説明

車両用再生装置

【課題】乗員が、表示装置に表示された画像を視認できない場合に、再生中のコンテンツデータの内容を把握できなくなることを防止できる車両用再生装置を提供すること。
【解決手段】ナビゲーション装置1は、パーキングブレーキの状態を示す状態情報を検出するパーキングブレーキ検出部26を備えており、コンテンツデータを再生中には、パーキングブレーキ検出部26により検出された状態信号に基づいて、車両が走行中であるか否かを判断し、車両が走行中であると判断すると、音声出力部24を介して出力される音声言語を、予めEEPROM48に記憶された走行時言語情報の音声言語(乗員が容易に理解可能な言語)に切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、記録媒体に記憶されたコンテンツデータを再生する車両用再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、異なる言語からなる複数の音声データ及び字幕データが映像データと共に記憶された記録媒体(例えば、DVD)を再生する再生装置(例えば、DVDプレイヤ)が知られている。
【0003】
そして、このような再生装置として、例えば、ナビゲーション装置と一体化されて車両に搭載されたものが知られており、このような装置によれば、運転者及び同乗者(以下、乗員ともいう)は、ナビゲーション装置による経路案内等が表示される表示装置(例えば、車両のセンターコンソール部に配置された液晶ディスプレイ)にて、記録媒体に記憶された映画等のコンテンツを、好みの言語及び字幕にて車内で視聴することができる。
【0004】
ところで、このように車両に搭載された再生装置においては、安全性を確保するために、車両の走行中は乗員が画像を視認できないようにすることが望ましい。そこで、例えば、車両の走行中は、DVD等の記録媒体に記憶されたコンテンツデータに基づく画像の表示を停止し、音声のみを出力するように構成された再生装置が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【特許文献1】特開2000−306315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記提案の再生装置においては、コンテンツデータの再生中に運転者が車両の走行を開始した場合には、コンテンツデータに基づく画像の表示が停止されるので、車両の走行中は、乗員は音声のみで内容を把握しなければならない。また、画像の表示が停止されないものであったとしても、車両の走行中は、運転者は画像を確実に視認することは不可能であるために、やはり、音声のみで内容を把握しなければならない。
【0006】
しかしながら、例えば、日本語の字幕を表示させ、音声を英語にしてコンテンツデータを再生していた場合には、画像を視認することが不可能となっても音声は英語のままであるので、乗員が英語を理解できない場合には、内容を把握できないという問題があった。
【0007】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、乗員が、表示装置に表示された画像を視認できない場合に、再生中のコンテンツデータの内容を把握できなくなることを防止できる車両用再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明においては、各種画像を表示する表示手段と、音声を出力する音声出力手段と、が車両に搭載されており、再生手段が、映像データ及び異なる言語からなる複数の音声データを有するコンテンツデータが記憶された記憶媒体からコンテンツデータを読み出して映像データに基づいて画像を表示手段に表示させると共に、複数の音声データのうちの1つを所定の条件にて選択し、この音声データに基づいて音声を音声出力手段を介して出力する。
【0009】
また、車両の状態を示す状態情報を検出する車両状態検出手段を備えており、言語切換手段は、再生手段が前記コンテンツデータを再生中に、車両状態検出手段により検出された状態情報に基づいて、車両が予め設定された特定の車両状態であるか否かを判断し、車両が特定の車両状態であると判断すると、音声出力手段を介して出力される音声の言語を、予め設定された言語に切り換える。
【0010】
このように、本発明の車両用再生装置においては、コンテンツデータの再生中に、車両が予め設定された特定の車両状態になると、音声が予め設定された言語(例えば、乗員が容易に理解可能な言語)に切り換えられるので、特定の車両状態(例えば、乗員が表示手段に表示される画像を視認できないような車両状態)となった場合に、乗員が、再生中のコンテンツの内容を把握できなくなることを防止できる。
【0011】
なお、音声手段は、所定の条件、例えば、予め車両用再生装置に設定された情報、コンテンツデータの再生時に外部から入力された指令、また、記憶媒体から読み出したコンテンツデータに含まれる情報等に基づいて、複数の音声データのうちの1つを選択する。
【0012】
次に、請求項1に記載の車両用再生装置は、請求項2に記載のように、言語切換手段が、車両状態検出手段により検出された状態情報に基づいて、車両が走行中であるか否かを判断し、車両が走行中であると判断すると、音声の言語を切り換えるように構成してもよい。
【0013】
そして、このようにすれば、コンテンツデータを再生中に車両が走行中であると判断された場合に、音声の言語が、予め設定された言語に切り換えられるので、走行中で運転者等の乗員が画像を視認できない状態において、乗員が、再生中のコンテンツの内容を把握できなくなることを防止できる。
【0014】
また、請求項1または請求項2の何れかに記載の車両用再生装置は、請求項3に記載のように、異なる言語からなる複数の字幕データを有するコンテンツデータを読み込み、再生手段が、複数の字幕データのうちの1つに基づいて、字幕を画像と共に表示手段に表示し、言語切換手段が、再生手段が表示手段に表示している字幕の言語を、予め設定された言語として、音声の言語を切り換えるように構成してもよい。
【0015】
このようにすると、コンテンツデータの再生中に、車両が予め設定された特定の車両状態になると、字幕として選択されていた言語に音声が切り換えられるので、乗員は、車両が特定の車両状態にある場合の言語を改めて設定する必要が無く、しかも、字幕として設定していた言語、つまり、容易に理解できる言語にて、音声を聴くことができる。
【0016】
ところで、音声の言語は、車両が予め設定された特定の車両状態であると判断した場合に、直ぐに切り換えるようにしてもよいが、請求項4に記載のように、車両が特定の車両状態であると判断すると、言語切換手段が、字幕を表示または消去するタイミングに合わせて、音声の言語を切り換えるようにしてもよい。
【0017】
つまり、通常、字幕は音声に合わせて表示または消去されるように構成されているので、このようにすると、セリフの途中で、言語が変更されることを防止することができる。
また、請求項1〜請求項4の何れかに記載の発明は、請求項5に記載のように、言語切換手段は、音声の言語を切り換えると共に切換前の言語を記憶手段に登録し、言語切換手段により音声の言語を切換中に、車両が特定の車両状態から元の状態に復帰した場合に、言語復帰手段が、記憶手段に登録された切換前の言語に、音声の言語を復帰させるようにしてもよい。
【0018】
このようにすれば、車両が特定の車両状態でない場合、例えば、運転者が車両を停止させて走行中ではなくなった場合に、音声が切換前の言語に復帰され、乗員は、走行前に選択していた元の言語で音声を聴くことができる。
【0019】
ところで、車両の走行中に、映像データに基づく表示、つまり、映画等のコンテンツの内容が表示手段にされていると、運転者が映像に気をとられ、注意力が散漫になるおそれがある。そこで、請求項6に記載のように、言語切換手段は、音声の言語を切り換えると共に、表示手段への映像データに基づく表示を停止するようにするとよい。
【0020】
このようにすると、車両が予め設定された特定の車両状態である場合、例えば、車両が走行中である場合に、表示手段への映像データに基づく画像の表示が停止されるので、走行中に運転者がよそ見をすることを防止できる。そして、このような場合に、乗員は全く画像を視ることができないけれども、音声の言語が、乗員が容易に理解できる言語に切り換えられるので、乗員は、コンテンツの内容を把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の車両用再生装置の一実施形態としてのナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0022】
ナビゲーション装置1は車両に搭載され、車両の現在位置を検出する位置検出器12と、ユーザが各種指令を入力するための操作スイッチ群18と、外部装置との間で情報のやりとりを行うための外部情報入出力部20と、地図や経路案内画面、映画等を表示するための表示部22と、各種音声を発生するための音声出力部24と、パーキングブレーキの状態を検出するパーキングブレーキ検出部26と、CD/DVDドライブ28と、各種データを記憶するためのハードディスク30と、CD、DVD、ハードディスク等の記憶媒体に記憶された各種データを再生するための処理を行う再生処理部40と、上述した位置検出器12、操作スイッチ群18、外部情報入出力部20、パーキングブレーキ検出部26、CD/DVDドライブ28からの入力に応じて、各種処理を実行し、外部情報入出力部20、表示部22、音声出力部24、再生処理部40を制御する制御装置50と、を備えている。
【0023】
位置検出器12は、車両の速度に応じた検出信号を出力する車速センサ4、車両の前後方向に加わる加速度に応じた検出信号を出力する加速度センサ6、車両の旋回時に生じる角速度(詳しくは車両の水平面に直交する軸周りの角速度)を検出する角速度センサ8等からなる自立系のセンサと、GPS用の人工衛星からの送信電波を受信し、車両の位置、速度、進行方向等を検出するGPS受信機10と、を備えている。そして、これら各センサ等は、各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら使用するように構成されている。
【0024】
操作スイッチ群18は、表示部22と一体に構成されたタッチパネル及び表示部22の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等から構成されている。なお、タッチパネルと表示部22とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式、電磁誘導方式、静電容量方式、あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、その何れを用いてもよい。
【0025】
外部情報入出力部20は、外部装置として道路に敷設されたビーコンとの間で情報のやりとりを行うことにより、情報センタから道路交通情報を取得したり、或いは、車両に搭載された各種制御装置との間で通信を行うことにより車両状態を表す各種情報を取得するものであり、各種通信装置にて構成されている。
【0026】
表示部22は、カラー表示可能な液晶ディスプレイ等にて構成されている。そして、この表示部22の表示画面には、制御装置50の制御の下に、車両の現在位置周囲の地図や、ユーザにより指定された目的地までの走行経路等が表示される。また、制御装置50の制御の下に、DVD等の記憶媒体から読み込まれた映像データに基づいて、映画等の画像が表示される。
【0027】
音声出力部24は、アンプ及びスピーカ等から構成されており、制御装置50による制御の下に、目的地までの経路案内用のガイド音声や、外部情報入出力部20を介して取得した道路交通情報を案内するためのガイド音声が出力される。また、制御装置50の制御の下に、CDやDVD等の記憶媒体から読み込まれた音声データに基づく音声が出力される。
【0028】
パーキングブレーキ検出部26は、パーキングブレーキに接続されており、パーキングブレーキが作動しているか否かを表す状態信号を制御装置50に入力する構成にされている。
【0029】
CD/DVDドライブ28は、操作スイッチ群18を介して入力された指令、または、自動再生により、図示しないCDやDVDに記憶された楽音データや映画等の映像及び音声からなるコンテンツデータを読み込み、読み込んだデータを制御装置50に入力する。
【0030】
ハードディスク30には、例えば地図データ(道路の形状データ、道路の幅員データ、道路の規制データ、地形データ、マークデータ、交差点データ、施設のデータ等)等や施設ガイド・各種案内のための音声データ等が記憶されている。
【0031】
再生処理部40は、CDやDVDから読み取られた楽音データやコンテンツデータが制御装置50から入力されると、入力されたデータを、表示部22に表示可能な映像信号、または音声出力部24にて出力可能な音声信号に変換する。
【0032】
制御装置50は、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。
【0033】
例えば、位置検出器12からの各検出信号に基づき、車両の走行状態(詳しくは、車両の現在位置、車速、進行方向、傾斜角度等)を検出する走行状態検出処理、車両の現在位置を含む地図データをハードディスク30から読み取り、その読み取った地図データに基づき、車両の現在位置や走行軌跡を含む道路地図を表示部22に表示する地図表示処理、操作スイッチ群18から入力される指令に従い、目的地までの走行経路を設定する走行経路設定処理、走行経路設定処理にて設定された走行経路に従って走行経路案内画像を表示部22に表示したり走行経路案内用のガイド音声を音声出力部24から出力させる経路案内処理を実行する。
【0034】
また、操作スイッチ群18から入力される指令に従い、選択された対象となる楽音データまたはコンテンツデータを、CD/DVDドライブ28を介して取得して、再生処理部40を介して再生する再生処理を実行する。詳述すると、操作スイッチ群18から特定のデータの再生指令が入力されると、CD/DVDドライブ28を介して、選択されたデータを取得して、再生処理部40に入力する。そして、再生処理部40から、入力したデータに基づいて生成された音声信号、または、映像信号及び音声信号を取得して、表示部22または音声出力部24に入力する。
【0035】
そして、制御装置50は、再生処理によりコンテンツデータの再生を実行中には、車両が走行中であるか否かを監視し、車両が走行している間は、安全のために、表示部22へのコンテンツデータに基づく表示(つまり、DVD映像表示)を停止する表示制御処理を実行する。
【0036】
以下、まず、再生処理部40の詳細な構成と、再生処理部40にコンテンツデータが入力された場合に再生処理部40が実行する処理(なお、本処理は、上記制御装置50による再生処理と合わせて本発明の再生手段を構成する)を説明し、次に、本発明の特徴部分である、制御装置50が実行する表示制御処理、再生処理部40が実行する言語切換処理に関して説明する。
【0037】
本実施形態の再生処理部40は、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらを接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータからなる制御部42と、画像を一旦格納するためのバッファ44と、デコーダ46と、書き換え可能な不揮発性のメモリであるEEPROM48と、を備えており、DVDに記録されたコンテンツデータを再生するための処理を実行する。
【0038】
ここで、DVDには、映像情報及び音声情報からなる複数のビデオタイトルセット(VTS)、DVDに記憶される全体のデータを管理するための管理情報であるビデオマネージャ(VMG)等が、所定のフォーマットにて記録されており、本実施形態におけるコンテンツデータは、例えば、DVDから読み出された1つのVTSである。なお、各VTSには、例えば1本(1タイトル)の映画等が記録されている。
【0039】
そして、コンテンツデータには、タイトル全体の制御情報と、再生用のデータと、が記録されており、再生用のデータは、所定のフォーマットにて圧縮された映像データ、音声データ、字幕(副映像)データ等が夫々記録されたビデオパック、オーディオパック、サブピクチャパック等がランダムに配列された複数のビデオオブジェクトユニット(VOBU)から構成されている。なお、本実施形態のコンテンツデータには、音声データ及び字幕データとして、異なる言語のものが夫々複数種類記録されている。
【0040】
そして、制御装置50からこのように構成されたコンテンツデータが入力されると、制御部42は、入力されたコンテンツデータを読み取り、上述した各パックに挿入されているIDを判別して、ビデオパック、オーディオパック、サブピクチャパックに分離すると共に、ランダムに配列された各パックを、連続したストリーム(映像ストリーム、音声ストリーム、字幕ストリーム)に再配列する。なお、音声ストリーム及び字幕ストリームは、夫々、異なる言語からなるものが複数生成される。
【0041】
さらに、制御部42は、上記のように生成された音声ストリーム及び字幕ストリームの中から、EEPROM48に予め設定された後述する基本言語情報に基づいて、所定の言語の音声ストリーム及び字幕ストリームを選択し、選択した音声ストリーム及び字幕ストリーム、及び、映像ストリームを、デコーダ46に供給する。
【0042】
このとき、映像ストリーム及び音声ストリームは、予め設定された所定の単位毎にデコーダ46に供給され、字幕ストリームは字幕ストリームに含まれる長さ情報に基づく単位毎に供給されて、デコーダ46にてデコードされる。
【0043】
そして、制御部42は、デコーダ46にてデコードされた映像ストリームと字幕ストリームとを合成して映像信号を生成し、生成した映像信号、及び、デコードされた音声ストリームからなる音声信号を、制御装置50に入力する。
【0044】
なお、EEPROM48には、コンテンツデータの再生時に選択される音声言語及び字幕言語(つまり、選択中の音声言語及び字幕言語)からなる基本言語情報、車両の走行中(つまり、バーキングブレーキの非作動中)に選択される音声言語である走行時言語情報が予め設定されている。そして、基本言語情報は、ユーザによる操作スイッチ群18の操作、または、後述する言語切換処理により書き換えられ、走行時言語情報は、ユーザによる操作スイッチ群18の操作により書き換えられる。
【0045】
ここで、基本言語情報または走行時言語情報の書き換え指令が、操作スイッチ群18を介して入力された場合に、制御装置50及び、再生処理部40の制御部42が実行する言語情報書き換え処理について説明する。
【0046】
操作スイッチ群18を介して基本言語情報または走行時言語情報の書き換え指令が入力されると、制御装置50は、再生可能な言語(つまり、コンテンツデータに字幕データや音声データが記憶されている言語)を、再生処理部40を介してコンテンツデータから読み取り、再生可能な言語の一覧からなる字幕言語選択画面や音声言語選択画面を表示部22に表示させる。そして、ユーザにより操作スイッチ群18を介して言語が選択されると、選択された言語による各言語情報の書き換えを再生処理部40に指令する。
【0047】
一方、再生処理部40の制御部42は、制御装置50からの指令を受けて、コンテンツデータから再生可能な言語に関する情報を読み取って制御装置50に入力し、また、制御装置50からの指令を受けてEEPROM48に記憶された基本言語情報または走行時言語情報を書き換える。
【0048】
次に、制御装置50にて実行される表示制御処理について、図2を用いて説明する。図2は、表示制御処理を示すフローチャートである。
表示制御処理は、再生処理にてコンテンツデータの再生が開始されると共に開始され、その後、コンテンツデータの再生が終了されるまで再生処理と並行して繰り返し実行される処理である。処理が開始されると、まずS210にて、パーキングブレーキ検出部26にて検出された状態信号を読み取り、続くS220では、状態信号に基づいて、パーキングブレーキが作動しているか否かを判断する。
【0049】
S220にて、パーキングブレーキが作動していないと判断した場合には(S220:NO)、車両は走行中であるとしてS230に移行し、再生処理部40に音声言語の切換指令を入力し、続くS240にて、再生処理部40から入力される映像信号の表示部22への入力(つまり、コンテンツデータに基づくDVD映像の表示部22への表示)を停止し、当該処理を終了する。
【0050】
一方、S220にて、パーキングブレーキが作動していると判断した場合には(S220:YES)、車両は停止中であるとしてS250に移行して、再生処理部40に音声言語の切換解除指令を入力し、続くS260にて、再生処理部40から入力される映像信号の表示部22への入力を再開し、当該処理を終了する。
【0051】
次に、再生処理部40の制御部42にて実行される言語切換処理について説明する。図3は、言語切換処理を示すフローチャートである。
言語切換処理は、制御装置50から切換指令または切換解除指令が入力されると開始される処理であり、処理が開始されると、まずS310にて、入力された指令が切換指令か否かを判断する。
【0052】
そして、S310にて切換指令であると判断した場合には、S320に移行して、選択中の音声言語(つまり、EEPROM48に記憶された基本言語情報の音声言語)と走行時言語情報の音声言語とが一致するか否かを判断する。ここで、音声言語が一致しないと判断した場合には(S320:NO)、S330に移行して、基本言語情報の音声言語を仮言語情報としてEEPROM48に登録し、続くS340では、基本言語情報の音声言語を、走行時言語情報の音声言語にて書き換え、当該処理を終了する。
【0053】
一方、S320にて、基本言語情報の音声言語と、走行時言語情報の音声言語とが一致すると判断した場合には(S320:YES)、言語を切り換えることなく当該処理を終了する。
【0054】
また、S310にて、切換解除指令であると判断した場合には(S310:NO)、S350に移行して、EEPROM48に仮言語情報が登録されているか否かを判断し、仮言語情報が登録されている場合には(S350:YES)、S360に移行して、基本言語情報の音声言語を、仮言語情報にて書き換え、続くS370では、EEPROM48から仮言語情報を消去して、当該処理を終了する。
【0055】
一方、S350にて、仮言語情報が登録されていないと判断した場合には(S350:NO)、既に、音声言語は元の音声言語に切り換えられているので、そのまま当該処理を終了する。
【0056】
以上説明したように、本実施形態のナビゲーション装置1は、CD/DVDドライブ28を介して、映像データ及び異なる言語からなる複数の音声データを有するコンテンツデータが記憶されたDVDからコンテンツデータを読み込み可能に構成されている。そして、操作スイッチ群18の操作、または、自動再生により、DVDに記憶されたコンテンツデータを読み出し、映像データに基づいて画像を表示部22に表示させると共に、複数の音声データの中から、予めEEPROM48に記憶された基本言語情報の音声言語の音声データを選択し、音声を音声出力部24から出力する。
【0057】
また、パーキングブレーキの状態を示す状態信号を検出するパーキングブレーキ検出部26を備えており、コンテンツデータを再生中には、パーキングブレーキ検出部26により検出された状態信号に基づいて、車両が走行中であるか否かを判断し、車両が走行中であると判断すると、音声出力部24を介して出力される音声言語を、予めEEPROM48に記憶された走行時言語情報の音声言語(つまり、乗員が容易に理解可能な言語)に切り換える。
【0058】
従って、本実施形態のナビゲーション装置1によれば、例えば、音声を英語にしてコンテンツデータを再生しているときに、車両の走行が開始されると、音声出力部24から出力される音声が、英語から、例えば日本語に切り換えられるので、乗員が表示部22を視認できない状態において、再生中のコンテンツの内容を把握できなくなることを防止できる。
【0059】
また、本実施形態のナビゲーション装置1においては、音声言語を走行時言語情報の音声言語に切り換えると共に切換前の言語を仮言語情報としてEEPROM48に登録し、音声言語を走行時言語情報の音声言語に切換中に、車両が停止したと判断した場合に、仮言語情報に基づいて、切換前の音声言語に復帰させる。よって、車両が停止した場合に、音声が切換前の言語に自動的に復帰されるので、乗員は、車両を停止させた場合には、走行前に選択していた元の言語で音声を聴くことができる。
【0060】
さらに、車両が走行中である場合に、表示部22へのコンテンツデータに基づく画像の表示が停止されるので、走行中に運転者がよそ見をすることを防止できる。そして、このような場合に、乗員は全く画像を視ることができないけれども、音声言語が走行時言語情報の音声言語に切り換えられるので、乗員は、容易に理解できる言語で音声を聴くことができ、コンテンツの内容を容易に把握することができる。
【0061】
また、走行時言語情報は、操作スイッチ群18の操作により選択できるように構成されているので、乗員は好みに応じて、車両の走行時に出力される音声言語を容易に変更することができる。
【0062】
なお、本実施形態において、表示部22は本発明の表示手段に相当し、音声出力部24は本発明の音声出力手段に相当し、パーキングブレーキ検出部26は本発明の車両状態検出手段に相当し、EEPROM48は本発明の記憶手段に相当し、S210〜S240、S310〜S340の処理は本発明の言語切換手段に相当し、S350〜S370の処理は本発明の言語復帰手段に相当する。
[第2実施形態]
第1実施形態のナビゲーション装置1においては、パーキングブレーキが作動していると判断すると、直ちに言語を切り換える処理を実行しているために、例えば、セリフの途中で、音声言語が突然変更されてしまうおそれがある。そこで、第2実施形態のように、再生処理部40が、字幕の表示タイミングに合わせて音声言語を変更するように構成してもよい。
【0063】
以下、再生処理部40の制御部42が実行する第2実施形態の言語切換処理を、図4を用いて説明する。なお、第1実施形態の言語切換処理と大部分は同じ処理であるので、同じ処理を実行するステップについては同じステップ番号を付し、異なる処理についてのみ説明する。
【0064】
S330の処理が終了すると、S410に移行して、字幕ストリームに含まれる情報に基づいて、その時点で表示させている字幕の表示を終了するタイミングを検出し、続くS420では、検出したタイミングと、その時点の再生時刻と、に基づいて字幕の表示が終了したか否かを判断する。そして、字幕の表示が終了していないと判断した場合には(S420:NO)、S420の処理を繰り返し実行し、字幕の表示が終了したと判断すると(S420:YES)、S430に移行して、基本言語情報の音声言語を、走行時言語情報の音声言語にて書き換え、当該処理を終了する。
【0065】
また、S350にて、仮言語情報が登録されていると判断した場合には(S350:YES)、S440に移行して、字幕ストリームに含まれる情報に基づいて、その時点で表示させている字幕の表示を終了するタイミングを検出し、続くS450では、検出したタイミングと、その時点の再生時刻と、に基づいて字幕の表示が終了したか否かを判断する。そして、字幕の表示が終了していないと判断した場合には(S450:NO)、S450の処理を繰り返し実行し、字幕の表示が終了したと判断すると(S450:YES)、S460に移行して、基本言語情報の音声言語を、仮言語情報にて書き換え、続くS470では、仮言語情報を消去して、当該処理を終了する。
【0066】
以上、説明したように、第2実施形態のナビゲーション装置1においては、コンテンツデータの再生中に、車両が走行中であると判断されると、字幕の表示が終了されるタイミングに合わせて音声言語が切り換えられるので、セリフの途中で、音声言語が変更されることを防止することができる。
【0067】
なお、本実施形態においては、字幕の表示が終了されるタイミングに合わせて音声言語を切り換えるようにしたが、字幕の表示が開始されるタイミングに合わせて音声言語を切り換えても、同じ効果を得ることができる。
【0068】
また、本実施形態において、S310〜S330、S410〜S430の処理は本発明の言語切換手段に相当し、S350、S440〜S470の処理は本発明の言語復帰手段に相当する。
【0069】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
上記各実施形態においては、車両の走行中(つまり、バーキングブレーキの非作動中)に選択される走行時言語情報がEEPROM48に予め設定されており、パーキングブレーキが作動していないと判断した場合に、S340またはS430の処理にて音声言語を、走行時言語情報の音声言語に切り換えるようにしたが、例えば、音声言語を、基本言語情報の字幕言語に切り換えるようにしてもよい。
【0070】
このようにすると、字幕として選択されていた言語に音声言語が切り換えられるので、乗員は、走行時言語情報を改めて設定する必要が無く、しかも、字幕として設定していた言語、つまり、容易に理解できる言語にて、音声を聴くことができる。
【0071】
また、上記各実施形態においては、走行中に走行時言語情報の音声言語に切り換えられていた音声言語を、車両が停止した場合に、切換前の音声言語に復帰させるようにしたが、必ずしも復帰させる必要はなく、走行時言語情報の音声言語をそのまま出力させてもよい。そして、このような場合には、表示部22に表示させていた字幕は必要ないので、字幕を消去するようにしてもよい。
【0072】
一方、上記各実施形態においては、車両が走行中であるか否かの判断を、パーキングブレーキが作動しているか否かにより判断したが、車両が走行中か否かの判断は、例えば、車両の速度が所定速度以上か否かにより判断してもよい。
【0073】
また、上記各実施形態においては、車両が走行中であるか否かを判断し、車両が走行中の場合に音声言語を切り換えるようにしたが、運転者等の乗員が表示部を視認できない状況を示す車両状態であるか否かを判断すれば、同様の効果を得ることができる。
【0074】
例えば、表示部を視認できない後部座席に人が着座した状況を検出する特定の車両状態として、後部座席にかかる重量が変化したか否かを判断し、重量が変化した場合に音声言語を切り換えるようにしてもよい。また、例えば、運転者が運転席を離れ、表示部を視認できないような状況を検出する特定の車両状態として、運転席にかかる重量が所定値以上か否かを判断し、重量が所定値より小さい場合に音声言語を切り換えるようにしてもよい。
【0075】
また、上記各実施形態においては、コンテンツデータをDVDから読み込んだ例を説明したが、ハードディスク30にコンテンツデータを保存しておき、ハードディスク30から読み込むようにしてもよい。つまり、本発明の記憶媒体は、映像データ及び異なる言語からなる複数の音声データを有するコンテンツデータが記憶されたものであれば、ハードディスク、また、あらゆる種類のマルチメディア光ディスクでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】ナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】制御装置50にて実行される表示制御処理を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態の言語切換処理を示すフローチャートである。
【図4】第2実施形態の言語切換処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
1…ナビゲーション装置、4…車速センサ、6…加速度センサ、8…角速度センサ、10…GPS受信機、12…位置検出器、18…操作スイッチ群、20…外部情報入出力部、22…表示部、24…音声出力部、26…パーキングブレーキ検出部、28…CD/DVDドライブ、30…ハードディスク、40…再生処理部、42…制御部、44…バッファ、46…デコーダ、48…EEPROM、50…制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、各種画像を表示する表示手段と、
音声を出力する音声出力手段と、
映像データ及び異なる言語からなる複数の音声データを有するコンテンツデータが記憶された記憶媒体から該コンテンツデータを読み出し、前記映像データに基づいて画像を前記表示手段に表示させると共に、前記複数の音声データのうちの1つを所定の条件にて選択し、該音声データに基づいて、音声を前記音声出力手段を介して出力する再生手段と、
を備えた車両用再生装置であって、
車両の状態を示す状態情報を検出する車両状態検出手段と、
前記再生手段が前記コンテンツデータを再生中に、前記車両状態検出手段により検出された状態情報に基づいて、車両が予め設定された特定の車両状態であるか否かを判断し、車両が前記特定の車両状態であると判断すると、前記音声出力手段を介して出力される音声の言語を、予め設定された言語に切り換える言語切換手段と、
を備えたことを特徴とする車両用再生装置。
【請求項2】
前記言語切換手段は、
前記車両状態検出手段により検出された状態情報に基づいて、車両が走行中であるか否かを判断し、車両が走行中であると判断すると、音声の言語を切り換えることを特徴とする請求項1に記載の車両用再生装置。
【請求項3】
前記コンテンツデータは、異なる言語からなる複数の字幕データを有しており、
前記再生手段は、前記複数の字幕データのうちの1つに基づいて、字幕を画像と共に前記表示手段に表示し、
前記言語切換手段は、前記再生手段が前記表示手段に表示している字幕の言語を、予め設定された言語として、音声の言語を切り換えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用再生装置。
【請求項4】
前記言語切換手段は、車両が前記特定の車両状態であると判断すると、字幕を表示または消去するタイミングに合わせて、音声の言語を切り換えることを特徴とする請求項3に記載の車両用再生装置。
【請求項5】
前記言語切換手段は、音声の言語を切り換えると共に、切換前の言語を記憶手段に登録し、
前記言語切換手段により音声の言語を切換中に、車両が前記特定の車両状態でないと判断すると、前記記憶手段に登録された切換前の言語に、音声の言語を復帰させる言語復帰手段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の車両用再生装置。
【請求項6】
前記言語切換手段は、音声の言語を切り換えると共に、前記表示手段への前記映像データに基づく画像の表示を停止することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の車両用再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−334982(P2007−334982A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164971(P2006−164971)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】