果として応答の第1と第2の差分信号を形成する。
【0004】
個別に作られた差分信号は、一元的に第1パターン欠陥のリストを決定する為にデータ処理をする。具体的には、この第1及び第2の差分信号をまとめてデータ処理を施し、一元的な第1パターンの欠陥リストを決定する事が出来る。または、第1パターン欠陥リストにはその後データ処理を実行する。そして、既知で無害なサンプル表面に見られる虚偽欠陥を抽出してそれを排除する。一方、その様な既知の無害な虚偽欠陥は参考としてユーザーに提供する。更に、多様な検査探索を追加して、検査応答を増やして、サンプルから2つ以上の光学応答を得て処理する様にする。これにより検査精度は更に向上する。その上、透過性サンプルに於いては、光電検出器をその後方に設置して透過光に依る検査応答を収集し前記のパターン欠陥リストの精度をもっと向上させる様にする事が出来てサンプル内部に埋もれた欠陥を探索する様にする事も可能であるとしている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−105203号公報
【特許文献2】特開平10−90192号公報
【非特許文献1】T.Hiroi,S.Maeda,H.Kubota,K.Watanabe,Y.Nakagawa「Precise Visual Inspection for LSI Wafer Patterns Using Subpixel Image Alignment」、Proc. of 2nd IEEE workshop on Applications of Computer Vision (1994)
【非特許文献2】K.Takeda,S.Kaneko,T.Tanaka,K.Sakai,S.Maeda,Y.Nakagaw「Interpolation-based Absolute Gradient Matching and Its Application for LSI Wafer Inspection」, QCAV 2005, May18-20(2005)
【非特許文献3】喜多泰代「二次元濃度ヒストグラムを用いた画像間変化抽出」電子情報通信学会論文誌Vol. J90-D、No. 8、pp. 1957-1965
【非特許文献4】佐野真道,加藤丈和,和田俊和,酒井薫,前田俊二「パターンの近接性と密度推定に基づく1クラス識別器」,MIRU2008,IS3-6(2008)
【非特許文献5】浜松 玲,渋谷久恵,西山英利,大島良正,前田俊二,野口稔の「背景別統計的しきい値法を用いた半導体ウェハ検査技術」,View2004(2004)
【非特許文献6】浅海徹哉,加藤丈和,和田俊和,酒井薫,前田俊二「顕著性に基づく外観検査のための異常検出アルゴリズム」,MIRU2008,IS5-2(2008)
【非特許文献7】前田俊二,酒井 薫,岡部隆史:散布図情報を用いたLSIウェーハ薄膜多層パターン比較検査アルゴリズム,信学論,J88-D-II,7(2005)1173.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LSIやFPD基板を製造する際に、被加工対象物(例えば半導体ウェハ)上に形成されるパターンとしては、DRAM(Dynamic Random Access Memory)部に代表されるような繰返しパターン(密な繰返し)や、ロジックに代表されるようなランダムパターン(非繰返しパターン)がある。そして、後に切断されてひとつのメモリ素子やプロセッサ素子を形成する単位であるダイが、ウェハ基板上に形成される。このようなLSIやFPD(Flat Panel Display)基板の製造において、被加工対象物の表面に異物が付着したりまたは欠陥が発生すると、例えば、配線の絶縁不良や短絡などの不良原因となる。回路パターンの微細化に伴い、被加工対象物上に形成されるパターン(非欠陥部)と、微細な異物や欠陥を弁別することが困難になってきており、例えば、異物や各種の欠陥(配線ショート、断線、パターン細り、パターン太り、スクラッチ、穴非開口など)を検出可能な光学条件(照明の波長、照明の偏光、照明方位、照明仰角、照明ビームの開口数、検出方位、検出仰角、検出する偏光、および検出開口数など)が欠陥ごとに異なる場合には、欠陥種ごとに光学条件を変える必要がある。更には、単一の光学条件では非欠陥部との弁別が困難な場合があり、この場合には、同一種の欠陥についても、複数の光学条件で検査を実施する必要があり、検査速度(スループット)の低下を余儀なくされる場合が生じるようになってきた。
【0007】
さらに、パターンのラフネスや膜厚の変動などにより、欠陥に比べて、正常部の違いが相対的に大きく、光学条件を適切に選んだとしても、欠陥判定を行うしきい値の設定が困難になりつつある。特に、光学条件ごとに、しきい値を設定する必要があり、検査レシピの作成に時間を要する。
【0008】
本発明の目的は、上記課題を解決すべく、LSIやFPD基板の製造において、被加工対象物形成される様々なパターン上に生じる欠陥または異物を、光学条件に依存せず、正常な回路パターンと弁別して欠陥を検査する欠陥検査方法及びその装置を提供することにある。特に、半導体回路パターンの検査では、高感度化のための検出画素寸法の縮小(これによりスループット低下を招く)、φ300mmからφ450mmへと言ったウェハ径の大口径化、露光やエッチングの際のマージンが不足する箇所であるホットスポットに代表される問題箇所の限定検査などに伴い、ウェハ全面でなく、部分検査が必須になっているが、従来方式では対応できない。
【0009】
そこで、本発明の他の目的は、光学条件が多数あっても、比較対象の画像信号が少ない場合でも、安定に検査することを可能とする欠陥検査方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、例えばダイによって繰り返される回路パターンが形成された被検査対象基板から画像信号を取得し、該取得された画像信号を基に被検査対象基板上に存在する欠陥を検査する欠陥検査方法及びその装置であって、前記取得した画像信号に対して、着目画素を含むその周囲に切り出す着目局所領域と、前記着目画素に対応する複数の対応画素の各々を含むその周囲に切り出す複数の対応局所領域の各々を設定する局所領域設定ステップと、該局所領域設定ステップで設定された前記各対応局所領域から切り出された画像信号を基に前記対応局所領域間のジョイントヒストグラム特徴空間を形成する形成ステップと、該形成ステップで形成されたジョイントヒストグラム特徴空間を基にしきい値を決定するしきい値決定ステップと、該しきい値決定ステップで決定されたしきい値を用いて、前記着目局所領域と前記対応局所領域との差画像を基に前記着目局所領域に存在する前記欠陥を検出する欠陥検出ステップとを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記形成ステップにおいて、前記対応局所領域は、画素毎に特徴量にて分類し、カテゴリごとにジョイントヒストグラム特徴空間を形成することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記形成ステップにおいて、前記対応局所領域間のジョイントヒストグラム特徴空間は、前記切り出された対応局所領域間の画像信号から求めた差と明るさを軸にして形成されることを特徴とする。
また、本発明は、前記しきい値決定ステップにおいて、前記形成ステップで形成された前記対応局所領域間のジョイントヒストグラム特徴空間から凸包を算出し、該算出した凸包から前記しきい値を決定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記しきい値決定ステップにおいて、前記形成ステップで形成された前記対応局所領域間のジョイントヒストグラム特徴空間から差の最大値(最大濃淡差)(Diff)と該差の最大値が算出されたときの明るさ(Bs)とを算出し、該算出された差の最大値(Diff)及びそのときの明るさ(Bs)を用いて、前記局所領域設定ステップで設定された前記着目局所領域から切り出された画像信号から得られる明るさ(Bf)を基に前記しきい値を決定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記しきい値決定ステップにおいて、画像照合精度を加味したしきい値加算を行うことを特徴とする。
また、本発明は、さらに、前記局所領域設定ステップの前に、光学系の劣化を表すポイントスプレッドファンクションを用いて前記被検査対象基板から取得される前記画像信号の劣化を復元する画質改善ステップを有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、繰り返される回路パターンが形成された被検査対象基板から画像信号を取得し、該取得された画像信号を基に被検査対象基板上に存在する欠陥を検査する欠陥検査方法であって、前記取得した画像信号に対して、着目画素を含むその周囲に切り出す着目局所領域と、前記着目画素に対応する複数の対応画素の各々を含むその周囲に切り出す複数の対応局所領域の各々を設定する局所領域設定ステップと、該局所領域設定ステップで設定された着目局所領域の画像信号と前記局所領域設定ステップで設定された複数の対応局所領域の画像信号との類似度を探索する探索ステップと、該探索ステップで探索される類似度情報を用いて、前記着目局所領域の画像信号に類似する前記対応局所領域の画像信号を複数決定する決定ステップと、該決定ステップで決定した前記複数の対応局所領域の画像信号と前記着目局所領域の画像信号とを比較して多値論理等により総合的に欠陥を判定する欠陥判定ステップとを有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記欠陥検査方法において、さらに、前記局所領域設定ステップで設定された前記各対応局所領域から切り出された画像信号を基に前記対応局所領域間のジョイントヒストグラム特徴空間を形成する形成ステップと、該形成ステップで形成されたジョイントヒストグラム特徴空間を基にしきい値を決定するしきい値決定ステップと、該しきい値決定ステップで決定されたしきい値を用いて、前記着目局所領域と前記対応局所領域との差画像を基に前記着目局所領域に存在する前記欠陥を検出する欠陥検出ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、微細化、大口径化が進む半導体ウェハやFPD基板において、パターンのラフネスや膜厚むらに影響されることなく、微細な欠陥を高感度に検出することが可能となる。特に、各種光学条件によらず、正常な回路パターンと弁別して欠陥を検出することが可能となる。さらに、少数ダイや少数データにおいても、検査可能であり、さらにはダイ内のホットスポットに代表される問題箇所の限定検査も可能である。
【0018】
また、本発明によれば、着目ダイから遠いダイはパターン形状の相違が予想されるため、ダイは近傍に限定して、不要な情報を排除する一方、近傍ダイ内では比較すべき比較相手を多く定めることにより、ある意味、性質の似た近傍の領域を対象に欠陥を判定し、総合的に判断して高感度な欠陥抽出を行うことが可能となると共にシステマティック欠陥についても検査が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係る欠陥検査方法及びその装置の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0020】
なお、説明を簡略化するために、同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0021】
図1(a)は、本発明に係る欠陥検査装置の一実施の形態である暗視野欠陥検査装置の概略構成を示す図であり、図1(b)は、半導体ウェハを示す平面図である。暗視野欠陥検査装置は、半導体ウェハ(被検査対象基板)Wの表面を半導体ウェハWの法線方向に対して角度を有した方向(以下、仰角と呼ぶ)で所定の方位方向から暗視野照明する暗視野照明光学系(図示せず)と、検出光学系20とを備えて構成される。暗視野照明光学系(図示せず)には、例えばP偏光又はS偏光の照明光を照明するように構成しても良い。検出光学系20は、暗視野照明された半導体ウェハ(被検査対象基板)Wからの反射光(散乱光および回折光を含む)を集光する対物レンズ22と、フーリエ変換面に設置された空間フィルタ28と、該空間フィルタ28を通過した反射光(散乱光および回折光を含む)を結像する結像レンズ29と、該結像レンズ29で結像された光像を受光して光電変換する例えばリニアセンサ30とを備えて構成される。検出光学系20には、特定成分の偏光光をリニアセンサ30で検出できるように光軸を中心に回転角度調整される検光子を備えて構成しても良い。
【0022】
ところで、例えばX方向に走査される半導体ウェハWの表面を、照明光200により半導体ウェハWの法線方向に対して角度を有した仰角方向で所定の方位方向から暗視野照明し、半導体ウェハW上に例えば長手方向がY方向に向いた線状ビーム300を形成する。該線状ビーム300により半導体ウェハ上の異物、欠陥、パターンから散乱、回折された光は、例えば半導体ウェハの法線方向に平行な方向(つまり上方)から、対物レンズ22により集光される。半導体ウェハWに形成されたパターンが密な繰返し形状の場合、該繰返しパターン(周期性を有する回路パターン)から発生する回折光は、対物レンズ22の射出瞳、即ちフーリエ変換面に規則的な間隔で回折像として集光するため、前記フーリエ変換面に置かれた空間フィルタ28により遮光される。繰返しパターン以外、即ち、前記半導体ウェハW上の異物、欠陥、パターンからの回折、散乱光は、前記空間フィルタ28を通過し、結像レンズ30へと導かれ、例えばリニアセンサ30上に結像される。
【0023】
図2(a)は撮像するリニアセンサの一実施例を示す斜視図であり、図2(b)は撮像するリニアセンサの画素を示す図である。図2(a)に示すように、リニアセンサ30の画素31は1次元に配列されている。図2(b)に示すように、半導体ウェハW上に投影されたセンサ画素53を線状ビーム300のスポットサイズの範囲に収まるように検出倍率を設定しておけば、線状領域から発生する回折、散乱光を一括して検出できる。前記半導体ウェハWは、X、Yステージ(図示せず)に搭置され、該X、Yステージにより前記半導体ウェハWをXおよびY方向に走査することで、該半導体ウェハWの2次元画像を得る。この時、主たる走査方向を線状ビーム300の長手方向に対して垂直な方向、即ちX方向とし、Y方向には半導体ウェハW上に投影されたセンサ画素53の長さ分だけステップ移動することで、半導体ウェハWの全面を高速で検査できる。該リニアセンサ30で受光された回折、散乱光は、光電変換されて画像信号400として本発明の特徴とする信号処理が実行される信号処理部100に送られる。
【0024】
次に、本発明の特徴とする信号処理部100の第1の実施の形態について説明する。信号処理部の第1の実施の形態は、メモリ(記憶装置)を有するコンピュータによって構成され、着目ダイから取得される第1の画像信号と該着目ダイに対して隣接する隣接ダイ(繰り返し回路パターン)を比較対象にした実物同士の比較検査が実行される。即ち、信号処理部100は、図3に示すように、プログラムに従って、入力された画像信号400に対して(1)光学系劣化復元による画質改善が行われて画像メモリ(図示せず)に記憶される(S31)。次に、画像メモリから切り出された着目ダイと隣接ダイ同士で画像照合(画像位置合せ)が行われ(S32)、次に(2)着目ダイにおける着目画素を含むその周囲近傍に着目局所領域と、隣接ダイ又は着目ダイに前記着目画素に対応する複数の対応画素の位置に該対応画素を含むその周囲近傍に対応局所領域Rを設定し(S33)、(3−5)該設定した複数の対応局所領域Rを対象に、画素毎に特徴量にて分類し(各画素をカテゴリ分けし)(S34)、該カテゴリ毎に、ジョイントヒストグラム特徴空間を作成し(S35)、該作成したジョイントヒストグラム特徴空間にて、しきい値(Th1)を算出し(S36)、(6)画像照合精度を加味したしきい値加算を行い(S37)、着目ダイの着目局所領域の画像信号と隣接ダイ又は着目ダイの複数の対応局所領域の画像信号との比較において、上記しきい値(Th1)により2値化して欠陥1001を検出する(S38)手順が実行されることになる。
【0025】
信号処理部100は、さらに、外部入・出力系102を有する全体制御部101と接続され、外部からパラメータなどの設定、変更ができるようになっている。また全体制御部101には、マウスやキーボード、プリンタなどの外部機器103が接続されている。従って、信号処理部での信号処理の一部を全体制御部101で実行しても良い。
【0026】
次に、信号処理部100において実行する本発明の特徴とする信号処理の実施の形態について図4乃至図8を用いて順次説明する。なお、図1に示した実施の形態により得られた画像信号を対象にする。
【0027】
最初の画質改善(S31)は、取得した画像信号の画質を補正(改善)するものである。図4に処理の実施例を示す。光学系の劣化を表すポイントスプレッドファンクション(点像分布関数)を用いて、画像の劣化を復元したものである。復元には、ベイズの定理を利用したRichardson-Lucy法や、Iterative Back Projection (IBP)法、Bilateral Filterを用いたTotal Variation (BTV)法などがあり、図4にRichardson-Lucy法による結果を示す。この復元画像を用いて欠陥を判定すると、暗視野画像では点状に光る欠陥に関して、欠陥の信号強度がとくに向上し、さらにノイズ除去の効果も併せもつため、欠陥検出感度が向上することを確認した。
【0028】
次に、所定の光学条件での比較対象を、図5(I)に示すように、着目ダイ(46b)と、該着目ダイ(46b)の近傍に位置するダイ、例えば、左右両隣の隣接ダイ(46a、46c)とに着目する。もちろん左右でなく、上下に並んだ隣接ダイでも構わない。ここでは、着目ダイ及び左右の隣接ダイを含む三つのダイ(46a、46b、46c)を比較対象にする。三つのダイの画像信号を、同図左からf1(x,y)、f2(x,y)、f3(x,y)とする。ステップS32において、これらの画像信号について、まずAGM(Absolute Gradient Matching),NCC(Normal Cross Correlation)等によって画像照合を実施し、画像信号の位置合せを行う。画像照合は、例えば、T.Hiroi,S.Maeda,H.Kubota,K.Watanabe,Y.Nakagawa「Precise Visual Inspection for LSI Wafer Patterns Using Subpixel Image Alignment」、Proc. of 2nd IEEE workshop on Applications of Computer Vision (1994)(非特許文献1)に記載の方法などにより、サブピクセルの精度で画像信号の位置を合わせることができる。また、K.Takeda,S.Kaneko,T.Tanaka,K.Sakai,S.Maeda,Y.Nakagawa「Interpolation-based Absolute Gradient Matching and Its Application for LSI Wafer Inspection」, QCAV 2005, May18-20(2005)(非特許文献2)に記載の方法も適用可能である。
【0029】
次に、ステップS33において、図5(II)に示すように、着目画素の周囲近傍の着目局所領域の欠陥を判定することを考え、次に、例えば隣接ダイの画像信号f1、f3に対して上記着目画素に対応する対応画素の周囲近傍に対応局所領域Rを設定する。該対応局所領域Rは、例えば着目ダイに隣接する隣接ダイの画像信号f1、f3に対して、着目ダイの画像信号f2における着目画素に対応する対応画素を含み、その周囲近傍に設定される。対応局所領域Rのサイズは、対象パターンのテクノロジーノード、光学倍率や検出画素寸法に依存するが、7×7画素、13×13画素、33×33画素など、種々の設定が可能である。
【0030】
ここでの着眼点は、対象データを限定し、多くのデータを含めないことである。多くのデータを含めると、ダイ間のばらつきが反映されるメリットがあるが、比較すべき対象ダイ以外の過剰な情報をもつことにもつながるため、ここでは、最小限のデータとするため、対象ダイを近傍ダイ(例えば隣接ダイ)に限定し、さらにダイ内の領域も対応局所領域Rに設定する。例えば、ダイは、着目ダイが挟み撃ちとなるよう、例えば両隣のダイとする。勿論、複数の対応局所領域Rに対して着目局所領域が挟み撃ちとなるように着目ダイ上であってもよい。上記対応局所領域Rは、欠陥を含まないとする(高い確率で、この仮定が成り立つ)。なお、欠陥を含んでいても、実質弊害はない。
【0031】
次に、ステップS34、S35において、これら複数の対応局所領域を対象にして、図6(III)に示すように、対応局所領域にて各画素を
LIM(前田俊二,酒井 薫,岡部隆史:散布図情報を用いたLSIウェーハ薄膜多層パターン比較検査アルゴリズム,信学論,J88-D-II,7(2005)1173. (非特許文献7)に記載の方法)
と同様にカテゴリ分けし、ジョイントヒストグラム特徴空間を形成する。ジョイントヒストグラム特徴空間とは散布図であり、局所領域のジョイントヒストグラム特徴空間は、例えば、対応局所領域の画像信号f1(x,y),f3(x,y)から求めた差と明るさ(諧調値f1,f3)を軸にして形成したデータの散布図である。図6には、差として、f1−f3、f1−f3の絶対値を、局所領域の大きさを変えて示した。軸の刻みは、階調単位でなく、ある程度の単位でまとめてもよい。なお、対応局所領域Rの大きさをあまり小さくすると、データの傾向がつかめないことがわかる。データの境界がある程度、明確になるように、対応局所領域の大きさを設定することが望ましい。なお、ジョイントヒストグラム特徴空間は、二次元の濃度ヒストグラムを指すことも多いが、2次元以上の多次元でも構わない。
【0032】
さらに、総度数で正規化すると、確率密度関数として扱える。ジョイントヒストグラム特徴空間を確率密度関数として考えると、エントロピーや相互情報量、カルバック・ライブラー情報量またはカルバック・ライブラー・ダイバージェンス(Kullback-Leibler divergence)などの概念が適用可能となる。
【0033】
一般に、確率密度分布のばらつきの大きさは、その分布の情報量(エントロピー)で評価することができる。ばらつきが一様分布のときにエントロピーは最大になり、ある位置にのみ分布が集中しているときにエントロピーは最小となる。2枚の画像をAとBとしたとき、これらの画像のジョイントヒストグラムから算出される情報量H(A,B)(ジョイントエントロピー)は、2枚の画像が無相関のときに最大H(A)+H(B)となり、相関が高くなるに従い小さくなる。
【0034】
カルバック・ライブラー情報量とは、確率論と情報理論における2つの確率分布(真の確率分布Pと任意の確率分布Q)の差の尺度である。情報ダイバージェンス(Information divergence)、情報利得(Information gain)、相対エントロピー(Relative entropy)とも呼ばれるものである。
【0035】
なお、対応局所領域Rのジョイントヒストグラム特徴空間は、各画素を特徴量により分けて、類似した特徴をもつ画素毎に形成すると、より好ましい。ここで、特徴量は、明るさ、微分値、標準偏差など、既存のものが使用可能である。
【0036】
切り出された複数の対応局所領域Rの画像信号から求めた、対応画素の明るさを軸にしてジョイントヒストグラム特徴空間を形成し、確率密度関数として捉え、相互情報量などを数値として算出すると、対応局所領域の画像信号がどの程度、類似しているかも、判断できる。もちろん、画像信号間の位置のずれも評価可能である。すなわち、ジョイントヒストグラム特徴空間は、画像信号間での対応画素の存在確率を表し、画像信号間の変形によって分布が変化する。この分布が小さくまとまるように画像信号を変形することで、画像信号間のレジストレーションを行うこともできる。上述した画像照合の方法も、この相互情報量等により、精度を評価できる。
【0037】
なお、ジョイントヒストグラムは、喜多泰代「二次元濃度ヒストグラムを用いた画像間変化抽出」電子情報通信学会論文誌Vol. J90-D、No. 8、pp. 1957-1965(非特許文献3)などに記載がある。
【0038】
次に、ステップS36において、図6(IV)に示すように、ジョイントヒストグラム特徴空間にて、明るさ(f1,f3)と差(|f1−f3|)との関係を凸包(包絡線)により、表現する。そして、各明るさ(f1,f3)に対する差の値(|f1−f3|)を着目局所領域において欠陥を判定するためのしきい値(Th1)として採用する。
【0039】
ここでの着眼点は、データのばらつきを求めず、境界を積極的に求めることである。従って、
・包絡線(凸包、R−凹包)を求める、
・特徴空間に、局所部分空間法を適用(例えば、k近傍の重心(centroid))、
・頻度少数(例えば、頻度1)の点を区分的に結ぶ、
などの手法により、境界を求める。
【0040】
このほかにも、生成形の識別器を用いて境界を定めても良いし、識別形の識別器を用いて境界を定めても良い。
【0041】
ここで、凸包は、点集合の全ての点や、多角形の全ての頂点を含む凸多角形で、その面積が最小のものを指している。凸包の計算は、包装法、Grahamの走査法、逐次構成法、分割統治法などが知られている。上記R−凹包は、佐野真道,加藤丈和,和田俊和,酒井薫,前田俊二「パターンの近接性と密度推定に基づく1クラス識別器」,MIRU2008,IS3-6(2008)(非特許文献4)に記載された、凸包をベースにした方法である。
【0042】
k近傍の重心(centroid)とは、差の最大値に関して、その周辺のk個のデータに関してそれらの重心をしきい値とすることである。対応局所領域内の画素が正常と仮定できない場合に、この方法は有効である。パラメータkは、例えば3と設定する。R−凹包と同様に、最大値近傍のデータの密度に応じて、しきい値にマージンを加味することも可能である。
【0043】
なお、比較方法が、ダイ間の差に基づく方法であれば、対応局所領域のジョイントヒストグラム特徴空間の軸は、画像信号から求めた差と明るさが妥当であり、ダイ間の差に基づかず、例えば微分値の差に基づく方法であれば、対応局所領域のジョイントヒストグラム特徴空間の軸は、画像信号を微分して求めた差と微分値が妥当である。何を比較して欠陥を検出するかにより、ジョイントヒストグラム特徴空間の軸を決めることになる。
【0044】
上述した方法により、着目局所領域における欠陥判定のためのしきい値(Th1)が算出される。
【0045】
次に、図7(IV-I)(IV-II)を用いて、しきい値算出の簡易版について説明する。即ち、対応局所領域Rのジョイントヒストグラム特徴空間において、線形性を仮定し、まず差の絶対値の最大値(最大濃淡差)(Diff)を算出する。次に、次に示す(1)式或いは(2)式により、しきい値Th1を設定する。
Th1=Diff×Bf/Bs (1)
なお、Bfは最大濃淡差Diffを生む両隣のダイ(f1,f3)の明るさを示し、Bsは着目画素(f2の位置)の明るさを示す。
Th1=Diff×f2(x,y)/(max(f1(x,y),f3(x,y))
Th1=Diff×f2(x,y)/(f1(x,y)+f3(x,y))/2 (2)
画像信号から求めた差と明るさにおいて、境界データが線形性をもつならば、計算が簡単になることを意味している。
【0046】
次に、ステップS37において、図8(V)に示すように、最後に、求めたしきい値Th1に対して、残存する位置ずれを考慮して(画像照合精度を加味して)、しきい値Th2を次に示す(3)式とする。
Th2=Th1+k2×grad(f2(x,y)) (3)
ここで、grad(f2(x,y))は、画像信号の微分値である。k2は重みパラメータであり、例えば0.3程度の値である。
【0047】
さらに、図8(VI)に示すように、しきい値を周囲の8画素近傍に、例えば1画素分伝播して、最終的なしきい値とする。
【0048】
なお、図8(VII)に示すように、ウェハの外周に近いダイ(エッジダイ)では、パターンの出来が悪く、これをある程度許容する目的で、対応局所領域Rの明るさばらつきσを求め、このばらつき(標準偏差など)σでしきい値を補正する。即ち、エッジダイでは、エッジファクタ(上記σ比を掛け算する。)を加味してしきい値を補正する。
【0049】
以上説明したように、本発明の特徴とする信号処理部100の第1の実施の形態では、三つのダイ(f1,f2,f3)を用いて検査することについて説明したが、これは、ダイ数が少ないウェハ周辺も確実に検査できることを示している。従来例としては、浜松 玲,渋谷久恵,西山英利,大島良正,前田俊二,野口稔の「背景別統計的しきい値法を用いた半導体ウェハ検査技術」,View2004(2004)(非特許文献5)に記載の方法があり、ここでは、しきい値を安定に決めるためには多くのダイから明るさ情報を取得することを必要となるが、本第1の実施の形態では、ダイ数が少なくても確実に検査でき、図9に示すように、ウェハ周辺のエッジダイやそれと隣接するダイも検査可能となる。すなわち、回路パターンが完全には形成されていない不完全ダイでも回路パターンの形成されている領域や、不完全ダイに隣接するダイも、検査可能である。
【0050】
即ち、本発明の特徴とする信号処理部100の第2の実施の形態では次に説明する第1の処理手順をとる。図9において、
(S41)隣接ダイにて類似対応局所領域を、例えば、画素単位で画像内を順次探索し、その都度、類似度をもとめ、
(S42)求められた類似度に基づき並べ替えを行い、
(S43)隣接ダイにて、着目画素(着目局所領域)に最も類似している対応局所領域を決定し、
(S44)着目画素(着目局所領域)と類似局所領域Ωとの比較
を順次行う。
上記比較は、例えば、図3のS34から、S38までを通して、実施される。手順の変形も可能である。
【0051】
類似度は、局所領域内の画素間に関する差の絶対値和や、二乗和のルート、或いは相関係数などである。顕著性 (saliency)と呼ばれる概念が適用でき、例えば、浅海徹哉,加藤丈和,和田俊和,酒井薫,前田俊二「顕著性に基づく外観検査のための異常検出アルゴリズム」,MIRU2008,IS5-2(2008)(非特許文献6)に顕著性の記載があり、この手法が適用できる。上述した相互情報量なども使用可能である。
【0052】
なお、類似度の算出の際、画像の位置ずれ検出も同時に実施できるが、補間等を用いてサブピクセルレベルで実施すると、感度がより向上することになる。
【0053】
もし、類似度が低く、類似度が設定したしきい値より低い場合には、比較検査不可として、未検査として出力する。しきい値は、前もって定めるものとする。未検査とされた場合、その画素はあとで詳細に解析される。例えば、ダイごとの検査結果を重ね合わせ、その頻度を調べるといった処理を行う。
【0054】
また、図10に示すように、ウェハの一部を限定検査したい場合にも、本第2の実施の形態では、多くのダイを検査することが不要であり、検査したいダイの周辺のみを対象にすれば、実現できるというメリットがある。例えば、ウェハを十字状に検査することや、ウェハ上の上下中央の5点を検査することも可能である。例えば、上述した非特許文献6では、1スワス分(ステージを一方向にスキャンしながら、イメージセンサで取得した、ウェハ両端をカバーする横一列の画像)の複数ダイを対象にしきい値を決定しており、一部のダイを検査する場合でも、ウェハ両端をカバーする横一列の画像を取得する必要があるが、本第2の実施の形態では、検査領域をいかに限定しようが、最低限のダイを対象にして検査可能であり、スループットが低下しない。さらには露光やエッチングの際のマージンが不足する箇所であるホットスポットに代表される問題箇所のダイ内限定検査も可能である。すなわち、限定領域に関するしきい値決定のための情報を、最低限のダイから求めればよく、不要な画像検出やステージ移動を行う必要がない。
【0055】
次に、本発明の特徴とする信号処理部100の第2の実施の形態における第2の処理手順について図11を用いて説明する。信号処理部100の第2の実施の形態における第2の処理手順は、ダイ内比較の別の実施例であり、次の通りとなる。
(S51)隣接ダイにて類似対応局所領域を探索し、
(S52)類似度に基づき並べ替えを行い、
(S53)隣接ダイにて、着目画素(着目局所領域)に類似している対応局所領域R1、R2、R3、・・・を決定し、
(S54)着目画素(着目局所領域)と対応局所領域R1、R2、R3との比較を行い、
(S55)多数決など多値論理にて、欠陥判定を行う。
【0056】
上記第2の処理手順に従えば、1対多の比較と多値論理により、各ダイ共通のシステマティック欠陥(露光装置に起因した欠陥など)があっても対応可能であり、また、多数の相手と比較を行うため、パターンのラフネス等があっても、高感度に検査可能となる。ここで、多値論理とは、多数決論理でもよいし、しきい値を設けた論理判定でもよい。
従来は1対1の比較であり、このような1対複という比較がされておらず、新規な概念であるといえる。ダイ数は限定し、ダイ比較に本来必要なばらつきをきちっと求め、これにより不要な情報を排除したが、近傍ダイ内では比較すべき比較相手を多く定め、ある意味、性質の似た近傍の領域を対象に欠陥判定を行い、総合的に判断して高感度な欠陥抽出を行うものである。この1対複の比較という概念は、比較に必要な情報を適切に扱うという意味で、先進的と考える。
【0057】
1対複の具体的な比較論理は、
(1)少なくても1箇所の不一致が出れば欠陥と判定し、しきい値以上の個数の不一致が出れば欠陥と判定し、すべて不一致となれば欠陥と判定するなどの2値論理や、
(2)欠陥判定の前の差画像の状態で該差を加算してしきい値以上になれば欠陥と判定し、前記差の最小値を検出してしきい値以上になれば欠陥と判定し、前記差の最大値を検出してしきい値以上になれば欠陥と判定するなどの多値論理が考えられる。ここで、それぞれの差の値は、類似度に応じて、重みをつけてもよい。さらには、
(3)複数の差信号を、多次元のデータとして扱うこともできる。すなわち、ベクトルとしてとらえ、ベクトルの長さや向きにより、欠陥判定を行う。
【0058】
なお、検査の前に、処理手順S51からS54までを実行しておけば、検査スループットが低下することはない。さらに、隣接ダイをウェハ内部側の隣接ダイとすれば、高々2ダイあれば検査することができる。
【0059】
上記第2の処理手順において、同一ダイ内の比較を含んでよいことにすると、パターンの変動が小さく、より高感度な検査が実現できることになる。図12に、第3の処理手順を示す。即ち、信号処理部100で実行する第3の処理手順は次の通りである。
(S61)隣接ダイ及び着目ダイにて類似対応局所領域を探索し、
(S62)類似度に基づき並べ替えを行い、
(S63)隣接ダイ及び着目ダイにて、着目画素(着目局所領域)に類似している対応局所領域R1、R2、R3、・・・を決定し、
(S64)着目画素(着目局所領域)と対応局所領域R1、R2、R3との比較を行い、
(S65)多数決など多値論理にて、欠陥判定を行う。
【0060】
1対複の具体的な比較論理は、上述したものと同様であるが、着目ダイ内の比較では、局所領域間の類似度が高いと予想される。このため、例えば、重みを設定する場合は、その差に対する重みが大きいことになる。
【0061】
上述した信号処理部100での第1及び第2の実施の形態はすべて、図1に示した暗視野検査の画像を対象にしたものである。異物や各種の欠陥(配線ショート、断線、パターン細り、パターン太り、スクラッチ、穴非開口など)を検出可能な光学条件(照明の波長、照明の偏光、照明方位、照明仰角、照明ビームの開口数、検出方位、検出仰角、検出する偏光、および検出開口数など)が欠陥ごとに異なるため、欠陥種ごとに光学条件を変える必要があるが、条件を変えても、何ら問題なく本第1及び第2の実施の形態は適用可能である。
【0062】
次に、各種光学条件を最適化するための手法の一実施例について説明する。図13にはウェハの平面図を示す。欠陥4が検出したい欠陥である。欠陥4が非周期パターン領域にある場合を示している。非周期的空間フィルタ(図示せず)の最適化を行うためには、欠陥の散乱光分布を把握する必要がある。照明光は広い範囲に照明されているため、欠陥4のみの散乱光分布を検出するためには、図13に示すように、検出光学系20に配置した視野絞り(図示せず)により欠陥部近傍のみに開口形状26を設定する必要がある。この開口のサイズは欠陥の大きさや周辺パターンとの位置関係に応じて変化する。この絞りの開口の大きさは、LSIパターンでは、一辺の寸法が半導体ウェハ(被検査対象基板)W上にて1〜10mm程度が適切な大きさである(円形開口の場合は、外径に対応する)。この検出光学系の視野絞りにより、フーリエ変換面に形成されるフーリエ変換像を観察する観察カメラ(図示せず)で検出される散乱光分布は、主に欠陥からの散乱光分布となり、この散乱光の輝度が高いところに非周期的空間フィルタの開口を設定することにより、欠陥からの散乱光を検出し、正常パターンからの散乱光を抑制することが可能となる。
【0063】
次に、検出したい欠陥の光学条件を最適化して設定する手順について図14を用いて説明する。即ち、全体制御部101のGUI(Graphic User Interface)において、最初に試行する光学条件を選択する(S81)。次に、全体制御部101のGUIにおいて、図13に示す画面を基に検出光学系20の視野絞りの開口形状を欠陥近傍に設定する(S82)。次に、上記GUIにおいて、固定の光学条件(照明光の波長帯域、照明光量、結像レンズ29の結像倍率等)を設定する(S83)。次に、上記GUIにおいて、試行したい光学条件を設定する(S84)。
【0064】
試行条件の候補としては、例えば、
1.照明光学系
(1−1)照明光200の仰角(ウェハ面から照明光の光軸のなす角)
(1−2)照明光200の照明方位(例えば、ウェハのノッチ方位を基準としてこれとなす角度或いは、装置のXステージの走行方向を基準としてこれとなす角度)
(1−3)照明光200の偏光(P偏光、S偏光等)
(1−4)照明光200のNA
2.検出光学系(20)
(2−1)特定成分の偏光を検出する検光子(図示せず)の回転角度
(2−2)空間フィルタ28の開口形状と複屈折材(上記条件が決定してから選択)
などがある。
【0065】
これらの条件を、欠陥ごとに適切に振りながら、各種欠陥に応じて、下記のループにて最適化を実施する。
【0066】
即ち、検出光学系20の第1の観察カメラ(図示せず)で観察される欠陥部の暗視野像と第2の観察カメラ(図示せず)で観察される欠陥部のフーリエ変換像とを取得して信号処理部100の画像メモリに記憶する(S85)。次に、隣接するダイに半導体ウェハWを移動する(S86)。この隣接するダイでも、検出光学系20の第1の観察カメラで観察される正常部の暗視野像と第2の観察カメラで観察される正常部のフーリエ変換像とを取得して信号処理部100の画像メモリに記憶する(S87)。そして、信号処理部100は、これら欠陥部の暗視野像及びフーリエ変換像と、隣接ダイの正常部の暗視野像及びフーリエ変換像との差画像を算出して信号処理部100の画像メモリに記憶する(S88)。信号処理部100または全体制御部101は、ステップS89において、試行光学条件が終了したか否かを判定し、終了していない場合はこれを繰り返す。なお、第1及び第2の観察カメラは、光学条件を設定する際、暗視野像及びフーリエ変換像を観察できるように光路を切替できるように構成される。
【0067】
次に、信号処理部100または全体制御部101は、様々な試行した光学条件での欠陥部の暗視野像と正常部の暗視野像との差画像を基に欠陥部の散乱光分布と正常部の散乱光分布とを比較して分布の異なる光学条件を算出してその光学条件をGUI等に出力する(S90)。このとき、信号処理部100または全体制御部101は、欠陥部のフーリエ変換像と正常部のフーリエ変換像との差画像なども活用して、欠陥部と正常部の散乱光分布の違う光学条件を判定してその光学条件をGUI等に出力する。なお、散乱光分布の違いとは、正常部に対して欠陥部の散乱光が比較的強い光学条件や、正常部からの散乱光が出ていない光学条件において欠陥部の散乱光がある光学条件などである。これにより、信号処理部100または全体制御部101は、欠陥部からの散乱光をより多く、効率的に検出可能な光学条件を把握し、これを選択する(S91)。この選択条件は、1条件ではなく複数あっても良い。
【0068】
これらの光学条件設定手順(S81〜S91)により、欠陥部からの散乱光がより多く検出できる光学条件と、欠陥部からの散乱光が生じるフーリエ変換面上の位置とが把握できる。次に、フーリエ変換面上において空間フィルタ28の開口部と欠陥部からの散乱光分布と重なる領域を算出し、この領域が広い光学条件を選択する(S92)。
【0069】
以上により、信号処理部100または全体制御部101は、光学条件の絞込みが終了する(S93)。絞り込んだ条件が複数ある場合は、絞り込んだ条件にてテスト検査を行い、このテスト検査の結果より欠陥の検出と正常パターンの分別性能が高い条件を選択して、光学条件の設定が終了する。
【0070】
なお、以上の実施例で説明した構成や機能及び条件出し内容については、様々な組合せが考えられる。また、各種欠陥を高速に検出するためには、異なる光学条件で同時に画像を検出することが必要であるが、この場合も各光学条件の設定は同様の手順となる。
【0071】
また、複数の光学条件にて画像を検出する場合、画像の量がイメージセンサの数に応じて膨大になるが、本実施例では、図15に示すように局所領域ジョイントヒストグラム空間形成(S33〜S35)、しきい値生成(S36)、比較による欠陥判定(S37,S38)を実行する対象画素(図5に示す着目画素に対する両隣りのダイの局所領域R)を極力限定しており、その意味で、複数の光学条件A,B,Cの場合でも、処理が大規模にならないという利点がある。すなわち、信号処理部100において、画像処理の各ブロック1001a(S33〜S35)、1001b(S36)、1001c(S37,S38)の構成に必要なメモリ容量などが少量で済み、低コストで実現できることになる。従って、DSP(Digital Signal Processor)は言うに及ばす、プログラミング可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)などにより、構成しやすいというメリットがある。すなわち、複数のイメージセンサを用い、複数の光学条件下での、同時画像検出、欠陥判定に、本発明の方法が適していると言える。
【0072】
なお、図1において、照明光200をレーザとしたが、ランプを用いてもよい。また、照明光源の波長の光は短波長であってもよく、また、広帯域の波長の光(白色光)であってもよい。波長帯を適切に選択すれば、さらに欠陥検出感度の向上が期待できる。短波長の光を用いる場合は、検出する画像の分解能を上げる(微細な欠陥を検出する)ために、紫外領域の波長の光(Ultra Violet Light:UV光)を用いることもできる。レーザを光源として用いる場合は、それが単波長のレーザである場合には、図示していない可干渉性を低減する手段を備えることも可能である(時間的、空間的な低干渉化)。イメージセンサ30には、複数の1次元イメージセンサを2次元に配列して構成した時間遅延積分型のイメージセンサ(TDI(Time Delay Integration)イメージセンサ)を採用し、ステージの移動と同期して各1次元イメージセンサが検出した信号を次段の1次元イメージセンサに転送して加算することにより、高感度に2次元画像を得ることが可能になる。このTDIイメージセンサとして複数の出力タップを備えた並列出力タイプのセンサを用いることにより、センサからの出力を並列に処理することができ、より高速な検出も可能になる。勿論、CMOS形のリニアセンサでもよい。CMOSの場合、ダイナミックレンジを拡大したりすることも可能である。
【0073】
本発明の適用対象は、暗視野検査の画像以外に、明視野検査の画像にも適用できる。明視野検査の場合も、照明光源はレーザであってもよいし、ランプであってもよい。また、電子線検査の画像にも適用できることは言うまでもない。いずれも、光学系の違いの影響を受けることなく、少数データからしきい値を決定でき、高感度な欠陥判定が行える。また、1対多の比較と多値論理により、各ダイ共通のシステマティック欠陥(露光装置に起因した欠陥など)があっても対応可能であり、また、多数の相手と比較を行うため、パターンのラフネス等があっても、高感度に検査可能となる。
【0074】
以上述べたように、各種検査装置において、複数の光学条件に対応する複数のイメージセンサ出力に対して、ウェハ上のダイを着目ダイ近傍に限定して選び、選んだダイにおいて、局所領域をそれぞれ設定し、そこから明るさデータを抽出し、抽出した明るさデータから、ジョイントヒストグラム特徴空間を用いて、欠陥判定に必要な、有効な情報を抽出し、これによって、欠陥判定しきい値を求め、高感度な比較判定を行うという、当初の目的が達成される。
【0075】
半導体ウェハ以外の、マスクやレチクル、液晶やプラズマディスプレイなどのFPD基板などに適用できることは言うまでもない。ダイのように繰返しパターンを有する基板ならば、何にでも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明によれば、半導体の製造における異物・欠陥検査装置として利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る欠陥検査装置の一実施の形態を示す概略図及び半導体ウェハを示す平面図である。
【図2】本発明に係る欠陥検査装置におけるリニアセンサと被検査対象基板上の照明エリアと、被検査対象基板上に投影された画素を示す図である。
【図3】本発明に係る欠陥検査装置における信号処理部の第1の実施の形態である処理手順を示すフロー図である。
【図4】本発明に係る欠陥検査装置における信号処理部の第1の実施の形態において実行される画質改善の実施例(Richardson-Lucyと呼ばれる手法)の説明図である。
【図5】本発明に係る欠陥検査装置における信号処理部の第1の実施の形態において、(I)所定の光学条件での三つのダイを比較対象にした画像照合と、(II)着目画素を有する着目ダイの両隣りのダイに設定される対応局所領域Rとを示す図である。
【図6】本発明に係る欠陥検査装置における信号処理部の第1の実施の形態において、(III)は対応局所領域間にて作成するジョイントヒストグラム特徴空間の説明図であり、(IV)は対応局所領域間のジョイントヒストグラム特徴空間からしきい値を決定する手順のその1の説明図である。
【図7】本発明に係る欠陥検査装置における信号処理部の第1の実施の形態において、(IV-I)(IV-II)の各々は、対応局所領域間のジョイントヒストグラム特徴空間からしきい値を決定する手順のその1の簡易版の説明図である。
【図8】本発明に係る欠陥検査装置における信号処理部の第1の実施の形態において、(V)(VI)(VII)の各々は、しきい値を決定する手順のその2の説明図である。
【図9】本発明に係る欠陥検査装置における信号処理部の第2の実施の形態において実行されるウェハエッジダイ(不完全ダイ)と完全ダイとの場合の第1の処理手順の説明図である。
【図10】本発明に係る欠陥検査装置における信号処理部の第2の実施の形態において実行される検査領域の限定の説明図である。
【図11】本発明に係る欠陥検査装置における信号処理部の第2の実施の形態において実行されるダイ内比較方式の第2の処理手順の説明図である。
【図12】本発明に係る欠陥検査装置における信号処理部の第2の実施の形態において実行されるダイ内比較方式の第3の処理手順の説明図である。
【図13】本発明に係る不規則パターン上の欠陥のみの散乱光分布を検出するために、欠陥部近傍のみに開口形状を設定する場合の説明図である。
【図14】本発明に係る欠陥検査装置における光学条件の設定手順を示すフロー図である。
【図15】本発明に係る複数の光学条件設定に対応した欠陥判定ブロックの説明図である。
【符号の説明】
【0078】
4・・・欠陥、20・・・検出光学系、22・・・対物レンズ、26・・・開口形状、28・・・空間フィルタ、29・・・結像レンズ、30・・・リニアセンサ(1次元イメージセンサ)、31・・・画素、46a、46b、46c・・・ダイ(チップとも呼ばれる)、53・・・ウェハ上に投影されたリニアセンサの画素、100・・・信号処理部、101・・・全体制御部、102・・・外部入・出力系、1031・・・外部表示装置、103・・・周辺機器、200・・・照明光、300・・・線状ビーム、400・・・センサ出力(画像信号)、1000a・・・対応局所領域ジョイントヒストグラム特徴空間形成部、1000b・・・しきい値生成部、1000c・・・局所領域比較部、W・・・ウェハ(被検査対象基板)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り返される回路パターンが形成された被検査対象基板から画像信号を取得し、該取得された画像信号を基に被検査対象基板上に存在する欠陥を検査する欠陥検査方法であって、
前記取得した画像信号に対して、着目画素を含むその周囲に切り出す着目局所領域と、前記着目画素に対応する複数の対応画素の各々を含むその周囲に切り出す複数の対応局所領域の各々を設定する局所領域設定ステップと、
該局所領域設定ステップで設定された前記各対応局所領域から切り出された画像信号を基に前記対応局所領域間のジョイントヒストグラム特徴空間を形成する形成ステップと、
該形成ステップで形成されたジョイントヒストグラム特徴空間を基にしきい値を決定するしきい値決定ステップと、
該しきい値決定ステップで決定されたしきい値を用いて、前記着目局所領域と前記対応局所領域との差画像を基に前記着目局所領域に存在する前記欠陥を検出する欠陥検出ステップとを有することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項2】
前記形成ステップにおいて、前記対応局所領域間のジョイントヒストグラム特徴空間は、前記切り出された対応局所領域間の画像信号から求めた差と明るさを軸にして形成されることを特徴とする請求項1記載の欠陥検査方法。
【請求項3】
前記しきい値決定ステップにおいて、前記形成ステップで形成された前記対応局所領域間のジョイントヒストグラム特徴空間から凸包を算出し、該算出した凸包から前記しきい値を決定することを特徴とする請求項2記載の欠陥検査方法。
【請求項4】
前記しきい値決定ステップにおいて、前記形成ステップで形成された前記対応局所領域間のジョイントヒストグラム特徴空間から差の最大値(Diff)と該差の最大値が算出されたときの明るさ(Bs)とを算出し、該算出された差の最大値(Diff)及びそのときの明るさ(Bs)を用いて、前記局所領域設定ステップで設定された前記着目局所領域から切り出された画像信号から得られる明るさ(Bf)を基に前記しきい値を決定することを特徴とする請求項2記載の欠陥検査方法。
【請求項5】
さらに、前記局所領域設定ステップの前に、光学系の劣化を表すポイントスプレッドファンクションを用いて前記被検査対象基板から取得される前記画像信号の劣化を復元する画質改善ステップを有することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査方法。
【請求項6】
繰り返される回路パターンが形成された被検査対象基板から画像信号を取得し、該取得された画像信号を基に被検査対象基板上に存在する欠陥を検査する欠陥検査方法であって、
前記取得した画像信号に対して、着目画素を含むその周囲に切り出す着目局所領域と、前記着目画素に対応する複数の対応画素の各々を含むその周囲に切り出す複数の対応局所領域の各々を設定する局所領域設定ステップと、
該局所領域設定ステップで設定された着目局所領域の画像信号と前記局所領域設定ステップで設定された複数の対応局所領域の画像信号との類似度を探索する探索ステップと、
該探索ステップで探索される類似度情報を用いて、前記着目局所領域の画像信号に類似する前記対応局所領域の画像信号を複数決定する決定ステップと、
該決定ステップで決定した前記複数の対応局所領域の画像信号と前記着目局所領域の画像信号とを比較して総合的に欠陥を判定する欠陥判定ステップとを有することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項7】
さらに、前記局所領域設定ステップで設定された前記各対応局所領域から切り出された画像信号を基に前記対応局所領域間のジョイントヒストグラム特徴空間を形成する形成ステップと、
該形成ステップで形成されたジョイントヒストグラム特徴空間を基にしきい値を決定するしきい値決定ステップと、
該しきい値決定ステップで決定されたしきい値を用いて、前記着目局所領域と前記対応局所領域との差画像を基に前記着目局所領域に存在する前記欠陥を検出する欠陥検出ステップとを有することを特徴とする請求項6記載の欠陥検査方法。
【請求項8】
繰り返される回路パターンが形成された被検査対象基板から画像信号を取得し、該取得された画像信号を基に被検査対象基板上に存在する欠陥を検査する欠陥検査装置であって、
前記取得した画像信号に対して、着目画素を含むその周囲に切り出す着目局所領域と、前記着目画素に対応する複数の対応画素の各々を含むその周囲に切り出す複数の対応局所領域の各々を設定する局所領域設定手段と、
該局所領域設定手段により設定された前記各対応局所領域から切り出された画像信号を基に前記対応局所領域間のジョイントヒストグラム特徴空間を形成する形成手段と、
該形成手段により形成されたジョイントヒストグラム特徴空間を基にしきい値を決定するしきい値決定手段と、
該しきい値決定手段により決定されたしきい値を用いて、前記着目局所領域と前記対応局所領域との差画像を基に前記着目局所領域に存在する前記欠陥を検出する欠陥検出手段とを備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項9】
前記形成手段において、前記対応局所領域間のジョイントヒストグラム特徴空間は、前記切り出された対応局所領域間の画像信号から求めた差と明るさを軸にして形成されるように構成することを特徴とする請求項8記載の欠陥検査装置。
【請求項10】
前記しきい値決定手段において、前記形成手段により形成された前記対応局所領域間のジョイントヒストグラム特徴空間から凸包を算出し、該算出した凸包から前記しきい値を決定するように構成することを特徴とする請求項9記載の欠陥検査装置。
【請求項11】
前記しきい値決定手段において、前記形成手段により形成された前記対応局所領域間のジョイントヒストグラム特徴空間から差の最大値(Diff)と該差の最大値が算出されたときの明るさ(Bs)とを算出し、該算出された差の最大値(Diff)及びそのときの明るさ(Bs)を用いて、前記局所領域設定ステップで設定された前記着目局所領域から切り出された画像信号から得られる明るさ(Bf)を基に前記しきい値を決定するように構成することを特徴とする請求項9記載の欠陥検査装置。
【請求項12】
さらに、光学系の劣化を表すポイントスプレッドファンクションを用いて前記被検査対象基板から取得される前記画像信号の劣化を復元する画質改善手段を備えたことを特徴とする請求項8記載の欠陥検査装置。
【請求項13】
繰り返される回路パターンが形成された被検査対象基板から画像信号を取得し、該取得された画像信号を基に被検査対象基板上に存在する欠陥を検査する欠陥検査装置であって、
前記取得した画像信号に対して、着目画素を含むその周囲に切り出す着目局所領域と、前記着目画素に対応する複数の対応画素の各々を含むその周囲に切り出す複数の対応局所領域の各々を設定する局所領域設定手段と、
該局所領域設定手段により設定された着目局所領域の画像信号と前記局所領域設定手段により設定された複数の対応局所領域の画像信号との類似度を探索する探索手段と、
該探索手段により探索される類似度情報を用いて、前記着目局所領域の画像信号に類似する前記対応局所領域の画像信号を複数決定する決定手段と、
該決定手段により決定した前記複数の対応局所領域の画像信号と前記着目局所領域の画像信号とを比較して総合的に欠陥を判定する欠陥判定手段とを備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項14】
さらに、前記局所領域設定手段により設定された前記各対応局所領域から切り出された画像信号を基に前記対応局所領域間のジョイントヒストグラム特徴空間を形成する形成手段と、
該形成手段により形成されたジョイントヒストグラム特徴空間を基にしきい値を決定するしきい値決定手段と、
該しきい値決定手段により決定されたしきい値を用いて、前記着目局所領域と前記対応局所領域との差画像を基に前記着目局所領域に存在する前記欠陥を検出する欠陥検出手段とを備えたことを特徴とする請求項13記載の欠陥検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−151655(P2010−151655A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330894(P2008−330894)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】