説明

車載機の通信制御装置

【課題】個々の車載機が個別に必要とするコンテンツだけを的確に情報伝達できるようにする。
【解決手段】713はDSRC基地局情報データベースで、通信サービス局700に接続された複数のDSRC基地局の設置条件あるいはDSRC基地局の性能等からなる固有情報とともに、各DSRC基地局へのコンテンツ配信条件と蓄積条件からなるDSRC基地局情報が蓄積されている。714は地域情報データベースで、各DSRC基地局が設置された地域固有の地域情報が蓄積されている。715はサービスレベルデータベースで、予め登録された車載機ごとにサービスレベルの詳細情報が蓄積されている。これら713、714及び715は、夫々サービスレベル制御装置712を介して前記配信優先制御装置710に接続され、該配信優先制御装置710からDSRC基地局情報データベース713、地域情報データベース714及びサービスレベルデータベース715に蓄積された各データを参照できるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の移動体に搭載された車載機とDSRCを介して接続された通信サービス局との間の通信を制御する車載機の通信制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体へのコンテンツ制御装置としては「狭域情報提供転送方法」(特許文献1)に、情報提供システムから端末装置へDSRCを活用して情報を配信する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−315070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の技術によれば、端末装置への情報配信は、ひとつの情報提供システムから複数の端末装置へ同一の情報を均一に配信する。従って、端末装置の位置や時刻等、端末装置の置かれた状況、あるいは自動車の搭乗者や端末装置を持った人に対して、最適な情報を配信することができないという問題点がある。また、端末装置の側から情報提供システムに対して必要な情報だけをリクエストすることができるものの、配信された数多くの情報のなかから必要とする情報だけを選択するには多大な時間と努力を必要とするという問題点がある。
また、配信される多くの情報を個々に識別できる仕組みがないので、多くの情報群の中から最適な情報を容易に選択できないという問題点がある。特に、自動車の走行中は、運転者が安全運転をしなければならないため、必要な情報を受け取るにも操作上の大きな制約があり、この制約を考慮した通信制御装置が求められている。
【0004】
本発明は係る課題に鑑みてなされたもので、個々の車載機のユーザが個別に必要とするコンテンツだけを的確に情報伝達できるようにすることを目的とする。特に自動車等の移動体において、安全運転を最大限考慮した車載機の通信制御装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の車載機の通信制御装置は、
複数のデジタルコンテンツ供給手段と、
該デジタルコンテンツ供給手段から通信ネットワークを介して供給される多数のデジタルコンテンツを収集し蓄積する蓄積手段を有し、デジタルコンテンツを編成して配信する通信サービス局と、
該通信サービス局と通信ネットワークを介して接続され、該通信サービス局で編成して配信されるデジタルコンテンツを蓄積する蓄積手段を有し、複数設置されたDSRC基地局と、
該DSRC基地局と通信するDSRC手段を有し、受信したデジタルコンテンツを蓄積する蓄積手段と該デジタルコンテンツを再生表示する再生表示手段と入力手段とを有する車載機とからなり、
通信サービス局には、自動車の車体情報と車載機の機器情報と搭乗者の個人情報とからなる初期設定情報と、入力手段により搭乗者が任意に選択したユーザ設定情報と、搭乗者が要求する通信サービス内容に応じて通信サービス局で選択した局設定情報とからなる通信サービスレベルを多段階に設定し、
該通信サービスレベルに基づいて通信サービスの範囲を多段階に変化させ通信サービス内容を最適化することを特徴とする。
【0006】
このように構成された車載機の通信制御装置によれば、車載機を使用する初期段階において設定した初期設定情報と搭乗者が任意に設定するユーザ設定情報とさらに搭乗者が要求する通信サービス内容に応じた局設定情報によって、きめ細かく多段階にサービスレベルが設定され、このサービスレベルによって通信サービス内容が最適化されるので、搭乗者が求めるコンテンツだけを的確に伝達することが出来る。
【0007】
ここでDSRCとは、Dedicated Short Range Communicationの略であり、「専用狭域通信」と訳される。ITSの世界では、この通信方式を用いて路上機(路上に設置された無線装置)と車載器(車両に搭載された無線装置)の間で無線通信を行う。現在、既にETC(ノンストップ自動料金支払いシステム)が実用化されており、今後さらに様々なサービスが実現することが予想される。特に、ITSで活用されるDSRCでは他の多くの通信システムと異なり、自動車用道路とそこを通行する移動体との間に最適な通信システムとして実用化されるため、アンテナは移動体が通常に通行する地域ごとに別々に多数設置されるという特性があり、また指向性は極めて狭く設定されているという特性があり、移動体が移動中に最も必要とするコンテンツだけを、アンテナ毎に最適化し、また個々の移動体ごとに最適化して車載機へ配信する必要がある。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の車載機の通信制御装置において、通信サービスレベルは、匿名設定または時限設定のいずれかまたは両方の設定を可能とすることを特徴とする。
【0009】
このように構成された車載機の通信制御装置によれば、車載機を使用する初期段階において設定した初期設定情報と搭乗者が任意に設定するユーザ設定情報とさらに搭乗者が要求する通信サービス内容に応じた局設定情報によって、きめ細かく多段階にサービスレベルが設定され、これら多段階に設定されたサービスレベルは、ユーザの意図に応じて匿名設定を選択できるので、個人情報保護の観点からユーザが安心してこれらサービスを享受することができる。また、ユーザあるいは通信サービス局がユーザごとに設定されたサービスレベルの有効期間を設定し、有効期間の経過によってこのサービスレベルの設定が解除される、いわゆる時限設定ができるので、例えばドライブ旅行の期間中だけを選択してより多くのサービスを受けることができる。さらに、上記匿名設定と時限設定を組み合わせて、ドライブ旅行の期間中だけ個人情報を開示して、個人情報に基づくきめ細かなサービスレベルを享受できる。
【0010】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載の車載機の通信制御装置において、ユーザ設定情報は、ユーザが利用する会員制サービスのユーザ属性情報、目的地の登録と走行履歴登録の許可、受信するコンテンツのジャンル選択、受信したコンテンツの蓄積履歴及び再生履歴登録の許可、及びポイントサービスの選択からなることを特徴とする。
【0011】
このように構成された車載機の通信制御装置によれば、通信サービス局で編成された多数のデジタルコンテンツは、車載機ごとに設定されたユーザ設定情報に応じて個別に制御することができる。ユーザが利用する会員制サービスのユーザ属性情報の登録によって、ユーザがしばしば活用する会員制サービスに応じたコンテンツだけを、目的地の登録によって目的地までの行程に応じたコンテンツだけを、また走行履歴の登録によって走行行程を推定して関連コンテンツだけを、ジャンルの設定によってそのジャンルだけを、受信したコンテンツの蓄積履歴及び再生履歴の登録によって、ユーザの趣味、嗜好に応じたコンテンツだけを、さらにポイントサービスの選択によって各サービス形態に応じたコンテンツだけを選択して供給することができる。
【0012】
請求項4に記載の本発明は、請求項1から3のいずれかに記載の車載機の通信制御装置において、車載機の再生表示手段には、設定された通信サービスレベルに基づいて編集されたサービス内容の目次情報と簡易操作釦を一覧表示させ、搭乗者は該目次情報または簡易操作釦を選択操作することによりサービス提供を受けることを特徴とする。
【0013】
このように構成された車載機の通信制御装置によれば、サービスレベルに応じて編成された通信サービス内容が一覧表示されるとともに、運転中でもワンタッチ操作可能な簡易操作釦が表示されるので、搭乗者は簡単に必要なコンテンツを選択することができ、自動車の安全運転を最大限考慮した通信サービスが提供できる。
【発明の効果】
【0014】
上述のように、本発明の車載機の通信制御装置は、車載機を使用する初期段階において設定した初期設定情報と搭乗者が任意に設定するユーザ設定情報とさらに搭乗者が要求する通信サービス内容に応じた局設定情報によって、きめ細かく他段階にサービスレベルが設定され、このサービスレベルによって通信サービス内容が最適化されるので、搭乗者が求めるコンテンツだけを的確に伝達することができ、サービスレベルは状況変化に応じて段階的に変更できるので、最適化がさらに高まる効果がある。
【0015】
また、多段階に設定されたサービスレベルは、ユーザの意図に応じて匿名設定を選択できるので、個人情報保護の観点からユーザが安心してこれらサービスを享受することができるとともに、ユーザあるいは通信サービス局がユーザごとに設定されたサービスレベルの有効期間を設定し、有効期間の経過によってこのサービスレベルの設定が解除される、いわゆる時限設定ができるので、例えばドライブ旅行の期間中だけを選択してより多くのサービスを受けることができる。さらに、上記匿名設定と時限設定を組み合わせて、ドライブ旅行の期間中だけ個人情報を開示して、個人情報に基づくきめ細かなサービスレベルを享受できる。
また、通信サービス局で編成された多数のデジタルコンテンツは、車載機ごとに設定されたユーザ設定情報に応じて個別に制御することができる。目的地の登録によって目的地までの行程に応じたコンテンツだけを、また走行履歴の登録によって走行行程を推定して関連コンテンツだけを、ジャンルの設定によってそのジャンルだけを、受信したコンテンツの蓄積履歴及び再生履歴の登録によって、ユーザの趣味、嗜好に応じたコンテンツだけを、さらにポイントサービスやサービス会員登録によって各サービス形態に応じたコンテンツだけを選択して供給することができる。
さらに、サービスレベルに応じて編成された通信サービス内容が一覧表示されるので、搭乗者は簡単に必要なコンテンツを選択することができ、自動車の安全運転を最大限考慮した通信サービスが提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を示す実施例について図1〜図7に基づいて説明する。まず、図1は本発明を適用した車載機の通信制御装置の概略を示す概念図である。車載機の通信制御装置は、複数のコンテンツサーバ100、通信サービス局300、複数のDSRC基地局400および複数の自動車の車載機500から構成される。コンテンツサーバ100は、専用イントラネットやゲートウェイを介して公衆インターネットに接続される通信ネットワーク201を介して通信サービス局300へ接続され、コンテンツの種類や運営会社等により、101〜104と複数存在し、通信サービス局300へ夫々異なったデジタルコンテンツを供給する。通信サービス局300、DSRC基地局400および車載機500は、いずれも内部にCPU、RAM、ROMおよび入出力装置からなる周知のコンピュータシステムを構成している。
【0017】
通信サービス局301は、前記コンテンツサーバ100から供給された多数のデジタルコンテンツを収集して蓄積するデータベース302を有している。DSRC基地局400は、401、404、407のように複数存在し道路の路側やパーキングエリア等、道路に沿って多数設置され、夫々DSRC通信用アンテナ403、406、409と前記通信サービス局300から配信されたデジタルコンテンツを蓄積するデータベース402、405、408を有し、インターネット等の通信ネットワーク202を介して通信サービス局300へ接続されている。
【0018】
車載機500は、501や505のように複数存在し、GPS機能を有するカーナビゲーションシステムを搭載した自動車に搭載され、夫々の目的に従って道路上を移動する。また、前記DSRC基地局400とDSRC通信するための端末502、506、通信用アンテナ504、508と、DSRC通信によって受信したデジタルコンテンツを蓄積するデータベース503、507を夫々有している。車載機501が道路に沿って移動し、DSRC基地局401の通信可能区域に入ると通信用アンテナ403と504との間で自動的にDSRC通信が開始され、通信可能区域から出ると通信が終了するように構成されている。
【0019】
図2に車載機501の概略を示す概念図を示す。車載機501の操作面には液晶表示素子等で構成されるディスプレイ510と、操作ボタン511が設置され、ディスプレイ510は表示画面の表示、図2ではコンテンツの目次513や操作アイコン514、515、516等を手で軽くタッチすることで選択入力できるようにタッチパネル等の入力手段となっている。また、車載機501は自動車の現在位置を検出するGPS機能を有し、GPS用アンテナ512が前記DSRC通信用アンテナ504とは別に設けられ、カーナビゲーションシステムとなっている。ディスプレイ510は、該カーナビゲーションシステムの表示および入力操作用となっているとともに、前記DSRC通信を介して受信し、データベース503に蓄積した多数のデジタルコンテンツ群を再生表示する。また、ディスプレイ510のタッチパネル入力と操作ボタン511の操作による入力情報は、DSRC通信を介してDSRC基地局400および通信サービス局300へ車載機入力情報として伝達される。
【0020】
図3に本発明を適用した車載機の通信制御装置の構成図を示す。700は通信サービス局、800はDSRC基地局の一つを、900は車載機の一つを示し、図中の矢印は夫々信号やデータの遷移を示している。701は管理情報の入出力装置で、外部の複数のデータベース1000と接続され、編成配信条件を管理するさまざまなデータを通信サービス局700内へ取り込み、編成システム702へ入力する。703は編成システム702で編成されたコンテンツ編成データを一時記憶する編成データユニット、704は外部の複数のコンテンツサーバ1001からさまざまなコンテンツデータを取り込むコンテンツ入出力装置で、コンテンツデータ検索システム708を介してデジタルコンテンツデータベース707へコンテンツデータを蓄積する。706はデータフォーマット変換装置で、編成システム702で編成されたコンテンツ編成データをデータベースファーマットに変換して、コンテンツデータベース707へ蓄積する。709はアーカイブデータベースで、デジタルコンテンツデータベース707のコンテンツデータを蓄積し、コンテンツデータ検索システム708で容易に検索できるように蓄積される。705は配信要求制御装置で、編成システム702で作られたコンテンツ編成データから配信要求事項を整理統合し、配信優先制御装置710へ配信要求信号を出力する。711は優先スケジューラで、配信スケジュールを制御する。
【0021】
713はDSRC基地局情報データベースで、この配信システムに接続された複数のDSRC基地局の設置条件あるいはDSRC基地局の性能等からなる固有情報とともに、各DSRC基地局へのコンテンツ配信条件と蓄積条件からなるDSRC基地局情報が蓄積されている。714は地域情報データベースで、各DSRC基地局が設置された地域固有の地域情報が蓄積されている。715はサービスレベルデータベースで、予め登録された車載機ごとに後述するサービスレベルの詳細情報が蓄積されている。これらDSRC基地局情報データベース713、地域情報データベース714及びサービスレベルデータベース715は、夫々サービスレベル制御装置712を介して前記配信優先制御装置710に接続され、該配信優先制御装置710からDSRC基地局情報データベース713、地域情報データベース714及びサービスレベルデータベース715に蓄積された各データを参照できるように構成されている。
【0022】
716は制御信号生成付加装置で、前記DSRC基地局情報データベース713、地域情報データベース714及びサービスレベルデータベース715に蓄積されたDSRC基地局情報、地域情報及び車載機ごとのサービスレベル情報に基づく配信優先制御装置710の配信優先順位情報から配信制御信号を生成するとともに、前記デジタルコンテンツデータベース707から送られるデジタルコンテンツへ生成した制御信号を付与できるように構成されている。
【0023】
制御信号生成付加装置716によって制御信号が付与されたデジタルコンテンツデータは、配信用コンテンツメディア変換装置717へ送られ、配信に最適な信号へとメディア変換され、配信サーバ718によって、前記DSRC基地局の配信条件信号に基づいてDSRC基地局800の受配信制御装置801へと配信される。DSRC基地局の配信条件信号に基づき、まだ配信すべき時期がこないコンテンツは、一旦配信用データベース719に蓄積される。720は配信サーバ718に接続されたコンテンツ著作権管理用ユニットで、各デジタルコンテンツの著作権管理を行う。DSRC基地局800の受配信制御装置801には、DSRCデバイス803とコンテンツキャッシュサーバ802とが接続され、受配信制御装置801が車載機への配信条件信号またはDSRC基地局の蓄積条件信号を読み取って、コンテンツの種別によってコンテンツデータを車載機900へ配信したり、コンテンツキャッシュサーバ802へ蓄積できるように構成されている。また、DSRCデバイス803から配信されたコンテンツは、図示しないアンテナを介して車載機900のDSRCデバイスを有する車載機本体901へ送信される。該車載機本体901は、前記車載機の蓄積条件信号または入出力条件信号を読み取って車載機本体901のキャッシュサーバ902へ蓄積したり、出力装置へ自動的に出力したり、入力装置からの入力を促すことができるように構成されている。
【0024】
車載機900で受信されたコンテンツが車載機本体901のキャッシュサーバ902に蓄積されると、DSRC通信の双方向通信機能によってDSRC基地局を介して蓄積結果情報として、また入出力された場合は入出力結果情報として、通信サービス局700のユーザログ入力装置724へ伝達され、その情報はユーザログ入力装置724に接続されたユーザログデータベース725へ蓄積される。また、蓄積結果情報と入出力結果情報は、ユーザログ管理装置722とログ統計装置によって解析処理され、サービスレベルデータベース715に蓄積されるとともに、サービスレベル管理装置723によって制御信号生成付加装置716へフィードバックできるように構成されている。
【0025】
図4は、サービスレベルデータベース715に設定されるサービスレベル設定表で、接続される複数の車載機それぞれについて、このコンテンツ配信システムが提供するサービスのレベルを個別に管理する表である。サービスレベルは、車載機一つ一つについてそれぞれ個別に設定されるもので、「サービスレベル0」から「サービスレベルn」まで多段階に設定され、「サービスレベル0」は、基本設定情報で車載機が搭載された時点で、該車載機とDSRC基地局間の通信可能な基本設定となり、車載機がDSRC基地局の通信圏内に入ったことを認証し、通信を開始するものである。「サービスレベル1」は、自動車へ車載機の使用を開始する時点に設定され、初期設定情報「1.自動車の車体情報(IDナンバー、車種、登録ナンバー等)」と「2.車載機の機器情報(機種ナンバー等)」と「3.搭乗者の個人情報(登録を許可した氏名、住所、電話番号等)」としてサービスレベル管理装置723に登録される。「サービスレベル2」は、前記初期設定情報に加え搭乗者が任意に選択できるユーザ設定情報のうち、ユーザが利用する会員制サービスのユーザ属性情報で、例えば会員制サービスを提供するガソリンスタンドの会員登録をすると、走行中にそのスタンドの位置を案内するコンテンツや割引サービスを提供期間中案内等、また会員制飲食店であれば駐車場の優先案内コンテンツ等が提供される。「サービスレベル3」は、ユーザ設定情報のうち、「1.走行履歴登録の許可」と「2.目的地登録の許可」と「3.コンテンツのジャンル」と「4.コンテンツの蓄積履歴登録の許可」と「5.コンテンツの再生履歴登録の許可」と「6.ポイントサービスの選択」として、搭乗者が任意に選択して登録される。「サービスレベル4」は、前記初期設定情報とユーザ設定情報に加え、搭乗者が要求する通信サービス内容に応じて通信サービス局で設定する局設定情報「要求設定(1)食事、(2)宿泊、(3)レジャー、(4)買い物、(5)楽曲等、搭乗者の用途、趣味など」として通信サービス局で設定される。「サービスレベル5〜n」は、「サービスレベル4」をさらに詳細に設定した局設定情報「要求詳細設定(1)何を食べたいか?(2)どこに泊まりたいか?(3)どんな遊びがしたいか?(4)何を買いたいか?(5)何を聞きたいか?等」として通信サービス局で設定される。
このようにサービスレベルは個別の車載機ごとに個別に多段階に設定され、ユーザ設定情報は使用開始時点での設定の他、使用中の任意の時点に搭乗者の都合で設定変更ができ、さらに局設定情報は使用中の任意の時点で搭乗者が要求するコンテンツ内容に応じて通信サービス局で順次変更設定される。
【0026】
このように構成された車載機の通信制御装置によれば、通信サービス局で編成された多数のデジタルコンテンツは、車載機ごとに設定されたサービスレベルに応じて個別に制御することができる。「サービスレベル1」で初期設定情報を登録した車載機は、自動車の車体情報と車載機の機器情報および搭乗者の個人情報が登録されているので、通信サービス局はその自動車の走行に不可欠な基礎情報、例えば道路情報、混雑情報、走行注意情報等純粋に走行を支援するだけのコンテンツを編成して配信することができるので、自動車の走行を順調に進めることだけに通信サービスを活用するユーザにとっては頗る便利である。
【0027】
ユーザよっては「サービスレベル1」より上位のレベルのように個人情報そのものあるいは個人の走行履歴等、それに順ずる情報を通信サービス局へ公開しないという意向がある。このようなユーザの要望に対応するために、本発明では各サービスレベルともに匿名設定が可能に構成される。入力画面から匿名設定を選択すると、「サービスレベル1」の個人情報に関わる部分の情報を設定しなくてもサービスが受けられる。また、各サービスレベルの全部あるいは一部の設定を期限付きで設定可能に構成される。入力画面から時限設定を選択するとともに有効期限と各サービスレベルの設定を行うと、有効期限内でそのサービスが受けられる。また、匿名設定と時限設定を組み合わせて設定可能で、設定された期限内だけ匿名を解除したり、特定期間だけ一部サービスを匿名設定することも可能である。
【0028】
このように構成することによって、多段階に設定されたサービスレベルは、ユーザの意図に応じて匿名設定を選択できるので、個人情報保護の観点からユーザが安心してこれらサービスを享受することができる。また、ユーザあるいは通信サービス局がユーザごとに設定されたサービスレベルの有効期間を設定し、有効期間の経過によってこのサービスレベルの設定が解除される、いわゆる時限設定ができるので、例えばドライブ旅行の期間中だけを選択してより多くのサービスを受けることができる。さらに、上記匿名設定と時限設定を組み合わせて、ドライブ旅行の期間中だけ個人情報を開示して、個人情報に基づくきめ細かなサービスレベルを享受できる。
【0029】
図5は、「サービスレベル5」を設定した車載機のディスプレイ510の表示例を示したもので、このユーザは初期設定情報とユーザ設定情報と局設定情報とを設定している。表示画面の上図にて、右半分には通常のカーナビ地図が表示され、左半分に「コンテンツナビ」としてウィザードが表示され、「食事」「駐車」「SOS」「お得」「宿泊」「給油」ボタンが表示されている。このユーザは、ユーザ設定情報で走行履歴や目的地を通信サービス局へ登録する許可を行い、また受信するコンテンツのジャンルとともにコンテンツの蓄積履歴の登録、コンテンツを再生した履歴の登録を許可しているので、通信サービス局はこのユーザの行き先と走行履歴からこの先通過するであろう地域を特定し、さらにすでに受信して蓄積し、再生したコンテンツからユーザの趣味、嗜好を特定している。ユーザが例えば食事ボタンを押すと、図5の下図に示すようにコンテンツナビ画面に、「本日のスペシャルメニュー」「究極のB級グルメ」「本日のブランチ」等の選択ボタンが表示され、このボタンの中から選択したコンテンツが配信される。選択されたボタンが「本日のスペシャルメニュー」であれば、ユーザの行き先にあるお店情報で、ユーザの趣味、嗜好に合った情報が表示され、そのお店の位置が右のカーナビ地図表示上に位置表示される。同様にウィザードのどのボタンを押しても、このユーザのサービスレベルに合わせたコンテンツがユーザの要求に対して最適化されて配信されるので、ユーザにとっては極めて使い勝手がよい。
【0030】
図6は、車載機のディスプレイ510に表示される通信サービスの目次情報の一例であり、ユーザが受けるサービスレベルに応じてサービス内容が個別に一覧表示され、ユーザはこの一覧から欲するサービスのボタンを選択して押すことにより、目的のコンテンツを受信することができる。この例では、日常時情報番組タイトルとして「.eat 食事」「.play 遊び」「.shopping 買い物」等が表示され、これらコンテンツはこのユーザの日常生活圏内でよく利用される嗜好に合わせて通信サービス局で編成される。また、ロングドライブ時情報番組タイトルとして「.play in weekend 週末ドライブプラン」「.drive faraway 沿線ドライブ情報」「.stay 宿泊情報」等が表示され、これらコンテンツは、ユーザの過去のドライブ履歴や次の目的地等によって、通信サービス局で特定したユーザ情報に合わせて編成される。
【0031】
図7は、車載機のディスプレイ510に前記目次情報を表示するとともに、簡易操作釦を表示した例である。目次情報と簡易操作釦は、ユーザごとに設定された通信サービスに応じて通信サービス局で編成され、データとして車載機側に送信されたものである。車載機のディスプレイ510の右半分には、通常のカーナビゲーションシステムの地図600が表示され、左半分には目次情報601が表示され、タッチパネル機能によって、目次情報601の夫々の項目をワンタッチで選択入力され、選択されたコンテンツ詳細が画面として表示され、また音声案内情報として音声出力されるように構成されている。ディスプレイ510の下段には、簡易操作釦602〜608が表示され、目次情報601と同様にワンタッチで選択入力できる。602は「操作プログラム」釦で、この釦を選択しておくことで、ディスプレイ510からの入力操作が記憶される。603は「詳しく見る」釦で、目次情報601の選択操作で出力される情報を元に更に詳しい情報をワンタッチ操作で受信することができる。604は「保存する」釦で、一度出力された情報を蓄積し、607は「戻る」、608は「スキップ」で、夫々の簡易操作釦は設定したサービスレベルに応じて編成される。
【0032】
この例では車でショッピングに出かける場合において、ユーザのサービスレベル3で買い物情報を要求設定し、走行履歴登録、目的地登録、蓄積履歴登録及び再生履歴登録を許可しているので、目次情報としては「Shopping」の新着情報が表示され、前回の再生履歴と今回の目的地の設定に応じて情報内容が編成されている。「Shopping」目次から「今日のアウトレット情報」を選択して走行開始し、走行中にショッピングセンターに近づいた時点で音声によるガイダンスあるいは「音声アイコン(ジングル音)」で知らせる。ユーザがこのショッピングセンターのお知らせに興味を持った場合は、「詳しく見る」603を選択操作すると、さらに詳しい情報が音声ガイダンスとして流れ、この情報に興味がない場合は「スキップ」608の選択操作によって、次のお知らせ情報に移ることとなる。
【0033】
以上のように、車載機の通信制御装置により個々の車載機のユーザが個別に必要とするコンテンツだけを的確に情報伝達できる。特に自動車において、安全運転を最大限考慮した車載機の通信制御装置を提供することができる。
【0034】
以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限り、様々な態様で実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明を適用した車載機の通信制御装置の概要説明図である。
【図2】車載機501の概略を示す概念図である。
【図3】本発明を適用した車載機の通信制御装置の構成図である。
【図4】サービスレベル設定表である。
【図5】ディスプレイの表示パターンを例示した概念図である。
【図6】通信サービス内容の目次情報表示例である。
【図7】ディスプレイに目次情報と操作ボタンの表示を例示した概念図である。
【符号の説明】
【0036】
700 通信サービス局
800 DSRC基地局
900 車載機
712 サービスレベル制御装置
713 DSRC基地局情報データベース
714 地域情報データベース
715 サービスレベルデータベース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデジタルコンテンツ供給手段と、
該デジタルコンテンツ供給手段から通信ネットワークを介して供給される多数のデジタルコンテンツを収集し蓄積する蓄積手段を有し、デジタルコンテンツを編成して配信する通信サービス局と、
該通信サービス局と通信ネットワークを介して接続され、該通信サービス局で編成して配信されるデジタルコンテンツを蓄積する蓄積手段を有し、複数設置されたDSRC基地局と、
該DSRC基地局と通信するDSRC手段を有し、受信したデジタルコンテンツを蓄積する蓄積手段と該デジタルコンテンツを再生表示する再生表示手段と入力手段とを有する車載機とからなり、
通信サービス局には、自動車の車体情報と車載機の機器情報と搭乗者の個人情報とからなる初期設定情報と、入力手段により搭乗者が任意に選択したユーザ設定情報と、搭乗者が要求する通信サービス内容に応じて通信サービス局で選択した局設定情報とからなる通信サービスレベルを多段階に設定し、
該通信サービスレベルに基づいて通信サービスの範囲を多段階に変化させ通信サービス内容を最適化することを特徴とする車載機の通信制御装置。
【請求項2】
通信サービスレベルは、匿名設定または時限設定のいずれかまたは両方の設定を可能とすることを特徴とする請求項1に記載の車載機の通信制御装置。
【請求項3】
ユーザ設定情報は、ユーザが利用する会員制サービスのユーザ属性情報、目的地の登録と走行履歴登録の許可、受信するコンテンツのジャンル選択、受信したコンテンツの蓄積履歴及び再生履歴登録の許可、及びポイントサービスの選択からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載機の通信制御装置。
【請求項4】
車載機の再生表示手段には、設定された通信サービスレベルに基づいて編集されたサービス内容の目次情報と簡易操作釦を一覧表示させ、搭乗者は該目次情報または簡易操作釦を選択操作することによりサービス提供を受けることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の車載機の通信制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−114027(P2007−114027A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−305171(P2005−305171)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(394025924)株式会社博報堂 (14)
【出願人】(505173625)株式会社ARU (4)
【出願人】(505173636)
【Fターム(参考)】