説明

表面検査装置および照明光の光量制御方法

【課題】、基板を照射する照明光の光量を高い精度で検出して、基板表面の検査精度を向上させることができる、表面検査装置および照明光の光量制御方法を提供する。
【解決手段】 ウェハ10を載置保持するホルダ20と、ホルダ20により載置保持されたウェハ10の表面に照明光を照射する照明光学系30と、照明光が照射されたウェハ10の表面からの光を検出する撮像光学系40と、撮像光学系40で検出された光に基づいて、ウェハ10の表面における欠陥の有無を検査する画像処理装置50とを有する表面検査装置1において、ホルダ20の照明光を受ける位置に設けられた反射部61と、照明光が照射された反射部61からの正反射光の光量を検出する光量検出部62と、光量検出部62により検出された光量に基づいて照明光の光量制御を行う制御装置55とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハや液晶基板等の表面を検査する表面検査に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体回路素子や液晶表示素子の製造工程では、半導体ウェハや液晶基板(以降、総じて「基板」と称する)の表面に形成された繰り返しパターン(配線パターン等のライン・アンド・スペースのパターン)等の検査が行われる。自動化された表面検査装置では、チルト可能なホルダの上に基板を載置し、基板の表面に検査用の照明光(非偏光)を照射し、基板上の繰り返しパターンから発生する回折光(例えば、1次回折光)に基づいて基板の画像を取り込み、この画像の明暗差(コントラスト)に基づいて繰り返しパターンの異常箇所を特定する。さらに、このような表面検査装置は、ホルダをチルト調整することにより、基板上の繰り返しピッチが異なる繰り返しパターン等の検査を行うことができる(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
基板の表面に形成された繰り返しパターンを検査する技術として、上述のような回折光を用いた検査(以降、このような検査を回折検査と称する)の他、正反射光を用いた検査(以降、このような検査を正反射検査と称する)や、パターンの構造性複屈折による偏光状態の変化を利用した検査(以降、このような検査をPER検査と称する)等がある。これらの検査方法によれは、露光装置のデフォーカスやドーズシフトに基づく線幅不良、レジスト塗布不良等を、高速かつ高精度で検出することができる。
【0004】
このような表面検査装置では、基板へ照射する照明光の光量制御を行うため、例えば、光源から基板を照らす照明光学系へと導光するガイドファイバから分岐した光量検出用ファイバの射出端に、照明光の光量を検出する光量センサを設けている。
【特許文献1】特開2002−162368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、光量検出用ファイバに設けられた光量センサを用いると、光源からの光を導くガイドファイバの射出端から検出部までの間に、設けられている光学系に歪みや細かな傷、塵埃付着といった不具合が生じた場合、センサにより検出される照明光量と、実際に基板に照射される照明光量との間に誤差が生じてしまい、基板検査における精度が低下するという問題があった。
【0006】
また、ホルダ上の照明光を受ける位置にセンサを設けると、被検基板が大きく、例えば有効径が300mmほどある場合、この有効径の中心部分と、センサが設けられているホルダの有効径外縁付近とでは、到達する光量の差に大きな違いあるが、近年の表面検査に用いるCCD等の撮像素子の高画素化に伴い、ダイナミックレンジを大きく取ることが難しく、検出される照明光量に誤差が生じ易いという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、基板を照射する照明光の光量を高い精度で検出して、基板表面の検査精度を向上させることができる、表面検査装置および照明光の光量制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的達成のため、本発明に係る表面検査装置は、被検基板を載置保持するホルダと、前記ホルダにより載置保持された前記被検基板の表面に照明光を照射する照明部と、前記照明光が照射された前記被検基板の表面からの光を検出する第1検出部と、前記第1検出部で検出された光に基づいて、前記被検基板の表面における欠陥の有無を検査する検査部とを有する表面検査装置において、前記ホルダの前記照明光を受ける位置に設けられた反射部と、前記照明光が照射された前記反射部からの正反射光の光量を検出する第2検出部と、前記第2検出部により検出された光量に基づいて、前記照明光の光量制御を行う制御部とを有する。
【0009】
なお、前記第2検出部は、前記照明部から前記第1検出部に至る光路上の、前記第1検出部の直前に挿抜可能に設けられていることが好ましい。
【0010】
また、前記反射部は、鏡面加工されていることが好ましい。
【0011】
また、前記ホルダは、前記被検基板と接触する基板接触面に開口する凹溝を有し、前記反射部は、前記基板接触面の前記凹溝の底部に設けられていることが好ましい。
【0012】
また、前記ホルダは、傾動して前記被検基板の載置角度を変更できることが好ましい。
【0013】
また、前記ホルダは、セラミックス製であることが好ましい。
【0014】
また、本発明の照明光の光量制御方法は、上記の表面検査装置を用いて、前記検査部による前記被検基板の表面検査の開始直前に、前記第2検出部により前記反射部からの前記正反射光の光量を検出し、前記制御部により前記第2検出部が検出した光量に基づいて、前記照明光の光量制御を行う。
【0015】
また、本発明の照明光の光量制御方法は、上記の表面検査装置を用いて、前記検査部による前記被検基板の表面検査が所定枚数終了する毎に、前記第2検出部により前記反射部からの前記正反射光の光量を検出し、前記制御部により前記第2検出部が検出した光量に基づいて、前記照明光の光量制御を行う。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基板を照射する照明光の光量を高い精度で検出して、基板表面の検査精度を向上させることができる、表面検査装置および照明光の光量制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本実施形態の表面検査装置1は、図1に示すように、被検基板である半導体ウェハ10(以下、ウェハ10と称する)を支持するホルダ20と、照明光学系30と、撮像光学系40と、画像処理装置50と、制御装置55とを主体に構成される。表面検査装置1は、半導体回路素子の製造工程において、ウェハ10の表面の検査を自動的に行う装置である。ウェハ10は、最上層のレジスト膜への露光・現像後、不図示の搬送系により、不図示のウェハカセットまたは現像装置から運ばれ、ホルダ20に吸着保持される。
【0018】
ウェハ10の表面には、図2に示すように、複数のチップ領域11がXY方向に配列され、各チップ領域の中に所定の繰り返しパターン12が形成されている。繰り返しパターン12は、図3に示すように、複数のライン部2Aがその短手方向(X方向)に沿って一定のピッチPで配列されたレジストパターン(例えば、配線パターン)である。隣り合うライン部2A同士の間は、スペース部2Bである。なお、ライン部2Aの配列方向(X方向)を「繰り返しパターン12の繰り返し方向」と称する。
【0019】
ここで、繰り返しパターン12におけるライン部2Aの線幅DAの設計値をピッチPの1/2とする。すなわち、繰り返しパターン12は、ライン部2Aとスペース部2BとをX方向に沿って交互に配列した凹凸形状を有しており、適正な露光フォーカスで設計値の通りに形成された場合、ライン部2Aの線幅DAとスペース部2Bの線幅DBは等しくなり、ライン部2Aとスペース部2Bとの体積比は略1:1になる。このような理想的な形状の場合、後述の撮像光学系40で検出される偏光成分の光量(光の強度)は最も大きくなる。これに対し、露光フォーカスが適正値から外れると、ピッチPは変わらないが、ライン部2Aの線幅DAが設計値と異なってしまうとともに、スペース部2Bの線幅DBとも異なってしまい、ライン部2Aとスペース部2Bとの体積比が略1:1から外れる。このとき、偏光成分の光量は理想的な場合と比較して小さくなる。
【0020】
本実施形態の表面検査装置1は、上記のような繰り返しパターン12におけるライン部2Aとスペース部2Bとの体積比の変化を利用して、繰り返しパターン12の欠陥検査を行うものである。上述したように、体積比の変化は、露光フォーカスの適正状態からの外れに起因し、ウェハ10のショット領域毎に現れる。
【0021】
また、本実施形態においては、繰り返しパターン12に対する照明光(後述する直線偏光L)の波長と比較して繰り返しパターン12のピッチPが十分小さいものとする。このため、繰り返しパターン12から回折光が発生することはなく、繰り返しパターン12の欠陥検査を回折光により行うことはできない。
【0022】
表面検査装置1のホルダ20は、ウェハ10を上面で支持して、例えば真空吸着により固定保持する。さらに、ホルダ20は、ホルダ上面の中心における法線A1を中心軸として回転可能である。この回転機構によって、ウェハ10における繰り返しパターン12の繰り返し方向(図2および図3におけるX方向)を、ウェハ10の表面内で回転させることができる。また、ホルダ20は、ホルダ上面を通る軸A2を中心に、チルト(傾動)可能である。これにより、ウェハ10の載置角度を変更することができる。
【0023】
本実施形態においては、繰り返しパターン12の欠陥検査の感度を最も高くするため、ウェハ10における繰り返しパターン12の繰り返し方向を、図4に示すように、ウェハ10の表面における照明光(直線偏光L)の振動方向に対して、45度の角度に傾けて設定する。なお、角度は45度に限らず、22.5度や67.5度など任意角度方向に設定可能である。
【0024】
照明光学系30は、図1に示すように、特定の波長を有する光を射出する照明装置31と、第1の偏光板32と、第1の凹面反射鏡33とを有して構成される。照明装置31は、光源31aと、特定の波長を有する光を選択的に透過させる波長選択部31bと、波長選択部31bを透過した光を案内するライトガイドファイバ31cとを主体に構成される。なお、光源31aは、メタルハイドランプや水銀ランプ等の放電光源を内蔵しており、図示しない電源ユニットから供給される電力により、例えば180nm〜600nm程度の波長領域の光を射出するようになっている。なお、電源ユニットは、後述の制御装置55と電気的に接続されており、制御装置55から出力される制御信号により、光源31aに供給する電力が制御される(すなわち、光源31aから照射される照明光の光量が制御される)。
【0025】
第1の偏光板32は、照明装置31と第1の凹面反射鏡33との間の光路上に挿抜可能に配設され、照明装置31から射出された光を透過軸の向きに応じた直線偏光L(図4を参照)にする。第1の凹面反射鏡33は、球面の内側を反射面とした反射鏡であり、前側焦点が照明装置31のライトガイドファイバ31cの射出端と略一致し、後側焦点がウェハ10の表面と略一致するように、ホルダ20の斜め上方に配置されている。そして、第1の凹面反射鏡33は、第1の凹面反射鏡33で反射する第1の偏光板32からの光を平行光束にして、被検基板であるウェハ10へ照射する。
【0026】
すなわち照明光学系30は、ウェハ10側に対してテレセントリックな光学系である。なお、第1の凹面反射鏡33よりウェハ10側の照明光学系30の光軸O1は、ホルダ20の法線A1に対して角度θiだけ傾けられ、ホルダ20のチルト軸A2に対して直交している。
【0027】
上記の照明光学系30において、照明装置31からの光は、第1の偏光板32および第1の凹面反射鏡33を介してp偏光の直線偏光Lとなり、照明光としてウェハ10の表面全体に入射する。このとき、直線偏光Lの進行方向(ウェハ10表面上の任意の点に到達する直線偏光Lの主光線の方向)は光軸O1に略平行であることから、ウェハ10の各点における直線偏光Lの入射角度は、平行光束のため互いに同じであり、光軸O1と法線A1とのなす角度θiに相当する。
【0028】
なお、本実施形態では、ウェハ10に入射する直線偏光Lがp偏光であるため、図4に示すように、繰り返しパターン12の繰り返し方向が直線偏光Lの入射面(ウェハ10の表面における直線偏光Lの進行方向)に対して45度の角度に設定された場合、ウェハ10の表面における直線偏光Lの振動方向と繰り返しパターン12の繰り返し方向とのなす角度も、45度に設定される。言い換えると、直線偏光Lは、ウェハ10の表面における直線偏光Lの振動方向が繰り返しパターン12の繰り返し方向に対して45度傾いた状態で、繰り返しパターン12を斜めに横切るようにして繰り返しパターン12に入射することになる。
【0029】
撮像光学系40は、図1に示すように、第2の凹面反射鏡41と、第2の偏光板42と、開口絞り43と、結像レンズ44と、撮像装置45とを有して構成され、その光軸O2がホルダ20の中心を通る法線A1に対して角度θiと同じ角度θrだけ傾くように配設される。したがって、ウェハ10の表面(繰り返しパターン12)で正反射した正反射光は、撮像光学系40の光軸O2に沿って進行することになる。第2の凹面反射鏡41は、第1の凹面反射鏡33と同様の反射鏡であり、ウェハ10からの正反射光は、第2の凹面反射鏡41で反射するとともに集光され、第2の偏光板42、開口絞り43、結像レンズ44、および撮像装置45の撮像レンズを経て撮像装置45の撮像面上に達し、ウェハ10の像が結像される。
【0030】
第2の偏光板42は、第2の凹面反射鏡41と開口絞り43との間の光路上に挿抜可能に配設され、第2の偏光板42の透過軸の方位は、上述した照明光学系30の第1の偏光板32の透過軸に対して直交するように設定されている(クロスニコルの状態)。したがって、第2の偏光板42により、ウェハ10(繰り返しパターン12)からの正反射光のうち直線偏光Lと振動方向が略直角な偏光成分(例えば、s偏光の成分)を抽出して、撮像装置45に導くことができる。その結果、撮像装置45の撮像面には、ウェハ10からの正反射光のうち直線偏光Lと振動方向が略直角な偏光成分によるウェハ10の反射像が形成される。
【0031】
撮像装置45は、例えばCCD撮像素子等から構成され、撮像面に形成されたウェハ10の反射像を光電変換して、画像信号を画像処理装置50に出力する。ウェハ10の反射像の明暗は、撮像装置45で検出された偏光成分の光量(光の強度)に略比例し、繰り返しパターン12の形状に応じて変化する。ウェハ10の反射像が最も明るくなるのは、繰り返しパターン12が理想的な形状の場合である。なお、ウェハ10の反射像の明暗は、ショット領域毎に現れる。
【0032】
画像処理装置50は、撮像装置45から出力される画像信号に基づいて、ウェハ10の反射画像を取り込む。なお、画像処理装置50は、比較のため、良品ウェハの反射画像を予め記憶している。良品ウェハとは、繰り返しパターン12が理想的な形状で表面全体に形成されたものである。そのため、良品ウェハの反射画像の輝度情報(信号強度)は、最も高い輝度値を示すものと考えられる。
【0033】
したがって、画像処理装置50は、被検基板であるウェハ10の反射画像を取り込むと、その輝度情報(信号強度)を良品ウェハの反射画像の輝度情報(信号強度)と比較する。そして、ウェハ10の反射画像における暗い箇所の輝度値の低下量に基づいて、繰り返しパターン12の欠陥を検出する。例えば、光量変化が予め定められた閾値(許容値)より大きければ「欠陥」と判定し、閾値より小さければ「正常」と判断すればよい。そして、画像処理装置50による輝度情報(信号強度)の比較結果およびそのときのウェハ10の反射画像が図示しないモニターで出力表示される。
【0034】
なお、画像処理装置50においては、上述のように、画像記憶部51に良品ウェハの反射画像を予め記憶しておく構成の他、ウェハ10のショット領域の配列データと輝度値の閾値を予め記憶しておく構成でもよい。この場合、ショット領域の配列データに基づいて、取り込まれたウェハ10の反射画像中における各ショット領域の位置が分かるので、各ショット領域の輝度値を求める。そして、その輝度値と記憶されている閾値とを比較することにより、パターンの欠陥を検出する。閾値より輝度値が小さいショット領域を「欠陥」と判断すればよい。
【0035】
制御装置55は、ホルダ20や照明装置31等の作動を統括的に制御する。また、制御装置55には、オペレータが入力操作を行う情報入力装置56が電気的に接続されている。
【0036】
さらに、表面検査装置1は、図5に示すように、ホルダ20の照明光を受ける位置に設けられた反射部61と、照明光が照射された反射部61からの正反射光の光量を検出する光量検出部62(図1参照)とを有し、光量検出部62は検出信号を制御装置55に出力し、制御装置55により光源31aから出射される照明光の光量確認および制御(監視)を行う(実際には、不図示の電源ユニットから光源31aに供給される電力を制御する)。
【0037】
この構成により、ウェハ10を照射する照明光の光量を高い精度で検出することができるため、常に所定光量でウェハ10を照射することが可能であり、ウェハ10の表面の検査精度を向上させることができる。
【0038】
なお、光量検出部62は、照明光学系30から撮像光学系40に至る光路上の、撮像装置45の直前に、挿抜可能に設けられていることが好ましい。この構成により、照明ムラなどの外乱の影響を受けにくくなる上、撮像装置45で受光する光のほぼ全てを光量検出部62において検出することができる。その結果、照明光の光量検出の精度が上がり、ひいてはウェハ10の表面検査の精度の向上につながる。
【0039】
また、反射部61は、鏡面加工されていることが好ましい。この構成により、反射部61における光の散乱を低減し、光量検出部62に導かれる光強度を向上させることができる。すなわち、光量検出部62に入射する光の強度が強くできることにより微小な変化も検出可能となり光量検出の精度を上げることができる。
【0040】
また、反射部61は、図5に示すように、ホルダ20に形成されているウェハ10と接触する基板接触面20aに開口する凹溝20bに設けることもできる。この構成により、ウェハ10の接触面20aとほぼ同じ位置に反射部61を設けることができるため、実際にウェハ10に照射されている照明光と同じ光量を検出することができる。
【0041】
また、ホルダ20は、軽量で高剛性な材料である、セラミックス製であることが好ましい。セラミックスは、高硬度材料であって耐摩耗性に優れており、ウェハ10の平面精度を維持しつつ該ウェハ10を保持することができ、さらにホルダ20に対するウェハ10のロード及びアンロードを繰り返した場合でも摩耗し難い。また、ホルダ20の基板接触面20aの面積を狭める(すなわちウェハ10の支持部分を細くする)ことができるため、(鏡面加工された)反射部61を設ける凹溝底部20bの面積が拡がり、その結果、照明光量の検出精度を上げることができる。
【0042】
ここで、図6のフローチャートを用いて、表面検査装置1における照明光量の検出処理の一例を説明する。まず、(ウェハ10が載置されていない状態で)正反射条件を満足するようにホルダ20を傾動する(ステップS1)。次に、照明光学系30から撮像光学系40に至る光路上の、撮像装置45の直前の所定位置に光量検出部62を挿入する(ステップS2)。続いて、制御装置55により光源31aに電力を供給して、ホルダ20に向けて照明光を照射する(ステップS3)。そして、光量検出部62により、ホルダ20上の反射部61に照射された照明光の光量を検出する(ステップS4)。なお、光量検出部62は、その後、検出信号を制御装置55に送信する。すると、制御装置55は受信した検出信号に基づいて光源31aへの電力を制御し、照明光量の制御を行う(ステップS5)。そして、光路上から光量検出部62を退避させる(ステップS6)とともに、ホルダ20を傾動して表面検査に適するようにウェハ10の載置角度に戻し(ステップS7)、本処理を終了する。その後、検査用のウェハ10がホルダ20の上面に載置されて、ウェハ10の表面の繰り返しパターン12に対する欠陥検査が開始され、所定枚数終了後にはステップS1の処理に戻る。
【0043】
なお、上記のような照明光の光量のチェックは、ウェハ10の表面検査の開始直前や、所定枚数(例えば、カセット単位)の表面検査が終了する毎など、定期的に行うことが好ましい。これは、ウェハ10の表面検査の直前に、光量検出部62により照明光量の検出を行って照明光量の制御を行うことで、高い精度でのウェハの表面検査を実施することが可能となるからである。
【0044】
上述の実施形態において、反射部61は、ウェハ10を載置するホルダ20の表面に設けられているが、これに限られるものではない。例えば、図7に示すように、ホルダ20の裏面に鏡面加工を施し、これを反射部61としてもよい。この場合、ウェハ10をホルダ20に載置する直前にホルダ20を回転し、続いてホルダ20の裏面の反射部61が正反射条件を満足するようにホルダ20を傾動し、光量検出部62により照明光の光量検出を行うことが可能である。
【0045】
また、上述の実施形態において、照明光の光量制御を、不図示の電源ユニットから光源31aに供給される電力を制御することで行っているが、例えば、減光フィルター等を用いて行ってもよい。
【0046】
また、上述の実施形態において、照明光学系30がウェハ10の表面に照明光として直線偏光Lを照射し、撮像光学系40がウェハ10からの正反射光のうち直線偏光Lと振動方向が略直角な偏光成分によるウェハ10の像を撮像しているが、これに限られるものではない。例えば、第1および第2の偏光板32,42を光路上から抜去した状態で、照明光学系30によりウェハ10の表面に(偏光でない)照明光を照射し、撮像光学系40によりウェハ10の表面から発せられた回折光によるウェハ10の像を撮像するようにしてもよい。このように、ウェハ10の表面に照射する照明光は、直線偏光に限らず、直線偏光以外の楕円偏光や通常の照明光であっても、本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る表面検査装置の全体構成を示す図である。
【図2】半導体ウェハの表面の外観図である。
【図3】繰り返しパターンの凹凸構造を説明する斜視図である。
【図4】直線偏光の入射面と繰り返しパターンの繰り返し方向との傾き状態を説明する図である。
【図5】本発明に係るホルダの構成を示す図である。
【図6】照明光量の検出処理について説明するフローチャートである。
【図7】本発明に係るホルダの別の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 表面検査装置
10 ウェハ(被検基板)
20 ホルダ
20b 凹溝
30 照明光学系(照明部)
31 照明装置
31a 光源
40 撮像光学系(検出部)
50 画像処理装置(検査部)
55 制御装置
61 反射部
62 光量検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検基板を載置保持するホルダと、
前記ホルダにより載置保持された前記被検基板の表面に照明光を照射する照明部と、
前記照明光が照射された前記被検基板の表面からの光を検出する第1検出部と、
前記第1検出部で検出された光に基づいて、前記被検基板の表面における欠陥の有無を検査する検査部とを有する表面検査装置において、
前記ホルダの前記照明光を受ける位置に設けられた反射部と、
前記照明光が照射された前記反射部からの正反射光の光量を検出する第2検出部と、
前記第2検出部により検出された光量に基づいて、前記照明光の光量制御を行う制御部とを有することを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
前記第2検出部は、前記照明部から前記第1検出部に至る光路上の、前記第1検出部の直前に挿抜可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記反射部は、鏡面加工されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記ホルダは、前記被検基板と接触する基板接触面に開口する凹溝を有し、
前記反射部は、前記基板接触面の前記凹溝の底部に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の表面検査装置。
【請求項5】
前記ホルダは、傾動して前記被検基板の載置角度を変更できることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の表面検査装置。
【請求項6】
前記ホルダは、セラミックス製であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の表面検査装置。
【請求項7】
請求項1〜6に記載の表面検査装置を用いて、
前記検査部による前記被検基板の表面検査の開始直前に、
前記第2検出部により前記反射部からの前記正反射光の光量を検出し、
前記制御部により前記第2検出部が検出した光量に基づいて、前記照明光の光量制御を行うことを特徴とする照明光の光量制御方法。
【請求項8】
請求項1〜6に記載の表面検査装置を用いて、
前記検査部による前記被検基板の表面検査が所定枚数終了する毎に、
前記第2検出部により前記反射部からの前記正反射光の光量を検出し、
前記制御部により前記第2検出部が検出した光量に基づいて、前記照明光の光量制御を行うことを特徴とする照明光の光量制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−2274(P2010−2274A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160702(P2008−160702)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】