説明

静電防護装置

【課題】静電防護装置接触面の崩壊電圧を下げ、プロセスステップを増やさず、同時にHV−CMOSに利用することにより、最も簡易な方法でIC内部回路を保護する静電防護装置の提供。
【解決手段】静電防護装置は、第一導電型プリント基板が第一導電型井戸を含む。その導電型の第一高濃度拡散区、第一導電型と相反する第二導電型の第二高濃度拡散区、第二導電型の第三高濃度拡散区、及び第一導電型の第四高濃度拡散区は、井戸内に位置する。フィールド酸化層は、第一高濃度拡散区、第二高濃度拡散区と第三、第四高濃度拡散区を隔離し、第一導電層は、第一及び第二高濃度拡散区を連接し、第二導電層は、第三高濃度拡散区と接触して電気連接する。そのうち、第三及び第四高濃度拡散区は相互に分かれ、第三と第四拡散区の距離を変え、静電防護装置の崩壊電圧を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関するもので、特に静電防護装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フィールド型金属酸化物半導体(Field MOS)もしくはN型金属酸化物半導体(NMOS)の寄生バイポーラトランジスタは、よく静電防護に用いられている。図1は公知の静電防護装置10の表示図で、図2は図1の等価回路30であり、図1及び図2に示すとおり、P型のプリント基板12はP型井戸14を具え、P型の高濃度拡散区16及びN型高濃度拡散区18、20は、P型井戸14内に位置する。フィールド酸化層(FOX)22が高濃度拡散区16、18、20を隔離することにより、絶縁層24がプリント基板12に被さる。接触窓11,13、15は絶縁層24内で位置し、各々高濃度拡散区16、18、20に対応し、高濃度拡散区16,1820の一表面を曝すことにより、導電層26が接触窓11、13内において、高濃度拡散区16,18と接触して電気連接し、高濃度拡散区16,18をひとつに連接する。導電層28は接触窓15内で、高濃度拡散区20と接触して電気連接を形成する。P型井戸14、高濃度拡散区18、20、絶縁層24及び導電層28がFiled MOS32を形成し、高濃度拡散区20とP型井戸14の間でダイオード38を形成する。高濃度拡散区18、20及びP型井戸14は横向NPN(L-NPN)バイポーラ接触面トランジスタ(BJT)34を構成し、電気抵抗値36はプリント基板電気抵抗値である。
【0003】
操作時、導電層26、28はそれぞれ接地端及び接続パッド31と連接する。接続パッド31上で静電放電(ESD)が発生すると、接続パッド31の電圧が瞬間的に上昇し、その上昇した電圧がダイオード38を崩壊させ、崩壊した電流経路の電気抵抗値36はプリント基板の電圧を上げてBJT34を導通させ、接続パッド31上のESD電流を逃がす。この時もし接続パッド31の電圧が上昇し続けていたら、Field MOS32を導通して、ESD電流を逃がすのを助ける。図3は、図1が示す装置の操作時の電流-電圧曲線40であり、図4は電流-電圧曲線40がA点のときの電流流動表示図であり、図5は電流-電圧曲線40がB点の時の電流流動表示図である。図2及び図3から図5に示すとおり、ESDが発生した時、高濃度拡散区20とP型井戸14の間の接触面には逆方向偏圧が起こり、電圧の上昇に従って、高濃度拡散区20とP型井戸14の間の接触面が端点19から崩壊し始める。この時、電流-電圧曲線40の電流は速度を増し、大量の電流が高濃度拡散区18を越え、高濃度拡散区16へ進入する。図4に示すとおり、更にプリント基板の電圧がBJT34の導通を高め、電圧が電流-電圧曲線40に沿って下降し、ホールディング(holding)電圧を維持し、大量の電流が高濃度拡散区20から高濃度拡散区18へ進入する。図5に示すとおり、ESD電流を逃がす。
【0004】
図6は、公知を低圧N型金属酸化物半導体(LV−NMOS)静電防護装置42に応用した表示図で、図7は図の等価回路52である。図5、6に示すとおり、P型のプリント基板12はP型井戸14を具え、P型の高濃度拡散区16及びN型高濃度拡散区18と20がP型井戸内14に位置し、フィールド酸化層45によって、高濃度拡散区16と高濃度拡散区18、20を隔離し、ゲート酸化層50とゲートポリシリコン48から構成されるゲート極44が高濃度拡散区18、20上で横に跨ぎ、絶縁層24がプリント基板上12でゲート極44を覆う。接触窓11、13及び15は、絶縁層24内で、各々高濃度拡散区16、18、20に対応して高濃度拡散区16、18、20の表面を曝すことにより、導電層26が接触窓11、13内で高濃度拡散区16、18と接触して電気連接し、高濃度拡散区16、18をひとつに連接する。導電層46は接触層15内で、高濃度拡散区20と接触して電気連接する。ゲート極44と高濃度拡散区18、20はNMOS54を形成し、同様に、高濃度拡散区20とP型井戸14の間はダイオード38が形成される。高濃度拡散区18、20及びP型井戸によってL-NPNBJT34を構成し、電気抵抗値36がプリント基板電気抵抗値となる。操作時、導電層26及び46は、各々接地端及び接続パッド31と連接する。接続パッド31上で、ESDが発生した時、電圧の上昇に従い、ダイオード38を崩壊させ、崩壊した電流経路の電気抵抗値36はプリント基板の電圧を上昇させてBJT34を導通し、接続パッド31上のESD電流を逃がす。
【0005】
図8は、公知をBJTプロセスの静電防護装置56に応用した表示図で、図9は図8の回路図100である。図8及び図9に示すとおり、P型のプリント基板60上でN型の埋蔵拡散層76、86を形成し、N型のエピタキシャル層(epitaxial layer)は、プリント基板60上方において埋蔵拡散層76,86を被せる。P型拡散層70、72、80とN型拡散区74、84はエピタキシャル層(epitaxial layer)62内に位置し、N型拡散層82、58は各々P型拡散層80及びN型拡散区84内に位置し、P型拡散区70,72とN型拡散区74は横向PNP(L−PNP)BJT102を構成し、N型拡散区82、84とP型拡散区80は垂直のNPN(V−NPN)BJT106を構成し、P型方の隔離拡散区64,68,78によってBJT102、106を隔離し、導電層90は隔離拡散区64、78、P型拡散区70、72、80、N型拡散区74、82上に位置する。絶縁層88はエピタキシャル層(epitaxial layer)62上方に位置して導電層90の部分区域を被せ、そのうちN型拡散区74、84はBJT102、106の集流区とする。N型エピタキシャル層(epitaxial layer)62は部品の耐圧を向上させることにより、N型拡散区58の濃度がN型拡散区84より大きく接触区域となる。
【0006】
この例において、BJT106がESDの防護装置となる。図10は図9の等価回路で、図11はBJT106の構造114の表示図である。図10及び図11に示すとおり、導電層116はN型拡散区82上に位置し、N型拡散区82と接触して電気連接したBJT106の射極(E)を形成し、導電層118は、P型拡散区80上に位置してP型拡散区80と接触して電気連接したBJT106の基極(B)を形成する。導電層120は、N型拡散区58上に位置してN型拡散区と接触して電気連接したBJT106の集極(C)として形成する。P型拡散区80とN型エピタキシャル層(epitaxial layer)62間の接触面にはダイオード112が形成される。電気抵抗値110はプリント基板電気抵抗値であり、同様に接続パッド104上でESDが発生した時、電圧の上昇に伴い、ダイオード112が崩壊され、崩壊した電流経路の電気抵抗値110はプリント基板の電圧を上昇させ、BJT106を導き接続パッド104上のESDを逃がす。
【0007】
上述の例が示すとおり、公知の静電防護装置は、PN接触面から崩壊発生した累増電流によって、BJTを触発して導通し、静電防護を行う。また崩壊電圧はPN接触面の濃度によって決まるため、同一プロセスにおいて、静電防護装置とIC内部回路のPN接触面は電圧を崩壊し、大きな差異がなく、静電防護装置が有効にIC内部回路を保護できない。しかし、確かに多くの改善方法によって静電防護装置の崩壊電圧を下げて有効にIC内部回路を保護しているが、PN接触面の濃度を変えているため、往々にしてプロセスステップが増え、プロセスの複雑度が増す。例として特許文献1に、ESD保護装置は軽イオン植え込みのステップを増やすことにより、接触面崩壊電圧を下げる。この他、静電防護装置のホールディングは電源電圧VCCより大きくしてIC内部回路を保護できる。しかし、公知の技術では、高圧において、金属酸化物半導体(HV−CMOS)を相互に補う電源電圧VCC(例として24V)がホールディング(例として13V)より大きく、HV−CMOSとHV-PMOSは崩壊区において作動できず、ESDが発生すると、静電防護装置はHV−CMOSが保護できないだけでなく、反対にHV-CMOSの電源と接地端がショートして回路を破壊してしまう。
【0008】
【特許文献1】米国特許公告5559352号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、プロセスステップを増やすことなく、且つHV−CMOSに応用できる静電防護装置を提供することである。
【0010】
本発明の静電防護装置は、第一導電型井戸を含む第一導電型プリント基板から構成され、第一導電型の第一高濃度拡散区、第一導電型と相反する第二導電型の第二高濃度拡散区、第二導電型の第三高濃度拡散区、及び第一導電型の第四高濃度拡散区が井戸内に位置し、フィールド酸化層が第一高濃度拡散区、第二高濃度拡散区及び第三、第四高濃度拡散区を隔離する。第一導電層は第一及び第二高濃度拡散区を連接し、第二導電層と第三高濃度拡散区が接触して電気連接する。第三、第四拡散区の間距離を変えることにより、静電防護装置の崩壊電圧を調整する。
【0011】
本発明により、静電防護装置は、第一導電井戸を含む第一導電型プリント基板を含む。この第一導電型の第一高濃度拡散区、第一導電型と相反する第二導電型の第二高濃度拡散区、第二導電型の第三高濃度拡散区、及び第一導電型の第四高濃度拡散区は、井戸内に位置し、フィールド酸化層は第一高濃度拡散区と第二、第三及び第四高濃度拡散区を隔離し、ゲート極が第二、第三高濃度拡散区上を横に跨ぎ、第二、第三高濃度拡散区を連接する。第一導電層が第一、第二高濃度拡散区を連接し、第二導電層と第三高濃度拡散区は接触して電気連接する。第三、第四高濃度拡散区の間の距離を変えることによって、静電防護装置の崩壊電圧を調整する。
【0012】
本発明の静電防護装置は、第一導電型のプリント基板を含み、第一導電型と相反する第二導電型のエピタキシャル層(epitaxial layer)がプリント基板上に位置し、第一導電型の拡散区、及び第二導電型の第二拡散区はエピタキシャル層(epitaxial layer)内に位置する。この第二導電型の第三拡散区は、第一各三句内に位置し、第二導電型の第四拡散区は第二拡散区から第一、第二拡散区内のエピタキシャル層(epitaxial layer)内まで伸び、第一、第四拡散区の間の距離を変えることにより、静電防護装置の崩壊電圧を調整する。
【0013】
本発明の静電防護装置は、第一導電型のプリント基板を含み、それは隣合う第一導電型の第一井戸、及び第一導電型と相反する第二導電型の第二井戸を含む。この第一導電型の第一高濃度拡散区は第一井戸内に位置し、第二導電型の第二高濃度拡散区は第二井戸内に位置する。第一及び第二高濃度拡散区の間の距離を変えることによって、静電防護装置の崩壊電圧を調整する。
【0014】
本発明は、第二導電型相反の拡散区の間の距離を調整し、静電防護装置接触面の崩壊電圧を下げ、プロセスステップを増やすことなく、公知の技術的な問題を改善し、同時にHV−CMOSに利用することにより、最も簡易な方法でIC内部回路を保護する目的を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明は、静電防護装置は下述を含み、
第一導電型プリント基板は、第一導電型井戸を含み、
その導電型の第一高濃度拡散区、第一導電型と相反する第二導電型の第二高濃度拡散区、第二導電型の第三高濃度拡散区、及び第一導電型の第四高濃度拡散区は、井戸内に位置し、
フィールド酸化層は、第一高濃度拡散区、第二高濃度拡散区と第三、第四高濃度拡散区を隔離し、
第一導電層は、第一及び第二高濃度拡散区を連接し、
第二導電層は、第三高濃度拡散区と接触して電気連接し、
そのうち、第三及び第四高濃度拡散区は相互に分かれ、第三と第四拡散区の距離を変え、静電防護装置の崩壊電圧を調整することを特徴とする静電防護装置としている。
請求項2の発明は、請求項1記載の静電防護装置において、前記第一及び第二導電層は、金属層を含むことを特徴とする静電防護装置としている。
請求項3の発明は、請求項1記載の静電防護装置において、前記第一導電層は、接地端に連接することを特徴とする静電防護装置としている。
請求項4の発明は、請求項1記載の静電防護装置において、前記第二導電層は、接続パッドに連接することを特徴とする静電防護装置としている。
請求項5の発明は、静電防護装置は、下述を含み、
第一導電型プリント基板は、第一導電型の井戸を含み、
第一導電型の第一高濃度拡散区、第一導電型と相反する第二導電型の第二高濃度拡散区、第二導電型の第三高濃度拡散区、及び第一導電型の第四高濃度拡散区は、井戸内に位置し、
フィールド酸化層は、第一高濃度拡散区と第二、第三及び第四高濃度拡散区を隔離して用い、
ゲート極は、第二及び第三高濃度拡散区上で横に跨ぎ、第二及び第三高濃度拡散区を連接し、
第一導電層は、第一及び第二高濃度拡散区を連接し、
第二導電層は、第三高濃度拡散区と接触して電気連接を形成し、
そのうち、第二、第三及び第四高濃度拡散区は互いに分け、
第三と第四高濃度拡散区の間の距離を変えることによって、静電防護装置の崩壊電圧を調整することを特徴とする静電防護装置としている。
請求項6の発明は、請求項5記載の静電防護装置において、前記第一及び第二導電層は、金属層であることを特徴とする静電防護装置としている。
請求項7の発明は、請求項5記載の静電防護装置において、前記第一導電層は、接地端に連接することを特徴とする静電防護装置としている。
請求項8の発明は、請求項5記載の静電防護装置において、前記第二導電層は、接続パッドに連接することを特徴とする静電防護装置としている。
請求項9の発明は、請求項5記載の静電防護装置において、前記ゲート極は、ゲート酸化層及びその上に位置するゲートポリシリコンを含むことを特徴とする静電防護装置としている。
請求項10の発明は、静電防護装置は下述を含み、
第一導電型プリント基板と、
第一導電型と相反する第二導電型のエピタキシャル層(epitaxial layer)がプリント基板上に位置し、
第一導電型の第一拡散区、及び第二導電型の第二拡散区がエピタキシャル層(epitaxial layer)内に位置し、
第二導電型の第三拡散区は、第一拡散区に位置し、
第二導電型の第四拡散区は、第二拡散区から第一と第二拡散区内のエピタキシャル層(epitaxial layer)内まで延び、
そのうち、第一及び第四拡散区の間の距離を変えることにより、静電防護装置の崩壊電圧を調整することを特徴とする静電防護装置としている。
請求項11の発明は、請求項10記載の静電防護装置において、前記第二拡散区は、集流区であることを特徴とする静電防護装置としている。
請求項12の発明は、請求項10記載の静電防護装置において、前記第四拡散区の濃度は、第二拡散区より大きいことを特徴とする静電防護装置としている。
請求項13の発明は、請求項10記載の静電防護装置において、前記第一拡散区は、基極拡散区であることを特徴とする静電防護装置としている。
請求項14の発明は、請求項10記載の静電防護装置において、前記第三拡散区は、射極拡散区であることを特徴とする静電防護装置としている。
請求項15の発明は、静電防護装置は、下述を含み、
第一導電型のプリント基板は、隣合う第一導電型の第一井戸、及び第一導電型と相反する第二導電型の第二井戸を含み、
第一導電型の第一高濃度拡散区は、第一井戸内に位置し、
第二導電型の第二高濃度拡散区は、第二井戸内に位置し、
そのうち、第一及び第二高濃度拡散区の間の距離を変えることにより、静電防護装置の崩壊電圧を調整することを特徴とする静電防護装置としている。
【発明の効果】
【0016】
静電防護装置は、第一導電型プリント基板が第一導電型井戸を含む。その導電型の第一高濃度拡散区、第一導電型と相反する第二導電型の第二高濃度拡散区、第二導電型の第三高濃度拡散区、及び第一導電型の第四高濃度拡散区は、井戸内に位置する。フィールド酸化層は、第一高濃度拡散区、第二高濃度拡散区と第三、第四高濃度拡散区を隔離し、第一導電層は、第一及び第二高濃度拡散区を連接し、第二導電層は、第三高濃度拡散区と接触して電気連接する。そのうち、第三及び第四高濃度拡散区は相互に分かれ、第三と第四拡散区の距離を変え、静電防護装置の崩壊電圧を調整する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図12は、本発明の静電防護装置122の表示図であり、図13は、図12の等価回路132である。図12、13に示すとおり、プリント基板12(例として導電型P型のプリント基板)は、プリント基板12導電型と同じ井戸14を含む。プリント基板12導電型と同じ高濃度拡散区16、126及びプリント基板12導電型と相反する(例としてN型)高濃度拡散区18、124は、井戸14内に位置する。高濃度拡散区126、124は一定距離Dで離れており、フィールド酸化層(FOX)22によって、高濃度拡散区16、18と高濃度拡散区124、126を隔離し、絶縁層24がプリント基板12上に被さる。接触窓11、13、15は、絶縁層24内に位置し、それぞれ高濃度拡散区16、18、124に各々対応し、高濃度拡散区16、18、124の表面を曝すことによって導電層(例として金属層)26は、接触窓11、13内で、高濃度拡散区16、18と接触して電気連接を形成し、高濃度拡散区16、18をひとつに連接する。導電層(例として金属層)28は接触窓15内で、高濃度拡散区124と接触して電気連接を形成し、井戸14、高濃度拡散区域18、124、絶縁層24及び導電層28は、フィールドMOS(Field MOS)134を形成する。区域130内の接触面はダイオード140を形成し、区域128内の接触面ではダイオード142を形成し、高濃度拡散区18、124、及び井戸14は、L−NPNBJT136を構成し、電気抵抗値138はプリント基板電気抵抗値とする。操作する時、導電層26、28は、各々接地端及び接続パッド31と連接し、接続パッド31上でESDが発生すると、接続パッド31の電圧が瞬間的に上昇し、ダイオード142の崩壊電圧がダイオード140の崩壊電圧より小さい。そのため電圧の上昇に伴ってダイオード142が先に崩壊を始め、崩壊した電流経路の電気抵抗値138はプリント基板138の電圧を上げ、BJT136を導通し、接続パッド31上のESD電流を放電する。
【0018】
図14は本装置122操作時の電流-電圧曲線144で、図15は電流-電圧曲線144がA点時の電流流動表示図であり、図16は電流-電圧曲線144がB点時の電流流動表示図である。図13及び図14から図16に示すとおり、ESDが発生した時、区域128、130は逆方向偏圧となり、区域128の崩壊電圧が区域130の崩壊電圧より小さいため、電圧が上昇するに従い、崩壊が区域128から始まる。この時電流-電圧曲線144の電流は急速に増加し、大量の電流は区域128から高濃度拡散区124、18を越えて高濃度拡散区16へ進入する。図15に示すとおり、プリント基板の電圧が上がり、BJT136が導通し、電圧が電流-電圧曲線144に沿って下降し、ホールディング電圧を維持する。大量の電流は高濃度拡散区124から高濃度拡散区18へ進入し、図16に示すとおり、ESD電流を逃がす。
【0019】
図17は公知の電流-電圧曲線40と、本発明の電流-電圧曲線144の比較図で、本発明の崩壊電圧は、公知の崩壊電圧より小さいことを示している。本実施例において、高濃度拡散区126,16は一回のステップで完成する。このため、プロセスステップを増やす必要がなく、且つダイオード142の崩壊電圧は距離Dによって決定し、距離Dの大きさを調整することによって、ダイオード142の崩壊電圧が、ダイオード140とIC内部回路PN接触面の崩壊電圧より小さくなる。ESDが発生した時、ダイオード142はダイオード140とIC内部回路より早く崩壊し、更に静電防護装置を触発する。このためIC内部回路が有効に保護される。
【0020】
図18は、本発明をLV−NMOS静電気防護装置146に応用した表示図で、図19は図18の等価回路148である。図18及び図19に示すとおり、プリント基板12(例として導電型P型のプリント基板)は、プリント基板12導電型と同じ井戸14を含み、プリント基板12導電型と同じ高濃度拡散区16、126、及びプリント基板12導電型と相反する(例としてN型)高濃度拡散区18、124は井戸14内に位置する。高濃度拡散区126、124は一定距離Dで離れており、フィールド酸化層45によって高濃度拡散区16、高濃度拡散区18、124、126を隔離する。ゲート酸化層50とゲートポリシリコン48から構成されるゲート極44は、高濃度拡散区18、124上を横に跨ぎ、絶縁層24がプリント基板12上でゲート極44に被さる。絶縁層24がプリント基板12上でゲート極44に被さり、接触窓11、13、15は絶縁層24内に位置して各々高濃度拡散区16、18、124に対応する。高濃度拡散区16、18、124の表面を曝すことによって、導電層26は接触窓11、13内において高濃度拡散区16、18と接触して電気連接を形成し、高濃度拡散区16、18はひとつに連接する。導電層46は接触窓15内で高濃度拡散区124と接触し電気連接を形成し、ゲート極44と高濃度拡散区18、124がNMOS150を形成する。高濃度拡散区124と井戸14の間はダイオード140が形成され、高濃度拡散区124と126の間はダイオード142が形成される。高濃度拡散区18と124はL−NPNBJT136を構成し、電気抵抗値138はプリント基板電気抵抗値とする。
【0021】
操作する時、導電層26,46は各々接地端及び接続パッド31と連接し、接続パッド31上でESDが発生した時、ダイオード142の崩壊電圧は、ダイオード140の崩壊電圧より小さくなる。そのため、電圧が上昇するに従い、ダイオード142が先ず崩壊を始め、崩壊した電流経路電気抵抗値138はプリント基板の電圧を上げ、BJT136を通し、接続パッド31上のESD電流を逃がす。同様にその実施例中、距離Dの大きさを変えることにより、静電防護装置146の崩壊電圧を調整してIC内部回路を有効に保護する。
【0022】
図20は、本発明をBJTプロセスの静電防護装置152に応用した表示図で、図21は図20の等価回路156である。図20及び図21に示すとおり、プリント基板60(例として導電型P型のプリント基板)上にプリント基板60導電型と相反する(例としてN型)埋蔵拡散層86を形成し、プリント基板60導電型と相反するエピタキシャル層(epitaxial layer)62はプリント基板60上方に位置して埋蔵拡散層86を覆う。プリント基板導電型と同じ拡散区80、及びプリント基板導電型と相反する拡散区84はエピタキシャル層(epitaxial layer)62内に位置し、プリント基板60導電型と相反する拡散区82は、拡散区80内に位置する。プリント基板60導電型と相反する拡散区154は拡散区84内から拡散区80と84の間のエピタキシャル層(epitaxial layer)62内まで延びる。プリント基板60導電型と同じ隔離拡散区68,78から上述構造を隔離して独立ユニットにし、導電層116と拡散区80が接触して電気連接し、導電層118と拡散区82が接触して電気連接する。導電層120と拡散区154が接触して電気連接する。絶縁層88はエピタキシャル層(epitaxial layer)62上方に位置して導電層116、118及び120の部分区域を覆う。拡散区82、拡散区80及びエピタキシャル層(epitaxial layer)62でV−NPNBJT164が構成され、拡散区80とエピタキシャル層(epitaxial layer)62の間はダイオード158が形成される。拡散区80と154の間はダイオード160が形成され、電気抵抗値162はプリント基板電気抵抗値である。そのうち、拡散区84はBJT164の集流区で、拡散区80は基極拡散区であり、拡散区82は射極拡散区である。エピタキシャル層(epitaxial layer)62は、BJT164の耐圧を高め、拡散区154の濃度は拡散区84より大きい接触区域とする。
【0023】
この実施例中、導電層116はBJT164の基極(B)で、導電層118はBJT164の射極(E)で、導電層120はBJT164の集極(C)である。同様に接続パッド104上でESDが発生した時、ダイオード160の崩壊電圧はダイオード158の崩壊電圧より小さい。このため、電圧の上昇に従い、ダイオード160が先に崩壊し、崩壊した電流経路電気抵抗値160はプリント基板の電圧を上げてBJT164を通し、接続パッド31のESD電流を放電する。同様に、この実施例で、拡散区80と154の間の距離を変えることにより、静電防護装置152の崩壊電圧を調整し、有効にIC内部回路を保護する。
【0024】
図22は、本発明をHV−CMOSの静電防護装置200に応用した表示図で、プリント基板202(例として導電型はP型のプリント基板とする)は隣合うプリント基板202導電型と相反する(例としてN型)井戸204、及びプリント基板202導電型と相反する井戸206を含み、プリント基板202導電型と相反する高濃度拡散区208は井戸204内に位置する。プリント基板202導電型と同じ高濃度拡散区210は井戸206内に位置し、絶縁層212がプリント基板202を覆い、接触窓207及び209は絶縁層212内に位置して各々高濃度拡散区208及び210に対応し、高濃度拡散区208及び210の表面を曝すことによって、導電層(例として金属層)214及び216が各々接触窓207及び209内で高濃度拡散区208及び210と接触して電気連接を形成する。フィールド酸化層205が上述構造をひとつの独立ユニットに隔離することによって、区域218はクランピングダイオード(clamping)を形成し、高濃度拡散区208と井戸206の間の距離、及び高濃度拡散区210と208の間の距離を調整することによって、高濃度拡散区208と210の間の距離を改め、クランピングダイオード(clamping)の崩壊電圧を電源電圧VCCとHV-CMOSの電気電圧の間に介し、ESDが発生した時、クランピングダイオード(clamping)の崩壊電圧はHV-CMOSの崩壊電圧より小さい。
【0025】
このため、クランピングダイオード(clamping)は、HV−CMOSより先に崩壊し、且つクランピングダイオード(clamping)の崩壊電圧は電源電圧VCCより大きくなる。そのため、HV−CMOSの電源と接地端はショートせず、HV-CMOSを保護する目的を達する。異なる実施例では、高濃度拡散区208と井戸206の間の距離を調整するか、もしくは高濃度拡散区210と208の間の距離を調整することにより、更に高濃度拡散区208と210の間の距離を変えることにより、クランピングダイオード(clamping)の崩壊電圧を電源電圧VCCとHV−CMOSの崩壊電圧の間を介する。図23は高濃度拡散区208と井戸206の間の距離と崩壊電圧の関係図で、高濃度拡散区208と井戸206の間の距離が徐々に縮小する時、電流-電圧曲線は、20、222、224、226、228まで徐々に崩壊電圧が下がっていく。図24は高濃度拡散区210と井戸204の間の距離と崩壊電圧の関係図で、高濃度拡散区210と井戸204の間の距離が徐々に縮小する時、電流-電圧曲線は220、230、232、234から236へ徐々に崩壊電圧が下がる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】公知の静電防護装置の表示図である。
【図2】図1の等価回路である。
【図3】図1が示す装置の操作時の電流-電圧曲線である。
【図4】図3の電流-電圧曲線40がA点の時の電流流動表示図である。
【図5】図3の電流-電圧曲線40がB点の時の電流流動表示図である。
【図6】公知をLV-NMOS静電防護装置に応用した表示図である。
【図7】図6の等価回路である。
【図8】公知をBJTプロセスを応用した静電防護装置の表示図である。
【図9】図8の回路図である。
【図10】図9の等価回路である。
【図11】図8の静電防護を使ったBJT構造の表示図である。
【図12】本発明の静電防護装置である。
【図13】図12の等価回路である。
【図14】図12が示す装置の操作時の電流-電圧曲線である。
【図15】図14の電流-電圧曲線144のA点時の電流流動表示図である。
【図16】図14の電流-電圧曲線144のB点時の電流流動表示図である。
【図17】公知の電流-電圧曲線と本発明の電流-電圧曲線の比較図である。
【図18】本発明をLV-NMOS静電防護装置に応用した表示図である。
【図19】図18の等価回路である。
【図20】本発明をBJTプロセスの静電防護装置に応用した表示図である。
【図21】図20の等価回路である。
【図22】本発明をHV-CMOS静電防護装置に応用した表示図である。
【図23】図22の高濃度拡散区208と井戸206の間の距離と電圧崩壊の関係図である。
【図24】図22の高濃度拡散区210と井戸204の間の距離と電気崩壊の関係図である。
【符号の説明】
【0027】
10 静電防護装置
11、13、15、207、209 接触窓
12 プリント基板
14、204、206 井戸
16、18、20、124、126、208、210 高濃度拡散区
19 端点
22 フィールド酸化層
24、88、212 絶縁層
26、28、46、90、116、118、120 導電層
30、52、132、148、156 等価回路
31、104 接続パッド
32 フィールドMOS(Field MOS)
34、102、106、136、164 BJT
36、110、138、162 電気抵抗値
38 ダイオード
40、144、220、222、224、226、228、230、232、234、236 電流−電圧曲線
42 LV−NMOS静電防護装置
44 ゲート極
48 ゲートポリシリコン
50 ゲート酸化層
54 NMOS
56 BJTプロセスの静電防護装置
58、70、72、74、80、82、84、154 拡散区
60 プリント基板
62 エピタキシャル層
64、68、78 隔離拡散層
76、86 埋蔵拡散層
100 回路図
112 ダイオード
114 BJT106の構造
122 静電防護装置
128、130、218 区域
134 フィールドMOS(Filed MOS)
140、142、158、160 ダイオード
146 LV−NMOS静電防護装置
150 NMOS
152 BJTプロセスの静電防護装置
200 HV−CMOS静電気防護装置
202 プリント基板
205 フィールドMOS(Filed MOS)
214、216 金属層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電防護装置は下述を含み、
第一導電型プリント基板は第一導電型井戸を含み、
その導電型の第一高濃度拡散区、第一導電型と相反する第二導電型の第二高濃度拡散区、第二導電型の第三高濃度拡散区、及び第一導電型の第四高濃度拡散区は井戸内に位置し、
フィールド酸化層は第一高濃度拡散区、第二高濃度拡散区と第三、第四高濃度拡散区を隔離し、
第一導電層は第一及び第二高濃度拡散区を連接し、
第二導電層は第三高濃度拡散区と接触して電気連接し、
そのうち、第三及び第四高濃度拡散区は相互に分かれ、第三と第四拡散区の距離を変え、静電防護装置の崩壊電圧を調整することを特徴とする静電防護装置。
【請求項2】
請求項1記載の静電防護装置において、前記第一及び第二導電層は、金属層を含むことを特徴とする静電防護装置。
【請求項3】
請求項1記載の静電防護装置において、前記第一導電層は、接地端に連接することを特徴とする静電防護装置。
【請求項4】
請求項1記載の静電防護装置において、前記第二導電層は、接続パッドに連接することを特徴とする静電防護装置。
【請求項5】
静電防護装置は下述を含み、
第一導電型プリント基板は第一導電型の井戸を含み、
第一導電型の第一高濃度拡散区、第一導電型と相反する第二導電型の第二高濃度拡散区、第二導電型の第三高濃度拡散区、及び第一導電型の第四高濃度拡散区は井戸内に位置し、
フィールド酸化層は第一高濃度拡散区と第二、第三及び第四高濃度拡散区を隔離して用い、
ゲート極は第二及び第三高濃度拡散区上で横に跨ぎ、第二及び第三高濃度拡散区を連接し、
第一導電層は第一及び第二高濃度拡散区を連接し、
第二導電層は第三高濃度拡散区と接触して電気連接を形成し、
そのうち、第二、第三及び第四高濃度拡散区は互いに分け、
第三と第四高濃度拡散区の間の距離を変えることによって、静電防護装置の崩壊電圧を調整することを特徴とする静電防護装置。
【請求項6】
請求項5記載の静電防護装置において、前記第一及び第二導電層は、金属層であることを特徴とする静電防護装置。
【請求項7】
請求項5記載の静電防護装置において、前記第一導電層は接地端に連接することを特徴とする静電防護装置。
【請求項8】
請求項5記載の静電防護装置において、前記第二導電層は接続パッドに連接することを特徴とする静電防護装置。
【請求項9】
請求項5記載の静電防護装置において、前記ゲート極はゲート酸化層及びその上に位置するゲートポリシリコンを含むことを特徴とする静電防護装置。
【請求項10】
静電防護装置は下述を含み、
第一導電型プリント基板と、
第一導電型と相反する第二導電型のエピタキシャル層(epitaxial layer)がプリント基板上に位置し、
第一導電型の第一拡散区、及び第二導電型の第二拡散区がエピタキシャル層(epitaxial layer)内に位置し、
第二導電型の第三拡散区は第一拡散区に位置し、
第二導電型の第四拡散区は第二拡散区から第一と第二拡散区内のエピタキシャル層(epitaxial layer)内まで延び、
そのうち、第一及び第四拡散区の間の距離を変えることにより、静電防護装置の崩壊電圧を調整することを特徴とする静電防護装置。
【請求項11】
請求項10記載の静電防護装置において、前記第二拡散区は集流区であることを特徴とする静電防護装置。
【請求項12】
請求項10記載の静電防護装置において、前記第四拡散区の濃度は第二拡散区より大きいことを特徴とする静電防護装置。
【請求項13】
請求項10記載の静電防護装置において、前記第一拡散区は基極拡散区であることを特徴とする静電防護装置。
【請求項14】
請求項10記載の静電防護装置において、前記第三拡散区は射極拡散区であることを特徴とする静電防護装置。
【請求項15】
静電防護装置は、下述を含み、
第一導電型のプリント基板は隣り合う第一導電型の第一井戸、及び第一導電型と相反する第二導電型の第二井戸を含み、
第一導電型の第一高濃度拡散区は第一井戸内に位置し、
第二導電型の第二高濃度拡散区は第二井戸内に位置し、
そのうち、第一及び第二高濃度拡散区の間の距離を変えることにより、静電防護装置の崩壊電圧を調整することを特徴とする静電防護装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−214526(P2007−214526A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129334(P2006−129334)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(599171899)茂達電子股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】