説明

車載用ナビゲーション装置

【課題】他車両や道路等を起因として運転者が走行中に受けるストレスを従来よりも低減して、快適な運転ができる車載用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】本装置は、経路探索部31と、車両案内部32とを備える。更に、自車両が走行しているときに、所定の検知対象を検知するセンサ11,12,…と、センサ11,12,…によって検出したデータに基づいて、所定の検知対象に関する対象情報を取得する情報取得部33と、情報取得部33によって取得した対象情報と、自車両が走行している道路を特定する道路情報とを関連付けて蓄積する情報蓄積部34とを有し、経路探索部31は、情報蓄積部34によって蓄積された対象情報及び道路情報に基づいて運転者が受ける圧迫感に関する指標を求め、当該圧迫感に関する指標が低い経路を優先的に提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路データを用いて目的地までの経路を探索して提示する経路探索部と、経路探索部によって提示された経路のうち選択された経路に沿って車両を案内する車両案内部とを備える車載用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、走行量が多く渋滞する等のような通行に問題がある道路を回避するため、プローブ情報等から取得した履歴情報に基づいて道路の走行頻度を取得し、当該走行頻度が所定の基準値より少なければ当該道路を回避する技術の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−275348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術を適用して通行困難な道路を回避できたとしても、自車両の周辺(即ち、前方側、右側、左側、後方側の何れか1以上の周囲)に特定の、例えば、大型車両、オートバイ等の他車両が走行すると、運転者は緊張感、圧迫感を受ける場合がある。特に、例えば、トラック、ダンプカー、バス等の大型車両の場合は、視界が遮られる割合が大きいため、周辺の状況を把握し難くなる。このような場合には、運転者が走行中にストレスを受ける可能性がある。
【0005】
そこで、本発明はこのような点に鑑みてなしたものであり、他車両や道路等を起因として運転者が走行中に受けるストレスを従来よりも低減して、快適な運転ができる車載用ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するための手段を以下に記載する。
請求項1にかかる発明の車載用ナビゲーション装置は、道路データを用いて目的地までの経路を探索して提示する経路探索部と、前記経路探索部によって提示された経路に沿って車両を案内する車両案内部とを備える車載用ナビゲーション装置において、自車両が走行しているときに、自車両周辺の他車両を検知するセンサと、前記センサによって検出したデータに基づいて、前記所定の検知対象に関する対象情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部によって取得した対象情報と、前記自車両が走行している道路を特定する道路情報を関連付けて蓄積する情報蓄積部を有し、前記経路探索部は、前記情報蓄積部によって蓄積された前記対象情報及び前記道路情報に基づいて運転者が受ける緊張感、圧迫感に関する指標を求め、当該緊張感、圧迫感に関する指標が低い経路を優先的に提示するものである。
【0007】
所定の検知対象の自車両周辺の他車両は、走行量(台数を意味し、「通行量」とも呼ぶ。)、種別(具体的には、大型車両、中型車両、小型車両、二輪車両等)、大きさ(例えば、車幅、車高、車長等)、走行速度、車間距離、ナンバープレート等のうちで1以上が該当する。
センサは、上記所定の検知対象に対応するタイプのものを用いる。一例として、他車両の走行量や大きさについては、カメラ、レーダ、マイク等のうちで1以上が該当する。他車両の走行速度については、スピードガン等の速度測定センサが該当する。他車両までの車間距離については、レーザ距離測定センサ、音波距離測定センサ等の距離測定センサのうちで1以上が該当する。また、その配置は、検出する対象によって、車体の前方側、右側、左側、後方側の何れか1以上とすることができる。
情報取得部は、上述した所定の検知対象について検出した情報を対象情報として取得できれば任意に形成してよい。対象情報は、単データのみならず、画像データや信号データ等のように多数のデータからなるデータ集合体の場合もある。
道路情報は、自車両が走行している道路を特定できる情報であれば任意である。例えば、道路データにおけるリンク等が該当する。
情報蓄積部は、対象情報と道路情報とを関連付けて蓄積(記録、記憶を含む)できれば任意に形成してよく、どのように関連付けるのかは任意である。例えば、対象情報と道路情報とを同一のリンクとして蓄積し、対象情報と道路情報とを1つのデータ構造体にして蓄積する等が該当する。
経路探索部は、探索された目的地までの各経路について対象情報及び道路情報に基づいて運転者が受ける緊張感、圧迫感に関する指標を求めることや、緊張感、圧迫感に関する指標が低い経路を優先的に提示することが行えるようになっていればよい。
運転者が受ける緊張感、圧迫感に関する指標は、運転者の主観に依存しやすいので、どの対象車両から緊張感、圧迫感を受けやすいのかを設定可能にするものである。なお、この緊張感、圧迫感をまとめた圧迫感指標は経路を提示するにあたって探索された経路を並び替える必要があるので、定量的な扱いをすることになる。
【0008】
請求項2にかかる発明の車載用ナビゲーション装置の前記経路探索部は、探索された経路中に前記情報蓄積部によって蓄積された前記道路情報によって特定される道路が含まれているか否かを判別する道路判別手段と、前記道路判別手段によって前記道路が含まれていると判別されたとき、前記道路情報に関連付けて蓄積された前記対象情報に基づいて前記運転者が受ける圧迫感に関する指標を求める指標算出手段と、前記指標算出手段によって算出された指標の低い経路が優先されるように、探索された経路を並び替えて提示する候補提示手段を有するものである。
【0009】
請求項3にかかる発明の車載用ナビゲーション装置の前記経路探索部は、更に、前記情報蓄積部によって蓄積された前記道路情報によって特定される道路を除外し、前記目的地までの所要時間及び所要距離のうち一方または双方にかかる増加量が許容範囲内となる迂回路を探索して提示するものである。
【0010】
請求項4にかかる発明の車載用ナビゲーション装置の前記経路探索部は、前記所定の検知対象を他車両としたとき、前記他車両の大きさ、走行量、遭遇回数のうち1以上が増大するにつれて前記運転者が受ける緊張感、圧迫感に関する圧迫感指標を高く設定するものである。
【0011】
請求項5にかかる発明の車載用ナビゲーション装置の前記情報蓄積部は、更に、前記自車両が走行している日付、曜日、時刻のうちで1以上の日時等を示す日時情報を前記対象情報及び道路情報に関連付けて蓄積し、前記経路探索部は、走行する日時等が前記情報蓄積部によって蓄積された日時情報で特定される日時等から所定範囲内であるときに限り、前記運転者が受ける迫感に関する指標を求めるものである。
ここで、上記日時等は、日付、曜日、時刻のうちで1以上が該当する。日時情報で特定される日時等から所定範囲内は、例えば、ゴールデンウイーク、盆・正月週間、時間帯等が該当する。
【0012】
請求項6にかかる発明の車載用ナビゲーション装置の前記センサは、前記自車両の周辺を走行する他車両を検出し、前記情報取得部は、前記他車両の走行量、前記他車両の種別、前記他車両の大きさ、前記他車両の走行速度、前記他車両までの車間距離、前記他車両によって遮られる視界の割合のうち1以上の情報を対象情報として取得するものである。
【0013】
請求項7にかかる発明の車載用ナビゲーション装置の前記運転者が受ける圧迫感に関する指標は、経路探索に利用するためのコストを示す情報であって、前記運転者が受ける圧迫感が大きくなるにつれて道路ごとに設定されるリンクのコストが高くなるように設定し、前記経路探索部は、探索された経路のうち前記リンクのコストが低い経路を優先的に提示するものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、車載用ナビゲーション装置の経路探索部は、運転者が受ける緊張感、圧迫感に関する圧迫感指標(以下では、単に「圧迫感指標」と略称する場合がある。)が低い経路を優先的に提示するので、運転者は圧迫感指標が低い経路を選択しやすくなる。また、車両案内部が選択された経路に沿って車両を案内するので、運転者は走行中に受けるストレスが従来よりも低減し、快適な運転ができるようになる。
【0015】
請求項2の発明によれば、指標算出手段は、情報蓄積部によって蓄積された道路情報によって特定される道路が探索された経路に含まれていると、対象情報に基づいて圧迫感指標を求める。また、候補提示手段は、指標算出手段によって算出された指標の低い経路が優先されるように、探索された経路を並び替えて提示する。請求項1に記載した効果に加えて、圧迫感指標を確実に算出することができ、運転者がストレスを受け難い経路を優先して提示できる。
【0016】
請求項3の発明によれば、経路探索部は、目的地までの所要時間及び所要距離のうち一方または双方にかかる増加量が許容範囲内となる迂回路を探索して提示する。請求項1または請求項2に記載した効果に加えて、迂回路も併せて提示されるので、運転者は快適に運転できる希望する経路選択ができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、経路探索部は、所定の検知対象を他車両としたとき、他車両の大きさ、走行量、遭遇回数のうち1以上が増大するにつれて圧迫感指標の数値を高く設定する。請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、他車両の大きさ、走行量、遭遇回数が増大するほど、運転者にストレスを与えやすいので、大きな他車両の少ない経路を提示できるようになる。
【0018】
請求項5の発明によれば、経路探索部は、走行する日付、曜日、時刻のうちで1以上の日時等が情報蓄積部によって蓄積された日時情報で特定される日時等から所定範囲内であるときに限って、圧迫感指標を算出する。曜日や時間帯等によって通行する車両の種別が異なる点を考慮すると、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、曜日や時間帯等に限って圧迫感指標を算出するので、リアルタイムに適切な経路を提示することができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、対象情報は、他車両の走行量、他車両の種別、他車両の大きさ、他車両の走行速度、他車両までの車間距離、他車両によって遮られる視界の割合のうち1以上の情報とする。請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、自車両の周辺を走行する他車両を検出して得られる情報に基づいて圧迫感指標を算出するので、運転者が受けるストレスの度合いを的確に定量的表現、即ち、数値化することができる。
【0020】
請求項7の発明によれば、圧迫感指標は、運転者が受ける圧迫感(度合い)が大きくなるにつれて、道路ごとに設定されるリンクのコストが高くなるように設定する。請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、経路探索部は探索された経路のうちリンクのコストが低い経路を優先的に提示するので、運転者は圧迫感指標が低い経路を選択しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は本発明の実施例1の車載用ナビゲーション装置の構成例を模式的に示すブロック図である。
【図2】図2は本発明の実施例1の車載用ナビゲーション装置における地図データベースの構造例を示す概念図である。
【図3】図3は本発明の実施例1の車載用ナビゲーション装置における地図データベースの記録例を示す図である。
【図4】図4は本発明の実施例における周辺車両学習処理の手続き例を示すフローチャートである。
【図5】図5は本発明の実施例1における車両登録処理の手続き例を示すフローチャートである。
【図6】図6は本発明の実施例1における経路探索案内処理の手続き例を示すフローチャートである。
【図7】図7は本発明の実施例1における候補選定処理の手続き例を示すフローチャートである。
【図8】図8は本発明の実施例1における指標算出処理の手続き例を示すフローチャートである。
【図9】図9は本発明の実施例1における探索された経路を提示する画面の一例を示す図である。
【図10】図10は本発明の実施例2における前後車両学習処理の手続き例を示すフローチャートである。
【図11】図11は本発明の実施例2における車両登録処理の手続き例を示すフローチャートである。
【図12】図12は本発明の実施例における道路学習処理の手続き例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の最良の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態に共通し、図中、同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここでは重複する説明を省略する。
【0023】
〔実施の形態1〕
実施の形態1は、自車両の周辺を走行する他車両をカメラで撮像し、得られた画像データに基づいて他車両の対象情報(即ち、種別等)を取得して蓄積した後、蓄積された対象情報に基づいて運転者が受ける緊張感、圧迫感等の圧迫感に関する指標を求め、当該圧迫感に関する指標が低い経路を優先的に提示する例である。
【0024】
この実施の形態1は、図1〜図9を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施例の車載用ナビゲーション装置の構成例を模式的に示すブロック図で、図2は本発明の実施例の車載用ナビゲーション装置における地図データベースの構造例を示す概念図、図3は本発明の実施例の車載用ナビゲーション装置における地図データベースの記録例を示す図である。また、図4は本発明の実施例における周辺車両学習処理の手続き例を示すフローチャート、図5は本発明の実施例における車両登録処理の手続き例を示すフローチャート、図6は本発明の実施例における経路探索案内処理の手続き例を示すフローチャート、図7は本発明の実施例における候補選定処理の手続き例を示すフローチャート、図8は本発明の実施例における指標算出処理の手続き例を示すフローチャート、図9は本発明の実施例における探索された経路を提示する画面の一例を示す図である。
【0025】
まず、自動車等の車両に搭載されるナビゲーション装置、即ち、車載用ナビゲーション装置の構成例について図1を参照しながら説明する。
【0026】
図1に示す本実施例のアプリケーションとしての車載用ナビゲーション装置に必要な各種センサ(図示しないセンサも含む)からなるセンサ群10、半導体メモリ、ハードディスク等のうちの1以上からなる記録媒体20、地図データベース21を用いてGPS衛星からの電波により位置を測定する衛星航法に加えて、GPS衛星からの電波が受信困難な高架下道路、トンネルの中等においても自車位置を検出できる自立航法を採用したナビゲーション制御部30、操作者が走行開始時の位置を修正したり、出発地や目的地等を入力したりする操作部40、外部装置(例えば、コンピュータネットワーク、速度測定センサ等)との通信を行う通信部50、経路探索を行った結果や、経路案内等を行う音声や表示で出力する出力部60等を有する。
【0027】
センサ群10は、本発明を実現するにあたって必要となるセンサを有し、例えば、カメラ11、レーダ12、ジャイロスコープ13、速度測定センサ14、距離測定センサ15、マイク16等のうち1以上が該当する。更には、図示しないが、車載用ナビゲーション装置として、例えば、衛星航法に使用するGPS(Global Positioning System)センサ、自立航法に使用する地磁気センサ、ステアリングセンサ、ビーコンセンサ、高度センサ等のうちで、ナビゲーション動作を行うために必要なセンサが含まれる。
【0028】
カメラ11は、例えば、自車両の周辺を走行する他車両や、走行する道路等の対象物を撮像できるもので、例えば、CCDカメラやCMOSカメラ等を用いる。
レーダ12は、水平走査や垂直走査を行って対象物の大きさや形状等を測定できればよく、一般的には、一次レーダを用いるが、ドップラー・レーダを用いた場合には対象物の速度を測定できる。
【0029】
ジャイロスコープ13(「ジャイロセンサ」とも呼ぶ。)は、角速度を検出できれば、回転型・振動型・ガス型・光学式を問わず使用できる。
速度測定センサ14は、対象物の走行速度を測定できれば使用できる。例えば、スピードガン等が該当する。
距離測定センサ15は、対象物までの距離、例えば、車間距離を測定できれば任意である。例えば、レーザセンサや赤外線センサ等を用いることができる。
マイク16は、対象物が発する音を電気信号に変換できればよい。
【0030】
記録媒体20は、記録可能なメモリで、少なくとも後述する地図データベース21やソフトウェア22等を記録可能な媒体である。例えば、半導体メモリ、磁気テープ、磁気ディスク、磁気ドラム、CD−ROM、MD、DVD−ROM、光ディスク、MO、ICカード、光カード、メモリカード等のうちの1以上が該当する。地図データベース21はデータベースの一例である。
【0031】
ソフトウェア22には、少なくともナビゲーション動作を実現するプログラムや、後述する手続き(具体的には、図4の周辺車両学習処理、図5の車両登録処理、図6の経路探索案内処理、図7の候補選定処理、図8の指標算出処理等)をそれぞれ実現するプログラム等を含む。
【0032】
ナビゲーション制御部30は、地図データベース21を用いてナビゲーション動作を実現可能に構成されている。具体的には、経路探索部31、車両案内部32、情報取得部33、情報蓄積部34等を有する。図示しないが、地図データベース21に対してアクセスを行うデータアクセス手段や、衛星航法及び/または自立航法を採用してナビゲーション動作を実現する動作制御手段等も別個に有する。実際には二点鎖線で示すように、CPU、ROM、RAM、コントローラ等を備え、CPUがソフトウェア22を実行することで各部や各手段を個別に実現する。
【0033】
経路探索部31は、道路判別手段31a、指標算出手段31b、候補提示手段31c等を有し、記録媒体20にアクセスして地図データベース21に蓄積された道路データを参照して、設定された目的地までの経路を探索する。
道路判別手段31aは、探索された経路中に情報蓄積部34によって蓄積された道路情報によって特定される道路が含まれているか否かを判別する。指標算出手段31bは、道路判別手段によって道路が含まれていると判別されたとき、道路情報に関連付けて蓄積された対象情報に基づいて圧迫感指標を求める。候補提示手段31cは、指標算出手段31bによって算出された指標の低い経路が優先されるように、探索された経路を並び替えて提示する。
【0034】
車両案内部32は、上述した経路探索部31によって探索された経路の中から選択された経路に沿って車両を案内する。案内は出力部60に所要のデータを出力することにより、画面表示を行い、また、必要に応じて音(特に、音声)で伝える。
【0035】
情報取得部33は、センサ群10に含まれるセンサによって検出したデータに基づいて、自車両周辺の他車両に関する対象情報を取得する。所定の検知対象である自車両周辺の他車両は、走行量、大きさ(例えば、車幅、車高、車長等)、走行速度、車間距離、ナンバープレート等のうちで1以上が該当する。この対象情報は、単データのみならず、画像や信号等のように多数のデータからなるデータ集合体の場合もある。
【0036】
情報蓄積部34は、情報取得部33によって取得した対象情報と、自車両が走行している道路を特定する道路情報とを関連付けて蓄積する。蓄積する媒体は、例えば、記録媒体20の地図データベース21等でもよく、他の媒体やデータベースでもよい。対象情報と道路情報とをどのように関連付けるのかは任意に設定することができる。例えば、対象情報と道路情報とを同一のリンクとして蓄積し、対象情報と道路情報とを1つのデータ構造体にして蓄積する等の対応が該当する。
【0037】
操作部40は、例えば、提示された目的地までの経路の候補の中から所望の経路を選択したり、走行開始時の位置を修正したり、目的地等の入力や修正を行う部位で、例えば、車載用ナビゲーション装置本体に設けられた操作キー、押しボタン、ジョグダイヤル、十字キー、タッチパネル等である。なお、リモートコントローラや、マイク等によって構成される音声識別装置等であってもよい。
【0038】
通信部50は、FM送信装置、電話回線、インターネット、携帯電話網等との間で各種のデータの送受信を行う。例えば、所定のセンサで受信した渋滞等の道路情報、交通事故情報、GPSセンサの検出誤差を検出するD−GPS情報等の各種のデータを受信する。また、本発明の機能を実現するためのプログラムや、車載用ナビゲーション装置本体を作動させるためプログラムやデータ等について、例えば、インターネットサーバやナビゲーション用サーバ等の情報センタからインターネットのプロバイダ端末や、電話回線・通信回線等を介して接続された通信局等の複数の基地局に送受信する。
【0039】
出力部60は、目的地までの経路の候補を提示し、候補の中から選択された経路に沿って車両を案内する等を行う。例えば、具体的にはLCD、EL、プラズマ、CRT等の表示器61、スピーカ62、図示しないバイブレータ等のうちの1以上が該当する。なお、音声合成装置を備えた場合には、音声合成装置によって合成された音声を出力可能な音声出力装置であってもよい。
【0040】
ここで、記録媒体20に記録される地図データベース21の構造例について図2を参照しながら説明する。当該図2では、説明を簡単にするために、1つの道路(即ち、連続する同一の路線)にかかる道路データの構造例を示す。実際には、全国または地方に敷設された多数の道路にかかる道路データが地図データベース21に蓄積されている。
【0041】
図2に示す地図データベース21において、1つの道路データにかかる複数のリンクL1,L2,L3,・・・や、学習対象情報K等を有する。各リンクは、種別情報J1、位置情報J2、対象情報J3、日時情報J4、コスト情報J5、沿線情報J6、・・・等を有する。ただし、具体的には、対象情報J3、日時情報J4、コスト情報J5等の学習情報については、学習を行うことによって付加される情報であるので(後述する図4及び図5を参照)、学習前のリンクには前記学習情報を含んでいない。
【0042】
なお、図2に示す各データは地図データベース21に全て記録する例を示すが、1以上のデータについて別個のデータ集合体(データベースを含む)に記録してもよい。
また、図2ではリンクL2について示しているが、実際には個々のリンクごとについて、種別情報J1、位置情報J2、対象情報J3、日時情報J4、コスト情報J5、沿線情報J6、・・・等を有する。学習対象情報Kは、他車両に関する情報を学習するにあたって、学習対象となる他車両の種別や大きさ等の情報である。
【0043】
更に、図2に二点鎖線で図示するように、自車両の周辺を走行する他車両の走行量に関する走行量情報、他車両のうちで特定車両との遭遇回数に関する遭遇情報、他車両によって遮られる視界の割合に関する割合情報等のうち1以上を必要に応じて記録してもよい。
【0044】
種別情報J1は、道路種別や道路属性等のように、道路を特定する情報である。国道、県道、主要地方道、一般道、高速道路、自動車専用道路等が該当する。道路属性は、本線、支線(バイパス)、橋梁、踏切、高速道路出入口(ランプウェイ)、料金所(インターチェンジ)、上り坂、下り坂等が該当する。
位置情報J2は、リンクの開始点(或いは終了点)の位置を示す情報である。例えば、緯度及び経度、道路(リンク)の起点からの距離若しくは終点までの距離等のうちで1以上が該当する。
【0045】
対象情報J3は、他車両を対象物とする場合については、走行量、大きさ(例えば、車幅、車高、車長等)、走行速度、車間距離等のうちで1以上が該当する。また、道路を対象物とする場合については、道路(例えば、峠道のように曲がりくねった道)の蛇行量、砂利道や凹凸の有る道等を走行中に生じる振動量、砂が多い路面や雨に濡れた鉄板上等を走行中に生じる滑り量等のうちで1以上が該当する。
日時情報J4は、日付、曜日、時刻等のうちで1以上が該当し、主にセンサによる検知を行った日時に関する情報である。
コスト情報J5は、当該道路にかかるコストを数値化した情報であって、本発明に関連する「圧迫感指標(即ち、運転者が受ける緊張感、圧迫感等の圧迫感に関する指標)」を定量化、即ち、数値化した情報を含めてもよい。
沿線情報J6は、リンクにかかる道路の沿線に関する情報である。例えば、駐車場、道路沿線の地形(色分け情報等を含む)、建築物(遊戯施設、建物名や店舗名等を含む)、行楽地や景勝地等のうちで1以上が該当する。
【0046】
上述した種別情報J1、位置情報J2、対象情報J3、日時情報J4、コスト情報J5、沿線情報J6、・・・にかかる地図データベース21の記録例について、図3を参照しながら説明する。なお、図3の記録例では、各項目に1つのデータを記録しているが、1つの項目で2以上のデータを記録してもよく、項目ごとにデータ数を異ならせてもよい。
【0047】
図3において、図2の種別情報J1に対応する種別情報J11には、国道1号線を意味する「国道1号」が記録されている。図2の位置情報J2に対応する位置情報J12には、緯度を示す「35.12N」と、経度を示す「136.34E」とが記録されている。図2の対象情報J3に対応する対象情報J13には、他車両の種別を示す「大型車両」と、他車両の大きさを示す車幅「2400W」及び車高「2300H」とが記録されている。図2の日時情報J4に対応する日時情報J14には、センサによる検知を行った時刻「18:00」が記録されている。図2のコスト情報J5に対応するコスト情報J15には、コストを示す数値として「10」が記録されている。図2の沿線情報J6に対応する沿線情報J16には、娯楽施設としての「遊園地」が記録されている。
【0048】
上述した記録媒体20の地図データベース21に対してアクセスし、目的地までの経路に沿って自車両を案内する際に、当該自車両の周辺を走行する他車両を撮像し、撮像した画像データに基づいて当該他車両に関する情報を取得して学習を行う周辺車両学習処理について、図4を参照しながら説明する。
なお、図4の周辺車両学習処理は、処理途中で呼び出される図5の車両登録処理を含めて、自車両が目的地に到着するまでの間に繰り返し実行される。
【0049】
図4において、まず、カメラ11を用いて自車両の周辺を撮像し〔ステップS10〕、撮像して得られた画像データの認識を行って他車両を検出してリストアップ〔ステップS11〕する。ここでリストアップする他車両とは、運転者が受ける緊張感、圧迫感等の圧迫感に関する指標として処理する車両を含む全検出車両であり、例えば、トラック、バス等の大型車両、自動二輪車等の運転者が緊張感、圧迫感等を受けるものと特定した車両以外の車両も含まれる。
この他車両を検知するにあたって行う画像認識に関する技術については、従来技術でも対応することが可能であるので、図示及び仔細な説明については省略する。
【0050】
次に、全検出車両から、運転者が緊張感、圧迫感等を受けるものと特定した車両であるかを判断〔ステップS12〕する。運転者によって設定される緊張感、圧迫感等を受ける車両とは、個人差があるが、例えば、大型車両、中型車両等である。ステップS12では運転者が緊張感、圧迫感等を受けるものと特定した車両であるか否かを判断し、該当車両でないとき、当該リストアップしたリストから該当車両を抹消する〔ステップS17〕。
しかし、ステップS12で運転者が緊張感、圧迫感等を受けるものと特定した車両であると判断されたとき、ステップS13で車両登録処理が行われる。
【0051】
図5において、ステップS13で運転者が緊張感、圧迫感等を受けるものと特定した車両リストに運転者が受ける該当車両であるとしてこのルーチンがコールされているので、図4のステップS10で撮像して得られた画像データに基づいて当該他車両の情報を取得する〔情報取得部33;ステップS20〕。他車両の情報としては、例えば、具体的には、大型車両、二輪車両等の他車両の種別、具体的には、車幅、車高、車長等の他車両の大きさ、他車両までの車間距離等のうちで1以上の情報が該当する。一例として、他車両の種別を得るには、画像データを認識及び解析して他車両にかかるおおよその大きさを割り出し、道路交通法に規定する車両の大きさの区分に従って他車両の種別、即ち、大型車両、中型車両、小型車両、二輪車両等の何れかを特定すればよい。この例を含めて他車両の情報を取得するにあたっては、画像データを認識する画像認識技術や、画像データを解析する画像解析技術等を用いることで可能になるが、従来技術でも対応することが可能であるので、図示及び仔細な説明については省略する。
【0052】
ステップS20を実行して得られた運転者が緊張感、圧迫感等を受けるものと特定した他車両の情報に基づいて、当該他車両が地図データベース21に登録済か否かを判別する〔ステップS21〕。もし、登録済の他車両であれば(YES)、検知回数を増やすことに対応させて道路のコストを高め〔情報蓄積部34;ステップS25〕、処理済の当該他車両をリストから抹消したうえで〔ステップS24〕、このルーチンを脱する。図3の登録例に従えば、ステップS25では、回数により少なくともコスト情報J15を変更すればよい。勿論、日時情報と同時に格納するのが望ましい。
【0053】
一方、ステップS20を実行して得られた他車両が未登録のときは(ステップS21でNO)、学習対象の他車両か否かを判別する〔ステップS22〕。どのような他車両を学習対象とするのかは、自車両の運転者の主観に依存するので、当該運転者が圧迫感を受ける車両か否かに基づいて予め所定の記録媒体、例えば、図2に示す地図データベース21の学習対象情報K等に記録(設定)しておく。自車両の運転者が大型車両と二輪車両とで圧迫感を受けるときは、操作部40を操作することによって当該大型車両及び二輪車両を記録しておけばよい。
【0054】
もし、学習対象の他車両であれば(YES)、他車両に関する対象情報等のように所定の情報を地図データベース21等に登録(記録)し〔情報蓄積部34;ステップS23〕、処理済の他車両をリストから抹消して〔ステップS24〕、リターンする。
【0055】
特に、ステップS23を実行することにより、上記所定の情報が対象情報J3としてリンクL1,L2,L3,…の一部に記録される(図2及び図3を参照)。図2に示す地図データベース21の構造例によれば、対象情報J3は道路情報を示すリンクL1,L2,L3,…の一部として記録される点で、対象情報J3と道路情報とは関連付けられて蓄積される。また、図3の登録例によれば、ステップS20で取得した情報について、対象情報J13、日時情報J14、コスト情報J15等として記録すればよい。
【0056】
一方、ステップS22で学習対象の他車両でなければ(NO)、地図データベース21への登録(記録)を行う必要もないので、処理済の他車両をリストから抹消したうえで〔ステップS24〕、リターンする。
【0057】
なお、ステップS23及びステップS25では、自車両の周辺を走行する他車両の走行量に関する走行量情報、他車両のうちで特定車両との遭遇回数に関する遭遇情報、他車両によって遮られる視界の割合に関する割合情報等について(図2では二点鎖線で図示する)、上述した対象情報J13や日時情報J14等と同列に登録(記録)し、数値を増減するのが望ましい。これらの各情報は、後述する図8のステップS54,S55,S56のうちで1以上を実行する際に参照する。
【0058】
図5の車両登録処理を終えて図4に戻り、地図データベース21を参照して、一定短期間連続して検知されない運転者が緊張感、圧迫感等を受けるものと特定した車両があるか否かを判別する〔ステップS14〕。一定短期間の長さは任意に設定することができ、例えば、30日、20日、10日や1週間等が該当する。なお、一定短期間の長さは、自車両の運転者が操作部40を操作することによって設定できるようにするのが望ましい。
【0059】
もし、ステップS14で一定短期間連続して検知されない他車両があるときは(YES)、ステップS15で一定長期間連続して検知されない運転者が緊張感、圧迫感等を受けるものと特定した車両があるか否かを判別する。一定長期間の長さは任意に設定することができ、例えば、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、20日等が該当する。なお、この一定長期間の長さも、自車両の運転者が操作部40を操作することによって設定できるようにするのが望ましい。
このステップS14の一定短期間とステップS15の一定長期間は、一定短期間は道路のコストを低下するのに使用され、一定長期間は運転者が緊張感、圧迫感等を受けるものと特定した車両の登録のコストをキャンセルするのに使用される。即ち、運転者が緊張感、圧迫感等を受けるものと特定したトラックの走行が頻繁にあったものが、バイパスの開通、工事の終了等によって急激に減少した場合には、一定短期間の道路のコストを低下では対応が遅れるので、一定長期間で一括処理するものである。
【0060】
即ち、ステップS14で一定短期間連続して検知されない該当車両があるときで、ステップS15で一定長期間連続して検知されない運転者が緊張感、圧迫感等を受けるものと特定した車両がない場合には、当該他車両が走行していた道路について検知回数を減らすことに対応させて道路のコストを低めたうえで〔ステップS16〕、周辺車両学習処理を終えてリターンする。
しかし、ステップS14で一定短期間連続して検知されない該当車両があるときで、ステップS15で一定長期間連続して検知されない運転者が緊張感、圧迫感等を受けるものと特定した車両がある場合には、ステップS18で該当車両の道路に対するコストを「0」にリセットする。
もし、一定短期間連続して検知されない運転者が緊張感、圧迫感等を受けるものと特定した車両がないときには(NO)、今後も注視する必要があるので、検知回数を変更することなく周辺車両学習処理を終えてリターンする。
図3の登録例に従えば、ステップS18では、当該他車両に対応する対象情報J13や日時情報J14等の記録を抹消すればよい。同様に、ステップS16では、コスト情報J15の内容のコストを低下させればよい。
【0061】
上述した周辺車両学習処理及び車両登録処理を実行することによって、運転者が圧迫感を受ける車両に関する情報、即ち、他車両の種別、大きさ、車間距離等が地図データベース21に蓄積される。こうして地図データベース21に蓄積された情報に基づいて、目的地まで自車両を案内する経路探索案内処理について、図6を参照しながら説明する。
なお、図6の経路探索案内処理は、処理途中で呼び出される図7の候補選定処理及び図8の指標算出処理を含めて、操作部40における所定の操作が行われてから、自車両が目的地に到着するまでの間に繰り返し実行される。
【0062】
図6において、まず、操作者、特に、自車両の運転者が操作部40を操作して目的地が設定されると〔ステップS30〕、目的地までの経路について1以上の候補を選定する候補選定処理を実行する〔ステップS31〕。ステップS30は、現在地を出発地としてもよく、現在地以外の地を出発地を設定してもよい。また、ステップS31の候補選定処理の手続き例については、図7を参照しながら以下に説明する。
【0063】
図7において、まず地図データベース21にアクセスして目的地までの経路を探索する〔ステップS40〕。もし、探索できなかったときは(ステップS41でNO)、他に候補が無いので、候補選定処理を終えてリターンする。
【0064】
一方、目的地までの経路を探索できたときは(ステップS41でYES)、当該経路中に学習によって登録された道路を含むか否かを判別する〔ステップS42〕。このステップS42の判別法の一例を簡単に説明する。
目的地までの経路は、1以上の道路を経由するのが通常である。各道路は図2に例示する道路データのリンクL1,L2,L3,…によって特定されるので、目的地までの経路(全行程)は経由する個々の道路にそれぞれ対応する道路データの全部または一部のリンクを連結してゆくことで実現される。こうして連結されたリンクの中に図2の対象情報J3或いは、図3の対象情報J13等を含むリンクがあるときは、登録された道路を含むことになる。したがって、連結されたリンクの中に学習情報を含むか否かで判別する。
【0065】
もし、目的地までの経路中に学習によって登録された道路を含まないときは(NO)、運転者が圧迫感を受ける要素(他車両)が無いことになるので、探索された経路を候補として追加し〔ステップS48〕、他の候補を探索するためにステップS40に戻る。
【0066】
一方、ステップS42において目的地までの経路中に学習によって登録された道路を含むときは(YES)、探索された経路のうち登録された道路を走行する日時等が、学習によって登録された日時等から所定範囲内であるか否かを判別する〔ステップS43〕。登録された日時等から所定範囲内は、例えば図2に示す日時情報J4で特定される日時等から所定範囲内を意味する。具体的には、ゴールデンウイーク、お盆週間、時間帯等のうちで1以上が該当し、操作部40を操作して予め設定しておく。
【0067】
もし、登録された日時等から所定範囲内でなければ(NO)、運転者が圧迫感を受ける要素(他車両)が無いことになるので、探索された経路を候補として追加し〔ステップS48〕、他の候補を探索するためにステップS40に戻る。
【0068】
一方、ステップS43において登録された日時等から所定範囲内であれば(YES)、他車両から運転者が受ける圧迫感の指標を算出するために指標算出処理を実行する〔ステップS44〕。この指標算出処理の手続き例について、図8を参照しながら説明する。
【0069】
図8において、まず運転者が受ける圧迫感の指標を示す指標値に初期値、例えば、ゼロを設定する〔ステップS50〕。そして、例えば、図2に示す学習情報、具体的には、対象情報J3、日時情報J4、コスト情報J5に基づいて指標値を増分してゆき〔ステップS51〜S56〕、指標算出処理を終えてリターンする。なお、図8に示すステップS51〜S56の処理順は一例であって、順不同で形成しても何ら差し支えない。
【0070】
他車両の種別(対象情報J3)に従って指標値を高める〔ステップS51〕。例えば、二輪車両→小型車両→中型車両→大型車両の順番で数値を高くし、指標値に加算する。
他車両の大きさ(対象情報J3)が増大するにつれて指標値を高める〔ステップS52〕。他車両が同じ種別(例えば、大型車両)であっても、大きさが増大するにつれて圧迫感を受けやすい。そこで、車幅、車高、車長等が大きくなるにつれて数値を高くし、指標値に加算する。
道路のコスト(コスト情報J5)が増大するにつれて指標値を高める〔ステップS53〕。言い換えれば、図4のステップS15及び図5のステップS26によって増減される他車両の検知回数が増減するに伴って変化する数値である。指標値に加算する数値は、コスト自体の数値を用いてもよく、当該コストに基づいて換算される数値でもよい。
【0071】
自車両の周辺を走行する他車両の走行量(即ち、台数)が増大するにつれて指標値を高める〔ステップS54〕。走行量が少なければ圧迫感が減り、走行量が増えれば圧迫感が増すことを考慮している。
他車両のうちで特定車両との遭遇回数が増大するにつれて指標値を高める〔ステップS55〕。特定車両は、運転者が特に圧迫感を受けやすい他車両であって、操作部40を操作して予め設定しておく。運転者の主観によるものであり、大型車両を例にするとダンプカーやトレーラー等である。指標値に加算する数値は、遭遇回数自体の数値を用いてもよく、当該遭遇回数に基づいて換算される数値でもよい。
他車両によって遮られる視界の割合が増大するにつれて指標値を高める〔ステップS56〕。大型車両は指標値を高く変更するが、小型車両でも屋根部分に荷物、例えば、スキー板や自転車等を積載していた場合等で指標値を高く変更する。即ち、他車両の種別を問わず、遮られる視界の割合が増大するにつれて数値を高くし、指標値に加算する。
なお、説明を省略するが、緊張感、圧迫感に関する指標は、遮られる視界の割合が減少した場合、それにつれて数値を低くし、指標値を減算する。
【0072】
図8の指標算出処理を終えて図7に戻り、ステップS44を実行して得た指標値が基準値を上回っているか否かを判別する〔ステップS45〕。この基準値は、運転者がある程度の圧迫感を受けても運転に全く支障が無いか無視できるような数値であって、操作部40を操作して予め設定しておく。
もし、指標値が基準値以下であれば(NO)、運転者が受ける圧迫感が少なくて運転に影響を及ぼさないので、探索された経路を候補として追加し〔ステップS48〕、他の候補を探索するためにステップS40に戻る。
【0073】
一方、ステップS45において指標値が基準値を上回っていれば(YES)、地図データベース21にアクセスして、登録済の道路を除外したうえで、迂回路を探索する〔ステップS46〕。登録済の道路が除外されるので、迂回路には運転者が圧迫感を受ける要素(他車両)が無い。
ところが、ステップS40で探索した経路と比べると、迂回路を経て目的地に至るまでに要する時間や距離が大幅に増大する場合がある。そこで、迂回路を経て目的地までの所要時間及び所要距離のうち一方または双方にかかる増加量が許容範囲内か否かを判別する〔ステップS47〕。許容範囲は、操作部40を操作して予め設定しておく。
【0074】
もし、迂回路を経る場合の増加量が許容範囲内であれば(YES)、探索された迂回路を経路の候補として追加し〔ステップS48〕、他の候補を探索するために戻る。
一方、ステップS47において迂回路を経由した場合の増加量が許容範囲外であれば(NO)、候補として追加せず、他の候補を探索するために戻る。
【0075】
図7の候補選定処理を終えて図6に戻り、ステップS31で選定された経路の候補を並び替えて出力部60に提示する〔ステップS32〕。候補の並び替え(ソート)は、図8の指標算出処理を実行して得られた指標値や、地図データベース21のリンクL1,L2,L3,…に関連付けて記録されるコスト情報J5,J15、経路中に含まれる地図データベース21に登録済の道路(即ち、リンクL1,L2,L3,…)の数、その他の基準のうちで1以上を基準として行えばよい。出力部60への提示は、例えば、スピーカ62から音声で伝達するとともに、表示器61に表示する例を図9に示す。
【0076】
図9には、指標値を併せて表示する例を図9(a)に示し、道路のコストを併せて表示する例を図9(b)に示す。図9(a)の表示例では、5つの候補及び指標値が提示されており、マークで示すように現時点では2番目の「B経路」が選択されている。図9(b)の表示例は、図9(a)における指標値が道路のコストに変わった点を除いて同じである。なお、指標値や道路のコストを表示しなかったり、経路を地図上に示して表示する等のように、一覧の表示形態は経路の候補が認識できれば任意である。また、指標値を表示する場合と、道路のコストを表示する場合とで表示形態を変えてもよい。
【0077】
操作者は、画面下側に表示された選択ボタン61a,61bを操作して希望する経路または迂回路を選択し、確定ボタン61cを操作して選択した経路または迂回路を確定させる〔ステップS33〕。こうして確定した経路または迂回路に沿って、自車両を目的地まで案内する車両案内処理を実行し〔ステップS34〕、目的地に到着したら経路探索案内処理を終えてリターンする。なお、車両案内処理の手続きについては、従来技術に基づいて実現できるので、図示及び仔細な説明については省略する。
【0078】
〔実施の形態2〕
実施の形態2は、自車両の前後を走行する他車両をレーダで走査し、得られた走査信号データに基づいて他車両の対象情報(即ち、大きさ)を取得して蓄積した後、蓄積された対象情報に基づいて運転者が受ける圧迫感に関する指標を求め、当該圧迫感に関する指標が低い経路を優先的に提示する例である。
なお、図示及び説明を簡単にするために実施の形態2では実施の形態1と異なる点について説明する。そのため、実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して仔細な説明を省略する。
【0079】
この実施の形態2は、図10及び図11を参照しながら説明する。
図10は本発明の実施例2における前後車両学習処理の手続き例を示すフローチャート、図11は本発明の実施例2における車両登録処理の手続き例を示すフローチャートである。
前後車両学習処理及び車両登録処理は、何れも図1に示すCPUがソフトウェア22を実行することによって個別に実現される。また、図10の前後車両学習処理は、処理途中で呼び出される図11の車両登録処理を含めて、自車両が目的地に到着するまでの間に繰り返し実行される。
【0080】
図10の前後車両学習処理は、実施の形態1における図4の周辺車両学習処理に代わる手続きである。当該図10において、まず、自車両の前後をレーダ12で水平走査する〔ステップS60〕。自車両の前後は、自車両から見て前方及び後方のうち一方または双方を意味する。走査して得られた走査信号データに基づいて、他車両の対象情報(即ち、大きさ)を地図データベース21に登録するための車両登録処理を実行する〔ステップS61〕。当該車両登録処理については、図11を参照して説明する。
【0081】
図11の車両登録処理は、実施の形態1における図5の車両登録処理に代わる手続きである。当該図11において、まず、図10のステップS60で得られた走査信号データに基づいて前後に他車両がいるか否かを判別する〔ステップS70〕。もし、前後に他車両がなければ(NO)、地図データベース21に登録すべき情報が無いので、車両登録処理を終えてリターンする。
【0082】
一方、ステップS70で前後に他車両がいれば(YES)、自車両の前後をレーダ12で垂直走査し〔ステップS71〕、ステップS60及びステップS71のうち一方または双方で得られた走査信号データに基づいて他車両の大きさを割り出し、他車両までの車間距離を求める〔ステップS72〕。即ち、垂直走査にかかる走査信号データを用いれば他車両の車高を割り出すことができ、水平走査にかかる走査信号データを用いれば他車両の車幅を割り出すことができ、水平走査及び垂直走査のいずれの走査信号データを用いれば他車両までの車間距離を求めることができる。
以下では、説明を簡単にするために、ステップS71を実行して得られた垂直走査にかかる走査信号データを用いて、他車両の車高を割り出した場合の処理について説明する。
なお、他車両の車幅を割り出す場合や、他車両までの車間距離を求める場合には、ステップS71を実行しなくてもよい。また、後述するステップS73,S74を実行するにあたっては、車高を車幅または車間距離に読み替えればよい。
【0083】
ステップS72を実行して他車両の車高を割り出すと、登録済の車高か否かを判別する〔ステップS73〕。具体的には、図2に示す対象情報J3として記録された車高と同じか所定範囲内の車高が登録されているか否かを判別する。もし、登録済の車高であれば(YES)、連続発見回数を増やすことに対応させて道路のコストを高めたうえで〔情報蓄積部34;ステップS76〕、車両登録処理を終えてリターンする。図3の登録例に従えば、ステップS76では、コスト情報J15の内容を変更すればよい。
【0084】
ステップS73において割り出された車高が未登録のときは(NO)、学習対象の車高か否かを判別する〔ステップS74〕。どのような車高を学習対象とするのかは、自車両の運転者の主観に依存するので、当該運転者が圧迫感を受ける車高か否かに基づいて予め所定の記録媒体、例えば、図2に示す地図データベース21の学習対象情報K等に記録(設定)しておく。例えば、2メートルを超える車高で圧迫感を受けるときは、操作部40を操作することによって「2メートル」を記録しておけばよい。
【0085】
もし、学習対象の車高であれば(YES)、連続発見回数を初期化するのに対応させて道路のコストを高めたうえで〔情報蓄積部34;ステップS75〕、車両登録処理を終えてリターンする。このステップS75は、上述したステップS76と同様の処理を行えばよい。一方、ステップS73で学習対象の車高でなければ(NO)、地図データベース21への登録(記録)を行う必要もないので、車両登録処理を終えてリターンする。
【0086】
図11の車両登録処理を終えて図10に戻り、地図データベース21を参照して、一定期間連続して検知されない前後車両があるか否かを判別する〔ステップS62〕。一定期間の長さは任意に設定することができ、例えば、1ヶ月や1週間等が該当する。なお、自車両の運転者が操作部40を操作することによって設定できるようにするのが望ましい。
【0087】
もし、一定期間連続して検知されない前後車両があるときは(YES)、連続発見回数を初期化するのに対応させて道路のコストを低めたうえで〔情報蓄積部34;ステップS63〕、前後車両学習処理を終えてリターンする。
一方、ステップS62において一定期間内に前後車両が検知されたときは(NO)、今後も注視する必要があるので、連続発見回数を変更することなく前後車両学習処理を終えてリターンする。
【0088】
上述した前後車両学習処理及び車両登録処理を実行することによって、運転者が圧迫感を受ける他車両に関する情報、即ち、車高、車幅、車間距離等が地図データベース21に蓄積される。こうして地図データベース21に蓄積された情報に基づいて、目的地まで自車両を案内する経路探索案内処理を実行すると、運転者が受ける圧迫感を少なくするか無くして目的地まで自車両を案内することができる。
【0089】
なお、経路探索案内処理の手続きについては実施の形態1で説明した通りであるので、仔細な説明を省略する。また、図6の経路探索案内処理から図7の候補選定処理を介して呼び出される図8の指標算出処理では、ステップS50,S52,S53,S55を実行すればよい。このうちステップS55の「特定車両」は、運転者が特に圧迫感を受けやすい車高、車幅、車間距離の他車両であり、操作部40を操作して予め設定しておく。
【0090】
〔実施の形態3〕
実施の形態3は、自車両が走行する道路をジャイロスコープで測定し、得られた測定データに基づいて道路の形態、即ち、振動量を取得して蓄積した後、蓄積された形態情報に基づいて運転者が受ける圧迫感に関する指標を求め、当該圧迫感に関する指標が低い経路を優先的に提示する例である。
なお、図示及び説明を簡単にするために実施の形態3では実施の形態1と異なる点について説明する。そのため、実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して仔細な説明を省略する。
【0091】
この実施の形態3は、図12を参照しながら説明する。図12は、本発明の実施例における道路学習処理の手続き例を示すフローチャートである。当該道路学習処理は、図1に示すCPUがソフトウェア22を実行することによって実現されるものであり、自車両が目的地に到着するまでの間に繰り返し実行される。道路の形態は、道路の蛇行量、振動量、滑り量等のうちで1以上が該当するが、以下では振動量を例に説明する。
【0092】
図12の道路学習処理は、実施の形態1における図4の周辺車両学習処理に代わる手続きである。当該図12において、まず、ジャイロスコープ13で測定し〔ステップS80〕、当該測定して得られた信号データに基づいて自車両が道路を走行して受ける振動量を求める〔ステップS81〕。例えば、信号の振幅にかかる最大値を振動量とする。
【0093】
ステップS81を実行して得られた振動量が地図データベース21に登録済か否かを判別する〔ステップS82〕。具体的には、図2に示す対象情報J3として記録された振動量と同じか所定範囲内の振動量が登録されているか否かを判別する。
【0094】
もし、登録済であれば(YES)、検知回数を増やすことに対応させて道路のコストを高めたうえで〔ステップS85〕、道路学習処理を終えてリターンする。図3の登録例に従えば、ステップS85では、コスト情報J15の内容を変更すればよい。
一方、ステップS82において未だ振動量が未登録のときは(NO)、検知回数を初期化するのに対応させて道路のコストを高めたうえで〔情報蓄積部34;ステップS84〕、道路学習処理を終えてリターンする。このステップS84は、上述したステップS85と同様の処理を行えばよい。
【0095】
上述した道路学習処理を実行することによって、運転者が圧迫感を受ける道路の形態に関する情報、即ち、道路の蛇行量、振動量、滑り量等が地図データベース21に蓄積される。こうして地図データベース21に蓄積された情報に基づいて、目的地まで自車両を案内する経路探索案内処理を実行すると、運転者が受ける圧迫感を少なくするか無くして目的地まで自車両を案内することができる。
【0096】
なお、経路探索案内処理の手続きについては実施の形態1で説明した通りであるので、仔細な説明を省略する。また、図6の経路探索案内処理から図7の候補選定処理を介して呼び出される図8の指標算出処理では、ステップS50,S57,S58,S59を実行すればよい。ステップS57,S58,S59については、以下に簡単に説明する。なお、ステップS57,S58,S59についてもステップS51〜S56と同様に処理順は一例であって、順不同で形成しても何ら差し支えない。
【0097】
道路の蛇行量(対象情報J3)に従って指標値を高める〔ステップS57〕。指標値に加算する数値は、蛇行量自体の数値を用いてもよく、当該蛇行量に基づいて換算される数値でもよい。
道路走行中に受ける振動量(対象情報J3)に従って指標値を高める〔ステップS58〕。指標値に加算する数値は、振動量自体の数値を用いてもよく、当該振動量に基づいて換算される数値でもよい。
道路走行中に受ける滑り量(対象情報J3)に従って指標値を高める〔ステップS59〕。指標値に加算する数値は、滑り量自体の数値を用いてもよく、当該滑り量に基づいて換算される数値でもよい。
【0098】
〔実施の形態の構成〕
実施の形態1、実施の形態2及び実施の形態3の車載用ナビゲーション装置によれば、道路データを用いて目的地までの経路を探索して表示する経路探索部31と、経路探索部31によって提示された経路のうち選択された経路に沿って車両を案内する車両案内部32とを備える車載用ナビゲーション装置において、自車両が走行しているときに、所定の検知対象を検知するカメラ11、レーダ12、ジャイロスコープ13等からなるセンサと、カメラ11、レーダ12、ジャイロスコープ13等からなるセンサによって検出したデータに基づいて、所定の検知対象に関する対象情報J3,J13を取得する情報取得部33と、情報取得部33によって取得した対象情報J3,J13と、自車両が走行している道路を特定するリンクL1,L2,L3,・・・等の道路情報とを関連付けて蓄積する情報蓄積部34とを有し、経路探索部31は、情報蓄積部34によって蓄積された対象情報J3,J13及びリンクL1,L2,L3,・・・等の道路情報に基づいて運転者が受ける圧迫感に関する指標を求め、当該圧迫感に関する指標が低い経路を優先的に提示する構成とすることができる。
【0099】
実施の形態1乃至実施の形態3の車載用ナビゲーション装置によれば、経路探索部31は、探索された経路中に情報蓄積部34によって蓄積されたリンクL1,L2,L3,…等の道路情報によって特定される道路が含まれているか否かを判別する道路判別手段31aと、道路判別手段31aによって道路が含まれていると判別されたとき、リンクL1,L2,L3,・・・等の道路情報に関連付けて蓄積された対象情報J3,J13に基づいて運転者が受ける圧迫感に関する指標を求める指標算出手段31bと、指標算出手段31bによって算出された指標の低い経路が優先されるように、探索された経路を並び替えて提示する候補提示手段31cを有する構成とすることができる。
【0100】
実施の形態1乃至実施の形態3の車載用ナビゲーション装置によれば、経路探索部31は、更に、情報蓄積部34によって蓄積されたリンクL1,L2,L3,・・・等の道路情報によって特定される道路を除外し、目的地までの所要時間及び所要距離のうち一方または双方にかかる増加量が許容範囲内となる迂回路を探索して提示する構成とすることができる(図7のステップS46及び図9を参照)。
【0101】
また、実施の形態1乃至実施の形態3の車載用ナビゲーション装置によれば、経路探索部31は、所定の検知対象を他車両としたとき、他車両の大きさ、走行量、遭遇回数のうち一以上が増大するにつれて運転者が受ける圧迫感に関する指標を高く設定する構成とすることができる(図8のステップS52,S54,S55を参照)。
【0102】
そして、実施の形態1によれば、情報蓄積部34は、更に、自車両が走行している日時等を示す日時情報J4,J14を対象情報J3,J13及びリンクL1,L2,L3,・・・等の道路情報に関連付けて蓄積し、経路探索部31は、走行する日付、曜日、時刻のうちで1以上の日時等が情報蓄積部34によって蓄積された日時情報J4,J14で特定される日時等から所定範囲内であるときに限り、運転者が受ける迫感に関する指標を求める構成とすることができる(図7のステップS43,S44を参照)。
【0103】
更に、実施の形態1乃至実施の形態3の車載用ナビゲーション装置によれば、カメラ11、レーダ12、ジャイロスコープ13等からなるセンサは、自車両の周辺を走行する他車両を検出し、情報取得部33は、他車両の走行量、他車両の種別、他車両の大きさ、他車両の走行速度、他車両までの車間距離、他車両によって遮られる視界の割合のうち一以上の情報を対象情報J3,J13として取得する構成とすることができる(図5のステップS21及び図11のステップS72を参照)。
上記各実施の形態では、カメラ11、レーダ12、ジャイロスコープ13等からなるセンサは、自車両の周辺を走行する他車両を検出し、他車両の走行量、他車両の種別、他車両の大きさ、他車両の走行速度、他車両までの車間距離、他車両によって遮られる視界の割合のうち一以上の情報を対象情報J3,J13として取得する事例で説明したが、例えば、カメラ11でナンバープレートを検出し、そして読み取り、そこから他車両の種別、他車両の大きさを特定することもできる。
【0104】
実施の形態3の車載用ナビゲーション装置によれば、カメラ11、ジャイロスコープ13等からなるセンサは、自車両が走行する道路の形態を検出し、情報取得部33は、道路の蛇行量、道路から受ける振動量、道路を走行して生じる滑り量のうち一以上の情報を対象情報J3,J13として取得する構成とすることができる(図12を参照)。
【0105】
更にまた、実施の形態1乃至実施の形態3の車載用ナビゲーション装置によれば、運転者が受ける圧迫感に関する指標は、経路探索に利用するためのコストを示す情報であって、運転者が受ける圧迫感が大きくなるにつれて道路ごとに設定されるリンクL1,L2,L3,…のコストが高くなるように設定し、経路探索部31は、探索された経路のうちリンクL1,L2,L3,…のコスト情報J5,J15が低い経路を優先的に提示する構成とすることができる(図6のステップS32及び図9(b)を参照)。
【0106】
〔他の実施の形態〕
以上、本発明を実施するための最良の形態について、実施の形態1、実施の形態2及び実施の形態3に従って説明したが、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
【0107】
実施の形態1では、カメラ11を用いて撮像した画像データについて画像認識や画像解析を行うことにより、他車両の種別、他車両の大きさ、他車両までの車間距離等のうちで1以上の情報を取得した(図5のステップS21を参照)。また、実施の形態2では、レーダ12を用いて得られた走査信号データに基づいて他車両の大きさを割り出し、他車両までの車間距離を求めた(図11のステップS72を参照)。更に、実施の形態3では、ジャイロスコープ13で測定して得られた信号データに基づいて道路の蛇行量、振動量、滑り量のうちで1以上を求めた(図12のステップS81を参照)。これらの形態に代えて、他のセンサを用いて、対象情報を取得してもよい。他のセンサとしては、例えば、速度測定センサ14、距離測定センサ15、マイク16等が該当する。
【0108】
速度測定センサ14は、自車両の周辺を走行する他車両の走行速度を測定することができるので、他車両の走行速度、例えば、猛スピードで走行するような場合によって運転者が圧迫感を受ける場合に対応することができる。
距離測定センサ15は、自車両の周辺を走行する他車両までの車間距離を測定することができるので、道路走行中に車間距離が短くなって運転者が圧迫感を受ける場合に対応することができる。
マイク16は、自車両または他車両が発する音について音質や音量を測定することができるので、他車両の種別を特定したり、他車両までの車間距離を特定したり、道路の形態を特定することができ、種別、車間距離、道路の形態によって運転者が圧迫感を受ける場合に対応することができる。
【0109】
実施の形態1、実施の形態2及び実施の形態3では、自車両に各種センサを備え、当該センサで検出したデータに基づいて他車両に関する情報を取得するように形成した(図1を参照)。この形態に代えて、図1に示すセンサ群10にかかる1以上のセンサについて、建築物や標識等に備えられたセンサから例えば、インターネット回線等の通信回線を介して送信され、通信部50を介して受信するデータに基づいて他車両に関する情報を取得するように形成してもよい。
【0110】
実施の形態1乃至実施の形態3の車載用ナビゲーション装置は、それぞれ個別に実施可能に形成した。この形態に代えて、2以上の形態を組み合わせて実施可能に形成してもよい。例えば実施の形態1と実施の形態2を組み合わせた場合には、カメラ11を用いて撮像した画像データについて画像認識や画像解析を行うことにより、他車両の種別、他車両の大きさ、他車両までの車間距離等のうちで1以上の情報を取得できるだけでなく、レーダ12を用いて得られた走査信号データに基づいて他車両の大きさを割り出し、他車両までの車間距離を求めることもできるようになる。したがって、上述した実施の形態1、実施の形態2及び実施の形態3を組み合わせた作用効果を得ることができる。
【0111】
実施の形態1、実施の形態2及び実施の形態3では、車載用ナビゲーション装置で実現した。この形態に代えて、車載用ナビゲーション装置と独立した装置で実現してもよく、例えば、コンソールや音響装置等の他の車載装置と一体で実現してもよい。何れにせよ、形態が異なるにすぎないので、上述した実施の形態1乃至実施の形態3の車載用ナビゲーション装置と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0112】
10 センサ群
11 カメラ(センサ)
12 レーダ(センサ)
13 ジャイロスコープ(センサ)
14 速度測定センサ(センサ)
15 距離測定センサ(センサ)
16 マイク(センサ)
20 記録媒体
21 地図データベース(データベース)
30 ナビゲーション制御部
31 経路探索部
31a 道路判別手段
31b 指標算出手段
31c 候補提示手段
32 車両案内部
33 情報取得部
34 情報蓄積部
40 操作部
50 通信部
60 出力部(候補提示手段)
L1、L2、L3、… リンク
J1、J11 種別情報
J2、J12 位置情報
J3、J13 対象情報
J4、J14 日時情報
J5、J15 コスト情報
J6、J16 沿線情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路データを用いて目的地までの経路を探索する経路探索部と、前記経路探索部によって探索された経路に沿って車両を案内する車両案内部とを備える車載用ナビゲーション装置において、
自車両が走行しているときに、自車両周辺の他車両を検出するセンサと、
前記センサによって検出したデータに基づいて、前記所定の検知対象に関する対象情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部によって取得した対象情報と、前記自車両が走行している道路を特定する道路情報とを関連付けて蓄積する情報蓄積部とを具備し、
前記経路探索部は、前記情報蓄積部によって蓄積された前記対象情報及び前記道路情報に基づいて運転者が受ける圧迫感に関する指標を求め、当該圧迫感に関する指標が低い経路を優先的に提示することを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記経路探索部は、
探索された経路中に前記情報蓄積部によって蓄積された前記道路情報によって特定される道路が含まれているか否かを判別する道路判別手段と、
前記道路判別手段によって前記道路が含まれていると判別されたとき、前記道路情報に関連付けて蓄積された前記対象情報に基づいて前記運転者が受ける圧迫感に関する指標を求める指標算出手段と、
前記指標算出手段によって算出された指標の低い経路が優先されるように、探索された経路を並び替えて提示する候補提示手段と
を具備すること特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記経路探索部は、更に、前記情報蓄積部によって蓄積された前記道路情報によって特定される道路を除外し、前記目的地までの所要時間及び所要距離のうち一方または双方にかかる増加量が許容範囲内となる迂回路を探索して提示することを特徴とする請求項1または請求項2の何れか1つに記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記経路探索部は、前記他車両の大きさ、走行量、遭遇回数のうち1以上が増大するにつれて、前記運転者が受ける圧迫感に関する指標を高く設定することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記情報蓄積部は、更に、前記自車両が走行している日付、曜日、時刻のうちで1以上の日時等を示す日時情報を前記対象情報及び道路情報に関連付けて蓄積し、
前記経路探索部は、走行する日付、曜日、時刻のうちで1以上の日時等が前記情報蓄積部によって蓄積された日時情報で特定される日時等から所定範囲内であるときに限り、前記運転者が受ける迫感に関する指標を求めることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記情報取得部は、前記他車両の走行量、前記他車両の種別、前記他車両の大きさ、前記他車両の走行速度、前記他車両までの車間距離、前記他車両によって遮られる視界の割合のうち1以上の情報を対象情報として取得することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記運転者が受ける圧迫感に関する指標は、経路探索に利用するためのコストを示す情報であって、前記運転者が受ける緊張感、圧迫感が大きくなるにつれて道路ごとに設定されるリンクのコストが高くなるように設定し、
前記経路探索部は、探索された経路のうち前記リンクのコストが低い経路を優先的に提示することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−175314(P2010−175314A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16505(P2009−16505)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】