説明

連続減圧乾燥/炭化装置

【課題】含液(有機)廃棄物を乾燥、さらには、適宜炭化するに際して、乾燥/炭化処理を一つの装置で、連続的に効率良く、しかも、高品質の炭化物を得ることができる新規な連続減圧乾燥/炭化装置を提供すること。
【解決手段】乾燥/炭化室14と、加熱炉12とを備えた連続減圧乾燥/炭化装置。乾燥/炭化室14には、該乾燥/炭化室14内を減圧するとともに発生蒸気を吸引排出するエジェクタ等の減圧装置20が接続されている。さらに、乾燥/炭化室14は、加熱炉12内に主体が配設される相互に連通接続された複数本のスクリュー混練機24、24A、24Bで形成されている。そして、乾燥/炭化室14内へは、原料供給装置16から搬送されてくる原料が下方から自己シール可能に供給されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機質又は無機質の含液被処理物を乾燥、前者の場合は、さらには炭化(乾留)も同時的に行うことができる新規な減圧乾燥/炭化装置に関し、特に、含液有機廃棄物を乾燥/炭化処理をするに好適なものである。
【0002】
ここで、含液有機廃棄物としては、各種汚泥、人糞、家畜糞尿、オカラ、生ごみ、食品残渣、木質系/プラスチック系/ゴム系廃棄物等の有機物系廃棄物のみならず、包帯、ガーゼ、オムツ等の医療廃棄物その他の含液有機廃棄物を含むものである。
【0003】
ここでは、被処理物として、含液有機廃棄物を例に採り説明するが、含液有機廃棄物に限定されるものではない。
【背景技術】
【0004】
従来の乾燥炭化装置は、乾燥炉と炭化炉が分離されていたり、ガス冷却塔やバグフィルターを必要としたりして、装置が複雑でトラブルも多く処理品もよいものが得られなかった。炭化機には、一部原料を燃やして蒸し焼きにする方法もあるが、これは灰が多く出ることになり、良質な炭(乾留物)を得難い。
【0005】
各種汚泥、人糞、家畜糞尿、オカラ、生ごみ、食品残渣等の有機廃棄物は、乾燥処理して肥料等に再利用できるが、他の木質系/プラスチック系/ゴム系廃棄物や上記医療廃棄物は、そのような形での再利用はできない。
【0006】
そこで、それらを一緒に炭化することが考えられる。このため、有機物の炭化装置が各種市場に出回っている、すなわち、上市されている。
【0007】
しかし、これらの炭化装置は、含水廃棄物においては、脱水・乾燥処理手段(乾燥装置)と乾留手段(炭化装置)は別手段としたもので、乾燥装置と乾留(炭化)装置の双方が必要であった。また、通常、ガス冷却塔やバグフィルターを必要とし、装置が複雑で、処理品(炭化物又は乾留物)として品質の良いものを得難かった。
【0008】
なお、炭化装置では、被処理物の一部を燃焼させて、蒸し焼きにする方法であるが、これは、灰が多く出て、やはり、品質の良い炭化物を得難かった。
【0009】
これらの技術は、本発明者が、現場や他社製品を見聞したものを述べたものであり、特定に先行技術文献に記載されたものではない。
【0010】
なお、本発明の発明性に影響を与えるものではないが、本発明の減圧乾燥/炭化装置に関連する先行技術文献として、本発明者自身が先に提案した特許文献1〜3等が存在する。
【特許文献1】特開2000−320967号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】特開2004−66216号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献3】特開2004−243281号公報(特許請求の範囲等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記にかんがみて、含液(有機)廃棄物を乾燥、さらには、適宜炭化するに際して、乾燥/炭化処理を一つの装置で、連続的に効率良く、しかも、高品質の炭化物を得ることができる新規な連続減圧乾燥/炭化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の連続減圧乾燥/炭化装置は、上記課題を下記構成により解決するものである。
【0013】
乾燥/炭化室と、加熱炉とを備え、
前記乾燥/炭化室には、該乾燥/炭化室内を減圧するとともに発生蒸気を吸引排出する減圧手段が接続され、また、前記乾燥/炭化室は、前記加熱炉内に主体が配設される一本の又は相互に連通接続された複数本のスクリュー混練機(以下「混練機」という。)で形成されていることを特徴とする。
【0014】
乾燥/炭化室が減圧されるとともに、一本又は複数本のスクリュウー混練機の主体を加熱炉内に配することにより、連続減圧乾燥/炭化が可能となる。すなわち、混練機の本数及び乾燥/炭化室内の減圧度及び加熱炉の加熱手段の出力(火力)を調節することにより、原料及び製品の要求品質に対応が容易となる。
【0015】
上記構成において、乾燥/炭化室の原料供給口(原料供給側の混練機の入口)の開口方向を下向きに形成し、該原料供給口に上向きに押出し供給可能に原料供給手段を接続する構成とすることが望ましい。
【0016】
原料供給口において原料の自重による自己シールが可能となり、原料供給口に特別なシール機構が不要となる。したがって、乾燥/炭化室の減圧の達成が容易となる。
【0017】
前記原料供給手段を、スクリュー型でその押出口を上向きに備えている構成とすることが、望ましい。スクリュー内を密充填させて移動させることにより、更にシール性を確保し易くなる。
【0018】
上記各構成において、混練機における上側周壁に沿って蒸気導出空間を形成することが望ましい。特に、乾燥/炭化室の原料供給口を備えた第一混練機においては、湿り度の高い(液滴の多い)蒸気が発生するため効率よく乾燥/炭化室から排出することができる。
【0019】
そして、前記加熱炉が加熱媒体(流体)接触タイプとし、前記乾燥/炭化室を形成する複数本の混練機を、前記加熱媒体の流れに対して交差して配するとともに、蛇行流を発生させるようにジグザグ状に配した構成とすることが望ましい。加熱媒体が蛇行流となって撹乱されるため、加熱(伝熱)効率の向上が期待できる。
【0020】
前記加熱炉内に加熱手段としての燃焼装置のバーナ(火口)を配するとともに、該火口の近傍に指向する蒸気噴出ノズルを配し、該蒸気噴出ノズルと蒸気導出空間とを前記減圧手段を備えた蒸気排出配管を介して接続させる構成とすることが望ましい。
【0021】
当該構成とすることにより、乾燥/炭化室で発生する蒸気(乾留ガスを含む。)を、特別な浄化手段を必要とせずに、燃焼熱により加熱処理することにより無害化して、加熱炉の排気口から排出させることができる。
【0022】
上記構成において減圧手段(真空ポンプ)を気体エジェクタとすることが望ましい。機械式真空ポンプに比してメンテナンスが容易で、且つ、乾燥/炭化室から吸引するガス体が凝縮性であっても、対応可能である。
【0023】
また、生物学的槽本体の処理浴に没して発生蒸気の排出先端口が配され、該排出先端口と前記蒸気導出空間とが減圧手段(真空ポンプ)を備えた吸引配管を介して接続する構成とすることもできる。当該構成とした場合は、上記構成において、燃焼処理ができない発生蒸気にも対応可能となる。
【0024】
上記構成において、減圧手段を、液体を第一流体とする液体エジェクタであり、該液体エジェクタのディフューザを生物学的槽本体の液面直下に臨んで配するとともに、該液体エジェクタの吸引口と蒸気導出空間とが前記吸引配管を介して接続して、ディフューザを発生蒸気の排出先端口とする構成が望ましい。液体エジェクタを使用することにより、前記同様、機械式真空ポンプに比してメンテナンスが容易で、且つ、乾燥/炭化室から吸引するガス体が凝縮性であっても、対応可能である。
【発明を実施するための(最良の)形態】
【0025】
本発明における実施形態の一つを、主として図1に基づいて説明する。ここでは、説明の簡便のため、乾燥/炭化室が、上下に一列に配された3本のスクリュー混練機からなる場合を例に採り説明する。以下、単に「混練機」というときは、特に断らない限りスクリュー混練機を意味する。
【0026】
なお、併せて、上下に一列に配された3本のスクリュー混練機を3列に配した場合の構成を図2に示してその説明を適宜行う。同一部分については、同一図符号を付して、それらの説明の全部又は一部を省略する。
【0027】
また、「乾燥/炭化室」とは、通常、原料の乾燥に続いて炭化を連続的に行う室を意味するが、原料及び/又は製品によっては、乾燥室のみ、又は、炭化室(乾留室)のみの各機能を有する場合も含まれる。
【0028】
本実施形態の減圧乾燥/炭化装置は、加熱炉12と、該加熱炉12に主体が内設される乾燥/炭化室14とを備え、該乾燥/炭化室14に原料を供給する原料供給装置(原料供給手段)16、該乾燥/炭化室14から製品を取り出す製品排出装置(原料排出手段)18、及び乾燥/炭化室14内を減圧とする減圧装置(減圧手段)20とが付設された基本構成を備えている。
【0029】
(1)加熱炉12は、本実施形態では、燃焼装置22を備えた燃焼加熱炉である。燃焼加熱は、乾燥/炭化室14を形成する後述の混練機24の筒壁に対して、熱気(熱風)からの伝導伝熱とともに熱線による放射伝熱の双方が期待でき高温加熱が容易である。
【0030】
加熱炉12は、矩形箱部の上部で形成される加熱帯(加熱ゾーン)26と、矩形箱部の下部にその側壁を突出させて形成される熱源帯(熱源ゾーン)28とを備えている。そして、加熱帯26の側壁突出部には燃焼装置22のバーナ(火口)22aが配されている。
【0031】
熱源ゾーン28には、炉内温度を検知してバーナ出力を調節可能に炉内温度センサ(図示せず)が適宜配設されている。
【0032】
なお、バーナ(火口)22aの本数は、図2のように、混練機24を上下方向で3列とする場合は、3本とする。燃焼装置22の燃料は、灯油、重油、都市ガス、LPG等、さらには微粉炭など任意である。
【0033】
ここでは、加熱手段は、燃焼装置としたが、蒸気(スチーム)加熱や電熱加熱(電気炉方式も含む。)でもよく、また、後述の乾燥/炭化室14を形成する混練機24を直接誘導加熱でもよく、さらには、それらを適宜、組み合わせたものでもよい。
【0034】
当然、この加熱炉12の本体は、断熱材12aで囲繞されている。ここで、加熱炉12の本体は、通常、耐熱性ステンレス鋼で形成し、断熱材12aは、セラミックファイバー耐火材、珪酸カルシウム保温材、ロックウール保温材等が、軽量であり施工に適している。なお、耐火レンガ又は耐火キャスタでもよいが重量が増加する。
【0035】
(2)乾燥/炭化室14は、上下方向に、それぞれ出口及び入口が連通管34を介して接続された複数本のスクリュー混練機24、24A、24Bで形成されている。混練機の本数は図例では、3本とされているが、図2に示す如く、3本一組として3列の並列構成としてもよい。また、このとき、混練機24、24A、24Bの上下方向の配置は、ジグザグ(千鳥足)状又は平面投影としたとき可及的に相互に重ならないようにすることが望ましい(図2参照)。対流伝熱の流れを蛇行流とすることができるとともに、放射伝熱も熱源ゾーン28に対して前側に位置する混練機24が後側の混練機24A、24Bに対する放射伝熱の阻害率が小さくなって、全体として伝熱効率が向上する。
【0036】
そして、各混練機24、24A、24Bにおける混練筒体25は、その両端部が加熱炉12の加熱帯26の両側壁から突出させて保持されている。
【0037】
そして、筒体の断面形状は、円形であるが、混練機24、24A、24Bのスクリュー羽根30が下面側で摺動回転可能なU字型断面(トラフ部)を有するものであれば、上方断面形状は、特に限定されず、下方開口の矩形断面であってもよい。
【0038】
そして、本実施形態では、発生蒸気の乾燥/炭化室(混練機)からの排出を容易とするために、スクリュー羽根30を混練筒体に対して下方へ遍在(偏心)させて配することにより、スクリュー羽根の上側に蒸気導出空間25cが形成されている(図3参照)。
【0039】
また、スクリュー羽根の形状は、汎用のものに図例のものに限られず、図4(a)、(b)に示す如く、刃先を軸部まで切欠いたもの30A又は部分的に切り欠いたもの30Bも使用できる。これらの形状の場合は、原料に対して混練と同時に、剪断作用を付加でき、原料中の固形物を細断でき、加熱効率ひいては乾燥・炭化効率の向上が期待できる。
【0040】
スクリュー羽根30(30A、30B)のピッチは、羽根径と略同一とするが、原料の種類により、ピッチをそれより狭くしたり広くしたりすることができ、さらには、ピッチを漸減することも可能である。
【0041】
さらに、混練機24(24A、24B)は、一軸タイプに限定されず、二軸、三軸等の多軸タイプでもよい。
【0042】
また、軸部30aは、混練筒体(筒体)25の両端に軸封装置(フェルトパッキンやグランドパッキン)を介して回転可能に保持されている。そして、各軸部30aの一端には、減速機付きモータ23が取付けられている。各減速機付きモータ23は、インバータ方式で、回転速度を制御可能とされている。そして、回転速度を制御することにより、各混練機24、24A、24B内の原料搬送量・滞留時間を調節可能となっている。
【0043】
また、加熱炉12のバーナ設置側の側壁から突出した各混練筒体25の端部上側には発生蒸気出口25aが形成されている。
【0044】
同じく、加熱炉12の側壁から突出した搬送方向終点側の端壁には、上記原料搬送量・滞留時間の調節因子の一つである温度を検知する温度センサ32が取付けられている。
【0045】
なお、混練機24の混練筒体25及びスクリュー羽根30は、耐熱性を有するステンレス鋼等で形成する。
【0046】
各列の上段(第1段)・中段(第2段)・下段(第3段)の各混練機24、24Aは、搬送方向終点側に形成された出口が、後段側(下側)の混練機24A、24Bの入口と連通管34を介してシール接続されている。
【0047】
なお、各混練機24、24A、24Bの出口(連通管34)手前には、材料のショートパス(短絡流れ)を防止するため堰(ダム)36を設けることが望ましい(図1(A)参照)。該堰36の高さは、原料(被搬送物)が乗り越え可能な高さとする。該堰36の搬送方向断面は、図例の如く板状でもよいが、軸方向断面瘤状でもよい。
【0048】
混練筒体25内径、150〜300mmφの場合、堰36の高さは、内径の1/10〜1/5とする。
【0049】
本実施形態では、乾燥/炭化室14の原料供給口14a、すなわち、第一段混練機24の入口の開口方向が斜め下方とされている。該原料供給口14aの開口方向の筒体軸線に対する角度αは、30〜80℃の範囲とする。α:90°では、原料供給(原料送り込み)が若干困難となり、30°より小さいと、原料供給に際して、原料自体の自重による自己シール性を確保し難くなる。なお、α:90°近傍とするときは、先絞りのテーパ状とすれば原料供給が容易となる。
【0050】
(3)原料供給装置(原料供給手段)16は、原料ホッパ38と原料ホッパ38の底部に付設された供給用スクリューコンベヤ(原料送り込み手段)40とを備えた構成である。原料ホッパ38は、投入原料を粉砕・混合する水平型攪拌機42を備えている。ここで、図2に示す如く、複数列(3列)構成とする場合は、それに対応させた本数(3本)のスクリューコンベヤ40を配設する。
【0051】
上記水平型攪拌機42及びスクリューコンベヤ40も、インバータ方式の減速機付きモータ23A、23Bで回転速度調節可能に駆動されるようになっている。
【0052】
ここで、原料供給装置16の送り込み手段は、スクリューコンベヤに限られず、プランジャ−方式でもよい。また、プランジャー方式とするときは、スクリューコンベヤのスクリューをフルフライト型とせずに、トーピード型とすることが望ましい。
【0053】
そして、スクリューコンベヤ40の出口は、第一混練機24の入口(原料供給口)14aに対応させて開口方向が斜め上方とされて、原料供給口14aと密閉的に接続されている。
【0054】
(4)製品排出装置(原料排出手段)18は、排出用スクリューコンベヤ44で形成されている。該コンベヤ本体(シリンダー)は冷却ジャケット46を備えている。製品(処理済み品:乾燥/炭化処理品)を冷却して排出するためである。該スクリューコンベヤ44の入口は、乾燥/炭化室14の製品排出口14a、すなわち、第三混練機24Bの出口と密閉接続されている。一方、該スクリューコンベヤ44の出口は、乾燥/炭化室14の減圧状態を維持する(空気流入を防ぐ)ために、連続排出可能なロータリバルブ(シール機構:シール手段)48が配されている。該シール機構としては、ダブルダンパ等であってもよい。
【0055】
なお、上記スクリューコンベヤ44も、インバータ方式の減速機付きモータ23Cで回転速度調節可能に駆動されるようになっている。
【0056】
(5)減圧装置は、本実施形態では、エアエジェクタ20である。該エジェクタ20は、前記熱気発生部のバーナ近傍に臨んでディフューザ20aの吐出口が取付けられ、該エジェクタ20の第一流体流入口20bは第一流体用ブロア50の吐出口が接続されている。そして、第二流体入口(吸引口)20bには、各混練機24(24A、24B)の前記排気口25aからの排気用の支流水平配管52が、本流垂直配管54に取付けられ、該本流垂直配管54は各エジェクタ20の吸引口(第二流入口)20cに接続されている。
【0057】
なお、高含液物を被処理物(原料)とするときは、混練機24の排気口25aからの排出蒸気中の湿り度が高いため、凝縮器(コンデンサ)55及び気液分離器57を配したバイパス配管59に導入後、該凝縮器55で水回収ないし溶剤回収した後、本流垂直配管54に戻してもよい(図2参照)。液滴(水分)の回収をすることにより、加熱炉12を冷やすことがなく、さらには、溶剤や木酢液等の有価物の回収が可能となる。
【0058】
次に、上記実施形態の使用態様について、説明をする。
【0059】
先ず、燃焼装置22並びに原料ホッパ38内の水平型攪拌機42及びスクリューコンベヤ40の各運転を開始させる。原料ホッパ38に原料(被処理品)を投入後、スクリュ−コンベヤ40により、原料が乾燥/炭化室14の原料供給口(上段混練機24の入口)14aを完全に塞ぐまで原料を搬送後、スクリューコンベヤ40を一時停止させる。
【0060】
この状態で、原料搬送用のエジェクタ用ブロア50及び燃焼装置22の運転を開始させる。すると、加熱炉12内で熱気を発生して、各混練筒体25が加熱されるとともに、エジェクタ20の吸引作用で、各混練筒体25内が減圧される。
【0061】
なお、上記において、水平型攪拌機42及びスクリューコンベヤ44の運転開始とともにエジェクタ用ブロア50及び燃焼装置22の運転を同時開始させてもよい。この場合は、原料が乾燥/炭化室14の原料供給口14aを塞ぐまで、減圧がほとんど行われない。
【0062】
続いて、各混練機24、24A、24B及び製品排出装置18の運転を開始させる。混練筒体25内で、原料はスクリュー羽根30で混練されながら、上段混練機24、中段混練機24A、下段混練機24Bと順次搬送される。このとき、混練機24(24A、24B)の回転速度は、原料及び製品の要求品質により異なるが、通常、1〜30min-1とする。
【0063】
このとき、各混練機24の筒体25壁は熱気で加熱されまた筒体25内は減圧されているため、原料中に含まれている液成分(通常水)が蒸発して乾燥さらには炭化される。
【0064】
このとき、原料の種類及び製品(プロダクト)の要求品質に対応して、乾燥/炭化室14への供給量及び各混練機24における原料搬送速度(滞留時間)並びに各混練機24、24A、24Bの温度を調節する。
【0065】
この原料供給量の調節は、第一スクリューコンベヤ40の減速機付きモータ23Bの回転速度により、原料搬送速度の調節は各混練機24、24A、24Bにおける各減速機付きモータ23の回転速度の調節により、また、各混練機24、24A、24Bの温度調節は、燃焼装置22の燃料供給量(ガス供給量)の調節により行う。
【0066】
これらの調節は、通常、混練機24(24A、24B)における温度センサ32で温度を検知しながら連動させて行う。すなわち、温度が設定値から外れる(高すぎる又は低すぎる)ときは、原料供給量、搬送速度及び燃料供給量の一つ又は二つ以上を調節することにより行う。
【0067】
そして、要求品質に適合するように乾燥/炭化が完了した製品(処理済み品:プロダクト)は、製品排出装置18の排出用スクリューコンベヤ(第二スクリューコンベヤ)44のスクリュー搬送部に送りこまれ、該スクリュー搬送部で冷却されながら、ロータリバルブ48を介して製品回収箱49に回収される。
【0068】
上記において、炭素質系の高含水有機廃棄物を乾留処理する場合の運転条件の一例を示す。
【0069】
乾燥/炭化室14減圧度:−100〜−400mmHg
(−1.33〜−5.33kPa)
上段混練機24設定温度:90〜100℃、
中段混練機24設定温度:150〜200℃
下段混練機24設定温度:250〜300℃
全行程処理時間:300〜400min
なお、エジェクタの運転条件は、20〜150kPa、吐出量2〜20m3/minとする。
【0070】
図5に示すものは、上記実施形態において、排気ガスを、燃焼処理する代わりに、生物化学処理装置56に導入して発生蒸気の浄化処理する形態である。他は、上記実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0071】
燃焼処理の代わりに発生蒸気処理装置として生物学的処理装置56を使用する。燃焼処理に比して、湿りガスを燃焼装置に送らないため、燃焼装置の燃焼効率を低下させるおそれがない。
【0072】
該生物学的処理装置56は、槽本体58と槽本体58に配設される向流接触床60とを備えたのもので、吸引手段としてのエジェクタ20Aが配され、該エジェクタ20Aは、ディフューザ20aが槽本体58の浴液面L直下に臨むように配されている。
【0073】
そして、第一流体入り口20bが、槽本体58内の水を循環使用可能に槽本体58の下部と接続され、第一循環ポンプ62を備えたエジェクタ用循環配管64と接続されている。
【0074】
他方、第二流体入口20cは、各混練機24(24A、24B)からの発生蒸気の排出配管66と接続された吸引配管68と接続されている。なお、該吸引配管68の途中には、発生蒸気(湿り度が高い)中の有価液滴物(例えば木酢液や溶剤)を回収可能にサイクロン70が配されている。
【0075】
また、混練機24(24A、24B)からの発生蒸気が高温の場合、生物学的槽本体58の水温(液温)が生物学的処理の適温を超える場合がある。このような場合を想定して、浴温を適温に維持するために熱交換器72の高温側流路と接続されるととともに、第二循環ポンプ72を備えた冷却用循環配管76が配されている。また、熱交換器74の低温側流路は、第三循環ポンプ76及び冷却塔78を備えた冷媒用循環配管80と接続されている。
【0076】
なお、本発明の乾燥/炭化装置は、被処理物によって、乾燥装置として、又は炭化装置として、使い分けることが可能となる。
【0077】
すなわち、オカラ、野菜くずのような食品残渣等を飼料として、又は、生ごみ、汚泥等を肥料として再利用する場合は乾燥装置として使用可能である一方、飼料や肥料にはならない可燃性有機廃棄物等は、炭化装置(乾留装置)として使用できる。
【0078】
乾燥装置として使用する場合は、例えば、各混練機における筒体内の終点側の温度センサが、第一混練機24:85℃前後、第二混練機24A:90℃前後、第三混練機24B:95℃前後となるように原料供給量および搬送速度さらにはバーナ火力を調節する。このときの加熱炉12の炉内温度は、400〜500℃とする。
【0079】
そして、第三混練機24Bの出口、乾燥/炭化室14の製品排出口14bから製品排出装置18の第二スクリューコンベヤ44内で冷却されながら、ロータリバルブ48から製品(乾燥品)が排出される。当該乾燥品の含水率は、概ね7〜15%程度乾燥品(製品)となる。
【0080】
他方、乾燥/炭化装置として使用する場合は、例えば、各混練機24、24A、24Bの筒体内の終点側の温度センサが、第一混練機24:約95〜100℃、第二混練機24A:約150〜200℃、第三混練機24B:約250〜300℃となるように原料供給量および搬送速度さらにはバーナ火力を調節する。このときの加熱炉12の炉内温度は、700〜900℃とする。このような温度とした場合、蒸気中に塩素含有物が含まれていても、熱分解されてダイオキシンが発生することがない。
【0081】
原料(被処理物)が有する水分や揮発性有機質を内部から減圧して引き出すことにより、炭化の場合、賦活処理をしている状態と同じ状態になり、低温でも良好な細孔を持った炭化品(乾留品)が得られ、活性炭等としても利用が可能となる。
【0082】
また、使用済み活性炭の場合、吸着物質は有機質であるため、本発明の装置にて熱分解処理をすれば、活性炭の再生も可能となり、活性炭の再生装置としても利用できる。
【0083】
本発明装置を使用して処理を行った乾燥品は、飼料、肥料等にリサイクルすることができ、また、炭化物は、燃料、土壌改良剤、調湿剤、ろ過剤、融雪剤、堆肥等に利用することができる。
【0084】
また、二次公害を発生することなく低温での処理ができ、したがって耐久性も増大し操作が簡単で、運転技術者も不要、危険性も無く安全で、自動運転ができ、安価な装置である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の乾燥/炭化装置の一実施形態を示す正面断面概略図である。
【図2】図1の構成において3本一組の混練機を3列配した側面部分断面(一部内部表示概略図である。
【図3】図1において使用する混練機の3−3線矢視概略断面図である。
【図4】(a)、(b)は、図1において使用する混練機において、別形態のスクリュー羽根をそれぞれ備えた混練機の部分概略断面図である。
【図5】図1の実施形態において混練機からの発生蒸気を生物化学的処理装置を用いて行う場合の流れ図である。
【符号の説明】
【0086】
12・・・加熱炉
14・・・乾燥/炭化室
16・・・原料供給装置(原料供給手段)
18・・・製品排出装置(製品排出手段)
20・・・減圧装置(減圧手段)
22・・・燃焼装置
24・・・原料供給側混練機(第一混練機)
24B・・・原料排出側混練機(第二混練機)
25・・・混練筒体
26・・・加熱帯(加熱ゾーン)
28・・・熱源帯(熱源ゾーン)
56・・・生物学的処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥/炭化室と、加熱炉とを備え、
前記乾燥/炭化室には、該乾燥/炭化室内を減圧するとともに発生蒸気を吸引排出する減圧手段が接続され、また、
前記乾燥/炭化室は、前記加熱炉内に主体が配設される一本の又は相互に連通接続された複数本のスクリュー混練機(以下「混練機」という。)で形成されていることを特徴とする連続減圧乾燥/炭化装置。
【請求項2】
前記乾燥/炭化室の原料供給口となる第一混練機の入口の開口方向が下向きに形成され、該原料供給口に上向きに押出し供給可能に原料供給手段が接続されていることを特徴とする請求項1記載の連続減圧乾燥/炭化装置。
【請求項3】
前記原料供給手段が、スクリュー型でその押出口が前記第一混練機の入口に対応させて上向きに形成されていることを特徴とする請求項2記載の連続減圧乾燥/炭化装置。
【請求項4】
前記複数本の混練機のうち少なくとも第一混練機に、その上側周壁に沿って蒸気導出空間が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の連続減圧乾燥/炭化装置。
【請求項5】
前記加熱炉が加熱媒体(流体)接触タイプであり、前記乾燥/炭化室を形成する複数本の混練機が、前記加熱媒体の流れに対して交差して配されるとともに、蛇行流を発生させるようにジグザグ状に配されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の連続減圧乾燥/炭化装置。
【請求項6】
前記熱気/発生加熱炉内に燃焼装置のバーナ(火口)が配されるとともに、該火口の近傍に指向する蒸気噴出ノズルが配され、該蒸気噴出ノズルと前記蒸気導出空間とが前記減圧手段を備えた蒸気排出配管を介して接続されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の連続減圧乾燥/炭化装置。
【請求項7】
前記減圧手段が気体エジェクタであることを特徴とする請求項6記載の連続減圧乾燥/炭化装置。
【請求項8】
生物学的処理槽の処理浴に没して発生蒸気の排出先端口が配され、該排出先端口と前記蒸気導出空間とが減圧手段を備えた吸引配管を介して接続されていることを特徴とする請求項4又は5記載の連続減圧乾燥/炭化装置。
【請求項9】
前記減圧手段が液体を第一流体とする液体エジェクタであり、該液体エジェクタのディフューザが前記生物学的処理槽の液面直下に臨んで配されるとともに、該液体エジェクタの吸引口と前記蒸気導出空間とが前記吸引配管を介して接続されて、前記ディフューザが前記発生蒸気の排出先端口とされていることを特徴とする請求項8記載の連続減圧乾燥/炭化装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−274201(P2006−274201A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−99759(P2005−99759)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(398003027)株式会社C・P・R (5)
【Fターム(参考)】