説明

電子デバイスあるいは電子回路の製造装置、電子デバイス基板および電子回路基板

【課題】新規な電子デバイスあるいは電子回路を製造するための、簡単な原理、構造の製造装置を提供すること。
【解決手段】基板上に、機能性材料を含む液体をインクジェット原理の噴射ヘッドでドットとして付与し、該ドット中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基板上に残留させることによってドットパターンを形成してなる電子デバイスあるいは電子回路の製造装置において、前記液体は、前記機能性材料が呈する色とは別の色を呈する色材を含有する液体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的機能発現材料を基材上にインクジェット法により付与してパターン形成を行い、電子デバイスあるいは電子回路を形成する装置およびその装置によって形成される電子デバイス基板あるいは電子回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微細な微粒子/超微粒子を用いた発光素子/媒体および光プロセシング素子/媒体等の各種素子が研究されている(特許文献1)。このような微粒子の素子への応用のためには、固体基板上への微粒子含有材料の膜もしくは層の堆積によって得られる高密度集積が重要である。この微粒子が高密度に集積した薄膜は、具体的には非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6等への応用が報告されている。
【0003】
一方、配向性の優れた無機化合物薄膜の形成方法として、分子線エピタキシー法(MBE)、クラスターイオンビーム法、イオンビーム照射真空蒸着法、化学気相成長法(CVD)、物理気相成長法(PVD)、液相エピタキシー法(LPE)等が知られている。また有機化合物薄膜の形成方法として、ラングミュア・ブロジェット法(LB法)等が知られている。一般に量子ドットと呼ばれるものは、前記したMBE法などの真空装置を用いて高真空中で昇華させた原料物質が固体基材上で自己組織的にドットを形成する過程を利用して作製することができる。
【0004】
しかしながら、上記のような方法ではドット間の距離の制御やサイズ分布の制御は困難であり、所望の構造に制御するためには多大なコストがかかるという問題がある。そこでこのような問題を解決できる技術として、インクジェット原理、すなわち液体噴射ヘッドによって、微粒子含有材料の膜を形成することが提案されている。たとえば特許文献1には、ナノ粒子を含有するエマルションを固体基板上にインクジェットコーティングし、フォトルミネッセンス強度を励起光の照射時間もしくは照射量の関数として増加あるいは増加及び記憶させることができる機能を有する超微粒子(ナノ粒子)の集合体からなる薄膜を固体基板上に形成する方法が提案されている。
【0005】
また、同様の原理をこのような機能性素子の他に、回路基板製作に応用しようという研究もなされている。たとえば、従来から、回路の基板製造方法として、次のような方法が知られている。
(1)銅張り積層基板に、レジストを被覆し、フォトリソグフィ法により、回路パターンの露光、未露光レジストの溶解除去、レジスト除去部のエッチングにより銅線パターンを形成する方法。
(2)セラミックス基板上にスクリーン印刷により導電ペーストを所望の回路パターンに印刷し、非酸化雰囲気中で熱処理して導電ペースト中の金属微粒子を焼結して導電パターンを形成する方法。
(3)絶縁基板上に、導電金属の蒸着により薄膜の導電層を形成し、この導電層上に、レジストを被覆し、フォトリソグフィ法により、回路パターンの露光、未露光レジストの溶解除去、レジスト除去部のエッチングにより銅線パターンを形成する方法。
【0006】
しかしながら、これらの方法はファインパターンの形成には不向きであるという問題があるため、たとえば特許文献2には、基板上に、インクジェットヘッドを用いて、金属ペーストにより直接回路パターンを描画するようにし、ファインパターンの形成が容易で、廃液処理の必要がなく、生産工程が単純で設備費や生産コストが少なくて済む配線パターンの形成方法および回路基板の製造方法が提案されている。
【0007】
一方、本発明者も先に、インクジェット原理を利用して、電子源基板製造を行う発明を特許文献3として提案している。
【0008】
た、特許文献4には、同様な原理を利用して、基体上に電気回路と可視情報を形成する電気回路形成装置も提案されている。
【0009】
さらに特許文献5では、特定のブロック共重合体を用いて、分散性が安定し、画像形成に適した組成物を提供するとして、特定の平均粒径の金属微粒子を含む発色の良いインク組成物に関する技術を開示している。
【0010】
このようにインクジェット原理を利用したこのような提案が種々行われ始めているが、このような手段で各種デバイス、あるいはパターンを基板製作しようという考えはまだ新しく、より具体的な方法についてはまだ未知の部分が多く、手探り状態にあるのが実情であり、まだまだ検討すべき課題が多々ある。
【特許文献1】特開2000−126681号公報
【特許文献2】特開2002−134878号公報
【特許文献3】特開2001−319567号公報
【特許文献4】特開2005−183801号公報
【特許文献5】特開2006−249399号公報
【非特許文献1】発光素子(LED)(Alivisatos et al.)
【非特許文献2】光電変換素子(Greenham, N. C., et al., Phys. Rev. B, 54, 17628 (1996))
【非特許文献3】超高速ディテクター(Bhargava)
【非特許文献4】エレクトロルミネッセンス・ディスプレイおよびパネル(Bhargava, Alivisatos et al.)
【非特許文献5】ナノ構造メモリ素子(Chen et al.)
【非特許文献6】ナノ粒子配列からなる多色デバイス(Dushkin et al.)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、その目的は、新規な電子デバイスあるいは電子回路を製造するための、簡単な原理、構造の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は前記目的を達成するために第1に、基板上に、機能性材料を含む液体をインクジェット原理の噴射ヘッドでドットとして付与し、該ドット中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基板上に残留させることによってドットパターンを形成してなる電子デバイスあるいは電子回路の製造装置において、前記液体は、前記機能性材料が呈する色とは別の色を呈する色材を含有する液体であるようにした。
【0013】
また第2に、上記第1の電子デバイスあるいは電子回路の製造装置において、前記噴射ヘッドを複数個有し、各噴射ヘッドはそれぞれ異なる機能性材料ならびにそれらが呈する色とは別の色を呈する色材を含有する液体を噴射付与するようにした。
【0014】
さらに第3に、基板上に、機能性材料を含む液体をドットとして形成し、該ドット中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基板上に残留させることによってドットパターンを形成してなる電子デバイス基板において、該ドットパターンは、前記機能性材料が呈する色とは別の色を呈するようにした。
【0015】
また第4に、上記第3の電子デバイス基板において、前記ドットパターンは、複数ドットの組み合わせによって所望のパターンとしたドットパターンであるようにした。
【0016】
さらに第5に、上記第4の電子デバイス基板において、前記ドットパターン、あるいは前記複数ドットの組み合わせによって所望のパターンとしたドットパターンは、複数種類の異なる機能性材料ならびにそれらが呈する色とは別の色を呈する色材を含有する液体をドットとして形成し、該ドット中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基板上に残留させることによって形成され、各機能ごとに着色されたドットパターンであるようにした。
【0017】
また第6に、上記第3から第5のいずれか1項の電子デバイス基板において、前記基板は、紙であるようにした。
【0018】
さらに第7に、基板上に、機能性材料を含む液体をドットとして形成し、該ドット中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基板上に残留させることによってドットパターンを形成してなる電子回路基板において、該ドットパターンは、前記機能性材料が呈する色とは別の色を呈するようにした。
【0019】
また第8に、上記第7の電子回路基板において、前記ドットパターンは、複数ドットの組み合わせによって所望のパターンとしたドットパターンであるようにした。
【0020】
さらに第9に、上記第8の電子回路基板において、前記ドットパターン、あるいは前記複数ドットの組み合わせによって所望のパターンとしたドットパターンは、複数種類の異なる機能性材料ならびにそれらが呈する色とは別の色を呈する色材を含有する液体をドットとして形成し、該ドット中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基板上に残留させることによって形成され、各機能ごとに着色されたドットパターンであるようにした。
【0021】
また第10に、上記第7から第9のいずれか1項の電子回路基板において、前記基板は、紙であるようにした。
【発明の効果】
【0022】
基板上に、機能性材料を含む液体をインクジェット原理の噴射ヘッドでドットとして付与し、該ドット中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基板上に残留させることによってドットパターンを形成してなる電子デバイスあるいは電子回路の製造装置において、前記液体は、前記機能性材料が呈する色とは別の色を呈する色材を含有する液体であるようにしたので、電子デバイスあるいは電子回路として機能する部分が明確に識別できる新規な電子デバイスあるいは電子回路を製造するための製造装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、紙もしくは紙をベースとした基材10上に本発明の画像形成手段の1方法であるインクジェット原理(液滴噴射原理)によってパターンを形成する例を示している。図1(A)は、このような基材10上に端子2、3が形成されている状態を示し、図の点線部1′は後述のような配線パターン1が生成される領域である。図1(B)は、電気的機能発現材料として例えば微細な導電性微粒子を含有する液体を、インクジェット原理(液滴噴射原理)によって、直接噴射付与、描画して、配線パターン1を形成した例である。
【0024】
ここで、電気的機能発現材料を含有した液体を付与する手段として本発明では、例えばインクジェットの技術が適用される。以下にその具体的方法を説明する。
【0025】
図2は、本発明の電子デバイスあるいは電子回路を形成する製造装置の一実施例を説明するための図で、図中、11は噴射ヘッドユニット(噴射ヘッド)、12はキャリッジ、13は基材保持台、14は配線基材や電子デバイス形成基材等の基材、あるいは電子デバイスを形成する基材、15は電気的機能発現材料を含有する液体の供給チューブ、16は信号供給ケーブル、17は噴射ヘッドコントロールボックス(液体タンク含む)、18はキャリッジ12のX方向スキャンモータ、19はキャリッジ12のY方向スキャンモータ、20はコンピュータ、21はコントロールボックス、22(22X1、22Y1、22X2、22Y2)は基材位置決め/保持手段である。この場合は、基材保持台13に置かれた基材14の前面を噴射ヘッド11がキャリッジ走査により移動し、電気的機能発現材料を含有する液体を噴射付与する例である。
【0026】
図3は本発明の電子デバイスあるいは電子回路形成に適用される液滴付与装置の構成を示す概略図で、図4は図3の液滴付与装置の噴射ヘッドユニットの主要部概略構成図である。
【0027】
図3の構成は図2の構成と異なり、基材14側を移動させて電子デバイスあるいは電子回路を基材に形成するものである。図3及び図4において、31はヘッドアライメント制御機構、32は検出光学系、33は噴射ヘッド、34はヘッドアライメント微動機構、36は画像識別機構、37はXY方向走査機構、38は位置検出機構、39は位置補正制御機構、40は噴射ヘッド駆動・制御機構、41は光軸、42は素子電極、43は液滴、44は液滴着弾位置である。
【0028】
噴射ヘッドユニット11の液滴付与装置(噴射ヘッド33)としては、任意の液滴を定量吐出できるものであればいかなる機構でも良く、特に0.1pl〜数100pl程度の液滴を形成できるインクジェット原理の機構が望ましい。
【0029】
インクジェット方式としては、たとえば米国特許第3683212号明細書に開示されている方式(Zoltan方式)、米国特許第3747120号明細書に開示されている方式(Stemme方式)、米国特許第3946398号明細書に開示されている方式(Kyser方式)のようにピエゾ振動素子に、電気的信号を印加し、この電気的信号をピエゾ振動素子の機械的振動に変え、該機械的振動に従って微細なノズルから液滴を吐出飛翔させるものがあり、通常、総称してドロップオンデマンド方式と呼ばれている。
【0030】
他の方式として、米国特許第3596275号明細書、米国特許第3298030号明細書等に開示されている方式(Sweet方式)がある。これは連続振動発生法によって帯電量の制御された記録液体の小滴を発生させ、この発生された帯電量の制御された小滴を、一様の電界が掛けられている偏向電極間を飛翔させることで、記録部材上に記録を行うものであり、通常、連続流方式、あるいは荷電制御方式と呼ばれている。
【0031】
さらに他の方式として、特公昭56−9429号公報に開示されている方式がある。これは液体中で気泡を発生せしめ、その気泡の作用力により微細なノズルから液滴を吐出飛翔させるものであり、サーマルインクジェット方式、あるいはバブルジェット(登録商標)方式と呼ばれている。
【0032】
このように液滴を噴射する方式は、ドロップオンデマンド方式、連続流方式、サーマルインクジェット方式等あるが、必要に応じて適宜その方式を選べばよい。
【0033】
本発明ではこのような電子デバイスあるいは電子回路を形成する製造装置(図2)において、基材14はこの装置の基材位置決め/保持手段22によってその保持位置を調整して決められる。図2では簡略化しているが、基材位置決め/保持手段22は基材14の各辺に当接されるとともに、X方向およびそれに直交するY方向にサブミクロンオーダーで微調整できるようになっているとともに、噴射ヘッドコントロールボックス17、コンピュータ20、コントロールボックス21等と接続され、その位置決め情報および微調整変位情報等と、液滴付与の位置情報、タイミング等は、たえずフィードバックできるようになっている。
【0034】
さらに本発明の電子デバイスあるいは電子回路を形成する製造装置では、X、Y方向の位置調整機構の他に図示しない(基材14の下に位置するために見えない)、回転位置調整機構を有している。これに関連して先に本発明の電子デバイスあるいは電子回路形成基材の形状および形成される電子デバイス群の配列等に関して説明する。
【0035】
本発明の電子デバイスあるいは電子回路形成基材は、紙もしくは紙をベースとした基材が用いられる。また後述するが本発明では電気的機能発現材料を含有した液体をこの基材に付与してドットパターンを形成し、各種の電気的機能を発現するが、このようにして形成されるパターンは、基材の変形に追従できる。つまり、本発明の電子回路形成シート、あるいは電子デバイス形成シートは紙もしくは紙をベースとした基材が用いられることにより軽量化が図られるのみならず可撓性も有するので、可搬性がよく、新規な需要が見込まれる。
【0036】
ところでここで、本発明の電子回路、あるいは電子デバイス、電子デバイスチップ、電子デバイスシート、電子デバイス形成シートについて、その定義をしておく。
【0037】
本発明でいう電子回路とは、紙もしくは紙をベースとした基材(シート)上に、電気回路パターンを形成したものであり、後述する手法で形成されるトランジスタ、抵抗、コンデンサ等の各種電子素子や表示デバイス素子等とそれらをつなぐ導線パターンよりなるもの、あるいはその導線パターンのみの場合もあり得る。
【0038】
また、電子デバイスとは、上記トランジスタ、抵抗、コンデンサ等の各種電子素子や表示デバイス素子等をさす。さらにICあるいはLSIのようにこれらを集積化して1つのチップ状にしたものも電子デバイスあるいは電子デバイスチップと呼んでいる。
【0039】
電子デバイスシート、電子デバイス形成シートとは、上記電子デバイス、電子デバイスチップを複数個形成してなり、後でチップ状に分離される、いわゆるチップを量産して多数個取りするためのシートである。
【0040】
次に、本発明の電子デバイス形成シート、あるいは電子回路形成シートを製作するための基材について説明する。本発明では基材として、紙もしくは紙をベースとした基材を使用する。このような基材を使用する利点は、軽量化、低コスト化である。また、インクジェット法によって簡単かつ大量に印刷形成できるので、安価なおもちゃ感覚で使用できる電子デバイスが実現する。また軽量で柔軟性があり曲げることのできる電子デバイスや電子回路シートが実現できる。
オーソドックスな紙の定義では"紙とは植物繊維を水中に懸濁させた後、水を漉して、薄く平らに絡み合わせたもの"であるが、要は草、木、竹等に代表される植物を分解して得られる繊維の集合体である。そして、洋紙・和紙を問わず紙の原料はセルロース繊維という特徴的な性質を有する素材であり、これを製紙技術という独特の手法で処理し薄層化することで紙が得られる。
【0041】
ここで用いるセルロース繊維は、洋紙の場合、長さ1〜3mm、幅20〜40μm、厚さ3〜6μmの木材繊維で、一般の紙ではこれが10〜100本程度層状に重なって出来上がっている。このような構成をとることによって紙は極めて多孔性で、セルロース繊維の持つ高い親和性を持った平滑な材料という特質が得られる。和紙は同じセルロース繊維を用いた紙であるが、木材繊維と違って靭皮繊維と称する木材繊維より比較的細長い繊維(幅5〜20μm、長さ3〜7mm)で、分子構造的にもやや違った特徴を持っており、手抄きまたは機械抄き和紙とに区別される。図5に紙の表面のイメージ図を示す。図5において線はセルロース繊維を示しており、紙はこのようにセルロース繊維が重なり合ってなり、また各繊維が重なり合ってできる間隙が存在する。
【0042】
紙の定義は前述の通りであるが、単にセルロース繊維が重なり合ってなる紙は、いわば原紙であり、実際に使用されるものは、不透明度、白色度、平滑度、透気度などを高めるために、これらの繊維の間に、タルク、クレー、炭酸カルシウム、二酸化チタンなど粒子径0.2〜10μm程度のてん料粒子を繊維間の間隙に充てんしたものである。
【0043】
また紙の用途によっては、さらに紙表面に、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、炭酸カルシウム(CaCO3)、サチンホワイト(3CaO・Al23・3CaSO4・31〜32H2O)などの粒子径が0.5〜1μm程度の粒子をラテックス、デンプンなどのバインダーとともに分散させた塗工液を塗布し、コート材を設けた塗工紙がある。
【0044】
このほか紙の品種として、新聞巻取紙、非塗工印刷用紙(上級、中級、下級、薄葉の各印刷紙)、微塗工印刷用紙(微塗工上質紙、微塗工印刷紙)、塗工印刷用紙(アート紙、コート紙等)、情報用紙(複写原紙、感光用紙、フォーム紙、PPC用紙、感熱紙等)、包装用紙(クラフト紙、模造紙等)、衛生用紙(ティッシュペーパー、ちり紙、トイレットペーパー、タオル用紙等)、雑種紙(建材用原紙、積層板原紙、コンデンサーペーパー、ライスペーパー、グラシンペーパー等)、段ボール原紙(ライナー、中しん原紙等)等々色々ある。
【0045】
ここで本発明に好適に適用される紙もしくは紙をベースとした基材に要求されることは、一定の機械的強度である。本発明の電子デバイスシートやパターン配線シートはその製作時は、2に示したような装置によって製作される。その際、基材はたとえ大きなものであっても基材保持台13に保持されているので、変形などによって支障が生じることはない。
【0046】
しかしながらこのシートを個々の電子デバイスチップあるいはパターン配線ユニットとして実際に色々な場面で使用する場合、変形しては困る場合が多々ある。少なくともそのチップ自体に外力が加わらない状態において、変形するようなものは安定して使用することができない。
【0047】
より具体的には、自重を支えきれない(自重で変形する)ようなチップは、実用上問題である。例えば、ティッシュペーパーやハンカチーフのような布のように自重によってそれ自体の形状を維持できないような剛性のない材料は本発明に使用する基材としてはふさわしくない。
【0048】
一方で、自重によって多少の撓みは生じるものの、その撓みが、できあがった電子デバイスチップやパターン配線ユニットの電気的性能を維持できる範囲内の撓みであれば、それは許容できる範囲内であり、本発明に使用することができる。
【0049】
ここで電気的性能を維持できる範囲内の撓みについて補足する。例えば、ストレインゲージ(抵抗歪みゲージ)として知られているセンサーデバイスが存在するが、これは、その歪み(本発明でいう撓みと考えてよい)によって電気抵抗が変化するという原理を利用した歪み検出センサーである。この場合は、歪み(本発明でいう撓みと考えてよい)によって電気抵抗が変化するという原理をうまく利用しているものであるが、本発明においてはこのように歪み(本発明でいう撓みと考えてよい)によって電気抵抗が変化するというところまでの撓みは許容することができない。すなわちそこまで撓むほど剛性のない基材は、それを使用してできあがった電子デバイスチップやパターン配線ユニットの電気的性能が変化してしまうので、本発明でいうところのデバイス機能を維持できる、あるいはパターン配線機能を維持できるとはいえないものである。
【0050】
このような本発明の基材に要求される剛性の可否を判断するひとつの目安として、例えば紙の密度がある。
【0051】
表1に密度の異なる各種の紙を準備し、後述の方法によって10mm×10mm〜50mm×50mmの大きさの電子デバイスチップを、各紙のサンプルでその範囲の大きさで10個ずつランダムに製作し、実使用可否を調べた結果を示す。
サンプルNo.8、9のものは、機械的強度が弱く、撓みやすく、電子デバイスとしての実用的な強度がなかった。一方、それ以外のサンプルは、充分強度があり、電子デバイスとしての実用的であった。No.7は変形(撓み)はするものの電子デバイスとしての性能に問題は生じなかった。
【0052】
つまり、本発明に使用できる基材は、ふつうに取り扱うことのできる必要最小限の実用的な強度を得るには、使用する紙の密度を0.40g/cm3以上にしなければならないことがわかった。なお、ここでいっている密度とは、製紙業界で一般に適用している密度のことであり、秤量(1m2あたりの重さ(グラム数))を厚さで除して算出したものである(いわゆる物理学でいうところの密度とは厳密には同じではない)。
【0053】
【表1】

【0054】
上記検討結果は、10mm×10mm〜50mm×50mmの大きさの電子デバイスチップの場合、使用する紙の密度を0.40g/cm3以上にしなければならないことを示しているが、より大きな例えば1000mm×1000mmといった紙を使用した場合には、この結果が適用できるかどうかは不明である。しかしながらその場合は、紙の密度並びにサイズを適宜選び、最終的には、電子デバイスあるいは電子回路ユニット、シートの電気的性能も評価しながら実使用の可否(撓んでも性能が維持できているかどうか)を決めればよい。
【0055】
ところで、上記説明のように本発明の基材に要求される剛性は、基材である紙の強度によって維持できるが、後述するような電子デバイスチップや電子回路ユニットの電気的機能発現材料を直接付与した面もしくはその裏面に設けた保護部材によってもその強度を高くすることができる。すなわち、基材である紙と保護部材の相互作用によって全体の剛性を高めるのもよい方法である。この場合、後述する保護部材は、単なる電子デバイスチップの保護のみならず、機械的強度の増強にも役立ち、大変都合がよい。
【0056】
また後述するように、この機械的強度の増強も担った保護部材の形成は、本発明で説明している液体噴射の原理によって樹脂含有溶液を基材表面(デバイス形成面)あるいは基材裏面全面に噴射付与する、もしくは選択的に必要な部分のみに噴射付与すればよい。このような樹脂材料は、付与後、乾燥、固化することによって、基材の剛性向上に大いに威力を発揮する。
【0057】
次に本発明の基材である紙についてもう少し補足する。前述のように紙の表面は、セルロース繊維が重なり合って形成されており、セルロース繊維の太さ、それらが重なりあってできる間隙、さらには上記のような塗工紙の場合には、塗工物質(コート材)の粒子の大きさ等に依存して、微視的に見ると凹凸形状となっている。このような微視的凹凸形状は、本発明のように電気的機能発現材料を含有した液体を付与してドットパターンを形成し、良好な性能の電子デバイスシートあるいは電子回路形成シートを製作する場合に妨げになる因子の1つである。
【0058】
しかしながらこのコート材をうまく利用することにより、セルロース繊維の太さ、それらが重なりあってできる間隙に起因する紙の繊維の凹凸を低減、あるいは消すことも可能であり、これについては後述する。
【0059】
本発明は後述するように、このような紙もしくは紙をベースとした基材上に電気的機能発現材料を直接付与することによって、電子デバイスシートあるいは電子回路シートを形成するものである。完成した電子デバイスシートあるいは電子回路シートはその使用環境によっては、基材裏面(パターンが形成されていない面)に水分が付着し、この水分が表のパターン面にまで浸透してきて、電子デバイスや電子回路を破損せしめることがある。
【0060】
そこで本発明においては、仮に裏面にこのような水分が付着しても、表のパターン面にまで水分が浸透してこないようにするために、基材に工夫を凝らしている。例えば裏面側に、水分を浸透しないような耐水性部材として樹脂フィルムをラミネートしたような基材を使用するのがよい。
【0061】
このような樹脂ラミネートは、あらかじめそのようなラミネート済みの基材を使用して後述するような方法で各種のパターン形成を行い、電子デバイスシートや電子回路シートを形成してもよいし、このようなパターン形成を終えた後に後から裏面側にラミネートを行ってもよい。
【0062】
ラミネート樹脂の材料としては、例えば塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂など適宜使用できるが、ポリオレフィン系のポリプロピレン樹脂は、環境に優しい高分子材料樹脂として知られており、好ましい材料のひとつである。
【0063】
なお、上記説明は裏面にこのように樹脂をラミネートする例であるが、基材である紙の製造工程において、紙の内部にこのような樹脂フィルムを1層挿入したような複合紙を製造し、それを基材として用いて本発明の電子デバイスシートや電子回路シートを形成するのも良い方法である。
【0064】
さらに他の例としては、本発明で説明している液体噴射の原理によって樹脂含有溶液を基材裏面全面に噴射付与して、裏面側に樹脂層を設けるようにしてもよい。なお、必ずしも液体噴射の原理である必要はなく、ローラコーティングのような手法によって、樹脂層を形成してもよいのはいうまでもない。
【0065】
このような基材構成とすることにより、本発明によって形成される電子デバイスシートや電子回路は、簡単な原理、構造による新規な紙もしくは紙をベースとしながらも、水に強い電子デバイスシートあるいは電子回路シートとすることができる。
【0066】
液滴43の材料には、電気的機能発現材料として例えば微細な導電性微粒子を含有した液体が使用される。Au、Pt、Ag、Cu、Ni、Cr、Rh、Pd、Zn、Co、Mo、Ru、W、Os、Ir、Fe、Mn、Ge、Sn、Ga、In等の金属微粒子を含有した液体が好適に使用される。あるいはこれらの金属の酸化物微粒子も好適に使用される。
【0067】
特に、Au、Ag、Cuのような金属微粒子を用いると、電気抵抗が低く、かつ腐食に強い微細回路パターンを形成することができる。
【0068】
本発明では、後述するように各種素子を形成するものであり、それに応じて導電性材料を含む液体も、同一形状のパターンを形成した際に、抵抗値が高い/低いという少なくとも2つの値が得られるように、2種類の導電性材料を含む液体を用意している。
【0069】
このように2種類あるいはそれ以上の種類の抵抗値を得るためには、使用する導電性材料を変えればよいが、導電性材料粉末と絶縁性材料粉末とを混合したり、低抵抗導電性材料粉末と高抵抗導電性材料粉末とを混合したり、またその混合比率を変えることによっても得られる。
【0070】
例えば、それぞれの組み合わせとして、Ni−Cr、Cr−SiO、Cr−MgF、Au−SiO2、Au−MgF、Pt−Ta25、Au−Ta25等を挙げることができる。またその溶媒としては、PGMEA、シクロヘキサン、カルビトールアセテート等が挙げられる。湿潤剤またはバインダーとして、グリセリン、ジエチレングリコール、エチレングリコール等を必要に応じて加え、噴射ヘッドによる液滴形成、噴射が最適になるように調整される。
【0071】
本発明において、このような微細な導電性微粒子を含有した液体は、水性系液体と油性系液体がある。
【0072】
このような微細な導電性微粒子を、水を主体とする分散媒に分散せしめてなる水性系液体は、例えば、次のような方法で調整することができる。
【0073】
すなわち、塩化金酸や硝酸銀のような金属イオンソース水液体に水溶性の重合体を溶解させ、撹拌しながらジメチルアミノエタノールのようなアルカノールアミンを添加する。数10秒〜数分で金属イオンが還元され、平均粒径0.5μm(500nm)以下の金属微粒子が析出する。塩素イオンや硝酸イオンを限外ろ過などの方法で除去した後、濃縮・乾燥することにより濃厚な導電性微粒子含有液体が得られる。この導電性微粒子含有液体は、水やアルコール系溶媒、テトラエトキシシランやトリエトキシシランのようなゾルゲルプロセス用バインダーに安定に溶解・混合することが可能である。
【0074】
微細な導電性微粒子を油を主体とする分散媒に分散せしめてなる油性系液体は、例えば、次のような方法で調整することができる。
【0075】
すなわち、油溶解性のポリマーをアセトンのような水混和性有機溶媒に溶解させ、この液体を金属イオンソース水液体と混合する。混合物は不均一系であるが、これを撹拌しながらアルカノールアミンを添加すると金属微粒子は重合体中に分散した形で油相側に析出してくる。これを濃縮・乾燥させると水性系と同様の濃厚な導電性微粒子含有液体が得られる。この導電性微粒子含有液体は、芳香族系、ケトン系、エステル系などの溶媒やポリエステル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂等に安定に溶解・混合することが可能である。
【0076】
導電性微粒子含有液体の分散媒中における導電性微粒子の濃度は、最大80重量%とすることが可能であるが、用途に応じて適宜稀釈して使用する。
通常、導電性微粒子含有液体における導電性微粒子の含有量は2〜50重量%、界面活性剤および樹脂の含有量は0.3〜30重量%、粘度は3〜30センチポイズ、表面張力は20〜60dyn/cmの範囲内とすることが、噴射ヘッドによる液滴形成、噴射が最適に行われるために適切な値である。
【0077】
また有機系の材料として、ドーピング等で導電率を向上させた導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体など)なども好適に利用でき、各種電極などの配線パターンを形成するのに好適に利用できる。
【0078】
いずれの材料においても、本発明は液体中の揮発成分を揮発させ、固形分を基材上に残留させることによってドットによるパターンを形成し、先に形成されている電極パターンなどと電気的導通を図り、電子デバイスあるいは電子回路形成を行うものである。この固形物がそれぞれの回路パターンあるいはデバイスの機能を発生させるものであり、溶媒(揮発成分)はインクジェット原理で液滴を噴射付与するための手段(vehicle)である。
【0079】
液滴43の材料として他には、たとえば、Si、Ge等のIV−B族半導体結晶、CuCl等のI−VII族化合物半導体、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe等のII−VI族化合物半導体、GaAs、InP、InAs等のIII−V族化合物半導体、またはそれらの複合材料等のナノ粒子を含有した液体があげられる。
【0080】
本発明において対象となる微粒子、ナノ粒子としては、通常、粒径が0.0001〜0.2μm(0.1〜200nm)、好ましくは0.0001〜0.05μm(0.1〜50nm)の微粒子があげられるが、より厳密には、液体製造上の微粒子分散安定性や、噴射時の目詰まり発生、さらにはパターン形成される基材の表面粗さなども考慮して決められる。
【0081】
なお、本発明の目的を損なわない範囲で、これらナノ粒子の表面を化学的あるいは物理的に修飾しても良く、また界面活性剤や分散安定剤や酸化防止剤などの添加剤を加えても良い。このようなナノ粒子はコロイド化学的な手法、例えば逆ミセル法(Lianos, P. et al., Chem. Phys. Lett., 125, 299 (1986))やホットソープ法(Peng. X. et al., J. Am. Chem. Soc., 119, 7019 (1997))によって合成することができる。
【0082】
本発明に好適に使用できるナノ粒子含有液体は、上記ナノ粒子を連続相が水相であり分散相が油相であるエマルション(O/Wエマルション)に分散させた分散液である。
上記水相は水を主体とするが、水に水溶性有機溶剤を添加して用いてもよい。水溶性有機溶剤としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(#200、#400)、グリセリン、前記グリコール類のアルキルエーテル類、N−メチルピロリドン、1、3−ジメチルイミダゾリノン、チオジグリコール、2−ピロリドン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。水性分散媒体中の水溶性有機溶剤の使用量は、通常30重量%以下が好ましく、さらには20重量%とするのがより好ましい。
【0083】
分散液中のナノ粒子の含有量は、所望の膜(層)構造または粒子配列構造及び膜(層)厚により異なるが分散液の全重量に対し、通常0.01〜15重量%の範囲で用いられるが、0.05〜10重量%の範囲とするのがより好ましい。ナノ粒子の含有量が少な過ぎるとデバイス機能を充分に発現することが出来なくなる可能性があり、逆に多過ぎるとインクジェット原理で液滴を噴射する際の吐出安定性が損なわれる。
【0084】
また本発明に好適に使用され、インクジェット原理で噴射されるナノ粒子含有液体は、分散液中に、界面活性剤、及びナノ粒子の分散用溶媒を共存させるのが好ましい。界面活性剤としては、例えばアニオン系界面活性剤(ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、ノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなど)があげられ、これらを単独または二種以上混合して用いることができる。
【0085】
界面活性剤の量は液体の全重量に対し、通常、0.1〜30重量%の範囲で用いられるが、5〜20重量%の範囲とするのがより好ましい。界面活性剤がこの範囲よりも少な過ぎると水性分散体中で油水分離が生じ、液滴噴射付与による均一なパターンのコーティングができない場合がある。逆にこの範囲より多過ぎると水性分散媒体の粘度が高くなりすぎる傾向がある。
【0086】
ナノ粒子の分散用溶媒としては、通常トルエン、ヘキサン、ピリジン、クロロホルムなどの液体であり、揮発性であることが望ましい。分散用溶媒の量は通常、0.1〜20重量%程度の範囲で用いられるが、1〜10重量%の範囲がより好ましい。分散用溶媒がこの範囲よりも少な過ぎると水性媒体中に含有させることのできる超微粒子の量が少なくなる。逆にこの範囲より多過ぎると水性分散媒体中で油水分離が生じる場合がある。
【0087】
さらに、分散液中に有機化合物を溶解させておくこともできる。このような有機化合物としては、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、チオフェノール、フォトクロミック化合物(スピロピラン、フルギド等)、電荷移動型錯体、電子受容性化合物等があげられ、常温で固体であるものが好ましい。この場合、分散液中の前記有機化合物の量は、ナノ粒子の重量に対し、1/10000以上、好ましくは1/1000〜10倍程度である。
【0088】
なお本発明の目的を損なわない範囲で、懸濁液に界面活性剤や分散安定剤や酸化防止剤などの添加剤、またはポリマー、塗布・乾燥過程でゲル化する材料などのバインダーを加えても良い。
【0089】
このようなナノ粒子含有液体をインクジェット原理によって基材上に液滴付与し、乾燥させて電子デバイス形成あるいは電子回路形成を行う。本発明においては、たとえば、先ず大気圧中において、−20〜120℃、好ましくは0〜80℃程度で1時間以上、好ましくは3時間以上風乾し、その後必要に応じて減圧乾燥を行っても良い。この際の減圧度は1×105Pa以下であればよいが、好ましくは1×104Pa以下程度であり、温度は通常−20〜110℃、好ましくは0〜70℃である。また、減圧時間は1〜24時間程度である。
【0090】
上記の方法により得られるナノ粒子薄膜の厚さは特に限定されるものではないが、通常、ナノ粒子の直径〜1mm、好ましくはナノ粒子の直径〜100μm程度である。また、ナノ粒子薄膜内において、ナノ粒子はある程度以上の密度で存在するのが好ましい。その意味からナノ粒子の集合体における個々のナノ粒子間の平均粒子間距離は、通常粒子直径の10倍以内の範囲であり、さらには粒子直径の2倍以内の範囲であることが好ましい。この平均粒子間距離が大き過ぎるとナノ粒子は集団的機能を示さなくなる。
【0091】
液滴43の材料として他には、有機半導体材料含有溶液が挙げられる。例えば有機半導体材料として、π共役系材料が用いられ、例えばポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)などのポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェンなどのポリチオフェン類、ポリイソチアナフテンなどのポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレンなどのポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)、ポリ(3−置換アニリン)、ポリ(2,3−置換アニリン)などのポリアニリン類、ポリアセチレンなどのポリアセチレン類、ポリジアセチレンなどのポリジアセチレン類、ポリアズレンなどのポリアズレン類、ポリピレンなどのポリピレン類、ポリカルバゾール、ポリ(N−置換カルバゾール)などのポリカルバゾール類、ポリセレノフェンなどのポリセレノフェン類、ポリフラン、ポリベンゾフランなどのポリフラン類、ポリ(p−フェニレン)などのポリ(p−フェニレン)類、ポリインドールなどのポリインドール類、ポリピリダジンなどのポリピリダジン類、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、ジベンゾペンタセン、テトラベンゾペンタセン、ピレン、ジベンゾピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、テリレン、オバレン、クオテリレン、サーカムアントラセンなどのポリアセン類およびポリアセン類の炭素の一部をN、S、Oなどの原子、カルボニル基などの官能基に置換した誘導体(トリフェノジオキサジン、トリフェノジチアジン、ヘキサセン−6,15−キノンなど)、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニレンスルフィドなどのポリマーを用いることができる。
【0092】
また、これらのポリマーと同じ繰返し単位を有する例えばチオフェン6量体であるα−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、スチリルベンゼン誘導体などのオリゴマーも好適に用いることができる。
【0093】
さらに銅フタロシアニンやフッ素置換銅フタロシアニンなどの金属フタロシアニン類、ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N'−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N,N'−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N'−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)及びN,N'−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミドなどのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、及びアントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミドなどのアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類などの縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類、SWNTなどのカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類などの色素などがあげられる。
【0094】
これらのπ共役系材料のうちでも、チオフェン、ビニレン、チェニレンビニレン、フェニレンビニレン、p−フェニレン、これらの置換体またはこれらの2種以上を繰返し単位とし、かつ該繰返し単位の数nが4〜10であるオリゴマーもしくは該繰返し単位の数nが20以上であるポリマー、ペンタセンなどの縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0095】
また、その他の有機半導体材料としては、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、などの有機分子錯体も用いることができる。さらにポリシラン、ポリゲルマンなどのσ共役系ポリマーも用いることができる。
本発明に好適に利用できる1例として、下記一般式で示される繰り返し単位を有する重合体を主成分とする有機半導体材料について、その合成法とともにより詳細に説明する。
【0096】
【化1】

一般式(1)
【0097】
例えば下記一般式(2)で表わされるカルボニル化合物
【0098】
【化2】

一般式(2)
[一般式(2)中、A1、A2はそれぞれ置換または無置換の単環または多環式のアリレン基またはヘテロアリレン基を表わす。R1は水素、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基を表わす。Vは−O−、−S−、−NR2−(R2は置換または無置換の単環または多環式のアリレン基、もしくは置換または無置換の単環または多環式のヘテロアリレン基を表わす)を表わし、nは≧0を表わす]、及び下記一般式(3)で表わされるリン化合物
【0099】
【化3】

一般式(3)
[一般式(3)中、A3、A4はそれぞれ置換または無置換の単環または多環式のアリレン基またはヘテロアリレン基を表わす。R3は水素、置換または無置換のアルキルまたはアリールまたはヘテロアリール基を表わす。Wは−O−、−S−、−NR4−(R4は置換または無置換の単環または多環式のアリレン基、もしくは置換または無置換の単環または多環式のヘテロアリレン基を表わす。mは≧0を表わす。XはPO(OR5)2(R5は低級アルキル基)またはP(R6)3+Y―(R6は置換または無置換のアリール基、もしくは置換または無置換のアルキル基を表わし、Yはハロゲン原子を表わす)を表わす)を反応させ、炭素−炭素二重結合を含有する下記一般式(4)
【0100】
【化4】

一般式(4)
の繰り返し単位をもつ重合体が製造される。
【0101】
以下に更に詳細に説明する。
好適に用いられる塩基化合物は、非水系溶媒に均一に溶解していれば一般に知られている塩基性化合物が全て含まれるが、ホスホネートカルボアニオンの形成能を考慮に入れると、塩基性度の点から金属アルコシド、金属ヒドリド、有機リチウム化合物等が好ましく、例えばカリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、リチウムt−ブトキシド、カリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムメトキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム、リチウムナフチリド、リチウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド等を挙げることができる。
【0102】
塩基を溶解する溶媒としては、使用する塩基と安定な溶液を形成する溶媒を選択しなければならないが、その他の要因として塩基の溶解度が高いものがよく、また反応系で生成する高分子量体の反応溶媒に対する溶解性を損ねないものがよく、さらに生成する高分子量体が良好に溶解する溶媒がよく、用いる塩基と製造する高分子量体の特性に応じて、一般に知られているアルコール系、エーテル系、アミン系、炭化水素系溶媒等から任意に選択することができる。
【0103】
塩基とそれを均一に溶解する溶媒の組み合わせとしては、例えばナトリウムメトキシドのメタノール溶液、ナトリウムエトキシドのエタノール溶液、カリウムt−ブトキシドの2−プロパノール溶液、カリウムt−ブトキシドの2−メチル−2−プロパノール溶液、カリウムt−ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液、カリウムt−ブトキシドのジオキサン溶液、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液、メチルリチウムのエーテル溶液、リチウムt−ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液、リチウムジイソプロピルアミドのシクロヘキサン溶液、カリウムビストリメチルシリルアミドのトルエン溶液等をはじめとして、種々の組み合わせの溶液が挙げられ、幾つかの溶液は市販品として容易に入手することができる。温和な反応条件、取り扱いの容易さの観点から好ましくは金属アルコキシド系の溶液が用いられ、生成する重合体の溶解性、取り扱いの容易さ、反応の効率性、生成する重合体の溶解性等の観点からより好ましくは金属t−ブトキシドのエーテル系が用いられ、さらに好ましくはカリウムt−ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液が用いられる。
【0104】
リン化合物およびアルデヒド化合物が化学量論的に等しく存在する溶液と、その2倍モル量以上の塩基を含む前述の塩基溶液を混合させることにより重合反応は容易に進行し、狭い分子量分布に好ましく制御された高分子量の重合体を簡便に得ることができる。通常、塩基の量はリン化合物の重合活性点に対して同量使用するだけでよいが、さらに過剰量用いても支障ない。
【0105】
上記重合反応はリン化合物およびアルデヒド化合物の溶液に塩基溶液を添加してもよく、塩基溶液にリン化合物およびアルデヒド化合物の溶液を加えてもよく、同じに反応系に加えてもよく、添加の順序に制約はない。
【0106】
上記重合反応における重合時間は、用いられるモノマーの反応性、または望まれる重合体の分子量等に応じて適宜設定すればよいが、0.2時間〜30時間が好適である。また、重合体の末端を封止するための封止剤を、反応途中または反応後に添加することも可能であり、反応開始時に添加しておくことも可能である。
【0107】
上記重合反応における反応温度は特に制御する必要なく室温において良好に重合反応が進行するが、反応効率をより上げるために加熱したり、またはより温和な条件に冷却することも可能である。
【0108】
以下に実施例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明に好適に利用できる有機半導体材料はその要旨を越えない限り、この実施例によって制限されるものではない。
【0109】
各種の測定は下記の方法によった。重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)の測定は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)により行い、UV吸収及び示差屈折率を用いて、単分散ポリスチレンを標準としてポリスチレン換算で行った。
【0110】
(材料合成実施例)
100ml四つ口フラスコに、以下の化学式(5)に示す
【0111】
【化5】

化学式(5)
ジアルデヒドを0.852g(2.70mmol)、及び以下の化学式(6)に示す
【0112】
【化6】

化学式(6)
ジホスホネートを1.525g(2.70mmol)を入れ、窒素置換してテトラヒドフラン75mlを加えた。この溶液にカリウムt−ブトキシドの1.0moldm−3テトラヒドロフラン溶液6.75ml(6.75mmol)を滴下し、室温で20時間撹拌した後、ベンジルホスホネート及びベンズアルデヒドを順次加え、さらに2時間30分撹拌した。酢酸およそ1mlを加えて反応を終了し、溶液を水洗した。溶媒を減圧留去し、残渣をテトラヒドロフラン15ml及びメタノール80mlを用いて再沈澱による精製を行い、以下の化学式(7)に示す重合体を1.07g得た。
【0113】
【化7】

化学式(7)
得られた重合体の分子量及び分子量分布を測定したところ、収率:73%、重量平均分子量(Mw):104000、数平均分子量(Mn):36000、分子量分布(Mw/Mn):2.89、重合体:63であった。
【0114】
液滴43のさらに他の例としては、絶縁性材料の微粒子含有液体が用いられる。絶縁性材料としては、SiO2やAl23、誘電体であるSrTiO3、BaTiO3、Pb(Zr,Ti)O3等が考えられる。溶媒としてはPGMEA、シクロヘキサン、カルビトールアセテート等が挙げられる。湿潤剤またはバインダーとして、グリセリン、ジエチレングリコール、エチレングリコール等を必要に応じて加えてもよい。
【0115】
また絶縁性材料を含む液体として、半導体等に多用される層間絶縁膜のシリコンガラスの前駆物質である、ポリシラザン(例えば東燃製)、有機SOG材料、シリカガラス形成材料等が挙げられる。また絶縁体材料を含む金属アルコキシドを用いても良い。これらの場合には液滴付与後の加熱や化学反応などによって絶縁体パターンを形成することができる。
【0116】
以上、本発明の電子デバイスや電子回路を形成するために必要とされる各種機能性材料に関して説明したが、本発明はこのような電子デバイスや電子回路が、電気的な機能発現を行うのみならず、これらの電子デバイスや電子回路が容易に目視で識別できるようにすることも狙っている。そのために上記のような各種液体は、それに含まれる機能性材料が呈する色とは別の色を呈する色材を含有するようにしている。
【0117】
例えば、AgやAl等の導電性金属微粒子を含有する液体で導電性パターンを形成した場合、一般に金属は灰色を呈するものが多く、それ自身の呈する色によって識別しようとすると、AgやAlのように似通った色を呈するものは識別することが困難である。
そこで本発明においては、機能性材料それ自体が呈する色とは別の色を呈する色材を積極的に液体中に含有させ、形成されたドットパターンが赤色、青色等に積極的に見えるように着色するようにしている。具体的には以下に詳述するが、各種顔料等の色材を含有するようにしている。
【0118】
いいかえるならば本発明の各種機能性材料を含む液体は、電気的機能発現のための材料と、それら材料が持つ自身の色とは別の色を呈する色材とを混合した液体である。その結果、液体ドット中の揮発成分が揮発し、残留固形分によって形成された膜状ドットパターンは、機能性材料が呈する色とは別の色を呈するようになる。以下、その着色するための色材について説明する。
【0119】
本発明の各種機能性材料を含む液体に含有する色材は、主として耐水性や耐光性が優れた顔料を使用するものである。
【0120】
例えば、中性あるいは塩基性のpHを有する黒色顔料を、第3級アミンの塩あるいは第4級アンモニウム基を有するアクリル酸エステルモノマーあるいはアクリルアミドモノマーを少なくとも構成成分とする水溶性高分子を用いて分散処理したものを水で希釈し、着色用液体とし、機能性材料を含む液体と混合される。
【0121】
他の色相の着色用液体としては、例えば、イエロー、マゼンタ及びシアン等の色を呈する場合についても、これらの色相の顔料を、カルボキシル基あるいはスルホン基を水溶性基として有するアニオン系高分子分散剤を用いて分散処理したものを水で希釈し、着色用液体とし、機能性材料を含む液体と混合される。
【0122】
なお、ここでいう黒色顔料のpHとは、一般に、カーボンブラックの物性測定法に用いられているのと同様に、純水中に顔料を分散させた場合の溶液のpH値をいう。
以上のような着色用色材を含む各種機能性材料を含む液体紙等の基材にパターン形成を行い、電子デバイスや電子回路を形成すると、各機能毎に所望の色に着色され、容易に視認、区別できる電子デバイスシートや電子回路シートが得られ、またこれらは光や水に対する抵抗性は非常に優れたものとなる。
【0123】
本発明で用いられる高分子分散剤は、主としてビニルモノマーの重合によって得られるものであって、得られる重合体の少なくとも一部を構成するカチオン性モノマーとしては、下記のような第3級アミンモノマーの塩及びこれらの第4級化された化合物が挙げられる。
【0124】
すなわち、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート[CH2=C(CH3)-COO-C2H4N(CH3)2]、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート[CH2=CH-COO-C2H4N(CH3)2]、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート[CH2=C(CH3)-COO-C3H6N(CH3)2]、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート[CH2=CH-COO-C3H6N(CH3)2]、N,N−ジメチルアクリルアミド[CH2=CH-CON(CH3)2]、N,N−ジメチルメタクリルアミド[CH2=C(CH3)-CON(CH3)2]、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド[CH2=CH-CONHC2H4N(CH3)2]、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド[CH2=C(CH3)-CONHC2H4N(CH3)2]、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド[CH2=CH-CONH-C3H6N(CH3)2]、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド[CH2=C(CH3)-CONH-C3H6N(CH3)2]等である。
【0125】
第3級アミンの場合において、塩を形成する化合物としては、塩酸,硫酸,酢酸等が挙げられ、4級化に用いられる化合物としては、塩化メチル,ジメチル硫酸,ベンジルクロライド,エピクロロヒドリン等が挙げられる。この中で、塩化メチル,ジメチル硫酸等が分散剤を調製するうえで好ましい。
【0126】
以上のような第3級アミンの塩、あるいは第4級アンモニウム化合物は水中ではカチオンとして振る舞い、中和された条件では酸性が安定溶解領域である。これらモノマーの共重合体中での含有率は20〜60重量%の範囲が好ましい。
【0127】
上記高分子分散剤の構成に用いられるその他のモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、長鎖のエチレンオキシド鎖を側鎖に有するアクリル酸エステル等のヒドロキシ基を有するアクリル酸エステル、スチレン系モノマー等の疎水性モノマー類、及びpH7近傍の水に溶解可能な水溶性モノマーとして、アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルピロリドン類、ビニルピリジン類、ビニルオキサゾリン類が挙げられる。疎水性モノマーとしては、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、アクリロニトリル等の疎水性モノマーが用いられる。共重合によって得られる高分子分散剤中において水溶性モノマーは、共重合体を水溶液中で安定に存在させるために15〜35重量%の範囲で用い、かつ疎水性モノマーは、共重合体の顔料に対する分散効果を高めるために20〜40重量%の範囲で用いることが好ましい。
【0128】
本発明のブラックインクに使用されるカーボンブラック顔料(C.I.ピグメントブラック7)としては、#2600、#2300、#990、#980、#960、#950、#900、#850、#750、#650、MCF−88、MA−600、#95、#55、#52、#47、#45、#45L、#44、#40、#33、#32、#30、#25、#20、#10、#5(以上、三菱化学製)、Printex95、Printex90、Printex85、Printex80、Printex75、Printex45、Printex40、PrintexP、Printex60、Printex300、Printex30、Printex35、Printex25、Printex200、PrintexA、PrintexG、PrintexL6、PrintexL(以上、デグッサ製)、Raven850、Raven780ULTRA、Raven760ULTRA、Raven790ULTRA、Raven520、Raven500、Raven410、Raven420、Raven430、Raven450、Raven460、Raven890、Raven1020(以上、コロンビア製)、Regal 415R、Regal 330R、Regal 250R、Regal 995R、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch460、Monarch280、Monarch120(以上、キャボット製)等が挙げられる。
【0129】
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー2、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー75、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154等が挙げられる。
【0130】
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド48(Ca)、C.I.ピグメントレッド48(Mn)、C.I.ピグメントレッド57(Ca)、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド202等が挙げられる。
【0131】
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー3、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:34、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー60、C.I.バットブルー4、C.I.バットブルー60等が挙げられる。
【0132】
以上の他に、レッド、グリーン、ブルーその他の3原色以外の中間色が必要とされる場合には、以下のような顔料を単独あるいは併用して用いることが好ましい。例えば、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.バットバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー209等が挙げられる。
【0133】
なお顔料ではなく、染料を色材としても使用することができ、単独で用いたりあるいは上記顔料と共存させて使用してもよい。例えば下記に挙げるような染料が好適に使用できる。
【0134】
イエロー用染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドイエロー17、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー25、C.I.アシッドイエロー29、C.I.アシッドイエロー42、C.I.アシッドイエロー49、C.I.アシッドイエロー61、C.I.アシッドイエロー71、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトイエロー24、C.I.ダイレクトイエロー26、C.I.ダイレクトイエロー44、C.I.ダイレクトイエロー86、C.I.ダイレクトイエロー87、C.I.ダイレクトイエロー98、C.I.ダイレクトイエロー100、C.I.ダイレクトイエロー130、C.I.ダイレクトイエロー142等が挙げられる。
【0135】
マゼンタ用染料としては、C.I.アシッドレッド1、C.I.アシッドレッド6、C.I.アシッドレッド8、C.I.アシッドレッド32、C.I.アシッドレッド35、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド51、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド80、C.I.アシッドレッド85、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド94、C.I.アシッドレッド115、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドレッド254、C.I.アシッドレッド256、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド315、C.I.アシッドレッド317、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.ダイレクトレッド13、C.I.ダイレクトレッド17、C.I.ダイレクトレッド23、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド31、C.I.ダイレクトレッド62、C.I.ダイレクトレッド79、C.I.ダイレクトレッド81、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトレッド89、C.I.ダイレクトレッド227、C.I.ダイレクトレッド240、C.I.ダイレクトレッド242、C.I.ダイレクトレッド243等が挙げられる。
【0136】
シアン用染料としては、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー22、C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドブルー59、C.I.アシッドブルー93、C.I.アシッドブルー102、C.I.アシッドブルー104、C.I.アシッドブルー113、C.I.アシッドブルー117、C.I.アシッドブルー120、C.I.アシッドブルー167、C.I.アシッドブルー229、C.I.アシッドブルー234、C.I.アシッドブルー254、C.I.ダイレクトブルー6、C.I.ダイレクトブルー22、C.I.ダイレクトブルー25、C.I.ダイレクトブルー71、C.I.ダイレクトブルー78、C.I.ダイレクトブルー86、C.I.ダイレクトブルー90、C.I.ダイレクトブルー106、C.I.ダイレクトブルー199等が挙げられる。
【0137】
本発明において、前記したカチオン系水溶性高分子を分散剤として使用して顔料を分散する際に、物性面から好ましい顔料としては、等電点が6以上に調節された顔料、あるいは顔料を特徴づける単純水分散体のpHが中性あるいは塩基性のpHを有するもの、例えば、7以上〜10であるような顔料が分散性の点で好ましい。これは顔料とカチオン系水溶性高分子とのイオン的な相互作用力が強いためと理解されている。
【0138】
以上のような材料を用いて顔料の微粒子水性分散体を得るには、以下のような方法を採用することが好ましい。
【0139】
(1)カーボンブラックの場合:カーボンブラックをカチオン分散剤溶液中にてプレミキシング処理を行い、引き続き高ずり速度の分散装置でミリングし、希釈後、粗大粒子を除去するために遠心分離処理を行う。その後、所望の着色用液体処方のための材料を添加し、場合によっては、エイジング処理を施す。しかる後、最終的に所望の平均粒径を有する顔料分散体を得るために遠心分離処理を行う。このようにして作製される着色用液体のpHは3〜9の範囲とするのが好ましい。
【0140】
(2)その他の色相の顔料の場合:アニオン系分散剤を用いる以外は、基本的にはカーボンブラックと同様である。但し、小粒径にするのが困難な有機顔料の場合には、顔料合成と同時、あるいは合成途中段階で界面活性剤処理を行い、顔料粒子の結晶成長を抑制し、濡れ性を高めた加工顔料を使用することが望ましい。このようにして作製した着色用液体のpHは5〜10の範囲とするのが好ましい。カーボン黒色着色用液体及びカラー着色用液体何れの場合でも、その平均粒径は0.02〜1μmの範囲であることが分散体の安定性上必須であり、好ましくは、0.03〜0.4μmの範囲である。これは分散体の安定性という観点からの必須条件であるが、微細な開口から液体を吐出させるといういわゆるインクジェット原理の噴射に必須という観点から、この平均粒径を検討すると微細な開口すなわち吐出口での目詰まりを考慮に入れる必要がある。なお、良好な液体の表面張力は10〜60dyn/cmの範囲である。
【0141】
本発明で使用するカラー着色用液体に使用される分散剤は、アルカリ可溶性の水溶性脂樹であり、重量平均分子量は1,000〜30,000であり、好ましくは3,000〜15,000の範囲である。具体的には、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸のアルキルエステル、メタクリル酸のアルキルエステル等の疎水性モノマーと、α、β−エチレン性不飽和カルボン酸及びその脂肪族アルコールエステル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマール酸及びそれらの誘導体等の親水性モノマーからなる共重合体及びそれらの塩等である。共重合体はランダム、ブロック、グラフト等の何れの構造を有していてもよく、酸価は100〜430、好ましくは、130〜360の範囲である。
【0142】
本発明で使用するカラー着色用液体に使用される分散剤としては、更に、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性ポリマー、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ポリスチレンスルホン酸等の水溶性樹脂も使用することが可能である。しかし、アルカリ可溶性の水溶性脂樹の方が分散液の低粘度化が可能で、分散も容易であるという利点がある。これらの分散剤の使用量は、選択した顔料と分散剤とを用いて実験的に決定されるが、顔料に吸着せず溶解している樹脂の量は、着色用液体中で4重量%以下であることが好ましい。
【0143】
上記分散剤を水系にて用いるには塩基が必要である。そのために好適な塩基としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−エチル−2−アミノ−1、3−プロパンジオール、2−(2−アミノエチル)エタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、アンモニア、ピペリジン、モルフォリン、β−ジヒドロキシエチル尿素等の有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の無機塩基が挙げられる。最適な塩基種は選択した顔料及び分散剤の種類によって異なるが不揮発性で安定、かつ保水性の高いものが好ましい。用いる塩基の量は基本的には分散剤の酸価から計算される量から、それを中和するに必要な塩基量として夫々用いられる。場合によっては、酸の当量を上回る量の塩基を用いる場合がある。それは、分散性向上、着色用液体のpH調整、着色性能の調整、保湿性の向上等の目的で行う。
【0144】
本発明において着色用液体に用いられる溶剤としては、水と混和性がある有機溶剤類である。有機溶剤としては下記の如く3群に分けることができる。即ち、保湿性が高く、蒸発しにくく、親水性に優れる第1群の溶剤、有機性があり疎水性の表面への濡れ性がよく、蒸発乾燥性もある第2群の溶剤、適度の濡れ性を有し低粘度の第3群の溶剤(一価アルコール類)である。
【0145】
第1群に属する溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジメチルスルホキシド、ダイアセトンアルコール、グリセリンモノアリルエーテル、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール300、チオジグリコール、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルフォラン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、β−ジヒドロキシエチルウレア、ウレア、アセトニルアセトン、ヘンタエリスリトール、1,4−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。
【0146】
第2群に属する溶媒としては、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセテート、グリセリントリアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1−ブタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−ヘキセン−2,5−ジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール等が挙げられる。
【0147】
第3群に属する溶媒としては、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等が挙げられる。以上のような水溶性溶媒の総量は、おおむねインク全体に対して5〜40重量%の範囲で使用することが好ましい。
【0148】
本発明の着色用液体を構成する各水性顔料着色用液体には、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤等を添加することが可能である。界面活性剤は浸透性の高いカラー着色用液体の調製、サーマルインクジェット方式における発熱ヒーター、吐出ノズル表面への濡れ性の調節等に有益である。材料としては既存の市販品から適宜選択することができる。以上のような材料から構成される各着色用液体の物性をまとめると、黒色着色用液体は、高い表面張力(概略30〜60dyn/cm)を有し、一方、カラー着色用液体は低い表面張力(概略10〜40dyn/cm)を有することが好ましい。
【0149】
なお前述のように顔料ではなく、染料を色材としても使用することができるが、この場合は、顔料を色材として使用した場合に比べて、やや光や水に対する抵抗性は弱いものとなるが、用途を限定(耐水性、耐光性がそれほど問題とならないような使用状態に適用)すれば染料を色材として使用することも可能である。
【0150】
次に本発明に好適に適用される液体噴射ヘッドについて、図6、図7を用いて説明する。この例は7ノズルの例である。
【0151】
この液体噴射ヘッドは、液体47が導入される流路45内にエネルギー作用部としてピエゾ素子46を設けたものである。ピエゾ素子46にパルス状の信号電圧を印加して図6(A)に示すようにピエゾ素子46を機械的に歪ませると、流路45の容積が減少すると共に圧力波が発生し、その圧力波によってノズル48から液滴43が吐出する。図6(B)はピエゾ素子46の歪がなくなって流路45の容積が増大した状態である。
【0152】
このような噴射ヘッドで、液滴を噴射させた場合、図8、図9に示したような形状となる。すなわち、このような電気機械変換素子(ピエゾ素子)の機械的変位による作用力で液体を噴射させた場合、飛翔時の液体は、前記基材面に付着する直前にほぼ丸い滴形状である(図8)、もしくは飛翔方向に伸びた柱状であってもその長さは長くてもその直径の3倍以内の長さの柱状とすることができる(図9)。
【0153】
これは通常、このような電気機械変換素子(ピエゾ素子)の機械的変位による作用力で液体を噴射させるという原理によって液滴を噴射させた場合、この原理の持つ特性としていつもほぼこのような形状の液滴が得られる。以下にその理由を述べる。
【0154】
一般にこのような電気機械変換素子(ピエゾ素子)の機械的変位による作用力で液体を噴射させるという原理によって液滴を噴射させた場合、電気機械変換素子によって液体に与える衝撃力の時間微分した値の大小によってこの形状は決まるわけであるが、この原理の噴射ヘッドの場合、液体がノズルから飛び出す時の条件と、このような丸い液滴あるいは細長い形状であったとしても最大でもその直径の3倍以内の長さの柱状となって噴射、飛翔する条件がほぼ一致している。
【0155】
すなわち、このような原理で液滴を噴射させた場合、飛翔時の液滴の形状は、ほぼこのような丸い液滴あるいは細長い形状であったとしても最大でもその直径の3倍以内の長さの柱状である。そしてそのときの状態というのは、飛翔液滴が外乱によって揺らぐことなく安定して飛翔する状態である。またそのときの飛翔スピードは、5m/s〜12m/sである。
【0156】
本発明においては、このような噴射ヘッドを使用して、電気的機能発現材料含有液体を噴射して、電子デバイスあるいは電子回路を形成する場合、この条件(この飛翔時の形状)としているが、仮にそのような条件から外れる場合(通常ほとんどそのようなことはないが)においては、電気的機能発現材料含有液体あるいはそれと同等の流体物性(粘度、表面張力)を持つ液体と、同等の噴射ヘッドとを使用して噴射させ、その飛翔形状を顕微鏡下で観察しながら噴射ヘッドの電気機械変換素子への駆動信号を調整(その形状となるように立ち上がり波形を急峻に)して、その駆動信号の調整結果に基づいた駆動信号を、本発明の電子部品製造装置の噴射ヘッドの電気機械変換素子へ入力することにより、所望の安定した飛翔形状が得られるようにしている。
【0157】
次に本発明に好適に適用される液体噴射ヘッドの他の例について、図10を用いて説明する。この例はサーマル方式(バブル方式)の液体噴射ヘッドの例であり、前述のピエゾ素子による電気−機械変換作用によって液滴噴射を行うのではなく、液体中に短時間(1〜10μs)に加えられた高熱(300〜500℃)で瞬時に発生する膜沸騰気泡の成長作用力を液滴噴射の原動力とするものである。
【0158】
ここで示した液体噴射ヘッドは、液体が流れる流路短部から液滴が噴射するタイプのものであり、エッジシューター型と呼ばれるものである。
【0159】
ここでは、液体噴射ヘッドのノズル数を4個とした例を示している。この液体噴射ヘッドは、発熱体基材66と蓋基材67とを接合させることにより形成されており、発熱体基材66は、シリコン基材68上にウエハプロセスによって個別電極69と共通電極70とエネルギー作用部である発熱体71とを形成することによって構成されている。
【0160】
一方前記蓋基材67には、機能性材料を含有する液体が導入される流路を形成するための溝74と、流路に導入される前記液体を収容する共通液室を形成するための凹部領域75とが形成されており、これらの発熱体基材66と蓋基材67とを図10に示すように接合させることにより、前記流路及び前記共通液室が形成される。なお、発熱体基材66と蓋基材67とを接合させた状態においては、前記流路の底面部に前記発熱体71が位置し、流路の端部にはこれらの流路に導入された液体の一部を液滴として吐出させるための前記ノズル65が形成されている。なおここでは、ノズル形状は矩形であるが、これは丸形状であってもよい。
【0161】
さらにより噴射安定性を考慮して、端面(ノズル65の領域)に、別途ノズルプレートを設け、所望のノズル径、ノズル形状(たとえば丸形状)としてもよい。その場合のノズルプレートとしては、たとえばNiなどが用いられ、エレクトロフォーミング等の手法によって高精度な物が形成できる。あるいは、樹脂フィルム(基材)にエキシマレーザー加工によってノズル孔を穿孔したものを用いるのも良い方法である。
【0162】
なお前記蓋基材67には、供給手段(図示せず)によって前記供給液室内に液体を供給するための液体流入口76が形成されている。
【0163】
このような噴射ヘッドで、本発明に使用する電気的機能発現材料含有液体を噴射させた場合、図11に示したような形状となる。すなわち、このような液体中に配された発熱体が発する熱によって瞬時に発生させた気泡の成長作用力で液体を噴射させた場合、飛翔時の液体は、飛翔方向に伸びた細長柱状であってその直径の5倍以上の長さの柱状形状とすることができる(図11)。
【0164】
これは通常、このような液体中に配された発熱体が発する熱によって瞬時に発生させた気泡(膜沸騰気泡)の成長作用力で液体を噴射させた場合、この原理の持つ特性としていつもほぼこのような飛翔液体の形状が得られる。以下にその理由を述べる。
【0165】
一般にこのような液体中に配された発熱体が発する熱によって瞬時に発生させた気泡(膜沸騰気泡)の成長作用力で液体を噴射させるという原理によって液体を噴射させた場合、前述のような電気機械変換素子を利用する噴射ヘッドとは比較にならないくらいその噴射圧力が高く、図11で示したような液柱が細長く伸び、後方に微小なサテライト滴を引きずるような飛翔形態をとる。またそのときの飛翔スピードは、8m/s〜18m/sというように大変高速である。それゆえ、後方に微小なサテライト滴を引きずるような飛翔形態であって、それらも高速で飛翔して、基材面に先行する細長柱状の液体とほぼ同じ位置に着弾するので、パターン形成上は何ら支障はない。
【0166】
本発明においては、このような噴射ヘッドを使用して、電気的機能発現材料含有液体を噴射して、電子デバイスあるいは電子回路を形成する場合、この条件(飛翔方向に伸びた細長柱状であってその直径の5倍以上の長さの柱状形状)としているが、仮にそのような条件から外れる場合(通常ほとんどそのようなことはないが)においては、電気的機能発現材料含有液体あるいはそれと同等の流体物性(粘度、表面張力)を持つ液体と、同等の噴射ヘッドとを使用して噴射させ、その飛翔形状を顕微鏡下で観察しながら噴射ヘッドの発熱体への駆動信号を調整(その形状となるようにパルス電圧、あるいはパルス幅を少し増やす、つまり駆動エネルギーを増やす)して、その駆動信号の調整結果に基づいた駆動信号を、本発明の電子部品製造装置の噴射ヘッドの発熱体へ入力することにより、所望の安定した飛翔形状が得られるようにしている。
【0167】
前述のピエゾ素子による電気−機械変換作用によって液滴噴射を行う方式にしろ、サーマル方式(バブル方式)にしろ、本発明においては、特に0.1pl〜数100pl程度の液滴を形成するために、噴射ヘッドのノズルは、Φ3μm〜Φ100μmの範囲のものが用いられる。
【0168】
ライン幅が5μm程度の精細なパターン、ドット径がΦ5μm程度の微小ドットパターンを形成するためには、Φ3μm〜Φ5μmのノズル径が選ばれ、ライン幅が20μm程度のパターン、ドット径がΦ20μm程度のドットパターンを形成するためには、Φ10μm〜Φ25μmのノズル径が選ばれる。また、ある領域を全面的に被覆するだけでよい場合には、Φ30μm〜Φ100μmの大きなノズル径を選択すればよい。なおノズル形状が丸ではなく、他の形状(例えば矩形、台形等)である場合には、面積換算で同じ大きさになるようにしたものを選択する。
【0169】
本発明では複数の液滴により1つの電子デバイスを形成する、あるいは、複数滴によって、電子デバイスなどを形成するパターンをドットを重ね打ちしたり接触させたりして形成する。よって、このようなマルチノズル型の液体噴射ヘッドを用いると大変効率的に電子デバイスを形成することができる。なおこの例では4ノズルの液体噴射ヘッドを示しているが、必ずしも4ノズルに限定されるものではなく、ノズル数が多ければ多いほど電子デバイスの形成が効率的になることは言うまでもない。ただし、単純に多くすればよいということではなく、多くすれば液体噴射ヘッドも高価になり、また噴射ノズルの目詰まりによる確率も高くなるので、それらも考慮し装置全体のバランス(装置コストと電子デバイスの製作効率のバランス)を考えて決められる。
【0170】
図12はこのようにして製作されたマルチノズル型の液体噴射ヘッドをノズル側から見た図を示している。本発明では、このようなマルチノズル型の液体噴射ヘッドを図13に示すように、噴射する液体ごとに設け、キャリッジ搭載される。図14はその斜視図である。
【0171】
図13、図14にはそれぞれのマルチノズル型の液体噴射ヘッドをA、B、C、Dと符号をつけているが、それぞれ各液体噴射ヘッドA、B、C、Dはノズル部分が各液体噴射ヘッドごとに離間して構成されるとともに各液体噴射ヘッドごとに異なる種類の電気的機能発現材料含有液体を噴射することができる。
【0172】
例えばA、B2つの液体噴射ヘッドには、それぞれ低抵抗と高抵抗の2種類の導電性材料を含む液体を詰め、Cの液体噴射ヘッドには、半導体材料を含む液体、Dの液体噴射ヘッドには、絶縁材料を含む液体を詰め、それぞれ独自に噴射できるようにしている。
つまり本発明の電子デバイスあるいは電子回路を製作するための製造装置は、基本的にはこのような4種類の液体を独自に噴射できるようにした4個の噴射ヘッドを、あるいはそれらを図13、図14のようにユニット化したヘッドユニットを具備するものである。このように少なくとも4種類の液体を独自に噴射できるようにしておけば、次に説明するような各種素子の製作、あるいはそれら素子の組み合わせた電子回路、さらにはIC、LSIを模倣したような集積回路の製作を行うことができる。
【0173】
なお、必ずしも4個あるいは4種類の液体噴射に限定されるものではなく、4個の噴射ヘッドを用意しておく、あるいは4種類の液体噴射を行うようにしておけば、基本的な電子回路形成がほぼ可能であるということであって、5個あるいは6個又はそれ以上の数の噴射ヘッドを有していてもよい。
【0174】
次に各種素子の具体的形成例を説明する。最初に抵抗器の形成方法について図15〜図17に基づいて説明する。
【0175】
抵抗材料としては、導電性粉末と絶縁性粉末との混合、Ni−Cr、Cr−SiO、Cr−MgF、Au−SiO2、AuMgF、PtTa25、AuTa25Ta2、Cr3Si、TaSi2等が挙げられ、その溶媒としては、PGMEA、シクロヘキサン、カルビトールアセテート等が挙げられる。
これに加えて、前述の各着色用液体から適宜選択した液体を混合したものが使用される。また、湿潤剤またはバインダーとして、グリセリン、ジエチレングリコール、エチレングリコール等を必要に応じて加え、インクジェット原理の噴射に適した物性となるように粘度などが調整される。
【0176】
また絶縁性材料を含む液体として、ポリシラザンや絶縁体材料を含む金属アルコキシドを用いても良い。この場合には加熱や化学反応などによって絶縁体材料を形成することができる。抵抗材料は形成したい抵抗器の抵抗値に応じて決める。
【0177】
図15〜図17において(a)は回路素子の中心線で切断した製造工程断面図を示し、(b)は平面図を示す。
【0178】
図15は抵抗膜形成工程を示す。まず液体噴射ヘッド26を図15の(a)、(b)に示すように移動させる。そして当該ヘッド26から抵抗材料を含む液体16を吐出させ、電気的抵抗を与えるための抵抗膜106を形成する。
【0179】
固化処理として、物理的、物理化学的、化学的処理を抵抗膜106形成前のパターン形成面100、あるいは抵抗膜106上に施せばよい。例えば熱風の吹き付け、レーザ照射、ランプ照射による加熱・乾燥処理、化学物質の投与による化学変化処理、液体16のパターン形成面100への付着の程度を制御する一定の表面改質処理等により付着した液体中の揮発成分を揮発させ、固形分を基板上に残留させることによってパターンを固化、形成したり、あるいは液体16の付着を促進したりする。
【0180】
なお抵抗膜106の幅、高さおよび長さについては形成したい抵抗器の抵抗値に応じて決める。抵抗器の抵抗値は長さに比例し断面積に反比例するからである。なおこの抵抗膜106は目標となる抵抗値よりも大きな抵抗値となるように高さや幅を設定しておくことが好ましい。後に抵抗膜106の高さや幅を増加させて抵抗値を適正値に下げることができるからである。
【0181】
図16および図17は導電膜形成工程を示す。抵抗膜106が固化したら、液体噴射ヘッド22を図16および図17に示すように移動させ、導電性材料を含む液体12を吐出して、抵抗膜106の両端に導電膜102を形成する。ここでも導電性材料を含む液体12には、前述の各着色用液体から適宜選択した液体を混合したものが使用される。それにより、形成される導電膜は、前述の抵抗器とは異なる識別できる色のついた導電膜となる液体12およびその固化処理については前述と同様の手法を用いる。
【0182】
上記の工程により電気回路として抵抗器124をパターン形成面100に形成することができる。なお後に抵抗器124の抵抗値を微調整したい場合には抵抗膜106にさらに液体13を吐出して抵抗膜106の厚みを厚くしたり幅を大きくしたりすれば、抵抗値を適正値にまで下げることができる。
【0183】
次にコンデンサの形成方法について図18〜図20に基づいて説明する。各図において(a)は回路素子の中心線で切断した製造工程断面図を示し、(b)は平面図を示す。
【0184】
図18は絶縁膜形成工程を示す。まず液体噴射ヘッド21を図18の(a)に示すように絶縁膜を形成する領域に移動させ、当該ヘッド21からパターン形成材料として絶縁性材料を含む液体11を吐出させる。絶縁性材料としては、SiO2やAl23、誘電体であるSrTiO3、BaTiO3、Pb(Zr,Ti)O3等が使用できる。溶媒としてはPGMEA、シクロヘキサン、カルビトールアセテート等が挙げられる。湿潤剤またはバインダーとして、グリセリン、ジエチレングリコール、エチレングリコール等を必要に応じて加えてもよい。また絶縁性材料を含む液体11として、ポリシラザンや絶縁体材料を含む金属アルコキシドを用いても良い。この場合には加熱や化学反応などによって絶縁体材料を形成することができる。なおここでも絶縁性材料を含む液体11には、前述の各着色用液体から適宜選択した液体を混合したものが使用される。それにより、形成される絶縁膜は、視認、識別可能となるように着色される。
【0185】
吐出された液体11はパターン形成面100に着弾する。着弾した液体11は数μm〜数10μm程度の径を有する。
【0186】
液体噴射ヘッド21を図18の(b)のように動かして液体11を連続してパターン形成領域に沿って吐出すれば、巨視的には矩形の絶縁膜パターンを形成できる。絶縁膜101の幅、長さおよび絶縁性材料の誘電率は形成したいコンデンサの容量に応じて定める。コンデンサの容量は対向電極の面積、間隙および誘電率により定まるからである。膜の厚みを厚くする場合には一旦固化した膜上にさらに同一の液体を吐出し固化させるというように積層構造に製造すればよい。固化処理は前述の抵抗器形成方法で説明した手法が適用できる。
【0187】
液体が絶縁性材料を含む場合には、固化させ形成された膜が緻密な膜となっていなくても電気的な悪影響がないので、溶媒成分を蒸発させるだけでよい。ただし膜を強固にするために加熱処理をすることは望ましい。また化学的反応により絶縁膜を固化させる場合には、分散系の破壊をもたらすような薬品で処理することも可能である。
【0188】
例えば、液体11がスチレン−アクリル樹脂により分散した有機顔料を主成分とする場合には、反応液として硝酸マグネシウム水溶液を吐出する。また液体11がエポキシ樹脂を主成分とする場合には、反応液としてアミン類を吐出する。一つのパターンを形成するたびに固化処理を行うことが好ましい。なぜなら固化していない液体に重ねて他のパターン形成材料を含んだ液体を吐出すると、材料が混ざるため所望の電気的特性が得られないからである。
【0189】
なおパターン形成材料として絶縁性材料の代わりに誘電性材料を使用してもよい。誘電性材料を電極間に充填させればコンデンサの容量を増加させることができるからである。また複数の材料により複数の絶縁膜を平行して形成してもよい。コンデンサの多層構造に類した機能を持たせることができるからである。
【0190】
また電極の間隙が少ない場合には、後に吐出される導電性材料を含んだ液体12に対してこの絶縁膜が非親和性を示すような絶縁性材料を選択することが好ましい。形成される絶縁膜が液体12をはじくので、電極が短絡する危険が少なくなるからである。
【0191】
図19および図20は導電膜形成工程を示す。絶縁膜101が固化したら、液体噴射ヘッド22を図19の(a)および図20の(a)に示すように導電膜を形成する領域に移動させる。次いで図19の(b)や図20の(b)の矢印のように液体噴射ヘッド22を動かしてパターン形成材料として導電性材料を含む液体12を吐出させる。これによりコンデンサの電極となる導電膜102が形成される。
【0192】
パターン形成材料の導電性材料としては、RuO2、IrO2、OsO2、MoO2、ReO2、WO2、YBa2Cu37−x、Pt、Au、Ag、In、In−Ga合金、Ga、半田等が使用できる。溶媒としてはブチルカルビトールアセテート、3−ジメチル−2−イミタゾリジン、BMA等が使用できる。
【0193】
導電性材料を含む液体12としては、In−Ga、In、半田等の低融点金属を加熱等によって溶融させた状態で用いてもよい。
【0194】
導電膜のパターンは、図18〜図20のような形の他、種々の形状に変更可能である。例えば各導電膜や絶縁膜を鋸歯状や凹凸形状に形成して対向する電極が噛み合うように形成すればさらにコンデンサの容量を増加させることができる。コンデンサの容量を大きくするために絶縁膜101の高さや導電膜102の対向面の高さを高く形成し電極面積を大きくしてもよい。
【0195】
次いで所望の電気的特性を得るために導電膜の固化処理を行う。固化処理については前述と同様の手法を用いる。
【0196】
液体12がパターン形成材料として金属等の導電性材料の微粒子を含んでいる場合、図21の(a)、(b)に示すように、液体噴射ヘッド22から吐出される液体12bには溶媒中に微粒子が散在している。この液体から溶媒を蒸発させただけではパターン形成材料が連続せず導電性が確保できない場合がある。その場合は、図22に示すように、固化装置6等により導電性材料の融点以上に加熱するのも宵方法である。この処理により溶媒が蒸発する他、パターン形成材料が溶解し微粒子が互いに連結し一体化する。液体12がパターン形成材料を溶解したものである場合も加熱処理で溶媒を蒸発させることにより、導電性材料を析出させる。パターン形成材料が融点以上に熱せられた金属等の材料である場合、パターン形成面を融点より低い温度に維持することによって導電性材料を固化させてもよい。
【0197】
次にコイルの形成方法について図23〜図25に基づいて説明する。各図において(a)は回路素子の中心線で切断した製造工程断面図を示し、(b)は平面図を示す。
【0198】
図23は導電膜形成工程を示す。まず液体噴射ヘッド22を図23の(a)、(b)に示すように移動させながら導電性材料を含む液体12を吐出させ、コイルの引き出し線に相当する導電膜102を形成する。液体12およびその固化処理については前述と同様である。なおパターン形成面100上に予め磁性材料を塗布したり渦状の導電膜102の間に磁性材料を塗布したりすれば、コイルのインダクタンスを増加させることができる。
【0199】
図24は絶縁膜形成工程を示す。液体噴射ヘッド21を図24の(a)に示すように移動させ絶縁性材料を含む液体11を吐出させ、図24の(b)のように導電膜102の先端を残して絶縁膜101を形成する。この図のように大きく絶縁膜を設けず図23で形成する導電膜と図25で形成する導電膜との交差部分にのみ絶縁膜を設けるものでもよい。液体11およびその固化処理については前述と同様である。
【0200】
図25は渦状導電膜形成工程を示す。液体噴射ヘッド22から導電性材料を含む液体12を吐出させながら図25の(a)に示すように螺旋状に移動させ、渦状の導電膜102を形成する。この渦状の導電膜102は図25の(b)に示すように中心が図23で形成した導電膜102に接触している。渦巻き状のどの部分も先に形成した導電膜に接触しない。渦の巻き数や導電膜102の幅は製造したいコイルのインダクタンス値に応じて定める。液体12およびその固化処理については前述と同様である。
【0201】
上記の工程により電気回路としてコイル123をパターン形成面100に形成することができる。なお後にコイル123のインダクタンスを増加させたい場合には渦状の端部からさらに渦状の導電膜102を伸ばせばよい。またインダクタンスを現象させた場合には既に形成した渦状の導電膜102の途中から引き出し線を付加すればよい。
【0202】
次に有機薄膜トランジスタ素子の例を説明する。前述のような有機半導体材料含有溶液を用いて、本発明では例えば、図26、図27に示したような有機薄膜トランジスタ素子を形成することができる。有機薄膜トランジスタ素子構成としては、紙をベースとした基材上に有機半導体層に接したソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、基材上にまずゲート電極を有し、ゲート絶縁層を介して有機半導体層で連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別されるが、具体的な素子の層構成例(1素子の断面図)は図26、図27のようになる。
【0203】
図26はトップゲート型の層構成例を示し、紙をベースとした基材10上に有機半導体層8を有し、さらに有機半導体層8に電気的接続する第1の電極としてのソース電極4及び第2の電極としてのドレイン電極5を有し、この一対の電極間に設けられるとともに、さらにこの電極間にあって、上記有機半導体層8が設けられた領域上に、ゲート絶縁層6を介して第3の電極としてのゲート電極7を有するものである。そして、ソース電極4及びドレイン電極5の間に電圧を印加し、さらにゲート電極7に電圧を印加、制御するようにしている。
【0204】
図27はボトムゲート型の層構成例を示し、紙をベースとした基材10上にゲート電極7としての電極層、ゲート絶縁層6、有機半導体層8をこの順序で形成し、さらに有機半導体層8に電気的に導通するソース電極4及びドレイン電極5よりなる一対の電極層を形成し、さらに有機半導体層8の領域を素子保護層9により封止構造としたものである。そして、ソース電極4及びドレイン電極5の間に電圧を印加し、さらにゲート電極7に電圧を印加、制御するようにしている。
【0205】
図28はこのボトムゲート型有機トランジスタ素子を形成する際のパターン形成の順序を説明する平面図である。(a)〜(f)により簡単にそのパターン形成順序を説明する。
【0206】
(a)は、基材10を示しておりこの基材10上にゲート電極7を形成するための導電性材料含有液体を噴射ヘッドによってドットパターンが打ち込まれる。そのドットパターンは適宜組み合わされて(b)に示すような矩形形状(帯状)のゲート電極7となる。
【0207】
このあと同様に各種液体によるパターン形成が行われるが、各種液体を噴射付与する前に先に形成されたパターンは、前述のような手法によって乾燥、固化処理を行う。
【0208】
(c)はゲート絶縁層6を形成したものであり、その上に(d)に示すような有機半導体層8を形成する。次に(e)に示すようにこの有機半導体層8に導通するようにソース電極4及びドレイン電極5を形成して、一応トランジスタ素子は完成するが、(f)に示すように、全面に絶縁材料によって素子保護層9を設けることが望ましい。なお(f)の断面AAは、図27に対応している。
【0209】
以上、電子回路を構成する各種素子の説明をしたが、次に本発明のさらに他の特徴について説明する。
【0210】
図29、図30は、本発明の電子回路、あるいは電子デバイスを形成するためのパターン配線の例を単純化して示したものである。電極パターン(端子パターン91、素子電極93)を形成するのに、基材上にあらかじめAg、Al、Au、Cu等の微粒子を含むペースト状液体を使用し、スクリーン印刷等によって、所望のパターン形状にしたものである。
【0211】
このような1対の電極間に、Ag等の導電性材料の微粒子を含有した液体を使用し、前述のような電子デバイス形成と同じように液体噴射原理によってドット92、94を付与し、電極間を導通するようにすれば電子回路(の一部)として機能する。ここで電極間(91間、あるいは93間)を、ドット1個だけでつないでもよいし、図29、図30のように、複数個のドットを重ね合わせてつないで打ち込んでもよい。電極間をつなぐ距離が長い場合は、当然ではあるが、複数個のドットを重ね合わせてつないで電気的接続を行う。
【0212】
図29、図30に示した例は、電極パターン(端子パターン91、素子電極93)を基材上にスクリーン印刷等によって、所望のパターン形状にしたものであるが、図31、図32に示したものは、この電極パターン91、93を本発明の液体噴射原理によって形成したものである。
【0213】
すなわち、Ag等の導電性材料の微粒子を含有した液体を使用し、液体噴射原理によって電極パターン91、93をドットの組み合わせとして形成したものである。このようにすることの利点は、電極形成においても、図2、図3等で説明した本発明の製造装置がそのまま使用できる点にある。
【0214】
なお、図31、図32に示したものは、電極パターン部91、93のドット径が配線パターン92あるいは、デバイスパターン(ドットパターン94)のドット径より大きなものとしたが、これはノズル径の異なる噴射ヘッドを用いたり、ピエゾ素子への駆動波形あるいは駆動エネルギーを変えたりして、ノズルから噴射する液滴の大きさを変えることによって実現できる。
【0215】
また、必ずしもこれらの例のように、ドット径の大きさを変える必要はなく、電子回路の構成によって適宜選べばよく、大面積をドットによってパターン形成するような場合、例えば、絶縁層で広い面積を覆うような場合など、大径ドットを打ち込んで効率良くドットパターンを形成すればよい。
【0216】
これらの例と違って、同じ吐出口径をもつ同じ噴射ヘッドを使用して、先に形成する電極パターン部91、93のドット径と後から形成する電極間を接続するパターン(配線パターン92、あるいはドットパターン94)のドット径が同じ大きさになるようにしてもよいのはいうまでもない。
【0217】
また電極パターン部91、93のドットと、配線パターン92、あるいはドットパターン94の打ち込み順序の前後は逆であってもよい。これも、形成する電子回路の構成によって適宜その順序を決めればよい。
【0218】
本発明によれば、上述したような溶液組成物を図2、図3等に示した電子デバイスあるいは電子回路の製造装置により、紙をベースとした基材上に液滴吐出によりドットとして供給した後、基材を吐出時温度より高温(例えば50℃〜200℃)で処理して、ドット中の揮発成分を揮発させ、固形分を基材上に残留させることによってドットパターンを形成、膜化することによって形成される電子デバイスあるいは電子回路の形成法が提供される。この手法によれば、単独のデバイスのみならず、IC、LSIのようなパターンを積層、集積化したデバイスも容易に形成できる。
【0219】
また各種液体は、機能性材料が呈する色とは別の色を呈する色材を含有する液体としているので、形成される電子デバイスあるいは電子回路は、その機能を発現する部分が着色され、各種デバイスや回路構成が容易に識別できるという利点がある。
なお、図2、図3の電子デバイスあるいは電子回路の製造装置においては基材の搬送についての説明を省略したが、基材搬送手段として、ローラ搬送あるいはベルト搬送という従来より知られている手段によって簡単に実現できる。
【0220】
この手段の応用例として、基材をローラ搬送あるいはベルト搬送によって行う場合、いったん片面に電子デバイスあるいはパターン配線等の電子回路を形成した後、基材を反転させて、裏面にも電子デバイスあるいはパターン配線等の電子回路を形成することが可能となる。基材の反転あるいはその位置決めなどは、いわゆるインクジェットプリンター等で行われている両面印刷の技術をそのまま応用することができる。
【0221】
このように基材の両面に電子デバイスあるいは電子回路を形成することにより、より多機能、あるいはメモリー機能を有する電子部品の場合、より容量の大きいメモリー部品、さらにはより複雑な電子部品を製造することが可能となる。あるいは表裏に形成することにより、基材(チップ)サイズを小さくすることも可能である。
【0222】
また表裏で異なる機能の電子デバイスを形成し、ハイブリッド型の電子部品とすることも可能である。例えばRFID(Radio Frequency-Identification:電波認識)方式のデバイスにおいては、メモリー、通信回路あるいは小型アンテナなどを組み合わせた構成となっているが、表面にメモリーを形成し、裏面に通信回路と小型アンテナを形成するといった構成にすることも可能である。
【0223】
ここで、本発明の他の目的は、このような新規な電子デバイスあるいは電子回路であって,より複雑な電子デバイスあるいは電子回路を製造するための製造装置を提供することにある。
【0224】
さらに他の目的は、このような製造装置によって製作される新規な電子デバイス基板を提供することにある。
【0225】
また他の目的もまた、このような製造装置によって製作される新規な電子デバイス基板を提供することにある。
【0226】
さらに他の目的は、このような製造装置によって製作される新規かつより複雑な電子デバイス基板を提供することにある。
【0227】
また他の目的は、このような製造装置によって製作される新規な紙をベースとした電子デバイス基板を提供することにある。
【0228】
さらに他の目的は、このような製造装置によって製作される新規な電子回路基板を提供することにある。
【0229】
また他の目的もまた、このような製造装置によって製作される新規な電子回路基板を提供することにある。
【0230】
さらに他の目的は、このような製造装置によって製作される新規かつより複雑な電子回路基板を提供することにある。
【0231】
また他の目的は、このような製造装置によって製作される新規な紙をベースとした電子回路基板を提供することにある。
【0232】
請求項2の発明によれば、このような電子デバイスあるいは電子回路の製造装置において、前記噴射ヘッドを複数個有し、各噴射ヘッドはそれぞれ異なる機能性材料ならびにそれらが呈する色とは別の色を呈する色材を含有する液体を噴射付与するようにしたので、請求項1の効果に加え、より複雑な電子デバイスあるいは電子回路を製造するための製造装置をとすることができた。
【0233】
請求項3の発明によれば、基板上に、機能性材料を含む液体をドットとして形成し、該ドット中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基板上に残留させることによってドットパターンを形成してなる電子デバイス基板において、該ドットパターンは、前記機能性材料が呈する色とは別の色を呈するようにしたので、電子デバイスとして機能する部分が明確に識別できる新規な電子デバイス基板を実現できた。
【0234】
請求項4の発明によれば、このような電子デバイス基板において、前記ドットパターンは、複数ドットの組み合わせによって所望のパターンとしたドットパターンであるようにしたので、請求項3の効果と同様に、電子デバイスとして機能する部分が明確に識別できる新規な電子デバイス基板を実現できた。
【0235】
請求項5の発明によれば、このような電子デバイス基板において、前記ドットパターン、あるいは前記複数ドットの組み合わせによって所望のパターンとしたドットパターンは、複数種類の異なる機能性材料ならびにそれらが呈する色とは別の色を呈する色材を含有する液体をドットとして形成し、該ドット中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基板上に残留させることによって形成され、各機能ごとに着色されたドットパターンであるようにしたので、請求項4の効果に加え、より複雑な電子デバイス基板を実現できた。
【0236】
請求項6の発明によれば、このような電子デバイス基板において、前記基板は、紙であるようにしたので、軽量化、低コスト化が実現し、安価なおもちゃ感覚で製作、使用できる電子デバイス基板を実現できた。また軽量で柔軟性があり曲げることのできる電子デバイス基板を実現できた。
【0237】
請求項7の発明によれば、基板上に、機能性材料を含む液体をドットとして形成し、該ドット中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基板上に残留させることによってドットパターンを形成してなる電子回路基板において、該ドットパターンは、前記機能性材料が呈する色とは別の色を呈するようにしたので、電子回路として機能する部分が明確に識別できる新規な電子回路基板を実現できた。
【0238】
請求項8の発明によれば、このような電子回路基板において、前記ドットパターンは、複数ドットの組み合わせによって所望のパターンとしたドットパターンであるようにしたので、請求項7の効果と同様に、電子回路として機能する部分が明確に識別できる新規な電子回路基板を実現できた。
【0239】
請求項9の発明によれば、このような電子回路基板において、前記ドットパターン、あるいは前記複数ドットの組み合わせによって所望のパターンとしたドットパターンは、複数種類の異なる機能性材料ならびにそれらが呈する色とは別の色を呈する色材を含有する液体をドットとして形成し、該ドット中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基板上に残留させることによって形成され、各機能ごとに着色されたドットパターンであるようにしたので、請求項8の効果に加え、より複雑な電子回路基板を実現できた。
【0240】
請求項10の発明によれば、このような電子回路基板において、前記基板は、紙であるようにしたので、軽量化、低コスト化が実現し、安価なおもちゃ感覚で製作、使用できる電子回路基板を実現できた。また軽量で柔軟性があり曲げることのできる電子回路基板を実現できた。
【0241】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0242】
【図1】本発明の電子部品製造装置によって形成されるパターン配線の一実施例を説明するための図である。
【図2】本発明の電子デバイスあるいは電子回路を製造する電子部品製造装置の一実施例を説明するための図である。
【図3】本発明の電子デバイスあるいは電子回路を製造する電子部品製造装置の他の実施例を説明するための図である。
【図4】本発明の電子デバイスあるいは電子回路の製造に適用される液滴付与装置を示す概略構成図である。
【図5】本発明の基材となる紙のセルロース繊維を示すイメージ図である。
【図6】本発明に好適に使用されるピエゾ素子利用の液体噴射ヘッドの液滴噴射原理を説明する図である。
【図7】本発明に好適に使用されるピエゾ素子利用の液体噴射ヘッドの構造を示す図である。
【図8】本発明に好適に使用されるピエゾ素子利用の液体噴射ヘッドによって噴射させた場合の液滴の形状である。
【図9】本発明に好適に使用されるピエゾ素子利用の液体噴射ヘッドによって噴射させた場合の液滴の形状で、やや細長くなった場合である。
【図10】本発明に好適に適用されるサーマル方式(バブル方式)の液体噴射ヘッドの例である。
【図11】本発明に好適に使用されるサーマル方式(バブル方式)の液体噴射ヘッドによって噴射させた場合の溶液の飛翔時の形状である。
【図12】マルチノズル型の液体噴射ヘッドをノズル側から見た図である。
【図13】マルチノズル型の液体噴射ヘッドを噴射する液体ごとに積層し、ユニット化した図である。
【図14】ユニット化したヘッドの斜視図である。
【図15】本発明における抵抗器の形成方法の抵抗膜形成工程である。
【図16】本発明における抵抗器の形成方法の導電膜形成工程である。
【図17】本発明における抵抗器の形成方法の導電膜形成工程である。
【図18】本発明におけるコンデンサの形成方法の絶縁膜形成工程である。
【図19】本発明におけるコンデンサの形成方法の導電膜形成工程である。
【図20】本発明におけるコンデンサの形成方法の導電膜形成工程である。
【図21】微粒子を含んだ液体を用いた場合の吐出工程である。
【図22】微粒子を含んだ液体を用いた場合の加熱工程である。
【図23】本発明におけるコイルの形成方法の導電膜形成工程である。
【図24】本発明におけるコイルの形成方法の絶縁膜形成工程である。
【図25】本発明におけるコイルの形成方法の導電膜形成工程である。
【図26】本発明を利用して形成される有機トランジスタ素子の層構成例(トップゲート型)を示す図である。
【図27】本発明を利用して形成される有機トランジスタ素子の他の層構成例(ボトムゲート型)を示す図である。
【図28】本発明を利用して形成される有機トランジスタ素子(ボトムゲート型)のパターン形成順序を示す平面図である。
【図29】本発明を利用して形成される電子回路の一部を構成する電極間の接続構成(ドットによるパターン配線形成)を説明する図である。
【図30】本発明を利用して形成される電子デバイスの一部を構成する電極間の接続構成(ドットによるパターン配線形成)を説明する図である。
【図31】図29における電極も本発明を利用してドットパターンで形成した例である。
【図32】図30における電極も本発明を利用してドットパターンで形成した例である。
【符号の説明】
【0243】
1 配線パターン
2、3 端子
4 ソース電極
5 ドレイン電極
6 ゲート絶縁層
7 ゲート電極
8 有機半導体層
9 素子保護層
10 基材
11 噴射ヘッドユニット(噴射ヘッド)
12 キャリッジ
13 基材保持台
14 基材
15 供給チューブ
16 信号供給ケーブル
17 噴射ヘッドコントロールボックス(液体タンク含む)
18 キャリッジ12のX方向スキャンモータ
19 キャリッジ12のY方向スキャンモータ
20 コンピュータ
21 コントロールボックス
22(22X1、22Y1、22X2、22Y2) 基材位置決め/保持手段
31 ヘッドアライメント制御機構
32 検出光学系
33 噴射ヘッド
34 ヘッドアライメント微動機構
36 画像識別機構
37 XY方向走査機構
38 位置検出機構
39 位置補正制御機構
40 噴射ヘッド駆動・制御機構
41 光軸
42 素子電極
43 液滴
44 液滴着弾位置
45 流路
46 ピエゾ素子
47 液体
48 ノズル
65 ノズル
66 発熱体基材
67 蓋基材
68 シリコン基材
69 個別電極
70 共通電極
71 発熱体
74 溝
75 凹部領域
100 パターン形成面
101 絶縁膜
102 導電膜
106 抵抗膜
123 コイル
124 抵抗器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、機能性材料を含む液体をインクジェット原理の噴射ヘッドでドットとして付与し、該ドット中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基板上に残留させることによってドットパターンを形成してなる電子デバイスあるいは電子回路の製造装置において、前記液体は、前記機能性材料が呈する色とは別の色を呈する色材を含有する液体であることを特徴とする電子デバイスあるいは電子回路の製造装置。
【請求項2】
前記噴射ヘッドを複数個有し、各噴射ヘッドはそれぞれ異なる機能性材料ならびにそれらが呈する色とは別の色を呈する色材を含有する液体を噴射付与することを特徴とする請求項1に記載の電子デバイスあるいは電子回路の製造装置。
【請求項3】
基板上に、機能性材料を含む液体をドットとして形成し、該ドット中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基板上に残留させることによってドットパターンを形成してなる電子デバイス基板において、該ドットパターンは、前記機能性材料が呈する色とは別の色を呈することを特徴とする電子デバイス基板。
【請求項4】
前記ドットパターンは、複数ドットの組み合わせによって所望のパターンとしたドットパターンであることを特徴とする請求項3に記載の電子デバイス基板。
【請求項5】
前記ドットパターン、あるいは前記複数ドットの組み合わせによって所望のパターンとしたドットパターンは、複数種類の異なる機能性材料ならびにそれらが呈する色とは別の色を呈する色材を含有する液体をドットとして形成し、該ドット中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基板上に残留させることによって形成され、各機能ごとに着色されたドットパターンであることを特徴とする請求項4に記載の電子デバイス基板。
【請求項6】
前記基板は、紙であることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の電子デバイス基板。
【請求項7】
基板上に、機能性材料を含む液体をドットとして形成し、該ドット中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基板上に残留させることによってドットパターンを形成してなる電子回路基板において、該ドットパターンは、前記機能性材料が呈する色とは別の色を呈することを特徴とする電子回路基板。
【請求項8】
前記ドットパターンは、複数ドットの組み合わせによって所望のパターンとしたドットパターンであることを特徴とする請求項7に記載の電子回路基板。
【請求項9】
前記ドットパターン、あるいは前記複数ドットの組み合わせによって所望のパターンとしたドットパターンは、複数種類の異なる機能性材料ならびにそれらが呈する色とは別の色を呈する色材を含有する液体をドットとして形成し、該ドット中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基板上に残留させることによって形成され、各機能ごとに着色されたドットパターンであることを特徴とする請求項8に記載の電子回路基板。
【請求項10】
前記基板は、紙であることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の電子回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2009−194084(P2009−194084A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32025(P2008−32025)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】