説明

表示装置

【課題】多方向表示の際に入力がどの方向に対するものであるかを推定すること。
【解決手段】タッチパネル124や操作部215から操作入力を操作入力受付部301が受け付けた場合に、操作対象推定部302は、時間情報や履歴情報、各種車載機器の動作状態などから操作入力が左右どちらの映像に対するものである可能性が高いかを総合判断し、操作入力実行部303が最も可能性が高い操作を実行するとともに、履歴登録部304が操作内容を履歴データベース300に登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一の画面で複数の利用者各々に対して独立した異なる情報を同時に提供することのできるマルチビュー表示装置に関し、特に表示画面上に表示された映像に対する適切な制御を実施する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2は、1台の液晶ディスプレイ(LCD)で2画面を同時に表示することができ、例えば、運転席と助手席とからそれぞれ異なる画面を見ることができる表示装置を開示している。また特許文献3、特許文献4および特許文献5は、2種類の映像を、同時に、同一画面に表示することができる2画面表示装置を開示している。
【0003】
【特許文献1】特開平6−186526号公報
【特許文献2】特開2000−137443号公報
【特許文献3】特開平11−331876号公報
【特許文献4】特開平9−46622号公報
【特許文献5】特開2003−137005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の技術では、単一の表示部で異なる映像を表示することが可能であるが、操作部をも兼用すると、どちらの映像に対する操作であるかを判断することができないという問題点があった。
【0005】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、ユーザからの操作がどちらの映像に対する操作であるかを判断(推定)することで、ユーザの意図する制御を実行可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明に係る表示装置は、複数の視方向に対して個別の映像を同一画面上に表示する表示手段と、ユーザからの操作を受け付ける操作受付手段と、前記操作受付手段が操作を受け付けた時間を取得し、当該時間情報に基づいて前記操作が前記個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定する操作対象推定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この請求項1の発明によれば表示装置は、複数の視方向に対して個別の映像を同一画面上に表示するとともに、ユーザからの操作を受け付けた場合にその時間を取得し、時間情報に基づいて個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定する。
【0008】
また、請求項2の発明に係る表示装置は、請求項1に記載の発明において、前記時間情報は、絶対時間であることを特徴とする。
【0009】
この請求項2の発明によれば表示装置は、複数の視方向に対して個別の映像を同一画面上に表示するとともに、ユーザからの操作を受け付けた場合に、その時刻を取得し、時刻情報に基づいて個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定する。
【0010】
また、請求項3の発明に係る表示装置は、請求項2に記載の発明において、前記個別映像が放送受信出力に関する映像であって、前記操作対象推定手段は、前記絶対時間に基づいて前記操作が前記放送受信出力に関する映像に対する操作であると推定することを特徴とする。
【0011】
この請求項3の発明によれば表示装置は、放送受信出力に関する映像を含む複数の映像をそれぞれ異なる視方向に表示するとともに、ユーザからの操作を受け付けた場合に、時刻情報に基づいて放送受信出力に関する映像に対する操作であると推定する。
【0012】
また、請求項4の発明に係る表示装置は、請求項3に記載の発明において、前記操作対象推定手段は、放送予定情報を用い、放送番組の切換わる時間近傍に前記操作が受け付けられた場合に、当該操作が前記放送受信出力に関する映像に対する操作であると推定することを特徴とする。
【0013】
この請求項4の発明によれば表示装置は、ユーザからの操作を受け付けた場合に時刻情報と放送予定情報とを参照し、放送番組の切換わる時間近傍に受け付けた操作は放送受信出力に関する映像に対する操作であると推定する。
【0014】
また、請求項5の発明に係る表示装置は、請求項1に記載の発明において、前記時間情報は、相対時間であることを特徴とする。
【0015】
この請求項5の発明によれば表示装置は、複数の視方向に対して個別の映像を同一画面上に表示するとともに、ユーザからの操作を受け付けた場合に、相対時間情報に基づいて個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定する。
【0016】
また、請求項6の発明に係る表示装置は、請求項5に記載の発明において、前記操作対象推定手段は、前回の操作から所定時間内に受け付けられた操作について、前回の操作と同一の視方向に表示した映像に対する操作であると推定することを特徴とする。
【0017】
この請求項6の発明によれば表示装置は、複数の視方向に対して個別の映像を同一画面上に表示するとともに、前回の操作から所定時間内に受け付けられた操作について、前回の操作と同一の視方向に表示した映像に対する操作であると推定する。
【0018】
また、請求項7の発明に係る表示装置は、請求項5または6に記載の発明において、前記表示手段は、コンテンツデータの再生出力に関する映像を少なくとも一つの視方向に表示し、前記操作対象推定手段は、コンテンツデータの再生出力終了から所定時間内に前記操作が受け付けられた場合に、当該操作がコンテンツデータの再生に関する操作であると推定することを特徴とする。
【0019】
この請求項7の発明によれば表示装置は、コンテンツデータの再生出力に関する映像を少なくとも一つの視方向に表示し、コンテンツデータの再生出力終了から所定時間内に操作が受け付けられた場合に、その操作がコンテンツデータの再生に関する操作であると推定する。
【0020】
また、請求項8の発明に係る表示装置は、請求項5,6または7に記載の発明において、車両に搭載され、前記操作対象推定手段は、エンジン始動から所定時間以内に前記操作が受け付けられた場合に、当該操作がナビゲーション機能に対する操作であると推定することを特徴とする。
【0021】
この請求項8の発明によれば表示装置は、車両に搭載され、エンジン始動から所定時間以内に操作が受け付けられた場合に、その操作がナビゲーション機能に対する操作であると推定する。
【0022】
また、請求項9の発明に係る表示装置は、請求項5〜8のいずれか一つに記載の発明において、車両に搭載され、前記操作対象推定手段は、乗員の乗車から所定時間以内に前記操作が受け付けられた場合に、当該操作がナビゲーション機能に対する操作であると推定することを特徴とする。
【0023】
この請求項9の発明によれば表示装置は、車両に搭載され、乗員の乗車から所定時間以内に操作が受け付けられた場合に、その操作がナビゲーション機能に対する操作であると推定する。
【0024】
また、請求項10の発明に係る表示装置は、請求項1〜9のいずれか一つに記載の発明において、乗員の乗車履歴および/または操作履歴を記憶する履歴記憶手段をさらに備え、前記操作対象推定手段は、前記乗車履歴および/または前記操作履歴をさらに用いて前記操作が前記個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定することを特徴とする。
【0025】
この請求項10の発明によれば表示装置は、複数の視方向に対して個別の映像を同一画面上に表示するとともに、ユーザからの操作を受け付けた場合に、時間情報と履歴情報に基づいて個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定する。
【0026】
また、請求項11の発明に係る表示装置は、請求項10に記載の発明において、前記操作対象推定手段は、前記乗車履歴から助手席における乗員の有無を推測し、該推測結果に基づいて前記操作が前記個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定することを特徴とする。
【0027】
この請求項11の発明によれば表示装置は、複数の視方向に対して個別の映像を同一画面上に表示するとともに、乗車履歴から助手席における乗員の有無を推測し、推測結果に基づいて個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定する。
【0028】
また、請求項12の発明に係る表示装置は、請求項10または11に記載の発明において、前記操作対象推定手段は、前記操作受付手段が受け付けた操作のパターンと前記履歴記憶手段が記憶した操作のパターンとの類似度に基づいて前記操作受付手段が受け付けた操作が前記個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定することを特徴とする。
【0029】
この請求項12の発明によれば表示装置は、複数の視方向に対して個別の映像を同一画面上に表示するとともに、受け付けた操作のパターンと操作履歴の操作パターンとの類似度に基づいて個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定する。
【0030】
また、請求項13の発明に係る表示装置は、請求項1〜12のいずれか一つに記載の発明において、車両に搭載され、自車両に関する状態を取得する車両状態取得手段をさらに備え、前記操作対象推定手段は、前記自車両に関する状態に基づいて前記操作が前記個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定することを特徴とする。
【0031】
この請求項13の発明によれば表示装置は、車両に搭載され、自車両に関する状態に基づいて個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定する。
【0032】
また、請求項14の発明に係る表示装置は、請求項13に記載の発明において、前記車両状態取得手段は、車室内の気温を取得し、前記操作対象推定手段は、前記気温に基づいて前記操作が空調機器に対する操作である可能性を判定することを特徴とする。
【0033】
この請求項14の発明によれば表示装置は、車両に搭載され、車室内の気温に基づいてユーザからの操作が空調機器に対する操作である可能性を判定する。
【0034】
また、請求項15の発明に係る表示装置は、複数の視方向に対して個別の映像を同一画面上に表示する表示手段と、ユーザからの操作を受け付ける操作受付手段と、操作履歴を記憶する履歴記憶手段と、前記操作受付手段が受け付けた操作のパターンと前記履歴記憶手段が記憶した操作のパターンとの類似度に基づいて前記操作受付手段が受け付けた操作が前記個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定する操作対象推定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0035】
この請求項15の発明によれば表示装置は、数の視方向に対して個別の映像を同一画面上に表示するとともに、受け付けた操作のパターンと操作履歴の操作パターンとの類似度に基づいて個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定する。
【0036】
また、請求項16の発明に係る表示装置は、請求項15に記載の発明において、車両に搭載され、自車両に関する状態を取得する車両状態取得手段をさらに備え、前記操作対象推定手段は、前記自車両に関する状態に基づいて前記操作が前記個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定することを特徴とする。
【0037】
この請求項16の発明によれば表示装置は、車両に搭載され、自車両に関する状態に基づいて個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定する。
【0038】
また、請求項17の発明に係る表示装置は、請求項16に記載の発明において、前記車両状態取得手段は、車室内の気温を取得し、前記操作対象推定手段は、前記気温に基づいて前記操作が空調機器に対する操作である可能性を判定することを特徴とする。
【0039】
この請求項17の発明によれば表示装置は、車両に搭載され、車室内の気温に基づいてユーザからの操作が空調機器に対する操作である可能性を判定する。
【発明の効果】
【0040】
請求項1の発明によれば表示装置は、複数の視方向に対して個別の映像を同一画面上に表示するとともに、ユーザからの操作を受け付けた場合にその時間を取得し、時間情報に基づいて個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定するので、ユーザの意図する制御を実行可能な表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0041】
また、請求項2の発明によれば表示装置は、複数の視方向に対して個別の映像を同一画面上に表示するとともに、ユーザからの操作を受け付けた場合に、その時刻を取得し、時刻情報に基づいて個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定するので、時刻情報に基づいてユーザの意図する制御を実行可能な表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0042】
また、請求項3の発明によれば表示装置は、放送受信出力に関する映像を含む複数の映像をそれぞれ異なる視方向に表示するとともに、ユーザからの操作を受け付けた場合に、時刻情報に基づいて放送受信出力に関する映像に対する操作であると推定するので、放送受信出力に対する操作であるか否かを簡易に推定する表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0043】
また、請求項4の発明によれば表示装置は、ユーザからの操作を受け付けた場合に時刻情報と放送予定情報とを参照し、放送番組の切換わる時間近傍に受け付けた操作は放送受信出力に関する映像に対する操作であると推定するので、放送受信出力に対する操作であるか否かを簡易かつ高精度に推定可能な表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0044】
また、請求項5の発明によれば表示装置は、複数の視方向に対して個別の映像を同一画面上に表示するとともに、ユーザからの操作を受け付けた場合に、相対時間情報に基づいて個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定するので、相対時間情報に基づいてユーザの意図する制御を実行可能な表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0045】
また、請求項6の発明によれば表示装置は、複数の視方向に対して個別の映像を同一画面上に表示するとともに、前回の操作から所定時間内に受け付けられた操作について、前回の操作と同一の視方向に表示した映像に対する操作であると推定するので、同一の視方向に対する操作を簡易に推定可能な表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0046】
また、請求項7の発明によれば表示装置は、コンテンツデータの再生出力に関する映像を少なくとも一つの視方向に表示し、コンテンツデータの再生出力終了から所定時間内に操作が受け付けられた場合に、その操作がコンテンツデータの再生に関する操作であると推定するので、コンテンツデータの再生状態に応じてユーザの操作を推定可能な表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0047】
また、請求項8の発明によれば表示装置は、車両に搭載され、エンジン始動から所定時間以内に操作が受け付けられた場合に、その操作がナビゲーション機能に対する操作であると推定するので、走行前のナビゲーション設定を円滑に操作可能な表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0048】
また、請求項9の発明によれば表示装置は、車両に搭載され、乗員の乗車から所定時間以内に操作が受け付けられた場合に、その操作がナビゲーション機能に対する操作であると推定するので、走行前のナビゲーション設定を円滑に操作可能な表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0049】
また、請求項10の発明によれば表示装置は、複数の視方向に対して個別の映像を同一画面上に表示するとともに、ユーザからの操作を受け付けた場合に、時間情報と履歴情報に基づいて個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定するので、履歴情報を用いてユーザの意図する制御を実行可能な表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0050】
また、請求項11の発明によれば表示装置は、複数の視方向に対して個別の映像を同一画面上に表示するとともに、乗車履歴から助手席における乗員の有無を推測し、推測結果に基づいて個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定するので、乗員構成から操作対象を特定可能な表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0051】
また、請求項12の発明によれば表示装置は、複数の視方向に対して個別の映像を同一画面上に表示するとともに、受け付けた操作のパターンと操作履歴の操作パターンとの類似度に基づいて個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定するので、操作パターンに基づいてユーザの意図する制御を実行可能な表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0052】
また、請求項13の発明によれば表示装置は、車両に搭載され、自車両に関する状態に基づいて個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定することを特徴とするので、自車の状態に基づいてユーザの意図する制御を推定する表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0053】
また、請求項14の発明によれば表示装置は、車両に搭載され、車室内の気温に基づいてユーザからの操作が空調機器に対する操作である可能性を判定するので、車室内の気温から空調機器に対する操作が行なわれるか否かを推定する表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0054】
また、請求項15の発明によれば表示装置は、数の視方向に対して個別の映像を同一画面上に表示するとともに、受け付けた操作のパターンと操作履歴の操作パターンとの類似度に基づいて個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定するので、操作パターンに基づいてユーザの意図する制御を実行可能な表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0055】
また、請求項16の発明によれば表示装置は、車両に搭載され、自車両に関する状態に基づいて個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定するので、自車の状態に基づいてユーザの意図する制御を推定する表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0056】
また、請求項17の発明によれば表示装置は、車両に搭載され、車室内の気温に基づいてユーザからの操作が空調機器に対する操作である可能性を判定するので、車室内の気温から空調機器に対する操作が行なわれるか否かを推定する表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ物である。
【0058】
図1は、本発明に係る表示装置の概念図である。図中、1は第1の画像ソース、2は第2の画像ソース、3は第1の画像ソースからの第1の画像データ、4は第2の画像ソースからの第2の画像データ、5は表示制御部、6は表示データ、7は表示部(例えば液晶パネル等)、8は第1の画像ソース1に基づく第1の表示画像、9は第2の画像ソース2に基づく第2の表示画像、10は表示部7に対して左側に位置する観察者(利用者)、11は表示部7に対して右側に位置する観察者(利用者)である。
【0059】
図1の概念図は、表示部7に対する観察者10、11の相対的位置に応じて、換言すれば表示部7に対する視野角に応じて、観察者10は第1の表示画像8を、観察者11は第2の表示画像9を実質的に同時に見ることができ、しかも各々の表示画像8、9は表示部7の表示面全体に渡ってみることができることを概念的に示している。図1において、第1の画像ソース1は例えばDVDプレーヤの映画画像やテレビ受信機の受信画像等、第2の画像ソース2は例えばカーナビゲーション装置の地図やルート案内画像等であり、それぞれの第1の画像データ3及び第2の画像データ4は表示制御部5に供給され、それらを表示部7で実質的に同時に表示できるように処理される。
【0060】
表示制御部5から表示データ6を供給される表示部7は、後述する視差バリアを備えた液晶パネル等で構成される。表示部7の横方向の総画素の半数が第1の画像ソース1に基づく第1の表示画像8の表示に、残りの半数の画素が第2の画像ソース2に基づく第2の表示画像9の表示に使用される。表示部7に対して左側に位置する観察者10には、第1の表示画像8に対応する画素のみが見え、第2の表示画像9は表示部7の表面に形成されている視差バリアによって遮られて実質的に見えない。一方、表示部7に対して右側に位置する観察者11には、第2の表示画像9に対応する画素のみが見え、第1の表示画像8は視差バリアにより遮られて実質的に見えない。尚、視差バリアについては、例えば特許文献6、特許文献7に開示された構成を応用できる。
【0061】
【特許文献6】特開平10−123462号公報
【特許文献7】特開平11−84131号公報
【0062】
係る構成により、単一の画面で左右の利用者に異なる情報やコンテンツを提供することができる。もちろん、第1、第2の画像ソースが同じであれば、従来どおり左右の利用者が同じ画像を見ることもできる。
【0063】
図2は、本発明に係るマルチビュー表示装置の車両への搭載例を示す斜視図である。図中、12は助手席、13は運転席、14はウインドシールド、15は操作部、16はスピーカである。
【0064】
図1のマルチビュー表示装置の表示部7は、例えば図2に示すように、運転席13と助手席12とのほぼ中央のダッシュボード部分に配置される。マルチビュー表示装置に対する各種操作は、表示部7の表面に一体的に形成したタッチパネル(図示せず)や操作部15又は、赤外線又は無線リモートコントローラ(図示せず)の操作によって行なわれる。車両の各ドアにはスピーカ16が配置され、表示画像に連動した音声や警告音等が出力される。
【0065】
運転席13に図1の観察者11が、助手席12には観察者10が座る。表示部7に対する第1視方向(運転席側)から見ることができる画像は例えばカーナビゲーション装置の地図等の画像であり、実質的に同時に第2視方向(助手席側)から見ることができる画像は例えばテレビ受信画像やDVDムービー画像である。従って、運転席13の運転者がカーナビゲーションによる運転支援を受けるのと同時に助手席12の同乗者はテレビやDVDを楽しむことができる。しかもそれぞれの画像は例えば7インチの画面全体を使用して表示されるため、従来のマルチウインドウ表示のように画面サイズが小さくなることもない。つまり、運転者、同乗者にとっては、あたかも各々に独立した専用のディスプレイがあるかの如く、それぞれに最適な情報やコンテンツが提供されるのである。
【0066】
図3は、表示部7の断面構造の概略図である。図中、100は液晶パネル、101はバックライト、102は液晶パネルのバックライト側に設置された偏光板、103は液晶パネルの発光方向側の前面に配置された偏光板、104はTFT(Thin Film Transistor)基板、105は液晶層、106はカラーフィルター基板、107はガラス基板、108は視差バリアである。液晶パネル100は、TFT基板104とそれに対向して配置されるカラーフィルター基板106の間に液晶層105を挟持した一対の基板と、その発光方向側の前面に配置された視差バリア108とガラス基板107とを、2枚の偏光板102・103の間に挟んだ構成となっており、バックライト101からやや離隔して配設される。また、液晶パネル100は、RGB色(三原色)構成される画素を有する。
【0067】
液晶パネル100の各画素は、左側(助手席側)表示用と、右側(運転席側)表示用に分けられて表示制御される。そして、左側(助手席側)表示用画素は、視差バリア108により右側(運転席側)への表示は遮断され、左側(助手席側)からは見えるようになっている。また、右側(運転席側)表示用画素は、視差バリア108により左側(助手席側)への表示が遮断され、右側(運転席側)からは見えるようになっている。これによって、運転席と同乗者に異なった表示を提供することが可能となる。つまり、運転者にはナビゲーションの地図情報を与え、同時に同乗者にはDVDの映画等を見せることが可能となる。なお、視差バリア108、前記液晶パネルの各画素の構成を変更すれば、3方向等、複数方向に異なった画像を表示する構成も可能である。また、視差バリア自体を電気的に駆動可能な液晶シャッター等で構成して視野角を可変するようにしてもよい。
【0068】
図4は、表示パネルを正面から見た構造の概略図であり、図3は図4中のA−A’断面である。図中、109は左側(助手席側)表示用の画素、110は右側(運転席側)表示用の画素である。図3及び図4は、例えば横方向に800画素、縦方向に480画素並べられた液晶パネル100の一部を表す。左側(助手席側)表示用の画素109と右側(運転席側)表示用の画素110は縦方向にグループ化され、交互に並んでいる。視差バリア108は、横方向にある間隔で配置され、縦方向には一様である。これによって、左側から表示パネルを見ると、視差バリア108が右側用画素110を覆い隠して、左側用画素109が見える。また同様に右側から見ると、視差バリア108が左側用画素109を覆い隠して、右側用画素110が見える。さらに正面付近では、左側用画素109と右側用画素110の両方が見えるため、左側表示画像と右側表示画像とが実質的に重なって見える。ここで、図4中の交互に並んだ左側用画素109及び右側用画素110は、図3のようにRGB色を有しているが、各グループ縦方向内は、R列、G列、B列のように単色で構成されていても良いし、RGBが複数混じった例として構成されていてもよい。
【0069】
図5はTFT基板104の概略を示す回路図である。111は表示パネル駆動部、112は走査線駆動回路、113はデータ線駆動回路、114はTFT素子、115〜118はデータ線、119〜121は走査線、122は画素電極、123はサブピクセルである。図5に示すように、サブピクセル123は各データ線115〜118及び各走査線119〜121によって囲まれた領域を一単位とし、複数形成される。各サブピクセルには、液晶層105に電圧を印加する画素電極122とそれをスイッチング制御するTFT素子114が形成されている。表示パネル駆動部111は走査線駆動回路112及びデータ線駆動回路113の駆動タイミングを制御する。走査線駆動回路112はTFT素子114の選択走査を行い、またデータ線駆動回路113は画素電極122への印加電圧を制御する。
【0070】
前記複数のサブピクセルは、第1の画像データと第2の画像データの合成データもしくは、第1と第2の個々の画像データに基づいて、例えばデータ線115と117に第1の画素データ(左側画像表示用)を、またデータ線116と118に第2の画素データ(右側画像表示用)を駆動することによって、第1の画像を表示する第1の画像データ群と第2の画像を表示する第2の画像データ群が形成される。
【0071】
図6は、本発明に係わる表示装置の概略を示すブロック図であり、いわゆる Audio Visual Navigation 複合機への適用例である。図中、124はタッチパネル、200は制御部、201はCD/MD再生部、202はラジオ受信部、203はTV受信部、204はDVD再生部、205はHD(Hard Disk)再生部、206はナビゲーション部、207は分配回路、208は第1の画像調整回路、209は第2の画像調整回路、210は音声調整回路、211は画像出力部、212はVICS情報受信部、213はGPS情報受信部、214はセレクタ、215は操作部、216はリモコン送受信部、217はリモコン、218はメモリ、219は外部音声/映像入力部、220はカメラ、221は明るさ検知手段、222は乗員検知手段、223はリア表示部、224はETC車載器、225は通信ユニット、300は履歴データベースである。
【0072】
表示部7は、タッチパネル124、液晶パネル100及びバックライト101から構成される。表示部7の液晶パネル100は、これまでに述べてきたように、第1視方向として運転席側から見られる画像と、第2視方向として助手席側から見られる画像とを、実質的に同時に表示することが可能となっている。尚、表示部7には、液晶パネル以外のフラットパネルディスプレイ、例えば有機ELディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、冷陰極フラットパネルディスプレイ等を用いることもできる。
【0073】
制御部200は、各種ソース(CD/MD再生部201、ラジオ受信部202、TV受信部203、DVD再生部204、HD再生部205及びナビゲーション部206)からの画像や音声を、分配回路207により、画像であれば第1の画像調整回路208及び第2の画像調整回路209に、音声であれば音声調整回路210にそれぞれ分配させる。そして、第1及び第2の画像調整回路208、209では、輝度や色調、コントラストなどが調整され、調整された各画像を画像出力部211にて、表示部7に表示させる。また音声調整回路210では、各スピーカへの分配や音量、音声が調整され、調整された音声が、スピーカ16から出力される。
【0074】
図7は、画像出力部211の概略を示すブロック図である。図中、226は第1の書込回路、227は第2の書込回路、228はVRAM(Video RAM)である。
【0075】
画像出力部211は、例えば図7に示すように、第1の書込回路226と第2の書込回路227とVRAM(Video RAM)228と表示パネル駆動部111とを備えている。例えば、第1の書込回路226は、調整された画像データのうち画像の奇数列に対応する画像データを、第2の書込回路227は偶数列に対応する画像データをもとにし、それぞれVRAM228における該当する領域に書き込む。また表示パネル駆動部111は液晶パネル100を駆動する回路であり、VRAM228に保持されている画像データ(第1の画像データと第2の画像データの合成データ)に基づいて、液晶表示パネル100の対応する画素を駆動する。尚、VRAM228には第1の画像データと第2の画像データの合成されたマルチビュー表示用の画像に対応するように画像データの書き込みが行なわれているので、駆動回路は一つでよく、その動作も通常の液晶表示装置の駆動回路の動作と同じである。また別の構成として、第1の画像データと第2の画像データを合成せずに、それぞれの画像データに基づいて、液晶表示パネルの対応する画素を駆動する第1の表示パネル駆動回路及び第2の表示パネル駆動回路を用いることも考えられる。
【0076】
ここで、図6で示した各種ソースの一例について説明をすると、HD再生部205を選択した場合、ハードディスク(HD)に記憶されたMP3ファイル等の音楽データやJPEGファイル等の画像データ、ナビゲーション用の地図データ等か読み出され、音楽データを選択するためのメニュー表示や画像データを表示部7に表示させることができる。
【0077】
ナビゲーション部206は、ナビゲーションの為に利用される地図情報を記憶した地図情報記憶部を備え、VICS情報受信部212、GPS情報受信部213から情報を入手し、ナビゲーション動作の為の画像を作成し、表示させることができる。またTV受信部203は、アンテナからセレクタ214を介して、アナログTV放送波及びデジタルTV放送波を受信する。
【0078】
図8は制御部200の概略を示すブロック図である。図中、229はインターフェース、230はCPU、231は記憶部、232はデータ記憶部である。
【0079】
制御部200は分配回路207並びに各種ソースを制御し、選択された2つのソースもしくは1つのソースについて表示を行なわせる。また制御部200は、これら各種ソースをコントロールするための操作メニュー表示を表示部7に表示させることも行なっている。ここで、図8で示すように、制御部200はマイクロプロセッサなどで構成され、インターフェース229を介して、表示装置内の各部や各回路を統括的に制御しているCPU230を備えている。このCPU230には、表示装置の動作に必要な各種プログラムを保持するROMからなるプログラム記憶部231と、各種データを保持するRAMからなるデータ記憶部232とが設けられている。なお、ROMやRAM等は、CPUに内蔵されたものでも、外部に設けたものでも使用することが可能である。又、ROMはフラッシュメモリの様に電気的に書き換え可能な不揮発性メモリでもよい。
【0080】
ユーザは、上記各種ソースのコントロールを、表示部7の表面に取り付けられているタッチパネル124や表示部7の周囲に設けられたスイッチ、もしくは音声認識等の入力操作や選択操作を操作部215によって行なうことができる。またリモコン送受信部216を介して、リモコン217により入力もしくは選択操作をしてもよい。制御部200は、このタッチパネル124や操作部215の操作に従って、各種ソースを含めた制御を行なっている。また、制御部200は、図2のように車両内に複数備え付けられたスピーカ16の各音量等を、音声調整回路210を用いて制御することができるように構成されている。また制御部200は、メモリ218に画質設定情報やプログラム、車両情報等の各種設定情報を記憶させることも行なっている。
【0081】
ここで、制御部200は、タッチスイッチとなる描画オブジェクト(釦など)がオブジェクトを記憶したマイコンより出力され、表示映像に重畳表示することで表示された描画オブジェクトの画面領域上の位置と、タッチパネル124の押圧された操作位置から実行する機能を判断している。マルチビューでは、左右の表示を交互にしていることから、例えば図9に示すように、表示部上の領域7aに押圧を検知した場合に、ユーザが第1の表示画像上の描画オブジェクト8aに対する操作を意図したのか、第2の表示画像上の描画オブジェクト9aに対する操作を意図したのかの判別が必要となる。
【0082】
また、操作部215による操作についても、同一のスイッチに対して異なる機能を割り当てる場合にも、同様にユーザが第1の表示画像に対応する操作を意図したのか、第2の表示画像に対応する操作を意図したのかの判別が必要となる。
【0083】
図10は、メモリ218の概略を示すブロック図である。図中、233は第1の画面RAM、234は第2の画面RAM、235は画質設定情報記憶手段、236は対環境調整値保持手段である。
【0084】
メモリ218は、例えば図10に示すように、使用者が設定した第1の画像及び第2の画像の画質の調整値がそれぞれ書き込み可能な第1の画面RAM233および第2の画面RAM234と、第1の画像及び第2の画像の各画質調整用に予め複数段階の調整値が選択可能に記憶されている画質設定情報記憶手段235や、周囲環境に対する第1の映像及び第2の映像の画質の調整状態を保持する対環境調整値保持手段236を有している。画質設定情報記憶手段235及び対環境調整値保持手段236は、フラッシュメモリなどの電気的書き換え可能不揮発性メモリ又はバッテリバックアップされた揮発性メモリにより構成される。
【0085】
外部音声/映像入力部219に接続された、例えば後方監視用のカメラ220からの画像を表示部7に表示するようにしてもよい。なお、後方監視用カメラ220以外に、ビデオカメラ及びゲーム機等を外部音声/映像入力部219に接続してもよい。
【0086】
制御部200は、明るさ検知手段221(例えば、車両のライトスイッチや光センサ)や乗員検知手段222(例えば、圧力センサ)により検知された情報を元に、出力画像や音声の設定を変更させることが可能である。
【0087】
223は車両の後席用に設けられたリア表示部であり、画像出力部211を介して、表示部7に表示される画像と同じもの、もしくは運転席用の画像か助手席用の画像の一方が表示可能である。
【0088】
制御部200は、ETC車載器250からの料金表示等を表示させることを行っている。また制御部200は、携帯電話などと無線接続するための通信ユニット225を制御し、これに関する表示がされるようにしてもよい。
【0089】
履歴データベース300は、乗員の乗車履歴や、乗員による操作履歴を記憶する履歴記憶手段である。具体的な記憶媒体としてはハードディスクドライブなどを利用することが好適であり、地図データやコンテンツデータの格納手段と共用することができる。
【0090】
履歴データベース300に登録する履歴の取り方の一例を説明する。まず制御部200は、表示装置の起動時に図11に示すように、乗員を検知し(ステップS101,Yes)、かつ車両の発進を検知した場合(ステップS102,Yes)、走行開始時間と乗員の数および乗員位置を記憶する(ステップS103)。
【0091】
さらに制御部200は、車両の走行中には図12に示すようにユーザからの操作入力を監視し(ステップS201)、操作入力を検知した場合(ステップS201,Yes)には時刻および装置の状態を検出し(ステップS202)、操作内容を検出して(ステップS203)、時刻などと操作内容を関連付けて記憶する(ステップS204)。
【0092】
また、制御部200は車両走行中には、図13に示すように車両が駐車したか否かを監視しており(ステップS301)、車両の駐車を検知した(ステップS301,Yes)ならば、走行終了時間を図11のステップS103で記憶した開始時間に対応付けて記憶する(ステップS302)。
【0093】
その後、履歴データベース300を参照し、同じ時間帯の記録が存在しなければ(ステップS303,No)、走行時間帯、乗員の数および乗員位置を新規に登録して(ステップS306)、処理を終了する。
【0094】
一方、既に同じ時間帯の記録が存在するならば(ステップS303,Yes)、既存の記録と乗員位置が同じであるか否かを判定する(ステップS304)。その結果、乗員位置が同じであるならば(ステップS304,Yes)、その割合を更新して(ステップS305)、処理を終了する。また、乗員位置が異なる場合には(ステップS304,No)、走行時間帯、乗員数および乗員位置を新規に登録し、既存の情報との割合を更新して(ステップS307)、処理を終了する。
【0095】
つづいて、本発明における操作入力について説明する。既に述べたように本発明にかかる表示装置では、単一の画面で左右の利用者に異なる情報やコンテンツを提供することができる。これに対し、左右の映像に対する操作入力は、操作部215やタッチパネル124などを共用して行なう。そこで、制御部200は、操作部215やタッチパネル124が受け付けた操作が左右どちらの映像に対するものであるかを推定する処理を行なう。
【0096】
図14は、本発明に係る操作対象の推定処理について説明するフローチャートである。同図に示すように、表示装置は、操作入力を検知した場合(ステップS401,Yes)に、時間情報、履歴情報、車載機器の動作状態から操作対象となる方向を推定する(ステップS402)。
【0097】
その結果、運転席側に対する操作であるならば(ステップS403,運転席)、運転席側の表示ソースに操作を反映し(ステップS404)、助手席側に対する操作であるならば(ステップS403,助手席)、助手席側の表示ソースに操作を反映して(ステップS405)、処理を終了する。
【0098】
図15は、本発明に係る操作対象の推定を実現するための構成例について説明する説明図である。同図では、第1の画像ソース1が第1の表示画像8として表示され、第2の画像ソース2が第2の表示画像9として表示されている。また、制御部200は、その内部に機能構成として操作入力受付部301、操作対象推定部302、操作入力実行部303および履歴登録部304を有する。
【0099】
操作入力受付部301は、タッチパネル124や操作部215によるユーザからの操作入力を受け付けて、操作対象推定部302に出力する。操作対象推定部302は、操作入力が受け付けられた場合に、時間情報や履歴情報、各種車載機器の動作状態、表示画像(画像ソース)の種別などに基づいて操作入力が第1の表示画像8と第2の表示画像9のどちら側に対する操作であるかを推定する。
【0100】
そして、操作入力実行部303は、操作対象推定部302の推定結果をもとに第1の画像ソース1と第2の画像ソース2とのいずれかに対して操作を実行する。また、履歴登録部304は、乗員の乗車履歴305および乗員による操作履歴306を履歴データベース300に登録する。
【0101】
つづいて、図16を参照し、操作対象推定部302による操作対象推定処理について説明する。まず、絶対時間(すなわち時刻)が正時(1時0分、2時0分、など)や30分など、ラジオ・テレビの放送番組が切換わるタイミングである場合には、テレビやラジオの操作が行なわれる可能性が高い。
【0102】
そこで、第1の表示画像8と第2の表示画像9のいずれかが放送受信出力に関する映像(テレビ放送なら映像出力自体、ラジオ放送ならラジオ操作画面など)を出力している状態で、正時や30分に操作入力を受け付けた場合には、その操作が放送受信出力に関する映像に対して行なわれたものと推定する。また、ラジオ・テレビ放送の番組が切換わる時間(時刻)付近、例えば30分に別の番組が開始するなら、31分,32分,・・・などの絶対時間に操作入力を受け付けた場合にも放送受信出力に関する映像の操作と推定される構成であってもよい。
【0103】
さらに、番組がどの時刻に切換わるかを示す放送予定情報たとえば電子番組表(Electronic Program Guide)などを使用する場合、番組の切換わる時刻に受け付けた操作が放送受信出力に関する映像に対して行なわれたものと推定することができる。
【0104】
つぎに、相対時間、すなわち特定の状況が発生したタイミングと操作を受け付けたタイミングとの関係に基づいて、操作対象を推定することもできる。具体的には、エンジン制御機構からエンジンの始動を検知し、このエンジン始動タイミングの近傍で操作入力を受け付けた場合、あるいはエンジン始動から所定時間内に行なわれた場合には、操作対象推定部302は、ユーザがナビゲーション機能を操作した、あるいはその可能性が高いと推定する。
【0105】
さらに、ラジオ放送、テレビ放送の番組が切替わる時間から所定時間内に操作を受け付けた場合に、その操作が放送受信出力に関する映像に対して行なわれたものと推定する。
【0106】
また、ドアロック機構や乗員検知手段222の出力からユーザの乗車を検知し、この乗車から所定時間内に操作入力を受け付けた場合も、ナビゲーション機能を操作した、あるいはその可能性が高いものと推定することができる。なお、乗員検知手段やドアロック機構から運転者が乗り込んだことを判断でき、かつ他の乗員が乗車していない場合にのみナビゲーション機能を操作したと判断することとしてもよい。
【0107】
同様に、コンテンツデータ(CD、MD、DVD、HDなどに格納した音楽データや動画データ)の再生終了タイミング近傍で操作入力を受け付けた場合には、操作対象推定部302は、ユーザがコンテンツデータの選択機能を操作した、あるいはその可能性が高いと推定する。
【0108】
さらに、例えば運転席側でナビゲーション機能のメニュー釦が操作されたと推定した場合、下層のメニュー項目、すなわち操作された釦の下に属する他のメニュー項目をさらに操作することが考えられるので、前回操作から所定時間内に操作が実行された場合には、前回と同一の方向に表示した映像に対する操作である、あるいはその可能性が高いと推定する。
【0109】
なお、前回と操作自体も同一である場合には、前回の推定結果が誤りであるとして前回操作をキャンセルし、他方向の表示に対して操作制御を行なうこととしてもよい。例えば、助手席で助手席乗員がオーディオ操作(再生釦)を押下しても何の反応もなく、再度再生釦を押下している状況が考えられるので、そのような場合には相手側(運転席側)の映像に操作を反映したとして前回の操作をキャンセルして助手席側の表示映像に操作を反映させる。
【0110】
また、自動的に誤りであるとしてキャンセルする以外に、「反転スイッチ」など、ユーザ自身の入力に基づいて前回操作をキャンセルし、他方向に対して前回の操作入力を反映させる機能を持たせてもよい。
【0111】
さらに操作対象推定部302は、操作入力受付部301が受け付けた操作のパターンと、履歴データベース300が操作履歴306として記憶した操作パターンとを比較し、その類似度に基づいて受け付けた操作がいずれの画像ソースを対象としたものであるかを推定する。例えば、所定時間内に操作したディスプレイの押圧位置を遷移順に記憶し、今回の押圧位置の遷移順と記憶した遷移順を比較する。これによって例えばメニュー操作で上層から下層のメニュー項目を表示して決定するまでの操作をパターン化し、今回も同じパターンであるかを比較することで操作対象とする画像ソースを推定することができる。
【0112】
また、操作対象推定部302は、車両に係る状態、例えば車室内の気温や放送の受信状態の変化に基づいて、第1の画像ソース1と第2の画像ソース2とのいずれに対する操作が行なわれたかを推定する。
【0113】
具体的には、車室内の気温が変化した場合や、所定の温度範囲から外れている場合には、空調装置が操作される、あるいはその可能性が高いと推定し、テレビやラジオの受信状態が劣化した場合には、放送受信出力に関する映像に対して行なわれた可能性が高いと推定する。
【0114】
なお、絶対時間についてはナビゲーション部206から取得することができる。また相対時間については、絶対時間を参照して相対時間を測定してもよいし、制御部200内部などにタイマーを設けてもよい。車載機器の動作状態については、該当する車載機器から直接取得すればよい。
【0115】
つづいて、乗車履歴306に基づく操作対象推定について説明する。乗車履歴306は、図17に示すように、時間帯と乗員構成を関連付けて記憶している。同図では、午前7時30分から午前8時30分の間に、運転席のみ乗車して助手席に乗員が居ない状態で8回走行した履歴と、運転席と助手席にともに乗員が乗車した状態で1回走行した履歴が残されている。
【0116】
この履歴から操作対象推定部302は、午前7時30分から午前8時30分の間の走行について、助手席に乗員が居ない確率は90%であると設定する。すなわち、午前7時30分から午前8時30分の走行については、運転席側に出力した映像に対する操作入力が行なわれる確率が90%であると推定する。
【0117】
なお、図17に示した履歴はあくまで一例であり、例えば曜日情報を使用する、乗員の個人識別を使用する、などによってさらに詳細な履歴を作成すれば、推定の精度を向上することができる。
【0118】
このように操作対象推定部302は、時間情報や履歴情報、各種車載機器の動作状態などから操作入力が左右どちらの映像に対するものである可能性が高いかを総合判断し、もっとも可能性が高い映像に対する操作が実行されたものと推定する。そして、その推定結果に基づいて、操作入力実行部303が操作に対応する機能を実現するよう処理を行なう。
【0119】
なお、どちらの映像に対する操作であるかを推定した結果に基づき、ユーザに推定結果を通知して確認するような処理を行ない(例えば、ユーザによる確認スイッチの操作により判断する)、推定が正しければ対応する動作処理を行なってもよい。こうすることで、誤った処理を未然に防止することができる。
【0120】
上述してきたように、本実施例にかかる表示装置は、単一の画面で左右の利用者に異なる情報やコンテンツを提供するとともに、ユーザからの操作入力を受け付けた場合に、時間情報や履歴情報、各種車載機器の動作状態などから操作入力が左右どちらの映像に対するものである可能性が高いかを推定することで、ユーザの意図する制御を実行することができる。
【0121】
なお、本実施例では、2つの方向に異なる2つの映像を出力する2視野表示を例に説明を行なったが、3以上の複数の方向に異なる映像を出力する多方向表示として実施することもできる。また、本実施例では車載用の装置を例に説明を行なったが、本発明の利用はこれに限定されるものではなく、例えば家庭用、パチンコゲームなどの遊戯用など車載用途以外の表示装置にも適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0122】
以上のように、本発明にかかる表示装置は、多方向への表示制御に有用であり、特に多方向表示の際の操作入力制御に適している。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明に係る表示装置の概念図である。
【図2】表示装置の搭載例を示す斜視図である。
【図3】表示部の断面構造の概略図である。
【図4】表示パネルを正面から見た構造の概略図である。
【図5】TFT基板の概略を示す回路図である。
【図6】本発明に係る表示装置の概略を示すブロック図である。
【図7】画像出力部211の概略を示すブロック図である。
【図8】制御部200の概略を示すブロック図である。
【図9】タッチパネル上の領域の共用について説明する説明図である。
【図10】メモリ218の概略を示すブロック図である。
【図11】履歴の取得処理について説明するフローチャートである(その1)。
【図12】履歴の取得処理について説明するフローチャートである(その2)。
【図13】履歴の取得処理について説明するフローチャートである(その3)。
【図14】操作対象の推定処理について説明するフローチャートである。
【図15】操作対象の推定を実現するための構成例について説明する説明図である。
【図16】操作対象推定の具体例について説明する説明図である。
【図17】乗車履歴について説明する説明図である。
【符号の説明】
【0124】
1 第1の画像ソース
2 第2の画像ソース
3 第1の画像データ
4 第2の画像データ
5 表示制御部
6 表示データ
7 表示部
7a 表示領域
8 第1の表示画像
8a 描画オブジェクト
9 第2の表示画像
9a 描画オブジェクト
10 観察者
11 観察者
12 助手席
13 運転席
14 ウインドシールド
15 操作部
16 スピーカ
100 液晶パネル
101 バックライト
102 偏光板
103 偏光板
104 TFT基板
105 液晶層
106 カラーフィルター基板
107 ガラス基板
108 視差バリア
109 左側(助手席側)表示用の画素
110 右側(運転席側)表示用の画素
111 表示パネル駆動部
112 走査線駆動回路
113 データ線求道回路
114 TFT素子
115〜118 データ線
119〜121 走査線
122 画素電極
123 サブピクセル
124 タッチパネル
200 制御部
201 CD/MD再生部
202 ラジオ受信部
203 TV受信部
204 DVD再生部
205 HD(Hard Disk)再生部
206 ナビゲーション部
207 分配回路
208 第1の画像調整回路
209 第2の画像調整回路
210 音声調整回路
211 画像出力部
212 VICS情報受信部
213 GPS情報受信部
214 セレクタ
215 操作部
216 リモコン送受信部
217 リモコン
218 メモリ
219 外部音声/映像入力部
220 カメラ
221 明るさ検知手段
222 乗員検知手段
223 リア表示部
224 ETC車載器
225 通信ユニット
226 第1の書込回路
227 第2の書込回路
228 VRAM(Video RAM)
229 インターフェース
230 CPU
231 記憶部
232 データ記憶部
233 第1の画面RAM
234 第2の画面RAM
235 画質設定情報記憶手段
236 対環境調整値保持手段
300 履歴データベース
301 操作入力受付部
302 操作対象推定部
303 操作入力実行部
304 履歴登録部
305 乗車履歴
306 操作履歴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の視方向に対して個別の映像を同一画面上に表示する表示手段と、
ユーザからの操作を受け付ける操作受付手段と、
前記操作受付手段が操作を受け付けた時間を取得し、当該時間情報に基づいて前記操作が前記個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定する操作対象推定手段と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記時間情報は、絶対時間であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記個別映像が放送受信出力に関する映像であって、前記操作対象推定手段は、前記絶対時間に基づいて前記操作が前記放送受信出力に関する映像に対する操作であると推定することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記操作対象推定手段は、放送予定情報を用い、放送番組の切換わる時間近傍に前記操作が受け付けられた場合に、当該操作が前記放送受信出力に関する映像に対する操作であると推定することを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記時間情報は、相対時間であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記操作対象推定手段は、前回の操作から所定時間内に受け付けられた操作について、前回の操作と同一の視方向に表示した映像に対する操作であると推定することを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示手段は、コンテンツデータの再生出力に関する映像を少なくとも一つの視方向に表示し、前記操作対象推定手段は、コンテンツデータの再生出力終了から所定時間内に前記操作が受け付けられた場合に、当該操作がコンテンツデータの再生に関する操作であると推定することを特徴とする請求項5または6に記載の表示装置。
【請求項8】
車両に搭載され、前記操作対象推定手段は、エンジン始動から所定時間以内に前記操作が受け付けられた場合に、当該操作がナビゲーション機能に対する操作であると推定することを特徴とする請求項5,6または7に記載の表示装置。
【請求項9】
車両に搭載され、前記操作対象推定手段は、乗員の乗車から所定時間以内に前記操作が受け付けられた場合に、当該操作がナビゲーション機能に対する操作であると推定することを特徴とする請求項5〜8のいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項10】
乗員の乗車履歴および/または操作履歴を記憶する履歴記憶手段をさらに備え、前記操作対象推定手段は、前記乗車履歴および/または前記操作履歴をさらに用いて前記操作が前記個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項11】
前記操作対象推定手段は、前記乗車履歴から助手席における乗員の有無を推測し、該推測結果に基づいて前記操作が前記個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定することを特徴とする請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記操作対象推定手段は、前記操作受付手段が受け付けた操作のパターンと前記履歴記憶手段が記憶した操作のパターンとの類似度に基づいて前記操作受付手段が受け付けた操作が前記個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定することを特徴とする請求項10または11に記載の表示装置。
【請求項13】
車両に搭載され、自車両に関する状態を取得する車両状態取得手段をさらに備え、前記操作対象推定手段は、前記自車両に関する状態に基づいて前記操作が前記個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項14】
前記車両状態取得手段は、車室内の気温を取得し、前記操作対象推定手段は、前記気温に基づいて前記操作が空調機器に対する操作である可能性を判定することを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
複数の視方向に対して個別の映像を同一画面上に表示する表示手段と、
ユーザからの操作を受け付ける操作受付手段と、
操作履歴を記憶する履歴記憶手段と、
前記操作受付手段が受け付けた操作のパターンと前記履歴記憶手段が記憶した操作のパターンとの類似度に基づいて前記操作受付手段が受け付けた操作が前記個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定する操作対象推定手段と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項16】
車両に搭載され、自車両に関する状態を取得する車両状態取得手段をさらに備え、前記操作対象推定手段は、前記自車両に関する状態に基づいて前記操作が前記個別の映像のいずれに対する操作であるかを推定することを特徴とする請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記車両状態取得手段は、車室内の気温を取得し、前記操作対象推定手段は、前記気温に基づいて前記操作が空調機器に対する操作である可能性を判定することを特徴とする請求項16に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−78933(P2007−78933A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−264834(P2005−264834)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】