説明

電気ヒューズ及びその製造方法

【課題】発熱体である抵抗から熱容量の大きいアノード領域への放熱を阻止し、ジュール熱を効率的に抵抗で消費するようにして、電気ヒューズの切断電力の低減化を図る。
【解決手段】絶縁膜5上にポリシリコン層6を形成し、該ポリシリコン層6上の一部に絶縁膜マスクを形成する。次に、該絶縁膜マスク層で被覆された以外のポリシリコン層6上にシリサイド層7を形成する。次にフォトエッチング工程を経てシリサイド層7、ポリシリコン層6をエッチングし、アノード領域1、カソード領域2及びアノード領域1とカソード領域2を接続するリンク領域3からなる電気ヒューズを形成する。電気ヒューズは、アノード領域1とリンク領域3の境界を挟んでリンク領域3方向からアノード領域1の一部に延在する非シリサイド領域を具備する。リンク領域3の非シリサイド領域は高抵抗領域11を構成し、アノード領域1の非シリサイド領域は熱伝導阻止層1bを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ヒューズ及びその製造方法に関し、特にヒューズ切断電力の低減された
電気ヒューズ及びその製造方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
電気ヒューズは、集積回路の製造歩留の向上、最適性能を得るべく回路パラメータを調整するため等に広く使用されている。近年、所定の抵抗値を有する電気ヒューズを切断することにより、データの書き込みを行う不揮発性メモリセルへの応用も一般的になっている。
【0003】
係る電気ヒューズには、ポリシリコン抵抗が使われてきたが、微細化、高速動作の進展により、ゲート電極がポリシリコン電極からポリシリコン電極とシリサイド電極の積層電極に変わるのに従い、同様の構成で形成される電気ヒューズも増えてきた。従来例として図8に係る構成の電気ヒューズを示す。図8(A)はその平面図であり、図8(B)は図8(A)のA−A線での断面図である。
【0004】
同図(B)に示すように、従来例の電気ヒューズは、不図示の半導体基板上に形成された絶縁膜5上に、ポリシリコン層6と、該ポリシリコン層6上に積層されたシリサイド層7とで形成される。また、同図(A)に示すように、従来例の電気ヒューズは、アノード領域1とカソード領域2と、アノード領域1とカソード領域2を連結するリンク領域3から構成される。
【0005】
同図(B)に示されるように、アノード領域1、カソード領域2、リンク領域3の全体が層間絶縁膜8で被覆され、層間絶縁膜8に形成されたビアホール4を介して、アノード領域1と接続するアノード電極9、カソード領域2と接続するカソード電極10が形成される。ビアホール4は同図(A)に示すように、電流が均一に流れるようにアノード領域1、カソード領域2に均等に多数形成される。
【0006】
従来例の電気ヒューズは、リンク領域3が抵抗になるが、前述のように、下層に高抵抗のポリシリコン層6、上層に低抵抗のシリサイド層7が積層して形成されているため、ポリシリコン抵抗からなる電気ヒューズに比べ、抵抗値が極端に低くなる。従って、従来例の電気ヒューズを断線させるためには大きな電流を流す必要があり、大きなヒューズ切断電力を必要とする。
【0007】
ヒューズ切断電力が大きいという欠点を持つ従来例の電気ヒューズに対して、図9に示すように、カソード領域2とアノード領域1の中間の位置のリンク領域3に、シリサイド層7を除去した高抵抗領域11を形成してヒューズ切断電力の低減を図った電気ヒューズが、以下の特許文献1に開示されている。図9(A)はその平面図であり、図9(B)は、図9(A)のB−B線での断面図である。
【0008】
なお、図9に開示された電気ヒューズも、図8に示した層間絶縁膜8、ビアホール4、カソード電極2、アノード電極9で構成されるが、以降の他の図面も含め、図面を簡略化するため、その記載を省略して説明を進める。
【0009】
図9(A)、図9(B)に示すように、カソード領域2とアノード領域1の丁度中間の位置のリンク領域3に、シリサイド層7が存在しない非シリサイド領域を形成し、高い抵抗のポリシリコン層6からなる高抵抗領域11を形成している。この例では約1000Ω程度の抵抗値を示す旨記載されている。
【0010】
図9の電気ヒューズにプログラミング電流を流すと、高抵抗領域11で局所的に大きなジュール熱を発生し、高抵抗領域11は、従来例の電気ヒューズの低抵抗のリンク領域3を断線させるより、小さな電力で速い時間に切断される。即ち、図9の電気ヒューズは従来例の電気ヒューズに比べて、1/4程度の電流で断線し、高抵抗化によるヒューズ切断電力の低減効果は顕著である旨が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−527150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
高密度化の観点から電気ヒューズの縮小化が求められ、また、ヒューズ切断電力の更なる低減化が求められている。特許文献1に示す電気ヒューズにおいて、そのヒューズ切断電力の更なる低減化を図るためには、高抵抗領域11領域の長さを長くし、更に抵抗を高くする必要がある。また、電気ヒューズ縮小化の観点からアノード領域1とカソード領域2間の距離を短くする必要がある。
【0013】
その結果、高抵抗領域11とアノード領域1の距離が短くなる一方で、アノード領域1は大きな面積の熱伝導率の高いシリサイド層7で形成されている。従って、より接近したアノード領域1に、高抵抗領域11で発生した熱が熱伝導によりに放熱される。結果的に、高抵抗領域11の温度が下がり、ヒューズの切断が不完全となりヒューズ切断不良が発生する。
【0014】
電気ヒューズの縮小化とヒューズ切断電力の更なる低減化を実現することが課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の電気ヒューズは、絶縁膜上にポリシリコン層とシリサイド層が積層された構造の電気ヒューズであって、アノード領域と、カソード領域と、前記アノード領域と前記カソード領域の間に設けられ、前記アノード領域と前記カソード領域とを連結するリンク領域と、を備え、前記アノード領域と前記リンク領域との境界を挟んで、前記リンク領域方向と前記アノード領域の一部まで延在する非シリサイド領域を具備することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の電気ヒューズは、前記リンク領域方向に延在する非シリサイド領域が前記リンク領域の一部に延在することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の電気ヒューズは、前記リンク領域方向に延在する非シリサイド領域が前記リンク領域の全てを介して、前記リンク領域と前記カソード領域の境界から前記カソード領域の一部まで延在することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の電気ヒューズは、前記非シリサイド領域のポリシリコン層の膜厚が前記絶縁膜上に形成されたポリシリコンの膜厚より薄いことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の電気ヒューズは、前記絶縁膜に絶縁膜くぼみ部が形成され、前記非シリサイド領域が前記絶縁膜くぼみ部内に形成されることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の電気ヒューズは、前記アノード領域と前記リンク領域との境界から前記リンク領域に延在する非シリサイド領域は高抵抗領域を構成し、前記アノード領域に延在する非シリサイド領域は熱伝導阻止領域を構成し、前記リンク領域と前記カソード領域の境界からカソード領域の一部に延在する非シリサイド領域がエレクトロマイグレーションによる金属間ショートの阻止領域を構成することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の電気ヒューズは、前記熱伝導阻止領域が前記リンク領域と前記アノード領域の境界から前記アノード領域内に一様に延在することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の電気ヒューズは、前記熱伝導阻止領域が前記リンク領域と前記アノード領域の境界から前記リンク領域を中心として前記アノード領域内に半円状または階段状に延在することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の電気ヒューズの製造方法は、絶縁膜上にポリシリコン層を形成する工程と、前記ポリシリコン層を被覆する絶縁膜マスクを形成する工程と、前記絶縁膜マスクで被覆された以外の前記ポリシリコン層にシリサイド層を形成する工程と、前記シリサイド層及び前記ポリシリコン層をエッチングしてアノード領域、カソード領域及び前記アノード領域と前記カソード領域の間で両領域を接続するリンク領域からなる電気ヒューズの形状を形成する工程と、を有し、前記絶縁膜マスクにより、前記アノード領域と前記リンク領域との境界を挟んで前記リンク領域の方向及び前記アノード領域の一部まで延在する非シリサイド領域を形成することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の電気ヒューズの製造方法は、絶縁膜上にポリシリコン層を形成する工程と、前記ポリシリコン層をエッチングしてアノード領域、カソード領域及び前記アノード領域と前記カソード領域の間で両領域を接続するリンク領域からなる電気ヒューズ領域を形成する工程と、前記電気ヒューズ領域のポリシリコン層の一部を露出するシリコン窒化膜マスクを形成する工程と、前記シリコン窒化膜マスクから露出する前記ポリシリコン層を熱酸化して前記ポリシリコン層上にシリコン酸化膜を形成する工程と、前記シリコン酸化膜で被覆されていないポリシリコン層にシリサイド層を形成する工程と、を有し、前記シリコン酸化膜の下方の非シリサイド領域の内、前記リンク領域と前記アノード領域の境界から前記リンク領域側の前記シリコン酸化膜の端部までのポリシリコン層が高抵抗領域を構成し、前記境界からアノード領域側の前記シリコン酸化膜の端部までのポリシリコン層が熱伝導阻止領域を構成することを特徴とする。
【0025】
また、本発明の電気ヒューズの製造方法は、絶縁膜の所定の領域をエッチングして絶縁膜くぼみ部を形成する工程と、前記絶縁膜くぼみ部を含む前記絶縁膜上にポリシリコン層を形成する工程と、前記ポリシリコン層を形成した前記絶縁膜くぼみ部を被覆する絶縁膜マスクを形成する工程と、前記絶縁膜マスクで被覆された以外の前記ポリシリコン層にシリサイド層を形成する工程と、前記シリサイド層及び前記ポリシリコン層をエッチングしてアノード領域、カソード領域及び前記アノード領域と前記カソード領域の間で両領域を接続するリンク領域を形成する工程と、を有し、非シリサイド領域となる前記絶縁膜くぼみ部内のポリシリコン層が、前記アノード領域と前記リンク領域との境界から前記リンク領域側の前記絶縁膜くぼみ部の端部で高抵抗領域を構成し、前記境界から前記アノード領域側の前記絶縁膜くぼみ部の端部で熱伝導阻止領域を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の電気ヒューズ及びその製造方法によれば、高抵抗領域からアノード領域への放熱を阻止することができるので、ヒューズ切断電力の低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態における電気ヒューズ及びその製造方法を示す図面である。
【図2】本発明の第1の実施形態の電気ヒューズと従来の電気ヒューズのヒューズ切断電力の比較を示す図面である。
【図3】従来の電気ヒューズを流れる電子電流分布及び発熱状態を示す図面である。
【図4】従来の電気ヒューズの面積及びヒューズ長L/ヒューズ幅Wとヒューズ切断電力の関係を示すグラフである。
【図5】従来の電気ヒューズでL/Wが10のときのヒューズ印加電力と印加前後の抵抗値差の関係を示すグラフである。
【図6】従来の電気ヒューズの切断箇所を示す図面である。
【図7】本発明の第1の実施形態の電気ヒューズのヒューズ切断前の抵抗分布とヒューズ切断後の抵抗分布を示すグラフである。
【図8】従来の電気ヒューズを示す図面である。
【図9】特許文献1に開示された電気ヒューズの図面である。
【図10】本発明の第1の実施形態の変形例を示す平面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態における電気ヒューズ及びその製造方法を示す図面である。
【図12】本発明の第3の実施形態における電気ヒューズ及びその製造方法を示す図面である。
【図13】本発明の第4の実施形態における電気ヒューズ及びその製造方法を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔第1の実施形態〕
本実施形態の電気ヒューズの特徴について、図1に基づいて、以下に説明する。図1(A)はその平面図で、図1(B)は図1(A)のC−C線での断面図である。絶縁膜5の上にポリシリコン層6が形成され、その上にシリサイド層7が形成されている点は、図8に示す従来の電気ヒューズと同様である。
【0029】
両者の相違点は、本実施形態ではリンク領域3とアノード領域1との境界からリンク領域3側及びアノード領域1側に延在するシリサイド層7が形成されていない非シリサイド領域が存在している点である。リンク領域3側に延在する非シリサイド領域はポリシリコン層6からなる高抵抗領域11であり、アノード領域1側に延在する非シリサイド領域はポリシリコン層6からなる熱伝導阻止領域1bである。
【0030】
以下で、図8に示す従来の電気ヒューズでの動作分析から、本実施形態の電気ヒューズを採用するに至った理由を説明し、その後で本実施形態の特徴について詳述する。
【0031】
先ず、図3(A)に、従来の電気ヒューズでアノード領域1からカソード領域2に向かって電子電流を流した場合の電子電流の流れをシミュレーションにより、電流矢印20で示す。電子電流は、幅の広いアノード領域1から幅がアノード領域1の1/10以下程度と狭いリンク領域3に流れ込むため、必然的にアノード領域1とリンク領域3が接続するコーナー部を集中的に流れる。
【0032】
その結果、図3(B)で示す抵抗体となるリンク領域3のアノード領域1とのコーナー部でジュール熱の発生が最大となる。従って、同図に等温線21で示すように、リンク領域の温度も該コーナー部で最も高くなり、その下方のリンク領域3に進むに従い温度が下がっていくことが、同じくシミュレーション結果から示される。係るシミュレーション結果から、ヒューズ断線電力を低減するためには、大きな抵抗値を示す抵抗体を該コーナー部近傍のリンク領域3に形成して、抵抗体での発生ジュール熱を最大に利用すべきとの教示を受ける。
【0033】
図4(A)は、従来の電気ヒューズにおける、抵抗体であるリンク領域3の面積(
長さL×幅W)とヒューズ切断電力との関係を示すグラフである。抵抗体であるリンク領域3の面積を小さくすれば、ジュール熱が小面積の抵抗体に集中するため、抵抗体は切断されやすくなり、通常、ヒューズ切断電力が小さくなると思われる。しかし同図では、面積が小さくなってもヒューズ切断電力が、必ずしも小さくならないことを示している。
【0034】
図4(B)は、従来の電気ヒューズおいて、抵抗体であるリンク領域3の長さLと幅Wの比L/Wと、電気ヒューズが切れ始めてから完全に切れるまでの切断電力差を示すグラフである。L/Wが10前後になると、切断電力差は小さくなり、電気ヒューズは速やかに切断されることが理解できる。それに対して、L/Wが小さくなるに従い、切断速度が遅くなり中々切断されないことがわかる。
【0035】
図5はL/Wを10に固定して抵抗体であるリンク領域3の面積を変化させた場合の印加電力と電力印加前後の抵抗体の抵抗値差の関係を示している。前後の抵抗値の差が1E9(1×109)Ω以上の場合、該抵抗体が切断したものとみなしている。
【0036】
シート抵抗Rは同じなので全ての試料の抵抗値は同一になる。なお、シート抵抗とは長さと幅が同一である抵抗の抵抗値である。シート抵抗は抵抗の厚さに反比例し、抵抗材料の比抵抗に比例する。全抵抗値はシート抵抗×L/Wになる。
【0037】
ヒューズ切断電力は、最小面積のL/W=4/0.4の場合、矢印aで示す約240mW、L/W=5/0.5の場合、矢印bで示す約300mW、最大面積のL/W=6/0.6の場合、矢印cで示す約350mWになる。即ち、L/Wが大きい場合、同じ抵抗値でも抵抗体の面積の小さい方が、ヒューズ切断電力を小さくできる。なお、抵抗の長さ、幅の単位はμmである。
【0038】
図6は、従来の電気ヒューズに電流を流した場合、抵抗体であるリンク領域3のどの部分で、抵抗が切断されるかを印加電力との関係で示した図である。260mWを供給したときは、抵抗値が上昇するが断線には至らず、変色部12が観察される。300mW、360mWを供給したときは、抵抗体は切断される。
【0039】
図6に示すように、切断箇所は、図3(B)で示す最大発熱領域であるリンク領域3とアノード領域1の交わるコーナー部ではなく、少しリンク領域3の中心に近い領域になる。該コーナー部はシミュレーションにより発熱量が最大であることが示されたが、実際は、熱伝導性の良い、大きな面積のシリサイド層7からなるアノード領域1に隣接しているため放熱が大きく、少しリンク領域3の中心よりに入った部分が最大発熱部であることを示している。
【0040】
上記従来の電気ヒューズにより実験、確認した種々の結果から、以下の結論を導くことができる。図4及び図5から抵抗体としてのリンク領域3は、L/Wを大きく、好ましくは10前後にし、且つ面積をできるだけ小さくすることにより、電気ヒューズの切断電力を小さくできる。また、図6から電気ヒューズの実際の切断箇所は、アノード領域1から少し離れたリンク領域3である。
【0041】
図4、図5から得られる事実と図6の事実を組み合わせることにより、発熱体である抵抗体をできるだけ熱の吸収体となるアノード領域1から遠ざけた位置に配置する必要があることが理解できる。L/Wを大きくすることは、発熱体である抵抗をできるだけアノード領域1から遠ざけることを意味する。
【0042】
従って、図3のコーナー部の最大発熱領域を有効に抵抗体形成領域として利用する場合、隣接する熱の吸収体となるアノード領域1が障害となるが、上記実験結果を利用することにより、その障害を取り除くことができる。即ち、図1に示すように、抵抗体に隣接するアノード領域1の一部に、熱伝導性の良いシリサイド層7の存在しない非シリサイド領域を形成し、該非シリサイド領域を熱伝導阻止領域1bとする本実施形態である。
【0043】
本実施形態の電気ヒューズが図8に示す従来の電気ヒューズに比べて、小さなヒューズ切断電力でヒューズを切断できることを図2に基づいて説明する。図2(A)に両ヒューズの形状、構成を示す。外観寸法は同じで、従来品は、図8(B)と同様、電気ヒューズを構成する部分の全体がポリシリコン層6とシリサイド層7の積層構造になっている。
【0044】
本実施形態の電気ヒューズは、図9(B)と同様の断面構造を有するがシリサイド層7の存在しない高抵抗領域11がアノード領域1と隣接するリンク領域3に形成されている点、及び該高抵抗領域11と連続してシリサイド層7の存在しない領域がアノード領域1内まで延在している点で異なる。アノード領域1内に形成された非シリサイド領域は熱伝導阻止領域1bを構成する。
【0045】
図2(A)に示すように、従来のシリサイド層7で被覆された電気ヒューズの初期抵抗値は60Ω程度であり、本実施形態のシリサイド層7の一部除去された電気ヒューズの初期抵抗値は1200Ω程度であった。同図に示すように、高抵抗領域11の幅は熱伝導阻止領域1bの幅の1/10程度なので、初期抵抗値1200オームは、ほぼ高抵抗領域11の抵抗値で定まる。
【0046】
図2(B)は、横軸にヒューズ印加電力を、縦軸に電気ヒューズの電力印加前後の抵抗値差を示すグラフである。本実施形態の電気ヒューズの場合、発熱体である高抵抗領域11とシリサイド層7からなる熱の吸収体であるアノード領域1aの間を、熱伝導性の悪い熱伝導阻止領域1bで遮蔽している。
【0047】
従って、高抵抗領域11からアノード領域1aへの放熱が少なく高抵抗領域11が高温状態を保持できるため、抵抗が切断されやすい。約20mw程度の小さなヒューズ切断電力で断線状態になる。それに対して、従来の電気ヒューズは、初期抵抗値が小さいことから大きな切断電力を要し、ヒューズ切断電力300mwで始めて断線状態になる。
【0048】
即ち、本実施形態の構成を採用した電気ヒューズは、従来の電気ヒューズに比べて、ヒューズ切断電力を約1/15程度まで低減することができる。抵抗値とヒューズ切断電力からヒューズ切断電流を概算すると、本実施形態の電気ヒューズのヒューズ切断電流は約4mAであり、従来の電気ヒューズでは約70mA程度になる。
【0049】
従って、ヒューズ切断電流で比較した場合でも、約1/18程度と大幅に低減される。これが本実施形態の特徴的効果である。ヒューズ切断電流が大幅に減少することから、アノード領域1、カソード領域2、及びドライバー回路を小面積にすることができる。即ち、電気ヒューズ素子及び電気ヒューズ回路全体の小型化に寄与する。
【0050】
図9に示す特許文献1の電気ヒューズの場合は、ヒューズ切断電流が従来の電気ヒューズの切断電流の1/4程度になるという記載内容が開示されている。種々の条件があるので、単純に比較することはできないが、本実施形態の電気ヒューズのヒューズ切断電流の低減度が大きいことが理解できる。
【0051】
本実施形態の電気ヒューズの製造方法について、上層部の構成は図8を参照しつつ、図1に基づいて、以下に簡単に説明する。所定の半導体素子等が形成された不図示の半導体基板上に所定のCVD法等により絶縁膜5を堆積し、該絶縁膜5上に所定のCVD法によりポリシリコン層6を堆積する。次に、ポリシリコン層6内に、所定のシート抵抗になるように、所望の量のボロン(B)等をイオン注入法等により導入する。
【0052】
次に、該ポリシリコン層を所定のフォトエッチング工程を経て、カソード領域2、アノード領域1、及び両者を接続するリンク領域3からなる電気ヒューズの形状にエッチングする。次に、電気ヒューズの形状にエッチングされたポリシリコン膜上を含む半導体基板上の全体を被覆する絶縁膜をCVD法等により堆積し、所定のフォトエッチング工程を経て、図1(A)の非シリサイド領域(11、1b)を被覆する不図示の絶縁膜マスクを所定の方法により形成する。
【0053】
次に、該絶縁膜マスクが形成された半導体基板上に所定のスッパタリング法によりチタニューム(Ti)等を堆積する。その後、所定の熱処理工程を経ることにより絶縁膜マスクで被覆された領域以外のポリシリコン層上に、該ポリシリコン層とチタニューム等の反応生成物であるシリサイド層7を形成する。
【0054】
その結果、リンク領域3とアノード領域1の境界からリンク領域3の一部及びアノード領域1の一部に延在する非シリサイド領域は、ポリシリコン層6のみで形成され、カソード領域2を含むその他の領域はシリサイド層7とポリシリコン層6の積層構造からなる電気ヒューズが形成される。
【0055】
係る形状の電気ヒューズを得るために、ポリシリコン層6上の全面にシリサイド層7を所定の方法で形成してから、高抵抗領域11及び熱伝導阻止領域1aとなる領域のシリサイド層7の全てをエッチング除去し、下層のポリシリコン層6を露出させて高抵抗領域11及び熱伝導阻止領域1aとなる非シリサイド領域を形成しても良い。
【0056】
リンク領域3とアノード領域1の境界からリンク領域3の一部に延在する非シリサイド領域は高抵抗領域11になり、アノード領域1に延在する非シリサイド領域は、熱伝導阻止領域1bになる。シリサイド層7の存在するアノード領域1aは、上層に形成される図8と同様のアノード電極9との接続箇所となり、アノード電極9から流れ込む電子電流をアノード領域1に均一に流す役割を果たす。
【0057】
この後、図8の従来の電気ヒューズの場合と同様に、所定のCVD法により形成された層間絶縁膜8に所定のフォトエッチングを施し、アノード領域1a及びカソード領域2を露出する不図示の多数のビアホール4を形成する。
【0058】
次に、所定のスパッタリング法によりアルミニューム(Al)等を堆積し、所定のフォトエッチング工程を経て、ビアホール4を介してカソード領域2及びアノード領域1aのそれぞれと接続する不図示のカソード電極10、アノード電極9を形成することにより電気ヒューズは完成する。
【0059】
図7に本実施形態の複数の電気ヒューズのヒューズ切断前の初期抵抗値、及びヒューズ切断後の抵抗値の度数分布を示す。切断後の抵抗が1E+9(1×10)Ω以下は不良品になる。不良品は初期抵抗値が300〜600Ωと正常品の初期抵抗値1000Ω以上に比べて低い。
【0060】
これは、初期抵抗が低い分、切断電力が高くなる、即ち切断電流が大きくなることと関係があると思われる。切断電流が大きくなると、抵抗の断面積は不変なので抵抗の単位断面積当たりに流れる切断電流が大きくなる。即ち電流密度が高くなる。従って、シリサイド層7を構成するチタニューム(Ti)等の金属がエレクトロマイグレーションを起こしやすくなる。
【0061】
リンク領域3の最上層を構成するシリサイド層7からエレクトロマイグレーションを起こしたチタニューム(Ti)等の金属は、高抵抗領域11上を介して面積の広い非シリサイド領域である熱伝導阻止領域1bに流れ込む。この時、熱伝導阻止領域1bに接するシリサイド層7からなるアノード領域1aの端部が高抵抗領域11の端部からあまり離れていない場合、熱伝導阻止領域1bに流れ込んだチタニューム(Ti)等の金属が金属層となりアノード領域1aと接続され高抵抗領域11の近傍まで延在する。
【0062】
その結果、高抵抗領域11で発生した熱が、チタニューム(Ti)等の金属層を介してアノード領域1aに熱伝導し放熱される。従って、電気ヒューズは十分に加熱されず不完全断線状態になり、断線後の抵抗が低くなると思われる。
【0063】
この場合、図10(A)に示すように、アノード領域1に形成する非シリサイド領域である熱伝導阻止領域1bを、高抵抗領域11のアノード領域1との境界部を中心として、アノード領域1内に半円状になるように形成し、出来るだけアノード領域1aの端部を該境界部から遠ざけると良い。
【0064】
半円状の代わりに、図10(B)に示すように、アノード領域1に形成する非シリサイド領域である熱伝導阻止領域1bを階段状に形成して、境界部を遠ざけても良い。アノード領域1aを遠ざけることにより、広く形成された熱伝導阻止領域1bに流れ込んだチタニューム(Ti)等の金属層が高抵抗領域11に接近するのを防止できる。
【0065】
なお、初期抵抗値を所定の値以上(例えば1000Ω以上)にするため、非シリサイド領域(11、1b)が形成された後、アノード領域1とカソード領域2間の抵抗値を測定する。その結果、全体に抵抗値が低い場合は、反対導電型のリン(P)等をイオン注入し抵抗値を所定の値以上に調整する工程を導入しても良い。初期抵抗値を高くすることにより、図7に示すように、切断後の電気ヒューズの抵抗値を高くできる。
【0066】
〔第2の実施形態〕
本実施形態の電気ヒューズについて、図11に基づいて以下に説明する。第1の実施形態と同様の構成には同一の符号を付している。図11(A)はその平面図、図11(B)は図11(A)のD−D線での断面図である。
【0067】
高抵抗領域11a及び熱伝導阻止領域1cが、リンク領域3とアノード領域1の境界からリンク領域3の一部及びアノード領域1の一部まで延在している非シリサイド領域に形成されている点は、第1の実施形態と同様である。第1の実施形態との相違点は、非シリサイド領域上にシリコン酸化膜14が形成され、且つ非シリサイド領域のポリシリコン層6aの膜厚が第1の実施形態のポリシリコン層6より薄い点である。
【0068】
係る構成により、本実施形態の高抵抗領域11aは、平面図上の占有面積が第1の実施形態と同程度にもかかわらず、ポリシリコン層6aの膜厚が第1の実施形態のポリシリコン層6の膜厚より薄い分、高い抵抗値になる。従って、ヒューズ切断電力を第1の実施形態より低減することができる。ヒューズ切断電流も低減できる。
【0069】
また、熱伝導阻止領域1cのポリシリコン層6の膜厚も薄くなることから、熱伝導阻止能力が高くなり、ヒューズ切断電力低減に寄与する。ヒューズ切断電流の低減化が図れることから、アノード領域1、カソード領域2を小面積にできるので、電気ヒューズの小型化に寄与する。
【0070】
本実施形態の電気ヒューズの製造方法を図11に基づいて簡単に説明する。絶縁膜5上に不純物がドープされたポリシリコン層6を形成するまでは第1の実施形態と同様である。
次に、非シリサイド領域となる領域以外のポリシリコン層6上を所定の方法により不図示のシリコン窒化膜で被覆する。その後、シリコン窒化膜をマスクに露出しているポリシリコン層6を熱酸化してシリコン酸化膜14を形成する。
【0071】
その後、シリコン窒化膜を所定の方法で除去する。絶縁膜5上には、非シリサイド領域となる領域に、酸化により薄くなったポリシリコン層6aとその上部を被覆するシリコン酸化膜14が形成される。他の領域はポリシリコン層6が元のままの膜厚で残る。
【0072】
以降、シリコン酸化膜14で被覆されないポリシリコン層6上にシリサイド層7を形成し、その後、所定のフォトエッチング工程を経て、カソード層2、アノード層1及びカソード層2とアノード層1を接続するリンク領域3は形成するのは第1の実施形態と同様である。
【0073】
非シリサイド領域に形成された高抵抗領域11aと熱伝導阻止領域1cのポリシリコン層6aは、熱酸化されシリコン酸化膜14に取り込まれた分、第1の実施形態の同領域のポリシリコン層6より薄くなる。
【0074】
係る形状の電気ヒューズを得るために、ポリシリコン層6上の全面にシリサイド層7を所定の方法で形成してから、高抵抗領域11a及び熱伝導阻止領域1cとなる領域のシリサイド層7の全てと、その下層のポリシリコン層6の一部を所定の方法でエッチング除去しても良い。
【0075】
〔第3の実施形態〕
本実施形態の電気ヒューズについて、図12に基づいて以下に説明する。第図12(A)はその平面図、図12(B)は図12(A)のE−E線での断面図である。
【0076】
高抵抗領域11b及び熱伝導阻止領域1cが、リンク領域3とアノード領域1の境界から、リンク領域3の一部及びアノード領域1の一部まで延在する非シリサイド領域に形成されている点は、第1の実施形態と同様である。第1の実施形態との相違点は、非シリサイド領域が絶縁膜5に形成された絶縁膜くぼみ部15に形成されている点である。
【0077】
係る構成により、本実施形態の高抵抗領域11bも、平面図上の占有面積が第1の実施形態と同程度にもかかわらず、その長さが絶縁膜くぼみ部15の側壁部に形成されたポリシリコン層6分だけ長くなり抵抗値が高くなる。従って、ヒューズ切断電力を第1の実施形態より低減できる。
【0078】
高抵抗領域11bとアノード層1a間の熱伝導阻止領域1dの長さも側壁分だけ長くなり、熱伝導阻止能力も上がるので、その分でもヒューズ切断電力を低減できる。ヒューズ切断電流の低減化が図れることから、アノード領域1、カソード領域2を小面積にすることができ、電気ヒューズの小型化に寄与する点は他の実施形態と同様である。
【0079】
本実施形態の電気ヒューズの製造方法を図12に基づいて簡単に説明する。先ず、絶縁膜5の所定の領域に、所定のフォトエッチング工程を経ることにより絶縁膜くぼみ部15を形成する。次に、該絶縁膜くぼみ部15内を含む絶縁膜5上に所定のCVD法によりポリシリコン層6を堆積する。ポリシリコン層6内には、通常、第1の実施形態と同様に、イオン注入法等によりボロン(B)等がドープされる。
【0080】
次に、絶縁膜くぼみ部15及びその近傍を被覆する不図示の絶縁膜マスクを、第1の実施形態と同様の方法で形成する。以降も第1の実施形態と同様の工程を経ることにより、同図に示す電気ヒューズの形状が形成される。
【0081】
〔第4の実施形態〕
本実施形態の電気ヒューズについて、図13に基づいて、以下に説明する。図13(A)はその平面図であり図13(B)は図13(A)のF−F線での断面図である。第1の実施形態との相違点は、非シリサイド領域がアノード領域1bからリンク領域3の全領域を経由してカソード領域2の一部であるエレクトロマイグレーションによる金属間ショートの阻止領域2bまで延在在する点である。
【0082】
即ち、熱伝導阻止領域1bは第1の実施形態と同様の構成となるが、高抵抗領域11cがリンク領域3の全体に形成され、リンク領域3とカソード領域2の境界からカソード領域1の一部にエレクトロマイグレーションによる金属間ショートの阻止領域2bが形成される。エレクトロマイグレーションによる金属間ショートの阻止領域2bのリンク領域3との境界からの幅は狭くとも良い。極論すれば境界から離れてさえいれば良い。
【0083】
係る構成の電気ヒューズは、高抵抗領域11cで発生した熱が、アノード領域1aに放熱されるのを熱伝導阻止領域1bにより阻止できる点で、第1の実施形態の電気ヒューズ と変わらない。最大の相違点は、電流方向に対するカソード領域2の幅がリンク領域3の幅より広いため、本実施形態の方が第1の実施形態に比べてシリサイド層7の厚さ方向の単位断面積あたり電流密度が大幅に低減されることである。
【0084】
本実施形態の電気ヒューズは、シリサイド層7を流れる電流密度が低いことから、シリサイド層7を構成しているチタニューム(Ti)等の金属がエレクトロマイグレーションを起こしにくい。従って、高抵抗領域11cの幅を可能な限り狭め、長さを短くして高抵抗値を維持しても、カソード領域2aからのチタニューム(Ti)等の金属がエレクトロマイグレーションを起こすことにより生じる金属間ショートを制限することができる。
【0085】
従って、アノード領域1、カソード領域2、リンク領域3の全体を小面積にすることができ、且つエレクトロマイグレーションの恐れがない、ヒューズ切断電力の低減された電気ヒューズを実現できる。
【0086】
なお、本実施形態の電気ヒューズに第2、第3の実施形態を適用することにより更なるヒューズ切断電力の低減が図れる。
【符号の説明】
【0087】
1,1a アノード領域 1b,1c,1d 熱伝導阻止領域
2,2a カソード領域
2b エレクトロマイグレーションによる金属間ショートの阻止領域
3 リンク領域 4 ビアホール 5 絶縁膜 6 ポリシリコン層
7 シリサイド層 8 層間絶縁膜 9 アノード電極 10 カソード電極 11,11a,11b,11c 高抵抗領域 12 抵抗上昇領域 13 断線領域
14 シリコン酸化膜 15 絶縁膜くぼみ部 20 電流矢印
21 等温線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁膜上にポリシリコン層とシリサイド層が積層された構造の電気ヒューズであって、
アノード領域と、
カソード領域と、
前記アノード領域と前記カソード領域の間に設けられ、前記アノード領域と前記カソード領域とを連結するリンク領域と、を備え、前記アノード領域と前記リンク領域との境界を挟んで、前記リンク領域方向と前記アノード領域の一部まで延在する非シリサイド領域を具備することを特徴とする電気ヒューズ。
【請求項2】
前記リンク領域方向に延在する非シリサイド領域が前記リンク領域の一部に延在することを特徴とする請求項1に記載の電気ヒューズ。
【請求項3】
前記リンク領域方向に延在する非シリサイド領域が前記リンク領域の全てを介して、前記リンク領域と前記カソード領域の境界から前記カソード領域の一部まで延在することを特徴とする請求項1に記載の電気ヒューズ。
【請求項4】
前記非シリサイド領域のポリシリコン層の膜厚が前記絶縁膜上に形成されたポリシリコンの膜厚より薄いことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電気ヒューズ。
【請求項5】
前記絶縁膜に絶縁膜くぼみ部が形成され、前記非シリサイド領域が前記絶縁膜くぼみ部内に形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電気ヒューズ。
【請求項6】
前記アノード領域と前記リンク領域との境界から前記リンク領域に延在する非シリサイド領域は高抵抗領域を構成し、前記アノード領域に延在する非シリサイド領域は熱伝導阻止領域を構成し、前記リンク領域と前記カソード領域の境界からカソード領域の一部に延在する非シリサイド領域がエレクトロマイグレーションによる金属間ショートの阻止領域を構成することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の電気ヒューズ。
【請求項7】
前記熱伝導阻止領域が前記リンク領域と前記アノード領域の境界から前記アノード領域内に一様に延在することを特徴とする請求項6に記載の電気ヒューズ。
【請求項8】
前記熱伝導阻止領域が前記リンク領域と前記アノード領域の境界から、該境界の前記リンク領域を中心として前記アノード領域内に半円状または階段状に延在することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の電気ヒューズ。
【請求項9】
絶縁膜上にポリシリコン層を形成する工程と、
前記ポリシリコン層を被覆する絶縁膜マスクを形成する工程と、
前記絶縁膜マスクで被覆された以外の前記ポリシリコン層にシリサイド層を形成する工程と、
前記シリサイド層及び前記ポリシリコン層をエッチングしてアノード領域、カソード領域及び前記アノード領域と前記カソード領域の間で両領域を接続するリンク領域からなる電気ヒューズを形成する工程と、を有し、前記絶縁膜マスクにより、前記アノード領域と前記リンク領域との境界を挟んで前記リンク領域の方向及び前記アノード領域の一部まで延在する非シリサイド領域を形成することを特徴とする電気ヒューズの製造方法。
【請求項10】
絶縁膜上に第1導電型のポリシリコン層を形成する工程と、
前記ポリシリコン層をエッチングしてアノード領域、カソード領域及び前記アノード領域と前記カソード領域の間で両領域を接続するリンク領域からなる電気ヒューズ領域を形成する工程と、
前記電気ヒューズ領域のポリシリコン層の一部を露出するシリコン窒化膜マスクを形成する工程と、
前記シリコン窒化膜マスクから露出する前記ポリシリコン層を熱酸化して前記ポリシリコン層上にシリコン酸化膜を形成する工程と、
前記シリコン酸化膜で被覆されていないポリシリコン層にシリサイド層を形成する工程と、を有し、非シリサイド領域となる前記シリコン酸化膜の下方の前記リンク領域と前記アノード領域の境界から前記リンク領域側の前記シリコン酸化膜の端部までのポリシリコン層が高抵抗領域を構成し、前記境界からアノード領域側の前記シリコン酸化膜の端部までのポリシリコン層が熱伝導阻止領域を構成することを特徴とする電気ヒューズの製造方法。
【請求項11】
絶縁膜の所定の領域をエッチングして絶縁膜くぼみ部を形成する工程と、
前記絶縁膜くぼみ部を含む前記絶縁膜上にポリシリコン層を形成する工程と、
前記ポリシリコン層を形成した前記絶縁膜くぼみ部を被覆する絶縁膜マスクを形成する工程と、
前記絶縁膜マスクで被覆された以外の前記ポリシリコン層にシリサイド層を形成する工程と、
前記シリサイド層及び前記ポリシリコン層をエッチングしてアノード領域、カソード領域及び前記アノード領域と前記カソード領域の間で両領域を接続するリンク領域を形成する工程と、を有し、前記絶縁膜くぼみ部内の非シリサイド領域となるポリシリコン層が、前記アノード領域と前記リンク領域との境界から前記リンク領域側の前記絶縁膜くぼみ部の端部で高抵抗領域を構成し、前記境界から前記アノード領域側の前記絶縁膜くぼみ部の端部で熱伝導阻止領域を形成することを特徴とする電気ヒューズの製造方法。
【請求項12】
前記非シリサイド領域の前記ポリシリコン層に不純物を導入して、前記ポリシリコン層の比抵抗を高くすることを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれかに記載の電気ヒューズの製造方法。
【請求項13】
前記リンク領域の方向に形成された非シリサイド領域が前記リンク領域の一部に延在することを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれかに記載の電気ヒューズの製造方法。
【請求項14】
前記リンク領域の方向に形成された非シリサイド領域が前記リンク領域の全体を介して、前記リンク領域と前記カソード領域の境界から前記カソード領域の一部まで延在することを特徴とする請求項9乃至請求項12に記載の電気ヒューズの製造方法。
【請求項15】
前記熱伝導阻止領域が前記リンク領域と前記アノード領域の境界から前記アノード領域内に一様に延在することを特徴とする請求項10乃至請求項14のいずれかに記載の電気ヒューズの製造方法。
【請求項16】
前記熱伝導阻止領域が前記リンク領域と前記アノード領域の境界から、該境界の前記リンク領域を中心として前記アノード領域内に半円状または階段状に延在することを特徴とする請求項10乃至請求項14のいずれかに記載の電気ヒューズの製造方法。








【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−222241(P2012−222241A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88445(P2011−88445)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(300057230)セミコンダクター・コンポーネンツ・インダストリーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (119)
【Fターム(参考)】