説明

粘着テープの貼着装置及び貼着方法

【課題】この発明は所定長さに切断された粘着テープの切断部の頭出し精度が低下するのを防止した粘着テープの貼着装置を提供することにある。
【解決手段】離型テープの供給リール11と、供給リールから離型テープを所定の長さずつ間欠的に引き出して走行させる送り機構20と、送り機構によって引き出されて走行する離型テープに貼着された粘着テープを所定の長さに切断する切断機構31と、切断機構によって切断されて貼着位置に位置決めされた所定の長さの粘着テープを貼着位置で待機するTCPに加圧加熱して貼着する加圧ツール48と、離型テープの走行方向の送り機構よりも上流側で、貼着手段よりも下流側において離型テープに残留する粘着テープを除去する残留物除去手段53を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば液晶表示パネルなどの基板に電子部品を粘着テープによって実装する場合に、上記粘着テープを所定の長さに切断して上記電子部品に貼着する粘着テープの貼着装置及び貼着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の側辺部に電子部品としてのTCP(Tape Carrier Package)を実装する場合、異方性導電部材からなる粘着テープ(ACF)を用いて実装するということが行われる。その場合、上記粘着テープを基板の側辺部に予め貼着しておき、その側辺部に複数のTCPを所定間隔で実装するということが行われている。
【0003】
しかしながら、基板の側辺部に粘着テープを貼着してから複数のTCPを所定間隔で貼着するようにすると、粘着テープの隣り合うTCP間に位置する部分が無駄になるということがある。
【0004】
そこで、粘着テープをTCPの幅寸法とほぼ同じ長さ寸法に切断し、その粘着テープをTCPに貼着する。そして、複数のTCPを基板の側辺部に所定間隔で実装することで、粘着テープに無駄が生じないようにするということが行われている。
【0005】
TCPに所定の長さに切断された粘着テープを貼着する貼着装置は供給部としての供給リールを有する。この供給リールには上記粘着テープが貼着された離型テープが巻装されている。粘着テープが貼着された離型テープは上記供給リールから引き出され、ガイドローラにガイドされて搬送チャックなどからなる搬送機構によって所定の長さずつ間欠的に走行させられる。
【0006】
上記供給リールから離型テープとともに所定の長さずつ間欠的に引き出された粘着テープは切断機構によってTCPの幅寸法と対応する長さ寸法に切断される。上記離型テープの搬送経路には貼着手段が設けられ、この貼着手段に対応する位置である、貼着位置には上記TCPが位置決めされて待機している。
【0007】
TCPの幅寸法と対応する長さ寸法に切断された上記粘着テープが上記TCPの上記貼着位置まで搬送されてくると、離型テープを介して上記粘着テープが加圧ツールによって加熱されながら押し上げられて上記TCPに貼着される。
【0008】
TCPに粘着テープが貼着されると、その粘着テープから離型テープが剥離される。剥離後、離型テープは上記送り機構によって所定長さずつ走行させられることで、上記切断機構によって所定長さに切断された粘着テープが粘着位置に順次位置決めされ、その粘着テープがTCPに貼着されるということが繰り返して行われる。
【0009】
上記粘着テープを所定長さずつ間欠的に送ることで走行させる送り機構としては、上記粘着位置よりも離型テープの走行方向の下流側に配置された上述した一対の搬送チャックが用いられる。一対の搬送チャックは所定間隔で離間し、かつ上記離型テープの搬送方向の下流側に設けられた一方の搬送チャックが往復駆動されるようになっている。
【0010】
そして、一方の搬送チャックによって離型テープを挟持し、他方の搬送チャックが離型テープを開放した状態で、一方の搬送チャックが離型テープの走行方向に駆動されることで、離型テープを所定長さ走行させる。
【0011】
ついで、他方の搬送チャックによって離型テープを挟持させたならば、一方の搬送チャックによる離型テープの挟持状態を開放し、この一方の搬送チャックが元の位置に戻る、という動作を繰り返すことで、上記離型テープを所定長さずつ間欠的に走行させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−080874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、離型テープに貼着された粘着テープを所定長さに切断してTCPに貼着する場合、所定長さに切断される粘着テープ間に抜き取り部を設け、この抜き取り部を除去して所定長さに切断された粘着テープ間に間隔を形成するようにしている。それによって、所定長さに切断された粘着テープだけをTCPに確実に押圧して貼着できるようにしている。
【0014】
しかしながら、粘着テープを所定長さに切断し、所定長さに切断された粘着テープ間の抜き取り部を除去するようにすると、抜き取り部を形成する際に粘着テープの一部が離型テープに残留し、その状態で離型テープが送り機構まで送られるということがある。
【0015】
粘着テープが残留した離型テープが送り機構に送られ、送り機構の一対の搬送チャックによる離型テープの挟持と開放が繰り返されて離型テープが走行させられると、残留した粘着テープによって離型テープが搬送チャックに粘着して絡み、離型テープを確実に走行させることができなくなるということが生じる。
【0016】
また、供給リールを新たに交換したり、実装装置の運転を再開したときなどには所定長さに切断された粘着テープが貼着位置でTCPに貼着されずに離型テープが搬送チャックのところへ送られてくるということがある。そのような場合、離型テープに残留した粘着テープがチャックに絡み付き、離型テープの搬送が行えなくなるということもある。
【0017】
この発明は、粘着テープが残留した状態の離型テープが送り機構に送られてくることがないようにした粘着テープの貼着装置及び貼着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は、離型テープに貼着されて所定長さに切断された粘着テープを電子部品に貼着する粘着テープの貼着装置であって、
上記離型テープの供給部と、
この供給部から上記離型テープを所定の長さずつ間欠的に引き出して走行させる送り機構と、
この送り機構によって引き出されて走行する上記離型テープに貼着された粘着テープを上記所定の長さに切断する切断機構と、
この切断機構によって切断されて貼着位置に位置決めされた上記所定の長さの粘着テープを上記貼着位置で待機する上記電子部品に加圧加熱して貼着する貼着手段と、
上記離型テープの走行方向の上記送り機構よりも上流側で、上記貼着手段よりも下流側において上記離型テープに残留する粘着テープを除去する残留物除去手段と
を具備したことを特徴とする粘着テープの貼着装置にある。
【0019】
上記残留物除去手段は、上記送り機構によって走行させられる上記離型テープの上記粘着テープが貼着されていた面に接触してその面に残留する粘着テープを除去する除去テープであることが好ましい。
【0020】
上記除去テープは上記離型テープの走行に同期して走行することが好ましい。
【0021】
上記除去テープは供給リールに巻装されて巻き取りリールに巻き取られて走行するようになっていて、上記供給リールと巻き取りリールの間には上記除去テープを押圧して上記離型テープに接触させる押圧手段が設けられていることが好ましい。
【0022】
上記除去テープが上記押圧手段に押圧されて上記離型テープに接触する位置よりも上記離型テープの走行方向の上流側で、上記貼着手段よりも下流側には、上記離型テープに粘着テープが残留するか否かを検出するセンサが設けられていて、
上記押圧手段は上記センサが上記離型テープに残留する粘着テープを検出したときに、その検出に基いて作動して上記除去テープを上記離型テープに接触させることが好ましい。
【0023】
この発明は、離型テープに貼着されて所定長さに切断された粘着テープを電子部品に貼着する粘着テープの貼着方法であって、
上記離型テープを送り機構によって所定長さずつ間欠的に引き出して走行させる工程と、
上記送り機構によって引き出されて走行する上記離型テープに貼着された粘着テープを上記所定の長さに切断する工程と、
所定の長さに切断されて上記送り機構よりも上記離型テープの走行方向の上流側の貼着位置に位置決めされた上記粘着テープを上記貼着位置で待機する上記電子部品に加圧加熱して貼着する工程と、
所定長さに切断された粘着テープが上記電子部品に貼着される上記貼着位置よりも離型テープの走行方向の下流側であって、上記送り機構よりも上流側において、上記離型テープに残留する粘着テープを除去する工程と
を具備したことを特徴とする粘着テープの貼着方法にある。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、所定長さに切断された粘着テープが電子部品に貼着される貼着位置よりも離型テープの走行方向の下流側であって、この離型テープを走行させる送り機構よりも上流側において、上記離型テープに残留する粘着テープを除去するようにした。
【0025】
そのため、粘着テープが残留した離型テープが送り機構に到達するのを防ぐことができるから、離型テープが送り機構に付着して絡み、離型テープの走行が円滑に行えなくなるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示す貼着装置の構成図。
【図2】粘着テープに切断線を入れる切断機構と、切断線によって形成された抜き取り部を除去する抜き取り機構を示す側面図。
【図3】制御系統のブロック図。
【図4】この発明の第2の実施の形態を示す残留物除去手段及びその上流側に設けられたセンサを示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1乃至図3はこの発明の第1の実施の形態を示し、図1に示す粘着テープの貼着装置は供給部としての供給リール11を備えている。この供給リール11には図2に示すように一側面に粘着テープ12が貼着された離型テープ13が巻装されている。粘着テープ12は両面が粘着性を有する熱硬化性の樹脂に金属微粒子を混入した異方性導電部材であって、上記離型テープ13は合成樹脂によって粘着テープ12と同じ形状のテープ状に形成されている。
【0028】
上記離型テープ13は、上記供給リール11から粘着テープ12とともに下方に向かって引き出され、ウエイト14を有するダンサローラ15に係合して張力が与えられるよう上方に向かって方向変換される。
【0029】
そして、水平方向に所定間隔で離間した一対のガイドローラ16a,16bに係合し、粘着テープ12が貼着された面を上に向けて水平に走行するようになっている。なお、上記ダンサローラ15は図示しないガイドに沿って上下方向に移動可能に設けられている。
【0030】
上記離型テープ13は、水平に走行した状態から搬送方向下流側のガイドローラ16bによって走行方向が下方に変換され、その部分は保持チャック17及び送りチャック18の開閉駆動される一対の挟持片17a,18a間に順次通されて回収槽19に回収されるようになっている。上記保持チャック17と送りチャック18は送り機構20を構成している。
【0031】
上記保持チャック17はシリンダなどの第1の開閉駆動源22によって開閉駆動され、上記送りチャック18はシリンダなどの第2の開閉駆動源23によって開閉駆動されるとともにシリンダなどの上下駆動源24によって第2の開閉駆動源23と一体的に上下方向に所定のストロークで駆動されるようになっている。
【0032】
上記第1の開閉駆動源22、第2の開閉駆動源23及び上下駆動源24は図3に示す制御装置25によって駆動が制御される。すなわち、保持チャック17が開放されているとき、第2の開閉駆動源23によって送りチャック18が閉じられて離型テープ13を挟持し、その状態で上下駆動源24によって送りチャック18が所定のストロークで下方へ駆動される。このときの送りチャック18の移動方向を図1に矢印で示す。
【0033】
それによって、離型テープ13は上記ダンサローラ15によって付与された張力に抗して上記送りチャック18により、そのストロークに応じた所定の長さで送られる。離型テープ13の送り方向、つまり走行方向を図1に矢印Xで示す。
【0034】
上記送りチャック18によって離型テープ13が送られると、上記保持チャック17が第1の開閉駆動源22によって閉じられて離型テープ13が保持される。ついで、送りチャック18が開放されて上昇位置まで駆動された後、閉方向に駆動されて離型テープ13を挟持する。それと同時に、保持チャック17が開いて送りチャック18が上下駆動源24によって図1に矢印で示す下降方向に駆動されて離型テープ13を所定の長さで送るということが繰り返して行われる。
【0035】
上記離型テープ13が上記ダンサローラ15によって垂直方向上方に方向変換された部分には、その離型テープ13の粘着テープ12が貼着された一側面と反対側の他側面に帯板状の支持部材27が設けられている。上記離型テープ13は上記支持部材27の板面に沿って走行するようになっている。
【0036】
上記粘着テープ12の上記支持部材27に対向する部位には、図2に示すように離型テープ13に貼着された粘着テープ12に一対の切断線28aを形成し、この切断線28aによって上記粘着テープ12に抜き取り部28bを形成する切断機構31が設けられている。
【0037】
上記切断機構31は、軸線を上記離型テープ13の側面に対して直交する状態で配置された駆動源としての切断用シリンダ32と、この切断用シリンダ32のロッド32aに連結された台座33に所定の間隔で設けられた一対の切断刃34によって構成されている。
【0038】
上記切断用シリンダ32によって切断刃34が図2に矢印Sで示すように離型テープ13に貼着された粘着テープ12に向かって駆動されると、この粘着テープ12に一対の切断刃34によって一対の上記切断線28aが形成される。つまり、粘着テープ12に抜き取り部28bが形成される。
【0039】
粘着テープ12に抜き取り部28bが形成されると、離型テープ13は上記送り機構20の送りチャック18のストロークに対応するピッチP(図2に示す)で間欠的に搬送される。それによって、上記粘着テープ12に上記切断機構31によって形成された抜き取り部28bが抜き取り機構36に対向位置する。
【0040】
上記抜き取り機構36は、駆動源としての抜き取り用シリンダ37を有し、この抜き取り用シリンダ37のロッド37aには台座38が設けられている。この台座38には押圧部38aが設けられ、この押圧部38aの先端面には供給リールから繰り出されて巻取りリール(ともに図示せず)に巻き取られて走行する貼着テープ39が張設されている。
【0041】
上記抜き取り用シリンダ37が作動して上記貼着テープ39が上記押圧部38aによって上記粘着テープ12に形成された抜き取り部28bに押圧されると、その抜き取り部28bが上記貼着テープ39に貼着されて除去されるようになっている。
【0042】
なお、図3に示すように上記切断用シリンダ32と抜き取り用シリンダ37との作動、つまり各シリンダ32,37に対する図示しない制御弁を介しての圧縮空気の供給・排出は上記制御装置25によって行われる。
【0043】
このように、粘着テープ12に切断機構31によって所定のピッチPで形成された抜き取り部28bを、上記抜き取り機構36の貼着テープ39によって貼着除去すれば、上記粘着テープ12は所定の長さの切断部12aに分断されることになる。この切断部12aは後述する電子部品としてのTCP42の幅寸法とほぼ同じ長さに設定される。
【0044】
なお、上記上下駆動源24によって駆動される上記送りチャック18のストロークは変更可能となっている。それによって、上記切断機構31で切断される粘着テープ12の切断部12aの長さをTCP42のサイズ変更などに応じて設定することができる。
【0045】
上記粘着テープ12が所定長さの切断部12aに分断されたのち、上記送り機構20による離型テープ13のピッチ送りが複数回繰り返されると、その切断部12aは上記TCP42が位置決めされて待機する貼着位置B(図1に示す)に搬送される。
【0046】
上記貼着位置Bには、この貼着位置Bに搬送された粘着テープ12の切断部12aの上方に回転テーブル44が設けられている。この回転テーブル44には周方向に所定角度で複数の保持部45が設けられている。
【0047】
各保持部45には上記TCP42の幅方向と交差する方向の一端部の上面が吸着保持され、その一端部の下面に粘着テープ12の切断部12aが貼着されるようになっている。上記保持部45に吸着保持された上記TCP42は、上記貼着位置Bに搬送されて位置決めされた上記粘着テープ12の切断部12aよりもわずかに上方に位置している。
【0048】
そして、上記回転テーブル44は、図3に示すように上記制御装置25によって制御される回転駆動源46によって所定角度ずつ回転駆動される。それによって、TCP42を吸着保持した上記保持部45が上記貼着位置Bの上方に順次位置決めるようになっている。
【0049】
図1に示すように、上記離型テープ13の下方には上記回転テーブル44と対向する位置に貼着手段47が設けられている。この貼着手段47は上記切断部12aよりもわずかに大きな平面形状の加圧ツール48を有する。この加圧ツール48は上記制御装置25によって駆動が制御される上下用シリンダ49によって上下方向に駆動されるようになっている。
【0050】
上記加圧ツール48にはヒータ50が内蔵されていて、このヒータ50によって所定の温度、つまり上記粘着テープ12をTCP42に確実に貼着することができる温度に加熱されるようになっている。なお、詳細は図示しないが、上記ヒータ50への通電も、上記制御装置25によって制御される。
【0051】
上記上下用シリンダ49が作動して上記加圧ツール48が上昇方向に駆動されると、上記貼着位置Bに位置決めされた粘着テープ12の切断部12aが離型テープ13を介して上記貼着位置Bに位置決めされた保持部45に保持されたTCP42に押圧貼着される。
【0052】
上記TCP42に上記切断部12aが貼着されると、この切断部12aから離型テープ13が図示しない離型ローラによって剥離される。ついで、上記回転テーブル44が所定角度回転駆動され、新たなTCP42が上記貼着位置Bに位置決めされる。また、粘着テープ12の切断部12aが貼着されたTCP42は保持部45から実装ツールに受け渡されて液晶表示パネルなどの基板(ともに図示せず)に実装される。
【0053】
図1に示すように、上記貼着位置Bよりも離型テープ13の走行方向の下流側で、上記送り機構20よりも上流側の位置には上記離型テープ13に残留する粘着テープ12を除去するための残留物除去手段53が設けられている。具体的には、離型テープ13を水平に走行させるようガイドした一対のガイドローラ16a,16bのうちの、上記送り機構20側に位置するガイドローラ16bと対向する位置に上記残留物除去手段53が設けられている。
【0054】
上記残留物除去手段53は固定的に配置されたベース板54を有する。このベース板54には粘着性の除去テープ55が巻装された供給リール56と、この供給リール56から繰り出された除去テープ55を巻き取る巻き取りリール57が設けられている。
【0055】
上記除去テープ55の上記供給リール56と巻き取りリール57の間に位置する部分は押圧ローラ58によって押圧されるようになっている。この押圧ローラ58は押圧シリンダ59のロッド59aの先端に回転可能に設けられ、この押圧シリンダ59が作動することで、上記除去テープ55を押圧する方向に付勢されるようになっている。この実施の携帯では、上記押圧ローラ58と押圧シリンダ59によって押圧手段を構成している。
【0056】
上記押圧ローラ58が押圧シリンダ59によって付勢されると、この押圧ローラ58によって押圧された上記除去テープ55はその粘着面が上記ガイドローラ16bの箇所で上記離型テープ13の粘着テープ12が貼着されていた上面に圧接する。
【0057】
上記巻き取りリール57は、図2と図3に示す巻き取り駆動源61によって上記送り機構20により間欠的にピッチ送りされる上記離型テープ13の走行に同期して上記除去テープ55を図1に矢印Fで示す方向に走行駆動させる。
【0058】
それによって、上記除去テープ55は上記離型テープ13の水平状態で走行する部分の上面に部分的に残留する粘着テープ12を貼着除去するようになっている。なお、上記押圧シリンダ59及び上記巻き取り駆動源61は上記制御装置25によって駆動が制御されるようになっている。
【0059】
上記残留物除去手段53の供給リール56には図示しないブレーキ機構が設けられ、このブレーキ機構によって上記供給リール56が所定のトルク以下で自由に回転するのが阻止されている。それによって、上記供給リール56が自由に回転して上記除去テープ55が繰り出されて弛むのが防止されている。
【0060】
上記構成の貼着装置によれば、離型テープ13は送り機構20によって供給リール11から所定の長さずつ間欠的に引き出され、一対のガイドローラ16a,16bによって粘着テープ12が貼着された面を上に向けて水平にガイドされて走行する。
【0061】
離型テープ13に貼着された粘着テープ12には、上流側のガイドローラ16aに到る前に、切断機構31の一対の切断刃34によって抜き取り部28bが切断形成される。そして、離型テープ13が送り機構20の送りチャック18によって所定のストロークで搬送される毎に、上記抜き取り部28bは抜き取り機構36の貼着テープ39によって除去される。それによって、離型テープ13に貼着された粘着テープ12は所定長さの切断部12aに分断される。
【0062】
このようにして、分断された粘着テープ12の切断部12aが貼着位置Bに到達すると、貼着手段47の加圧ツール48が上下用シリンダ49によって上昇方向に駆動される。それによって、粘着テープ12の切断部12aは貼着位置Bで回転テーブル44の保持部45に保持されて位置決めされたTCP42の下面に加熱されながら加圧されるから、その切断部12aが上記TCP42に貼着される。
【0063】
貼着位置Bで粘着テープ12の切断部12aがTCP42に貼着されても、離型テープ13の上面には粘着テープ12が切断機構31の一対の切断刃34によって抜き取り部28bが切断形成されたときなどに、その一部が残留物として残留していることがある。
【0064】
しかしながら、上記離型テープ13の上面には、上記貼着位置Bよりも走行方向の下流側で、上記送り機構20よりも上流側の位置で、残留物除去手段53の除去テープ55の粘着面が押圧手段としての押圧ローラ58によって押圧されて接触しながら、上記離型テープ13の走行に同期して送られている。それによって、上記離型テープ13の上面に粘着テープ12の一部が残留していても、その残留物は上記除去テープ55によって貼着除去される。
【0065】
その結果、粘着テープ12が付着残留した離型テープ13が上記残留物除去手段53よりも下流側に設けられた送り機構20に送られることがないから、離型テープ13が送り機構20の保持チャック17や送りチャック18に付着して絡まり、離型テープ13の搬送が円滑に行えなくなるのを防止することができる。
【0066】
しかも、上記除去テープ55が離型テープ13の上面に常時接触しながら、離型テープ13の走行に同期して送られることによっても、離型テープ13に残留する粘着テープ12の除去が確実に行われることになる。
【0067】
離型テープ13が巻装された供給リール11の交換時や運転停止後の運転再開時などには、所定長さに切断された粘着テープ12の切断部12aが貼着位置BでTCP42に貼着されずに貼着位置Bよりも下流側に送られることがある。
【0068】
そのような場合にも、離型テープ13に残留した粘着テープ12を残留物除去手段53の除去テープ55によって確実に貼着除去することができるから、離型テープ13が送り機構20の保持チャック17や送りチャック18に付着して絡まり、離型テープ13の搬送が円滑に行えなくなるのを防止することができる。
【0069】
図4はこの発明の第2の実施の形態を示す。なお、第1の実施の形態と同一部分には同一記号を付して説明を省略する。第2の実施の形態では、残留物除去手段53よりも離型テープ13の走行方向の上流側で、TCP42に粘着テープ12を貼着する貼着位置Bよりも下流側の位置に、離型テープ13に粘着テープ12が残留しているか否かを検出する、たとえば反射型光センサなどのセンサ63が設けられている。
【0070】
上記センサ63の検出信号は図3に示す制御装置25に出力される。上記センサ63が離型テープ13に残留する粘着テープ12を検出し、その検出位置、つまり離型テープ13の粘着テープ12が残留する部分が上記残留物除去手段53の押圧ローラ58に近づいたとき、上記制御装置25は上記押圧シリンダ59を作動させる。
【0071】
それによって、上記押圧ローラ58は実線で示す上昇位置から鎖線で示す下降位置へ駆動され、除去テープ55を鎖線で示すように離型テープ13の上面に圧接させる。それと同時に、上記巻き取り駆動源61を作動させて除去テープ55を離型テープ13の走行に同期させて所定の長さ、つまりセンサ63が検出した離型テープ13に残留する残留物の長さに対応する長さ、或いはその長さよりも離型テープ13の走行方向に対して上記残留物の前後に所定長さだけ長く走行させる。
【0072】
それによって、離型テープ13の上面に残留する残留物である粘着テープ12を上記除去テープ55によって確実に除去することができる。しかも、除去テープ55は離型テープ13から粘着テープ12を除去するときだけ巻き取りリール57に巻き取られて走行するから、除去テープ55の使用長さが低減され、ランニングコストを低く抑えることが可能となる。
【0073】
上述した実施の形態では所定の長さに切断された粘着テープをTCPに実装する場合を例に挙げて説明したが、上記粘着テープを上記TCPが実装される基板に貼着する場合であっても、この発明を適用することができる。つまり、電子部品はTCPに限られず、TCPが実装される基板であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
11…供給リール(供給部)、12…粘着テープ、13…離型テープ、17…保持チャック、18…送りチャック、20…送り機構、25…制御装置、31…切断機構、36…抜き取り機構、42…TCP(電子部品)、47…貼着手段、48…加圧ツール(貼着手段)、49…上下用シリンダ(貼着手段)、53…残留物除去手段、55…除去テープ、56…供給リール、57…巻き取りリール、58…押圧ローラ(押圧手段)、59…押圧シリンダ(押圧手段)、61…巻き取り駆動源、63…センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型テープに貼着されて所定長さに切断された粘着テープを電子部品に貼着する粘着テープの貼着装置であって、
上記離型テープの供給部と、
この供給部から上記離型テープを所定の長さずつ間欠的に引き出して走行させる送り機構と、
この送り機構によって引き出されて走行する上記離型テープに貼着された粘着テープを上記所定の長さに切断する切断機構と、
この切断機構によって切断されて貼着位置に位置決めされた上記所定の長さの粘着テープを上記貼着位置で待機する上記電子部品に加圧加熱して貼着する貼着手段と、
上記離型テープの走行方向の上記送り機構よりも上流側で、上記貼着手段よりも下流側において上記離型テープに残留する粘着テープを除去する残留物除去手段と
を具備したことを特徴とする粘着テープの貼着装置。
【請求項2】
上記残留物除去手段は、上記送り機構によって走行させられる上記離型テープの上記粘着テープが貼着されていた面に接触してその面に残留する粘着テープを除去する除去テープであることを特徴とする請求項1記載の粘着テープの貼着装置。
【請求項3】
上記除去テープは上記離型テープの走行に同期して走行することを特徴とする請求項2記載の粘着テープの貼着装置。
【請求項4】
上記除去テープは供給リールに巻装されて巻き取りリールに巻き取られて走行するようになっていて、上記供給リールと巻き取りリールの間には上記除去テープを押圧して上記離型テープに接触させる押圧手段が設けられていることを特徴とする請求項2記載の粘着テープの貼着装置。
【請求項5】
上記除去テープが上記押圧手段に押圧されて上記離型テープに接触する位置よりも上記離型テープの走行方向の上流側で、上記貼着手段よりも下流側には、上記離型テープに粘着テープが残留するか否かを検出するセンサが設けられていて、
上記押圧手段は上記センサが上記離型テープに残留する粘着テープを検出したときに、その検出に基いて作動して上記除去テープを上記離型テープに接触させることを特徴とする請求項4記載の粘着テープの貼着装置。
【請求項6】
離型テープに貼着されて所定長さに切断された粘着テープを電子部品に貼着する粘着テープの貼着方法であって、
上記離型テープを送り機構によって所定長さずつ間欠的に引き出して走行させる工程と、
上記送り機構によって引き出されて走行する上記離型テープに貼着された粘着テープを上記所定の長さに切断する工程と、
所定の長さに切断されて上記送り機構よりも上記離型テープの走行方向の上流側の貼着位置に位置決めされた上記粘着テープを上記貼着位置で待機する上記電子部品に加圧加熱して貼着する工程と、
所定長さに切断された粘着テープが上記電子部品に貼着される上記貼着位置よりも離型テープの走行方向の下流側であって、この離型テープを走行させる上記送り機構よりも上流側において、上記離型テープに残留する粘着テープを除去する工程と
を具備したことを特徴とする粘着テープの貼着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−209395(P2012−209395A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73213(P2011−73213)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】