説明

道路地図表示システム

【課題】道路地図表示システムにおいて、道路地図の表示品質を低下させることなく、道路地図データを記憶するリソースを節約できるようにする。
【解決手段】道路地図データにおいて、複数の異なるリンクL1〜L4に各々対応付けられているノードN11〜N14は同じ座標を表すノードであり、この場合、本システムでは、例えばノードN11の座標値のみを残し、ノードN12〜N14の座標値は消去して(図5(a))、記憶のリソースを節約する。一方、道路地図データを利用する際、図5(c),(d)に示すように、ノードN12の座標値をノードN11の座標値から復元し、順次、ノードN13の座標値をノードN12の座標値から復元し、ノードN14の座標値をノードN13の座標値から復元する。これにより、座標値が消去される前の道路地図データを復元でき、道路地図データの品質、ひいては道路地図の表示品質を維持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路地図データが表す道路地図を表示する道路地図表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路地図データが表す道路地図を表示する道路地図表示システムが知られている。例えば、車両におけるナビゲーションシステムでは、道路地図データが表す道路地図を液晶ディスプレイ等の表示装置に表示すると共に、目的地までの経路情報や、GPS(Global Positioning System)により取得した車両の現在位置情報をその表示した道路地図上に重畳表示して、車両の運転手に対して経路案内を行う。
【0003】
この種の道路地図表示システムに用いられる道路地図データは、道路の接続状況を示すデータ(道路ネットワークデータ)、道路の種別を表すデータ、位置検出精度向上のためのマップマッチング用データ等を有している(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
例えば道路ネットワークデータは、特許文献1,2に記載のように、道路網の結節点或いは端点を表すノードの情報と、ノード間を接続する道路区間であるリンクの情報とを有している。
【特許文献1】特開平8−69247号公報
【特許文献2】特開平8−68648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述のように道路地図データは種々のデータを含んでおり、データ量が大きくなってしまう点が従来問題となっている。
さらに、道路網において、例えば十字の交差点やT字の交差点のように、結節点に複数の道路が接続する形態でその構成が表される場合(つまり、同一のノードに複数のリンクが接続している場合)、特許文献1,2に記載のように、その複数のリンクの情報それぞれに対し、同一のノードの情報が割り当てられることになる。つまり、道路地図データにおいて、同じノードの情報が重複して存在することになる。よって、データ量の増大の問題はより顕著となっている。
【0006】
道路地図データのデータ量が増大すると、例えば、道路地図表示システムにおいて、道路地図データを記憶するためのリソースがより多く必要となり、構成やコストが増大してしまう。道路地図データのうち、優先度の低い所定のデータを削除することも考えられるが、道路地図データの品質、ひいては道路地図の表示品質の低下を招いてしまう。
【0007】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、道路地図データが表す道路地図を表示する道路地図表示システムにおいて、道路地図の表示品質を低下させることなく、道路地図データを記憶するためのリソースを節約できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の道路地図表示システムは、情報を記憶する記憶手段と、道路地図データを取得する道路地図データ取得手段と、道路地図データ取得手段により取得された道路地図データを記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、情報を表示する表示手段と、記憶手段に記憶された道路地図データをその記憶手段から読み込んで、読み込んだ道路地図データが表す道路地図を表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えている。
【0009】
道路地図データは、少なくとも、道路網の結節点或いは端点を表すノード情報と、ノード間の道路区間を表すリンク情報とを有し、リンク情報のそれぞれが、リンク端のノード情報を有している。尚、結節点とは例えば交差点に相当し、端点とは例えば行き止まり地点等に相当する。
【0010】
そして、道路地図データ取得手段は、道路地図データにおける複数のリンク情報が互いに同一のノード情報を有している場合にその重複するノード情報のうち一のノード情報以外が消去されるという消去ルールが適用された道路地図データを取得するようになっている。
【0011】
一方、表示制御手段は、記憶手段から読み込んだ道路地図データに基づきその道路地図データが表す道路地図を表示装置に表示させる際、消去ルールの適用により消去済みであるノード情報を一のノード情報に基づき復元するようになっている。
【0012】
このような請求項1の道路地図表示システムにおいては、道路地図データ取得手段により取得される道路地図データは、道路地図データにおける重複するノード情報のうち一のノード情報以外が消去された道路地図データであるため、道路地図データを記憶するためのリソースを節約することができる。したがって、道路地図表示システムの構成やコストを抑えることができる。
【0013】
一方で、消去済みであるノード情報は、その消去対象と同一のノード情報であって、消去対象ではない一のノード情報に基づき復元されるため、道路地図データの品質、ひいては道路地図の表示品質が低下することがない。つまり、リンク情報のそれぞれがノード情報を有する従来構成の道路地図データが復元されるため、道路網が確実かつ適切に表示されるようになる。ところで、道路地図表示システムにおいて、道路地図データ取得手段により通常の道路地図データ(ノード情報が消去されていない道路地図データ)を取得し、消去ルールを適用してデータ量を抑えた道路地図データを生成するようにしても良い。
【0014】
次に、請求項1の道路地図表示システムでは、請求項2のように構成すると良い。
請求項2の道路地図表示システムは、請求項1の道路地図表示システムにおいて、消去ルールが適用された道路地図データは、消去対象であるノード情報の格納場所(以下、データ消去アドレスと言う)と、その消去対象と同一のノード情報であって消去対象でない前記一のノード情報の格納場所(以下、データ未消去アドレスと言う)とを関連付けるデータ(以下、関連付データと言う)を有し、表示制御手段は、データ消去アドレスに格納されるべきノード情報を、関連付データによりそのデータ消去アドレスと関連付けがなされたデータ未消去アドレスのノード情報に基づき復元するようになっている。
【0015】
これによれば、消去されたノード情報を確実かつ容易に復元できるようになる。このため、請求項1の効果をより確実に得ることができる。
次に、請求項3の道路地図表示システムは、請求項1,2の道路地図表示システムにおいて、道路地図データにおいて、リンク情報は、所定の格納順で格納され、消去ルールは、複数のリンク情報が互いに有する同一のノード情報のうち、格納順が最も先頭のリンク情報が有するノード情報以外が消去されるルールであることを特徴としている。
【0016】
逆に言えば、複数のリンク情報が互いに有する同一のノード情報のうち、格納順が最も先頭のリンク情報が有するノード情報は残されるようになっている。このような簡易な構成によれば、例えば消去ルールを適用してデータ量を抑えた道路地図データを作成する工程において(或いは、データ量を抑えた道路地図データを作成する装置において)、消去対象となるノード情報、或いは消去対象でないノード情報が容易に認識されるようになり、好都合である。例えば、そのようなデータ量を抑えた道路地図データを作成する装置における処理負荷を抑えることができる。
【0017】
次に、請求項1〜3の道路地図表示システムでは、請求項4のように構成すると良い。
請求項4の道路地図表示システムは、請求項1〜3の道路地図表示システムにおいて、道路地図データにおいて、ノード情報毎に、そのノード情報の消去の可否を表すフラグ情報が、消去ルールに合致するように設けられ、道路地図データ取得手段により取得される道路地図データは、フラグ情報に従って消去可能なノード情報が消去された道路地図データであることを特徴としている。。
【0018】
これによれば、データ量を抑えた道路地図データを作成する工程において(或いは、データ量を抑えた道路地図データを作成する装置において)、フラグ情報を参照するだけで、容易にノード情報を消去するか否かを判断できるようになる。例えば、データ量を抑えた道路地図データを作成する装置においては、処理負荷を抑えることができる。また、フラグ情報に従ってノード情報を削除するだけで良いため、より確実に、道路地図データのデータ量を削減することができる。このため、請求項1の効果をより確実に得ることができる。
【0019】
次に、請求項5の道路地図表示システムは、請求項1〜4の道路地図表示システムにおいて、ノード情報は、結節点の座標を表す情報(以下、座標情報と記載する)であることを特徴としている。つまり、結節点の座標情報が重複して記憶されている場合、その座標情報のうち、一の座標情報を残して、他の座標情報が消去されるようになっている。これによれば、道路地図データのデータ量を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の道路地図表示システムが適用された第1実施形態のナビゲーションシステム1の構成図である。
【0021】
図1において、ナビゲーションシステム1は、位置検出器10と、メディアドライブ11と、地図データ入力器12と、操作スイッチ群13と、リモコンセンサ14と、リモートコントロール端末(以下リモコンと称する)14aと、外部メモリ15と、表示部16と、音声認識ユニット17と、スピーカ18と、送受信機19と、これら各装置と接続されてその各装置を制御するナビゲーションECU(ECU:電子制御装置)20とを備えている。
【0022】
ナビゲーションECU20は、通常のコンピュータとして構成されており、内部にはCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン(何れも図示省略)が備えられている。
【0023】
ナビゲーションECU20は、位置検出器10、地図データ入力器12、操作スイッチ群13、リモコンセンサ14、外部メモリ15、音声認識ユニット17、送受信機19等から入力された各種情報に基づき、所定の処理(例えば、地図縮尺変更処理、メニュー表示選択処理、目的地設定処理、経路探索実行処理、経路案内開始処理、現在位置修正処理、表示画面変更処理、音量調整処理等)を実行する。
【0024】
位置検出器10は、いずれも周知の地磁気センサ10a、ジャイロスコープ10b、距離センサ10c、及び衛星からの電波に基づいて車両の現在位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機10dを有している。これらのセンサ等は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお精度によっては上述した内の一部で構成してもよく、更にステアリングの回転センサ、各転動輪の車両センサ等を用いてもよい。
【0025】
メディアドライブ11は、記憶媒体(図示省略)が装着され、該記憶媒体に格納されている道路地図データ、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、目印データを含む各種データなどの更新用データを記憶媒体からナビゲーションシステム1に読み込むことを可能とする。記憶媒体としては、そのデータ量からCD−ROMまたはDVD−ROMを用いるのが一般的であるが、メモリカード、HDD等を用いてもよい。
【0026】
地図データ入力器12は、前述のメディアドライブ11を介して記憶媒体から読み込んだ道路地図データ、マップマッチング用データ、目印データを含む各種データ等を記憶すると共に、それらのデータをナビゲーションECU20に入力する装置である。データの記憶媒体としては、HDDやフラッシュメモリ等を用いてもよい。尚、地図データ入力器12には、電源のOFF後も消去してはいけないデータを記憶させたり、ユーザ指示により入力されたカスタマイズデータや音楽データなどを記憶させたりしても良い。
【0027】
操作スイッチ群13は、例えば表示部16と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、スイッチ操作によりナビゲーションECU20へ各種機能(例えば、地図縮尺変更、メニュー表示選択、目的地設定、経路探索、経路案内開始、現在位置修正、表示画面変更、音量調整等)の実行指示を行う。
【0028】
リモコン14aには複数の操作スイッチ(図示省略)が設けられ、スイッチ操作によりリモコンセンサ14を介して各種指令信号がナビゲーションECU20に入力される。これにより、ナビゲーションECU20に前述のような各種機能を実行させる。なお、操作スイッチ群13とリモコン14aとは、何れのスイッチ操作によってもナビゲーションECU20に同じ機能を実行させることが可能である。
【0029】
ところで、リモコン14aを介して、あるいは操作スイッチ群13を介して所望の目的地が設定されると、ナビゲーションECU20は、位置検出器10により検出された現在位置からその目的地までの最適な経路を自動的に探索して誘導経路を設定し表示する。このような自動的に最適な経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。
【0030】
設定された経路は、地図データ入力器12からの情報(道路地図データ)に基づき、表示部16に表示される。より具体的に、表示部16に、道路地図データに基づく地図(道路地図)が表示されると共に、その表示された地図上に、位置検出器10により検出された現在位置を表す現在位置マークと、目的地までの経路とが重畳表示される。表示部16には、現在時刻、渋滞情報などの情報も表示することもできる。
【0031】
表示部16は、フルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等を用いて構成することができる。
音声認識ユニット17は、例えば図示しないマイクを介して入力された操作者の入力音声と、内部に記憶する認識辞書(図示省略)中の語彙データ(比較対象パターン)とを照合し、最も一致度の高いものを認識結果としてナビゲーションECU20に入力する。ナビゲーションECU20は、音声認識ユニット17からの情報(認識結果)に基づき、操作者の発声に対する所定の処理(例えば、地図縮尺変更処理、メニュー表示選択処理、目的地設定処理、経路探索実行処理、経路案内開始処理、現在位置修正処理、表示画面変更処理、音量調整処理等)を実行する。
【0032】
スピーカ18は、ナビゲーションECU20の制御により、例えば経路案内のための音声、画面操作の説明、或いは音声認識結果等を車室内に報知する。
送受信機19は、外部(例えばVICSシステムなどのインフラやインターネットなどのサーバ)から提供される交通情報、気象情報、施設情報、広告情報等を受信し、また外部へ車両情報、ユーザ情報等を発信する装置である。外部から受け取った情報はナビゲーションECU20に入力する。また必要であれば、ナビゲーションECU20で処理した情報を送受信機19を介して外部に出力することもできる。
【0033】
次に、図2は、道路地図データの構成例を表す図である。
本実施形態において、例えばメディアドライブ11を介して取得される道路地図データは、図2に示すように、リンクテーブルを有する。
【0034】
リンクテーブルは、各道路の接続関係を表すテーブルであり、特に道路(リンク)の情報をまとめたものである。具体的に、リンクテーブルは、リンクの識別番号であるリンクIDに関連付けてリンクの特性情報を有する。リンクの特性情報としては、道路(リンク)両端のノードの情報、道路種別、道路長、道路幅員などを挙げることができる。ノードの情報としては、ノードの識別番号であるノードIDと、ノードの座標情報とがある。また、本実施形態では、ノードの情報のそれぞれに、そのノードの座標情報の省略の可否を表す座標省略フラグが割り当てられている。
【0035】
次に、図3は、ナビゲーションECU20において実行される道路地図データ生成処理を表すフローチャートである。この処理は、メディアドライブ11を介して、例えば図2に示すようなリンクテーブルを有する道路地図データが読み込まれると開始される。図3の処理により生成された道路地図データは、地図データ入力器12に入力されてその地図データ入力器12において記憶される。また、地図データ入力器12に記憶された道路地図データは、経路案内の実行時等、適宜必要に応じて、その地図データ入力器12からナビゲーションECU20に入力され、利用される。
【0036】
図3の道路地図データ生成処理では、まずS110で、読み込まれた道路地図データにおけるリンクテーブルが有するノードを検索する(例えばノードIDを検索する)。より具体的に、リンクIDの若い順に(リンクIDの格納順に)、そのリンクIDと対応付けられているノードを検索する。
【0037】
次に、S120に移行し、S110で検索できたノードに割り当てられている座標省略フラグを参照して、そのノードの座標情報を省略(消去)可能か否かを判定する。
S120で省略(消去)可能と判定すると(S120:YES)、S130に移行し、その省略(消去)可能と判定した座標情報を消去する。そして次にS110に戻り、次のノードを検索する。
【0038】
また、S120で省略(消去)不可と判定すると(S120:NO)、S110に戻り、次のノードを検索する。
尚、このS110〜S130の処理は、ノードの全てについて繰り返し実行される。そして、ノードの全てについて実行されると、処理を終了する。
【0039】
また、ナビゲーションECU20は、この図3の道路地図データ生成処理で生成した道路地図データを、別処理で、地図データ入力器12に入力して記憶させる。
次に、図4は、ナビゲーションECU20において実行される道路地図データの復元処理を表すフローチャートである。具体的に、図3の処理で座標情報が省略(消去)された道路地図データについて、その省略(消去)された座標情報を復元する処理であり、地図データ入力器12から、座標情報が省略(消去)された道路地図データが入力されると開始される。
【0040】
図4の復元処理では、まず、S210で、道路地図データにおけるリンクテーブルが有するノードを検索する。より具体的に、リンクIDの若い順に、そのリンクIDと対応付けられているノード(ノードID)を検索する。
【0041】
次に、S220に移行し、検索したノードに座標情報(座標値)が割り当てられているか否か(ノードが座標情報を有しているか否か)を判定する。尚、以下、座標情報(座標値)が消去されていないノードを主ノードと記載し、座標情報(座標値)が消去されているノードを副ノードと記載する。
【0042】
S220で座標情報(座標値)が割り当てられていると判定すると(S220:YES)、S230に移行し、その座標情報(座標値)、及び、その検索できた主ノードと同一のノード(同じ座標情報を有するノード)であって、座標情報(座標値)が省略されている副ノードのノードIDを、一対で別メモリ(図示省略)に記憶する。尚、この点については、図5にても説明する。そして、再びS210に戻り、次のノードを検索する。
【0043】
一方、S220で座標情報(座標値)が割り当てられていないと判定すると(S220:NO)、S240に移行し、前述の別メモリを参照して、座標情報(座標値)が割り当てられていないその副ノードのノードIDと一対で記憶されている座標情報(座標値)を取得する。これにより、座標情報(座標値)が割り当てられていなかった副ノードについて、その副ノードが有すべき座標情報(座標値)を復元する。尚、以下、この副ノードを特に第1副ノードと記載する。
【0044】
また、S240においては、その復元された座標情報(座標値)、及び、座標情報(座標値)が復元された第1副ノードと同一のノードであって、座標情報(座標値)が省略されている他の副ノードのノードIDを、一対で別メモリ(図示省略)に記憶する。そして、再びS210に戻り、次のノードを検索する。
【0045】
次に、図5は、本実施形態の作用を表す図面である。
まず、前提として、図5(b)に、従来の形態の道路地図データ(データ量削減前の道路地図データ)を示す。この道路地図データは、リンクL1〜L4、及びノードN11〜N14を有し、十字交差点を表すものである。具体的に、ノードN11〜N14は、同一の交差点を表す。つまり、ノードN11〜N14は、同一の座標情報を持つノード(同一ノード)である。このような形態の道路地図データにおいては、リンクL1とノードN11とが関連付けられ、リンクL2とノードN12とが関連付けられ、リンクL3とノードN13とが関連付けられ、リンクL4とノードN14とが関連付けられる。例えば、リンクL1に対してノードN11の座標情報(座標値)が割り当てられて、リンクL2に対してノードN12の座標情報(座標値)が割り当てられて、リンクL3に対してノードN13の座標情報(座標値)が割り当てられて、リンクL4に対してノードN14の座標情報(座標値)が割り当てられる。つまり、道路地図データにおいて、ノードN11〜N14の座標情報(座標値)がそれぞれ記憶される。言い換えれば、同じ座標値(X1,Y1)が重複して記憶される。
【0046】
ここで、本実施形態において生成される道路地図データは、図5(a)のようになる。尚、図5(a)の形態の道路地図データは、図5(b)の形態の道路地図データから生成されて、地図データ入力器12に入力(記憶)されるものである。
【0047】
具体的に、本実施形態では、道路地図データにおいて、ノードN11〜N14が検索されると共に(S110)、そのノードN11〜N14のそれぞれに対応付けられた座標省略フラグに基づき(S120)、そのノードN11〜N14のうち、ノードN12〜N14の座標情報(座標値)が消去される(S130)。重複するデータを消去する趣旨である。尚、本例では、同一の座標情報(座標値)を有するノードN11〜N14のうち、ノードIDの若いもの(格納順が先頭のもの)が有する座標情報(座標値)を残し、他を消去するようになっている。具体的に、ノードN11に割り当てられた座標省略フラグは「消去不可」を表し、ノードN12〜N14に割り当てられた座標省略フラグは「消去可」を表すように構成されている。
【0048】
このため、図5(a)に示すように、ノードN11についてのみ、座標情報(座標値)を表す(X1,Y1)が割り当てられる。そして、ノードN12〜N14は、座標情報(座標値)を有さないことになる。
【0049】
次に、図5(c),(d)は、図5(a)に示す道路地図データから、図5(b)に示す道路地図データを復元する形態を表したものである。尚、前述のように、ナビゲーションECU20が、地図データ入力器12から図5(a)の形態の道路地図データが入力されると、その道路地図データからデータ量削減前の図5(b)の道路地図データを復元するようになっている。
【0050】
まず、入力された道路地図データにおいて、ノードが検索される(S210)。具体的に、リンクIDの若い順に、そのリンクIDと関連付けられているノードが検索される。図5(c),(d)の例では、リンクL1→リンクL2→リンクL3→リンクL4の順に、そのリンクL1〜L4に対応付けられているノードが検索されることとなる。これによれば、ノードN11→ノードN12→ノードN13→ノードN14の順で認識されることとなる。
【0051】
尚、図5(d)に示すように、ノードN11〜N14には、自身と同じノードを指し示す情報(図5(d)における矢印及び矢印に付与されるノードIDに相当)が割り当てられている。具体的に、例えばノードN11はノードN12と同じであり、そのノードN12と同じであることを表す情報(ノードN12を指し示す情報)がノードN11に関連付けられている。同様に、例えばノードN12はノードN13と同じであり、そのノードN13と同じであることを表す情報(ノードN13を指し示す情報)がノードN12に関連付けられている。ノードN13,N14についても同様である。このような情報は、道路地図データにおいて別途設けられている。
【0052】
ノードの検索(S210)により、リンクテーブルにおいて最初に認識されるノードN11については、座標情報(座標値)を有していると判定され(S220:YES)、図5(c)に示すように、その座標情報(座標値)、具体的に(X1,Y1)の値が別メモリに記憶される。この際、そのノードN11が指し示す(ノードN11に関連付けられている)ノードN12のノードID、つまりN12も一対で別メモリに記憶される。つまり、N12/(X1,Y1)が一対で別メモリに記憶される((A))。
【0053】
続いて、ノードの検索(S220)により、リンクテーブルにおいて次に認識されることとなるノードN12についてであるが、前述のようにノードN12については座標情報(座標値)は消去されている。この場合、別メモリが参照され、ノードIDであるN12と一対で記憶されている座標情報(座標値)が取得される(S240)。つまり、(X1,Y1)の値が取得される。これにより、リンクテーブルにおいて、ノードN12の座標情報(座標値)が(X1,Y1)に復元される。また、この際、ノードN12の座標情報(座標値)と、そのノードN12が指し示す(ノードN12に関連付けられている)ノードN13のノードID、つまりN13とが一対で別メモリに記憶される。つまり、N13/(X1,Y1)が一対で別メモリに記憶される((B))。尚、これは、見方を変えれば、先に記憶したN12/(X1,Y1)のうち、N12をN13に書き換えるものでもある。
【0054】
以下、同じ内容であるため説明を省略するが、リンクテーブルにおけるノードN13,N14の座標情報(座標値)も同様にして復元される。
以上のように、本実施形態のナビゲーションシステム1では、記憶しておく道路地図データにおいて、重複する座標情報(座標値)が消去されるようになっている。このため、道路地図データのデータ量を削減することができる。このため、ナビゲーションシステム1において、道路地図データを記憶しておくためのリソースを節約することができる。
【0055】
一方、ナビゲーションシステム1では、重複する座標情報(座標値)が消去された道路地図データを用いる際(読み込んだ際)、その消去された座標情報(座標値)を復元するようになっている。このため、道路地図データの品質、ひいては道路地図の表示品質を維持することができる。また、重複する座標情報(座標値)が消去された道路地図データを、その座標情報(座標値)が消去される前の道路地図データに復元できさえすれば、道路地図データ(復元後の道路地図データ)を利用するためのアプリケーションは何ら変更する必要がない。つまり、例えば既存のアプリケーションを利用できる。
【0056】
尚、本実施形態において、地図データ入力器12が記憶手段に相当し、メディアドライブ11が道路地図データ取得手段に相当し、ナビゲーションECU20が記憶制御手段及び表示制御手段に相当し、表示部16が表示手段に相当し、図5(c)の別メモリの情報が関連付データに相当している。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のナビゲーションシステム1について説明する。
【0057】
第2実施形態のナビゲーションシステム1は、第1実施形態のナビゲーションシステム1と比較して、リンクテーブルにおいて、座標省略フラグが設けられていない点が異なっている。また、ナビゲーションECU20が、図3の道路地図データ生成処理に代えて図6の道路地図データ生成処理を実行する点が異なっている。
【0058】
具体的に、図6の処理では、まず、S310で、読み込まれた道路地図データのリンクテーブルにおいて、リンクテーブルが有するノード(ノードID)を検索する。より具体的に、リンクIDの若い順に(リンクIDの格納順に)、そのリンクIDと対応付けられているノードを検索する。
【0059】
次に、S320に移行し、検索できたノードを含め、そのノードと同じ座標情報(座標値)を有する複数のノードの中で、その検索できたノードの格納順が最も先頭か否かを判定する。
【0060】
S320で、先頭でないと判定すると(S320:NO)、S330に移行し、そのノードに割り当てられている座標情報(座標値)を消去する。そしてその後、S310に戻り、次のノードを検索する。
【0061】
一方、S320で先頭であると判定すると(S320:YES)、S310に戻り、次のノードを検索する。つまり、格納順が先頭であるノードについては、座標情報(座標値)が消去されず残されることとなる。
【0062】
このような第2実施形態のナビゲーションシステム1においても、第1実施形態と同様、データ量を削減した道路地図データ(図5(a)参照)を生成することができ、第1実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0063】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術範囲内において種々の形態をとることができる。
例えば、上記実施形態において、同一の座標情報(座標値)のうち、格納順が最も先頭のものを残して他を消去するようにしているが、何れを残すかは、適宜変更しても良い。
【0064】
また、上記実施形態のS110及びS310の処理において、ノードを格納順に検索するようにしているが、検索の順序は問わない。
また、上記実施形態において、メディアドライブ11を介して道路地図データを取得することに代え、送受信機19を介した外部との通信により道路地図データを取得するようにしても良い。
【0065】
また、上記実施形態において、重複するノード情報が消去されることでデータ量が抑えられた道路地図データが外部(例えば他の装置)において生成され、ナビゲーションシステム1に提供される構成でも良い。具体的に、図3、図6の処理が、外部の装置において実行されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施形態のナビゲーションシステム1の概略構成図である。
【図2】道路地図データが有するリンクテーブルの構成を表す図面である。
【図3】ナビゲーションECU20において実行される道路地図データ生成処理を表すフローチャートである(第1実施形態)。
【図4】ナビゲーションECU20において実行される復元処理を表すフローチャートである。
【図5】本実施形態の作用効果を表す図面である。
【図6】ナビゲーションECU20において実行される道路地図データ生成処理を表すフローチャートである(第2実施形態)。
【符号の説明】
【0067】
1…ナビゲーションシステム、10…位置検出器、10a…地磁気センサ、10b…ジャイロスコープ、10c…距離センサ、10d…GPS受信機、11…メディアドライブ、12…地図データ入力器、13…操作スイッチ群、14…リモコンセンサ、14a…リモコン、15…外部メモリ、16…表示部、17…音声認識ユニット、18…スピーカ、19…送受信機、20…ナビゲーションECU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶する記憶手段と、
道路地図データを取得する道路地図データ取得手段と、
前記道路地図データ取得手段により取得された道路地図データを前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
情報を表示する表示手段と、
前記記憶手段に記憶された道路地図データをその記憶手段から読み込んで、読み込んだ道路地図データが表す道路地図を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えた道路地図表示システムにおいて、
前記道路地図データは、少なくとも、道路網の結節点或いは端点を表すノード情報と、ノード間の道路区間を表すリンク情報とを有し、リンク情報のそれぞれが、リンク端のノード情報を有しており、
前記道路地図データ取得手段は、道路地図データにおける複数のリンク情報が互いに同一のノード情報を有している場合にその重複するノード情報のうち一のノード情報以外が消去されるという消去ルールが適用された道路地図データを取得し、
前記表示制御手段は、前記記憶手段から読み込んだ道路地図データに基づきその道路地図データが表す道路地図を前記表示装置に表示させる際、前記消去ルールの適用により消去済みであるノード情報を前記一のノード情報に基づき復元するようになっていることを特徴とする道路地図表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の道路地図表示システムにおいて、
前記消去ルールが適用された道路地図データは、消去対象であるノード情報の格納場所(以下、データ消去アドレスと言う)と、その消去対象と同一のノード情報であって消去対象でない前記一のノード情報の格納場所(以下、データ未消去アドレスと言う)とを関連付けるデータ(以下、関連付データと言う)を有し、
前記表示制御手段は、前記データ消去アドレスに格納されるべきノード情報を、前記関連付データによりそのデータ消去アドレスと関連付けがなされた前記データ未消去アドレスのノード情報に基づき復元することを特徴とする道路地図表示システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の道路地図表示システムにおいて、
前記道路地図データにおいて、前記リンク情報は、所定の格納順で格納され、
前記消去ルールは、複数のリンク情報が互いに有する同一のノード情報のうち、格納順が最も先頭のリンク情報が有するノード情報以外が消去されるルールであることを特徴とする道路地図表示システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の道路地図表示システムにおいて、
前記道路地図データにおいて、前記ノード情報毎に、そのノード情報の消去の可否を表すフラグ情報が、前記消去ルールに合致するように設けられ、
前記道路地図データ取得手段により取得される道路地図データは、前記フラグ情報に従って消去可能なノード情報が消去された道路地図データであることを特徴とする道路地図表示システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の道路地図表示システムにおいて、
前記ノード情報は、前記結節点の座標を表す情報であることを特徴とする道路地図表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−204819(P2009−204819A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46120(P2008−46120)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】