車両用リモートサービスシステム及び車載用リモートサービス端末
【課題】車載用リモートサービス端末のコストの低下を図りながら、長距離区間において精度の高い経路案内を可能にすること。
【解決手段】車両14に搭載された音声案内ユニット1からリモートサービスセンタ16へ、車両現在位置及び指定目的地を含むサービス要求を送信すると、リモートサービスサーバ17が、サービス要求に含まれる車両現在位置及び指定目的地間の経路探索し、その探索経路に対応した音声案内情報を含むリモートサービス情報を音声案内ユニット1へ無線通信により提供可能な状態を呈する。音声案内ユニット1では、提供されたリモートサービス情報を所定区間分ずつ時系列的にダウンロードして記憶部に記憶し、その記憶情報に基づいた音声案内を、自車両が当該情報により示される案内ポイントに到達する毎に実行し、これに伴い不要となったリモートサービス情報を記憶部から逐次消去する。
【解決手段】車両14に搭載された音声案内ユニット1からリモートサービスセンタ16へ、車両現在位置及び指定目的地を含むサービス要求を送信すると、リモートサービスサーバ17が、サービス要求に含まれる車両現在位置及び指定目的地間の経路探索し、その探索経路に対応した音声案内情報を含むリモートサービス情報を音声案内ユニット1へ無線通信により提供可能な状態を呈する。音声案内ユニット1では、提供されたリモートサービス情報を所定区間分ずつ時系列的にダウンロードして記憶部に記憶し、その記憶情報に基づいた音声案内を、自車両が当該情報により示される案内ポイントに到達する毎に実行し、これに伴い不要となったリモートサービス情報を記憶部から逐次消去する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたリモートサービス端末をクライアントとした車両用リモートサービスシステム及びこのシステムに使用される車載用リモートサービス端末に関する。
【背景技術】
【0002】
地図データを利用して、車両現在位置の周辺の地図画面を車載ディスプレイで表示したり、その地図画面での案内経路の表示及び音声ガイドにより目的地までの経路案内を行ったりするカーナビゲーション装置においては、地図データを格納した記憶媒体(DVD−ROM、ハードディスクドライブなど)を備えた構成とされるのが一般的である。しかしながら、広い範囲の詳細な地図を格納した記憶媒体を用意しておくことは、普段あまり使わない地図データを持ち続けることを意味し、効率的でない面がある。つまり、従来のカーナビゲーション装置では、大容量の記憶媒体を用意する必要があるため、その分だけコスト的に不利になるという問題点があった。
【0003】
これに対して、近年では、通信技術の進展に伴い、ネットワークを利用した通信型ナビゲーションシステムが注目を集めており、このシステムでは大容量の記憶媒体が不要になる分だけコスト的に有利になる。例えば、この種の通信型ナビゲーションシステムは、車載端末(カーナビゲーション装置)とリモートサービスセンタとがデータ通信を行うことでナビゲーション機能を実現するものである。このような通信型ナビゲーションシステムは、車載端末が車両現在位置情報を含むサービス要求をリモートサービスセンタへ送信すると、リモートサービスセンタ側では、受信したサービス要求に応じた地図データや案内経路データを生成し、生成したデータを車載端末に配信するというシステム構成とされるものである(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−260048号公報
【特許文献2】特開2003−65785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のナビゲーションシステムでは、車載端末として、表示装置などを備えたカーナビゲーション装置が必要になるため、そのシステムコストを十分に引き下げることが難しく、また、カーナビゲーション装置が設けられていない場合には、リモートサービスセンタ側から経路案内情報を提供するシステム構成であったとしても、長距離区間において精度が高い経路案内が不可能になる。
【0005】
つまり、近年では、G−BOOK ALPHA(登録商標)と呼ばれるリモートサービスシステムのように、事故発生時や搭乗者急病時の緊急通報機能、盗難防止機能、車両遠隔制御機能、楽曲提供機能などの他に、最新の交通情報と過去の統計データから総合的に今後の道路状況を予測し、渋滞を回避した最適な経路案内情報を作成するという最適ルート探索機能も備えたシステムが提供されており、このシステムにおける経路案内情報を利用すれば、車載端末側に大容量の記憶媒体を設ける必要がなくなると共に、精度が高い経路案内が可能になると考えられる。しかしながら、このようなリモートサービスシステムでも、車両側にナビゲーション装置が搭載されていることが前提であるため、依然としてシステムコストの引き下げが困難であり、また、ナビゲーション装置が搭載されていない場合には、長距離区間において精度の高い経路案内が難しくなる、という問題点が存在するものである。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車載用リモートサービス端末のコストの低下を図りながら、長距離区間において精度の高い経路案内が可能になるなどの効果を奏する車両用リモートサービスシステムを提供することにあり、また、このようなリモートサービスシステムで使用する車載用リモートサービス端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のリモートサービスシステムによれば、車載用リモートサービス端末からリモートサービスセンタヘ、位置検出手段により検出される車両現在位置及びユーザによる指定目的地を含むサービス要求を無線通信により送信すると、これを受信したリモートサービスセンタ側では、リモートサービスサーバが、受信したサービス要求に含まれる車両現在位置及び指定目的地をそれぞれ設定出発地及び設定目的地とした経路探索を実施すると共に、探索された経路に対応したリモートサービス情報(探索された経路中に設定した案内ポイントの位置を示すポイント情報及び当該案内ポイント毎に所定の経路案内用音声メッセージが割り付けられた音声情報を含む)を作成し、当該リモートサービス情報を車載用リモートサービス端末へ無線通信により提供可能な状態を呈するようになる。
【0008】
この場合、サービス要求の送信源となった車載用リモートサービス端末では、前記提供可能な状態とされたリモートサービス情報のうち、位置検出手段により示される車両現在位置から前記指定目的地方向に存在する所定区間に対応したポイント情報及び音声情報を時系列的にダウンロードしてデータ記憶手段に記憶する処理、位置検出手段により示される車両現在位置が、データ記憶手段に記憶したポイント情報により示される案内ポイントに達する毎に、当該案内ポイントに対応した音声情報に割り付けられた経路案内用音声メッセージを音声出力手段により再生出力する処理、自車両が前記案内ポイントを通過した後の所定タイミング毎に再生出力済みの音声情報及びこれに対応したポイント情報をデータ記憶手段から消去する処理、を順次実行するようになる。
【0009】
この結果、自車両が、指定目的地までの案内経路中に設定された案内ポイントに到達する毎に、その案内ポイント毎に割り付けられた経路案内用音声メッセージが音声出力手段で再生されることになり、このように再生される音声出力により指定目的地までの経路案内が行われる。この場合、上記案内経路は、リモートサービスサーバ側での経路探索結果に基づくものであって、その精度を高め得るものであり、また、自車両が案内ポイントに到達する毎に音声により経路案内が行われるから、総じて、長距離区間において精度の高い経路案内が可能になる。
【0010】
また、車載用リモートサービス端末側には、位置検出手段、データ記憶手段及び音声出力手段などを設けるだけで済むものであって、従来のように表示装置を備えたカーナビゲーション装置として構成する必要がないから、車載用リモートサービス端末のコストの低下を図り得るようになる。しかも、データ記憶手段に記憶した音声情報及びポイント情報は、不要なものから逐次消去されることになるから、そのデータ記憶手段に必要な記憶容量の増大を招くことがなく、この面からもコストの低下を実現できるようになる。
【0011】
請求項2記載のリモートサービスシステムによれば、車載用リモートサービス端末でのリモートサービス情報のダウンロードが、緯度線及び経度線によりメッシュ状に画定された領域単位で行われるから、そのダウンロードを実施する位置の自由度が高くなる。この結果、例えば、リモートサービス情報のダウンロードを、良好な無線通信が可能な車両位置に限定して実施できるようになり、そのダウンロード動作の信頼性向上を図り得る。
【0012】
請求項3記載のリモートサービスシステムによれば、車載用リモートサービス端末でのリモートサービス情報のダウンロードが、その情報のデータ量の大きさを基準に画定された領域単位で行われるから、1回のダウンロード情報量が過大になる事態を未然に防止できるようになる。この結果、リモートサービス情報のダウンロードが通信障害などにより中途停止される可能性が小さくなって、ダウンロード動作の信頼性が向上すると共に、データ記憶手段に必要な記憶容量の低減も図り得るようになる。
【0013】
請求項4記載のリモートサービスシステムによれば、車両の現在位置が案内経路から逸脱したときには、リモートサービスセンタ側から車載用リモートサービス端末へ経路逸脱情報が送信されるから、ユーザ側では、その経路逸脱情報に基づいて案内経路からの逸脱状態を認識できるようになり、これにより自車両の走行経路を的確に修正可能になる。
【0014】
請求項5記載のリモートサービスシステムによれば、ユーザ側では、経路逸脱状態を、音声出力手段から出力される音声メッセージにより確実に認識できるようになる。また、ユーザ側では、上記のような認識結果に基づいて、リモートサービスセンタに対し経路の再探索を選択的に要求できると共に、このような再探索要求を行なった場合には、経路逸脱後の車両現在位置からの新たな案内経路に係るリモートサービス情報をリモートサービスセンタからダウンロード可能になるから、経路逸脱に対するユーザ(車両運転者)側の不安を払拭できるようになる。
【0015】
請求項6記載の車載用リモートサービス端末によれば、制御手段は、位置検出手段により検出される車両現在位置及びユーザによる指定目的地を含むサービス要求をリモートサービスセンタヘ無線通信手段により送信する処理、リモートサービスセンタ側で上記サービス要求の受信に応じて作成されたリモートサービス情報(探索経路中に設定した案内ポイントの位置を示すポイント情報及び当該案内ポイント毎に所定の経路案内用音声メッセージが割り付けられた音声情報を含む)のうち、位置検出手段により示される車両現在位置から前記指定目的地方向に存在する所定区間に対応したポイント情報及び音声情報を、無線通信手段を通じて時系列的にダウンロードしてデータ記憶手段に記憶する処理、位置検出手段により示される車両現在位置が、データ記憶手段に記憶したポイント情報により示される案内ポイントに達する毎に、当該案内ポイントに対応した音声情報に割り付けられた経路案内用音声メッセージを音声出力手段により再生出力する処理、自車両が前記案内ポイントを通過した後の所定タイミング毎に再生出力済みの音声情報及びこれに対応したポイント情報をデータ記憶手段から消去する処理、を順次実行するようになる。
【0016】
この結果、自車両が、目的地までの案内経路中に設定された案内ポイントに到達する毎に、その案内ポイント毎に割り付けられた経路案内用音声メッセージが音声出力手段で再生されることになり、以て目的地までの経路案内が音声出力により行われる。この場合、上記案内経路は、リモートサービスサーバ側での経路探索結果に基づくものであって、その精度を高め得るものであり、また、自車両が案内ポイントに到達する毎に音声により経路案内が行われるから、総じて、長距離区間において精度の高い経路案内が可能になる。
【0017】
また、車載用リモートサービス端末側には、位置検出手段、無線通信手段、データ記憶手段、音声出力手段、制御手段を設けるだけで済むものであって、従来のように表示装置を備えたカーナビゲーション装置として構成する必要がないから、そのコストの低下を図り得るようになる。この場合、データ記憶手段に記憶した音声情報及びポイント情報は、不要なものから逐次消去されることになるから、そのデータ記憶手段に必要な記憶容量の増大を招くことがなく、この面からもコストの低下を実現できるようになる。
【0018】
請求項7車載用リモートサービス端末によれば、衛星測位手段による衛星測位(つまり車両現在位置の検出)が不可能な状態でなった場合でも、案内ポイント毎に割り付けられた経路案内用音声メッセージの再生を、自車両が当該案内ポイントに到達する時刻を平均走行速度の利用により推定した結果に基づいて実施可能になるから、音声による経路案内に対する信頼性の低下を防止する上で有益になる。
【0019】
請求項8車載用リモートサービス端末によれば、ユーザ側では、経路案内用音声メッセージの再確認を操作手段の操作に応じて容易に行い得るようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1実施例について図1〜図8を参照しながら説明する。
図1には、本実施例による車両用リモートサービスシステムのクライアントとなる音声案内ユニット1(車載用リモートサービス端末に相当)の電気的構成が機能ブロックを用いて示されている。この図1において、音声案内ユニット1は、その動作を制御するためのマイクロコンピュータを含んで成る制御部2(制御手段、位置検出手段に相当)に対して、それぞれ車両に搭載されたGPS受信装置3(衛星測位手段に相当)、操作スイッチ部4、記憶部5(データ記憶手段に相当)、オーディオ制御部6(音声出力手段に相当)、車両インタフェース部7、LEDドライバ8を接続して構成されている。
【0021】
また、制御部2には、セルラー通信部9(無線通信手段に相当、本実施例では例えば携帯電話機)が、通信ケーブル或いはワイヤレス通信手段(例えば、ブルートゥース( Bluetooth:登録商標))を介して接続される構成となっている。
【0022】
GPS受信装置3は、GPS用人工衛星からの信号を受信し、その受信したGPS信号を自車両の現在位置を示す測位情報として制御部2に与える。
操作スイッチ部4は、車両用運転席から容易に操作可能な位置に設置されるもので、例えば図2に示すように、「サービス接続」ボタン4a、「サービス切断」ボタン4b、「音声案内再生」ボタン4c(操作手段に相当)、「進む」ボタン4d、「戻る」ボタン4e、「ヘルプ」ボタン4fを備えており、各ボタン4a〜4fの操作に応じてそれぞれに対応したモーメンタリスイッチ(何れも図示せず)からオン信号が出力されて制御部2に与えられる構成となっている。
【0023】
記憶部5は、記憶データの書換えが可能な形態のもので、後述するリモートサービスセンタからの受信データ(リモートサービス情報)を記憶するためのメモリ領域が設定されている。尚、この記憶部5は、制御部2を構成するマイクロコンピュータ内のRAMにより代用可能である。
【0024】
オーディオ制御部6は、音声合成回路及びアンプなどを含んで構成されたもので、制御部2から、後述する音声情報が与えられたときに、当該音声情報に応じた音声信号を合成して車載スピーカ10から車両搭乗者に向けて出力する構成となっている。
【0025】
車両インタフェース部7は、車両内の他の制御系統(エアバッグ系、ドア・エアコンを含むボディ系、エンジンを含むパワートレイン系など)との間でのデータ授受を車内LANにより行うために設けられており、特に、制御部2は、車両インタフェース部7を通じて車両の走行速度を示す車速信号を取り込む構成となっている。
【0026】
LEDドライバ8は、車両内に設けられたターンシグナルインジケータ11を駆動するために設けられている。このターンシグナルインジケータ11は、車両用方向指示器(ウインカ)の左折指示状態及び右折指示状態(並びにハザード表示状態)を車両内で表示するために車両のインストルメントパネルに配置されたもので、例えば、左折指示用の2色発光ダイオード12及び右折指示用の2色発光ダイオード13により構成されている。この場合、各発光ダイオード12及び13は、緑色発光部12a、13a並びに赤色発光部12b、13bを備えており、車両用方向指示器の左折指示時及び右折指示時(並びにハザード表示時)には、対応する発光部(12a及び12b、13a及び13b)が間欠的に同時点灯されて黄色で発光する。LEDドライバ8は、各発光ダイオード12及び13の例えば緑色発光部12a及び13aを選択的に駆動できる構成となっており、このような緑色での点灯(連続、間欠の何れでも良い)により、後述する経路案内時における車両の誘導方向(左折或いは右折方向)を表示する構成となっている。
【0027】
図3には、車両用リモートサービスシステムの全体構成が模式的に示されている。この図3おいて、車両14に搭載された音声案内ユニット1は、携帯電話用の基地局15との間で前記セルラー通信部9を通じて音声通信及びデータ通信を行うことになる。基地局15と通信可能に設置されたリモートサービスセンタ16内には、例えば、オペレータが操作するリモートサービスサーバ17が設けられている。
【0028】
この場合、音声案内ユニット1からリモートサービスセンタ16へは、経路案内サービスの提供を要求できるものであり、そのサービス要求は、例えば以下のような順序で行うことになる。
【0029】
即ち、ユーザ(車両運転者)が操作スイッチ部4の「サービス接続」ボタン4aを操作すると、これに応じて出力されたスイッチ信号を受けた制御部2が、リモートサービスセンタ16へセルラー通信部9を介してアクセスし、リモートサービスサーバ17のオペレータと通話可能な状態を呈するものであり、ユーザ側では、オペレータとの通話により、経路案内に係る最終目的地を指定する。尚、このような指定目的地の特定は、当該目的地の地名、住所、施設名、電話番号などにより行うことになるが、マップコード(登録商標)により行っても良い。指定目的地がオペレータに伝達された後には、オペレータ側からの指示による所定の操作(例えば、「サービス接続」ボタン4aの再操作)に応じて、制御部2が、車両現在位置の送信動作を行うようになる。具体的には、制御部2は、GPS受信装置3からGPS信号に車両現在位置情報を算出し、その車両現在位置情報を、セルラー通信部9を通じた無線通信により、リモートサービスセンタ16へ送信する。尚、車両現在位置情報の算出をリモートサービスセンタ16側で行う構成(GPS信号をそのままリモートサービスセンタ16へ送信する構成)も可能である。
【0030】
このようにして、GPS受信装置3により検出される車両現在位置及びユーザによる指定目的地を含むサービス要求を、音声案内ユニット1からリモートサービスセンタ16へ送信できるものである。
【0031】
リモートサービスサーバ17は、入力された設定出発地から設定目的地までの経路を探索する機能、並びに当該探索機能により探索された経路中に設定した案内ポイントの位置を示すポイント情報及び当該案内ポイント毎に所定の経路案内用音声メッセージが割り付けられた音声情報を含んで成る音声案内タグ群や各案内ポイント間の距離情報などにより構成されたリモートサービス情報を作成する機能を備えている。
【0032】
このようなリモートサービス情報作成機能は、リモートサービスセンタ16において音声案内ユニット1からの前記サービス要求を受信したときに有効化されるものであり、リモートサービスサーバ17にあっては、受信したサービス要求に含まれる車両現在位置及び指定目的地をそれぞれ前記設定出発地及び設定目的地とした経路探索を実施すると共に、探索された経路に対応したリモートサービス情報を作成し、このリモートサービス情報を、音声案内ユニット1へセルラー通信部9を通じて提供可能な状態を呈する。
【0033】
上記のように作成されるリモートサービス情報において、探索経路中に設定される案内ポイントの位置を示すポイント情報は、スピーカ10を通じた音声案内を実行する地点を示す経緯度情報であり、また、案内ポイントに割り付けられた経路案内用音声メッセージは、例えば『300メートル先○○交差点を左折してください』(但し、○○は地名などを示す)というようなテキスト形式のものである。
【0034】
この場合、リモートサービスサーバ17は、上記リモートサービス情報に対応したポイント情報及び音声情報を含む音声案内タグを、緯度線及び経度線によりメッシュ状に画定された領域単位で分割可能な形態のデータ構造で作成するように構成されており、そのデータ構造について図4を参照しながら説明する。
【0035】
即ち、図4は、設定出発地から設定目的地までの探索経路Y(太線で示す)と案内ポイントの関係を示すものであり、リモートサービスサーバ17は、探索経路Yに対応した地図を、緯度線及び経度線を基準としたメッシュ状の領域単位に画定し、探索経路上に案内ポイント(図4では符号p1〜p18で示す)が存在する領域単位(図4では符号A〜Gを付して示す)毎に、案内ポイントの位置を特定可能なポイント情報及びこれに対応した音声情報を含む音声案内タグをグループ化し、各グループを1つのデータ単位として管理する構成、つまり、リモートサービス情報をメッシュ状に画定された領域単位毎に分割可能な構成となっている。
【0036】
尚、図4中には、例えば案内ポイントp1に対応した音声案内タグの内容が示されている。この音声案内タグは、案内ポイントp1を示す経緯度情報a、音声情報に割り付けられたテキスト形式の経路案内用音声メッセージbの他に、ターンシグナルインジケータ11に係る制御情報を含むものである。この制御情報は、案内ポイントp1で再生が開始された経路案内用音声メッセージbにより示される左折交差点の所定距離だけ手前位置から、ターンシグナルインジケータ11の緑色発光部12a(左折誘導)を点灯させることを指令するコマンドcと、その点灯開始位置及び点灯終了位置を示す経緯度情報dとを含むものである。
【0037】
音声案内ユニット1内の制御部2は、GPS受信装置3からの測位情報に基づいて自車両の現在位置を検出する機能を備えており、その位置検出結果、操作スイッチ部4からのオン信号、記憶部5の記憶内容、車両インタフェース部7を通じて取り込んだ車速信号、並びに予め記憶されている制御用プログラムなどに基づいて、記憶部5、オーディオ制御部6、LEDドライバ8、セルラー通信部9の制御を行うものである。
【0038】
図5には、制御部2による制御内容のうち、リモートサービス情報のダウンロード及び消去制御に関する情報ダウンロード処理ルーチンが示されており、以下これについて関連した作用と共に説明する。
この情報ダウンロード処理ルーチンにおいては、まず、リモートサービスセンタ16への前記サービス要求の送信の有無を判断し(ステップS101)、サービス要求を送信したときのみ、記憶部5に設定されているリモートサービス情報のためのメモリ領域を初期化する(ステップS102)。
【0039】
この後には、リモートサービスセンタ16から初期リモートサービス情報をダウンロードして記憶部5のメモリ領域に記憶する(ステップS103)。ここでいう初期リモートサービス情報とは、探索経路における最初の所定区間(例えば図4に示す領域単位A、B)に対応した音声案内タグを含むものである。
【0040】
ステップS103の実行後には、自車両が次のリモートサービス情報のダウンロードが必要な情報ダウンロード地域に到達するまで、若しくは「サービス切断」ボタン4bが操作されるまで待機する(ステップS104、S105)。この場合、上記情報ダウンロード地域は、例えば、探索経路上に設定された案内ポイント(図4のp1〜p18参照)のうち、当該探索経路を含む各領域単位(但し、探索経路の最後部に対応した領域単位は除く、図4のA〜F参照)における最後尾の案内ポイントでの音声案内が終了した直後の地域に対応するものである。具体的には、図4の例の場合、案内ポイントp4、p5、p8、p12、p14、p15での音声案内が終了した直後の地域が情報ダウンロード地域となるものである。
【0041】
「サービス切断」ボタン4aが操作されたときには、リモートサービス情報のダウンロードに係る処理を停止するステップS106を実行した後に、情報ダウンロード処理ルーチンを終了する。尚、「サービス切断」ボタン4aが操作されたときには、リモートサービスセンタ16へサービス切断要求が送信されるものであり、これに応じて、リモートサービスセンタ側ではリモートサービス情報の提供動作を終了することになる。
【0042】
これに対して、自車両が情報ダウンロード地域に到達した場合には、記憶部5に記憶されているリモートサービス情報のうち、音声案内が終了した案内ポイントを含む領域単位に係るリモートサービス情報、つまり使用済みリモートサービス情報を消去する。具体的には、例えば図4において、自車両が案内ポイントp4に対応した情報ダウンロード地域に到達した場合には、その案内ポイントp4を含む領域単位Aに係るリモートサービス情報を構成する音声案内タグを記憶部5のメモリ領域から消去する。
【0043】
上記ステップS107の実行後には、リモートサービスセンタ16から次に必要となるリモートサービス情報をダウンロードして記憶部5のメモリ領域に記憶する(ステップS109)。具体的には、図4において、例えば案内ポイントp4に対応した情報ダウンロード地域で、領域単位Aに係るリモートサービス情報を記憶部5から消去した場合には、領域単位Cに係るリモートサービス情報をダウンロードして新たに記憶することになり、例えば案内ポイントp5に対応した情報ダウンロード地域で、領域単位Bに係るリモートサービス情報を記憶部5から消去した場合には、領域単位Dに係るリモートサービス情報をダウンロードして新たに記憶することになる。
【0044】
この後には、設定目的地を含む領域単位(図4の例では、領域単位G)に係るリモートサービス情報をダウンロードしたか否かを判断する(ステップS109)。ここで「NO」と判断した場合には、前記ステップS104へ戻るが、「YES」と判断した場合には、前記ステップS106を実行した後に情報ダウンロード処理ルーチンを終了する。
【0045】
要するに、図5に示した情報ダウンロード処理ルーチンでは、リモートサービスセンタ16側に、緯度線及び経度線によりメッシュ状に画定された領域単位で分割可能な形態で用意されたリモートサービス情報(ポイント情報及び音声情報を含む音声案内タグ群を含む)のうち、車両現在位置から設定目的地方向に存在する所定区間に対応した音声案内タグを含むリモートサービス情報を時系列的にダウンロードして記憶部5に順次記憶すると共に、その記憶動作に同期して、不必要となった音声案内タグを記憶部5から消去する、という処理が行われるものである。
【0046】
図6には、音声案内ユニット1内の制御部2による制御内容のうち、リモートサービス情報に基づいた音声案内制御に関する音声案内処理ルーチンが示されており、以下これについて関連した作用と共に説明する。
この音声案内処理ルーチンにおいては、まず、自車両の平均速度を算出するステップS201を実行した後に判断ステップS202へ移行する。ステップS202では、GPS受信装置3による衛星測位が可能か否かを判断するものであり、衛星測位が不可能であった場合には、自車両が次の案内ポイントに到達すると想定される時刻を、前記ステップS201で算出した平均速度及び当該案内ポイントまでの距離などを利用して推定する(ステップS203)。尚、案内ポイントまでの距離は、例えば、案内ポイント間の距離情報(これはダウンロードしたリモートサービス情報に含まれる)と、前の案内ポイント(或いは設定出発地)からの自車両の走行距離に基づいて得ることができる。
【0047】
この後には、衛星測位が不可能な状態のまま到達予想時刻になったか否かを判断する(ステップS204)。ここで「NO」と判断される期間にはステップS201へ戻るが、「YES」と判断したときには、到達予想の対象となった案内ポイントに対応した音声案内タグ中の音声情報(経路案内用音声メッセージ)をスピーカ10から再生出力するという音声案内を実行し(ステップS205)、この後にステップS201へ戻る。
【0048】
一方、前記ステップS202においてGPS受信装置3による衛星測位が可能であると判断した場合には、自車両の現在位置と音声案内の実行状況が適切であるか否か(つまり、自車両の現在位置と案内ポイントで出力された経路案内用音声メッセージとが同期しているか否か)を判断し(ステップS207)、適切である判断した場合には、自車両が音声案内すべき位置(案内ポイント)に到達したか否かを判断する(ステップS207)。
【0049】
このステップS208で「NO」と判断される期間にはステップS201へ戻るが、「YES」と判断したときには、上記案内ポイントに対応した音声情報をスピーカ10から出力するという音声案内を実行し(ステップS208)、この後にステップS201へ戻る。
【0050】
前記ステップS206において、自車両の現在位置と音声案内の実行状況が適切でないと判断した場合には、車両の現在位置に対して案内ポイントでの音声案内が「進み」状態であるか「遅れ」状態であるかを判断する(ステップS209)。尚、ここでいう「進み」状態とは、車両の進行先に存在する案内ポイントに対応した音声情報が当該案内ポイントの手前側の位置で出力された状態(音声案内が先走って行われる状態)に相当し、また、「遅れ」状態とは、車両が通過した案内ポイントに対応した音声情報がまだ出力されていない状態(音声案内が遅れて行われる状態)に相当する。
【0051】
そして、音声案内が「進み」状態にあった場合には、次の案内ポイントで出力すべき音声情報をスキップダウン(案内ポイントの手前側位置で誤って出力された音声情報を、当該案内ポイントで再出力できるようにすること)して自車両の現在位置と音声案内の実行状況が適正な関係となるように補正するステップS210を実行した後にステップS201へ戻る。また、音声案内が「遅れ」状態にあった場合には、次の案内ポイントで出力すべき音声情報をスキップアップして自車両の現在位置と音声案内の実行状況が適正な関係となるように補正するステップS211を実行した後にステップS201へ戻る。
【0052】
尚、図6中には具体的に示していないが、自車両位置(推定位置、衛星測位に基づいた検出位置)が、音声案内タグ中の制御情報(図4参照)により示される区間にある期間には、当該制御情報により示されるターンシグナルインジケータ11の点灯開始及び終了制御を行う構成となっている。つまり、案内ポイントで出力された経路案内用音声メッセージにより示される誘導方向(左折或いは右折方向)をターンシグナルインジケータ11の通常時の色(黄色)とは異なる色(緑色)での点灯により報知する構成となっている。
【0053】
要するに、図6に示した音声案内処理ルーチンでは、GPS受信装置3による衛星測位により自車両の現在位置を検出可能な状況にある場合には、その検出結果により示される自車両位置が案内ポイントに到達する毎に、当該案内ポイントに対応した音声案内タグ中の音声情報(経路案内用音声メッセージ)をスピーカ10から出力するという音声案内を実行する。
【0054】
また、衛星測位による自車両現在位置の検出が不可能な状況にある場合には、自車両が案内ポイントに到達する時刻を、自車両の平均走行速度などに基づいて推定し、衛星測位が不可能なまま上記推定時刻に至ったときに、当該案内ポイントに対応した音声案内タグ中の音声情報をスピーカ10から出力するという音声案内を実行する。
【0055】
さらに、このような推定にずれが生じて、自車両の現在位置と音声案内の実行状況が不適切な状態になった場合には、その状態に応じて音声情報をスキップダウン若しくはスキップアップすることにより自車両の現在位置と音声案内の実行状況が適正な関係となるように修正する。
【0056】
図7には、このような修正が行われる事例を説明するための模式図が示されている。この図7の例では、探索経路Yにおける例えば案内ポイントp1〜p3間に、案内ポイントp2を含む衛星測位が不可能な領域A0(GPS信号の受信が不可能な領域)が存在する場合が示されている。この図7において、案内ポイントp1から案内ポイントp2に向けて走行中の車両が当該衛星測位不可能領域A0に到達するまでの期間は、その車両の平均速度が算出されると共に、衛星測位不可能区間を走行中には、案内ポイントp2への到達予想時刻が推定される。この後に、到達予想時刻に到達したときには、その到達時点で案内ポイントp2に対応した音声案内が行われると共に、その音声案内終了後に、案内ポイントp3への到達予想時刻の推定が行われる。
【0057】
図7の例では、案内ポイントp3が衛星測位可能な領域に位置しているため、本来的には、上記案内ポイントp3への到達予想時刻に基づいた音声案内が実行されることはないが、その到達予想時刻の推定に狂いがあった場合には、例えば、図7中に示すポイントp3′で誤って音声案内が実行される状況が発生する可能性がある。このように自車両の現在位置と音声案内の実行状況が不適切な状態(この例では、車両の進行先に存在する案内ポイントp3に対応した音声情報が当該案内ポイントp3の手前側のポイントp3′で出力された「進み」状態)になった場合には、その案内ポイントp3で出力すべき音声情報を再出力(音声情報のスキップダウン)して自車両の現在位置と音声案内の実行状況が適正な関係となるように修正することになる。
【0058】
尚、この場合において、制御部2は、GPS受信装置3による衛星測位が不可能な状態から復帰した後(自車両が衛星測位不可能領域A0を脱出した後)において、自車両の現在位置が、案内ポイントを通過した位置で尚且つ当該案内ポイントに対応した経路案内用音声メッセージによる案内対象地点の手前の位置であった場合に、当該経路案内用音声メッセージを、その時点での車両現在位置に適合した内容に修正し、修正後の経路案内用音声メッセージをスピーカ10から出力する構成としても良い。例えば、上記通過案内ポイントでの音声メッセージ『300メートル先○○交差点を左折してください』というものであった場合に、自車両の位置が案内対象地点(この場合「○○交差点」)の100メートル手前であったときには、音声メッセージを『100メートル先○○交差点を左折してください』と修正することになる。このような構成によれば、音声による経路案内に対する信頼性の向上を実現できるようになる。
【0059】
図8には、音声案内ユニット1内の制御部2による制御内容のうち、「音声案内再生」ボタン4c、「進む」ボタン4d、「戻る」ボタン4eの操作に基づいて行われる音声案内制御用割り込み処理ルーチンが示されており、以下これについて関連した作用と共に説明する。
この割り込み処理ルーチンは、「音声案内再生」ボタン4c、「進む」ボタン4d、「戻る」ボタン4eの何れかが操作されたとき(ステップS301で「YES」)に開始されるものであり、開始後には操作されたボタンの種類を判断する(ステップS302、S304、S306)。操作されたボタンが「音声案内再生」ボタン4cであった場合(ステップS302で「YES」)には、前回再生した音声情報を再出力する(ステップS303)。また、操作されたボタンが「進む」ボタン4dであった場合(ステップS304で「YES」)には、前回再生した音声情報の次の音声情報を出力する(ステップS305)。さらに、操作されたボタンが「遅れ」ボタン4eであった場合(ステップS306で「YES」)には、前回再生した音声情報の前の音声情報を出力する(ステップS307)。
【0060】
このようなステップS302〜S307の実行後には、「音声案内再生」ボタン4c、「進む」ボタン4d、「戻る」ボタン4eの何れかが操作された後に、予め設定された時間が経過したか否かを判断し(ステップS308)、設定時間が経過したときには、車両現在位置と音声情報との関係を元の状態にリセットするステップS309を実行した後に割り込み処理ルーチンを終了する。
【0061】
これに対して、上記設定時間が経過していない状態では、自車両が次の案内ポイントに到達したか否かを判断し(ステップS310)、到達していない場合にはステップS302以降の処理を再実行する。これに対して、自車両が案内ポイントに到達した場合には、その案内ポイントに対応した音声情報を出力し(ステップS311)、この後に前記ステップS309を実行して割り込み処理ルーチンを終了する。
【0062】
ここまでに述べた構成によれば、次に述べるような作用・効果を奏することができる。
即ち、音声案内ユニット1からリモートサービスセンタ16へ、GPS受信装置3による測位情報に基づいて検出した車両現在位置及びユーザによる指定目的地を含むサービス要求をセルラー通信部9により送信すると、これを受信したリモートサービスセンタ16に設けられたリモートサービスサーバ17が、受信したサービス要求に含まれる車両現在位置及び指定目的地をそれぞれ設定出発地及び設定目的地とした経路探索を実施すると共に、探索された経路に対応したリモートサービス情報(探索された経路中に設定した案内ポイントの位置を示すポイント情報及び当該案内ポイント毎に所定の経路案内用音声メッセージが割り付けられた音声情報を含む音声案内タグ群より成る)を作成し、当該リモートサービス情報を音声案内ユニット1へセルラー通信部9を通じて提供可能な状態を呈するようになる。
【0063】
この場合、サービス要求の送信源となった音声案内ユニット1では、リモートサービスセンタ16側で提供可能な状態とされたリモートサービス情報(ポイント情報及び音声情報を含む音声案内タグ群を含む)のうち、車両現在位置から設定目的地方向に存在する所定区間に対応した音声案内タグを含むリモートサービス情報を時系列的にダウンロードして記憶部5に順次記憶する処理、車両現在位置が記憶部5に記憶したポイント情報により示される案内ポイントに達する毎に、当該案内ポイントに対応した音声情報に割り付けられた経路案内用音声メッセージをスピーカ10から再生出力する処理、自車両が案内ポイントを通過した後の所定タイミング毎に再生出力済みの音声情報及びこれに対応したポイント情報を含む音声案内タグを記憶部5から消去する処理、を順次実行するようになる。
【0064】
この結果、自車両が、指定目的地までの案内経路中に設定された案内ポイントに到達する毎に、その案内ポイント毎に割り付けられた経路案内用音声メッセージがスピーカ10で再生されることになり、以て指定目的地までの経路案内が音声出力により行われる。この場合、上記案内経路は、リモートサービスサーバ17側での経路探索結果に基づくものであって、その精度を高め得るものであり、また、自車両が案内ポイントに到達する毎に音声により経路案内が行われるから、総じて、長距離区間において精度の高い経路案内が可能になる。
【0065】
また、音声案内ユニット1側には、制御部2、GPS受信装置3、記憶部5、オーディオ制御部6、スピーカ10などを設けるだけで済むものであって、従来のように表示装置を備えたカーナビゲーション装置として構成する必要がないから、音声案内ユニット1のコストの低下を図り得るようになる。この場合、記憶部5に記憶した音声情報及びポイント情報などを含む音声案内タグは、不要なものから逐次消去されることになるから、その記憶部5に必要な記憶容量の増大を招くことがなく、この面からもコストの低下を実現できるようになる。
【0066】
尚、ターンシグナルインジケータ11に左折誘導用の緑色発光部12a及び右折誘導用の緑色発光部13aを設け、案内ポイントで出力された経路案内用音声メッセージにより示される誘導方向(左折或いは右折方向)をターンシグナルインジケータ11の通常時の色(黄色)とは異なる色(緑色)での点灯により報知する構成となっているから、音声案内による経路案内を、車両に元々必要なターンシグナルインジケータ11を利用した低コストな構成によって視覚的に補助できることになり、以て経路案内の確実性を高める上で有益になる。
【0067】
音声案内ユニット1によるリモートサービス情報のダウンロードが、緯度線及び経度線によりメッシュ状に画定された領域単位(図4参照)で行われる構成となっているから、そのダウンロードを実施する位置の自由度が高くなる。この結果、例えば、リモートサービス情報のダウンロードを、良好な無線通信が可能な車両位置に限定して実施できるようになり、そのダウンロード動作の信頼性向上を図り得る。
【0068】
音声案内ユニット1においては、指定目的地までの経路案内時において、GPS受信装置3による衛星測位が不可能な状態、つまり、車両現在位置の検出が不可能な状態でなった場合でも、自車両が案内ポイントに到達する時刻を、自車両の平均走行速度などに基づいて推定し、衛星測位が不可能なまま上記推定時刻に至ったときに、当該案内ポイントに対応した音声案内タグ中の音声情報をスピーカ10から出力するという音声案内を実行するようになるから、音声による経路案内に対する信頼性の低下を防止する上で有益になる。
【0069】
さらに、上記のような案内ポイントへの到達時刻の推定にずれが生じて、自車両の現在位置と音声案内の実行状況が不適切な状態になった場合には、その状態に応じて音声情報をスキップダウン若しくはスキップアップすることにより自車両の現在位置と音声案内の実行状況が適正な関係となるように修正する構成となっているから、案内ポイントへの到達時刻の推定結果に誤差があった場合でも、その案内ポイントに対応した音声情報により示される経路案内用音声メッセージが当該時点での車両現在位置に適合した内容に修正された上で再生されるから、音声による経路案内に対する信頼性の向上を実現できることになる。
【0070】
音声案内ユニット1においては、案内ポイントに対応した音声情報をスピーカ10により再生出力する処理を、操作スイッチ部4に設けられた「音声案内再生」ボタン4cの操作に応じて再実行するように構成されているから、ユーザ側では、聞き漏らした経路案内用音声メッセージの再確認を上記「音声案内再生」ボタン4cの操作に応じて容易に行い得るようになる。また、操作スイッチ部4に設けられた「進む」ボタン4dが操作されたときには、前回再生した音声情報の次の音声情報をスピーカ10から出力する処理が行われ、操作スイッチ部4に設けられた「戻る」ボタン4eが操作されたときには、前回再生した音声情報の前の音声情報をスピーカ10から出力する処理が行われるから、進行先の案内ポイントに対応した音声情報を予め確認したり、通過した案内ポイントに対応した音声情報を参考のために事後確認したりすることが可能になり、結果的に、ユーザ側の利便性を高め得るようになる。
【0071】
一方、具体的に図示しないが、制御部2は、図5、図6、図8により説明した制御動作の他に、以下<1>〜<3>に述べるような制御も実行する構成となっており、以下、このような制御内容について、これに関連してリモートサービスセンタ16側で実行される制御内容や、その制御の結果として得られる効果と共に説明する。
【0072】
<1>車両現在位置送信制御
制御部2は、リモートサービスセンタ16へのサービス要求を送信した後には、GPS受信装置3からの測位情報に基づいて検出した自車両位置を示す車両現在位置情報を、リモートサービスセンタ16ヘセルラー通信部9を通じて送信する動作を所定間隔で実行(所定時間が経過する毎或いは所定距離走行する毎に実行)する。
【0073】
リモートサービスセンタ16側では、リモートサービスサーバ17が、受信した車両現在位置情報に基づいて当該情報の送信源となった車両の位置をマップマッチングして監視し、その車両が当該車両に係る探索経路を逸脱した状態となったことを検出したとき(このような検出は、リモートサービスサーバ17に設定したプログラムにより自動的に行い得る)に、経路逸脱情報を該当車両に搭載された音声案内ユニット1へ向けて送信する。このような経路逸脱情報の送信は、リモートサービスサーバ17のオペレータが、セルラー通信部9を介してユーザ(車両の運転者)直接的に話しかけることにより行っても良いが、車両の経路逸脱状況を具体的に示す音声メッセージを含む経路逸脱情報を自動的に送信する構成としても良い。このような音声メッセージを含む経路逸脱情報を送信する構成とする場合、当該経路逸脱情報をセルラー通信部9により受信した音声案内ユニット1側では、制御部2が当該経路逸脱情報に含まれる音声メッセージをスピーカ10から再生出力する制御を行うように構成する。
【0074】
つまり、車両の現在位置が案内経路から逸脱したときには、リモートサービスセンタ16側から音声案内ユニット1へ経路逸脱情報が送信されるようになり、これに伴い、自車両の具体的な経路逸脱状況がユーザに対して報知されるから、ユーザ側では、その案内経路からの逸脱状態を具体的に認識できるようになり、これにより自車両の走行経路を的確に修正可能になる、という効果が得られる。
【0075】
このような制御を行う場合において、リモートサービスサーバ17から音声案内ユニット1に向けて送信される経路逸脱情報中に、経路再探索の要否を問い合わせる内容の音声メッセージを含むように構成し、音声案内ユニット1側に、受信した経路逸脱情報に含まれる音声メッセージをスピーカ10から再生出力する機能、経路再探索をユーザの意思によりリモートサービスセンタ16へ要求する機能を付加する構成とすることができる。この場合、リモートサービスサーバ17は、経路再探索の要求を受けたオペレータの操作に応じて、受信した最新の現在位置情報により示される車両現在位置から、当初のサービス要求に含まれる指定目的地までの経路を再探索すると共に、探索した経路中に設定した案内ポイントの位置を示すポイント情報及び当該案内ポイント毎に所定の経路案内用音声メッセージが割り付けられた音声情報を含んで成るリモートサービス情報を作成することになる。そして、音声案内ユニット1側では、このような新たに作成されたリモートサービス情報をダウンロードすることになる。
【0076】
この結果、ユーザ側では、経路逸脱状態を、スピーカ10から出力される音声メッセージにより確実に認識できるようになる。また、ユーザ側では、上記のような認識結果に基づいて、リモートサービスセンタ16に対し経路の再探索を選択的に要求できると共に、このような再探索要求を行なった場合には、経路逸脱後の車両現在位置からの新たな案内経路に係るリモートサービス情報をリモートサービスセンタ16からダウンロード可能になるから、経路逸脱に対するユーザ側の不安を払拭できるようになる。
【0077】
尚、上記のような車両現在位置送信制御に係るリモートサービスセンタ16側の対応動作は、該当車両が指定目的地周辺に停車したことを確認したときに終了することになる。この場合、車両が停車したことの確認は、例えば、車両側に、車両エンジンが停止したとき、或いは車両用パーキングブレーキが動作された状態のまま所定時間経過したとき、車速信号が所定時間以上継続して出力されないときなどに、その旨を示す停車信号をリモートサービスセンタ16側へ送信する機能を付与し、リモートサービスセンタ16で当該停車信号を認識することにより行い得る。
【0078】
<2>サポート要求制御
操作スイッチ部4に設けられた「ヘルプ」ボタン4fは、ユーザ(車両運転者)が道に迷ったときに操作するものであり、制御部2は、「ヘルプ」ボタン4fが操作されたときに、自車両の現在位置情報を含むサポート要求をセルラー通信部9からリモートサービスセンタ16へ送信する動作を実行する。このサポート要求を受信したリモートサービスセンタ16側では、リモートサービスサーバ17のオペレータが、受信サポート要求中の情報に基づいて車両が進行すべき方向などの案内をセルラー通信部9により提供する処理を行うことになる。この結果、ユーザ側では、道に迷った場合でも適切なアドバイスを受け得るようになり、システムの信頼性を高める上で有益になる。
【0079】
<3>通信圏外適応制御
リモートサービス情報のための情報ダウンロード地域が、セルラー通信部9を介した基地局15との通信圏外地域にある場合には、リモートサービス情報のダウンロードを正常に行うことが困難になる。そこで、情報ダウンロード地域と重畳する通信圏外地域についての位置情報を、例えば、リモートサービスセンタ16側から初期リモートサービス情報をダウンロードする際に同時に取得しておき、走行中の自車両が情報ダウンロード地域に重畳した通信圏外地域内に進入する時点より所定時間(リモートサービス情報のダウンロード所要時間を加味した時間)だけ前の時点で、当該情報ダウンロード地域で本来ダウンロードすべきリモートサービス情報をダウンロードする、という通信圏外適応制御を行う。
【0080】
この通信圏外適応制御の具体的内容について前記図4を用いて説明する。図4には、情報ダウンロード地域のうち、案内ポイントp8に対応した地域(案内ポイントp8での音声案内が終了した直後の地域)に通信圏外地域A1が重畳している例が示されている。本実施例の場合、案内ポイントp8に対応した情報ダウンロード地域では、本来的には、領域単位Cに係るリモートサービス情報を記憶部5から消去すると共に、領域単位Eに係るリモートサービス情報をダウンロードして新たに記憶するものであるが、通信圏外適応制御時には、通信圏外地域A1の手前のダウンロードポイントp8′において、領域単位Cに係るリモートサービス情報のうち案内ポイントp8に対応した音声案内タグを除いた他の情報を記憶部5から消去すると共に、領域単位Eに係るリモートサービス情報をダウンロードして新たに記憶することになる。この結果、案内経路中にセルラー通信部9を介した基地局15との通信圏外地域が存在する場合でも、そのセルラー通信部9を介したリモートサービス情報のダウンロードを確実に行い得るようになる。
【0081】
(第2の実施の形態)
図9には本発明の第2実施例が示されており、以下これについて前記第1実施例と異なる部分のみ説明する
この第2実施例は、リモートサービスセンタ16側から音声案内ユニット1へ提供した探索経路で渋滞や通行止めなどの障害箇所が発生した場合に、このような障害箇所の発生情報を受けたリモートサービスセンタ16において、その障害を回避した新たな経路を探索し、その探索経路に係るリモートサービス情報を上記音声案内ユニット1に提供するという経路再探索制御機能を付与したことに特徴を有するものであり、これにより、車両の経路案内動作の高付加価値を実現することができる。
【0082】
図9のフローチャートには、リモートサービスセンタ16側で行われる経路再探索制御の内容と、これに関連して音声案内ユニット1側で行われる応答制御内容とが示されている。この図9において、リモートサービスセンタ16側では、音声案内ユニット1へ提供した探索経路上において、渋滞や通行止めなど障害箇所の発生に伴い経路再探索が必要な状態になったか否かを判断し(ステップS401)、必要であると判断したときには、経路再探索の必要をユーザへ問い合わせる必要があるか否かを判断する(ステップS402)。このステップS402では、障害箇所の原因が渋滞発生や事故発生のように当該障害箇所を通過可能なものであった場合には「YES」と判断し、障害箇所の原因が通行止めであった場合には、「NO」と判断することになる。
【0083】
ステップS402で「NO」と判断した場合には、指定目的地までの経路再探索を実行するステップS403、探索された経路に対応したリモートサービス情報を作成して当該リモートサービス情報を音声案内ユニット1へセルラー通信部9を通じて提供可能な状態を呈するステップS404を順次実行した後に、判断ステップS406へ移行する。これに対して、ステップS402で「YES」と判断した場合には、音声案内ユニット1に向けて経路再探索を行なうか否かを問い合わせる(ステップS405)。尚、問い合わせは、リモートサービスサーバ17において自動的に行っても良いが、そのオペレータが行っても良いものである。
【0084】
上記問い合わせを受けた音声案内ユニット1側では、ユーザが経路再探索の必要の有無を返答するものであり(ステップS501)、リモートサービスセンタ16側では、必要であるとの応答があった場合には、前記経路再探索ステップS403及びリモートサービス情報作成ステップS404を実行した後に判断ステップS406へ移行し、不必要であるとの応答があった場合には、経路再探索ステップS403及びリモート情報作成ステップS404をジャンプして判断ステップS406へ移行する。
【0085】
上記判断ステップS406は、前記ステップS401で「NO」と判断した場合にも実行されるものであり、ここでは、音声案内ユニット1からサービス切断要求があったか否かを判断し、当該切断要求があった場合には、経路再探索制御を終了する。また、上記サービス切断要求がなかった場合には、車両が指定目的地周辺に到達したか否かを判断し(ステップS407)、到達していない場合にはステップS401以降の処理を再び実行するが、到達した場合には経路探索制御を終了する。
【0086】
尚、この第2実施例において、経路再探索により提供したリモートサービス情報を音声案内ユニット1側でダウンロード済みの状態において、そのダウンロード済みのリモートサービス情報に対応した領域内に案内経路を変更しなければならない状態が発生した場合には、リモートサービスセンタ16側から音声案内ユニット1へ再度の経路再探索が必要な旨を報知し、音声案内ユニット1から再探索要求が返信されたときに、車両現在位置から指定目的地までの経路の再探索及びリモートサービス情報の作成が行う構成とすることが望ましい。
【0087】
(第3の実施の形態)
図10には本発明の第3実施例が示されており、以下これついて前記第1実施例と異なる部分のみ説明する。
即ち、この第3実施例は、リモートサービスサーバ17で作成されるリモートサービス情報を分割する領域単位の形態に特徴を有するものである。図10は、設定出発地から設定目的地までの探索経路Y(太線で示す)と案内ポイント(p1〜p18)の関係を示すものであり、リモートサービスサーバ17は、リモートサービス情報に対応したポイント情報及び音声情報を含む音声案内タグを、それらのデータ量の大きさを基準に画定された領域単位(図10では符号H〜Lを付して示す)毎に分割可能な形態で作成するように構成されている。
【0088】
このような構成によれば、音声案内ユニット1でのリモートサービス情報のダウンロードが、その情報のデータ量の大きさを基準に画定された領域単位(図10の例では、領域単位H〜L)毎に行われるから、1回のダウンロード情報量が過大になる事態を未然に防止できるようになる。この結果、リモートサービス情報のダウンロードが通信障害などにより中途停止される可能性が小さくなって、ダウンロード動作の信頼性が向上すると共に、記憶部5に必要な記憶容量の低減も図り得るようになる。
【0089】
(第4の実施の形態)
図11には本発明の第4実施例が示されており、以下これについて前記第1実施例と異なる部分のみ説明する。
即ち、この第4実施例は、第1実施例における音声案内制御用の割り込み処理ルーチン(図8参照)に変更を加えたものであり、これにより操作性の向上を実現できるようになる。具体的には、図10において、「進む」ボタン4dが操作されたと判断したとき(ステップS304で「YES」)には、その操作が長押し状態であるか否かを判断する(ステップS312)。長押し状態でなかった場合には、ステップS305以降の処理を第1実施例と同様に実行するが、長押し状態であった場合には、前回再生した音声情報以降の音声情報群を連続的に再生する動作を開始し(ステップS313)、この後に「音声案内再生」ボタン4cが操作されるまで待機する(ステップS314)。そして、この状態から「音声案内再生」ボタン4cが操作されたときには、上記音声情報群の連続的な再生を停止し(ステップS315)、この後にステップS306以降の処理を実行する。
尚、「戻る」ボタン4eが長押しされたときに、前回再生した音声情報以前の音声情報群を遡る形態で連続的に再生する動作を行う構成としても良いものである。
【0090】
(その他の実施の形態)
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、例えば以下のような変形または拡張が可能である。
自車両の現在位置を検出するための位置検出手段の機能を、GPS受信装置3からの測位情報を受ける制御部2に付与する構成としたが、これに限らないことは勿論である。例えば、gpsOne(登録商標)を利用する構成とすれば、基地局15側において、携帯電話機に内蔵されたGPS受信機からの信号を利用して車両現在位置を検出することになる。
【0091】
車両に簡単な形式の表示装置を搭載し、この表示装置において、音声情報に基づいた音声案内に同期した状態で当該音声案内により示される車両の進行方向などを表示する構成としても良い。また、ダウンロードしたリモートサービス情報中に特定施設などの情報がある場合に、その情報を上記表示装置で表示することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1実施例における要部の電気的構成を示す機能ブロック図
【図2】操作スイッチ部のボタン配置を示す図
【図3】システム全体の模式的構成図
【図4】リモートサービス情報の分割形態を説明するための模式図
【図5】制御部による制御内容を示すフローチャート(その1)
【図6】制御部による制御内容を示すフローチャート(その2)
【図7】制御部による制御内容の要部を説明するための模式図
【図8】制御部による制御内容を示すフローチャート(その3)
【図9】本発明の第2実施例における経路再探索制御の内容を示すフローチャート
【図10】本発明の第3実施例を示す図4相当図
【図11】本発明の第4実施例を示す図8相当図
【符号の説明】
【0093】
1は音声案内ユニット(車載用リモートサービス端末)、2は制御部(制御手段、位置検出手段)、3はGPS受信装置(衛星測位手段)、4は操作スイッチ部、4cは「音声案内再生」ボタン(操作手段)、5は記憶部(データ記憶手段)、6はオーディオ制御部(音声出力手段)、9はセルラー通信部(無線通信手段)、14は車両、16はリモートサービスセンタ、17はリモートサービスサーバを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたリモートサービス端末をクライアントとした車両用リモートサービスシステム及びこのシステムに使用される車載用リモートサービス端末に関する。
【背景技術】
【0002】
地図データを利用して、車両現在位置の周辺の地図画面を車載ディスプレイで表示したり、その地図画面での案内経路の表示及び音声ガイドにより目的地までの経路案内を行ったりするカーナビゲーション装置においては、地図データを格納した記憶媒体(DVD−ROM、ハードディスクドライブなど)を備えた構成とされるのが一般的である。しかしながら、広い範囲の詳細な地図を格納した記憶媒体を用意しておくことは、普段あまり使わない地図データを持ち続けることを意味し、効率的でない面がある。つまり、従来のカーナビゲーション装置では、大容量の記憶媒体を用意する必要があるため、その分だけコスト的に不利になるという問題点があった。
【0003】
これに対して、近年では、通信技術の進展に伴い、ネットワークを利用した通信型ナビゲーションシステムが注目を集めており、このシステムでは大容量の記憶媒体が不要になる分だけコスト的に有利になる。例えば、この種の通信型ナビゲーションシステムは、車載端末(カーナビゲーション装置)とリモートサービスセンタとがデータ通信を行うことでナビゲーション機能を実現するものである。このような通信型ナビゲーションシステムは、車載端末が車両現在位置情報を含むサービス要求をリモートサービスセンタへ送信すると、リモートサービスセンタ側では、受信したサービス要求に応じた地図データや案内経路データを生成し、生成したデータを車載端末に配信するというシステム構成とされるものである(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−260048号公報
【特許文献2】特開2003−65785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のナビゲーションシステムでは、車載端末として、表示装置などを備えたカーナビゲーション装置が必要になるため、そのシステムコストを十分に引き下げることが難しく、また、カーナビゲーション装置が設けられていない場合には、リモートサービスセンタ側から経路案内情報を提供するシステム構成であったとしても、長距離区間において精度が高い経路案内が不可能になる。
【0005】
つまり、近年では、G−BOOK ALPHA(登録商標)と呼ばれるリモートサービスシステムのように、事故発生時や搭乗者急病時の緊急通報機能、盗難防止機能、車両遠隔制御機能、楽曲提供機能などの他に、最新の交通情報と過去の統計データから総合的に今後の道路状況を予測し、渋滞を回避した最適な経路案内情報を作成するという最適ルート探索機能も備えたシステムが提供されており、このシステムにおける経路案内情報を利用すれば、車載端末側に大容量の記憶媒体を設ける必要がなくなると共に、精度が高い経路案内が可能になると考えられる。しかしながら、このようなリモートサービスシステムでも、車両側にナビゲーション装置が搭載されていることが前提であるため、依然としてシステムコストの引き下げが困難であり、また、ナビゲーション装置が搭載されていない場合には、長距離区間において精度の高い経路案内が難しくなる、という問題点が存在するものである。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車載用リモートサービス端末のコストの低下を図りながら、長距離区間において精度の高い経路案内が可能になるなどの効果を奏する車両用リモートサービスシステムを提供することにあり、また、このようなリモートサービスシステムで使用する車載用リモートサービス端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のリモートサービスシステムによれば、車載用リモートサービス端末からリモートサービスセンタヘ、位置検出手段により検出される車両現在位置及びユーザによる指定目的地を含むサービス要求を無線通信により送信すると、これを受信したリモートサービスセンタ側では、リモートサービスサーバが、受信したサービス要求に含まれる車両現在位置及び指定目的地をそれぞれ設定出発地及び設定目的地とした経路探索を実施すると共に、探索された経路に対応したリモートサービス情報(探索された経路中に設定した案内ポイントの位置を示すポイント情報及び当該案内ポイント毎に所定の経路案内用音声メッセージが割り付けられた音声情報を含む)を作成し、当該リモートサービス情報を車載用リモートサービス端末へ無線通信により提供可能な状態を呈するようになる。
【0008】
この場合、サービス要求の送信源となった車載用リモートサービス端末では、前記提供可能な状態とされたリモートサービス情報のうち、位置検出手段により示される車両現在位置から前記指定目的地方向に存在する所定区間に対応したポイント情報及び音声情報を時系列的にダウンロードしてデータ記憶手段に記憶する処理、位置検出手段により示される車両現在位置が、データ記憶手段に記憶したポイント情報により示される案内ポイントに達する毎に、当該案内ポイントに対応した音声情報に割り付けられた経路案内用音声メッセージを音声出力手段により再生出力する処理、自車両が前記案内ポイントを通過した後の所定タイミング毎に再生出力済みの音声情報及びこれに対応したポイント情報をデータ記憶手段から消去する処理、を順次実行するようになる。
【0009】
この結果、自車両が、指定目的地までの案内経路中に設定された案内ポイントに到達する毎に、その案内ポイント毎に割り付けられた経路案内用音声メッセージが音声出力手段で再生されることになり、このように再生される音声出力により指定目的地までの経路案内が行われる。この場合、上記案内経路は、リモートサービスサーバ側での経路探索結果に基づくものであって、その精度を高め得るものであり、また、自車両が案内ポイントに到達する毎に音声により経路案内が行われるから、総じて、長距離区間において精度の高い経路案内が可能になる。
【0010】
また、車載用リモートサービス端末側には、位置検出手段、データ記憶手段及び音声出力手段などを設けるだけで済むものであって、従来のように表示装置を備えたカーナビゲーション装置として構成する必要がないから、車載用リモートサービス端末のコストの低下を図り得るようになる。しかも、データ記憶手段に記憶した音声情報及びポイント情報は、不要なものから逐次消去されることになるから、そのデータ記憶手段に必要な記憶容量の増大を招くことがなく、この面からもコストの低下を実現できるようになる。
【0011】
請求項2記載のリモートサービスシステムによれば、車載用リモートサービス端末でのリモートサービス情報のダウンロードが、緯度線及び経度線によりメッシュ状に画定された領域単位で行われるから、そのダウンロードを実施する位置の自由度が高くなる。この結果、例えば、リモートサービス情報のダウンロードを、良好な無線通信が可能な車両位置に限定して実施できるようになり、そのダウンロード動作の信頼性向上を図り得る。
【0012】
請求項3記載のリモートサービスシステムによれば、車載用リモートサービス端末でのリモートサービス情報のダウンロードが、その情報のデータ量の大きさを基準に画定された領域単位で行われるから、1回のダウンロード情報量が過大になる事態を未然に防止できるようになる。この結果、リモートサービス情報のダウンロードが通信障害などにより中途停止される可能性が小さくなって、ダウンロード動作の信頼性が向上すると共に、データ記憶手段に必要な記憶容量の低減も図り得るようになる。
【0013】
請求項4記載のリモートサービスシステムによれば、車両の現在位置が案内経路から逸脱したときには、リモートサービスセンタ側から車載用リモートサービス端末へ経路逸脱情報が送信されるから、ユーザ側では、その経路逸脱情報に基づいて案内経路からの逸脱状態を認識できるようになり、これにより自車両の走行経路を的確に修正可能になる。
【0014】
請求項5記載のリモートサービスシステムによれば、ユーザ側では、経路逸脱状態を、音声出力手段から出力される音声メッセージにより確実に認識できるようになる。また、ユーザ側では、上記のような認識結果に基づいて、リモートサービスセンタに対し経路の再探索を選択的に要求できると共に、このような再探索要求を行なった場合には、経路逸脱後の車両現在位置からの新たな案内経路に係るリモートサービス情報をリモートサービスセンタからダウンロード可能になるから、経路逸脱に対するユーザ(車両運転者)側の不安を払拭できるようになる。
【0015】
請求項6記載の車載用リモートサービス端末によれば、制御手段は、位置検出手段により検出される車両現在位置及びユーザによる指定目的地を含むサービス要求をリモートサービスセンタヘ無線通信手段により送信する処理、リモートサービスセンタ側で上記サービス要求の受信に応じて作成されたリモートサービス情報(探索経路中に設定した案内ポイントの位置を示すポイント情報及び当該案内ポイント毎に所定の経路案内用音声メッセージが割り付けられた音声情報を含む)のうち、位置検出手段により示される車両現在位置から前記指定目的地方向に存在する所定区間に対応したポイント情報及び音声情報を、無線通信手段を通じて時系列的にダウンロードしてデータ記憶手段に記憶する処理、位置検出手段により示される車両現在位置が、データ記憶手段に記憶したポイント情報により示される案内ポイントに達する毎に、当該案内ポイントに対応した音声情報に割り付けられた経路案内用音声メッセージを音声出力手段により再生出力する処理、自車両が前記案内ポイントを通過した後の所定タイミング毎に再生出力済みの音声情報及びこれに対応したポイント情報をデータ記憶手段から消去する処理、を順次実行するようになる。
【0016】
この結果、自車両が、目的地までの案内経路中に設定された案内ポイントに到達する毎に、その案内ポイント毎に割り付けられた経路案内用音声メッセージが音声出力手段で再生されることになり、以て目的地までの経路案内が音声出力により行われる。この場合、上記案内経路は、リモートサービスサーバ側での経路探索結果に基づくものであって、その精度を高め得るものであり、また、自車両が案内ポイントに到達する毎に音声により経路案内が行われるから、総じて、長距離区間において精度の高い経路案内が可能になる。
【0017】
また、車載用リモートサービス端末側には、位置検出手段、無線通信手段、データ記憶手段、音声出力手段、制御手段を設けるだけで済むものであって、従来のように表示装置を備えたカーナビゲーション装置として構成する必要がないから、そのコストの低下を図り得るようになる。この場合、データ記憶手段に記憶した音声情報及びポイント情報は、不要なものから逐次消去されることになるから、そのデータ記憶手段に必要な記憶容量の増大を招くことがなく、この面からもコストの低下を実現できるようになる。
【0018】
請求項7車載用リモートサービス端末によれば、衛星測位手段による衛星測位(つまり車両現在位置の検出)が不可能な状態でなった場合でも、案内ポイント毎に割り付けられた経路案内用音声メッセージの再生を、自車両が当該案内ポイントに到達する時刻を平均走行速度の利用により推定した結果に基づいて実施可能になるから、音声による経路案内に対する信頼性の低下を防止する上で有益になる。
【0019】
請求項8車載用リモートサービス端末によれば、ユーザ側では、経路案内用音声メッセージの再確認を操作手段の操作に応じて容易に行い得るようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1実施例について図1〜図8を参照しながら説明する。
図1には、本実施例による車両用リモートサービスシステムのクライアントとなる音声案内ユニット1(車載用リモートサービス端末に相当)の電気的構成が機能ブロックを用いて示されている。この図1において、音声案内ユニット1は、その動作を制御するためのマイクロコンピュータを含んで成る制御部2(制御手段、位置検出手段に相当)に対して、それぞれ車両に搭載されたGPS受信装置3(衛星測位手段に相当)、操作スイッチ部4、記憶部5(データ記憶手段に相当)、オーディオ制御部6(音声出力手段に相当)、車両インタフェース部7、LEDドライバ8を接続して構成されている。
【0021】
また、制御部2には、セルラー通信部9(無線通信手段に相当、本実施例では例えば携帯電話機)が、通信ケーブル或いはワイヤレス通信手段(例えば、ブルートゥース( Bluetooth:登録商標))を介して接続される構成となっている。
【0022】
GPS受信装置3は、GPS用人工衛星からの信号を受信し、その受信したGPS信号を自車両の現在位置を示す測位情報として制御部2に与える。
操作スイッチ部4は、車両用運転席から容易に操作可能な位置に設置されるもので、例えば図2に示すように、「サービス接続」ボタン4a、「サービス切断」ボタン4b、「音声案内再生」ボタン4c(操作手段に相当)、「進む」ボタン4d、「戻る」ボタン4e、「ヘルプ」ボタン4fを備えており、各ボタン4a〜4fの操作に応じてそれぞれに対応したモーメンタリスイッチ(何れも図示せず)からオン信号が出力されて制御部2に与えられる構成となっている。
【0023】
記憶部5は、記憶データの書換えが可能な形態のもので、後述するリモートサービスセンタからの受信データ(リモートサービス情報)を記憶するためのメモリ領域が設定されている。尚、この記憶部5は、制御部2を構成するマイクロコンピュータ内のRAMにより代用可能である。
【0024】
オーディオ制御部6は、音声合成回路及びアンプなどを含んで構成されたもので、制御部2から、後述する音声情報が与えられたときに、当該音声情報に応じた音声信号を合成して車載スピーカ10から車両搭乗者に向けて出力する構成となっている。
【0025】
車両インタフェース部7は、車両内の他の制御系統(エアバッグ系、ドア・エアコンを含むボディ系、エンジンを含むパワートレイン系など)との間でのデータ授受を車内LANにより行うために設けられており、特に、制御部2は、車両インタフェース部7を通じて車両の走行速度を示す車速信号を取り込む構成となっている。
【0026】
LEDドライバ8は、車両内に設けられたターンシグナルインジケータ11を駆動するために設けられている。このターンシグナルインジケータ11は、車両用方向指示器(ウインカ)の左折指示状態及び右折指示状態(並びにハザード表示状態)を車両内で表示するために車両のインストルメントパネルに配置されたもので、例えば、左折指示用の2色発光ダイオード12及び右折指示用の2色発光ダイオード13により構成されている。この場合、各発光ダイオード12及び13は、緑色発光部12a、13a並びに赤色発光部12b、13bを備えており、車両用方向指示器の左折指示時及び右折指示時(並びにハザード表示時)には、対応する発光部(12a及び12b、13a及び13b)が間欠的に同時点灯されて黄色で発光する。LEDドライバ8は、各発光ダイオード12及び13の例えば緑色発光部12a及び13aを選択的に駆動できる構成となっており、このような緑色での点灯(連続、間欠の何れでも良い)により、後述する経路案内時における車両の誘導方向(左折或いは右折方向)を表示する構成となっている。
【0027】
図3には、車両用リモートサービスシステムの全体構成が模式的に示されている。この図3おいて、車両14に搭載された音声案内ユニット1は、携帯電話用の基地局15との間で前記セルラー通信部9を通じて音声通信及びデータ通信を行うことになる。基地局15と通信可能に設置されたリモートサービスセンタ16内には、例えば、オペレータが操作するリモートサービスサーバ17が設けられている。
【0028】
この場合、音声案内ユニット1からリモートサービスセンタ16へは、経路案内サービスの提供を要求できるものであり、そのサービス要求は、例えば以下のような順序で行うことになる。
【0029】
即ち、ユーザ(車両運転者)が操作スイッチ部4の「サービス接続」ボタン4aを操作すると、これに応じて出力されたスイッチ信号を受けた制御部2が、リモートサービスセンタ16へセルラー通信部9を介してアクセスし、リモートサービスサーバ17のオペレータと通話可能な状態を呈するものであり、ユーザ側では、オペレータとの通話により、経路案内に係る最終目的地を指定する。尚、このような指定目的地の特定は、当該目的地の地名、住所、施設名、電話番号などにより行うことになるが、マップコード(登録商標)により行っても良い。指定目的地がオペレータに伝達された後には、オペレータ側からの指示による所定の操作(例えば、「サービス接続」ボタン4aの再操作)に応じて、制御部2が、車両現在位置の送信動作を行うようになる。具体的には、制御部2は、GPS受信装置3からGPS信号に車両現在位置情報を算出し、その車両現在位置情報を、セルラー通信部9を通じた無線通信により、リモートサービスセンタ16へ送信する。尚、車両現在位置情報の算出をリモートサービスセンタ16側で行う構成(GPS信号をそのままリモートサービスセンタ16へ送信する構成)も可能である。
【0030】
このようにして、GPS受信装置3により検出される車両現在位置及びユーザによる指定目的地を含むサービス要求を、音声案内ユニット1からリモートサービスセンタ16へ送信できるものである。
【0031】
リモートサービスサーバ17は、入力された設定出発地から設定目的地までの経路を探索する機能、並びに当該探索機能により探索された経路中に設定した案内ポイントの位置を示すポイント情報及び当該案内ポイント毎に所定の経路案内用音声メッセージが割り付けられた音声情報を含んで成る音声案内タグ群や各案内ポイント間の距離情報などにより構成されたリモートサービス情報を作成する機能を備えている。
【0032】
このようなリモートサービス情報作成機能は、リモートサービスセンタ16において音声案内ユニット1からの前記サービス要求を受信したときに有効化されるものであり、リモートサービスサーバ17にあっては、受信したサービス要求に含まれる車両現在位置及び指定目的地をそれぞれ前記設定出発地及び設定目的地とした経路探索を実施すると共に、探索された経路に対応したリモートサービス情報を作成し、このリモートサービス情報を、音声案内ユニット1へセルラー通信部9を通じて提供可能な状態を呈する。
【0033】
上記のように作成されるリモートサービス情報において、探索経路中に設定される案内ポイントの位置を示すポイント情報は、スピーカ10を通じた音声案内を実行する地点を示す経緯度情報であり、また、案内ポイントに割り付けられた経路案内用音声メッセージは、例えば『300メートル先○○交差点を左折してください』(但し、○○は地名などを示す)というようなテキスト形式のものである。
【0034】
この場合、リモートサービスサーバ17は、上記リモートサービス情報に対応したポイント情報及び音声情報を含む音声案内タグを、緯度線及び経度線によりメッシュ状に画定された領域単位で分割可能な形態のデータ構造で作成するように構成されており、そのデータ構造について図4を参照しながら説明する。
【0035】
即ち、図4は、設定出発地から設定目的地までの探索経路Y(太線で示す)と案内ポイントの関係を示すものであり、リモートサービスサーバ17は、探索経路Yに対応した地図を、緯度線及び経度線を基準としたメッシュ状の領域単位に画定し、探索経路上に案内ポイント(図4では符号p1〜p18で示す)が存在する領域単位(図4では符号A〜Gを付して示す)毎に、案内ポイントの位置を特定可能なポイント情報及びこれに対応した音声情報を含む音声案内タグをグループ化し、各グループを1つのデータ単位として管理する構成、つまり、リモートサービス情報をメッシュ状に画定された領域単位毎に分割可能な構成となっている。
【0036】
尚、図4中には、例えば案内ポイントp1に対応した音声案内タグの内容が示されている。この音声案内タグは、案内ポイントp1を示す経緯度情報a、音声情報に割り付けられたテキスト形式の経路案内用音声メッセージbの他に、ターンシグナルインジケータ11に係る制御情報を含むものである。この制御情報は、案内ポイントp1で再生が開始された経路案内用音声メッセージbにより示される左折交差点の所定距離だけ手前位置から、ターンシグナルインジケータ11の緑色発光部12a(左折誘導)を点灯させることを指令するコマンドcと、その点灯開始位置及び点灯終了位置を示す経緯度情報dとを含むものである。
【0037】
音声案内ユニット1内の制御部2は、GPS受信装置3からの測位情報に基づいて自車両の現在位置を検出する機能を備えており、その位置検出結果、操作スイッチ部4からのオン信号、記憶部5の記憶内容、車両インタフェース部7を通じて取り込んだ車速信号、並びに予め記憶されている制御用プログラムなどに基づいて、記憶部5、オーディオ制御部6、LEDドライバ8、セルラー通信部9の制御を行うものである。
【0038】
図5には、制御部2による制御内容のうち、リモートサービス情報のダウンロード及び消去制御に関する情報ダウンロード処理ルーチンが示されており、以下これについて関連した作用と共に説明する。
この情報ダウンロード処理ルーチンにおいては、まず、リモートサービスセンタ16への前記サービス要求の送信の有無を判断し(ステップS101)、サービス要求を送信したときのみ、記憶部5に設定されているリモートサービス情報のためのメモリ領域を初期化する(ステップS102)。
【0039】
この後には、リモートサービスセンタ16から初期リモートサービス情報をダウンロードして記憶部5のメモリ領域に記憶する(ステップS103)。ここでいう初期リモートサービス情報とは、探索経路における最初の所定区間(例えば図4に示す領域単位A、B)に対応した音声案内タグを含むものである。
【0040】
ステップS103の実行後には、自車両が次のリモートサービス情報のダウンロードが必要な情報ダウンロード地域に到達するまで、若しくは「サービス切断」ボタン4bが操作されるまで待機する(ステップS104、S105)。この場合、上記情報ダウンロード地域は、例えば、探索経路上に設定された案内ポイント(図4のp1〜p18参照)のうち、当該探索経路を含む各領域単位(但し、探索経路の最後部に対応した領域単位は除く、図4のA〜F参照)における最後尾の案内ポイントでの音声案内が終了した直後の地域に対応するものである。具体的には、図4の例の場合、案内ポイントp4、p5、p8、p12、p14、p15での音声案内が終了した直後の地域が情報ダウンロード地域となるものである。
【0041】
「サービス切断」ボタン4aが操作されたときには、リモートサービス情報のダウンロードに係る処理を停止するステップS106を実行した後に、情報ダウンロード処理ルーチンを終了する。尚、「サービス切断」ボタン4aが操作されたときには、リモートサービスセンタ16へサービス切断要求が送信されるものであり、これに応じて、リモートサービスセンタ側ではリモートサービス情報の提供動作を終了することになる。
【0042】
これに対して、自車両が情報ダウンロード地域に到達した場合には、記憶部5に記憶されているリモートサービス情報のうち、音声案内が終了した案内ポイントを含む領域単位に係るリモートサービス情報、つまり使用済みリモートサービス情報を消去する。具体的には、例えば図4において、自車両が案内ポイントp4に対応した情報ダウンロード地域に到達した場合には、その案内ポイントp4を含む領域単位Aに係るリモートサービス情報を構成する音声案内タグを記憶部5のメモリ領域から消去する。
【0043】
上記ステップS107の実行後には、リモートサービスセンタ16から次に必要となるリモートサービス情報をダウンロードして記憶部5のメモリ領域に記憶する(ステップS109)。具体的には、図4において、例えば案内ポイントp4に対応した情報ダウンロード地域で、領域単位Aに係るリモートサービス情報を記憶部5から消去した場合には、領域単位Cに係るリモートサービス情報をダウンロードして新たに記憶することになり、例えば案内ポイントp5に対応した情報ダウンロード地域で、領域単位Bに係るリモートサービス情報を記憶部5から消去した場合には、領域単位Dに係るリモートサービス情報をダウンロードして新たに記憶することになる。
【0044】
この後には、設定目的地を含む領域単位(図4の例では、領域単位G)に係るリモートサービス情報をダウンロードしたか否かを判断する(ステップS109)。ここで「NO」と判断した場合には、前記ステップS104へ戻るが、「YES」と判断した場合には、前記ステップS106を実行した後に情報ダウンロード処理ルーチンを終了する。
【0045】
要するに、図5に示した情報ダウンロード処理ルーチンでは、リモートサービスセンタ16側に、緯度線及び経度線によりメッシュ状に画定された領域単位で分割可能な形態で用意されたリモートサービス情報(ポイント情報及び音声情報を含む音声案内タグ群を含む)のうち、車両現在位置から設定目的地方向に存在する所定区間に対応した音声案内タグを含むリモートサービス情報を時系列的にダウンロードして記憶部5に順次記憶すると共に、その記憶動作に同期して、不必要となった音声案内タグを記憶部5から消去する、という処理が行われるものである。
【0046】
図6には、音声案内ユニット1内の制御部2による制御内容のうち、リモートサービス情報に基づいた音声案内制御に関する音声案内処理ルーチンが示されており、以下これについて関連した作用と共に説明する。
この音声案内処理ルーチンにおいては、まず、自車両の平均速度を算出するステップS201を実行した後に判断ステップS202へ移行する。ステップS202では、GPS受信装置3による衛星測位が可能か否かを判断するものであり、衛星測位が不可能であった場合には、自車両が次の案内ポイントに到達すると想定される時刻を、前記ステップS201で算出した平均速度及び当該案内ポイントまでの距離などを利用して推定する(ステップS203)。尚、案内ポイントまでの距離は、例えば、案内ポイント間の距離情報(これはダウンロードしたリモートサービス情報に含まれる)と、前の案内ポイント(或いは設定出発地)からの自車両の走行距離に基づいて得ることができる。
【0047】
この後には、衛星測位が不可能な状態のまま到達予想時刻になったか否かを判断する(ステップS204)。ここで「NO」と判断される期間にはステップS201へ戻るが、「YES」と判断したときには、到達予想の対象となった案内ポイントに対応した音声案内タグ中の音声情報(経路案内用音声メッセージ)をスピーカ10から再生出力するという音声案内を実行し(ステップS205)、この後にステップS201へ戻る。
【0048】
一方、前記ステップS202においてGPS受信装置3による衛星測位が可能であると判断した場合には、自車両の現在位置と音声案内の実行状況が適切であるか否か(つまり、自車両の現在位置と案内ポイントで出力された経路案内用音声メッセージとが同期しているか否か)を判断し(ステップS207)、適切である判断した場合には、自車両が音声案内すべき位置(案内ポイント)に到達したか否かを判断する(ステップS207)。
【0049】
このステップS208で「NO」と判断される期間にはステップS201へ戻るが、「YES」と判断したときには、上記案内ポイントに対応した音声情報をスピーカ10から出力するという音声案内を実行し(ステップS208)、この後にステップS201へ戻る。
【0050】
前記ステップS206において、自車両の現在位置と音声案内の実行状況が適切でないと判断した場合には、車両の現在位置に対して案内ポイントでの音声案内が「進み」状態であるか「遅れ」状態であるかを判断する(ステップS209)。尚、ここでいう「進み」状態とは、車両の進行先に存在する案内ポイントに対応した音声情報が当該案内ポイントの手前側の位置で出力された状態(音声案内が先走って行われる状態)に相当し、また、「遅れ」状態とは、車両が通過した案内ポイントに対応した音声情報がまだ出力されていない状態(音声案内が遅れて行われる状態)に相当する。
【0051】
そして、音声案内が「進み」状態にあった場合には、次の案内ポイントで出力すべき音声情報をスキップダウン(案内ポイントの手前側位置で誤って出力された音声情報を、当該案内ポイントで再出力できるようにすること)して自車両の現在位置と音声案内の実行状況が適正な関係となるように補正するステップS210を実行した後にステップS201へ戻る。また、音声案内が「遅れ」状態にあった場合には、次の案内ポイントで出力すべき音声情報をスキップアップして自車両の現在位置と音声案内の実行状況が適正な関係となるように補正するステップS211を実行した後にステップS201へ戻る。
【0052】
尚、図6中には具体的に示していないが、自車両位置(推定位置、衛星測位に基づいた検出位置)が、音声案内タグ中の制御情報(図4参照)により示される区間にある期間には、当該制御情報により示されるターンシグナルインジケータ11の点灯開始及び終了制御を行う構成となっている。つまり、案内ポイントで出力された経路案内用音声メッセージにより示される誘導方向(左折或いは右折方向)をターンシグナルインジケータ11の通常時の色(黄色)とは異なる色(緑色)での点灯により報知する構成となっている。
【0053】
要するに、図6に示した音声案内処理ルーチンでは、GPS受信装置3による衛星測位により自車両の現在位置を検出可能な状況にある場合には、その検出結果により示される自車両位置が案内ポイントに到達する毎に、当該案内ポイントに対応した音声案内タグ中の音声情報(経路案内用音声メッセージ)をスピーカ10から出力するという音声案内を実行する。
【0054】
また、衛星測位による自車両現在位置の検出が不可能な状況にある場合には、自車両が案内ポイントに到達する時刻を、自車両の平均走行速度などに基づいて推定し、衛星測位が不可能なまま上記推定時刻に至ったときに、当該案内ポイントに対応した音声案内タグ中の音声情報をスピーカ10から出力するという音声案内を実行する。
【0055】
さらに、このような推定にずれが生じて、自車両の現在位置と音声案内の実行状況が不適切な状態になった場合には、その状態に応じて音声情報をスキップダウン若しくはスキップアップすることにより自車両の現在位置と音声案内の実行状況が適正な関係となるように修正する。
【0056】
図7には、このような修正が行われる事例を説明するための模式図が示されている。この図7の例では、探索経路Yにおける例えば案内ポイントp1〜p3間に、案内ポイントp2を含む衛星測位が不可能な領域A0(GPS信号の受信が不可能な領域)が存在する場合が示されている。この図7において、案内ポイントp1から案内ポイントp2に向けて走行中の車両が当該衛星測位不可能領域A0に到達するまでの期間は、その車両の平均速度が算出されると共に、衛星測位不可能区間を走行中には、案内ポイントp2への到達予想時刻が推定される。この後に、到達予想時刻に到達したときには、その到達時点で案内ポイントp2に対応した音声案内が行われると共に、その音声案内終了後に、案内ポイントp3への到達予想時刻の推定が行われる。
【0057】
図7の例では、案内ポイントp3が衛星測位可能な領域に位置しているため、本来的には、上記案内ポイントp3への到達予想時刻に基づいた音声案内が実行されることはないが、その到達予想時刻の推定に狂いがあった場合には、例えば、図7中に示すポイントp3′で誤って音声案内が実行される状況が発生する可能性がある。このように自車両の現在位置と音声案内の実行状況が不適切な状態(この例では、車両の進行先に存在する案内ポイントp3に対応した音声情報が当該案内ポイントp3の手前側のポイントp3′で出力された「進み」状態)になった場合には、その案内ポイントp3で出力すべき音声情報を再出力(音声情報のスキップダウン)して自車両の現在位置と音声案内の実行状況が適正な関係となるように修正することになる。
【0058】
尚、この場合において、制御部2は、GPS受信装置3による衛星測位が不可能な状態から復帰した後(自車両が衛星測位不可能領域A0を脱出した後)において、自車両の現在位置が、案内ポイントを通過した位置で尚且つ当該案内ポイントに対応した経路案内用音声メッセージによる案内対象地点の手前の位置であった場合に、当該経路案内用音声メッセージを、その時点での車両現在位置に適合した内容に修正し、修正後の経路案内用音声メッセージをスピーカ10から出力する構成としても良い。例えば、上記通過案内ポイントでの音声メッセージ『300メートル先○○交差点を左折してください』というものであった場合に、自車両の位置が案内対象地点(この場合「○○交差点」)の100メートル手前であったときには、音声メッセージを『100メートル先○○交差点を左折してください』と修正することになる。このような構成によれば、音声による経路案内に対する信頼性の向上を実現できるようになる。
【0059】
図8には、音声案内ユニット1内の制御部2による制御内容のうち、「音声案内再生」ボタン4c、「進む」ボタン4d、「戻る」ボタン4eの操作に基づいて行われる音声案内制御用割り込み処理ルーチンが示されており、以下これについて関連した作用と共に説明する。
この割り込み処理ルーチンは、「音声案内再生」ボタン4c、「進む」ボタン4d、「戻る」ボタン4eの何れかが操作されたとき(ステップS301で「YES」)に開始されるものであり、開始後には操作されたボタンの種類を判断する(ステップS302、S304、S306)。操作されたボタンが「音声案内再生」ボタン4cであった場合(ステップS302で「YES」)には、前回再生した音声情報を再出力する(ステップS303)。また、操作されたボタンが「進む」ボタン4dであった場合(ステップS304で「YES」)には、前回再生した音声情報の次の音声情報を出力する(ステップS305)。さらに、操作されたボタンが「遅れ」ボタン4eであった場合(ステップS306で「YES」)には、前回再生した音声情報の前の音声情報を出力する(ステップS307)。
【0060】
このようなステップS302〜S307の実行後には、「音声案内再生」ボタン4c、「進む」ボタン4d、「戻る」ボタン4eの何れかが操作された後に、予め設定された時間が経過したか否かを判断し(ステップS308)、設定時間が経過したときには、車両現在位置と音声情報との関係を元の状態にリセットするステップS309を実行した後に割り込み処理ルーチンを終了する。
【0061】
これに対して、上記設定時間が経過していない状態では、自車両が次の案内ポイントに到達したか否かを判断し(ステップS310)、到達していない場合にはステップS302以降の処理を再実行する。これに対して、自車両が案内ポイントに到達した場合には、その案内ポイントに対応した音声情報を出力し(ステップS311)、この後に前記ステップS309を実行して割り込み処理ルーチンを終了する。
【0062】
ここまでに述べた構成によれば、次に述べるような作用・効果を奏することができる。
即ち、音声案内ユニット1からリモートサービスセンタ16へ、GPS受信装置3による測位情報に基づいて検出した車両現在位置及びユーザによる指定目的地を含むサービス要求をセルラー通信部9により送信すると、これを受信したリモートサービスセンタ16に設けられたリモートサービスサーバ17が、受信したサービス要求に含まれる車両現在位置及び指定目的地をそれぞれ設定出発地及び設定目的地とした経路探索を実施すると共に、探索された経路に対応したリモートサービス情報(探索された経路中に設定した案内ポイントの位置を示すポイント情報及び当該案内ポイント毎に所定の経路案内用音声メッセージが割り付けられた音声情報を含む音声案内タグ群より成る)を作成し、当該リモートサービス情報を音声案内ユニット1へセルラー通信部9を通じて提供可能な状態を呈するようになる。
【0063】
この場合、サービス要求の送信源となった音声案内ユニット1では、リモートサービスセンタ16側で提供可能な状態とされたリモートサービス情報(ポイント情報及び音声情報を含む音声案内タグ群を含む)のうち、車両現在位置から設定目的地方向に存在する所定区間に対応した音声案内タグを含むリモートサービス情報を時系列的にダウンロードして記憶部5に順次記憶する処理、車両現在位置が記憶部5に記憶したポイント情報により示される案内ポイントに達する毎に、当該案内ポイントに対応した音声情報に割り付けられた経路案内用音声メッセージをスピーカ10から再生出力する処理、自車両が案内ポイントを通過した後の所定タイミング毎に再生出力済みの音声情報及びこれに対応したポイント情報を含む音声案内タグを記憶部5から消去する処理、を順次実行するようになる。
【0064】
この結果、自車両が、指定目的地までの案内経路中に設定された案内ポイントに到達する毎に、その案内ポイント毎に割り付けられた経路案内用音声メッセージがスピーカ10で再生されることになり、以て指定目的地までの経路案内が音声出力により行われる。この場合、上記案内経路は、リモートサービスサーバ17側での経路探索結果に基づくものであって、その精度を高め得るものであり、また、自車両が案内ポイントに到達する毎に音声により経路案内が行われるから、総じて、長距離区間において精度の高い経路案内が可能になる。
【0065】
また、音声案内ユニット1側には、制御部2、GPS受信装置3、記憶部5、オーディオ制御部6、スピーカ10などを設けるだけで済むものであって、従来のように表示装置を備えたカーナビゲーション装置として構成する必要がないから、音声案内ユニット1のコストの低下を図り得るようになる。この場合、記憶部5に記憶した音声情報及びポイント情報などを含む音声案内タグは、不要なものから逐次消去されることになるから、その記憶部5に必要な記憶容量の増大を招くことがなく、この面からもコストの低下を実現できるようになる。
【0066】
尚、ターンシグナルインジケータ11に左折誘導用の緑色発光部12a及び右折誘導用の緑色発光部13aを設け、案内ポイントで出力された経路案内用音声メッセージにより示される誘導方向(左折或いは右折方向)をターンシグナルインジケータ11の通常時の色(黄色)とは異なる色(緑色)での点灯により報知する構成となっているから、音声案内による経路案内を、車両に元々必要なターンシグナルインジケータ11を利用した低コストな構成によって視覚的に補助できることになり、以て経路案内の確実性を高める上で有益になる。
【0067】
音声案内ユニット1によるリモートサービス情報のダウンロードが、緯度線及び経度線によりメッシュ状に画定された領域単位(図4参照)で行われる構成となっているから、そのダウンロードを実施する位置の自由度が高くなる。この結果、例えば、リモートサービス情報のダウンロードを、良好な無線通信が可能な車両位置に限定して実施できるようになり、そのダウンロード動作の信頼性向上を図り得る。
【0068】
音声案内ユニット1においては、指定目的地までの経路案内時において、GPS受信装置3による衛星測位が不可能な状態、つまり、車両現在位置の検出が不可能な状態でなった場合でも、自車両が案内ポイントに到達する時刻を、自車両の平均走行速度などに基づいて推定し、衛星測位が不可能なまま上記推定時刻に至ったときに、当該案内ポイントに対応した音声案内タグ中の音声情報をスピーカ10から出力するという音声案内を実行するようになるから、音声による経路案内に対する信頼性の低下を防止する上で有益になる。
【0069】
さらに、上記のような案内ポイントへの到達時刻の推定にずれが生じて、自車両の現在位置と音声案内の実行状況が不適切な状態になった場合には、その状態に応じて音声情報をスキップダウン若しくはスキップアップすることにより自車両の現在位置と音声案内の実行状況が適正な関係となるように修正する構成となっているから、案内ポイントへの到達時刻の推定結果に誤差があった場合でも、その案内ポイントに対応した音声情報により示される経路案内用音声メッセージが当該時点での車両現在位置に適合した内容に修正された上で再生されるから、音声による経路案内に対する信頼性の向上を実現できることになる。
【0070】
音声案内ユニット1においては、案内ポイントに対応した音声情報をスピーカ10により再生出力する処理を、操作スイッチ部4に設けられた「音声案内再生」ボタン4cの操作に応じて再実行するように構成されているから、ユーザ側では、聞き漏らした経路案内用音声メッセージの再確認を上記「音声案内再生」ボタン4cの操作に応じて容易に行い得るようになる。また、操作スイッチ部4に設けられた「進む」ボタン4dが操作されたときには、前回再生した音声情報の次の音声情報をスピーカ10から出力する処理が行われ、操作スイッチ部4に設けられた「戻る」ボタン4eが操作されたときには、前回再生した音声情報の前の音声情報をスピーカ10から出力する処理が行われるから、進行先の案内ポイントに対応した音声情報を予め確認したり、通過した案内ポイントに対応した音声情報を参考のために事後確認したりすることが可能になり、結果的に、ユーザ側の利便性を高め得るようになる。
【0071】
一方、具体的に図示しないが、制御部2は、図5、図6、図8により説明した制御動作の他に、以下<1>〜<3>に述べるような制御も実行する構成となっており、以下、このような制御内容について、これに関連してリモートサービスセンタ16側で実行される制御内容や、その制御の結果として得られる効果と共に説明する。
【0072】
<1>車両現在位置送信制御
制御部2は、リモートサービスセンタ16へのサービス要求を送信した後には、GPS受信装置3からの測位情報に基づいて検出した自車両位置を示す車両現在位置情報を、リモートサービスセンタ16ヘセルラー通信部9を通じて送信する動作を所定間隔で実行(所定時間が経過する毎或いは所定距離走行する毎に実行)する。
【0073】
リモートサービスセンタ16側では、リモートサービスサーバ17が、受信した車両現在位置情報に基づいて当該情報の送信源となった車両の位置をマップマッチングして監視し、その車両が当該車両に係る探索経路を逸脱した状態となったことを検出したとき(このような検出は、リモートサービスサーバ17に設定したプログラムにより自動的に行い得る)に、経路逸脱情報を該当車両に搭載された音声案内ユニット1へ向けて送信する。このような経路逸脱情報の送信は、リモートサービスサーバ17のオペレータが、セルラー通信部9を介してユーザ(車両の運転者)直接的に話しかけることにより行っても良いが、車両の経路逸脱状況を具体的に示す音声メッセージを含む経路逸脱情報を自動的に送信する構成としても良い。このような音声メッセージを含む経路逸脱情報を送信する構成とする場合、当該経路逸脱情報をセルラー通信部9により受信した音声案内ユニット1側では、制御部2が当該経路逸脱情報に含まれる音声メッセージをスピーカ10から再生出力する制御を行うように構成する。
【0074】
つまり、車両の現在位置が案内経路から逸脱したときには、リモートサービスセンタ16側から音声案内ユニット1へ経路逸脱情報が送信されるようになり、これに伴い、自車両の具体的な経路逸脱状況がユーザに対して報知されるから、ユーザ側では、その案内経路からの逸脱状態を具体的に認識できるようになり、これにより自車両の走行経路を的確に修正可能になる、という効果が得られる。
【0075】
このような制御を行う場合において、リモートサービスサーバ17から音声案内ユニット1に向けて送信される経路逸脱情報中に、経路再探索の要否を問い合わせる内容の音声メッセージを含むように構成し、音声案内ユニット1側に、受信した経路逸脱情報に含まれる音声メッセージをスピーカ10から再生出力する機能、経路再探索をユーザの意思によりリモートサービスセンタ16へ要求する機能を付加する構成とすることができる。この場合、リモートサービスサーバ17は、経路再探索の要求を受けたオペレータの操作に応じて、受信した最新の現在位置情報により示される車両現在位置から、当初のサービス要求に含まれる指定目的地までの経路を再探索すると共に、探索した経路中に設定した案内ポイントの位置を示すポイント情報及び当該案内ポイント毎に所定の経路案内用音声メッセージが割り付けられた音声情報を含んで成るリモートサービス情報を作成することになる。そして、音声案内ユニット1側では、このような新たに作成されたリモートサービス情報をダウンロードすることになる。
【0076】
この結果、ユーザ側では、経路逸脱状態を、スピーカ10から出力される音声メッセージにより確実に認識できるようになる。また、ユーザ側では、上記のような認識結果に基づいて、リモートサービスセンタ16に対し経路の再探索を選択的に要求できると共に、このような再探索要求を行なった場合には、経路逸脱後の車両現在位置からの新たな案内経路に係るリモートサービス情報をリモートサービスセンタ16からダウンロード可能になるから、経路逸脱に対するユーザ側の不安を払拭できるようになる。
【0077】
尚、上記のような車両現在位置送信制御に係るリモートサービスセンタ16側の対応動作は、該当車両が指定目的地周辺に停車したことを確認したときに終了することになる。この場合、車両が停車したことの確認は、例えば、車両側に、車両エンジンが停止したとき、或いは車両用パーキングブレーキが動作された状態のまま所定時間経過したとき、車速信号が所定時間以上継続して出力されないときなどに、その旨を示す停車信号をリモートサービスセンタ16側へ送信する機能を付与し、リモートサービスセンタ16で当該停車信号を認識することにより行い得る。
【0078】
<2>サポート要求制御
操作スイッチ部4に設けられた「ヘルプ」ボタン4fは、ユーザ(車両運転者)が道に迷ったときに操作するものであり、制御部2は、「ヘルプ」ボタン4fが操作されたときに、自車両の現在位置情報を含むサポート要求をセルラー通信部9からリモートサービスセンタ16へ送信する動作を実行する。このサポート要求を受信したリモートサービスセンタ16側では、リモートサービスサーバ17のオペレータが、受信サポート要求中の情報に基づいて車両が進行すべき方向などの案内をセルラー通信部9により提供する処理を行うことになる。この結果、ユーザ側では、道に迷った場合でも適切なアドバイスを受け得るようになり、システムの信頼性を高める上で有益になる。
【0079】
<3>通信圏外適応制御
リモートサービス情報のための情報ダウンロード地域が、セルラー通信部9を介した基地局15との通信圏外地域にある場合には、リモートサービス情報のダウンロードを正常に行うことが困難になる。そこで、情報ダウンロード地域と重畳する通信圏外地域についての位置情報を、例えば、リモートサービスセンタ16側から初期リモートサービス情報をダウンロードする際に同時に取得しておき、走行中の自車両が情報ダウンロード地域に重畳した通信圏外地域内に進入する時点より所定時間(リモートサービス情報のダウンロード所要時間を加味した時間)だけ前の時点で、当該情報ダウンロード地域で本来ダウンロードすべきリモートサービス情報をダウンロードする、という通信圏外適応制御を行う。
【0080】
この通信圏外適応制御の具体的内容について前記図4を用いて説明する。図4には、情報ダウンロード地域のうち、案内ポイントp8に対応した地域(案内ポイントp8での音声案内が終了した直後の地域)に通信圏外地域A1が重畳している例が示されている。本実施例の場合、案内ポイントp8に対応した情報ダウンロード地域では、本来的には、領域単位Cに係るリモートサービス情報を記憶部5から消去すると共に、領域単位Eに係るリモートサービス情報をダウンロードして新たに記憶するものであるが、通信圏外適応制御時には、通信圏外地域A1の手前のダウンロードポイントp8′において、領域単位Cに係るリモートサービス情報のうち案内ポイントp8に対応した音声案内タグを除いた他の情報を記憶部5から消去すると共に、領域単位Eに係るリモートサービス情報をダウンロードして新たに記憶することになる。この結果、案内経路中にセルラー通信部9を介した基地局15との通信圏外地域が存在する場合でも、そのセルラー通信部9を介したリモートサービス情報のダウンロードを確実に行い得るようになる。
【0081】
(第2の実施の形態)
図9には本発明の第2実施例が示されており、以下これについて前記第1実施例と異なる部分のみ説明する
この第2実施例は、リモートサービスセンタ16側から音声案内ユニット1へ提供した探索経路で渋滞や通行止めなどの障害箇所が発生した場合に、このような障害箇所の発生情報を受けたリモートサービスセンタ16において、その障害を回避した新たな経路を探索し、その探索経路に係るリモートサービス情報を上記音声案内ユニット1に提供するという経路再探索制御機能を付与したことに特徴を有するものであり、これにより、車両の経路案内動作の高付加価値を実現することができる。
【0082】
図9のフローチャートには、リモートサービスセンタ16側で行われる経路再探索制御の内容と、これに関連して音声案内ユニット1側で行われる応答制御内容とが示されている。この図9において、リモートサービスセンタ16側では、音声案内ユニット1へ提供した探索経路上において、渋滞や通行止めなど障害箇所の発生に伴い経路再探索が必要な状態になったか否かを判断し(ステップS401)、必要であると判断したときには、経路再探索の必要をユーザへ問い合わせる必要があるか否かを判断する(ステップS402)。このステップS402では、障害箇所の原因が渋滞発生や事故発生のように当該障害箇所を通過可能なものであった場合には「YES」と判断し、障害箇所の原因が通行止めであった場合には、「NO」と判断することになる。
【0083】
ステップS402で「NO」と判断した場合には、指定目的地までの経路再探索を実行するステップS403、探索された経路に対応したリモートサービス情報を作成して当該リモートサービス情報を音声案内ユニット1へセルラー通信部9を通じて提供可能な状態を呈するステップS404を順次実行した後に、判断ステップS406へ移行する。これに対して、ステップS402で「YES」と判断した場合には、音声案内ユニット1に向けて経路再探索を行なうか否かを問い合わせる(ステップS405)。尚、問い合わせは、リモートサービスサーバ17において自動的に行っても良いが、そのオペレータが行っても良いものである。
【0084】
上記問い合わせを受けた音声案内ユニット1側では、ユーザが経路再探索の必要の有無を返答するものであり(ステップS501)、リモートサービスセンタ16側では、必要であるとの応答があった場合には、前記経路再探索ステップS403及びリモートサービス情報作成ステップS404を実行した後に判断ステップS406へ移行し、不必要であるとの応答があった場合には、経路再探索ステップS403及びリモート情報作成ステップS404をジャンプして判断ステップS406へ移行する。
【0085】
上記判断ステップS406は、前記ステップS401で「NO」と判断した場合にも実行されるものであり、ここでは、音声案内ユニット1からサービス切断要求があったか否かを判断し、当該切断要求があった場合には、経路再探索制御を終了する。また、上記サービス切断要求がなかった場合には、車両が指定目的地周辺に到達したか否かを判断し(ステップS407)、到達していない場合にはステップS401以降の処理を再び実行するが、到達した場合には経路探索制御を終了する。
【0086】
尚、この第2実施例において、経路再探索により提供したリモートサービス情報を音声案内ユニット1側でダウンロード済みの状態において、そのダウンロード済みのリモートサービス情報に対応した領域内に案内経路を変更しなければならない状態が発生した場合には、リモートサービスセンタ16側から音声案内ユニット1へ再度の経路再探索が必要な旨を報知し、音声案内ユニット1から再探索要求が返信されたときに、車両現在位置から指定目的地までの経路の再探索及びリモートサービス情報の作成が行う構成とすることが望ましい。
【0087】
(第3の実施の形態)
図10には本発明の第3実施例が示されており、以下これついて前記第1実施例と異なる部分のみ説明する。
即ち、この第3実施例は、リモートサービスサーバ17で作成されるリモートサービス情報を分割する領域単位の形態に特徴を有するものである。図10は、設定出発地から設定目的地までの探索経路Y(太線で示す)と案内ポイント(p1〜p18)の関係を示すものであり、リモートサービスサーバ17は、リモートサービス情報に対応したポイント情報及び音声情報を含む音声案内タグを、それらのデータ量の大きさを基準に画定された領域単位(図10では符号H〜Lを付して示す)毎に分割可能な形態で作成するように構成されている。
【0088】
このような構成によれば、音声案内ユニット1でのリモートサービス情報のダウンロードが、その情報のデータ量の大きさを基準に画定された領域単位(図10の例では、領域単位H〜L)毎に行われるから、1回のダウンロード情報量が過大になる事態を未然に防止できるようになる。この結果、リモートサービス情報のダウンロードが通信障害などにより中途停止される可能性が小さくなって、ダウンロード動作の信頼性が向上すると共に、記憶部5に必要な記憶容量の低減も図り得るようになる。
【0089】
(第4の実施の形態)
図11には本発明の第4実施例が示されており、以下これについて前記第1実施例と異なる部分のみ説明する。
即ち、この第4実施例は、第1実施例における音声案内制御用の割り込み処理ルーチン(図8参照)に変更を加えたものであり、これにより操作性の向上を実現できるようになる。具体的には、図10において、「進む」ボタン4dが操作されたと判断したとき(ステップS304で「YES」)には、その操作が長押し状態であるか否かを判断する(ステップS312)。長押し状態でなかった場合には、ステップS305以降の処理を第1実施例と同様に実行するが、長押し状態であった場合には、前回再生した音声情報以降の音声情報群を連続的に再生する動作を開始し(ステップS313)、この後に「音声案内再生」ボタン4cが操作されるまで待機する(ステップS314)。そして、この状態から「音声案内再生」ボタン4cが操作されたときには、上記音声情報群の連続的な再生を停止し(ステップS315)、この後にステップS306以降の処理を実行する。
尚、「戻る」ボタン4eが長押しされたときに、前回再生した音声情報以前の音声情報群を遡る形態で連続的に再生する動作を行う構成としても良いものである。
【0090】
(その他の実施の形態)
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、例えば以下のような変形または拡張が可能である。
自車両の現在位置を検出するための位置検出手段の機能を、GPS受信装置3からの測位情報を受ける制御部2に付与する構成としたが、これに限らないことは勿論である。例えば、gpsOne(登録商標)を利用する構成とすれば、基地局15側において、携帯電話機に内蔵されたGPS受信機からの信号を利用して車両現在位置を検出することになる。
【0091】
車両に簡単な形式の表示装置を搭載し、この表示装置において、音声情報に基づいた音声案内に同期した状態で当該音声案内により示される車両の進行方向などを表示する構成としても良い。また、ダウンロードしたリモートサービス情報中に特定施設などの情報がある場合に、その情報を上記表示装置で表示することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1実施例における要部の電気的構成を示す機能ブロック図
【図2】操作スイッチ部のボタン配置を示す図
【図3】システム全体の模式的構成図
【図4】リモートサービス情報の分割形態を説明するための模式図
【図5】制御部による制御内容を示すフローチャート(その1)
【図6】制御部による制御内容を示すフローチャート(その2)
【図7】制御部による制御内容の要部を説明するための模式図
【図8】制御部による制御内容を示すフローチャート(その3)
【図9】本発明の第2実施例における経路再探索制御の内容を示すフローチャート
【図10】本発明の第3実施例を示す図4相当図
【図11】本発明の第4実施例を示す図8相当図
【符号の説明】
【0093】
1は音声案内ユニット(車載用リモートサービス端末)、2は制御部(制御手段、位置検出手段)、3はGPS受信装置(衛星測位手段)、4は操作スイッチ部、4cは「音声案内再生」ボタン(操作手段)、5は記憶部(データ記憶手段)、6はオーディオ制御部(音声出力手段)、9はセルラー通信部(無線通信手段)、14は車両、16はリモートサービスセンタ、17はリモートサービスサーバを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信機能を備えた車載用リモートサービス端末と、この車載用リモートサービス端末に対し所定のリモートサービスを無線通信によって提供するリモートサービスセンタとにより構成される車両用リモートサービスシステムにおいて、
前記車載用リモートサービス端末側に、自車両の現在位置を検出する位置検出手段、データ記憶手段及び音声出力手段を設け、
前記リモートサービスセンタ側に、設定出発地から設定目的地までの経路を探索する機能、並びに当該探索機能により探索された経路中に設定した案内ポイントの位置を示すポイント情報及び当該案内ポイント毎に所定の経路案内用音声メッセージが割り付けられた音声情報を含んで成るリモートサービス情報を作成する機能を備えたリモートサービスサーバを設け、
前記車載用リモートサービス端末は、前記位置検出手段により検出される車両現在位置及びユーザによる指定目的地を含むサービス要求を前記リモートサービスセンタヘ無線通信により送信可能に構成され、
前記リモートサービスサーバは、前記リモートサービスセンタが前記サービス要求を受信したときに、そのサービス要求に含まれる車両現在位置及び指定目的地をそれぞれ前記設定出発地及び設定目的地とした経路探索を実施すると共に、探索された経路に対応した前記リモートサービス情報を作成して、当該リモートサービス情報を前記車載用リモートサービス端末へ無線通信により提供可能な状態を呈するように構成され、
前記サービス要求の送信源となった前記車載用リモートサービス端末では、
前記リモートサービス情報のうち、前記位置検出手段により示される車両現在位置から前記指定目的地方向に存在する所定区間に対応したポイント情報及び音声情報を時系列的にダウンロードして前記データ記憶手段に記憶する処理、
前記位置検出手段により示される車両現在位置が、前記データ記憶手段に記憶したポイント情報により示される案内ポイントに達する毎に、当該案内ポイントに対応した音声情報を前記音声出力手段により再生出力する処理、
自車両が前記案内ポイントを通過した後の所定タイミング毎に再生出力済みの音声情報及びこれに対応したポイント情報を前記データ記憶手段から消去する処理、
を順次実行することを特徴とする車両用リモートサービスシステム。
【請求項2】
前記リモートサービスサーバは、前記リモートサービス情報に対応したポイント情報及び音声情報を、緯度線及び経度線によりメッシュ状に画定された領域単位で分割可能な形態で作成するように構成され、
前記車載用リモートサービス端末は、前記所定区間に対応したポイント情報及び音声情報の時系列的なダウンロードを前記領域単位毎に実行することを特徴とする請求項1記載の車両用リモートサービスシステム。
【請求項3】
前記リモートサービスサーバは、前記リモートサービス情報に対応したポイント情報及び音声情報を、それら情報のデータ量の大きさを基準に画定された領域単位で分割可能な形態で作成するように構成され、
前記車載用リモートサービス端末は、前記所定区間に対応したポイント情報及び音声情報の時系列的なダウンロードを前記領域単位毎に実行することを特徴とする請求項1記載の車両用リモートサービスシステム。
【請求項4】
前記車載用リモートサービス端末は、前記位置検出手段が検出する車両現在位置情報を前記リモートサービスセンタヘ無線通信により送信する動作を所定間隔で実行するように構成され、
前記リモートサービスサーバは、前記リモートサービスセンタが受信した車両現在位置情報に基づいて当該情報の送信源となった車両の位置を監視し、その車両が当該車両に係る探索経路を逸脱した状態となったときに、経路逸脱情報を該当車両に搭載された車載用リモートサービス端末へ無線通信により送信することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の車両用リモートサービスシステム。
【請求項5】
前記リモートサービスサーバから送信される前記経路逸脱情報は、経路再探索の要否を問い合わせる内容の音声メッセージを含むように構成され、
前記車載用リモートサービス端末には、前記経路逸脱情報を受信したときに当該情報に含まれる前記音声メッセージを前記音声出力手段により再生出力する機能、並びに、経路再探索要求を前記リモートサービスセンタへ無線通信により送信する機能が設定され、
前記リモートサービスサーバは、前記リモートサービスセンタが前記経路再探索要求を受信したときに、前記車載用リモートサービス端末から受信した最新の車両現在位置情報により示される車両現在位置及び当初のサービス要求に含まれる指定目的地をそれぞれ前記設定出発地及び設定目的地とした経路探索を実施すると共に、探索された経路に対応した前記リモートサービス情報を作成して、当該リモートサービス情報を前記車載用リモートサービス端末へ無線通信により提供可能な状態を呈するように構成されていることを特徴とする請求項4記載の車両用リモートサービスシステム。
【請求項6】
請求項1記載の車両用リモートサービスシステムで使用される車載用リモートサービス端末において、
自車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
車両用リモートサービスセンタと無線通信可能な無線通信手段と、
車両リモートサービスセンタから無線通信によりダウンロードしたリモートサービス情報を記憶するためのデータ記憶手段と、
車両の乗員に向けて音声を出力する音声出力手段と、
前記位置検出手段、無線通信手段、データ記憶手段及び音声出力手段と接続された制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記位置検出手段により検出される車両現在位置及びユーザによる指定目的地を含むサービス要求を前記リモートサービスセンタヘ前記無線通信手段により送信する処理、
前記リモートサービスセンタ側で前記サービス要求の受信に応じて作成されたリモートサービス情報のうち、前記位置検出手段により示される車両現在位置から前記指定目的地方向に存在する所定区間に対応したポイント情報及び音声情報を、前記無線通信手段を通じて時系列的にダウンロードして前記データ記憶手段に記憶する処理、
前記位置検出手段により示される車両現在位置が、前記データ記憶手段に記憶したポイント情報により示される案内ポイントに達する毎に、当該案内ポイントに対応した音声情報を前記音声出力手段により再生出力する処理、
自車両が前記案内ポイントを通過した後の所定タイミング毎に再生出力済みの音声情報及びこれに対応したポイント情報を前記データ記憶手段から消去する処理、
を順次実行することを特徴とする車載用リモートサービス端末。
【請求項7】
前記位置検出手段は、衛星測位手段による測位情報に基づいて自車両の現在位置を検出するように構成され、
前記制御手段は、前記衛星測位手段による衛星測位が不可能な状態時には、自車両が前記データ記憶手段に記憶したポイント情報により示される案内ポイントに到達する時刻を、自車両の平均走行速度を利用して推定し、その推定時刻に至ったときに、当該案内ポイントに対応した音声情報を前記音声出力手段により再生出力する処理を実行することを特徴とする請求項6記載の車載用リモートサービス端末。
【請求項8】
ユーザにより操作される操作手段を備え、
前記制御手段は、前記音声情報を前記音声出力手段により再生出力する処理を、前記操作手段の操作に応じて再実行するように構成されていることを特徴とする請求項6または7記載の車載用リモートサービス端末。
【請求項1】
無線通信機能を備えた車載用リモートサービス端末と、この車載用リモートサービス端末に対し所定のリモートサービスを無線通信によって提供するリモートサービスセンタとにより構成される車両用リモートサービスシステムにおいて、
前記車載用リモートサービス端末側に、自車両の現在位置を検出する位置検出手段、データ記憶手段及び音声出力手段を設け、
前記リモートサービスセンタ側に、設定出発地から設定目的地までの経路を探索する機能、並びに当該探索機能により探索された経路中に設定した案内ポイントの位置を示すポイント情報及び当該案内ポイント毎に所定の経路案内用音声メッセージが割り付けられた音声情報を含んで成るリモートサービス情報を作成する機能を備えたリモートサービスサーバを設け、
前記車載用リモートサービス端末は、前記位置検出手段により検出される車両現在位置及びユーザによる指定目的地を含むサービス要求を前記リモートサービスセンタヘ無線通信により送信可能に構成され、
前記リモートサービスサーバは、前記リモートサービスセンタが前記サービス要求を受信したときに、そのサービス要求に含まれる車両現在位置及び指定目的地をそれぞれ前記設定出発地及び設定目的地とした経路探索を実施すると共に、探索された経路に対応した前記リモートサービス情報を作成して、当該リモートサービス情報を前記車載用リモートサービス端末へ無線通信により提供可能な状態を呈するように構成され、
前記サービス要求の送信源となった前記車載用リモートサービス端末では、
前記リモートサービス情報のうち、前記位置検出手段により示される車両現在位置から前記指定目的地方向に存在する所定区間に対応したポイント情報及び音声情報を時系列的にダウンロードして前記データ記憶手段に記憶する処理、
前記位置検出手段により示される車両現在位置が、前記データ記憶手段に記憶したポイント情報により示される案内ポイントに達する毎に、当該案内ポイントに対応した音声情報を前記音声出力手段により再生出力する処理、
自車両が前記案内ポイントを通過した後の所定タイミング毎に再生出力済みの音声情報及びこれに対応したポイント情報を前記データ記憶手段から消去する処理、
を順次実行することを特徴とする車両用リモートサービスシステム。
【請求項2】
前記リモートサービスサーバは、前記リモートサービス情報に対応したポイント情報及び音声情報を、緯度線及び経度線によりメッシュ状に画定された領域単位で分割可能な形態で作成するように構成され、
前記車載用リモートサービス端末は、前記所定区間に対応したポイント情報及び音声情報の時系列的なダウンロードを前記領域単位毎に実行することを特徴とする請求項1記載の車両用リモートサービスシステム。
【請求項3】
前記リモートサービスサーバは、前記リモートサービス情報に対応したポイント情報及び音声情報を、それら情報のデータ量の大きさを基準に画定された領域単位で分割可能な形態で作成するように構成され、
前記車載用リモートサービス端末は、前記所定区間に対応したポイント情報及び音声情報の時系列的なダウンロードを前記領域単位毎に実行することを特徴とする請求項1記載の車両用リモートサービスシステム。
【請求項4】
前記車載用リモートサービス端末は、前記位置検出手段が検出する車両現在位置情報を前記リモートサービスセンタヘ無線通信により送信する動作を所定間隔で実行するように構成され、
前記リモートサービスサーバは、前記リモートサービスセンタが受信した車両現在位置情報に基づいて当該情報の送信源となった車両の位置を監視し、その車両が当該車両に係る探索経路を逸脱した状態となったときに、経路逸脱情報を該当車両に搭載された車載用リモートサービス端末へ無線通信により送信することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の車両用リモートサービスシステム。
【請求項5】
前記リモートサービスサーバから送信される前記経路逸脱情報は、経路再探索の要否を問い合わせる内容の音声メッセージを含むように構成され、
前記車載用リモートサービス端末には、前記経路逸脱情報を受信したときに当該情報に含まれる前記音声メッセージを前記音声出力手段により再生出力する機能、並びに、経路再探索要求を前記リモートサービスセンタへ無線通信により送信する機能が設定され、
前記リモートサービスサーバは、前記リモートサービスセンタが前記経路再探索要求を受信したときに、前記車載用リモートサービス端末から受信した最新の車両現在位置情報により示される車両現在位置及び当初のサービス要求に含まれる指定目的地をそれぞれ前記設定出発地及び設定目的地とした経路探索を実施すると共に、探索された経路に対応した前記リモートサービス情報を作成して、当該リモートサービス情報を前記車載用リモートサービス端末へ無線通信により提供可能な状態を呈するように構成されていることを特徴とする請求項4記載の車両用リモートサービスシステム。
【請求項6】
請求項1記載の車両用リモートサービスシステムで使用される車載用リモートサービス端末において、
自車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
車両用リモートサービスセンタと無線通信可能な無線通信手段と、
車両リモートサービスセンタから無線通信によりダウンロードしたリモートサービス情報を記憶するためのデータ記憶手段と、
車両の乗員に向けて音声を出力する音声出力手段と、
前記位置検出手段、無線通信手段、データ記憶手段及び音声出力手段と接続された制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記位置検出手段により検出される車両現在位置及びユーザによる指定目的地を含むサービス要求を前記リモートサービスセンタヘ前記無線通信手段により送信する処理、
前記リモートサービスセンタ側で前記サービス要求の受信に応じて作成されたリモートサービス情報のうち、前記位置検出手段により示される車両現在位置から前記指定目的地方向に存在する所定区間に対応したポイント情報及び音声情報を、前記無線通信手段を通じて時系列的にダウンロードして前記データ記憶手段に記憶する処理、
前記位置検出手段により示される車両現在位置が、前記データ記憶手段に記憶したポイント情報により示される案内ポイントに達する毎に、当該案内ポイントに対応した音声情報を前記音声出力手段により再生出力する処理、
自車両が前記案内ポイントを通過した後の所定タイミング毎に再生出力済みの音声情報及びこれに対応したポイント情報を前記データ記憶手段から消去する処理、
を順次実行することを特徴とする車載用リモートサービス端末。
【請求項7】
前記位置検出手段は、衛星測位手段による測位情報に基づいて自車両の現在位置を検出するように構成され、
前記制御手段は、前記衛星測位手段による衛星測位が不可能な状態時には、自車両が前記データ記憶手段に記憶したポイント情報により示される案内ポイントに到達する時刻を、自車両の平均走行速度を利用して推定し、その推定時刻に至ったときに、当該案内ポイントに対応した音声情報を前記音声出力手段により再生出力する処理を実行することを特徴とする請求項6記載の車載用リモートサービス端末。
【請求項8】
ユーザにより操作される操作手段を備え、
前記制御手段は、前記音声情報を前記音声出力手段により再生出力する処理を、前記操作手段の操作に応じて再実行するように構成されていることを特徴とする請求項6または7記載の車載用リモートサービス端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−225497(P2007−225497A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−48465(P2006−48465)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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