車両位置検出装置及び車両位置検出方法
【課題】目標物までの距離を考慮して極めて高精度で自車両の位置を検出及び補正することができる車両位置検出装置を提供する。
【解決手段】車両用ナビゲーションシステムは、道路上に設置されているキロポストの位置、形状、色、及び文字を含む情報を記憶部15cに予め記憶しておき、その記憶部15cに記憶されている情報に基づいて、自車両周囲の映像を撮像するカメラ11によって撮像された映像から目標物としてのキロポストを画像認識部15aによって画像認識し、表示装置14に表示する地図上の自車両位置を、画像認識部15aによって画像認識されたキロポストの位置であって記憶部15cに記憶されているキロポストの位置に移動させて自車両位置を補正する。
【解決手段】車両用ナビゲーションシステムは、道路上に設置されているキロポストの位置、形状、色、及び文字を含む情報を記憶部15cに予め記憶しておき、その記憶部15cに記憶されている情報に基づいて、自車両周囲の映像を撮像するカメラ11によって撮像された映像から目標物としてのキロポストを画像認識部15aによって画像認識し、表示装置14に表示する地図上の自車両位置を、画像認識部15aによって画像認識されたキロポストの位置であって記憶部15cに記憶されているキロポストの位置に移動させて自車両位置を補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の位置を検出する車両位置検出装置及び車両位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ナビゲーションシステムは、車両内に搭載されたディスプレイに地図を表示し、且つ、地図上に自車両位置を表示することにより、自車両が走行している場所を運転者に把握させている。したがって、車両用ナビゲーションシステムは、運転者に正確な自車両位置を報知するためにも、高精度に自車両位置を検出することが求められる。仮に自車両位置の検出精度が悪い場合には、実際に走行している場所とディスプレイに表示している自車両位置とが異なってしまい、正確な情報を運転者に提示できなくなる。
【0003】
そこで、自車両位置検出精度の向上を図る技術として、例えば特許文献1に記載されたものが提案されている。具体的には、この特許文献1には、予め標識や看板等の目標物の正確な位置をデータベースに格納しておき、車両に搭載されたカメラによって目標物を認識すると、データベースに格納してある位置情報を用いて自車両位置を補正することが開示されている。
【特許文献1】特開2000−97714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された従来の技術においては、目標物を認識して自車両位置の補正を行うので、目標物までの距離が考慮されておらず、自車両と目標物までの距離の分だけ誤差が生じるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、目標物までの距離を考慮して極めて高精度で自車両の位置を補正することができる車両位置検出装置及び車両位置検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、車両の位置を検出している時に、自車両周囲の映像を撮像する撮像手段によって撮像された映像に対して目標物の特徴に基づく画像認識をし、画像認識した目標物の撮像映像内の位置に基づいて、表示手段に表示する地図上の自車両位置を移動させて自車両位置を補正する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、実際に道路上に設置されている目標物を認識することによって自車両位置を補正するので、目標物までの距離に応じた当該目標物の映像内位置の変化を考慮して、極めて高精度に自車両の位置を検出及び補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0009】
本発明は、例えば図1に示すように構成された車両用ナビゲーションシステムに適用される。
【0010】
[車両用ナビゲーションシステムの構成]
本発明の実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムは、図1に示すように、自車両周囲の映像を撮像するカメラ11と、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を受信するGPS受信機12と、自車両の速度を検出する車速センサ13と、経路案内情報を表示する表示装置14と、自車両の経路案内を行うナビゲーション本体15とを備える。
【0011】
カメラ11は、例えば自車両前方に取り付けられ、自車両周囲の映像を撮像する。なお、カメラ11の取り付け位置は、自車両前方を撮像できる箇所であれば、自車両の任意の場所とすることができる。このカメラ11によって撮像された映像は、ナビゲーション本体15に供給される。
【0012】
GPS受信機12は、GPS衛星からの電波を受信し、得られたGPS信号に基づく位置情報をナビゲーション本体15に供給する。
【0013】
車速センサ13は、自車両の速度を検出し、検出した速度情報をナビゲーション本体15に供給する。
【0014】
表示装置14は、自車両室内に取り付けられた例えば液晶ディスプレイ等からなり、ナビゲーション本体15から出力された地図や自車両位置を含む経路案内情報を表示する。
【0015】
ナビゲーション本体15は、画像認識部15aと、自車両位置検出部15bと、記憶部15cと、映像出力部15dとを有する。なお、図1においてナビゲーション本体15は、CPU、ROM、RAMなどを備えたコンピュータによるハードウエアで構成されているが、図1においては便宜的に機能ブロック毎に分けて、説明を行っている。
【0016】
画像認識部15aは、例えば図2に示すように、記憶部15cに記憶されているキロポストの形状、色、及び文字等の特徴情報に基づいて、目標物としてのキロポストのパターン認識を行うパターン認識部15a’を備える。パターン認識部15a’を備えた画像認識部15aは、例えば100ミリ秒周期等、所定の周期でパターン認識処理を行う。そして、画像認識部15aは、認識したキロポストの数字が目標となる数字であるか否かを示す情報と、認識処理の周期毎のキロポストの撮像画面上の位置を示す情報とを、認識結果として自車両位置検出部15bに供給する。
【0017】
例えば、図3(a)に示すように、キロポスト111が道路110の左路肩にある場合において、画像認識部15aによるパターン認識処理の処理周期を100ミリ秒とした場合には、カメラ11によって撮像される範囲は一定であるので、100ミリ秒毎に画像認識部15aによって認識したキロポスト111の軌跡は、図3(b)に示すようになる。そして、画像認識部15aは、図3(b)に示すように、カメラ11によって撮像される範囲内のキロポスト111の画像内高さy0、y1,y2,y3,y4,y5,y6をそれぞれ求め、その結果を自車両位置検出部15bに供給する。
【0018】
自車両位置検出部15bは、画像認識部15aの認識結果と、GPS受信機12から供給された位置情報と、車速センサ13から供給された速度情報とに基づいて、自車両の位置を検出及び補正する。自車両位置検出部15bは、検出した自車両の位置情報を映像出力部15dに供給する。
【0019】
記憶部15cは、例えばハードディスク、DVD、CD等の記憶媒体からなり、自車両の経路案内を行う際に用いる地図データの他、各高速道路上に設置されているキロポストの位置情報、当該キロポストの形状、色、文字を含むキロポストの特徴情報を含む所定の情報15c’を記憶している。
【0020】
ここで、車両用ナビゲーションシステムは、高速道路上に存在する全てのキロポストについての位置情報及び特徴情報を記憶部15cに記憶させてもよいが、データ量を少なくするために、特定のキロポストについての位置情報及び特徴情報のみを記憶部15cに記憶させるようにしてもよい。具体的には、記憶部15cには、例えば図4に示すように、ある高速道路の上り線(a)、下り線(b)に分けて、10キロポイント、20キロポイント、30キロポイントといったように、10キロ毎に設置されているキロポストについての位置情報及び特徴情報のみを記憶させてもよい。
【0021】
車両用ナビゲーションシステムは、このように特定のキロポストについての位置情報及び特徴情報のみを記憶部15cに記憶させることにより、自車両が最寄りのキロポイントから所定距離以内に近づいた旨を検出した場合に限り、画像認識部15aによる画像認識処理を開始させるようにすることができる。これにより、常に画像処理を行うことによる処理負荷の増大を防止することも可能となる。このような記憶部15cに記憶されている地図データは、映像出力部15dによって読み出され、キロポストの特徴情報は、画像認識部15aによって読み出される。
【0022】
映像出力部15dは、記憶部15cから読み出した地図データと、自車両位置検出部15bから供給された自車両の位置情報とに基づいて、経路案内を行うための映像を作成し、その映像を表示装置14に出力する。
【0023】
このようなナビゲーション本体15は、地図や地図上の自車両位置を自車両マークとして表示装置14に表示するために経路案内情報としての映像を作成し、その映像を表示装置14に出力することにより、自車両の経路案内を行う。
【0024】
このような車両用ナビゲーションシステムにおいては、高速道路上に設置されているキロポストの位置情報、形状、色、文字を含むキロポストの特徴情報を予め記憶部15cに記憶しておき、自車両走行中の自車両位置の検出時に、該当するキロポストをカメラ11によって撮像する。そして、カメラ11の撮像映像に対して、画像認識を画像認識部15aによって行うことにより、高精度な自車両位置の補正を行う。
【0025】
[車両用ナビゲーションシステムの動作]
既存の車両用ナビゲーションシステムにおいては、自律航法によって自車両位置を特定する場合には、様々な誤差が生じてしまうため、実際に走行している場所と地図上の自車両位置とが異なってしまうことが多い。また、既存の車両用ナビゲーションシステムにおいては、交差点や急カーブがある一般道路では、いわゆるマップマッチング技術を用いて自車両位置の補正を行っているが、交差点や急カーブがない高速道路等では、マップマッチング技術による自車両位置補正を行うことができず、例えば図5に示すように、自車両120が走行するほどに誤差が累積してしまい、実際に走行している場所と自車両120の位置とが大きく異なってしまう。結果として、表示画面100上の自車位置101は、正しい自車位置101’からかけ離れたものとなってしまう。
【0026】
また、位置情報に基づいて自車両位置の補正を行う技術もあるが、そもそも、GPS衛星から受信する位置惰報には誤差が含まれている。一般的に、位置情報の誤差は、停車中で約10mであり、走行中ではさらに精度が低下するといわれている。したがって、既存の車両用ナビゲーションシステムは、GPS受信機12から取得した位置情報の誤差がない場合には、自車両位置を正しく特定することができるものの、既存のGPS受信機12を用いて自車両位置の補正を行ったとしても、10m以上の誤差があり、正しく自車両120の位置を補正することができない。
【0027】
これに対して、本発明を適用した車両用ナビゲーションシステムは、図6に示すような一連の手順にしたがって画像認識処理を開始する。
【0028】
まず、ナビゲーション本体15は、図6に示すように、ステップS1において、自車両位置検出部15bによって自車両位置を検出する。このとき、自車両位置検出部15bは、GPS受信機12からのGPS信号を用いて自車両位置の緯度経度を特定すればよい。
【0029】
続いて、自車両位置検出部15bは、ステップS2において、記憶部15cに記憶されている地図データを参照して、現在走行している道路が高速道路であるか一般道路であるかを判定する。現在に走行している道路が一般道路であった場合には、ステップS2の処理を繰り返し行う一方で、現在に走行している道路が高速道路であった場合には、ステップS3において、記憶部15cに記憶されているキロポスト情報に基づいて、現在位置から最寄りのキロポストを判定する。
【0030】
例えば、図7(a)に示したような状況下におけるキロポスト121の情報15c’が記憶部15cに記憶されている場合において、高速道路への入り口がキロポスト121の「16キロ」付近であった場合には、自車両位置検出部15bは、最寄りのキロポスト121が「20キロ」であるものと判定する。
【0031】
そして、自車両位置検出部15bは、ステップS4において、記憶部15cに記憶されている最寄りのキロポスト121の位置情報と、検出した自車両120の位置とに基づいて、自車両120の位置から最寄りのキロポスト121までの距離を算出する。そして、自車両120が走行して図7(b)のような状況となると、算出した距離が所定距離L以下となり、ステップS5において、カメラ11によって周囲の映像を撮像させ、画像認識部15aによる画像認識処理を開始させる。
【0032】
車両用ナビゲーションシステムは、このような一連の手順にしたがって画像認識処理を開始することにより、常に画像認識を行う必要がなく、処理負荷の増大を防止することができる。
【0033】
つぎに、カメラ11による撮像開始から自車両位置補正までの処理について、図8及び図9を用いて説明する。
【0034】
まず、カメラ11は、ナビゲーション本体15によって目標のキロポスト121までの距離が所定距離Lとなった旨が検出されると、図8に示すように、ステップS11において、周囲の映像の撮像を開始する。
【0035】
続いて、ナビゲーション本体15における画像認識部15aは、ステップS12において、カメラ11によって撮像された映像と、予め記憶部15cに記憶されているキロポスト121の形状、色、及び文字を含む特徴情報とを比較し、目標物としてのキロポストのパターン認識を開始する。この特徴情報は、GPS受信機12によって計測された自車両の位置に最も近いキロポスト121の文字、色、形状のものが選択されて、パターン認識に使用される。
【0036】
そして、ナビゲーション本体15は、ステップS13において、画像認識部15aによって目標物としてのキロポスト121を認識できた場合には、ステップS14に処理を進める。
【0037】
このステップS14おいては、自車両位置検出部15b及び映像出力部15dにより、表示装置14に表示する地図上の自車両マークの位置を、予め記憶部15cに記憶されている目標物としてのキロポスト121の位置に移動させた映像を作成し、自車両位置を補正する。具体的には、ナビゲーション本体15は、例えば図9(a)に示すように、目標物として認識したキロポスト121が「20キロ」を示すものであった場合には、図9(b)のように、当該キロポスト121の位置に地図上の自車両マーク101’の位置を移動させ、誤差が含まれて表示されていた自車両マーク101の位置を補正する。
【0038】
車両用ナビゲーションシステムにおいては、このような一連の手順にしたがって、自車両位置を高精度に補正することができる。
【0039】
なお、ナビゲーション本体15においては、目標物としてのキロポストが自車両の真横を通過するとき、すなわち、自車両が目標物としてのキロポストと同じ位置に到達したときに、自車両位置を補正するのが望ましい。
【0040】
しかしながら、ナビゲーション本体15においては、カメラ11の画角が狭い場合には、例えば図10(a)に示すような状態ではキロポスト121が撮像範囲120’内であり図10(b)のような道路110脇のキロポスト111を含む撮像映像100を得ることができるが、図10(c)のように自車両120がキロポスト121に近づくと、図10(d)のようにキロポスト121が撮像範囲120’の外になってしまう。その結果、図10(d)のように撮像映像100に当該キロポスト111が含まれなくなるために画像認識を行うことができず、最適なタイミングで自車両位置の補正を行うことができない場合がある。また、ナビゲーション本体15においては、カメラ11の画角が広く、自車両120の真横に位置するキロポストを撮像できたとしても、キロポストが自車両に近づくにつれてカメラ11の撮像画面内のキロポストの移動速度が速くなり、画像認識の認識率が低下することも考えられる。
【0041】
そこで、ナビゲーション本体15においては、目標物としてのキロポストが自車両の真横に到達することを推測し、自車両位置の補正を行う。
【0042】
画像認識部15aは、上述したように、目標物としてのキロポストを最初に認識したときから、当該キロポストがカメラ11の撮像映像の範囲外になるまで、画像処理の周期毎の軌跡を検出し、撮像範囲内のキロポストの高さを算出する。したがって、キロポストを最初に認識した時刻t0のキロポストの高さy0、1周期後の時刻t1のキロポストの高さy1、2周期後の時刻t2のキロポストの高さy2といったように、周期毎にキロポストの撮像範囲内の高さがわかる。
【0043】
ここで、キロポストが自車両の真横を通過するときは、カメラ11によって撮像されたキロポストの高さYが0となることと略等しいとみなすことができる。
【0044】
したがって、ナビゲーション本体15においては、例えば図11(a)に示すようにキロポスト111が撮像映像100内で移動した場合、図11(b)のように画像認識部15aによってキロポストの高さを算出した時刻Tとその高さYとを取得する。そして、時刻Tとその高さYとを用いて近似式を求め、高さY=0となる時刻Tを算出することにより、その時刻Tを自車両位置の補正を行うタイミングとして決定する。これによって、ナビゲーション本体15は、所定周期毎に検出された目標物の軌跡に基づいて、自車両と目標物との位置が同等となるタイミングを推測する。そして、推定されたタイミングとなると、ナビゲーション本体15は、自車両位置の補正を行うことができる。
【0045】
そして、車両用ナビゲーションシステムにおいては、例えば2台のカメラからなるステレオカメラを用いて目標物までの距離を求めて自車両位置の補正を行う必要がなく、低コストな構成であっても、より高精度な自車両位置の補正を実現することができる。
【0046】
なお、以上では、道路上に設置されているキロポストを目標物とした場合について説明したが、車両用ナビゲーションシステムにおいては、高速道路出口に設置されている案内標識や、制限速度の標識、高速道路上に架設されている橋梁等、任意の構造物を目標物として用いることができる。
【0047】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態として示した車両用ナビゲーションシステムにおいては、道路上に設置されているキロポストの位置情報、形状、色、及び文字を含む特徴情報を予め記憶部15cに記憶しておき、カメラ11によって撮像された映像から目標物としてのキロポストを画像認識部15aによって画像認識し、当該キロポストの映像内位置に基づいて、表示装置14に表示する地図上の自車両位置を、自車両位置検出部15b及び映像出力部15dによって、画像認識されたキロポストの位置であって記憶部15cに記憶されているキロポストの位置に移動させて自車両位置を補正する。
【0048】
これにより、この車両用ナビゲーションシステムによれば、目標物としてのキロポストまでの距離に応じた当該キロポストの映像内位置の変化を考慮して、極めて高精度に自車両の位置を検出及び補正することができる。
【0049】
また、この車両用ナビゲーションシステムにおいて、ナビゲーション本体15は、キロポストの撮像映像内の位置に基づいて、当該キロポストが自車両の真横を通過するタイミングで自車両位置を補正する。また、ナビゲーション本体15は、画像認識部15aによって所定周期毎に検出された目標物としてのキロポストの軌跡に基づいて、自車両と当該キロポストとの位置が同等となるタイミングを推測し、そのタイミングで自車両位置の補正を行う。これにより、高価なステレオカメラを用いることなく目標物までの距離を求めることができ、低コストな構成であっても、より高精度な自車両位置補正を実現することができる。
【0050】
さらに、この車両用ナビゲーションシステムにおいては、カメラ11の撮像範囲内のキロポストの高さを画像認識部15aによって所定周期毎に算出し、画像認識部15aによってキロポストの高さを算出した時刻Tとその高さYとを用いて求めた近似式に基づいて、自車両位置の補正を行うタイミングを決定することにより、より高精度な自車両位置補正を実現することができる。
【0051】
さらにまた、この車両用ナビゲーションシステムにおいては、記憶部15cに記憶されている目標物としてのキロポストの位置情報と、検出した自車両位置とに基づいて、自車両位置から当該キロポストまでの距離を算出し、算出した距離が所定距離L以下となった場合に、画像認識部15aによる画像認識処理を開始させることにより、常に画像処理を行う必要がなく、処理負荷の増大を防止することができる。
【0052】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施の形態に限定されることはなく、この実施の形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムの構成について示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムにおける画像認識部の処理内容について説明するためのブロック図である。
【図3】本発明の実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムにおいて、カメラの撮像範囲内のキロポストの高さを画像認識部によって求める様子を説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムにおける記憶部に記憶されているキロポスト情報の内容を説明するための図である。
【図5】実際に走行している場所と自車両位置との誤差について説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムにおいて、画像認識処理を開始するまでの一連の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムにおいて、最寄りのキロポストを判定する様子を説明するための図である。
【図8】本発明の実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムにおいて、カメラによる撮像開始から自車両位置補正を行うまでの一連の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムにおいて、目標物として認識したキロポストの位置に地図上の自車両マークの位置を移動させて自車両位置を補正する様子を説明するための図である。
【図10】キロポストが撮像範囲外となる様子を説明するための図である。
【図11】本発明の実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムにおいて、画像認識部によって算出された時刻とキロポストの高さとを用いて近似式を求める様子を説明するための図である。
【符号の説明】
【0054】
11 カメラ
12 GPS受信機
13 車速センサ
14 表示装置
15 ナビゲーション本体
15a 画像認識部
15b 自車両位置検出部
15c 記憶部
15d 映像出力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の位置を検出する車両位置検出装置及び車両位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ナビゲーションシステムは、車両内に搭載されたディスプレイに地図を表示し、且つ、地図上に自車両位置を表示することにより、自車両が走行している場所を運転者に把握させている。したがって、車両用ナビゲーションシステムは、運転者に正確な自車両位置を報知するためにも、高精度に自車両位置を検出することが求められる。仮に自車両位置の検出精度が悪い場合には、実際に走行している場所とディスプレイに表示している自車両位置とが異なってしまい、正確な情報を運転者に提示できなくなる。
【0003】
そこで、自車両位置検出精度の向上を図る技術として、例えば特許文献1に記載されたものが提案されている。具体的には、この特許文献1には、予め標識や看板等の目標物の正確な位置をデータベースに格納しておき、車両に搭載されたカメラによって目標物を認識すると、データベースに格納してある位置情報を用いて自車両位置を補正することが開示されている。
【特許文献1】特開2000−97714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された従来の技術においては、目標物を認識して自車両位置の補正を行うので、目標物までの距離が考慮されておらず、自車両と目標物までの距離の分だけ誤差が生じるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、目標物までの距離を考慮して極めて高精度で自車両の位置を補正することができる車両位置検出装置及び車両位置検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、車両の位置を検出している時に、自車両周囲の映像を撮像する撮像手段によって撮像された映像に対して目標物の特徴に基づく画像認識をし、画像認識した目標物の撮像映像内の位置に基づいて、表示手段に表示する地図上の自車両位置を移動させて自車両位置を補正する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、実際に道路上に設置されている目標物を認識することによって自車両位置を補正するので、目標物までの距離に応じた当該目標物の映像内位置の変化を考慮して、極めて高精度に自車両の位置を検出及び補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0009】
本発明は、例えば図1に示すように構成された車両用ナビゲーションシステムに適用される。
【0010】
[車両用ナビゲーションシステムの構成]
本発明の実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムは、図1に示すように、自車両周囲の映像を撮像するカメラ11と、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を受信するGPS受信機12と、自車両の速度を検出する車速センサ13と、経路案内情報を表示する表示装置14と、自車両の経路案内を行うナビゲーション本体15とを備える。
【0011】
カメラ11は、例えば自車両前方に取り付けられ、自車両周囲の映像を撮像する。なお、カメラ11の取り付け位置は、自車両前方を撮像できる箇所であれば、自車両の任意の場所とすることができる。このカメラ11によって撮像された映像は、ナビゲーション本体15に供給される。
【0012】
GPS受信機12は、GPS衛星からの電波を受信し、得られたGPS信号に基づく位置情報をナビゲーション本体15に供給する。
【0013】
車速センサ13は、自車両の速度を検出し、検出した速度情報をナビゲーション本体15に供給する。
【0014】
表示装置14は、自車両室内に取り付けられた例えば液晶ディスプレイ等からなり、ナビゲーション本体15から出力された地図や自車両位置を含む経路案内情報を表示する。
【0015】
ナビゲーション本体15は、画像認識部15aと、自車両位置検出部15bと、記憶部15cと、映像出力部15dとを有する。なお、図1においてナビゲーション本体15は、CPU、ROM、RAMなどを備えたコンピュータによるハードウエアで構成されているが、図1においては便宜的に機能ブロック毎に分けて、説明を行っている。
【0016】
画像認識部15aは、例えば図2に示すように、記憶部15cに記憶されているキロポストの形状、色、及び文字等の特徴情報に基づいて、目標物としてのキロポストのパターン認識を行うパターン認識部15a’を備える。パターン認識部15a’を備えた画像認識部15aは、例えば100ミリ秒周期等、所定の周期でパターン認識処理を行う。そして、画像認識部15aは、認識したキロポストの数字が目標となる数字であるか否かを示す情報と、認識処理の周期毎のキロポストの撮像画面上の位置を示す情報とを、認識結果として自車両位置検出部15bに供給する。
【0017】
例えば、図3(a)に示すように、キロポスト111が道路110の左路肩にある場合において、画像認識部15aによるパターン認識処理の処理周期を100ミリ秒とした場合には、カメラ11によって撮像される範囲は一定であるので、100ミリ秒毎に画像認識部15aによって認識したキロポスト111の軌跡は、図3(b)に示すようになる。そして、画像認識部15aは、図3(b)に示すように、カメラ11によって撮像される範囲内のキロポスト111の画像内高さy0、y1,y2,y3,y4,y5,y6をそれぞれ求め、その結果を自車両位置検出部15bに供給する。
【0018】
自車両位置検出部15bは、画像認識部15aの認識結果と、GPS受信機12から供給された位置情報と、車速センサ13から供給された速度情報とに基づいて、自車両の位置を検出及び補正する。自車両位置検出部15bは、検出した自車両の位置情報を映像出力部15dに供給する。
【0019】
記憶部15cは、例えばハードディスク、DVD、CD等の記憶媒体からなり、自車両の経路案内を行う際に用いる地図データの他、各高速道路上に設置されているキロポストの位置情報、当該キロポストの形状、色、文字を含むキロポストの特徴情報を含む所定の情報15c’を記憶している。
【0020】
ここで、車両用ナビゲーションシステムは、高速道路上に存在する全てのキロポストについての位置情報及び特徴情報を記憶部15cに記憶させてもよいが、データ量を少なくするために、特定のキロポストについての位置情報及び特徴情報のみを記憶部15cに記憶させるようにしてもよい。具体的には、記憶部15cには、例えば図4に示すように、ある高速道路の上り線(a)、下り線(b)に分けて、10キロポイント、20キロポイント、30キロポイントといったように、10キロ毎に設置されているキロポストについての位置情報及び特徴情報のみを記憶させてもよい。
【0021】
車両用ナビゲーションシステムは、このように特定のキロポストについての位置情報及び特徴情報のみを記憶部15cに記憶させることにより、自車両が最寄りのキロポイントから所定距離以内に近づいた旨を検出した場合に限り、画像認識部15aによる画像認識処理を開始させるようにすることができる。これにより、常に画像処理を行うことによる処理負荷の増大を防止することも可能となる。このような記憶部15cに記憶されている地図データは、映像出力部15dによって読み出され、キロポストの特徴情報は、画像認識部15aによって読み出される。
【0022】
映像出力部15dは、記憶部15cから読み出した地図データと、自車両位置検出部15bから供給された自車両の位置情報とに基づいて、経路案内を行うための映像を作成し、その映像を表示装置14に出力する。
【0023】
このようなナビゲーション本体15は、地図や地図上の自車両位置を自車両マークとして表示装置14に表示するために経路案内情報としての映像を作成し、その映像を表示装置14に出力することにより、自車両の経路案内を行う。
【0024】
このような車両用ナビゲーションシステムにおいては、高速道路上に設置されているキロポストの位置情報、形状、色、文字を含むキロポストの特徴情報を予め記憶部15cに記憶しておき、自車両走行中の自車両位置の検出時に、該当するキロポストをカメラ11によって撮像する。そして、カメラ11の撮像映像に対して、画像認識を画像認識部15aによって行うことにより、高精度な自車両位置の補正を行う。
【0025】
[車両用ナビゲーションシステムの動作]
既存の車両用ナビゲーションシステムにおいては、自律航法によって自車両位置を特定する場合には、様々な誤差が生じてしまうため、実際に走行している場所と地図上の自車両位置とが異なってしまうことが多い。また、既存の車両用ナビゲーションシステムにおいては、交差点や急カーブがある一般道路では、いわゆるマップマッチング技術を用いて自車両位置の補正を行っているが、交差点や急カーブがない高速道路等では、マップマッチング技術による自車両位置補正を行うことができず、例えば図5に示すように、自車両120が走行するほどに誤差が累積してしまい、実際に走行している場所と自車両120の位置とが大きく異なってしまう。結果として、表示画面100上の自車位置101は、正しい自車位置101’からかけ離れたものとなってしまう。
【0026】
また、位置情報に基づいて自車両位置の補正を行う技術もあるが、そもそも、GPS衛星から受信する位置惰報には誤差が含まれている。一般的に、位置情報の誤差は、停車中で約10mであり、走行中ではさらに精度が低下するといわれている。したがって、既存の車両用ナビゲーションシステムは、GPS受信機12から取得した位置情報の誤差がない場合には、自車両位置を正しく特定することができるものの、既存のGPS受信機12を用いて自車両位置の補正を行ったとしても、10m以上の誤差があり、正しく自車両120の位置を補正することができない。
【0027】
これに対して、本発明を適用した車両用ナビゲーションシステムは、図6に示すような一連の手順にしたがって画像認識処理を開始する。
【0028】
まず、ナビゲーション本体15は、図6に示すように、ステップS1において、自車両位置検出部15bによって自車両位置を検出する。このとき、自車両位置検出部15bは、GPS受信機12からのGPS信号を用いて自車両位置の緯度経度を特定すればよい。
【0029】
続いて、自車両位置検出部15bは、ステップS2において、記憶部15cに記憶されている地図データを参照して、現在走行している道路が高速道路であるか一般道路であるかを判定する。現在に走行している道路が一般道路であった場合には、ステップS2の処理を繰り返し行う一方で、現在に走行している道路が高速道路であった場合には、ステップS3において、記憶部15cに記憶されているキロポスト情報に基づいて、現在位置から最寄りのキロポストを判定する。
【0030】
例えば、図7(a)に示したような状況下におけるキロポスト121の情報15c’が記憶部15cに記憶されている場合において、高速道路への入り口がキロポスト121の「16キロ」付近であった場合には、自車両位置検出部15bは、最寄りのキロポスト121が「20キロ」であるものと判定する。
【0031】
そして、自車両位置検出部15bは、ステップS4において、記憶部15cに記憶されている最寄りのキロポスト121の位置情報と、検出した自車両120の位置とに基づいて、自車両120の位置から最寄りのキロポスト121までの距離を算出する。そして、自車両120が走行して図7(b)のような状況となると、算出した距離が所定距離L以下となり、ステップS5において、カメラ11によって周囲の映像を撮像させ、画像認識部15aによる画像認識処理を開始させる。
【0032】
車両用ナビゲーションシステムは、このような一連の手順にしたがって画像認識処理を開始することにより、常に画像認識を行う必要がなく、処理負荷の増大を防止することができる。
【0033】
つぎに、カメラ11による撮像開始から自車両位置補正までの処理について、図8及び図9を用いて説明する。
【0034】
まず、カメラ11は、ナビゲーション本体15によって目標のキロポスト121までの距離が所定距離Lとなった旨が検出されると、図8に示すように、ステップS11において、周囲の映像の撮像を開始する。
【0035】
続いて、ナビゲーション本体15における画像認識部15aは、ステップS12において、カメラ11によって撮像された映像と、予め記憶部15cに記憶されているキロポスト121の形状、色、及び文字を含む特徴情報とを比較し、目標物としてのキロポストのパターン認識を開始する。この特徴情報は、GPS受信機12によって計測された自車両の位置に最も近いキロポスト121の文字、色、形状のものが選択されて、パターン認識に使用される。
【0036】
そして、ナビゲーション本体15は、ステップS13において、画像認識部15aによって目標物としてのキロポスト121を認識できた場合には、ステップS14に処理を進める。
【0037】
このステップS14おいては、自車両位置検出部15b及び映像出力部15dにより、表示装置14に表示する地図上の自車両マークの位置を、予め記憶部15cに記憶されている目標物としてのキロポスト121の位置に移動させた映像を作成し、自車両位置を補正する。具体的には、ナビゲーション本体15は、例えば図9(a)に示すように、目標物として認識したキロポスト121が「20キロ」を示すものであった場合には、図9(b)のように、当該キロポスト121の位置に地図上の自車両マーク101’の位置を移動させ、誤差が含まれて表示されていた自車両マーク101の位置を補正する。
【0038】
車両用ナビゲーションシステムにおいては、このような一連の手順にしたがって、自車両位置を高精度に補正することができる。
【0039】
なお、ナビゲーション本体15においては、目標物としてのキロポストが自車両の真横を通過するとき、すなわち、自車両が目標物としてのキロポストと同じ位置に到達したときに、自車両位置を補正するのが望ましい。
【0040】
しかしながら、ナビゲーション本体15においては、カメラ11の画角が狭い場合には、例えば図10(a)に示すような状態ではキロポスト121が撮像範囲120’内であり図10(b)のような道路110脇のキロポスト111を含む撮像映像100を得ることができるが、図10(c)のように自車両120がキロポスト121に近づくと、図10(d)のようにキロポスト121が撮像範囲120’の外になってしまう。その結果、図10(d)のように撮像映像100に当該キロポスト111が含まれなくなるために画像認識を行うことができず、最適なタイミングで自車両位置の補正を行うことができない場合がある。また、ナビゲーション本体15においては、カメラ11の画角が広く、自車両120の真横に位置するキロポストを撮像できたとしても、キロポストが自車両に近づくにつれてカメラ11の撮像画面内のキロポストの移動速度が速くなり、画像認識の認識率が低下することも考えられる。
【0041】
そこで、ナビゲーション本体15においては、目標物としてのキロポストが自車両の真横に到達することを推測し、自車両位置の補正を行う。
【0042】
画像認識部15aは、上述したように、目標物としてのキロポストを最初に認識したときから、当該キロポストがカメラ11の撮像映像の範囲外になるまで、画像処理の周期毎の軌跡を検出し、撮像範囲内のキロポストの高さを算出する。したがって、キロポストを最初に認識した時刻t0のキロポストの高さy0、1周期後の時刻t1のキロポストの高さy1、2周期後の時刻t2のキロポストの高さy2といったように、周期毎にキロポストの撮像範囲内の高さがわかる。
【0043】
ここで、キロポストが自車両の真横を通過するときは、カメラ11によって撮像されたキロポストの高さYが0となることと略等しいとみなすことができる。
【0044】
したがって、ナビゲーション本体15においては、例えば図11(a)に示すようにキロポスト111が撮像映像100内で移動した場合、図11(b)のように画像認識部15aによってキロポストの高さを算出した時刻Tとその高さYとを取得する。そして、時刻Tとその高さYとを用いて近似式を求め、高さY=0となる時刻Tを算出することにより、その時刻Tを自車両位置の補正を行うタイミングとして決定する。これによって、ナビゲーション本体15は、所定周期毎に検出された目標物の軌跡に基づいて、自車両と目標物との位置が同等となるタイミングを推測する。そして、推定されたタイミングとなると、ナビゲーション本体15は、自車両位置の補正を行うことができる。
【0045】
そして、車両用ナビゲーションシステムにおいては、例えば2台のカメラからなるステレオカメラを用いて目標物までの距離を求めて自車両位置の補正を行う必要がなく、低コストな構成であっても、より高精度な自車両位置の補正を実現することができる。
【0046】
なお、以上では、道路上に設置されているキロポストを目標物とした場合について説明したが、車両用ナビゲーションシステムにおいては、高速道路出口に設置されている案内標識や、制限速度の標識、高速道路上に架設されている橋梁等、任意の構造物を目標物として用いることができる。
【0047】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態として示した車両用ナビゲーションシステムにおいては、道路上に設置されているキロポストの位置情報、形状、色、及び文字を含む特徴情報を予め記憶部15cに記憶しておき、カメラ11によって撮像された映像から目標物としてのキロポストを画像認識部15aによって画像認識し、当該キロポストの映像内位置に基づいて、表示装置14に表示する地図上の自車両位置を、自車両位置検出部15b及び映像出力部15dによって、画像認識されたキロポストの位置であって記憶部15cに記憶されているキロポストの位置に移動させて自車両位置を補正する。
【0048】
これにより、この車両用ナビゲーションシステムによれば、目標物としてのキロポストまでの距離に応じた当該キロポストの映像内位置の変化を考慮して、極めて高精度に自車両の位置を検出及び補正することができる。
【0049】
また、この車両用ナビゲーションシステムにおいて、ナビゲーション本体15は、キロポストの撮像映像内の位置に基づいて、当該キロポストが自車両の真横を通過するタイミングで自車両位置を補正する。また、ナビゲーション本体15は、画像認識部15aによって所定周期毎に検出された目標物としてのキロポストの軌跡に基づいて、自車両と当該キロポストとの位置が同等となるタイミングを推測し、そのタイミングで自車両位置の補正を行う。これにより、高価なステレオカメラを用いることなく目標物までの距離を求めることができ、低コストな構成であっても、より高精度な自車両位置補正を実現することができる。
【0050】
さらに、この車両用ナビゲーションシステムにおいては、カメラ11の撮像範囲内のキロポストの高さを画像認識部15aによって所定周期毎に算出し、画像認識部15aによってキロポストの高さを算出した時刻Tとその高さYとを用いて求めた近似式に基づいて、自車両位置の補正を行うタイミングを決定することにより、より高精度な自車両位置補正を実現することができる。
【0051】
さらにまた、この車両用ナビゲーションシステムにおいては、記憶部15cに記憶されている目標物としてのキロポストの位置情報と、検出した自車両位置とに基づいて、自車両位置から当該キロポストまでの距離を算出し、算出した距離が所定距離L以下となった場合に、画像認識部15aによる画像認識処理を開始させることにより、常に画像処理を行う必要がなく、処理負荷の増大を防止することができる。
【0052】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施の形態に限定されることはなく、この実施の形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムの構成について示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムにおける画像認識部の処理内容について説明するためのブロック図である。
【図3】本発明の実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムにおいて、カメラの撮像範囲内のキロポストの高さを画像認識部によって求める様子を説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムにおける記憶部に記憶されているキロポスト情報の内容を説明するための図である。
【図5】実際に走行している場所と自車両位置との誤差について説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムにおいて、画像認識処理を開始するまでの一連の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムにおいて、最寄りのキロポストを判定する様子を説明するための図である。
【図8】本発明の実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムにおいて、カメラによる撮像開始から自車両位置補正を行うまでの一連の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムにおいて、目標物として認識したキロポストの位置に地図上の自車両マークの位置を移動させて自車両位置を補正する様子を説明するための図である。
【図10】キロポストが撮像範囲外となる様子を説明するための図である。
【図11】本発明の実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムにおいて、画像認識部によって算出された時刻とキロポストの高さとを用いて近似式を求める様子を説明するための図である。
【符号の説明】
【0054】
11 カメラ
12 GPS受信機
13 車速センサ
14 表示装置
15 ナビゲーション本体
15a 画像認識部
15b 自車両位置検出部
15c 記憶部
15d 映像出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の位置を検出して表示手段に表示させる車両位置検出装置であって、
道路上に設置されている目標物の位置、当該目標物の特徴を表す特徴情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記目標物の特徴情報を用いて、自車両周囲の映像を撮像する撮像手段によって撮像された撮像映像から当該目標物を画像認識する画像認識手段と、
前記画像認識手段が認識している目標物の撮像映像内の位置に基づいて、当該画像認識手段により認識されている目標物の位置であって前記記憶手段に記憶されている目標物の位置に、前記表示手段に表示されている自車両位置を移動させる補正をする補正手段と
を備えることを特徴とする車両位置検出装置。
【請求項2】
前記補正手段は、前記画像認識手段が認識している目標物の撮像映像内の位置に基づいて、当該目標物が自車両の真横を通過するタイミングで自車両位置を補正することを特徴とする請求項1に記載の車両位置検出装置。
【請求項3】
前記補正手段は、前記画像認識手段によって所定周期毎に検出された前記目標物の撮像映像内の軌跡に基づいて、自車両と前記目標物との位置が同等となるタイミングを推測し、当該推定したタイミングで自車両位置の補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両位置検出装置。
【請求項4】
前記画像認識手段は、前記撮像映像内における前記目標物の高さを前記所定周期毎に算出し、
前記補正手段は、前記画像認識手段によって前記目標物の高さを算出した時刻とその高さとを用いて求めた近似式に基づいて、自車両位置の補正を行うタイミングを決定すること
を特徴とする請求項3に記載の車両位置検出装置。
【請求項5】
前記補正手段は、前記記憶手段に記憶されている前記目標物の位置と、検出した自車両位置とに基づいて、自車両位置から当該目標物までの距離を算出し、算出した距離が所定距離以下となった場合に、前記画像認識手段による画像認識処理を開始させることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の車両位置検出装置。
【請求項6】
車両の位置を検出している時に、
自車両周囲の映像を撮像する撮像手段によって撮像された映像に対して目標物の特徴に基づく画像認識をし、画像認識した目標物の撮像映像内の位置に基づいて、表示手段に表示する地図上の自車両位置を移動させて自車両位置を補正することを特徴とする車両位置検出方法。
【請求項1】
自車両の位置を検出して表示手段に表示させる車両位置検出装置であって、
道路上に設置されている目標物の位置、当該目標物の特徴を表す特徴情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記目標物の特徴情報を用いて、自車両周囲の映像を撮像する撮像手段によって撮像された撮像映像から当該目標物を画像認識する画像認識手段と、
前記画像認識手段が認識している目標物の撮像映像内の位置に基づいて、当該画像認識手段により認識されている目標物の位置であって前記記憶手段に記憶されている目標物の位置に、前記表示手段に表示されている自車両位置を移動させる補正をする補正手段と
を備えることを特徴とする車両位置検出装置。
【請求項2】
前記補正手段は、前記画像認識手段が認識している目標物の撮像映像内の位置に基づいて、当該目標物が自車両の真横を通過するタイミングで自車両位置を補正することを特徴とする請求項1に記載の車両位置検出装置。
【請求項3】
前記補正手段は、前記画像認識手段によって所定周期毎に検出された前記目標物の撮像映像内の軌跡に基づいて、自車両と前記目標物との位置が同等となるタイミングを推測し、当該推定したタイミングで自車両位置の補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両位置検出装置。
【請求項4】
前記画像認識手段は、前記撮像映像内における前記目標物の高さを前記所定周期毎に算出し、
前記補正手段は、前記画像認識手段によって前記目標物の高さを算出した時刻とその高さとを用いて求めた近似式に基づいて、自車両位置の補正を行うタイミングを決定すること
を特徴とする請求項3に記載の車両位置検出装置。
【請求項5】
前記補正手段は、前記記憶手段に記憶されている前記目標物の位置と、検出した自車両位置とに基づいて、自車両位置から当該目標物までの距離を算出し、算出した距離が所定距離以下となった場合に、前記画像認識手段による画像認識処理を開始させることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の車両位置検出装置。
【請求項6】
車両の位置を検出している時に、
自車両周囲の映像を撮像する撮像手段によって撮像された映像に対して目標物の特徴に基づく画像認識をし、画像認識した目標物の撮像映像内の位置に基づいて、表示手段に表示する地図上の自車両位置を移動させて自車両位置を補正することを特徴とする車両位置検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−250718(P2009−250718A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97263(P2008−97263)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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