説明

液晶表示装置

【課題】駆動電圧を低減させ、より高コントラスト化を可能とするブルー相を示す液晶材料を用いた液晶表示装置を提供することを目的の一とする。
【解決手段】ブルー相を示す液晶層を含む液晶表示装置において、第1の電極層(画素電極層)上に第1の壁状構造体、同様に第2の電極層(共通電極層)上に第2の壁状構造体を設け、これらを誘電体膜で被覆する構成とする。誘電体膜は、第1の壁状構造体及び第2の壁状構造体及び液晶層に用いられる液晶材料の誘電率より高い誘電率を有する絶縁体であり、液晶層に突出するように設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
液晶表示装置及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄型、軽量化を図った表示装置(所謂フラットパネルディスプレイ)には液晶素子を有する液晶表示装置、自発光素子を有する発光装置、フィールドエミッションディスプレイ(FED)などが競合し、開発されている。
【0003】
液晶表示装置においては、液晶分子の応答速度の高速化が求められている。液晶の表示モードは種々あるが、中でも高速応答可能な液晶モードとしてFLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、ブルー相を示す液晶を用いるモードがあげられる。
【0004】
特にブルー相を示す液晶を使用するモードは配向膜が不要であり、かつ広視野角化が得られるので、実用化に向けてより研究が行われている(例えば特許文献1参照)。特許文献1は、ブルー相の出現する温度範囲を広げるために、液晶に高分子安定化処理を行う報告である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第05/090520号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液晶表示装置における問題として高いコントラストを実現するためには、白透過率(白表示時の光の透過率)が大きいことが必要である。ブルー相は高電圧印加により劣化を生じるため、低駆動電圧動作を実現するためには、均一な電界を印加し液晶層にかかる負荷を低減させることが必要である。
【0007】
上記の現状を鑑み、駆動電圧を低減させ、ブルー相を示す液晶層の信頼性を向上させた、液晶表示装置を提供することを目的とする。また、より高コントラストのブルー相を示す液晶層を用いた液晶表示装置を提供することを目的とする。また、生産性及び歩留まりを向上させ製造コストを低減させた、ブルー相を示す液晶層を用いた液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の基板(素子基板ともいう)に形成された画素電極層及び共通電極層と、第2の基板(対向基板ともいう)は液晶層を間に挟んでシール材によって固着されている。ブルー相を示す液晶層を含む液晶表示装置において、基板に概略平行(すなわち水平な方向)な電界を生じさせて、基板と平行な面内で液晶分子を動かして、階調を制御する方式を用いることができる。このような方式として、IPS(In−Plane−Switching)モードで用いる電極構成が適用できる。
【0009】
IPSモードなどに示される横電界モードは、液晶層の下方に開口パターンを有する第1の電極層(例えば各画素別に電圧が制御される画素電極層)及び第2の電極層(例えば全画素に共通の電圧が供給される共通電極層)を配置する。第1の電極層及び第2の電極層は、平面形状でなく、様々な開口パターンを有し、屈曲部や枝分かれした櫛歯状を含む。第1の電極層及び第2の電極層はその電極間に電界を発生させるため、同形状で重ならない配置とする。
【0010】
画素電極層と共通電極層との間に電界を加えることで、液晶分子を制御できる。液晶分子を、基板と平行な方向で制御できるため、視野角が広くなる。
【0011】
本明細書に開示する液晶表示装置は、第1の電極層及び第2の電極層が設けられた第1の基板(素子基板)と、第2の基板(対向基板)とが液晶層を間に挟んでシール材によって固着されており、第1の電極層(画素電極層)上に第1の壁状構造体、同様に第2の電極層(共通電極層)上に第2の壁状構造体が設けられ、第1の電極層及び第1の電極層上に設けられた第1の壁状構造体を被覆し、同様に第2の電極層及び第2の電極層上に設けられた第2の壁状構造体を被覆する誘電体膜が設けられる構成とする。誘電体膜は、第1の壁状構造体、第2の壁状構造体及び液晶層に用いられる液晶材料の誘電率より高い誘電率を有する絶縁膜である。
【0012】
液晶層中に第1の電極層上に低誘電率の第1の壁状構造体を形成しこれらを高誘電率の誘電体膜で被覆した構成、同様に第2の電極層上に低誘電率の第2の壁状構造体を形成しこれらを高誘電率の誘電体膜で被覆した構成を設ける事で、第1の電極層及び第2の電極層間に電圧を印加した時、該構造体間により広く電界を形成することができる。
【0013】
ブルー相を示す液晶層は電界が生じている局所的な範囲でしか液晶分子の配向を変化させることができないが、低誘電率の材料で形成された構造体を高誘電率の材料で形成された誘電体膜で被覆する構成とすることで、液晶層中により広く電界を形成することができるため、これらの電界が生じている該広範囲で液晶分子の配向を変化させることができる。従って、白透過率を向上させることができ、ブルー相を示す液晶層を用いた液晶表示装置においてコントラストを高くすることができる。
【0014】
また、電界の部分集中に対して影響を受けやすいブルー相を示す液晶層にかかる負荷を低減させて駆動させることが可能となるためブルー相を示す液晶層の信頼性を向上させ、駆動電圧を低減させることができる。
【0015】
また、構造体の高さ制御が容易になるため生産性及び歩留まりを向上させ製造コストを低減させることができる。
【0016】
なお、第2の基板と液晶層との間にカラーフィルタとして機能する着色層やブラックマトリクスとして機能する遮光層、また絶縁層などを形成する場合、第2の基板において液晶層と接する層と誘電体膜は接する構造となる。
【0017】
第1の壁状構造体、第2の壁状構造体及び誘電体膜は絶縁性材料(有機材料及び無機材料)を用いた絶縁体で形成することができる。代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性、熱硬化性、又は熱可塑性の樹脂を用いるのが好ましい。例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アミン樹脂、プルラン誘導体などを用いることができる。また、無機材料と有機材料との有機無機コンポジット材料を用いてもよく、例えば、チタン酸バリウムと有機樹脂等の有機無機コンポジット材料を用いることができる。誘電体膜は第1の壁状構造体、第2の壁状構造体及び液晶層に用いられる液晶材料の誘電率より高い誘電率を有する材料を用いる。誘電率が12以上の材料が好ましい。また誘電率が20以上の材料が特に好ましい。
【0018】
なお、第1の壁状構造体及び第2の壁状構造体の形状は、柱状、錐形の先端が平面である断面が台形の形状、錐形の先端が丸いドーム状などを用いることができる。また、第1の壁状構造体及び第2の壁状構造体は第1の電極層又は第2の電極層の形状を反映して同形状に設けられてもよいが、液晶層を充填させるために画素領域において空隙を形成しないような形状とする。誘電体膜の形状は、該膜厚に差があってもよい。なお第1の電極層と第2の電極層との間隔は0.2μm〜10μm(より好ましくは0.2μm〜2μm)が好ましく、代表的には0.8μm〜2μmが好ましい。
【0019】
また、液晶層の膜厚(セルギャップ)は、5μm以上20μm以下程度とすることが好ましく第1の壁状構造体及び第2の壁状構造体の高さ(膜厚)は、1.0μm以上、液晶層の膜厚(セルギャップ)以下程度とすることが好ましい。なお誘電体膜の高さ(膜厚)は、100nm以上であれば、十分に効果を得ることができる。
【0020】
誘電体膜を第2の基板に接するように設ける場合、構造体及び誘電体膜をスペーサとして機能させることができる。この場合、第1の壁状構造体の高さと該構造体を被覆する誘電体膜の高さの和(膜厚の和)及び第2の壁状構造体の高さと該構造体を被覆する誘電体膜の高さの和(膜厚の和)はほぼ液晶層の厚さとなる。また、誘電体膜を積層構造としてもよい。第2の基板に第1の壁状構造体及び第2の壁状構造体及び誘電体膜を設ける場合、第1の基板及び第2の基板を貼り合わせる時に、該誘電体膜同士が接するようにして、積層構造を形成してもよい。なお、第2の基板と液晶層との間にカラーフィルタとして機能する着色層やブラックマトリクスとして機能する遮光層、また絶縁層などを形成する場合、第2の基板において液晶層と接する膜と誘電体膜は接する構造となる。
【0021】
誘電体膜で被覆された第1の壁状構造体及び誘電体膜で被覆された第2の壁状構造体は第1の電極層及び第2の電極層上に選択的に設けられてもよい。例えば、第1の電極層及び第2の電極層の形状が複雑な場合、第1の壁状構造体及び第2の壁状構造体を選択的に設けることで、液晶材料の注入、充填工程が容易になり工程時間も短くてすむ。なお、第1の壁状構造体が設けられていない第1の電極層及び第2の壁状構造体が設けられていない第2の電極層が誘電体膜で被覆されていてもよい。
【0022】
第1の壁状構造体及び第2の壁状構造体は、第1の電極層及び第2の電極層上を覆うように絶縁膜を形成し、絶縁膜を選択的にエッチングして形成することができる。このエッチング工程において、第1の電極層及び第2の電極層の間の絶縁膜は完全に除去されず部分的に残存させてもよい(残存部分を第3の壁状構造体ともいう)。また、誘電体膜は、第1の電極層上に設けられた第1の壁状構造体及び第2の電極層上に設けられた第2の壁状構造体の表面を被覆する絶縁膜によって形成されるが、第1の電極層及び第2の電極層の間の絶縁膜を選択的にエッチングして完全に除去してもよい。
【0023】
本明細書において、第1の電極層(画素電極層)及び第2の電極層(共通電極層)が有する形状としては、空隙を形成せず開かれた櫛歯状のようなパターンを用いる。第1の電極層と第2の電極層とは接せず、互いの櫛歯状のパターンがかみ合うように同一の絶縁表面(例えば同一基板や同一絶縁膜)に設けられる。
【0024】
本明細書では、薄膜トランジスタ、第1の電極層(画素電極層)、第2の電極層(共通電極層)及び層間膜が形成されている基板を素子基板(第1の基板)といい、該素子基板と液晶層を介して対向する基板を対向基板(第2の基板)という。
【0025】
液晶層には、ブルー相を示す液晶材料を用いる。ブルー相を示す液晶材料は、応答速度が1msec以下と短く高速応答が可能であるため、液晶表示装置の高性能化が可能になる。
【0026】
ブルー相を示す液晶材料として液晶及びカイラル剤を含む。カイラル剤は、液晶を螺旋構造に配向させ、ブルー相を発現させるために用いる。例えば、数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶材料を液晶層に用いればよい。
【0027】
液晶は、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、強誘電液晶、反強誘電液晶等を用いる。
【0028】
カイラル剤は、液晶に対する相溶性が良く、かつ捩れ力の強い材料を用いる。また、R体、S体のどちらか片方の材料が良く、R体とS体の割合が50:50のラセミ体は使用しない。
【0029】
上記液晶材料は、条件により、コレステリック相、コレステリックブルー相、スメクチック相、スメクチックブルー相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
【0030】
ブルー相であるコレステリックブルー相及びスメクチックブルー相は、螺旋ピッチが500nm以下とピッチの比較的短いコレステリック相またはスメクチック相を有する液晶材料にみられる。液晶材料の配向は二重ねじれ構造を有する。電圧印加によって配向が変化して光学的変調作用が生じる。ブルー相は光学的に等方であるため視野角依存性がなく、配向膜を形成しなくとも良いため、表示画像の質の向上及びコスト削減が可能である。
【0031】
また、ブルー相は狭い温度範囲でしか発現が難しく、温度範囲を広く改善するために液晶材料に、光硬化樹脂及び光重合開始剤を添加し、高分子安定化処理を行うことが好ましい。高分子安定化処理は、液晶、カイラル剤、光硬化樹脂、及び光重合開始剤を含む液晶材料に、光硬化樹脂、及び光重合開始剤が反応する波長の光を照射して行う。この高分子安定化処理は、等方相を示す液晶材料に光照射して行っても良いし、温度制御してブルー相を発現した液晶材料に光照射して行ってもよい。
【0032】
本明細書で開示する発明の構成の一形態は、ブルー相を示す液晶材料を含む液晶層を挟持する第1の基板及び第2の基板と、第1の基板に形成されている開口パターンを有する第1の電極層及び第2の電極層と、第1の電極層上に設けられた第1の壁状構造体と、第2の電極層上に設けられた第2の壁状構造体と、第1の壁状構造体を被覆し、同様に第2の壁状構造体を被覆する誘電体膜とを有し、誘電体膜の誘電率は、第1の壁状構造体、第2の壁状構造体及び液晶層の誘電率より高い。
【0033】
本明細書で開示する発明の構成の他の一形態は、ブルー相を示す液晶材料を含む液晶層を挟持する第1の基板及び第2の基板と、第1の基板に形成されている開口パターンを有する第1の電極層及び第2の電極層と、第1の電極層上に設けられた第1の壁状構造体と、第2の電極層上に設けられた第2の壁状構造体と、第1の壁状構造体を被覆し、同様に第2の壁状構造体を被覆する誘電体膜とを有し、第1の電極層、第2の電極層、第1の壁状構造体、第2の壁状構造体を被覆する誘電体膜は、第2の基板と接し、誘電体膜の誘電率は、第1の壁状構造体、第2の壁状構造体及び液晶層の誘電率より高い。
【0034】
ブルー相を示す液晶層を用いるため、配向膜を形成する必要がないため、画素電極層(第1の電極層)と液晶層とは接し、かつ共通電極層(第2の電極層)と液晶層とも接する構成となる。
【0035】
なお、第1、第2、第3などとして付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順又は積層順を示すものではない。また、本明細書において発明を特定するための事項として固有の名称を示すものではない。
【0036】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【発明の効果】
【0037】
ブルー相を示す液晶層を用いた液晶表示装置において、駆動電圧を低減させブルー相を示す液晶層の信頼性を向上させることができる。また、ブルー相を示す液晶層を用いた液晶表示装置において、生産性及び歩留まりを向上させ製造コストを低減させることができる。また、ブルー相を示す液晶層を用いた液晶表示装置において、コントラスト比を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】液晶表示装置を説明する図。
【図2】液晶表示装置を説明する図。
【図3】液晶表示装置を説明する図。
【図4】液晶表示装置を説明する図。
【図5】液晶表示装置を説明する図。
【図6】液晶表示装置を説明する図。
【図7】液晶表示装置における電界モードの計算結果を説明する図。
【図8】液晶表示装置における電界モードの計算結果を説明する図。
【図9】液晶表示装置を説明する図。
【図10】液晶表示装置を説明する図。
【図11】液晶表示装置の作製方法を説明する図。
【図12】液晶表示装置を説明する図。
【図13】液晶表示モジュールを説明する図。
【図14】液晶表示装置の作製方法を説明する図。
【図15】テレビジョン装置及びデジタルフォトフレームの例を示す外観図。
【図16】遊技機の例を示す外観図。
【図17】携帯電話機の一例を示す外観図。
【図18】液晶表示装置を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、開示する発明は以下の説明に限定されず、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0040】
(実施の形態1)
液晶表示装置を、図1乃至図9を用いて説明する。
【0041】
図1、図2、図4は液晶表示装置の断面図である。
【0042】
図1(A)は、第1の基板200と第2の基板201とが、ブルー相を示す液晶材料を用いた液晶層208を間に挟持して対向するように配置された液晶表示装置である。第1の基板200と液晶層208との間には各画素別に電圧が制御される画素電極層である第1の電極層230a、230b、第1の壁状構造体233a、233b、全画素に共通の電圧が供給される共通電極層である第2の電極層232a、232b、232c、第2の壁状構造体234a、234b、234c、これらを被覆する誘電体膜235が設けられている。第1の電極層230a、230b上に第1の壁状構造体233a、233bを形成し、これらを誘電体膜235で被覆した構成、同様に、第2の電極層232a、232b、232c上に第2の壁状構造体234a、234b、234cを形成し、これらを誘電体膜235で被覆した構成は、液晶層208中に設けられている。
【0043】
なお、第1の電極層230a、230b、及び第2の電極層232a、232b、232cは平板状ではなく、開口パターンを有する形状であるために、図1の断面図においては分断された複数の電極層として示される。
【0044】
ブルー相を示す液晶層208を含む液晶表示装置において、IPSモードで用いる電極構成が適用できる。
【0045】
IPSモードなどに示される横電界モードは、液晶層208の下方に開口パターンを有する第1の電極層230a、230b及び第2の電極層232a、232b、232cを配置する。第1の電極層230a、230b及び第2の電極層232a、232b、232cは、平面形状でなく、様々な開口パターンを有し、屈曲部や枝分かれした櫛歯状を含む。第1の電極層230a、230b及び第2の電極層232a、232b、232cはその電極間に電界を発生させるため、同形状で重ならない配置とする。
【0046】
第1の電極層230a、230b及び第2の電極層232a、232b、232cが有する形状としては、空隙を形成せず開かれた櫛歯状のようなパターンを用いる。第1の電極層230a、230bと第2の電極層232a、232b、232cとは接せず、互いの櫛歯状のパターンがかみ合うように同一の絶縁表面(例えば同一基板や同一絶縁膜)に設けられる。
【0047】
第1の電極層230a、230bと第2の電極層232a、232b、232cとの間に電界を加えることで、液晶分子を制御できる。液晶分子を、第1の基板200及び第2の基板201と平行な方向で制御できるため、視野角が広くなる。
【0048】
誘電体膜235は、第1の壁状構造体233a、233b、第2の壁状構造体234a、234b、234c及び液晶層208の誘電率より高い誘電率を有する絶縁体である。なお、第1の壁状構造体233a、233b及び第2の壁状構造体234a、234b、234cは、液晶層208に用いられる液晶材料の誘電率より低い誘電率を有する絶縁体であってもよい。
【0049】
液晶層208中に第1の電極層230a、230b上に低誘電率の第1の壁状構造体233a、233bを形成しこれらを高誘電率の誘電体膜235で被覆した構成、同様に第2の電極層232a、232b、232c上に低誘電率の第2の壁状構造体234a、234b、234cを形成しこれらを高誘電率の誘電体膜235で被覆した構成を設ける事で、第1の電極層230a、230b及び第2の電極層232a、232b、232c間に電圧を印加した時、該構造体間により広く電界を形成することができる。
【0050】
なお、高誘電率の材料で誘電体膜を形成する際、誘電体膜の高さ(膜厚)を高く(厚く)する事が困難な場合もある。しかし本発明のように、より低誘電率の材料で第1の壁状構造体233a、233b及び第2の壁状構造体234a、234b、234cを形成して構造体の高さを稼ぎ、該構造体をより高誘電率の材料で形成した誘電体膜235で被覆する構成を設ける事で、実際に高誘電率の材料のみで形成する事が困難な高さまで、誘電体膜の高さを高くすることができる。被覆する誘電体膜235の高さ(膜厚)が低く(薄く)ても、高誘電率の材料のみで構造体を形成した構成に近い効果を得ることができる。
【0051】
ブルー相を示す液晶層208は電界が生じている局所的な範囲でしか液晶分子の配向を変化させることができないが、低誘電率の材料で形成された構造体を高誘電率の材料で形成された誘電体膜で被覆する構成とすることで、液晶層208中により広く電界を形成することができるため、これらの電界が生じている該広範囲で液晶分子の配向を変化させることができる。従って、白透過率を向上させることができ、ブルー相を示す液晶層を用いた液晶表示装置においてコントラストを高くすることができる。
【0052】
また、電界の部分集中に対して影響を受けやすいブルー相を示す液晶層にかかる負荷を低減させて駆動させることが可能となるためブルー相を示す液晶層の信頼性を向上させ、かつ駆動電圧を低減させることができる。
【0053】
また、構造体の高さ制御が容易になるため生産性及び歩留まりを向上させ製造コストを低減させることができる。
【0054】
更に、第1の電極層230a、230b上に低誘電率の第1の壁状構造体233a、233bを形成しこれらを高誘電率の誘電体膜235で被覆した構成、同様に第2の電極層232a、232b、232c上に低誘電率の第2の壁状構造体234a、234b、234cを形成しこれらを高誘電率の誘電体膜235で被覆した構成とする事で第1の電極層230a、230bから出て第2の電極層232a、232b、232cへと入る電気力線を、誘電率がより小さい第1の壁状構造体233a、233b及び第2の壁状構造体234a、234b、234cと誘電率がより大きい誘電体膜235との界面で屈折させることができる。
【0055】
図2(A)は、第1の電極層230a及び第2の電極層232a間に電圧を印加した際に生じる電気力線300を示した図であり、図2(B)は、第1の電極層230a上に低誘電率の第1の壁状構造体233aを形成しこれらを高誘電率の誘電体膜235で被覆した構成、同様に第2の電極層232a上に低誘電率の第2の壁状構造体234aを形成しこれらを高誘電率の誘電体膜235で被覆した構成を、液晶層208中に設け、第1の電極層230a及び第2の電極層232a間に電圧を印加した際に生じる電気力線301を示した図である。
【0056】
図2(A)に示されるように、第1の電極層230aから出て第2の電極層232aへと入る電気力線300は、弓なりの形状となる。
【0057】
図2(B)に示されるように、第1の電極層230aから出て第2の電極層232aへと入る電気力線301は、低誘電率の第1の壁状構造体233aと高誘電率の誘電体膜235との界面及び、高誘電率の誘電体膜235と低誘電率の第2の壁状構造体234aとの界面で屈折し、誘電体膜235中において、該電気力線は、基板に垂直な方向に引き延ばされる。さらに高誘電率の誘電体膜235中の電界強度(電気力線の密度)は低誘電率の第1の壁状構造体233a及び低誘電率の第2の壁状構造体234a中の電界強度よりも小さくなる。従って、誘電体膜235中で電位の変化が減少しA−B間、A’−B’間の電位差が小さくなるため該構造体に挟まれた領域に印加される電界のばらつきが抑制される。更に誘電体膜235の誘電率が液晶層208の誘電率よりも高いため、液晶層208と誘電体膜235の界面で該電気力線は基板に水平な方向に屈折し、電気力線301は、電気力線300をより扁平な弓なりの形状に変形させた形状となる。
【0058】
液晶層208中に伸びる電気力線301が、より扁平な弓なりの形状になる結果、該構造体に挟まれた領域において電気力線301の密度が高くなり、電気力線301を効果的に収束させることができるため、より強い電界を形成することができる。また、第1の電極層230a及び第2の電極層232a近傍において、電気力線301の水平成分比率が増大するため第1の電極層230a及び第2の電極層232a近傍に作用する電界の強さと、第1の電極層230a及び第2の電極層232a間の中央線C−D近傍に作用する電界の強さの差が減少する。電界のばらつきが抑制されるため、より均一な電界を形成することができる。
【0059】
これにより、図2(A)と比べて図2(B)では、第1の電極層230a及び第2の電極層232a間に電圧を印加した時、第1の電極層230a及び第1の壁状構造体233aを被覆する誘電体膜235と、第2の電極層232a及び第2の壁状構造体234aを被覆する誘電体膜235との間に、より均一で強い電界を形成することができる。
【0060】
図1(B)に示されるように、誘電体膜235は対向する第2の基板201に接するように設けられてもよい。図1(B)の液晶表示装置のように、第1の電極層230a、230b、第1の壁状構造体233a、233b、第2の電極層232a、232b、232c、第2の壁状構造体234a、234b、234cを被覆する誘電体膜235を、対向する第2の基板201に接するように設けると、液晶層208全体に電界を形成することができる。また、誘電体膜235には、より高い誘電率を有する材料を用いることが好ましい。好ましくは誘電率12以上、更に好ましくは誘電率20以上を有する材料を用いると、該構造体間により均一で強い電界を形成することができる。なお第1の壁状構造体233a、233b及び第2の壁状構造体234a、234b、234cは誘電率がブルー相を示す液晶層208の誘電率より低い誘電率を有する絶縁体であってもよい。
【0061】
ブルー相を示す液晶層208により均一に強い電界を形成できることで、液晶表示装置における駆動電圧を低減させることができる。また、電界の部分集中に対して影響を受けやすいブルー相を示す液晶層208に負荷がかかりにくいためブルー相を示す液晶層208の信頼性を向上させることができる。
【0062】
ブルー相を示す液晶層208中における液晶分子の配向をより広い範囲で変化させることができることで、白透過率を向上させることができ、ブルー相を示す液晶層208を用いた液晶表示装置においてコントラストを高くすることができる。
【0063】
構造体の高さ制御が容易になることで、生産性及び歩留まりを向上させ製造コストを低減させることができる。
【0064】
第1の壁状構造体233a、233b及び第2の壁状構造体234a、234b、234c及び誘電体膜235は絶縁性材料(有機材料及び無機材料)を用いた絶縁体で形成することができる。代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性、熱硬化性、又は熱可塑性の樹脂を用いるのが好ましい。例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アミン樹脂、プルラン誘導体などを用いることができる。また、酸化チタン等の無機材料や無機材料と有機材料との有機無機コンポジット材料を用いてもよく、例えば、チタン酸バリウムと有機樹脂等の有機無機コンポジット材料を用いることができる。誘電体膜235は、第1の壁状構造体233a、233b、第2の壁状構造体234a、234b、234cに用いられる材料、及び液晶層208に用いられる液晶材料の誘電率より高い誘電率を有する材料を用いる。誘電率が12以上の材料が好ましい。また誘電率が20以上の材料が特に好ましい。なお第1の壁状構造体233a、233b及び第2の壁状構造体234a、234b、234cは液晶層208に用いられる液晶材料の誘電率より低い誘電率を有する材料を用いてもよい。
【0065】
なお、第1の壁状構造体233a、233b及び第2の壁状構造体234a、234b、234cの形状は、柱状、錐形の先端が平面である断面が台形の形状、錐形の先端が丸いドーム状などを用いることができる。また、第1の壁状構造体233a、233b及び第2の壁状構造体234a、234b、234cは第1の電極層230a、230b又は第2の電極層232a、232b、232cの形状を反映して同形状に設けられてもよいが、液晶層208を充填させるために画素領域において空隙を形成しないような形状とする。誘電体膜235の形状は、該膜厚に差があってもよい。(図9(A)乃至(C)参照)なお第1の電極層230a、230bと第2の電極層232a、232b、232cとの間隔は0.2μm〜10μm(より好ましくは0.2μm〜2μm)が好ましく、代表的には0.8μm〜2μmが望ましい。
【0066】
また、液晶層208の膜厚(セルギャップ)は、5μm以上20μm以下程度とすることが好ましく、第1の壁状構造体233a、233b及び第2の壁状構造体234a、234b、234cの高さ(膜厚)は、1.0μm以上、液晶層の膜厚(セルギャップ)以下程度とすることが好ましい。なお誘電体膜の高さ(膜厚)は、100nm以上であれば、十分に効果を得ることができる。
【0067】
図1(B)のように、第1の電極層230a、230b、第1の壁状構造体233a、233b、第2の電極層232a、232b、232c、第2の壁状構造体234a、234b、234cを被覆する誘電体膜235を、対向する第2の基板201に接するように設ける場合、該構造体及び該誘電体膜をスペーサとして機能させることができる。この場合、第1の壁状構造体233a、233bの高さと該構造体を被覆する誘電体膜235の高さの和(膜厚の和)及び第2の壁状構造体234a、234b、234cの高さと該構造体を被覆する誘電体膜235の高さの和(膜厚の和)はほぼ液晶層208の厚さ(いわゆるセル厚)となる。これらの構成は、高誘電率の材料のみで構造体を形成した構成に近い効果を得ることができる。
【0068】
例えば、図4(A)乃至(C)に示すように第1の基板200上において、第1の電極層230a、230b上に第1の壁状構造体233a1、233b1を形成し、これらを被覆する誘電体膜235aを形成し、同様に第2の電極層232a、232b、232c上に第2の壁状構造体234a1、234b1、234c1を形成し、これらを被覆する誘電体膜235aを形成する(図4(A)参照)。
【0069】
一方、第2の基板201上において第1の壁状構造体233a1、233b1と対応する(第1の基板200と第2の基板201とを対向させた時に、誘電体膜235bを介して重畳する)位置に第1の壁状構造体233a2、233b2を形成し、これらを被覆する誘電体膜235bを形成し、同様に第2の壁状構造体234a1、234b1、234c1と対応する(第1の基板200と第2の基板201とを対向させた時に誘電体膜235bを介して重畳する)位置に第2の壁状構造体234a2、234b2、234c2を形成し、これらを被覆する誘電体膜235bを形成する(図4(B)参照)。
【0070】
第1の基板200と第2の基板201とを、第1の壁状構造体233a1、233b1及び第1の壁状構造体233a2、233b2同士が重畳し、同様に第2の壁状構造体234a1、234b1、234c1及び第2の壁状構造体234a2、234b2、234c2同士が重畳し、更に、誘電体膜235a及び誘電体膜235bが接するように、対向させる。第1の壁状構造体233a1を被覆する誘電体膜235a及び第1の壁状構造体233a2を被覆する誘電体膜235bの積層、第1の壁状構造体233b1を被覆する誘電体膜235a及び第1の壁状構造体233b2を被覆する誘電体膜235bの積層、第2の壁状構造体234a1を被覆する誘電体膜235a及び第2の壁状構造体234a2を被覆する誘電体膜235bの積層、第2の壁状構造体234b1を被覆する誘電体膜235a及び第2の壁状構造体234b2を被覆する誘電体膜235bの積層、第2の壁状構造体234c1を被覆する誘電体膜235a及び第2の壁状構造体234c2を被覆する誘電体膜235bの積層を形成することができる(図4(C)参照)。
【0071】
図5に示すように、第1の壁状構造体233及び第2の壁状構造体234は第1の電極層230及び第2の電極層232上に選択的に設けられてもよい。図5(A)は第1の電極層230と第2の電極層232の平面図である。第1の電極層230と第2の電極層232は櫛歯形状の電極層であり、櫛歯が互いにかみ合うように設けられている。図5(B)は、図5(A)の第1の電極層230上に第1の壁状構造体233を選択的に形成し、第2の電極層232上に第2の壁状構造体234を選択的に形成した平面図である。図5(C)は、図5(B)の点線W1−W2の断面図であり、図5(D)は、図5(C)における第1の電極層230、第2の電極層232、選択的に設けられた第1の壁状構造体233、選択的に設けられた第2の壁状構造体234を誘電体膜235で被覆した断面図である。第1の電極層230及び第2の電極層232の形状が複雑な場合、第1の壁状構造体233及び第2の壁状構造体234を選択的に設けることで、液晶材料の注入、充填工程が容易になり工程時間も短くてすむ。なお、第1の壁状構造体233が設けられていない第1の電極層230及び第2の壁状構造体234が設けられていない第2の電極層232が誘電体膜235で被覆されていてもよい。また、第1の電極層230及び第2の電極層232の間の絶縁膜は完全に除去されず部分的に誘電体膜235として残存させてもよい。
【0072】
液晶層208を形成する方法として、ディスペンサ法(滴下法)や、第1の基板200と第2の基板201とを貼り合わせてから毛細管現象を用いて液晶を注入する注入法を用いることができる。
【0073】
第1の壁状構造体及び第2の壁状構造体は、第1の電極層及び第2の電極層上を覆うように絶縁膜を形成し、絶縁膜を選択的にエッチングして形成することができる。このエッチング工程において、図1(C)の液晶表示装置のように、第1の電極層230a、230b、及び第2の電極層232a、232b、232cの間の絶縁膜は完全に除去されず部分的に第3の壁状構造体235a、235b、235c、235dとして残存させてもよい。また、図6(A)乃至(B)の液晶表示装置のように、誘電体膜235は、第1の電極層230a、230b上に設けられた第1の壁状構造体233a、233b及び第2の電極層232a、232b、232c上に設けられた第2の壁状構造体234a、234b、234cの表面を被覆する絶縁膜によって形成されるが、第1の電極層230a、230b及び第2の電極層232a、232b、232cの間の絶縁膜を選択的にエッチングして完全に除去してもよい。
【0074】
図7(A)、(B)の構造を有する液晶表示装置における電界の印加状態を計算した結果を図8(A)、(B)に示す。図7(A)、(B)は、計算した液晶表示装置の構成を示す図であり、図8(A)は図7(A)、図8(B)は図7(B)、の液晶表示装置の構成にそれぞれ対応している。計算は、シンテック社製、LCD Master、2s Benchを用いて行った。
【0075】
図7(A)及び図8(A)は構造体を設けず第1の基板800と液晶層808との間に互い違いに第2の電極層803a、803bと第1の電極層802が設けられ、第2の基板801によって封止されている液晶表示装置である。断面における第1の電極層802、第2の電極層803a、803bの幅は2μm、厚さは0.1μm、基板と水平方向の第1の電極層802と第2の電極層803a、803bとの間の距離は3μm、液晶層の厚さは4μmである。なお、第2の電極層803a、803bは0V、第1の電極層802は10Vの設定とする。また、液晶層の比誘電率として、液晶分子の長軸と平行方向の比誘電率εは8.3、液晶分子の長軸と垂直方向の比誘電率εは3.1である。
【0076】
図7(B)及び図8(B)は、第1の基板200と液晶層208との間に互い違いに第2の電極層232a、232bと第1の電極層230が設けられ、第1の電極層230上に、第1の壁状構造体233を形成し、これらを誘電体膜235で被覆した構成、第2の電極層232a、232b上に、第2の壁状構造体234a、234bをそれぞれ形成し、これらを誘電体膜235で被覆した構成が設けられ、第2の基板201によって封止されている液晶表示装置である。第1の壁状構造体233、第2の壁状構造体234a、234bにおいては比誘電率4の絶縁体、誘電体膜235においては比誘電率30の絶縁体、をそれぞれ用いた。また、断面における第1の電極層230、第2の電極層232a、232b、の幅は2μm、厚さは0.1μm、第1の壁状構造体233、第2の壁状構造体234a、234bの幅は2μm、厚さは1.9μm、誘電体膜235の厚さは、0.2μm、第1の電極層230と第2の電極層232aとの間の距離は3μm、第1の電極層230と第2の電極層232bとの間の距離は3μm、液晶層の厚さは4μmである。なお、第2の電極層232a、232bは0V、第1の電極層230は10Vの設定とする。また、液晶層の比誘電率は、液晶分子の長軸と平行方向の比誘電率εは8.3、液晶分子の長軸と垂直方向の比誘電率εは3.1である。
【0077】
図8(A)、(B)において、実線は等電位線を示しており、第1の基板800、200上に各々第1の電極層及び第2の電極層が配置されている。
【0078】
電界は等電位線と垂直に発現するので、図8(A)に示されるように、第1の電極層802と第2の電極層803a、803bとの間に、また図8(B)に示されるように、第1の電極層230及び第1の電極層230上に形成された第1の壁状構造体233を被覆する誘電体膜235と、第2の電極層232a、232b及び第2の電極層232a、232b上に形成された第2の壁状構造体234a、234bを被覆する誘電体膜235との間にそれぞれ横方向の電界が加わっていることが確認できる。
【0079】
図8(A)に示すように、第1の電極層802、第2の電極層803a、803bが形成された第1の基板800近くの液晶層808には等電位線が見られるが、第2の基板801に近づくにつれ等電位線はまばらになる。更に第2の基板801近くの液晶層808には等電位線が形成されず、図7(A)の構成では、液晶層の全ての液晶分子を応答させることが難しいことが確認できる。
【0080】
一方、図8(B)に示すように、第1の電極層230、第1の壁状構造体233、第2の電極層232a、232b、第2の壁状構造体234a、234bを、誘電体膜235で被覆した構成では、等電位線がより扁平な弓なりの形状になり、水平成分比率が増大している。また、より効果的に等電位線を収束させることができていることが確認できる。
【0081】
よって、液晶層中に第1の電極層上に形成された低誘電率の第1の壁状構造体を高誘電率の誘電体膜で被覆し、同様に第2の電極層上に形成された低誘電率の第2の壁状構造体を高誘電率の誘電体膜で被覆する構成を設けることで、第1の電極層及び第2の電極層間に電圧を印加した時、該構造体間により広く強い電界を、均一に形成することができる。
【0082】
液晶層208には、ブルー相を示す液晶材料を用いる。ブルー相を示す液晶材料は、応答速度が1msec以下と短く高速応答が可能であるため、液晶表示装置の高性能化が可能になる。
【0083】
ブルー相を示す液晶材料として液晶及びカイラル剤を含む。カイラル剤は、液晶を螺旋構造に配向させ、ブルー相を発現させるために用いる。例えば、数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶材料を液晶層に用いればよい。
【0084】
液晶は、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、強誘電液晶、反強誘電液晶等を用いる。
【0085】
カイラル剤は、液晶に対する相溶性が良く、かつ捩れ力の強い材料を用いる。また、R体、S体のどちらか片方の材料が良く、R体とS体の割合が50:50のラセミ体は使用しない。
【0086】
上記液晶材料は、条件により、コレステリック相、コレステリックブルー相、スメクチック相、スメクチックブルー相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
【0087】
ブルー相であるコレステリックブルー相及びスメクチックブルー相は、螺旋ピッチが500nm以下とピッチの比較的短いコレステリック相またはスメクチック相を有する液晶材料にみられる。液晶材料の配向は二重ねじれ構造を有する。電圧印加によって配向が変化して光学的変調作用が生じる。ブルー相は光学的に等方であるため視野角依存性がなく、配向膜を形成しなくとも良いため、表示画像の質の向上及びコスト削減が可能である。
【0088】
また、ブルー相は狭い温度範囲でしか発現が難しく、温度範囲を広く改善するために液晶材料に、光硬化樹脂及び光重合開始剤を添加し、高分子安定化処理を行うことが好ましい。高分子安定化処理は、液晶、カイラル剤、光硬化樹脂、及び光重合開始剤を含む液晶材料に、光硬化樹脂、及び光重合開始剤が反応する波長の光を照射して行う。この高分子安定化処理は、等方相を示す液晶材料に光照射して行っても良いし、温度制御してブルー相を発現した液晶材料に光照射して行ってもよい。
【0089】
光硬化樹脂は、アクリレート、メタクリレートなどの単官能モノマーでもよく、ジアクリレート、トリアクリレート、ジメタクリレート、トリメタクリレートなどの多官能モノマーでもよく、これらを混合させたものでもよい。また、液晶性のものでも非液晶性のものでもよく、両者を混合させてもよい。光硬化樹脂は、用いる光重合開始剤の反応する波長の光で硬化する樹脂を選択すれば良く、代表的には紫外線硬化樹脂を用いることができる。
【0090】
光重合開始剤は、光照射によってラジカルを発生させるラジカル重合開始剤でもよく、酸を発生させる酸発生剤でもよく、塩基を発生させる塩基発生剤でもよい。
【0091】
具体的には、液晶材料として、JC−1041XX(チッソ株式会社製)と4−シアノ−4’−ペンチルビフェニルの混合物を用いることができ、カイラル剤としては、ZLI−4572(メルク株式会社製)を用いることができ、光硬化樹脂は、2−エチルヘキシルアクリレート、RM257(メルク株式会社製)、トリメチロールプロパントリアクリレートを用いることができ、光重合開始剤としては2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを用いることができる。
【0092】
また、図1では図示しないが、偏光板、位相差板、反射防止膜などの光学フィルムなどは適宜設ける。例えば、偏光板及び位相差板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライトなどを用いることができる。
【0093】
本明細書において、液晶表示装置は光源の光を透過することによって表示を行う透過型の液晶表示装置である(又は半透過型の液晶表示装置)場合、少なくとも画素領域において光を透過させる必要がある。よって光が透過する画素領域に存在する第1の基板、第2の基板、絶縁膜、導電膜などの薄膜はすべて可視光の波長領域の光に対して透光性とする。
【0094】
第1の電極層(画素電極層)及び第2の電極層(共通電極層)においては透光性が好ましいが、開口パターンを有するために金属膜などの非透光性材料を用いてもよい。
【0095】
第1の電極層(画素電極層)及び第2の電極層(共通電極層)は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(indium zinc oxide)、酸化インジウムに酸化珪素(SiO)を混合した導電材料、有機インジウム、有機スズ、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、またはタングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属、又はその合金、若しくはその金属窒化物から一つ、又は複数種を用いて形成することができる。
【0096】
第1の基板200、第2の基板201にはコーニング社の7059ガラスや1737ガラスなどに代表されるバリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、プラスチック基板などを用いることができる。
【0097】
以上のような構成により、ブルー相を示す液晶層を用いた液晶表示装置における駆動電圧を低減させることができる。更に、ブルー相を示す液晶層の信頼性を向上させることができる。
【0098】
また、ブルー相を示す液晶層を用いた液晶表示装置における生産性及び歩留まりを向上させ製造コストを低減させることができる。
【0099】
また、ブルー相を示す液晶層を用いた液晶表示装置においてコントラスト比を高めることができる。
【0100】
(実施の形態2)
本明細書に開示する発明の一形態として、本実施の形態では、アクティブマトリクス型の液晶表示装置の例を、図10、図11を用いて説明する。
【0101】
図10(A)は液晶表示装置の平面図であり1画素分の画素を示している。図10(B)は図10(A)の点線X1−X2における断面図である。
【0102】
図10(A)において、複数のソース配線層(配線層405aを含む)が互いに平行(図中上下方向に延伸)かつ互いに離間した状態で配置されている。複数のゲート配線層(ゲート電極層401を含む)は、ソース配線層に略直交する方向(図中左右方向)に延伸し、かつ互いに離間するように配置されている。容量配線層408は、複数のゲート配線層それぞれに隣接する位置に配置されており、ゲート配線層に概略平行な方向、つまり、ソース配線層に概略直交する方向(図中左右方向)に延伸している。ソース配線層と、容量配線層408及びゲート配線層とによって、囲まれている空間に液晶表示装置の画素電極層、共通電極層が液晶層444を介して配置されている。(図10(B)参照)画素電極層を駆動する薄膜トランジスタ420は、図中左上の角に配置されている。画素電極層及び薄膜トランジスタは、マトリクス状に複数配置されている。
【0103】
図10の液晶表示装置において、薄膜トランジスタ420に電気的に接続する第1の電極層447が画素電極層として機能し、第2の電極層448が共通電極層として機能する。なお、第1の電極層447と容量配線層408によって容量が形成されている。
【0104】
画素電極層である第1の電極層447上には第1の壁状構造体446が形成されこれらを被覆する誘電体膜450が、同様に共通電極層である第2の電極層448上には第2の壁状構造体449が形成されこれらを被覆する誘電体膜450が液晶層444に設けられている。
【0105】
液晶層444の下方に開口パターンを有する画素電極層である第1の電極層447、及び共通電極層である第2の電極層448を配置する。第1の電極層447及び第2の電極層448が有する形状としては、空隙を形成せず開かれた櫛歯状のようなパターンを用いる。その電極間に電界を発生させるため第1の電極層447と第2の電極層448とは接せず、互いの櫛歯状のパターンがかみ合うように同一の絶縁表面(図10においては透光性樹脂層417)に設けられる。
【0106】
誘電体膜450は、第1の壁状構造体446、第2の壁状構造体449、及び液晶層444に用いられる液晶材料の誘電率より高い誘電率を有する絶縁体である。なお、第1の壁状構造体446、第2の壁状構造体449は、液晶層444に用いられる液晶材料の誘電率より低い誘電率を有する絶縁体であってもよい。
【0107】
液晶層444中に第1の電極層447上に低誘電率の第1の壁状構造体446を形成しこれらを高誘電率の誘電体膜450で被覆した構成、同様に第2の電極層448上に低誘電率の第2の壁状構造体449を形成しこれらを高誘電率の誘電体膜450で被覆した構成を設ける事で、第1の電極層447及び第2の電極層448間に電圧を印加した時、該構造体間により広く電界を形成することができる。
【0108】
なお、高誘電率の材料で誘電体膜を形成する際、誘電体膜の高さ(膜厚)を高く(厚く)する事が困難な場合もある。しかし、本発明では、より低誘電率の材料で第1の壁状構造体446及び第2の壁状構造体449を形成して構造体の高さを稼ぎ、該構造体をより高誘電率の材料で形成した誘電体膜450で被覆する構成を設ける事で、実際に高誘電率の材料のみで形成する事が困難な高さまで、誘電体膜の高さを高くすることができる。被覆する誘電体膜450の高さ(膜厚)が低く(薄く)ても、高誘電率の材料のみで構造体を形成した構成に近い効果を得ることができる。
【0109】
また、ブルー相を示す液晶層444は電界が生じている局所的な範囲でしか液晶分子の配向を変化させることができないが、低誘電率の材料で形成された構造体を高誘電率の材料で形成された誘電体膜で被覆する構成とすることで、液晶層444中により広く電界を形成することができるため、これらの電界が生じている該広範囲で液晶分子の配向を変化させることができる。従って、白透過率を向上させることができ、ブルー相を示す液晶層を用いた液晶表示装置においてコントラストを高くすることができる。
【0110】
また、電界の部分集中に対して影響を受けやすいブルー相を示す液晶層にかかる負荷を低減させて駆動させることが可能となるためブルー相を示す液晶層の信頼性を向上させ、駆動電圧を低減させることができる。
【0111】
また、構造体の高さ制御が容易になるため生産性及び歩留まりを向上させ製造コストを低減させることができる。
【0112】
更に、第1の電極層447上に低誘電率の第1の壁状構造体446を形成しこれらを高誘電率の誘電体膜450で被覆した構成、同様に第2の電極層448上に低誘電率の第2の壁状構造体449を形成しこれらを高誘電率の誘電体膜450で被覆した構成とする事で第1の電極層447から出て第2の電極層448へと入る電気力線を、誘電率がより小さい第1の壁状構造体446及び第2の壁状構造体449と誘電率がより大きい誘電体膜450との界面で屈折させることができる。液晶層444中に伸びる電気力線が、低誘電率の材料で形成された構造体を高誘電率の材料で形成された誘電体膜で被覆する構成とすることで、より扁平な弓なりの形状になるため、第2の基板442中にまで迂回していた電気力線が、液晶層444中に引き戻される。従って、該構造体に挟まれた領域において電気力線の密度が高くなり、該電気力線を効果的に収束させることができるため、より強い電界を形成することができる。また、第1の電極層447及び第2の電極層448近傍において、電気力線の水平成分比率が増大するため第1の電極層447及び第2の電極層448近傍に作用する電界の強さと、第1の電極層447及び第2の電極層448間の中央線近傍に作用する電界の強さの差が減少する。電界のばらつきが抑制されるため、より均一な電界を形成することができる。
【0113】
これより、第1の電極層447及び第2の電極層448間に電圧を印加した時、第1の電極層447及び第1の壁状構造体446を被覆する誘電体膜450と、第2の電極層448及び第2の壁状構造体449を被覆する誘電体膜450との間により均一に、強い電界を形成することができる。
【0114】
本実施の形態の図10に示す液晶表示装置のように、誘電体膜450は対向する第2の基板442に接するように設けられてもよい。本実施の形態のように、第1の電極層447、第1の壁状構造体446、第2の電極層448、第2の壁状構造体449を被覆する誘電体膜450を対向する第2の基板442に接するように設けると、液晶層444全体に電界を形成することができる。また、誘電体膜450は、第1の壁状構造体446、第2の壁状構造体449及び液晶層444の誘電率より高い誘電率を有する材料を用いる。好ましくは誘電率12以上、更に好ましくは誘電率20以上を有する材料を用いると該構造体間により均一に、強い電界を形成することができる。なお第1の壁状構造体446及び第2の壁状構造体449の誘電率はブルー相を示す液晶層444の誘電率より低い誘電率を有する絶縁体であってもよい。
【0115】
なお、第2の基板442と液晶層444との間にカラーフィルタとして機能する着色層、ブラックマトリクスとして機能する遮光層、また絶縁層などを形成する場合、第2の基板442において液晶層444と接する膜と誘電体膜450は接する構造となる。
【0116】
ブルー相を示す液晶層444により均一に強い電界を形成できることで、液晶表示装置における駆動電圧を低減させることができる。また、電界の部分集中に対して影響を受けやすいブルー相を示す液晶層444に負荷がかかりにくいためブルー相を示す液晶層444の信頼性を向上させることができる。
【0117】
ブルー相を示す液晶層444中における液晶分子の配向をより広い範囲で変化させることができることで、白透過率を向上させることができ、ブルー相を示す液晶層444を用いた液晶表示装置においてコントラストを高くすることができる。
【0118】
構造体の高さ制御が容易になるため生産性及び歩留まりを向上させ製造コストを低減させることができる。
【0119】
第1の壁状構造体446及び第2の壁状構造体449及び誘電体膜450は絶縁性材料(有機材料及び無機材料)を用いた絶縁体で形成することができる。代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性、熱硬化性、又は熱可塑性の樹脂を用いるのが好ましい。例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アミン樹脂、プルラン誘導体などを用いることができる。また、無機材料と有機材料との有機無機コンポジット材料を用いてもよく、例えば、チタン酸バリウムと有機樹脂等の有機無機コンポジット材料を用いることができる。誘電体膜450は、第1の壁状構造体446、第2の壁状構造体449、及び用いられる液晶材料の誘電率より高い誘電率を有する材料を用いる。誘電率が12以上の材料が好ましい。特に誘電率が20以上の材料が好ましい。なお、第1の壁状構造体446及び第2の壁状構造体449は、用いられる液晶材料の誘電率より低い誘電率を有する材料を用いてもよい。
【0120】
第1の壁状構造体446及び第2の壁状構造体449及び誘電体膜450の形成方法は特に限定されず、材料に応じて、蒸着法、スパッタ法、CVD法などの乾式法、又はスピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法)、ナノインプリント、各種印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷)等などの湿式法を用い、必要に応じてエッチング法(ドライエッチング又はウエットエッチング)により所望のパターンに加工すればよい。
【0121】
なお、第1の壁状構造体446及び第2の壁状構造体449の形状は、柱状、錐形の先端が平面である断面が台形の形状、錐形の先端が丸いドーム状などを用いることができる。また、第1の壁状構造体446及び第2の壁状構造体449は第1の電極層447又は第2の電極層448の形状を反映して同形状に設けられてもよいが、液晶層444を充填させるために画素領域において空隙を形成しないような形状とする。誘電体膜450の形状は、該膜厚に差があってもよい。なお第1の電極層447と第2の電極層448との間隔は0.2μm〜10μm(より好ましくは0.2μm〜2μm)が好ましく、代表的には0.8μm〜2μmが望ましい。
【0122】
また、液晶層444の膜厚(セルギャップ)は、5μm以上20μm以下程度とすることが好ましく第1の壁状構造体446及び第2の壁状構造体449の高さ(膜厚)は、1.0μm以上、液晶層444の膜厚(セルギャップ)以下程度とすることが好ましい。なお誘電体膜450の高さ(膜厚)は、100nm以上であれば、十分に効果を得ることができる。
【0123】
第1の電極層447、第2の電極層448、第1の壁状構造体446、第2の壁状構造体449を被覆する誘電体膜450を、対向する第2の基板442に接するように設ける場合、該構造体及び該誘電体膜をスペーサとして機能させることができる。この場合、第1の壁状構造体446の高さと該構造体を被覆する誘電体膜450の高さの和(膜厚の和)及び第2の壁状構造体449の高さと該構造体を被覆する誘電体膜450の高さの和(膜厚の和)はほぼ液晶層444の厚さ(いわゆるセル厚)となる。これらの構成は、高誘電率の材料のみで構造体を形成した構成に近い効果を得ることができる。
【0124】
第1の壁状構造体446及び第2の壁状構造体449は第1の電極層447及び第2の電極層448上に選択的に設けられてもよい。例えば、第1の電極層447及び第2の電極層448の形状が複雑な場合、第1の壁状構造体446及び第2の壁状構造体449を選択的に設けることで、液晶材料の注入、充填工程が容易になり工程時間も短くてすむ。
【0125】
第1の壁状構造体446及び第2の壁状構造体449は、第1の電極層447及び第2の電極層448上を覆うように絶縁膜を形成し、絶縁膜を選択的にエッチングして形成することができる。このエッチング工程において、第1の電極層447及び第2の電極層448の間の絶縁膜は完全に除去されず部分的に残存させてもよい(残存部分を第3の壁状構造体ともいう)。また、誘電体膜450は、第1の電極層447上に設けられた第1の壁状構造体446及び第2の電極層448上に設けられた第2の壁状構造体449の表面を被覆する絶縁膜によって形成されるが、第1の電極層447及び第2の電極層448の間の絶縁膜を選択的にエッチングして完全に除去してもよい。
【0126】
薄膜トランジスタ420は逆スタガ型の薄膜トランジスタであり、絶縁表面を有する基板である第1の基板441上に、ゲート電極層401、ゲート絶縁層402、半導体層403、ソース領域又はドレイン領域として機能するn層404a、404b、ソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層405a、405bを含む。n層404a、404bは、半導体層403より低抵抗な半導体層である。
【0127】
薄膜トランジスタ420を覆い、半導体層403に接する絶縁膜407が設けられている。絶縁膜407上に層間膜413が設けられ、層間膜413上に第1の電極層447が形成され、液晶層444及び誘電体膜450を介して第2の電極層448が形成されている。
【0128】
液晶表示装置にカラーフィルタを設けることができる。カラーフィルタは、第1の基板441及び第2の基板442より外側(液晶層444と反対側)に設けてもよいし、第1の基板441及び第2の基板442より内側に設けてもよい。
【0129】
カラーフィルタは、液晶表示装置をフルカラー表示とする場合、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を呈する材料から形成すればよく、モノカラー表示とする場合、着色層を無くす、もしくは少なくとも一つの色を呈する材料から形成すればよい。なお、バックライト装置にRGBの発光ダイオード(LED)等を配置し、時分割によりカラー表示する継時加法混色法(フィールドシーケンシャル法)を採用するときには、カラーフィルタを設けない場合もある。
【0130】
図10の液晶表示装置は、層間膜413に、カラーフィルタとして機能する有彩色の透光性樹脂層417を用いる例である。
【0131】
カラーフィルタを対向基板側に設ける場合、薄膜トランジスタが形成される素子基板との、正確な画素領域の位置合わせが難しく画質を損なう恐れがあるが、層間膜をカラーフィルタとして直接素子基板側に形成するのでより精密な形成領域の制御ができ、微細なパターンの画素にも対応することができる。また、層間膜とカラーフィルタを同一の絶縁層で兼ねるので、工程が簡略化しより低コストで液晶表示装置を作製可能となる。
【0132】
有彩色の透光性樹脂としては、感光性、非感光性の有機樹脂を用いることができる。感光性の有機樹脂を用いるとレジストマスク数を削減することができるため、工程が簡略化し好ましい。また、層間膜に形成するコンタクトホールも曲率を有する開口形状となるために、コンタクトホールに形成される電極層などの膜の被覆性も向上させることができる。
【0133】
有彩色は、黒、灰、白などの無彩色を除く色であり、着色層はカラーフィルタとして機能させるため、その着色された有彩色の光のみを透過する材料で形成される。有彩色としては、赤色、緑色、青色などを用いることができる。また、シアン、マゼンダ、イエロー(黄)などを用いてもよい。着色された有彩色の光のみを透過するとは、着色層において透過する光は、その有彩色の光の波長にピークを有するということである。
【0134】
有彩色の透光性樹脂層417は、着色層(カラーフィルタ)として機能させるため、含ませる着色材料の濃度と光の透過率の関係に考慮して、最適な膜厚を適宜制御するとよい。層間膜413を複数の薄膜で積層する場合、少なくとも一層が有彩色の透光性樹脂層であれば、カラーフィルタとして機能させることができる。
【0135】
有彩色の色によって有彩色の透光性樹脂層の膜厚が異なる場合や、遮光層、薄膜トランジスタに起因する凹凸を有する場合は、可視光領域の波長の光を透過する(いわゆる無色透明)絶縁層を積層し、層間膜表面を平坦化してもよい。層間膜の平坦性を高めるとその上に形成される第1の電極層(画素電極層)や第2の電極層(共通電極層)の被覆性もよく、かつ液晶層のギャップ(膜厚)を均一にすることができるため、より液晶表示装置の視認性を向上させ、高画質化が可能になる。
【0136】
層間膜413(有彩色の透光性樹脂層417)の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を用いることができる。
【0137】
第1の基板441及び第2の基板442は透光性基板であり、それぞれ外側(液晶層444と反対側)に偏光板443a、443bが設けられている。
【0138】
図11(A)乃至(D)を用いて図10に示す液晶表示装置の作製工程を説明する。図11(A)乃至(D)は液晶表示装置の作製工程の断面図である。なお、図11(A)乃至(D)では第1の電極層、第2の電極層、第1の壁状構造体、第2の壁状構造体、及び誘電体膜は省略している。第1の電極層、第2の電極層、第1の壁状構造体、第2の壁状構造体、及び誘電体膜は図10の構造を用いることができ、液晶層において第1の電極層及び第1の壁状構造体とこれらを被覆する誘電体膜、第2の電極層及び第2の壁状構造体とこれらを被覆する誘電体膜に生じる横電界モードを適用することができる。
【0139】
図11(A)において、素子基板である第1の基板441上に素子層451が形成され、素子層451上に層間膜413が形成されている。
【0140】
層間膜413は、有彩色の透光性樹脂層454a、454b、454c及び遮光層455a、455b、455c、455dを含み、遮光層455a、455b、455c、455dの間に有彩色の透光性樹脂層454a、454b、454cがそれぞれ形成される構成である。なお、図11(A)乃至(D)では第1の電極層、第2の電極層、第1の壁状構造体、第2の壁状構造体、及び誘電体膜は省略している。
【0141】
図11(B)に示すように、第1の基板441と対向基板である第2の基板442とを、液晶層458を間に挟持させてシール材456a、456bで固着する。液晶層458を形成する方法として、ディスペンサ法(滴下法)や、第1の基板441と第2の基板442とを貼り合わせてから毛細管現象を用いて液晶を注入する注入法を用いることができる。
【0142】
液晶層458には、ブルー相を示す液晶材料を用いることができる。液晶層458は、液晶、カイラル剤、光硬化樹脂、及び光重合開始剤を含む液晶材料を用いて形成する。
【0143】
シール材456a、456bとしては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いるのが好ましい。代表的には、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アミン樹脂などを用いることができる。また、光(代表的には紫外線)重合開始剤、熱硬化剤、フィラー、カップリング剤を含んでもよい。
【0144】
図11(C)に示すように、液晶層458に、光457を照射して高分子安定化処理を行い、液晶層444を形成する。光457は、液晶層458に含まれる光硬化樹脂、及び光重合開始剤が反応する波長の光とする。この光照射による高分子安定化処理により、液晶層444がブルー相を示す温度範囲を広く改善することができる。
【0145】
シール材に紫外線などの光硬化樹脂を用い、滴下法で液晶層を形成する場合など、高分子安定化処理の光照射工程によってシール材の硬化も行ってもよい。
【0146】
図11のように、素子基板上に有彩色の透光性樹脂層及び遮光層を作り込む液晶表示装置の構成であると、有彩色の透光性樹脂層及び遮光層によって対向基板側から照射される光が吸収、遮断されることがないために、液晶層全体に均一に照射することができる。よって、光重合の不均一による液晶の配向乱れやそれに伴う表示ムラなどを防止することができる。また、遮光層によって薄膜トランジスタも遮光でき、光照射における電気特性の不良を防止することができる。
【0147】
図11(D)に示すように、第1の基板441の外側(液晶層444と反対側)に偏光板443aを、第2の基板442の外側(液晶層444と反対側)に偏光板443bを設ける。また、偏光板の他、位相差板、反射防止膜などの光学フィルムなどを設けてもよい。例えば、偏光板及び位相差板による円偏光を用いてもよい。以上の工程で、液晶表示装置を完成させることができる。
【0148】
また、大型の基板を用いて複数の液晶表示装置を作製する場合(所謂多面取り)、その分断工程は、高分子安定化処理の前か、偏光板を設ける前に行うことができる。分断工程による液晶層への影響(分断工程時にかかる力などによる配向乱れなど)を考慮すると、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせた後、高分子安定化処理の前が好ましい。
【0149】
図示しないが、光源としてバックライト、サイドライトなどを用いればよい。光源は素子基板である第1の基板441側から、視認側である第2の基板442へと透過するように照射される。
【0150】
第1の電極層447及び第2の電極層448は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。
【0151】
また、第1の電極層447及び第2の電極層448はタングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属、又はその合金、若しくはその金属窒化物から一つ、又は複数種を用いて形成することができる。
【0152】
また、第1の電極層447及び第2の電極層448として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性組成物を用いて形成した画素電極は、シート抵抗が10000Ω/□以下、波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好ましい。また、導電性組成物に含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。
【0153】
導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリピロールまたはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体、またはアニリン、ピロールおよびチオフェンの2種以上からなる共重合体若しくはその誘導体などがあげられる。
【0154】
下地膜となる絶縁膜を基板441とゲート電極層401の間に設けてもよい。下地膜は、基板441からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜、又は酸化窒化珪素膜から選ばれた一又は複数の膜による積層構造により形成することができる。ゲート電極層401の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。ゲート電極層401に遮光性を有する導電膜を用いることで、バックライトからの光(第1の基板441から入射する光)が、半導体層403へ入射することを防止することができる。
【0155】
例えば、ゲート電極層401の2層の積層構造としては、アルミニウム層上にモリブデン層が積層された2層の積層構造、または銅層上にモリブデン層が積層された二層構造、または銅層上に窒化チタン層若しくは窒化タンタル層が積層された二層構造、窒化チタン層とモリブデン層とを積層した二層構造とすることが好ましい。3層の積層構造としては、タングステン層または窒化タングステン層と、アルミニウムとシリコンの合金またはアルミニウムとチタンの合金層と、窒化チタンまたはチタン層とを積層した積層構造とすることが好ましい。
【0156】
ゲート絶縁層402は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層又は窒化酸化シリコン層を単層で又は積層して形成することができる。また、また、ゲート絶縁層402として、有機シランガスを用いたCVD法により酸化シリコン層を形成することも可能である。有機シランガスとしては、珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)等のシリコン含有化合物を用いることができる。
【0157】
半導体層、n層、配線層の作製工程において、薄膜を所望の形状に加工するためにエッチング工程を用いる。エッチング工程は、ドライエッチングやウエットエッチングを用いることができる。
【0158】
ドライエッチングに用いるエッチング装置としては、反応性イオンエッチング法(RIE法)を用いたエッチング装置や、ECR(Electron Cyclotron Resonance)やICP(Inductively Coupled Plasma)などの高密度プラズマ源を用いたドライエッチング装置を用いることができる。また、ICPエッチング装置と比べて広い面積に渡って一様な放電が得られやすいドライエッチング装置としては、上部電極を接地させ、下部電極に13.56MHzの高周波電源を接続し、さらに下部電極に3.2MHzの低周波電源を接続したECCP(Enhanced Capacitively Coupled Plasma)モードのエッチング装置がある。このECCPモードのエッチング装置であれば、例えば基板として、第10世代の一辺が3mを超えるサイズの基板を用いる場合にも対応することができる。
【0159】
所望の加工形状にエッチングできるように、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節する。
【0160】
また、所望の加工形状にエッチングできるように、材料に合わせてエッチング条件(エッチング液、エッチング時間、温度等)を適宜調節する。
【0161】
配線層405a、405bの材料としては、Al、Cr、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、熱処理を行う場合には、この熱処理に耐える耐熱性を導電膜に持たせることが好ましい。例えば、Al単体では耐熱性が劣り、また腐蝕しやすい等の問題点があるので耐熱性導電性材料と組み合わせて形成する。Alと組み合わせる耐熱性導電性材料としては、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、Nd(ネオジム)、Sc(スカンジウム)から選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜、または上述した元素を成分とする窒化物で形成する。
【0162】
ゲート絶縁層402、半導体層403、n層404a、404b、配線層405a、405bを大気に触れさせることなく連続的に形成してもよい。大気に触れさせることなく連続成膜することで、大気成分や大気中に浮遊する汚染不純物元素に汚染されることなく各積層界面を形成することができるので、薄膜トランジスタ特性のばらつきを低減することができる。
【0163】
なお、半導体層403は一部のみがエッチングされ、溝部(凹部)を有する。
【0164】
薄膜トランジスタ420を覆う絶縁膜407は、乾式法や湿式法で形成される無機絶縁膜、有機絶縁膜を用いることができる。例えば、CVD法やスパッタ法などを用いて得られる窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化タンタル膜などを用いることができる。また、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。
【0165】
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は置換基としては有機基(例えばアルキル基やアリール基)やフルオロ基を用いても良い。また、有機基はフルオロ基を有していても良い。シロキサン系樹脂は塗布法により成膜し、焼成することによって絶縁膜407として用いることができる。
【0166】
なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁膜407を形成してもよい。例えば、無機絶縁膜上に有機樹脂膜を積層する構造としてもよい。
【0167】
また、多階調マスクにより形成した複数(代表的には二種類)の厚さの領域を有するレジストマスクを用いると、レジストマスクの数を減らすことができるため、工程簡略化、低コスト化が図れる。
【0168】
以上のような構成により、ブルー相を示す液晶層を用いた液晶表示装置における駆動電圧を低減させることができる。更に、ブルー相を示す液晶層の信頼性を向上させることができる。
【0169】
また、ブルー相を示す液晶層を用いた液晶表示装置における生産性及び歩留まりを向上させ製造コストを低減させることができる。
【0170】
また、ブルー相を示す液晶層を用いた液晶表示装置においてコントラスト比を高めることができる。
【0171】
(実施の形態3)
実施の形態2の構成において、カラーフィルタを液晶層を挟持する基板の外側に設ける例を図3に示す。なお、実施の形態1及び実施の形態2と同様なものに関しては同様の材料及び作製方法を適用することができ、同一部分又は同様な機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0172】
図3(A)は液晶表示装置の平面図であり1画素分の画素を示している。図3(B)は、図3(A)の点線X1−X2における断面図である。
【0173】
図3(A)の平面図においては、実施の形態2と同様に、複数のソース配線層(配線層405aを含む)が互いに平行(図中上下方向に延伸)かつ互いに離間した状態で配置されている。複数のゲート配線層(ゲート電極層401を含む)は、ソース配線層に略直交する方向(図中左右方向)に延伸し、かつ互いに離間するように配置されている。容量配線層408は、複数のゲート配線層それぞれに隣接する位置に配置されており、ゲート配線層に概略平行な方向、つまり、ソース配線層に概略直交する方向(図中左右方向)に延伸している。ソース配線層と、容量配線層408及びゲート配線層とによって、囲まれている空間に液晶表示装置の画素電極層及び共通電極層が配置されている。画素電極層である第1の電極層447上には第1の壁状構造体446が形成されこれらを被覆する誘電体膜450が、同様に共通電極層である第2の電極層448上には第2の壁状構造体449が形成されこれらを被覆する誘電体膜450が液晶層444に設けられている。画素電極層を駆動する薄膜トランジスタ420は、図中左上の角に配置されている。画素電極層及び薄膜トランジスタは、マトリクス状に複数配置されている。
【0174】
図3においては、薄膜トランジスタ420を覆って層間膜413を形成し、層間膜413に薄膜トランジスタ420に接続するためのコンタクトホールを開口する例である。画素電極層である第1の電極層447は、層間膜413に形成したコンタクトホールを覆いかつ構造体449に覆われるように連続的に形成されている。
【0175】
図3の液晶表示装置は、カラーフィルタ490が第2の基板442と偏光板443bの間に設けられている。このように、液晶層444を挟持する第1の基板441及び第2の基板442の外側にカラーフィルタ490を設けてもよい。
【0176】
図3の液晶表示装置の作製工程を図14(A)乃至(D)に示す。
【0177】
なお、図14(A)乃至(D)では含まれる第1の電極層、第2の電極層、第1の壁状構造体、第2の壁状構造体及び誘電体膜は省略している。例えば、第1の電極層、第2の電極層、第1の壁状構造体、第2の壁状構造体及び誘電体膜は実施の形態1及び実施の形態2の構造を用いることができ、第1の電極層及び第1の壁状構造体とこれらを被覆する誘電体膜、第2の電極層及び第2の壁状構造体とこれらを被覆する誘電体膜に生じる横電界モードを適用することができる。
【0178】
図14(A)に示すように、第1の基板441と対向基板である第2の基板442とを、液晶層458を間に挟持させてシール材456a、456bで固着する。液晶層458を形成する方法として、ディスペンサ法(滴下法)や、第1の基板441と第2の基板442とを貼り合わせてから毛細管現象を用いて液晶を注入する注入法を用いることができる。
【0179】
液晶層458には、ブルー相を示す液晶材料を用いる。液晶層458は、液晶、カイラル剤、光硬化樹脂、及び光重合開始剤を含む液晶材料を用いて形成する。
【0180】
図14(B)に示すように、液晶層458に、光457を照射して高分子安定化処理を行い、液晶層444を形成する。光457は、液晶層458に含まれる光硬化樹脂、及び光重合開始剤が反応する波長の光とする。この光照射による高分子安定化処理により、液晶層458がブルー相を示す温度範囲を広く改善することができる。
【0181】
シール材に紫外線などの光硬化樹脂を用い、滴下法で液晶層を形成する場合など、高分子安定化処理の光照射工程によってシール材の硬化も行ってもよい。
【0182】
次に図14(C)に示すように、視認側である第2の基板442側にカラーフィルタ490を設ける。カラーフィルタ490は、一対の基板459a及び基板459bの間に、有彩色の透光性樹脂層454a、454b、454c及びブラックマトリクスとして機能する遮光層455a、455b、455c、455dを含み、遮光層455a、455b、455c、455dの間に有彩色の透光性樹脂層454a、454b、454cがそれぞれ形成される構成である。
【0183】
図14(D)に示すように、第1の基板441の外側(液晶層444と反対側)に偏光板443aを、カラーフィルタ490の外側(液晶層444と反対側)に偏光板443bを設ける。また、偏光板の他、位相差板、反射防止膜などの光学フィルムなどを設けてもよい。例えば、偏光板及び位相差板による円偏光を用いてもよい。以上の工程で、液晶表示装置を完成させることができる。
【0184】
また、大型の基板を用いて複数の液晶表示装置を作製する場合(所謂多面取り)、その分断工程は、高分子安定化処理の前か、偏光板を設ける前に行うことができる。分断工程による液晶層への影響(分断工程時にかかる力などによる配向乱れなど)を考慮すると、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせた後、高分子安定化処理の前が好ましい。
【0185】
図示しないが、光源としてバックライト、サイドライトなどを用いればよい。光源は素子基板である第1の基板441側から、視認側である第2の基板442へと透過するように照射される。
【0186】
液晶層中に第1の電極層上に低誘電率の第1の壁状構造体を形成しこれらを高誘電率の誘電体膜で被覆した構成、同様に第2の電極層上に低誘電率の第2の壁状構造体を形成しこれらを高誘電率の誘電体膜で被覆した構成を設ける事で、第1の電極層及び第2の電極層間に電圧を印加した時、該構造体間により広く電界を形成することができる。
【0187】
なお、高誘電率の材料で誘電体膜を形成する際、誘電体膜の高さ(膜厚)を高く(厚く)する事が困難な場合もある。しかしより低誘電率の材料で第1の壁状構造体及び第2の壁状構造体を形成して構造体の高さを稼ぎ、該構造体をより高誘電率の材料で形成した誘電体膜で被覆する構成を設ける事で、実際に高誘電率の材料のみで形成する事が困難な高さまで、誘電体膜の高さを高くすることができる。被覆する誘電体膜の高さ(膜厚)が低く(薄く)ても、高誘電率の材料のみで構造体を形成した構成に近い効果を得ることができる。
【0188】
また、ブルー相を示す液晶層は電界が生じている局所的な範囲でしか液晶分子の配向を変化させることができないが、低誘電率の材料で形成された構造体を高誘電率の材料で形成された誘電体膜で被覆する構成とすることで、液晶層中により広く電界を形成することができるため、これらの電界が生じている該広範囲で液晶分子の配向を変化させることができる。従って、白透過率を向上させることができ、ブルー相を示す液晶層を用いた液晶表示装置においてコントラストを高くすることができる。
【0189】
また、電界の部分集中に対して影響を受けやすいブルー相を示す液晶層にかかる負荷を低減させて駆動させることが可能となるためブルー相を示す液晶層の信頼性を向上させ、駆動電圧を低減させることができる。
【0190】
また、構造体の高さ制御が容易になるため生産性及び歩留まりを向上させ製造コストを低減させることができる。
【0191】
更に、低誘電率の材料で形成された構造体を高誘電率の材料で形成された誘電体膜で被覆する構成とする事で第1の電極層447から出て第2の電極層448へと入る電気力線を、誘電率がより小さい第1の壁状構造体446及び第2の壁状構造体449と誘電率がより大きい誘電体膜450との界面で屈折させることができる。液晶層444中に伸びる電気力線が、低誘電率の材料で形成された構造体を高誘電率の材料で形成された誘電体膜で被覆する構成とすることで、より扁平な弓なりの形状になるため、第2の基板442中にまで迂回していた電気力線が、液晶層444中に引き戻される。従って、該構造体に挟まれた領域において電気力線の密度が高くなり、該電気力線を効果的に収束させることができるため、より強い電界を形成することができる。また、第1の電極層447及び第2の電極層448近傍において、電気力線の水平成分比率が増大するため第1の電極層447及び第2の電極層448近傍に作用する電界の強さと、第1の電極層447及び第2の電極層448間の中央線近傍に作用する電界の強さの差が減少する。電界のばらつきが抑制されるため、より均一な電界を形成することができる。
【0192】
これより、第1の電極層447及び第2の電極層448間に電圧を印加した時、第1の電極層447及び第1の壁状構造体446を被覆する誘電体膜450と、第2の電極層448及び第2の壁状構造体449を被覆する誘電体膜450との間により均一に、強い電界を形成することができる。
【0193】
本実施の形態の図3に示す液晶表示装置のように、誘電体膜を対向する第2の基板に接するように設け、より高い誘電率を有する材料を用いると、液晶層全体に電界を形成することができる。また、誘電体膜には、より高い誘電率を有する材料を用いることが好ましい。好ましくは誘電率12以上、更に好ましくは誘電率20以上を有する材料を用いると、該構造体間により均一に、強い電界を形成することができる。なお第1の壁状構造体及び第2の壁状構造体の誘電率はブルー相を示す液晶層208の誘電率より低い誘電率を有する絶縁体であってもよい。
【0194】
ブルー相を示す液晶層により均一に強い電界を形成できることで、液晶表示装置における駆動電圧を低減させることができる。また、電界の部分集中に対して影響を受けやすいブルー相を示す液晶層に負荷がかかりにくいためブルー相を示す液晶層の信頼性を向上させることができる。
【0195】
ブルー相を示す液晶層中における液晶分子の配向をより広い範囲で変化させることができることで、白透過率を向上させることができ、ブルー相を示す液晶層を用いた液晶表示装置においてコントラストを高くすることができる。
【0196】
構造体の高さ制御が容易になるため生産性及び歩留まりを向上させ製造コストを低減させることができる。
【0197】
(実施の形態4)
薄膜トランジスタを作製し、該薄膜トランジスタを画素部、さらには駆動回路に用いて表示機能を有する液晶表示装置を作製することができる。また、薄膜トランジスタを有する駆動回路の一部または全体を、画素部と同じ基板上に一体形成し、システムオンパネルを形成することができる。
【0198】
液晶表示装置は表示素子として液晶素子(液晶表示素子ともいう)を含む。
【0199】
また、液晶表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。さらに、該液晶表示装置を作製する過程における、表示素子が完成する前の一形態に相当する素子基板に関し、該素子基板は、電流を表示素子に供給するための手段を複数の各画素に備える。素子基板は、具体的には、表示素子の画素電極のみが形成された状態であっても良いし、画素電極となる導電膜を成膜した後であって、エッチングして画素電極を形成する前の状態であっても良いし、あらゆる形態があてはまる。
【0200】
なお、本明細書中における液晶表示装置とは、画像表示デバイス、表示デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、コネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または表示素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て液晶表示装置に含むものとする。
【0201】
液晶表示装置の一形態に相当する液晶表示パネルの外観及び断面について、図12、図18を用いて説明する。図12は、第1の基板4001上に形成された薄膜トランジスタ4010、4011、及び液晶素子4013を、第2の基板4006との間にシール材4005によって封止した、パネルの上面図であり、図12(B)、図18は、それぞれ、図12(A1)(A2)のM−Nにおける断面図に相当する。
【0202】
第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004とを囲むようにして、シール材4005が設けられている。また画素部4002と、走査線駆動回路4004の上に第2の基板4006が設けられている。よって画素部4002と、走査線駆動回路4004とは、第1の基板4001とシール材4005と第2の基板4006とによって、液晶層4008と共に封止されている。
【0203】
また、図12(A1)では第1の基板4001上のシール材4005によって囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半導体膜で形成された信号線駆動回路4003が実装されている。なお、図12(A2)は信号線駆動回路の一部を第1の基板4001上に設けられた薄膜トランジスタで形成する例であり、第1の基板4001上に信号線駆動回路4003bが形成され、かつ別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半導体膜で形成された信号線駆動回路4003aが実装されている。
【0204】
なお、別途形成した駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG方法、ワイヤボンディング方法、或いはTAB方法などを用いることができる。図12(A1)は、COG方法により信号線駆動回路4003を実装する例であり、図12(A2)は、TAB方法により信号線駆動回路4003aを実装する例である。
【0205】
また第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004は、薄膜トランジスタを複数有しており、図12(B)、図18では、画素部4002に含まれる薄膜トランジスタ4010と、走査線駆動回路4004に含まれる薄膜トランジスタ4011とを例示している。薄膜トランジスタ4010、4011上には絶縁層4020、層間膜4021が設けられている。
【0206】
薄膜トランジスタ4010、4011は、実施の形態2に示す薄膜トランジスタを適用することができる。薄膜トランジスタ4010、4011はnチャネル型薄膜トランジスタである。
【0207】
図12(B)、図18に、画素部4002上に、第1の壁状構造体4037、第2の壁状構造体4038、誘電体膜4040を設けた例を示す。第1の基板4001上、層間膜4021上に薄膜トランジスタ4010と電気的に接続されている画素電極層4030が形成され、画素電極層4030上に第1の壁状構造体4037が形成され、これらを誘電体膜4040aが被覆している。同様に、層間膜4021上に共通電極層4036も形成され、共通電極層4036上に第2の壁状構造体4038が形成され、これらを誘電体膜4040bが被覆している。図12(B)では、誘電体膜4040a及び誘電体膜4040bは、第2の基板4006に接して設けられている。第1の壁状構造体4037、第2の壁状構造体4038、これらを被覆する誘電体膜4040はスペーサとしても機能し、液晶層4008の膜厚(セルギャップ)を制御する。また、スペーサを別途設ける場合、絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサ、また球状のスペーサを用いていても良い。
【0208】
なお、液晶層4008を用いる液晶表示装置は、液晶層4008の膜厚(セルギャップ)を5μm以上20μm程度とすることが好ましく、第1の壁状構造体4037及び第2の壁状構造体4038の高さ(膜厚)は、1.0μm以上、液晶層4008の膜厚(セルギャップ)以下程度とすることが好ましい。なお誘電体膜4040の高さ(膜厚)は、100nm以上であれば、十分に効果を得ることができる。
【0209】
液晶素子4013は、画素電極層4030、共通電極層4036及び液晶層4008を含む。なお、第1の基板4001、第2の基板4006の外側にはそれぞれ偏光板4032、4033が設けられている。
【0210】
なお、第1の基板4001、第2の基板4006としては、透光性を有するガラス、プラスチックなどを用いることができる。プラスチックとしては、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、ポリエステルフィルム、またはアクリル樹脂フィルムを用いることができる。また、アルミニウムホイルをPVFフィルムやポリエステルフィルムで挟んだ構造のシートを用いることもできる。
【0211】
なお図12、図18は透過型液晶表示装置の例であるが、半透過型液晶表示装置でも適用できる。
【0212】
また、図12、図18の液晶表示装置では、基板の外側(視認側)に偏光板を設ける例を示すが、偏光板は基板の内側に設けてもよい。偏光板の材料や作製工程条件によって適宜設定すればよい。また、ブラックマトリクスとして機能する遮光層を設けてもよい。
【0213】
層間膜4021は、有彩色の透光性樹脂層であり、カラーフィルタとして機能する。また、層間膜4021の一部を遮光層としてもよい。図12、図18においては、薄膜トランジスタ4010、4011上方を覆うように遮光層4034が第2の基板4006側に設けられている。遮光層4034を設けることにより、さらにコントラスト向上や薄膜トランジスタの安定化の効果を高めることができる。
【0214】
薄膜トランジスタを保護膜として機能する絶縁層4020で覆う構成としてもよいが、特に限定されない。
【0215】
なお、保護膜は、大気中に浮遊する有機物や金属物、水蒸気などの汚染不純物の侵入を防ぐためのものであり、緻密な膜が好ましい。保護膜は、スパッタ法を用いて、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、又は窒化酸化アルミニウム膜の単層、又は積層で形成すればよい。
【0216】
また、保護膜を形成した後に、半導体層のアニール(300℃〜400℃)を行ってもよい。
【0217】
また、平坦化絶縁膜として透光性の絶縁層をさらに形成する場合、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁層を複数積層させてもよい。
【0218】
積層する絶縁層の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタ法、CVD法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を用いることができる。絶縁層を材料液を用いて形成する場合、ベークする工程で同時に、半導体層のアニール(200℃〜400℃)を行ってもよい。絶縁層の焼成工程と半導体層のアニールを兼ねることで効率よく液晶表示装置を作製することが可能となる。
【0219】
画素電極層4030及び共通電極層4036は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。
【0220】
また、画素電極層4030及び共通電極層4036はタングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属、又はその合金、若しくはその金属窒化物から一つ、又は複数種を用いて形成することができる。
【0221】
また、画素電極層4030及び共通電極層4036として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。
【0222】
また別途形成された信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004または画素部4002に与えられる各種信号及び電位は、FPC4018から供給されている。
【0223】
また、薄膜トランジスタは静電気などにより破壊されやすいため、ゲート線またはソース線に対して、駆動回路保護用の保護回路を同一基板上に設けることが好ましい。保護回路は、非線形素子を用いて構成することが好ましい。
【0224】
図12、図18では、接続端子電極4015が、画素電極層4030と同じ導電膜から形成され、端子電極4016は、薄膜トランジスタ4010、4011のソース電極層及びドレイン電極層と同じ導電膜で形成されている。
【0225】
接続端子電極4015は、FPC4018が有する端子と、異方性導電膜4019を介して電気的に接続されている。
【0226】
また図12、図18においては、信号線駆動回路4003を別途形成し、第1の基板4001に実装している例を示しているが、この構成に限定されない。走査線駆動回路を別途形成して実装しても良いし、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路の一部のみを別途形成して実装しても良い。
【0227】
図13は、本明細書に開示する液晶表示装置として液晶表示モジュールを構成する一例を示している。
【0228】
図13は液晶表示モジュールの一例であり、素子基板2600と対向基板2601がシール材2602により固着され、その間にTFT等を含む素子層2603、液晶層を含む表示素子2604、カラーフィルタとして機能する有彩色の透光性樹脂層を含む層間膜2605が設けられ、表示領域を形成している有彩色の透光性樹脂層を含む層間膜2605はカラー表示を行う場合に必要であり、RGB方式の場合は、赤、緑、青の各色に対応した有彩色の透光性樹脂層が各画素に対応して設けられている。素子基板2600と対向基板2601の外側には偏光板2606、偏光板2607、拡散板2613が配設されている。光源は冷陰極管2610と反射板2611により構成され、回路基板2612は、フレキシブル配線基板2609により素子基板2600の配線回路部2608と接続され、コントロール回路や電源回路などの外部回路が組みこまれている。また、光源として、白色のダイオードを用いてもよい。
【0229】
以上の工程により、液晶表示装置として信頼性の高い液晶表示パネルを作製することができる。
【0230】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0231】
(実施の形態5)
本明細書に開示する液晶表示装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用することができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0232】
図15(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置9600は、筐体9601に表示部9603が組み込まれている。表示部9603により、映像を表示することが可能である。また、ここでは、スタンド9605により筐体9601を支持した構成を示している。
【0233】
テレビジョン装置9600の操作は、筐体9601が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機9610により行うことができる。リモコン操作機9610が備える操作キー9609により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部9603に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機9610に、当該リモコン操作機9610から出力する情報を表示する表示部9607を設ける構成としてもよい。
【0234】
なお、テレビジョン装置9600は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0235】
図15(B)は、デジタルフォトフレームの一例を示している。例えば、デジタルフォトフレーム9700は、筐体9701に表示部9703が組み込まれている。表示部9703は、各種画像を表示することが可能であり、例えばデジタルカメラなどで撮影した画像データを表示させることで、通常の写真立てと同様に機能させることができる。
【0236】
なお、デジタルフォトフレーム9700は、操作部、外部接続用端子(USB端子、USBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成とする。これらの構成は、表示部と同一面に組み込まれていてもよいが、側面や裏面に備えるとデザイン性が向上するため好ましい。例えば、デジタルフォトフレームの記録媒体挿入部に、デジタルカメラで撮影した画像データを記憶したメモリを挿入して画像データを取り込み、取り込んだ画像データを表示部9703に表示させることができる。
【0237】
また、デジタルフォトフレーム9700は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、所望の画像データを取り込み、表示させる構成とすることもできる。
【0238】
図16(A)は携帯型遊技機であり、筐体9881と筐体9891の2つの筐体で構成されており、連結部9893により、開閉可能に連結されている。筐体9881には表示部9882が組み込まれ、筐体9891には表示部9883が組み込まれている。また、図16(A)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部9884、記録媒体挿入部9886、LEDランプ9890、入力手段(操作キー9885、接続端子9887、センサ9888(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9889等)を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも本明細書に開示する液晶表示装置を備えた構成であればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図16(A)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図16(A)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0239】
図16(B)は大型遊技機であるスロットマシンの一例を示している。スロットマシン9900は、筐体9901に表示部9903が組み込まれている。また、スロットマシン9900は、その他、スタートレバーやストップスイッチなどの操作手段、コイン投入口、スピーカなどを備えている。もちろん、スロットマシン9900の構成は上述のものに限定されず、少なくとも本明細書に開示する液晶表示装置を備えた構成であればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。
【0240】
図17(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機1000は、筐体1001に組み込まれた表示部1002の他、操作ボタン1003、外部接続ポート1004、スピーカ1005、マイク1006などを備えている。
【0241】
図17(A)に示す携帯電話機1000は、表示部1002を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部1002を指などで触れることにより行うことができる。
【0242】
表示部1002の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0243】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部1002を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部1002の画面のほとんどにキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0244】
また、携帯電話機1000内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機1000の向き(縦か横か)を判断して、表示部1002の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0245】
また、画面モードの切り替えは、表示部1002を触れること、又は筐体1001の操作ボタン1003の操作により行われる。また、表示部1002に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0246】
また、入力モードにおいて、表示部1002の光センサで検出される信号を検知し、表示部1002のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0247】
表示部1002は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部1002に掌や指を触れることにより、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0248】
図17(B)も携帯電話機の一例である。図17(B)の携帯電話機は、筐体9411に、表示部9412、及び操作ボタン9413を含む表示装置9410と、筐体9401に操作ボタン9402、外部入力端子9403、マイク9404、スピーカ9405、及び着信時に発光する発光部9406を含む通信装置9400とを有しており、表示機能を有する表示装置9410は電話機能を有する通信装置9400と矢印の2方向に脱着可能である。よって、表示装置9410と通信装置9400の短軸同士を取り付けることも、表示装置9410と通信装置9400の長軸同士を取り付けることもできる。また、表示機能のみを必要とする場合、通信装置9400より表示装置9410を取り外し、表示装置9410を単独で用いることもできる。通信装置9400と表示装置9410とは無線通信又は有線通信により画像又は入力情報を授受することができ、それぞれ充電可能なバッテリーを有する。
【符号の説明】
【0249】
200 基板
201 基板
208 液晶層
230a 第1の電極層
230b 第1の電極層
232a 第2の電極層
232b 第2の電極層
232c 第2の電極層
233a 第1の壁状構造体
233a1 第1の壁状構造体
233a2 第1の壁状構造体
233b 第1の壁状構造体
233b1 第1の壁状構造体
233b2 第1の壁状構造体
234a 第2の壁状構造体
234a1 第2の壁状構造体
234a2 第2の壁状構造体
234b 第2の壁状構造体
234b1 第2の壁状構造体
234b2 第2の壁状構造体
234c 第2の壁状構造体
234c1 第2の壁状構造体
234c2 第2の壁状構造体
235 誘電体膜
235a 第3の壁状構造体
235b 第3の壁状構造体
235c 第3の壁状構造体
235d 第3の壁状構造体
300 電気力線
301 電気力線
401 ゲート電極層
402 ゲート絶縁層
403 半導体層
404a n+層
404b n+層
405a 配線層
405b 配線層
407 絶縁膜
408 容量配線層
413 層間膜
417 透光性樹脂層
420 薄膜トランジスタ
441 基板
442 基板
443a 偏光板
443b 偏光板
444 液晶層
446 第1の壁状構造体
447 第1の電極層
448 第2の電極層
449 第2の壁状構造体
450 誘電体膜
451 素子層
454a 透光性樹脂層
455a 遮光層
456a シール材
456b シール材
457 光
458 液晶層
459a 基板
459b 基板
490 カラーフィルタ
800 基板
801 基板
802 第1の電極層
803a 第2の電極層
803b 第2の電極層
808 液晶層
1000 携帯電話機
1001 筐体
1002 表示部
1003 操作ボタン
1004 外部接続ポート
1005 スピーカ
1006 マイク
2600 素子基板
2601 対向基板
2602 シール材
2603 素子層
2604 表示素子
2605 層間膜
2606 偏光板
2607 偏光板
2608 配線回路部
2609 フレキシブル配線基板
2610 冷陰極管
2611 反射板
2612 回路基板
2613 拡散板
4001 基板
4002 画素部
4003 信号線駆動回路
4003a 信号線駆動回路
4003b 信号線駆動回路
4004 走査線駆動回路
4005 シール材
4006 基板
4008 液晶層
4010 薄膜トランジスタ
4011 薄膜トランジスタ
4013 液晶素子
4015 接続端子電極
4016 端子電極
4018 FPC
4019 異方性導電膜
4020 絶縁層
4021 層間膜
4030 画素電極層
4032 偏光板
4033 偏光板
4034 遮光層
4036 共通電極層
4037 第1の壁状構造体
4038 第2の壁状構造体
4040 誘電体膜
4040a 誘電体膜
4040b 誘電体膜
9400 通信装置
9401 筐体
9402 操作ボタン
9403 外部入力端子
9404 マイク
9405 スピーカ
9406 発光部
9410 表示装置
9411 筐体
9412 表示部
9413 操作ボタン
9600 テレビジョン装置
9601 筐体
9603 表示部
9605 スタンド
9607 表示部
9609 操作キー
9610 リモコン操作機
9700 デジタルフォトフレーム
9701 筐体
9703 表示部
9881 筐体
9882 表示部
9883 表示部
9884 スピーカ部
9885 入力手段(操作キー
9886 記録媒体挿入部
9887 接続端子
9888 センサ
9889 マイクロフォン
9890 LEDランプ
9891 筐体
9893 連結部
9900 スロットマシン
9901 筐体
9903 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブルー相を示す液晶材料を含む液晶層を挟持する第1の基板及び第2の基板と、
前記第1の基板上に形成されている開口パターンを有する第1の電極層と、
前記第1の基板上に形成されている開口パターンを有する第2の電極層と、
前記第1の電極層上に設けられた第1の壁状構造体と、
前記第2の電極層上に設けられた第2の壁状構造体と、
前記第1の壁状構造体を被覆し、且つ
前記第2の壁状構造体を被覆する
誘電体膜とを有し、
前記誘電体膜の誘電率は前記第1の壁状構造体及び前記第2の壁状構造体及び前記液晶層の誘電率より高いことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
ブルー相を示す液晶材料を含む液晶層を挟持する第1の基板及び第2の基板と、
前記第1の基板上に形成されている開口パターンを有する第1の電極層と、
前記第1の基板上に形成されている開口パターンを有する第2の電極層と、
前記第1の電極層上に設けられた第1の壁状構造体と、
前記第2の電極層上に設けられた第2の壁状構造体と、
前記第1の壁状構造体を被覆し、且つ
前記第2の壁状構造体を被覆し、且つ
前記第2の基板と接する誘電体膜とを有し、
前記誘電体膜の誘電率は前記第1の壁状構造体及び前記第2の壁状構造体及び前記液晶層の誘電率より高いことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、前記誘電体膜の誘電率は12以上であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、前記第1の電極層と前記第2の電極層の間に前記壁状構造体と同材料からなる第3の壁状構造体を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、前記第1の壁状構造体は前記第1の電極層上に選択的に設けられ、前記第2の壁状構造体は前記第2の電極層上に選択的に設けられることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】
請求項1、請求項3乃至5のいずれか一項において、前記第1の壁状構造体及び前記第2の壁状構造体を被覆する前記誘電体膜は積層構造であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項において、前記第1の壁状構造体及び前記第2の壁状構造体の誘電率は前記液晶層の誘電率より低いことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項において、前記第1の電極層、及び前記第2の電極層は櫛歯状であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項において、前記液晶層は、カイラル剤を含むことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項において、前記液晶層は、光硬化樹脂及び光重合開始剤を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項において、前記第1の基板と、前記第1の電極層及び前記第2の電極層との間に薄膜トランジスタが設けられ、
前記第1の電極層は前記薄膜トランジスタと電気的に接続していることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項12】
請求項11において、前記薄膜トランジスタと、前記第1の電極層及び前記第2の電極層との間には有彩色の透光性樹脂層が設けられることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−8542(P2012−8542A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110327(P2011−110327)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】