説明

車両およびその制御方法

【課題】モータ22からの動力を用いて走行可能な電気自動車20において、モータ22を含む動力系21の温度が過度に上昇するのを抑制する。
【解決手段】目的地が設定されたときに、モータ温度が所定温度を超える走行区間である温度上昇走行区間が目的地までの走行ルート上にあると予測されたときには、少なくとも電気自動車20が温度上昇走行区間に到達するまでは供給用バルブ80を閉弁すると共に移送用バルブ82を開弁して循環流路74内のオイルの一部をキャッチタンク78に貯留しつつ循環流路74内のオイルにより動力系21の冷却を行ない、モータ温度が所定温度を超えたときには供給用バルブ80を開弁して循環流路74内のオイルとキャッチタンク78に貯留されたオイルとにより動力系21の冷却を行なう。これにより、動力系21の過度の温度上昇を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両およびその制御方法に関し、詳しくは、動力源からの動力を用いて走行可能な車両およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両としては、エンジンや駆動用モータからの動力を用いて走行し、ナビゲーションシステムを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両では、目的地が設定されたときには、現在位置から目的地までの経路を設定すると共にこの経路を走行する際のエンジンや駆動用モータの発熱量を予測し、エンジンや駆動用モータの発熱量に基づく温度が所定温度を超えると予測されたときには事前にエンジンや駆動用モータからの出力を制限しておくことにより、エンジンや駆動用モータの温度が所定温度を越えるのを抑制し、高負荷走行時に急激に車速が低下するのを抑制することができる、としている。
【特許文献1】特開2004−324613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の車両では、エンジンや駆動用モータの発熱量に基づく温度が所定温度を超えると予測されたときには、事前にエンジンや駆動用モータからの出力を制限しておくため、この際に運転者に違和感を与えることがある。
【0004】
本発明の車両およびその制御方法は、動力源からの動力を用いて走行するものにおいて、動力源を含む動力系の温度が過度上昇するのを抑制することを目的の一つとする。また、本発明の車両およびその制御方法は、動力源からの動力を用いて走行するものにおいて、運転者に違和感を与えるのを抑制することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の車両およびその制御方法は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の第1の車両は、
熱を発生する動力源からの動力を用いて走行可能な車両であって、
前記動力源を含む動力系を冷却するための冷却媒体を該動力系を含む循環流路内で循環させる循環手段と、
前記冷却媒体を前記動力系に供給可能に貯留する貯留供給手段と、
前記循環流路内の冷却媒体の少なくとも一部を前記貯留供給手段に移送する移送手段と、
道路に関する情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
目的地が設定されたとき、前記記憶された地図情報を用いて所定の条件により前記検出された車両の現在位置から前記目的地までの走行路を検索する走行路検索手段と、
前記記憶された地図情報と前記検索された走行路とに基づいて、前記動力系の温度が所定温度を超えて上昇する走行区間である温度上昇走行区間が前記走行路上にあるか否かを予測する予測手段と、
前記予測手段により前記走行路上に前記温度上昇走行区間があると予測されたときには、少なくとも前記車両が該温度上昇走行区間に到達するまでは前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に該循環流路内の冷却媒体の一部が前記貯留供給手段に貯留されるよう前記循環手段と前記移送手段と該貯留供給手段とを制御し、前記動力系の温度が前記所定温度を超えたときには前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に前記貯留供給手段に貯留された冷却媒体が前記動力系に供給されるよう前記循環手段と前記貯留供給手段とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0007】
この本発明の第1の車両では、目的地が設定されたときには、道路に関する情報を含む地図情報を用いて所定の条件により車両の現在位置から目的地までの走行路を検索し、地図情報と走行路とに基づいて動力系の温度が所定温度を超えて上昇する走行区間である温度上昇走行区間が走行路上にあるか否かを予測し、走行路上に温度上昇走行区間があると予測されたときには、少なくとも車両が温度上昇走行区間に到達するまでは冷却媒体が循環流路内を循環すると共に循環流路内の冷却媒体の一部が貯留供給手段に貯留されるよう循環手段と移送手段と貯留供給手段とを制御し、動力系の温度が所定温度を超えたときには冷却媒体が循環流路内を循環すると共に貯留供給手段に貯留された冷却媒体が動力系に供給されるよう循環手段と貯留供給手段とを制御する。即ち、走行路上に温度上昇走行区間があると予測されたときには、少なくとも車両が温度上昇走行区間に到達するまでは循環流路内の冷却媒体の一部を貯留供給手段に貯留しつつ循環流路内の冷却媒体により動力系の冷却を行ない、動力系の温度が所定温度を超えたときには循環流路内の冷却媒体と貯留供給手段に貯留された冷却媒体とにより動力系の冷却を行なうのである。したがって、循環流路内の冷却媒体の一部を貯留供給手段に貯留する際には動力系に供給する冷却媒体が少なくなる分だけ冷却性能は低下するものの、動力系の温度が所定温度を超えたときには、循環流路内の冷却媒体だけで動力系を冷却するものに比して冷却性能の向上を図ることができ、動力系の温度が過度に上昇するのを抑制することができる。また、走行路上に温度上昇走行区間があると予測されたときに、動力系の温度が所定温度を超えないよう予め動力源からの出力を制限しておくものに比して出力制限が行なわれることによる違和感を抑制することもできる。ここで、「動力系」には、動力源の他に、動力源を駆動する駆動手段などが含まれるものとしてもよい(以下、同じ)。また、「所定の条件」には、例えば、幅員が所定値(例えば5m)以上のルートで法定速度を考慮して走行時間が短くなるよう走行ルートを検索する推奨条件、できる限り有料道路を走行するよう走行ルートを検索する有料道路優先の条件、有料道路を一切走行せずに一般道路のみで走行ルートを検索する一般道路優先の条件、最も走行距離が短くなるよう走行ルートを検索する距離優先の条件、法定速度から最も走行時間が短くなるよう走行ルートを検索する時間優先の条件などがある(以下、同じ)。
【0008】
本発明の第2の車両は、
熱を発生する動力源からの動力を用いて走行可能な車両であって、
前記動力源を含む動力系を冷却するための冷却媒体を該動力系を含む循環流路内で循環させる循環手段と、
前記冷却媒体を前記動力系に供給可能に貯留する貯留供給手段と、
前記循環流路内の冷却媒体の少なくとも一部を前記貯留供給手段に移送する移送手段と、
道路に関する情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
目的地が設定されたとき、前記記憶された地図情報を用いて所定の条件により前記検出された車両の現在位置から前記目的地までの走行路を検索する走行路検索手段と、
前記記憶された地図情報と前記検索された走行路とに基づいて、前記動力系の温度が所定温度を超えて上昇する走行区間である温度上昇走行区間が前記走行路上にあるか否かを予測する予測手段と、
前記予測手段により前記走行路上に前記温度上昇走行区間があると予測されたときには、前記動力系の温度が前記所定温度以下のときには前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に該循環流路内の冷却媒体の一部が前記貯留供給手段に貯留されるよう前記循環手段と前記移送手段と該貯留供給手段とを制御し、前記動力系の温度が前記所定温度を超えたときには前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に前記貯留供給手段に貯留された冷却媒体が前記動力系に供給されるよう前記循環手段と前記貯留供給手段とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0009】
この本発明の第2の車両では、目的地が設定されたときには、道路に関する情報を含む地図情報を用いて所定の条件により車両の現在位置から目的地までの走行路を検索し、地図情報と走行路とに基づいて動力系の温度が所定温度を超えて上昇する走行区間である温度上昇走行区間が走行路上にあるか否かを予測し、走行路上に温度上昇走行区間があると予測されたときには、動力系の温度が所定温度以下のときには冷却媒体が循環流路内を循環すると共に循環流路内の冷却媒体の一部が貯留供給手段に貯留されるよう循環手段と移送手段と貯留供給手段とを制御し、動力系の温度が所定温度を超えたときには冷却媒体が循環流路内を循環すると共に貯留供給手段に貯留された冷却媒体が動力系に供給されるよう循環手段と貯留供給手段とを制御する。即ち、走行路上に温度上昇走行区間があると予測されたときには、動力系の温度が所定温度以下のときには循環流路内の冷却媒体の一部を貯留供給手段に貯留しつつ循環流路内の冷却媒体により動力系の冷却を行ない、動力系の温度が所定温度を超えたときには循環流路内の冷却媒体と貯留供給手段に貯留された冷却媒体とにより動力系の冷却を行なうのである。したがって、循環流路内の冷却媒体の一部を貯留供給手段に貯留する際には動力系に供給する冷却媒体が少なくなる分だけ冷却性能は低下するものの、動力系の温度が所定温度を超えたときには、循環流路内の冷却媒体だけで動力系を冷却するものに比して冷却性能の向上を図ることができ、動力系の温度が過度に上昇するのを抑制することができる。また、走行路上に温度上昇走行区間があると予測されたときに、動力系の温度が所定温度を超えないよう予め動力源からの出力を制限しておくものに比して出力制限が行なわれることによる違和感を抑制することもできる。
【0010】
本発明の第1または第2の車両において、前記動力系の温度が前記所定温度より高い第2所定温度以下のときには所定駆動力を前記動力源から出力可能な駆動力の上限である上限駆動力として設定し、前記動力系の温度が前記第2所定温度より高いときには前記所定駆動力より小さい駆動力を前記上限駆動力として設定する上限駆動力設定手段と、前記設定された上限駆動力以下の駆動力を前記動力源から出力して走行するよう該動力源を制御する動力制御手段と、を備えるものとすることもできる。本発明の第1または第2の車両では、前述したように、動力系の温度が所定温度を超えたときには循環流路内の冷却媒体と貯留供給手段に貯留された冷却媒体とにより動力系を冷却するから、動力系の温度が第2所定温度を超えるのを抑制することができ、上限駆動力が小さくなるのを抑制することができる。この結果、動力源からの出力が大きく制限されるのを抑制することができ、運転者に違和感を与えるのを抑制することができる。
【0011】
また、本発明の第1または第2の車両において、前記予測手段は、前記記憶された地図情報のうちの路面勾配に関する情報を用いて前記走行路上に前記温度上昇走行区間があるか否かを予測する手段であるものとすることもできる。また、車両の重量である車重を検出する車重検出手段を備え、前記予測手段は、前記記憶された地図情報と前記検出された車重と前記検索された走行路とに基づいて前記走行路上に前記温度上昇走行区間があるか否かを予測する手段であるものとすることもできる。これらの場合、温度上昇走行区間があるか否かをより適正に予測することができる。ここで、後者の場合、「車重」は、車両本体の重量とするものとしてもよいし、車両本体の重量に加えて、乗員の重量や、積載物があるときや牽引物があるときには積載物の重量や牽引物の重量、など車両に関連する重量を含めた総重量とするものとしてもよい。
【0012】
さらに、本発明の第1または第2の車両において、前記動力系の冷却に用いられた後の冷却媒体を外気との熱交換により冷却する媒体冷却手段を備え、前記貯留供給手段は、前記媒体冷却手段により冷却された冷却媒体を貯留する貯留部と、該貯留部に貯留された冷却媒体を前記動力系に供給可能な供給部と、を有する手段であるものとすることもできる。
【0013】
本発明の第1または第2の車両において、前記動力源は、走行用の動力を出力可能な電動機であるものとすることもできる。また、前記動力源は、内燃機関と、該内燃機関の出力軸と車軸側と回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記回転軸に動力を入出力可能な発電機と、前記車軸側に動力を入出力可能な電動機と、を備える動力源であるものとすることもできる。
【0014】
また、本発明の第1または第2の車両において、前記予測手段は、前記電動機の温度を用いて前記走行路上に前記温度上昇走行区間があるか否かを予測する手段であるものとすることもできる。また、前記動力系は、前記動力源の他に前記電動機を駆動する駆動手段を備え、前記予測手段は、前記駆動手段の温度を用いて前記走行路上に前記温度上昇走行区間があるか否かを予測する手段であるものとすることもできる。
【0015】
本発明の第3の車両は、
熱を発生する動力源からの動力を用いて走行可能な車両であって、
前記動力源を含む動力系を冷却するための冷却媒体を該動力系を含む循環流路内で循環させる循環手段と、
前記冷却媒体を前記動力系に供給可能に貯留する貯留供給手段と、
前記循環流路内の冷却媒体の少なくとも一部を前記貯留供給手段に移送する移送手段と、
道路に関する情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
目的地が設定されたとき、前記記憶された地図情報を用いて所定の条件により前記検出された車両の現在位置から前記目的地までの走行路を検索する走行路検索手段と、
前記記憶された地図情報と前記検索された走行路とに基づいて、前記動力系の温度が所定温度を超えて上昇する走行区間である温度上昇走行区間が前記走行路上にあるか否かを予測する予測手段と、
前記予測手段により前記走行路上に前記温度上昇走行区間があると予測されたときには、前記車両が該温度上昇走行区間に到達するまでは前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に該循環流路内の冷却媒体の一部が前記貯留供給手段に貯留されるよう前記循環手段と前記移送手段と該貯留供給手段とを制御し、前記車両が前記温度上昇走行区間を走行する際には前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に前記貯留供給手段に貯留された冷却媒体が前記動力系に供給されるよう前記循環手段と前記貯留供給手段とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0016】
この本発明の第3の車両では、目的地が設定されたときには、道路に関する情報を含む地図情報を用いて所定の条件により車両の現在位置から目的地までの走行路を検索し、地図情報と走行路とに基づいて動力系の温度が所定温度を超えて上昇する走行区間である温度上昇走行区間が走行路上にあるか否かを予測し、走行路上に温度上昇走行区間があると予測されたときには、車両が温度上昇走行区間に到達するまでは冷却媒体が循環流路内を循環すると共に循環流路内の冷却媒体の一部が貯留供給手段に貯留されるよう循環手段と移送手段と貯留供給手段とを制御し、車両が温度上昇走行区間を走行する際には冷却媒体が循環流路内を循環すると共に貯留供給手段に貯留された冷却媒体が動力系に供給されるよう循環手段と貯留供給手段とを制御する。即ち、走行路上に温度上昇走行区間があると予測されたときには、車両が温度上昇走行区間に到達するまでは循環流路内の冷却媒体の一部を貯留供給手段に貯留しつつ循環流路内の冷却媒体により動力系の冷却を行ない、車両が温度上昇走行区間を走行する際には循環流路内の冷却媒体と貯留供給手段に貯留された冷却媒体とにより動力系の冷却を行なうのである。したがって、循環流路内の冷却媒体の一部を貯留供給手段に貯留する際には動力系に供給する冷却媒体が少なくなる分だけ冷却性能は低下するものの、動力系の温度が所定温度を超えたときには、循環流路内の冷却媒体だけで動力系を冷却するものに比して冷却性能の向上を図ることができ、動力系の温度が過度に上昇するのを抑制することができる。また、走行路上に温度上昇走行区間があると予測されたときに、動力系の温度が所定温度を超えないよう予め動力源からの出力を制限しておくものに比して出力制限が行なわれることによる違和感を抑制することもできる。
【0017】
本発明の第1の車両の制御方法は、
走行用の動力を出力可能で駆動に伴って熱を発生する動力源と、前記動力源を含む動力系を冷却するための冷却媒体を該動力系を含む循環流路内で循環させる循環手段と、前記冷却媒体を前記動力系に供給可能に貯留する貯留供給手段と、前記循環流路内の冷却媒体の少なくとも一部を前記貯留供給手段に移送する移送手段と、を備える車両の制御方法であって、
(a)目的地が設定されたとき、道路に関する情報を含む地図情報を用いて所定の条件により前記車両の現在位置から前記目的地までの走行路を検索し、
(b)前記地図情報と前記走行路とに基づいて、前記動力系の温度が所定温度を超えて上昇する走行区間である温度上昇走行区間が前記走行路上にあるか否かを予測し、
(c)前記走行路上に前記温度上昇走行区間があると予測されたときには、少なくとも前記車両が該温度上昇走行区間に到達するまでは前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に該循環流路内の冷却媒体の一部が前記貯留供給手段に貯留されるよう前記循環手段と前記移送手段と該貯留供給手段とを制御し、前記動力系の温度が前記所定温度を超えたときには前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に前記貯留供給手段に貯留された冷却媒体が前記動力系に供給されるよう前記循環手段と前記貯留供給手段とを制御する、
ことを要旨とする。
【0018】
この本発明の第1の車両の制御方法では、目的地が設定されたときには、道路に関する情報を含む地図情報を用いて所定の条件により車両の現在位置から目的地までの走行路を検索し、地図情報と走行路とに基づいて動力系の温度が所定温度を超えて上昇する走行区間である温度上昇走行区間が走行路上にあるか否かを予測し、走行路上に温度上昇走行区間があると予測されたときには、少なくとも車両が温度上昇走行区間に到達するまでは冷却媒体が循環流路内を循環すると共に循環流路内の冷却媒体の一部が貯留供給手段に貯留されるよう循環手段と移送手段と貯留供給手段とを制御し、動力系の温度が所定温度を超えたときには冷却媒体が循環流路内を循環すると共に貯留供給手段に貯留された冷却媒体が動力系に供給されるよう循環手段と貯留供給手段とを制御する。即ち、走行路上に温度上昇走行区間があると予測されたときには、少なくとも車両が温度上昇走行区間に到達するまでは循環流路内の冷却媒体の一部を貯留供給手段に貯留しつつ循環流路内の冷却媒体により動力系の冷却を行ない、動力系の温度が所定温度を超えたときには循環流路内の冷却媒体と貯留供給手段に貯留された冷却媒体とにより動力系の冷却を行なうのである。したがって、循環流路内の冷却媒体の一部を貯留供給手段に貯留する際には動力系に供給する冷却媒体が少なくなる分だけ冷却性能は低下するものの、動力系の温度が所定温度を超えたときには、循環流路内の冷却媒体だけで動力系を冷却するものに比して冷却性能の向上を図ることができ、動力系の温度が過度に上昇するのを抑制することができる。また、走行路上に温度上昇走行区間があると予測されたときに、動力系の温度が所定温度を超えないよう予め動力源からの出力を制限しておくものに比して出力制限が行なわれることによる違和感を抑制することもできる。
【0019】
本発明の第2の車両の制御方法は、
走行用の動力を出力可能で駆動に伴って熱を発生する動力源と、前記動力源を含む動力系を冷却するための冷却媒体を該動力系を含む循環流路内で循環させる循環手段と、前記冷却媒体を前記動力系に供給可能に貯留する貯留供給手段と、前記循環流路内の冷却媒体の少なくとも一部を前記貯留供給手段に移送する移送手段と、を備える車両の制御方法であって、
(a)目的地が設定されたとき、道路に関する情報を含む地図情報を用いて所定の条件により前記車両の現在位置から前記目的地までの走行路を検索し、
(b)前記地図情報と前記走行路とに基づいて、前記動力系の温度が所定温度を超えて上昇する走行区間である温度上昇走行区間が前記走行路上にあるか否かを予測し、
(c)前記走行路上に前記温度上昇走行区間があると予測されたときには、前記動力系の温度が前記所定温度以下のときには前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に該循環流路内の冷却媒体の一部が前記貯留供給手段に貯留されるよう前記循環手段と前記移送手段と該貯留供給手段とを制御し、前記動力系の温度が前記所定温度を超えたときには前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に前記貯留供給手段に貯留された冷却媒体が前記動力系に供給されるよう前記循環手段と前記貯留供給手段とを制御する、
ことを要旨とする。
【0020】
この本発明の第2の車両の制御方法では、目的地が設定されたときには、道路に関する情報を含む地図情報を用いて所定の条件により車両の現在位置から目的地までの走行路を検索し、地図情報と走行路とに基づいて動力系の温度が所定温度を超えて上昇する走行区間である温度上昇走行区間が走行路上にあるか否かを予測し、走行路上に温度上昇走行区間があると予測されたときには、動力系の温度が所定温度以下のときには冷却媒体が循環流路内を循環すると共に循環流路内の冷却媒体の一部が貯留供給手段に貯留されるよう循環手段と移送手段と貯留供給手段とを制御し、動力系の温度が所定温度を超えたときには冷却媒体が循環流路内を循環すると共に貯留供給手段に貯留された冷却媒体が動力系に供給されるよう循環手段と貯留供給手段とを制御する。即ち、走行路上に温度上昇走行区間があると予測されたときには、動力系の温度が所定温度以下のときには循環流路内の冷却媒体の一部を貯留供給手段に貯留しつつ循環流路内の冷却媒体により動力系の冷却を行ない、動力系の温度が所定温度を超えたときには循環流路内の冷却媒体と貯留供給手段に貯留された冷却媒体とにより動力系の冷却を行なうのである。したがって、循環流路内の冷却媒体の一部を貯留供給手段に貯留する際には動力系に供給する冷却媒体が少なくなる分だけ冷却性能は低下するものの、動力系の温度が所定温度を超えたときには、循環流路内の冷却媒体だけで動力系を冷却するものに比して冷却性能の向上を図ることができ、動力系の温度が過度に上昇するのを抑制することができる。また、走行路上に温度上昇走行区間があると予測されたときに、動力系の温度が所定温度を超えないよう予め動力源からの出力を制限しておくものに比して出力制限が行なわれることによる違和感を抑制することもできる。
【0021】
本発明の第3の車両の制御方法は、
走行用の動力を出力可能で駆動に伴って熱を発生する動力源と、前記動力源を含む動力系を冷却するための冷却媒体を該動力系を含む循環流路内で循環させる循環手段と、前記冷却媒体を前記動力系に供給可能に貯留する貯留供給手段と、前記循環流路内の冷却媒体の少なくとも一部を前記貯留供給手段に移送する移送手段と、を備える車両の制御方法であって、
(a)目的地が設定されたとき、道路に関する情報を含む地図情報を用いて所定の条件により前記車両の現在位置から前記目的地までの走行路を検索し、
(b)前記地図情報と前記走行路とに基づいて、前記動力系の温度が所定温度を超えて上昇する走行区間である温度上昇走行区間が前記走行路上にあるか否かを予測し、
(c)前記走行路上に前記温度上昇走行区間があると予測されたときには、前記車両が該温度上昇走行区間に到達するまでは前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に該循環流路内の冷却媒体の一部が前記貯留供給手段に貯留されるよう前記循環手段と前記移送手段と該貯留供給手段とを制御し、前記車両が前記温度上昇走行区間を走行する際には前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に前記貯留供給手段に貯留された冷却媒体が前記動力系に供給されるよう前記循環手段と前記貯留供給手段とを制御する、
ことを要旨とする。
【0022】
この本発明の第3の車両の制御方法では、目的地が設定されたときには、道路に関する情報を含む地図情報を用いて所定の条件により車両の現在位置から目的地までの走行路を検索し、地図情報と走行路とに基づいて動力系の温度が所定温度を超えて上昇する走行区間である温度上昇走行区間が走行路上にあるか否かを予測し、走行路上に温度上昇走行区間があると予測されたときには、車両が温度上昇走行区間に到達するまでは冷却媒体が循環流路内を循環すると共に循環流路内の冷却媒体の一部が貯留供給手段に貯留されるよう循環手段と移送手段と貯留供給手段とを制御し、車両が温度上昇走行区間を走行する際には冷却媒体が循環流路内を循環すると共に貯留供給手段に貯留された冷却媒体が動力系に供給されるよう循環手段と貯留供給手段とを制御する。即ち、走行路上に温度上昇走行区間があると予測されたときには、車両が温度上昇走行区間に到達するまでは循環流路内の冷却媒体の一部を貯留供給手段に貯留しつつ循環流路内の冷却媒体により動力系の冷却を行ない、車両が温度上昇走行区間を走行する際には循環流路内の冷却媒体と貯留供給手段に貯留された冷却媒体とにより動力系の冷却を行なうのである。したがって、循環流路内の冷却媒体の一部を貯留供給手段に貯留する際には動力系に供給する冷却媒体が少なくなる分だけ冷却性能は低下するものの、動力系の温度が所定温度を超えたときには、循環流路内の冷却媒体だけで動力系を冷却するものに比して冷却性能の向上を図ることができ、動力系の温度が過度に上昇するのを抑制することができる。また、走行路上に温度上昇走行区間があると予測されたときに、動力系の温度が所定温度を超えないよう予め動力源からの出力を制限しておくものに比して出力制限が行なわれることによる違和感を抑制することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0024】
図1は、本発明の一実施例としての電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例の電気自動車20は、図示するように、バッテリ26からの電力を用いて駆動輪30a,30bにデファレンシャルギヤ31を介して連結された駆動軸32に動力を出力する動力系21と、動力系21を冷却する冷却装置70と、車両全体をコントロールする電子制御ユニット40と、電子制御ユニット40と通信を行なうナビゲーション装置60とを備える。
【0025】
動力系21は、駆動軸32に動力を入出力可能なモータ22と、バッテリ26からの電力を用いてモータ22を駆動するインバータ24とを備える。モータ22は、外周面に永久磁石が貼り付けられたロータと、三相コイルが巻回されたステータとを備えるPM型の同期発電電動機として構成されている。インバータ24は、6つのスイッチング素子により構成されており、バッテリ26から供給される直流電力を擬似的な三相交流電力に変換してモータ22に供給する。
【0026】
冷却装置70は、外気との熱交換によりオイルを冷却するオイルクーラ72と、オイルクーラ72と動力系21とにオイルを循環させる循環流路74と、動力系21からのオイルをオイルクーラ72側に圧送することにより循環流路74内のオイルを循環させるオイルポンプ76と、動力系21よりも上方に配置されてオイルを貯留するためのキャッチタンクと78と、キャッチタンク78の下部に取り付けられてキャッチタンク78に貯留されたオイルを動力系21に供給可能な供給用バルブ80と、オイルクーラ72で冷却されたオイルの一部をキャッチタンク78側に移送可能な移送用バルブ82と、を備える。この冷却装置70は、供給用バルブ80および移送用バルブ82を共に閉弁してオイルポンプ76を駆動することにより(以下、この状態を両バルブ閉弁状態という)、循環流路74内のオイルにより動力系21の冷却を行なうことができる。また、この冷却装置70は、両バルブ閉弁状態から移送用バルブ82を開弁することにより(以下、この状態を移送用バルブ開弁状態という)、循環流路74内のオイルの一部をキャッチタンク78に貯留しつつ循環流路74内のオイルにより動力系21の冷却を行なうことができる。この場合、両バルブ閉弁状態に比して動力系21に供給されるオイルが少なくなる分だけ冷却性能は低下する。さらに、この冷却装置70は、移送用バルブ開弁状態から供給用バルブ80を開弁すると共に移送用バルブ82を閉弁することにより(以下、この状態を供給用バルブ開弁状態という)、循環流路74内のオイルとキャッチタンク78に貯留されたオイルとにより動力系21の冷却を行なうことができる。この場合、両バルブ閉弁状態や移送用バルブ開弁状態よりも冷却性能が向上する。なお、実施例では、動力系21の冷却だけでなく潤滑も行なうオイルを冷却媒体として用いるものとして説明するが、オイルに限られず、冷却水を冷却媒体として用いるものとしてもよい。
【0027】
ナビゲーション装置60は、地図情報63等が記憶されたハードディスクなどの記憶媒体や通信ポートなどを有する制御部とを内蔵する本体62と、車両の現在位置に関する情報を受信するGPSアンテナ64と、車両の現在位置に関する情報や目的地までの走行ルートなどの各種情報を表示すると共に操作者による各種指示を入力可能なタッチパネル式のディスプレイ66と、を備え、操作者により目的地が設定されたときには地図情報63と車両の現在位置と目的地とに基づいて目的地までの走行ルートを検索すると共に検索した走行ルートをディスプレイ66に出力してルート案内を行なう。地図情報63には、サービス情報(例えば観光情報や駐車場など)や予め定められている走行区間(例えば信号機間や交差点間など)毎の道路情報などがデータベース化して記憶されており、道路情報には、距離情報や幅員情報,地域情報(市街地,郊外),種別情報(一般道路,高速道路),勾配情報(路面勾配θ),法定速度などが含まれる。ナビゲーション装置60は、電子制御ユニット40と通信している。
【0028】
電子制御ユニット40は、CPU42を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU42の他に処理プログラムを記憶するROM44と、データを一時的に記憶するRAM46と、図示しない入出力ポートと通信ポートとを備える。電子制御ユニット40には、モータ22の温度を検出する温度センサ22aからのモータ温度tmやモータ22の回転数を検出する回転数センサ23からのモータ回転数Nm,バッテリ26の温度を検出する温度センサ26aからのバッテリ温度tb,シフトレバー51の操作位置を検出するシフトポジションセンサ52からのシフトポジションSP,アクセルペダル53の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ54からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル55の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ56からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ58からの車速V,車重センサ59からの車重Mなどが入力ポートを介して入力されている。なお、車重センサ59は、実施例では、車両本体の重量に加えて、乗員の重量や、積載物があるときや牽引物があるときには積載物の重量や牽引物の重量、など車両に関連する重量を含めた総重量として車重Mを検出することができるものを用いるものとした。この車重センサ59は、例えば、駆動輪30a,30bに取り付けられ車両本体の重量や乗員の重量,積載物の重量を検出する図示しないセンサと、牽引物の重量を検出する図示しないセンサと、2つのセンサからの信号に基づいて車重Mを演算する演算部とを有するものを用いるものとすることができる。なお、車重センサ59は、車両本体の重量だけを検出することができるものを用いるものとしてもよいのは勿論である。電子制御ユニット40からは、モータ22を駆動制御するためのインバータ24のスイッチング素子へのスイッチング制御信号や、オイルポンプ76への駆動信号,供給用バルブ80への駆動信号,移送用バルブ82への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。電子制御ユニット40は、ナビゲーション装置60と通信ポートを介して接続されており、ナビゲーション装置60とデータのやりとりを行なっている。
【0029】
次に、こうして構成された電気自動車20の動作について説明する。図2は実施例の電子制御ユニット40により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
【0030】
駆動制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット40のCPU42は、まず、アクセルペダルポジションセンサ54からのアクセル開度Accや車速センサ58からの車速V,回転数センサ23からのモータ回転数Nm,温度センサ22aからのモータ温度tm,温度センサ26aからのバッテリ温度tb,バッテリ26の残容量SOCなど制御に必要なデータを入力する(ステップS100)。ここで、バッテリ26の残容量SOCは、図示しない電流センサにより検出されたバッテリ26に充放電される充放電電流Ibの積算値に基づいて演算されRAM46の所定アドレスに書き込まれたものを読み込むことにより入力するものとした。なお、実施例では、動力系21の温度として、モータ温度tmを用いて説明する。
【0031】
こうしてデータを入力すると、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動輪30a,30bに連結された駆動軸32に出力すべき要求トルクTd*を設定する(ステップS110)。ここで、要求トルクTd*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTd*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM44に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTd*を導出して設定するものとした。要求トルク設定用マップの一例を図3に示す。
【0032】
続いて、バッテリ26の残容量SOCとバッテリ温度tbとに基づいてバッテリ26の出力制限をWoutを設定すると共に(ステップS120)、設定した出力制限Woutをモータ回転数Nmで除することによりバッテリ26の出力制限Woutに対するモータ22のトルク制限Tmax1を設定する(ステップS130)。ここで、出力制限Woutは、実施例では、バッテリ温度tbに基づいて出力制限の基本値Wouttmpを設定すると共にバッテリ26の残容量SOCに基づいて補正係数kを設定し、設定した出力制限の基本値Wouttmpに補正係数kを乗じることにより設定するものとした。
【0033】
そして、モータ温度tmとモータ回転数Nmとに基づいてモータ22の温度上昇に対するモータ22のトルク制限Tmax2を設定する(ステップS140)。ここで、トルク制限Tmax2は、実施例では、モータ温度tmが所定温度tmref1以下のときにはそのときのモータ回転数Nmにおける最大トルクを設定するものとし、モータ温度tmが所定温度tmref1より高いときにはそのときのモータ回転数Nmにおける最大トルクの50%や60%などの値を設定するものとした。したがって、所定温度tmref1は、そのときのモータ回転数Nmにおける最大トルクでモータ22を駆動できる温度の上限近傍としてモータ22の温度特性などにより定められる。なお、トルク制限Tmax2は、モータ温度tmが所定温度tmref1より高いときにはモータ温度tmが高いほど小さくなる傾向に設定するものとしてもよい。
【0034】
こうしてトルク制限Tmax1とトルク制限Tmax2とを設定すると、要求トルクTd*とトルク制限Tmax1とトルク制限Tmax2とのうち最小値をモータ22のトルク指令Tm*として設定し(ステップS150)、設定したトルク指令Tm*でモータ22が駆動されるようインバータ24のスイッチング素子のスイッチング制御を行なって(ステップS160)、駆動制御ルーチンを終了する。このようにモータ22のトルク指令Tm*を設定することにより、駆動軸32に出力すべき要求トルクTd*を、バッテリ26の出力制限Woutおよびモータ温度tmに基づいて制限したトルクとして設定することができる。これにより、例えば、モータ温度tmが所定温度tmref1より高いときには、要求トルクTd*をそのときのモータ回転数Nmにおける最大トルクの50%や60%などに制限することにより、動力系21(モータ22)の温度が過度に上昇するのを抑制することができる。ただし、このときには、モータ22からの出力が比較的大きく制限されるため、運転者に違和感を与えることがある。
【0035】
以上、駆動制御ルーチンについて説明した。次に、操作者によって目的地が設定されたときに目的地までの走行ルートを検索して出力する処理について説明する。図4は、ナビゲーション装置60の本体62により実行される走行ルート出力ルーチンである。このルーチンは、操作者によって目的地が設定されたときに実行される。
【0036】
走行ルート出力ルーチンが実行されると、ナビゲーション装置60の本体62は、まず、地図情報63を用いて所定の条件により車両の現在位置から目的地までの走行ルートを検索する(ステップS200)。ここで、所定の条件としては、例えば、幅員が所定値(例えば5m)以上のルートで法定速度を考慮して走行時間が短くなるよう走行ルートを検索する推奨条件、できる限り有料道路を走行するよう走行ルートを検索する有料道路優先の条件、有料道路を一切走行せずに一般道路のみで走行ルートを検索する一般道路優先の条件、最も走行距離が短くなるよう走行ルートを検索する距離優先の条件、法定速度から最も走行時間が短くなるよう走行ルートを検索する時間優先の条件などがある。実施例では、これらの条件のうち操作者の指示した条件により車両の現在位置から目的地までの走行ルートを検索するものとした。なお、この走行ルートには、走行区間(例えば、信号機間や交差点間など)が1以上含まれている。
【0037】
こうして車両の現在位置から目的地までの走行ルートを検索すると、後述する温度上昇予測フラグFを値0にリセットすると共に(ステップS210)、車重センサ59からの車重Mや、検索した走行ルート上における車両の現在位置から目的地に向けての次の走行区間の路面勾配θを入力し(ステップS220)、入力した路面勾配θと車重Mとに基づいて、車両が対象の走行区間を走行する際のモータ22の温度変化として予測されるモータ22の上昇温度Δtmを設定すると共に(ステップS230)、前回の積算温度tmaddに上昇温度Δtmを加えることにより、車両が対象の走行区間を走行する際のモータ温度tmとして予測される積算温度tmaddを計算する(ステップS240)。ここで、上昇温度Δtmは、例えば、モータ22の温度特性や、移送用バルブ開弁状態の冷却装置70の冷却性能などに基づいて設定することができる。移送用バルブ開弁状態のときには、前述したように、両バルブ閉弁状態のときや供給用バルブ開弁状態のときに比して冷却性能が低下するため、移送用バルブ開弁状態のときの冷却装置70の冷却性能を考慮して設定される上昇温度Δtmは、両バルブ閉弁状態のときや供給用バルブ開弁状態のときの冷却装置70の冷却性能を考慮するものに比して大きな値が設定されることになる。移送用バルブ開弁状態の冷却装置70の冷却性能を考慮する理由については後述する。上昇温度Δtmは、実施例では、路面勾配θと車重Mと上昇温度Δtmとの関係を予め実験などにより定めて上昇温度設定用マップとしてROM44に記憶しておき、路面勾配θと車重Mとが与えられると記憶したマップから対応する上昇温度Δtmを導出して設定するものとした。上昇温度設定用マップの一例を図5に示す。上昇温度Δtmは、図示するように、路面勾配θが大きいほど大きくなる傾向に設定するものとした。これは、車両が登坂路を走行する際には、モータ22の負荷が大きくなり、その発熱量も大きくなるためである。また、上昇温度Δtmは、車重Mが大きいほど大きくなる傾向に設定するものとした。これは、積載物がなく牽引物もない状態の1名乗車時に比して積載物があるときや牽引物があるとき,複数名乗車時にはモータ22の負荷が大きくなり、その発熱量も大きくなるためである。積算温度tmaddは、その初期値として、実施例では、このルーチンが実行される際に温度センサ22aにより検出されたモータ温度tmを電子制御ユニット40を介して通信により入力して用いるものとした。
【0038】
次に、計算した積算温度tmaddを所定温度tmref2と比較する(ステップS250)。ここで、所定温度tmref2は、前述の所定温度tmref1よりも若干低い温度として設定される。積算温度tmaddが所定温度tmref2以下のときには、次の走行区間がないか否か即ち目的地までの全ての走行区間について処理を終了したか否かを判定し(ステップS280)、次の走行区間があると判定されたときにはステップS220に戻る。一方、ステップS250で積算温度tmaddが所定温度tmref2より高いときには、温度上昇予測フラグFに値1を設定すると共に(ステップS260)、対象の走行区間を温度上昇走行区間Rsecとして記憶し(ステップS270)、次の走行区間がないか否かを判定し(ステップS280)、次の走行区間があると判定されたときにはステップS220に戻る。こうして走行区間毎に積算温度tmaddを計算していき、ステップS280で次の走行区間がないと判定されたときには、温度上昇予測フラグFおよび温度上昇走行区間Rsecを電子制御ユニット40に送信し(ステップS290)、検索した走行ルートをディスプレイ66に出力して(ステップS300)、走行ルート出力ルーチンを終了する。温度上昇予測フラグFは、目的地までの走行ルート上の積算温度tmaddのピークが所定温度tmref2以下のとき即ち走行ルート上に温度上昇走行区間Rsecがないときには値0が設定され、目的地までの走行ルート上に温度上昇走行区間Rsecがあると予測されたときには値1が設定されることになる。なお、温度上昇走行区間Rsecは、温度上昇予測フラグFが値0のときにはデータがないため電子制御ユニット40に送信しないものとした。
【0039】
以上、走行ルート出力ルーチンについて説明した。次に、この走行ルート出力ルーチンで設定された結果を用いて冷却装置70によって行なわれる動力系21の冷却処理について説明する。図6は、電子制御ユニット40により実行される冷却処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、数百msec毎)に繰り返し実行される。
【0040】
冷却処理ルーチンが実行されると、電子制御ユニット40のCPU42は、まず、車両の現在位置や温度上昇予測フラグF,温度上昇走行区間Rsecを入力する(ステップS400)。ここで、車両の現在位置は、GPS64により検出されたものをナビゲーション装置60の本体62を介して通信により入力するものとした。また、温度上昇予測フラグFおよび温度上昇走行区間Rsecは、前述の走行ルート出力ルーチンにより設定されたものをナビゲーション装置60の本体62から通信により入力するものとした。なお、温度上昇予測フラグFは、操作者によって目的地が設定されていないときには、値0が設定されるものとした。また、温度上昇走行区間Rsecは、温度上昇予測フラグFが値0のときには入力しないものとした。
【0041】
こうしてデータを入力すると、入力した温度上昇予測フラグFの値を調べ(ステップS410)、入力した温度上昇予測フラグFが値0のとき、即ち目的地が設定されていないとき又は目的地が設定されていても目的地までの走行ルート上に温度上昇走行区間Rsecはないと予測されたときには、供給用バルブ80および移送用バルブ82を共に閉弁し(ステップS420)、循環流路74内をオイルが循環するようオイルポンプ72を駆動し(ステップS480)、冷却処理ルーチンを終了する。この場合、両バルブ閉弁状態で循環流路74内のオイルにより動力系21の冷却が行なわれる。なお、温度上昇走行区間Rsecがあるか否かの予測は、実施例では、移送用バルブ開弁状態の冷却装置70の冷却性能を考慮して設定した上昇温度Δtmに基づく積算温度tmaddを用いて行なうものとしたため、目的地が設定されていて温度上昇予測フラグFが値0のとき即ち積算温度tmaddのピークが所定温度tmref2以下のときに、実施例のように、移送用バルブ開弁状態よりも冷却性能が高い両バルブ閉弁状態で動力系21の冷却を行なうものでは、積算温度tmaddのピークはより低くなると考えられ、モータ22からの出力が大きく制限されることによる違和感を運転者に与えるおそれは小さいと考えられる。
【0042】
一方、ステップS410で温度上昇予測フラグFが値1のとき、即ち目的地までの走行ルート上に温度上昇走行区間Rsecがあると予測されたときには、車両の現在位置と温度上昇走行区間Rsecとに基づいて車両が温度上昇走行区間Rsecに到達する前であるか否かを判定し(ステップS430,S440)、車両が温度上昇走行区間Rsecに到達する前であると判定されたときには、供給用バルブ80を閉弁すると共に移送用バルブ82を開弁し(ステップS450)、オイルポンプ72を駆動して(ステップS480)、冷却処理ルーチンを終了する。この場合には、移送用バルブ開弁状態で循環流路74内のオイルの一部を移送用バルブ82を介してキャッチタンク78に貯留しつつ、循環流路74内のオイルにより動力系21の冷却を行なうことになる。なお、ここでは、簡単のために、一つの走行区間だけが温度上昇走行区間Rsecであるものとして説明する。
【0043】
そして、ステップS450で車両が温度上昇走行区間Rsecに到達する前でない即ち車両が温度上昇走行区間Rsecに到達した以降であると判定されたときには、モータ温度tmを所定温度tmref2と比較し(ステップS460)、モータ温度tmが所定温度tmref2以下のときには、供給用バルブ80を閉弁すると共に移送用バルブ82を開弁し(ステップS450)、オイルポンプ72を駆動して(ステップS480)、冷却処理ルーチンを終了し、モータ温度tmが所定温度tmref2より高いときには供給用バルブ80を開弁すると共に移送用バルブ82を閉弁し(ステップS470)、オイルポンプ72を駆動して(ステップS480)、冷却処理ルーチンを終了する。この場合、前者即ちモータ温度tmが所定温度tmref2以下のときには、移送用バルブ開弁状態で循環流路74内のオイルの一部を移送用バルブ82を介してキャッチタンク78に貯留しつつ循環流路内74内のオイルにより動力系21の冷却を行ない、後者即ちモータ温度tmが所定温度tmref2より高いときには、供給用バルブ開弁状態で循環流路74内のオイルとキャッチタンク78に貯留されたオイルとにより動力系21の冷却を行なうことになる。
【0044】
このように、実施例では、目的地が設定されたときに、目的地までの走行ルート上に温度上昇走行区間Rsecがあると予測されたときには、車両が温度上昇走行区間Rsecに到達するまでは移送用バルブ開弁状態でキャッチタンク78にオイルを貯留しつつ循環流路74内のオイルにより動力系21の冷却を行ない、車両が温度上昇走行区間Rsecに到達した以降は、モータ温度tmが所定温度tmref2以下のときには移送用バルブ開弁状態を継続してキャッチタンク78にオイルを貯留しつつ循環流路74内のオイルにより動力系21の冷却を行ない、モータ温度tmが所定温度tmref2を超えたときに供給用バルブ開弁状態に移行して循環流路74内のオイルとキャッチタンク78に貯留されたオイルとにより動力系21の冷却を行なうのである。したがって、モータ温度tmが所定温度tmref2を超えたときに、両バルブ閉弁状態や移送用バルブ開弁状態で循環流路74内のオイルだけにより動力系21の冷却を行なうものに比して動力系21をより冷却することができる。これにより、モータ温度tmが所定温度tmref2より高い所定温度tmref1を超えるのを抑制することができる。この結果、モータ22からの出力が大きく制限されるのを抑制することができ、運転者に違和感を与えるのを抑制することができる。しかも、走行ルート上に温度上昇走行区間Rsecがあると予測されたときに、モータ温度tmが所定温度tmref2を超えないよう予めモータ22からの出力を予め制限しておくものに比してモータ22からの出力が大きく制限されることによる違和感を抑制することもできる。
【0045】
以上説明した実施例の電気自動車20によれば、目的地までの走行ルート上に温度上昇走行区間Rsecがあると予測されたときには、少なくとも車両が温度上昇走行区間Rsecに到達するまでは移送用バルブ開弁状態でキャッチタンク78にオイルを貯留しつつ循環流路74内のオイルにより動力系21の冷却を行ない、車両が温度上昇走行区間Rsecに到達した以降はモータ温度tmが所定温度tmref2を超えたときに供給用バルブ開弁状態で循環流路74内のオイルとキャッチタンク78に貯留されたオイルとにより動力系21の冷却を行なうから、モータ温度tmが所定温度tmref2を超えたときに、両バルブ閉弁状態や移送用バルブ開弁状態で循環流路74内のオイルだけにより動力系21の冷却を行なうものに比して動力系21をより冷却することができ、動力系21の温度が過度に上昇するのを抑制することができる。これにより、モータ温度tmが所定温度tmref2より高い所定温度tmref1を超えるのを抑制することができる。この結果、モータ22からの出力が大きく制限されるのを抑制することができ、運転者に違和感を与えるのを抑制することができる。
【0046】
実施例の電気自動車20では、一つの走行区間だけが温度上昇走行区間Rsecである場合について説明したが、二つ以上の走行区間が温度上昇走行区間Rsecである場合であっても図6の冷却処理ルーチンを用いて同様の処理を行なえば、モータ温度tmが所定温度Tmref2を超えたときに供給用バルブ開弁状態に移行して循環流路74内のオイルとキャッチタンク78に貯留されたオイルとにより動力系21の冷却を行なうことになるから、実施例と同様に、モータ温度tmが所定温度tmref2を超えたときに、両バルブ閉弁状態や移送用バルブ開弁状態で循環流路74内のオイルだけにより動力系21の冷却を行なうものに比して動力系21をより冷却することができ、動力系21の温度が過度に上昇するのを抑制することができる効果などと同様の効果を奏することができる。
【0047】
実施例の電気自動車20では、目的地までの走行ルート上に温度上昇走行区間Rsecがあると予測されたときには、車両が温度上昇走行区間Rsecに到達した以降であってモータ温度tmが所定温度tmref2を超えたときに供給用バルブ開弁状態で循環流路74内のオイルとキャッチタンク78に貯留されたオイルとにより動力系21を冷却するものとしたが、車両が温度上昇走行区間Rsecに到達する前であってもモータ温度tmが所定温度tmref2を超えたときには供給用バルブ開弁状態で循環流路74内のオイルとキャッチタンク78に貯留されたオイルとにより動力系21の冷却を行なうものとしてもよい。また、車両が温度上昇走行区間Rsecに到達した以降には、モータ温度tmに拘わらずに循環流路74内のオイルとキャッチタンク78に貯留されたオイルとにより動力系21の冷却を行なうものとしてもよい。
【0048】
実施例の電気自動車20では、目的地までの走行ルート上に温度上昇走行区間Rsecがあると予測されたときには、車両が温度上昇走行区間Rsecに到達する前であるか否かを判定すると共に車両が温度上昇走行区間Rsecに到達した以降であると判定されたときにモータ温度tmを所定温度tmref2と比較するものとしたが、車両が温度上昇走行区間Rsecに到達する前であるか否かを判定することなく、モータ温度tmを所定温度tmref2と比較するものとしてもよい。この場合の冷却処理ルーチンの一例を図7に示す。図7の冷却処理ルーチンのうち図6の冷却処理ルーチンと同一の処理については同一のステップ番号を付し、その詳細な説明を省略する。この冷却処理ルーチンでは、モータ温度tmと温度上昇予測フラグFとを入力し(ステップS500)、温度上昇予測フラグFが値1のときには、モータ温度tmを所定温度tmref2と比較し(ステップS510)、モータ温度tmが所定温度tmref2以下のときには供給用バルブ80を閉弁すると共に移送用バルブ82を開弁し(ステップS450)、オイルポンプ72を駆動して(ステップS480)、冷却処理ルーチンを終了し、モータ温度tmが所定温度tmref2より高いときには供給用バルブ80を開弁すると共に移送用バルブ82を閉弁し(ステップS470)、オイルポンプ72を駆動して(ステップS480)、冷却処理ルーチンを終了する。即ち、目的地までの走行ルート上に温度上昇走行区間Rsecがあると予測されたときには、モータ温度tmが所定温度tmref2以下のときには移送用バルブ開弁状態でキャッチタンク78にオイルを貯留しつつ循環流路74内のオイルにより動力系21の冷却を行ない、モータ温度tmが所定温度tmref2より高いときには供給用バルブ開弁状態で循環流路74内のオイルとキャッチタンク78に貯留されたオイルとにより動力系21の冷却を行なうのである。この場合でも、実施例と同様に、モータ温度tmが所定温度tmref2を超えたときに、両バルブ閉弁状態や移送用バルブ開弁状態で循環流路74内のオイルだけにより動力系21の冷却を行なうものに比して動力系21をより冷却することができ、動力系21の温度が過度に上昇するのを抑制することができる効果などと同様の効果を奏することができる。
【0049】
実施例の電気自動車20では、図4の走行ルート出力ルーチンにおける温度上昇予測フラグFの設定や図6の冷却処理ルーチンにおける供給用バルブ21を開弁するか否かの判定に用いる所定温度tmref2として、そのときのモータ回転数Nmにおける最大トルクでモータ22を駆動できる温度の上限近傍としての所定温度tmref1よりも若干低い温度を用いるものとしたが、同一の温度を用いるものとしてもよい。
【0050】
実施例の電気自動車20では、循環流路74内のオイルとキャッチタンク78に貯留されたオイルとにより動力系21の冷却を行なう際には、供給用バルブ80を開弁すると共に移送用バルブ82を閉弁するものとしたが、供給用バルブ80と移送用バルブ82とを共に開弁するものとしてもよい。
【0051】
実施例の電気自動車20では、路面勾配θと車重Mとに基づいて上昇温度Δtmを設定すると共にこの上昇温度Δtmを積算して積算温度tmaddを計算するものとしたが、上昇温度Δtmは、道路に関する情報であれば、路面勾配θに代えてまたは加えて走行区間に関する距離や地域情報(市街地,郊外),種別方法(一般道路,高速道路)、渋滞情報などを考慮して設定するものとしてもよい。また、上昇温度Δtmは、車重Mを考慮することなく、路面勾配θなどの道路に関する情報だけを用いて設定するものとしてもよい。さらに、上昇温度Δtmは、外気温など他のパラメータを考慮して設定するものとしてもよい。
【0052】
実施例の電気自動車20では、動力系21の温度としてモータ温度tmを用いるものとしたが、インバータ24の温度や冷却装置70の循環流路74内を循環するオイルの温度などを用いるものとしてもよい。
【0053】
実施例の電気自動車20では、目的地が設定されたときに一度だけ走行ルート上に温度上昇走行区間Rsecがあるか否かの予測を行なうものとしたが、目的地が設定されている間に亘って所定タイミング毎、例えば、所定時間毎(例えば、数百msec毎)や車両が停車する毎などに繰り返し行なうものとしてもよい。
【0054】
実施例では、駆動軸32に動力を入出力可能なモータ22と、モータ22と電力をやりとりするバッテリ26とを備える電気自動車20について説明したが、モータ22やバッテリ26に加えて、図8の変形例の電気自動車120に例示するように、駆動軸32に遊星歯車機構126を介してエンジン122とモータ124とを接続した電気自動車120に適用するものとしてもよいし、図9の変形例の電気自動車220に例示するように、エンジンと222と、エンジン222のクランクシャフトに接続されたインナーロータ232と駆動輪30a,30bに連結された駆動軸32に接続されたアウターロータ234とを有しエンジン222の動力の一部を駆動軸32に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230とを備える電気自動車220に適用するものとしてもよい。また、実施例では、動力源としてのモータ22からの動力により走行可能な電気自動車20について説明したが、動力源としての内燃機関からの動力により走行可能な自動車に適用するものとしてもよい。
【0055】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施例としての電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】実施例の電子制御ユニット40により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図3】要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。
【図4】実施例のナビゲーションシステム60により実行されるルート出力ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図5】上昇温度設定用マップの一例を示す説明図である。
【図6】実施例の電子制御ユニット40により実行される冷却処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図7】変形例の冷却処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図8】変形例の電気自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【図9】変形例の電気自動車220の構成の概略を示す構成図である。
【符号の説明】
【0057】
20,120,220 電気自動車、22 モータ、22a 温度センサ、23 回転数センサ、24 インバータ、26 バッテリ、26a 温度センサ、30a,30b 駆動輪、31 デファレンシャルギヤ、32 駆動軸、40 電子制御ユニット、42 CPU、44 ROM、46 RAM、50 時計、51 シフトレバー、52 シフトポジションセンサ、53 アクセルペダル、54 アクセルペダルポジションセンサ、55 ブレーキペダル、56 ブレーキペダルポジションセンサ、58 車速センサ、59 車重センサ、60 ナビゲーション装置、62 本体、63 地図情報、64 GPSアンテナ、66 ディスプレイ、70 冷却装置、72 オイルクーラ、74 循環流路、76 オイルポンプ、78 キャッチタンク、80 供給用バルブ、82 移送用バルブ、122,222 エンジン、124 モータ、126 遊星歯車機構、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ、234 アウターロータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱を発生する動力源からの動力を用いて走行可能な車両であって、
前記動力源を含む動力系を冷却するための冷却媒体を該動力系を含む循環流路内で循環させる循環手段と、
前記冷却媒体を前記動力系に供給可能に貯留する貯留供給手段と、
前記循環流路内の冷却媒体の少なくとも一部を前記貯留供給手段に移送する移送手段と、
道路に関する情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
目的地が設定されたとき、前記記憶された地図情報を用いて所定の条件により前記検出された車両の現在位置から前記目的地までの走行路を検索する走行路検索手段と、
前記記憶された地図情報と前記検索された走行路とに基づいて、前記動力系の温度が所定温度を超えて上昇する走行区間である温度上昇走行区間が前記走行路上にあるか否かを予測する予測手段と、
前記予測手段により前記走行路上に前記温度上昇走行区間があると予測されたときには、少なくとも前記車両が該温度上昇走行区間に到達するまでは前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に該循環流路内の冷却媒体の一部が前記貯留供給手段に貯留されるよう前記循環手段と前記移送手段と該貯留供給手段とを制御し、前記動力系の温度が前記所定温度を超えたときには前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に前記貯留供給手段に貯留された冷却媒体が前記動力系に供給されるよう前記循環手段と前記貯留供給手段とを制御する制御手段と、
を備える車両。
【請求項2】
熱を発生する動力源からの動力を用いて走行可能な車両であって、
前記動力源を含む動力系を冷却するための冷却媒体を該動力系を含む循環流路内で循環させる循環手段と、
前記冷却媒体を前記動力系に供給可能に貯留する貯留供給手段と、
前記循環流路内の冷却媒体の少なくとも一部を前記貯留供給手段に移送する移送手段と、
道路に関する情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
目的地が設定されたとき、前記記憶された地図情報を用いて所定の条件により前記検出された車両の現在位置から前記目的地までの走行路を検索する走行路検索手段と、
前記記憶された地図情報と前記検索された走行路とに基づいて、前記動力系の温度が所定温度を超えて上昇する走行区間である温度上昇走行区間が前記走行路上にあるか否かを予測する予測手段と、
前記予測手段により前記走行路上に前記温度上昇走行区間があると予測されたときには、前記動力系の温度が前記所定温度以下のときには前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に該循環流路内の冷却媒体の一部が前記貯留供給手段に貯留されるよう前記循環手段と前記移送手段と該貯留供給手段とを制御し、前記動力系の温度が前記所定温度を超えたときには前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に前記貯留供給手段に貯留された冷却媒体が前記動力系に供給されるよう前記循環手段と前記貯留供給手段とを制御する制御手段と、
を備える車両。
【請求項3】
請求項1または2記載の車両であって、
前記動力系の温度が前記所定温度より高い第2所定温度以下のときには所定駆動力を前記動力源から出力可能な駆動力の上限である上限駆動力として設定し、前記動力系の温度が前記第2所定温度より高いときには前記所定駆動力より小さい駆動力を前記上限駆動力として設定する上限駆動力設定手段と、
前記設定された上限駆動力以下の駆動力を前記動力源から出力して走行するよう該動力源を制御する動力制御手段と、
を備える車両。
【請求項4】
前記予測手段は、前記記憶された地図情報のうちの路面勾配に関する情報を用いて前記走行路上に前記温度上昇走行区間があるか否かを予測する手段である請求項1ないし3いずれか記載の車両。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか記載の車両であって、
車両の重量である車重を検出する車重検出手段を備え、
前記予測手段は、前記記憶された地図情報と前記検出された車重と前記検索された走行路とに基づいて前記走行路上に前記温度上昇走行区間があるか否かを予測する手段である
車両。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか記載の車両であって、
前記動力系の冷却に用いられた後の冷却媒体を外気との熱交換により冷却する媒体冷却手段を備え、
前記貯留供給手段は、前記媒体冷却手段により冷却された冷却媒体を貯留する貯留部と、該貯留部に貯留された冷却媒体を前記動力系に供給可能な供給部と、を有する手段である
車両。
【請求項7】
前記動力源は、走行用の動力を出力可能な電動機である請求項1ないし6いずれか記載の車両。
【請求項8】
前記動力源は、内燃機関と、該内燃機関の出力軸と車軸側と回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記回転軸に動力を入出力可能な発電機と、前記車軸側に動力を入出力可能な電動機と、を備える動力源である請求項1ないし6いずれか記載の車両。
【請求項9】
前記予測手段は、前記電動機の温度を用いて前記走行路上に前記温度上昇走行区間があるか否かを予測する手段である請求項7または8記載の車両。
【請求項10】
請求項7または8記載の車両であって、
前記動力系は、前記動力源の他に前記電動機を駆動する駆動手段を備え、
前記予測手段は、前記駆動手段の温度を用いて前記走行路上に前記温度上昇走行区間があるか否かを予測する手段である
車両。
【請求項11】
熱を発生する動力源からの動力を用いて走行可能な車両であって、
前記動力源を含む動力系を冷却するための冷却媒体を該動力系を含む循環流路内で循環させる循環手段と、
前記冷却媒体を前記動力系に供給可能に貯留する貯留供給手段と、
前記循環流路内の冷却媒体の少なくとも一部を前記貯留供給手段に移送する移送手段と、
道路に関する情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
目的地が設定されたとき、前記記憶された地図情報を用いて所定の条件により前記検出された車両の現在位置から前記目的地までの走行路を検索する走行路検索手段と、
前記記憶された地図情報と前記検索された走行路とに基づいて、前記動力系の温度が所定温度を超えて上昇する走行区間である温度上昇走行区間が前記走行路上にあるか否かを予測する予測手段と、
前記予測手段により前記走行路上に前記温度上昇走行区間があると予測されたときには、前記車両が該温度上昇走行区間に到達するまでは前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に該循環流路内の冷却媒体の一部が前記貯留供給手段に貯留されるよう前記循環手段と前記移送手段と該貯留供給手段とを制御し、前記車両が前記温度上昇走行区間を走行する際には前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に前記貯留供給手段に貯留された冷却媒体が前記動力系に供給されるよう前記循環手段と前記貯留供給手段とを制御する制御手段と、
を備える車両。
【請求項12】
走行用の動力を出力可能で駆動に伴って熱を発生する動力源と、前記動力源を含む動力系を冷却するための冷却媒体を該動力系を含む循環流路内で循環させる循環手段と、前記冷却媒体を前記動力系に供給可能に貯留する貯留供給手段と、前記循環流路内の冷却媒体の少なくとも一部を前記貯留供給手段に移送する移送手段と、を備える車両の制御方法であって、
(a)目的地が設定されたとき、道路に関する情報を含む地図情報を用いて所定の条件により前記車両の現在位置から前記目的地までの走行路を検索し、
(b)前記地図情報と前記走行路とに基づいて、前記動力系の温度が所定温度を超えて上昇する走行区間である温度上昇走行区間が前記走行路上にあるか否かを予測し、
(c)前記走行路上に前記温度上昇走行区間があると予測されたときには、少なくとも前記車両が該温度上昇走行区間に到達するまでは前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に該循環流路内の冷却媒体の一部が前記貯留供給手段に貯留されるよう前記循環手段と前記移送手段と該貯留供給手段とを制御し、前記動力系の温度が前記所定温度を超えたときには前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に前記貯留供給手段に貯留された冷却媒体が前記動力系に供給されるよう前記循環手段と前記貯留供給手段とを制御する、
車両の制御方法。
【請求項13】
走行用の動力を出力可能で駆動に伴って熱を発生する動力源と、前記動力源を含む動力系を冷却するための冷却媒体を該動力系を含む循環流路内で循環させる循環手段と、前記冷却媒体を前記動力系に供給可能に貯留する貯留供給手段と、前記循環流路内の冷却媒体の少なくとも一部を前記貯留供給手段に移送する移送手段と、を備える車両の制御方法であって、
(a)目的地が設定されたとき、道路に関する情報を含む地図情報を用いて所定の条件により前記車両の現在位置から前記目的地までの走行路を検索し、
(b)前記地図情報と前記走行路とに基づいて、前記動力系の温度が所定温度を超えて上昇する走行区間である温度上昇走行区間が前記走行路上にあるか否かを予測し、
(c)前記走行路上に前記温度上昇走行区間があると予測されたときには、前記動力系の温度が前記所定温度以下のときには前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に該循環流路内の冷却媒体の一部が前記貯留供給手段に貯留されるよう前記循環手段と前記移送手段と該貯留供給手段とを制御し、前記動力系の温度が前記所定温度を超えたときには前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に前記貯留供給手段に貯留された冷却媒体が前記動力系に供給されるよう前記循環手段と前記貯留供給手段とを制御する、
車両の制御方法。
【請求項14】
走行用の動力を出力可能で駆動に伴って熱を発生する動力源と、前記動力源を含む動力系を冷却するための冷却媒体を該動力系を含む循環流路内で循環させる循環手段と、前記冷却媒体を前記動力系に供給可能に貯留する貯留供給手段と、前記循環流路内の冷却媒体の少なくとも一部を前記貯留供給手段に移送する移送手段と、を備える車両の制御方法であって、
(a)目的地が設定されたとき、道路に関する情報を含む地図情報を用いて所定の条件により前記車両の現在位置から前記目的地までの走行路を検索し、
(b)前記地図情報と前記走行路とに基づいて、前記動力系の温度が所定温度を超えて上昇する走行区間である温度上昇走行区間が前記走行路上にあるか否かを予測し、
(c)前記走行路上に前記温度上昇走行区間があると予測されたときには、前記車両が該温度上昇走行区間に到達するまでは前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に該循環流路内の冷却媒体の一部が前記貯留供給手段に貯留されるよう前記循環手段と前記移送手段と該貯留供給手段とを制御し、前記車両が前記温度上昇走行区間を走行する際には前記冷却媒体が前記循環流路内を循環すると共に前記貯留供給手段に貯留された冷却媒体が前記動力系に供給されるよう前記循環手段と前記貯留供給手段とを制御する、
車両の制御方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−309127(P2007−309127A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136558(P2006−136558)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】