説明

駆動装置および車両並びに蓄電装置の充電方法

【課題】電動機のいずれかの相に異常が生じたときでも蓄電装置を充電できるようにする。
【解決手段】外部電源側コネクタ92と車両側コネクタ80とが接続されてバッテリ50を充電する際には、ACポート内リレー84をオンとしてモータMG1,MG2の各相について正常であるか否かを判定し、判定後にシステムメインリレー56をオンとし、インバータ41,42のトランジスタT11〜T16,T21〜T26のうちモータMG1,MG2の異常な相に対応するトランジスタはオフ状態を保持してモータMG1,MG2の正常な相に対応するトランジスタのみをオンオフ制御する。これにより、モータMG1,MG2のいずれかの相に異常が生じたときでも、モータMG1,MG2の正常な相に電流を流してバッテリ50を充電することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置および車両並びに蓄電装置の充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の駆動装置としては、モータと、モータを駆動するインバータと、インバータを介してモータと電力をやりとりするバッテリと、を備え、商用電源がモータの中性点に接続されたときに商用電源からの電力を用いてバッテリを充電するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、電流センサにより検出されるモータの相電流の検出値と指令値との偏差の積分値が許容値より大きくなったときに、商用電源における断線や停電,モータの巻線の断線,電流センサの破損等の異常が発生したと判断し、シャットダウン信号をオンとしてインバータのトランジスタの駆動信号の発生を停止している。
【特許文献1】特開2000−270484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の駆動装置では、モータの相電流の検出値と指令値との偏差の積分値が許容値より大きくなったときに、シャットダウン信号をオンとしてインバータのトランジスタの駆動信号の発生を停止しているが、こうした駆動装置では、商用電源がモータの中性点に接続されたときには、電動機のいずれかの相に異常が生じたときでも蓄電装置の充電を可能とするよう望まれることがある。
【0004】
本発明の駆動装置および車両並びに蓄電装置の充電方法は、電動機のいずれかの相に異常が生じたときでも蓄電装置を充電できるようにすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の駆動装置および車両並びに蓄電装置の充電方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の駆動装置は、
多相交流により回転駆動する電動機と、複数のスイッチング素子を有し該複数のスイッチング素子のスイッチングにより前記電動機を駆動するインバータ回路と、該インバータ回路を介して前記電動機と電力をやりとり可能な蓄電手段と、を備える駆動装置であって、
前記駆動装置外の電源である外部電源に前記電動機の中性点が接続された状態で該外部電源からの電力を用いて前記蓄電手段を充電する際、前記電動機の各相について正常であるか否かを判定し、該電動機のいずれかの相が異常であるときには該異常な相を除く正常な相に電流が流れて前記蓄電手段が充電されるよう前記インバータ回路を制御する充電時制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0007】
この本発明の駆動装置では、駆動装置外の電源である外部電源に電動機の中性点が接続された状態で外部電源からの電力を用いて蓄電手段を充電する際には、電動機の各相について正常であるか否かを判定し、電動機のいずれかの相が異常であるときには異常な相を除く正常な相に電流が流れて蓄電手段が充電されるようインバータ回路を制御する。これにより、電動機やインバータ回路のいずれかの相に異常が生じたときでも、蓄電手段の充電を行なうことができる。
【0008】
こうした本発明の駆動装置において、前記充電時制御手段は、前記インバータ回路の複数のスイッチング素子のうち前記電動機の異常な相に対応するスイッチング素子についてはオフ状態を保持する手段であるものとすることもできる。
【0009】
また、本発明の駆動装置において、充電時制御手段は、インバータ回路の複数のスイッチング素子のうち電動機の任意の1相以外の相に対応するスイッチング素子をオフ状態とした状態で電動機の任意の1相に対応するスイッチング素子のスイッチングを行なったときのインバータ回路より蓄電手段側の電圧に基づいて電動機の任意の1相が正常であるか否かを判定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、電動機の各相について正常であるか否かを判定することができる。
【0010】
さらに、本発明の駆動装置において、多相交流により回転駆動する第2の電動機と、前記第1のインバータ回路と電力母線を共通とし、複数のスイッチング素子を有し該複数のスイッチング素子のスイッチングにより前記第2の電動機を駆動する第2のインバータ回路と、を備え、前記蓄電手段は、前記インバータ回路および前記第2のインバータ回路を介して前記電動機および前記第2の電動機と電力をやりとり可能であり、前記充電時制御手段は、前記第2の電動機の各相について正常であるか否かを判定し、該電動機のいずれかの相が異常であるときには該異常な相を除く正常な相に電流が流れて前記電力母線の電圧が調整されるよう前記第2のインバータ回路を制御する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、第2の電動機のいずれかの相に異常が生じたときでも、電力母線の電圧を調整することができる。
【0011】
この第2の電動機のいずれかの相が異常であるときに異常な相を除く正常な相に電流が流れて電力母線の電圧が調整されるよう第2のインバータ回路を制御する態様の本発明の駆動装置において、前記充電時制御手段は、前記第2のインバータ回路の複数のスイッチング素子のうち前記第2の電動機の異常な相に対応するスイッチング素子についてはオフ状態を保持する手段であるものとすることもできる。
【0012】
また、第2の電動機のいずれかの相が異常であるときに異常な相を除く正常な相に電流が流れて電力母線の電圧が調整されるよう第2のインバータ回路を制御する態様の本発明の駆動装置において、前記充電時制御手段は、前記インバータ回路の複数のスイッチング素子のうち前記電動機の正常な相に対応するスイッチング素子については前記外部電源から入力される入力電圧の位相の半周期に相当する時間間隔である半周期相当間隔でオンオフ状態が切り替わるよう前記インバータ回路を制御し、前記第2のインバータ回路の複数のスイッチング素子のうち前記第2の電動機の正常な相に対応するスイッチング素子については前記半周期相当間隔より短い時間間隔でオンオフ状態が切り替わるよう前記第2のインバータ回路を制御する手段であるものとすることもできる。
【0013】
さらに、第2の電動機のいずれかの相が異常であるときに異常な相を除く正常な相に電流が流れて電力母線の電圧が調整されるよう第2のインバータ回路を制御する態様の本発明の駆動装置において、前記充電時制御手段は、前記インバータ回路および前記第2のインバータ回路の複数のスイッチング素子のうち前記第2の電動機の任意の1相以外の相に対応するスイッチング素子をオフ状態とした状態で該第2の電動機の任意の1相に対応するスイッチング素子のスイッチングを行なったときの前記電力母線の電圧に基づいて前記第2の電動機の任意の1相が正常であるか否かを判定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、第2の電動機の各相について正常であるか否かを判定することができる。
【0014】
あるいは、第2の電動機のいずれかの相が異常であるときに異常な相を除く正常な相に電流が流れて電力母線の電圧が調整されるよう第2のインバータ回路を制御する態様の本発明の駆動装置において、前記インバータ回路および前記第2のインバータ回路が接続された高電圧系と前記蓄電手段が接続された低電圧系とに接続され、前記低電圧系の電圧を昇圧して前記高電圧系に供給可能であると共に前記高電圧系の電圧を降圧して前記低電圧系に供給可能な電圧変換手段を備えるものとすることもできる。
【0015】
本発明の車両は、
多相交流により回転駆動する電動機と、複数のスイッチング素子を有し該複数のスイッチング素子のスイッチングにより前記電動機を駆動するインバータ回路と、該インバータ回路を介して前記電動機と電力をやりとり可能な蓄電手段と、を備える車両であって、
駐車中に車外の電源である外部電源に前記電動機の中性点が接続された状態で該外部電源からの電力を用いて前記蓄電手段を充電する際、前記電動機の各相について正常であるか否かを判定し、該電動機のいずれかの相が異常であるときには該異常な相を除く正常な相に電流が流れて前記蓄電手段が充電されるよう前記インバータ回路を制御する充電時制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0016】
この本発明の車両では、駐車中に車外の電源である外部電源に電動機の中性点が接続された状態で外部電源からの電力を用いて蓄電手段を充電する際には、電動機の各相について正常であるか否かを判定し、電動機のいずれかの相が異常であるときには異常な相を除く正常な相に電流が流れて蓄電手段が充電されるようインバータ回路を制御する。これにより、電動機やインバータ回路のいずれかの相に異常が生じたときでも、蓄電手段の充電を行なうことができる。
【0017】
本発明の蓄電装置の充電方法は、
多相交流により回転駆動する電動機と、複数のスイッチング素子を有し該複数のスイッチング素子のスイッチングにより前記電動機を駆動するインバータ回路と、該インバータ回路を介して前記電動機と電力をやりとり可能な蓄電装置と、を備える駆動装置における蓄電装置の充電方法であって、
前記駆動装置外の電源である外部電源に前記電動機の中性点が接続された状態で該外部電源からの電力を用いて前記蓄電手段を充電する際、前記電動機の各相について正常であるか否かを判定し、該電動機のいずれかの相が異常であるときには該異常な相を除く正常な相に電流が流れて前記蓄電手段が充電されるよう前記インバータ回路を制御する、
ことを特徴とする。
【0018】
この本発明の蓄電装置の充電方法では、駆動装置外の電源である外部電源に電動機の中性点が接続された状態で外部電源からの電力を用いて蓄電手段を充電する際には、電動機の各相について正常であるか否かを判定し、電動機のいずれかの相が異常であるときには異常な相を除く正常な相に電流が流れて蓄電手段が充電されるようインバータ回路を制御する。これにより、電動機やインバータ回路のいずれかの相に異常が生じたときでも、蓄電手段の充電を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0020】
図1は、本発明の一実施例としての駆動装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、エンジン22と、このエンジン22を運転制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという。)24と、エンジン22のクランクシャフト26にキャリアが接続されると共に駆動輪39a,39bにデファレンシャルギヤ38を介して連結された駆動軸としてのドライブシャフト32にリングギヤが接続された遊星歯車機構30と、この遊星歯車機構30のサンギヤに接続された発電可能なモータMG1と、ドライブシャフト32に動力を入出力する発電可能なモータMG2と、モータMG1,MG2の駆動回路としてのインバータ41,42と、バッテリ50と、インバータ41,42とバッテリ50との電力のやり取りのために電圧を調整する昇圧回路55と、バッテリ50と昇圧回路55との接続や接続の解除を行なうシステムメインリレー56と、シフトポジションが駐車ポジションのときに駆動輪39a,39bをロックするパーキングロック機構60と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
【0021】
図2は、実施例のハイブリッド自動車20の電気系を中心とする構成図である。モータMG1およびモータMG2は、いずれも外表面に永久磁石が貼り付けられたロータと三相コイルが巻回されたステータとを備える周知の同期発電電動機として構成されている。インバータ41,42は、6つのトランジスタT11〜T16,T21〜26と、トランジスタT11〜T16,T21〜T26に逆方向に並列接続された6つのダイオードD11〜D16,D21〜D26と、により構成されている。実施例では、トランジスタT11〜T16,T21〜26が本発明の「スイッチング素子」に相当する。トランジスタT11〜T16,T21〜T26は、それぞれインバータ41,42が電力ライン54として共用する正極母線54aと負極母線54bとに対してソース側とシンク側になるよう2個ずつペアで配置されており、対となるトランジスタ同士の接続点の各々にモータMG1,MG2の三相コイル(U相,V相,W相)の各々が接続されている。したがって、正極母線54aと負極母線54bとの間に電圧が作用している状態で対をなすトランジスタT11〜T16,T21〜T26のオン時間の割合を制御することにより三相コイルに回転磁界を形成でき、モータMG1,MG2を回転駆動することができる。インバータ41,42は、正極母線54aと負極母線54bとを共用しているから、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータに供給することができる。なお、正極母線54aと負極母線54bとには平滑用のコンデンサ57が接続されている。以下の説明では、トランジスタT11〜T13をまとめて「第1上アーム」、トランジスタT14〜T16をまとめて「第1下アーム」、トランジスタT21〜T23をまとめて「第2上アーム」、トランジスタT24〜T26をまとめて「第2下アーム」と称することがある。
【0022】
また、モータMG1,MG2の中性点N1,N2には、図2に示すように、ACポート82を介して車両側コネクタ80が接続されている。車両側コネクタ80は、車外の電源である交流の外部電源(例えば、家庭用電源(AC100V)など)90に接続される外部電源側コネクタ92を接続可能に形成されている。ACポート82は、モータMG1,MG2の中性点N1,N2に接続された電力ライン88a,88bと車両側コネクタ80との接続や接続の解除を行なうACポート内リレー84や、車両側コネクタ80と外部電源側コネクタ92とが接続されているときに外部電源90から入力される入力電圧Vinを検出する電圧センサ86などを備える。
【0023】
昇圧回路55は、図2に示すように、2つのトランジスタT31,T32とトランジスタT31,T32に逆方向に並列接続された2つのダイオードD31,D32とリアクトルLとにより構成されている。2つのトランジスタT31,T32は、それぞれインバータ41,42の正極母線54aと負極母線54bとに接続されており、その接続点にリアクトルLが接続されている。また、リアクトルLと負極母線54bとにはそれぞれバッテリ50の正極端子と負極端子とが接続されている。したがって、トランジスタT31,T32をオンオフ制御することによりバッテリ50の直流電力をその電圧を昇圧してインバータ41,42に供給したり正極母線54aと負極母線54bとに作用している直流電圧を降圧してバッテリ50を充電したりすることができる。リアクトルLと負極母線54bとには平滑用のコンデンサ58が接続されている。
【0024】
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、昇圧回路55の高電圧側(以下、高電圧系という)の電圧(正極母線54aと負極母線54bとの間の電圧)を検出する電圧センサ57aからの高電圧系の電圧Vhや昇圧回路55の低電圧側(以下、低電圧系という)の電圧(リアクトルLのバッテリ50側と負極母線54bとの間の電圧)を検出する電圧センサ58aからの低電圧系の電圧Vl,車両側コネクタ80に取り付けられて車両側コネクタ80と外部電源側コネクタ92とが接続されているか否かを検出するコネクタセンサ81からの検出信号,電圧センサ86からの入力電圧Vin,モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する図示しない回転位置検出センサからの回転子の回転位置,インバータ41,42に取り付けられた図示しない電流センサからの相電流,バッテリ50の出力端子間に取り付けられた図示しない電圧センサからのバッテリ50の端子間電圧,バッテリ50の出力端子に取り付けられた図示しない電流センサからのバッテリ50の充放電電流Ibなどが入力ポートを介して入力されている他、図示しないが、イグニッションスイッチからのイグニッション信号やシフトレバーの操作位置を検出するシフトポジションセンサからのシフトポジション,アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサからのアクセル開度,ブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサからのブレーキペダルポジション,車速センサからの車速Vなども入力ポートを介して入力されている。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、インバータ41,42のトランジスタT11〜T16,T21〜T26へのスイッチング信号,昇圧回路55のトランジスタT31,T32へのスイッチング制御信号,システムメインリレー56への駆動信号,パーキングロック機構60への駆動信号,ACポート内リレー84への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、エンジンECU24と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。なお、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、電流センサにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいて残容量SOCを演算している。
【0025】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量に対応するアクセル開度と車速とに基づいてドライブシャフト32に出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がドライブシャフト32に出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2との運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが遊星歯車機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてドライブシャフト32に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が遊星歯車機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がドライブシャフト32に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をドライブシャフト32に出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
【0026】
また、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20では、シフトポジションが駐車ポジションのときに、外部電源90に接続される外部電源側コネクタ92と車両側コネクタ80とが接続された状態でACポート内リレー84やシステムメインリレー56をオンとしてインバータ41,42のスイッチング素子をスイッチング制御することにより、外部電源90からの電力を用いてバッテリ50を充電することができる。こうして走行開始前に外部電源90からの電力を用いてバッテリ50を充電しておくことにより、バッテリ50の残容量SOCが比較的高い状態で走行を開始することができる。なお、シフトポジションが駐車ポジションのときには、パーキングロック機構60により駆動輪39a,39bはロックされている。
【0027】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、シフトポジションが駐車ポジションの状態で外部電源90からの電力を用いてバッテリ50を充電する際の動作について説明する。図3は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される充電時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、車両側コネクタ80と外部電源側コネクタ92とが接続されたとき又は車両側コネクタ80と外部電源側コネクタ92とが接続されてから所定時間(例えば、数分程度)が経過したときに実行される。なお、車両側コネクタ80と外部電源側コネクタ92とが接続されたか否かは、コネクタセンサ81からの検出信号に基づいて判定される。また、実施例では、このルーチンを開始する前に、システムメインリレー56がオンのときにはオフとしてバッテリ50を昇圧回路55から切り離しておくものとした。
【0028】
充電時制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、ACポート内リレー84をオンとし(ステップS100)、モータMG1,MG2の各相(U相,V相,W相)について正常であるか否かを判定する(ステップS110)。この判定は、実施例では、インバータ41,42のトランジスタT11〜T16,T21〜T26のうちモータMG1,MG2の三相コイル(U相,V相,W相)の各相に対応するトランジスタを順にオンオフしたときの電圧センサ57aからの高電圧系の電圧Vhに基づいて行なうものとした。具体的には、トランジスタT12,T13,T15,T16,T21〜T26をオフとした状態で入力電圧Vinの位相に応じていわゆる正弦波PWM制御によりトランジスタT11,T14のスイッチングを行なってモータMG1のU相にのみ電流が流れるようにして、このときの高電圧系の電圧Vhが実験などにより予め定められた許容範囲内にあるか否かを調べることによりモータMG1のU相が正常であるか否かを判定し、同様の手法により、モータMG1のV相,W相,モータMG2のU相,V相,W相について正常であるか否かを判定するものとした。なお、モータMG1,MG2の三相コイル(U相,V相,W相)の各相の異常としては、コイルの巻線の異常などがある。
【0029】
続いて、バッテリ50の目標残容量SOC*とバッテリ50を充電する際の高電圧系の目標電圧Vh*とを入力すると共に(ステップS120)、システムメインリレー56をオンとしてバッテリ50を昇圧回路55に接続する(ステップS130)。ここで、目標残容量SOC*は、次回に走行を行なう際にある程度の距離のモータ運転モードでの走行を可能とするために定められるものであり、例えば、80%や85%,90%などの値が設定される。また、高電圧系の目標電圧Vh*は、バッテリ50の端子間電圧の定格値Vbrvより高い範囲で定められ、例えば、バッテリ50の端子間電圧の定格値Vbrvが250Vや280V,300Vのときに450Vや480V,500Vなどの値が設定される。
【0030】
そして、電圧センサ86からの入力電圧Vinを入力し(ステップS140)、モータMG1,MG2のいずれかの相が異常なときには、インバータ41,42のトランジスタT11〜T16,T21〜T26のうちモータMG1,MG2の異常な相に対応するトランジスタについてはオフ状態を保持する(ステップS150)。なお、モータMG1,MG2の全ての相が正常なときには、この処理は行なわない。そして、インバータ41のトランジスタT11〜T16のうちモータMG1の正常な相に対応するトランジスタについては入力電圧Vinの位相に応じてスイッチング制御を行ない(ステップS160)、インバータ42のトランジスタT21〜T26のうちモータMG2の正常な相に対応するトランジスタについては目標電圧Vh*と入力電圧Vinとに基づいて高電圧系の電圧Vhが目標電圧Vh*となるようスイッチング制御を行ない(ステップS170)、昇圧回路55のトランジスタT31,T32については高電圧系の電圧Vhが降圧されてバッテリ50に充電されるようスイッチング制御を行なう(ステップS180)。以下、インバータ41,42の制御について、まず、モータMG1,MG2の全ての相が正常なときについて説明し、その後に、モータMG1,MG2のいずれかの相が異常なときについて説明する。
【0031】
まず、モータMG1,MG2の全ての相が正常なときのインバータ41,42の制御について説明する。図4は、モータMG1の全ての相が正常なときの入力電圧Vinと第1上アーム(トランジスタT11〜T13)と第1下アーム(トランジスタT14〜T16)との時間変化の様子の一例を示す説明図である。インバータ41のトランジスタT11〜T16については、図4に例示するように、入力電圧Vinが正のときには第1上アームをオンとすると共に第1下アームをオフとし、入力電圧Vinが負のときには第1上アームをオフとすると共に第1下アームをオンとする。即ち、入力電圧Vinの位相の半周期に相当する時間間隔である半周期相当間隔(例えば、50Hzの場合10msec)で第1上アーム,第1下アームが交互にオンとなるよう第1上アーム,第1下アームのオンオフ状態を切り替えるのである。なお、この場合、モータMG1の中性点N1の電位Vn1は、入力電圧Vinが正のときには正極母線54aの電位に近づき、入力電圧Vinが負のときには負極母線54bの電位に近づく。また、この場合、モータMG1の各相に流れる電流は略等しくなる。インバータ42のトランジスタT21〜T26については、目標電圧Vh*と入力電圧Vinとに基づいてデューティ比Duを設定すると共に設定したデューティ比Duを用いてPWM信号を生成し、生成したPWM信号をトランジスタT21〜T26に出力して、第2上アーム(トランジスタT21〜T23)をオン且つ第2下アーム(トランジスタT24〜T26)をオフの状態または第2上アームをオフ且つ第2下アームをオンの状態とする。即ち、目標電圧Vh*と入力電圧Vinとに応じたデューティ比Duを用いて半周期相当間隔より短い時間間隔(例えば、50μsecや100μsecなど)で第2上アーム,第2下アームが交互にオンとなるよう第2上アーム,第2下アームのオンオフ状態を切り替えるのである。これにより、モータMG2の三相コイルとインバータ42とを昇圧コンバータとして機能させて高電圧系の電圧Vhを目標電圧Vh*に近づけることができる。なお、この場合、モータMG2の各相に流れる電流は略等しくなる。こうしたインバータ41,42の制御により、高電圧系の電圧Vhを目標電圧Vh*近傍として外部電源90からの電力をバッテリ50に充電することができる。
【0032】
次に、モータMG1,MG2のいずれかの相が異常なときのインバータ41,42の制御について説明する。モータMG1のいずれかの相が異常なときには、インバータ41のトランジスタT11〜T16のうち、モータMG1の異常な相に対応するトランジスタ(例えば、モータMG1のU相が異常なときにはトランジスタT11,T14)についてはオフ状態を保持し、モータMG1の正常な相に対応するトランジスタについてはモータMG1の全ての相が正常なときと同様に半周期相当間隔でオンオフ状態を切り替える。なお、この場合、モータMG1の正常な相の各相に流れる電流は略等しくなる。また、モータMG2のいずれかの相が異常なときには、インバータ42のトランジスタT21〜T26のうち、モータMG2の異常な相に対応するトランジスタについてはオフ状態を保持し、モータMG2の正常な相に対応するトランジスタについてはモータMG2の全ての相が正常なときと同様に目標電圧Vh*と入力電圧Vinとに応じたデューティ比Duを用いて半周期相当間隔より短い時間間隔でオンオフ状態を切り替える。これにより、モータMG2の正常な各相のコイルとこの正常な各相に対応するインバータ42のトランジスタとを昇圧コンバータとして機能させて高電圧系の電圧Vhを目標電圧Vh*に近づけることができる。なお、この場合、モータMG2の正常な相の各相に流れる電流は略等しくなる。こうしたインバータ41,42の制御により、モータMG1,MG2のいずれかの相に異常が生じたときでも、モータMG1,MG2の正常な相に電流が流れてバッテリ50を充電することができる。
【0033】
そして、図示しない残容量演算ルーチンによりバッテリ50の充放電電流Ibの積算値に基づいて演算されたバッテリ50の残容量SOCを入力すると共に(ステップS190)、入力した残容量SOCを目標残容量SOC*と比較し(ステップS200)、残容量SOCが目標残容量SOC*近傍となるまでステップS140〜S200の処理を繰り返し実行して残容量SOCが目標残容量SOC*近傍となったときに、システムメインリレー56とACポート内リレー84とをオフとして(ステップS210)、充電時制御ルーチンを終了する。
【0034】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、外部電源90に接続される外部電源側コネクタ92と車両側コネクタ80とが接続されてバッテリ50を充電する際には、ACポート内リレー84をオンとしてモータMG1,MG2の各相について正常であるか否かを判定し、判定後にシステムメインリレー56をオンとし、インバータ41,42のトランジスタT11〜T16,T21〜T26のうちモータMG1,MG2の異常な相に対応するトランジスタはオフ状態を保持してモータMG1,MG2の正常な相に対応するトランジスタのみをオンオフ制御することにより、モータMG1,MG2のいずれかの相に異常が生じたときでも、モータMG1,MG2の正常な相に電流を流してバッテリ50を充電することができる。
【0035】
実施例のハイブリッド自動車20では、インバータ41のトランジスタT11〜T16のうちモータMG1の正常な相に対応するトランジスタについては半周期相当間隔でオンオフ状態を切り替え、インバータ42のトランジスタT21〜T26のうちモータMG2の正常な相に対応するトランジスタについては目標電圧Vh*と入力電圧Vinとに応じたデューティ比Duを用いて半周期相当間隔より短い時間間隔でオンオフ状態を切り替えるものとしたが、トランジスタT11〜T16のうちモータMG1の正常な相に対応するトランジスタについては目標電圧Vh*と入力電圧Vinとに応じたデューティ比Duを用いて半周期相当間隔より短い時間間隔でオンオフ状態を切り替え、インバータ42のトランジスタT21〜T26のうちモータMG2の正常な相に対応するトランジスタについては半周期相当間隔でオンオフ状態を切り替えるものとしてもよい。
【0036】
実施例のハイブリッド自動車20では、昇圧回路55を備えるものとしたが、こうした昇圧回路を備えない構成としてもよい。
【0037】
実施例や変形例では、本発明をいわゆるパラレル型のハイブリッド自動車に適用するものとして説明したが、エンジンとエンジンからの動力の全てを用いて発電する発電機と走行用の動力を出力する電動機と発電機や電動機と電力のやり取りを行なうバッテリとを搭載するいわゆるシリーズ型のハイブリッド自動車に適用するものとしてもよいし、エンジンを搭載せずにモータからの動力だけで走行する通常の電気自動車に適用するものとしてもよい。
【0038】
また、こうしたハイブリッド自動車に適用するものに限定されるものではなく、自動車以外の車両や船舶,航空機などの移動体に搭載される動力出力装置の形態や建設設備などの移動しない設備に組み込まれた動力出力装置の形態としても構わない。さらに、こうした動力出力装置の制御方法の形態としてもよい。
【0039】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータMG1が「電動機」に相当し、インバータ41が「インバータ回路」に相当し、バッテリ50が「蓄電手段」に相当し、外部電源90に接続される外部電源側コネクタ92と車両側コネクタ80とが接続されてバッテリ50を充電する際には、ACポート内リレー84をオンとしてモータMG1,MG2の各相について正常であるか否かを判定し、判定後にシステムメインリレー56をオンとし、インバータ41,42のトランジスタT11〜T16,T21〜T26のうちモータMG1,MG2の異常な相に対応するトランジスタはオフ状態を保持してモータMG1,MG2の正常な相に対応するトランジスタのみをオンオフ制御する図2の充電時制御ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「充電時制御手段」に相当する。また、モータMG2が「第2の電動機」に相当し、インバータ42が「第2のインバータ回路」に相当する。さらに、昇圧回路55が「電圧変換手段」に相当する。
【0040】
ここで、「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、多相交流により回転駆動するものであれば如何なるものとしても構わない。「インバータ回路」としては、インバータ41に限定されるものではなく、複数のスイッチング素子を有し複数のスイッチング素子のスイッチングにより電動機を駆動するものであれば如何なるものとしても構わない。「蓄電手段」としては、バッテリ50に限定されるものではなく、インバータ回路を介して前記電動機と電力をやりとり可能なものであれば如何なるものとしても構わない。「充電時制御手段」としては、外部電源90に接続される外部電源側コネクタ92と車両側コネクタ80とが接続されてバッテリ50を充電する際には、ACポート内リレー84をオンとしてモータMG1,MG2の各相について正常であるか否かを判定し、判定後にシステムメインリレー56をオンとし、インバータ41,42のトランジスタT11〜T16,T21〜T26のうちモータMG1,MG2の異常な相に対応するトランジスタはオフ状態を保持してモータMG1,MG2の正常な相に対応するトランジスタのみをオンオフ制御するものに限定されるものではなく、
駆動装置外の電源である外部電源に電動機の中性点が接続された状態で外部電源からの電力を用いて蓄電手段を充電する際、電動機の各相について正常であるか否かを判定し、電動機のいずれかの相が異常であるときには異常な相を除く正常な相に電流が流れて蓄電手段が充電されるようインバータ回路を制御するものであれば如何なるものとしても構わない。「第2の電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、多相交流により回転駆動するものであれば如何なるものとしても構わない。「インバータ回路」としては、インバータ42に限定されるものではなく、複数のスイッチング素子を有し複数のスイッチング素子のスイッチングにより電動機を駆動するものであれば如何なるものとしても構わない。「電圧変換手段」としては、昇圧回路55に限定されるものではなく、インバータ回路および第2のインバータ回路が接続された高電圧系と蓄電手段が接続された低電圧系とに接続され、低電圧系の電圧を昇圧して高電圧系に供給可能であると共に高電圧系の電圧を降圧して低電圧系に供給可能なものであれば如何なるものとしても構わない。
【0041】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0042】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、駆動装置や車両の製造産業などに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施例としての駆動装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】実施例のハイブリッド自動車20の電気系を中心とする構成図である。
【図3】ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される充電時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】モータMG1の全ての相が正常なときの外部電源90の電圧Vpsと第1上アームと第1下アームとの時間変化の様子の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0045】
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジンECU、26 クランクシャフト、30 遊星歯車機構、32 ドライブシャフト、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、41,42 インバータ、50 バッテリ、54 電力ライン、54a 正極母線、54b 負極母線、55 昇圧回路、56 システムメインリレー、57,58 コンデンサ、57a,57b 電圧センサ、60 パーキングロック機構、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 車両側コネクタ、81 コネクタセンサ、82 ACポート、84 ACポート内リレー、86 電圧センサ、88a,88b 電力ライン、90 外部電源、92 外部電源側コネクタ、D11〜D16,D21〜D26,D31,D32 ダイオード、MG1,MG2 モータ、T11〜T16,T21〜T26,T31,T32 トランジスタ、N1,N2 中性点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多相交流により回転駆動する電動機と、複数のスイッチング素子を有し該複数のスイッチング素子のスイッチングにより前記電動機を駆動するインバータ回路と、該インバータ回路を介して前記電動機と電力をやりとり可能な蓄電手段と、を備える駆動装置であって、
前記駆動装置外の電源である外部電源に前記電動機の中性点が接続された状態で該外部電源からの電力を用いて前記蓄電手段を充電する際、前記電動機の各相について正常であるか否かを判定し、該電動機のいずれかの相が異常であるときには該異常な相を除く正常な相に電流が流れて前記蓄電手段が充電されるよう前記インバータ回路を制御する充電時制御手段と、
を備える駆動装置。
【請求項2】
前記充電時制御手段は、前記インバータ回路の複数のスイッチング素子のうち前記電動機の異常な相に対応するスイッチング素子についてはオフ状態を保持する手段である請求項1記載の駆動装置。
【請求項3】
前記充電時制御手段は、前記インバータ回路の複数のスイッチング素子のうち前記電動機の任意の1相以外の相に対応するスイッチング素子をオフ状態とした状態で該電動機の任意の1相に対応するスイッチング素子のスイッチングを行なったときの前記インバータ回路より前記蓄電手段側の電圧に基づいて前記電動機の任意の1相が正常であるか否かを判定する手段である請求項1または2記載の駆動装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つの請求項に記載の駆動装置あって、
多相交流により回転駆動する第2の電動機と、
前記第1のインバータ回路と電力母線を共通とし、複数のスイッチング素子を有し該複数のスイッチング素子のスイッチングにより前記第2の電動機を駆動する第2のインバータ回路と、
を備え、
前記蓄電手段は、前記インバータ回路および前記第2のインバータ回路を介して前記電動機および前記第2の電動機と電力をやりとり可能であり、
前記充電時制御手段は、前記第2の電動機の各相について正常であるか否かを判定し、該電動機のいずれかの相が異常であるときには該異常な相を除く正常な相に電流が流れて前記電力母線の電圧が調整されるよう前記第2のインバータ回路を制御する手段である、
駆動装置。
【請求項5】
前記充電時制御手段は、前記第2のインバータ回路の複数のスイッチング素子のうち前記第2の電動機の異常な相に対応するスイッチング素子についてはオフ状態を保持する手段である請求項4記載の駆動装置。
【請求項6】
前記充電時制御手段は、前記インバータ回路の複数のスイッチング素子のうち前記電動機の正常な相に対応するスイッチング素子については前記外部電源から入力される入力電圧の位相の半周期に相当する時間間隔である半周期相当間隔でオンオフ状態が切り替わるよう前記インバータ回路を制御し、前記第2のインバータ回路の複数のスイッチング素子のうち前記第2の電動機の正常な相に対応するスイッチング素子については前記半周期相当間隔より短い時間間隔でオンオフ状態が切り替わるよう前記第2のインバータ回路を制御する手段である請求項4または5記載の駆動装置。
【請求項7】
前記充電時制御手段は、前記インバータ回路および前記第2のインバータ回路の複数のスイッチング素子のうち前記第2の電動機の任意の1相以外の相に対応するスイッチング素子をオフ状態とした状態で該第2の電動機の任意の1相に対応するスイッチング素子のスイッチングを行なったときの前記電力母線の電圧に基づいて前記第2の電動機の任意の1相が正常であるか否かを判定する手段である請求項4ないし6のいずれか1つの請求項に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記インバータ回路および前記第2のインバータ回路が接続された高電圧系と前記蓄電手段が接続された低電圧系とに接続され、前記低電圧系の電圧を昇圧して前記高電圧系に供給可能であると共に前記高電圧系の電圧を降圧して前記低電圧系に供給可能な電圧変換手段を備える請求項4ないし7のいずれか1つの請求項に記載の駆動装置。
【請求項9】
多相交流により回転駆動する電動機と、複数のスイッチング素子を有し該複数のスイッチング素子のスイッチングにより前記電動機を駆動するインバータ回路と、該インバータ回路を介して前記電動機と電力をやりとり可能な蓄電手段と、を備える車両であって、
駐車中に車外の電源である外部電源に前記電動機の中性点が接続された状態で該外部電源からの電力を用いて前記蓄電手段を充電する際、前記電動機の各相について正常であるか否かを判定し、該電動機のいずれかの相が異常であるときには該異常な相を除く正常な相に電流が流れて前記蓄電手段が充電されるよう前記インバータ回路を制御する充電時制御手段と、
を備える車両。
【請求項10】
多相交流により回転駆動する電動機と、複数のスイッチング素子を有し該複数のスイッチング素子のスイッチングにより前記電動機を駆動するインバータ回路と、該インバータ回路を介して前記電動機と電力をやりとり可能な蓄電装置と、を備える駆動装置における蓄電装置の充電方法であって、
前記駆動装置外の電源である外部電源に前記電動機の中性点が接続された状態で該外部電源からの電力を用いて前記蓄電手段を充電する際、前記電動機の各相について正常であるか否かを判定し、該電動機のいずれかの相が異常であるときには該異常な相を除く正常な相に電流が流れて前記蓄電手段が充電されるよう前記インバータ回路を制御する、
ことを特徴とする蓄電装置の充電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−16954(P2010−16954A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173676(P2008−173676)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】