説明

高周波電力供給装置、プラズマ処理装置、及び半導体薄膜の製造方法

【課題】電力利用効率を向上できる高周波電力供給装置、プラズマ処理装置、及び半導体薄膜の製造方法を得ること。
【解決手段】高周波電力供給装置は、変動負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給装置であって、高周波電源と、前記高周波電源と前記変動負荷との間に配され、前記変動負荷からの反射電力を分離するサーキュレータと、前記サーキュレータにより分離された反射電力の位相及び振幅を調整する調整部と、前記高周波電源から出力された電力と前記調整部により調整された反射電力とを合成して前記サーキュレータへ出力する電力合成部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波電力供給装置、プラズマ処理装置、及び半導体薄膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置は、アモルファスシリコン薄膜や微結晶シリコン薄膜等の薄膜を基板上に成膜するための装置として広く用いられている。今日では、薄膜シリコン太陽電池の発電層やフラットディスプレイパネルに用いられる薄膜トランジスタのような大面積の薄膜を高速で一時に成膜することができるプラズマ処理装置も開発されている。大面積のシリコン薄膜を成膜するには、平行平板型プラズマ処理装置を使用するのが一般的である。以下、平行平板型プラズマ処理装置について中心的に説明を行う。
【0003】
平行平板型プラズマ処理装置は、真空チャンバ内において数mmから数十mmの距離を隔てて対向している第1の電極と第2の電極とを有する。通常、これらの電極は水平面内に設置され、第1の電極に高周波電力を供給し、第2の電極は接地されている。シリコン薄膜を成膜する場合、シラン(SiH)や水素(H)等の成膜ガスを、第1の電極に形成された多数のアパーチャを通して放電領域となる電極間のギャップに供給する。放電領域に供給されたガスは高周波電力によってプラズマ化する。成膜ガスはプラズマ中で分解され、ラジカルやイオンとなって被成膜基板へと入射し、基板上にシリコン膜を形成する。一般に、接地されている側となる第2の電極がステージとして用いられ、ステージ上に被成膜基板が載置される。
【0004】
近年、成膜品質や成膜速度向上といったニーズに応えるため、従来一般的であった13.56MHzよりも周波数の高いVHF(Very High Frequency)帯の高周波電力を用いて生成したVHFプラズマを成膜に用いることが盛んに研究されている。VHFプラズマは高密度、低電子温度であるため、上記のニーズに対する解として、期待が持たれている。
【0005】
しかしながら、高周波電力の周波数の増加により、電極面内で高周波電力が干渉を起こし、定在波を形成することで電界強度分布が不均一になり、その結果、プラズマ密度が不均一となり、最終的に成膜速度や膜質そのものが不均一になってしまう傾向にある。一般に電極サイズは使用する高周波電力の波長λの1/10以下であることが望ましいとされおり、例えば13.56MHzの場合、電極サイズは2m強まで、VHF帯、例えば60MHzでは50cm程度が限界となる。
【0006】
ここで成膜特性、例えば膜厚分布のばらつきは、太陽電池分野では再現性を確保して、±10%程度を達成することが実用化の一つの指標となっている。従来のVHFプラズマ技術では、例えばアモルファスシリコン膜の成膜速度の場合、基板面積50cm×50cm程度で±10〜15%程度と、小面積基板でかろうじて満たしている状況であり、100cm×100cm程度に至っては±20〜40%程度と、上記指標に達していない。
【0007】
定在波の形成は波の干渉という基本的な物理現象に起因しているため根本的な解決が非常に困難である。したがって次善の策として、従来技術の多くは定在波の形成そのものは許容し、その分布を時間的に制御することにより時間平均として均一なプラズマの生成、ひいては成膜を行うという指針をとっている。
【0008】
特許文献1には、プラズマCVD装置において、方形電極の互いに対向した2つの辺から供給される電力の電圧の位相差を時間的に変化させ、2台のパルス変調可能な2出力の高周波電源から時間的に分離されたパルス電力を供給することが記載されている。これにより、特許文献1によれば、腹の位置が該第1及び第2の給電点の位置に合致した第1の定在波と、節の位置が該第1及び第2の給電点の位置に合致した第2の定在波とを時間的に交互に発生させ、時間平均的にプラズマを均一化できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4022670号公報
【特許文献2】特開2010−182683号公報
【特許文献3】特開2000−138501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、低電子温度で高密度なプラズマが生成可能なVHF帯の高周波電力を用いて成膜を行うことは、膜質向上と高速成膜をともに解決できる技術として近年実用化研究が盛んに行われている。しかしながら定在波の形成による成膜均一性の悪化のため、従来技術の多くは定在波の分布を時間的に制御することにより時間平均として均一なプラズマの生成、ひいては成膜を行うという指針をとっている。
【0011】
したがって、電極面内にはプロセスの時間進展にともなって分布の異なるプラズマ、つまり分布の異なる負荷が形成されるため、従来の整合方式では反射電力が高くなることが多い。一般にプラズマに代表される変動負荷の整合にはL型、逆L型、Π型などの受動素子ネットワークが用いられることが多い。このネットワーク内において整合条件を制御するための可変素子、例えば可変キャパシタなどは、プラズマ生成に必要な電力を許容するために機械式の物が多く用いられており、応答速度が概ね数十msec〜数secと遅い。このような応答速度を許容できるような変調速度であれば常に整合を取ることができるために反射電力を低く抑えることが可能である。
【0012】
しかしながら、通常成膜プロセスからの要請により変調速度は数kHz〜数百kHzに設定される。この場合、変調速度が可変素子の応答速度を大幅に上回るため、可変素子の値、つまり負荷の整合条件は時間平均で反射電力が小さくなるような所で落ち着くと予想される。
【0013】
そこで、本発明者が実際に特許文献1に示されているような定在波の腹と節とが逆転する分布を1kHzで切り替えるように高周波電力を変調してプラズマを生成する実験を行ったところ、時間平均の反射電力は供給電力の約30%と、非常に大きな値で落ち着く結果となった。
【0014】
このように反射電力が大きくなると、負荷への電力供給効率が下がるだけでなく、電源の保護という面でも問題が発生する。そこで、サーキュレータと抵抗負荷とを組み合わせたアイソレータを用いて電源を反射電力から保護するシステムが必要となる。
【0015】
特許文献2には、VHFプラズマ処理システムにおいて、サーキュレータの第1のポートが電力増幅器に接続され、サーキュレータの第2のポートがプラズマ負荷側に接続され、サーキュレータの第3のポートが終端抵抗器を介して接地電位に接続されている。これにより、特許文献2によれば、プラズマインピーダンスが引き起こす反射電力を分離して終端抵抗器に加わるようにするので、システムの安定性を向上できるとされている。
【0016】
しかしながら、このようにサーキュレータと抵抗負荷とを用いると、抵抗負荷において反射電力を熱として捨てていることになるため、システムトータルで見た電力利用効率が著しく低下する。例えば前述の実験のように約30%の反射電力が発生していると、微結晶シリコンの成膜プロセスなどのように数十kWクラスの電力を用いる場合では数kW〜10kWの電力が無駄になる。
【0017】
特許文献3には、1つの電源と複数のプラズマ溶接機との間に複数のサーキュレータが接続されたマイクロ波給電システムが記載されている。このマイクロ波給電システムでは、1つのプラズマ溶接機からの反射電力が1つのサーキュレータで分離された後に別のサーキュレータを介して別のプラズマ溶接機に給電されると考えられる。
【0018】
特許文献3に記載のマイクロ波給電システムでは、反射電力を別の負荷に給電するので、1つのプラズマ溶接機からの反射電力がその1つのプラズマ溶接機自身で再利用されることがないため、個々のプラズマ溶接機で見た場合の電力利用効率(=負荷で消費する電力/電源からの供給電力)が低い。また、特許文献3に記載のマイクロ波給電システムでは、最終段のサーキュレータが無反射終端器に反射電力を捨ててしまうので、システム全体として見た場合の電力利用効率も低い。
【0019】
一方、反射電力を元の負荷に再度供給しようとした場合、以下のような問題がある。通常、反射電力は電源出力と異なる振幅と位相差とを持ち、さらに前述のように高速に変調をかけた場合はそれらの位相差、振幅も高速に変化することになる。従来技術では任意の位相差、振幅比率の電力を合成しようとした場合、それを無損失で行うことがまず困難であり、さらに、合成後の電力の位相が不確定になる。したがって複数給電や位相変調給電のように成膜特性やその均一性が供給電力の振幅や位相差に敏感な給電手法への適用は困難である。すなわち、電力利用効率を向上することが困難である。
【0020】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電力利用効率を向上できる高周波電力供給装置、プラズマ処理装置、及び半導体薄膜の製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の1つの側面にかかる高周波電力供給装置は、変動負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給装置であって、高周波電源と、前記高周波電源と前記変動負荷との間に配され、前記変動負荷からの反射電力を分離するサーキュレータと、前記サーキュレータにより分離された反射電力の位相及び振幅を調整する調整部と、前記高周波電源から出力された電力と前記調整部により調整された反射電力とを合成して前記サーキュレータへ出力する電力合成部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、合成の際における電力損失を抑制しながら、変動負荷からの反射電力を元の変動負荷に再度供給することができるので、電力利用効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる高周波電力供給装置の概略図である。
【図2】図2は、実施の形態1におけるプラズマ処理装置の概略図である。
【図3】図3は、実施の形態1におけるローデッドライン型移相器の回路図である。
【図4】図4は、実施の形態1におけるハイブリッド型移相器の回路図である。
【図5】図5は、実施の形態1におけるウィルキンソンカプラの回路図である。
【図6】図6は、実施の形態1における集中定数回路型のウィルキンソンカプラの回路図である。
【図7】図7は、実施の形態2による高周波電力供給装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明にかかる高周波電力供給装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0025】
実施の形態1.
実施の形態1にかかる高周波電力供給装置100について図1を用いて説明する。図1は、高周波電力供給装置100の構成を示す図である。
【0026】
高周波電力供給装置100は、変動負荷FLに高周波電力を供給する。変動負荷FLは、例えば、プラズマ負荷である。プラズマ負荷は、例えば図2に示すようなプラズマ処理装置200である。プラズマ処理装置200は、真空チャンバ201、ステージ202、電極ブロック203、ガス供給ポート205、及びシャワープレート204を有する。ステージ202は、移動可能に構成されている。ガス供給ポート205は、電極ブロック203に成膜ガスを導入する。シャワープレート204は、放電領域206に成膜ガスを供給する。ステージ202上には、被処理基板207(例えば、シリコンウェーハやガラス基板)が載置される。
【0027】
高周波電力供給装置100は、例えば、電極ブロック(第1の電極)203に接続される。電極ブロック203に対向して設置されたステージ(第2の電極)202はアース(グランド電位)に接続される。これにより、電極ブロック203とステージ202との間に高周波電界を形成する。その高周波電界が放電しきい電界を超えると、成膜ガスの解離反応や電離反応が起こり、プラズマが生成する。そして、被処理基板207上へプラズマからイオンやラジカルが入射することで成膜が行われる。
【0028】
次に、高周波電力供給装置100について詳細に説明する。高周波電力供給装置100から電極ブロック203へ給電する周波数は、高速成膜を実現するためにRF〜VHF帯が選定される。大面積の電極ブロック203にVHF帯の高周波電力を供給するには、定在波の影響を少なくするため複数箇所から給電する方式が好適である。例えば、給電箇所の配置や数は装置の大きさや構造により選定されるが、本実施の形態の効果は給電箇所の配置や数に依るものではないため、ここではそれら電極に接続された1つもしくは複数の高周波電力供給装置100の内の1つについて説明する。
【0029】
高周波電力供給装置100は、高周波電源104、電力合成器(電力合成部)101、サーキュレータ102、位相・振幅制御回路(調整部)105、及び整合器103を備える。位相・振幅制御回路105は、方向性結合器(検出部)110、反射電力調整器(決定部)111、及び波形成形回路(波形成形部)112を有する。波形成形回路112は、可変移相器108及び可変減衰器109を有する。
【0030】
高周波電源104の出力は、電力合成器101の第1の入力ポート101aに接続され、電力合成器101の出力ポート101cはサーキュレータ102の第1のポート102aに接続される。サーキュレータ102の第2のポート102bはサーキュレータ102の第1のポート102aからの入力のみを通すようになっており、整合器103を通して変動負荷FLに接続されている。またサーキュレータ102の第3のポート102cはサーキュレータ102の第2のポート102bからの入力、すなわち変動負荷FLからの反射電力のみを通すようになっており、方向性結合器110に接続されている。方向性結合器110は波形成形回路112に接続される。波形成形回路112では、例えば、可変移相器108及び可変減衰器109が直列に接続されている。波形成形回路112の出力、すなわち位相・振幅制御回路105の出力は、電力合成器101の第2の入力ポート101bに接続される。反射電力調整器111は、高周波電源104、方向性結合器110、及び波形成形回路112に接続されている。反射電力調整器111は、電源出力電力の位相・振幅情報を高周波電源104から取得し、反射電力の位相・振幅情報を方向性結合器110から取得すると共に、それらに基づき波形成形回路112に移相量、減衰量を指示する。
【0031】
高周波電源104は、高周波発振器106及び高周波増幅器107を有する。電極ブロック203における給電点が複数ある場合には、例えば、給電点同士の同期を取るために、1つの高周波発振器の出力を分配してそれぞれの高周波増幅器107に入力してもよい。高周波発振器106には、VHF帯での均一性向上など、プラズマ処理特性の改善のために位相変調システム、パルス変調システム、周波数変調システム、その他各種変調システムを適宜接続してもよい。すなわち、高周波電源104は、少なくとも1つの変調機構を有してもよい。これにより、例えば、高周波電源104からの電磁波放射(EMI)を低減できる。
【0032】
高周波電源104の変動負荷FLへの接続には整合器103及びサーキュレータ102を用いる。整合器103は、例えば変動負荷FLの直近に設置され、銅やアルミなどの抵抗率の小さな金属板によって例えば最短で負荷と接続される。整合器103は例えばL型、逆L型、Π型などの受動素子ネットワークを用いて構成されている。整合器103の入口に接続された方向性結合器(図示せず)と制御器(図示せず)とにより検出した入/反射電力情報を基に、受動素子ネットワーク内の可変素子の値が設定される。
【0033】
通常、可変素子の値は反射電力が最小になる、すなわち負荷整合状態になるように決定されるが、本実施の形態では高周波電源104の出力電力に対して一定振幅比率の反射電力を必要とするため、あえて不整合状態になるように可変素子の値を決定し、反射電力をある程度確保するように制御することもできる。
【0034】
高速での変調などにより、整合器103の応答が間に合わない場合は反射電力が発生するため、電源保護のためにサーキュレータ102を用いて反射電力を分離する。この際用いるのは3ポートのY接続型サーキュレータが好適であるが、4ポートなど、他の種類のサーキュレータでも問題ない。
【0035】
サーキュレータ102で分離された反射電力は、反射電力調整器111によりその位相及び振幅が調整される。具体的には、サーキュレータ102で分離された反射電力は、方向性結合器110によってその位相、振幅情報が検出され、その情報に基づき反射電力調整器111がフィードバック制御によって移相量(位相の変更量)及び減衰量(振幅の変更量)を決定するとともにその変更の指示を位相・振幅制御回路105に送る。
【0036】
例えば、反射電力調整器111は、反射電力の位相及び振幅を、高周波電源104の出力電力と同位相かつ一定振幅比率になるよう調整する。すなわち、反射電力調整器111は、高周波電源104から出力された電力の位相が方向性結合器110により検出された反射電力の位相に一致し、かつ、高周波電源104から出力された電力の振幅に対する方向性結合器110により検出された反射電力の振幅の比率が目標値に一致するように、移相量(位相の変更量)及び減衰量(振幅の変更量)を決定する。
【0037】
なお、高周波電源104が変調機構を有する場合、成膜やエッチングなどのプラズマ処理に用いる負荷では変調信号を基に変動量がある程度予測可能なため、反射電力調整器111は、高周波電源104の変調機構からの変調信号を基にフィードフォワード制御を行うことも可能である。すなわち、反射電力調整器111は、高周波電源104の変調信号から予測した反射電力の位相及び振幅に基づいて、フィードフォワード制御を行ってもよい。具体的には、反射電力調整器111は、高周波電源104から出力された電力の位相が予測した反射電力の位相に一致し、かつ、高周波電源104から出力された電力の振幅に対する予測した反射電力の振幅の比率が目標値に一致するように、移相量(位相の変更量)及び減衰量(振幅の変更量)を決定してもよい。これにより、反射電力調整器111は、反射電力の位相及び振幅を調整できる。
【0038】
また、反射電力調整器111は、フィードバック制御とフィードフォワード制御との両制御を同時に行ってもよい。
【0039】
波形成形回路112では、上記のように、例えば、可変移相器108及び可変減衰器109が直列に接続されている。波形成形回路112は、反射電力調整器111からの指示値に基づいて反射電力の位相、振幅をそれぞれ調整する。すなわち、可変移相器108は、移相量の指示を反射電力調整器111から受け、移相量の指示に従い、反射電力の移相を行う。可変減衰器109は、減衰量の指示を反射電力調整器111から受け、減衰量の指示に従い、反射電力の減衰を行う。
【0040】
図1では反射電力は可変移相器108を通ったのちに、可変減衰器109を通るように示されているが、これらの順番は逆としてもよい。
【0041】
可変移相器108には、いわゆる透過型のローデッドライン型移相器(図3参照)や、反射型のハイブリッド型移相器(図4参照)を用いることができる。
【0042】
図3に示す透過型のローデッドライン型移相器は、移相器入力300と移相器出力301との間に伝送線路303が接続され、移相器入力300及び伝送線路303を結ぶラインとグランド電位との間に可変コンデンサ302aが接続され、伝送線路303及び移相器出力301を結ぶラインとグランド電位との間に可変コンデンサ302bが接続されている。伝送線路303の特性インピーダンスは、λ/4(λ:電力信号の波長)であり、例えば、50Ωである。
【0043】
図4に示す反射型のハイブリッド型移相器は、移相器入力300と移相器出力301との間に伝送線路303aが接続され、移相器入力300及び伝送線路303aを結ぶラインとグランド電位との間に伝送線路303b及び可変コンデンサ302cが接続され、伝送線路303a及び移相器出力301を結ぶラインとグランド電位との間に伝送線路303c及び可変コンデンサ302dが接続されている。また、伝送線路303b及び可変コンデンサ302cを接続するノードと伝送線路303c及び可変コンデンサ302dを接続するノードとの間に伝送線路303dが接続されている。伝送線路303a及び伝送線路303dの特性インピーダンスは、ともに、λ/4(λ:電力信号の波長)であり、例えば50Ωである。伝送線路303b及び伝送線路303cの特性インピーダンスは、ともに、λ/4(λ:電力信号の波長)であり、例えばZである。
【0044】
また、可変減衰器109にはT型、Π型ネットワークを用いることができる。
【0045】
ただし、反射電力が数十%、すなわち数百Wから数kWに達している場合、一般に可変容量ダイオードなどの固体素子を用いた可変移相器、可変減衰器は耐圧や熱の問題で構成が困難となる。そのような場合は、後述のウィルキンソンカプラ(図5参照)などの無損失型電力合成器を用いるとよい。
【0046】
図5に示すウィルキンソンカプラは、合成器入力401a及び合成器出力400との間に伝送線路403aが接続され、合成器入力401b及び合成器出力400との間に伝送線路403bが接続されている。また、伝送線路403a及び合成器入力401aを接続するノードと伝送線路403b及び合成器入力401bを接続するノードとの間に非平衡吸収抵抗402が接続されている。伝送線路403a及び伝送線路403bの特性インピーダンスは、ともに、λ/4(λ:電力信号の波長)であり、例えば70.7Ωである。非平衡吸収抵抗402は、例えば、100Ωである。
【0047】
なお、ウィルキンソンカプラなどの無損失型電力合成器は入力と出力とを入れ替えて用いると電力分配器としても用いることが可能である。すなわち、図5に示すウィルキンソンカプラにおいて、合成器出力400、合成器入力401a、401bを、それぞれ、分配器入力400、分配器出力401a、401bとする。
【0048】
この電力分配器により、まず固体素子が使用可能な電力値まで反射電力を分配する。その後分配数に対応した複数の可変移相器、もしくは可変減衰器、もしくは可変移相器と可変減衰器とを備える複数の波形成形サブユニットを用いて移相、減衰を行い、その後再度無損失型電力合成器を用いて合成してもよい。すなわち、波形成形回路112は1つの波形成形ユニットを有し、その波形成形ユニットは、反射電力分配器、複数の波形成形サブユニット、及び反射電力合成器を有していても良い。波形成形回路112はその波形成形ユニットを複数有していても良い。この波形成形ユニットにより、反射電力が数十%、すなわち数百Wから数kWに達している場合でも、反射電力の移相及び減衰を行うことができる。
【0049】
波形成形ユニットでは、反射電力分配器が、サーキュレータ102により分離された反射電力を複数の反射電力に分配する。反射電力分配器は、例えば、ウィルキンソンカプラ(図5参照)などの無損失型電力合成器の入力と出力とを入れ替えたものである。複数の波形成形サブユニットは、反射電力分配器により分配された複数の反射電力に対して移相及び減衰の少なくとも一方を行う。すなわち、各波形成形サブユニットは、上述のような可変移相器及び可変減衰器の少なくとも一方を有していても良い。可変移相器は、例えば、透過型のローデッドライン型移相器(図3参照)又は反射型のハイブリッド型移相器(図4参照)である。反射電力合成器は、複数の波形成形サブユニットから出力された複数の反射電力を合成する。反射電力合成器は、例えば、ウィルキンソンカプラ(図5参照)などの無損失型電力合成器である。なお、波形成形サブユニットにフィルタを備え、高調波などの除去を同時に行ってもよい。
【0050】
波形成形回路112により移相及び減衰が施された反射電力は電力合成器101に入力される。また、高周波電源104から出力された電力も電力合成器101に入力される。そして、電力合成器101は、高周波電源104の出力電力と反射電力とを合成し、その合成した電力をサーキュレータ102及び整合器103経由で再度変動負荷FLに供給する。
【0051】
電力合成器101には、ウィルキンソンカプラ(図5参照)やブランチラインカプラなどの無損失型の合成器を使用するのが好ましい。例えば1:1の合成を行う際のウィルキンソンカプラの回路を図5に示す。図5では1:1の合成を図示しているが、1:n(n≠1)の合成となるように回路を構成することも可能である。ウィルキンソンカプラには非平衡吸収抵抗402が入っているが、振幅と位相とをそろえて入力すると非平衡吸収抵抗402両端での電位が等しくなるため、損失を最小に抑えることが可能である。
【0052】
なお、ウィルキンソンカプラやブランチラインカプラでは通常λ/4線路が必要なため、10MHz〜100MHz程度の比較的低い発振周波数では設置面積が大きくなりがちである。そのため、図6に示す集中定数回路型のものを用いてもよい。この場合、設置面積を大幅に小さくすることができる。
【0053】
図6に示す集中定数回路型のウィルキンソンカプラは、合成器入力401a及び合成器出力400との間にインダクタ403a1が接続され、合成器入力401b及び合成器出力400との間にインダクタ403b1が接続されている。また、インダクタ403a1、インダクタ403b1、及び合成器出力400を接続するラインとグランド電位との間にコンデンサ403cが接続され、インダクタ403a1及び合成器入力401aを接続するラインとグランド電位との間にコンデンサ403a2が接続され、インダクタ403b1及び合成器入力401bを接続するラインとグランド電位との間にコンデンサ403b2が接続されている。また、インダクタ403a1、コンデンサ403a2、及び合成器入力401aを接続するノードとインダクタ403b1、コンデンサ403b2、及び合成器入力401bを接続するノードとの間に非平衡吸収抵抗402が接続されている。インダクタ403a1及びインダクタ403b1のインダクタンスは、ともに、例えば187.6nHである。コンデンサ403a2及びコンデンサ403b2の容量は、ともに、例えば37.5pFである。コンデンサ403cの容量は、例えば70.5pFである。非平衡吸収抵抗402は、例えば、100Ωである。
【0054】
以上のように、実施の形態1では、サーキュレータ102が反射電力を分離し、位相・振幅調整回路が、その分離された反射電力の位相及び振幅を調整し、電力合成部が、その調整された反射電力と高周波電源104からの出力電力とを合成してサーキュレータ102へ入力する。これにより、合成の際における電力損失を抑制しながら、変動負荷からの反射電力を元の変動負荷に再度供給することができるので、電力利用効率(=負荷で消費する電力/電源からの供給電力)を向上できる。
【0055】
特に成膜均一性を高めるために変調をかけると反射電力が数十%にも及ぶという実験結果が出ている一方で、微結晶シリコンなどの成膜では数十kWクラスの電力を用いることもあるため、このような電力利用効率の向上技術は産業上非常に有用なものである。
【0056】
具体的には、反射電力調整器111が、サーキュレータ102により分離された反射電力に対する位相及び振幅の変更量を決定し、波形成形回路112が、反射電力調整器111により決定された位相及び振幅の変更量に従って、サーキュレータ102により分離された反射電力の位相及び振幅を変更する。これにより、反射電力の位相及び振幅を調整できる。
【0057】
より具体的には、方向性結合器110が、サーキュレータ102により分離された反射電力の位相及び振幅を検出し、反射電力調整器111が、高周波電源104から出力された電力の位相及び振幅と方向性結合器110により検出された反射電力の位相及び振幅とに基づいて、フィードバック制御を行う。これにより、反射電力の位相及び振幅を調整できる。
【0058】
さらに具体的には、反射電力調整器111が、高周波電源104から出力された電力の位相が方向性結合器110により検出された反射電力の位相に一致し、かつ、高周波電源104から出力された電力の振幅に対する方向性結合器110により検出された反射電力の振幅の比率が目標値に一致するように、位相及び振幅の変更量を決定する。これにより、反射電力調整器111は、フィードバック制御を行うことができる。
【0059】
また、実施の形態1では、サーキュレータ102と変動負荷FLとの間に配された整合器103が、電力合成器101が動作可能となる反射電力が変動負荷FLからサーキュレータ102へ供給されるような整合条件を有している。これにより、負荷整合となり反射が無くなることのないように、すなわち不整合となるようにあえて整合条件をずらして常に電力合成器101が動作できる量の電力を反射させることができる。
【0060】
実施の形態2.
実施の形態2にかかる高周波電力供給装置600について図7を用いて説明する。図7は、高周波電力供給装置600の構成を示す図である。以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明を行う。
【0061】
高周波電力供給装置600は、未知の変動負荷FLに給電するときに主として用いられる構成として、スイッチ602a、抵抗負荷601、及びスイッチ602bをさらに備える。
【0062】
スイッチ602aは、高周波電源104の出力の接続を電力合成器101の第1の入力ポート101aと、サーキュレータ102の第1のポート102aとに切り替えられるように配置されている。すなわち、スイッチ602aは、高周波電源104が電力合成器101に接続された第1の状態と高周波電源104がサーキュレータ102に接続された第2の状態とを切り替える。
【0063】
抵抗負荷601は、方向性結合器110とグランド電位との間に配されている。例えば、スイッチ602bとグランド電位との間に接続されている。
【0064】
スイッチ602bは、方向性結合器110の出力の接続を波形成形回路112と、抵抗負荷601とに切り替えられるよう配置されている。すなわち、スイッチ602bは、方向性結合器110が波形成形回路112に接続された第3の状態と方向性結合器110が抵抗負荷601に接続された第4の状態とを切り替える。
【0065】
例えば、図1の構成で未知の変動負荷FLに給電を行う際、給電直後は高周波電力供給装置100内の制御パラメータも未知のため、反射電力の移相量、減衰量の制御が発散する可能性がある。また高周波電源104の出力電力と反射電力の振幅比率が所望の値に満たない可能性があり、このような場合では電力合成器101が過負荷状態になり損傷する恐れがある。
【0066】
そこで、本実施の形態では、未知の変動負荷FLに給電を行う際は、まずスイッチ602aにより高周波電源104の出力をサーキュレータ102の第1のポート102aに直結し、かつスイッチ602bにより方向性結合器110の出力を抵抗負荷601に接続する。これにより、高周波電力供給装置600は、反射電力を抵抗負荷601に捨てる構成となる。この構成において反射電力の振幅、位相について情報を取得し、反射電力調整器111、および整合器103を制御する図示しない制御器の制御パラメータをそれぞれ適切に設定する。
【0067】
その後、スイッチ602aにより高周波電源104の出力を電力合成器101の第1の入力ポート101aに接続し、かつスイッチ602bにより方向性結合器110の出力を波形成形回路112に接続する。これにより、高周波電力供給装置600は、実施の形態1で示す反射電力を変動負荷FLに再度供給する構成と同様の構成になる。
【0068】
このように、実施の形態2では、反射電力調整器111、および整合器103を制御する図示しない制御器の制御パラメータは適切に設定された状態で実施の形態1と同様の構成に切り替えて動作させるため、電力合成器101の損傷などの不具合を回避することができる。
【0069】
なお、方向性結合器110により検出された結果に基づいて、図示しない制御器により、反射電力が閾値より小さいと判断された場合は、スイッチ602aにより高周波電源104の出力をサーキュレータ102の第1のポート102aに直結し、かつスイッチ602bにより方向性結合器110の出力を抵抗負荷601に接続し、反射電力を抵抗負荷601に捨てる構成のまま使用することもできる。また、方向性結合器110により検出された結果に基づいて、図示しない制御器により、反射電力が閾値より大きいと判断された場合は、上記の実施の形態2と同様に動作するようにしてもよい。
【0070】
実施の形態3.
本実施の形態では、図1に示す高周波電力供給装置100を図2に示すプラズマ処理装置200に接続し、シランガス(SiH)と水素ガス(H)との混合プラズマを発生させ、ガラス基板上に微結晶シリコン膜を堆積させた例について説明する。
【0071】
被処理基板上にシリコン薄膜を成膜するには、例えば、シリコン源としてモノシラン(SiH)ガス、キャリアガスとして水素(H)ガスを用い、それらを混合したガスを成膜ガスとして用いる。成膜ガスはガス供給ポート205を通して電極ブロック203内部に供給され、シャワープレート204に構成した多数のアパーチャを通して対向するステージ202間の放電領域206へと導入される。電極ブロック203には高周波電力が供給されており、放電領域206中の成膜ガスは高周波電力により分解され、高周波プラズマを生じる。この過程でSiH、SiH、SiH、Si、Hなどの活性種が生成され、これらの活性種が被処理基板207に入射し、被処理基板207表面上に非晶質あるいは微結晶のシリコンを形成する。高周波プラズマを一定時間継続した結果として、被処理基板207上に非晶質あるいは微結晶質のシリコン薄膜が成膜される。
【0072】
以下、図1に示す高周波電力供給装置を図2に示すプラズマ処理装置に接続し、シランガス(SiH)と水素ガス(H)との混合ガスで高周波プラズマを発生させ、ガラス基板上に微結晶シリコン膜を堆積させた実験について説明する。
【0073】
真空排気した真空チャンバ201内のステージ202に被処理基板207として1400mm×1100mmのガラス基板(厚み:4mm)を設置し、ステージ202に内蔵されている図示されないシースヒータを用いて200℃に加熱した。次に、電極ブロック203と被処理基板207との間隔が5mmになるようにステージ202の高さ位置を設定した。この状態で、電極ブロック203のガス供給ポート205にSiHガスとHガスをそれぞれ1slmと50slmの流量で供給し、放電領域206内のガス圧力が1000Paとなるよう排気速度を調整した。ガス圧力が安定した後、電極ブロック203側に前記高周波電力供給装置100を接続してSiH/H混合プラズマを発生させ、高周波電力を平均20kW給電した状態で20分間成膜を行った。成膜特性の均一化のために10kHzの変調周波数で位相変調をかけて成膜を行ったところ、上記の条件で膜厚1μmのシリコン薄膜を成膜すると、約30%の反射電力を抵抗負荷で消費していたため、電力利用効率は時間平均で約70%であった。
【0074】
一方、図1に示す装置を用いて同条件で成膜を行ったところ、今回は高周波電源の出力電力:反射電力=4:1で合成するため、実効的には高周波電源の出力電力の125%を負荷に供給することになる。したがって電力反射率が30%のため、電力利用効率は125×(1−0.3)=87.5%に向上した。作製した薄膜を太陽電池に利用することを想定して、ラマン分光法によって結晶シリコンの形成比率を調査したところ十分なピーク強度比率が得られ、形成比率の面内均一性も実用範囲内であることを確認することが出来た。このことから、実用的な基板サイズにおいても、特性の優れたシリコン膜の成膜が可能であるとの結論を得た。
【0075】
本実施の形態では、ガス流量、圧力、高周波電力等のパラメータに関して数値を示しているが、これらの数値は適宜変更可能である。また、シリコン薄膜形成のための成膜ガスとしてSiHとHの混合ガスの場合について説明したが、さらに、Ar、Ne等の希ガスを添加させてもよい。その他、プロセスの目的に応じて適切なガス種が選択される。
【0076】
なお、本発明のプラズマ処理装置はプラズマエッチング装置、アッシング装置、スパッタリング装置、イオン注入装置などにも適用することが出来る。
【0077】
また、上記では横型の装置について説明を行ったが、この発明のプラズマ処理装置は縦型にも適用可能である。どちらの型にするかは当該プラズマ装置の用途等に応じて適宜選択が可能である。この発明については、上述した以外にも種々の変形、修飾、組み合わせ等が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上のように、本発明にかかる高周波電力供給装置、プラズマ処理装置、及び半導体薄膜の製造方法は、半導体薄膜の成膜に有用である。
【符号の説明】
【0079】
100 高周波電力供給装置
101 電力合成器
102 サーキュレータ
103 整合器
104 高周波電源
105 位相・振幅制御回路
106 高周波発振器
107 高周波増幅器
108 可変移相器
109 可変減衰器
110 方向性結合器
111 反射電力調整器
112 波形成形回路
200 プラズマ処理装置
201 真空チャンバ
202 ステージ
203 電極ブロック
204 シャワープレート
205 ガス供給ポート
206 放電領域
207 被処理基板
300 移相器入力
301 移相器出力
302a、302b 可変コンデンサ
303、303a〜303d 伝送線路
400 合成器出力/分配器入力
401a、401b 合成器入力/分配器出力
402 非平衡吸収抵抗
403a、403b 伝送線路
403a1、403b1 インダクタ
403a2、403b2、403c コンデンサ
600 高周波電力供給装置
601 抵抗負荷
602 スイッチ
FL 変動負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変動負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給装置であって、
高周波電源と、
前記高周波電源と前記変動負荷との間に配され、前記変動負荷からの反射電力を分離するサーキュレータと、
前記サーキュレータにより分離された反射電力の位相及び振幅を調整する調整部と、
前記高周波電源から出力された電力と前記調整部により調整された反射電力とを合成して前記サーキュレータへ出力する電力合成部と、
を備えたことを特徴とする高周波電力供給装置。
【請求項2】
前記調整部は、
前記サーキュレータにより分離された反射電力に対する位相及び振幅の変更量を決定する決定部と、
前記決定部により決定された位相及び振幅の変更量に従って、前記サーキュレータにより分離された反射電力の位相及び振幅を変更する波形成形部と、
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の高周波電力供給装置。
【請求項3】
前記調整部は、前記サーキュレータにより分離された反射電力の位相及び振幅を検出する検出部をさらに有し、
前記決定部は、前記高周波電源から出力された電力の位相及び振幅と前記検出部により検出された反射電力の位相及び振幅とに基づいて、フィードバック制御を行う
ことを特徴とする請求項2に記載の高周波電力供給装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記高周波電源から出力された電力の位相が前記検出部により検出された反射電力の位相に一致し、かつ、前記高周波電源から出力された電力の振幅に対する前記検出部により検出された反射電力の振幅の比率が目標値に一致するように、位相及び振幅の変更量を決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の高周波電力供給装置。
【請求項5】
前記高周波電源は、少なくとも1つの変調機構を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の高周波電力供給装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記高周波電源の変調信号から予測した反射電力の位相及び振幅に基づいて、フィードフォワード制御を行う
ことを特徴とする請求項5に記載の高周波電力供給装置。
【請求項7】
前記波形成形部は、少なくとも1つの波形成形ユニットを有し、
前記波形成形ユニットは、
前記サーキュレータにより分離された反射電力を複数の反射電力に分配する反射電力分配器と、
前記反射電力分配器により分配された複数の反射電力に対して移相及び減衰の少なくとも一方を行う複数の波形成形サブユニットと、
前記複数の波形成形サブユニットから出力された複数の反射電力を合成する反射電力合成器と、
を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の高周波電力供給装置。
【請求項8】
前記電力合成部は、集中定数回路として構成されている
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の高周波電力供給装置。
【請求項9】
前記高周波電源が前記電力合成部に接続された第1の状態と前記高周波電源が前記サーキュレータに接続された第2の状態とを切り替える第1のスイッチと、
前記検出部とグランド電位との間に配された抵抗負荷と、
前記検出部が前記波形成形部に接続された第3の状態と前記検出部が前記抵抗負荷に接続された第4の状態とを切り替える第2のスイッチと、
をさらに備えた
ことを特徴とする請求項3に記載の高周波電力供給装置。
【請求項10】
前記電力合成部が動作可能となる反射電力が前記変動負荷から前記サーキュレータへ供給される整合条件を有し、前記サーキュレータと前記変動負荷との間に配された整合器をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の高周波電力供給装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の高周波電力供給装置と、
真空チャンバと、
前記真空チャンバ内に配置され、前記高周波電力供給装置から電力が供給される第1の電極として機能し、プラズマ生成ガスを被処理基板に供給するシャワープレートと、
前記真空チャンバ内に配置され、前記被処理基板が載置される第2の電極として機能するステージと、
を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項12】
請求項11に記載のプラズマ処理装置を用いて被処理基板上に半導体薄膜を成膜する
ことを特徴とする半導体薄膜の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−174668(P2012−174668A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38868(P2011−38868)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】