説明

車載表示装置用の遠隔操作装置、遠隔操作装置によって遠隔操作される車載表示装置、遠隔装置用のプログラム、および車載表示装置用のプログラム

【課題】車載表示装置と遠隔操作装置から成る遠隔操作システムにおいて、車載表示装置の表示画面を見る必要なく遠隔操作装置を操作できるようにする。
【解決手段】遠隔操作装置は、車両用ナビゲーション装置が提示する(ステップ230、340、380)操作項目の情報を、車両用ナビゲーション装置から受信し、受信した当該情報に基づいて、当該操作項目に対する操作を受け付けるための受付画像をユーザに表示する(ステップ225、240、260)。さらに遠隔操作装置は、受付画像を利用した遠隔操作装置に対するユーザの操作内容に基づいて、車両用ナビゲーション装置を遠隔操作するための信号を、車両用ナビゲーション装置に送信する(ステップ235、250、270)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載表示装置用の遠隔操作装置、遠隔操作装置によって遠隔操作される車載表示装置、遠隔装置用のプログラム、および車載表示装置用のプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車載表示装置および車載表示装置を遠隔操作する遠隔操作装置の技術が知られている。例えば、特許文献1には、ナビゲーション装置(車載表示装置)の遠隔操作を携帯電話機(遠隔操作装置)を用いて実施する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2003−121157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載のような技術においては、遠隔操作装置は、車載表示装置に対して遠隔操作用の信号を送信するためのみに利用されているに過ぎない。したがって、インタラクティブな操作においては、遠隔操作装置のユーザは、車載表示装置の画面表示内容を見ながら遠隔操作装置を操作する必要がある。この場合、車室の広さ、ユーザの乗車位置、車載表示装置の設置位置によっては、ユーザが車載表示装置の表示画面を視認することが困難になる可能性がある。
【0004】
本発明は上記点に鑑み、車載表示装置と遠隔操作装置から成る遠隔操作システムにおいて、車載表示装置の表示画面を見る必要なく遠隔操作装置を操作できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、車載表示装置(1)用の遠隔操作装置についてのものである。この遠隔操作装置は、車載表示装置(1)が提示する操作項目の情報を、当該車載表示装置(1)から受信し、受信した当該情報に基づいて、当該操作項目に対する操作を受け付けるための受付画像をユーザに表示する。さらに遠隔操作装置は、受付画像を利用したユーザの操作内容に基づいて、当該車載表示装置(1)を遠隔操作するための信号を、当該車載表示装置(1)に送信する。
【0006】
このようになっていることで、ユーザは、遠隔操作装置において表示された受付画像を利用して、自分がどのような操作項目についての操作を行っているかを把握しながら作業を行うことができる。したがってユーザは、車載表示装置(1)の表示画面を見る必要なく車載表示装置(1)を遠隔操作することができる。
【0007】
また、請求項2に記載のように、遠隔操作装置は、操作項目の情報の一部として、画面表示用の画像を受信して記憶媒体に記録するようになっていてもよい。この場合、遠隔操作装置は、車載表示装置(1)との接続の有無を繰り返し(例えば一定間隔で)判定し、当該車載表示装置(1)と接続していないと判定したことに基づいて、受信した画面表示用の画像を記憶媒体から消去するようになっていてもよい。
【0008】
このようになっていることで、車載表示装置(1)から遠隔操作装置に送信される画面表示用の画像が著作権で保護されている画像であったとしても、車載表示装置(1)と遠隔操作装置との接続が途切れた場合に、遠隔操作装置において当該画像の記録が破棄されることになるので、当該画像が遠隔操作装置と共に車両外部に持ち出されてしまう恐れがなくなる。
【0009】
また、請求項3に記載のように、遠隔操作装置は、操作項目の情報として、ユーザの操作の進行に応じて段階的に提示する(すなわち、インタラクティブに提示する)操作項目を複数段階分まとめて車載表示装置(1)から受信するようになっていてもよい。
【0010】
この場合遠隔操作装置は、受信した当該複数段階分の操作項目の情報に従い、ユーザの操作の進行に応じて段階的に受付画像をユーザに表示し、当該複数段階分の受付画像の表示を経てユーザの操作を受け付けた結果を示す信号を、車載表示装置(1)を遠隔操作するための信号として、車載表示装置(1)に送信するようになっていてもよい。
【0011】
このように、遠隔操作装置は、車載表示装置(1)から複数段階分の操作項目をまとめて受信するので、遠隔操作装置を1回操作する度に遠隔操作装置と車載表示装置(1)との間でデータの授受が発生する必要がなくなるので、遠隔操作装置における処理が迅速化し、ユーザがストレスを感じる可能性が低減される。
【0012】
また、本発明の目的を達成するための請求項4に記載の発明は、遠隔操作装置(2)によって遠隔操作される車載表示装置についてのものである。この車載表示装置は、当該車載表示装置が提示する操作項目の情報を、遠隔操作装置(2)に送信し、送信した当該情報の応答として遠隔操作装置(2)から送信された遠隔操作のための信号を受信し、受信した信号に従った処理を行うようになっている。
【0013】
このようになっていることで、ユーザは、遠隔操作装置(2)において画像表示された操作項目の情報を利用することで、自分がどのような操作項目についての操作を行っているかを把握しながら作業を行うことができるので、車載表示装置の表示画面を見る必要なく車載表示装置を遠隔操作することができる。
【0014】
また、請求項5に記載のように、車載表示装置は、当該操作項目の情報として、遠隔操作装置(2)のユーザの操作の進行に応じて段階的に提示する操作項目を複数段階分まとめて、遠隔操作装置(2)に送信するようになっていてもよい。
【0015】
このように、車載表示装置は、複数段階分の操作項目をまとめて遠隔操作装置(2)に送信するので、遠隔操作装置(2)を1回操作する度に遠隔操作装置(2)と車載表示装置との間でデータの授受が発生する必要がなくなるので、遠隔操作装置(2)における処理が迅速化し、ユーザがストレスを感じる可能性が低減される。
【0016】
また、請求項6に記載のように、車載表示装置は、地図データについては、当該地図データの一部を特定することが可能な信号を遠隔操作装置(2)から受けるまで、操作項目の情報として送信することを待ち、地図データの一部を特定することが可能な信号を遠隔操作装置(2)から受けたことに基づいて、当該地図データのうち特定した一部を、操作項目の情報の一部として遠隔操作装置(2)に送信するようになっていてもよい。
【0017】
このように、地図データのようなサイズの大きいデータについては、一度にまとめて送信してしまうのではなく、必要時のその都度必要な分だけ遠隔操作装置(2)に送信することで、実際には使われない地図データを無駄に送信してしまった結果、通信時間および通信料の無駄遣いが発生してしまう可能性を低減することができる。
【0018】
また、請求項7および請求項8に記載のように、請求項1に記載の遠隔操作装置の発明および請求項4に記載の車載表示装置の発明は、プログラムとしても捕らえることができる。
【0019】
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態においては、車両に車両用ナビゲーション装置(車載表示装置の一例に相当する)が搭載され、車両の乗員であるユーザが遠隔操作装置(例えば、携帯電話機、携帯ゲーム機、PDA)を有している。そして、ユーザは、遠隔操作装置を用いて車両用ナビゲーション装置を遠隔操作するが、その際、遠隔操作装置は操作項目の情報を車両用ナビゲーション装置から受信して画像表示するようになっている。以下、これら車両用ナビゲーション装置および車載表示装置を有する遠隔操作システムの構成および作動について説明する。
【0021】
図1および図2に、それぞれ車両用ナビゲーション装置1および遠隔操作装置2の構成を示す。車両用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、画像表示装置12、操作部13、スピーカ14、車内無線部15、地図データ取得部16、および制御回路17を有している。
【0022】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない加速度センサ、地磁気センサ、ジャイロセンサ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置、向き、および速度を特定するための情報を制御回路17に出力する。
【0023】
画像表示装置12は、制御回路17から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する、液晶パネル等の装置である。
【0024】
操作部13は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置12の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御回路17に出力する。
【0025】
車内無線部15は、図2の遠隔操作装置2と無線通信するためのインターフェース回路である。無線通信としては、例えば、無線LAN、赤外線通信、ブルートゥース等を用いる。
【0026】
地図データ取得部16は、DVD、CD、HDD等の不揮発性の記憶媒体およびそれら記憶媒体に対してデータの読み出し(および可能ならば書き込み)を行う装置から成る。当該記憶媒体は、制御回路17が実行するプログラム、経路案内用の地図データ等を記憶している。
【0027】
地図データは、道路データおよび施設データを有している。道路データは、リンクの位置情報、種別情報、ノードの位置情報、種別情報、および、ノードとリンクとの接続関係の情報等を含んでいる。施設データは、施設毎のレコードを複数有しており、各レコードは、対象とする施設の名称情報、所在位置情報、土地地番情報、施設種類情報等を示すデータを有している。
【0028】
制御回路(コンピュータに相当する)17は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンである。CPUは、ROMまたは地図データ取得部16から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、および地図データ取得部16から情報を読み出し、RAMおよび(可能であれば)地図データ取得部16の記憶媒体に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、画像表示装置12、操作部13、スピーカ14、および車内無線部15と信号の授受を行う。
【0029】
制御回路17がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、地図表示処理、案内経路算出処理、経路案内処理等がある。
【0030】
現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。地図表示処理は、車両の現在位置の周辺等の特定の領域の地図を、画像表示装置12に表示させる処理である。この際、地図表示のために用いる情報は、地図データから取得する。
【0031】
案内経路算出処理は、操作部13または遠隔操作装置2を介してユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な案内経路を算出する処理である。
【0032】
経路案内処理は、案内経路上の右左折交差点等の案内ポイントの手前に自車両が到達したときに、右折、左折等を指示する案内音声をスピーカ14に出力させ、当該案内ポイントの拡大図を画像表示装置12に表示させることで、案内経路に沿った車両の運転を案内する処理である。
【0033】
次に、遠隔操作装置2の構成について説明する。遠隔操作装置2は、車内無線部21、表示部22、操作部23、および制御回路24を含んでいる。
【0034】
車内無線部21は、車両用ナビゲーション装置1の車内無線部15と無線接続することで、車両用ナビゲーション装置1との無線通信を実現するためのインターフェース回路である。
【0035】
表示部22は、制御回路24から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する、液晶パネル等の装置である。
【0036】
操作部23は、遠隔操作装置2の筐体に設けられた複数のメカニカルスイッチ、操作部23の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御回路24に出力する。
【0037】
制御回路(コンピュータの一例に相当する)24は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンである。CPUは、ROM(または図示しない外部記憶装置)から読み出したプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROMから情報を読み出し、RAMに対して情報の書き込みを行い、車内無線部21、表示部22、および操作部23と信号の授受を行う。
【0038】
具体的には、例えば遠隔操作装置2が携帯電話機であれば、制御回路24は、電話通話のための処理、電子メールの送受信のための処理等を実行する。また例えば、遠隔操作装置2が携帯ゲーム機であれば、制御回路24は、指定されたゲーム用のプログラムを実行する。
【0039】
また、制御回路24は、車両用ナビゲーション装置1を遠隔操作するために、図3に示すプログラム100を実行する。制御回路24は、ユーザが操作部23に対して所定の遠隔操作開始の旨の操作を行ったことに基づいて、このプログラム100の実行を開始するようになっていてもよい。
【0040】
以下、このプログラム100を実行する制御回路(以下、リモコン側制御回路という)24の作動内容、および制御回路(以下、ナビ側制御回路という)24の当該作動内容に対応する車両用ナビゲーション装置1の制御回路17の作動内容について詳述する。図4に、案内経路の設定時を例にとった遠隔操作のための作動のシーケンス図を示す。
【0041】
まず、リモコン側制御回路24は、車両内においてプログラム100の実行を開始すると、まずステップ105で車内無線部21を用いて、車両用ナビゲーション装置1に接続要求を送信することで、車両用ナビゲーション装置1との無線接続の確立を、成功するまで所定時間試みる(図4のステップ210参照)。
【0042】
続いてステップ110では、現在車両用ナビゲーション装置1と無線接続しているか否かを、例えば車両用ナビゲーション装置1からの受信信号の強度に基づいて判定し、無線接続していれば続いてステップ120を実行し、無線接続していなければ続いてステップ150を実行する。ステップ120では、車両用ナビゲーション装置1から操作項目の情報を受信するまで待つ。
【0043】
この接続要求を車内無線部15を介して受信したナビ側制御回路17は、遠隔操作装置2との無線接続を確立し、その後、現時点で画像表示装置12に表示させている画像を特定し、その画像に対応する操作項目の情報を作成する(ステップ310)。
【0044】
図4の例では、現時点においてナビ側制御回路17は、案内経路算出処理を実行しており、その案内経路算出処理において、目的地の入力受付のためのメニュー画像を画像表示装置12に表示させている。ここで、メニュー画像について説明する。
【0045】
1つのメニュー画面は、操作部13を用いてユーザが選択することのできるボタン画像を含んでいる。ボタン画像のそれぞれがユーザによって選択されると、ナビ側制御回路17は、選択されたボタン画像に割り当てられた処理を実行する。これらボタン画像のそれぞれは、操作対象として独立した1つの項目(すなわち操作項目)を画像で表したものである。操作項目の情報としては、例えば、ボタン画像の個数、ボタン画像の配置、各ボタン画像の名称、各ボタン画像の画像データ、および、各ボタン画像に割り当てられた処理等の情報がある。
【0046】
なお、目的地の入力受付のためのメニュー画像は複数あり、それら複数のメニュー画像が階層的に関連付けられている。すなわち、あるメニュー画像の操作項目のうち1つをユーザが選択すると、その操作項目に対応付けられた次階層のメニュー画像が表示されるという風に、ユーザによる選択の進行に応じて、段階的に複数のメニュー画像が切り替わっていく。
【0047】
例えば、第1階層のメニュー画像である入力方法受付画像は、目的地をどのような方法(例えば、施設名称の文字入力による方法、地図上の位置指定による方法、施設の電話番号の数字入力による方法、土地地番の数字入力による方法)で入力するかを選択させるためのボタン画像を含んでいる。
【0048】
そして、それらボタン画像のうち1つがユーザによって選択されると、ナビ側制御回路17は、当該ボタン画像に対応する方法による指定受付画像を画像表示装置12に表示させる。この指定受付画像は第2階層のメニュー画像に対応する。
【0049】
このように、階層的に関連付けられたメニュー画像群を、ユーザの操作内容に応じて段階的に表示していくことで、ナビ側制御回路17は、ユーザの操作内容に応じて段階的に、受付可能な操作項目を提示していく。
【0050】
ステップ310の処理内容の説明に戻る。ナビ側制御回路17は、操作項目の情報として、上述のように階層構造になっている複数段階のメニュー画像に対応する操作項目の情報を、1まとめの送信用のデータとする。
【0051】
なお、各段階のメニュー画像に対応する操作項目の情報としては、各メニュー画像に含まれるボタン画像の名称と、そのボタン画像をユーザが選択した場合次の段階でどのメニュー画像を表示するかを示す関連付け情報のみであってもよい。この場合、送信用のデータには画像が含まれないので、通信量が低減する。
【0052】
あるいは、各段階のメニュー画像に対応する操作項目の情報には、メニュー画像そのものの画像データ、ボタン画像そのものの画像データ、メニュー画像中の各ボタン画像の配列を示すデータ等の、メニュー画面の意匠を示すデータを含めてもよい。あるいは、操作部13のメカニカルスイッチの配列およびメカニカルスイッチに対する画像表示装置12の配置のデータ等の、車両用ナビゲーション装置1のハードウェア意匠のデータを含めてもよい。その場合、メカニカルスイッチのそれぞれを選択したときにどのような作動を行うかの情報を含めるようになっていてもよい。あるいは、地図データ中の施設名称の索引データを含めるようになっていてもよいし、自車両の現在位置のデータを含めるようになっていてもよい。
【0053】
送信用のデータを作成したナビ側制御回路17は、車内無線部15を用いて当該データを遠隔操作装置2に送信する(ステップ320)。
【0054】
リモコン側制御回路24は、ステップ120でこのデータを受信すると(図4のステップ220参照)、続いてステップ130で、受信したデータ(すなわち、複数段階分のメニュー画像に対応する操作項目の情報)中の階層構造に従い、車両用ナビゲーション装置1と同様の段階的かつインタラクティブな表示および操作受付の処理を行う。すなわち、階層的に関連付けられたメニュー画像群を、ユーザの操作内容に応じて段階的に表示していくことで、ナビ側制御回路17は、ユーザの操作内容に応じて段階的に、受付可能な操作項目を提示していく。
【0055】
例えば、リモコン側制御回路24は、まず、入力方法受付画像に対応する操作項目の情報に基づいて、当該操作項目に対する操作を受け付けるための受付画像を表示部22に表示させる(ステップ225参照)。
【0056】
この受付画像は、当該操作項目の情報に含まれるボタン画像の名称情報および関連付け情報を再現するものとなっている。すなわち、元のメニュー画像と同じインタラクティブ特性を有している。ここで、インタラクティブ特性とは、複数段階分の操作項目について、どの段階のどの操作項目を選択すればどの段階の操作項目の画像が表示されるかについての特性をいう。したがって、この受付画像中は、ユーザが操作部23を用いて選択可能な選択用画像を含み、それら選択用画像は、上述のボタン画像に1対1に対応する。
【0057】
そして、それら選択用画像がユーザによって選択されると、当該選択用画像に関連付けられた次の階層のメニュー画像に対応する操作項目の情報に従って、当該メニュー画像と同じインタラクティブ特性を有する受付画像を表示する。このような表示及び操作受付をステップ120で受信したデータに含まれる階層構造の範囲内で順次行っていくことで、ナビ側制御回路17は、例えば、目的地候補の名称、目的地候補の電話番号、目的地の位置情報等を決定する。
【0058】
このように、車両用ナビゲーション装置1と同様のインタラクティブ特性の表示を、遠隔操作装置2において、車両用ナビゲーション装置1とは独立に、実施することができる。すなわち、目的地候補を一意に決定できる情報の決定までのインタラクティブな一連の処理を、車両用ナビゲーション装置1ですべて実施する。この間、車両用ナビゲーション装置1と遠隔操作装置2との間で通信は行われないので、遠隔操作装置2の画像表示装置12における表示内容は変化しないままである。
【0059】
なお、車両用ナビゲーション装置1側では、操作部13のタッチパネルやメカニカルスイッチを用いてメニュー画像中のボタン画像を選択できるようになっているが、遠隔操作装置2側では、操作部23の構成が必ずしも操作部13の構成と同じでないため、車両用ナビゲーション装置1と全く同一な操作方法がとれない場合が多い。例えば、遠隔操作装置2が携帯電話機である場合は、タッチパネルを有していない場合が多い。そのような場合は、リモコン側制御回路24は、ユーザが操作部23中の数字キーまたは矢印キーを押下することに基づいて表示画像中のポインタアイコンを移動することで、受付画像中の選択用画像の選択先を切り替えるようになっていてもよい。
【0060】
また、遠隔操作装置2の操作部23がタッチパネルを有している場合は、受付画像中に車両用ナビゲーション装置1のメカニカルスイッチを、車両用ナビゲーション装置1における配置と同じ配置で、表示するようになっていてもよい。この場合、受付画像中のメカニカルスイッチの画像も、選択用画像となる。
【0061】
続いてステップ140では、階層的な受付画像に対するユーザの段階的な操作の進行の結果(すなわち、複数段階分の受付画像の表示を経てユーザの操作を受け付けた結果)最終的に特定された情報を示す信号として、目的地候補の識別情報(名称、電話番号、位置等)を、車内無線部21を用いて、車両用ナビゲーション装置1に送信する(ステップ235参照)。このように送信する目的地候補の情報には、目的地の地図を要求する信号を含める、したがって、ここで送信する信号は、車両用ナビゲーション装置1を遠隔操作するための信号に相当する。
【0062】
ステップ140の後、リモコン側制御回路24は、再度ステップ110で、現在無線接続中であるか否かの判定を行い、接続中である場合は、続いてステップ120でデータ受信を待つ。
【0063】
遠隔操作のための信号を遠隔操作装置2から受信したナビ側制御回路17は、受信した目的地候補の識別情報に基づいて、目的地候補を特定し、地図データ取得部16から、地図データのうち、特定した目的地を含む所定範囲(例えば目的地候補を中心とする5キロメートル四方の範囲)の部分を抽出し、さらに、この目的地候補を目的地として確定するか否かの決定を受け付ける確定ボタン画像についての情報を作成し、これら部分地図画像と、確定ボタン画像についての情報を、操作項目の情報として、1つにまとめ(ステップ330)、まとめたデータを遠隔操作装置2に送信する(ステップ340)。
【0064】
リモコン側制御回路24は、ステップ120でこのデータを受信すると、続いてステップ130で、受信した部分地図画像および確定ボタン画像についての情報(操作項目の情報の一例に相当する)に基づく受付画像を、表示部22に表示させる(ステップ240参照)。具体的には、部分地図画像を表示部22に表示させ、さらに、確定ボタン画像に相当する選択用画像を、部分地図画像に重畳させる形式で、表示部22に表示させる。
【0065】
さらにステップ130では、この確定ボタン画像に相当する選択用画像に対して操作部23を用いた選択操作があるまで待ち、選択操作があると、当該目的地候補を目的地として確定し(ステップ245参照)、続いてステップ140で、確定した目的地の識別情報を、車両用ナビゲーション装置1に送信する(ステップ250参照)。この確定した目的地の識別情報は、車載表示装置を遠隔操作するための信号である。
【0066】
ステップ140の後、リモコン側制御回路24は、再度ステップ110で、現在無線接続中であるか否かの判定を行い、接続中である場合は、続いてステップ120でデータ受信を待つ。
【0067】
確定した目的地の識別情報を受信したナビ側制御回路17は、現在位置から当該目的地までの案内経路を算出し(ステップ360)、算出した案内経路の情報と、案内開始の指示を受け付けるための案内開始ボタン画像を、画像表示装置12に表示させ(ステップ370)当該案内経路の情報、および、案内開始ボタン画像の情報を、操作項目の情報として、遠隔操作装置2に送信する(ステップ380)。
【0068】
リモコン側制御回路24は、ステップ120で送信された情報を受信すると、続いてステップ130で、受信した案内経路の情報および案内開始ボタン画像についての情報に基づく受付画像を、表示部22に表示させる(ステップ260参照)。具体的には、案内経路を示す画像を表示部22に表示させ、さらに、案内開始ボタン画像に相当する選択用画像を、案内経路の画像に重畳させる形式で、表示部22に表示させる。
【0069】
さらにステップ130では、この案内開始ボタン画像に相当する選択用画像に対して操作部23を用いた選択操作があるまで待ち、選択操作があると、続いてステップ140で、当該案内を開始する旨の信号を、車両用ナビゲーション装置1に送信する(ステップ270参照)。この案内開始の旨の信号は、車載表示装置を遠隔操作するための信号である。
【0070】
案内開始の旨の信号を受信したナビ側制御回路17は、現在の案内経路に基づく経路案内処理を開始する(ステップ390)。
【0071】
なお、ステップ110では、現在無線接続中でないと判定した場合、リモコン側制御回路24は、続いてステップ150で、車両用ナビゲーション装置1から受信した画像(ボタン画像、地図画像等)のすべてを、リモコン側制御回路24のRAMから(およびその他の書き換え可能な記憶媒体のすべてから)消去するようになっていてもよい。
【0072】
このようになっていることで、車両用ナビゲーション装置1から遠隔操作装置2に送信される画面表示用の画像(地図画像、ボタン画像等)が著作権で保護されている画像であったとしても、車両用ナビゲーション装置1と遠隔操作装置2との接続が途切れた場合に、遠隔操作装置2において当該画像が消去されるので、当該画像が遠隔操作装置2と共に車両外部に持ち出されてしまう恐れがなくなる。
【0073】
以上説明した通り、遠隔操作装置2は、車両用ナビゲーション装置1が提示する操作項目の情報を、当該車両用ナビゲーション装置1から受信し(ステップ120参照)、受信した当該情報に基づいて、当該操作項目に対する操作を受け付けるための受付画像をユーザに表示する(ステップ130参照)。さらに遠隔操作装置2は、受付画像を利用した遠隔操作装置2に対するユーザの操作内容に基づいて、車両用ナビゲーション装置1を遠隔操作するための信号を、車両用ナビゲーション装置1に送信する(ステップ140参照)。
【0074】
また、車両用ナビゲーション装置1は、車両用ナビゲーション装置1が提示する操作項目の情報を、遠隔操作装置2に送信し(ステップ320、340、380参照),送信した当該情報の応答として遠隔操作装置2から送信された遠隔操作のための信号を受信し、受信した信号に従った各種処理を行うようになっている(ステップ330、360、390参照)。
【0075】
このようになっていることで、ユーザは、遠隔操作装置2において表示された受付画像を利用することで、自分がどのような操作項目についての操作を行っているかを把握しながら作業を行うことができるので、車両用ナビゲーション装置1の表示画面を見る必要なく車両用ナビゲーション装置1を遠隔操作することができる。
【0076】
また、車両用ナビゲーション装置1は、当該操作項目の情報として、遠隔操作装置2のユーザの操作の進行に応じて段階的に提示する操作項目を複数段階分まとめて、遠隔操作装置2に送信するようになっており、遠隔操作装置2は、受信した当該複数段階分の操作項目の情報に従い、ユーザの操作の進行に応じて段階的に受付画像をユーザに表示し、当該複数段階分の受付画像の表示を経てユーザの操作を受け付けた結果を示す信号を、車両用ナビゲーション装置1を遠隔操作するための信号として、車両用ナビゲーション装置1に送信するようになっている(ステップ220〜235参照)。
【0077】
このように、遠隔操作装置2は、車両用ナビゲーション装置1から複数段階分の操作項目をまとめて受信するので、遠隔操作装置2を1回操作する度に遠隔操作装置2と車両用ナビゲーション装置1との間でデータの授受が発生する必要がなくなるので、遠隔操作装置2における処理が迅速化し、ユーザがストレスを感じる可能性が低減される。
【0078】
また、車両用ナビゲーション装置1は、地図データについては、当該地図データの一部を特定することが可能な信号(具体的には、目的地という特定の地点を示す地図データ要求信号)を遠隔操作装置2から受けるまで、操作項目の情報として送信することを待ち、地図データの一部を特定することが可能な信号を遠隔操作装置2から受けたことに基づいて(ステップ330参照)、当該地図データのうち特定した一部を、操作項目の情報の一部として遠隔操作装置2に送信するようになっている(ステップ340参照)。
【0079】
このように、地図データのようなサイズの大きいデータについては、一度にまとめて送信してしまうのではなく、必要時のその都度必要な分だけ遠隔操作装置2に送信することで、実際には使われない地図データを無駄に送信してしまった結果、通信時間および通信料の無駄遣いが発生してしまう可能性を低減することができる。
【0080】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0081】
例えば、上記実施形態においては、「車両用ナビゲーション装置1が提示する操作項目の情報」として、目的地設定のための階層構造のメニュー画像の情報、部分地図画像および確認ボタンの画像の情報、案内経路情報および経路案内開始ボタンの画像の情報等が例示されているが、このようなものに、限らず、ユーザの操作を受け付けるための操作項目の情報であれば、どのようなものでもよい。例えば、地図を描画するためのデータ、交通情報のデータ、ラジオ局やテレビ局についてのデータが操作項目の情報に含まれていてもよい。また、車両用ナビゲーション装置1がCD、HDD等の記憶媒体に楽曲データを記憶している場合は、当該記憶媒体に入っている楽曲名データのデータを、ユーザに再生楽曲を1つ選択させるための操作項目データとして、送信するようになっていてもよい。
【0082】
また、楽曲再生等のオーディオ操作においても、ナビ側制御回路17は、車両用ナビゲーション装置1から受けた階層構造の複数段階のメニュー画像についての操作項目の情報を受信し、それら複数段階のメニュー画像を、ユーザの操作部23に対する操作に応じて段階的に表示部22に表示することで、表示画面を遷移させ、その階層構造のすべての操作が完了した時点で、車両用ナビゲーション装置1に操作結果の信号(例えば、特定の楽曲を再生させる旨の指令)を送信するようになっていてもよい。
【0083】
また、車両用ナビゲーション装置1は、複数段階のメニュー画像についての操作項目の情報としてまとめて送信するデータのサイズの上限を定め、その上限の範囲内のデータは一度に送信し、上限以上のサイズのデータは複数回に分割して送信するようになっていてもよい。
【0084】
そして、分割して車両用ナビゲーション装置1から遠隔操作装置2に送信した場合、最初に送信されたデータの範囲を超えたメニュー画像に遷移するような操作をユーザが操作部23に対して行った場合、リモコン側制御回路24は、追加のメニュー画像についての操作項目のデータを車両用ナビゲーション装置1に要求し、車両用ナビゲーション装置1は、要求されたデータを遠隔操作装置2に送信するようになっていてもよい。その場合は、最初に遠隔操作装置2が受信した操作項目のデータは消去するようになっていてもよい。
【0085】
また、リモコン側制御回路24は、車両用ナビゲーション装置1と遠隔操作装置2とが接続しているか否かの判定を、車両用ナビゲーション装置1に送信を行う度に実行しているが、この判定は、定期的(例えば10秒毎に)に実行するようになっていてもよい。
【0086】
また、上記の実施形態において、制御回路17、24がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【0087】
また、本発明の車載表示装置は、車両用ナビゲーション装置1である必要はなく、オーディオ装置でもよいし、テレビ受像機でもよい。すんわち、インタラクティブな方法で、ユーザの操作および遠隔操作を受け付けるような車載表示装置であれば、どのようなものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1の構成図である。
【図2】遠隔操作装置2の構成図である。
【図3】遠隔操作装置2が実行するプログラム100のフローチャートである。
【図4】案内経路設定処理における車両用ナビゲーション装置1および遠隔操作装置2の作動例を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0089】
1 車両用ナビゲーション装置
2 遠隔操作装置
11 位置検出器
12 画像表示装置
13 操作部
14 スピーカ
15 車内無線部
16 地図データ取得部
17 ナビ側制御回路
21 車内無線部
22 表示部
23 操作部
24 リモコン側制御回路
100 プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載表示装置(1)用の遠隔操作装置であって、
前記車載表示装置(1)が提示する操作項目の情報を、前記車載表示装置(1)から受信する受信手段(120)と、
前記受信手段(120)が受信した前記情報に基づいて、前記操作項目に対する操作を受け付けるための受付画像をユーザに表示する表示手段(130)と、
前記受付画像を利用したユーザの操作内容に基づいて、前記車載表示装置(1)を遠隔操作するための信号を、前記車載表示装置(1)に送信する送信手段(140)と、を備えた遠隔操作装置。
【請求項2】
前記受信手段(120)は、前記操作項目の情報の一部として、画面表示用の画像を受信して記憶媒体に記録し、
当該遠隔操作装置は、
前記車載表示装置(1)との接続の有無を繰り返し判定する判定手段(110)と、
前記車載表示装置(1)と接続していないと前記確認手段(110)が判定したことに基づいて、受信された前記画面表示用の画像を前記記憶媒体から消去する消去手段(150)と、を有することを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項3】
前記受信手段(120)は、前記操作項目の情報として、ユーザの操作の進行に応じて段階的に提示する操作項目を複数段階分まとめて受信し、
前記表示手段(130)は、前記受信手段(120)が受信した前記複数段階分の操作項目の情報に従い、ユーザの操作の進行に応じて段階的に受付画像をユーザに表示し、
前記送信手段(140)は、前記複数段階分の受付画像の表示を経てユーザの操作を受け付けた結果を示す信号を、前記車載表示装置(1)を遠隔操作するための信号として、前記車載表示装置(1)に送信することを特徴とする請求項1または2に記載の遠隔操作装置。
【請求項4】
遠隔操作装置(2)によって遠隔操作される車載表示装置であって、
当該車載表示装置が提示する操作項目の情報を、前記遠隔操作装置(2)に送信することで、当該操作項目の情報を前記遠隔操作装置(2)に画像表示させる送信手段(320、340、380)と、
前記送信手段(320、340、380)が送信した前記情報の応答として前記遠隔操作装置(2)から送信された遠隔操作のための信号を受信し、受信した信号に従った処理を行う処理手段(330、360、390)と、を備えた車載表示装置。
【請求項5】
前記送信手段(320、340、380)は、前記操作項目の情報として、前記遠隔操作装置(2)のユーザの操作の進行に応じて段階的に提示する操作項目を複数段階分まとめて前記遠隔操作装置(2)に送信することを特徴とする請求項4に記載の車載表示装置。
【請求項6】
前記送信手段(340)は、地図データについては、当該地図データの一部を特定することが可能な信号を遠隔操作装置から受けるまで、前記操作項目の情報として送信することを待ち、前記地図データの一部を特定することが可能な信号を遠隔操作装置から受けたことに基づいて、前記地図データのうち特定した一部を、前記操作項目の情報の一部として遠隔操作装置(2)に送信することを特徴とする請求項5に記載の車載表示装置。
【請求項7】
車載表示装置(1)用の遠隔操作装置に用いるプログラムであって、
前記車載表示装置(1)が提示する操作項目の情報を、前記車載表示装置(1)から受信する受信手段(120)、
前記受信手段(120)が受信した前記情報に基づいて、前記操作項目に対する操作を受け付けるための受付画像をユーザに表示する表示手段(130)、および
前記受付画像を利用したユーザの操作内容に基づいて、前記車載表示装置(1)を遠隔操作するための信号を、前記車載表示装置(1)に送信する送信手段(140)として、コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項8】
遠隔操作装置(2)によって遠隔操作される車載表示装置に用いるプログラムであって、
当該車載表示装置が提示する操作項目の情報を、前記遠隔操作装置(2)に送信することで、当該操作項目の情報を前記遠隔操作装置(2)に画像表示させる送信手段(320、340、380)、および
前記送信手段(320、340、380)が送信した前記情報の応答として前記遠隔操作装置(2)から送信された遠隔操作のための信号を受信し、受信した信号に従った処理を行う処理手段(330、360、390)として、コンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−236667(P2009−236667A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82748(P2008−82748)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】