説明

液浸露光用感放射線性樹脂組成物、硬化パターン形成方法及び硬化パターン

【課題】水等の液浸露光用液体を介してレジスト膜を露光する液浸露光プロセスに好適に用いられる液浸露光用感放射線性樹脂組成物、硬化パターン形成方法及び硬化パターンを提供する。
【解決手段】本発明の液浸露光用感放射線性樹脂組成物は、式[RSiX4−a]で表されるシラン化合物、及び式[SiX]で表されるシラン化合物から選ばれる少なくとも1種を加水分解縮合させて得られる構造を有し、且つGPCによる重量平均分子量が1000〜200000であるケイ素含有重合体と、フッ素含有重合体と、酸発生剤と、溶剤とを含有する〔尚、各式におけるRはフッ素原子、アルキルカルボニルオキシ基、又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、Xは塩素原子、臭素原子又はOR(R:1価の有機基)を示し、aは1〜3の整数を示す。〕。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液浸露光用感放射線性樹脂組成物、硬化パターン形成方法及び硬化パターンに関する。更に詳しくは、本発明は、水等の液浸露光用液体を介してレジスト膜を露光する液浸露光プロセスに好適に用いられる液浸露光用感放射線性組成物、及びそれを用いた硬化パターン形成方法、並びに、該硬化パターン形成方法により得られる硬化パターンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子等における層間絶縁膜として、CVD法等の真空プロセスにより形成されたシリカ(SiO)膜が多用されている。
そして、近年、より均一な膜厚を有する層間絶縁膜を形成することを目的として、SOG(Spin on Glass)膜と呼ばれるテトラアルコキシシランの加水分解生成物を主成分とする塗布型の絶縁膜も使用されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。また、半導体素子等の高集積化に伴い、有機SOGと呼ばれるポリオルガノシロキサンを主成分とする低比誘電率の層間絶縁膜の開発も行なわれている(例えば、特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−36684号公報
【特許文献2】特開2003−3120号公報
【特許文献3】特開2005−213492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体素子等の更なる高集積化や多層化に伴い、液浸露光プロセスにおいても用いることが可能なレジスト被膜を形成可能な組成物が求められてきている。
しかしながら、従来のシリカ膜を形成可能な感放射線性樹脂組成物では、液浸露光プロセスにおいて、露光時に接触する水等の液浸露光用液体へレジスト材料が溶出してしまい、この溶出量が多いと、レンズを汚染してしまったり、リソ性能に悪影響を与えてしまったりする問題があり、改善が求められているのが現状である。
【0005】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、液浸露光プロセスにおいて、露光時に接触する水等の液浸露光用液体へのレジスト材料の溶出を抑制することができ、レンズの汚染やリソ性能への悪影響を十分に防止することができるレジスト被膜を形成可能な液浸露光用感放射線性樹脂組成物、及びそれを用いた硬化パターン形成方法、並びに、該硬化パターン形成方法により得られる硬化パターンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の通りである。
[1](A)(a1)下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物、及び(a2)下記一般式(2)で表される加水分解性シラン化合物から選ばれる少なくとも1種の加水分解性シラン化合物を加水分解縮合させて得られる構造を有しており、且つ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜200,000であるケイ素含有重合体と、
(B)フッ素含有重合体と、
(C)感放射線性酸発生剤と、
(D)溶剤と、を含有することを特徴とする液浸露光用感放射線性樹脂組成物。
SiX4−a (1)
〔一般式(1)において、Rは、フッ素原子、アルキルカルボニルオキシ基、又は炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。Rが複数存在する場合、複数のRは同一であってもよいし、異なっていてもよい。Xは、塩素原子、臭素原子、又はOR(但し、Rは1価の有機基を示す。)を示す。Xが複数存在する場合、複数のXは同一であってもよいし、異なっていてもよい。aは1〜3の整数を示す。〕
SiX (2)
〔一般式(2)において、Xは、塩素原子、臭素原子、又はOR(但し、Rは1価の有機基を示す。)を示す。複数のXは同一であってもよいし、異なっていてもよい。〕
[2]前記(A)ケイ素含有重合体が、更に、下記一般式(3)で表される加水分解性シラン化合物を加水分解縮合させて得られる構造を有する前記[1]に記載の液浸露光用感放射線性樹脂組成物。
(X)3−xSi−(R−Si(X)3−y (3)
〔一般式(3)において、Rは1価の有機基を示す。Rが複数存在する場合、複数のRは同一であってもよいし、異なっていてもよい。Rは1価の有機基を示す。Rが複数存在する場合、複数のRは同一であってもよいし、異なっていてもよい。Rは、酸素原子、フェニレン基、又は−(CH−で表される基(但し、nは1〜6の整数である。)を示す。Xはハロゲン原子又はOR(但し、Rは1価の有機基を示す。)を示す。Xが複数存在する場合、複数のXは同一であってもよいし、異なっていてもよい。xは0〜2の数を示す。yは0〜2の数を示す。zは0又は1を示す。〕
[3]前記(B)フッ素含有重合体が、下記一般式(4−1)、(4−2−1)及び(4−3)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種を含有する前記[1]又は[2]に記載の液浸露光用感放射線性樹脂組成物。
【化1】

〔一般式(4−1)、(4−2−1)及び(4−3)において、Rは、各々独立に、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。Rは、各々独立に、少なくとも1つ以上のフッ素原子を有する基を示す。R10は、各々独立に、フッ素原子を有していない基を示す。aは1〜5の整数を示し、bは0〜4の整数を示し、1≦a+b≦5を満たす。cは0又は1を示す。dは1〜12の整数を示し、eは0〜13の整数を示し、1≦d+e≦14を満たす。〕
[4]前記(B)フッ素含有重合体が、下記一般式(8)で表される加水分解性シラン化合物を加水分解縮合させて得られる構造を含む重合体である前記[1]又は[2]に記載の液浸露光用感放射性樹脂組成物。
90SiX4−b (8)
〔一般式(8)において、R90は少なくとも1つ以上のフッ素原子を有する炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のフルオロアルキル基を示す。R90が複数存在する場合、複数のR90は同一であってもよいし、異なっていてもよい。Xは、塩素原子、臭素原子、又はOR(但し、Rは1価の有機基を示す。)を示す。Xが複数存在する場合、複数のXは同一であってもよいし、異なっていてもよい。bは1〜3の整数を示す。〕
[5]更に、(E)酸拡散抑制剤を含有する前記[1]乃至[4]のいずれかに記載の液浸露光用感放射性樹脂組成物。
[6](I−1)前記[1]乃至[5]のいずれかに記載の液浸露光用感放射性樹脂組成物を基板に塗布し、被膜を形成する工程と、
(I−2)得られた被膜をベークする工程と、
(I−3)ベークされた被膜を液浸露光する工程と、
(I−4)液浸露光された被膜をベークする工程と、
(I−5)液浸露光後にベークされた被膜を現像液で現像し、ポジ型又はネガ型のパターンを形成する工程と、
(I−6)得られたパターンに、高エネルギー線照射及び加熱のうちの少なくとも一方の硬化処理を施し、硬化パターンを形成する工程と、を備えることを特徴とする硬化パターン形成方法。
[7]前記[6]に記載の硬化パターン形成方法によって得られることを特徴とする硬化パターン。
【発明の効果】
【0007】
本発明の液浸露光用感放射線性樹脂組成物によれば、感放射線性の性質を有しており、パターニングが可能であるとともに、硬化処理によるパターン変形がなく、パターン形状に優れると共に、低比誘電率な硬化パターンを容易に形成することができる。更には、露光時に接触する水等の液浸露光用液体へのレジスト材料の溶出を抑制することができ、レンズの汚染やリソ性能への悪影響を十分に防止することができる。そのため、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体素子の微細加工用材料として用いることができるだけでなく、層間絶縁膜用材料としても優れており、特に、銅ダマシンプロセスを含む半導体素子に有用である。
また、本発明の硬化パターン形成方法は、低比誘電率材料な層間絶縁膜を必要とする加工プロセス等において好適に用いることができ、従来の層間絶縁膜を用いた加工プロセスの効率を大幅に改良することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】パターンの断面形状を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。また、本明細書における「(メタ)アクリル」は、「アクリル」又は「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」又は「メタクリレート」を意味する。
【0010】
本発明の液浸露光用感放射線性樹脂組成物は、特定の(A)ケイ素含有重合体(以下、「ケイ素含有重合体(A)」ともいう。)と、(B)フッ素含有重合体(以下、「フッ素含有重合体(B)」ともいう。)と、(C)感放射線性酸発生剤(以下、「酸発生剤(C)」ともいう。)と、(D)溶剤(以下、「溶剤(D)」ともいう。)と、を含有する。
【0011】
[1]ケイ素含有重合体(A)
前記ケイ素含有重合体(A)は、(a1)下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物(以下、「化合物(a1)」ともいう。)、及び(a2)下記一般式(2)で表される加水分解性シラン化合物から選ばれる少なくとも1種の加水分解性シラン化合物(以下、「化合物(a2)」ともいう。)を加水分解縮合させて得られる構造を有するものである。
【0012】
SiX4−a (1)
〔一般式(1)において、Rは、フッ素原子、アルキルカルボニルオキシ基、又は炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。Rが複数存在する場合、複数のRは同一であってもよいし、異なっていてもよい。Xは、塩素原子、臭素原子、又はOR(但し、Rは1価の有機基を示す。)を示す。Xが複数存在する場合、複数のXは同一であってもよいし、異なっていてもよい。aは1〜3の整数を示す。〕
【0013】
SiX (2)
〔一般式(2)において、Xは、塩素原子、臭素原子、又はOR(但し、Rは1価の有機基を示す。)を示す。複数のXは同一であってもよいし、異なっていてもよい。〕
【0014】
前記化合物(a1)を表す一般式(1)において、Rは、フッ素原子、アルキルカルボニルオキシ基、又は炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である。
このRにおけるアルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、ビニルカルボニルオキシ基、アリルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
における炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。尚、これらのアルキル基における1又は2以上の水素原子は、フッ素原子等に置換されていてもよい。
また、前記化合物(a1)が、Rを複数有する場合、即ち、前記一般式(1)においてaが2又は3である場合、複数のRは、全て同一であってもよいし、全て又は一部が異なっていてもよい。
【0015】
一般式(1)におけるXは、塩素原子、臭素原子、又はOR(但し、Rは1価の有機基を示す。)である。
前記XがORである場合におけるRの1価の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリル基、グリシジル基等が挙げられる。これらのなかでも、アルキル基及びアリール基が好ましい。
前記アルキル基は、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖状及び若しくは分岐状のアルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。尚、これらのアルキル基における1又は2以上の水素原子は、フッ素原子等に置換されていてもよい。
前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基等が挙げられる。これらのうち、フェニル基が好ましい。
前記アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、3−ヘキセニル基等が挙げられる。
【0016】
前記一般式(1)で表される具体的な化合物(a1)としては、例えば、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、フルオロトリ−n−プロポキシシラン、フルオロトリイソプロポキシシラン、フルオロトリ−n−ブトキシシラン、フルオロトリ−sec−ブトキシシラン、フルオロトリ−tert−ブトキシシラン、フルオロトリフェノキシシラン、フルオロトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリクロロシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリ−n−プロポキシシラン、トリフルオロメチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロメチルトリ−n−ブトキシシラン、トリフルオロメチルトリ−sec−ブトキシシラン、トリフルオロメチルトリ−tert−ブトキシシラン、トリフルオロメチルトリフェノキシシラン、トリフルオロメチルトリクロロシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、エチルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリ−sec−ブトキシシラン、ビニルトリ−tert−ブトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリクロロシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリ−n−プロポキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリ−n−ブトキシシラン、イソプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、イソプロピルトリ−tert−ブトキシシラン、イソプロピルトリフェノキシシラン、イソプロピルトリクロロシラン、プロペニルトリメトキシシラン、プロペニルトリエトキシシラン、プロペニルトリ−n−プロポキシシラン、プロペニルトリイソプロポキシシラン、プロペニルトリ−n−ブトキシシラン、プロペニルトリ−sec−ブトキシシラン、プロペニルトリ−tert−ブトキシシラン、プロペニルトリフェノキシシラン、プロペニルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリ−n−プロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリ−n−ブトキシシラン、トリフルオロプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、トリフルオロプロピルトリ−tert−ブトキシシラン、トリフルオロプロピルトリフェノキシシラン、トリフルオロプロピルトリクロロシラン、パーフルオロプロピルトリメトキシシラン、パーフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロプロピルトリ−n−プロポキシシラン、パーフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、パーフルオロプロピルトリ−n−ブトキシシラン、パーフルオロプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、パーフルオロプロピルトリ−tert−ブトキシシラン、パーフルオロプロピルトリフェノキシシラン、パーフルオロプロピルトリクロロシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリイソプロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、フェニルトリクロロシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリ−n−プロポキシシラン、ベンジルトリイソプロポキシシラン、ベンジルトリ−n−ブトキシシラン、ベンジルトリ−sec−ブトキシシラン、ベンジルトリ−tert−ブトキシシラン、ベンジルトリフェノキシシラン、ベンジルトリクロロシラン、
【0017】
sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルイソトリエトキシシラン、sec−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチルトリイソプロポキシシラン、sec−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリクロロシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルト−n−プロポキシシラン、tert−ブチルトリイソプロポキシシラン、tert−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、tert−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、tert−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、tert−ブチルトリフェノキシシラン、tert−ブチルトリクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ−n−プロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジ−sec−ブトキシシラン、ジエチルジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジエチルジクロロシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジイソプロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジクロロシラン、
【0018】
ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジ−n−プロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジイソプロピルジ−n−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジイソプロピルジフェノキシシラン、ジイソプロピルジクロロシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジフェノキシシラン、ジ−n−ブチルジクロロシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジフェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジクロロシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジフェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジクロロシラン等が挙げられる。
【0019】
これらのなかでも、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等が好ましい。
尚、前記ケイ素含有重合体(A)の調製に際して、化合物(a1)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
前記化合物(a2)を表す一般式(2)において、Xは、塩素原子、臭素原子、又はOR(但し、Rは1価の有機基を示す。)である。このXについては、前記一般式(1)におけるXの例示及びその説明をそのまま適用することができる。
【0021】
前記一般式(2)で表される具体的な化合物(a2)としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラクロロシラン等が挙げられる。
これらのうち、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランが好ましい。
尚、前記ケイ素含有重合体(A)の調製に際して、化合物(a2)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
前記ケイ素含有重合体(A)の調製に際して、化合物(a1)及び(a2)に加えて、他の加水分解性シラン化合物を併用してもよい。
他の加水分解性シラン化合物としては、例えば、下記一般式(3)で表される化合物(以下、「化合物(a3)」ともいう。)を用いることができる。
【0023】
(X)3−xSi−(R−Si(X)3−y (3)
〔一般式(3)において、Rは1価の有機基を示す。Rが複数存在する場合、複数のRは同一であってもよいし、異なっていてもよい。Rは1価の有機基を示す。Rが複数存在する場合、複数のRは同一であってもよいし、異なっていてもよい。Rは、酸素原子、フェニレン基、又は−(CH−で表される基(但し、nは1〜6の整数である。)を示す。Xはハロゲン原子又はOR(但し、Rは1価の有機基を示す。)を示す。Xが複数存在する場合、複数のXは同一であってもよいし、異なっていてもよい。xは0〜2の数を示す。yは0〜2の数を示す。zは0又は1を示す。〕
【0024】
前記化合物(a3)を表す一般式(3)において、R及びRは、それぞれ、1価の有機基であり、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリル基、グリシジル基等が挙げられる。これらの官能基は、前記化合物(a1)を表す一般式(1)におけるXが示す1価の有機基の例示及びその説明をそのまま適用することができる。
また、一般式(3)において、Xは、塩素原子、臭素原子、又はOR(但し、Rは1価の有機基を示す。)である。このXについては、前記一般式(1)におけるXの例示及びその説明をそのまま適用することができる。
【0025】
前記一般式(3)において、z=0である場合の化合物としては、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ヘキサフェノキシジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−フェニルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジフェニルジシラン、
【0026】
1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン等が挙げられる。
【0027】
これらのなかでも、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン等が好ましい。
【0028】
前記一般式(3)において、z=1である場合の化合物としては、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−iso−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−tert−ブトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−iso−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−tert−ブトキシシリル)エタン、
【0029】
ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン等が挙げられる。
【0030】
これらのなかでも、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン等が好ましい。
尚、前記ケイ素含有重合体(A)の調製に際して、化合物(a3)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
前記ケイ素含有重合体(A)における、前記化合物(a1)由来の構成単位の含有割合は、ケイ素含有重合体(A)に含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは60〜100モル%、更に好ましくは70〜100モル%である。この含有割合が30〜100モル%である場合には、硬化処理時のプロセスマージン(焦点深度等)と硬化膜の膜物性(低誘電率等)のバランスが良好となる。
また、前記化合物(a2)由来の構成単位の含有割合は、ケイ素含有重合体(A)に含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、好ましくは0〜70モル%であり、より好ましくは0〜40モル%、更に好ましくは0〜30モル%である。この含有割合が0〜70モル%である場合には、硬化処理時のプロセスマージンと硬化膜の膜物性のバランスが良好となる。
更に、前記化合物(a1)由来の構成単位、及び、前記化合物(a2)由来の構成単位の合計は、ケイ素含有重合体(A)に含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、好ましくは20〜100モル%であり、より好ましくは50〜100モル%、更に好ましくは80〜100モル%である。この含有割合の合計が20〜100モル%である場合には、パターン形成に対するケイ素含有重合体(A)中の前記化合物(1)や化合物(2)に由来する構成単位の効果を得ることができる。
また、前記ケイ素含有重合体(A)が、化合物(a3)に由来する構成単位を含む場合、その含有割合は、ケイ素含有重合体(A)に含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、好ましくは50モル%以下であり、より好ましくは0〜40モル%、更に好ましくは0〜30モル%である。
【0032】
また、前記ケイ素含有重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜200,000であり、好ましくは1,500〜150,000、更に好ましくは2,000〜100,000である。このMwが1,000〜200,000である場合、硬化処理時のプロセスマージン(限界解像度、焦点深度、及び露光マージン)と硬化膜の膜物性(低誘電率等)のバランスが良好であるため好ましい。更には、パターン形状がより矩形となるため好ましい。尚、Mwが2,000〜100,000である場合は、特に、ライン・アンド・スペースパターンを形成するのに適している。
【0033】
また、前記ケイ素含有重合体(A)における炭素原子の含有率は特に限定されず、本発明の組成物の反応型や、使用目的に応じて適宜選定することができる。例えば、8〜40原子%であることが好ましく、より好ましくは8〜20原子%である。この含有率が8原子%未満の場合、ケイ素重合体(A)を含む液浸露光用感放射線性樹脂組成物を用いてシリカ系膜を形成した場合、比誘電率が十分に低い膜を得ることが困難である。一方、40原子%を超える場合、硬化処理後の膜収縮(パターン収縮)が大きく、所望のパターンが得られ難くなる。
尚、ケイ素含有重合体(A)の炭素原子の含有率(原子%)は、ケイ素含有重合体(A)の合成に用いた成分(加水分解性シラン化合物)の加水分解性基が完全に加水分解されてシラノール基となり、この生成したシラノール基が完全に縮合しシロキサン結合を形成した際の元素組成から求められ、具体的には以下の式から求められる。
炭素原子の含有率(原子%)=(有機シリカゾルの炭素原子数)/(有機シリカゾルの
総原子数)×100
【0034】
前記ケイ素含有重合体(A)は、加水分解性シラン化合物、即ち、前記化合物(a1)〜(a3)を出発原料として、この出発原料を有機溶媒に溶解し、この溶液中に水を断続的にあるいは連続的に添加して、加水分解縮合反応させることにより製造することができる。このとき、触媒を用いてもよい。この触媒は、予め、有機溶媒に溶解又は分散させておいてもよく、添加される水に溶解又は分散させておいてもよい。また、加水分解縮合反応を行うための温度は、通常、0℃〜100℃である。
尚、ケイ素含有重合体(A)を製造する場合、前記化合物(a1)、(a2)及び(a3)の混合物を加水分解縮合反応させてもよいし、各化合物の加水分解物及びその縮合物のうちの少なくとも一方や、選択された化合物の混合物の加水分解物及びその縮合物のうちの少なくとも一方を用いて、加水分解縮合反応又は縮合反応させてもよい。
【0035】
前記加水分解縮合反応を行うための水としては、特に限定されないが、イオン交換水を用いることが好ましい。また、前記水は、用いられる加水分解性シラン化合物のアルコキシル基等(例えば、一般式(1)及び(2)に等おけるX)1モル当たり0.25〜3モル、好ましくは0.3〜2.5モルとなる量で用いられる。上述の範囲の量で水を用いることにより、形成される塗膜の均一性が低下するおそれがなく、且つ、組成物の保存安定性が低下するおそれが少ない。
【0036】
前記有機溶媒は、この種の用途に使用される有機溶媒であれば特に限定されず、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられる。
【0037】
前記触媒としては、例えば、金属キレート化合物、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基等が挙げられる。
【0038】
前記金属キレート化合物としては、チタンキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物等が挙げられる。具体的には、特開2000−356854号公報等に記載されている化合物等を用いることができる。
前記有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、ミキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
前記無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等が挙げられる。
【0039】
前記有機塩基としては、例えば、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等が挙げられる。
前記無機塩基としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
【0040】
これらの触媒のなかでも、金属キレート化合物、有機酸及び無機酸が好ましい。前記触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記触媒の使用量は、前記加水分解性シラン化合物100質量部に対して、通常、0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜10質量部である。
【0041】
また、加水分解縮合反応を行った後には、メタノール、エタノール等の低級アルコール類等の反応副生成物の除去処理を行うことが好ましい。これにより、基板に対して優れた塗布性を有し、しかも、良好な保存安定性を有する組成物を得ることができる。
反応副生成物の除去処理の方法としては、加水分解物及び/又はその縮合物の反応が進行しない方法であれば、特に限定されず、例えば、反応副生成物の沸点が前記有機溶媒の沸点より低いものである場合には、減圧によって留去することができる。
【0042】
また、前記ケイ素含有重合体(A)は、重合体溶液から単離して用いてもよいし、重合体溶液のまま用いてもよい。尚、重合体溶液として用いる場合、必要に応じて、後述の溶剤(D)に溶剤置換されたものであってもよい。
【0043】
尚、本発明の液浸露光用感放射線性樹脂組成物において、前記ケイ素含有重合体(A)は、単独で含まれていてもよいし、2種以上の組合せで含まれていてもよい。
【0044】
[2]フッ素含有重合体(B)
前記フッ素含有重合体(B)は、1又は2以上のフッ素原子を有する重合体である。但し、前記ケイ素含有重合体(A)がフッ素を含有する場合、重合体(A)と(B)が同じ重合体である組み合わせは除く。
前記フッ素含有重合体(B)は、フッ素原子を有する部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又は、フッ素原子を有するアリール基を有するものであることが好ましい。
フッ素原子を有するアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4)は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状アルキル基であり、更にヒドロキシル基等の他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環又は多環のシクロアルキル基であり、更にヒドロキシル基等の他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等のアリール基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられ、更にヒドロキシル基等の他の置換基を有していてもよい。
【0045】
また、前記フッ素含有重合体(B)は、前述のフッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又はフッ素原子を有するアリール基として、一般式(F1)〜(F3)で表される基を有することが好ましい。特に、一般式(F1)〜(F3)で表される基を有する(メタ)アクリレート繰り返し単位を含有することが好ましい。
【0046】
【化02】

【0047】
一般式(F1)〜(F3)において、R21〜R32は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、又はアルキル基を示す。但し、R21〜R25、R26〜R28及びR29〜R32のうち、少なくとも1つは、フッ素原子、又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)を示す。尚、R26及びR27は、互いに連結して環を形成してもよい。
また、R26、R27及びR32は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)が好ましく、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基であることが更に好ましい。
【0048】
一般式(F1)で表される基としては、例えば、p−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル基等が挙げられる。
一般式(F2)で表される基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、ノナフルオロブチル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロヘキシル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロ(トリメチル)ヘキシル基、2,2,3,3−テトラフルオロシクロブチル基、パーフルオロシクロヘキシル基等が挙げられる。
一般式(F3)で表される基としては、例えば、−C(CFOH、−C(COH、−C(CF)(CH)OH、−CH(CF)OH等が挙げられる。
【0049】
前記フッ素含有重合体(B)としては、例えば、下記一般式(4−1)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(4−1)」ともいう。)、下記一般式(4−2)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(4−2)」ともいう。)、下記一般式(4−3)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(4−3)」ともいう。)及び下記一般式(4−4)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(4−4)」ともいう。)から選ばれる少なくとも1種を含有する重合体(以下、「フッ素含有重合体(B1)」ともいう。)を挙げることができる。
【0050】
【化03】

〔一般式(4−1)〜(4−4)において、Rは、各々独立に、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。Rは、各々独立に、少なくとも1つ以上のフッ素原子を有する基を示す。R10は、フッ素原子を有していない基を示す。Aは、少なくとも1つの水素原子が、フッ素原子、又は少なくとも1つ以上のフッ素原子を有する基に置換されている芳香族環式基を示す。cは0又は1を示す。dは1〜12の整数を示し、eは0〜13の整数を示し、1≦d+e≦14を満たす。〕
【0051】
一般式(4−1)〜(4−4)におけるRの少なくとも1つ以上のフッ素原子を有する有機基としては、例えば、前述のフッ素原子を有する部分構造を含む基等を挙げることができる。
【0052】
前記繰り返し単位(4−1)としては、例えば、下記一般式(4−1−1)〜(4−1−6)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
【0053】
【化04】

〔一般式(4−1−1)において、Rは、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでいてもよく、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子に置換されたメチレン基、又は炭素数2〜30のアルキレン基を示す。aは0〜5の整数を示す。〕
【0054】
【化05】

〔一般式(4−1−2)〜(4−1−5)において、Rは、各々独立に、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。Xは、2価の有機基を示す。R41は、フッ素原子を有する有機基を示す。〕
【0055】
一般式(4−1−2)〜(4−1−5)におけるXの2価の有機基としては、例えば、置換基(フッ素原子等)を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の基等が挙げられる。尚、「ヘテロ原子を含む基」とは、ヘテロ原子、即ち、炭素原子及び水素原子以外の原子を含む基を意味する。例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等を含む基が挙げられる。具体的には、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−NH−、−NR(Rはアルキル基)−、−NH−C(=O)−、=N−、又は、これらの基と2価の炭化水素基との組み合わせ等が挙げられる。
また、一般式(4−1−2)〜(4−1−5)におけるR41のフッ素原子を有する有機基としては、例えば、前述のフッ素原子を有する部分構造を含む基等を挙げることができる。
【0056】
【化06】

〔一般式(4−1−6)において、Rは、各々独立に、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。Xは2価の有機基を示す。R43は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子に置換されたメチレン基、又は炭素数2〜30のアルキレン基を示す。R44は1価の有機基を示す。〕
【0057】
一般式(4−1−6)におけるXの2価の有機基としては、前記Xにおける2価の有機基を例示することができる。
また、R44の1価の有機基としては、炭素数1〜20のアルキル基、フルオロアルキル基、アリール基、ヘテロ原子を含む基等が挙げられる。
【0058】
また、前記一般式(4−1−2)で表される繰り返し単位は、下記一般式(4−1−2a)〜(4−1−2d)で表される繰り返し単位とすることができる。
【0059】
【化07】

〔一般式(4−1−2a)〜(4−1−2d)において、Rは、各々独立に、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。R41は、フッ素原子を有する有機基を示す。R45は置換基を示す。a1〜a3、a5及びa7は、各々独立に、1〜5の整数を示す。a4及びa6は、各々独立に、0〜5の整数を示す。b1〜b3は、各々独立に、0又は1を示す。eは0〜2の整数を示す。〕
【0060】
一般式(4−1−2c)及び(4−1−2d)におけるR45の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン化低級アルキル基(炭素数1〜5)、酸素原子(=O)等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0061】
具体的な繰り返し単位(4−1)としては、例えば、以下のものが挙げられる。尚、各式において、Rは、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。
【0062】
【化08】

【0063】
【化09】

【0064】
【化10】

【0065】
【化11】

【0066】
【化12】

【0067】
【化13】

【0068】
尚、前記フッ素含有重合体(B1)には、繰り返し単位(4−1)が1種のみ含有されていてもよいし、2種以上含有されていてもよい。
【0069】
前記一般式(4−2)におけるAは、少なくとも1つの水素原子が、フッ素原子又は少なくとも1つ以上のフッ素原子を有する基に置換されている2価の芳香族環式基である。具体的には、フッ素原子を有する置換基を備える芳香族炭化水素環から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
この芳香族環式基の環骨格としては、炭素数が6〜15であることが好ましく、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環等が挙げられる。これらのなかでも、ベンゼン環又はナフタレン環が好ましい。
また、この芳香族環式基は、フッ素原子又はフッ素原子を有する基以外の、他の置換基を有していてもよい。他の置換基としては、例えば、フッ素原子以外のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化低級アルキル基(フッ素化低級アルキル基を除く)、酸素原子(=O)等が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0070】
前記繰り返し単位(4−2)としては、例えば、下記一般式(4−2−1)〜(4−2−2)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
【0071】
【化14】

〔一般式(4−2−1)及び(4−2−2)において、Rは、各々独立に、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。Rは、各々独立に、少なくとも1つ以上のフッ素原子を有する基を示す。R10は、各々独立に、フッ素原子を有していない基を示す。aは1〜5の整数を示し、bは0〜4の整数を示し、1≦a+b≦5を満たす。fは1〜7の整数を示し、gは0〜6の整数を示し、1≦f+g≦7を満たす。〕
【0072】
前記一般式(4−2−1)及び(4−2−2)におけるR10のフッ素原子を有していない基としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基等を挙げることができる。
【0073】
また、前記一般式(4−2−1)〜(4−2−2)で表される繰り返し単位は、下記一般式(4−2−1a)、(4−2−1b)、(4−2−2a)又は(4−2−2b)で表される繰り返し単位とすることができる。
【0074】
【化15】

〔一般式(4−2−1a)〜(4−2−2b)において、Rは、各々独立に、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。R41は、フッ素原子を有する有機基を示す。R10はフッ素原子を有していない基を示す。a9及びa11〜a13は、各々独立に、1〜5の整数を示す。a8及びa10は、各々独立に、0〜5の整数を示す。b4〜b5は、各々独立に、0又は1を示す。bは0〜4の整数を示す。gは0〜6の整数を示す。〕
【0075】
また、一般式(4−2−1a)〜(4−2−2b)におけるR41のフッ素原子を有する有機基としては、例えば、前述のフッ素原子を有する部分構造を含む基等を挙げることができる。
【0076】
具体的な繰り返し単位(4−2)としては、例えば、以下のものが挙げられる。尚、各式において、Rは、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。
【0077】
【化16】

【0078】
【化17】

【0079】
尚、前記フッ素含有重合体(B1)には、繰り返し単位(4−2)が1種のみ含有されていてもよいし、2種以上含有されていてもよい。
【0080】
前記一般式(4−3)におけるR10のフッ素原子を有していない基としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基等を挙げることができる。
【0081】
この繰り返し単位(4−3)としては、例えば、下記一般式(4−3−1)〜(4−3−2)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
【0082】
【化18】

〔一般式(4−3−1)及び(4−3−2)において、R51及びR52は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、R51とR52は結合してこれらが結合する炭素原子と共に非芳香環を形成することもできる。R53は水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。R54は水素原子又は酸不安定基を示す。R55は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基である。〕
【0083】
前記一般式(4−3−1)及び(4−3−2)において、R51、R52及びR55の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、アダマンチル基等が挙げられる。尚、R51及びR52は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に非芳香環を形成することもできるが、その場合、R51及びR52はアルキレン基であり、上述のアルキル基中の1個の水素原子を引き抜いた形式のものが挙げられ、この環としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0084】
次に、一般式(4−3−1)におけるR54の酸不安定基について説明する。酸不安定基としては種々のものが挙げられるが、具体的には、下記一般式(L1)〜(L4)で示される基(式中の破線は、結合手を示す。)、炭素数4〜20(好ましくは4〜15)の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等が挙げられる。
【0085】
【化19】

【0086】
前記式(L1)において、RL01、RL02は、水素原子、又は炭素数1〜18(好ましくは1〜10)の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を示す。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、アダマンチル基等が挙げられる。
L03は、炭素数1〜18(好ましくは1〜10)の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価の炭化水素基を示す。例えば、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、これらの水素原子の一部がヒドロキシル基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたもの等が挙げられる。具体的には、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基としては前記RL01、RL02と同様のものが挙げられ、置換アルキル基としては下記の基等が挙げられる。
【0087】
【化20】

【0088】
また、RL01とRL02、RL01とRL03、RL02とRL03とは、互いに結合してこれらが結合する炭素原子や酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するRL01、RL02、RL03は、それぞれ、メチレン基、又は炭素数2〜18(好ましくは2〜10)の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を示す。
【0089】
前記式(L2)において、RL04は炭素数4〜20(好ましくは4〜15)の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は前記一般式(L1)で示される基を示す。
三級アルキル基としては、具体的には、tert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、2−シクロペンチルプロパン−2−イル基、2−シクロヘキシルプロパン−2−イル基、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)プロパン−2−イル基、2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基等が挙げられる。
トリアルキルシリル基としては、具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が挙げられる。
オキソアルキル基としては、具体的には3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が挙げられる。
また、yは0〜6の整数である。
【0090】
前記式(L3)において、RL05は、置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を示す。
置換されていてもよいアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基等の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、これらの水素原子の一部がヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの、又はこれらのメチレン基の一部が酸素原子又は硫黄原子に置換されたもの等が挙げられる。
置換されていてもよいアリール基としては、具体的には、フェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基等が挙げられる。
mは0又は1であり、nは0〜3の整数であり、2m+n=2又は3を満たす。
【0091】
前記式(L4)において、RL06は、置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を示す。具体的には、前記RL05と同様のもの等が挙げられる。
L07〜RL16は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜15の1価の炭化水素基を示す。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基等の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、これらの水素原子の一部がヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの等が挙げられる。
L07〜RL16は、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく(例えば、RL07とRL08、RL07とRL09、RL08とRL10、RL09とRL10、RL11とRL12、RL13とRL14等)、その場合には環の形成に関与する基は炭素数1〜15の2価の炭化水素基を示し、具体的には前記1価の炭化水素基で例示したものから水素原子を1個除いたもの等が挙げられる。
また、RL07〜RL16は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成していてもよい(例えば、RL07とRL09、RL09とRL15、RL13とRL15等)。
【0092】
具体的な繰り返し単位(4−3)としては、例えば、以下のものが挙げられる。尚、各式において、R53は水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。R54は水素原子又は酸不安定基を示す。
【0093】
【化21】

【0094】
【化22】

【0095】
尚、前記フッ素含有重合体(B1)には、繰り返し単位(4−3)が1種のみ含有されていてもよいし、2種以上含有されていてもよい。
【0096】
また、具体的な繰り返し単位(4−4)としては、例えば、以下のものが挙げられる。尚、各式において、Rは、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。
【0097】
【化23】

【0098】
尚、前記フッ素含有重合体(B1)には、繰り返し単位(4−4)が1種のみ含有されていてもよいし、2種以上含有されていてもよい。
【0099】
また、前記繰り返し単位(4−1)〜(4−4)を与える単量体としては、下記化合物(M−4−1)〜(M−4−4)が挙げられる。尚、各符号は、一般式(4−1)〜(4−4)における符号と同義である。
【0100】
【化24】

【0101】
本発明の液浸露光用感放射線性樹脂組成物において、前記フッ素含有重合体(B1)は、前記繰り返し単位(4−1)、(4−2−1)及び(4−3)のうちの少なくとも1種を含むものであることが好ましい。即ち、下記一般式(4−1)、(4−2−1)及び(4−3)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも1つを含むものであることが好ましい。
【0102】
【化25】

〔一般式(4−1)、(4−2−1)及び(4−3)において、Rは、各々独立に、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。Rは、各々独立に、少なくとも1つ以上のフッ素原子を有する基を示す。R10は、各々独立に、フッ素原子を有していない基を示す。aは1〜5の整数を示し、bは0〜4の整数を示し、1≦a+b≦5を満たす。cは0又は1を示す。dは1〜12の整数を示し、eは0〜13の整数を示し、1≦d+e≦14を満たす。〕
【0103】
また、前記フッ素含有重合体(B1)は、前記繰り返し単位(4−1)〜(4−4)以外に、酸の作用によりアルカリ易溶性となる酸解離性基を有する繰り返し単位を含有していてもよい。この繰り返し単位は、上述の作用を有するものである限り特に限定されないが、下記一般式(p−1)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(p−1)」という。)、及び、下記一般式(p−2)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(p−2)」という。)のうちの少なくとも一方であることが好ましい。
【0104】
【化26】

〔一般式(p−1)において、R61は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を示す。R62は、相互に独立に、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数6〜22のアリール基、又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基を示すか、或いは、いずれか2つのR62が相互に結合して、それぞれが結合している炭素原子とともに2価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基を形成し、残りの1つのR62が、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数6〜22のアリール基、又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基を示す。〕
【0105】
【化27】

〔一般式(p−2)において、R63は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を示す。R64は、相互に独立に、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基を示すか、或いは、いずれか2つのR64が相互に結合して、それぞれが結合している炭素原子とともに2価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基を形成し、残りの1つのR64が、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基を示す。〕
【0106】
前記一般式(p−1)のR62における炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0107】
一般式(p−1)のR62における炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、アダマンタンや、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン類等に由来する脂環族環からなる基等が挙げられる。
また、この脂環式炭化水素基から誘導される基としては、上述の1価の脂環式炭化水素基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基等が挙げられる。
【0108】
一般式(p−1)のR62における炭素数6〜22のアリール基としては、下記の(x−1)〜(x−3)等の構造に由来する基が挙げられる。尚、R62が下記の(x−2)に由来する基(即ち、ナフチル基)である場合、前記一般式(p−1)の[−O−C(R62]部位における炭素原子(酸素原子に結合している炭素原子)に結合する結合位置は、1位及び2位のいずれであってもよい。また、R62が下記の(x−3)に由来する基(即ち、アントリル基)である場合、前記一般式(p−1)の[−O−C(R62]部位における炭素原子に結合する結合位置は、1位、2位及び9位のいずれであってもよい。
また、このアリール基は置換されていてもよい。置換基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルコキシル基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0109】
【化28】

【0110】
また、いずれか2つのR62が相互に結合して、それぞれが結合している炭素原子(酸素原子に結合している炭素原子)とともに形成する2価の脂環式炭化水素基としては、炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。具体的には、例えば、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、アダマンタン、シクロペンタン又はシクロヘキサン等に由来する脂環族環からなる基等が挙げられる。
更に、R62が相互に結合して形成された2価の脂環式炭化水素基から誘導される基としては、上述の2価の脂環式炭化水素基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基等が挙げられる。
【0111】
繰り返し単位(p−1)のなかでも、下記一般式(p−1−1)〜(p−1−8)で表される繰り返し単位が好ましく、下記一般式(p−1−2)〜(p−1−5)で表される繰り返し単位が更に好ましい。
【0112】
【化29】

〔一般式(p−1−1)〜(p−1−8)において、R61は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を示す。R65は、相互に独立に、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数6〜22のアリール基を示す。〕
【0113】
一般式(p−1−1)〜(p−1−8)のR65における「炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基」及び「炭素数6〜22のアリール基」については、それぞれ、前記一般式(p−1)のR62における「炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基」及び「炭素数6〜22のアリール基」の説明をそのまま適用することができる。
【0114】
尚、フッ素含有重合体(B1)は、繰り返し単位(p−1)を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
【0115】
また、前記一般式(p−2)のR64における「炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基」、「炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基」及び「いずれか2つのR64が相互に結合して、それぞれが結合している炭素原子とともに2価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基」については、それぞれ、前記一般式(p−1)のR62における「炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基」、「炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基」及び「いずれか2つのR62が相互に結合して、それぞれが結合している炭素原子とともに2価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基」の説明をそのまま適用することができる。
【0116】
繰り返し単位(p−2)のなかでも、下記一般式(p−2−1)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0117】
【化30】

〔一般式(p−2−1)において、R63は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を示す。R66は、相互に独立に、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。〕
【0118】
一般式(p−2−1)のR66における「炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基」については、前記一般式(p−1)のR62における「炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基」の説明をそのまま適用することができる。
【0119】
尚、フッ素含有重合体(B1)は、繰り返し単位(p−2)を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
【0120】
また、前記フッ素含有重合体(B1)には、下記一般式(5)で表される繰り返し単位が含有されていてもよい。
【0121】
【化31】

〔一般式(5)において、R68は水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。R69は分岐状のアルキル基を示す。〕
【0122】
前記一般式(5)におけるR69の分岐状のアルキル基は特に限定されないが、炭素数1〜12のものが好ましい。
一般式(5)で表される具体的な繰り返し単位としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0123】
【化32】

【0124】
尚、前記フッ素含有重合体(B1)において、一般式(5)で表される繰り返し単位は1種のみ含有されていてもよいし、2種以上含有されていてもよい。
【0125】
また、前記フッ素含有重合体(B1)には、ラクトン骨格を有する繰り返し単位が含有されていてもよい。
ラクトン骨格を有する繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(6)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(6)」ともいう。)を挙げることができる。
【0126】
【化33】

〔一般式(6)において、R71は水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。R72は単結合、メチレン基、炭素数2〜5のアルキレン基、アルキレンオキシ基又はアルキレンカルボニルオキシ基を示す。X11はラクトン構造又は環状カーボネート構造を有する1価の基を示す。〕
【0127】
一般式(6)のR72における炭素数2〜5のアルキレン基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。このアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、1−メチルエチレン基、ブチレン基等が挙げられる。
また、R72におけるアルキレンオキシ基は直鎖状であっても分岐状であってもよく、炭素数が1〜10であることが好ましい。このアルキレンオキシ基としては、例えば、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、1−メチルエチレンオキシ基、ブチレンオキシ基等が挙げられる。
更に、R72におけるアルキレンカルボニルオキシ基は直鎖状であっても分岐状であってもよく、炭素数が1〜10であることが好ましい。このアルキレンカルボニルオキシ基としては、例えば、エチレンカルボニルオキシ基、トリメチレンカルボニルオキシ基、1−メチル−トリメチレンカルボニルオキシ基、2−メチル−トリメチレンカルボニルオキシ基、テトラメチレンカルボニルオキシ基、ペンタメチレンカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0128】
繰り返し単位(6)のなかでも、下記一般式(6−1)〜(6−4)から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位が好ましい(以下、これらの繰り返し単位を、それぞれ、「繰り返し単位(6−1)」、「繰り返し単位(6−2)」、「繰り返し単位(6−3)」、「繰り返し単位(6−4)」という。)。
【0129】
【化34】

〔一般式(6−1)〜(6−4)において、R71は水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。R72は単結合、メチレン基、炭素数2〜5のアルキレン基、アルキレンオキシ基又はアルキレンカルボニルオキシ基を示す。R73は炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、炭素数1〜12のアルキルカルボニルオキシ基又はヒドロキシアルキル基を示す。R74は酸素原子又はメチレン基を示す。Aは3価の有機基を示す。lは1〜3の整数を示す。mは0又は1を示す。〕
【0130】
一般式(6−1)〜(6−4)におけるR72については、前記一般式(6)におけるR72の説明をそのまま適用することができる。
また、一般式(6−2)及び(6−3)のR73における炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらのなかでも、メチル基、エチル基、n−ブチル基及びtert−ブチル基が好ましい。
また、前記R73におけるシクロアルキル基の炭素数は特に限定されないが、炭素数3〜25であることが好ましい。このシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アダマンチル基、ノルボニル基等が挙げられる。
更に、前記R73における炭素数1〜12のアルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
また、前記R73におけるヒドロキシアルキル基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1〜12であることが好ましい。このヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキヘキシル基、ヒドロキヘプチル基等を挙げることができる。
【0131】
また、一般式(6−4)におけるAとしては、例えば、直鎖状、分岐状又は環状の3価の炭化水素基や、複素環構造を有する3価の基が挙げられる。これらの基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、フェノキシ基等で置換されたものであってもよい。
【0132】
尚、前記フッ素含有重合体(B1)において、ラクトン骨格を有する繰り返し単位は1種のみ含有されていてもよいし、2種以上含有されていてもよい。
【0133】
また、前記フッ素含有重合体(B1)には、下記一般式(7−1)及び(7−2)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも1種が含まれていてもよい。
【0134】
【化35】

【0135】
一般式(7−1)及び(7−2)において、R76は、各々独立に、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。R77は、炭化水素基を示す。R78は、環状炭化水素基を示す。Pは、−O−、−NR−(Rは水素原子又はアルキル基)、−NHSO−から選ばれる連結基を示す。nは0〜4の整数である。
【0136】
一般式(7−1)におけるR77の炭化水素基としては、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキル置換シクロアルキル基、アルケニル基、アルキル置換アルケニル基、アルキル置換シクロアルケニル基、アルキル置換アリール基、アルキル置換アラルキル基が挙げられる。これらのなかでも、アルキル基、アルキル置換シクロアルキル基が好ましい。
【0137】
77における、アルキル基としては、炭素数1〜20の分岐状のアルキル基が好ましい。好ましいアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、3−ペンチル基、2−メチル−3−ブチル基、3−ヘキシル基、2−メチル−3−ペンチル基、3−メチル−4−ヘキシル基、3,5−ジメチル−4−ペンチル基、イソオクチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、2,6−ジメチルヘプチル基、1,5−ジメチル−3−ヘプチル基、2,3,5,7−テトラメチル−4−ヘプチル基等が挙げられる。より好ましくは、イソブチル基、t−ブチル基、2−メチル−3−ブチル基、2−メチル−3−ペンチル基、3−メチル−4−ヘキシル基、3,5−ジメチル−4−ペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、2,6−ジメチルヘプチル基、1,5−ジメチル−3−ヘプチル基、2,3,5,7−テトラメチル−4−ヘプチル基である。
77における、アルキルオキシ基としては、アルキル基にエーテル基が結合した基を挙げることができる。
【0138】
77における、シクロアルキル基は、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。好ましいシクロアルキル基としては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、ノルボルニル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、テトラシクロドデカニル基、トリシクロデカニル基を挙げることができる。更に好ましくは、ノルボルニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基である。
77における、アルケニル基としては、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルケニル基が好ましく、分岐のアルケニル基がより好ましい。
【0139】
77における、アリール基は、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基を挙げることができ、好ましくはフェニル基である。
77における、アラルキル基は、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
nは、好ましくは1〜4であり、より好ましくは1〜2である。
【0140】
一般式(7−2)のR78における、環状炭化水素基としては、シクロアルキル基、アルキル置換シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アルキル置換シクロアルケニル基、アリール基、アルキル置換シクロアリール基が挙げられ、シクロアルキル基、アルキル置換シクロアルキル基が好ましい。
環状炭化水素基は、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。
好ましいシクロアルキル基としては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、ノルボルニル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、テトラシクロドデカニル基、トリシクロデカニル基を挙げることができる。更に好ましくは、ノルボルニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基である。
【0141】
78における、アリール基は、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基を挙げることができ、好ましくはフェニル基である。
78における、環状アラルキル基は、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
【0142】
一般式(7−1)で表される具体的な繰り返し単位としては、以下のものが挙げられる。尚、R76は、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。
【0143】
【化36】

【0144】
一般式(7−2)において、Pが酸素原子の場合に、酸素原子に直結する炭素原子は2級又は3級であることが好ましい。
一般式(7−2)で表される具体的な繰り返し単位としては、下記に示すものが挙げられる。尚、R76は、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。
【0145】
【化37】

【0146】
尚、前記フッ素含有重合体(B1)において、一般式(7−1)又は(7−2)で表される繰り返し単位は、1種のみ含有されていてもよいし、2種以上含有されていてもよい。
【0147】
また、前記フッ素含有重合体(B1)には、他の繰り返し単位として、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位や、アルカリ現像液の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する基を有する繰り返し単位を含んでいてもよい。
前記アルカリ可溶性基としては、例えば、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基を有する基等が挙げられる。
【0148】
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、(メタ)アクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、又はアルカリ可溶性基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入されたもの、のいずれも好ましい。
【0149】
具体的な他の繰り返し単位としては、下記に示すものが挙げられる。尚、式中におけるR80は、水素原子、フッ素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。
【0150】
【化38】

【0151】
尚、前記フッ素含有重合体(B1)において、他の繰り返し単位は1種のみ含有されていてもよいし、2種以上含有されていてもよい。
【0152】
また、前記フッ素含有重合体(B1)には、ケイ素原子を有する部分構造を有する繰り返し単位が含まれていてもよい。
ケイ素原子を有する部分構造としては、アルキルシリル構造(好ましくはトリアルキルシリル基)、又は環状シロキサン構造を有するものが挙げられる。
アルキルシリル構造、又は環状シロキサン構造としては、具体的には、下記一般式(S−1)〜(S−3)で表される基等が挙げられる。
【0153】
【化39】

【0154】
一般式(S−1)〜(S−3)において、R81、各々独立に、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、又はシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)を示す。L〜Lは、単結合又は2価の連結基を示す。nは1〜5の整数である。
前記2価の連結基としては、メチレン基、アルキレン基、フェニレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、及びウレイレン基の群から選択される単独或いは2つ以上の基の組み合わせが挙げられる。
【0155】
ケイ素原子を有する具体的な繰り返し単位としては、下記に示すものが挙げられる。尚、式中におけるR82は、水素原子、フッ素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。
【0156】
【化40】

【0157】
尚、前記フッ素含有重合体(B1)において、ケイ素原子を有する繰り返し単位は1種のみ含有されていてもよいし、2種以上含有されていてもよい。
【0158】
前記フッ素含有重合体(B1)に含まれる全繰り返し単位を100モル%とした場合、前記繰り返し単位(4−1)〜(4−4)の含有割合の合計は、10〜100モル%であることが好ましく、より好ましくは20〜100モル%、更に好ましくは30〜100モル%である。繰り返し単位(4−1)〜(4−4)の含有割合の合計は、10〜100モル%である場合、得られるパターン形状が良好であり、且つ液浸露光時に接触した水等の液浸露光用液体へのレジスト材料の溶出を抑制することができる。更には、レジスト被膜と液浸露光用液体との後退接触角を十分に高くすることができ、高速でのスキャン露光の際にも水滴が残らないため好ましい。
【0159】
また、前記フッ素含有重合体(B1)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜80,000、更に好ましくは1,000〜60,000である。このMwが1,000〜100,000である場合、ウェハ上への液浸露光用液体の残存防止と、現像後の異物残り防止の観点から好ましい。
また、フッ素含有重合体(B1)のMwとMnとの比(Mw/Mn)は、1〜5であることが好ましく、より好ましくは1〜3である。
【0160】
前記フッ素含有重合体(B1)は、例えば、所定の各繰り返し単位に対応する重合性不飽和単量体を、ヒドロパーオキシド類、ジアルキルパーオキシド類、ジアシルパーオキシド類、アゾ化合物等のラジカル重合開始剤を使用し、必要に応じて連鎖移動剤の存在下、適当な溶媒中で重合することにより製造することができる。
【0161】
前記フッ素含有重合体(B1)の重合に使用される溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類等を挙げることができる。
これらの溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0162】
前記重合における反応温度は、40〜150℃であることが好ましく、より好ましくは50〜120℃である。また、反応時間は、1〜48時間であることが好ましく、より好ましくは1〜24時間である。
【0163】
フッ素含有重合体(B1)は、このフッ素含有重合体(B1)を調製する際に用いられる単量体に由来する低分子量成分(以下、「低分子量成分(b)」ともいう。)の含有割合(固形分換算)が、フッ素含有重合体(B1)を100質量%とした場合に、0.1質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.07質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以下である。この含有割合が0.1質量%以下である場合、液浸露光時に、レジスト被膜に接触した水等の液浸露光液に対して溶出してしまう溶出物の量を少なくすることができる。更に、感放射線性樹脂組成物の保管時に異物が発生し難く、塗布時に塗布ムラが発生し難いことに加え、レジストパターン形成時における欠陥の発生を良好に抑制することができる。
【0164】
前記低分子量成分(b)は、重量平均分子量500以下の成分であり、例えば、モノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマーを挙げることができる。尚、低分子量成分(b)は、例えば、水洗、液々抽出等の化学的精製法や、これらの化学的精製法と限外ろ過、遠心分離等の物理的精製法とを組み合わせた方法等により除去することができる。
【0165】
尚、フッ素含有重合体(B1)は、ハロゲン、金属等の不純物の含有量が少ないほど好ましい。このような不純物の含有量が少ないと、レジスト被膜の感度、解像度、プロセス安定性、パターン形状等を更に向上させることができる。
【0166】
フッ素含有重合体(B1)の精製法としては、上述した、水洗、液々抽出等の化学的精製法や、これらの化学的精製法と限外ろ過、遠心分離等の物理的精製法とを組み合わせた方法等を挙げることができる。
【0167】
また、前記フッ素含有重合体(B)としては、下記一般式(8)で表される加水分解性シラン化合物(以下、「化合物(b8)」ともいう。)を加水分解縮合させて得られる構造を含む重合体(以下、「フッ素含有重合体(B2)」ともいう。)を挙げることができる。
【0168】
90SiX4−b (8)
〔一般式(8)において、R90は少なくとも1つ以上のフッ素原子を有する炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のフルオロアルキル基を示す。R90が複数存在する場合、複数のR90は同一であってもよいし、異なっていてもよい。Xは、塩素原子、臭素原子、又はOR(但し、Rは1価の有機基を示す。)を示す。Xが複数存在する場合、複数のXは同一であってもよいし、異なっていてもよい。bは1〜3の整数を示す。〕
【0169】
前記化合物(b8)を表す一般式(8)において、R90は、少なくとも1つ以上のフッ素原子を有する炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のフルオロアルキル基である。
このフルオロアルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基における1又は2以上の水素原子がフッ素原子に置換された基を挙げることができる。
また、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
尚、前記化合物(b8)が、R90を複数有する場合、即ち、前記一般式(8)においてbが2又は3である場合、複数のR90は、全て同一であってもよいし、全て又は一部が異なっていてもよい。
【0170】
また、一般式(8)におけるXは、塩素原子、臭素原子、又はOR(但し、Rは1価の有機基を示す。)である。
前記XがORである場合におけるRの1価の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリル基、グリシジル基等が挙げられる。これらのなかでも、アルキル基及びアリール基が好ましい。
前記アルキル基は、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖状及び若しくは分岐状のアルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。尚、これらのアルキル基における1又は2以上の水素原子は、フッ素原子等に置換されていてもよい。
前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基等が挙げられる。これらのうち、フェニル基が好ましい。
前記アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、3−ヘキセニル基等が挙げられる。
【0171】
前記一般式(8)で表される具体的な化合物(b8)としては、例えば、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリ−n−プロポキシシラン、トリフルオロメチルトリ−iso−プロポキシシラン、トリフルオロメチルトリクロロシラン、ペンタフルオロエチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロエチルトリエトキシシラン、ペンタフルオロエチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリクロロシラン、パーフルオロプロピルトリメトキシシラン、パーフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロプロピルトリクロロシラン、ジ(トリフルオロメチル)ジメトキシシラン、ジ(トリフルオロメチル)ジエトキシシラン、ジ(トリフルオロメチル)ジクロロシラン、ジ(ペンタフルオロエチル)ジメトキシシラン、ジ(ペンタフルオロエチル)ジエトキシシラン、ジ(ペンタフルオロエチル)ジクロロシラン等が挙げられる。
尚、前記フッ素含有重合体(B2)の調製に際して、化合物(b8)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0172】
前記フッ素含有重合体(B2)の調製に際して、化合物(b8)に加えて、他の加水分解性シラン化合物(以下、「他の化合物」ともいう。)を併用してもよい。
他の化合物としては、例えば、前述の化合物(a1)〜(a3)等を用いることができる。
この他の化合物としては、特に、テトラメトキシシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン等が好ましい。
尚、前記フッ素含有重合体(B2)の調製に際して、他の化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0173】
前記フッ素含有重合体(B2)における、前記化合物(b8)由来の構成単位の含有割合は、フッ素含有重合体(B2)に含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、好ましくは1〜100モル%、より好ましくは5〜100モル%、更に好ましくは10〜100モル%である。この含有割合が1〜100モル%である場合には、ウェハ上への液浸露光用液体の残存が生じにくく、露光時のスキャン性が良好となる。
また、前記他の化合物由来の構成単位の含有割合は、フッ素含有重合体(B2)に含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、好ましくは0〜99モル%であり、より好ましくは0〜95モル%、更に好ましくは0〜90モル%である。この含有割合が0〜99モル%である場合には、ウェハ上への液浸露光用液体の残存が生じにくく、露光時のスキャン性が良好となる。
【0174】
また、前記フッ素含有重合体(B2)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜200,000であることが好ましく、より好ましくは1,500〜150,000、更に好ましくは2,000〜100,000である。このMwが1,000〜200,000である場合、ウェハ上への液浸露光用液体の残存が生じにくく、露光時のスキャン性が良好となるため好ましい。
【0175】
前記フッ素含有重合体(B2)は、加水分解性シラン化合物、即ち、前記化合物(b8)等を出発原料として、前述のケイ素含有重合体(A)の場合と同様に製造することができる。
【0176】
尚、本発明の液浸露光用感放射線性樹脂組成物において、前記フッ素含有重合体(B)は、単独で含まれていてもよいし、2種以上の組合せで含まれていてもよい。
【0177】
本発明の組成物に含まれる前記フッ素含有重合体(B)の含有量は、液浸露光プロセスにおいて、露光時に接触する水等の液浸露光用液体へのレジスト材料の溶出防止、ウェハ上への液浸露光用液体の残存防止、現像後の異物残り防止の観点から、前記ケイ素含有重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.5〜50質量部、より好ましくは0.5〜40質量部、更に好ましくは0.5〜30質量部である。このフッ素含有重合体(B)の含有量が0.5質量部未満の場合、露光時に接触する水等の液浸露光用液体へのレジスト材料の溶出や、ウェハ上への液浸露光用液体の残存が生じやすい傾向がある。一方、50質量部を超える場合、現像後の異物残りが生じやすい傾向がある。
【0178】
[3]酸発生剤(C)
前記酸発生剤(C)は、本発明の組成物を用いて得られた被膜を露光した際に、酸を発生するものである。本発明の組成物が、例えば、ネガ型である場合には、露光により発生した酸の作用によって、樹脂成分が架橋し、その結果、レジスト被膜における露光部がアルカリ現像液に難溶性となり、ネガ型のレジストパターンを形成せしめるものである。
この酸発生剤(C)としては、例えば、スルホニウム塩やヨードニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、ジスルホン類やジアゾメタンスルホン類等のスルホン化合物等が挙げられる。
【0179】
前記酸発生剤(C)の具体例としては、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート等のトリフェニルスルホニウム塩化合物;
【0180】
4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート等の4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物;
【0181】
4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート等の4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物;
【0182】
トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムカンファースルホネート等のトリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム塩化合物;
【0183】
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート等のジフェニルヨードニウム塩化合物;
【0184】
ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート等のビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩化合物;
【0185】
1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
【0186】
1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
【0187】
N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド等のスクシンイミド類化合物;
【0188】
N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等のビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド類化合物等が挙げられる。
【0189】
これらのなかでも、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート等が好ましい。
尚、これらの酸発生剤(C)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0190】
本発明の組成物に含まれる前記酸発生剤(C)の含有量は、レジストとしての感度及び解像性を確保する観点から、前記ケイ素含有重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.1〜20質量部、更に好ましくは0.1〜15質量部である。この酸発生剤の含有量が0.1質量部未満の場合、感度及び解像性が低下する傾向がある。一方、30質量部を超える場合、放射線に対する透明性が低下して、矩形のレジストパターンを得られ難くなる傾向がある。
【0191】
[4]溶剤(D)
前記溶剤(D)は、通常、有機溶剤であり、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤、含ハロゲン溶剤等が挙げられる。
本発明の組成物においては、前記ケイ素含有重合体(A)、フッ素含有重合耐体(B)、酸発生剤(C)等の成分が、この溶剤(D)に溶解又は分散されて含まれている。
【0192】
前記アルコール系溶剤としては、モノアルコール系溶剤、多価アルコール系溶剤、多価アルコール部分エーテル系溶剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0193】
モノアルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0194】
多価アルコール系溶剤としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0195】
多価アルコール部分エーテル系溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0196】
前記ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0197】
前記アミド系溶剤としては、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0198】
前記エーテル系溶剤としては、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0199】
前記エステル系溶剤としては、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0200】
前記脂肪族炭化水素系溶剤としては、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記芳香族炭化水素系溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンセン、イソプロピルベンセン、ジエチルベンゼン、イソブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジイソプロピルベンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルベンゼン等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記含ハロゲン溶剤としては、ジクロロメタン、クロロホルム、フロン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0201】
前記溶剤(D)としては、本発明の組成物を用いて硬化パターンを形成する際に、塗膜をベーク(PB)した後、膜内残存溶剤量を低減させる観点から、沸点が150℃未満の有機溶剤を使用することが好ましい。特に、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤及びエステル系溶剤のうちの1種又は2種以上を使用することが好ましい。
尚、前記溶剤(D)は、前記ケイ素含有重合体(A)の合成時に、反応溶媒として用いた有機溶剤と同じものであってもよい。また、ケイ素含有重合体(A)の合成が終了した後に、溶剤を所望の有機溶剤に置換することもできる。
【0202】
[5]添加剤
本発明の液浸露光用感放射線性樹脂組成物には、酸拡散制御剤、界面活性剤、有機ポリマー等の添加剤成分が配合されていてもよい。特に、酸拡散制御剤が配合されていることが好ましい。
【0203】
[5−1]酸拡散制御剤(E)
この酸拡散制御剤(以下、「酸拡散制御剤(E)」ともいう。)は、本発明の組成物を用いて得られた被膜を露光した際に、酸発生剤から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、所定の照射領域若しくは非照射領域以外における好ましくない化学反応を抑制する作用を有する成分である。
このような酸拡散制御剤を配合することにより、レジストとしての解像度が更に向上するとともに、照射から現像処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。
【0204】
前記酸拡散制御剤(E)としては、レジストパターンを形成するために行われる露光や加熱処理により、塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましい。
前記含窒素有機化合物としては、3級アミン化合物、アミド基含有化合物、4級アンモニウムヒドロキシド化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0205】
前記3級アミン化合物としては、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族アミン類;トリエタノールアミン、ジエタノールアニリン等のアルカノールアミン類;N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼンテトラメチレンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル等が挙げられる。
【0206】
前記アミド基含有化合物としては、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−ピロリジン、N−t−ブトキシカルボニル−ピペリジン、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシ−ピペリジン、N−t−ブトキシカルボニル−モルフォリン等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物のほか、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0207】
前記4級アンモニウムヒドロキシド化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
前記含窒素複素環化合物としては、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルフォリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
【0208】
前記酸拡散制御剤(E)のうち、3級アミン化合物、アミド基含有化合物及び含窒素複素環化合物が好ましい。また、アミド基含有化合物のなかでは、N−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物が好ましく、含窒素複素環化合物のなかでは、イミダゾール類が好ましい。
【0209】
本発明の組成物が、酸拡散制御剤(E)を含有する場合、その含有量は、前記ケイ素含有重合体(A)100質量部に対して、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。この含有量が15質量部を超える場合、レジストとしての感度及び露光部の現像性が低下する傾向がある。一方、0.001質量部未満である場合、プロセス条件によっては、レジストとしてのパターン形状や寸法忠実度が低下するおそれがある。
【0210】
[5−2]界面活性剤
この界面活性剤は、本発明の組成物の塗布性、ストリエーション、露光後の現像性等を改良する作用を有する成分である。
この界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0211】
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等が挙げられる。
また、市販品としては、以下、商品名で、「SH8400 FLUID」(東レ・ダウコーニング社製)、「KP341」(信越化学工業社製)、「ポリフローNo.75」、「ポリフローNo.95」(以上、共栄社化学社製)、「エフトップEF301」、「エフトップEF303」、「エフトップEF352」(以上、トーケムプロダクツ社製)、「メガファックスF171」、「メガファックスF173」(以上、大日本インキ化学工業社製)、「フロラードFC430」、「フロラードFC431」(以上、住友スリーエム社製)、「アサヒガードAG710」、「サーフロンS−382」、「サーフロンSC−101」、「サーフロンSC−102」、「サーフロンSC−103」、「サーフロンSC−104」、「サーフロンSC−105」、「サーフロンSC−106」(以上、旭硝子社製)等が挙げられる。
前記界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤が好ましい。
【0212】
本発明の組成物が、界面活性剤を含有する場合、その含有量は、前記ケイ素含有重合体(A)100質量部に対して、通常、0.00001〜1質量部である。
【0213】
[5−3]有機ポリマー
前記有機ポリマーは、高エネルギー線照射や加熱により分解し、硬化パターン中に気孔を形成するために用いられる成分であり、ポリアルキレンオキサイド構造を有する重合体、糖鎖構造を有する重合体、ビニルアミド系重合体、(メタ)アクリル系重合体、芳香族ビニル化合物系重合体、デンドリマー、ポリイミド,ポリアミック酸、ポリアリーレン、ポリアミド、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、フッ素系重合体等が挙げられる。これらの重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0214】
前記ポリアルキレンオキサイド構造を有する重合体としては、ポリメチレンオキサイド構造、ポリエチレンオキサイド構造、ポリプロピレンオキサイド構造、ポリテトラメチレンオキサイド構造、ポリブチレンオキシド構造等を有する重合体を用いることができる。具体的には、ポリオキシメチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエテチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のエーテル型化合物;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等のエーテルエステル型化合物等が挙げられる。
【0215】
尚、前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては、下記のブロック構造を有する重合体を用いることができる。
−(X’)−(Y’)
−(X’)−(Y’)−(X’)
〔式中、X’は、−CHCHO−を示す。Y’は、−CHCH(CH)O−を示す。lは1〜90の整数である。mは10〜99の整数である。nは0〜90の整数である。〕
【0216】
前記有機ポリマーのうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等のエーテル型化合物が好ましい。
【0217】
本発明の組成物が、有機ポリマーを含有する場合、その含有量は、前記ケイ素含有重合体(A)100質量部に対して、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。
【0218】
[6]液浸露光用感放射線性組成物の調製
本発明の液浸露光用感放射線性樹脂組成物は、前記ケイ素含有重合体(A)と、前記フッ素含有重合体(B)と、前記酸発生剤(C)と、前記溶剤(D)と、必要に応じて用いられる前記添加剤と、を混合することにより得られる。
また、本発明の液浸露光用感放射線性樹脂組成物の固形分濃度は、目的、用途等に応じて、適宜、選択されるが、好ましくは1〜50質量%、特に好ましくは10〜40質量%である。この固形分濃度が1〜50質量%である場合には、後述する硬化パターンの形成に好適な塗膜の膜厚を得ることができる。
【0219】
[7]硬化パターン及びその形成方法
本発明の硬化パターン形成方法は、(I−1)前述の本発明の液浸露光用感放射線性組成物を基板に塗布し、被膜を形成する工程[以下、「工程(I−1)」という。]と、(I−2)得られた被膜をベークする工程[以下、「工程(I−2)」という。]と、(I−3)ベークされた被膜を液浸露光する工程[以下、「工程(I−3)」という。]と、(I−4)液浸露光された被膜をベークする工程[以下、「工程(I−4)」という。]と、(I−5)液浸露光後にベークされた被膜を現像液で現像し、ポジ型又はネガ型のパターンを形成する工程[以下、「工程(I−5)」という。]と、(I−6)得られたパターンに、高エネルギー線照射及び加熱のうちの少なくとも一方の硬化処理を施し、硬化パターンを形成する工程[以下、「工程(I−6)」という。]と、を備える。
【0220】
前記工程(I−1)では、基板に液浸露光用感放射線性組成物が塗布され、被膜が形成される。尚、液浸露光用感放射線性組成物については、前述の説明をそのまま適用することができる。液浸露光用感放射線性組成物を塗布する方法としては、例えば、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等が挙げられる。この際、得られる被膜が所定の膜厚となるように塗布される。
前記基板としては、Si、SiO、SiN、SiC、SiCN等のSi含有層で被覆されたウェハ等が挙げられる。尚、液浸露光用感放射線性組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば、特公平6−12452号公報(特開昭59−93448号公報)等に開示されているように、使用される基板上に有機系或いは無機系の反射防止膜を形成しておくこともできる。
【0221】
前記工程(I−2)では、被膜をベーク処理(以下、「PB」という。)し、塗膜中の溶剤が揮発される。
このPBの加熱条件は、組成物の配合組成によって適宜選定されるが、60〜150℃であることが好ましく、より好ましくは70〜120℃である。
【0222】
前記工程(I−3)では、所定のポジ型又はネガ型パターンが得られるように、ベークされた被膜の所定領域が液浸露光される。
この液浸露光に使用される放射線としては、使用される酸発生剤の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線等の荷電粒子線等を適宜選定して使用されるが、ArFエキシマレーザー(波長193nm)或いはKrFエキシマレーザー(波長248nm)で代表される遠紫外線、電子線が好ましい。
また、露光量等の露光条件は、感放射線性組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選定される。
【0223】
前記工程(I−4)では、液浸露光された被膜をベーク処理(以下、「PEB」という。)することにより、露光部における反応(例えば、ネガ型パターンを形成する場合には、重合体等の架橋反応)を円滑に進めることができる。
このPEBの加熱条件は、組成物の配合組成によって適宜選定されるが、30〜200℃であることが好ましく、より好ましくは50〜170℃である。
【0224】
前記工程(I−5)では、液浸露光後にベーク(PEB)された被膜が現像されることにより、所定のポジ型又はネガ型パターンが形成される。
前記現像液としては、通常、アルカリ性化合物を水に溶解させてなるアルカリ性水溶液が用いられる。このアルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、前記化合物のうち、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが特に好ましい。前記アルカリ性化合物の濃度は、通常、10質量%以下である。この濃度が高すぎると、露光部も現像液に溶解する場合がある。
【0225】
前記現像液は、前記アルカリ性化合物のみを含む溶液であってよいし、有機溶剤、界面活性剤等を含む組成物であってもよい。
前記有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトニルアセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;フェノール、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。前記有機溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記現像液が有機溶剤を含む場合、その含有量は、アルカリ性水溶液100体積部に対して、好ましくは100体積部以下である。この有機溶剤の含有量が多すぎる場合、現像性が低下して、現像残りが多くなる場合がある。
【0226】
前記工程(I−5)において、前記現像液で現像した後、通常、水洗及び乾燥が行われる。
【0227】
前記工程(I−6)では、得られたパターンに高エネルギー線照射及び加熱のうちの少なくとも一方の硬化処理が施され、硬化パターンが形成される。
高エネルギー線照射により硬化処理を行う場合、電子線や紫外線等が用いられる。
また、加熱により硬化処理を行う場合、ホットプレート、オーブン、ファーネス等を使用することができる。加熱条件は、特に限定されないが、雰囲気は、好ましくは不活性ガス又は真空中であり、温度は、好ましくは80℃〜450℃、より好ましくは300℃〜450℃である。尚、前記パターンの硬化速度を制御するため、必要に応じて、段階的加熱を適用したり、窒素ガス、空気、酸素ガス、減圧等の雰囲気を選択したりすることができる。
前記硬化処理により、硬化被膜において、配向分極の大きい置換基や分子が低減され、また、膜中のポアの割合が増加するため、膜の比誘電率を低下させることができる。
【0228】
前記本発明の硬化パターン形成方法によって得られた硬化パターンを構成する被膜の比誘電率は、好ましくは1.5〜3.0とすることができ、より好ましくは1.5〜2.8とすることができる。前記比誘電率を有することで、本発明の硬化パターンは、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体素子を構成する各種膜部、例えば、層間絶縁膜として好適である。特に、銅ダマシンプロセスを含む半導体素子を構成する層間絶縁膜に有用である。
尚、この比誘電率は、ケイ素含有重合体(A)やフッ素含有重合体(B)を変量させたり、前記工程(I−6)における硬化処理の条件を選択することにより調節することができる。
【実施例】
【0229】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。ここで、「部」及び「%」は、特記しない限り、質量基準である。
【0230】
[1]ケイ素含有樹脂溶液(A)の製造
下記合成例(合成例1〜3)に示すように、各ケイ素含有樹脂溶液(A)を調製した。
尚、各合成例で得られるケイ素含有重合体の重量平均分子量(Mw)の測定は、下記の方法により行った。
【0231】
<重量平均分子量(Mw)の測定>
東ソー(株)製GPCカラム(G2000HXL2本、G3000HXL1本、G4000HXL1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
【0232】
<合成例1>
窒素置換された石英製三口フラスコ内に、20%マレイン酸水溶液1.46g及び超純水95.5gを加えて75℃に加熱した。次いで、テトラメトキシシラン77.8g(0.511モル)、メチルトリメトキシシラン69.61g(0.511モル)、及びエトキシプロパノール5.66gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、55℃で2時間撹拌した。この反応液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、ケイ素含有樹脂溶液260gを得た。この樹脂溶液中における樹脂をケイ素含有重合体(A−1)とする(構成単位は下式(A−1)参照)。
尚、前記ケイ素含有重合体(A−1)の構成モノマー比(a:b)は50:50(mol%)であり、Mwは10200であった。
【0233】
【化41】

【0234】
<合成例2>
窒素置換された石英製三口フラスコ内に、20%マレイン酸水溶液1.33g及び超純水87.22gを加えて65℃に加熱した。次いで、テトラメトキシシラン16.04g(0.105モル)、メチルトリメトキシシラン129.22g(0.949モル)、及びエトキシプロパノール16.19gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、65℃で4時間撹拌した。この反応液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、ケイ素含有樹脂溶液280gを得た。この樹脂溶液中における樹脂をケイ素含有重合体(A−2)とする(構成単位は下式(A−2)参照)。
尚、前記ケイ素含有重合体(A−2)の構成モノマー比(a:b)は10:90(mol%)であり、Mwは8800であった。
【0235】
【化42】

【0236】
<合成例3>
窒素置換された石英製三口フラスコ内に、20%マレイン酸水溶液1.28g及び超純水83.75gを加えて65℃に加熱した。次いで、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン33.71g(0.095モル)、メチルトリメトキシシラン116.56g(0.856モル)、及びエトキシプロパノール14.70gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、65℃で4時間撹拌した。この反応液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、ケイ素含有樹脂溶液280gを得た。この樹脂溶液中における樹脂をケイ素含有重合体(A−3)とする(構成単位は下式(A−3)参照)。尚、前記ケイ素含有重合体(A−3)の構成モノマー比(a:b)は10:90(mol%)であり、Mwは9700であった。
【0237】
【化43】

【0238】
[2]フッ素含有重合体溶液(B)の製造
下記の各合成例における各測定及び評価は、下記の要領で行った。
(1)Mw及びMn
東ソー(株)製GPCカラム(G2000HXL2本、G3000HXL1本、G4000HXL1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、分散度Mw/Mnは測定結果より算出した。
(2)13C−NMR分析
各重合体の13C−NMR分析は、日本電子(株)製「JNM−EX270」を用い、測定した。
(3)単量体由来の低分子量成分の量
ジーエルサイエンス製Intersil ODS−25μmカラム(4.6mmφ×250mm)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒アクリロニトリル/0.1%リン酸水溶液の分析条件で、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。
【0239】
以下、各合成例について説明する。
各フッ素含有重合体(B)の合成に用いた各単量体を式(M−1)〜(M−16)として以下に示す。
【0240】
【化44】

【0241】
<合成例4〜10>
以下、フッ素含有重合体(B−1)〜(B−7)の合成例について示す。
まず、表1に示す組み合わせ及び仕込みモル%となる質量の単量体、及び開始剤(MAIB;ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート)を50gのメチルエチルケトンに溶解した単量体溶液を準備した。仕込み時の単量体の合計量は50gに調整した。尚、各単量体のモル%は単量体全量に対するモル%を表し、開始剤のモル%は単量体全量と開始剤の合計量に対するモル%を表す。
一方、温度計及び滴下漏斗を備えた500mLの三つ口フラスコにエチルメチルケトン50gを加え、30分間窒素パージを行った。その後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら、80℃になるように加熱した。
次いで、前記単量体溶液をフラスコ内に滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下後3時間熟成させ、その後、30℃以下になるまで冷却して共重合体溶液を得た。
後処理法は反応溶液質量の5倍の再沈澱溶媒(表1参照)中に落として30分攪拌した後、濾過し、200mLのメタノール中での洗浄を2回繰り返し行った。こうして得られた各共重合体のMw、Mw/Mn(分子量分散度)、収率(質量%)、低分子量成分の含有量及び共重合体中の各繰り返し単位の割合を測定した。それらの結果を表2に示す。
【0242】
【表1】

【0243】
【表2】

【0244】
<合成例11>
次いで、フッ素含有重合体(B−8)の合成例について示す。
窒素置換された石英製三口フラスコ内に、20%マレイン酸水溶液0.84g及び超純水54.92gを加えて65℃に加熱した。次いで、テトラメトキシシラン19.57g(0.129モル)、トリフルオロメチルトリメトキシシラン91.64g(0.514モル)、及びエトキシプロパノール83.03gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、65℃で4時間撹拌した。この反応液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、フッ素含有樹脂溶液280gを得た。この樹脂溶液中における樹脂をフッ素含有重合体(B−8)とする(構成単位は下式(B−8)参照)。
尚、前記フッ素含有重合体(B−8)の構成モノマー比(a:b)は20:80(mol%)であり、Mwは7700であった。
【0245】
【化45】

【0246】
[3]ネガ型感放射線性組成物の調製
(実施例1〜11及び比較例1〜4)
表3に示す割合で、(A)ケイ素含有重合体溶液と、(B)フッ素含有重合体溶液と、(C)感放射線性酸発生剤と、(E)酸拡散制御剤を混合し、実施例1〜11及び比較例1〜4の各ネガ型感放射線性樹脂組成物を調製した。尚、これらの組成物においては、固形分濃度が3%となるように、(D)溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加した。
【0247】
【表3】

【0248】
尚、表3における(C)感放射線性酸発生剤及び(E)酸拡散制御剤の詳細は下記の通りである。
<(C)酸発生剤>
C−1:トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
<(E)酸拡散制御剤>
E−1:1−tert−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール
【0249】
[4]感放射線性組成物の評価
実施例及び比較例の各組成物について、以下のように下記(1)〜(8)の各種評価を行った。これらの評価結果を表4に示す。
(1)後退接触角(RCA)
後退接触角の測定は、KRUS社製の接触角計(商品名「DSA−10」)を用いて、各感放射線性組成物による塗膜を形成した基板(ウェハ)を作成した後、速やかに、室温23℃、湿度45%、常圧の環境下で、次の手順により後退接触角を測定した。
まず、前記接触角計のウェハステージ位置を調整し、この調整したステージ上に前記基板をセットする。次に、針に水を注入し、セットした基板上に水滴を形成可能な初期位置に前記針の位置を微調整する。その後、この針から水を排出させて基板上に25μLの水滴を形成し、一旦、この水滴から針を引き抜き、再び初期位置に針を引き下げて水滴内に配置する。続いて、10μL/minの速度で90秒間、針によって水滴を吸引すると同時に液面と基板との接触角を毎秒1回測定する(合計90回)。このうち、接触角の測定値が安定した時点から20秒間の接触角についての平均値を算出して後退接触角(°)とした。後退接触が72°以上の場合を「○」、72°未満の場合を「×」とした。
【0250】
(2)溶出量
予めコータ/デベロッパ(商品名「CLEAN TRACK ACT8」、東京エレクトロン社製)にてヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理(100℃、60秒)を行った8インチシリコンウェハ上に表3の感放射線性組成物を前記コータ/デベロッパにてスピンコートし、ベーク(90℃、60秒)することにより膜厚70nmのレジスト被膜を形成した。その後、内径1.0cmのOリングを被膜上に8箇所設置し、Oリング中央部にそれぞれ1mLの超純水を満たした。静置時間3、5、10、20、30、60、120、300秒経過する毎に、各Oリング内に充填された超純水を一箇所ずつそれぞれガラス注射器にて回収し、これを分析用サンプルとした。尚、超純水の回収率は95%以上であった。
次に、得られた超純水中の光酸発生剤のアニオン部のピーク強度を、液体クロマトグラフ質量分析計(LC−MS、LC部:AGILENT社製の商品名「SERIES1100」、MS部:Perseptive Biosystems,Inc.社製の商品名「Mariner」)を用いて下記の測定条件により測定した。その際、各酸発生剤の1ppb、10ppb、100ppb水溶液の各ピーク強度を前記測定条件で測定して検量線を作成し、この検量線を用いて前記ピーク強度から静置時間毎のサンプルの溶出量を算出し、静置時間に対する溶出量から溶出速度を得た。その溶出速度が、2.5×10−9g/cm/sec以上であった場合を「×」とし、2.5×10−9g/cm/sec未満であった場合を「○」とした。
(測定条件)
使用カラム;商品名「CAPCELL PAK MG」、資生堂社製、1本
流量;0.2mL/分
流出溶剤:水/メタノール(3/7)に0.1質量%のギ酸を添加したもの
測定温度;35℃
【0251】
(3)ブリッジ欠陥
基板として、表面に膜厚105nmの下層反射防止膜(「ARC66」、ブルワー・サイエンス社製)を形成した8インチシリコンウェハを用いた。尚、反射防止膜の形成には、「CLEAN TRACK ACT8」(東京エレクトロン株式会社製)を用いた。次いで、表3の感放射線性組成物を前記基板上に、前記CLEAN TRACK ACT8にて、スピンコートし、表4の条件でベーク(PB)を行うことにより、膜厚70nmの被膜を形成した。この被膜を、ArF投影露光装置(型番「NSR−S306C」、ニコン社製)を用いて露光した。その後、表4に示す条件でPEBを行ったのち、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、23℃で60秒間現像し、水洗し、乾燥して、線幅90nmのネガ型のライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を形成した。得られたパターンを走査型電子顕微鏡(「S−9380」、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察し、ブリッジ欠陥が見られなかったものを「○」、ブリッジ欠陥が見られたものを「×」とした。
【0252】
(4)感度
(4−1)液浸ArF露光(ArF−imm)
基板として、表面に膜厚105nmの下層反射防止膜(「ARC66」、ブルワー・サイエンス社製)を形成した12インチシリコンウェハを用いた。尚、反射防止膜の形成には、「CLEAN TRACK ACT12」(東京エレクトロン株式会社製)を用いた。次いで、表3の感放射線性組成物を前記基板上に、前記CLEAN TRACK ACT12にて、スピンコートし、表4の条件でベーク(PB)を行うことにより被膜を形成した。この被膜を、ArF投影露光装置(型番「NSR−S610C」、ニコン社製)を用いて液浸露光した。その後、表4に示す条件でPEBを行ったのち、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、23℃で60秒間現像し、水洗し、乾燥して、ネガ型のパターンを形成した。このとき、線幅70nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度(mJ/cm)とした。尚、線幅の測長には走査型電子顕微鏡(「S−9380」、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
【0253】
(4−2)ドライArF露光(ArF−dry)
露光装置として、ArF投影露光機(型番「NSR−S306C」)を使用し、線幅90nmのライン・アンド・スペース(1L1S)を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とした以外は、前記(4−1)に記載した方法と同様の方法でパターン形成及び線幅の測長を行った。
【0254】
(5)パターンの断面形状
前記(4−1)と同様にして形成した線幅70nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)の断面形状を観察した。この際、図1に示す断面形状で、(b)、(c)又は(d)の場合を「良好」とし、(a)、(e)又は(f)の場合を「不良」とした。 尚、断面形状の観察には、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製「S−4800」を用いた。
【0255】
(6)限界解像度
前記(4−1)で測定した線幅70nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)での感度にて、各種線幅の1L1Sパターンを観察した。このときに、パターンが解像している最小線幅パターンを限界解像度とした。尚、線幅の測長には走査型電子顕微鏡(「S−9380」、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
【0256】
(7)露光マージン
前記(4−1)で測定した線幅70nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)において、各種露光量の1L1Sパターンを観察し、下記式より露光マージンを算出した。
尚、線幅の測長には走査型電子顕微鏡(「S−9380」、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
露光マージン(%)=[(E−E)/Eop]×100
:線幅77nmとなるときの露光量(mJ)
:線幅63nmとなるときの露光量(mJ)
op:線幅70nmとなるときの最適露光量(mJ)
【0257】
(8)焦点深度
前記(4−1)で測定した線幅70nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)での感度において、各種焦点の1L1Sパターンを観察し、下記式より焦点深度を算出した。
尚、線幅の測長には走査型電子顕微鏡(「S−9380」、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
焦点深度(μm)=|F−F|(即ち、FとFとの差の絶対値)
:線幅77nmとなるときの焦点(μm)
:線幅63nmとなるときの焦点(μm)
【0258】
【表4】

【0259】
表4から明らかなように、これらの実施例の結果から、本発明における液浸露光用感放射線性樹脂組成物は十分なパターン形成能を有することが確認された。
従って、本発明における液浸露光用感放射線性組成物は、極めて微細なパターニング性能が求められる半導体材料加工用の無機系犠牲膜として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(a1)下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物、及び(a2)下記一般式(2)で表される加水分解性シラン化合物から選ばれる少なくとも1種の加水分解性シラン化合物を加水分解縮合させて得られる構造を有しており、且つ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜200,000であるケイ素含有重合体と、
(B)フッ素含有重合体と、
(C)感放射線性酸発生剤と、
(D)溶剤と、を含有することを特徴とする液浸露光用感放射線性樹脂組成物。

SiX4−a (1)

〔一般式(1)において、Rは、フッ素原子、アルキルカルボニルオキシ基、又は炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。Rが複数存在する場合、複数のRは同一であってもよいし、異なっていてもよい。Xは、塩素原子、臭素原子、又はOR(但し、Rは1価の有機基を示す。)を示す。Xが複数存在する場合、複数のXは同一であってもよいし、異なっていてもよい。aは1〜3の整数を示す。〕

SiX (2)

〔一般式(2)において、Xは、塩素原子、臭素原子、又はOR(但し、Rは1価の有機基を示す。)を示す。複数のXは同一であってもよいし、異なっていてもよい。〕
【請求項2】
前記(A)ケイ素含有重合体が、更に、下記一般式(3)で表される加水分解性シラン化合物を加水分解縮合させて得られる構造を有する請求項1に記載の液浸露光用感放射線性樹脂組成物。

(X)3−xSi−(R−Si(X)3−y (3)

〔一般式(3)において、Rは1価の有機基を示す。Rが複数存在する場合、複数のRは同一であってもよいし、異なっていてもよい。Rは1価の有機基を示す。Rが複数存在する場合、複数のRは同一であってもよいし、異なっていてもよい。Rは、酸素原子、フェニレン基、又は−(CH−で表される基(但し、nは1〜6の整数である。)を示す。Xはハロゲン原子又はOR(但し、Rは1価の有機基を示す。)を示す。Xが複数存在する場合、複数のXは同一であってもよいし、異なっていてもよい。xは0〜2の数を示す。yは0〜2の数を示す。zは0又は1を示す。〕
【請求項3】
前記(B)フッ素含有重合体が、下記一般式(4−1)、(4−2−1)及び(4−3)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1又は2に記載の液浸露光用感放射線性樹脂組成物。
【化1】

〔一般式(4−1)、(4−2−1)及び(4−3)において、Rは、各々独立に、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。Rは、各々独立に、少なくとも1つ以上のフッ素原子を有する基を示す。R10は、各々独立に、フッ素原子を有していない基を示す。aは1〜5の整数を示し、bは0〜4の整数を示し、1≦a+b≦5を満たす。cは0又は1を示す。dは1〜12の整数を示し、eは0〜13の整数を示し、1≦d+e≦14を満たす。〕
【請求項4】
前記(B)フッ素含有重合体が、下記一般式(8)で表される加水分解性シラン化合物を加水分解縮合させて得られる構造を含む重合体である請求項1又は2に記載の液浸露光用感放射性樹脂組成物。

90SiX4−b (8)

〔一般式(8)において、R90は少なくとも1つ以上のフッ素原子を有する炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のフルオロアルキル基を示す。R90が複数存在する場合、複数のR90は同一であってもよいし、異なっていてもよい。Xは、塩素原子、臭素原子、又はOR(但し、Rは1価の有機基を示す。)を示す。Xが複数存在する場合、複数のXは同一であってもよいし、異なっていてもよい。bは1〜3の整数を示す。〕
【請求項5】
更に、(E)酸拡散抑制剤を含有する請求項1乃至4のいずれかに記載の液浸露光用感放射性樹脂組成物。
【請求項6】
(I−1)請求項1乃至5のいずれかに記載の液浸露光用感放射性樹脂組成物を基板に塗布し、被膜を形成する工程と、
(I−2)得られた被膜をベークする工程と、
(I−3)ベークされた被膜を液浸露光する工程と、
(I−4)液浸露光された被膜をベークする工程と、
(I−5)液浸露光後にベークされた被膜を現像液で現像し、ポジ型又はネガ型のパターンを形成する工程と、
(I−6)得られたパターンに、高エネルギー線照射及び加熱のうちの少なくとも一方の硬化処理を施し、硬化パターンを形成する工程と、を備えることを特徴とする硬化パターン形成方法。
【請求項7】
請求項6に記載の硬化パターン形成方法によって得られることを特徴とする硬化パターン。

【図1】
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【公開番号】特開2011−237691(P2011−237691A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110575(P2010−110575)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】