電源装置および電源装置の制御方法
【課題】モータが力行状態・回生状態を頻繁に繰り返す場合であっても、電力変換装置が備えるコンデンサの充放電電流による損失の増大を抑制する。
【解決手段】電力変換装置20を介してモータ10に接続される複数の電源Ea,Ebと、複数の電源Ea,Eb間の電気的接続状態を直列接続と並列接続とで切り替えるスイッチング手段SW1,SW2,SW3を有するスイッチ回路と、スイッチング手段SW1,SW2,SW3を制御することにより、モータ10が回生状態である場合、電気的接続状態を直列接続に設定し、モータ10が力行状態である場合、モータ10の状態に基づいて電気的接続状態を直列接続および並列接続のうちの一方に設定する制御手段40とを有し、制御手段40は、モータが回生状態から力行状態への移行時、モータ10の状態に応じて、電気的接続状態を直列接続のままで固定とする直列固定処理を行う。
【解決手段】電力変換装置20を介してモータ10に接続される複数の電源Ea,Ebと、複数の電源Ea,Eb間の電気的接続状態を直列接続と並列接続とで切り替えるスイッチング手段SW1,SW2,SW3を有するスイッチ回路と、スイッチング手段SW1,SW2,SW3を制御することにより、モータ10が回生状態である場合、電気的接続状態を直列接続に設定し、モータ10が力行状態である場合、モータ10の状態に基づいて電気的接続状態を直列接続および並列接続のうちの一方に設定する制御手段40とを有し、制御手段40は、モータが回生状態から力行状態への移行時、モータ10の状態に応じて、電気的接続状態を直列接続のままで固定とする直列固定処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、それぞれが独立した複数の電源を備える電源装置が知られており、例えば、この電源装置は、インバータ(電力変換装置)を介してモータに電力を供給する。例えば、特許文献1には、電気自動車の低出力運転時にインバータの入力電圧を下げ、スイッチング損失を低減させることにより、システム効率の向上を図る手法が開示されている。具体的には、アクセルペダル踏込量、モータの出力、あるいは、ブレーキペダル踏込量が大の時は、複数の電源を直列接続し、これらの値が小の時は、複数の電源を並列接続する。
【0003】
なお、この類の電源装置では、個々の電源電圧間に差があるときには電源同士を並列接続することができないため、モータの回生時には、複数の電源を直列接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−236608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、渋滞時といったようにアクセルペダル踏込量が小さく、モータ速度が低いシーンでは、力行状態時に複数の電源を並列接続し、回生状態時に複数の電源を直列接続するといった状態が頻繁に繰り返されることとなる。そのため、インバータ(電力変換装置)が備える平滑コンデンサの電圧変化に伴い充放電電流による損失が増大してしまうといった問題がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、モータが力行状態・回生状態を頻繁に繰り返す場合であっても、電力変換装置が備えるコンデンサの充放電電流による損失の増大を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、本発明は、モータが回生状態から力行状態への移行時、モータの状態に応じて、複数電源間の電気的接続状態を直列接続のままで固定とする直列固定処理を行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回生状態から力行状態へ移行後、力行状態と回生状態を繰り返すようなシーンであっても、複数の電源の電気的接続状態として並列接続が選択されず、回生状態における電気的接続状態と同じ直列接続がそのまま維持される。これにより、直列接続と並列接続との切り替え回数を低減することができる。そのため、インバータの平滑コンデンサの充放電電流による損失の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態にかかる電源装置30および当該電源装置30を用いたモータ10の制御システムを模式的に示す構成図
【図2】第1の実施形態にかかるコントロールユニット40の構成を模式的に示すブロック図
【図3】第1の実施形態にかかる電源装置30に関する第1の電源および第2の電源の電気的接続状態の説明図
【図4】第1の実施形態にかかる電源装置30の制御方法を示すフローチャート
【図5】トルク指令値T*,Tf*、第2のスイッチSW2の状態および平滑コンデンサCの電圧Vcの推移をそれぞれ示す説明図
【図6】第2の実施形態にかかるコントロールユニット40aの構成を模式的に示すブロック図
【図7】第2の実施形態にかかる電源装置30の制御方法を示すフローチャート
【図8】q軸電流指令値Iq*、第2のスイッチSW2の状態および平滑コンデンサCの電圧Vcの推移を示す説明図
【図9】第3の実施形態にかかる電源装置30bおよび当該電源装置30bを用いたモータ10の制御システムを模式的に示す構成図
【図10】第3の実施形態にかかるコントロールユニット40bの構成を模式的に示すブロック図
【図11】第3の実施形態にかかる電源装置30bにおける第1の電源および第2の電源の電気的接続状態の説明図
【図12】第3の実施形態にかかる電源装置30bの制御方法を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる電源装置30および当該電源装置30を用いたモータ10の制御システムを模式的に示す構成図である。本実施形態では、電気自動車の駆動用モータとして適用されたモータ10を制御する制御システムについて説明を行う。この電気自動車は、モータ10、インバータ20、電源装置30およびコントロールユニット40を備えている。
【0011】
モータ10は、例えば、中性点を中心に星形結線された複数の相巻線(本実施形態では、U相巻線、V相巻線、W相巻線からなる3つの相巻線)を有する3相交流同期モータである。このモータ10は、インバータ20内で変換された3相の交流電力が各相巻線に供給されることにより生じる磁界と、回転子の永久磁石が作る磁界との相互作用により駆動する。モータ10のロータは、自動変速機の入力軸に連結されている。
【0012】
モータ10は、電源装置30から電力の供給を受けて回転駆動することにより、電動機として動作することができる(以下、この運転状態を「力行状態」と呼ぶ)。一方、このモータ10は、ロータが外力により回転している場合、ステータ巻線の両端に起電力を生じさせることにより、発電機として機能する(以下、この運転状態を「回生状態」と呼ぶ)。モータ10により発電された電力は、電源装置30を充電することができる。本明細書では、電動機および発電機の双方の機能を併せもつ意味でモータという用語を用いる。
【0013】
インバータ20は、モータ10の力行状態時、コントロールユニット40から出力されるインバータ駆動信号に応じてPWM制御されることにより、電源装置30から供給される直流電力を、多相交流電力(本実施形態では、U相交流電力、V相交流電力およびW相交流電力で構成される3相交流電力)に変換し、当該3相の交流電力をモータ10の各相巻線に供給する。また、インバータ20は、モータ10の回生状態時、モータ10によって発電された3相交流電力を直流電力に変換する。この直流電力は、電源装置30または後述する平滑コンデンサCに蓄電される。
【0014】
インバータ20は、モータ10の各相に対応する3つのスイッチ回路を主体に構成されている。具体的には、インバータ20は、電源装置30の正極側の正極母線と、電源装置30の負極側の負極母線との間に、U相用のスイッチ回路と、V相用のスイッチ回路と、W相用のスイッチ回路とを備える。また、正極母線と負極母線との間には、各相用のスイッチ回路よりも電源装置30側に、平滑コンデンサCが接続されている。
【0015】
U相用のスイッチ回路は、互いに直列接続された一対のスイッチ(アーム)を主体に構成されており、V相用のスイッチ回路は、互いに直列接続された一対のスイッチ(アーム)を主体に構成されている。また、W相用のスイッチ回路は、互いに直列接続された一対のスイッチ(アーム)を主体に構成されている。個々のスイッチは、NPN型のトランジスタ等のスイッチング素子を主体に構成されており、個々のトランジスタには、コレクタ・エミッタ間に還流用ダイオードがそれぞれ逆並列接続されている。これらのスイッチのオンオフ状態は、コントロールユニット40から出力されるインバータ駆動信号に応じて切り替えられる。
【0016】
U相用の一対のスイッチの相互接続点、V相用の一対のスイッチの相互接続点、および、W相用の一対のスイッチの相互接続点は、それぞれが各相電流の出力点として機能している。各出力点には、モータ10の対応する相巻線がそれぞれ接続される。インバータ20により生成される3相交流電流をそれぞれU相交流電流Iu、V相交流電流IvおよびW相交流電流Iwとする。例えば、各交流電流Iu,Iv,Iwは、モータ10側へ電流が流れる方向を正とする。
【0017】
電源装置30は、インバータ20を開始してモータ10に接続されており、モータ10に電力を供給するとともに、モータ10において発電された電力を充電する電源装置である。電源装置30は、それぞれが独立して直流電源として機能する複数の電源(本実施形態では、2つの電源(第1および第2の電源))を有している。個々の電源としては、例えば、ニッケル水素電池あるいはリチウムイオン電池といったバッテリを用いることができる。
【0018】
また、電源装置30は、第1および第2の電源間の電気的接続状態を、直列接続と並列接続とで切り替えるスイッチ回路を備えており、このスイッチ回路は、第1から第3のスイッチSW1〜SW3(スイッチング手段)を主体に構成されている。第1から第3のスイッチSW1〜SW3は、第1のスイッチSW1、第2のスイッチSW1および第3のスイッチSW3の順番に従って直列接続されている。個々のスイッチSW1〜SW3は、NPN型のトランジスタ等のスイッチング素子を主体に構成されており、個々のトランジスタは、コレクタ・エミッタ間に還流用ダイオードがそれぞれ逆並列接続されている。これらのスイッチSW1〜SW3のオンオフ状態は、コントロールユニット40から出力されるスイッチ駆動信号に応じて切り替えられる。
【0019】
ここで、スイッチ回路において、第1のスイッチSW1と第2のスイッチSW2との接続点は、第1の電源(電源電圧Ea)の正極が接続され、第2のスイッチSW2と第3のスイッチSW3との接続点は、第2の電源(電源電圧Eb)の負極が接続されている。第1のスイッチSW1のコレクタ端子と、第2の電源の正極とは相互に接続されており、この接続端は電源装置30の正極側の出力端として機能する。この正極側の出力端は、インバータ20の正極母線が接続される。また、第3のスイッチSW3のエミッタ端子と、第1の電源の負極とは相互に接続されており、この接続端は電源装置30の負極側の出力端として機能する。この負極側の出力端は、インバータ20の負極母線が接続される。なお、第1および第2の電源を並列接続から直列接続へ切り替えるときの突入電流を抑制するため、インバータ20と、電源装置30との間にフィルタ用リアクトルLを備えている。
【0020】
コントロールユニット40は、インバータ20を介してモータ10を制御する電動機制御手段であるとともに、電源装置30を制御する電源制御手段でもある。コントロールユニット40としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。コントロールユニット40は、ROMに記憶された制御プログラムに従い、インバータ20および電源装置30を制御するための演算を行う。そして、コントロールユニット40は、この演算によって算出された制御信号をインバータ20または電源装置30に対して出力する。
【0021】
図2は、コントロールユニット40の構成を模式的に示すブロック図である。コントロールユニット40は、インバータ20を構成するスイッチを制御することにより、モータ10の出力トルクを制御する。また、コントロールユニット40は、電源装置30を構成する第1から第3のスイッチSW1〜SW3を制御することにより、電源装置30における第1および第2の電源の電気的接続状態の設定を行う。
【0022】
コントロールユニット40には、各種センサからセンサ信号などの必要な情報が入力されている。電流センサ50は、モータ10の各相の交流電流、すなわち、U相交流電流Iuと、V相交流電流Ivと、W相交流電流Iwとをそれぞれ検出する。電気角検出部51は、モータ10のロータ位置を表す電気的な位相(電気角)θを検出する。また、モータ速度検出部52は、モータ10のロータの回転角速度(モータ速度)ωを検出する。例えば、電気角検出部51およびモータ速度検出部52は、モータ10のロータ位置を検出するエンコーダやレゾルバなどの回転位置センサからの検出結果に基づいて、電気角θおよびモータ速度ωを検出する。また、第1の電圧センサ53は、第1の電源の電圧(以下「第1の電源電圧」という)Eaを検出し、第2の電圧センサ54は、第2の電源の電圧(以下「第2の電源電圧」という)Ebを検出する。また、コントロールユニット40には、上位装置において演算されるトルク指令値T*が入力される。
【0023】
コントロールユニット40は、これを機能的に捉えた場合、トルク制御部41と、電流制御部42と、ローパスフィルタ(LPF)43と、電源制御部44とを有している。これらの機能的な要素のうち、トルク制御部41と電流制御部42とは、主として電動機制御手段としての機能を担い、また、ローパスフィルタ43と電源制御部44とは、主として電源制御手段としての機能を担っている。
【0024】
トルク制御部41は、トルク指令値T*とモータ速度ωとに基づいて、ベクトル制御用の電流指令値であるd軸電流指令値Id*およびq軸電流指令値Iq*を演算する。具体的には、トルク制御部41は、トルク指令値T*とモータ速度ωとに基づいて、トルク指令値T*に一致するトルクをモータ10が出力するためのd軸およびq軸電流指令値Id*,Iq*とをそれぞれ演算する。演算されたd軸およびq軸電流指令値Id*,Iq*は、電流制御部42に出力される。トルク制御部41は、トルク指令値T*およびモータ速度ωの各パラメータと、d軸およびq軸電流指令値Id*,Iq*との対応関係を記述したマップを保持しており、当該マップを参照することにより、d軸およびq軸電流指令値Id*,Iq*を演算する。この対応関係を記述したマップは、実験やシミュレーションを通じて予め取得されている。
【0025】
ここで、dq軸座標系は、モータ10の機械的な回転速度の整数倍の電気的な回転速度で回転するd軸とq軸とから成る直交座標系である。3相同期モータであるモータ10において、dq軸座標系はモータ回転に同期して回転する。dq軸座標系により、モータ10の固定子巻線に供給される電流は、界磁分電流(d軸電流)とトルク分電流(q軸電流)とに分けてベクトル表示される。
【0026】
電流制御部42は、トルク制御部41から出力されるd軸およびq軸電流指令値Id*,Iq*と、電気角θと、各相の交流電流Iu,Iv,Iwとに基づいて、インバータ駆動信号Sdinvを出力する。具体的には、電流制御部42は、電気角θに基づいて、3相交流電流Iu,Iv,Iwを、d軸およびq軸の実電流であるd軸およびq軸電流に座標変換を行う。電流制御部42は、d軸およびq軸電流と、d軸およびq軸電流指令値Id*,Iq*との偏差が小さくなるように、PI制御或いはPID制御等の制御則を用いて、d軸およびq軸電圧指令値を演算する。
【0027】
電流制御部42は、電気角θに基づいて、d軸およびq軸電圧指令値を、各相の電圧指令値に座標変換を行う。そして、電流制御部42は、キャリアの電圧レベルと、各相の電圧指令値との比較に基づいて、インバータ20を駆動するインバータ駆動信号Sdinvを生成する。生成されたインバータ駆動信号Sdinvはインバータ20に対して出力され、このインバータ駆動信号Sdinvに応じて各スイッチング素子のオンオフ状態が制御される。
【0028】
ローパスフィルタ43は、特定の閾値よりも高い周波数信号を減衰させて遮断し、低域周波数のみを信号として通過させる低域通過フィルタである。上位装置から出力されたトルク指令値T*はローパスフィルタ43へ入力され、このローパスフィルタ43においてフィルタ処理されたトルク指令値Tf*が電源制御部44に入力される。このフィルタ処理により、処理後のトルク指令値Tf*では、ノイズ要素となる瞬間的に過大となるトルク指令値Tfの影響が抑制される。
【0029】
電源制御部44は、トルク指令値Tf*と、モータ速度ωと、第1の電源電圧Eaと、第2の電源電圧Ebとに基づいて、電源装置30における第1から第3のスイッチSW1〜SW3を駆動するためのスイッチ駆動信号Sdsw1〜Sdsw3を生成する。電源制御部44は、スイッチ駆動信号Sdsw1〜Sdsw3を通じて制御される第1から第3のスイッチSW1〜SW3のオンオフ状態の切り替えに応じて、第1の電源および第2の電源の電気的接続状態を直列接続または並列接続とで切り替える。また、電源制御部44は、モータ速度ωに基づいて、回生状態と力行状態との切り替わりを判定する。なお、電源制御部44は、モータ速度ω以外にも、モータ10のトルクまたはモータ10における各相の交流電流Iu,Iv,Iwのいずれか一つ、またはこれらの組み合わせに基づいて、回生状態と力行状態との切り替わりを判定してもよい。
【0030】
図3は、電源装置30における第1の電源および第2の電源の電気的接続状態の説明図である。モータ10の力行状態時、第1の電源および第2の電源を直列接続して電力を供給する場合、電源制御部44は、第1および第3のスイッチSW1,SW3をオフ状態に、第2のスイッチSW2をオン状態に制御する(同図(a)参照)。また、モータ10の力行状態時、第1の電源および第2の電源を並列接続して電力を供給する場合、電源制御部44は、第2のスイッチSW2をオフ状態に制御する。ここで、第1および第3のスイッチSW1,SW3は、第1の電源電圧Eaと第2の電源電圧Ebとがほぼ等しい場合、オン状態に制御され、第1の電源電圧Eaと第2の電源電圧Ebとが等しくない場合、高電位側から低電位側へと電流が流れることを抑制するために、オフ状態に制御される(同図(b)参照)。この場合、第1の電源または第2の電源からモータ10への電流は、第1および第3のスイッチSW1,SW3における還流用ダイオードをそれぞれ流れる。一方、モータ10が回生状態の場合、電源制御部44は、第1の電源および第2の電源を直列接続して電力を充電すべく、第1から第3のスイッチSW1〜SW3をオフ状態に制御する(同図(c)参照)。この場合、モータ10からの電力は、第2のスイッチSW2における還流用ダイオードを流れて、第1および第2の電源に電流が流れる。
【0031】
図4は、本発明の第1の実施形態にかかる電源装置30の制御方法を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、電源装置30の第1の電源および第2の電源の電気的接続状態の設定手順を示しており、回生状態から力行状態への移行することにより開始され、所定周期でコントロールユニット40(具体的には、電源制御部44)によって実行される。なお、電源制御部44は、このフローチャートが実行される前提となる回生状態時には、第1の電源および第2の電源を直列接続に設定すべく、第1から第3のスイッチSW1〜SW3のすべてをオフ状態に制御する(図3(c)参照)。
【0032】
まず、ステップ10(S10)において、電源制御部44は、モータ速度ωが速度判定値ωthよりも大きいか否かを判断する。モータ10が力行状態である場合、モータ速度ωが低速シーンでない限り、第1の電源および第2の電源を並列接続よりも直列接続とした方が、モータ10への供給電圧が高くなり、モータトルク・出力増加に対応することができるため好ましい。そこで、このステップ10では、モータ速度ωに基づいて、モータ速度ωが大きいか否か、すなわち、第1の電源および第2の電源を直列接続した方がよいシーンであるか否かが判断される。速度判定値ωthは、力行状態時に直列接続を選択した方がよいか、あるいは、並列接続を選択した方がよいかを切り分けるためのモータ速度ωが、実験やシミュレーションを通じて予め設定されている。
【0033】
このステップ10において肯定判定された場合、すなわち、モータ速度ωが速度判定値ωthよりも大きい場合には(ω>ωth)、ステップ11(S11)に進む。一方、ステップ10において否定判定された場合、すなわち、モータ速度ωが速度判定値ωth以下の場合には(ω≦ωth)、ステップ12(S12)に進む。
【0034】
ステップ11において、電源制御部44は、第1の電源および第2の電源の電気的接続状態を直列接続に設定すべく、第1のスイッチSW1および第3のスイッチSW3をオフ状態に制御し、第2のスイッチSW2をオン状態に制御する。
【0035】
ステップ12において、電源制御部44は、トルク指令値Tf*がトルク判定値Tfthよりも大きいか否かを判定する。このトルク判定値Tf*は、後述する本実施形態の概念説明から明らかとなるように、現在の運転シーンが、力行状態と回生状態とが交互に繰り返されるようなシーンであるか、それとも、力行状態が継続されるようなシーンであるかを切り分けるための値である。例えば、トルク判定値Tfthは、力行状態および回生状態の切替頻度を実験やシミュレーションを通じて考慮することにより、モータ10の力行状態と回生状態とが頻繁に繰り返されるようなシーンと認められるトルク指令値の範囲うち、その上限となるトルク指令値が設定される。このトルク判定値Tfthにより、トルク指令値Tf*がトルク判定値Tfthよりも大きい場合には、力行状態が継続されるようなシーンであると判定される。一方、トルク指令値Tf*がトルク判定値Tfth以下の場合には、力行状態と回生状態とが交互に繰り返されるようなシーンと判定される。
【0036】
ステップ12において肯定判定された場合、すなわち、トルク指令値Tf*がトルク判定値Tfthよりも大きい場合には(Tf*>Tfth)、ステップ13に進む。一方、ステップ12において否定判定された場合、すなわち、トルク指令値Tf*がトルク判定値Tfth以下の場合には(Tf*≦Tfth)、ステップ11に進む。
【0037】
ステップ13(S13)において、電源制御部44は、第1の電源電圧Eaと第2の電源電圧Ebとの差(|Ea−Eb|)が電圧判定値ΔVthよりも小さいか否かを判定する。並列接続時、第1の電源電圧Eaと第2の電源電圧Ebとが異なる場合には、高電位側から低電位側へと電流が流れることにより、短絡が発生する。そこで、ステップ13では、このような事態を抑制するために、電圧判定値ΔVthに基づいて、第1の電源電圧Eaと第2の電源電圧Ebとがほぼ等しい状態であるか否かを判定する。
【0038】
このステップ13において肯定判定された場合、すなわち、第1の電源電圧Eaと第2の電源電圧Ebとがほぼ等しい状態である場合には(|Ea−Eb|<ΔVth)、ステップ14(S14)に進む。一方、ステップ13において否定判定された場合、すなわち、第1の電源電圧Eaと第2の電源電圧Ebとが等しくない状態である場合には(|Ea−Eb|≧ΔVth)、ステップ15(S15)に進む。
【0039】
ステップ14において、電源制御部44は、第1の電源および第2の電源の電気的接続状態を並列接続に設定すべく、第1のスイッチSW1および第3のスイッチSW3をオン状態に制御し、第2のスイッチSW2をオフ状態に制御する(図3(b)参照)。一方、ステップ15において、電源制御部44は、第1の電源および第2の電源の電気的接続状態を並列接続に設定すべく、第1から第3のスイッチSW1〜SW3をオフ状態に制御する(図3(b)参照)。これにより、第1および第2の電源間における循環電流を抑制する。この場合、電圧の高い一方の電源からインバータ20に電力が供給され、それによって、充電量が低下していき第1および第2の電源の電圧差が小さくなる。これにより、ステップ13において肯定判定されることとなり、第1および第2の電源から実質的に並列な状態でインバータ20に電力が供給されることとなる。
【0040】
図5は、トルク指令値T*、フィルタ処理後のトルク指令値Tf*、第2のスイッチSW2の状態および平滑コンデンサCの電圧Vcの推移を示す説明図である。以下、上述した一連の制御処理によって具体化される電源制御部44の制御概念について説明する。例えば、モータ速度ωが低い低速シーンでは、例えば渋滞区間を走行中といったように車両が加減速を頻繁に繰り返すことがあり、図5(a)のトルク指令値T*,Tf*で示されるように、モータ10の力行状態と回生状態とが交互に繰り返される。力行状態時、モータ10の状態(具体的には、モータ速度ω)に応じて電気的接続状態を直列接続および並列接続のうちの一方に設定する場合、低速シーンにおいて回生状態から力行状態へ移行した際には、回生状態の直列接続から力行状態の並設接続へと電気的接続状態が切り替えられることとなる。同様に、低速シーンにおいて力行状態から回生状態へ移行した際に、力行状態の並列接続から回生状態の直列接続へ電気的接続状態が切り替えられることとなる。
【0041】
力行状態と回生状態との繰り返しに対応して、直列接続と並列接続とが繰り返されると、回生状態時にインバータ20の平滑コンデンサCが充電され、力行状態時に平滑コンデンサCから放電が行われる。このように、直列接続と並列接続との接続が切り換わる際には、インバータ20の平滑コンデンサCを直列電圧・並列電圧に変化させるための充放電電流がコンデンサCと電源装置30との間に流れる。そのため、その内部抵抗により損失が発生する。
【0042】
この点、本実施形態によれば、上述したステップ10,12における判断処理に示すように、回生状態から力行状態に移行した場合、モータ10の状態(具体的には、トルク指令値Tf*)に応じて、第2のスイッチSW2がオン状態のままで固定され(図5(b)参照)、電気的接続状態が直列接続のままで固定とされる直列固定処理が行われる。そして、電源制御部44は、力行状態と回生状態とが交互に繰り返されるような両者の切り替えの頻度が高いシーンから外れる終了タイミング、すなわち、トルク指令値Tf*がトルク判定値Tfthよりも大きくなるタイミング(図5において破線で示すタイミング)まで、直列固定処理を継続する。このようなシーンから外れると、直列固定処理が終了し、第2のスイッチSW2がオフ状態に制御され、これにより、第1の電源および第2の電源が並列接続される。この場合、平滑コンデンサCの電圧Vcは、直列固定処理の終了タイミングから時間遅れをともなって、第1および第2の電源の直列電圧から第1および第2の電源の並列電圧まで低下する(図5(c)参照)。さらに、モータ速度ωが大きくなり、低速シーンから外れるタイミング、すなわち、ステップ10の判断処理で示すようにモータ速度ωが速度判定値ωthよりも大きくなるタイミングにおいて、第1および第2の電源が並列接続から直列接続に切り替えられる。
【0043】
特に、電気自動車では、渋滞区間において、低い速度でトルク指令値が力行状態と回生状態とを頻繁に繰り返すことになる。本実施形態の構成および制御方法によれば、そのような力行状態と回生状態を繰り返す場合であっても、モータ10の状態(具体的には、少なくともトルク指令値Tf*)に応じて直列接続のまま固定することで、直列接続と並列接続との切り替え回数を低減することができる。これにより、平滑コンデンサCの充放電電流による損失の増大を抑制することができる。その結果、電気自動車の1充電あたりの走行距離を延ばすことができ、また、平滑コンデンサCの発熱が抑制され、これにより、コンデンサCの寿命を延ばすことができる。
【0044】
また、本実施形態において、電源制御部44は、モータ速度ω、モータ10のトルクおよびモータ10の電流(各相の交流電流Iu,Iv,Iw)の少なくとも一つに基づいて、回生状態と力行状態との切り替えを判定している。かかる構成によれば、回生状態から力行状態への移行を適切に判断することができるので、その後の直列接続処理を適切に実行することができる。
【0045】
本実施形態において、電源制御部44は、直列固定処理の終了タイミングを、モータ10のトルク指令値Tf*とに応じて判定する。具体的には、電源制御部44は、トルク指令値Tf*が、力行状態および回生状態の切替頻度が高い状態を示すトルク範囲、すなわち、トルク判定値Tfthによって規定される範囲から外れる場合に、終了タイミングを判定する。かかる構成によれば、モータ10の状態を検出する手段を新たに付加することなく、回生状態と力行状態とを頻繁に繰り返す状態を判別することができる。
【0046】
また、本実施形態において、電源制御部44は、モータ速度ωがこのモータ速度ωの低速状態を判定するための速度閾値、すなわち、速度判定値ωth以内であることを条件に、トルク指令値Tf*に基づいて直列固定処理を行う。かかる構成によれば、モータ速度ωの低い状態において直列接続と並列接続との切り替えを頻繁に生じさせることなく、直列接続と並列接続との切替回数を低減することができる。また、力行状態時のモータ速度ωが高い状態では、直列接続を活用することができるので、モータ10への供給電圧を高くすることができ、モータトルク・出力を増加させることができる。
【0047】
また、本実施形態において、電源制御部44は、制御手段は、ローパスフィルタ43を通過したトルク指令値Tf*を対象として直列固定処理の判定を行う。かかる構成によれば、上位システムから入力されるトルク指令値Tfが瞬間的に大きな値となる場合に、直列接続と並列接続との切り替えが生じてしまうといった事態を抑制することができる。これにより、直列接続と並列接続との切り替え回数を低減することができる。
【0048】
なお、本実施形態では、回生状態がある程度継続的に実行された後に力行状態に移行した場合を想定し、その移行後から所定の終了タイミングまで直列固定処理を行うものである。そのため、回生状態と力行状態とが頻繁に繰り返されるシーンにおいて、回生状態から力行状態へと移行した都度に、そのタイミングを始点として直列固定処理を行うのではなく、一旦、直列固定処理が行われた場合には、その終了タイミングが判定されるまでは、回生状態と力行状態との間の移行関係を判定しないものとする(後述する実施形態についても同様)。
【0049】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態にかかるコントロールユニット40aの構成を模式的に示すブロック図である。本実施形態では、第1の実施形態に示すコントロールユニット40に代えて、コントロールユニット40aを有する点において第1の実施形態と相違する。そこで、本実施形態では、第1の実施形態との相違点であるコントロールユニット40aを中心に説明を行う。また、第1の実施形態と共通する構成については、符号を引用することにより重複する説明を省略する。
【0050】
コントロールユニット40aは、トルク制御部41と、電流制御部42と、電源制御部44aとで構成されている。トルク制御部41と、電流制御部42とは第1の実施形態と同様の機能を担っている。電源制御部44aには、第1の実施形態に示すトルク指令値Tf*に代えて、トルク制御部41において演算されるd軸およびq軸電流指令値Id*,Iq*のうちのq軸電流指令値Iq*が入力されている。
【0051】
電源制御部44aは、q軸電流指令値Iq*と、モータ速度ωと、第1の電源電圧Eaと、第2の電源電圧Ebとに基づいて、電源装置30における第1から第3のスイッチSW1〜SW3を駆動するためのスイッチ駆動信号Sdsw1〜Sdsw3を生成する。電源制御部44は、スイッチ駆動信号Sdsw1〜Sdsw3を通じて制御される第1から第3のスイッチSW1〜SW3のオンオフ状態の切り替えに応じて、第1の電源および第2の電源の電気的接続状態を直列接続または並列接続とで切り替える。
【0052】
また、本実施形態の特徴の一つとして、電源制御部44aは、q軸電流指令値Iq*をモニタリングすることにより、q軸電流指令値Iq*の正負の反転を判定している。そして、電源制御部44aは、q軸電流指令値Iq*が負の値から正の値に反転した場合には、q軸電流指令値Iq*が正の値のまま継続している時間(以下「Iq電流時間」という)をカウントする。このカウントされたIq電流時間は、直列固定処理の終了タイミングを判定するためのパラメータとして用いられる。
【0053】
図7は、本発明の第2の実施形態にかかる電源装置30の制御方法を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、電源装置30の第1の電源および第2の電源の電気的接続状態の設定手順を示しており、回生状態から力行状態への移行することにより開始され、所定周期でコントロールユニット40(具体的には、電源制御部44)によって実行される。なお、電源制御部44は、このフローチャートが実行される前提となる回生状態時には、第1の電源および第2の電源を直列接続に設定すべく、第1から第3のスイッチSW1〜SW3のすべてをオフ状態に制御する(図3(c)参照)。
【0054】
ここで、ステップ20(S20)、ステップ21(S21)、ステップ23(S23)、ステップ24(S24)およびステップ25(S25)は、第1の実施形態に示すステップ10、ステップ11、ステップ13、ステップ14およびステップ15の処理にそれぞれ対応しているため、各ステップの処理については説明を省略する。
【0055】
モータ速度ωに基づいて低速シーンが判定された場合(ステップ20における否定判定の場合)、ステップ22(S22)において、電源制御部44aは、Iq電流時間tsが、時間判定値tsthよりも大きいか否かを判定する。q軸電流指令値Iqは、モータ10のトルクに相当するパラメータである。そのため、このq軸電流指令値Iqの正負を判定することにより、モータ10が力行状態であるのか、それとも回生状態であるのかを判定することができる(図8(a)参照)。上述したIq電流時間tsは、q軸電流指令値Iq*が負の値から正の値に反転してから、q軸電流指令値Iq*が正の値のまま継続している時間である。すなわち、モータ10の力行状態と回生状態とが交互に繰り返されるようなシーンでは、Iq電流時間tsは短くなる。そこで、このIq電流時間tsを時間判定値tsthと比較することにより、現在の運転シーンが、力行状態と回生状態とが交互に繰り返されるようなシーンであるか、それとも、力行状態が継続されるようなシーンであるかを判定する。例えば、時間判定値tsthは、力行状態および回生状態の切替頻度を実験やシミュレーションを通じて考慮することにより、モータ10の力行状態と回生状態とが頻繁に繰り返されるようなシーンと認められるIq電流時間tsの範囲うち、その上限となるIq電流時間が設定される。
【0056】
ステップ22において肯定判定された場合、すなわち、Iq電流時間tsが時間判定値tsthよりも大きい場合には(ts>tsth)、ステップ23に進む。一方、ステップ22において否定判定された場合、すなわち、Iq電流時間tsが時間判定値tsth以下の場合には(ts≦tsth)、ステップ21に進む。
【0057】
このように、本実施形態によれば、ステップ20,22における判断処理に示すように、回生状態から力行状態に移行した場合、モータ10の状態(具体的には、q軸電流指令値Iq*)に応じて、第2のスイッチSW2がオン状態のままで固定され(図8(b)参照)、電気的接続状態が直列接続のままで固定とされる直列固定処理が行われる。そして、電源制御部44は、力行状態と回生状態とが交互に繰り返されるようなシーンから外れるタイミング、すなわち、Iq電流時間tsが時間判定値ts*よりも大きくなるタイミング(図8において破線で示すタイミング)まで直列固定処理を継続する。そして、低速シーンが継続している場合であっても、終了タイミングを迎えると、直列固定処理が終了し、第2のスイッチSW2がオフ状態に制御され、これにより、第1の電源および第2の電源が並列接続される。この場合、平滑コンデンサCの電圧Vcは、終了タイミングから時間遅れをともなって、第1および第2の電源の直列電圧から第1および第2の電源の並列電圧まで低下する(図8(c)参照)。さらに、モータ速度ωが大きくなり、低速シーンから外れるタイミング、すなわち、ステップ20の判断処理で示すようにモータ速度ωが速度判定値ωthよりも大きくなるタイミングにおいて、第1および第2の電源が並列接続から直列接続に切り替えられる。
【0058】
かかる構成および制御方法によれば、力行状態と回生状態を繰り返す場合であっても、終了タイミングまで直列接続を維持することで、直列接続と並列接続との切り替え回数を低減することができる。これにより、平滑コンデンサCの充放電電流による損失の増大を抑制することができる。その結果、電気自動車の1充電あたりの走行距離を延ばすことができ、また、平滑コンデンサCの発熱が抑制され、これにより、コンデンサCの寿命を延ばすことができる。
【0059】
また、本実施形態では、直列固定処理の終了タイミングを、q軸電流指令値が正の値のまま基準経過時間を経過した場合に判定する。かかる構成によれば、モータ10のトルクに相当するq軸電流指令値Iq*を用いることで、モータ10のトルク制限や電圧での制約などのトルクリミッタ演算処理が途中の演算に介在する場合であっても、力行状態と回生状態の判別が可能となる。
【0060】
(第3の実施形態)
図9は、本発明の第3の実施形態にかかる電源装置30bおよび当該電源装置30bを用いたモータ10の制御システムを模式的に示す構成図である。本実施形態では、第1の実施形態に示す電源装置30、コントロールユニット40に代えて、電源装置30b、コントロールユニット40bを有する点において第1の実施形態と相違する。そこで、本実施形態では、第1の実施形態との相違点である電源装置30b、コントロールユニット40bを中心に説明を行う。また、第1の実施形態と共通する構成については、符号を引用することにより重複する説明を省略する。
【0061】
電源装置30bは、第1の実施形態の電源装置30と同様に、インバータ20を介してモータ10に接続されており、モータ10に電力を供給するとともに、モータ10において発電された電力を充電する電源装置である。電源装置30bは、それぞれが独立して直流電源として機能する複数の電源(本実施形態では、2つの電源(第1および第2の電源))を有している。本実施形態の特徴の一つとして、電源装置30は、第1および第2の電源間の電気的接続状態を直列接続と並列接続とで切り替えるスイッチ回路を備えており、このスイッチ回路は、単スイッチSW0(スイッチング手段)を主体に構成されるスイッチ回路を備えている。
【0062】
スイッチ回路において、単スイッチSW0は、NPN型のトランジスタ等のスイッチング素子を主体に構成されており、トランジスタは、コレクタ・エミッタ間に、還流用ダイオードが逆並列接続されている。また、スイッチ回路において、単スイッチSW0のコレクタ端子側およびエミッタ端子側には、単スイッチSW0の還流用ダイオードの順方向と対応させたダイオードがそれぞれ直列接続されている。単スイッチSW0のオンオフ状態は、コントロールユニット40bから出力されるスイッチ駆動信号に応じて切り替えられる。
【0063】
ここで、単スイッチSW0とコレクタ端子側のダイオードとの接続点は、第1の電源の正極が接続され、単スイッチSW0とエミッタ端子側のダイオードとの接続点は、第2の電源の負極が接続されている。コレクタ端子側のダイオードの他方の端子と、第2の電源の正極とは相互に接続されており、この接続端は電源装置30の正極側の出力端として機能する。また、エミッタ端子側のダイオードの他方の端子と、第1の電源の負極とは相互に接続されており、この接続端は電源装置30の負極側の出力端として機能する。
【0064】
図10は、本発明の第3の実施形態にかかるコントロールユニット40bの構成を模式的に示すブロック図である。コントロールユニット40bは、トルク制御部41と、電流制御部42と、ローパスフィルタ43と、電源制御部44bとで構成されている。トルク制御部41と、電流制御部42と、ローパスフィルタ43とは第1の実施形態と同様の機能を担っている。電源制御部44bは、トルク指令値Tf*と、モータ速度ωとに基づいて、電源装置30における単スイッチSW0を駆動するためのスイッチ駆動信号Sdsw0を生成する。電源制御部44bは、スイッチ駆動信号Sdsw0を通じて制御される単スイッチSW0のオンオフ状態の切り替えに応じて、第1の電源および第2の電源の電気的接続状態を直列接続または並列接続とで切り替える。また、電源制御部44bは、第1の実施形態と同様に、モータ速度ωなどに基づいて、回生状態と力行状態との切り替わりを判定する。
【0065】
図11は、本実施形態にかかる電源装置30bにおける第1の電源および第2の電源の電気的接続状態の説明図である。モータ10の力行状態時、第1の電源および第2の電源を直列接続して電力を供給する場合、電源制御部44bは、単スイッチSW0をオン状態に制御する(同図(a)参照)。また、モータ10の力行状態時、第1の電源および第2の電源を並列接続して電力を供給する場合、電源制御部44bは、単スイッチSW0をオフ状態に制御する。この場合、第1の電源または第2の電源からモータ10への電流は、単スイッチSW0の両側に接続されたダイオードをそれぞれ流れる。これに対して、モータ10が回生状態の場合、電源制御部44bは、第1の電源および第2の電源を直列接続して電力を充電すべく、単スイッチSW0をオフ状態に制御する。この場合、モータ10からの電力は、単スイッチSW0における還流用ダイオードを流れて、第1および第2の電源に電流が流れる。
【0066】
図12は、本実施形態にかかる電源装置30bの制御方法を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、電源装置30bの第1の電源および第2の電源の電気的接続状態の設定手順を示しており、回生状態から力行状態への移行することにより開始され、所定周期でコントロールユニット40b(具体的には、電源制御部44b)によって実行される。なお、電源制御部44bは、このフローチャートが実行される前提となる回生状態時には、第1の電源および第2の電源を直列接続に設定すべく、単スイッチSW0をオフ状態に制御する(図11(c)参照)。
【0067】
まず、ステップ30(S30)において、電源制御部44bは、モータ速度ωが速度判定値ωthよりも大きいか否かを判断する。速度判定値ωthは、第1の実施形態と同様の機能を有する判定値である。このステップ30において肯定判定された場合、すなわち、モータ速度ωが速度判定値ωthよりも大きい場合には(ω>ωth)、ステップ31(S31)に進む。そして、ステップ31において、電源制御部44bは、第1の電源および第2の電源の電気的接続状態を直列接続に設定すべく、単スイッチSW0をオン状態に制御する。
【0068】
一方、ステップ30において否定判定された場合、すなわち、モータ速度ωが速度判定値ωth以下の場合には(ω≦ωth)、ステップ32(S32)に進む。ステップ32において、電源制御部44bは、トルク指令値Tf*がトルク判定値Tfthよりも大きいか否かを判定する。トルク判定値Tfthは、第1の実施形態と同様の機能を有する判定値である。ステップ32において否定判定された場合、すなわち、トルク指令値Tf*がトルク判定値Tfth以下の場合には(Tf*≦Tfth)、ステップ31に進む。一方、ステップ32において肯定判定された場合、すなわち、トルク指令値Tf*がトルク判定値Tfthよりも大きい場合には(Tf*>Tfth)、ステップ33に進む。ステップ33において、電源制御部44は、第1の電源および第2の電源の電気的接続状態を並列接続に設定すべく、単スイッチSW0をオフ状態に制御する。
【0069】
このように本実施形態によれば、上述したステップ30,32における判断処理に示すように、回生状態から力行状態に移行した場合、力行状態に移行後から所定の終了タイミングまでは、単スイッチSW0がオン状態にままで固定され(図11(b)参照)、電気的接続状態が直列接続のままで固定とされる(直列固定処理)。
【0070】
かかる構成によれば、力行状態と回生状態を繰り返す場合であっても、終了タイミングまで直列接続を維持することで、直列接続と並列接続との切り替え回数を低減することができる。これにより、平滑コンデンサCの充放電電流による損失の増大を抑制することができる。その結果、電気自動車の1充電あたりの走行距離を延ばすことができ、また、平滑コンデンサCの発熱が抑制され、これにより、コンデンサCの寿命を延ばすことができる。
【0071】
また、第1および第2の電源の電気的接続状態を単一のスイッチSW0で切り替えることができるので、電源装置30bを安価に構成することができる。
【0072】
なお、本実施形態では、電源制御部44bが、トルク指令値Tf*に応じて直列固定処理の終了タイミングを判定する手法について述べたが、第2の実施形態に示すように、Iq電流時間tsと時間判定値tsthとの比較によって当該終了タイミングを判定してもよい。
【0073】
以上、本発明の実施形態にかかる電源装置およびその制御方法について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、電源装置を構成する電源の数は3つ以上であってもよい。また、トルク指令値Tf*、q軸電流指令値Iqに拘わらず、回生状態から力行状態へ移行した場合には、予め設定される時間が経過するまで直列固定処理を行ってもよい。
【符号の説明】
【0074】
10…モータ
20…インバータ
30…電源装置
40…コントロールユニット
41…トルク制御部
42…電流制御部
43…ローパスフィルタ
44…電源制御部
50…電流センサ
51…電気角検出部
52…モータ速度検出部
53…第1の電圧センサ
54…第2の電圧センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、それぞれが独立した複数の電源を備える電源装置が知られており、例えば、この電源装置は、インバータ(電力変換装置)を介してモータに電力を供給する。例えば、特許文献1には、電気自動車の低出力運転時にインバータの入力電圧を下げ、スイッチング損失を低減させることにより、システム効率の向上を図る手法が開示されている。具体的には、アクセルペダル踏込量、モータの出力、あるいは、ブレーキペダル踏込量が大の時は、複数の電源を直列接続し、これらの値が小の時は、複数の電源を並列接続する。
【0003】
なお、この類の電源装置では、個々の電源電圧間に差があるときには電源同士を並列接続することができないため、モータの回生時には、複数の電源を直列接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−236608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、渋滞時といったようにアクセルペダル踏込量が小さく、モータ速度が低いシーンでは、力行状態時に複数の電源を並列接続し、回生状態時に複数の電源を直列接続するといった状態が頻繁に繰り返されることとなる。そのため、インバータ(電力変換装置)が備える平滑コンデンサの電圧変化に伴い充放電電流による損失が増大してしまうといった問題がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、モータが力行状態・回生状態を頻繁に繰り返す場合であっても、電力変換装置が備えるコンデンサの充放電電流による損失の増大を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、本発明は、モータが回生状態から力行状態への移行時、モータの状態に応じて、複数電源間の電気的接続状態を直列接続のままで固定とする直列固定処理を行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回生状態から力行状態へ移行後、力行状態と回生状態を繰り返すようなシーンであっても、複数の電源の電気的接続状態として並列接続が選択されず、回生状態における電気的接続状態と同じ直列接続がそのまま維持される。これにより、直列接続と並列接続との切り替え回数を低減することができる。そのため、インバータの平滑コンデンサの充放電電流による損失の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態にかかる電源装置30および当該電源装置30を用いたモータ10の制御システムを模式的に示す構成図
【図2】第1の実施形態にかかるコントロールユニット40の構成を模式的に示すブロック図
【図3】第1の実施形態にかかる電源装置30に関する第1の電源および第2の電源の電気的接続状態の説明図
【図4】第1の実施形態にかかる電源装置30の制御方法を示すフローチャート
【図5】トルク指令値T*,Tf*、第2のスイッチSW2の状態および平滑コンデンサCの電圧Vcの推移をそれぞれ示す説明図
【図6】第2の実施形態にかかるコントロールユニット40aの構成を模式的に示すブロック図
【図7】第2の実施形態にかかる電源装置30の制御方法を示すフローチャート
【図8】q軸電流指令値Iq*、第2のスイッチSW2の状態および平滑コンデンサCの電圧Vcの推移を示す説明図
【図9】第3の実施形態にかかる電源装置30bおよび当該電源装置30bを用いたモータ10の制御システムを模式的に示す構成図
【図10】第3の実施形態にかかるコントロールユニット40bの構成を模式的に示すブロック図
【図11】第3の実施形態にかかる電源装置30bにおける第1の電源および第2の電源の電気的接続状態の説明図
【図12】第3の実施形態にかかる電源装置30bの制御方法を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる電源装置30および当該電源装置30を用いたモータ10の制御システムを模式的に示す構成図である。本実施形態では、電気自動車の駆動用モータとして適用されたモータ10を制御する制御システムについて説明を行う。この電気自動車は、モータ10、インバータ20、電源装置30およびコントロールユニット40を備えている。
【0011】
モータ10は、例えば、中性点を中心に星形結線された複数の相巻線(本実施形態では、U相巻線、V相巻線、W相巻線からなる3つの相巻線)を有する3相交流同期モータである。このモータ10は、インバータ20内で変換された3相の交流電力が各相巻線に供給されることにより生じる磁界と、回転子の永久磁石が作る磁界との相互作用により駆動する。モータ10のロータは、自動変速機の入力軸に連結されている。
【0012】
モータ10は、電源装置30から電力の供給を受けて回転駆動することにより、電動機として動作することができる(以下、この運転状態を「力行状態」と呼ぶ)。一方、このモータ10は、ロータが外力により回転している場合、ステータ巻線の両端に起電力を生じさせることにより、発電機として機能する(以下、この運転状態を「回生状態」と呼ぶ)。モータ10により発電された電力は、電源装置30を充電することができる。本明細書では、電動機および発電機の双方の機能を併せもつ意味でモータという用語を用いる。
【0013】
インバータ20は、モータ10の力行状態時、コントロールユニット40から出力されるインバータ駆動信号に応じてPWM制御されることにより、電源装置30から供給される直流電力を、多相交流電力(本実施形態では、U相交流電力、V相交流電力およびW相交流電力で構成される3相交流電力)に変換し、当該3相の交流電力をモータ10の各相巻線に供給する。また、インバータ20は、モータ10の回生状態時、モータ10によって発電された3相交流電力を直流電力に変換する。この直流電力は、電源装置30または後述する平滑コンデンサCに蓄電される。
【0014】
インバータ20は、モータ10の各相に対応する3つのスイッチ回路を主体に構成されている。具体的には、インバータ20は、電源装置30の正極側の正極母線と、電源装置30の負極側の負極母線との間に、U相用のスイッチ回路と、V相用のスイッチ回路と、W相用のスイッチ回路とを備える。また、正極母線と負極母線との間には、各相用のスイッチ回路よりも電源装置30側に、平滑コンデンサCが接続されている。
【0015】
U相用のスイッチ回路は、互いに直列接続された一対のスイッチ(アーム)を主体に構成されており、V相用のスイッチ回路は、互いに直列接続された一対のスイッチ(アーム)を主体に構成されている。また、W相用のスイッチ回路は、互いに直列接続された一対のスイッチ(アーム)を主体に構成されている。個々のスイッチは、NPN型のトランジスタ等のスイッチング素子を主体に構成されており、個々のトランジスタには、コレクタ・エミッタ間に還流用ダイオードがそれぞれ逆並列接続されている。これらのスイッチのオンオフ状態は、コントロールユニット40から出力されるインバータ駆動信号に応じて切り替えられる。
【0016】
U相用の一対のスイッチの相互接続点、V相用の一対のスイッチの相互接続点、および、W相用の一対のスイッチの相互接続点は、それぞれが各相電流の出力点として機能している。各出力点には、モータ10の対応する相巻線がそれぞれ接続される。インバータ20により生成される3相交流電流をそれぞれU相交流電流Iu、V相交流電流IvおよびW相交流電流Iwとする。例えば、各交流電流Iu,Iv,Iwは、モータ10側へ電流が流れる方向を正とする。
【0017】
電源装置30は、インバータ20を開始してモータ10に接続されており、モータ10に電力を供給するとともに、モータ10において発電された電力を充電する電源装置である。電源装置30は、それぞれが独立して直流電源として機能する複数の電源(本実施形態では、2つの電源(第1および第2の電源))を有している。個々の電源としては、例えば、ニッケル水素電池あるいはリチウムイオン電池といったバッテリを用いることができる。
【0018】
また、電源装置30は、第1および第2の電源間の電気的接続状態を、直列接続と並列接続とで切り替えるスイッチ回路を備えており、このスイッチ回路は、第1から第3のスイッチSW1〜SW3(スイッチング手段)を主体に構成されている。第1から第3のスイッチSW1〜SW3は、第1のスイッチSW1、第2のスイッチSW1および第3のスイッチSW3の順番に従って直列接続されている。個々のスイッチSW1〜SW3は、NPN型のトランジスタ等のスイッチング素子を主体に構成されており、個々のトランジスタは、コレクタ・エミッタ間に還流用ダイオードがそれぞれ逆並列接続されている。これらのスイッチSW1〜SW3のオンオフ状態は、コントロールユニット40から出力されるスイッチ駆動信号に応じて切り替えられる。
【0019】
ここで、スイッチ回路において、第1のスイッチSW1と第2のスイッチSW2との接続点は、第1の電源(電源電圧Ea)の正極が接続され、第2のスイッチSW2と第3のスイッチSW3との接続点は、第2の電源(電源電圧Eb)の負極が接続されている。第1のスイッチSW1のコレクタ端子と、第2の電源の正極とは相互に接続されており、この接続端は電源装置30の正極側の出力端として機能する。この正極側の出力端は、インバータ20の正極母線が接続される。また、第3のスイッチSW3のエミッタ端子と、第1の電源の負極とは相互に接続されており、この接続端は電源装置30の負極側の出力端として機能する。この負極側の出力端は、インバータ20の負極母線が接続される。なお、第1および第2の電源を並列接続から直列接続へ切り替えるときの突入電流を抑制するため、インバータ20と、電源装置30との間にフィルタ用リアクトルLを備えている。
【0020】
コントロールユニット40は、インバータ20を介してモータ10を制御する電動機制御手段であるとともに、電源装置30を制御する電源制御手段でもある。コントロールユニット40としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。コントロールユニット40は、ROMに記憶された制御プログラムに従い、インバータ20および電源装置30を制御するための演算を行う。そして、コントロールユニット40は、この演算によって算出された制御信号をインバータ20または電源装置30に対して出力する。
【0021】
図2は、コントロールユニット40の構成を模式的に示すブロック図である。コントロールユニット40は、インバータ20を構成するスイッチを制御することにより、モータ10の出力トルクを制御する。また、コントロールユニット40は、電源装置30を構成する第1から第3のスイッチSW1〜SW3を制御することにより、電源装置30における第1および第2の電源の電気的接続状態の設定を行う。
【0022】
コントロールユニット40には、各種センサからセンサ信号などの必要な情報が入力されている。電流センサ50は、モータ10の各相の交流電流、すなわち、U相交流電流Iuと、V相交流電流Ivと、W相交流電流Iwとをそれぞれ検出する。電気角検出部51は、モータ10のロータ位置を表す電気的な位相(電気角)θを検出する。また、モータ速度検出部52は、モータ10のロータの回転角速度(モータ速度)ωを検出する。例えば、電気角検出部51およびモータ速度検出部52は、モータ10のロータ位置を検出するエンコーダやレゾルバなどの回転位置センサからの検出結果に基づいて、電気角θおよびモータ速度ωを検出する。また、第1の電圧センサ53は、第1の電源の電圧(以下「第1の電源電圧」という)Eaを検出し、第2の電圧センサ54は、第2の電源の電圧(以下「第2の電源電圧」という)Ebを検出する。また、コントロールユニット40には、上位装置において演算されるトルク指令値T*が入力される。
【0023】
コントロールユニット40は、これを機能的に捉えた場合、トルク制御部41と、電流制御部42と、ローパスフィルタ(LPF)43と、電源制御部44とを有している。これらの機能的な要素のうち、トルク制御部41と電流制御部42とは、主として電動機制御手段としての機能を担い、また、ローパスフィルタ43と電源制御部44とは、主として電源制御手段としての機能を担っている。
【0024】
トルク制御部41は、トルク指令値T*とモータ速度ωとに基づいて、ベクトル制御用の電流指令値であるd軸電流指令値Id*およびq軸電流指令値Iq*を演算する。具体的には、トルク制御部41は、トルク指令値T*とモータ速度ωとに基づいて、トルク指令値T*に一致するトルクをモータ10が出力するためのd軸およびq軸電流指令値Id*,Iq*とをそれぞれ演算する。演算されたd軸およびq軸電流指令値Id*,Iq*は、電流制御部42に出力される。トルク制御部41は、トルク指令値T*およびモータ速度ωの各パラメータと、d軸およびq軸電流指令値Id*,Iq*との対応関係を記述したマップを保持しており、当該マップを参照することにより、d軸およびq軸電流指令値Id*,Iq*を演算する。この対応関係を記述したマップは、実験やシミュレーションを通じて予め取得されている。
【0025】
ここで、dq軸座標系は、モータ10の機械的な回転速度の整数倍の電気的な回転速度で回転するd軸とq軸とから成る直交座標系である。3相同期モータであるモータ10において、dq軸座標系はモータ回転に同期して回転する。dq軸座標系により、モータ10の固定子巻線に供給される電流は、界磁分電流(d軸電流)とトルク分電流(q軸電流)とに分けてベクトル表示される。
【0026】
電流制御部42は、トルク制御部41から出力されるd軸およびq軸電流指令値Id*,Iq*と、電気角θと、各相の交流電流Iu,Iv,Iwとに基づいて、インバータ駆動信号Sdinvを出力する。具体的には、電流制御部42は、電気角θに基づいて、3相交流電流Iu,Iv,Iwを、d軸およびq軸の実電流であるd軸およびq軸電流に座標変換を行う。電流制御部42は、d軸およびq軸電流と、d軸およびq軸電流指令値Id*,Iq*との偏差が小さくなるように、PI制御或いはPID制御等の制御則を用いて、d軸およびq軸電圧指令値を演算する。
【0027】
電流制御部42は、電気角θに基づいて、d軸およびq軸電圧指令値を、各相の電圧指令値に座標変換を行う。そして、電流制御部42は、キャリアの電圧レベルと、各相の電圧指令値との比較に基づいて、インバータ20を駆動するインバータ駆動信号Sdinvを生成する。生成されたインバータ駆動信号Sdinvはインバータ20に対して出力され、このインバータ駆動信号Sdinvに応じて各スイッチング素子のオンオフ状態が制御される。
【0028】
ローパスフィルタ43は、特定の閾値よりも高い周波数信号を減衰させて遮断し、低域周波数のみを信号として通過させる低域通過フィルタである。上位装置から出力されたトルク指令値T*はローパスフィルタ43へ入力され、このローパスフィルタ43においてフィルタ処理されたトルク指令値Tf*が電源制御部44に入力される。このフィルタ処理により、処理後のトルク指令値Tf*では、ノイズ要素となる瞬間的に過大となるトルク指令値Tfの影響が抑制される。
【0029】
電源制御部44は、トルク指令値Tf*と、モータ速度ωと、第1の電源電圧Eaと、第2の電源電圧Ebとに基づいて、電源装置30における第1から第3のスイッチSW1〜SW3を駆動するためのスイッチ駆動信号Sdsw1〜Sdsw3を生成する。電源制御部44は、スイッチ駆動信号Sdsw1〜Sdsw3を通じて制御される第1から第3のスイッチSW1〜SW3のオンオフ状態の切り替えに応じて、第1の電源および第2の電源の電気的接続状態を直列接続または並列接続とで切り替える。また、電源制御部44は、モータ速度ωに基づいて、回生状態と力行状態との切り替わりを判定する。なお、電源制御部44は、モータ速度ω以外にも、モータ10のトルクまたはモータ10における各相の交流電流Iu,Iv,Iwのいずれか一つ、またはこれらの組み合わせに基づいて、回生状態と力行状態との切り替わりを判定してもよい。
【0030】
図3は、電源装置30における第1の電源および第2の電源の電気的接続状態の説明図である。モータ10の力行状態時、第1の電源および第2の電源を直列接続して電力を供給する場合、電源制御部44は、第1および第3のスイッチSW1,SW3をオフ状態に、第2のスイッチSW2をオン状態に制御する(同図(a)参照)。また、モータ10の力行状態時、第1の電源および第2の電源を並列接続して電力を供給する場合、電源制御部44は、第2のスイッチSW2をオフ状態に制御する。ここで、第1および第3のスイッチSW1,SW3は、第1の電源電圧Eaと第2の電源電圧Ebとがほぼ等しい場合、オン状態に制御され、第1の電源電圧Eaと第2の電源電圧Ebとが等しくない場合、高電位側から低電位側へと電流が流れることを抑制するために、オフ状態に制御される(同図(b)参照)。この場合、第1の電源または第2の電源からモータ10への電流は、第1および第3のスイッチSW1,SW3における還流用ダイオードをそれぞれ流れる。一方、モータ10が回生状態の場合、電源制御部44は、第1の電源および第2の電源を直列接続して電力を充電すべく、第1から第3のスイッチSW1〜SW3をオフ状態に制御する(同図(c)参照)。この場合、モータ10からの電力は、第2のスイッチSW2における還流用ダイオードを流れて、第1および第2の電源に電流が流れる。
【0031】
図4は、本発明の第1の実施形態にかかる電源装置30の制御方法を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、電源装置30の第1の電源および第2の電源の電気的接続状態の設定手順を示しており、回生状態から力行状態への移行することにより開始され、所定周期でコントロールユニット40(具体的には、電源制御部44)によって実行される。なお、電源制御部44は、このフローチャートが実行される前提となる回生状態時には、第1の電源および第2の電源を直列接続に設定すべく、第1から第3のスイッチSW1〜SW3のすべてをオフ状態に制御する(図3(c)参照)。
【0032】
まず、ステップ10(S10)において、電源制御部44は、モータ速度ωが速度判定値ωthよりも大きいか否かを判断する。モータ10が力行状態である場合、モータ速度ωが低速シーンでない限り、第1の電源および第2の電源を並列接続よりも直列接続とした方が、モータ10への供給電圧が高くなり、モータトルク・出力増加に対応することができるため好ましい。そこで、このステップ10では、モータ速度ωに基づいて、モータ速度ωが大きいか否か、すなわち、第1の電源および第2の電源を直列接続した方がよいシーンであるか否かが判断される。速度判定値ωthは、力行状態時に直列接続を選択した方がよいか、あるいは、並列接続を選択した方がよいかを切り分けるためのモータ速度ωが、実験やシミュレーションを通じて予め設定されている。
【0033】
このステップ10において肯定判定された場合、すなわち、モータ速度ωが速度判定値ωthよりも大きい場合には(ω>ωth)、ステップ11(S11)に進む。一方、ステップ10において否定判定された場合、すなわち、モータ速度ωが速度判定値ωth以下の場合には(ω≦ωth)、ステップ12(S12)に進む。
【0034】
ステップ11において、電源制御部44は、第1の電源および第2の電源の電気的接続状態を直列接続に設定すべく、第1のスイッチSW1および第3のスイッチSW3をオフ状態に制御し、第2のスイッチSW2をオン状態に制御する。
【0035】
ステップ12において、電源制御部44は、トルク指令値Tf*がトルク判定値Tfthよりも大きいか否かを判定する。このトルク判定値Tf*は、後述する本実施形態の概念説明から明らかとなるように、現在の運転シーンが、力行状態と回生状態とが交互に繰り返されるようなシーンであるか、それとも、力行状態が継続されるようなシーンであるかを切り分けるための値である。例えば、トルク判定値Tfthは、力行状態および回生状態の切替頻度を実験やシミュレーションを通じて考慮することにより、モータ10の力行状態と回生状態とが頻繁に繰り返されるようなシーンと認められるトルク指令値の範囲うち、その上限となるトルク指令値が設定される。このトルク判定値Tfthにより、トルク指令値Tf*がトルク判定値Tfthよりも大きい場合には、力行状態が継続されるようなシーンであると判定される。一方、トルク指令値Tf*がトルク判定値Tfth以下の場合には、力行状態と回生状態とが交互に繰り返されるようなシーンと判定される。
【0036】
ステップ12において肯定判定された場合、すなわち、トルク指令値Tf*がトルク判定値Tfthよりも大きい場合には(Tf*>Tfth)、ステップ13に進む。一方、ステップ12において否定判定された場合、すなわち、トルク指令値Tf*がトルク判定値Tfth以下の場合には(Tf*≦Tfth)、ステップ11に進む。
【0037】
ステップ13(S13)において、電源制御部44は、第1の電源電圧Eaと第2の電源電圧Ebとの差(|Ea−Eb|)が電圧判定値ΔVthよりも小さいか否かを判定する。並列接続時、第1の電源電圧Eaと第2の電源電圧Ebとが異なる場合には、高電位側から低電位側へと電流が流れることにより、短絡が発生する。そこで、ステップ13では、このような事態を抑制するために、電圧判定値ΔVthに基づいて、第1の電源電圧Eaと第2の電源電圧Ebとがほぼ等しい状態であるか否かを判定する。
【0038】
このステップ13において肯定判定された場合、すなわち、第1の電源電圧Eaと第2の電源電圧Ebとがほぼ等しい状態である場合には(|Ea−Eb|<ΔVth)、ステップ14(S14)に進む。一方、ステップ13において否定判定された場合、すなわち、第1の電源電圧Eaと第2の電源電圧Ebとが等しくない状態である場合には(|Ea−Eb|≧ΔVth)、ステップ15(S15)に進む。
【0039】
ステップ14において、電源制御部44は、第1の電源および第2の電源の電気的接続状態を並列接続に設定すべく、第1のスイッチSW1および第3のスイッチSW3をオン状態に制御し、第2のスイッチSW2をオフ状態に制御する(図3(b)参照)。一方、ステップ15において、電源制御部44は、第1の電源および第2の電源の電気的接続状態を並列接続に設定すべく、第1から第3のスイッチSW1〜SW3をオフ状態に制御する(図3(b)参照)。これにより、第1および第2の電源間における循環電流を抑制する。この場合、電圧の高い一方の電源からインバータ20に電力が供給され、それによって、充電量が低下していき第1および第2の電源の電圧差が小さくなる。これにより、ステップ13において肯定判定されることとなり、第1および第2の電源から実質的に並列な状態でインバータ20に電力が供給されることとなる。
【0040】
図5は、トルク指令値T*、フィルタ処理後のトルク指令値Tf*、第2のスイッチSW2の状態および平滑コンデンサCの電圧Vcの推移を示す説明図である。以下、上述した一連の制御処理によって具体化される電源制御部44の制御概念について説明する。例えば、モータ速度ωが低い低速シーンでは、例えば渋滞区間を走行中といったように車両が加減速を頻繁に繰り返すことがあり、図5(a)のトルク指令値T*,Tf*で示されるように、モータ10の力行状態と回生状態とが交互に繰り返される。力行状態時、モータ10の状態(具体的には、モータ速度ω)に応じて電気的接続状態を直列接続および並列接続のうちの一方に設定する場合、低速シーンにおいて回生状態から力行状態へ移行した際には、回生状態の直列接続から力行状態の並設接続へと電気的接続状態が切り替えられることとなる。同様に、低速シーンにおいて力行状態から回生状態へ移行した際に、力行状態の並列接続から回生状態の直列接続へ電気的接続状態が切り替えられることとなる。
【0041】
力行状態と回生状態との繰り返しに対応して、直列接続と並列接続とが繰り返されると、回生状態時にインバータ20の平滑コンデンサCが充電され、力行状態時に平滑コンデンサCから放電が行われる。このように、直列接続と並列接続との接続が切り換わる際には、インバータ20の平滑コンデンサCを直列電圧・並列電圧に変化させるための充放電電流がコンデンサCと電源装置30との間に流れる。そのため、その内部抵抗により損失が発生する。
【0042】
この点、本実施形態によれば、上述したステップ10,12における判断処理に示すように、回生状態から力行状態に移行した場合、モータ10の状態(具体的には、トルク指令値Tf*)に応じて、第2のスイッチSW2がオン状態のままで固定され(図5(b)参照)、電気的接続状態が直列接続のままで固定とされる直列固定処理が行われる。そして、電源制御部44は、力行状態と回生状態とが交互に繰り返されるような両者の切り替えの頻度が高いシーンから外れる終了タイミング、すなわち、トルク指令値Tf*がトルク判定値Tfthよりも大きくなるタイミング(図5において破線で示すタイミング)まで、直列固定処理を継続する。このようなシーンから外れると、直列固定処理が終了し、第2のスイッチSW2がオフ状態に制御され、これにより、第1の電源および第2の電源が並列接続される。この場合、平滑コンデンサCの電圧Vcは、直列固定処理の終了タイミングから時間遅れをともなって、第1および第2の電源の直列電圧から第1および第2の電源の並列電圧まで低下する(図5(c)参照)。さらに、モータ速度ωが大きくなり、低速シーンから外れるタイミング、すなわち、ステップ10の判断処理で示すようにモータ速度ωが速度判定値ωthよりも大きくなるタイミングにおいて、第1および第2の電源が並列接続から直列接続に切り替えられる。
【0043】
特に、電気自動車では、渋滞区間において、低い速度でトルク指令値が力行状態と回生状態とを頻繁に繰り返すことになる。本実施形態の構成および制御方法によれば、そのような力行状態と回生状態を繰り返す場合であっても、モータ10の状態(具体的には、少なくともトルク指令値Tf*)に応じて直列接続のまま固定することで、直列接続と並列接続との切り替え回数を低減することができる。これにより、平滑コンデンサCの充放電電流による損失の増大を抑制することができる。その結果、電気自動車の1充電あたりの走行距離を延ばすことができ、また、平滑コンデンサCの発熱が抑制され、これにより、コンデンサCの寿命を延ばすことができる。
【0044】
また、本実施形態において、電源制御部44は、モータ速度ω、モータ10のトルクおよびモータ10の電流(各相の交流電流Iu,Iv,Iw)の少なくとも一つに基づいて、回生状態と力行状態との切り替えを判定している。かかる構成によれば、回生状態から力行状態への移行を適切に判断することができるので、その後の直列接続処理を適切に実行することができる。
【0045】
本実施形態において、電源制御部44は、直列固定処理の終了タイミングを、モータ10のトルク指令値Tf*とに応じて判定する。具体的には、電源制御部44は、トルク指令値Tf*が、力行状態および回生状態の切替頻度が高い状態を示すトルク範囲、すなわち、トルク判定値Tfthによって規定される範囲から外れる場合に、終了タイミングを判定する。かかる構成によれば、モータ10の状態を検出する手段を新たに付加することなく、回生状態と力行状態とを頻繁に繰り返す状態を判別することができる。
【0046】
また、本実施形態において、電源制御部44は、モータ速度ωがこのモータ速度ωの低速状態を判定するための速度閾値、すなわち、速度判定値ωth以内であることを条件に、トルク指令値Tf*に基づいて直列固定処理を行う。かかる構成によれば、モータ速度ωの低い状態において直列接続と並列接続との切り替えを頻繁に生じさせることなく、直列接続と並列接続との切替回数を低減することができる。また、力行状態時のモータ速度ωが高い状態では、直列接続を活用することができるので、モータ10への供給電圧を高くすることができ、モータトルク・出力を増加させることができる。
【0047】
また、本実施形態において、電源制御部44は、制御手段は、ローパスフィルタ43を通過したトルク指令値Tf*を対象として直列固定処理の判定を行う。かかる構成によれば、上位システムから入力されるトルク指令値Tfが瞬間的に大きな値となる場合に、直列接続と並列接続との切り替えが生じてしまうといった事態を抑制することができる。これにより、直列接続と並列接続との切り替え回数を低減することができる。
【0048】
なお、本実施形態では、回生状態がある程度継続的に実行された後に力行状態に移行した場合を想定し、その移行後から所定の終了タイミングまで直列固定処理を行うものである。そのため、回生状態と力行状態とが頻繁に繰り返されるシーンにおいて、回生状態から力行状態へと移行した都度に、そのタイミングを始点として直列固定処理を行うのではなく、一旦、直列固定処理が行われた場合には、その終了タイミングが判定されるまでは、回生状態と力行状態との間の移行関係を判定しないものとする(後述する実施形態についても同様)。
【0049】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態にかかるコントロールユニット40aの構成を模式的に示すブロック図である。本実施形態では、第1の実施形態に示すコントロールユニット40に代えて、コントロールユニット40aを有する点において第1の実施形態と相違する。そこで、本実施形態では、第1の実施形態との相違点であるコントロールユニット40aを中心に説明を行う。また、第1の実施形態と共通する構成については、符号を引用することにより重複する説明を省略する。
【0050】
コントロールユニット40aは、トルク制御部41と、電流制御部42と、電源制御部44aとで構成されている。トルク制御部41と、電流制御部42とは第1の実施形態と同様の機能を担っている。電源制御部44aには、第1の実施形態に示すトルク指令値Tf*に代えて、トルク制御部41において演算されるd軸およびq軸電流指令値Id*,Iq*のうちのq軸電流指令値Iq*が入力されている。
【0051】
電源制御部44aは、q軸電流指令値Iq*と、モータ速度ωと、第1の電源電圧Eaと、第2の電源電圧Ebとに基づいて、電源装置30における第1から第3のスイッチSW1〜SW3を駆動するためのスイッチ駆動信号Sdsw1〜Sdsw3を生成する。電源制御部44は、スイッチ駆動信号Sdsw1〜Sdsw3を通じて制御される第1から第3のスイッチSW1〜SW3のオンオフ状態の切り替えに応じて、第1の電源および第2の電源の電気的接続状態を直列接続または並列接続とで切り替える。
【0052】
また、本実施形態の特徴の一つとして、電源制御部44aは、q軸電流指令値Iq*をモニタリングすることにより、q軸電流指令値Iq*の正負の反転を判定している。そして、電源制御部44aは、q軸電流指令値Iq*が負の値から正の値に反転した場合には、q軸電流指令値Iq*が正の値のまま継続している時間(以下「Iq電流時間」という)をカウントする。このカウントされたIq電流時間は、直列固定処理の終了タイミングを判定するためのパラメータとして用いられる。
【0053】
図7は、本発明の第2の実施形態にかかる電源装置30の制御方法を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、電源装置30の第1の電源および第2の電源の電気的接続状態の設定手順を示しており、回生状態から力行状態への移行することにより開始され、所定周期でコントロールユニット40(具体的には、電源制御部44)によって実行される。なお、電源制御部44は、このフローチャートが実行される前提となる回生状態時には、第1の電源および第2の電源を直列接続に設定すべく、第1から第3のスイッチSW1〜SW3のすべてをオフ状態に制御する(図3(c)参照)。
【0054】
ここで、ステップ20(S20)、ステップ21(S21)、ステップ23(S23)、ステップ24(S24)およびステップ25(S25)は、第1の実施形態に示すステップ10、ステップ11、ステップ13、ステップ14およびステップ15の処理にそれぞれ対応しているため、各ステップの処理については説明を省略する。
【0055】
モータ速度ωに基づいて低速シーンが判定された場合(ステップ20における否定判定の場合)、ステップ22(S22)において、電源制御部44aは、Iq電流時間tsが、時間判定値tsthよりも大きいか否かを判定する。q軸電流指令値Iqは、モータ10のトルクに相当するパラメータである。そのため、このq軸電流指令値Iqの正負を判定することにより、モータ10が力行状態であるのか、それとも回生状態であるのかを判定することができる(図8(a)参照)。上述したIq電流時間tsは、q軸電流指令値Iq*が負の値から正の値に反転してから、q軸電流指令値Iq*が正の値のまま継続している時間である。すなわち、モータ10の力行状態と回生状態とが交互に繰り返されるようなシーンでは、Iq電流時間tsは短くなる。そこで、このIq電流時間tsを時間判定値tsthと比較することにより、現在の運転シーンが、力行状態と回生状態とが交互に繰り返されるようなシーンであるか、それとも、力行状態が継続されるようなシーンであるかを判定する。例えば、時間判定値tsthは、力行状態および回生状態の切替頻度を実験やシミュレーションを通じて考慮することにより、モータ10の力行状態と回生状態とが頻繁に繰り返されるようなシーンと認められるIq電流時間tsの範囲うち、その上限となるIq電流時間が設定される。
【0056】
ステップ22において肯定判定された場合、すなわち、Iq電流時間tsが時間判定値tsthよりも大きい場合には(ts>tsth)、ステップ23に進む。一方、ステップ22において否定判定された場合、すなわち、Iq電流時間tsが時間判定値tsth以下の場合には(ts≦tsth)、ステップ21に進む。
【0057】
このように、本実施形態によれば、ステップ20,22における判断処理に示すように、回生状態から力行状態に移行した場合、モータ10の状態(具体的には、q軸電流指令値Iq*)に応じて、第2のスイッチSW2がオン状態のままで固定され(図8(b)参照)、電気的接続状態が直列接続のままで固定とされる直列固定処理が行われる。そして、電源制御部44は、力行状態と回生状態とが交互に繰り返されるようなシーンから外れるタイミング、すなわち、Iq電流時間tsが時間判定値ts*よりも大きくなるタイミング(図8において破線で示すタイミング)まで直列固定処理を継続する。そして、低速シーンが継続している場合であっても、終了タイミングを迎えると、直列固定処理が終了し、第2のスイッチSW2がオフ状態に制御され、これにより、第1の電源および第2の電源が並列接続される。この場合、平滑コンデンサCの電圧Vcは、終了タイミングから時間遅れをともなって、第1および第2の電源の直列電圧から第1および第2の電源の並列電圧まで低下する(図8(c)参照)。さらに、モータ速度ωが大きくなり、低速シーンから外れるタイミング、すなわち、ステップ20の判断処理で示すようにモータ速度ωが速度判定値ωthよりも大きくなるタイミングにおいて、第1および第2の電源が並列接続から直列接続に切り替えられる。
【0058】
かかる構成および制御方法によれば、力行状態と回生状態を繰り返す場合であっても、終了タイミングまで直列接続を維持することで、直列接続と並列接続との切り替え回数を低減することができる。これにより、平滑コンデンサCの充放電電流による損失の増大を抑制することができる。その結果、電気自動車の1充電あたりの走行距離を延ばすことができ、また、平滑コンデンサCの発熱が抑制され、これにより、コンデンサCの寿命を延ばすことができる。
【0059】
また、本実施形態では、直列固定処理の終了タイミングを、q軸電流指令値が正の値のまま基準経過時間を経過した場合に判定する。かかる構成によれば、モータ10のトルクに相当するq軸電流指令値Iq*を用いることで、モータ10のトルク制限や電圧での制約などのトルクリミッタ演算処理が途中の演算に介在する場合であっても、力行状態と回生状態の判別が可能となる。
【0060】
(第3の実施形態)
図9は、本発明の第3の実施形態にかかる電源装置30bおよび当該電源装置30bを用いたモータ10の制御システムを模式的に示す構成図である。本実施形態では、第1の実施形態に示す電源装置30、コントロールユニット40に代えて、電源装置30b、コントロールユニット40bを有する点において第1の実施形態と相違する。そこで、本実施形態では、第1の実施形態との相違点である電源装置30b、コントロールユニット40bを中心に説明を行う。また、第1の実施形態と共通する構成については、符号を引用することにより重複する説明を省略する。
【0061】
電源装置30bは、第1の実施形態の電源装置30と同様に、インバータ20を介してモータ10に接続されており、モータ10に電力を供給するとともに、モータ10において発電された電力を充電する電源装置である。電源装置30bは、それぞれが独立して直流電源として機能する複数の電源(本実施形態では、2つの電源(第1および第2の電源))を有している。本実施形態の特徴の一つとして、電源装置30は、第1および第2の電源間の電気的接続状態を直列接続と並列接続とで切り替えるスイッチ回路を備えており、このスイッチ回路は、単スイッチSW0(スイッチング手段)を主体に構成されるスイッチ回路を備えている。
【0062】
スイッチ回路において、単スイッチSW0は、NPN型のトランジスタ等のスイッチング素子を主体に構成されており、トランジスタは、コレクタ・エミッタ間に、還流用ダイオードが逆並列接続されている。また、スイッチ回路において、単スイッチSW0のコレクタ端子側およびエミッタ端子側には、単スイッチSW0の還流用ダイオードの順方向と対応させたダイオードがそれぞれ直列接続されている。単スイッチSW0のオンオフ状態は、コントロールユニット40bから出力されるスイッチ駆動信号に応じて切り替えられる。
【0063】
ここで、単スイッチSW0とコレクタ端子側のダイオードとの接続点は、第1の電源の正極が接続され、単スイッチSW0とエミッタ端子側のダイオードとの接続点は、第2の電源の負極が接続されている。コレクタ端子側のダイオードの他方の端子と、第2の電源の正極とは相互に接続されており、この接続端は電源装置30の正極側の出力端として機能する。また、エミッタ端子側のダイオードの他方の端子と、第1の電源の負極とは相互に接続されており、この接続端は電源装置30の負極側の出力端として機能する。
【0064】
図10は、本発明の第3の実施形態にかかるコントロールユニット40bの構成を模式的に示すブロック図である。コントロールユニット40bは、トルク制御部41と、電流制御部42と、ローパスフィルタ43と、電源制御部44bとで構成されている。トルク制御部41と、電流制御部42と、ローパスフィルタ43とは第1の実施形態と同様の機能を担っている。電源制御部44bは、トルク指令値Tf*と、モータ速度ωとに基づいて、電源装置30における単スイッチSW0を駆動するためのスイッチ駆動信号Sdsw0を生成する。電源制御部44bは、スイッチ駆動信号Sdsw0を通じて制御される単スイッチSW0のオンオフ状態の切り替えに応じて、第1の電源および第2の電源の電気的接続状態を直列接続または並列接続とで切り替える。また、電源制御部44bは、第1の実施形態と同様に、モータ速度ωなどに基づいて、回生状態と力行状態との切り替わりを判定する。
【0065】
図11は、本実施形態にかかる電源装置30bにおける第1の電源および第2の電源の電気的接続状態の説明図である。モータ10の力行状態時、第1の電源および第2の電源を直列接続して電力を供給する場合、電源制御部44bは、単スイッチSW0をオン状態に制御する(同図(a)参照)。また、モータ10の力行状態時、第1の電源および第2の電源を並列接続して電力を供給する場合、電源制御部44bは、単スイッチSW0をオフ状態に制御する。この場合、第1の電源または第2の電源からモータ10への電流は、単スイッチSW0の両側に接続されたダイオードをそれぞれ流れる。これに対して、モータ10が回生状態の場合、電源制御部44bは、第1の電源および第2の電源を直列接続して電力を充電すべく、単スイッチSW0をオフ状態に制御する。この場合、モータ10からの電力は、単スイッチSW0における還流用ダイオードを流れて、第1および第2の電源に電流が流れる。
【0066】
図12は、本実施形態にかかる電源装置30bの制御方法を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、電源装置30bの第1の電源および第2の電源の電気的接続状態の設定手順を示しており、回生状態から力行状態への移行することにより開始され、所定周期でコントロールユニット40b(具体的には、電源制御部44b)によって実行される。なお、電源制御部44bは、このフローチャートが実行される前提となる回生状態時には、第1の電源および第2の電源を直列接続に設定すべく、単スイッチSW0をオフ状態に制御する(図11(c)参照)。
【0067】
まず、ステップ30(S30)において、電源制御部44bは、モータ速度ωが速度判定値ωthよりも大きいか否かを判断する。速度判定値ωthは、第1の実施形態と同様の機能を有する判定値である。このステップ30において肯定判定された場合、すなわち、モータ速度ωが速度判定値ωthよりも大きい場合には(ω>ωth)、ステップ31(S31)に進む。そして、ステップ31において、電源制御部44bは、第1の電源および第2の電源の電気的接続状態を直列接続に設定すべく、単スイッチSW0をオン状態に制御する。
【0068】
一方、ステップ30において否定判定された場合、すなわち、モータ速度ωが速度判定値ωth以下の場合には(ω≦ωth)、ステップ32(S32)に進む。ステップ32において、電源制御部44bは、トルク指令値Tf*がトルク判定値Tfthよりも大きいか否かを判定する。トルク判定値Tfthは、第1の実施形態と同様の機能を有する判定値である。ステップ32において否定判定された場合、すなわち、トルク指令値Tf*がトルク判定値Tfth以下の場合には(Tf*≦Tfth)、ステップ31に進む。一方、ステップ32において肯定判定された場合、すなわち、トルク指令値Tf*がトルク判定値Tfthよりも大きい場合には(Tf*>Tfth)、ステップ33に進む。ステップ33において、電源制御部44は、第1の電源および第2の電源の電気的接続状態を並列接続に設定すべく、単スイッチSW0をオフ状態に制御する。
【0069】
このように本実施形態によれば、上述したステップ30,32における判断処理に示すように、回生状態から力行状態に移行した場合、力行状態に移行後から所定の終了タイミングまでは、単スイッチSW0がオン状態にままで固定され(図11(b)参照)、電気的接続状態が直列接続のままで固定とされる(直列固定処理)。
【0070】
かかる構成によれば、力行状態と回生状態を繰り返す場合であっても、終了タイミングまで直列接続を維持することで、直列接続と並列接続との切り替え回数を低減することができる。これにより、平滑コンデンサCの充放電電流による損失の増大を抑制することができる。その結果、電気自動車の1充電あたりの走行距離を延ばすことができ、また、平滑コンデンサCの発熱が抑制され、これにより、コンデンサCの寿命を延ばすことができる。
【0071】
また、第1および第2の電源の電気的接続状態を単一のスイッチSW0で切り替えることができるので、電源装置30bを安価に構成することができる。
【0072】
なお、本実施形態では、電源制御部44bが、トルク指令値Tf*に応じて直列固定処理の終了タイミングを判定する手法について述べたが、第2の実施形態に示すように、Iq電流時間tsと時間判定値tsthとの比較によって当該終了タイミングを判定してもよい。
【0073】
以上、本発明の実施形態にかかる電源装置およびその制御方法について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、電源装置を構成する電源の数は3つ以上であってもよい。また、トルク指令値Tf*、q軸電流指令値Iqに拘わらず、回生状態から力行状態へ移行した場合には、予め設定される時間が経過するまで直列固定処理を行ってもよい。
【符号の説明】
【0074】
10…モータ
20…インバータ
30…電源装置
40…コントロールユニット
41…トルク制御部
42…電流制御部
43…ローパスフィルタ
44…電源制御部
50…電流センサ
51…電気角検出部
52…モータ速度検出部
53…第1の電圧センサ
54…第2の電圧センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換装置を介してモータに接続される複数の電源と、
前記複数の電源間の電気的接続状態を直列接続と並列接続とで切り替えるスイッチング手段を有するスイッチ回路と、
前記スイッチング手段を制御することにより、前記モータが回生状態である場合、前記電気的接続状態を直列接続に設定し、前記モータが力行状態である場合、前記モータの状態に基づいて前記電気的接続状態を直列接続および並列接続のうちの一方に設定する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記モータが回生状態から力行状態への移行時、前記モータの状態に応じて、前記電気的接続状態を直列接続のままで固定とする直列固定処理を行うことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記モータのトルク指令値に応じて前記直列固定処理を行うことを特徴とする請求項1に記載された電源装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記トルク指令値が、力行状態と回生状態との切り替えの頻度が高い状態に対応するトルク範囲から外れるまで、前記直列固定処理を継続することを特徴とする請求項2に記載された電源装置。
【請求項4】
前記制御手段は、所定のカットオフ周波数を有するローパスフィルタを通過した前記トルク指令値を用いて直列固定処理の判定を行うことを特徴とする請求項2または3に記載された電源装置。
【請求項5】
前記制御手段は、予め設定された所定時間が経過するまで前記直列固定処理を継続することを特徴とする請求項1に記載された電源装置。
【請求項6】
前記制御手段は、トルク指令値に応じて決定されるベクトル制御におけるq軸電流指令値に応じて、前記直列固定処理を行うことを特徴とする請求項1に記載された電源装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記q軸電流指令値が負の値から正の値に反転し、当該q軸電流指令値が正の値のまま所定時間経過するまで前記直列固定処理を継続することを特徴とする請求項6に記載された電源装置。
【請求項8】
前記制御手段は、モータ速度が、当該モータ速度の低速状態を判定するための速度閾値以内であることを前提として、前記直列固定処理を行うことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載された電源装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記モータ速度と、前記モータのトルクと、前記モータにおける電流とのうち少なくとも一つに基づいて、回生状態と力行状態との切り替わりを判定することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載された電源装置。
【請求項10】
前記スイッチ回路は、スイッチング素子と当該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとを有するスイッチと、当該スイッチを中央に配置して当該スイッチの端子にそれぞれ直列接続される2つのダイオードとで構成されており、
前記スイッチと一方のダイオードとの接続点は、第1の電源の正極が接続され、前記スイッチと他方のダイオードとの接続点は、第2の電源の負極が接続されており、
前記一方のダイオードは、他方の端子が第2の電源の正極と接続されて、前記他方のダイオードは、他方の端子が第1の電源の負極と接続されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載された電源装置。
【請求項11】
電力変換装置を介してモータに接続される複数の電源を有し、当該複数の電源間の電気的接続状態を直列接続と並列接続とで切り替え可能な電源装置の制御方法において、
前記モータの回生状態の場合、前記電気的接続状態を直列接続に設定する第1のステップと、
前記モータの力行状態の場合、前記モータの状態に基づいて前記電気的接続状態を直列接続および並列接続のうちの一方に設定する第2のステップとを有し、
前記第2のステップは、回生状態から力行状態に移行した場合、前記モータの状態に応じて、当該移行後から所定の終了タイミングまで前記電気的接続状態を直列接続のままで固定とするステップを含むことを特徴とする電源装置の制御方法。
【請求項1】
電力変換装置を介してモータに接続される複数の電源と、
前記複数の電源間の電気的接続状態を直列接続と並列接続とで切り替えるスイッチング手段を有するスイッチ回路と、
前記スイッチング手段を制御することにより、前記モータが回生状態である場合、前記電気的接続状態を直列接続に設定し、前記モータが力行状態である場合、前記モータの状態に基づいて前記電気的接続状態を直列接続および並列接続のうちの一方に設定する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記モータが回生状態から力行状態への移行時、前記モータの状態に応じて、前記電気的接続状態を直列接続のままで固定とする直列固定処理を行うことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記モータのトルク指令値に応じて前記直列固定処理を行うことを特徴とする請求項1に記載された電源装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記トルク指令値が、力行状態と回生状態との切り替えの頻度が高い状態に対応するトルク範囲から外れるまで、前記直列固定処理を継続することを特徴とする請求項2に記載された電源装置。
【請求項4】
前記制御手段は、所定のカットオフ周波数を有するローパスフィルタを通過した前記トルク指令値を用いて直列固定処理の判定を行うことを特徴とする請求項2または3に記載された電源装置。
【請求項5】
前記制御手段は、予め設定された所定時間が経過するまで前記直列固定処理を継続することを特徴とする請求項1に記載された電源装置。
【請求項6】
前記制御手段は、トルク指令値に応じて決定されるベクトル制御におけるq軸電流指令値に応じて、前記直列固定処理を行うことを特徴とする請求項1に記載された電源装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記q軸電流指令値が負の値から正の値に反転し、当該q軸電流指令値が正の値のまま所定時間経過するまで前記直列固定処理を継続することを特徴とする請求項6に記載された電源装置。
【請求項8】
前記制御手段は、モータ速度が、当該モータ速度の低速状態を判定するための速度閾値以内であることを前提として、前記直列固定処理を行うことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載された電源装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記モータ速度と、前記モータのトルクと、前記モータにおける電流とのうち少なくとも一つに基づいて、回生状態と力行状態との切り替わりを判定することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載された電源装置。
【請求項10】
前記スイッチ回路は、スイッチング素子と当該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとを有するスイッチと、当該スイッチを中央に配置して当該スイッチの端子にそれぞれ直列接続される2つのダイオードとで構成されており、
前記スイッチと一方のダイオードとの接続点は、第1の電源の正極が接続され、前記スイッチと他方のダイオードとの接続点は、第2の電源の負極が接続されており、
前記一方のダイオードは、他方の端子が第2の電源の正極と接続されて、前記他方のダイオードは、他方の端子が第1の電源の負極と接続されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載された電源装置。
【請求項11】
電力変換装置を介してモータに接続される複数の電源を有し、当該複数の電源間の電気的接続状態を直列接続と並列接続とで切り替え可能な電源装置の制御方法において、
前記モータの回生状態の場合、前記電気的接続状態を直列接続に設定する第1のステップと、
前記モータの力行状態の場合、前記モータの状態に基づいて前記電気的接続状態を直列接続および並列接続のうちの一方に設定する第2のステップとを有し、
前記第2のステップは、回生状態から力行状態に移行した場合、前記モータの状態に応じて、当該移行後から所定の終了タイミングまで前記電気的接続状態を直列接続のままで固定とするステップを含むことを特徴とする電源装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−183768(P2010−183768A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25961(P2009−25961)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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