画像形成装置
【課題】全階調に渡って、特に淡色トナーと濃色トナーとが混在する中濃度領域でも、粒状感のない階調性に優れた画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体上に形成された静電潜像を現像化する複数色のトナーを備え、前記複数色のうち少なくとも1色については淡トナーと濃トナーとによるトナー像を形成する画像形成装置において、パッチ画像を用いて画像の画質をチェックする画質チェック手段を備えることを特徴とする。
【解決手段】像担持体上に形成された静電潜像を現像化する複数色のトナーを備え、前記複数色のうち少なくとも1色については淡トナーと濃トナーとによるトナー像を形成する画像形成装置において、パッチ画像を用いて画像の画質をチェックする画質チェック手段を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用してカラー画像形成を行う複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のカラー画像を形成する画像形成装置としては、例えば転写ドラム(転写フィルム)上に保持された紙などの転写材に、像担持体である感光ドラム上に形成される各色のトナー像を順次重ね合わせて転写することによりカラー画像を形成する画像形成装置が実用化されている。
【0003】
このような画像形成装置では、入力される画像信号に基づいて感光ドラム上に形成された静電潜像を第一色目のトナー(例えばシアン)によって現像してトナー像を形成し、このトナー像を転写ドラム(転写フィルム)上に保持された紙などの転写材に転写する。この転写行程を他の3色、即ちマゼンタ、イエロー、ブラックの各色のトナーについても同様に行い、転写材上に4色のトナー像を順次重ねて転写することによってカラー画像を得ることが出来る。
【0004】
最近のデジタルな画像信号を使用している電子写真方式の画像形成装置では、潜像は一定電位のドットが潜像担持体、所謂感光体の表面に集まって形成されており、ベタ部、ハーフトーン部及びライン部はドット密度をかえることによって表現されている。
【0005】
しかしながらこの方法では、ドットに忠実にトナー粒子がのりにくく、ドットからトナー粒子がはみ出した状態となり、デジタル潜像の黒部と白部のドット密度の比に対応するトナー画像の階調性が得られないという問題が起こり易い。
【0006】
更に、画質を向上させるために、ドットサイズを小さくして解像度を向上させる場合には、微小なドットから形成される潜像の再現性が更に困難になり、解像度及び特にハイライト部の階調性の悪い、シャープネスさに欠けた画像となる傾向がある。また、不規則なドットの乱れは粒状感として感じられ、ハイライト部の画質を低下させる要因となる。
【0007】
このムラは、インクジェットや印刷にはないものであり、最大の問題点は予測が出来ない画質の不安定要素であること、そして、多数の粒径5〜10μmの微小トナー粒子がドット輪郭をランダムに分布することで形成されることによってマクロに生じる低周波ノイズである。
【0008】
電子写真画像をルーペなどで拡大して観察してみると、ドットといっても電子写真の場合には、インクジェットのような滑らかな輪郭形状ではなく、多数の粒径5〜10μmの微小トナー粒子がドット輪郭をランダムに分布することで形成されることがわかる。さらに、ドットの出来上がりも同一ではなく、密度が低いものや高いもの、ドット径の小さいものや大きいもの、形に至っては円形どころかいびつでありどれ一つとして同じものはない。これらの因子のバラツキはほぼランダムであり、かなりの低周波成分を含んでいる。その結果、目で見えるノイズの原因となっている。
【0009】
このノイズを目立たせるのがトナー濃度と紙の濃度の差である。特にインクジェットなどと比較すると無数の微小トナーの分布によりオプティカルドットゲインの影響を著しく受けてしまう。
【0010】
以上の現象の主原因はドットを形成させるのに電子写真では微小なトナー粒子を使用している点にある。さらに、助長する原因がいろいろあり、まず、電子写真プロセスにおける潜像→現像→転写プロセスにおけるドットデータのアンシャープ化、そして、コピー紙の物性値(電気抵抗、表面粗さ)等に起因する不規則なトナー飛び散り、そして以下に説明する現像プロセスにおける付着力に起因する現象である。
【0011】
1成分現像剤であればトナーと現像スリーブ間、2成分現像剤であれば、トナーとキャリア間の付着力(主としてトナーの現像剤担持体への鏡映力)が強力である一方でトナーの帯電量分布が不均一なため、現像バイアスでこれらを引き剥がし、感光ドラムへ飛翔させようとするとき、ある場所のトナーは飛翔しやすく、また、他の場所のトナーは飛翔しにくい、といった不安定な画像形成が起こり、ドット形成にムラが発生してしまう。
【0012】
一方、特許文献1に見たれるようなインクジェットにおける濃淡インクプロセスはインクジェットシステムそのものが単純である上に、現在の高画質イメージを支えている専用紙の性能が優れているため、上記のような電子写真の問題点は生じない。
【0013】
このため、インクジェットなどで用いられている濃淡インクの効果である粒状性の改善の点においては、電子写真では前述の「ドットを形成するトナー密度のゆらぎ」、「ドット面積のゆらぎ」、「ドット形状のゆらぎ」に起因する目に付く低周波ノイズに対して、淡色トナーは電子写真への効果はインクジェット以上に絶大であることがわかった。
【0014】
それだけでなく、インクジェットでは問題でなかったオプティカルドットゲインが無数の微小トナーを使用する電子写真では高画質を狙う上での大きな障害となっていた点にも、電子写真への淡色トナーの導入は革命的進歩をもたらすことがわかった。
【0015】
これらを改善する目的で、ハイライト部は薄い色のトナー(淡色トナー)、ベタ部は濃い色のトナー(濃色トナー)を用いて画像を形成する方法が提案されている。特許文献2、特許文献3には、それぞれ濃度の異なる複数のトナーを組み合わせて画像形成する画像形成方法が提案されている。特許文献4には、濃色トナーの最大反射濃度に対し、その半分以下の最大反射濃度を有する淡色トナーを組み合わせた画像形成装置が提案されている。特許文献5には、転写材上でのトナー量が0.5mg/cm2のときの画像濃度が1.0以上である濃色トナーと、1.0未満である淡色トナーとを組み合わせた画像形成装置が提案されている。特許文献6には、濃色トナーと淡色トナーとの記録濃度の傾き比が0.2〜0.5の間にあるトナーを組み合わせた画像形成装置が提案されている。
【特許文献1】特開昭58−39468号公報
【特許文献2】特開平11−84764号公報
【特許文献3】特開2000−305339号公報
【特許文献4】特開2000−347476号公報
【特許文献5】特開2000−231279号公報
【特許文献6】特開2001−290319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記のような従来技術の場合には、下記のような問題が生じていた。
【0017】
本発明者の検討によると、淡色トナーのみで構成される低濃度領域での階調性や粒状感は改善されるものの、濃色トナーと淡色トナーとが混在する中濃度領域の粒状感がかえって顕著になる問題があった。
【0018】
この原因は、濃色トナーが微量淡色トナー中に存在する状態はプロセス条件上極めて不
安定でありながらも、視覚的には非常に敏感な画像であるためである。
【0019】
従来から存在する6色(濃淡)インクのインクジェットプリンターはインクの吐出量を細かくコントロールすることによって解決してきたが、電子写真装置に濃淡システムが採用されなかった大きな原因がこの不安定さなのである。
【0020】
本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、全階調に渡って、特に淡色トナーと濃色トナーとが混在する中濃度領域でも、粒状感のない階調性に優れた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
像担持体上に形成された静電潜像を現像化する複数色のトナーを備え、
前記複数色のうち少なくとも1色については淡トナーと濃トナーとによるトナー像を形成する画像形成装置において、
淡トナーと濃トナーとはそれぞれ別の現像器によって現像が行われ、
パッチ画像を用いて画像の画質をチェックする画質チェック手段を備え、パッチ画像は、淡トナーのみのパッチ画像と、淡トナーと濃トナーとが混在するパッチ画像と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、淡濃トナーを使用する画像形成装置において、淡トナーと濃トナーの混在する画像域でも粒状感がなく階調性に優れた画像を得ることができ、全階調域で滑らかな階調表現を可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0024】
(第1の実施の形態)
本実施の形態において、L*とは、L*a*b*表色系として一般に用いられている値であり、色を数値化して表現するのに有用な手段である。その立体概念図を図1に示す。図1において、横軸のa*、及び、b*は、両者で色相を表す。色相とは、赤、黄、緑、青、紫等、色あいを尺度化したものである。縦軸のL*は明度を表し、色相に関係なく比較できる色の明るさの度合いを示す。a*、及び、b*は、それぞれ色の方向を示しており、a*は赤−緑方向、b*は黄−青方向を表している。
【0025】
図2には、ある値の明度における色相と彩度の関係を表す平面概念図を示す。ここで、c*は彩度を意味し、下記式1により求められ、色の鮮やかさの度合いを示している。
【0026】
c*=√(a*2+b*2) (1)
また、色相角度Hは、例えばa*−b*座標において点イ(a*,b*)に位置する色について、原点と点イ(a*,b*)とを結ぶ半直線が、a*軸の+方向から反時計回りの方向において、a*軸の+方向となす角度を指す。色相角度は、明度とは無関係に特定の色相を容易に表すことができる。
【0027】
シアントナーのa*、b*、c*、L*を測定するには、例えば市販の普通紙フルカラー複写機(カラーレーザー複写機CLC1150;キヤノン製)にトナーを導入し、受像
体として普通紙(カラーレーザーコピア用紙TKCLA4;キヤノン製)を用い、紙上のトナー量を変化させて200線16階調画像を形成する。SpectroScan Transmission(GretagMacbeth社製)を用い、得られた画像のa*、b*、L*を測定する。測定条件は、観測光源:D50、観測視野:2°、濃度:DIN NB、白色基準:Pap、フィルター:Noとした。得られたa*の値を横軸、b*の値を縦軸をプロットしたa*−b*座標図を作成し、図より、b*が−20、及び、−30のときのa*の値を求める。代表的な測定結果を図3に示す。更に、前記式(1)によりc*の値を求め、横軸にc*、縦軸にL*の値をプロットしたL*−c*座標図を作成し、図より、c*が30のときのL*の値を求める。代表的な測定結果を図4に示す。
【0028】
先の出願によると、b*が−20のときのa*の値(a−1)が−19乃至−30にあり、且つ、b*が−30のときのa*の値(a−2)が−29乃至−45にある淡色シアントナーaと、b*が−20のときのa*の値(a−3)が−7乃至−18にあり、且つ、b*が−30のときのa*の値(a−4)が−10乃至−28にある濃色シアントナーbとを用いることで、前述の課題を解決し、低濃度から高濃度領域まで、粒状感のない階調性に優れ、色再現範囲の広い良好な画像を得ることができる。
【0029】
したがって、本実施の形態ではL*のリニアリティを重視することによって、さらに良い結果を生むものであるが、本実施の形態に用いるトナーの特性としては色相の違いが先の出願のように適度に制限されたものを使用することによって、C*についても、リニアリティが約束される。
【0030】
例えば、今回の4色+2色のカラー出力の試験のために、前述のカラーレーザー複写機CLC1150;キヤノン製をベースに図6のような構成の改造機を作成してみた。図6において、Aはプリンタ部、Bはこのプリンタ部Aの上に搭載した画像読み取り部(イメージスキャナ)である。
【0031】
画像読み取り部Bにおいて、原稿台ガラス20の上面に原稿Gを複写すべき面を下側にして載置し、その上に不図示の原稿板を被せてセットする。21は原稿照射用ランプ21a、短焦点レンズアレイ21b、CCDセンサー21c等を配置した画像読み取りユニットである。
【0032】
この画像読み取りユニット21は、不図示のコピーボタンが押されることで、原稿台ガラス20の下側においてこの原稿台ガラス20の左辺側のホームポジションから右辺側にガラス下面に沿って往動駆動され、所定の往復終点に達すると復動駆動されて始めのホームポジションに戻される。
【0033】
画像読み取りユニット21の往動駆動過程において、原稿台ガラス20上の載置セット原稿Gの下向き画像面が原稿照射用ランプ21aにより左辺側から右辺側にかけて順次照明走査され、その照明走査光の原稿面反射光が短焦点レンズアレイ21bによってCCDセンサー21cに結像入射する。
【0034】
CCDセンサー21cは、不図示の受光部、転送部、出力部より構成されており、受光部において光信号が電荷信号に変えられて、転送部でクロックパルスに同期して順次出力部へ転送され、出力部において電荷信号を電圧信号に変換し、増幅、低インピーダンス化して出力する。このようにして得られたアナログ信号を周知の画像処理によりデジタル信号に変換してプリンタ部Aに出力する。即ち、画像読み取り部Bにより原稿Gの画像情報が時系列電気デジタル画素信号(画像信号)として光電読み取りされる。
【0035】
図8に、画像処理のブロック図を示す。同図において、CCDセンサーの一種であるフ
ルカラーセンサ40から出力された画像信号は、アナログ信号処理部51に入力されてゲインやオフセットが調整された後、A/D変換部52で各色成分ごとに、例えば、8ビット(0〜255レベル:256階調)のRGBデジタル信号に変換され、シェーディング補正部53において、各色ごとに基準白色板(不図示)を読み取った信号を用いて一列に並んだCCDのセンサセル群一つ一つの感度バラツキを無くすために、一つ一つのCCDセンサセルに対応させてゲインを最適化してかける公知のシェーディング補正が施される。
【0036】
ラインディレイ部54は、シェーディング補正部53から出力された画像信号に含まれている空間的ずれを補正する。この空間的ずれは、フルカラーセンサ240の各ラインセンサが、副走査方向に、互いに所定の距離を隔てて配置されていることにより生じたものである。具体的には、B(ブルー)色成分信号を基準として、R(レッド)及びG(グリーン)の各色成分信号を副走査方向にライン遅延し、3つの色成分信号の位相を同期させる。
【0037】
入力マスキング部55は、ラインディレイ部54から出力された画像信号の色空間を、図9の式(2)に示すマトリクス演算により、NTSCの標準色空間に変換する。つまり、フルカラーセンサ40から出力された各色成分信号の色空間は、各色成分のフィルタの分光特性で決まっているが、これをNTSCの標準色空間に変換するものである。
【0038】
LOG変換部56は、例えば、ROMなどからなるルックアップテーブル(LUT)で構成され、入力マスキング部55から出力されたRGB明度信号をCMY濃度信号に変換する。ライン遅延メモリ57は、黒文字判定部(不図示)が入力マスキング部55の出力から制御信号UCR、FILTER、SENなどを生成する期間(ライン遅延)分、LOG変換部56から出力された画像信号を遅延する。
【0039】
マスキング・UCR部58は、ライン遅延メモリ57から出力された画像信号から黒成分信号Kを抽出し、さらに、プリンタ部の記録色材の色濁りを補正するマトリクス演算を、YMCKが信号に施して、リーダ部の各読み取り動作ごとにM、C、Y、K順に、例えば8ビットの色成分画像信号を出力する。なお、マトリクス演算に使用するマトリクス計数は、CPU(不図示)によって設定されるものである。
【0040】
次に、得られたシアン成分とマゼンタ成分データ8ビットの色成分画像信号Dataに基づき、濃ドットと淡ドットの記録率Rn,Rtを、図12を参照して決定する処理を行なう。例えば入力した階調データDataが、100/255であれば、淡ドットの記録率Rtは255/255、濃ドットの記録率Rnは40/255として決定される。なお、記録率は、ある定められた面積中に載せられるトナーの割合をいい、100パーセントを255とする絶対値で示してある。
【0041】
このようにして、階調に応じて濃トナー,淡トナー各々の最適量を示したグラフである図12を利用し、入力データに応じて濃トナーの量と淡トナーの量を決定する。
【0042】
なお、図12は、横軸が入力データDin、縦軸が記録率を示し、図15は、横軸が入力データDin、縦軸が画像の明度L*を示す。入力データDinは、本例の場合全部で0〜255であるので、256階調備えている。図12は、入力データDinで階調を変化させる場合、前記入力データを最小値から最大値まで変化させる時(全入力データ)、Dinのうち任意の値をDin1、Din2とすると、
Din1<Din2ならば前記パッチ画像の明度L*が、
L*(Din1)>L*(Din2)
を満足し、かつ、全入力データに渡って(特に、濃トナーが初めて淡トナーに混在した時
に)、全入力データ数の2%のデータ数(本例のように全入力データが0〜255ならば全入力データ数256の2%のデータ数5に相当)に対する明度変化ΔL*が10以内、好ましくは5以内の画像レベルを確保するように作成されるものであり、最初はトナーの種類など初期に分かっている条件を用いて作成しておき、使用中は、条件の変更に応じて臨機応変に書き換えるようにする。
【0043】
γ補正部59は、画像信号をプリンタ部の理想的な階調特性に合わせるために、マスキング・UCR部58から出力された画像信号に濃度補正を施す。出力フィルタ(空間フィルタ処理部)60は、CPUからの制御信号に従って、γ補正部59から出力された画像信号にエッジ強調又はスムージング処理を施す。
【0044】
LUT61は、原画像の濃度と出力画像の濃度とを一致させるためのもので、例えばRAMなどで構成され、その変換テーブルは、CPUによって設定されるものである。パルス幅変調器(PWM)62は、入力された画像信号のレベルに対応するパルス幅のパルス信号を出力し、そのパルス信号は半導体レーザ(レーザ光源)を駆動するレーザドライバ41に入力される。
【0045】
なお、この画像形成装置にはパターンジェネレーター(不図示)がのせてあり、階調パターンが登録されていて、パルス幅変調器62に直接信号を渡すことができるようになっている。
【0046】
露光装置3は、画像読み取りユニット21から入力される画像信号に基づいて感光体1表面をレーザ走査露光Lして、静電潜像を形成する。
【0047】
図10は、露光装置3を示す概略構成図である。この露光装置3により感光体1表面をレーザ走査露光Lする場合には、先ず画像読み取りユニット21から入力された画像信号に基づき発光信号発生器24により、固体レーザ素子25を所定タイミングで明減(ON/OFF)させる。そして、固体レーザ素子25から放射された光信号であるレーザ光を、コリメーターレンズ系26によりほぼ平行な光束に変換し、更に、矢印c方向に高速回転する回転多面鏡22により感光体1を矢印d方向(長手方向)に走査することによって、fθレンズ群23、反射ミラー(図1参照)により感光体1表面にレーザスポットが結像される。このようなレーザ走査により感光体1表面には走査分の露光分布が形成され、更に、各走査毎に感光体1表面に対して垂直に所定量だけスクロールさせれば、感光体1表面に画像信号に応じた露光分布が得られる。
【0048】
即ち、感光体1の一様帯電面(今回は−700Vに帯電)に画像信号に対応してON/OFF発光される固体レーザ素子25の光を高速で回転する回転多面鏡22によって走査することにより、感光体1表面には走査露光パターンに対応した各色の静電潜像が順次形成されていく。
【0049】
現像装置4は、図11に示すように、現像器411a、411b、412a、412b、413、414、415に、それぞれシアントナーaを有する現像剤、シアントナーbを有する現像剤、マゼンタトナーa、マゼンタトナーbを有する現像剤、イエロートナーを有する現像剤、及び、ブラックトナーを有する現像剤が導入され、磁気ブラシ現像方式によって、静電潜像担持体としての感光体1に形成された静電潜像を現像し、各色トナー像が感光体1に形成される。これらの現像器として、図7に示すような2成分現像器は好ましい例の一つである。
【0050】
図7において、2成分現像器は矢印e方向に回転駆動される現像スリーブ30を備えており、現像スリーブ30内にはマグネットローラ31が固定配置されている。現像容器3
2には、現像剤Tを現像スリーブ30表面に薄層形成するための規制ブレード33が設置されている。
【0051】
また、現像剤容器32の内部は、隔壁36によって現像室(第1室)Rlと攪拌室(第2室)R2とに区画され、攪拌室R2の上方には、トナーホッパー34が配置されている。現像室Rlと攪拌室R2には、それぞれ搬送スクリュー37、38が設置されている。なお、トナーホッパー34には補給口35が設けられており、トナー補給時、トナーtが該補給口35を経て攪拌室R2内に落下補給される。
【0052】
一方、現像室Rl及び攪拌室R2内には、上記トナー粒子と磁性キャリア粒子が混合された現像剤Tが収容されている。
【0053】
また、現像室Rl内の現像剤Tは、搬送スクリュー37の回転駆動によって現像スリーブ30の長手方向に向けて搬送される。攪拌室R2内の現像剤Tは、搬送スクリュー38の回転駆動によって現像スリーブ30の長手方向に向けて搬送される。搬送スクリュー38による現像剤搬送方向は、搬送スクリュー37によるそれとは反対方向である。
【0054】
隔壁36には、紙面と垂直方向である手前側と奥側に開口部(不図示)がそれぞれ設けられており、搬送スクリュー37で搬送された現像剤Tがこの開口部の1つから搬送スクリュー38に受渡され、搬送スクリュー38で搬送された現像剤Tが上記開口部の他の1つから搬送スクリュー37に受渡される。トナーは磁性粒子との摩擦で、潜像を現像するための極性に帯電する。
【0055】
アルミニウムや非磁性ステンレス銅等の非磁性材からなる現像スリーブ30は、現像剤容器32の感光体1に近接する部位に設けた開口部に設けられており、矢印e方向(反時計方向)に回転してトナー及びキャリアの混合された現像剤Tを現像部Cに担持搬送する。現像スリーブ30に担持された現像剤Tの磁気ブラシは現像部Cで矢印a方向(時計方向)に回転する感光体1に接触し、静電潜像はこの現像部Cで現像される。
【0056】
現像スリーブ30には、電源(不図示)により交流電圧に直流電圧を重畳した振動バイアス電圧が印加される。潜像の暗部電位(非露光部電位)と明部電位(露光部電位)は、上記振動バイアス電位の最大値と最小値の間に位置している。これによって、現像部Cに、向きが交互に変化する交番電界が形成される。この交番電界中で、トナーとキャリアは激しく振動し、トナーが現像スリーブ30及びキャリアへの静電的拘束を振り切って潜像に対応して感光体1表面の明部に付着する。
【0057】
振動バイアス電圧の最大値と最小値の差(ピーク間電圧)は1〜5kVが好ましく、今回は2kVの矩形波、また、周波数は1〜10kHzが好ましいが、今回は2kHzとした。また、振動バイアス電圧の波形は、矩形波に限らず、サイン波、三角波等が使用できる。
【0058】
そして、上記直流電圧成分は、静電潜像の暗部電位と明部電位の間の値のものであるが絶対値で最小の明部電位よりも暗部電位の方により近い値であることが、暗部電位領域へのカブリトナーの付着を防止するうえで好ましい。今回は暗部電位−700Vに対して、明部電位−200V、現像バイアスの直流成分を−500Vとした。また、現像スリーブ30と感光体1の最小間隙(この最小間隙位置は現像部C内にある)は0.2〜1mmであることが好適であるが、今回は0.5mmとした。
【0059】
また、規制ブレード33で規制されて現像部Cに搬送される現像剤Tの量は、マグネットローラ31の現像磁極Slによる現像部Cでの磁界により形成される現像剤Tの磁気ブ
ラシの現像スリーブ30表面上での高さが、感光体1を取り去った状態で、現像スリーブ30と感光体1間の最小間隙値の1.2〜3倍となるような量であることが好ましい。今回は700μmとした。
【0060】
マグネットローラ31の現像磁極Slは、現像部Cと対向する位置に配置されており、現像磁極Slが現像部Cに形成する現像磁界により現像剤Tの磁気ブラシが形成され、この磁気ブラシが感光体1に接触してドット分布静電潜像を現像する。その際、磁性キャリアの穂(ブラシ)に付着しているトナーも、この穂ではなくスリーブ表面に付着しているトナーも、静電潜像の露光部に転移してこれを現像する。
【0061】
現像磁極Slによる現像磁界の現像スリーブ30表面上での強さ(現像スリーブ30表面に垂直な方向の磁束密度)は、そのピーク値が5×10−2(T)〜2×10−1(T)であることが好適である。また、マグネットローラ31には、上記現像磁極Slの他に、Nl、N2、N3、S2極を有している。
【0062】
ここで、感光体1表面の静電潜像を、現像装置4を用いて2成分磁気ブラシ法により顕像化する現像工程と現像剤Tの循環系について説明する。
【0063】
現像スリーブ30の回転によりN2極で汲み上げられた現像剤TはS2極からNl極と搬送され、その途中で規制ブレード33で層厚が規制され、現像剤薄層を形成する。そして、現像磁極Slの磁界中で穂立ちした現像剤Tが感光体1上の静電潜像を現像する。その後、N3極、N2極間の反発磁界により現像スリーブ30上の現像剤Tは現像室Rl内へ落下する。現像室Rl内に落下した現像剤Tは、搬送スクリュー37により攪拌搬送される。
【0064】
なお、本実施の形態において、中間転写体及び転写手段としては、一般的な材料を用いることが可能である。
【0065】
転写体5は、表面に例えばポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる転写シート5cが張設されており、感光体1に対して当接、離間自在に設置されている。転写体5は矢印方向(時計方向)に回転駆動される。転写体5内には、転写帯電器5a、分離帯電器5b等が設置されている。
【0066】
次に、上記した画像形成装置の画像形成動作について説明する。
【0067】
感光体1は、中心支軸を中心に所定の周速度(プロセススピード)で矢印a方向(反時計方向)に回転駆動され、その回転過程において一次帯電器2により、本実施の形態では負極性の一様な帯電処理を受ける。
【0068】
そして、感光体1の一様帯電面に対して露光装置(レーザ走査装置)3から出力される、画像読み取り部Bからプリンタ部A側に出力される画像信号に対応して変調されたレーザ光による走査露光Lによって、感光体1上に画像読み取り部Bにより光電読み取りされた原稿Gの画像情報に対応した各色の静電潜像が順次形成される。感光体1上に形成された静電潜像は現像装置4により、上述した2成分磁気ブラシ法によって、先ず現像器411aにより反転現像されて第1色目のトナー像として可視像化される。
【0069】
一方、感光体1上への上記トナー像の形成に同期して、給紙カセット10内に収納された紙などの転写材Pが給紙ローラ11又は12により1枚づつ給送され、レジストローラ13により所定のタイミングで転写体5に給紙され、吸着ローラ14によって転写材Pが転写体5上に静電吸着される。転写体5上に静電吸着された転写材Pは、転写体5の矢印
方向(時計方向)の回転によって感光体1と対向した位置に移動し、転写帯電器5aによって転写材Pの裏側に前記トナーと逆極性の電荷が付与されて、表面側に感光体1上のトナー像が転写される。
【0070】
この転写後、感光体1上に残留している転写残トナーはクリーニング装置6によって除去され、次のトナー像の形成に供される。
【0071】
以下、同様にして感光体1上の静電潜像が現像されて、感光体1上に形成されたシアントナーa像、シアントナーb像、マゼンタトナー像a、マゼンタトナー像b、イエロートナー像、ブラックトナー像が転写帯電器5aにより転写体5上の転写材Pに重ねて転写され、フルカラー画像が形成される。
【0072】
そして、転写材Pを分離帯電器5bによって転写体5上から分離し、分離された転写材Pは搬送ベルト8を通して定着装置9に搬送される。定着装置9に搬送された転写材Pは約200mm/sで進入、定着ローラ9a(シリコーンゴム:肉厚2.4mm、φ60mm、硬度79(ASK−C1kg荷重))と加圧ローラ9b(シリコーンゴム:肉厚1.8mm、φ60mm、硬度81(ASK−C1kg荷重))間で約160℃で加熱、70kgで加圧されて表面にフルカラー画像が定着された後、排紙ローラ15によりトレイ16上に排紙される。
【0073】
また、感光体1表面は、クリーニング装置6によって転写残トナーが除去され、更に感光体1表面は、前露光ランプ7で除電され、次の画像形成に備える。
【0074】
そして、本実施の形態においては、本番の画像出力前に画質をチェックするためにパッチ画像を図5(b)T1のように被転写材間に行う(図5(a)中T2は本番の画像)。
【0075】
まず、前述のシアンの淡トナー用に記録率50%(図12の縦軸で128/255)を潜像書き込みし、通常行う予定の現像バイアスの直流成分にて現像プロセスを行い、感光ドラム1上にトナー画像T1を形成させる。
【0076】
そして、図5(a)に示す発光部100から発生された照射光は、感光ドラム1上に形成されたパッチ画像T1によって反射され、その反射光を受光部101によって受光する。このときの反射光の光量は、CPU102を介して、出力電圧に変換される。この結果得られるL*の値が所望値でない場合には、前述の現像バイアスの直流成分を予想量変化させて本番の画像出力に備える。該予想量とは、例えば、パッチ画像による測定値と所望値の差分に相当する量である。なお、図5(a)に示す、発光部100と受光部101とCPU102とから構成されるものが画質チェック手段に相当するものである。
【0077】
また、もしも、時間的余裕がある場合には、再度感光ドラム上にパッチ画像を形成し、変化させたバイアス値が問題ないか確認することが望ましい。
【0078】
また、現像剤中のトナー含有量が低下していると判断されれば、前述のトナーホッパー34から新しいトナーを現像容器内へ補給し、トナーの残量を予め定められた所定量にすることも良い。
【0079】
なお、現像剤中のトナー含有量が低下しているか否かは、例えば、初期最適トナー含有量時に現像バイアス値と明度の関係をメモリしておき、その値と比較することによって判断することができる。
【0080】
次に、同様にシアンの濃トナーでパッチ画像を用いて画質チェックを行う。
【0081】
以上の工程を同様にマゼンタの濃淡トナーに於いても行う。
【0082】
これにより、不安定な電子写真プロセスにおいても、全階調域で粒状感のない濃淡画像出力が得ることができる。
【0083】
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、ほぼベタ状態に近い淡トナー画像とハイライト出力のように微量トナーの濃トナー画像との混在画像である、例えば図12中ではData=100である時に淡トナー記録率が100%(255/255)、濃トナー記録率が約16%(40/255)の時の重ね合わせトナー画像を、本番の画像出力前にパッチ画像として、図13のように転写体5上の被転写材Pに作成する。
【0084】
その他の構成および作用については第1の実施の形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0085】
まず、前述のシアンの淡トナー用に記録率100%(図12の縦軸で255/255)を潜像書き込みし、通常行う予定の現像バイアスの直流成分にて現像プロセスを行い、感光ドラム1上にトナー画像を形成させ、前述の説明通り、被転写材P上にトナー画像を転写させる。
【0086】
続いて、濃トナーを記録率16%で潜像書き込み、現像し、先に形成された淡トナーのパッチ画像への多重転写を行い、濃淡混在トナー画像(パッチ画像)T3を形成する。図14は、パッチ画像T3を上から見た図である。
【0087】
図13における発光部200から発生された照射光は、被転写材P上に形成されたパッチ画像T3によって反射され、その反射光を受光部201によって受光する。このときの反射光の光量は、CPU202を介して、出力電圧に変換される。この結果得られるL*の値が所望値でない場合には、濃淡両トナーの現像バイアスの直流成分を予想量変化させて本番の画像出力に備える。なお、図13中、画質チェック手段としてのセンサーは発光部200と受光部201とCPU202とを有する光センサである。
【0088】
また、もしも、時間的余裕がある場合には、再度被転写材上にパッチ画像を形成し、変化させたバイアス値が問題ないか確認してもよい。
【0089】
また、現像剤中のトナー含有量が低下していると判断されれば、前述のトナーホッパー34から新しいトナーを現像容器内へ補給し、トナーの残量を予め定められた所定量にすることも良い。
【0090】
以上の工程を同様にマゼンタの濃淡トナーに於いても行う。
【0091】
これにより、不安定な電子写真プロセスにおいても、全階調域で粒状感のない濃淡画像出力が得ることができる。
【0092】
なお、本実施の形態では転写体5上の被転写材P上にパッチ画像を形成したが、中間転写体などを用いたシステムに適用する場合には、中間転写体上にて濃淡トナー混在のパッチ画像を形成しても同様の効果を得ることができる。
【0093】
また、多重現像システムなどでは感光体上に濃淡トナー混在のパッチ画像を形成して、第1の実施の形態同様に画質のチェックを行っても同様の効果を得ることができる。
【0094】
(第3の実施の形態)
第2の実施の形態のように濃淡トナー混在のパッチ画像を用いて画質のチェックを行うと、濃トナーの量を変えたらいいのか、淡トナーの量を変えたらいいのかが判別できない場合がある。
【0095】
そこで、本実施の形態では、転写体上の被転写材P上に先に形成された淡トナーのみのパッチ画像の画質チェックを行い、その後濃トナーが多重転写された後の濃淡トナー混在のパッチ画像の画質チェックを行う。あるいは、淡トナーのパッチ画像を大きめに形成しておき、多重転写する濃トナーのパッチを小さめにして、淡トナーパッチの一部のみに濃淡トナー混在のパッチ画像を形成し、淡トナーのパッチ画像部と濃淡トナー混在のパッチ画像部の両方を用いて画質チェックを行う。
【0096】
また、第1の実施の形態のように濃淡個別のパッチ画像を感光ドラム上に形成して画質チェックを行った後に、本実施の形態のように転写体上の被転写材P上のパッチ画像の画質をチェックすることによって、濃淡、個別の転写効率のデータが予測でき、転写バイアスの適正化ができる。そして、転写プロセスにおいて転写バイアスを制御することで、転写時の粒状性悪化を抑制できるので、粒状性低減に相乗効果的に威力が発揮されるものである。
【0097】
また、定着器9を通過した後に本当の濃度や明度、色、光沢が現れるので、より正確なフィードバックをするためには、やはり定着後の被転写材上の濃淡トナー混在のパッチ画像からデータを収集する方が好ましい。
【0098】
そして、そのデータから、現像器4や転写装置5などの条件だけではなく、定着装置の条件を変えて適正化することも粒状性向上につながる。
【0099】
そして、このように潜像プロセス、現像プロセス、転写プロセス、定着プロセス全てにおいて、パッチ画像の照合結果に基づいて被転写材に転写される画像の画質を調整する手段を有する場合、どのプロセスの最適化を行えば所望の明度になるかを判断する手法としては、例えば、プロセスの上流から、まず潜像プロセスにおいて最適化を行い、それでも改善されない場合は、現像バイアスの値を変える等現像プロセスの最適化を転写前の感光ドラム上のパッチ画像を用いて行い、次に転写プロセス、定着プロセスと最適化することにより行なうことができる。
【0100】
最後に本実施の形態を適用した場合の測定結果について説明する。
【0101】
濃度レベルの異なる2種類以上のトナー種を、マゼンタ・淡トナーとマゼンタ・濃トナーについて、同一着色剤で含有量の差により濃度レベルの異なるトナーを作製した。
【0102】
<マゼンタ・濃トナー>
ポリエステル樹脂(100重量部) / C.I.Pigment Red(5重量部)
<マゼンタ・淡トナー>
ポリエステル樹脂(100重量部) / C.I.Pigment Red(1重量部)
上記原料をヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押し出し式混練機により溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて1〜2mm程度に粗粉砕した。
【0103】
次いで、エアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。得られた微粉砕物を分級し、重量平均粒子5.6μmのマゼンタ・濃トナー、マゼンタ・淡トナーの各粒子を得た。
【0104】
以上のトナーを用いて、前述の装置にて図12のようなData vs 記録率のテーブルを作成し(図12はあくまで説明用で、実際に使用したものではない)、定着後のパッチ画像の画質をチェックすることによって、Data vs記録率テーブルの最適化、現像剤中のトナー濃度の最適化、現像バイアスの最適化、転写バイアスの最適化、定着条件の最適化などのフィードバック制御によって行った。その時のマゼンタの濃トナーのパッチ画像(M)、淡トナーのパッチ画像(LM)、濃淡トナー混在のパッチ画像(LM+M)のData(Din)に対する各L*の階調特性の結果を図15に示す。
【0105】
図15に示すように、全階調に渡って明度が略線形に変形しており、濃トナーと淡トナーとが混在する中濃度領域でも粒状感は良好に保たれることがわかる。
【0106】
これに対して、図16,図17,図18は上述の実施の形態で述べた画質調整をしなった場合に生じたトラブルの例である。
【0107】
図16の場合は、濃トナー現像器の現像バイアスが最適化されていなかったために、濃トナーの現像量が多すぎて、濃トナーが入り始める中間調域でいわゆる「トーンジャンプ」が生じてしまった。しかも、その大きさが明度差13程度と大きいので、自然画の出力時には、特に画質を劣化させてしまう。
【0108】
図17の場合は、淡トナー現像器の現像バイアスが最適化されていなかったために、淡トナーの現像量が多すぎて、濃トナーが入り始める中間調域でいわゆる「トーンジャンプ」が生じてしまった。その明度差は6程度である。濃淡トナーで、淡トナーがほとんどベタで少量の濃トナーが載る場合の明度差は10以下で軽減され、5以下ならば問題ないレベルであることが確認されたことから、図16の場合よりも画質は改善されているが、5以下に抑えるのが望ましい。
【0109】
図18は、やはり、濃トナーの現像器中のトナー濃度が適正値より少なくなっている状態でData vs 記録率テーブルの最適化が出来ていないため、濃トナーへのつなぎ目のところで、Dataの増加に伴って明度が単調減少しておらず(濃度が下がり)、そのあと、各トナー濃度が合っていない状態でのData vs 記録率テーブルを使用したため、明度の山谷が出来てしまい、出力した自然画像には大きな擬似輪郭が生じてしまった。このような明度の山谷は最も避けなければいけない現象だが、変動しやすい電子写真装置への濃淡トナーシステムを無理矢理使用するととても出やすい。
【0110】
そこで、入力データDinで階調を変化させる場合、前記入力データを最小値から最大値まで変化させる時(全入力データ)、
Din1<Din2ならば前記パッチ画像の明度L*が、
L*(Din1)>L*(Din2)
を満足し、かつ、全入力データに渡って(特に、濃トナーが初めて淡トナーに混在した時に)、全入力データ数の2%のデータ数に対する明度変化ΔL*が10以内、好ましくは5以内の画像レベルを確保するために上述の画質チェック手段を用いて画質をつぶさにチェックすることが重要である。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】実施の形態で用いるL*a*b*表色系の立体概念図を示したものである。
【図2】実施の形態で用いる色相と彩度、色相角度の平面概念図を示したものである。
【図3】実施の形態に係るトナーの色相曲線の一例を示す図である。
【図4】実施の形態に係るトナーの彩度、明度曲線の一例を示す図である。
【図5】(a)は、第1の実施の形態に係る感光体上パッチ画像読みとり用光センサの構成を示す図であり、(b)は、感光ドラム上の非画像領域にパッチ画像を形成した様子を示す図である。
【図6】第1の実施の形態に好適な淡色シアントナー、濃色シアントナー、淡色マゼンタトナー、濃色マゼンタトナー、イエロートナー、及び、ブラックトナーを有しているフルカラー画像形成用のレーザービーム複写機(プリンターとしても使用可)の構成を示す縦断面図である。
【図7】二成分現像器の構成を示す縦断面図である。
【図8】画像処理を示すブロック図である。
【図9】画像信号の色空間を標準色空間に変換するためのマトリックスを示す図である。
【図10】実施の形態に係るレーザー露光光学系を示す図である。
【図11】実施の形態に係る現像装置を示す概略構成図である。
【図12】実施の形態に係る淡トナーと濃トナーとによる記録率と入力データとの関係を示す図である。
【図13】第2の実施の形態に係る転写体上パッチ画像読みとり用光センサの構成を示す図である。
【図14】第2の実施の形態に係る濃淡トナー混在画像パッチを上から見た図である。
【図15】本発明に係る実施の形態を適用した場合のマゼンタの濃トナーパッチ画像(M)、淡トナーパッチ画像(LM)、濃淡トナー混在パッチ画像(LM+M)のData(Din)に対する各L*の階調特性の結果例である。
【図16】本発明を適用しなかった場合の濃淡トナー混在パッチ画像(LM+M)のData(Din)に対する各L*の階調特性の結果例である。
【図17】本発明を適用しなかった場合の濃淡トナー混在パッチ画像(LM+M)のData(Din)に対する各L*の階調特性の結果例である。
【図18】本発明を適用しなかった場合の濃淡トナー混在パッチ画像(LM+M)のData(Din)に対する各L*の階調特性の結果例である。
【符号の説明】
【0112】
1 感光体(像担持体)
2 帯電器
3 露光装置
4 現像装置
411 シアントナーを有する現像剤
412 マゼンタトナーを有する現像剤
413 イエロートナーを有する現像剤
414 ブラックトナーを有する現像剤
5 転写体
6 クリーニング装置
100,200 発光部
101,201 受光部
102,202 CPU
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用してカラー画像形成を行う複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のカラー画像を形成する画像形成装置としては、例えば転写ドラム(転写フィルム)上に保持された紙などの転写材に、像担持体である感光ドラム上に形成される各色のトナー像を順次重ね合わせて転写することによりカラー画像を形成する画像形成装置が実用化されている。
【0003】
このような画像形成装置では、入力される画像信号に基づいて感光ドラム上に形成された静電潜像を第一色目のトナー(例えばシアン)によって現像してトナー像を形成し、このトナー像を転写ドラム(転写フィルム)上に保持された紙などの転写材に転写する。この転写行程を他の3色、即ちマゼンタ、イエロー、ブラックの各色のトナーについても同様に行い、転写材上に4色のトナー像を順次重ねて転写することによってカラー画像を得ることが出来る。
【0004】
最近のデジタルな画像信号を使用している電子写真方式の画像形成装置では、潜像は一定電位のドットが潜像担持体、所謂感光体の表面に集まって形成されており、ベタ部、ハーフトーン部及びライン部はドット密度をかえることによって表現されている。
【0005】
しかしながらこの方法では、ドットに忠実にトナー粒子がのりにくく、ドットからトナー粒子がはみ出した状態となり、デジタル潜像の黒部と白部のドット密度の比に対応するトナー画像の階調性が得られないという問題が起こり易い。
【0006】
更に、画質を向上させるために、ドットサイズを小さくして解像度を向上させる場合には、微小なドットから形成される潜像の再現性が更に困難になり、解像度及び特にハイライト部の階調性の悪い、シャープネスさに欠けた画像となる傾向がある。また、不規則なドットの乱れは粒状感として感じられ、ハイライト部の画質を低下させる要因となる。
【0007】
このムラは、インクジェットや印刷にはないものであり、最大の問題点は予測が出来ない画質の不安定要素であること、そして、多数の粒径5〜10μmの微小トナー粒子がドット輪郭をランダムに分布することで形成されることによってマクロに生じる低周波ノイズである。
【0008】
電子写真画像をルーペなどで拡大して観察してみると、ドットといっても電子写真の場合には、インクジェットのような滑らかな輪郭形状ではなく、多数の粒径5〜10μmの微小トナー粒子がドット輪郭をランダムに分布することで形成されることがわかる。さらに、ドットの出来上がりも同一ではなく、密度が低いものや高いもの、ドット径の小さいものや大きいもの、形に至っては円形どころかいびつでありどれ一つとして同じものはない。これらの因子のバラツキはほぼランダムであり、かなりの低周波成分を含んでいる。その結果、目で見えるノイズの原因となっている。
【0009】
このノイズを目立たせるのがトナー濃度と紙の濃度の差である。特にインクジェットなどと比較すると無数の微小トナーの分布によりオプティカルドットゲインの影響を著しく受けてしまう。
【0010】
以上の現象の主原因はドットを形成させるのに電子写真では微小なトナー粒子を使用している点にある。さらに、助長する原因がいろいろあり、まず、電子写真プロセスにおける潜像→現像→転写プロセスにおけるドットデータのアンシャープ化、そして、コピー紙の物性値(電気抵抗、表面粗さ)等に起因する不規則なトナー飛び散り、そして以下に説明する現像プロセスにおける付着力に起因する現象である。
【0011】
1成分現像剤であればトナーと現像スリーブ間、2成分現像剤であれば、トナーとキャリア間の付着力(主としてトナーの現像剤担持体への鏡映力)が強力である一方でトナーの帯電量分布が不均一なため、現像バイアスでこれらを引き剥がし、感光ドラムへ飛翔させようとするとき、ある場所のトナーは飛翔しやすく、また、他の場所のトナーは飛翔しにくい、といった不安定な画像形成が起こり、ドット形成にムラが発生してしまう。
【0012】
一方、特許文献1に見たれるようなインクジェットにおける濃淡インクプロセスはインクジェットシステムそのものが単純である上に、現在の高画質イメージを支えている専用紙の性能が優れているため、上記のような電子写真の問題点は生じない。
【0013】
このため、インクジェットなどで用いられている濃淡インクの効果である粒状性の改善の点においては、電子写真では前述の「ドットを形成するトナー密度のゆらぎ」、「ドット面積のゆらぎ」、「ドット形状のゆらぎ」に起因する目に付く低周波ノイズに対して、淡色トナーは電子写真への効果はインクジェット以上に絶大であることがわかった。
【0014】
それだけでなく、インクジェットでは問題でなかったオプティカルドットゲインが無数の微小トナーを使用する電子写真では高画質を狙う上での大きな障害となっていた点にも、電子写真への淡色トナーの導入は革命的進歩をもたらすことがわかった。
【0015】
これらを改善する目的で、ハイライト部は薄い色のトナー(淡色トナー)、ベタ部は濃い色のトナー(濃色トナー)を用いて画像を形成する方法が提案されている。特許文献2、特許文献3には、それぞれ濃度の異なる複数のトナーを組み合わせて画像形成する画像形成方法が提案されている。特許文献4には、濃色トナーの最大反射濃度に対し、その半分以下の最大反射濃度を有する淡色トナーを組み合わせた画像形成装置が提案されている。特許文献5には、転写材上でのトナー量が0.5mg/cm2のときの画像濃度が1.0以上である濃色トナーと、1.0未満である淡色トナーとを組み合わせた画像形成装置が提案されている。特許文献6には、濃色トナーと淡色トナーとの記録濃度の傾き比が0.2〜0.5の間にあるトナーを組み合わせた画像形成装置が提案されている。
【特許文献1】特開昭58−39468号公報
【特許文献2】特開平11−84764号公報
【特許文献3】特開2000−305339号公報
【特許文献4】特開2000−347476号公報
【特許文献5】特開2000−231279号公報
【特許文献6】特開2001−290319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記のような従来技術の場合には、下記のような問題が生じていた。
【0017】
本発明者の検討によると、淡色トナーのみで構成される低濃度領域での階調性や粒状感は改善されるものの、濃色トナーと淡色トナーとが混在する中濃度領域の粒状感がかえって顕著になる問題があった。
【0018】
この原因は、濃色トナーが微量淡色トナー中に存在する状態はプロセス条件上極めて不
安定でありながらも、視覚的には非常に敏感な画像であるためである。
【0019】
従来から存在する6色(濃淡)インクのインクジェットプリンターはインクの吐出量を細かくコントロールすることによって解決してきたが、電子写真装置に濃淡システムが採用されなかった大きな原因がこの不安定さなのである。
【0020】
本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、全階調に渡って、特に淡色トナーと濃色トナーとが混在する中濃度領域でも、粒状感のない階調性に優れた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
像担持体上に形成された静電潜像を現像化する複数色のトナーを備え、
前記複数色のうち少なくとも1色については淡トナーと濃トナーとによるトナー像を形成する画像形成装置において、
淡トナーと濃トナーとはそれぞれ別の現像器によって現像が行われ、
パッチ画像を用いて画像の画質をチェックする画質チェック手段を備え、パッチ画像は、淡トナーのみのパッチ画像と、淡トナーと濃トナーとが混在するパッチ画像と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、淡濃トナーを使用する画像形成装置において、淡トナーと濃トナーの混在する画像域でも粒状感がなく階調性に優れた画像を得ることができ、全階調域で滑らかな階調表現を可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0024】
(第1の実施の形態)
本実施の形態において、L*とは、L*a*b*表色系として一般に用いられている値であり、色を数値化して表現するのに有用な手段である。その立体概念図を図1に示す。図1において、横軸のa*、及び、b*は、両者で色相を表す。色相とは、赤、黄、緑、青、紫等、色あいを尺度化したものである。縦軸のL*は明度を表し、色相に関係なく比較できる色の明るさの度合いを示す。a*、及び、b*は、それぞれ色の方向を示しており、a*は赤−緑方向、b*は黄−青方向を表している。
【0025】
図2には、ある値の明度における色相と彩度の関係を表す平面概念図を示す。ここで、c*は彩度を意味し、下記式1により求められ、色の鮮やかさの度合いを示している。
【0026】
c*=√(a*2+b*2) (1)
また、色相角度Hは、例えばa*−b*座標において点イ(a*,b*)に位置する色について、原点と点イ(a*,b*)とを結ぶ半直線が、a*軸の+方向から反時計回りの方向において、a*軸の+方向となす角度を指す。色相角度は、明度とは無関係に特定の色相を容易に表すことができる。
【0027】
シアントナーのa*、b*、c*、L*を測定するには、例えば市販の普通紙フルカラー複写機(カラーレーザー複写機CLC1150;キヤノン製)にトナーを導入し、受像
体として普通紙(カラーレーザーコピア用紙TKCLA4;キヤノン製)を用い、紙上のトナー量を変化させて200線16階調画像を形成する。SpectroScan Transmission(GretagMacbeth社製)を用い、得られた画像のa*、b*、L*を測定する。測定条件は、観測光源:D50、観測視野:2°、濃度:DIN NB、白色基準:Pap、フィルター:Noとした。得られたa*の値を横軸、b*の値を縦軸をプロットしたa*−b*座標図を作成し、図より、b*が−20、及び、−30のときのa*の値を求める。代表的な測定結果を図3に示す。更に、前記式(1)によりc*の値を求め、横軸にc*、縦軸にL*の値をプロットしたL*−c*座標図を作成し、図より、c*が30のときのL*の値を求める。代表的な測定結果を図4に示す。
【0028】
先の出願によると、b*が−20のときのa*の値(a−1)が−19乃至−30にあり、且つ、b*が−30のときのa*の値(a−2)が−29乃至−45にある淡色シアントナーaと、b*が−20のときのa*の値(a−3)が−7乃至−18にあり、且つ、b*が−30のときのa*の値(a−4)が−10乃至−28にある濃色シアントナーbとを用いることで、前述の課題を解決し、低濃度から高濃度領域まで、粒状感のない階調性に優れ、色再現範囲の広い良好な画像を得ることができる。
【0029】
したがって、本実施の形態ではL*のリニアリティを重視することによって、さらに良い結果を生むものであるが、本実施の形態に用いるトナーの特性としては色相の違いが先の出願のように適度に制限されたものを使用することによって、C*についても、リニアリティが約束される。
【0030】
例えば、今回の4色+2色のカラー出力の試験のために、前述のカラーレーザー複写機CLC1150;キヤノン製をベースに図6のような構成の改造機を作成してみた。図6において、Aはプリンタ部、Bはこのプリンタ部Aの上に搭載した画像読み取り部(イメージスキャナ)である。
【0031】
画像読み取り部Bにおいて、原稿台ガラス20の上面に原稿Gを複写すべき面を下側にして載置し、その上に不図示の原稿板を被せてセットする。21は原稿照射用ランプ21a、短焦点レンズアレイ21b、CCDセンサー21c等を配置した画像読み取りユニットである。
【0032】
この画像読み取りユニット21は、不図示のコピーボタンが押されることで、原稿台ガラス20の下側においてこの原稿台ガラス20の左辺側のホームポジションから右辺側にガラス下面に沿って往動駆動され、所定の往復終点に達すると復動駆動されて始めのホームポジションに戻される。
【0033】
画像読み取りユニット21の往動駆動過程において、原稿台ガラス20上の載置セット原稿Gの下向き画像面が原稿照射用ランプ21aにより左辺側から右辺側にかけて順次照明走査され、その照明走査光の原稿面反射光が短焦点レンズアレイ21bによってCCDセンサー21cに結像入射する。
【0034】
CCDセンサー21cは、不図示の受光部、転送部、出力部より構成されており、受光部において光信号が電荷信号に変えられて、転送部でクロックパルスに同期して順次出力部へ転送され、出力部において電荷信号を電圧信号に変換し、増幅、低インピーダンス化して出力する。このようにして得られたアナログ信号を周知の画像処理によりデジタル信号に変換してプリンタ部Aに出力する。即ち、画像読み取り部Bにより原稿Gの画像情報が時系列電気デジタル画素信号(画像信号)として光電読み取りされる。
【0035】
図8に、画像処理のブロック図を示す。同図において、CCDセンサーの一種であるフ
ルカラーセンサ40から出力された画像信号は、アナログ信号処理部51に入力されてゲインやオフセットが調整された後、A/D変換部52で各色成分ごとに、例えば、8ビット(0〜255レベル:256階調)のRGBデジタル信号に変換され、シェーディング補正部53において、各色ごとに基準白色板(不図示)を読み取った信号を用いて一列に並んだCCDのセンサセル群一つ一つの感度バラツキを無くすために、一つ一つのCCDセンサセルに対応させてゲインを最適化してかける公知のシェーディング補正が施される。
【0036】
ラインディレイ部54は、シェーディング補正部53から出力された画像信号に含まれている空間的ずれを補正する。この空間的ずれは、フルカラーセンサ240の各ラインセンサが、副走査方向に、互いに所定の距離を隔てて配置されていることにより生じたものである。具体的には、B(ブルー)色成分信号を基準として、R(レッド)及びG(グリーン)の各色成分信号を副走査方向にライン遅延し、3つの色成分信号の位相を同期させる。
【0037】
入力マスキング部55は、ラインディレイ部54から出力された画像信号の色空間を、図9の式(2)に示すマトリクス演算により、NTSCの標準色空間に変換する。つまり、フルカラーセンサ40から出力された各色成分信号の色空間は、各色成分のフィルタの分光特性で決まっているが、これをNTSCの標準色空間に変換するものである。
【0038】
LOG変換部56は、例えば、ROMなどからなるルックアップテーブル(LUT)で構成され、入力マスキング部55から出力されたRGB明度信号をCMY濃度信号に変換する。ライン遅延メモリ57は、黒文字判定部(不図示)が入力マスキング部55の出力から制御信号UCR、FILTER、SENなどを生成する期間(ライン遅延)分、LOG変換部56から出力された画像信号を遅延する。
【0039】
マスキング・UCR部58は、ライン遅延メモリ57から出力された画像信号から黒成分信号Kを抽出し、さらに、プリンタ部の記録色材の色濁りを補正するマトリクス演算を、YMCKが信号に施して、リーダ部の各読み取り動作ごとにM、C、Y、K順に、例えば8ビットの色成分画像信号を出力する。なお、マトリクス演算に使用するマトリクス計数は、CPU(不図示)によって設定されるものである。
【0040】
次に、得られたシアン成分とマゼンタ成分データ8ビットの色成分画像信号Dataに基づき、濃ドットと淡ドットの記録率Rn,Rtを、図12を参照して決定する処理を行なう。例えば入力した階調データDataが、100/255であれば、淡ドットの記録率Rtは255/255、濃ドットの記録率Rnは40/255として決定される。なお、記録率は、ある定められた面積中に載せられるトナーの割合をいい、100パーセントを255とする絶対値で示してある。
【0041】
このようにして、階調に応じて濃トナー,淡トナー各々の最適量を示したグラフである図12を利用し、入力データに応じて濃トナーの量と淡トナーの量を決定する。
【0042】
なお、図12は、横軸が入力データDin、縦軸が記録率を示し、図15は、横軸が入力データDin、縦軸が画像の明度L*を示す。入力データDinは、本例の場合全部で0〜255であるので、256階調備えている。図12は、入力データDinで階調を変化させる場合、前記入力データを最小値から最大値まで変化させる時(全入力データ)、Dinのうち任意の値をDin1、Din2とすると、
Din1<Din2ならば前記パッチ画像の明度L*が、
L*(Din1)>L*(Din2)
を満足し、かつ、全入力データに渡って(特に、濃トナーが初めて淡トナーに混在した時
に)、全入力データ数の2%のデータ数(本例のように全入力データが0〜255ならば全入力データ数256の2%のデータ数5に相当)に対する明度変化ΔL*が10以内、好ましくは5以内の画像レベルを確保するように作成されるものであり、最初はトナーの種類など初期に分かっている条件を用いて作成しておき、使用中は、条件の変更に応じて臨機応変に書き換えるようにする。
【0043】
γ補正部59は、画像信号をプリンタ部の理想的な階調特性に合わせるために、マスキング・UCR部58から出力された画像信号に濃度補正を施す。出力フィルタ(空間フィルタ処理部)60は、CPUからの制御信号に従って、γ補正部59から出力された画像信号にエッジ強調又はスムージング処理を施す。
【0044】
LUT61は、原画像の濃度と出力画像の濃度とを一致させるためのもので、例えばRAMなどで構成され、その変換テーブルは、CPUによって設定されるものである。パルス幅変調器(PWM)62は、入力された画像信号のレベルに対応するパルス幅のパルス信号を出力し、そのパルス信号は半導体レーザ(レーザ光源)を駆動するレーザドライバ41に入力される。
【0045】
なお、この画像形成装置にはパターンジェネレーター(不図示)がのせてあり、階調パターンが登録されていて、パルス幅変調器62に直接信号を渡すことができるようになっている。
【0046】
露光装置3は、画像読み取りユニット21から入力される画像信号に基づいて感光体1表面をレーザ走査露光Lして、静電潜像を形成する。
【0047】
図10は、露光装置3を示す概略構成図である。この露光装置3により感光体1表面をレーザ走査露光Lする場合には、先ず画像読み取りユニット21から入力された画像信号に基づき発光信号発生器24により、固体レーザ素子25を所定タイミングで明減(ON/OFF)させる。そして、固体レーザ素子25から放射された光信号であるレーザ光を、コリメーターレンズ系26によりほぼ平行な光束に変換し、更に、矢印c方向に高速回転する回転多面鏡22により感光体1を矢印d方向(長手方向)に走査することによって、fθレンズ群23、反射ミラー(図1参照)により感光体1表面にレーザスポットが結像される。このようなレーザ走査により感光体1表面には走査分の露光分布が形成され、更に、各走査毎に感光体1表面に対して垂直に所定量だけスクロールさせれば、感光体1表面に画像信号に応じた露光分布が得られる。
【0048】
即ち、感光体1の一様帯電面(今回は−700Vに帯電)に画像信号に対応してON/OFF発光される固体レーザ素子25の光を高速で回転する回転多面鏡22によって走査することにより、感光体1表面には走査露光パターンに対応した各色の静電潜像が順次形成されていく。
【0049】
現像装置4は、図11に示すように、現像器411a、411b、412a、412b、413、414、415に、それぞれシアントナーaを有する現像剤、シアントナーbを有する現像剤、マゼンタトナーa、マゼンタトナーbを有する現像剤、イエロートナーを有する現像剤、及び、ブラックトナーを有する現像剤が導入され、磁気ブラシ現像方式によって、静電潜像担持体としての感光体1に形成された静電潜像を現像し、各色トナー像が感光体1に形成される。これらの現像器として、図7に示すような2成分現像器は好ましい例の一つである。
【0050】
図7において、2成分現像器は矢印e方向に回転駆動される現像スリーブ30を備えており、現像スリーブ30内にはマグネットローラ31が固定配置されている。現像容器3
2には、現像剤Tを現像スリーブ30表面に薄層形成するための規制ブレード33が設置されている。
【0051】
また、現像剤容器32の内部は、隔壁36によって現像室(第1室)Rlと攪拌室(第2室)R2とに区画され、攪拌室R2の上方には、トナーホッパー34が配置されている。現像室Rlと攪拌室R2には、それぞれ搬送スクリュー37、38が設置されている。なお、トナーホッパー34には補給口35が設けられており、トナー補給時、トナーtが該補給口35を経て攪拌室R2内に落下補給される。
【0052】
一方、現像室Rl及び攪拌室R2内には、上記トナー粒子と磁性キャリア粒子が混合された現像剤Tが収容されている。
【0053】
また、現像室Rl内の現像剤Tは、搬送スクリュー37の回転駆動によって現像スリーブ30の長手方向に向けて搬送される。攪拌室R2内の現像剤Tは、搬送スクリュー38の回転駆動によって現像スリーブ30の長手方向に向けて搬送される。搬送スクリュー38による現像剤搬送方向は、搬送スクリュー37によるそれとは反対方向である。
【0054】
隔壁36には、紙面と垂直方向である手前側と奥側に開口部(不図示)がそれぞれ設けられており、搬送スクリュー37で搬送された現像剤Tがこの開口部の1つから搬送スクリュー38に受渡され、搬送スクリュー38で搬送された現像剤Tが上記開口部の他の1つから搬送スクリュー37に受渡される。トナーは磁性粒子との摩擦で、潜像を現像するための極性に帯電する。
【0055】
アルミニウムや非磁性ステンレス銅等の非磁性材からなる現像スリーブ30は、現像剤容器32の感光体1に近接する部位に設けた開口部に設けられており、矢印e方向(反時計方向)に回転してトナー及びキャリアの混合された現像剤Tを現像部Cに担持搬送する。現像スリーブ30に担持された現像剤Tの磁気ブラシは現像部Cで矢印a方向(時計方向)に回転する感光体1に接触し、静電潜像はこの現像部Cで現像される。
【0056】
現像スリーブ30には、電源(不図示)により交流電圧に直流電圧を重畳した振動バイアス電圧が印加される。潜像の暗部電位(非露光部電位)と明部電位(露光部電位)は、上記振動バイアス電位の最大値と最小値の間に位置している。これによって、現像部Cに、向きが交互に変化する交番電界が形成される。この交番電界中で、トナーとキャリアは激しく振動し、トナーが現像スリーブ30及びキャリアへの静電的拘束を振り切って潜像に対応して感光体1表面の明部に付着する。
【0057】
振動バイアス電圧の最大値と最小値の差(ピーク間電圧)は1〜5kVが好ましく、今回は2kVの矩形波、また、周波数は1〜10kHzが好ましいが、今回は2kHzとした。また、振動バイアス電圧の波形は、矩形波に限らず、サイン波、三角波等が使用できる。
【0058】
そして、上記直流電圧成分は、静電潜像の暗部電位と明部電位の間の値のものであるが絶対値で最小の明部電位よりも暗部電位の方により近い値であることが、暗部電位領域へのカブリトナーの付着を防止するうえで好ましい。今回は暗部電位−700Vに対して、明部電位−200V、現像バイアスの直流成分を−500Vとした。また、現像スリーブ30と感光体1の最小間隙(この最小間隙位置は現像部C内にある)は0.2〜1mmであることが好適であるが、今回は0.5mmとした。
【0059】
また、規制ブレード33で規制されて現像部Cに搬送される現像剤Tの量は、マグネットローラ31の現像磁極Slによる現像部Cでの磁界により形成される現像剤Tの磁気ブ
ラシの現像スリーブ30表面上での高さが、感光体1を取り去った状態で、現像スリーブ30と感光体1間の最小間隙値の1.2〜3倍となるような量であることが好ましい。今回は700μmとした。
【0060】
マグネットローラ31の現像磁極Slは、現像部Cと対向する位置に配置されており、現像磁極Slが現像部Cに形成する現像磁界により現像剤Tの磁気ブラシが形成され、この磁気ブラシが感光体1に接触してドット分布静電潜像を現像する。その際、磁性キャリアの穂(ブラシ)に付着しているトナーも、この穂ではなくスリーブ表面に付着しているトナーも、静電潜像の露光部に転移してこれを現像する。
【0061】
現像磁極Slによる現像磁界の現像スリーブ30表面上での強さ(現像スリーブ30表面に垂直な方向の磁束密度)は、そのピーク値が5×10−2(T)〜2×10−1(T)であることが好適である。また、マグネットローラ31には、上記現像磁極Slの他に、Nl、N2、N3、S2極を有している。
【0062】
ここで、感光体1表面の静電潜像を、現像装置4を用いて2成分磁気ブラシ法により顕像化する現像工程と現像剤Tの循環系について説明する。
【0063】
現像スリーブ30の回転によりN2極で汲み上げられた現像剤TはS2極からNl極と搬送され、その途中で規制ブレード33で層厚が規制され、現像剤薄層を形成する。そして、現像磁極Slの磁界中で穂立ちした現像剤Tが感光体1上の静電潜像を現像する。その後、N3極、N2極間の反発磁界により現像スリーブ30上の現像剤Tは現像室Rl内へ落下する。現像室Rl内に落下した現像剤Tは、搬送スクリュー37により攪拌搬送される。
【0064】
なお、本実施の形態において、中間転写体及び転写手段としては、一般的な材料を用いることが可能である。
【0065】
転写体5は、表面に例えばポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる転写シート5cが張設されており、感光体1に対して当接、離間自在に設置されている。転写体5は矢印方向(時計方向)に回転駆動される。転写体5内には、転写帯電器5a、分離帯電器5b等が設置されている。
【0066】
次に、上記した画像形成装置の画像形成動作について説明する。
【0067】
感光体1は、中心支軸を中心に所定の周速度(プロセススピード)で矢印a方向(反時計方向)に回転駆動され、その回転過程において一次帯電器2により、本実施の形態では負極性の一様な帯電処理を受ける。
【0068】
そして、感光体1の一様帯電面に対して露光装置(レーザ走査装置)3から出力される、画像読み取り部Bからプリンタ部A側に出力される画像信号に対応して変調されたレーザ光による走査露光Lによって、感光体1上に画像読み取り部Bにより光電読み取りされた原稿Gの画像情報に対応した各色の静電潜像が順次形成される。感光体1上に形成された静電潜像は現像装置4により、上述した2成分磁気ブラシ法によって、先ず現像器411aにより反転現像されて第1色目のトナー像として可視像化される。
【0069】
一方、感光体1上への上記トナー像の形成に同期して、給紙カセット10内に収納された紙などの転写材Pが給紙ローラ11又は12により1枚づつ給送され、レジストローラ13により所定のタイミングで転写体5に給紙され、吸着ローラ14によって転写材Pが転写体5上に静電吸着される。転写体5上に静電吸着された転写材Pは、転写体5の矢印
方向(時計方向)の回転によって感光体1と対向した位置に移動し、転写帯電器5aによって転写材Pの裏側に前記トナーと逆極性の電荷が付与されて、表面側に感光体1上のトナー像が転写される。
【0070】
この転写後、感光体1上に残留している転写残トナーはクリーニング装置6によって除去され、次のトナー像の形成に供される。
【0071】
以下、同様にして感光体1上の静電潜像が現像されて、感光体1上に形成されたシアントナーa像、シアントナーb像、マゼンタトナー像a、マゼンタトナー像b、イエロートナー像、ブラックトナー像が転写帯電器5aにより転写体5上の転写材Pに重ねて転写され、フルカラー画像が形成される。
【0072】
そして、転写材Pを分離帯電器5bによって転写体5上から分離し、分離された転写材Pは搬送ベルト8を通して定着装置9に搬送される。定着装置9に搬送された転写材Pは約200mm/sで進入、定着ローラ9a(シリコーンゴム:肉厚2.4mm、φ60mm、硬度79(ASK−C1kg荷重))と加圧ローラ9b(シリコーンゴム:肉厚1.8mm、φ60mm、硬度81(ASK−C1kg荷重))間で約160℃で加熱、70kgで加圧されて表面にフルカラー画像が定着された後、排紙ローラ15によりトレイ16上に排紙される。
【0073】
また、感光体1表面は、クリーニング装置6によって転写残トナーが除去され、更に感光体1表面は、前露光ランプ7で除電され、次の画像形成に備える。
【0074】
そして、本実施の形態においては、本番の画像出力前に画質をチェックするためにパッチ画像を図5(b)T1のように被転写材間に行う(図5(a)中T2は本番の画像)。
【0075】
まず、前述のシアンの淡トナー用に記録率50%(図12の縦軸で128/255)を潜像書き込みし、通常行う予定の現像バイアスの直流成分にて現像プロセスを行い、感光ドラム1上にトナー画像T1を形成させる。
【0076】
そして、図5(a)に示す発光部100から発生された照射光は、感光ドラム1上に形成されたパッチ画像T1によって反射され、その反射光を受光部101によって受光する。このときの反射光の光量は、CPU102を介して、出力電圧に変換される。この結果得られるL*の値が所望値でない場合には、前述の現像バイアスの直流成分を予想量変化させて本番の画像出力に備える。該予想量とは、例えば、パッチ画像による測定値と所望値の差分に相当する量である。なお、図5(a)に示す、発光部100と受光部101とCPU102とから構成されるものが画質チェック手段に相当するものである。
【0077】
また、もしも、時間的余裕がある場合には、再度感光ドラム上にパッチ画像を形成し、変化させたバイアス値が問題ないか確認することが望ましい。
【0078】
また、現像剤中のトナー含有量が低下していると判断されれば、前述のトナーホッパー34から新しいトナーを現像容器内へ補給し、トナーの残量を予め定められた所定量にすることも良い。
【0079】
なお、現像剤中のトナー含有量が低下しているか否かは、例えば、初期最適トナー含有量時に現像バイアス値と明度の関係をメモリしておき、その値と比較することによって判断することができる。
【0080】
次に、同様にシアンの濃トナーでパッチ画像を用いて画質チェックを行う。
【0081】
以上の工程を同様にマゼンタの濃淡トナーに於いても行う。
【0082】
これにより、不安定な電子写真プロセスにおいても、全階調域で粒状感のない濃淡画像出力が得ることができる。
【0083】
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、ほぼベタ状態に近い淡トナー画像とハイライト出力のように微量トナーの濃トナー画像との混在画像である、例えば図12中ではData=100である時に淡トナー記録率が100%(255/255)、濃トナー記録率が約16%(40/255)の時の重ね合わせトナー画像を、本番の画像出力前にパッチ画像として、図13のように転写体5上の被転写材Pに作成する。
【0084】
その他の構成および作用については第1の実施の形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0085】
まず、前述のシアンの淡トナー用に記録率100%(図12の縦軸で255/255)を潜像書き込みし、通常行う予定の現像バイアスの直流成分にて現像プロセスを行い、感光ドラム1上にトナー画像を形成させ、前述の説明通り、被転写材P上にトナー画像を転写させる。
【0086】
続いて、濃トナーを記録率16%で潜像書き込み、現像し、先に形成された淡トナーのパッチ画像への多重転写を行い、濃淡混在トナー画像(パッチ画像)T3を形成する。図14は、パッチ画像T3を上から見た図である。
【0087】
図13における発光部200から発生された照射光は、被転写材P上に形成されたパッチ画像T3によって反射され、その反射光を受光部201によって受光する。このときの反射光の光量は、CPU202を介して、出力電圧に変換される。この結果得られるL*の値が所望値でない場合には、濃淡両トナーの現像バイアスの直流成分を予想量変化させて本番の画像出力に備える。なお、図13中、画質チェック手段としてのセンサーは発光部200と受光部201とCPU202とを有する光センサである。
【0088】
また、もしも、時間的余裕がある場合には、再度被転写材上にパッチ画像を形成し、変化させたバイアス値が問題ないか確認してもよい。
【0089】
また、現像剤中のトナー含有量が低下していると判断されれば、前述のトナーホッパー34から新しいトナーを現像容器内へ補給し、トナーの残量を予め定められた所定量にすることも良い。
【0090】
以上の工程を同様にマゼンタの濃淡トナーに於いても行う。
【0091】
これにより、不安定な電子写真プロセスにおいても、全階調域で粒状感のない濃淡画像出力が得ることができる。
【0092】
なお、本実施の形態では転写体5上の被転写材P上にパッチ画像を形成したが、中間転写体などを用いたシステムに適用する場合には、中間転写体上にて濃淡トナー混在のパッチ画像を形成しても同様の効果を得ることができる。
【0093】
また、多重現像システムなどでは感光体上に濃淡トナー混在のパッチ画像を形成して、第1の実施の形態同様に画質のチェックを行っても同様の効果を得ることができる。
【0094】
(第3の実施の形態)
第2の実施の形態のように濃淡トナー混在のパッチ画像を用いて画質のチェックを行うと、濃トナーの量を変えたらいいのか、淡トナーの量を変えたらいいのかが判別できない場合がある。
【0095】
そこで、本実施の形態では、転写体上の被転写材P上に先に形成された淡トナーのみのパッチ画像の画質チェックを行い、その後濃トナーが多重転写された後の濃淡トナー混在のパッチ画像の画質チェックを行う。あるいは、淡トナーのパッチ画像を大きめに形成しておき、多重転写する濃トナーのパッチを小さめにして、淡トナーパッチの一部のみに濃淡トナー混在のパッチ画像を形成し、淡トナーのパッチ画像部と濃淡トナー混在のパッチ画像部の両方を用いて画質チェックを行う。
【0096】
また、第1の実施の形態のように濃淡個別のパッチ画像を感光ドラム上に形成して画質チェックを行った後に、本実施の形態のように転写体上の被転写材P上のパッチ画像の画質をチェックすることによって、濃淡、個別の転写効率のデータが予測でき、転写バイアスの適正化ができる。そして、転写プロセスにおいて転写バイアスを制御することで、転写時の粒状性悪化を抑制できるので、粒状性低減に相乗効果的に威力が発揮されるものである。
【0097】
また、定着器9を通過した後に本当の濃度や明度、色、光沢が現れるので、より正確なフィードバックをするためには、やはり定着後の被転写材上の濃淡トナー混在のパッチ画像からデータを収集する方が好ましい。
【0098】
そして、そのデータから、現像器4や転写装置5などの条件だけではなく、定着装置の条件を変えて適正化することも粒状性向上につながる。
【0099】
そして、このように潜像プロセス、現像プロセス、転写プロセス、定着プロセス全てにおいて、パッチ画像の照合結果に基づいて被転写材に転写される画像の画質を調整する手段を有する場合、どのプロセスの最適化を行えば所望の明度になるかを判断する手法としては、例えば、プロセスの上流から、まず潜像プロセスにおいて最適化を行い、それでも改善されない場合は、現像バイアスの値を変える等現像プロセスの最適化を転写前の感光ドラム上のパッチ画像を用いて行い、次に転写プロセス、定着プロセスと最適化することにより行なうことができる。
【0100】
最後に本実施の形態を適用した場合の測定結果について説明する。
【0101】
濃度レベルの異なる2種類以上のトナー種を、マゼンタ・淡トナーとマゼンタ・濃トナーについて、同一着色剤で含有量の差により濃度レベルの異なるトナーを作製した。
【0102】
<マゼンタ・濃トナー>
ポリエステル樹脂(100重量部) / C.I.Pigment Red(5重量部)
<マゼンタ・淡トナー>
ポリエステル樹脂(100重量部) / C.I.Pigment Red(1重量部)
上記原料をヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押し出し式混練機により溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて1〜2mm程度に粗粉砕した。
【0103】
次いで、エアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。得られた微粉砕物を分級し、重量平均粒子5.6μmのマゼンタ・濃トナー、マゼンタ・淡トナーの各粒子を得た。
【0104】
以上のトナーを用いて、前述の装置にて図12のようなData vs 記録率のテーブルを作成し(図12はあくまで説明用で、実際に使用したものではない)、定着後のパッチ画像の画質をチェックすることによって、Data vs記録率テーブルの最適化、現像剤中のトナー濃度の最適化、現像バイアスの最適化、転写バイアスの最適化、定着条件の最適化などのフィードバック制御によって行った。その時のマゼンタの濃トナーのパッチ画像(M)、淡トナーのパッチ画像(LM)、濃淡トナー混在のパッチ画像(LM+M)のData(Din)に対する各L*の階調特性の結果を図15に示す。
【0105】
図15に示すように、全階調に渡って明度が略線形に変形しており、濃トナーと淡トナーとが混在する中濃度領域でも粒状感は良好に保たれることがわかる。
【0106】
これに対して、図16,図17,図18は上述の実施の形態で述べた画質調整をしなった場合に生じたトラブルの例である。
【0107】
図16の場合は、濃トナー現像器の現像バイアスが最適化されていなかったために、濃トナーの現像量が多すぎて、濃トナーが入り始める中間調域でいわゆる「トーンジャンプ」が生じてしまった。しかも、その大きさが明度差13程度と大きいので、自然画の出力時には、特に画質を劣化させてしまう。
【0108】
図17の場合は、淡トナー現像器の現像バイアスが最適化されていなかったために、淡トナーの現像量が多すぎて、濃トナーが入り始める中間調域でいわゆる「トーンジャンプ」が生じてしまった。その明度差は6程度である。濃淡トナーで、淡トナーがほとんどベタで少量の濃トナーが載る場合の明度差は10以下で軽減され、5以下ならば問題ないレベルであることが確認されたことから、図16の場合よりも画質は改善されているが、5以下に抑えるのが望ましい。
【0109】
図18は、やはり、濃トナーの現像器中のトナー濃度が適正値より少なくなっている状態でData vs 記録率テーブルの最適化が出来ていないため、濃トナーへのつなぎ目のところで、Dataの増加に伴って明度が単調減少しておらず(濃度が下がり)、そのあと、各トナー濃度が合っていない状態でのData vs 記録率テーブルを使用したため、明度の山谷が出来てしまい、出力した自然画像には大きな擬似輪郭が生じてしまった。このような明度の山谷は最も避けなければいけない現象だが、変動しやすい電子写真装置への濃淡トナーシステムを無理矢理使用するととても出やすい。
【0110】
そこで、入力データDinで階調を変化させる場合、前記入力データを最小値から最大値まで変化させる時(全入力データ)、
Din1<Din2ならば前記パッチ画像の明度L*が、
L*(Din1)>L*(Din2)
を満足し、かつ、全入力データに渡って(特に、濃トナーが初めて淡トナーに混在した時に)、全入力データ数の2%のデータ数に対する明度変化ΔL*が10以内、好ましくは5以内の画像レベルを確保するために上述の画質チェック手段を用いて画質をつぶさにチェックすることが重要である。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】実施の形態で用いるL*a*b*表色系の立体概念図を示したものである。
【図2】実施の形態で用いる色相と彩度、色相角度の平面概念図を示したものである。
【図3】実施の形態に係るトナーの色相曲線の一例を示す図である。
【図4】実施の形態に係るトナーの彩度、明度曲線の一例を示す図である。
【図5】(a)は、第1の実施の形態に係る感光体上パッチ画像読みとり用光センサの構成を示す図であり、(b)は、感光ドラム上の非画像領域にパッチ画像を形成した様子を示す図である。
【図6】第1の実施の形態に好適な淡色シアントナー、濃色シアントナー、淡色マゼンタトナー、濃色マゼンタトナー、イエロートナー、及び、ブラックトナーを有しているフルカラー画像形成用のレーザービーム複写機(プリンターとしても使用可)の構成を示す縦断面図である。
【図7】二成分現像器の構成を示す縦断面図である。
【図8】画像処理を示すブロック図である。
【図9】画像信号の色空間を標準色空間に変換するためのマトリックスを示す図である。
【図10】実施の形態に係るレーザー露光光学系を示す図である。
【図11】実施の形態に係る現像装置を示す概略構成図である。
【図12】実施の形態に係る淡トナーと濃トナーとによる記録率と入力データとの関係を示す図である。
【図13】第2の実施の形態に係る転写体上パッチ画像読みとり用光センサの構成を示す図である。
【図14】第2の実施の形態に係る濃淡トナー混在画像パッチを上から見た図である。
【図15】本発明に係る実施の形態を適用した場合のマゼンタの濃トナーパッチ画像(M)、淡トナーパッチ画像(LM)、濃淡トナー混在パッチ画像(LM+M)のData(Din)に対する各L*の階調特性の結果例である。
【図16】本発明を適用しなかった場合の濃淡トナー混在パッチ画像(LM+M)のData(Din)に対する各L*の階調特性の結果例である。
【図17】本発明を適用しなかった場合の濃淡トナー混在パッチ画像(LM+M)のData(Din)に対する各L*の階調特性の結果例である。
【図18】本発明を適用しなかった場合の濃淡トナー混在パッチ画像(LM+M)のData(Din)に対する各L*の階調特性の結果例である。
【符号の説明】
【0112】
1 感光体(像担持体)
2 帯電器
3 露光装置
4 現像装置
411 シアントナーを有する現像剤
412 マゼンタトナーを有する現像剤
413 イエロートナーを有する現像剤
414 ブラックトナーを有する現像剤
5 転写体
6 クリーニング装置
100,200 発光部
101,201 受光部
102,202 CPU
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に形成された静電潜像を現像化する複数色のトナーを備え、
前記複数色のうち少なくとも1色については淡トナーと濃トナーとによるトナー像を形成する画像形成装置において、
淡トナーと濃トナーとはそれぞれ別の現像器によって現像が行われ、
パッチ画像を用いて画像の画質をチェックする画質チェック手段を備え、パッチ画像は、淡トナーのみのパッチ画像と、淡トナーと濃トナーとが混在するパッチ画像と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
淡トナーと濃トナーとによるトナー像を形成する場合、前記像担持体には淡トナー用の潜像と濃トナー用の潜像とが形成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画質チェック手段は、前記像担持体上に形成されたパッチ画像の画質をチェックすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像担持体上の画像が転写され、被転写材上に該画像を転写する中間転写体を備え、前記画質チェック手段は、該中間転写体上に形成されたパッチ画像の画質をチェックすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画質チェック手段は、被転写材に形成されたパッチ画像の画質をチェックすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画質チェック手段は、被転写材に形成された定着後のパッチ画像の画質をチェックすることを特徴とする請求項5に記載の電子写真装置。
【請求項7】
前記画質チェック手段の照合結果に基づき、被転写材に転写される画像の画質を調整する画質調整手段を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画質調整手段は、前記照合結果が所望値でない場合、階調とトナーの割合の関係を示す所定のデータに基づき定められた淡トナーと濃トナーとの割合で画像を出力するように画質を調整することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画質調整手段は、前記照合結果が所望値でない場合、前記トナーを収容する現像手段内のトナーの残量を所定量にすることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画質チェック手段の照合結果に基づき、被転写材に転写される画像の画質を調整する画質調整手段を備え、
該画質調整手段は、
前記像担持体に潜像を形成する潜像プロセス、および前記潜像をトナー像として可視像化する現像プロセス、および前記トナー像を被転写材に転写する転写プロセス、および前記被転写材に転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着プロセスの少なくともいずれかで画質の調整が実施されるように備えられていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項11】
入力データDinを最小値から最大値まで変化させる時、Dinの任意の値をDin1、Din2とすると、
Din1<Din2ならば前記パッチ画像の明度L*が、
L*(Din1)>L*(Din2)
を満足し、かつ、全入力データ数の2%のデータ数に対する明度L*の変化が10以内となる画質を確保するように、
前記画質チェック手段と、
前記画質調整手段と、を備えることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
淡トナーと濃トナーとによるトナー像を形成する場合、淡トナー像と濃トナー像は順次重ねて転写されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記複数色のうち少なくとも1色についてトナー像を形成する場合、画像入力データが所定値までは淡トナーのみによってトナー像を形成し、画像入力データが所定値を超えたら淡トナーと濃トナーとを混在させてトナー像を形成することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
像担持体上に形成された静電潜像を現像化する複数色のトナーを備え、
前記複数色のうち少なくとも1色については淡トナーと濃トナーとによるトナー像を形成する画像形成装置において、
淡トナーと濃トナーとはそれぞれ別の現像器によって現像が行われ、
パッチ画像を用いて画像の画質をチェックする画質チェック手段を備え、パッチ画像は、淡トナーのみのパッチ画像と、淡トナーと濃トナーとが混在するパッチ画像と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
淡トナーと濃トナーとによるトナー像を形成する場合、前記像担持体には淡トナー用の潜像と濃トナー用の潜像とが形成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画質チェック手段は、前記像担持体上に形成されたパッチ画像の画質をチェックすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像担持体上の画像が転写され、被転写材上に該画像を転写する中間転写体を備え、前記画質チェック手段は、該中間転写体上に形成されたパッチ画像の画質をチェックすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画質チェック手段は、被転写材に形成されたパッチ画像の画質をチェックすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画質チェック手段は、被転写材に形成された定着後のパッチ画像の画質をチェックすることを特徴とする請求項5に記載の電子写真装置。
【請求項7】
前記画質チェック手段の照合結果に基づき、被転写材に転写される画像の画質を調整する画質調整手段を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画質調整手段は、前記照合結果が所望値でない場合、階調とトナーの割合の関係を示す所定のデータに基づき定められた淡トナーと濃トナーとの割合で画像を出力するように画質を調整することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画質調整手段は、前記照合結果が所望値でない場合、前記トナーを収容する現像手段内のトナーの残量を所定量にすることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画質チェック手段の照合結果に基づき、被転写材に転写される画像の画質を調整する画質調整手段を備え、
該画質調整手段は、
前記像担持体に潜像を形成する潜像プロセス、および前記潜像をトナー像として可視像化する現像プロセス、および前記トナー像を被転写材に転写する転写プロセス、および前記被転写材に転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着プロセスの少なくともいずれかで画質の調整が実施されるように備えられていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項11】
入力データDinを最小値から最大値まで変化させる時、Dinの任意の値をDin1、Din2とすると、
Din1<Din2ならば前記パッチ画像の明度L*が、
L*(Din1)>L*(Din2)
を満足し、かつ、全入力データ数の2%のデータ数に対する明度L*の変化が10以内となる画質を確保するように、
前記画質チェック手段と、
前記画質調整手段と、を備えることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
淡トナーと濃トナーとによるトナー像を形成する場合、淡トナー像と濃トナー像は順次重ねて転写されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記複数色のうち少なくとも1色についてトナー像を形成する場合、画像入力データが所定値までは淡トナーのみによってトナー像を形成し、画像入力データが所定値を超えたら淡トナーと濃トナーとを混在させてトナー像を形成することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−65346(P2006−65346A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301882(P2005−301882)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【分割の表示】特願2002−251111(P2002−251111)の分割
【原出願日】平成14年8月29日(2002.8.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【分割の表示】特願2002−251111(P2002−251111)の分割
【原出願日】平成14年8月29日(2002.8.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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