説明

自動車用の夜間視認装置

カメラによって検出された画像に、位置測定センサもしくは走行方向センサから決定されるとられている走行路もしくはとるべき走行路が入力される、車両に対する夜間視認装置が提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来の技術
本発明は、請求項1の上位概念に記載の夜間視認装置から出発している。
【0002】
DE10253510から、自動車における視野を改善するための装置が既に公知である。その場合シグナリング手段、例えばモニタまたはヘッド・アップ・ディスプレイを介して自動車のドライバーに、車道の成り行きに関するおよび/または自動車の周辺における物体に関するドライバー情報が指示される。車道の経過、つまり成り行きを検出できるようにするために、赤外線感応画像センサシステムが設けられており、その信号は、車道の成り行きを画定するために相応のマークが指示部に挿入されるように処理される。
【0003】
発明の利点
これに対して、請求項1の特徴部分に記載の構成を備えた本発明の夜間視認装置は、車両のとっている走行路もしくはとるべき走行路が位置決定センサおよび/または走行方向センサを用いて決定されるという利点を有している。これにより、車両前方の走行状況が光学的に評価されなくてもドライバーに、車両前方の夜間視認シーンの表示の際に光学的に支援を提供することが可能である。このようにして、画像評価が例えば降水、劣悪な視界または道路標識の欠落に基づいて不可能であるとき、ドライバーにこの形式の情報を用意することも可能である。殊に、光学的な画像評価を大抵は高い計算コストによって行う必要はなく、車両センソトロニックそのものによって求められたデータのみを評価することによって、夜間走行時にドライバーを支援すると有利である。
【0004】
従属請求項に記載の構成によって、独立請求項に記載の夜間視認装置の有利な発展形態および改良形態が可能である。走行方向センサが操舵角センサであると有利である。これにより、ドライバーが現在とっている操舵角を走行路の予測のために使用することが可能になる。何故ならば、現在とられている操舵角を車両前方の道路の成り行きもしくは道路経過内に直接挿入して車道の成り行きが投写されるようにすることができるからである。こうしてドライバーは、どれだけの距離を以て道路縁もしくは妨害物の傍らを通過していくのかを認識することができる。こうして同様にドライバーは、ステアリングの修正が必要であるかどうかを認識することができる。このことは殊に、ドライバーが劣悪な視認状況に基づいて側方の妨害物に対する距離も予測しにくいときに有利である。
【0005】
更に、位置決定センサにより車両の現在ポジションを決定しかつ例えばデジタル地図との比較または位置変化の評価から、車両の前方にある道路の成り行きもしくは従う走行方向を求めると有利である。車両が引き続く走行において従わなければならないこの道路の成り行きを相応に指示部に挿入することができる。これにより殊に、ドライバーにきついカーブまたは類似の危険個所の前で適時に警告することが可能である。というのは、相応の道路の成り行きを予測的に指示部に入力することができるからである。この場合、道路の成り行きを殊に付加的に地図表示内に挿入すると有利である。ドライバーはこれによりとりわけ、車両の現在のポジションを考慮して、道路の成り行きを全体の中で認識しかつ操作される走行を相応に整合させることができる。
【0006】
更に、付加的に、夜間視認装置が撮影されたカメラ像から車道境界および/またはマークを求めかつこれらを指示部において有利にも際立たせる可能性が得られるようにすると有利である。従ってセンソトロニックにより求められたその他のマークとの比較において、光学的に検出されたマークおよびその他の仕方で検出されたマーク間の比較をドライバーが実施することができる。従ってドライバーは、実際に、車両前方の走行路の申し分ない検出が実施されたかどうか、または支援がもしかしたら上手くいっていないのではないかを推測することができる。とられている走行路がとるべき走行路と比較されると、ドライバーは、とられるべき走行路に従うために、ハンドルが正しく設定されているかどうかを認識することができる。
【0007】
更に、少なくとも1つの別の警告シンボルまたは妨害シンボルを指示部に挿入すると有利である。これによりドライバーに、カーブ、もしかしたら危険である道路領域またはドライバーが行わなければならない旋回ハンドル操作が指示されるようにすることができる。
【0008】
更に有利には、とっている走行路もしくはとるべき走行路の、ドライバーが望む表示をドライバーが選択することができる操作ユニットを設けることができる。その際ドライバーの希望に応じてドライバーは相応に多くのまたは少ない補助表示を指示部内に関連付けることができる。
【0009】
図面
本発明の実施例は図面に図示されておりかつ以下の説明において詳細に説明する。その際
図1は車両における本発明の夜間視認装置を略示し、
図2乃至図4は本発明の夜間視認装置の指示部表示に対する種々の実施例を略示している。
【0010】
実施例の説明
図1には自動車1が平面にて略示されている。車両1のフロントサイド2にカメラ3が、カメラ3が車両1の前方の走行空間を観測するように配置されている。カメラ3は殊に、人間の目に見える波長領域の他に近赤外線領域もカバーする電子的なカメラ装置として実現されている。カメラ3は有利には、400nmおよび980nmの間の波長領域において感度がある。カメラ3はこのために例えばCCDカメラとして実現されている。ビデオ線路もしくはビデオデータバス線路4を介して画像データが車両1における評価ユニット5に伝送される。車両1の前方のシナリオをよりよく照らし出すために、1つの実施例において照明装置6が設けられている。赤外線源7、例えば赤外線発光ダイオードの場合、車両1の前方の走行空間に光を放射する。照明装置6は例えば評価ユニット5によってドライブ制御される。評価ユニット5は、有利な実施形態において撮影された画像データの画像処理を可能にする計算ユニット9を有している。画像データは評価ユニット5から車両における指示ユニット8に転送される。指示ユニット8は例えば車両におけるいわゆるヘッド・アップ指示部として実現されている。この場合防風ガラスまたはドライバーの前の投写ユニットに車両前方の走行状況のバーチャル像が投写される。その際特別な実施例において、挿入されたマークがドライバーにとってドライバー前方の本当の物体に関連してあるごとく現れるように、ドライバーがガラスを通して見ている、車両前方のシナリオと合致するいわゆるコンタクト類似形指示が行われる。別の実施例において、指示ユニット8は車両のインストルメンタルパネルまたはセンターコンソールにおける指示部として実現されていてもよい。この場合画像スクリーンに車両前方の相応のシナリオが表示される。
【0011】
第1の実施形態において、評価ユニット5は前軸19のステアリング旋回角を求める操舵角センサ10に接続されている。ステアリング旋回角はドライバーによってハンドル18を介して設定される。操舵角センサ10を介して検出される、現在とられている操舵角に依存して、評価ユニット5は、設定されている操舵角がこのまま変わらないとした場合に車両がとる走行路を計算する。この走行路はマークを用いて、カメラ3によって撮影された画像に挿入される。こうしてドライバーは車両前方に存在している走行路を認識することができる。
【0012】
別の実施形態において評価ユニット5は位置決定装置11に接続されている。位置決定装置11は殊にアンテナ12を使用することができ、アンテナを用いて衛星による位置決定が実施される。従って位置に関連したポジションの変化からまず、運動ベクトルを求めることができる。この運動ベクトルから同様に、車両がとっている現在の走行路を決定することができかつ指示部に表示可能である。択一的な実施形態において位置決定を位置変化の検出の意味においてホイールセンサ16およびヨーレートセンサ15を用いて求めることができる。これらのセンサは択一的に、衛星受信が可能でない場合に衛星処理を支援するためにも用いることができる。
【0013】
別の実施形態において位置決定ユニットは道路地図ベース13にもアクセスことができる。この道路地図ベース13は例えば、メモリに格納されている、道路網のデジタル地図である。車両の現在のポジションが位置決定装置11によって決定されかつ記憶されている道路地図ベース13と比較されることで、位置決定ユニットは道路上の車両のポジションを決定することができる。しかしこれにより、道路地図ベースから別の道路の成り行きを呼び出すことも可能である。この道路の成り行きは評価ユニット5に伝送される。そこで評価ユニット5は車両の現在のポジションから出発して別の道路の成り行きを現在の走行状況に重畳する形で指示ユニット8に表示する。
【0014】
評価ユニット5は更に、操作ユニット14に接続されている。操作ユニット14によりカメラ3をアクティブにすることができるが、評価ユニット5に、どの補足的なマークを指示部8に表示すべきかを通報することもできる。こうして、操舵角センサ10によって検出されるとられている走行路、位置決定ユニットによって予め与えられる走行路または位置決定ユニットによって道路地図との関連において予め与えられる、とられるべき走行路をそれぞれ別個だが、組み合わされた形で選択することができる。付加的に、これに対して補充的に、評価ユニット5により計算ユニット9を用いて検出された画像信号から求められる車道境界もしくは車道マークを付加シンボルを挿入することによって指示部8において特別に際立たせることも可能である。
【0015】
カメラ3は車両前方のシナリオを日中でも、夜間でも検出することができる。しかし夜間視認装置としてそれを使用することは殊に有利である。というのは、夜間ではドライバーにとって、視認状態が悪い場合には殊に、ドライバー前方の車道経過を認識することが特別難しいからである。
【0016】
図2において指示部8における表示の第1実施例が示されている。左側車道縁21、右側車道縁22並びにその間に位置する車道20が中央分離帯マーク23ともども、カメラ3によって検出されかつ指示ユニット8に表示された画像においてドライバーに見えるようになっている。指示がコンタクト類似形指示部を有するヘッドアップディスプレイにおいて行われるのであれば、カメラ像のポジションは、それがドライバーにとって防風ウィンドウ越しに見えているように、ドライバー前方の周辺の実際の形態に整合されるようにすることができる。
【0017】
右側車道縁22と中央分離帯マーク23との間に、車両がとるべきレーン(走行軌跡)が延在している。ここに図示されている実施例において、左側の破線24および右側の破線25によってレーンが示されている。これは車両の現在設定されている操舵角に基づいて求められたものである。これによりドライバーは、車両を目下の所操舵角を変えずに予め定めた車道またはレーンにおいて動かすことを認識することができる。ところで車道20に妨害物が現れると、ドライバーは、自分が設定しているレーンが妨害物を回避できるのか、またはドライバーがとっている操舵角の修正を行わなければならないのかを認識することができることになる。つまりドライバーは例えば、路上に穴がありかつドライバーが回避操作をすべきかどうかも認識できることになる。道路が右または左へカーブしていれば、ドライバーはハンドル18を操作してとられてる操舵角を修正しなければならないことになる。その際に相応に操舵輪回転に応じて指示されるマーク24、25も右もしくは左へ移動することになる。ここではマーク24、25によって行われているような純然たる側方境界表示に代わって、マーク24、25によって形成されるレーンを大きな空間のマークによって指示像内に完全に入力することもできよう。更に、レーンを車輪の着地経過に相応してダブルトラックとして指示部に入力することもできよう。この種の表示は例えばレーンの内側に向かってマーク24、25を相応に、それぞれ拡幅することによって行うことも可能である。
【0018】
図3には、指示ユニット8の表示の別の実施例が図示されている。この場合ライン26は中央に、中央分離帯マーク31と右側の車道縁32との間のレーン内に入力されている。更に指示部において左側の車道境界33と車道30そのものが図示されている。これに対して補充的に、カメラ像の解析によって中央分離帯マーク31および右側の車道縁32の成り行きが計算により求められている。それ故に1つの実施例によれば、中央分離帯マークを際立たせるためのマーク34および右側の車道縁を際立たせるためのマーク36が入力されている。ライン26により示されているとられている走行路と画像解析により決定される車道境界32、34との比較により、ドライバーは両境界内に形成される車線内でどの位のところに自分のレーンをとっているのかを認識することができる。
【0019】
別の実施形態において、ライン26の形の中心マークを車両の現在のポジションから出発して道路の成り行きから決定することもできる。位置決定装置11を介してまず、道路網内の車両のポジションが確認されかつこれに続いて、殊に、車両の走行方向を考慮して、期待すべき道路の成り行きが決定されかつ図3における表示に相応して指示装置内に入力される。この場合、道路の成り行きにおいて車両の現在のポジションから出発して右カーブが続く。このことは中心ライン26の右方向への曲がり具合から認識可能である。別の実施形態において支援のために、ドライバーに右カーブを指示する指示シンボル36を入力することもできる。特別な危険な状況において付加的に、同様にドライバーに危険な走行区間を通過することになるかもしれないという警告シンボル37を指示部に挿入することができる。これらの情報はそれぞれに道路部分に一緒に道路地図ベース13に格納しておくことができる。
【0020】
別の実施形態において、中心マークの表示に代わって、道路地図ベースから求められた走行路に対して左側のマーク38および右側のマーク39を車道30に入力することも可能である。相応の表示は図4に示されている。相応に、例えば位置決定から決定される道路の成り行きに対する中心マーク26を、とられている操舵角から決定される道路の成り行きに対するサイドマーク38、39と一緒に同時に指示部に入力することもできる。
【0021】
図4において更に、別の実施形態とも一緒に使用可能である、道路の成り行き41の表示が示されている。道路の成り行き41は地図表示もしくは小さな地図部分の形で指示部に表示されている。この場合道路の成り行き41は走行方向においてドライバーの現在の視野をはみ出ている所定の部分に表示されている。指示部8そのものへの挿入の他に、道路の成り行きを付加的な指示部に設定することも可能である。例えばドライバー前方の夜間視認表示がインストルメンタルパネルで行われている期間に、地図部分40をセンターコンソール指示部に表示することができる。別の実施形態において、地図表示40にその都度、現在のポジションから例えばその先1kmまでの設定されているルートを指示することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】車両における本発明の夜間視認装置の平面略図
【図2】本発明の夜間視認装置の指示部表示の1例の略図
【図3】本発明の夜間視認装置の指示部表示の別の例の略図
【図4】本発明の夜間視認装置の指示部表示の更に別の例の略図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前方の走行状況を検出するためのカメラと、車両前方の走行状況を表示するための指示部とを備えている車両用夜間視認装置において、
車両(1)の位置決定装置(11)および/または走行方向センサ(10,15,16)が評価されて、ドライバーがとっているおよび/またはドライバーがとるべき、車両(1)の走行路(24,25,26,38,39)が決定されかつ走行状況を表示するための指示部(8)に挿入されるようした
ことを特徴とする夜間視認装置。
【請求項2】
走行方向センサは操舵角センサ(10)である
請求項1記載の夜間視認装置。
【請求項3】
前記位置決定装置(11)は車両(1)前方に存在している道路経過を決定するために道路地図ベース(13)に接続されている
請求項1または2記載の夜間視認装置。
【請求項4】
道路経過(41)が地図表示(40)に指示されるようになっている
請求項3記載の夜間視認装置。
【請求項5】
車両(1)の現在のポジション(42)が道路経過(41)に入力されるようになっている
請求項4記載の夜間視認装置。
【請求項6】
夜間視認装置は、カメラ(3)によって撮影された画像から車道境界および/またはマークの特性経過を決定するための評価ユニット(5)を有している
請求項1から5までのいずれか1項記載の夜間視認装置。
【請求項7】
指示部(8)に、少なくとも1つの別の警告または指示シンボル(36,37)が指示可能である
請求項1から6までのいずれか1項記載の夜間視認装置。
【請求項8】
指示部(8)においてとられている走行路および/またはとるべき走行路に関する表示された情報を選択するための操作ユニット(14)を備えている
請求項1から7までのいずれか1項記載の夜間視認装置。
【請求項9】
車両の夜間視認装置に対する車両前方の走行状況を表示するための方法において、
車両の位置決定センサおよび/または走行方向センサを評価して、ドライバーがとっている車両の走行路および/またはドライバーがとるべき車両の走行路が決定されかつ走行状況を表示するための指示部に挿入されるようにする
ことを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−512915(P2009−512915A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532696(P2008−532696)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065456
【国際公開番号】WO2007/036397
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】