説明

電源モジュール、これを含む情報処理装置、及び電源供給状態の制御方法

【課題】 暗証番号の入力や生体認証の実行時には情報処理装置は動作可能な状態に見えるため、これを手にした者は、そのセキュリティーを打ち破ろうとする動機をおぼえるおそれがある。
【解決手段】 電源モジュール52は、本体51に対する電源として機能する電源モジュールである。電源モジュール52は、認証を実行する認証実行部10と、認証実行部10による認証結果に応じて本体51に対する電源の供給状態を制御する制御部6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源モジュール、これを含む情報処理装置、及び電源供給状態の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動体通信端末といった小型な携帯機器に関する技術の進展が著しい。これに伴って、個人情報の保護といった観点から携帯機器のセキュリティー性能を向上させることが強く望まれている。特に携帯電話においては、様々な個人情報が格納されると共に、キャッシュ機能も付加されるに至っており、そのセキュリティー性能を高めることが強く望まれている。
【0003】
セキュリティー性能を高める技術自体としては、暗証番号を設定する方法が一般的である。他方、近年においては、生体認証に基づく認証技術の開発も進められている。なお、生体認証とは、検査対象の個体から取得した生体情報が、あらかじめ設定された生体情報と等しいかどうかという判定に基づいて、ある個体を他の個体から識別する技術である。例えば、ヒトの瞳の虹彩に基づいて個体を特定する方法、ヒトの指等の静脈パターンに基づいて個体を特定する方法、及び指の指紋パターンに基づいて個体を特定する方法が挙げられる。
【0004】
なお、特許文献1には、外部端末に装着可能な電池が開示されている。
【特許文献1】特開2002−111911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、情報処理装置のセキュリティー性能を高めることが強く望まれている。暗証番号の設定や生体認証等によって情報処理装置のセキュリティー性能は高められる。しかしながら、暗証番号の入力や生体認証の実行時には情報処理装置は動作可能な状態に見えるため、これを手にした者は、そのセキュリティーを打ち破ろうとする動機をおぼえるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、情報処理装置が動作可能な状態に見えることによって、セキュリティーを打ち破ろうとする動機が第三者に生じるおそれを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる電源モジュールは、本体に対する電源として機能する電源モジュールであって、認証を実行する認証実行部と、前記認証実行部による認証結果に応じて前記本体に対する電源の供給状態を制御する制御部と、を備える。
【0008】
電源モジュール自体に認証機能を付加させることによって、認証時において本体に電源が供給されていないように見せることが可能になる。従って、セキュリティーを打ち破ろうとする動機が第三者に生じるおそれが抑制される。なお、認証時に本体に電源が供給されていないように見せることは、認証が成功した場合に本体に対して電源を供給するように設定すれば良い。
【0009】
前記制御部は、前記認証実行部から伝達される判定信号に基づいて、前記本体に対する電源の供給状態を制御する、と良い。前記制御部は、前記本体から伝達される第1制御信号に基づいて、前記本体に対する電源供給の状態を制御する、と良い。
【0010】
前記本体に対して電源を供給可能な電源供給部を更に備え、当該電源供給部は、前記制御部から伝達される第2制御信号に応じた条件で動作する、と良い。
【0011】
前記電源供給部は、電池と、前記第2制御信号に基づいて電気的な導通状態が決定されるスイッチ部と、を備える、と良い。
【0012】
認証モードの有効又は無効を示す値を少なくとも保持するモードレジスタを更に備え、前記制御部は、前記モードレジスタの保持値が認証モードの無効を示すとき、前記電源供給部から前記本体に電源を強制的に供給させる、と良い。これによって、認証モードの有効又は無効によって、認証動作及びこれに基づく電源供給を実行するかどうかを設定することができる。
【0013】
前記制御部は、前記モードレジスタの保持値が認証モードの無効を示すとき、認証モードの無効を前記本体に伝送する、と良い。これによって、例えば、本体において所定の機能を実行不可能に設定することができる。
【0014】
前記制御部は、前記本体から伝達された第1制御信号に基づいて、前記電源供給部から前記本体に対する電源の供給を停止させる、と良い。これによって、一時的に電源が供給された本体からの指令に基づいて、電源モジュールから本体への電源の供給を停止させることができる。
【0015】
前記認証実行部は、必要に応じて所定回数の認証を繰り返す、と良い。
【0016】
前記認証実行部による認証結果の履歴を少なくとも保持する記憶部を更に備える、と良い。認証結果の履歴を参照することによって、第三者による機器の操作の有無を確認することができる。
【0017】
前記制御部は、所定のイベントが発生したとき、前記認証実行部に認証の再実行を要求する、と良い。これによって、より高いセキュリティーを確保することができる。前記イベントは、所定時間の経過に応じて発生する、と良い。
【0018】
少なくとも前記認証実行部による認証結果を報知する報知手段を更に備える、と良い。これによって、操作者は、認証結果を知ることができる。
【0019】
本発明にかかる情報処理装置は、電源として機能する電源モジュール、及び前記電源モジュールが装着される本体を備える情報処理装置であって、前記電源モジュールは、認証を実行する認証実行部と、前記認証実行部による認証結果に応じて前記本体に対する電源の供給状態を制御する制御部と、を備える。
【0020】
電源モジュール自体に認証機能を付加させることによって、認証時において本体に電源が供給されていないように見せることが可能になる。従って、セキュリティーを打ち破ろうとする動機が第三者に生じるおそれが抑制される。なお、認証時に本体に電源が供給されていないように見せることは、認証が成功した場合に本体に対して電源を供給するように設定すれば良い。
【0021】
本発明にかかる電源供給状態の制御方法は、電源モジュールから本体への電源供給状態を制御する電源供給状態の制御方法であって、認証を実行し、認証結果に応じて、前記電源モジュールの前記本体に対する電源供給状態を制御する。
【0022】
認証結果に応じて、電源モジュールの本体に対する電源供給状態を制御する。これによって、認証時において本体に電源が供給されていないように見せることが可能になる。従って、セキュリティーを打ち破ろうとする動機が第三者に生じるおそれが抑制される。なお、認証時に本体に電源が供給されていないように見せることは、認証が成功した場合に本体に対して電源を供給し始めれば良い。
【0023】
認証を実行しない条件が設定されているとき、強制的に前記本体に対して電源を供給する、と良い。これによって、例えば、電源モジュールの初期状態においても、電源モジュールから本体へ電源を供給することが可能になる。
【0024】
電源を供給している状態であっても、所定のイベントが発生したとき、再び認証を実行する、と良い。これによって、セキュリティーをより高めることができる。
【発明の効果】
【0025】
認証時において本体に電源が供給されていないように見せることが可能になる。従って、セキュリティーを打ち破ろうとする動機が第三者に生じるおそれが抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。なお、各実施の形態は、説明の便宜上、簡略化されている。図面は簡略的なものであるから、図面の記載を根拠として本発明の技術的範囲を狭く解釈してはならない。図面は、もっぱら技術的事項の説明のためのものであり、図面に示された要素の正確な大きさ等は反映していない。同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略するものとする。上下左右といった方向を示す言葉は、図面を正面視した場合を前提として用いるものとする。
【0027】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態について図1乃至図10を参照して説明する。図1は、情報処理装置の構成を説明する説明図である。図2は、情報処理装置の構成を示す概略的なブロック図である。図3は、レジスタの保持値の意味を説明するための表である。図4は、制御信号S1の指示内容を説明するための表である。図5乃至図10は、電源モジュールの動作を説明するためのフローチャートである。
【0028】
図1(a)に模式的に示すように、情報処理装置50は、本体51、及び電源モジュール52を有する。情報処理装置50は、移動型の通信端末(携帯電話、パーソナルコンピュータ等)である。本体51には、液晶表示部や情報入力部といった部品が組み込まれている。電源モジュール52は、本体に対して電源として機能する。
【0029】
電源モジュール52は、本体51に重ね合わされ、本体51に着脱可能に装着される。電源モジュール52が本体51に電気的に接続されることで、本体51の一部又は全部の機能が活性化される。尚、電源モジュール52の一面には、後述の画像取得部(例えば、カメラ)9の入射窓53が配置されている。画像取得部9は、入射窓53を介して入力される生体情報(指紋パターン、静脈パターンといったパターン)を取得する。
【0030】
図1(b)に模式的に示すように、本体51の一面上に電源モジュール52は貼り合わされる。換言すると、電源モジュール52は、本体51の一面上に積まれる。電源モジュール52及び本体51は、ともに平板状の部材である。従って、電源モジュール52は、本体51の一面上に簡易に装着される。なお、電源モジュール52は、配線基板上に部品が実装されることで構成される。配線基板は、電源モジュール52の下層に配置される。
【0031】
図2に、情報処理装置50の概略的なブロック図を示す。なお、本体51のブロック構成は、本体51の用途、機能に応じて適宜設定されるものとする。
【0032】
図2に示すように、電源モジュール52は、スイッチ1、モードレジスタ2、タイマー3、ステータスレジスタ4、状態表示部5、制御部6、記憶部7、画像処理部8、画像取得部9、認証実行部10、電源供給部11、電源端子14、及びデータ端子15を有する。また、電源供給部11は、電池12及びスイッチ部13を有する。電源モジュール52は、端子間の物理的な接触を介して、本体51と電気的に接続される。
【0033】
本実施形態における電源モジュール52には、電源を供給するという機能に加えて、認証を実行する機能が付加されている。これによって、認証時において本体51に電源が供給されていないように見せることが可能になる。従って、第三者にセキュリティーを打ち破ろうとする動機が生じるおそれが抑制される。この点は、後述の説明から明らかになる。
【0034】
また、電源モジュール52における認証の実行は、例えば、所定のプログラムがCPU(Central Processing Unit)といった演算処理部で実行されることによって実現される。例えば、プログラムを記憶部7に格納し、CPUを制御部6に組み込ませても良い。以下、認証実行部10、制御部6等の動作は、プログラムが演算処理部で実行されることによって実現されるものとする。
【0035】
スイッチ1は、所持者が認証を開始したいという意図を制御部6に伝達するための手段である。換言すると、スイッチ1は、認証開始のトリガ(契機)として機能する。ここでは、スイッチ1は、ボタン式のスイッチである。ボタンが押されると、スイッチ1はHレベルの電圧信号(論理値1)を出力する。ボタンが押されていないとき、スイッチ1はLレベルの電圧信号(論理値0)を出力する。スイッチ1からHレベルの電圧信号が出力されると、後述する認証動作の実行が開始される。スイッチ1から出力されるHレベルの電圧信号は、認証開始信号とも把握することができる。
【0036】
モードレジスタ2は、認証モードを示す値を格納するレジスタである。モードレジスタ2は、複数のビットを保持可能なレジスタである。例えば、モードレジスタ2は、図3(a)に示す論理値を保持する。
【0037】
図3(a)に示すように、モードレジスタ2の保持値が00の場合、認証モードはオフである。このとき、電源モジュール52は、図5で説明するように、認証動作を実行することなく、本体51に対して電源の供給を開始する。
【0038】
図3(a)に示すように、モードレジスタ2の保持値が01の場合、認証モードはオンである。このとき、電源モジュール52は、図6で説明するように、認証動作を実行し、認証が成功した場合に限って、本体51に対して電源の供給を開始する。
【0039】
図3(a)に示すように、モードレジスタ2の保持値が10の場合、認証モードはオンであり、かつ再認証の動作が付加される。このとき、電源モジュール52は、図8で説明するように、本体51に対して電源を供給している状態であっても再度認証動作を実行し、認証が成功した場合に限って、本体51に対して電源の供給を継続する。
【0040】
タイマー3は、イベント発生部として機能する機能ブロックである。タイマー3は、時間を計測する。タイマー3は、所定時間が経過する度にHレベルの電圧信号を出力する。電源モジュール52は、タイマー3から出力されるHレベルの電圧信号をイベントとして検出し、再度認証動作を実行し、認証が成功した場合に限って、本体51に対して電源の供給を継続する。換言すると、タイマー3から出力されるHレベルの電圧信号は、イベント信号である。なお、イベント信号の発生方法は任意である。イベント信号は、本体51から制御部6に伝達されるものであっても良い。
【0041】
ステータスレジスタ4は、認証結果を示す論理値を保持する。ステータスレジスタ4は、複数のビットを保持可能なレジスタである。例えば、ステータスレジスタ4は、図3(b)に示す論理値を保持する。なお、ステータスレジスタ4の保持値は、制御部6によって書き込まれ、又は読み出される。
【0042】
図3(b)に示すように、ステータスレジスタ4の保持値が00の場合、認証結果は成功でも失敗でもどちらでもないことを示す。ステータスレジスタ4の保持値が01の場合、認証が成功したことを示す。ステータスレジスタ4の保持値が10の場合、認証が失敗したことを示す。
【0043】
状態表示部5は、電源モジュール52の動作状態を操作者に報知する。状態表示部5は、モードレジスタ2の保持値及びステータスレジスタ4の保持値に対応して、電源モジュール52の動作状態を表示する。
【0044】
ここでは、状態表示部5は、3つのLED(Light Emitting Diode)から構成される。
【0045】
モードレジスタ2の保持値が00の場合、第1のLEDが所定間隔をあけて点灯する(例えば、5秒ごとに点灯する)。モードレジスタ2の保持値が01の場合、第1のLEDは点灯しない。モードレジスタ2の保持値が10の場合、第1のLEDは点灯しない。このようにして状態表示部5は、認証モードの無効を操作者に報知する。
【0046】
ステータスレジスタ4の保持値が01の場合、第2及び第3のLEDが同時に点灯する。ステータスレジスタの保持値が10の場合、第2のLEDと第3のLEDが交互に点灯する。ステータスレジスタの保持値が00の場合、3つのLEDはいずれも点灯しない。このようにして状態表示部5は、判定結果を操作者に報知する。
【0047】
制御部6は、各機能ブロック間の信号伝送、及び機能ブロックからの信号伝達に基づく所定の動作を実現させる。制御部6は、データ端子15を介して、本体51と指令、データ等の送受信を実行する。
【0048】
制御部6は、認証実行部10から伝達される認証結果を示す判定信号に応じて、電源供給部11の本体51に対する電源の供給状態を制御する。また、本体51から伝達される制御信号(供給開始信号、供給停止信号等)に応じて、電源供給部11の本体51に対する電源の供給状態を制御する。
【0049】
制御部6は、制御信号S1を出力する。図4に制御信号S1の説明図を示す。図4に示すように、制御部6は、判定信号が認証成功を示す場合、制御信号S1として01を出力する。これを受けて、電源供給部11は、本体51に対する電源の供給を開始する。制御部6は、判定信号が認証失敗を示す場合、制御信号S1として10を出力する。これを受けて、電源供給部11は、本体51に対する電源の供給を停止する。なお、電源供給部11に対して何らの動作も要求しない場合、制御部6は、制御信号S1として00を出力する。
【0050】
また、制御部6は、本体51から供給開始信号が伝達されると、制御信号S1として01を出力する。制御部6は、本体51から供給停止信号が伝達されると、制御信号S1として10を出力する。
【0051】
そのほか、制御部6は、以下の動作も実行する。制御部6は、スイッチ1からHレベルの電圧信号が伝達されると、認証実行部10に認証の実行を指示する。制御部6は、モードレジスタ2及びステータスレジスタ4に対するデータ(論理値)の書込、読出しを実行する。制御部6は、記憶部7へのデータの書き込み、読出しを実行する。制御部6は、タイマー3からHレベルの電圧信号が伝達されると、認証実行部10に再度の認証の実行を指示する。制御部6は、モードレジスタ2又はステータスレジスタ4の保持値に応じた条件で状態表示部5を動作させる。
【0052】
記憶部7は、ハードディスク、半導体メモリといったような保持データの更新が可能な情報記憶媒体である。なお、記憶部7内の所定のアドレス空間を利用して、上述のモードレジスタ2、ステータスレジスタ4を実現させても良い。
【0053】
記憶部7には、情報処理装置50に予め設定された固有の識別番号、モードレジスタ2にて順次更新される認証モードの履歴情報、ステータスレジスタ4にて順次更新される判定結果の履歴情報、認証動作時に必要となるマスターパターン(マスターデータ)、及びパスワード等といった各種のデータが記憶される。なお、履歴情報は、レジスタの更新時に、制御部6が、記憶部7の履歴テーブルに旧保持値を格納すれば生成される。
【0054】
画像処理部8は、画像取得部9から出力された画像に画像処理を施す。例えば、画像処理部8は、画像の2値化、画像のコントラストや明暗を調整する。
【0055】
画像取得部9は、パターンを取得する。具体的には、画像取得部9は、ヒトの指の指紋パターンや静脈パターンといったパターン情報を撮像し、撮像した画像を出力する。画像取得部9は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサー、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー、TFT(Thin Film Transistor)センサーといった一般的な撮像装置である。なお、画像取得部9が静脈パターンを取得する場合には、近赤外線を選択的に通過させるバンドパスフィルタを画像取得部9の受光面上に配置し、画像取得部9の周囲に近赤外線を出射する光源を配置させると良い。
【0056】
認証実行部10は、認証動作を実行し、その結果を出力する。認証実行部10は、制御部6から認証実行の指示があると、画像取得部9にパターンを撮像させる。また、認証実行部10は、記憶部7からマスターパターンを取得する。そして、認証実行部10は、画像取得部9からの画像と記憶部7からのマスターパターンとに基づいて生体認証を実行する。例えば、静脈認証の場合、取得画像のパターンとマスターパターンとで静脈の分岐態様が一致する場合に認証成功としても良い。なお、認証が成功するかどうかを判定する方法は、画像処理方法に依存するため、他にも様々な方法がある。
【0057】
電源供給部11は、上述したように、制御部6から伝達される制御信号S1に応じて、本体51に対する電源の供給を開始したり、本体51に対する電源の供給を継続したり、本体51に対する電源の供給を停止したりする。
【0058】
電源供給部11は、電池12及びスイッチ部13を有する。電池12は、一次電池や二次電池といった汎用の電池である。スイッチ部13は、電池12のアノードに接続された電気的なスイッチング手段である。スイッチ部13は、例えば、トランスファースイッチといったMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のスイッチである。スイッチ部13は、制御信号S1が01になるとオンし、電気的に導通状態となる。スイッチ部13は、制御信号S1が10になるとオフし、電気的に絶縁状態となる。なお、この場合には、Hレベルの電圧信号及びLレベルの電圧信号を制御信号S1として設定しても良い。
【0059】
データ端子15は、本体51と電源モジュール52間のデータの送受信を介在する。ここでは、データ端子15は、本体51のデータ端子に物理的に接続される。
【0060】
電源端子14は、本体51に対する電源モジュール52の電源供給を介在する。ここでは、電源端子14は、本体51の電源端子に物理的に接続される。
【0061】
図2を参照して、各機能ブロックの接続関係について説明する。スイッチ1、モードレジスタ2、タイマー3、ステータスレジスタ4、状態表示部5、記憶部7、画像処理部8、認証実行部10、及び電源供給部11は、制御部6に接続される。電池12と電源端子14との間にはスイッチ部13が接続される。画像取得部9は、画像処理部8を介して制御部6に接続される。データ端子15は、制御部6と本体51との間に接続される。電源端子14は、電源供給部11と本体51との間に接続される。
【0062】
図5を参照して、電源モジュール52の動作について説明する。
【0063】
まず、電源モジュール52は、待機状態である(S1)。電源モジュール52が待機状態にあるとき、電源モジュール52の各機能ブロックには電池12から電源が供給されている。例えば、スイッチ1を操作者が押せば、スイッチ1からは上述の認証開始信号が出力される。他方、電源モジュール52が待機状態にあるとき、電源モジュール52から本体51への電源の供給はされていない。
【0064】
また、電源モジュール52の動作は、モードレジスタ2の保持値に応じて決定される(S2)。なお、予めモードレジスタ2には認証モードの設定がされているものとする。
【0065】
認証モードがオンのとき(モードレジスタ2の保持値=01のとき)、認証に基づく電源供給動作を実行する(S6)。この点は、図6を参照して後述する。
【0066】
認証モードがオフのとき(モードレジスタ2の保持値=00のとき)、制御部6は、制御信号S1として01を電源供給部11に出力する。換言すると、制御部6は、電源供給部11に本体51へ電源を供給させる(S3)。次に、制御部6は、本体51に認証モードがオフであることを、データ端子15を介して伝達する(S4)。そして、電源モジュール52は、供給状態となる(S5)。電源モジュール52が供給状態にあるとき、電源モジュール52から本体51に電源が供給されている。そして、本体51の一部又は全体の機能が活性化される、又はそれらの機能が活性化可能な状態になる。尚、S4の通知によって、所定時間後に本体51から電源モジュール52への再認証命令(後述する)の伝送が可能になる。
【0067】
図6を参照して、電源モジュール52の認証に基づく電源供給動作について説明する。
【0068】
まず、電源モジュール52は、待機状態にある(S1)。
【0069】
次に、トリガの検出が実行される(S2)。具体的には、スイッチ1から制御部6に、認証開始信号が伝達されたかどうかが検出される。
【0070】
認証開始信号が検出されると、電源モジュール52は認証動作を開始する(S3)。具体的には、制御部6は、認証実行部10に認証動作の実行を要求する。そして、認証実行部10は、制御部6からの指令に応じて認証を実行する。
【0071】
図7を参照しながら、認証実行部10の動作について説明する。まず、認証実行部10は、記憶部7からマスターパターンを読み出す(S1)。認証実行部10は、画像取得部9を起動させ、画像取得部9で画像を取得させる(S2)。また、このとき、認証実行部10は、画像処理部8の画像処理機能を起動させ、画像取得部9で撮像された画像に画像処理を施させる。認証実行部10は、画像取得部9で取得した画像と記憶部7のマスターパターンとに基づいて認証を実行する(S3)。認証条件が満足されていれば(S4)、認証成功の判定がされる(S5)。認証条件が満足されていれば(S4)、認証失敗の判定がされる(S6)。
【0072】
なお、認証の具体的な方法は任意である。例えば、認証実行部10は、マスターパターンと撮像した画像に現れたパターンとが実質的に一致しているかを判定する。そして、マスターパターンとそのパターンとが一致していれば認証成功になり、マスターパターンとそのパターンとが一致していなければ認証失敗になる。認証条件の設定は、画像処理方法に依存し、様々である。
【0073】
図6に戻って説明する。S4で認証が成功した場合、制御部6は、ステータスレジスタ4に認証結果を書き込む(S5)。制御部6は、電源供給部11に電源を本体51へ供給させる(S6)。具体的には、制御部6は、制御信号S1として01を電源供給部11に対して出力する。制御部6は、ステータスレジスタ4の保持値に応じて状態表示部5を動作させ、認証が成功したことを操作者に表示する(S7)。ここでは、ステータスレジスタ4の保持値が01であることに対応して、状態表示部5の第2及び第3のLEDが同時に点灯する。
【0074】
S4で認証が失敗した場合には、その認証動作がN回目であるのか判断する(S9)。なお、Nは2以上の自然数である。N回目未満であれば、認証動作S3を再び実行する。これによって認証されるべき場合に認証が失敗になることを抑制する。
【0075】
S9でN回目になった場合、制御部6は、ステータスレジスタ4に認証結果を書き込む(S10)。制御部6は、ステータスレジスタ4の保持値に対応して状態表示部5を動作させ、認証が失敗したことを操作者に表示する(S11)。ここでは、ステータスレジスタの保持値が10であり、状態表示部5の第2のLEDと第3のLEDが交互に点灯する。そして、電源モジュール52は、待機状態に戻る。
【0076】
上述の説明から明らかなように、本実施形態においては、電源モジュール52自体に認証機能が付加されている。従って、認証時において本体に電源が供給されていないように見せることが可能になる。従って、セキュリティーを打ち破ろうとする動機が第三者に生じるおそれが抑制される。
【0077】
図8を参照して、イベント検出に基づく再認証が有効である場合の電源モジュール52の動作について説明する。なお、このとき、モードレジスタ2の保持値は10に設定されている。イベント検出に基づいて再認証することで、より情報処理装置50のセキュリティーを高めることができる。
【0078】
まず、電源モジュール52は供給状態にある(S1)。電源モジュール52から本体51へは電源が供給されている。
【0079】
次に、イベントが検出される(S2)。タイマー3から制御部6には、所定時間ごとにイベント信号が伝達される。タイマー3からのイベント信号が制御部6に伝達されると、電源モジュール52が供給状態にあったとしても、再度、認証実行部10は認証動作を実行する(S3)。認証が成功した場合(S4)には、制御部6はステータスレジスタ4に認証結果を書き込む(S5)。制御部6は、状態表示部5に認証成功を表示させる(S6)。電源モジュール52は、供給状態を維持する。
【0080】
S4にて認証が失敗した場合には、N回目であるのか判定する(S8)。N回目に到達していない場合には、再度認証を実行する(S3)。N回目に到達した場合には、制御部6はステータスレジスタ4に認証結果を書き込む(S9)。制御部6は、状態表示部5に認証失敗を表示させる(S10)。制御部6は、電源供給部11に対して本体51に電源を供給しないように指示する(S11)。具体的には、制御部6は、制御信号S1として10を設定する。電源モジュール52は、供給状態から待機状態に推移する(S12)。そして、本体51における一部又は全部の機能が停止する。
【0081】
図9を参照して、本体51から制御部6にデータ端子15を介して再認証命令が伝達される場合の電源モジュール52の動作について説明する。
【0082】
まず、電源モジュール52は供給状態にある(S1)。
【0083】
次に、再認証命令が検出される(S2)。本体51から電源モジュール52へ再認証命令が伝達された場合、認証実行部10は認証動作S4を実行する。その後の説明は、図8の場合と同様である。
【0084】
再認証命令が検出されない場合には、イベント信号の検出が実行される(S3)。イベント信号が検出されない場合には、電源モジュール52は供給状態を維持する。イベント信号が検出された場合の電源モジュール52の動作は、図8の場合と同様である。
【0085】
このように、電源モジュール52は、本体51から伝達される再認証命令に基づいて再認証を実行することもできる。情報処理装置50の所持者は、情報処理装置50における所定の機能を実現するためには、その度に再認証を要求するように情報処理装置50を設定しても良い。たとえば、情報処理装置50の所定のフォルダにアクセスするためには再認証が必要であるように設定してもよい。再認証で失敗すれば、電源モジュール52から本体51に対する電源供給が部分的又は全体的に停止するため、所定のフォルダ内の情報の機密性が高められる。
【0086】
図10を参照して、本体51から制御部6にデータ端子15を介して供給停止命令が伝達される場合の電源モジュール52の動作について説明する。
【0087】
まず、電源モジュール52は、供給状態にある(S1)。
【0088】
次に、供給停止命令が検出される(S2)。本体51から電源モジュール52へ供給停止命令が伝達された場合、制御部6は、状態表示部5を動作させ、供給停止状態になることを操作者に報知する(S3)。例えば、制御部6は、状態表示部5の第1乃至第3のLED全部を連続的に点灯させる。次に、制御部6は、電源供給部11に本体51への電源供給を停止させる(S4)。具体的には、制御部6は、電源供給部11に対して制御信号S1として10を出力する。
【0089】
供給停止命令が検出されない場合には(S2)、電源モジュール52は供給状態を維持する(S6)。
【0090】
このように、電源モジュール52は、本体51から伝達される供給停止命令に基づいて電源供給を停止することもできる。情報処理装置50の所持者は、情報処理装置50の機能を実質的に停止させたい場合には、本体51から電源モジュール52へ供給停止命令を出力させれば良い。このようにすることで、電源モジュール52から本体51への電源供給は部分的に又は全体的に停止される。これによって、セキュリティーを確保することは勿論、情報処理装置50としての消費電力も低減させることができる。
【0091】
なお、図9及び図10の説明から明らかなように、電源モジュール52が待機状態のとき、電源モジュール52は本体51に対してマスターとして機能する。このとき、本体51は電源モジュール52に対してスレーブとして機能する。
【0092】
他方、電源モジュール52が供給状態のとき、本体51は電源モジュール52に対してマスターとして機能し得る。本体51が電源モジュール52に対してマスターとして機能するとき、電源モジュール52は本体51に対してスレーブとして機能する。
【0093】
本体51が電源モジュール52に対してマスターとして機能するとき、本体51は、電源モジュール52内のデータにアクセスすることができる。例えば、本体51は、電源モジュール52に対して、記憶部7に格納されている履歴テーブルの出力を命じたり、モードレジスタ2の保持値を変更させたりすることができる。履歴テーブルを参照することによって、第三者が情報処理装置50を操作したかどうかといった事実も確認することができる。
【0094】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態について図11を参照して説明する。図11は、情報処理装置の構成を示す概略的なブロック図である。
【0095】
本実施形態においては、第1の実施形態とは異なり、データ送受信部17、及び電力伝送部18が設けられている。データ送受信部17は、制御部6と本体51間におけるデータの送受信(送信/受信)を無線で実現する。電力伝送部18は、電源モジュール52から本体51へ電源を無線で供給する。
【0096】
このような場合であっても、第1の実施形態で説明したものと同様の効果を得ることができる。本体51の機能を実質的に停止させるためには、本体51に対して電源を供給しなければ良い。本実施形態のように、電源モジュール52が本体51から常時分離されているものであれば、自動車の鍵のように電源モジュール52を取り扱うことも場合によっては可能である。
【0097】
本発明の技術的範囲は、上述の実施形態に限定されない。電源モジュールの用途は情報処理装置に限定されない。電源モジュールは、他の様々な物に適用可能である。電池から供給される電源を本体に接続させる場合に代えて、外部から供給される電源を本体に接続させても良い。本体自体に、別紙、暗証番号の設定、生体認証機能の付加を行っても良い。電源モジュールにおける認証の具体的な方法は任意である(例えば、暗証番号による認証、生体認証に基づく認証であっても良い)。電源モジュールの動作状態を操作者に報知する具体的な方法は任意であり、音声、振動、又は画像等であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる情報処理装置の構成を説明する説明図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる情報処理装置の構成を示す概略的なブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかるレジスタの保持値の意味を説明するための表である。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかる制御信号S1の指示内容を説明するための表である。
【図5】本発明の第1の実施形態にかかる電源モジュールの動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態にかかる電源モジュールの動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態にかかる電源モジュールの動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施形態にかかる電源モジュールの動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態にかかる電源モジュールの動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施形態にかかる電源モジュールの動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施形態にかかる情報処理装置の構成を示す概略的なブロック図である。
【符号の説明】
【0099】
1 スイッチ
2 モードレジスタ
3 タイマー
4 ステータスレジスタ
5 状態表示部
6 制御部
7 記憶部
8 画像処理部
9 画像取得部
10 認証実行部
11 電源供給部
12 電池
13 スイッチ部
14 電源端子
15 データ端子
17 データ送受信部
18 電力伝送部
50 情報処理装置
51 本体
52 電源モジュール
53 入射窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に対して電源として機能する電源モジュールであって、
認証を実行する認証実行部と、
前記認証実行部による認証結果に応じて前記本体に対する電源の供給状態を制御する制御部と、
を備える電源モジュール。
【請求項2】
前記制御部は、前記認証実行部から伝達される判定信号に基づいて、前記本体に対する電源の供給状態を制御することを特徴とする請求項1に記載の電源モジュール。
【請求項3】
前記制御部は、前記本体から伝達される第1制御信号に基づいて、前記本体に対する電源供給の状態を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の電源モジュール。
【請求項4】
前記本体に対して電源を供給可能な電源供給部を更に備え、
当該電源供給部は、前記制御部から伝達される第2制御信号に応じた条件で動作することを特徴とする請求項1に記載の電源モジュール。
【請求項5】
前記電源供給部は、
電池と、
前記第2制御信号に基づいて電気的な導通状態が決定されるスイッチ部と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の電源モジュール。
【請求項6】
認証モードの有効又は無効を示す値を少なくとも保持するモードレジスタを更に備え、
前記制御部は、前記モードレジスタの保持値が認証モードの無効を示すとき、前記電源供給部から前記本体に強制的に電源を供給させることを特徴とする請求項4に記載の電源モジュール。
【請求項7】
前記制御部は、前記モードレジスタの保持値が認証モードの無効を示すとき、認証モードの無効を前記本体に伝送することを特徴とする請求項6に記載の電源モジュール。
【請求項8】
前記制御部は、前記本体から伝達された第1制御信号に基づいて、前記電源供給部から前記本体に対する電源の供給を停止させることを特徴とする請求項7に記載の電源モジュール。
【請求項9】
前記認証実行部は、必要に応じて所定回数の認証を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の電源モジュール。
【請求項10】
前記認証実行部による認証結果の履歴を少なくとも保持する記憶部を更に備えることを特徴とする請求項9に記載の電源モジュール。
【請求項11】
前記制御部は、所定のイベントが発生したとき、前記認証実行部に認証の再実行を要求することを特徴とする請求項1に記載の電源モジュール。
【請求項12】
前記イベントは、所定時間の経過に応じて発生することを特徴とする請求項11に記載の電源モジュール。
【請求項13】
少なくとも前記認証実行部による認証結果を報知する報知手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の電源モジュール。
【請求項14】
電源として機能する電源モジュール、及び前記電源モジュールが装着される本体を備える情報処理装置であって、
前記電源モジュールは、
認証を実行する認証実行部と、
前記認証実行部による認証結果に応じて前記本体に対する電源の供給状態を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項15】
電源モジュールから本体への電源供給状態を制御する電源供給状態の制御方法であって、
認証を実行し、
認証結果に応じて、前記電源モジュールの前記本体に対する電源供給状態を制御する、電源供給状態の制御方法。
【請求項16】
認証を実行しない条件が設定されているとき、強制的に前記本体に対して電源を供給する、請求項15に記載の電源供給状態の制御方法。
【請求項17】
電源を供給している状態であっても、所定のイベントが発生したとき、再び認証を実行する、請求項15に記載の電源供給状態の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2009−80620(P2009−80620A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248967(P2007−248967)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】