説明

III族窒化物半導体発光素子を製造する方法

【課題】良好なオーミック接触を有するIII族窒化物半導体発光素子が提供される。
【解決手段】このIII族窒化物半導体発光素子では、接合JCが窒化ガリウム系半導体層のc軸に直交する基準面に対して傾斜しており、電極がこの窒化ガリウム系半導体層の半極性面に接合する。しかしながら、この窒化ガリウム系半導体層における酸素濃度が、接合JCを形成するように成長された窒化ガリウム系半導体層における酸素濃度は低減される。この窒化ガリウム系半導体層の半極性面に電極が接合を成すので、金属/半導体接合は良好なオーミック特性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、III族窒化物半導体発光素子を製造する方法、及びIII族窒化物半導体発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、製造方法がIII−V族窒化物半導体の製造方法が記載されている。この方法によれば、再現性よく低いコンタクト抵抗を得られるオーミック電極を製造できる。
【0003】
非特許文献1には、p型GaNへのオーミック接触が記載されている。Ni/Auからなる金属がp型GaN上に堆積される。この後に、熱処理により、アモルファスNi−Ga−O相及び大きなAuグレインと共に、NiOに金属ニッケルを変換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−300421号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Jin-Kuo Ho et al., JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, VOL. 86, No. 8, 1999, ”Low-resistance ohmic contacts to p-type GaN achieved by the oxidation of Ni/Au films”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
窒化ガリウムといった窒化ガリウム系半導体の非c面への更に良いオーミック接触を得ることが望まれている。発明者の知見によれば、窒化ガリウムといった窒化ガリウム系半導体の非c面,すなわち半極性面は、酸素を含む雰囲気に露出されたとき、c面に比べて容易に酸化される。
【0007】
この知見によれば、電極膜が接合する窒化ガリウム系半導体表面の酸素濃度を低減することが重要であることを示す。しかしながら、製造工程において酸素の混入は容易に生じる。また、発明者の別の知見によれば、半極性面においては、酸素とガリウムとの結合を切断することは容易ではない。このように、金属/半導体の界面における酸素濃度の低減は、窒化ガリウム系半導体層の半極性面に固有の性質と深く関連していると考えられる。
【0008】
本発明は、このような事情を鑑みて為されたものであり、良好なオーミック接触を有するIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、良好なオーミック接触を有するIII族窒化物半導体発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、III族窒化物半導体発光素子を製造する方法である。この方法は、真空チャンバ内において摂氏300度以上の基板温度で、III族窒化物半導体の成膜を行わずにエピタキシャル基板をガリウム雰囲気にさらす工程を備える。前記エピタキシャル基板の前記主面は、窒化ガリウム系半導体からなる半極性の主面を有し、前記エピタキシャル基板は、III族窒化物半導体からなる活性層を含む。
【0010】
本発明の一側面は、III族窒化物半導体発光素子を製造する方法である。この方法は、(a)真空チャンバ内において摂氏300度以上の基板温度で、III族窒化物半導体の成膜を行わずにエピタキシャル基板をガリウム雰囲気にさらす工程と、(b)前記真空チャンバ内において前記エピタキシャル基板の主面に電極のための導電膜を成膜して、基板生産物を形成する工程とを備える。前記エピタキシャル基板の前記主面は、窒化ガリウム系半導体からなる半極性の主面を有し、前記エピタキシャル基板は、III族窒化物半導体からなる活性層を含む。
この製造方法によれば、真空チャンバ内において摂氏300度以上の基板温度で、III族窒化物半導体の成膜を行わずにエピタキシャル基板をガリウム雰囲気にさらす。このさらす工程に先立ってエピタキシャル基板のIII族窒化物半導体の表面に酸化物が形成されているけれども、さらす工程においてガリウムが窒化ガリウム系半導体の半極性主面へ供給されて半極性主面の表面にあるガリウム酸化物は還元されて、融点の低いガリウム酸化物に改質される。このときの反応は次のように表される。
Ga2O3 + 4Ga → 3Ga2O。
このガリウム酸化物Ga2Oは、その融点に応じてさらす工程における基板温度の作用により、窒化ガリウム系半導体から真空チャンバの中空内に放出される。これ故に、半極性主面が電極膜と接合を形成することに先立って、酸素との結合性に富む半極性主面へのガリウム照射により半極性主面付近における酸素濃度を低減できる。したがって、良好なオーミック接触を有するIII族窒化物半導体発光素子を製造できる。
【0011】
本発明の一側面に係る製造方法は、基板の主面の上に半導体領域を成長して、前記エピタキシャル基板を形成する工程を更に備えることができる。前記基板の前記主面はIII族窒化物半導体からなる。前記半導体領域は、第1導電型のIII族窒化物半導体層、前記活性層、及び第2導電型のIII族窒化物半導体層を含み、前記エピタキシャル基板は前記基板を含み、前記基板の前記主面は、該III族窒化物半導体のc軸に沿って延びる基準軸に直交する面から10度以上80度以下の範囲の角度で傾斜し、前記エピタキシャル基板の前記主面は、該III族窒化物半導体のc軸に沿って延びる基準軸に直交する面から10度以上80度以下の範囲の角度で傾斜することが好ましい。
【0012】
この製造方法によれば、傾斜角が10度以上80度以下の範囲であるとき、窒化ガリウム系半導体の半極性面が酸素との結合性に富む。これ故に、オーミック電極の形成の際に、酸素の低減が重要である。
【0013】
本発明の一側面に係る製造方法では、前記エピタキシャル基板は、前記活性層の上に設けられたp型窒化ガリウム系半導体層を含み、前記p型窒化ガリウム系半導体層はドーパントとしてマグネシウムを含み、前記p型窒化ガリウム系半導体層の主面は前記エピタキシャル基板の前記主面を構成することが好ましい。
【0014】
この製造方法によれば、p型窒化ガリウム系半導体層にオーミック接触を成す電極を形成できる。
【0015】
本発明の一側面に係る製造方法では、前記導電膜は,Au,Pd,Ni,Rh,Al,Ti,Zn,Cu,In,Ta,Pt,Tlのいずれかを含むことが好ましい。この製造方法では、Au,Pd,Ni,Rh,Al,Ti,Zn,Cu,In,Ta,Pt,Tlの少なくともいずれかを含むことが好適である。
【0016】
本発明の一側面に係る製造方法では、前記基板温度は、前記エピタキシャル基板の形成における成膜温度のうちの最低温度以下であることが好ましい。この製造方法によれば、さらす工程における改質処理により生じる可能性のある活性層への熱ストレスを低減できる。
【0017】
本発明の一側面に係る製造方法では、前記最低温度は摂氏900度以下であることが好ましい。この製造方法によれば、ガリウム酸化物が様々な融点を有することを利用して、半極性主面における酸素濃度の低減が可能である。ガリウム酸化物としては、例えば以下のものがある。Gaは比較的高い融点(例えば摂氏1725度、1気圧、RT)を有するが、GaOは比較的低い融点(例えば摂氏500度、1×10−6Torr)を有する。
【0018】
本発明の一側面に係る製造方法では、前記活性層はInGaN層を含み、前記エピタキシャル基板の前記基板温度は、前記活性層の前記InGaN層の成長温度以下であることが好ましい。この製造方法によれば、活性層のInGaN層の品質が、さらす工程における熱処理により低下することを避けることができる。
【0019】
本発明の一側面に係る製造方法は、前記基板生産物を前記真空チャンバから取り出した後に、前記電極にパターン形成を行う工程を更に備えることができる。当該方法は、前記導電膜を成膜した後に前記電極のためのアロイを行わないことで好ましい。この製造方法によれば、電極のためのアロイを行わないようにもできる。
【0020】
本発明の一側面に係る製造方法では、前記基板の前記III族窒化物半導体はGaNであることが好ましい。また、本発明の一側面に係る製造方法では、前記エピタキシャル基板の前記主面はGaNからなることが好ましい。
【0021】
本発明の一側面に係る製造方法は、前記エピタキシャル基板を前記真空チャンバ内に配置した後に前記活性層の上にIII族窒化物半導体の成膜を行って、前記エピタキシャル基板を形成する工程を更に備えることができる。この製造方法によれば、この成膜によって成長されたIII族窒化物半導体の酸素濃度を低減できる。
【0022】
本発明の一側面に係る製造方法では、前記エピタキシャル基板をガリウム雰囲気にさらした後に、III族窒化物半導体の成膜を行うことなく、前記導電膜の成膜を行われることが好ましい。この製造方法によれば、改質により提供された半極性面の上にオーミック電極を形成できる。
【0023】
本発明の一側面に係る製造方法では、前記エピタキシャル基板の前記主面は、該III族窒化物半導体のc軸に沿って延びる基準軸に直交する面から63度以上80度以下の範囲の角度で傾斜することが好適である。この角度範囲での半極性面は酸化されやすいステップを有する。
【0024】
本発明の一側面に係る製造方法では、前記導電膜が接触を成す窒化ガリウム系半導体層における酸素濃度は、1×1018cm−3以下であることができる。この製造方法によれば、電極が接合を成す窒化ガリウム系半導体領域の酸素濃度を低減できる。
【0025】
本発明の別の側面に係るIII族窒化物半導体発光素子は、(a)第1導電型III族窒化物半導体層と、(b)前記第1導電型III族窒化物半導体層の主面の上に設けられた活性層と、(c)前記活性層の主面の上に設けられたIII族窒化物半導体層と、(d)前記III族窒化物半導体層と接合を成す電極とを備える。前記III族窒化物半導体層は第2導電型を有し、前記接合は、前記第1導電型III族窒化物半導体層のc軸に直交する基準面に対して傾斜している。
【0026】
このIII族窒化物半導体発光素子によれば、上記の接合が第1導電型III族窒化物半導体層のc軸に直交する基準面に対して傾斜しているので、電極は第2のIII族窒化物半導体層の半極性面に接合する。この半極性面に電極が接合を成すので、この接合は良好なオーミック特性を示す。
【0027】
本発明の別の側面に係るIII族窒化物半導体発光素子では、前記接合は、前記基準軸に直交する面から10度以上80度以下の範囲の角度で傾斜することができる。このIII族窒化物半導体発光素子によれば、10度以上80度以下の範囲の角度で傾斜する半極性面は、c面(極性面)に比べて容易に酸化されるので、上記側面が好適に適用される。
【0028】
本発明の別の側面に係るIII族窒化物半導体発光素子は、前記電極は,Au,Pd,Ni,Rh,Al,Ti,Zn,Cu,In,Ta,Pt,Tlのいずれかを含むことができる。このIII族窒化物半導体発光素子では、Au,Pd,Ni,Rh,Al,Ti,Zn,Cu,In,Ta,Pt,Tlの少なくともいずれかを含むことが好適である。
【0029】
本発明の別の側面に係るIII族窒化物半導体発光素子は、III族窒化物半導体からなる主面を有する支持基体を更に備えることができる。前記支持基体の前記主面は、該III族窒化物半導体のc軸に沿って延びる基準軸に直交する面から10度以上80度以下の範囲の角度で傾斜し、前記第1導電型III族窒化物半導体層、前記活性層、及び前記III族窒化物半導体層は、前記支持基体の前記主面の法線の方向に配列される。
【0030】
このIII族窒化物半導体発光素子によれば、10度以上80度以下の範囲の角度で傾斜した半極性面上に順に配列された半導体層を含む半導体積層の半極性上面に良好なオーミック接触が提供される。
【0031】
本発明の別の側面に係るIII族窒化物半導体発光素子では、前記支持基体の前記III族窒化物半導体はGaNであることが好ましい。また、本発明の別の側面に係るIII族窒化物半導体発光素子では、前記III族窒化物半導体層の主面はGaNからなることが好ましい。
【0032】
本発明の別の側面に係るIII族窒化物半導体発光素子は、前記活性層は、III族構成元素としてインジウムを含む窒化ガリウム系半導体層を含み、前記活性層は、360nm以上600nm以下の波長範囲にピーク発光波長を有するように設けられる。
【0033】
このIII族窒化物半導体発光素子によれば、360nm以上600nm以下の波長範囲における駆動電圧を下げることができる。
【0034】
本発明の上記の目的および他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述から、より容易に明らかになる。
【発明の効果】
【0035】
以上説明したように、本発明の一側面によれば、良好なオーミック接触を有するIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法が提供される。また、本発明の別の側面によれば、良好なオーミック接触を有するIII族窒化物半導体発光素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本実施の形態に係るIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法における主要な工程を模式的に示す図面である。
【図2】図2は、本実施の形態に係るIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法における主要な工程を模式的に示す図面である。
【図3】図3は、本実施の形態に係るIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法における主要な工程を模式的に示す図面である。
【図4】図4は、本実施の形態に係るIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法における主要な工程を模式的に示す図面である。
【図5】図5は、GaN領域と金属(金)との界面付近の透過型電子顕微鏡(TEM)像を示す図面である。
【図6】図6は、電極形成のための下地の窒化ガリウム系半導体領域における酸素濃度を二次イオン質量分析(SIMS)法で測定した結果を示す図面である。
【図7】図7は、電流−電圧特性を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明のIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法、及びIII族窒化物半導体発光素子に係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
【0038】
図1〜図4は、本実施の形態に係るIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法における主要な工程を模式的に示す図面である。図1の(a)部に示されるように、工程S101では基板11を準備する。基板11は、III族窒化物半導体からなる主面11aを有する。主面11aは、III族窒化物半導体のc軸の方向に延在する基準軸(ベクトルVCによって示される)に直交する平面に対して傾斜し、これ故に、半極性を示す。基板11のIII族窒化物半導体は、例えばGaN等からなることができる。
【0039】
図1の(b)部に示されるように、工程S102では、半導体発光素子のための半導体積層13を成長炉10aで基板11上に成長して、エピタキシャル基板Eを形成する。引き続き一実施例を説明する。基板11を成長炉10aに配置した後に、成長炉10aにアンモニア及び水素を供給して基板11の主面11aのサーマルクリーニングを行う。この後に、成長炉10aにおいて、基板11の主面11a上に順に複数のIII族窒化物半導体層を成長する。成長炉10aに成長法としては、例えば有機金属気相成長法が使用可能である。
【0040】
半導体積層13は、n型III族窒化物半導体領域15といった第1導電型のIII族窒化物半導体層、活性層17、及びp型III族窒化物半導体領域19といった第2導電型のIII族窒化物半導体層を含む。n型III族窒化物半導体領域15は、例えばGaN、AlGaN、InAlGaN、等からなることができる。p型III族窒化物半導体領域19は、例えばGaN、AlGaN、InAlGaN、等からなることができ、また電子ブロック層27及びp型クラッド層29を含むことができる。p型III族窒化物半導体領域19は、必要な場合にはp型コンタクト層を含むことができる。活性層17は例えば量子井戸構造21を有しており、量子井戸構造21は、交互に配列された障壁層23及び井戸層25を含むことができる。障壁層23のバンドギャップは井戸層25のバンドギャップより大きい。障壁層23は例えばGaN、InGaN、InAlGaN等からなることができ、井戸層25は例えばGaN、InGaN、InAlGaN等からなることができる。
【0041】
工程S102において基板11の主面11aの上に半導体積層13を成長してエピタキシャル基板を形成することにおいて、基板11の主面11aは、該III族窒化物半導体のc軸に沿って延びる基準軸Cxに直交する面から10度以上80度以下の範囲の角度で傾斜することが好ましい。また、エピタキシャル基板Eの主面は、基準軸Cxに直交する面から10度以上80度以下の範囲の角度で傾斜することが好ましい。これらの傾斜角が10度以上80度以下の範囲であるとき、窒化ガリウム系半導体の半極性面が酸素との結合性に富む。これ故に、オーミック電極の形成の際に、酸素の低減が重要である。
【0042】
エピタキシャル基板Eの主面における傾斜角は、該III族窒化物半導体のc軸に沿って延びる基準軸に直交する面から63度以上80度以下の範囲の角度で傾斜することが好適である。この角度範囲での半極性面は酸化されやすいステップを有する。
【0043】
図1の(c)部に示されるように、工程S103では、エピタキシャル基板Eを成長炉10aから取り出すと、酸素を含む大気にエピタキシャル基板Eがさらされる。この結果、エピタキシャル基板Eの表面に露出された窒化ガリウム系半導体面に自然酸化物酸化ガリウム12が形成される。
【0044】
成長炉10aからエピタキシャル基板Eを取り出した後に、図2の(a)部に示されるように、工程S104では処理装置10bにエピタキシャル基板Eを配置する。
【0045】
次いで、図2の(b)に示されるように、工程S105では、エピタキシャル基板Eを処理装置10bで加熱する。加熱の条件の一例では、加熱温度は例えば摂氏750度であり、熱処理時間は30分であり、熱処理の雰囲気は例えばGa雰囲気である。この温度範囲は例えば摂氏300度以上であることができ、この温度以下である場合,Ga酸化物Ga2O3がより蒸気圧の高いGa2Oに還元されないからである。また、この温度範囲は例えば摂氏900度以下の範囲であることができ、これは活性層17へのダメージを避けるためである。熱処理の雰囲気は例えばGa雰囲気であることができる。
【0046】
エピタキシャル基板Eの加熱の後に、真空を破ることなく、図2の(c)に示されるように、工程S106では、ガリウムを含む雰囲気を処理装置10bのチャンバ内に形成して、この雰囲気にエピタキシャル基板Eの表面13aをさらす。この処理の雰囲気は、窒化ガリウム系半導体の成長を避けるために雰囲気は窒素を含まないことが好ましい。この処理における基板温度の範囲は例えば摂氏300度以上であることができ、この温度以下である場合,Ga酸化物Ga2O3がより蒸気圧の高いGa2Oに還元されないからである。また、この温度範囲は例えば摂氏900度以下の範囲であることができ、これは活性層17へのダメージを避けるためである。この熱処理のための持続時間は例えば30分である。
【0047】
この加熱工程及びさらす工程のための基板温度は、エピタキシャル基板Eの形成における成膜温度のうちの最低温度以下であることが好ましい。加熱工程及びさらす工程における改質処理により生じる可能性のある活性層への熱ストレスを低減できる。活性層はInGaN層を含むとき、エピタキシャル基板Eの基板温度は、例えば、活性層のInGaN井戸層の成長温度以下であることが好ましい。活性層のInGaN層の品質が、加熱工程及びさらす工程における熱処理により低下することを避けることができる。
【0048】
この工程の一実施例では、エピタキシャル基板Eの表面13aをさらすことは、ガリウムフラックス31を表面13aに照射することによって可能である。
【0049】
ガリウムと酸素との化合物には様々な形態がある。そして、ガリウム酸化物が様々な融点を有する。この融点の違いを利用して、半極性主面における酸素濃度の低減が可能である。ガリウム酸化物としては、例えば以下のものがある。Gaの融点(例えば摂氏1725度、1気圧、RT)は比較的高いが、GaOの融点(例えば摂氏500度、1×10−6Torr)は比較的低い。
【0050】
これまでの工程では、エピタキシャル基板Eを処理装置10bの真空チャンバ内に配置した後に、加熱及びGa照射による改質処理を行ってきた。この後に、必要な場合には、図3の(a)に示されるように、工程S107では、真空を破ることなく、処理装置10bの真空チャンバにおいて、活性層17を含む半導体積層13の上に窒化ガリウム系半導体層33を成長して、新たなエピタキシャル基板E2を形成することができる。この方法によれば、この成膜によって成長されたIII族窒化物半導体の酸素濃度を低減できる。
【0051】
窒化ガリウム系半導体層33の上には、後の工程おいて電極のための金属が堆積されるので、窒化ガリウム系半導体層33には所望の導電型のドーパント、例えばマグネシウム、亜鉛といったp型ドーパントを添加することが好ましい。p型ドーパント濃度は例えば1×1016cm−3以上1×1021cm−3以下であることができる。この製造方法によれば、p型窒化ガリウム系半導体層にオーミック接触を成す電極を形成できる。
【0052】
ガリウム雰囲気を除いた後に、図3の(b)に示されるように、工程S107では、真空を破ることなく、処理装置10bの真空チャンバにおいてエピタキシャル基板E2の主面に電極のための導電膜35を成膜して、基板生産物SPを形成する。
【0053】
この製造方法によれば、処理装置10bの真空チャンバ内において摂氏300度以上の基板温度で、III族窒化物半導体の成膜を行わずにエピタキシャル基板Eをガリウム雰囲気にさらす。このさらす工程に先立ってエピタキシャル基板EのIII族窒化物半導体の表面に酸化ガリウムGa2O3が形成されているけれども、さらす工程においてガリウムが窒化ガリウム系半導体半極性主面13aへ供給されて酸化ガリウムGa2O3は改質されて、半極性主面では融点の低いGa酸化物Ga2Oに改質される。このGa酸化物Ga2Oは、その融点に応じて、さらす工程における基板温度の作用により成長炉10aの真空チャンバの中空内に窒化ガリウム系半導体表面から放出される。これ故に、半極性主面13aが電極膜と接合を形成することに先立って、酸素との結合性に富む半極性主面13aへのGa照射により半極性主面付近における酸素濃度を低減できる。したがって、良好なオーミック接触を有するIII族窒化物半導体発光素子を製造できる。
【0054】
本実施の形態では、エピタキシャル基板Eをガリウム雰囲気にさらした後に、III族窒化物半導体の成膜を行うことなく、導電膜35といった金属の成膜を行ってもよい。この方法によれば、改質により提供された半極性面13aの上にオーミック電極を形成できる。
【0055】
導電膜35は,Au,Pd,Ni,Rh,Al,Ti,Zn,Cu,In,Ta,Pt,Tlのいずれかを含むことが好ましい。この製造方法では、Au,Pd,Ni,Rh,Al,Ti,Zn,Cu,In,Ta,Pt,Tlの少なくともいずれかを含むことが好適である。
【0056】
図3の(c)部に示されるように、工程S109において、エピタキシャル基板E2を処理装置10bから取り出すと、酸素を含む大気にエピタキシャル基板E2がさらされる。しかしながら、窒化ガリウム系半導体からなる半極性面は既に導電膜35で覆われているので、基板生産物SPの表面には、金属膜が露出されている。処理装置10bから基板生産物SPを取り出した後に、図3の(c)部に示されるように、酸素を含む大気中に置かれる。
【0057】
基板生産物SPを処理装置10bの真空チャンバから取り出した後に、図4の(a)部に示されるように、工程S110では、導電膜35にパターン形成を行って、電極37を形成する。当該方法は、導電膜35を成膜した後に電極37のためのアロイを行わない。電極37のためのアロイを行わないことにより、加熱による電極劣化や電極と半導体の界面異常を防ぐという利点がある。
【0058】
図4の(b)部に示されるように、工程S111では、基板11の裏面11bに電極39を形成する。電極39の形成に先立って、所望の厚さを得るために基板11の裏面を研磨して、研磨された裏面を形成することができる。これらの工程により、基板生産物SP3が作製される。
【0059】
この後に、基板生産物SP3の分離を行って、III族窒化物半導体発光素子41を得る。III族窒化物半導体発光素子41は、第1導電型III族窒化物半導体層43と、第1導電型III族窒化物半導体層43の主面の上に設けられた活性層45と、活性層45の主面の上に設けられた第1のIII族窒化物半導体層49と、第1のIII族窒化物半導体層49の主面の上に設けられる第2のIII族窒化物半導体層51と、第2のIII族窒化物半導体層51の主面の上に設けられる電極53とを備える。第2のIII族窒化物半導体層51は第1のIII族窒化物半導体層49に第1の接合J1を成す。電極53と、第2のIII族窒化物半導体層51と第2の接合J2を成す。
【0060】
第1及び第2の接合J1、J2は、第1導電型III族窒化物半導体層43のc軸VC43に直交する基準面に対して傾斜する。活性層45の主面は、第1導電型III族窒化物半導体層43のc軸VC43に直交する基準面に対して傾斜する。活性層45を構成する井戸層45b及び障壁層45aは、第1導電型III族窒化物半導体層43のc軸VC43に直交する基準面に対して傾斜する平面に沿って延在する。第1及び第2のIII族窒化物半導体層49、51は第2導電型を有する。
【0061】
このIII族窒化物半導体発光素子41によれば、第2の接合J2がc軸VC43に直交する基準面に対して傾斜しているので、電極53は第2のIII族窒化物半導体層51の半極性面に接合する。この半極性面51aに電極53が接合を成すので、第2の接合J2は良好なオーミック特性を示す。
【0062】
第1及び第2の接合J1、J2は、主面55aに対して実質的に平行であり、第1及び第2の接合J1、J2は、基準軸に直交する面から10度以上80度以下の範囲の角度で傾斜することが好ましい。
【0063】
III族窒化物半導体発光素子41は、支持基体55を更に備えることができ、支持基体55はIII族窒化物半導体からなる主面55aを有する。支持基体55の主面55aは、該III族窒化物半導体のc軸VC55に沿って延びる基準軸に直交する面から10度以上80度以下の範囲の角度で傾斜する。III族窒化物半導体層43、活性層45、第1のIII族窒化物半導体層49、及び第2のIII族窒化物半導体層51は、支持基体55の主面55aの法線Nxの方向に配列される。
【0064】
支持基体55の主面55aは、該III族窒化物半導体のc軸に沿って延びる基準軸に直交する面から63度以上80度以下の範囲の角度で傾斜することが好適である。この角度範囲での半極性面は酸化されやすいステップを有する。
【0065】
良好なオーミック性を得るために、第2のIII族窒化物半導体層51における酸素濃度は1×1018cm−3以下であることが好ましい。
【0066】
活性層45は、III族構成元素としてインジウムを含む窒化ガリウム系半導体層を含み、活性層45は例えば500nm以上540nm以下の波長範囲にピーク発光波長を有するように設けられる。
【0067】
図5は、GaN領域と電極(金属)との界面付近の透過型電子顕微鏡(TEM)像を示す図面である。図5の(a)部を参照すると、c面上に金(Au)膜を形成した際に形成される接合を示す。図5の(b)部を参照すると、{20−21}面上に金膜を形成した際に形成される接合を示す。図5の(b)部の接合には、金(Au)と{20−21}−GaNとの界面に暗く写る層が観察され、この暗層は、図5の(b)部における界面の暗層に比べて厚い。この暗層は、界面における酸化物を示している。図5から理解されるように、半極性面では酸化物層がc面に比べて厚い。
【0068】
(実施例1)
図6は、電極形成のための下地の窒化ガリウム系半導体領域における酸素濃度を二次イオン質量分析(SIMS)法で測定した結果を示す図面である。二次イオン質量分析の評価のために、以下のデバイス構造が準備された。横軸の左側から右側(深さ0.3μmから0.7μmの方向)の方法に以下の層が{20−21}GaN基板上に順に配列される。
ud-GaN:630nm。
p-GaN:50nm。
p-GaN:400nm。
n-GaN:1000nm。
図6に示された破線JC線までのエピタキシャル基板を準備する。エピタキシャル基板は、{20−21}GaN基板、n型GaN層(1000nm)、p型GaN層(400nm)、p型GaN層(50nm)を含む。n型GaN層(1000nm)、p型GaN層(400nm)、及びp型GaN層(50nm)は{20−21}GaN基板上に成長される。p型GaN層(50nm)の表面は、酸素を含む大気にさらされる。上記の構造を有するエピ基板A1、A2を準備した。分子エピタキシ(MBE)装置にエピ基板A1を配置した後に、Gaフラックスを照射することなく、p型GaN層(50nm)上にアンドープGaN(630nm)層をMBE法で成長してエピ基板B1を形成した。また、分子エピタキシ(MBE)装置にエピ基板A2を配置した後に、Gaフラックスを照射した後に続けてp型GaN層(50nm)上にアンドープGaN(630nm)層をMBE法で成長してエピ基板B2を形成した。
【0069】
ガリウム照射の条件例は以下のものである。
基板温度:摂氏750度。
Gaフラックス量:1.4×10−6Torr(1Torrは133.322パスカルで換算される)。
照射時間:30分。
【0070】
図6を参照すると、Gaフラックス照射無しの測定結果B1の表面には、SIMS分析において酸素ピーク(1×1019cm−3を超え1×1020cm−3に近いピーク値)と、MBE法で成長されたGaN層において平坦な酸素濃度(1×1018cm−3より大きな定常値)が観察される。
【0071】
また、図6を参照すると、Gaフラックス照射有りの測定結果B2の表面には、SIMS分析において酸素ピークは全く観察されず、測定結果B1における酸素ピーク(1×1019cm−3を超え1×1020cm−3に近いピーク値)は消失している。
【0072】
図6の結果は、Gaフラックスの照射を行うことにより、酸素を含む大気に触れることにより形成されたガリウム酸化物を低減できることを示す。Gaフラックスの照射に引き続いて導電膜を形成することにより、ガリウム酸化物の量が低減された半極性面に、電極のための導電膜を形成できる。また、Gaフラックスの照射に引き続いて窒化ガリウム系半導体膜を形成することにより、この半導体膜中の酸素濃度を低減でき、低い酸素濃度の窒化ガリウム系半導体膜の半極性面に、電極のための導電膜を形成できる。
【0073】
図7は、電流−電圧特性を示す図面である。図7の(a)部は、測定に用いたデバイス構造を示す。エピタキシャル基板は、{20−21}GaN基板、n型GaN層(1000nm)、p型GaN層(400nm)、第1p型GaN層(50nm)及び第2p型GaN層(50nm)を含む。n型GaN層(1000nm)、p型GaN層(400nm)、第1p型GaN層(50nm)及び第2p型GaN層(50nm)は{20−21}GaN基板上に成長される。第1p型GaN層(50nm)の表面は、酸素を含む大気にさらされる。第1p型GaN層(50nm)上に、Gaフラックスを照射することなく、MBE装置を用いて第2p型GaN層(50nm)を成長すると共に、第2p型GaN層(50nm)上に金電極を形成して基板生産物C1を作製した。また、MBE装置を用いてGaフラックスを照射した後に、続けて第2p型GaN層(50nm)を成長すると共に、第2p型GaN層(50nm)上に金電極を形成して基板生産物C2を作製した。厚さ2000nmの金電極を含む上記の構造を有する基板生産物C1、C2を作製した。
【0074】
図7の(b)部に示されるように、Gaフラックスの適用により、オーミック特性の改善及び駆動電圧の低減が可能であることが理解される。本実施の形態によれば、接触抵抗は1×10−3Ω・cm以下である。なお、金の反応性は低く、これ故に金電極の利用は、酸化膜の影響の調査に好適である。したがって、電極の材料としては金に限定されることはない。
【0075】
電極が接合する窒化ガリウム系半導体における酸素プロファイルは、Ga照射によって変化する。具体的には、Ga照射によって電極/半導体膜界面における酸化膜の量が低減される。本明細書に開示された実験の他に様々な実験を行っており、これらの実験結果を含めて、金属/半導体の界面における酸素濃度は、該金属が接合する窒化ガリウム系半導体層の内部(界面から100nmの深さ)における酸素濃度の10倍以下である。半導体層の種類は変化していない。
【0076】
(実施例2)
発明者らは、Ga照射における真空度と基板温度との関係をシミュレーションにより見積もった。シミュレーションはOutotec Research Oy社製HSC Chemistryという化学反応/平衡の計算ソフトウェアを利用して導出した。見積もりを以下に示す。
雰囲気圧力、加熱温度(摂氏)。
7.50E-02、摂氏1070度以上。
7.50E-03、摂氏860度以上。
7.50E-04、摂氏710度以上。
7.50E-05、摂氏610度以上。
7.50E-06、摂氏540度以上。
7.50E-07、摂氏490度以上。
7.50E-08、摂氏450度以上。
7.50E-09、摂氏400度以上。
7.50E-10、摂氏370度以上。
7.50E-11、摂氏340度以上。
7.50E-12、摂氏310度以上。
7.50E-13、摂氏290度以上。
表示「7.50E-13」は“7.50×10−13”を示す。この見積もりによれば、Ga照射中における真空度の値を小さくする(高真空)につれて、基板温度を小さくできる。
【0077】
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上説明したように、本実施の形態によれば、良好なオーミック接触を有するIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法が提供される。また、本実施の形態によれば、良好なオーミック接触を有するIII族窒化物半導体発光素子が提供される。
【符号の説明】
【0079】
10a…成長炉、10b…処理装置、11…基板、12…自然酸化物酸化ガリウム、13…半導体積層、13a…半導体積層の表面、E、E2…エピタキシャル基板、15…n型III族窒化物半導体領域、17…活性層、19…p型III族窒化物半導体領域、21…量子井戸構造、23…障壁層、25…井戸層、27…電子ブロック層、29…p型クラッド層、31…ガリウムフラックス、33…窒化ガリウム系半導体層、35…導電膜、SP3…基板生産物、41…III族窒化物半導体発光素子、43…第1導電型III族窒化物半導体層、45…第1導電型III族窒化物半導体層、47…活性層、49…第1のIII族窒化物半導体層、51…第2のIII族窒化物半導体層、53…電極、J1、J2…接合、55…支持基体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
III族窒化物半導体発光素子を製造する方法であって、
真空チャンバ内において摂氏300度以上の基板温度で、III族窒化物半導体の成膜を行わずにエピタキシャル基板をガリウム雰囲気にさらす工程を備え、
前記エピタキシャル基板は、窒化ガリウム系半導体からなる半極性の主面を有し、
前記エピタキシャル基板は、III族窒化物半導体からなる活性層を含む、III族窒化物半導体発光素子を製造する方法。
【請求項2】
III族窒化物半導体発光素子を製造する方法であって、
真空チャンバ内において摂氏300度以上の基板温度で、III族窒化物半導体の成膜を行わずにエピタキシャル基板をガリウム雰囲気にさらす工程と、
前記エピタキシャル基板の主面に電極のための導電膜を成膜して、基板生産物を形成する工程と、
を備え、
前記エピタキシャル基板の前記主面は、窒化ガリウム系半導体からなる半極性の主面を有し、
前記エピタキシャル基板は、III族窒化物半導体からなる活性層を含む、III族窒化物半導体発光素子を製造する方法。
【請求項3】
前記導電膜は,Au,Pd,Ni,Rh,Al,Ti,Zn,Cu,In,Ta,Pt,Tlのいずれかを含む、請求項2に記載されたIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法。
【請求項4】
前記基板生産物を前記真空チャンバから取り出した後に、前記導電膜にパターン形成を行って電極を形成する工程を更に備え、
当該方法は、前記導電膜を成膜した後に前記電極のためのアロイを行わない、請求項2又は請求項3に記載されたIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法。
【請求項5】
前記導電膜の成膜は、前記エピタキシャル基板をガリウム雰囲気にさらした後に、III族窒化物半導体の成膜を行うことなく行われる、請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法。
【請求項6】
基板の主面の上に半導体領域を成長して、前記エピタキシャル基板を形成する工程を更に備え、
前記基板の前記主面はIII族窒化物半導体からなり、
前記半導体領域は、第1導電型のIII族窒化物半導体層、前記活性層、及び第2導電型のIII族窒化物半導体層を含み、
前記エピタキシャル基板は前記基板を含み、
前記基板の前記主面は、該III族窒化物半導体のc軸に沿って延びる基準軸に直交する面から10度以上80度以下の範囲の角度で傾斜し、
前記エピタキシャル基板の前記主面は、該III族窒化物半導体のc軸に沿って延びる基準軸に直交する面から10度以上80度以下の範囲の角度で傾斜する、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法。
【請求項7】
前記エピタキシャル基板は、前記活性層の上に設けられたp型窒化ガリウム系半導体層を含み、
前記p型窒化ガリウム系半導体層はドーパントとしてマグネシウムを含み、
前記p型窒化ガリウム系半導体層の主面は前記エピタキシャル基板の前記主面を構成する、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法。
【請求項8】
前記基板温度は、前記エピタキシャル基板の形成における成膜温度のうちの最低温度以下である、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法。
【請求項9】
前記基板温度は摂氏900度以下である、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法。
【請求項10】
前記活性層はInGaN層を含み、
前記エピタキシャル基板の前記基板温度は、前記活性層の前記InGaN層の成長温度以下である、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法。
【請求項11】
前記基板の前記III族窒化物半導体はGaNであり、
前記エピタキシャル基板の前記主面はGaNからなる、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法。
【請求項12】
前記エピタキシャル基板の前記主面は、該III族窒化物半導体のc軸に沿って延びる基準軸に直交する面から63度以上80度以下の範囲の角度で傾斜する、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法。
【請求項13】
前記エピタキシャル基板をガリウム雰囲気にさらした後に前記真空チャンバ内において前記活性層の上に窒化ガリウム系半導体の成膜を行う工程を更に備える、請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法。
【請求項14】
前記エピタキシャル基板をガリウム雰囲気にさらした後に前記真空チャンバ内において成膜した窒化ガリウム系半導体層における酸素濃度は、1×1018cm−3以下である、請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−60163(P2012−60163A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−270266(P2011−270266)
【出願日】平成23年12月9日(2011.12.9)
【分割の表示】特願2010−201116(P2010−201116)の分割
【原出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】