説明

縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルおよび製造方法

半導体基板上に、少なくとも1つのビットを記憶する縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルを備え、基板上に、トレンチと、第1の活性領域と、第2の活性領域と、トレンチの側壁に沿って延びるチャネル領域とを含み、このトレンチは、第1の方向に延びる長さと、それに垂直な第2の方向に延びる幅を有し、トンネル酸化物によって側壁が覆われており、少なくとも1つの浮遊ゲートおよび制御ゲートのゲート・スタックを含み、制御ゲートがトレンチの底部まで延び、第1の浮遊ゲートが、制御ゲートと共に第1のスタックを形成するようにトレンチの左壁に位置するとともに、第2の浮遊ゲートが、制御ゲートと共に第2のスタックを形成するようにトレンチの右壁に位置する半導体デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の、少なくとも1つのビットを記憶する縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルを備える半導体デバイスに関する。本発明はまた、少なくとも1つのそのような縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルを含むアレイに関する。さらに、本発明は、そのような縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルを備える半導体デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的消去可能読出し専用メモリ・セル(EEPROM)である、縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルが、米国特許第6,087,222号から周知である。従来技術によるこのEEPROMセルは、半導体基板中に、浮遊ゲートおよび該浮遊ゲート上面の制御ゲートからなるゲート構造を収容したトレンチを含む。この縦型不揮発性メモリ・セルでは、浮遊ゲートがトレンチ底部に位置し、制御ゲートがバイア状構造としてトレンチの上半分部分に位置する。制御ゲートは、誘電体層によって浮遊ゲートから分離されている。ソース領域およびドレイン領域がやはり、水平に配置されており、一方の型の領域がトレンチに隣接する基板表面に近い高さに位置し、他方の型の領域がトレンチ底部の下に位置している。この構成では、ソースとドレインの間のチャネルは、使用時に、トレンチの側壁に沿って垂直方向に配置される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
浮遊ゲート/制御ゲートのスタックの性質により、米国特許第6,087,222号のEEPROMセルでは、セルの電気的特性は、浮遊ゲートと制御ゲートの間の比較的低い容量結合の影響を受ける。
【0004】
さらに、バイア状構造の制御ゲートを有する縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルを形成する米国特許第6,087,222号の方法は、かなり複雑になることがあり、この理由で、0.18μmおよび0.13μmの設計ルールを使用した新世代のデバイスでは製品歩留りが低下するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、従来技術のEEPROMセルに比べて、電気的特性が改善された縦型不揮発性メモリ・セルを備える半導体デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1のプリアンブルに記載の縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルを備える半導体デバイスによって達成され、制御ゲートがトレンチの底部まで延び、第1の浮遊ゲートが制御ゲートと共に第1のゲート・スタックを形成するようにトレンチの左側壁に位置し、第2の浮遊ゲートが制御ゲートと共に第2のゲート・スタックを形成するようにトレンチの右側壁に位置することを特徴とする。
【0007】
本発明はまた、少なくとも1つの本発明によるそのような縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルを含むアレイに関する。
【0008】
本発明に従って縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セル内に浮遊ゲートおよび制御ゲートを配置することにより、不揮発性メモリ・セルの電気的特性が改善される。すなわち、浮遊ゲートと制御ゲートの間で高い結合が得られるようになる。
【0009】
本発明のもう1つの目的は、従来技術の方法ほど複雑でない縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルを備える半導体デバイスの製造方法を提供することである。
【0010】
本発明は、本発明による縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルを備える半導体デバイスの製造方法に関する。
【0011】
請求項5のプリアンブルに記載のこの方法は、ポリシリコンをトレンチ内に堆積させ、そのポリシリコンは平坦化上面を有する工程と、メモリ・セルを第2の方向に分離するために、スリット・マスクを用いてトレンチ内に二酸化シリコンによる分離スリットを形成する工程と、ポリシリコンをエッチバックする工程と、二酸化シリコンをエッチバックする工程と、ポリシリコンの平坦化上面に第2の方向に延びる第1のスペーサを形成するとともに、二酸化シリコン上に第1の方向に延びる第2のスペーサを形成する工程と、第1のスペーサおよび第2のスペーサをマスクとして用いて、反応性イオン・エッチング法によってポリシリコンをエッチングして、浮遊ゲートとして働くエッチングによって陥没したポリシリコン部分と、トレンチ底部の露出部分とを形成する工程と、浮遊ゲート上およびトレンチ底部の露出部分上に誘電体を形成する工程と、誘電体上に第2のポリシリコン層を堆積させる工程と、誘電体を覆ってトレンチ上面からトレンチ底部まで延びる制御ゲートとして使用される、第2のポリシリコンを平坦化させる工程とを備えることを特徴とする。
【0012】
かかる方法により、0.18μm技術さらにはより小型の設計ルールを用いた世代のデバイス用の、本発明による不揮発性メモリ・セルの構築が可能になるので有利である。
【0013】
本発明をいくつかの図面を参照して以下で説明する。それらの図面は、例示のためにすぎず、添付の特許請求の範囲で定義される保護の範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルおよびかかる縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルの製造方法を以下で説明する。この方法の範囲内で、いくつかの代替の加工工程を適用することができ、それにより縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルについていくつかの代替実施形態が得られる。まず、本発明による縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルの基本的な製造方法およびかかる縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルの第1実施形態を、かかるデバイスを製造する間の連続工程を示す図面を参照しながら説明する。各加工工程を、「PS」の後にローマ数字を付して示す。
【0015】
次に、それぞれの代替加工工程について説明するとともに、縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルの変更点を、縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルの基本の第1の実施形態と比べて論じることとする。
【0016】
しかし、本発明の真の趣旨および添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲から逸脱することなく、他の代替形態および同等の実施形態を思いつき実施できることが当業者には理解されよう。
【0017】
本発明では、メモリ・セルとして浮遊ゲートと制御ゲートのスプリット・ゲート構造を保持したトレンチ構造を含む縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルについて説明する。本発明による縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルでは、浮遊ゲートと制御ゲートの間で高い容量結合が得られ部分的に自己整合するように製造することができる。トレンチを使用することにより、横寸法を小さくしつつも、トレンチ側壁の縦方向ではチャネル長を長く維持できるという利点がある。
【0018】
図1は、本発明による不揮発性メモリ・セルの第1の工程における第1の方向での断面図を示す。図2は、本発明による不揮発性メモリ・セルの第1の工程における第2の方向での断面図を示す。図1の第1の方向は、形成されるトレンチの方向に垂直であり、図2の第2の方向は、そのトレンチに平行である。図2の断面図は、図1では破線II−IIで示されている。ここで、以下で示す断面図はすべて、このように相互に関係していることに留意されたい。
【0019】
半導体基板1上に、窒化シリコン層2を堆積させる(工程PS−I)。場合によっては、窒化シリコン層2を形成する前に、まず薄い酸化物層(図示せず)を形成してもよい。次に、窒化シリコン層2上にレジスト層3を付着させ、フォトリソグラフィ工程で第1のマスクM1によってパターン形成する(PS−II)。第1のマスクM1が、不揮発性メモリ・セル構造上に概略的に示されている。
【0020】
続いて、工程(PS−III)で、反応性イオン・エッチング(RIE)によって窒化シリコン層2をエッチングする。ここでは、パターン付きレジスト層3をマスクとして用いて、基板1中の、隣り合うトレンチ4の間にある中間基板部分1’内にトレンチ4を形成する。トレンチ4の幅には、それぞれの設計ルールで最小のフィーチャ寸法を選択することができる。一般に、0.18μmの設計ルールでは、トレンチ4の幅は400ナノメートルになる。
【0021】
図3は、本発明による不揮発性メモリ・セルの第2の工程における第1の方向での断面図を示す。図4は、本発明による不揮発性メモリ・セルの第2の工程における第2の方向での断面図である。
【0022】
パターン付きレジスト層3を剥ぎ取った後、犠牲シリコン酸化物(図示せず)を成長させる(PS−IV)。トレンチの側壁に沿ってチャネル注入部(図示せず)および閾値電圧(V)調整注入部(図示せず)を作成するために、注入工程(PS−V)を実施する。チャネルおよびV調整を得るためのこの注入工程は、基板1の上面に対して斜め入射角で行うべきである。さらに、(垂直入射角で行う)高ドーズ量注入工程(PS−VI)により、トレンチ底部でトレンチに平行して線形ドープ領域6を作成する。これは、後にソース領域として働くことになる。
【0023】
次に、HF浸液を用いたウェット・エッチングによって犠牲酸化物を除去し、トンネル酸化物5を熱的に成長させる(PS−VII)。トンネル酸化物5の厚さは、約7ナノメートルである。
【0024】
メモリ・セルの横寸法に対する酸化物5の厚さの寸法調整(scaling)は、横型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルの場合では問題になるが、本発明の縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルにおけるチャネル長は、トレンチ4の深さによって決まることになるので、この場合は問題にならない。横型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルでは、トンネル酸化物5の厚さを寸法調整できないので、制御ゲート長を縮小することができない。同様の議論が浮遊ゲート長に関してもいえる。
【0025】
この場合では、トンネル酸化物5の厚さおよびチャネルcrの長さを縮小せずに、縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルのセル(領域)寸法を縮小することができる。
【0026】
図5は、本発明による不揮発性メモリ・セルの第3の工程における第1の方向での断面図を示す。
【0027】
図6は、本発明による不揮発性メモリ・セルの第3の工程における第2の方向での断面図を示す。
【0028】
化学気相成長(CVD)法をブランケット・モードで用いて、トレンチ4にポリシリコン7を充填する(PS−VIII)。好ましくは、ポリシリコン7については、使用時のゲート空乏化現象を防止するために、その場で(in−situ)ポリシリコンをドープするか、または別の工程で(場合によっては注入により)ポリシリコンをドープすべきである。
【0029】
化学的機械研磨(CMP)法によって、CMP工程でストップ層として働くことになる、パターン付き窒化シリコン層2’の上面までポリシリコン7を研磨する(PS−IX)。
【0030】
CMPの実施後、第2のレジスト層8を堆積させ、ポリシリコン7中にスリット4’をエッチングするために、マスクM2によってパターン形成する(PS−X)。次に、RIE法を用いて、スリット4’をエッチングする(PS−XI)。スリット4’は、トレンチ4の方向に対して垂直方向に延びる。
【0031】
図7は、本発明による不揮発性メモリ・セルの第4の工程における第1の方向での断面図を示す。
【0032】
図8は、本発明による不揮発性メモリ・セルの第4の工程における第2の方向での断面図を示す。
パターン付きレジスト層8を剥ぎ取り処理によって除去する。
【0033】
次に、例えば、TEOS(オルトケイ酸テトラエチル)、HTO(高温酸化物)、またはHMP(高密度プラズマ)堆積法によって酸化物(二酸化シリコン)層9を堆積させて、スリット4’を充填する(PS−XII)。
【0034】
ストップ層としてパターン付き窒化シリコン層2’を用いて、CMPによって酸化物層9を平坦化させる(PS−XIII)。平坦化酸化物層がポリシリコン7部分同士の間にあるスリット4’を充填している。
【0035】
ポリシリコンの表面がパターン付き窒化シリコン層2’の表面よりも僅かに低く陥没するように、RIE法によってポリシリコン7部分を部分的にエッチバックする(PS−XIV)。
【0036】
同様に、陥没したポリシリコン7部分よりもいくぶん深く陥没するように、平坦化酸化物9をエッチングする(PS−XV)。
【0037】
後続の工程で、各ポリシリコン7部分に浮遊ゲートを画定するために、スペーサ10、11を形成する(PS−XVI)。
【0038】
これらのスペーサは、堆積酸化物(例えばTEOSまたはHTO)の薄い層および窒化シリコン層、または酸化物層のみ、または酸窒化物層で作成できる。スペーサ材料の選択は、構造の他の材料に対するエッチング選択性によって決まる。陥没したポリシリコンと陥没した平坦化酸化物とでそれぞれ深さが僅かに異なるため、陥没したポリシリコン7上に形成される第1のスペーサ10は、陥没した平坦化酸化物9上に形成される第2のスペーサ11よりも大きくなることに留意されたい。
この様子を図9および10を参照して以下でより詳細に説明する。
【0039】
図9は、本発明による不揮発性メモリ・セルの第5の工程における第1の方向での断面図を示す。
【0040】
図10は、本発明による不揮発性メモリ・セルの第5の工程における第2の方向での断面図を示す。
【0041】
第1のスペーサ10の寸法によって、形成される縦型浮遊ゲートの厚さが規定される。すなわち、後続のRIE工程で、第1のスペーサ10をマスクとして用いて、陥没したポリシリコン7部分に「溝」をエッチングする。第1および第2のスペーサ10、11は、RIE工程でエッチングによって除去されることになる。スペーサ10、11の除去は、RIE法の選択性により、ポリシリコン7の除去よりもゆっくりになるので、エッチングによって形成されるポリシリコン部分の形状を制御することができる。
【0042】
エッチング工程を3工程と考えるとより良く理解できよう。すなわち、スペーサ(10、11)を用いてU形ポリシリコン7’部分を形成する第1および第2の工程(PS−XVII)と、エッチングによってポリシリコン部分7”を形成する第3の工程(PS−XVIII)である。第1の工程XVIIで、スペーサ10、11を「ハード・マスク」として用いてポリシリコンのエッチングを行う。ポリシリコン中に初期溝をエッチングすると、その選択性のため、U形ポリシリコン7’が形成されることになる(図9)。次に、第2の工程で、RIE法またはウェット・エッチング法によってスペーサ10、11を除去する。最後に、第3の工程PS−XVIIIで、RIEによってエッチングしてポリシリコン部分7”を作成する(図12参照)。(第1の工程で作成した初期溝の形状は、該溝の底部がトレンチ4の底部に達するまでエッチングされている。)
「溝」内のポリシリコンは、エッチングによってすべて除去されることになる。各トレンチ内に、まったく接続していない2つの別個のポリシリコン部分が形成される。すなわち、トレンチ4の左側下部Lに1つのポリシリコン部分7”がエッチングされ、トレンチ4の右側下部Lに1つのポリシリコン部分7”がエッチングされる(図12の断面図参照)。これら2つのエッチングされたポリシリコン部分7”は、後の工程でそれぞれ浮遊ゲートを形成することになる。エッチング後、トレンチ4内に残るエッチングされたポリシリコン部分7”の高さは、実際の処理パラメータによって決まる。
【0043】
図11は、図8に示す断面図に対応する、本発明による不揮発性メモリ・セルの第5の工程における上面図を示す。
【0044】
図9、10、および11に示すように、第1のスペーサ10を形成しやすいように、浮遊ゲートのポリシリコン7の表面の高さを窒化シリコン部分2’の表面の高さよりも低くする必要があることに留意されたい。第2のスペーサ11がポリシリコン上ではなく酸化物上に形成されるように、酸化物9の表面の高さをポリシリコンの表面の高さよりも低くする必要がある。自明のように、制御ゲートを形成できるように、酸化物の表面の高さは、チャネル領域crの高さよりも高くなければならない。先ほど述べたポリシリコンのエッチング工程において、ポリシリコンを「カップ」形ポリシリコン部となるようにエッチングした結果、ポリシリコンが「カップ」の底部中央領域だけで除去されることになる。左側部分7”と右側部分7”との接続が、底部中央領域の外側で残存することがある。その場合、その不揮発性メモリ・セルは、1ビットのメモリ・セルとなる。
【0045】
図12は、本発明による不揮発性メモリ・セルの第6の工程における第1の方向での断面図を示す。
【0046】
図13は、本発明による不揮発性メモリ・セルの第6の工程における第2の方向での断面図を示す。
【0047】
インターポリ誘電体層12を堆積させる。この層は、トレンチ4と底部S上のトンネル酸化物5のエッチングされた部分7”と、陥没した平坦化酸化物9とを覆う(PS−XIX)。
【0048】
インターポリ誘電体12は、二酸化シリコン−窒化シリコン−二酸化シリコンのスタック層(ONO層)、二酸化シリコン層、酸窒化物層、高k材料、または他の適当などんな誘電体材料でもよい。
【0049】
次に、制御ゲート13を形成するために、化学気相成長(CVD)法をブランケット・モードで用いて第2のポリシリコンを堆積させる(PS−XX)。好ましくは、第2のポリシリコンについては、使用時のゲート空乏化現象を防止するために、その場でポリシリコンをドープするか、または別の工程で(場合によっては注入により)第2のポリシリコンをドープすべきである。
【0050】
第2のポリシリコンに化学的機械研磨(CMP)法を行うことにより、このCMP工程ではストップ層として働くことになる、パターン付き窒化シリコン層2’の上面まで第2のポリシリコンを研磨する(PS−XXI)。
【0051】
任意選択で、インターポリ誘電体12を堆積させる前に、HF浸液を用いて、トレンチ4の側壁上部Uにある露出領域でトンネル酸化物5を除去してもよい。その場合、インターポリ誘電体12を基板1の半導体材料上に堆積させることになる。すなわち、この場合、制御ゲート13は、チャネル領域crの露出した上部分を覆い、チャネル領域crからはインターポリ誘電体層12によってのみ分離される。
【0052】
図13に示すように、CMP工程後も、隣り合うトレンチ4内の各制御ゲート13は、ポリシリコン接続部13”によって、陥没した平坦化酸化物9上で依然として相互接続されていることに留意されたい。エッチバック法を用いて、隣り合う制御ゲート13の間のこのポリシリコン接続部13”を除去する(PS−XXII)。
【0053】
(あるいは、第2のポリシリコンを堆積させる前に、パターン付き窒化シリコン層2’を陥没した平坦化酸化物9の表面よりも低くエッチングすることによって、層2’を除去することもできる。この場合、ポリシリコン接続部13”なしでCMPを用いて制御ゲート13を形成することができる。)
分離した制御ゲート13を形成した後、基板部分1’上のパターン付き窒化シリコン層2’を除去する。ここで、制御ゲート13の頂部は、トレンチ4同士の間にある基板部分1’上にそそり立つ自立側壁13’を含むことになる。
【0054】
図14は、本発明による不揮発性メモリ・セルの第1の実施形態における第1の方向での断面図を示す。
【0055】
図15は、本発明による不揮発性メモリ・セルの第1の実施形態における第2の方向での断面図を示す。
【0056】
本発明による縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルには、浮遊ゲート7”および制御ゲート13からなる、2つのゲート・スタックS1、S2が存在する。浮遊ゲート7”は、トレンチ4の側壁下部分Lに沿って位置する。制御ゲート13は、ほぼ、トレンチ4の上面からトレンチ4の底部まで延びている。この構成では、制御ゲート13は、トレンチ下部では浮遊ゲート7”をその作用長(working length)全体にわたって覆い、トレンチ上部Uでは側壁の露出領域の長さにわたってチャネル領域を直接覆っている。
【0057】
この実施形態では、トレンチ内で浮遊ゲート7”が左側と右側に分離されているので、1トレンチ当たり、共通制御ゲート13を有する2つのゲート・スタックS1、S2の2つのセルを含む。
当業者に周知の標準の加工工程を行うと、トランジスタ構造が完成する。
【0058】
制御ゲート13の自立側壁部分13’に接して第3のスペーサ14を形成する(PS−XXIV)。
【0059】
注入、例えばHDD(高ドープ・ドレイン)注入によって、第3のスペーサ14同士の間の半導体基板1中にドレイン15を形成する(PS−XXV)。
【0060】
次に、自己整合シリサイド化法によって、制御ゲート13の上面にシリサイド層16、場合によっては二ケイ化チタンまたは二ケイ化コバルトを形成する(PS−XXVI)。同時に、ドレイン領域15上面にシリサイド層15’を形成する。
【0061】
メタライゼーション(PS−XXVII)およびパッシベーション(PS−XXVIII)などの後処理を含む工程がさらに続く。
【0062】
図14および15に示す縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルでは、トレンチ4内に2つの浮遊ゲート7”が示され、これら2つの浮遊ゲート7”の間に共通制御ゲート13がある。この共通制御ゲート13は、それぞれの浮遊ゲート7”の制御ゲートとして機能することになる。これについては、セルの動作を参照して以下でさらに説明する。この実施形態では、縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルは、1メモリ・セル当たり2ビット記憶することが可能である。
【0063】
図16は、本発明による不揮発性メモリ・セルのアレイの第1の実施形態における平面図を示す。
【0064】
本発明による不揮発性メモリ・セルのアレイでは、各制御ゲート13のシリサイド化領域16を接続する複数の金属線17が、第1の方向(A−A’)に延びている。各ドレイン15を接続する複数のシリサイド化ドレイン線15’が、第2の方向(B−B’)に延びている。通常、第1の方向と第2の方向は垂直である。矢印DSは、ソース6を含む複数の拡散された(diffused)ソース線(図示せず)の位置および方向を示している。
【0065】
矢印Nは、アレイ内の不揮発性メモリ・セルの位置を表すビット線番号nを示す。矢印Qは、アレイ内の不揮発性メモリ・セルの位置を表す列線番号qを示す。
【0066】
セルをプログラミングするには、ソース・サイド注入(SSI)を使用する。消去には、ファウラ・ノルドハイム・トンネリングを適用する。表1に、選択ビット線nと、非選択低(<n)ビット線および非選択高(>n)ビット線の、プログラミングと、読出しおよび消去の条件を示す。これらの条件は、奇数の選択ビット線(nはビット線番号)用である。偶数の選択ビット線では、非選択低(<n)ビット線および非選択高(>n)ビット線の条件は互いに入れ替わるはずである。消去の条件は、不揮発性メモリ・セルの全ビット線または全セクタに影響を及ぼすことに留意されたい。
【0067】
さらに、消去動作は、ソース線によって実行することができる(「ソース消去」)。ソースに正電位を印加するとともに、ゲートに負電位を印加する。有利なことに、こうすることにより、負電位がゲートにのみ印加されるので、必要となる負電位の値を低減できる。
【表1】

【0068】
メモリ・セルの正確な仕様に応じて、V≦VesおよびVes≦Vとなることに留意されたい。
【0069】
図14に示すように、第1の実施形態では、本発明による不揮発性メモリ・セルは、有利なことに横寸法が小さく、セル寸法を縮小することが可能である。また、本発明の縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルを画定するためのマスクの数は少なく、すなわち、上記で論じたようにマスクM1とM2のみである。さらに、浮遊ゲート7”をパターン形成することにより、浮遊ゲート7”と制御ゲート13の間で高い容量結合が得られる。その上、チャネル長は不揮発性メモリ・セルの横寸法とは無関係である。したがって、トンネル酸化物5の厚さを約7ナノメートルのままで残すことができ、これは、セル構造の信頼性の点で有利である。
【0070】
本発明による縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルの製造方法のいくつかの代替実施形態を以下で説明する。各代替実施形態に関して、処理工程の順序の変更について説明する。各代替実施形態について、上記で説明した第1の実施形態の基本順序を参照により使用することに留意されたい。第1の実施形態を形成するための処理工程の順序をリスト2に示す。個々の変更された処理工程をリスト3に示す。
【0071】
図17は、本発明による不揮発性メモリ・セルのアレイの第2の実施形態における平面図を示す。
【0072】
不揮発性メモリ・セルの第1の実施形態では、アレイ内の各制御ゲート13と、その上を延びる金属線17とのコンタクトを作成する必要があることが、いささか不利である。
【0073】
第2の実施形態では、トレンチ4を画定する(図1および2、PS−I〜PS−VI)前に、トレンチ・マスクM1とは反転したマスクを用いた追加のマスキング工程を使用してドレイン線(ドレイン)15”を注入することによって、コンタクト構成が簡単になっている(PS−I)。
【0074】
そうすることにより、構築されるデバイスの上面の高さにシリサイド化制御ゲート線17’を形成することが可能になる。このシリサイド化制御ゲート線17’は、シリサイド化制御ゲート領域16(処理工程PS−XXVIによる)を組み込んでいる。
【0075】
シリサイド化制御ゲート線17’は、以下のように形成される。図9および10までの加工工程の後、インターポリ誘電体12を堆積させる(PS−XIX)前に、パターン付き窒化シリコン層2’を除去する。その後の加工は、第1の実施形態に関して説明した通り行う。
【0076】
この段階で、パターン付き窒化シリコン層2’が存在しなくなるので、次のCMP工程(PS−XXI)を注意深く実施しなければならないことに留意されたい。
【0077】
図18は、本発明による不揮発性メモリ・セルの第3の実施形態における第1の方向での断面図を示す。
【0078】
図19は、本発明による不揮発性メモリ・セルの第3の実施形態における第2の方向での断面図を示す。
【0079】
本発明による不揮発性メモリ・セルの第3の実施形態は、スリット・マスクM2によるパターン工程(PS−X)を、後の加工工程の間に実施すると得られる。
【0080】
その場合、図5および6のCMP工程(PS−IX)の後、工程PS−X〜PS−XIIIを飛ばして、次いでポリシリコン7をエッチバックする(PS−XIV)。
【0081】
そうすると、第1のスペーサ10が、第1の方向(A−A’)に延びる線として形成される(PS−XVI)。
【0082】
次に、代替工程を実施する(PS−XI、PS−XI〜PS−XIII)。すなわち、第2のレジスト18を付着させ、スリット・マスクM2(図示せず)を用いてパターン形成する(PS−XI)。次いで、RIEによってポリシリコン7およびスペーサ10をエッチングする(PS−XI)。
【0083】
次の工程で、レジスト18を剥ぎ取る。例えばTEOS、HDPまたはHTO法によって酸化物を堆積させる(PS−XII)。この酸化物層(図示せず)を、スリット4’内および浮遊ゲート7の表面領域上に堆積させる。
【0084】
続いて、ストップ層としてパターン付き窒化シリコン層2’を用いて、CMPによってこの酸化物を平坦化させる(PS−XIII)。
【0085】
ここで、浮遊ゲート7の表面上の酸化物を除去する必要がある(PS−XIII)。すなわち、反転スリット・マスクM2’を用いてフォトリソグラフィ工程を実施して、浮遊ゲート7の表面領域を画定する。次に、エッチング、好ましくはRIEによって、浮遊ゲート上の酸化物を除去する。
【0086】
この第3の実施形態における縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルの製造は、図9、10および11、12および13、14および15に示すように、処理工程PS−XVII〜PS−XXVIIへと続く。
【0087】
工程PS−XIIIで反転スリット・マスクM2’を用いることにより、前の工程で使用したスリット・マスクM2との不整合が生じるおそれがあることに留意されたい。
【0088】
本発明による縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルの第4の実施形態では、スリット・マスクM2によるパターン形成工程(PS−X)および反応性イオン・エッチング(PS−XI)を、加工手順の最後に行う。トンネル酸化物5の形成(PS−VII)後、ポリシリコンをトレンチに充填し(PS−VIII)、ポリシリコンのCMPを行い(PS−IX)、続いてポリシリコンをエッチングし(PS−XVIII)、インターポリ誘電体を堆積させ(PS−XIX)、ポリシリコンのCVDを行って(PS−XX)制御ゲートを形成する。
【0089】
次に、スリット・マスクM2によって、浮遊ゲート・ポリシリコン、インターポリ誘電体および制御ゲート・ポリシリコンのスタックをパターン形成し(PS−XXI)、続いてRIEを行って(PS−XXI)スリット4’を形成する。
【0090】
RIE工程では、別個の不揮発性メモリ・セルを画定するために、3つの工程を連続して実施する。すなわち、まず、ポリシリコン13をエッチングし、次いで、インターポリ誘電体12をエッチングし、最後に、ポリシリコン7をエッチングする。
【0091】
このエッチング工程(PS−XXI)後、例えばTEOS、HDPまたはHTOによって、スリット4’内に二酸化シリコンを堆積させる(工程PS−XXI)。
【0092】
ストップ層としてパターン付き窒化シリコン層2’を用いて、CMPによって二酸化シリコンを平坦化させる(PS−XXI)。
【0093】
この工程は、窒化シリコン2’の除去(PS−XXII)および後続の工程PS−XXIV〜PS−XXVIIIへと続く。
【0094】
第1の実施形態に従って説明した処理フローでは、単一のエッチング処理順序で実施される、浮遊ゲート・ポリシリコン7のエッチバック(PS−XIV)および平坦化二酸化シリコン9のエッチバック(PS−XV)が重要な工程である。平坦化二酸化シリコン9を、浮遊ゲート・ポリシリコン7と同じ高さまで、またはそれよりも低くエッチングすべきである。上記で説明したように、浮遊ゲート・ポリシリコン7中に、孔の代わりにトレンチをエッチングするには、浮遊ゲート・ポリシリコン7上(第1のスペーサ10)および平坦化酸化物9上(第2のスペーサ11)にスペーサを形成する後続の工程(PS−XVI)が重要となる。
【0095】
また、第3のスペーサ14を形成するためには(PS−XXIV)、制御ゲート・ポリシリコン13を、平坦化二酸化シリコン9の高さよりも低いが、基板の高さよりは高くなるようにエッチバックすることが重要である。第3のスペーサ14は、この場合は、ドレイン注入(PS−XXV)および制御ゲート領域のシリサイド化(PS−XXVI)のために必要である。
【0096】
第5の実施形態では、浮遊ゲート・ポリシリコンのエッチバック(PS−XIV)および平坦化二酸化シリコン9のエッチバック(PS−XV)処理工程までは、第1の実施形態通り加工を実施する。平坦化二酸化シリコン9の高さを、浮遊ゲート・ポリシリコン7の高さよりも低くすべきである。次に、第1のスペーサを形成する(PS−XVI)。RIEによって浮遊ゲート7”を画定する(PS−XVIIおよびPS−XVIII)。
【0097】
続いて、インターポリ誘電体12および制御ゲート・ポリシリコン13を堆積させる(工程PS−XIXおよびPS−XX)。次の工程で、CMPによって、インターポリ誘電体12および制御ゲート・ポリシリコン13を平坦化させる(PS−XXI)。
【0098】
次いで、スリット・マスクM2によるパターン形成工程を再度実施し(PS−XXII)、続いて、平坦化二酸化シリコン9上のポリシリコンをエッチングする(PS−XXII)。この工程PS−XXIIの直後に、二酸化シリコンをさらに堆積させ、CMP工程によって平坦化させる(PS−XXII)。その後の加工は、工程PS−XXIII〜PS−XXVIIを用いて第1の実施形態通り実施する。
【0099】
この第5の代替実施形態では、制御ゲート・ポリシリコンのエッチング(PS−XIV)の重要な工程が省略されるが、遺憾ながら、追加のマスキング工程およびCMP工程が必要となる。
【0100】
また、この第5の代替実施形態では、ポリシリコンのストリンガが形成される危険がないので、スリット・マスクM2を2つ用いた(PS−XおよびPS−XXII)際の不整合の問題は重大でなくなる。
【0101】
第6の代替実施形態では、ソース注入工程(PS−I)をトレンチ4の画定および加工(PS−I〜PS−III)の前に実施する。この場合、注入によってソース線を作成するために注入マスクM0が必要となる(M0は、実質的にトレンチ・マスクM1に相当する)。この注入工程は、基板1中に適切な深さで埋め込まれたソース線を得るために、十分に高いエネルギと十分に高いドーズ量で実施すべきである。ここで、ソース注入は、基板1中に浅く行うこともできることに留意されたい。後者の場合、窒化シリコン層2を堆積させる(および後続の処理工程の)前に、シリコンのエピタキシャル層を成長させなければならない。このエピタキシャル層の厚さ(depth)は、十分な高さのトレンチ4を形成できるように、十分厚くなければならない。
【0102】
次いで、第1の実施形態で示した通り加工を実施することができる。
ソース線を、トレンチの長手方向に垂直な第2の方向(B−B’、図16参照)に作成することができ、それによって、縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルのレイアウトが簡単になるので、有利である。すなわち、制御ゲート線17または17’は、ここで、トレンチの長手方向(A−A’)に延びることになる。したがって、この場合、制御ゲート・ポリシリコン接続部13’のエッチバック(PS−XXII)を省略することができる。好ましくは、第6の実施形態では、ドレイン線15;15’;15”は、制御ゲート線17;17’に平行に延びる。
【0103】
この実施形態による縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルのアレイのプログラミングおよび消去は、当業者に周知のように、それぞれ、ソース・サイド注入メカニズムおよびファウラ・ノルドハイム・トンネリングによって行うことができる。
【0104】
図20は、本発明による不揮発性メモリ・セルの代替工程における第1の方向での断面図を示し、ここでは浮遊ゲート材料がエッチバックされている。
【0105】
図21は、本発明による不揮発性メモリ・セルのこの代替工程における第2の方向での断面図を示す。
【0106】
さらなる実施形態では、1セル当たり1ビットを含む縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルが製造される。かかる縦型不揮発性メモリ・セルの加工手順は以下の通りである。
【0107】
処理工程PS−I〜PS−IIIによって、基板1中にトレンチ4を画定し、形成する。次に、トレンチ4の両側壁に犠牲酸化物を堆積させ(PS−IV)、続いてチャネル注入を行う(PS−V)。ソース注入は、この場合は行わない。
【0108】
次いで、ポリシリコン7をトレンチ4内に成長させ(PS−VIII)、続いて、ポリシリコン7のCMPを行う(PS−IX)。
【0109】
さらに、工程PS−X〜PS−XIIIによってスリット4’を形成する。エッチバック後、エッチングされたポリシリコン部分20は、トレンチのかなりの部分、通常はトレンチの高さの約半分を覆うことになる。次のスペーサ形成工程PS−XVで、エッチングされたポリシリコン部分20上に、第4のスペーサ21、22を形成する。その際、前者を側壁、すなわち、トンネル酸化物5に隣接して形成し、後者をスリット4’内に堆積させた二酸化シリコン9に隣接して形成する。第4のスペーサ21、22は、堆積酸化物(例えばTEOS、HTOまたはHDP)の薄い層および窒化シリコン層、または二酸化シリコン層のみ、または酸窒化物層で作成できる。実際の選択は、すでに堆積させた材料に対するエッチング選択性によって決まる。
【0110】
その後の処理工程(工程PS−XVIII)で、マスクとして第4のスペーサ21、22を用いて、RIEによってエッチングされたポリシリコン部分20をさらにエッチングする。エッチングされたポリシリコン部分20中に、トンネル酸化物5の底部まで孔をエッチングすると、浮遊ゲート部分20’が形成される。
【0111】
インターポリ誘電体層12を堆積させる。この層は、トンネル酸化物5の側壁上の露出領域と、第4のスペーサ21、22の残りの部分と、トレンチ4の底部と、溝内の浮遊ゲート部分20’の露出部分と、陥没した平坦化酸化物9とを覆う(PS−XIX)。インターポリ誘電体12は、二酸化シリコン−窒化シリコン−二酸化シリコンのスタック層(ONO層)、二酸化シリコン層、酸窒化物層、高k材料、または他の適当などんな誘電体材料でもよい。
【0112】
次いで、ポリシリコンCVD法をブランケット・モードで用いてポリシリコンを堆積させ、それによってインターポリ誘電体12上に制御ゲートを形成する(PS−XX)。好ましくは、制御ゲート13用のポリシリコンについては、その場でポリシリコンをドープするか、または別の工程で(場合によっては注入により)第2のポリシリコンをドープすべきである。
【0113】
ポリシリコンにCMP法を行って、ストップ層として働くパターン付き窒化シリコン層2’の上面まで制御ゲート13用のポリシリコンを研磨する(PS−XXI)。
【0114】
図22は、本発明による不揮発性メモリ・セルの処理工程PS−XXI後の第1の方向での断面図を示す。
【0115】
図23は、本発明による不揮発性メモリ・セルの処理工程PS−XXI後の第2の方向での断面図を示す。
【0116】
次に、パターン付き窒化シリコン層2’を除去する(PS−XXII)。標準の加工、すなわち、スペーサ形成(PS−XXIV)、活性領域注入(PS−XXV)、シリサイド化(PS−XXVI)、およびメタライゼーションおよびパッシベーション(PS−XXVII、XXVIII)によってこの縦型不揮発性メモリ・セルは完成する。
【0117】
図24は、本発明による不揮発性メモリ・セルのアレイの、このさらなる実施形態における平面図を示す。
【0118】
スペーサ形成工程(PS−XXIII)により、第5のスペーサ(25)を作成する。活性領域注入工程(PS−XXIV)により、縦型不揮発性メモリ・セルのソース接点およびドレイン接点(図示せず)を併せて作成する。シリサイド化によって、シリサイド化ソース線28およびシリサイド化ドレイン線29を形成する。ソース線28およびドレイン線29の方向に垂直に延びる制御ゲート線(図示せず)を、第1の実施形態で説明したように金属線17として、または本発明の第2の実施形態で説明したようにシリサイド化線17’として実装することができる。
【0119】
第4のスペーサ21、22によって形成されるマスクを用いてエッチングするため(PS−XVIII)、浮遊ゲート部分20’は、トンネル酸化物5の両側壁を覆うとともに、スリット4’中に堆積させた酸化物9のすべての面を覆い、単一の浮遊ゲートを形成することになる。この実施形態における縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルは、1メモリ・セル当たり1ビットのみ保持することになる。
【0120】
最後の実施形態における縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルのビット密度は、その他の実施形態の縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルの密度の半分にすぎないが、この最後の実施形態では、浮遊ゲートと制御ゲートの間でより高い結合が得られるので有利である。さらに、最後の実施形態の縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルを動作させるのに印加する電圧は、より低い電圧ですむ。また、トレンチ4の底部中へのソース注入工程を省略することができる。したがって、この不揮発性メモリ・セルの加工は、先に述べた実施形態による不揮発性メモリ・セルに比べてより簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明による不揮発性メモリ・セルの第1の工程における第1の方向での断面図である。
【図2】本発明による不揮発性メモリ・セルの第1の工程における第2の方向での断面図である。
【図3】本発明による不揮発性メモリ・セルの第2の工程における第1の方向での断面図である。
【図4】本発明による不揮発性メモリ・セルの第2の工程における第2の方向での断面図である。
【図5】本発明による不揮発性メモリ・セルの第3の工程における第1の方向での断面図である。
【図6】本発明による不揮発性メモリ・セルの第3の工程における第2の方向での断面図である。
【図7】本発明による不揮発性メモリ・セルの第4の工程における第1の方向での断面図である。
【図8】本発明による不揮発性メモリ・セルの第4の工程における第2の方向での断面図である。
【図9】本発明による不揮発性メモリ・セルの第5の工程における第1の方向での断面図である。
【図10】本発明による不揮発性メモリ・セルの第5の工程における第2の方向での断面図である。
【図11】本発明による不揮発性メモリ・セルの第5の工程における平面図である。
【図12】本発明による不揮発性メモリ・セルの第6の工程における第1の方向での断面図である。
【図13】本発明による不揮発性メモリ・セルの第6の工程における第2の方向での断面図である。
【図14】本発明による不揮発性メモリ・セルの第1の実施形態における第1の方向での断面図である。
【図15】本発明による不揮発性メモリ・セルの第1の実施形態における第2の方向での断面図である。
【図16】本発明による不揮発性メモリ・セルのアレイの第1の実施形態における平面図である。
【図17】本発明による不揮発性メモリ・セルのアレイの第2の実施形態における平面図である。
【図18】本発明による不揮発性メモリ・セルの第1の代替工程における第1の方向での断面図である。
【図19】本発明による不揮発性メモリ・セルの第1の代替工程における第2の方向での断面図である。
【図20】本発明による不揮発性メモリ・セルの第3の代替工程における第1の方向での断面図である。
【図21】本発明による不揮発性メモリ・セルの第3の代替工程における第2の方向での断面図である。
【図22】本発明による不揮発性メモリ・セルの第4の代替工程における第1の方向での断面図である。
【図23】本発明による不揮発性メモリ・セルの第4の代替工程における第2の方向での断面図である。
【図24】本発明による不揮発性メモリ・セルのアレイのさらなる実施形態における平面図である。
【符号の説明】
【0122】
リスト1 参照リスト
1 半導体基板
1’ 隣り合うトレンチの間の中間基板部分
2 窒化シリコン
2’ パターン付き窒化シリコン
3 レジスト層
4 トレンチ
4’ スリット
5 トンネル酸化物
6 ソース
7 浮遊ゲート
7’エッチングされたポリシリコン
7”浮遊ゲートブロック
8 第2のレジスト層
9 酸化物層
10 第1のスペーサ
11 第2のスペーサ
12 インターポリ誘電体層
13 制御ゲート(CG)ポリ
13’CG自立側壁
13” ポリシリコン接続部
14 第3のスペーサ
15 ドレイン
15’ シリサイド化ドレイン線
15” 注入ドレイン線
16 シリサイド層
17 金属線
17’ ケイ化ゲート制御線
18 第3のレジスト
19 エッチングされた浮遊ゲート
19’ 共形ポリシリコン層
19” ポリシリコン・スペーサ
20 エッチングされたポリシリコン部分
20’ 浮遊ゲート部分
21 第4のスペーサ
22 第4のスペーサ
25 スペーサ
26 シリサイド化制御ゲート
28 シリサイド化ソース線
29 シリサイド化ドレイン線
S トレンチ底部
CR チャネル領域
DS 拡散されたソース線
L トレンチ側壁下部
M0 注入マスク
M1 トレンチ・マスク
M2 スリット・マスク
SL ソース線
U トレンチ側壁上部
リスト2 処理工程リスト
PS−I 窒化シリコン層の堆積
PS−II マスクM1によるパターン形成
PS−III 窒化シリコンおよび基板(トレンチ)のRIE
PS−IV 犠牲酸化物の成長
PS−V チャネル注入
PS−VI ソース注入
PS−VII トンネル酸化物の成長
PS−VIII ポリシリコンによるトレンチ充填
PS−IX ポリシリコンのCMP
PS−X マスクM2によるパターン形成
PS−XI RIEによるスリットのエッチング
PS−XII 酸化物層(TEOSなど)の成長
PS−XIII 酸化物のCMP
PS−XIV ポリシリコンのエッチバック
PS−XV 平坦化酸化物のエッチバック
PS−XVI スペーサ形成
PS−XVII ポリシリコンのRIEによる初期「溝」のエッチング
PS−XVIII ポリシリコンのRIEによる底部酸化物までのさらなるエッチング
PS−XIX インターポリ誘電体の堆積
PS−XX ポリシリコンのCVD
PS−XXI ポリシリコンの第2のCMP
PS−XXII ポリシリコン接続部13’のエッチバック
PS−XXIII パターン付き窒化シリコン2’の除去
PS−XXIV スペーサ形成
PS−XXV ドレイン注入
PS−XXVI 制御ゲートおよびドレインのシリサイド化
PS−XXVII メタライゼーション
PS−XXVIII パッシベーション
リスト3 代替処理工程リスト
PS−I 反転スリット・マスクM1’
PS−I マスクM0によるソース線の注入
PS−III III前のドレイン線の注入
PS−XI スリット・マスクM2によるパターン形成
PS−XIII 浮遊ゲート上の二酸化シリコンの除去
PS−XIV スリット・マスクM2によるパターン形成
PS−XV スペーサ形成
PS−XVIII XVIII前のシリサイド化制御ゲートの形成
PS−XXI スリット・マスクM2によるパターン形成
PS−XXI スリット4’を形成するための反応性イオン・エッチング
PS−XXI スリット4’内の酸化物の成長
PS−XXI CMPによる酸化物の平坦化
PS−XXII スリット・マスクM2の第2の適用
PS−XXII 平坦化二酸化シリコン9上のポリシリコンのエッチング
PS−XXII 二酸化シリコンの堆積およびCMPによる平坦化

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に少なくとも1つのビットを記憶する縦型のスプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルを備える半導体デバイスにおいて、前記基板上に、トレンチと、第1の活性領域と、第2の活性領域と、前記トレンチの側壁にほぼ沿って延びるチャネル領域とを含み、前記トレンチが第1の方向の長さおよび第2の方向の幅を有し、前記第1の方向が前記第2の方向に垂直であり、前記トレンチが前記側壁においてトンネル酸化物によって覆われるとともに少なくとも1つのゲート・スタックを含み、前記ゲート・スタックが浮遊ゲートおよび制御ゲートからなり、前記浮遊ゲートが誘電体によって前記制御ゲートから分離されている半導体デバイスであって、前記制御ゲートが前記トレンチの底部まで延び、第1の浮遊ゲートが前記制御ゲートと共に第1のゲート・スタックを形成するように前記トレンチの左側壁に位置し、第2の浮遊ゲートが前記制御ゲートと共に第2のゲート・スタックを形成するように前記トレンチの右側壁に位置することを特徴とする半導体デバイス。
【請求項2】
前記誘電体が前記トレンチの前記側壁の上部露出部に沿って延び、前記制御ゲートが前記トレンチの前記側壁の前記上部露出部を覆う前記誘電体に沿って延びることを特徴とする、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記第1の浮遊ゲートおよび前記第2の浮遊ゲートが、相互接続ポリシリコン部分によって相互接続されることを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記第1の浮遊ゲートおよび前記第2の浮遊ゲートが、互いに分離されることを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
請求項1または2または3または4に記載の縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルを備える半導体デバイスの製造方法であって、
前記トレンチ内にポリシリコンを堆積させ、前記ポリシリコンは平坦化上面を有する工程と、
前記メモリ・セルを前記第2の方向に分離するために、スリット・マスクを用いて前記トレンチ内に二酸化シリコンによる分離スリットを形成する工程と、
前記ポリシリコンをエッチバックする工程と、
前記二酸化シリコンをエッチバックする工程と、
前記ポリシリコンの前記平坦化上面に前記第2の方向に延びる第1のスペーサを形成するとともに、前記二酸化シリコン上に前記第1の方向に延びる第2のスペーサを形成する工程と、
前記第1のスペーサおよび前記第2のスペーサをマスクとして用いて、反応性イオン・エッチング法によって前記ポリシリコンをエッチングして、浮遊ゲートとして働く、エッチングによって陥没したポリシリコン部分と、前記トレンチの下部露出部分とを形成する工程と、
前記浮遊ゲートおよび前記トレンチの前記下部露出部分上に前記誘電体を形成する工程と、
前記誘電体上に第2のポリシリコン層を堆積させる工程と、
前記トレンチ上面から前記トレンチ底部まで前記誘電体を覆って延びる前記制御ゲートとして使用される、前記第2のポリシリコンを平坦化させる工程とを備えることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記トレンチの前記側壁に上部露出部分を形成し、前記トレンチの前記側壁の前記上部露出部分上に前記誘電体を形成する工程をさらに備えることを特徴とする、請求項5に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記上面に、前記制御ゲートに隣接して、さらなるスペーサを形成する工程と、
前記第2の活性領域に注入する工程と、
前記制御ゲートおよび前記ドレインのシリサイド化させる工程と、
前記制御ゲートに対する導電接続部の作成する工程とをさらに備えることを特徴とする、請求項5または6に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項8】
前記ポリシリコンがあるシリコン表面高さを有し、前記二酸化シリコンがある酸化物表面高さを有し、前記窒化シリコンがある窒化物表面高さを有し、前記第2のスペーサが、前記ポリシリコン上に形成されず、前記酸化シリコン上に形成されるように、前記シリコン表面高さが前記窒化物表面高さよりも低く配置され、前記酸化物表面高さが前記シリコン表面高さよりも低くかつ前記チャネル領域よりも高く配置されることを特徴とする、請求項7に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項9】
前記ポリシリコンがあるシリコン表面高さを有し、前記二酸化シリコンがある酸化物表面高さを有し、前記窒化シリコンがある窒化物表面高さを有し、前記ポリシリコン上の前記第1のスペーサと、前記酸化シリコン上の前記第2のスペーサとが同時に形成されるように、前記窒化物表面高さが前記シリコン表面高さにほぼ等しく配置され、前記酸化物表面高さが前記シリコン表面高さおよび前記チャネル領域にほぼ等しく配置され、前記第1および第2のスペーサが、ほぼ同じ厚さと高さを有することを特徴とする、請求項7に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項10】
前記トレンチ内に上面を有するポリシリコンを堆積させる工程と、
前記メモリ・セルを前記第2の方向に分離するために、スリット・マスクを用いて前記トレンチ内に二酸化シリコンによる分離スリットを形成する工程と、
前記ポリシリコンの前記上面に、前記第2の方向に延びる第1のスペーサおよび前記第1の方向に延びる第2のスペーサを形成する工程と、
前記第1のスペーサおよび第2のスペーサをマスクとして用いて、反応性イオン・エッチング法によって前記ポリシリコンをエッチングして、浮遊ゲートとして働く、エッチングによって陥没したポリシリコン部分と、前記トレンチの下部露出部分とを形成する工程と、
前記浮遊ゲートおよび前記トレンチの前記下部露出部分上に前記誘電体を形成する工程と、
前記誘電体上に第2のポリシリコン層を堆積させる工程と、
前記トレンチ上面から前記トレンチ底部まで前記誘電体を覆って延びる前記制御ゲートとして使用される、前記第2のポリシリコンを平坦化させる工程と、
前記スリット・マスクを用いて第2のパターン形成を行う工程と、
前記二酸化シリコン上のポリシリコンに反応性イオン・エッチングを行う工程と、
ブランケット・モードでさらなる二酸化シリコンを堆積させるとともに前記さらなる二酸化シリコンを平坦化させる工程とさらに備えることを特徴とする、請求項3または4に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項11】
前記トレンチ内に上面を有するポリシリコンを堆積させる工程と、
前記メモリ・セルを前記第2の方向に分離するために、スリット・マスクを用いて前記トレンチ内に二酸化シリコンによる分離スリットを形成する工程と、
前記スリット・マスクの第2の適用工程と、
前記ポリシリコンをエッチバックする工程と、
前記二酸化シリコンをエッチバックする工程と、
前記ポリシリコンの前記上面に前記第1の方向に延びる前記第1のスペーサを形成する工程と、
マスクとして前記第1のスペーサおよび前記第2のスペーサを用いて、反応性イオン・エッチング法によって前記ポリシリコンをエッチングして、浮遊ゲートとして働く、エッチングによって陥没したポリシリコン部分と、前記トレンチの下部露出部分とを形成する工程と、
前記浮遊ゲートおよび前記トレンチの前記下部露出部分上に前記誘電体を形成する工程と、
前記誘電体上に第2のポリシリコン層を堆積させる工程と、
前記トレンチ上面から前記トレンチ底部まで前記誘電体を覆って延びる前記制御ゲートとして使用される、前記第2のポリシリコンを平坦化させる工程とをさらに備えることを特徴とする、請求項3または4に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項12】
初期処理として、実質的に前記トレンチ・マスクに相当する注入マスクを用いた前記第1の活性領域の注入をさらに備えることを特徴とする、請求項5乃至12のいずれかに記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項13】
前記導電接続部の作成が金属線の作成に関係することを特徴とする、請求項5乃至13のいずれかに記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項14】
前記導電接続部の作成が、シリサイド化制御ゲート線およびシリサイド化ドレイン線の作成に関係することを特徴とする、請求項5乃至13のいずれかに記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項15】
請求項1、2、3、または4のいずれかに記載の縦型スプリット・ゲート不揮発性メモリ・セルを少なくとも1つ含むメモリ・セルのアレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2006−511076(P2006−511076A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561769(P2004−561769)
【出願日】平成15年11月27日(2003.11.27)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005502
【国際公開番号】WO2004/057661
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】