説明

燃料電池移動体

【課題】燃料充填時における誤発進を防止する燃料電池移動体を提供する。
【解決手段】モータ41と、燃料電池スタックと、水素タンク21と、水素供給流路と、水素供給流路に設けられた遮断弁22と、遮断弁22を制御する制御手段と、モータ制御系50と、停止判定手段と、水素充填ノズル101が接続される水素充填口23と、水素充填口23に水素充填ノズル101が接続されているか否かに関する情報を検出する接続情報検出手段と、を備える燃料電池車1であって、停止判定手段が停止状態であると判定した場合において、制御手段は、接続情報検出手段からの情報に基づいて、水素充填ノズル101が接続されていると判定したとき、遮断弁22を閉じ、モータ制御系50は、モータ41の作動を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水素(燃料)と、酸素を含む空気(酸化剤)とが供給されることで発電する燃料電池の開発が急速に進められ、例えば、燃料電池車(燃料電池移動体)の電力源として期待されている。このような燃料電池車は、水素が封入される水素タンクを備え、消費によって水素タンクの残量が減少した場合、水素ステーションで水素を充填する。
【0003】
ところが、水素の充電中に、運転者が燃料電池車を誤って発進させてしまうと、燃料電池車の水素充填口周りや、水素充填口に接続される水素充填ノズル、水素充填ノズルに接続されているホース等が、損傷・破損する虞がある。
【0004】
そこで、水素充填ノズルが接続された前記ホースの途中に、ブレークアウェイカプラーを設ける技術が考えられる(非特許文献1参照)。すなわち、水素充填中の燃料電池車が、水素充填ノズルが接続されたまま、誤って発進し、前記ホースに所定張力が発生した場合、ブレークアウェイカプラーをブレイク(分離)させるという技術である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ブレークアウェイカプラー、ストラトフレックス社クイックディスコネクタ、[online]、[平成20年12月16日検索]、インターネット<URL:http://public.sakura-rubber.co.jp/a/2/2-14.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記したブレークアウェイカプラーの技術によっても、燃料電池車が誤って発進した場合、例えば、燃料電池車の水素充填口と水素ステーションの水素充填ノズルとの接続部分に大きな力が作用し、水素充填口等が損傷・破損等する虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、燃料充填時における誤発進を防止する燃料電池移動体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、電力によって移動するための駆動力を発生するモータと、燃料及び酸化剤が供給されることで発電し、前記モータに電力を供給する燃料電池と、前記燃料電池に供給される燃料が封入される燃料タンクと、前記燃料タンクから前記燃料電池に供給される燃料が通流する燃料供給流路と、前記燃料供給流路に設けられた遮断弁と、前記遮断弁を制御する制御手段と、前記モータへの電力を制御することで、当該モータを制御するモータ制御手段と、停止状態であるか否か判定する停止判定手段と、外部の燃料ステーションから前記燃料タンクに燃料を充填する場合、前記燃料ステーションの燃料充填ノズルが接続される燃料充填口と、前記燃料充填口に前記燃料充填ノズルが接続されているか否かに関する情報を検出する接続情報検出手段と、を備える燃料電池移動体であって、前記停止判定手段が停止状態であると判定した場合において、前記制御手段は、前記接続情報検出手段からの情報に基づいて、前記燃料充填口に前記燃料充填ノズルが接続されていると判定したとき、前記遮断弁を閉じ、前記モータ制御手段は、前記モータの作動を禁止することを特徴とする燃料電池移動体である。
【0009】
このような燃料電池移動体によれば、停止判定手段が停止状態であると判定した場合において、制御手段が、接続情報検出手段からの情報に基づいて、燃料充填口に燃料充填ノズルが接続されていると判定したとき、遮断弁を閉じ、モータ制御手段がモータの作動を禁止する。
【0010】
このように、モータ制御手段がモータの作動を禁止するので、燃料電池移動体が、燃料充填口に燃料充填ノズルが接続されたまま誤発進することはない。これにより、燃料充填ノズルと燃料充填口等が損傷・破損することもない。
また、制御手段が遮断弁を閉じることにより、その後の燃料電池への燃料の供給は停止される。これにより、その後、燃料電池は、発電不能となり、モータに電力供給できない。したがって、仮に、モータ制御手段が誤作動し、燃料電池からモータに電力供給しようとしても、モータに電力供給されることはない。
【0011】
また、前記燃料電池移動体において、前記接続情報検出手段は、前記燃料タンク内の圧力を検出する圧力センサ、前記燃料タンクの温度を検出する温度センサ、前記燃料充填口の燃料リッドの開閉状態を検出する燃料リッドセンサ、の少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0012】
このような燃料電池移動体によれば、圧力センサが検出する燃料タンク内の圧力、温度センサが検出する燃料タンクの温度、燃料リッドセンサが検出する燃料リッドの開閉状態、の少なくとも1つが、燃料充填ノズルが接続されているか否かに関する情報として、制御手段に入力される。そして、制御手段は、これに基づいて、燃料充填ノズルが接続されているか否かを判定できる。
【0013】
すなわち、圧力センサを備え、燃料タンク内の圧力が制御手段に入力される場合、制御手段は、燃料タンクの圧力が上昇していれば、現在、燃料の充填中であるため圧力が上昇していると判断し、そして、現在、燃料充填ノズルが接続されていると判定できる。
また、温度センサを備え、燃料タンクの温度が制御手段に入力される場合、制御手段は、燃料タンクの温度が上昇していれば、現在、燃料の充填中であるため温度が上昇していると判断し、そして、現在、燃料充填ノズルが接続されていると判定できる。
さらに、燃料リッドセンサを備え、燃料リッドの開閉状態が制御手段に入力される場合、制御手段は、現在、燃料リッドが開状態であると判断すれば、現在、燃料充填ノズルが接続されていると判定できる。
【0014】
また、前記燃料電池移動体において、前記接続情報検出手段は、前記圧力センサ及び/又は前記温度センサを含み、前記制御手段は、前記圧力センサ及び/又は前記温度センサから入力される検出値の所定時間における変化レートが、所定変化レート以上である場合、前記燃料充填口に前記燃料充填用ノズルが接続されていると判定することを特徴とする。
【0015】
このような燃料電池移動体によれば、制御手段は、所定時間における燃料タンク内の圧力変化レート(圧力変化割合)が、所定圧力変化レート(所定圧力変化割合)以上である場合、燃料充填口に燃料充填用ノズルが接続されていると判定できる。
また、制御手段は、所定時間における燃料タンク内の温度変化レート(温度変化割合)が、所定温度変化レート(所定温度変化割合)以上である場合、燃料充填口に燃料充填用ノズルが接続されていると判定できる。
【0016】
また、前記燃料電池移動体において、前記制御手段は、前記所定時間が異なる複数の前記所定変化レートを有し、当該複数の所定変化レートと、前記圧力センサ及び/又は前記温度センサから入力される検出値の前記所定時間に対応する検出値の変化レートと、に基づいて、前記燃料充填口に前記燃料充填ノズルが接続されているか否か判定することを特徴とする。
【0017】
このような燃料電池移動体によれば、制御手段は、異なる所定時間における複数の所定変化レート(後記する実施形態では、第1〜第3圧力レート、第1〜第3温度レート)と、異なる所定時間に対応した現在の変化レート(後記する実施形態では、圧力レート、温度レート)と、に基づいて、燃料充填口に燃料充填ノズルが接続されているか否か判定できる。
【0018】
すなわち、例えば、前記所定時間が短い場合において、燃料タンクの圧力が急上昇する場合、圧力センサによる検出誤差が大きくなるので、誤判定する虞があるが、検出誤差を考慮したうえで複数の所定変化レートを設定し、さらに、複数の異なる所定時間を設定するので、誤判定を防止しつつ、速やかに判定できる。
【0019】
また、前記燃料電池移動体において、前記接続情報検出手段は、燃料の充填時、前記水素ステーションと前記燃料タンクに関するタンク情報を通信するために接続される通信コネクタの接続状態を検出する通信コネクタ接続状態検出手段を含み、前記制御手段は、前記通信コネクタ接続状態検出手段からの接続状態に基づいて、前記通信コネクタが接続されていると判定したとき、前記燃料充填口に前記燃料充填ノズルが接続されていると判定することを特徴とする。
【0020】
このような燃料電池移動体によれば、制御手段は、通信コネクタの接続状態を用いて、燃料充填口に燃料充填ノズルが接続されていると判定できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、燃料充填時における誤発進を防止する燃料電池移動体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態に係る燃料電池車の構成を示す平面図である。
【図2】第1実施形態に係る燃料電池車の動作を示すフローチャートである。
【図3】第2実施形態に係る燃料電池車の構成を示す平面図である。
【図4】正常充填時における水素タンク内の圧力、温度の変化を示すグラフである。
【図5】第2実施形態に係る判定に要する時間と、判定基準となる圧力レートとの関係を示すマップである。
【図6】第2実施形態に係る燃料電池車の動作を示すフローチャートである。
【図7】第3実施形態に係る燃料電池車の構成を示す平面図である。
【図8】第3実施形態に係る燃料電池車の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
≪第1実施形態≫
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図2を参照して説明する。
【0024】
≪燃料電池車の構成≫
図1に示す第1実施形態に係る燃料電池車1(燃料電池移動体)は、燃料電池スタック10と、燃料電池スタック10のアノードに対して水素(燃料ガス)を給排するアノード系と、燃料電池スタック10のカソードに対して酸素を含む空気(酸化剤ガス)を給排するカソード系と、電力によって走行(移動)するための駆動力を発生するモータ41と、燃料電池スタック10の発電を制御すると共に、モータ41への電力を制御することでモータ41を制御するモータ制御系50(モータ制御手段)と、IG61等と、これらを電子制御するECU70(Electronic Control Unit、電子制御装置)と、を備えている。
【0025】
<燃料電池スタック>
燃料電池スタック10は、複数(例えば200〜400枚)の固体高分子型の単セルが積層して構成されたスタックであり、複数の単セルは直列で接続されている。単セルは、MEA(Membrane Electrode Assembly:膜電極接合体)と、これを挟む2枚の導電性を有するセパレータと、を備えている。MEAは、1価の陽イオン交換膜等からなる電解質膜(固体高分子膜)と、これを挟むアノード及びカソード(電極)とを備えている。
【0026】
アノード及びカソードは、カーボンペーパ等の導電性を有する多孔質体と、これに担持され、アノード及びカソードにおける電極反応を生じさせるための触媒(Pt、Ru等)と、を含んでいる。
各セパレータには、各MEAの全面に水素又は空気を供給するための溝や、全単セルに水素又は空気を給排するための貫通孔が形成されており、これら溝及び貫通孔がアノード流路11(燃料ガス流路)、カソード流路12(酸化剤ガス流路)として機能している。
【0027】
そして、アノード流路11を介して各アノードに水素が供給されると、式(1)の電極反応が起こり、カソード流路12を介して各カソードに空気が供給されると、式(2)の電極反応が起こり、各単セルで電位差(OCV(Open Circuit Voltage)、開回路電圧)が発生するようになっている。次いで、燃料電池スタック10とモータ41(外部負荷)とが電気的に接続され、電流が取り出されると、燃料電池スタック10が発電するようになっている。
2H→4H+4e …(1)
+4H+4e→2HO …(2)
【0028】
<アノード系>
アノード系は、内部に水素が封入された水素タンク21(燃料タンク)と、常閉型の遮断弁22と、水素充填口23(燃料充填口)と、逆止弁24と、燃料リッド25(フューエルリッド)と、燃料リッドオープナ26と、燃料リッドセンサ27(接続情報検出手段)と、を備えている。
【0029】
水素タンク21は、配管21a、遮断弁22、配管22aを介して、アノード流路11の入口に接続されている。そして、遮断弁22がECU70からの開指令によって開かれると、水素が、水素タンク21から遮断弁22等を通って、アノード流路11に供給されるようになっている。
すなわち、水素タンク21からアノード流路11に供給される水素が通流する水素供給流路(燃料供給流路)は、配管21aと配管22aとを備えて構成され、この水素供給流路に遮断弁22が設けられている。
なお、ECU70は、IG61のON信号を検知すると、燃料電池スタック10を発電するべくアノード流路11に水素を供給するため、遮断弁22を開く設定となっている。
【0030】
アノード流路11の出口には配管22bが接続されており、アノード流路11から排出されたアノードオフガスは、配管22bを通って車外に排出されるようになっている。
【0031】
水素充填口23は、水素タンク21への水素充填時に、外部の水素ステーション100(燃料ステーション)の水素充填ノズル101(燃料充填ノズル)が接続される部分であり、車両側部に設けられている。そして、水素充填口23は、配管23a、逆止弁24、配管24aを介して水素タンク21に接続されており、水素充填時に水素が所定の供給圧で供給されると、逆止弁24が開き、水素が水素タンク21に充填されるようになっている。
【0032】
なお、前記した遮断弁22及び逆止弁24は、水素タンク21の一端側のネック部に螺合された金属製の被螺合部21b内に内蔵されており、水素タンク21と一体に構成されている。また、水素ステーション100は、前記した水素充填ノズル101と、水素充填ノズル101にホース101aを介して接続された水素タンク102と、を備えている。
【0033】
燃料リッド25は、通常時(非水素充填時)に水素充填口23を覆い、水素充填時に開かれる回動蓋であり、車両側部に設けられている。燃料リッド25は、通常時、燃料リッドオープナ26によって閉状態でロックされ、一方、水素充填時にECU70からの開指令を受けた燃料リッドオープナ26がロックを解除すると、開方向に回動し、開状態となるように構成されている。
なお、燃料リッドオープナ26への開指令の伝達方式は、このような電気的方式に限らず、燃料リッドオープナ26と運転席下の開放レバーとがワイヤケーブルによって機械的に接続された機械的な伝達方式でもよい。
【0034】
燃料リッドセンサ27は、燃料リッド25の開閉状態を検出するセンサであり、燃料リッド25の近傍に設けられている。そして、燃料リッドセンサ27は、燃料リッド25の開閉状態に対応した信号を、ECU70に出力するようになっている。
【0035】
<カソード系>
カソード系は、コンプレッサ31(酸化剤ガス供給手段)を備えている。
コンプレッサ31は、配管31aを介して、カソード流路12の入口に接続されている。そして、コンプレッサ31は、ECU70の指令に従って作動すると、酸素を含む空気を取り込み、配管31aを介して、カソード流路12に供給するようになっている。
カソード流路12の出口には配管31bが接続されており、カソード流路12から排出されたカソードオフガスは、配管31bを通って車外に排出されるようになっている。
【0036】
<モータ>
モータ41は、燃料電池スタック10及び/又は後記するバッテリ53からの電力によって走行するための駆動力を発生するものであり、ボンネット内のモータ室に配置されている。
【0037】
<モータ制御系>
モータ制御系50は、PDU51(Power Drive Unit)と、VCU52(Voltage Control Unit、電力制御装置)と、バッテリ53とを備えている。そして、PDU51はVCU52を介して燃料電池スタック10の出力端子に接続されており、バッテリ53はVCU52に接続されている。
【0038】
PDU51は、ECU70の指令に従って、VCU52からの直流電流を三相交流電流に変換し、モータ41に供給するインバータである。したがって、PDU51がモータ41への三相交流電流を0にすれば、つまり、モータ41への電力供給を停止すれば、モータ41は停止し、燃料電池車1は停止する。
【0039】
VCU52は、ECU70からの指令に従って、燃料電池スタック10の発電電力(出力電流、出力電圧)を制御すると共に、バッテリ53の充放電を制御する機器であり、DC/DCチョッパ、DC/DCコンバータ等の電子回路を備えている。そして、VCU52は、燃料電池スタック10及び/又はバッテリ53からの直流電流を、PDU51に供給するようになっている。
すなわち、VCU52は、燃料電池スタック10の発電を停止すると共に、バッテリ53の放電を停止し、PDU51への電力供給を停止することも可能である。
【0040】
バッテリ53は、例えば、複数のリチウムイオン型の二次電池を備えて構成されており、燃料電池スタック10の過剰電力、モータ41からの回生電力を充電したり、燃料電池スタック10の不足電力をアシスト(補助)するものである。
【0041】
<IG等>
IG61は、燃料電池車1の起動スイッチであり、運転席周りに設けられている。また、IG61はECU70と接続されており、ECU70はIG61のON/OFF信号を検知するようになっている。
【0042】
車速センサ62は、燃料電池車1の車速を検出するセンサである。そして、車速センサ62は、検出した車速をECU70に出力するようになっている。
【0043】
ブレーキ装置63は、燃料電池車1を制動する装置であり、ブレーキペダルや、パーキングブレーキを備えて構成されている。そして、ブレーキ装置63は、燃料電池車1を制動しているか否かに関する信号(ブレーキペダルのON信号等)を、ECU70に出力するようになっている。
【0044】
<ECU>
ECU70(制御手段)は、燃料電池車1を電子制御する制御装置であり、CPU、ROM、RAM、各種インターフェイス、電子回路などを含んで構成されており、その内部に記憶されたプログラムに従って、各種機器を制御し、各種処理を実行するようになっている。
【0045】
<ECU−遮断弁制御機能>
ECU70は、遮断弁22を開閉制御する機能を備えている。
なお、ECU70は、IG61のON信号を検知する場合、後記するように水素充填ノズル101が接続されていると判定するときを除き、遮断弁22に開指令を継続して出力するように設定されている。
【0046】
<ECU−停止判定機能>
ECU70(停止判定手段)は、車速センサ62とブレーキ装置63からの信号に基づいて、燃料電池車1が現在停止しているか否か判定する機能を備えている。
例えば、車速が0であって、ブレーキ装置63から制動中であることを示す信号が所定時間継続して入力された場合、ECU70は、燃料電池車1が現在停止していると判定するように設定されている。
【0047】
<ECU−充填ノズル接続状態判定機能>
ECU70は、燃料リッドオープナ26への開指令の有無、及び/又は、燃料リッドセンサ27から入力される燃料リッド25の開閉状態に対応した信号に基づいて、燃料リッド25の開閉状態を判定する機能を備えている。そして、ECU70は、燃料リッド25の開閉状態に基づいて、水素充填ノズル101が水素充填口23に接続されているか否か判定する機能を備えている。
すなわち、第1実施形態において、水素充填ノズル101が水素充填口23に接続されているか否かに関する情報を検出する接続情報検出手段は、燃料リッドオープナ26に開指令を出力したことをフラグ等によって一時的に記憶するECU70と、燃料リッドセンサ27と、を備えて構成されている。
【0048】
≪燃料電池車の動作≫
次に、図2のフローチャートを参照して、燃料電池車1の動作を、ECU70に設定されたプログラムの流れと共に説明する。
なお、初期状態において、IG61はON状態であり、燃料電池スタック10は発電している。
【0049】
ステップS101において、ECU70は、遮断弁22に開指令が出力されているか否か判定する。なお、IG61はON状態であるので、ECU70から遮断弁22に開指令が出力されている。
【0050】
遮断弁22に開指令が出力されていると判定した場合(S101・Yes)、ECU70の処理は、ステップS102に進む。一方、遮断弁22に開指令が出力されていないと判定した場合(S101・No)、ECU70は、ステップS101の判定を繰り返す。
【0051】
ステップS102において、ECU70は、燃料電池車1が停止しているか否か判定する。
燃料電池車1は停止していると判定した場合(S102・Yes)、ECU70の処理はステップS103に進む。一方、燃料電池車1は停止していないと判定した場合(S102・No)、ECU70の処理はリターンを通ってスタートに戻る。
【0052】
ステップS103において、ECU70は、燃料リッドオープナ26に開指令を出力したか否か判定する。
燃料リッドオープナ26に開指令を出力したと判定した場合(S103・Yes)、ECU70は、現在、水素充填口23に水素充填ノズル101が接続されており、水素の充填中であると判断し、その処理はステップS104に進む。
一方、燃料リッドオープナ26に開指令を出力していないと判定した場合(S103・No)、ECU70の処理はリターンに進む。
【0053】
この他、ステップS103において、ECU70は、燃料リッドセンサ27からの信号に基づいて、燃料リッド25が開状態であるか否か判定し、燃料リッド25が開状態であると判定した場合(S103・Yes)、ステップS104に進む構成としてもよい。一方、燃料リッド25が閉状態であると判定した場合(S103・No)、リターンに進む構成とすればよい。
また、燃料リッドオープナ26の開指令に基づく判定と、燃料リッド25が開状態であるか否かに係る判定とを重複して実行し、誤判定を防止してもよい。
【0054】
ステップS104において、ECU70は、遮断弁22に閉指令を出力し、遮断弁22を閉じる。これにより、アノード流路11への水素の供給は停止され、燃料電池スタック10は水素不足となり、最終的に発電不能となる。これに並行して、ECU70はコンプレッサ31も停止し、カソード流路12への空気の供給も停止することが好ましい。
【0055】
ステップS105において、ECU70は、その後にアクセル(図示しない)が踏み込まれたとしても、モータ41への電力供給を禁止し、つまり、モータ41の作動を禁止し、モータ41を継続して停止させる。
具体的には、ECU70は、PDU51を停止し、モータ41への電力供給を停止する。また、ECU70は、VCU52を制御し、残留水素及び空気による燃料電池スタック10の発電と、バッテリ53の放電を停止し、PDU51への電力供給を停止する。
【0056】
その後、ECU70の処理は、エンドに進む。
なお、このようにエンドに進む場合、ECU70は、IG61がON状態であるにも関わらず、遮断弁22を閉じたこと等を運転者に知らせるため、報知ランプ(図示しない)を点灯させ、IG61のOFFを要求することが好ましい。そして、水素充填が完了し、水素充填ノズル101が水素充填口23から取り外されたことを検知した場合において、IG61がONされたとき、ECU70は、遮断弁22を開き、コンプレッサ31を作動させ、燃料電池スタック10を再び発電させることが好ましい。
【0057】
≪燃料電池車の効果≫
このような燃料電池車1によれば次の効果を得る。
IG61がON状態のまま、燃料電池車1が停止している場合において(S102・Yes)、水素充填ノズル101の接続中であると判断したとき(S103・Yes)、モータ41への電力供給を禁止し、モータ41の作動を禁止するので(S105)、その後に誤ってアクセルが踏み込まれたとしても、燃料電池車1が誤って発進することはない。すなわち、燃料電池車1が、水素充填ノズル101が接続されたまま、誤発進することはなく、水素充填口23、燃料リッド25、水素充填ノズル101、ホース101a等が誤発進によって損傷・破損することはない。
【0058】
また、水素充填ノズル101の接続中であると判断したとき(S103・Yes)、遮断弁22を閉じ、燃料電池スタック10への水素供給を停止するので(S104)、燃料電池スタック10を発電不能とし、燃料電池スタック10からモータ41への電力供給を停止できる。これにより、モータ41が、燃料電池スタック10からの電力で駆動することはなく、燃料電池車1を停止させることができる。
【0059】
以上、本発明の第1実施形態について説明したが、これに限定されず、例えば次のように変形したり、後記する実施形態と適宜組み合わせることができる。
前記した第1実施形態では、燃料電池移動体が燃料電池車1(四輪車)である構成を例示したが、その他に例えば、自動二輪車、列車、船舶でもよい。
【0060】
前記した第1実施形態に係る遮断弁22の他に、例えば、配管22aに二次遮断弁(図示しない)が設けられた構成であれば、ステップS104において、ECU70は、遮断弁22と共に、または遮断弁22に代えて、前記二次遮断弁(図示しない)を閉じる構成としてもよい。
【0061】
前記した第1実施形態では、燃料リッドオープナ26への開指令の有無、及び/又は、燃料リッド25の開閉状態に対応した信号に基づいて、燃料リッド25の開閉状態、水素充填ノズル101の接続状態を判定する構成としたが、その他に例えば、水素充填ノズル101が接続された場合に接続信号を出力するセンサを、水素充填口23に設け、ECU70かこの接続信号に基づいて、水素充填ノズル101が接続されているか否か判定する構成としてもよい。
【0062】
≪第2実施形態≫
次に、本発明の第2実施形態について、図3〜図6を参照して説明する。なお、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0063】
≪燃料電池車の構成≫
図3に示すように、第2実施形態に係る燃料電池車2は、圧力センサ28と、温度センサ29と、を備えている。
圧力センサ28は、水素タンク21内の圧力を検出するセンサであり、水素タンク21内に配置されている。そして、圧力センサ28は、検出した水素タンク21の圧力を、ECU70に出力するようになっている。
【0064】
温度センサ29は、水素タンク21の温度を検出するセンサであり、水素タンク21内に配置されている。そして、温度センサ29は、検出した水素タンク21の温度を、ECU70に出力するようになっている。
なお、圧力センサ28及び温度センサ29の位置は、適宜変更してよい。
【0065】
<ECU−充填ノズル接続状態判定機能>
第2実施形態に係るECU70は、水素タンク21の圧力及び/又は温度(検出値)に基づいて、水素の充填中であるか否か、水素充填ノズル101の接続中であるか否か、を判定する機能を備えている。すなわち、第2実施形態において、水素充填ノズル101が接続されているか否かに関する情報を検出する接続情報検出手段は、圧力センサ28と、温度センサ29と、を備えて構成されている。
【0066】
ここで、図4を参照して、水素タンク21に定格圧力まで水素を充填する正常水素充填時における水素タンク21の圧力及び温度の経時変化について説明する。
【0067】
水素タンク21の圧力は、第2実施形態では、図4に示すように、水素充填開始後、急上昇した後、緩やかに上昇しながら定格圧力に近づくという特性を有している。
そして、水素充填開始時を起点とし、複数の所定時間として徐々に長くなる第1時間(例えば10秒)、第2時間(例えば30秒)、第3時間(例えば60秒)を設定した場合、第1時間における圧力変化割合である第1圧力レート(Pa/s、所定変化レート)、第2時間における第2圧力レート、第3時間における第3圧力レートは、「第1圧力レート>第2圧力レート>第3圧力レート」の関係を有している。
【0068】
そこで、第2実施形態に係るECU70は、予め設定・求められた第1〜第3時間(例えば10s、30s、60s)及びこれに対応する第1〜第3圧力レート(Pa/s)と、第1〜第3時間に対応する現在の圧力レート(Pa/s)とに基づいて、現在の圧力レートが第1〜第3圧力レート以上である場合、現在、水素充填中であると判断し、現在、水素充填口23に水素充填ノズル101が接続されていると判定する機能を備えている(図5参照)。
【0069】
すなわち、図5に示すように、水素充填中であるか否かを判定するために要する判定時間が長くなるに伴って、判定基準となる圧力レートは徐々に小さくなるという傾向を有している。また、判定基準となる第1〜第3圧力レート及び後記する第1〜第3温度レートは、誤判定を防止するため、やや大きく設定される。
なお、第1〜第3時間に対応する現在の圧力レートは、圧力センサ28から入力される圧力に基づいて算出される。
【0070】
一方、水素タンク21の温度は、図4に示すように、第2実施形態では、第1時間の経過後、圧力上昇にやや遅れて急上昇した後、緩やかに上昇するという特性を有している。なお、水素タンク21の温度は、充填時に水素が圧縮されるため上昇する。
そして、第1時間における温度変化割合である第1温度レート(℃/s、所定変化レート)、第2時間における第2温度レート、第3時間における第3温度レートは、「第2温度レート>第1温度レート>第3温度レート」の関係を有している。
【0071】
そこで、第2実施形態に係るECU70は、予め設定・求められた第1〜第3時間及びこれに対応する第1〜第3温度レート(℃/s)と、第1〜第3時間に対応する現在の温度レート(℃/s)とに基づいて、現在の温度レートが第1〜第3温度レート以上である場合、現在、水素充填中であると判断し、現在、水素充填口23に水素充填ノズル101が接続されていると判定する機能を備えている。
なお、第1〜第3時間に対応する現在の温度レートは、温度センサ29から入力される温度に基づいて算出される。
【0072】
≪燃料電池車の動作≫
次に、図6のフローチャートを参照して、燃料電池車2の動作について説明する。
なお、図6のフローチャートに係る各処理は、第1時間(例えば10秒)経過毎に繰り返すように設定されている。つまり、後記するステップS201において、第1時間経過毎に、水素タンク21の圧力(温度)を検出する。また、ここでは、水素タンク21の圧力に基づいて、水素充填ノズル101が接続されているか否か判定する場合を例示する。
【0073】
第2実施形態では、ステップS102の判定結果がYesである場合、ECU70の処理は、ステップS201に進む。
ステップS201において、ECU70は、圧力センサ28を介して、水素タンク21内の圧力を検出し、RAM等に一時的に記憶する。
【0074】
ステップS202において、ECU70は、直前の第1時間における圧力レートが、第1圧力レート以上であるか否か判定する。
なお、直前の第1時間における圧力レートは、今回ステップS201で検出された圧力と、前回ステップS201で検出された圧力との差を、第1時間で除すことで算出される。
【0075】
直前の第1時間における圧力レートが第1圧力レート以上であると判定した場合(S202・Yes)、現在、水素充填中であり、水素充填口23に水素充填ノズル101が接続されていると判断し、ECU70の処理はステップS104に進む。
一方、直前の第1時間における圧力レートが第1圧力レート以上でないと判定した場合(S202・No)、ECU70の処理はステップS203に進む。
【0076】
ステップS203において、ECU70は、直前の第2時間における圧力レートが、第2圧力レート以上であるか否か判定する。
なお、第2時間が30秒であり、第1時間が10秒である場合、直前の第2時間における圧力レートは、今回ステップS201で検出された圧力と、3回前にステップS201で検出された圧力との差を、第2時間で除すことで算出される。
【0077】
直前の第2時間における圧力レートが第2圧力レート以上であると判定した場合(S203・Yes)、現在、水素充填中であり、水素充填口23に水素充填ノズル101が接続されていると判断し、ECU70の処理はステップS104に進む。
一方、直前の第2時間における圧力レートが第2圧力レート以上でないと判定した場合(S203・No)、ECU70の処理はステップS204に進む。
【0078】
ステップS204において、ECU70は、直前の第3時間における圧力レートが、第3圧力レート以上であるか否か判定する。
なお、第3時間が60秒であり、第1時間が10秒である場合、直前の第3時間における圧力レートは、今回ステップS201で検出された圧力と、6回前にステップS201で検出された圧力との差を、第3時間で除すことで算出される。
【0079】
直前の第3時間における圧力レートが第3圧力レート以上であると判定した場合(S204・Yes)、現在、水素充填中であり、水素充填口23に水素充填ノズル101が接続されていると判断し、ECU70の処理はステップS104に進む。
一方、直前の第3時間における圧力レートが第3圧力レート以上でないと判定した場合(S204・No)、ECU70の処理はリターンに進む。
【0080】
≪燃料電池車の効果≫
このような燃料電池車2によれば次の効果を得る。
直前の第1〜第3時間における圧力レートと、第1〜第3圧力レートとに基づいて、現在、水素充填中であるか否か、水素充填ノズル101が接続されているか否か判定できる。
【0081】
また、第1〜第3時間を異なる時間に設定し、しかも、誤判定を防止するために判定基準となる第1〜第3圧力レートをやや大きく設定し、ステップS202〜S204において、第1〜第3時間のそれぞれについて判定するので、現在、水素充填中であり、水素充填ノズル101が接続されているか否か、速やかに判定できる。そして、この判定に基づいて、燃料電池車1の誤発進を適切に防止できる。
【0082】
前記した第2実施形態では、直前の第1〜第3時間における圧力レートと、予め設定された第1〜第3圧力レートとに基づいて判定する構成としたが、ステップS201において水素タンク21の温度を検出・記憶し、ステップS202〜S204において直前の第1〜第3時間における温度レートと、予め設定された第1〜第3温度レートとに基づいて、判定する構成としてもよい。
また、圧力に基づく判定と、温度に基づく判定とを重複して実行し、誤判定を防止するようにしてもよい。
【0083】
≪第3実施形態≫
次に、本発明の第3実施形態について、図7〜図8を参照して説明する。なお、第1〜第2実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0084】
≪燃料電池車の構成≫
図7に示す第3実施形態に係る燃料電池車3は、水素充填時、水素ステーション100とコミュニケーション(通信)しながら水素を充填する、つまり、水素ステーション100とコミュニケーション充填するものである。
【0085】
ここで、コミュニケーション充填とは、特開2003−269693号公報に記載されるように、水素充填時、燃料電池車3のECU70が、水素ステーション100の制御装置104に、水素タンク21に関するタンク情報を送信し、制御装置104が受信したタンク情報に基づいて、水素充填を制御するものである。
【0086】
タンク情報としては、例えば、水素タンク21の材質(アルミニウム合金製、樹脂製等)、水素タンク21の使用期限、水素の充填回数、残留する水素量(水素タンク21の圧力)が挙げられる。
そして、例えば、制御装置104は、水素タンク21がアルミニウム合金製であることを受信した場合、充填に伴い水素タンク21で発生する熱は、樹脂製である場合と比較して速やかに放熱されると判断し、樹脂製である場合に対して、水素の充填速度を高めるように、ホース101aに設けられた流量制御弁105を制御する。
【0087】
このようなコミュニケーション充填する燃料電池車3は、インターフェイス81と、接続センサ82と、を備えている。
【0088】
インターフェイス81は、水素充填時に水素ステーション100の通信コネクタ103が接続される部分であり、水素充填口23の近傍に設けられている。そして、燃料リッド25は通信コネクタリッドとしても機能し、燃料リッドオープナ26は通信コネクタリッドオープナとしても機能し、燃料リッドセンサ27は通信コネクタリッド(燃料リッド25)の開閉状態を検出する通信コネクタリッドセンサとしても機能している。
【0089】
そして、ECU70は、インターフェイス81に通信コネクタ103が接続された場合、水素タンク21に関し、RAM等に記憶されているタンク情報を、インターフェイス81及び通信コネクタ103を介して、制御装置104に送信するようになっている。
【0090】
接続センサ82は、インターフェイス81と通信コネクタ103との接続状態を検出するセンサであり、インターフェイス81の近傍に配置されている。そして、接続センサ82は、インターフェイス81と通信コネクタ103との接続状態に関する信号を、ECU70に出力するようになっている。
【0091】
そして、第3実施形態に係るECU70は、通信コネクタリッドオープナ(燃料リッドオープナ26)への開指令の有無、通信コネクタリッドセンサ(燃料リッドセンサ27)から入力される通信コネクタリッド(燃料リッド25)の開閉状態に対応した信号、接続センサ82から入力される通信コネクタ103との接続状態に関する信号、の少なくとも1つに基づいて、インターフェイス81への通信コネクタ103の接続状態を判定する機能を備えている。
【0092】
すなわち、第3実施形態において、水素充填ノズル101の接続状態に関する情報を検出する接続情報検出手段であって、通信コネクタ103の接続状態に関する情報を検出する通信コネクタ接続状態検出手段は、通信コネクタリッドオープナ(燃料リッドオープナ26)に開指令を出力したことをフラグ等によって一時的に記憶するECU70と、通信コネクタリッドセンサ(燃料リッドセンサ27)と、接続センサ82と、を備えて構成されている。
【0093】
また、ECU70は、通信コネクタ103の接続状態に基づいて、水素充填ノズル101が水素充填口23に接続されているか否か判定する機能を備えている。
【0094】
≪燃料電池車の動作≫
第3実施形態では、ステップS102の判定結果がYesである場合、ECU70の処理は、ステップS301に進む。
ステップS301において、ECU70は、通信コネクタリッドオープナ(燃料リッドオープナ26)に開指令を出力したか否か判定する。
通信コネクタリッドオープナに開指令を出力したと判定した場合(S301・Yes)、ECU70は、現在、通信コネクタ103がインターフェイス81に接続されていると共に、水素充填口23に水素充填ノズル101が接続されていると判断し、その処理はステップS104に進む。
一方、通信コネクタリッドオープナに開指令を出力していないと判定した場合(S301・No)、ECU70の処理はリターンに進む。
【0095】
この他、ステップS301において、ECU70は、通信コネクタリッドセンサ(燃料リッドセンサ27)からの信号に基づいて、通信コネクタリッド(燃料リッド25)が開状態であるか否か判定し、通信コネクタリッドが開状態であると判定した場合(S301・Yes)、ステップS104に進む構成としてもよい。
また、接続センサ82からの信号に基づいて、通信コネクタ103がインターフェイス81に接続されていると判定した場合(S301・Yes)、ステップS104に進む構成としてもよい。
さらに、これら3つの判定を重複して実行し、誤判定を防止してもよい。
【0096】
≪燃料電池車の効果≫
このような燃料電池車3によれば、次の効果を得る。
通信コネクタリッドオープナへの開指令の有無、通信コネクタリッドの開閉状態に対応した信号、通信コネクタ103との接続状態に関する信号、の少なくとも1つに基づいて、インターフェイス81と通信コネクタ103との接続状態を判定し、水素充填ノズル101の接続状態を判定できる。そして、この判定に基づいて、燃料電池車1の誤発進を適切に防止できる。
【0097】
前記した第3実施形態では、インターフェイス81が水素充填口23の近傍に配置され、燃料リッド25が通信コネクタリッドの機能を備える構成を例示したが、インターフェイス81と水素充填口23とが離れて配置され、通信コネクタリッドと燃料リッド25とを別々に備える構成でもよい。そして、この構成の場合、通信コネクタリッド用の通信コネクタリッドオープナをさらに設ければよい。
【符号の説明】
【0098】
1、2、3 燃料電池車(燃料電池移動体)
10 燃料電池スタック(燃料電池)
21 水素タンク(燃料タンク)
21a、22a 配管(燃料供給流路)
22 遮断弁
23 水素充填口(燃料充填口)
25 燃料リッド
27 燃料リッドセンサ(接続情報検出手段、通信コネクタ接続状態検出手段)
28 圧力センサ(接続情報検出手段)
29 温度センサ(接続情報検出手段)
41 モータ
50 モータ制御系(モータ制御手段)
70 ECU(制御手段、停止判定手段、接続情報検出手段、通信コネクタ接続状態検出手段)
81 インターフェイス
82 接続センサ(通信コネクタ接続状態検出手段)
100 水素ステーション(燃料ステーション)
101 水素充填ノズル(燃料充填ノズル)
103 通信コネクタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力によって移動するための駆動力を発生するモータと、
燃料及び酸化剤が供給されることで発電し、前記モータに電力を供給する燃料電池と、
前記燃料電池に供給される燃料が封入される燃料タンクと、
前記燃料タンクから前記燃料電池に供給される燃料が通流する燃料供給流路と、
前記燃料供給流路に設けられた遮断弁と、
前記遮断弁を制御する制御手段と、
前記モータへの電力を制御することで、当該モータを制御するモータ制御手段と、
停止状態であるか否か判定する停止判定手段と、
外部の燃料ステーションから前記燃料タンクに燃料を充填する場合、前記燃料ステーションの燃料充填ノズルが接続される燃料充填口と、
前記燃料充填口に前記燃料充填ノズルが接続されているか否かに関する情報を検出する接続情報検出手段と、
を備える燃料電池移動体であって、
前記停止判定手段が停止状態であると判定した場合において、
前記制御手段は、前記接続情報検出手段からの情報に基づいて、前記燃料充填口に前記燃料充填ノズルが接続されていると判定したとき、前記遮断弁を閉じ、
前記モータ制御手段は、前記モータの作動を禁止する
ことを特徴とする燃料電池移動体。
【請求項2】
前記接続情報検出手段は、前記燃料タンク内の圧力を検出する圧力センサ、前記燃料タンクの温度を検出する温度センサ、前記燃料充填口の燃料リッドの開閉状態を検出する燃料リッドセンサ、の少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池移動体。
【請求項3】
前記接続情報検出手段は、前記圧力センサ及び/又は前記温度センサを含み、
前記制御手段は、前記圧力センサ及び/又は前記温度センサから入力される検出値の所定時間における変化レートが、所定変化レート以上である場合、前記燃料充填口に前記燃料充填用ノズルが接続されていると判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池移動体。
【請求項4】
前記制御手段は、前記所定時間が異なる複数の前記所定変化レートを有し、当該複数の所定変化レートと、前記圧力センサ及び/又は前記温度センサから入力される検出値の前記所定時間に対応する検出値の変化レートと、に基づいて、前記燃料充填口に前記燃料充填ノズルが接続されているか否か判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池移動体。
【請求項5】
前記接続情報検出手段は、燃料の充填時、前記水素ステーションと前記燃料タンクに関するタンク情報を通信するために接続される通信コネクタの接続状態を検出する通信コネクタ接続状態検出手段を含み、
前記制御手段は、前記通信コネクタ接続状態検出手段からの接続状態に基づいて、前記通信コネクタが接続されていると判定したとき、前記燃料充填口に前記燃料充填ノズルが接続されていると判定する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池車。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−177111(P2010−177111A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19996(P2009−19996)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】