MEMSデバイス及びその製造方法
【課題】MEMSデバイスにおいて、固定膜にクラックが発生することを防止する。
【解決手段】貫通孔15を有する基板10と、基板10の上面に配置され、下面が貫通孔15内に露出する第1の膜11と、第1の膜11との間にエアギャップ16を介在させて配置され、各々がエアギャップ16と連通する複数の孔14からなる孔群14Gを有する第2の膜13と、第1の膜11と第2の膜13との間に介在し、内部にエアギャップ16が形成された支持層17とを備え、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14は、貫通孔15における開口上端15uの開口形状に沿って、隣り合う孔14同士の間隔が均一となるように配置されている。
【解決手段】貫通孔15を有する基板10と、基板10の上面に配置され、下面が貫通孔15内に露出する第1の膜11と、第1の膜11との間にエアギャップ16を介在させて配置され、各々がエアギャップ16と連通する複数の孔14からなる孔群14Gを有する第2の膜13と、第1の膜11と第2の膜13との間に介在し、内部にエアギャップ16が形成された支持層17とを備え、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14は、貫通孔15における開口上端15uの開口形状に沿って、隣り合う孔14同士の間隔が均一となるように配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用したセンサ等のデバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体LSI(Large Scale Integration)製造分野で使用される微細加工技術を利用して、MEMS技術と呼ばれる技術が進展している。このMEMS技術を利用することにより、加速度センサ、圧力センサ、及び音響センサ等の各種微細部品が提案され、商品化され始めている。
【0003】
ここで、MEMS技術を利用したデバイス(以下、「MEMSデバイス」と称す)は、主要な構成要素として、貫通孔を有する基板と、基板の上面に配置されたダイアフラムと、ダイアフラムとの間にエアギャップを介在させて配置され、複数の孔からなる孔群を有する固定膜と、ダイアフラムと固定膜との間に介在する支持層とを備えている。
【0004】
以下に、複数の孔からなる孔群を有する固定膜の構成について、図23を参照しながら説明する(例えば特許文献1参照)。図23は、従来のMEMSデバイスにおける固定膜の構成を示す平面図である。
【0005】
図23に示すように、固定膜200に、全ての孔201が格子状に配置された孔群201Gが形成されている。孔群201Gのうち互いに近接する4コの孔201の各々の中心点を結んで形成される格子の形状は、正方形状である(図23に示す点線参照)。
【特許文献1】特表2004−506394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、MEMSデバイスの製造方法において、エアギャップ、及び支持層の形成方法として、孔群を利用して、エアギャップ、及び支持層を形成する方法がある。具体的には例えば、エッチング液を、孔群を構成する複数の孔の各々を通じて、ダイアフラムと固定膜との間に介在する犠牲層に拡散し、犠牲層のうちエッチング液が拡散した部分を除去し、犠牲層内にエアギャップを形成すると共に、犠牲層のうち除去されずに残存する部分からなる支持層を形成する,という方法がある。
【0007】
上記の方法の場合、エアギャップは、その平面形状が、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔の各々に沿った形状を有するように形成される。言い換えれば、支持層は、その内側面の形状が、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔の各々に沿った形状を有するように形成される。
【0008】
具体的には例えば、図23に示す固定膜を備えたMEMSデバイスの場合、上述の通り、エアギャップは、その平面形状が、孔群201Gのうち最も外側に位置する複数の孔201の各々に沿った形状を有するように形成されるため、エアギャップ300は、図24に示すように、その平面形状が、不均一に配置された角部C300を有するように形成される。言い換えれば、支持層は、その内側面の形状が、不均一に配置された角部を有するように形成される。
【0009】
そのため、固定膜のうち支持層と接触する部分において、不均一に配置された角部と接触する部分に印加される応力は、角部以外の部分と接触する部分に印加される応力よりも大きく、角部と接触する部分に応力が集中し、固定膜のうち応力が集中する部分にクラックが発生する。
【0010】
以上のように、本件発明者が、支持層の形成方法に着目したところ、支持層は、孔群を利用して形成されるため、支持層は、その内側面の形状が、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔の各々に沿った形状を有するように形成されることに気が付き、支持層の内側面の形状が、不均一な形状を有する場合、固定膜のうち支持層と接触する部分に、応力が集中し、クラックが発生することを見出した。
【0011】
前記に鑑み、本発明の目的は、MEMSデバイスにおいて、固定膜にクラックが発生することを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するために、本発明に係るMEMSデバイスは、貫通孔を有する基板と、基板の上面に配置され、下面が貫通孔内に露出する第1の膜と、第1の膜との間にエアギャップを介在させて配置され、各々がエアギャップと連通する複数の孔からなる孔群を有する第2の膜と、第1の膜と第2の膜との間に介在し、内部にエアギャップが形成された支持層とを備え、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔は、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置されていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るMEMSデバイスによると、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔が、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置されている。そのため、支持層は、その内側面の形状が、均一に配置された対応部を有するように形成される(即ち、支持層は、その内側面の形状が、均一な形状を有するように形成される)ため、第2の膜のうち支持層と接触する部分に、応力(具体的には例えば、第2の膜に付与された引っ張り応力等)が集中し、クラックが発生することを防止することができる。ここで、「対応部」とは、第1に例えば、孔の開口形状が四角形状の場合、四角形状に沿った角部をいう。第2に例えば、孔の開口形状が円形状の場合、円形状に沿った曲線部をいう。
【0014】
それと共に、支持層は、その内側面の形状が、均一に配置された対応部を有するように形成されるため、支持層の内側面に、応力が集中し、クラックが発生することを防止することができる。
【0015】
加えて、第2の膜にクラックが発生することを防止することができるため、第2の膜を、より大きな引っ張り応力が付与された状態で形成することができるので、第2の膜の第1の膜への貼り付き(スティッキング)が発生することを防止することができる。
【0016】
本発明に係るMEMSデバイスにおいて、支持層の内側面の形状は、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔の各々と対応して、均一に配置された対応部を有していることが好ましい。
【0017】
本発明に係るMEMSデバイスにおいて、孔群を構成する複数の孔は、格子状に配置されていることが好ましい。
【0018】
このようにすると、孔群を構成する複数の孔の各々を、第2の膜に均一に配置することができる。
【0019】
本発明に係るMEMSデバイスにおいて、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔以外の複数の孔は、格子状に配置されていることが好ましい。
【0020】
このようにすると、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔以外の複数の孔の各々を、第2の膜に均一に配置することができる。
【0021】
本発明に係るMEMSデバイスにおいて、貫通孔における開口上端の開口形状は、四角形状、六角形状、八角形状、円形状、又は楕円形状であることが好ましい。
【0022】
前記の目的を達成するために、本発明に係るMEMSデバイスの製造方法は、基板の上面に、第1の膜を形成する工程(a)と、第1の膜上に犠牲層を介して第2の膜を形成する工程(b)と、第2の膜に、各々が第2の膜を貫通する複数の孔からなる孔群を形成する工程(c)と、工程(c)の後に、基板に、内部に第1の膜の下面を露出させる貫通孔を形成する工程(d)と、工程(d)の後に、孔群を利用して、犠牲層のうち孔群を構成する複数の孔の各々と対応する部分を除去し、犠牲層内にエアギャップを形成すると共に、犠牲層のうち除去されずに残存する部分からなる支持層を形成する工程(e)とを備え、工程(c)において、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔が、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って配置され、且つ隣り合う孔14同士の間隔が均一となるように、孔群が形成され、工程(e)において、支持層の内側面の形状が、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔の各々に沿うように、支持層が形成されることを特徴とする。
【0023】
本発明に係るMEMSデバイスの製造方法によると、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置する。そのため、支持層は、その内側面の形状が、均一に配置された対応部を有するように形成されるため、第2の膜のうち支持層と接触する部分に、応力(具体的には例えば、第2の膜に付与された引っ張り応力等)が集中し、クラックが発生することを防止することができる。
【0024】
それと共に、支持層は、その内側面の形状が、均一に配置された対応部を有するように形成されるため、支持層の内側面に、応力が集中し、クラックが発生することを防止することができる。
【0025】
加えて、第2の膜にクラックが発生することを防止することができるため、第2の膜を、より大きな引っ張り応力が付与された状態で形成することができるので、エアギャップ、及び支持層の形成工程において、第2の膜の第1の膜への貼り付き(スティッキング)が発生することを防止することができる。
【0026】
本発明に係るMEMSデバイスの製造方法において、工程(e)は、エッチング液、又はエッチングガスを、孔群を構成する複数の孔の各々を通じて犠牲層に供給し、犠牲層のうちエッチング液、又はエッチングガスが供給された部分を除去する工程であることが好ましい。
【0027】
本発明に係るMEMSデバイスの製造方法において、工程(c)において、孔群を構成する複数の孔が、格子状に配置されるように、孔群が形成されることが好ましい。
【0028】
このようにすると、孔群を構成する複数の孔の各々を、第2の膜に均一に配置することができるため、エアギャップ、及び支持層の形成工程において、エッチング液、又はエッチングガスを、犠牲層に均一に拡散させることができる。
【0029】
本発明に係るMEMSデバイスの製造方法において、工程(c)において、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔以外の複数の孔が、格子状に配置されるように、孔群が形成されることが好ましい。
【0030】
このようにすると、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔以外の複数の孔の各々を、第2の膜に均一に配置することができるため、エアギャップ、及び支持層の形成工程において、エッチング液、又はエッチングガスを、犠牲層に均一に拡散させることができる。
【0031】
本発明に係るMEMSデバイスの製造方法において、工程(d)において、貫通孔における開口上端の開口形状が、四角形状、六角形状、八角形状、円形状、又は楕円形状となるように、貫通孔が形成されることが好ましい。
【0032】
なお、以上の特徴を矛盾が生じないように適宜組み合わせることができることは言うまでもない。また、それぞれの特徴において、効果が複数期待できるときも、全ての効果を発揮できなければいけないわけではない。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係るMEMSデバイス及びその製造方法によると、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置する。そのため、支持層は、その内側面の形状が、均一に配置された対応部を有するように形成されるため、第2の膜のうち支持層と接触する部分に、応力(具体的には例えば、第2の膜に付与された引っ張り応力等)が集中し、クラックが発生することを防止することができる。
【0034】
それと共に、支持層は、その内側面の形状が、均一に配置された対応部を有するように形成されるため、支持層の内側面に、応力が集中し、クラックが発生することを防止することができる。
【0035】
加えて、第2の膜にクラックが発生することを防止することができるため、第2の膜を、より大きな引っ張り応力が付与された状態で形成することができるので、エアギャップ、及び支持層の形成工程において、第2の膜の第1の膜への貼り付き(スティッキング)が発生することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0037】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスについて、図1(a) 〜(c) 、図2(a) 〜(b) 、図3(a) 〜(b) 、図4、図5、図6(a) 〜(b) 、及び図7を参照しながら説明する。
【0038】
以下に、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法について、図1(a) 〜図3(b) を参照しながら説明する。図1(a) 〜図3(b) は、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。具体的には、図1(a) 〜図3(b) の各々において、上側に示す平面図は、基板の上面側から見た平面図であり、中央に示す断面図は、断面線Ia-Ia線〜IIIb-IIIb線の各々における断面図であり、下側に示す平面図は、基板の下面側から見た平面図である。ここで、基板の上面とは、基板のうちダイアフラムが形成される面をいう。一方、基板の下面とは、基板のうちダイアフラムが形成される面と相対する面をいう。
【0039】
まず、図1(a) に示すように、(110)結晶面を有し、平面形状が菱形状の基板10を用意する。ここで、基板10の材料としては、例えばシリコンが挙げられる。
【0040】
次に、図1(b) に示すように、基板10の上面に、平面形状が菱形状のダイアフラム11を形成する。ここで、ダイアフラム11は、振動電極として機能する必要があるため、ダイアフラム11としては、導電膜からなる単層膜、又は導電膜と絶縁膜とからなる積層膜を用いることが好ましい。導電膜としては、例えば、ポリシリコン膜、又はアルミニウム膜等のメタル膜が挙げられる。また、絶縁膜としては、例えば、シリコン酸化膜、又はシリコン窒化膜が挙げられる。
【0041】
次に、図1(c) に示すように、ダイアフラム11上に、平面形状が菱形状の犠牲層12を形成する。ここで、犠牲層12の一部は、後工程において除去されて、エアギャップ(図3(b):16参照)が形成される。一方、犠牲層12のうち除去されずに残存する部分は、固定膜(図3(b):13参照)を支持する支持層(図3(b):17参照)となる。そこで、本実施形態では、犠牲層12の厚さを、所望のエアギャップの高さ(言い換えれば、所望の支持層の高さ)、例えば4μmに設定する。またここで、犠牲層12としては、絶縁膜を用いることが好ましく、絶縁膜としては、例えばシリコン酸化膜が挙げられる。
【0042】
次に、図2(a) に示すように、犠牲層12上に、平面形状が菱形状の固定膜13を形成する。ここで、固定膜13は、固定電極として機能する必要があるため、引っ張り応力が付与された状態で形成される。固定膜13としては、導電膜からなる単層膜、又は導電膜と絶縁膜とからなる積層膜を用いることが好ましい。導電膜としては、例えば、ポリシリコン膜、又はアルミニウム膜等のメタル膜が挙げられる。また、絶縁膜としては、例えば、シリコン酸化膜、又はシリコン窒化膜が挙げられる。このようにして、ダイアフラム11の上に、犠牲層12を介して、固定膜13を形成する。
【0043】
次に、図2(b) に示すように、固定膜13に、各々が、固定膜13を貫通し、且つ内部に犠牲層12の上面を露出させる複数の孔14を形成し、固定膜13に、複数の孔14からなる孔群14Gを形成する。このとき、孔群14Gは、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14が、次工程において形成される貫通孔における基板上面側の開口端(以下、「開口上端」と称す,図3(a):15u参照)の開口形状に沿って配置され、且つ隣り合う孔14同士の間隔が均一となるように形成される。またこのとき、孔群14Gは、孔群14Gを構成する複数の孔14が、格子状に配置されるように形成される。ここで、「孔群」とは、固定膜に形成された全ての孔からなる群をいう。
【0044】
次に、図3(a) に示すように、基板10の下面に、開口パターンが形成された薄膜(図示せず)を形成した後、薄膜をマスクとして、例えば、エッチング液として、KOH(水酸化カリウム)、又はTMAH(Tetramethyl Ammonium Hydroxide,(CH3)4NOH)等のアルカリ系薬液を用いて、基板10に対してウェットエッチングを行う。これにより、基板10に、基板10を貫通し、且つ内部にダイアフラム11の下面を露出させる貫通孔15を形成する。このとき、貫通孔15は、図3(a) の下側に示す平面図から判るように、基板下面側の開口端(以下、「開口下端」と称す)15lの開口形状が、菱形状となる一方、開口上端15uの開口形状が、六角形状となるように形成される。その後、薄膜を除去する。
【0045】
次に、図3(b) に示すように、例えば、エッチング液として、HF(フッ酸)等の酸性系薬液を用いて、エッチング液を、孔群14Gを構成する複数の孔14の各々を通じて、犠牲層12に拡散させる。このとき、エッチング液は、孔群14Gを構成する複数の孔14の各々を基準に外方向に拡がるように、犠牲層12に拡散する。これにより、犠牲層12のうち、エッチング液が拡散した部分を除去し、犠牲層12内にエアギャップ16を形成すると共に、犠牲層12のうち除去されずに残存する部分からなる支持層17を形成する。このように、孔群14Gを利用して、犠牲層12のうち孔群14Gを構成する複数の孔14の各々と対応する部分を除去し、エアギャップ16、及び支持層17を形成する。このとき、エアギャップ16は、その平面形状が、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14の各々に沿うように形成されると共に、支持層17は、その内側面の形状が、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14の各々に沿うように形成される。ここで、「犠牲層のうち孔群を構成する複数の孔の各々と対応する部分」とは、1)犠牲層のうち孔群を構成する複数の孔の各々の直下に位置する部分、及び2)犠牲層のうち孔群を構成する複数の孔の各々の外周下に位置する部分を含む。
【0046】
以上のようにして、本実施形態に係るMEMSデバイスを製造することができる。
【0047】
以下に、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスの構成について、図3(b) を参照しながら説明する。
【0048】
図3(b) に示すように、本実施形態に係るMEMSデバイスは、貫通孔15を有する基板10と、基板10の上面に配置され、下面の一部が貫通孔15内に露出するダイアフラム(第1の膜)11と、ダイアフラム11との間にエアギャップ16を介在させて配置され、各々がエアギャップ16と連通する複数の孔14からなる孔群14Gを有する固定膜(第2の膜)13と、ダイアフラム11と固定膜13との間に介在し、内部にエアギャップ16が形成された支持層17とを備えている。
【0049】
ここで、孔群14G、貫通孔15における開口上端15u、エアギャップ16、及び支持層17の構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。なお、図3(b) に示す孔群14Gを構成する孔14の個数と、図4に示す孔群14Gを構成する孔14の個数とは、互いに異なるが、図3(b) 及び図4に示す孔14の個数は、何れも、簡略的に図示する為の最適な個数に過ぎず、実際の個数とは異なる。
【0050】
図4に示すように、基板の下面側から上面側に向かって順に、開口上端15uの開口形状が六角形状の貫通孔、内部にエアギャップ16が形成された支持層17、及び孔群14Gが形成されている。
【0051】
ここで、エアギャップ16は、孔群14Gを利用して、犠牲層12のうち孔群14Gを構成する複数の孔14の各々と対応する部分が除去されて形成されるため、エアギャップ16の詳細な平面形状は、図4に示すように、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14の各々に沿った形状を有し、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14の各々と対応して、均一に配置された曲線部を有する。一方、エアギャップ16の概略的な平面形状は、図4に示すように、六角形状を有する(16o参照)。
【0052】
言い換えれば、支持層17は、犠牲層12のうち除去されずに残存する部分からなるため、支持層17の内側面の形状は、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14の各々に沿った形状を有し、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14の各々と対応して、均一に配置された曲線部(対応部)を有する。
【0053】
またここで、エアギャップ16は、孔群14Gを利用して形成されるため、図4に示すように、エアギャップ16の概略的な平面形状と、貫通孔における開口上端15uの開口形状とは、互いに相似の関係を満たし、エアギャップ16の概略的な平面形状は、貫通孔における開口上端15uの開口形状を拡大化させた形状を有する。
【0054】
孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14は、図4に示すように、貫通孔における開口上端15uの開口形状に沿って(言い換えれば、エアギャップ16の概略的な平面形状に沿って)、隣り合う孔14同士の間隔が均一となるように配置されている。また、孔群14Gを構成する複数の孔14は、図4に示すように、格子状に配置されている。
【0055】
貫通孔15は、図3(b) に示すように、ダイアフラム11を挟んで、エアギャップ16と対応するように形成されている。貫通孔における開口上端15uの開口面積は、図4に示すように、エアギャップ16の開口面積よりも小さく、ダイアフラム11のうち貫通孔15内に露出する部分の上面の全てが、エアギャップ16内に露出されている。
【0056】
ここで、孔群14Gの構成について、図5を参照しながら説明する。図5は、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、及びエアギャップの構成を示す平面図である。なお、図5に示す図は、図4に示す図と同一の図である。但し、図5において、簡略的に図示する為に、孔群のうち互いに近接する4コの孔以外の孔の図示、エアギャップの詳細な図示、及び支持層の図示を省略する。
【0057】
図5に示すように、孔群14Gのうち互いに近接する4コの孔14a〜14dの各々の中心点を結んで形成される格子の形状は、菱形状を有する。
【0058】
貫通孔における開口上端15uの開口形状が、
・内角A1,A4=x°
・内角A2,A3,A5,A6=180°−0.5x°
を満たす六角形状を有する場合、
孔群14Gのうち互いに近接する4コの孔14a〜14dの各々の中心点を結んで形成される格子の形状は、
・内角A14a,A14c=x°
・内角A14b,A14d=180°−x°
を満たす菱形状を有する。
【0059】
ここで、互いに近接する4コの孔14a〜14dは、図5に示すように、貫通孔における開口上端15uの開口形状における第1の辺が延びる方向を第1の辺方向D1とし、第2の辺が延びる方向を第2の辺方向D2とし、第3の辺が延びる方向を第3の辺方向D3とし、第4の辺が延びる方向を第4の辺方向D4とした場合、孔14aと孔14bとは、第1の辺方向D1に沿って隣り合って配置され、孔14bと孔14cとは、第2の辺方向D2に沿って隣り合って配置され、孔14cと孔14dとは、第3の辺方向D3に沿って隣り合って配置され、孔14dと孔14aとは、第4の辺方向D4に沿って隣り合って配置されている。
【0060】
以下に、本実施形態に係るMEMSデバイスの機能について、説明する。
【0061】
本実施形態に係るMEMSデバイスにおいて、孔群14Gを構成する複数の孔14の各々を通じて、例えば音圧、又は空気圧等が、ダイアフラム11に伝わると、ダイアフラム11のうち貫通孔15内に露出する部分が振動する。これにより、ダイアフラム11と固定膜13との距離が微小変動し(エアギャップ16の高さが微小変動し)、ダイアフラム11と固定膜13とで構成されるコンデンサの容量が変化する。この容量変化を読み取ることで、本実施形態に係るMEMSデバイスは、種々のセンサとして機能する。ここで、音圧による容量変化を読み取る場合、MEMSデバイスは、音響センサとして機能する。またここで、空気圧による容量変化を読み取る場合、MEMSデバイスは、圧力センサとして機能する。またここで、加速度変化による容量変化を読み取る場合、MEMSデバイスは、加速度センサとして機能する(この場合、複数の孔14は、空気が抜けるための孔として機能する)。
【0062】
ここで、本実施形態の効果を有効に説明するために、本実施形態と比較例とを参照しながら説明する。図6(a) は、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスにおけるエアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。但し、図6(a) において、エアギャップの概略的な図示のみを示し、エアギャップの詳細な図示を省略する。図6(b) は、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスにおける孔、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図であり、具体的には、図6(a) に示す領域Rにおける拡大平面図である。一方、図7は、比較例に係るMEMSデバイスにおける孔、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。なお、図4に示す孔14の個数と、図6(b) に示す孔14の個数とは、互いに異なるが、図4及び図6(b) に示す孔14の個数は、何れも、簡略的に図示する為の最適な個数に過ぎず、実際の個数とは異なる。
【0063】
本実施形態と、比較例との構成上の相違点は、以下に示す点である。
【0064】
本実施形態では、図6(b) に示すように、孔群のうち互いに近接する4コの孔14の各々の中心点を結んで形成される格子の形状は菱形状である。孔群のうち最も外側に位置する複数の孔14は、図6(b) に示すように、隣り合う孔14同士の間隔が均一となるように配置され(間隔W参照)、且つ図4に示すように、貫通孔における開口上端15uの開口形状に沿って配置されている。
【0065】
これに対し、比較例では、図7に示すように、孔群のうち互いに近接する4コの孔104の各々の中心点を結んで形成される格子の形状は正方形状であり、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔104は、隣り合う孔104同士の間隔が均一となるように配置されず(間隔Wl,Ws参照)、且つ図示を省略するが、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って配置されていない。ここで、図6(b) 及び図7から判るように、「孔群のうち最も外側に位置する複数の孔」とは、支持層の内側面の形状(言い換えれば、エアギャップの平面形状)の決定に寄与する複数の孔をいう。
【0066】
このように、本実施形態と比較例とでは、孔群を構成する複数の孔14,104の配置が異なる。
【0067】
本実施形態では、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔14が、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔14同士の間隔が均一となるように配置される。そのため、エアギャップ16の詳細な平面形状は、図6(b) に示すように、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔14の各々と対応して、均一に配置された曲線部を有する。これに対し、比較例では、エアギャップ106の詳細な平面形状は、図7に示すように、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔104の各々と対応して、不均一に配置された曲線部を有する。言い換えれば、本実施形態では、支持層17の内側面の形状は、均一に配置された曲線部を有するのに対し、比較例では、支持層107の内側面の形状は、不均一に配置された曲線部を有する。
【0068】
従って、本実施形態では、支持層17の内側面の形状が、均一に配置された曲線部を有するため、固定膜のうち支持層17と接触する部分に、応力(具体的には例えば、固定膜に付与された引っ張り応力等)が集中することはない。これに対し、比較例では、支持層107の内側面の形状が、不均一に配置された曲線部を有するため、固定膜のうち支持層107と接触する部分に、応力が集中する。具体的には例えば、固定膜のうち支持層107と接触する部分において、交点I107(図7参照)と接触する部分に印加される応力は、交点I107以外の部分と接触する部分に印加される応力よりも大きく、交点I107と接触する部分に応力が集中する。
【0069】
本実施形態によると、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14を、貫通孔15における開口上端15uの開口形状に沿って、隣り合う孔14同士の間隔が均一となるように配置する。そのため、支持層17は、その内側面の形状が、均一に配置された曲線部を有するように形成される(言い換えれば、支持層17は、その内側面の形状が、均一に配置された交点(ここで、「交点」とは、曲線部同士が互いに交わる点をいう)を有するように形成される)ため、固定膜13のうち支持層17と接触する部分の特定箇所(具体的には例えば、交点のうち特定の交点等)に、応力(具体的には例えば、固定膜13に付与された引っ張り応力等)が集中し、クラックが発生することを防止することができる。
【0070】
それと共に、支持層17は、その内側面の形状が、均一に配置された曲線部を有するように形成されるため、支持層17の内側面の特定箇所(具体的には例えば、交点のうち特定の交点等)に、応力が集中し、クラックが発生することを防止することができる。
【0071】
加えて、既述の通り、固定膜13にクラックが発生することを防止することができるため、固定膜13を、より大きな引っ張り応力が付与された状態で形成することができるので、エアギャップ、及び支持層の形成工程において、固定膜13のダイアフラム11への貼り付き(スティッキング)が発生することを防止することができる。
【0072】
また、孔群14Gを構成する複数の孔14を、格子状に配置することにより、孔群14Gを構成する複数の孔14の各々を、固定膜13に均一に配置することができるため、エアギャップ、及び支持層の形成工程において、エッチング液を、犠牲層12に均一に拡散させることができる。
【0073】
また、貫通孔15における開口上端15uの開口面積を、エアギャップ16の開口面積よりも小さくすることにより、ダイアフラム11のうち貫通孔15内に露出する部分の上面の全てを、エアギャップ16内に露出させることができるため、ダイアフラム11のうち貫通孔15内に露出する部分の全てを振動させることができる。
【0074】
なお、本実施形態では、エッチング液を、孔群14Gを構成する複数の孔14の各々を通じて犠牲層12に供給し、犠牲層12のうちエッチング液が供給された部分を除去する(即ち、ウェットエッチングにより、犠牲層12のうち孔群14Gを構成する複数の孔14の各々と対応する部分を除去する)場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0075】
第1に例えば、エッチングガスとして、無水弗化水素酸とメチルアルコールとの混合ガス、又は二弗化キセノンガスを用いて、エッチングガスを、孔群を構成する複数の孔の各々を通じて犠牲層に供給し、犠牲層のうちエッチングガスが供給された部分を除去してもよい(即ち、ドライエッチングにより、犠牲層のうち孔群を構成する複数の孔の各々と対応する部分を除去してもよい)。第2に例えば、ドライエッチングとウェットエッチングとを組み合わせて、犠牲層のうち孔群を構成する複数の孔の各々と対応する部分を除去してもよい。
【0076】
また、本実施形態では、図4に示すように、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14を、貫通孔における開口上端15uの開口形状に沿って、隣り合う孔14同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群14Gを構成する複数の孔14を、格子状に配置する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0077】
第1に例えば、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群のうち最も外側に位置する複数の孔以外の複数の孔(以下、「孔群のうち内側に位置する複数の孔」と称す)を、格子状に配置してもよい。
【0078】
第2に例えば、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群のうち内側に位置する複数の孔を、無秩序に配置してもよい。但し、この場合、孔群のうち内側に位置する複数の孔を、犠牲層のうち除去されるべき部分が除去されずに残存し、エアギャップの形成不良を招くことがないように配置する。
【0079】
また、第1の実施形態では、本発明の目的を効果的に達成するために、図4に示すように、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14を、貫通孔における開口上端15uの開口形状(即ち、六角形状)における全ての6辺に亘って、隣り合う孔14同士の間隔が均一となるように配置する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、六角形状における各辺毎に、隣り合う孔同士の間隔が均一となるようによう配置してもよい。
【0080】
(第1の実施形態の変形例1)
以下に、本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスについて、図8(a) 〜(c) 、図9(a) 〜(b) 、図10(a) 〜(b) 、図11、及び図12を参照しながら説明する。
【0081】
以下に、本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスの製造方法について、図8(a) 〜図10(b) を参照しながら説明する。図8(a) 〜図10(b) は、本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。具体的には、図8(a) 〜図10(b) の各々において、上側に示す平面図は、基板の上面側から見た平面図であり、中央に示す断面図は、断面線VIIIa-VIIIa線〜Xb-Xb線の各々における断面図であり、下側に示す平面図は、基板の下面側から見た平面図である。なお、図8(a) 〜図10(b) において、第1の実施形態における構成要素と同一の構成要素には、第1の実施形態における図1(a) 〜図3(b) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本変形例では、第1の実施形態と重複する説明を適宜省略する。
【0082】
まず、第1の実施形態における図1(a) 〜図2(a) に示す工程と同様に、図8(a) 〜図9(a) に示す工程を順次行い、図9(a) に示す構成を得る(即ち、第1の実施形態における図2(a) に示す構成と同様の構成を得る)。
【0083】
次に、図9(b) に示すように、固定膜13に、各々が、固定膜13を貫通し、且つ内部に犠牲層12の上面を露出させる複数の孔24を形成し、固定膜13に、複数の孔24からなる孔群24Gを形成する。このとき、孔群24Gは、孔群24Gのうち最も外側に位置する複数の孔24が、後工程において形成される貫通孔における開口上端の開口形状に沿って配置され、且つ隣り合う孔24同士の間隔が均一となるように形成される。またこのとき、孔群24Gは、孔群24Gを構成する複数の孔24が、格子状に配置されるように形成される。
【0084】
次に、図10(a) に示すように、第1の実施形態における図3(a) に示す方法と同様な方法により、基板10に、基板10を貫通し、且つ内部にダイアフラム11の下面を露出させる貫通孔25を形成する。このとき、貫通孔25は、図10(a) の下側に示す平面図から判るように、開口下端の開口形状、及び開口上端の開口形状が、菱形状となるように形成される。
【0085】
次に、図10(b) に示すように、第1の実施形態における図3(b) に示す方法と同様な方法により、孔群24Gを利用して、犠牲層12のうち孔群24Gを構成する複数の孔24の各々と対応する部分を除去し、犠牲層12内にエアギャップ26を形成すると共に、犠牲層12のうち除去されずに残存する部分からなる支持層27を形成する。
【0086】
以上のようにして、本変形例に係るMEMSデバイスを製造することができる。
【0087】
以下に、本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスの構成について、図10(b) を参照しながら説明する。
【0088】
図10(b) に示すように、本変形例に係るMEMSデバイスは、貫通孔25を有する基板10と、基板10の上面に配置され、下面の一部が貫通孔25内に露出するダイアフラム11と、ダイアフラム11との間にエアギャップ26を介在させて配置され、各々がエアギャップ26と連通する複数の孔24からなる孔群24Gを有する固定膜13と、ダイアフラム11と固定膜13との間に介在し、内部にエアギャップ26が形成された支持層27とを備えている。
【0089】
ここで、孔群24G、貫通孔25における開口上端、エアギャップ26、及び支持層27の構成について、図11を参照しながら説明する。図11は、本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。なお、図10(b) に示す孔群24Gを構成する孔24の個数と、図11に示す孔群24Gを構成する孔24の個数とは、互いに異なるが、図10(b) 及び図11に示す孔24の個数は、何れも、簡略的に図示する為の最適な個数に過ぎず、実際の個数とは異なる。
【0090】
図11に示すように、基板の下面側から上面側に向かって順に、開口上端25uの開口形状が菱形状の貫通孔、内部にエアギャップ26が形成された支持層27、及び孔群24Gが形成されている。
【0091】
ここで、エアギャップ26は、孔群24Gを利用して、犠牲層12のうち孔群24Gを構成する複数の孔24の各々と対応する部分が除去されて形成されるため、エアギャップ26の詳細な平面形状は、図11に示すように、孔群24Gのうち最も外側に位置する複数の孔24の各々に沿った形状を有し、孔群24Gのうち最も外側に位置する複数の孔24の各々と対応して、均一に配置された曲線部を有する。一方、エアギャップ26の概略的な平面形状は、図11に示すように、菱形状を有する(26o参照)。
【0092】
言い換えれば、支持層27は、犠牲層12のうち除去されずに残存する部分からなるため、支持層27の内側面の形状は、孔群24Gのうち最も外側に位置する複数の孔24の各々に沿った形状を有し、孔群24Gのうち最も外側に位置する複数の孔24の各々と対応して、均一に配置された曲線部を有する。
【0093】
またここで、エアギャップ26は、孔群24Gを利用して形成されるため、図11に示すように、エアギャップ26の概略的な平面形状と、貫通孔における開口上端25uの開口形状とは、互いに相似の関係を満たし、エアギャップ26の概略的な平面形状は、貫通孔における開口上端25uの開口形状を拡大化させた形状を有する。
【0094】
孔群24Gのうち最も外側に位置する複数の孔24は、図11に示すように、貫通孔における開口上端25uの開口形状に沿って(言い換えれば、エアギャップ26の概略的な平面形状に沿って)、隣り合う孔24同士の間隔が均一となるように配置されている。また、孔群24Gを構成する複数の孔24は、図11に示すように、格子状に配置されている。
【0095】
貫通孔25は、図10(b) に示すように、ダイアフラム11を挟んで、エアギャップ26と対応するように形成されている。貫通孔における開口上端25uの開口面積は、図11に示すように、エアギャップ26の開口面積よりも小さく、ダイアフラム11のうち貫通孔25内に露出する部分の上面の全てが、エアギャップ26内に露出されている。
【0096】
ここで、孔群24Gの構成について、図12を参照しながら説明する。図12は、本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、及びエアギャップの構成を示す平面図である。なお、図12に示す図は、図11に示す図と同一の図である。但し、図12において、簡略的に図示する為に、孔群のうち互いに近接する4コの孔以外の孔、エアギャップの詳細な図示、及び支持層の図示を省略する。
【0097】
図12に示すように、孔群24Gのうち互いに近接する4コの孔24a〜24dの各々の中心点を結んで形成される格子の形状は、菱形状を有する。
【0098】
貫通孔における開口上端25uの開口形状が、
・内角A1,A3=x°
・内角A2,A4=180°−x°
を満たす菱形状を有する場合、
孔群24Gのうち互いに近接する4コの孔24a〜24dの各々の中心点を結んで形成される格子の形状は、
・内角A24a,A24c=x°
・内角A24b,A24d=180°−x°
を満たす菱形状を有する。
【0099】
ここで、互いに近接する4コの孔24a〜24dは、図12に示すように、貫通孔における開口上端25uの開口形状における第1の辺が延びる方向を第1の辺方向D1とし、第2の辺が延びる方向を第2の辺方向D2とし、第3の辺が延びる方向を第3の辺方向D3とし、第4の辺が延びる方向を第4の辺方向D4とした場合、孔24aと孔24bとは、第1の辺方向D1に沿って隣り合って配置され、孔24bと孔24cとは、第2の辺方向D2に沿って隣り合って配置され、孔24cと孔24dとは、第3の辺方向D3に沿って隣り合って配置され、孔24dと孔24aとは、第4の辺方向D4に沿って隣り合って配置されている。
【0100】
本変形例によると、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0101】
なお、本変形例では、貫通孔における開口上端25uの開口形状が、図11に示すように、菱形状である場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、貫通孔における開口上端の開口形状が、長方形状、及び正方形状等の四角形状でもよい。
【0102】
また、本変形例では、図11に示すように、孔群24Gのうち最も外側に位置する複数の孔24を、貫通孔における開口上端25uの開口形状に沿って、隣り合う孔24同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群24Gを構成する複数の孔24を、格子状に配置する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0103】
例えば、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群のうち内側に位置する複数の孔を、格子状に配置する、又は無秩序に配置してもよい。
【0104】
また、本変形例では、本発明の目的を効果的に達成するために、図11に示すように、孔群24Gのうち最も外側に位置する複数の孔24を、貫通孔における開口上端25uの開口形状(即ち、菱形状)における全ての4辺に亘って、隣り合う孔24同士の間隔が均一となるように配置する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、菱形状における各辺毎に、隣り合う孔同士の間隔が均一となるようによう配置してもよい。
【0105】
また、第1の実施形態及びその変形例1では、基板10として、平面形状が菱形状の基板を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、平面形状が、長方形状、又は正方形状等の基板を用いてもよい。
【0106】
(第1の実施形態の変形例2)
以下に、本発明の第1の実施形態の変形例2に係るMEMSデバイスについて、図13(a) 〜(c) 、図14(a) 〜(b) 、図15(a) 〜(b) 、及び図16を参照しながら説明する。
【0107】
以下に、本発明の第1の実施形態の変形例2に係るMEMSデバイスの製造方法について、図13(a) 〜図15(b) を参照しながら説明する。図13(a) 〜図15(b) は、本発明の第1の実施形態の変形例2に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。具体的には、図13(a) 〜図15(b) の各々において、上側に示す平面図は、基板の上面側から見た平面図であり、中央に示す断面図は、断面線XIIIa-XIIIa線〜XVb-XVb線の各々における断面図であり、下側に示す平面図は、基板の下面側から見た平面図である。なお、本変形例における各構成要素の材料は、第1の実施形態における各構成要素の材料と同様である。
【0108】
まず、図13(a) に示すように、(110)結晶面を有し、平面形状が正方形状の基板30を用意する。
【0109】
次に、図13(b) に示すように、基板30の上面に、平面形状が正方形状のダイアフラム31を形成する。
【0110】
次に、図13(c) に示すように、ダイアフラム31上に、平面形状が正方形状の犠牲層32を形成する。
【0111】
次に、図14(a) に示すように、犠牲層32上に、平面形状が正方形状の固定膜33を形成する。
【0112】
次に、図14(b) に示すように、固定膜33に、各々が、固定膜33を貫通し、且つ内部に犠牲層32の上面を露出させる複数の孔34を形成し、固定膜33に、複数の孔34からなる孔群34Gを形成する。このとき、孔群34Gは、孔群34Gのうち最も外側に位置する複数の孔34が、後工程において形成される貫通孔における開口上端の開口形状に沿って配置され、且つ隣り合う孔34同士の間隔が均一となるように形成される。またこのとき、孔群34Gは、孔群34Gのうち最も外側に位置する複数の孔34以外の複数の孔34(以下、「孔群34Gのうち内側に位置する複数の孔34」と称す)が、格子状に配置されるように形成される。
【0113】
次に、図15(a) に示すように、第1の実施形態における図3(a) に示す方法と同様な方法により、基板30に、基板30を貫通し、且つ内部にダイアフラム31の下面を露出させる貫通孔35を形成する。このとき、貫通孔35は、図15(a) の下側に示す平面図から判るように、開口下端の開口形状、及び開口上端の開口形状が、八角形状となるように形成される。
【0114】
次に、図15(b) に示すように、第1の実施形態における図3(b) に示す方法と同様な方法により、孔群34Gを利用して、犠牲層32のうち孔群34Gを構成する複数の孔34の各々と対応する部分を除去し、犠牲層32内にエアギャップ36を形成すると共に、犠牲層32のうち除去されずに残存する部分からなる支持層37を形成する。
【0115】
以上のようにして、本変形例に係るMEMSデバイスを製造することができる。
【0116】
以下に、本発明の第1の実施形態の変形例2に係るMEMSデバイスの構成について、図15(b) を参照しながら説明する。
【0117】
図15(b) に示すように、本変形例に係るMEMSデバイスは、貫通孔35を有する基板30と、基板30の上面に配置され、下面の一部が貫通孔35内に露出するダイアフラム31と、ダイアフラム31との間にエアギャップ36を介在させて配置され、各々がエアギャップ36と連通する複数の孔34からなる孔群34Gを有する固定膜33と、ダイアフラム31と固定膜33との間に介在し、内部にエアギャップ36が形成された支持層37とを備えている。
【0118】
ここで、孔群34G、貫通孔35における開口上端、エアギャップ36、及び支持層37の構成について、図16を参照しながら説明する。図16は、本発明の第1の実施形態の変形例2に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。なお、図15(b) に示す孔群34Gを構成する孔34の個数と、図16に示す孔群34Gを構成する孔34の個数とは、互いに異なるが、図15(b) 及び図16に示す孔34の個数は、何れも、簡略的に図示する為の最適な個数に過ぎず、実際の個数とは異なる。
【0119】
図16に示すように、基板の下面側から上面側に向かって順に、開口上端35uの開口形状が八角形状の貫通孔、内部にエアギャップ36が形成された支持層37、及び孔群34Gが形成されている。
【0120】
ここで、エアギャップ36は、孔群34Gを利用して、犠牲層32のうち孔群34Gを構成する複数の孔34の各々と対応する部分が除去されて形成されるため、エアギャップ36の詳細な平面形状は、図16に示すように、孔群34Gのうち最も外側に位置する複数の孔34の各々に沿った形状を有し、孔群34Gのうち最も外側に位置する複数の孔34の各々と対応して、均一に配置された曲線部を有する。一方、エアギャップ36の概略的な平面形状は、図16に示すように、八角形状を有する(36o参照)。
【0121】
言い換えれば、支持層37は、犠牲層32のうち除去されずに残存する部分からなるため、支持層37の内側面の形状は、孔群34Gのうち最も外側に位置する複数の孔34の各々に沿った形状を有し、孔群34Gのうち最も外側に位置する複数の孔34の各々と対応して、均一に配置された曲線部を有する。
【0122】
またここで、エアギャップ36は、孔群34Gを利用して形成されるため、図16に示すように、エアギャップ36の概略的な平面形状と、貫通孔における開口上端35uの開口形状とは、互いに相似の関係を満たし、エアギャップ36の概略的な平面形状は、貫通孔における開口上端35uの開口形状を拡大化させた形状を有する。
【0123】
孔群34Gのうち最も外側に位置する複数の孔34は、図16に示すように、貫通孔における開口上端35uの開口形状に沿って(言い換えれば、エアギャップ36の概略的な平面形状に沿って)、隣り合う孔34同士の間隔が均一となるように配置されている。また、孔群34Gのうち内側に位置する複数の孔34(即ち、孔群34Gのうち最も外側に位置する複数の孔34以外の複数の孔34)は、図16に示すように、格子状にされている。また、内側に位置する複数の孔34のうち互いに近接する4コの孔の各々の中心点を結んで形成される格子の形状は、菱形状(又は正方形状)を有する。
【0124】
貫通孔35は、図15(b) に示すように、ダイアフラム31を挟んで、エアギャップ36と対応するように形成されている。貫通孔における開口上端35uの開口面積は、図16に示すように、エアギャップ36の開口面積よりも小さく、ダイアフラム11のうち貫通孔35内に露出する部分の上面の全てが、エアギャップ36内に露出されている。
【0125】
本変形例によると、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0126】
なお、本変形例では、図16に示すように、孔群34Gのうち最も外側に位置する複数の孔34を、貫通孔における開口上端35uの開口形状に沿って、隣り合う孔34同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群34Gのうち内側に位置する複数の孔34を、格子状に配置する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0127】
第1に例えば、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群を構成する複数の孔を、格子状に配置してもよい。
【0128】
第2に例えば、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群のうち内側に位置する複数の孔を、無秩序に配置してもよい。
【0129】
また、本変形例では、本発明の目的を効果的に達成するために、図16に示すように、孔群34Gのうち最も外側に位置する複数の孔34を、貫通孔における開口上端35uの開口形状(即ち、八角形状)における全ての8辺に亘って、隣り合う孔34同士の間隔が均一となるように配置する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、八角形状における各辺毎に、隣り合う孔同士の間隔が均一となるようによう配置してもよい。
【0130】
また、本変形例では、基板30として、平面形状が正方形状の基板を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、平面形状が、長方形状、又は菱形状等の基板を用いてもよい。
【0131】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスについて、図17(a) 〜(c) 、図18(a) 〜(b) 、図19(a) 〜(b) 、及び図20を参照しながら説明する。
【0132】
以下に、本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法について、図17(a) 〜図19(b) を参照しながら説明する。図17(a) 〜図19(b) は、本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。具体的には、図17(a) 〜図19(b) の各々において、上側に示す平面図は、基板の上面側から見た平面図であり、中央に示す断面図は、断面線XVIIa-XVIIa線〜XIXb-XIXb線の各々における断面図であり、下側に示す平面図は、基板の下面側から見た平面図である。なお、図17(a) 〜図19(b) において、第1の実施形態の変形例2における構成要素と同一の構成要素には、第1の実施形態の変形例2における図13(a) 〜図15(b) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本実施形態では、第1の実施形態の変形例2と重複する説明を適宜省略する。
【0133】
まず、第1の実施形態の変形例2における図13(a) 〜図14(a) に示す工程と同様に、図17(a) 〜図18(a) に示す工程を順次行い、図18(a) に示す構成を得る(即ち、第1の実施形態の変形例2における図14(a) に示す構成と同様の構成を得る)。
【0134】
次に、図18(b) に示すように、固定膜33に、各々が、固定膜33を貫通し、且つ内部に犠牲層32の上面を露出させる複数の孔44を形成し、固定膜33に、複数の孔44からなる孔群44Gを形成する。このとき、孔群44Gは、孔群44Gのうち最も外側に位置する複数の孔44が、後工程において形成される貫通孔における開口上端の開口形状に沿って配置され、且つ隣り合う孔44同士の間隔が均一となるように形成される。またこのとき、孔群44Gは、孔群44Gのうち最も外側に位置する複数の孔44以外の複数の孔44(以下、「孔群44Gのうち内側に位置する複数の孔44」と称す)が、格子状に配置されるように形成される。
【0135】
次に、図19(a) に示すように、第1の実施形態における図3(a) に示す方法と同様な方法により、基板30に、基板30を貫通し、且つ内部にダイアフラム31の下面を露出させる貫通孔45を形成する。このとき、貫通孔45は、図19(a) の下側に示す平面図から判るように、開口下端の開口形状、及び開口上端の開口形状が、円形状となるように形成される。
【0136】
次に、図19(b) に示すように、第1の実施形態における図3(b) に示す方法と同様な方法により、孔群44Gを利用して、犠牲層32のうち孔群44Gを構成する複数の孔44の各々と対応する部分を除去し、犠牲層32内にエアギャップ46を形成すると共に、犠牲層32のうち除去されずに残存する部分からなる支持層47を形成する。
【0137】
以上のようにして、本実施形態に係るMEMSデバイスを製造することができる。
【0138】
以下に、本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの構成について、図19(b) を参照しながら説明する。
【0139】
図19(b) に示すように、本実施形態に係るMEMSデバイスは、貫通孔45を有する基板30と、基板30の上面に配置され、下面の一部が貫通孔45内に露出するダイアフラム31と、ダイアフラム31との間にエアギャップ46を介在させて配置され、各々がエアギャップ46と連通する複数の孔44からなる孔群44Gを有する固定膜33と、ダイアフラム31と固定膜33との間に介在し、内部にエアギャップ46が形成された支持層47とを備えている。
【0140】
ここで、孔群44G、貫通孔45における開口上端、エアギャップ46、及び支持層47の構成について、図20を参照しながら説明する。図20は、本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。なお、図19(b) に示す孔群44Gを構成する孔44の個数と、図20に示す孔群44Gを構成する孔44の個数とは、互いに異なるが、図19(b) 及び図20に示す孔44の個数は、何れも、簡略的に図示する為の最適な個数に過ぎず、実際の個数とは異なる。
【0141】
図20に示すように、基板の下面側から上面側に向かって順に、開口上端45uの開口形状が円形状の貫通孔、内部にエアギャップ46が形成された支持層47、及び孔群44Gが形成されている。
【0142】
ここで、エアギャップ46は、孔群44Gを利用して、犠牲層32のうち孔群44Gを構成する複数の孔44の各々と対応する部分が除去されて形成されるため、エアギャップ46の詳細な平面形状は、図20に示すように、孔群44Gのうち最も外側に位置する複数の孔44の各々に沿った形状を有し、孔群44Gのうち最も外側に位置する複数の孔44の各々と対応して、均一に配置された曲線部を有する。一方、エアギャップ46の概略的な平面形状は、図20に示すように、円形状を有する(46o参照)。
【0143】
言い換えれば、支持層47は、犠牲層32のうち除去されずに残存する部分からなるため、支持層47の内側面の形状は、孔群44Gのうち最も外側に位置する複数の孔44の各々に沿った形状を有し、孔群44Gのうち最も外側に位置する複数の孔44の各々と対応して、均一に配置された曲線部を有する。
【0144】
またここで、エアギャップ46は、孔群44Gを利用して形成されるため、図20に示すように、エアギャップ46の概略的な平面形状と、貫通孔における開口上端45uの開口形状とは、互いに相似の関係を満たし、エアギャップ46の概略的な平面形状は、貫通孔における開口上端45uの開口形状を拡大化させた形状を有する。
【0145】
孔群44Gのうち最も外側に位置する複数の孔44は、図20に示すように、貫通孔における開口上端45uの開口形状に沿って(言い換えれば、エアギャップ46の概略的な平面形状に沿って)、隣り合う孔44同士の間隔が均一となるように配置されている。また、孔群44Gのうち内側に位置する複数の孔44(即ち、孔群44Gのうち最も外側に位置する複数の孔44以外の複数の孔44)は、図20に示すように、格子状に配置されている。また、内側に位置する複数の孔44のうち互いに近接する4コの孔の各々の中心点を結んで形成される格子の形状は、菱形状(又は正方形状)を有する。
【0146】
貫通孔45は、図19(b) に示すように、ダイアフラム31を挟んで、エアギャップ46と対応するように形成されている。貫通孔における開口上端45uの開口面積は、図20に示すように、エアギャップ46の開口面積よりも小さく、ダイアフラム31のうち貫通孔45内に露出する部分の上面の全てが、エアギャップ46内に露出されている。
【0147】
本実施形態によると、孔群44Gのうち最も外側に位置する複数の孔44を、貫通孔45における開口上端45uの開口形状に沿って、隣り合う孔44同士の間隔が均一となるように配置する。そのため、支持層47は、その内側面の形状が、均一に配置された曲線部を有するように形成される(言い換えれば、支持層47は、その内側面の形状が、均一に配置された交点を有するように形成される)ため、固定膜33のうち支持層47と接触する部分の特定箇所(具体的には例えば、交点のうち特定の交点等)に、応力(具体的には例えば、固定膜33に付与された引っ張り応力等)が集中し、クラックが発生することを防止することができる。
【0148】
それと共に、支持層47は、その内側面の形状が、均一に配置された曲線部を有するように形成されるため、支持層47の内側面の特定箇所(具体的には例えば、交点のうち特定の交点等)に、応力が集中し、クラックが発生することを防止することができる。
【0149】
加えて、既述の通り、固定膜33にクラックが発生することを防止することができるため、固定膜33を、より大きな引っ張り応力が付与された状態で形成することができるので、エアギャップ、及び支持層の形成工程において、固定膜33のダイアフラム31への貼り付き(スティッキング)が発生することを防止することができる。
【0150】
また、孔群44Gのうち内側に位置する複数の孔44を、格子状に配置することにより、孔群44Gのうち内側に位置する複数の孔44の各々を、固定膜33に均一に配置することができるため、エアギャップ、及び支持層の形成工程において、エッチング液を、犠牲層32に均一に拡散させることができる。
【0151】
また、貫通孔45における開口上端45uの開口面積を、エアギャップ46の開口面積よりも小さくすることにより、ダイアフラム31のうち貫通孔45内に露出する部分の上面の全てを、エアギャップ46内に露出させることができるため、ダイアフラム31のうち貫通孔45内に露出する部分の全てを振動させることができる。
【0152】
なお、本実施形態では、図20に示すように、孔群44Gのうち最も外側に位置する複数の孔44を、貫通孔における開口上端45uの開口形状に沿って、隣り合う孔44同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群44Gのうち内側に位置する複数の孔44を、格子状に配置する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0153】
例えば、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群のうち内側に位置する複数の孔を、同心円状に配置する、又は無秩序に配置してもよい。
【0154】
(第2の実施形態の変形例)
以下に、本発明の第2の実施形態の変形例に係るMEMSデバイスについて、図21、及び図22を参照しながら説明する。
【0155】
以下に、本発明の第2の実施形態の変形例に係るMEMSデバイスの構成について、図21を参照しながら説明する。図21は、本発明の第2の実施形態の変形例に係るMEMSデバイスの構成を示す図である。具体的には、図21において、上側に示す平面図は、基板の上面側から見た平面図であり、中央に示す断面図は、断面線XXI-XXIにおける断面図であり、下側に示す平面図は、基板の下面側から見た平面図である。ここで、図21において、第2の実施形態における構成要素と同一の構成要素には、第2の実施形態における図19(b) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本変形例では、第2の実施形態と重複する説明を適宜省略する。
【0156】
図21に示すように、本変形例に係るMEMSデバイスは、貫通孔55を有する基板30と、基板30の上面に配置され、下面の一部が貫通孔55内に露出するダイアフラム31と、ダイアフラム31との間にエアギャップ56を介在させて配置され、各々がエアギャップ56と連通する複数の孔54からなる孔群54Gを有する固定膜33と、ダイアフラム31と固定膜33との間に介在し、内部にエアギャップ56が形成された支持層57とを備えている。
【0157】
ここで、孔群54G、貫通孔55における開口上端、エアギャップ56、及び支持層57の構成について、図22を参照しながら説明する。図22は、本発明の第2の実施形態の変形例に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。なお、図21に示す孔群54Gを構成する孔54の個数と、図22に示す孔群54Gを構成する孔54の個数とは、互いに異なるが、図21及び図22に示す孔54の個数は、何れも、簡略的に図示する為の最適な個数に過ぎず、実際の個数とは異なる。
【0158】
図22に示すように、基板の下面側から上面側に向かって順に、開口上端55uの開口形状が楕円形状の貫通孔、内部にエアギャップ56が形成された支持層57、及び孔群54Gが形成されている。
【0159】
エアギャップ56の詳細な平面形状は、図22に示すように、孔群54Gのうち最も外側に位置する複数の孔54の各々に沿った形状を有し、孔群54Gのうち最も外側に位置する複数の孔54の各々と対応して、均一に配置された曲線部を有する。一方、エアギャップ56の概略的な平面形状は、図22に示すように、楕円形状を有する(56o参照)。
【0160】
支持層57の内側面の形状は、孔群54Gのうち最も外側に位置する複数の孔54の各々に沿った形状を有し、孔群54Gのうち最も外側に位置する複数の孔54の各々と対応して、均一に配置された曲線部を有する。
【0161】
図22に示すように、エアギャップ56の概略的な平面形状と、貫通孔における開口上端55uの開口形状とは、互いに相似の関係を満たし、エアギャップ56の概略的な平面形状は、貫通孔における開口上端55uの開口形状を拡大化させた形状を有する。
【0162】
孔群54Gのうち最も外側に位置する複数の孔54は、図22に示すように、貫通孔における開口上端55uの開口形状に沿って(言い換えれば、エアギャップ56の概略的な平面形状に沿って)、隣り合う孔54同士の間隔が均一となるように配置されている。また、孔群54Gのうち内側に位置する複数の孔54(即ち、孔群54Gのうち最も外側に位置する複数の孔54以外の複数の孔54)は、図22に示すように、格子状に配置されている。また、内側に位置する複数の孔54のうち互いに近接する4コの孔の各々の中心点を結んで形成される格子の形状は、菱形状(又は正方形状)を有する。
【0163】
貫通孔55は、図21に示すように、ダイアフラム31を挟んで、エアギャップ56と対応するように形成されている。貫通孔における開口上端55uの開口面積は、図22に示すように、エアギャップ56の開口面積よりも小さく、ダイアフラム31のうち貫通孔55内に露出する部分の上面の全てが、エアギャップ56内に露出されている。
【0164】
本変形例によると、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0165】
なお、本変形例では、図22に示すように、孔群54Gのうち最も外側に位置する複数の孔54を、貫通孔における開口上端55uの開口形状に沿って、隣り合う孔54同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群54Gのうち内側に位置する複数の孔54を、格子状に配置する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0166】
例えば、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群のうち内側に位置する複数の孔を、同心楕円状に配置する、又は無秩序に配置してもよい。
【0167】
また、第2の実施形態及びその変形例では、基板30として、平面形状が正方形状の基板を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、平面形状が、長方形状、又は菱形状等の基板を用いてもよい。
【0168】
また、第1の実施形態及びその変形例1,2、並びに第2の実施形態及びその変形例では、基板10,30の上面に、基板10,30と接してダイアフラム11,31を設ける場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、基板の上面に、例えば、絶縁膜からなる支持部を介在させて、ダイアフラムを設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0169】
以上説明したように、本発明は、固定膜にクラックが発生することを防止することができるため、固定膜を備えたMEMSデバイス及びその製造方法に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】(a) 〜(c) は、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図2】(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図3】(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、及びエアギャップの構成を示す平面図である。
【図6】(a) は、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスにおけるエアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図であり、(b) は、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスにおける孔、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。
【図7】比較例に係るMEMSデバイスにおける孔、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。
【図8】(a) 〜(c) は、本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図9】(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図10】(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図11】本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。
【図12】本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、及びエアギャップの構成を示す平面図である。
【図13】(a) 〜(c) は、本発明の第1の実施形態の変形例2に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図14】(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態の変形例2に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図15】(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態の変形例2に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図16】本発明の第1の実施形態の変形例2に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。
【図17】(a) 〜(c) は、本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図18】(a) 〜(b) は、本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図19】(a) 〜(b) は、本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図20】本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。
【図21】本発明の第2の実施形態の変形例に係るMEMSデバイスの構成を示す図である。
【図22】本発明の第2の実施形態の変形例に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。
【図23】従来のMEMSデバイスにおける固定膜の構成を示す平面図である。
【図24】従来のMEMSデバイスにおけるエアギャップの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0171】
10,30 基板
11,31 ダイアフラム
12,32 犠牲層
13,33 固定膜
14,24,34,44,54 孔
14G,24G,34G,44G,54G 孔群
15,25,35,45,55 貫通孔
15u,25u,35u,45u,55u 開口上端
15l 開口下端
16,26,36,46,56 エアギャップ
17,27,37,47,57 支持層
A1〜A6 内角
A14a〜A14d,A24a〜A24d 内角
D1〜D4 第1〜第4の辺方向
R 領域
I107 交点
W,Wl,Ws 間隔
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用したセンサ等のデバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体LSI(Large Scale Integration)製造分野で使用される微細加工技術を利用して、MEMS技術と呼ばれる技術が進展している。このMEMS技術を利用することにより、加速度センサ、圧力センサ、及び音響センサ等の各種微細部品が提案され、商品化され始めている。
【0003】
ここで、MEMS技術を利用したデバイス(以下、「MEMSデバイス」と称す)は、主要な構成要素として、貫通孔を有する基板と、基板の上面に配置されたダイアフラムと、ダイアフラムとの間にエアギャップを介在させて配置され、複数の孔からなる孔群を有する固定膜と、ダイアフラムと固定膜との間に介在する支持層とを備えている。
【0004】
以下に、複数の孔からなる孔群を有する固定膜の構成について、図23を参照しながら説明する(例えば特許文献1参照)。図23は、従来のMEMSデバイスにおける固定膜の構成を示す平面図である。
【0005】
図23に示すように、固定膜200に、全ての孔201が格子状に配置された孔群201Gが形成されている。孔群201Gのうち互いに近接する4コの孔201の各々の中心点を結んで形成される格子の形状は、正方形状である(図23に示す点線参照)。
【特許文献1】特表2004−506394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、MEMSデバイスの製造方法において、エアギャップ、及び支持層の形成方法として、孔群を利用して、エアギャップ、及び支持層を形成する方法がある。具体的には例えば、エッチング液を、孔群を構成する複数の孔の各々を通じて、ダイアフラムと固定膜との間に介在する犠牲層に拡散し、犠牲層のうちエッチング液が拡散した部分を除去し、犠牲層内にエアギャップを形成すると共に、犠牲層のうち除去されずに残存する部分からなる支持層を形成する,という方法がある。
【0007】
上記の方法の場合、エアギャップは、その平面形状が、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔の各々に沿った形状を有するように形成される。言い換えれば、支持層は、その内側面の形状が、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔の各々に沿った形状を有するように形成される。
【0008】
具体的には例えば、図23に示す固定膜を備えたMEMSデバイスの場合、上述の通り、エアギャップは、その平面形状が、孔群201Gのうち最も外側に位置する複数の孔201の各々に沿った形状を有するように形成されるため、エアギャップ300は、図24に示すように、その平面形状が、不均一に配置された角部C300を有するように形成される。言い換えれば、支持層は、その内側面の形状が、不均一に配置された角部を有するように形成される。
【0009】
そのため、固定膜のうち支持層と接触する部分において、不均一に配置された角部と接触する部分に印加される応力は、角部以外の部分と接触する部分に印加される応力よりも大きく、角部と接触する部分に応力が集中し、固定膜のうち応力が集中する部分にクラックが発生する。
【0010】
以上のように、本件発明者が、支持層の形成方法に着目したところ、支持層は、孔群を利用して形成されるため、支持層は、その内側面の形状が、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔の各々に沿った形状を有するように形成されることに気が付き、支持層の内側面の形状が、不均一な形状を有する場合、固定膜のうち支持層と接触する部分に、応力が集中し、クラックが発生することを見出した。
【0011】
前記に鑑み、本発明の目的は、MEMSデバイスにおいて、固定膜にクラックが発生することを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するために、本発明に係るMEMSデバイスは、貫通孔を有する基板と、基板の上面に配置され、下面が貫通孔内に露出する第1の膜と、第1の膜との間にエアギャップを介在させて配置され、各々がエアギャップと連通する複数の孔からなる孔群を有する第2の膜と、第1の膜と第2の膜との間に介在し、内部にエアギャップが形成された支持層とを備え、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔は、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置されていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るMEMSデバイスによると、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔が、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置されている。そのため、支持層は、その内側面の形状が、均一に配置された対応部を有するように形成される(即ち、支持層は、その内側面の形状が、均一な形状を有するように形成される)ため、第2の膜のうち支持層と接触する部分に、応力(具体的には例えば、第2の膜に付与された引っ張り応力等)が集中し、クラックが発生することを防止することができる。ここで、「対応部」とは、第1に例えば、孔の開口形状が四角形状の場合、四角形状に沿った角部をいう。第2に例えば、孔の開口形状が円形状の場合、円形状に沿った曲線部をいう。
【0014】
それと共に、支持層は、その内側面の形状が、均一に配置された対応部を有するように形成されるため、支持層の内側面に、応力が集中し、クラックが発生することを防止することができる。
【0015】
加えて、第2の膜にクラックが発生することを防止することができるため、第2の膜を、より大きな引っ張り応力が付与された状態で形成することができるので、第2の膜の第1の膜への貼り付き(スティッキング)が発生することを防止することができる。
【0016】
本発明に係るMEMSデバイスにおいて、支持層の内側面の形状は、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔の各々と対応して、均一に配置された対応部を有していることが好ましい。
【0017】
本発明に係るMEMSデバイスにおいて、孔群を構成する複数の孔は、格子状に配置されていることが好ましい。
【0018】
このようにすると、孔群を構成する複数の孔の各々を、第2の膜に均一に配置することができる。
【0019】
本発明に係るMEMSデバイスにおいて、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔以外の複数の孔は、格子状に配置されていることが好ましい。
【0020】
このようにすると、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔以外の複数の孔の各々を、第2の膜に均一に配置することができる。
【0021】
本発明に係るMEMSデバイスにおいて、貫通孔における開口上端の開口形状は、四角形状、六角形状、八角形状、円形状、又は楕円形状であることが好ましい。
【0022】
前記の目的を達成するために、本発明に係るMEMSデバイスの製造方法は、基板の上面に、第1の膜を形成する工程(a)と、第1の膜上に犠牲層を介して第2の膜を形成する工程(b)と、第2の膜に、各々が第2の膜を貫通する複数の孔からなる孔群を形成する工程(c)と、工程(c)の後に、基板に、内部に第1の膜の下面を露出させる貫通孔を形成する工程(d)と、工程(d)の後に、孔群を利用して、犠牲層のうち孔群を構成する複数の孔の各々と対応する部分を除去し、犠牲層内にエアギャップを形成すると共に、犠牲層のうち除去されずに残存する部分からなる支持層を形成する工程(e)とを備え、工程(c)において、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔が、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って配置され、且つ隣り合う孔14同士の間隔が均一となるように、孔群が形成され、工程(e)において、支持層の内側面の形状が、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔の各々に沿うように、支持層が形成されることを特徴とする。
【0023】
本発明に係るMEMSデバイスの製造方法によると、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置する。そのため、支持層は、その内側面の形状が、均一に配置された対応部を有するように形成されるため、第2の膜のうち支持層と接触する部分に、応力(具体的には例えば、第2の膜に付与された引っ張り応力等)が集中し、クラックが発生することを防止することができる。
【0024】
それと共に、支持層は、その内側面の形状が、均一に配置された対応部を有するように形成されるため、支持層の内側面に、応力が集中し、クラックが発生することを防止することができる。
【0025】
加えて、第2の膜にクラックが発生することを防止することができるため、第2の膜を、より大きな引っ張り応力が付与された状態で形成することができるので、エアギャップ、及び支持層の形成工程において、第2の膜の第1の膜への貼り付き(スティッキング)が発生することを防止することができる。
【0026】
本発明に係るMEMSデバイスの製造方法において、工程(e)は、エッチング液、又はエッチングガスを、孔群を構成する複数の孔の各々を通じて犠牲層に供給し、犠牲層のうちエッチング液、又はエッチングガスが供給された部分を除去する工程であることが好ましい。
【0027】
本発明に係るMEMSデバイスの製造方法において、工程(c)において、孔群を構成する複数の孔が、格子状に配置されるように、孔群が形成されることが好ましい。
【0028】
このようにすると、孔群を構成する複数の孔の各々を、第2の膜に均一に配置することができるため、エアギャップ、及び支持層の形成工程において、エッチング液、又はエッチングガスを、犠牲層に均一に拡散させることができる。
【0029】
本発明に係るMEMSデバイスの製造方法において、工程(c)において、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔以外の複数の孔が、格子状に配置されるように、孔群が形成されることが好ましい。
【0030】
このようにすると、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔以外の複数の孔の各々を、第2の膜に均一に配置することができるため、エアギャップ、及び支持層の形成工程において、エッチング液、又はエッチングガスを、犠牲層に均一に拡散させることができる。
【0031】
本発明に係るMEMSデバイスの製造方法において、工程(d)において、貫通孔における開口上端の開口形状が、四角形状、六角形状、八角形状、円形状、又は楕円形状となるように、貫通孔が形成されることが好ましい。
【0032】
なお、以上の特徴を矛盾が生じないように適宜組み合わせることができることは言うまでもない。また、それぞれの特徴において、効果が複数期待できるときも、全ての効果を発揮できなければいけないわけではない。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係るMEMSデバイス及びその製造方法によると、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置する。そのため、支持層は、その内側面の形状が、均一に配置された対応部を有するように形成されるため、第2の膜のうち支持層と接触する部分に、応力(具体的には例えば、第2の膜に付与された引っ張り応力等)が集中し、クラックが発生することを防止することができる。
【0034】
それと共に、支持層は、その内側面の形状が、均一に配置された対応部を有するように形成されるため、支持層の内側面に、応力が集中し、クラックが発生することを防止することができる。
【0035】
加えて、第2の膜にクラックが発生することを防止することができるため、第2の膜を、より大きな引っ張り応力が付与された状態で形成することができるので、エアギャップ、及び支持層の形成工程において、第2の膜の第1の膜への貼り付き(スティッキング)が発生することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0037】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスについて、図1(a) 〜(c) 、図2(a) 〜(b) 、図3(a) 〜(b) 、図4、図5、図6(a) 〜(b) 、及び図7を参照しながら説明する。
【0038】
以下に、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法について、図1(a) 〜図3(b) を参照しながら説明する。図1(a) 〜図3(b) は、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。具体的には、図1(a) 〜図3(b) の各々において、上側に示す平面図は、基板の上面側から見た平面図であり、中央に示す断面図は、断面線Ia-Ia線〜IIIb-IIIb線の各々における断面図であり、下側に示す平面図は、基板の下面側から見た平面図である。ここで、基板の上面とは、基板のうちダイアフラムが形成される面をいう。一方、基板の下面とは、基板のうちダイアフラムが形成される面と相対する面をいう。
【0039】
まず、図1(a) に示すように、(110)結晶面を有し、平面形状が菱形状の基板10を用意する。ここで、基板10の材料としては、例えばシリコンが挙げられる。
【0040】
次に、図1(b) に示すように、基板10の上面に、平面形状が菱形状のダイアフラム11を形成する。ここで、ダイアフラム11は、振動電極として機能する必要があるため、ダイアフラム11としては、導電膜からなる単層膜、又は導電膜と絶縁膜とからなる積層膜を用いることが好ましい。導電膜としては、例えば、ポリシリコン膜、又はアルミニウム膜等のメタル膜が挙げられる。また、絶縁膜としては、例えば、シリコン酸化膜、又はシリコン窒化膜が挙げられる。
【0041】
次に、図1(c) に示すように、ダイアフラム11上に、平面形状が菱形状の犠牲層12を形成する。ここで、犠牲層12の一部は、後工程において除去されて、エアギャップ(図3(b):16参照)が形成される。一方、犠牲層12のうち除去されずに残存する部分は、固定膜(図3(b):13参照)を支持する支持層(図3(b):17参照)となる。そこで、本実施形態では、犠牲層12の厚さを、所望のエアギャップの高さ(言い換えれば、所望の支持層の高さ)、例えば4μmに設定する。またここで、犠牲層12としては、絶縁膜を用いることが好ましく、絶縁膜としては、例えばシリコン酸化膜が挙げられる。
【0042】
次に、図2(a) に示すように、犠牲層12上に、平面形状が菱形状の固定膜13を形成する。ここで、固定膜13は、固定電極として機能する必要があるため、引っ張り応力が付与された状態で形成される。固定膜13としては、導電膜からなる単層膜、又は導電膜と絶縁膜とからなる積層膜を用いることが好ましい。導電膜としては、例えば、ポリシリコン膜、又はアルミニウム膜等のメタル膜が挙げられる。また、絶縁膜としては、例えば、シリコン酸化膜、又はシリコン窒化膜が挙げられる。このようにして、ダイアフラム11の上に、犠牲層12を介して、固定膜13を形成する。
【0043】
次に、図2(b) に示すように、固定膜13に、各々が、固定膜13を貫通し、且つ内部に犠牲層12の上面を露出させる複数の孔14を形成し、固定膜13に、複数の孔14からなる孔群14Gを形成する。このとき、孔群14Gは、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14が、次工程において形成される貫通孔における基板上面側の開口端(以下、「開口上端」と称す,図3(a):15u参照)の開口形状に沿って配置され、且つ隣り合う孔14同士の間隔が均一となるように形成される。またこのとき、孔群14Gは、孔群14Gを構成する複数の孔14が、格子状に配置されるように形成される。ここで、「孔群」とは、固定膜に形成された全ての孔からなる群をいう。
【0044】
次に、図3(a) に示すように、基板10の下面に、開口パターンが形成された薄膜(図示せず)を形成した後、薄膜をマスクとして、例えば、エッチング液として、KOH(水酸化カリウム)、又はTMAH(Tetramethyl Ammonium Hydroxide,(CH3)4NOH)等のアルカリ系薬液を用いて、基板10に対してウェットエッチングを行う。これにより、基板10に、基板10を貫通し、且つ内部にダイアフラム11の下面を露出させる貫通孔15を形成する。このとき、貫通孔15は、図3(a) の下側に示す平面図から判るように、基板下面側の開口端(以下、「開口下端」と称す)15lの開口形状が、菱形状となる一方、開口上端15uの開口形状が、六角形状となるように形成される。その後、薄膜を除去する。
【0045】
次に、図3(b) に示すように、例えば、エッチング液として、HF(フッ酸)等の酸性系薬液を用いて、エッチング液を、孔群14Gを構成する複数の孔14の各々を通じて、犠牲層12に拡散させる。このとき、エッチング液は、孔群14Gを構成する複数の孔14の各々を基準に外方向に拡がるように、犠牲層12に拡散する。これにより、犠牲層12のうち、エッチング液が拡散した部分を除去し、犠牲層12内にエアギャップ16を形成すると共に、犠牲層12のうち除去されずに残存する部分からなる支持層17を形成する。このように、孔群14Gを利用して、犠牲層12のうち孔群14Gを構成する複数の孔14の各々と対応する部分を除去し、エアギャップ16、及び支持層17を形成する。このとき、エアギャップ16は、その平面形状が、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14の各々に沿うように形成されると共に、支持層17は、その内側面の形状が、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14の各々に沿うように形成される。ここで、「犠牲層のうち孔群を構成する複数の孔の各々と対応する部分」とは、1)犠牲層のうち孔群を構成する複数の孔の各々の直下に位置する部分、及び2)犠牲層のうち孔群を構成する複数の孔の各々の外周下に位置する部分を含む。
【0046】
以上のようにして、本実施形態に係るMEMSデバイスを製造することができる。
【0047】
以下に、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスの構成について、図3(b) を参照しながら説明する。
【0048】
図3(b) に示すように、本実施形態に係るMEMSデバイスは、貫通孔15を有する基板10と、基板10の上面に配置され、下面の一部が貫通孔15内に露出するダイアフラム(第1の膜)11と、ダイアフラム11との間にエアギャップ16を介在させて配置され、各々がエアギャップ16と連通する複数の孔14からなる孔群14Gを有する固定膜(第2の膜)13と、ダイアフラム11と固定膜13との間に介在し、内部にエアギャップ16が形成された支持層17とを備えている。
【0049】
ここで、孔群14G、貫通孔15における開口上端15u、エアギャップ16、及び支持層17の構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。なお、図3(b) に示す孔群14Gを構成する孔14の個数と、図4に示す孔群14Gを構成する孔14の個数とは、互いに異なるが、図3(b) 及び図4に示す孔14の個数は、何れも、簡略的に図示する為の最適な個数に過ぎず、実際の個数とは異なる。
【0050】
図4に示すように、基板の下面側から上面側に向かって順に、開口上端15uの開口形状が六角形状の貫通孔、内部にエアギャップ16が形成された支持層17、及び孔群14Gが形成されている。
【0051】
ここで、エアギャップ16は、孔群14Gを利用して、犠牲層12のうち孔群14Gを構成する複数の孔14の各々と対応する部分が除去されて形成されるため、エアギャップ16の詳細な平面形状は、図4に示すように、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14の各々に沿った形状を有し、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14の各々と対応して、均一に配置された曲線部を有する。一方、エアギャップ16の概略的な平面形状は、図4に示すように、六角形状を有する(16o参照)。
【0052】
言い換えれば、支持層17は、犠牲層12のうち除去されずに残存する部分からなるため、支持層17の内側面の形状は、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14の各々に沿った形状を有し、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14の各々と対応して、均一に配置された曲線部(対応部)を有する。
【0053】
またここで、エアギャップ16は、孔群14Gを利用して形成されるため、図4に示すように、エアギャップ16の概略的な平面形状と、貫通孔における開口上端15uの開口形状とは、互いに相似の関係を満たし、エアギャップ16の概略的な平面形状は、貫通孔における開口上端15uの開口形状を拡大化させた形状を有する。
【0054】
孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14は、図4に示すように、貫通孔における開口上端15uの開口形状に沿って(言い換えれば、エアギャップ16の概略的な平面形状に沿って)、隣り合う孔14同士の間隔が均一となるように配置されている。また、孔群14Gを構成する複数の孔14は、図4に示すように、格子状に配置されている。
【0055】
貫通孔15は、図3(b) に示すように、ダイアフラム11を挟んで、エアギャップ16と対応するように形成されている。貫通孔における開口上端15uの開口面積は、図4に示すように、エアギャップ16の開口面積よりも小さく、ダイアフラム11のうち貫通孔15内に露出する部分の上面の全てが、エアギャップ16内に露出されている。
【0056】
ここで、孔群14Gの構成について、図5を参照しながら説明する。図5は、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、及びエアギャップの構成を示す平面図である。なお、図5に示す図は、図4に示す図と同一の図である。但し、図5において、簡略的に図示する為に、孔群のうち互いに近接する4コの孔以外の孔の図示、エアギャップの詳細な図示、及び支持層の図示を省略する。
【0057】
図5に示すように、孔群14Gのうち互いに近接する4コの孔14a〜14dの各々の中心点を結んで形成される格子の形状は、菱形状を有する。
【0058】
貫通孔における開口上端15uの開口形状が、
・内角A1,A4=x°
・内角A2,A3,A5,A6=180°−0.5x°
を満たす六角形状を有する場合、
孔群14Gのうち互いに近接する4コの孔14a〜14dの各々の中心点を結んで形成される格子の形状は、
・内角A14a,A14c=x°
・内角A14b,A14d=180°−x°
を満たす菱形状を有する。
【0059】
ここで、互いに近接する4コの孔14a〜14dは、図5に示すように、貫通孔における開口上端15uの開口形状における第1の辺が延びる方向を第1の辺方向D1とし、第2の辺が延びる方向を第2の辺方向D2とし、第3の辺が延びる方向を第3の辺方向D3とし、第4の辺が延びる方向を第4の辺方向D4とした場合、孔14aと孔14bとは、第1の辺方向D1に沿って隣り合って配置され、孔14bと孔14cとは、第2の辺方向D2に沿って隣り合って配置され、孔14cと孔14dとは、第3の辺方向D3に沿って隣り合って配置され、孔14dと孔14aとは、第4の辺方向D4に沿って隣り合って配置されている。
【0060】
以下に、本実施形態に係るMEMSデバイスの機能について、説明する。
【0061】
本実施形態に係るMEMSデバイスにおいて、孔群14Gを構成する複数の孔14の各々を通じて、例えば音圧、又は空気圧等が、ダイアフラム11に伝わると、ダイアフラム11のうち貫通孔15内に露出する部分が振動する。これにより、ダイアフラム11と固定膜13との距離が微小変動し(エアギャップ16の高さが微小変動し)、ダイアフラム11と固定膜13とで構成されるコンデンサの容量が変化する。この容量変化を読み取ることで、本実施形態に係るMEMSデバイスは、種々のセンサとして機能する。ここで、音圧による容量変化を読み取る場合、MEMSデバイスは、音響センサとして機能する。またここで、空気圧による容量変化を読み取る場合、MEMSデバイスは、圧力センサとして機能する。またここで、加速度変化による容量変化を読み取る場合、MEMSデバイスは、加速度センサとして機能する(この場合、複数の孔14は、空気が抜けるための孔として機能する)。
【0062】
ここで、本実施形態の効果を有効に説明するために、本実施形態と比較例とを参照しながら説明する。図6(a) は、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスにおけるエアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。但し、図6(a) において、エアギャップの概略的な図示のみを示し、エアギャップの詳細な図示を省略する。図6(b) は、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスにおける孔、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図であり、具体的には、図6(a) に示す領域Rにおける拡大平面図である。一方、図7は、比較例に係るMEMSデバイスにおける孔、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。なお、図4に示す孔14の個数と、図6(b) に示す孔14の個数とは、互いに異なるが、図4及び図6(b) に示す孔14の個数は、何れも、簡略的に図示する為の最適な個数に過ぎず、実際の個数とは異なる。
【0063】
本実施形態と、比較例との構成上の相違点は、以下に示す点である。
【0064】
本実施形態では、図6(b) に示すように、孔群のうち互いに近接する4コの孔14の各々の中心点を結んで形成される格子の形状は菱形状である。孔群のうち最も外側に位置する複数の孔14は、図6(b) に示すように、隣り合う孔14同士の間隔が均一となるように配置され(間隔W参照)、且つ図4に示すように、貫通孔における開口上端15uの開口形状に沿って配置されている。
【0065】
これに対し、比較例では、図7に示すように、孔群のうち互いに近接する4コの孔104の各々の中心点を結んで形成される格子の形状は正方形状であり、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔104は、隣り合う孔104同士の間隔が均一となるように配置されず(間隔Wl,Ws参照)、且つ図示を省略するが、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って配置されていない。ここで、図6(b) 及び図7から判るように、「孔群のうち最も外側に位置する複数の孔」とは、支持層の内側面の形状(言い換えれば、エアギャップの平面形状)の決定に寄与する複数の孔をいう。
【0066】
このように、本実施形態と比較例とでは、孔群を構成する複数の孔14,104の配置が異なる。
【0067】
本実施形態では、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔14が、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔14同士の間隔が均一となるように配置される。そのため、エアギャップ16の詳細な平面形状は、図6(b) に示すように、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔14の各々と対応して、均一に配置された曲線部を有する。これに対し、比較例では、エアギャップ106の詳細な平面形状は、図7に示すように、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔104の各々と対応して、不均一に配置された曲線部を有する。言い換えれば、本実施形態では、支持層17の内側面の形状は、均一に配置された曲線部を有するのに対し、比較例では、支持層107の内側面の形状は、不均一に配置された曲線部を有する。
【0068】
従って、本実施形態では、支持層17の内側面の形状が、均一に配置された曲線部を有するため、固定膜のうち支持層17と接触する部分に、応力(具体的には例えば、固定膜に付与された引っ張り応力等)が集中することはない。これに対し、比較例では、支持層107の内側面の形状が、不均一に配置された曲線部を有するため、固定膜のうち支持層107と接触する部分に、応力が集中する。具体的には例えば、固定膜のうち支持層107と接触する部分において、交点I107(図7参照)と接触する部分に印加される応力は、交点I107以外の部分と接触する部分に印加される応力よりも大きく、交点I107と接触する部分に応力が集中する。
【0069】
本実施形態によると、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14を、貫通孔15における開口上端15uの開口形状に沿って、隣り合う孔14同士の間隔が均一となるように配置する。そのため、支持層17は、その内側面の形状が、均一に配置された曲線部を有するように形成される(言い換えれば、支持層17は、その内側面の形状が、均一に配置された交点(ここで、「交点」とは、曲線部同士が互いに交わる点をいう)を有するように形成される)ため、固定膜13のうち支持層17と接触する部分の特定箇所(具体的には例えば、交点のうち特定の交点等)に、応力(具体的には例えば、固定膜13に付与された引っ張り応力等)が集中し、クラックが発生することを防止することができる。
【0070】
それと共に、支持層17は、その内側面の形状が、均一に配置された曲線部を有するように形成されるため、支持層17の内側面の特定箇所(具体的には例えば、交点のうち特定の交点等)に、応力が集中し、クラックが発生することを防止することができる。
【0071】
加えて、既述の通り、固定膜13にクラックが発生することを防止することができるため、固定膜13を、より大きな引っ張り応力が付与された状態で形成することができるので、エアギャップ、及び支持層の形成工程において、固定膜13のダイアフラム11への貼り付き(スティッキング)が発生することを防止することができる。
【0072】
また、孔群14Gを構成する複数の孔14を、格子状に配置することにより、孔群14Gを構成する複数の孔14の各々を、固定膜13に均一に配置することができるため、エアギャップ、及び支持層の形成工程において、エッチング液を、犠牲層12に均一に拡散させることができる。
【0073】
また、貫通孔15における開口上端15uの開口面積を、エアギャップ16の開口面積よりも小さくすることにより、ダイアフラム11のうち貫通孔15内に露出する部分の上面の全てを、エアギャップ16内に露出させることができるため、ダイアフラム11のうち貫通孔15内に露出する部分の全てを振動させることができる。
【0074】
なお、本実施形態では、エッチング液を、孔群14Gを構成する複数の孔14の各々を通じて犠牲層12に供給し、犠牲層12のうちエッチング液が供給された部分を除去する(即ち、ウェットエッチングにより、犠牲層12のうち孔群14Gを構成する複数の孔14の各々と対応する部分を除去する)場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0075】
第1に例えば、エッチングガスとして、無水弗化水素酸とメチルアルコールとの混合ガス、又は二弗化キセノンガスを用いて、エッチングガスを、孔群を構成する複数の孔の各々を通じて犠牲層に供給し、犠牲層のうちエッチングガスが供給された部分を除去してもよい(即ち、ドライエッチングにより、犠牲層のうち孔群を構成する複数の孔の各々と対応する部分を除去してもよい)。第2に例えば、ドライエッチングとウェットエッチングとを組み合わせて、犠牲層のうち孔群を構成する複数の孔の各々と対応する部分を除去してもよい。
【0076】
また、本実施形態では、図4に示すように、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14を、貫通孔における開口上端15uの開口形状に沿って、隣り合う孔14同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群14Gを構成する複数の孔14を、格子状に配置する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0077】
第1に例えば、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群のうち最も外側に位置する複数の孔以外の複数の孔(以下、「孔群のうち内側に位置する複数の孔」と称す)を、格子状に配置してもよい。
【0078】
第2に例えば、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群のうち内側に位置する複数の孔を、無秩序に配置してもよい。但し、この場合、孔群のうち内側に位置する複数の孔を、犠牲層のうち除去されるべき部分が除去されずに残存し、エアギャップの形成不良を招くことがないように配置する。
【0079】
また、第1の実施形態では、本発明の目的を効果的に達成するために、図4に示すように、孔群14Gのうち最も外側に位置する複数の孔14を、貫通孔における開口上端15uの開口形状(即ち、六角形状)における全ての6辺に亘って、隣り合う孔14同士の間隔が均一となるように配置する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、六角形状における各辺毎に、隣り合う孔同士の間隔が均一となるようによう配置してもよい。
【0080】
(第1の実施形態の変形例1)
以下に、本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスについて、図8(a) 〜(c) 、図9(a) 〜(b) 、図10(a) 〜(b) 、図11、及び図12を参照しながら説明する。
【0081】
以下に、本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスの製造方法について、図8(a) 〜図10(b) を参照しながら説明する。図8(a) 〜図10(b) は、本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。具体的には、図8(a) 〜図10(b) の各々において、上側に示す平面図は、基板の上面側から見た平面図であり、中央に示す断面図は、断面線VIIIa-VIIIa線〜Xb-Xb線の各々における断面図であり、下側に示す平面図は、基板の下面側から見た平面図である。なお、図8(a) 〜図10(b) において、第1の実施形態における構成要素と同一の構成要素には、第1の実施形態における図1(a) 〜図3(b) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本変形例では、第1の実施形態と重複する説明を適宜省略する。
【0082】
まず、第1の実施形態における図1(a) 〜図2(a) に示す工程と同様に、図8(a) 〜図9(a) に示す工程を順次行い、図9(a) に示す構成を得る(即ち、第1の実施形態における図2(a) に示す構成と同様の構成を得る)。
【0083】
次に、図9(b) に示すように、固定膜13に、各々が、固定膜13を貫通し、且つ内部に犠牲層12の上面を露出させる複数の孔24を形成し、固定膜13に、複数の孔24からなる孔群24Gを形成する。このとき、孔群24Gは、孔群24Gのうち最も外側に位置する複数の孔24が、後工程において形成される貫通孔における開口上端の開口形状に沿って配置され、且つ隣り合う孔24同士の間隔が均一となるように形成される。またこのとき、孔群24Gは、孔群24Gを構成する複数の孔24が、格子状に配置されるように形成される。
【0084】
次に、図10(a) に示すように、第1の実施形態における図3(a) に示す方法と同様な方法により、基板10に、基板10を貫通し、且つ内部にダイアフラム11の下面を露出させる貫通孔25を形成する。このとき、貫通孔25は、図10(a) の下側に示す平面図から判るように、開口下端の開口形状、及び開口上端の開口形状が、菱形状となるように形成される。
【0085】
次に、図10(b) に示すように、第1の実施形態における図3(b) に示す方法と同様な方法により、孔群24Gを利用して、犠牲層12のうち孔群24Gを構成する複数の孔24の各々と対応する部分を除去し、犠牲層12内にエアギャップ26を形成すると共に、犠牲層12のうち除去されずに残存する部分からなる支持層27を形成する。
【0086】
以上のようにして、本変形例に係るMEMSデバイスを製造することができる。
【0087】
以下に、本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスの構成について、図10(b) を参照しながら説明する。
【0088】
図10(b) に示すように、本変形例に係るMEMSデバイスは、貫通孔25を有する基板10と、基板10の上面に配置され、下面の一部が貫通孔25内に露出するダイアフラム11と、ダイアフラム11との間にエアギャップ26を介在させて配置され、各々がエアギャップ26と連通する複数の孔24からなる孔群24Gを有する固定膜13と、ダイアフラム11と固定膜13との間に介在し、内部にエアギャップ26が形成された支持層27とを備えている。
【0089】
ここで、孔群24G、貫通孔25における開口上端、エアギャップ26、及び支持層27の構成について、図11を参照しながら説明する。図11は、本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。なお、図10(b) に示す孔群24Gを構成する孔24の個数と、図11に示す孔群24Gを構成する孔24の個数とは、互いに異なるが、図10(b) 及び図11に示す孔24の個数は、何れも、簡略的に図示する為の最適な個数に過ぎず、実際の個数とは異なる。
【0090】
図11に示すように、基板の下面側から上面側に向かって順に、開口上端25uの開口形状が菱形状の貫通孔、内部にエアギャップ26が形成された支持層27、及び孔群24Gが形成されている。
【0091】
ここで、エアギャップ26は、孔群24Gを利用して、犠牲層12のうち孔群24Gを構成する複数の孔24の各々と対応する部分が除去されて形成されるため、エアギャップ26の詳細な平面形状は、図11に示すように、孔群24Gのうち最も外側に位置する複数の孔24の各々に沿った形状を有し、孔群24Gのうち最も外側に位置する複数の孔24の各々と対応して、均一に配置された曲線部を有する。一方、エアギャップ26の概略的な平面形状は、図11に示すように、菱形状を有する(26o参照)。
【0092】
言い換えれば、支持層27は、犠牲層12のうち除去されずに残存する部分からなるため、支持層27の内側面の形状は、孔群24Gのうち最も外側に位置する複数の孔24の各々に沿った形状を有し、孔群24Gのうち最も外側に位置する複数の孔24の各々と対応して、均一に配置された曲線部を有する。
【0093】
またここで、エアギャップ26は、孔群24Gを利用して形成されるため、図11に示すように、エアギャップ26の概略的な平面形状と、貫通孔における開口上端25uの開口形状とは、互いに相似の関係を満たし、エアギャップ26の概略的な平面形状は、貫通孔における開口上端25uの開口形状を拡大化させた形状を有する。
【0094】
孔群24Gのうち最も外側に位置する複数の孔24は、図11に示すように、貫通孔における開口上端25uの開口形状に沿って(言い換えれば、エアギャップ26の概略的な平面形状に沿って)、隣り合う孔24同士の間隔が均一となるように配置されている。また、孔群24Gを構成する複数の孔24は、図11に示すように、格子状に配置されている。
【0095】
貫通孔25は、図10(b) に示すように、ダイアフラム11を挟んで、エアギャップ26と対応するように形成されている。貫通孔における開口上端25uの開口面積は、図11に示すように、エアギャップ26の開口面積よりも小さく、ダイアフラム11のうち貫通孔25内に露出する部分の上面の全てが、エアギャップ26内に露出されている。
【0096】
ここで、孔群24Gの構成について、図12を参照しながら説明する。図12は、本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、及びエアギャップの構成を示す平面図である。なお、図12に示す図は、図11に示す図と同一の図である。但し、図12において、簡略的に図示する為に、孔群のうち互いに近接する4コの孔以外の孔、エアギャップの詳細な図示、及び支持層の図示を省略する。
【0097】
図12に示すように、孔群24Gのうち互いに近接する4コの孔24a〜24dの各々の中心点を結んで形成される格子の形状は、菱形状を有する。
【0098】
貫通孔における開口上端25uの開口形状が、
・内角A1,A3=x°
・内角A2,A4=180°−x°
を満たす菱形状を有する場合、
孔群24Gのうち互いに近接する4コの孔24a〜24dの各々の中心点を結んで形成される格子の形状は、
・内角A24a,A24c=x°
・内角A24b,A24d=180°−x°
を満たす菱形状を有する。
【0099】
ここで、互いに近接する4コの孔24a〜24dは、図12に示すように、貫通孔における開口上端25uの開口形状における第1の辺が延びる方向を第1の辺方向D1とし、第2の辺が延びる方向を第2の辺方向D2とし、第3の辺が延びる方向を第3の辺方向D3とし、第4の辺が延びる方向を第4の辺方向D4とした場合、孔24aと孔24bとは、第1の辺方向D1に沿って隣り合って配置され、孔24bと孔24cとは、第2の辺方向D2に沿って隣り合って配置され、孔24cと孔24dとは、第3の辺方向D3に沿って隣り合って配置され、孔24dと孔24aとは、第4の辺方向D4に沿って隣り合って配置されている。
【0100】
本変形例によると、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0101】
なお、本変形例では、貫通孔における開口上端25uの開口形状が、図11に示すように、菱形状である場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、貫通孔における開口上端の開口形状が、長方形状、及び正方形状等の四角形状でもよい。
【0102】
また、本変形例では、図11に示すように、孔群24Gのうち最も外側に位置する複数の孔24を、貫通孔における開口上端25uの開口形状に沿って、隣り合う孔24同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群24Gを構成する複数の孔24を、格子状に配置する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0103】
例えば、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群のうち内側に位置する複数の孔を、格子状に配置する、又は無秩序に配置してもよい。
【0104】
また、本変形例では、本発明の目的を効果的に達成するために、図11に示すように、孔群24Gのうち最も外側に位置する複数の孔24を、貫通孔における開口上端25uの開口形状(即ち、菱形状)における全ての4辺に亘って、隣り合う孔24同士の間隔が均一となるように配置する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、菱形状における各辺毎に、隣り合う孔同士の間隔が均一となるようによう配置してもよい。
【0105】
また、第1の実施形態及びその変形例1では、基板10として、平面形状が菱形状の基板を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、平面形状が、長方形状、又は正方形状等の基板を用いてもよい。
【0106】
(第1の実施形態の変形例2)
以下に、本発明の第1の実施形態の変形例2に係るMEMSデバイスについて、図13(a) 〜(c) 、図14(a) 〜(b) 、図15(a) 〜(b) 、及び図16を参照しながら説明する。
【0107】
以下に、本発明の第1の実施形態の変形例2に係るMEMSデバイスの製造方法について、図13(a) 〜図15(b) を参照しながら説明する。図13(a) 〜図15(b) は、本発明の第1の実施形態の変形例2に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。具体的には、図13(a) 〜図15(b) の各々において、上側に示す平面図は、基板の上面側から見た平面図であり、中央に示す断面図は、断面線XIIIa-XIIIa線〜XVb-XVb線の各々における断面図であり、下側に示す平面図は、基板の下面側から見た平面図である。なお、本変形例における各構成要素の材料は、第1の実施形態における各構成要素の材料と同様である。
【0108】
まず、図13(a) に示すように、(110)結晶面を有し、平面形状が正方形状の基板30を用意する。
【0109】
次に、図13(b) に示すように、基板30の上面に、平面形状が正方形状のダイアフラム31を形成する。
【0110】
次に、図13(c) に示すように、ダイアフラム31上に、平面形状が正方形状の犠牲層32を形成する。
【0111】
次に、図14(a) に示すように、犠牲層32上に、平面形状が正方形状の固定膜33を形成する。
【0112】
次に、図14(b) に示すように、固定膜33に、各々が、固定膜33を貫通し、且つ内部に犠牲層32の上面を露出させる複数の孔34を形成し、固定膜33に、複数の孔34からなる孔群34Gを形成する。このとき、孔群34Gは、孔群34Gのうち最も外側に位置する複数の孔34が、後工程において形成される貫通孔における開口上端の開口形状に沿って配置され、且つ隣り合う孔34同士の間隔が均一となるように形成される。またこのとき、孔群34Gは、孔群34Gのうち最も外側に位置する複数の孔34以外の複数の孔34(以下、「孔群34Gのうち内側に位置する複数の孔34」と称す)が、格子状に配置されるように形成される。
【0113】
次に、図15(a) に示すように、第1の実施形態における図3(a) に示す方法と同様な方法により、基板30に、基板30を貫通し、且つ内部にダイアフラム31の下面を露出させる貫通孔35を形成する。このとき、貫通孔35は、図15(a) の下側に示す平面図から判るように、開口下端の開口形状、及び開口上端の開口形状が、八角形状となるように形成される。
【0114】
次に、図15(b) に示すように、第1の実施形態における図3(b) に示す方法と同様な方法により、孔群34Gを利用して、犠牲層32のうち孔群34Gを構成する複数の孔34の各々と対応する部分を除去し、犠牲層32内にエアギャップ36を形成すると共に、犠牲層32のうち除去されずに残存する部分からなる支持層37を形成する。
【0115】
以上のようにして、本変形例に係るMEMSデバイスを製造することができる。
【0116】
以下に、本発明の第1の実施形態の変形例2に係るMEMSデバイスの構成について、図15(b) を参照しながら説明する。
【0117】
図15(b) に示すように、本変形例に係るMEMSデバイスは、貫通孔35を有する基板30と、基板30の上面に配置され、下面の一部が貫通孔35内に露出するダイアフラム31と、ダイアフラム31との間にエアギャップ36を介在させて配置され、各々がエアギャップ36と連通する複数の孔34からなる孔群34Gを有する固定膜33と、ダイアフラム31と固定膜33との間に介在し、内部にエアギャップ36が形成された支持層37とを備えている。
【0118】
ここで、孔群34G、貫通孔35における開口上端、エアギャップ36、及び支持層37の構成について、図16を参照しながら説明する。図16は、本発明の第1の実施形態の変形例2に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。なお、図15(b) に示す孔群34Gを構成する孔34の個数と、図16に示す孔群34Gを構成する孔34の個数とは、互いに異なるが、図15(b) 及び図16に示す孔34の個数は、何れも、簡略的に図示する為の最適な個数に過ぎず、実際の個数とは異なる。
【0119】
図16に示すように、基板の下面側から上面側に向かって順に、開口上端35uの開口形状が八角形状の貫通孔、内部にエアギャップ36が形成された支持層37、及び孔群34Gが形成されている。
【0120】
ここで、エアギャップ36は、孔群34Gを利用して、犠牲層32のうち孔群34Gを構成する複数の孔34の各々と対応する部分が除去されて形成されるため、エアギャップ36の詳細な平面形状は、図16に示すように、孔群34Gのうち最も外側に位置する複数の孔34の各々に沿った形状を有し、孔群34Gのうち最も外側に位置する複数の孔34の各々と対応して、均一に配置された曲線部を有する。一方、エアギャップ36の概略的な平面形状は、図16に示すように、八角形状を有する(36o参照)。
【0121】
言い換えれば、支持層37は、犠牲層32のうち除去されずに残存する部分からなるため、支持層37の内側面の形状は、孔群34Gのうち最も外側に位置する複数の孔34の各々に沿った形状を有し、孔群34Gのうち最も外側に位置する複数の孔34の各々と対応して、均一に配置された曲線部を有する。
【0122】
またここで、エアギャップ36は、孔群34Gを利用して形成されるため、図16に示すように、エアギャップ36の概略的な平面形状と、貫通孔における開口上端35uの開口形状とは、互いに相似の関係を満たし、エアギャップ36の概略的な平面形状は、貫通孔における開口上端35uの開口形状を拡大化させた形状を有する。
【0123】
孔群34Gのうち最も外側に位置する複数の孔34は、図16に示すように、貫通孔における開口上端35uの開口形状に沿って(言い換えれば、エアギャップ36の概略的な平面形状に沿って)、隣り合う孔34同士の間隔が均一となるように配置されている。また、孔群34Gのうち内側に位置する複数の孔34(即ち、孔群34Gのうち最も外側に位置する複数の孔34以外の複数の孔34)は、図16に示すように、格子状にされている。また、内側に位置する複数の孔34のうち互いに近接する4コの孔の各々の中心点を結んで形成される格子の形状は、菱形状(又は正方形状)を有する。
【0124】
貫通孔35は、図15(b) に示すように、ダイアフラム31を挟んで、エアギャップ36と対応するように形成されている。貫通孔における開口上端35uの開口面積は、図16に示すように、エアギャップ36の開口面積よりも小さく、ダイアフラム11のうち貫通孔35内に露出する部分の上面の全てが、エアギャップ36内に露出されている。
【0125】
本変形例によると、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0126】
なお、本変形例では、図16に示すように、孔群34Gのうち最も外側に位置する複数の孔34を、貫通孔における開口上端35uの開口形状に沿って、隣り合う孔34同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群34Gのうち内側に位置する複数の孔34を、格子状に配置する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0127】
第1に例えば、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群を構成する複数の孔を、格子状に配置してもよい。
【0128】
第2に例えば、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群のうち内側に位置する複数の孔を、無秩序に配置してもよい。
【0129】
また、本変形例では、本発明の目的を効果的に達成するために、図16に示すように、孔群34Gのうち最も外側に位置する複数の孔34を、貫通孔における開口上端35uの開口形状(即ち、八角形状)における全ての8辺に亘って、隣り合う孔34同士の間隔が均一となるように配置する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、八角形状における各辺毎に、隣り合う孔同士の間隔が均一となるようによう配置してもよい。
【0130】
また、本変形例では、基板30として、平面形状が正方形状の基板を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、平面形状が、長方形状、又は菱形状等の基板を用いてもよい。
【0131】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスについて、図17(a) 〜(c) 、図18(a) 〜(b) 、図19(a) 〜(b) 、及び図20を参照しながら説明する。
【0132】
以下に、本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法について、図17(a) 〜図19(b) を参照しながら説明する。図17(a) 〜図19(b) は、本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。具体的には、図17(a) 〜図19(b) の各々において、上側に示す平面図は、基板の上面側から見た平面図であり、中央に示す断面図は、断面線XVIIa-XVIIa線〜XIXb-XIXb線の各々における断面図であり、下側に示す平面図は、基板の下面側から見た平面図である。なお、図17(a) 〜図19(b) において、第1の実施形態の変形例2における構成要素と同一の構成要素には、第1の実施形態の変形例2における図13(a) 〜図15(b) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本実施形態では、第1の実施形態の変形例2と重複する説明を適宜省略する。
【0133】
まず、第1の実施形態の変形例2における図13(a) 〜図14(a) に示す工程と同様に、図17(a) 〜図18(a) に示す工程を順次行い、図18(a) に示す構成を得る(即ち、第1の実施形態の変形例2における図14(a) に示す構成と同様の構成を得る)。
【0134】
次に、図18(b) に示すように、固定膜33に、各々が、固定膜33を貫通し、且つ内部に犠牲層32の上面を露出させる複数の孔44を形成し、固定膜33に、複数の孔44からなる孔群44Gを形成する。このとき、孔群44Gは、孔群44Gのうち最も外側に位置する複数の孔44が、後工程において形成される貫通孔における開口上端の開口形状に沿って配置され、且つ隣り合う孔44同士の間隔が均一となるように形成される。またこのとき、孔群44Gは、孔群44Gのうち最も外側に位置する複数の孔44以外の複数の孔44(以下、「孔群44Gのうち内側に位置する複数の孔44」と称す)が、格子状に配置されるように形成される。
【0135】
次に、図19(a) に示すように、第1の実施形態における図3(a) に示す方法と同様な方法により、基板30に、基板30を貫通し、且つ内部にダイアフラム31の下面を露出させる貫通孔45を形成する。このとき、貫通孔45は、図19(a) の下側に示す平面図から判るように、開口下端の開口形状、及び開口上端の開口形状が、円形状となるように形成される。
【0136】
次に、図19(b) に示すように、第1の実施形態における図3(b) に示す方法と同様な方法により、孔群44Gを利用して、犠牲層32のうち孔群44Gを構成する複数の孔44の各々と対応する部分を除去し、犠牲層32内にエアギャップ46を形成すると共に、犠牲層32のうち除去されずに残存する部分からなる支持層47を形成する。
【0137】
以上のようにして、本実施形態に係るMEMSデバイスを製造することができる。
【0138】
以下に、本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの構成について、図19(b) を参照しながら説明する。
【0139】
図19(b) に示すように、本実施形態に係るMEMSデバイスは、貫通孔45を有する基板30と、基板30の上面に配置され、下面の一部が貫通孔45内に露出するダイアフラム31と、ダイアフラム31との間にエアギャップ46を介在させて配置され、各々がエアギャップ46と連通する複数の孔44からなる孔群44Gを有する固定膜33と、ダイアフラム31と固定膜33との間に介在し、内部にエアギャップ46が形成された支持層47とを備えている。
【0140】
ここで、孔群44G、貫通孔45における開口上端、エアギャップ46、及び支持層47の構成について、図20を参照しながら説明する。図20は、本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。なお、図19(b) に示す孔群44Gを構成する孔44の個数と、図20に示す孔群44Gを構成する孔44の個数とは、互いに異なるが、図19(b) 及び図20に示す孔44の個数は、何れも、簡略的に図示する為の最適な個数に過ぎず、実際の個数とは異なる。
【0141】
図20に示すように、基板の下面側から上面側に向かって順に、開口上端45uの開口形状が円形状の貫通孔、内部にエアギャップ46が形成された支持層47、及び孔群44Gが形成されている。
【0142】
ここで、エアギャップ46は、孔群44Gを利用して、犠牲層32のうち孔群44Gを構成する複数の孔44の各々と対応する部分が除去されて形成されるため、エアギャップ46の詳細な平面形状は、図20に示すように、孔群44Gのうち最も外側に位置する複数の孔44の各々に沿った形状を有し、孔群44Gのうち最も外側に位置する複数の孔44の各々と対応して、均一に配置された曲線部を有する。一方、エアギャップ46の概略的な平面形状は、図20に示すように、円形状を有する(46o参照)。
【0143】
言い換えれば、支持層47は、犠牲層32のうち除去されずに残存する部分からなるため、支持層47の内側面の形状は、孔群44Gのうち最も外側に位置する複数の孔44の各々に沿った形状を有し、孔群44Gのうち最も外側に位置する複数の孔44の各々と対応して、均一に配置された曲線部を有する。
【0144】
またここで、エアギャップ46は、孔群44Gを利用して形成されるため、図20に示すように、エアギャップ46の概略的な平面形状と、貫通孔における開口上端45uの開口形状とは、互いに相似の関係を満たし、エアギャップ46の概略的な平面形状は、貫通孔における開口上端45uの開口形状を拡大化させた形状を有する。
【0145】
孔群44Gのうち最も外側に位置する複数の孔44は、図20に示すように、貫通孔における開口上端45uの開口形状に沿って(言い換えれば、エアギャップ46の概略的な平面形状に沿って)、隣り合う孔44同士の間隔が均一となるように配置されている。また、孔群44Gのうち内側に位置する複数の孔44(即ち、孔群44Gのうち最も外側に位置する複数の孔44以外の複数の孔44)は、図20に示すように、格子状に配置されている。また、内側に位置する複数の孔44のうち互いに近接する4コの孔の各々の中心点を結んで形成される格子の形状は、菱形状(又は正方形状)を有する。
【0146】
貫通孔45は、図19(b) に示すように、ダイアフラム31を挟んで、エアギャップ46と対応するように形成されている。貫通孔における開口上端45uの開口面積は、図20に示すように、エアギャップ46の開口面積よりも小さく、ダイアフラム31のうち貫通孔45内に露出する部分の上面の全てが、エアギャップ46内に露出されている。
【0147】
本実施形態によると、孔群44Gのうち最も外側に位置する複数の孔44を、貫通孔45における開口上端45uの開口形状に沿って、隣り合う孔44同士の間隔が均一となるように配置する。そのため、支持層47は、その内側面の形状が、均一に配置された曲線部を有するように形成される(言い換えれば、支持層47は、その内側面の形状が、均一に配置された交点を有するように形成される)ため、固定膜33のうち支持層47と接触する部分の特定箇所(具体的には例えば、交点のうち特定の交点等)に、応力(具体的には例えば、固定膜33に付与された引っ張り応力等)が集中し、クラックが発生することを防止することができる。
【0148】
それと共に、支持層47は、その内側面の形状が、均一に配置された曲線部を有するように形成されるため、支持層47の内側面の特定箇所(具体的には例えば、交点のうち特定の交点等)に、応力が集中し、クラックが発生することを防止することができる。
【0149】
加えて、既述の通り、固定膜33にクラックが発生することを防止することができるため、固定膜33を、より大きな引っ張り応力が付与された状態で形成することができるので、エアギャップ、及び支持層の形成工程において、固定膜33のダイアフラム31への貼り付き(スティッキング)が発生することを防止することができる。
【0150】
また、孔群44Gのうち内側に位置する複数の孔44を、格子状に配置することにより、孔群44Gのうち内側に位置する複数の孔44の各々を、固定膜33に均一に配置することができるため、エアギャップ、及び支持層の形成工程において、エッチング液を、犠牲層32に均一に拡散させることができる。
【0151】
また、貫通孔45における開口上端45uの開口面積を、エアギャップ46の開口面積よりも小さくすることにより、ダイアフラム31のうち貫通孔45内に露出する部分の上面の全てを、エアギャップ46内に露出させることができるため、ダイアフラム31のうち貫通孔45内に露出する部分の全てを振動させることができる。
【0152】
なお、本実施形態では、図20に示すように、孔群44Gのうち最も外側に位置する複数の孔44を、貫通孔における開口上端45uの開口形状に沿って、隣り合う孔44同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群44Gのうち内側に位置する複数の孔44を、格子状に配置する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0153】
例えば、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群のうち内側に位置する複数の孔を、同心円状に配置する、又は無秩序に配置してもよい。
【0154】
(第2の実施形態の変形例)
以下に、本発明の第2の実施形態の変形例に係るMEMSデバイスについて、図21、及び図22を参照しながら説明する。
【0155】
以下に、本発明の第2の実施形態の変形例に係るMEMSデバイスの構成について、図21を参照しながら説明する。図21は、本発明の第2の実施形態の変形例に係るMEMSデバイスの構成を示す図である。具体的には、図21において、上側に示す平面図は、基板の上面側から見た平面図であり、中央に示す断面図は、断面線XXI-XXIにおける断面図であり、下側に示す平面図は、基板の下面側から見た平面図である。ここで、図21において、第2の実施形態における構成要素と同一の構成要素には、第2の実施形態における図19(b) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本変形例では、第2の実施形態と重複する説明を適宜省略する。
【0156】
図21に示すように、本変形例に係るMEMSデバイスは、貫通孔55を有する基板30と、基板30の上面に配置され、下面の一部が貫通孔55内に露出するダイアフラム31と、ダイアフラム31との間にエアギャップ56を介在させて配置され、各々がエアギャップ56と連通する複数の孔54からなる孔群54Gを有する固定膜33と、ダイアフラム31と固定膜33との間に介在し、内部にエアギャップ56が形成された支持層57とを備えている。
【0157】
ここで、孔群54G、貫通孔55における開口上端、エアギャップ56、及び支持層57の構成について、図22を参照しながら説明する。図22は、本発明の第2の実施形態の変形例に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。なお、図21に示す孔群54Gを構成する孔54の個数と、図22に示す孔群54Gを構成する孔54の個数とは、互いに異なるが、図21及び図22に示す孔54の個数は、何れも、簡略的に図示する為の最適な個数に過ぎず、実際の個数とは異なる。
【0158】
図22に示すように、基板の下面側から上面側に向かって順に、開口上端55uの開口形状が楕円形状の貫通孔、内部にエアギャップ56が形成された支持層57、及び孔群54Gが形成されている。
【0159】
エアギャップ56の詳細な平面形状は、図22に示すように、孔群54Gのうち最も外側に位置する複数の孔54の各々に沿った形状を有し、孔群54Gのうち最も外側に位置する複数の孔54の各々と対応して、均一に配置された曲線部を有する。一方、エアギャップ56の概略的な平面形状は、図22に示すように、楕円形状を有する(56o参照)。
【0160】
支持層57の内側面の形状は、孔群54Gのうち最も外側に位置する複数の孔54の各々に沿った形状を有し、孔群54Gのうち最も外側に位置する複数の孔54の各々と対応して、均一に配置された曲線部を有する。
【0161】
図22に示すように、エアギャップ56の概略的な平面形状と、貫通孔における開口上端55uの開口形状とは、互いに相似の関係を満たし、エアギャップ56の概略的な平面形状は、貫通孔における開口上端55uの開口形状を拡大化させた形状を有する。
【0162】
孔群54Gのうち最も外側に位置する複数の孔54は、図22に示すように、貫通孔における開口上端55uの開口形状に沿って(言い換えれば、エアギャップ56の概略的な平面形状に沿って)、隣り合う孔54同士の間隔が均一となるように配置されている。また、孔群54Gのうち内側に位置する複数の孔54(即ち、孔群54Gのうち最も外側に位置する複数の孔54以外の複数の孔54)は、図22に示すように、格子状に配置されている。また、内側に位置する複数の孔54のうち互いに近接する4コの孔の各々の中心点を結んで形成される格子の形状は、菱形状(又は正方形状)を有する。
【0163】
貫通孔55は、図21に示すように、ダイアフラム31を挟んで、エアギャップ56と対応するように形成されている。貫通孔における開口上端55uの開口面積は、図22に示すように、エアギャップ56の開口面積よりも小さく、ダイアフラム31のうち貫通孔55内に露出する部分の上面の全てが、エアギャップ56内に露出されている。
【0164】
本変形例によると、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0165】
なお、本変形例では、図22に示すように、孔群54Gのうち最も外側に位置する複数の孔54を、貫通孔における開口上端55uの開口形状に沿って、隣り合う孔54同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群54Gのうち内側に位置する複数の孔54を、格子状に配置する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0166】
例えば、孔群のうち最も外側に位置する複数の孔を、貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置し、且つ孔群のうち内側に位置する複数の孔を、同心楕円状に配置する、又は無秩序に配置してもよい。
【0167】
また、第2の実施形態及びその変形例では、基板30として、平面形状が正方形状の基板を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、平面形状が、長方形状、又は菱形状等の基板を用いてもよい。
【0168】
また、第1の実施形態及びその変形例1,2、並びに第2の実施形態及びその変形例では、基板10,30の上面に、基板10,30と接してダイアフラム11,31を設ける場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、基板の上面に、例えば、絶縁膜からなる支持部を介在させて、ダイアフラムを設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0169】
以上説明したように、本発明は、固定膜にクラックが発生することを防止することができるため、固定膜を備えたMEMSデバイス及びその製造方法に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】(a) 〜(c) は、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図2】(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図3】(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、及びエアギャップの構成を示す平面図である。
【図6】(a) は、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスにおけるエアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図であり、(b) は、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスにおける孔、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。
【図7】比較例に係るMEMSデバイスにおける孔、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。
【図8】(a) 〜(c) は、本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図9】(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図10】(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図11】本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。
【図12】本発明の第1の実施形態の変形例1に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、及びエアギャップの構成を示す平面図である。
【図13】(a) 〜(c) は、本発明の第1の実施形態の変形例2に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図14】(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態の変形例2に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図15】(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態の変形例2に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図16】本発明の第1の実施形態の変形例2に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。
【図17】(a) 〜(c) は、本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図18】(a) 〜(b) は、本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図19】(a) 〜(b) は、本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を工程順に示す要部工程図である。
【図20】本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。
【図21】本発明の第2の実施形態の変形例に係るMEMSデバイスの構成を示す図である。
【図22】本発明の第2の実施形態の変形例に係るMEMSデバイスにおける孔群、貫通孔における開口上端、エアギャップ、及び支持層の構成を示す平面図である。
【図23】従来のMEMSデバイスにおける固定膜の構成を示す平面図である。
【図24】従来のMEMSデバイスにおけるエアギャップの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0171】
10,30 基板
11,31 ダイアフラム
12,32 犠牲層
13,33 固定膜
14,24,34,44,54 孔
14G,24G,34G,44G,54G 孔群
15,25,35,45,55 貫通孔
15u,25u,35u,45u,55u 開口上端
15l 開口下端
16,26,36,46,56 エアギャップ
17,27,37,47,57 支持層
A1〜A6 内角
A14a〜A14d,A24a〜A24d 内角
D1〜D4 第1〜第4の辺方向
R 領域
I107 交点
W,Wl,Ws 間隔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有する基板と、
基板の上面に配置され、下面が貫通孔内に露出する第1の膜と、
前記第1の膜との間にエアギャップを介在させて配置され、各々が前記エアギャップと連通する複数の孔からなる孔群を有する第2の膜と、
前記第1の膜と前記第2の膜との間に介在し、内部に前記エアギャップが形成された支持層とを備え、
前記孔群のうち最も外側に位置する複数の孔は、前記貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置されていることを特徴とするMEMSデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のMEMSデバイスにおいて、
前記支持層の内側面の形状は、前記孔群のうち最も外側に位置する複数の孔の各々と対応して、均一に配置された対応部を有していることを特徴とするMEMSデバイス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のMEMSデバイスにおいて、
前記孔群を構成する複数の孔は、格子状に配置されていることを特徴とするMEMSデバイス。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のMEMSデバイスにおいて、
前記孔群のうち最も外側に位置する複数の孔以外の複数の孔は、格子状に配置されていることを特徴とするMEMSデバイス。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のMEMSデバイスにおいて、
前記貫通孔における開口上端の開口形状は、四角形状、六角形状、八角形状、円形状、又は楕円形状であることを特徴とするMEMSデバイス。
【請求項6】
基板の上面に、第1の膜を形成する工程(a)と、
前記第1の膜上に犠牲層を介して第2の膜を形成する工程(b)と、
前記第2の膜に、各々が前記第2の膜を貫通する複数の孔からなる孔群を形成する工程(c)と、
前記工程(c)の後に、前記基板に、内部に前記第1の膜の下面を露出させる貫通孔を形成する工程(d)と、
前記工程(d)の後に、前記孔群を利用して、前記犠牲層のうち前記孔群を構成する複数の孔の各々と対応する部分を除去し、前記犠牲層内にエアギャップを形成すると共に、前記犠牲層のうち除去されずに残存する部分からなる支持層を形成する工程(e)とを備え、
前記工程(c)において、前記孔群のうち最も外側に位置する複数の孔が、前記貫通孔における開口上端の開口形状に沿って配置され、且つ隣り合う孔同士の間隔が均一となるように、前記孔群が形成され、
前記工程(e)において、前記支持層の内側面の形状が、前記孔群のうち最も外側に位置する複数の孔の各々に沿うように、前記支持層が形成されることを特徴とするMEMSデバイスの製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載のMEMSデバイスの製造方法において、
前記工程(e)は、エッチング液、又はエッチングガスを、前記孔群を構成する複数の孔の各々を通じて前記犠牲層に供給し、前記犠牲層のうち前記エッチング液、又は前記エッチングガスが供給された部分を除去する工程であることを特徴とするMEMSデバイスの製造方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のMEMSデバイスの製造方法において、
前記工程(c)において、前記孔群を構成する複数の孔が、格子状に配置されるように、前記孔群が形成されることを特徴とするMEMSデバイスの製造方法。
【請求項9】
請求項6又は7に記載のMEMSデバイスの製造方法において、
前記工程(c)において、前記孔群のうち最も外側に位置する複数の孔以外の複数の孔が、格子状に配置されるように、前記孔群が形成されることを特徴とするMEMSデバイスの製造方法。
【請求項10】
請求項6〜9のうちいずれか1項に記載のMEMSデバイスの製造方法において、
前記工程(d)において、前記貫通孔における開口上端の開口形状が、四角形状、六角形状、八角形状、円形状、又は楕円形状となるように、前記貫通孔が形成されることを特徴とするMEMSデバイスの製造方法。
【請求項1】
貫通孔を有する基板と、
基板の上面に配置され、下面が貫通孔内に露出する第1の膜と、
前記第1の膜との間にエアギャップを介在させて配置され、各々が前記エアギャップと連通する複数の孔からなる孔群を有する第2の膜と、
前記第1の膜と前記第2の膜との間に介在し、内部に前記エアギャップが形成された支持層とを備え、
前記孔群のうち最も外側に位置する複数の孔は、前記貫通孔における開口上端の開口形状に沿って、隣り合う孔同士の間隔が均一となるように配置されていることを特徴とするMEMSデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のMEMSデバイスにおいて、
前記支持層の内側面の形状は、前記孔群のうち最も外側に位置する複数の孔の各々と対応して、均一に配置された対応部を有していることを特徴とするMEMSデバイス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のMEMSデバイスにおいて、
前記孔群を構成する複数の孔は、格子状に配置されていることを特徴とするMEMSデバイス。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のMEMSデバイスにおいて、
前記孔群のうち最も外側に位置する複数の孔以外の複数の孔は、格子状に配置されていることを特徴とするMEMSデバイス。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のMEMSデバイスにおいて、
前記貫通孔における開口上端の開口形状は、四角形状、六角形状、八角形状、円形状、又は楕円形状であることを特徴とするMEMSデバイス。
【請求項6】
基板の上面に、第1の膜を形成する工程(a)と、
前記第1の膜上に犠牲層を介して第2の膜を形成する工程(b)と、
前記第2の膜に、各々が前記第2の膜を貫通する複数の孔からなる孔群を形成する工程(c)と、
前記工程(c)の後に、前記基板に、内部に前記第1の膜の下面を露出させる貫通孔を形成する工程(d)と、
前記工程(d)の後に、前記孔群を利用して、前記犠牲層のうち前記孔群を構成する複数の孔の各々と対応する部分を除去し、前記犠牲層内にエアギャップを形成すると共に、前記犠牲層のうち除去されずに残存する部分からなる支持層を形成する工程(e)とを備え、
前記工程(c)において、前記孔群のうち最も外側に位置する複数の孔が、前記貫通孔における開口上端の開口形状に沿って配置され、且つ隣り合う孔同士の間隔が均一となるように、前記孔群が形成され、
前記工程(e)において、前記支持層の内側面の形状が、前記孔群のうち最も外側に位置する複数の孔の各々に沿うように、前記支持層が形成されることを特徴とするMEMSデバイスの製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載のMEMSデバイスの製造方法において、
前記工程(e)は、エッチング液、又はエッチングガスを、前記孔群を構成する複数の孔の各々を通じて前記犠牲層に供給し、前記犠牲層のうち前記エッチング液、又は前記エッチングガスが供給された部分を除去する工程であることを特徴とするMEMSデバイスの製造方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のMEMSデバイスの製造方法において、
前記工程(c)において、前記孔群を構成する複数の孔が、格子状に配置されるように、前記孔群が形成されることを特徴とするMEMSデバイスの製造方法。
【請求項9】
請求項6又は7に記載のMEMSデバイスの製造方法において、
前記工程(c)において、前記孔群のうち最も外側に位置する複数の孔以外の複数の孔が、格子状に配置されるように、前記孔群が形成されることを特徴とするMEMSデバイスの製造方法。
【請求項10】
請求項6〜9のうちいずれか1項に記載のMEMSデバイスの製造方法において、
前記工程(d)において、前記貫通孔における開口上端の開口形状が、四角形状、六角形状、八角形状、円形状、又は楕円形状となるように、前記貫通孔が形成されることを特徴とするMEMSデバイスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2010−155306(P2010−155306A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335032(P2008−335032)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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