MEMS共振器、MEMS発振回路及びMEMSデバイス
【課題】オーバートーン技術を用いず、基本波及び高調波の少なくとも一つの周波数で共振することができ、しかも共振周波数を変更することができかつ従来技術に比較して小さい駆動電圧で励振できる共振器、それを用いた発振回路及びMEMSデバイスを提供する。
【解決手段】基板10上に電気的に絶縁されかつ少なくとも一個の固定端で固定された可動主ビーム3と、可動主ビーム3から延在するように形成された少なくとも一本の可動副ビーム4と、可動副ビーム4に近接するように設けられた少なくとも一個の励振電極5とを備えたMEMS共振器が提供される。励振電極5を交流信号を用いて励振することにより、可動副ビーム4を静電気力により励振して振動させ、基本共振周波数及びその高調波周波数のうちの少なくとも一つの周波数で共振する。
【解決手段】基板10上に電気的に絶縁されかつ少なくとも一個の固定端で固定された可動主ビーム3と、可動主ビーム3から延在するように形成された少なくとも一本の可動副ビーム4と、可動副ビーム4に近接するように設けられた少なくとも一個の励振電極5とを備えたMEMS共振器が提供される。励振電極5を交流信号を用いて励振することにより、可動副ビーム4を静電気力により励振して振動させ、基本共振周波数及びその高調波周波数のうちの少なくとも一つの周波数で共振する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の微細加工技術を利用して極微細でメカニカルな機構を実現できるMEMS(Micro-Electro-Mechanical System)技術を用いて形成されたMEMS共振器及びそれを用いたMEMS発振回路、並びに上記MEMS共振器を用いたMEMSデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、RF技術に対する需要が急激に増大している。機能の多様性やユーザの急激な増大にともないRF機器に対してさまざまな要求がなされるようになってきた。特に、限られたRF周波数を有効に活用する必要から発振器に対して、小型化、低コスト化に加えて複数の周波数を直接発生する(マルチクロック)機能が望まれている。このような社会的背景から、MEMS技術が携帯無線端末機器応用で注目されるようになってきた。これは、MEMSデバイスが低消費電力、高密度実装、広帯域特性等の特徴があるからである。
【0003】
MEMS共振器の研究は、1990年代後半から米国を中心に活発になってきた。現在、二三の企業がサンプルを提供するまでになっている。これら製品は主に水晶発振子を代替とするものでデバイスの小型化を特徴としている。一方、MEMS共振器の可能性は単なる水晶代替にかわるものに制限されず、例えば、MEMS共振器のマルチクロック機能は、水晶発振子のオーバトーン技術とは異なって新たな市場を創出することが期待されている。
【0004】
例えば、非特許文献1においては、振動するRF−MEMS発振器について概説されており、ここで、RF−MEMS発振器は、ビーム型、ディスク型、リング型及びFBAR(Film Bulk Acoustic Resonators)に分類されている。この中で本発明に関連する従来技術として、非特許文献2に開示された「フリー・フリー・ビーム型MEMS共振器」について、図18を参照して以下に説明する(例えば、特許文献1及び2においても記載されている。)。
【0005】
当該従来例に係る「フリー・フリー・ビーム型MEMS共振器」は、図18に示すように、接地平面及び検出電極90上の各アンカー102においてそれぞれ固定された4本のばね101によって支持された中央のビーム100(フリー・フリー・共振ビームと呼ばれる。)がその中央下部に設けられて交流信号Viにより励振された電極91によって静電気力を受けることにより湾曲振動するものである。ここで、103は凹部であり、104はフレキシャルモードのノードポイントであり、検出電極90に発振信号出力回路110が接続されている。当該共振器の振動の基本モードは中央のビーム100が上下方向で湾曲する形状であり、大きな振幅をもつ部分(振動の腹)が、中央と両端の3箇所となる。波の波形を考慮すると、この振動モードは1/2波長をもつ波であることがわかる。そして、当該論文では、さまざまな寸法をもつデバイスを設計して、30−90MHzの共振周波数をもつデバイスを試作したことが報告されている。
【0006】
【特許文献1】米国特許第6490147号の明細書。
【特許文献2】特開2007−184931号公報。
【非特許文献1】Wan-Thai Hsu, “Vibrating RF MEMS for Timing and Frequency References”, Digests of IEEE MTT-S 2006 International Microwave Symposium, pp.672-675, 2006.
【非特許文献2】Kun Wang et al., “VHF Free-Free Beam High-Q Micromechanical Resonators”, Journal of Microelectromechanical Systems, Vol.9, No.3, pp.347-360, September 2000.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、当該従来例に係る「フリー・フリー・ビーム型MEMS共振器」においては、共振周波数がデバイスの寸法によって決定される。例えば、共振ビーム長が16μmと14μmとしたときに対応する共振周波数がそれぞれ50MHzと70MHzであった。このように、従来技術では1個のデバイスからは1個の共振周波数しか取り出すことができなかった。これには、以下の理由がある。一般的には、基本波の整数倍の高調波の振動を励起することが可能であるが、ここに示した振動ビームを支える支持ばねは、高調波を抑える機能をもっていたため、当該共振器から取り出せる周波数が一定のものに制限されたのである。このように、この従来技術の構造は周波数を可変することができないという問題があった。
【0008】
また、振動ビームに対向して設けられた電極から発生した静電気力を直接振動ビームに作用させるので、より高い周波数になるに従って、振動ビームの寸法が小型化して励振電極と対向する面積が減少するために静電気力を有効に作用させることが困難になり、駆動電圧が増大するという問題があった。
【0009】
一方、この従来例のように振動ビームの変形方向である横の振動の節の部分に4本の支持ばね101を設ける構造とは別に、振動ビームの両端を固定するという他の構造も従来から報告されている。この場合には、基本波以外にも高調波を利用することが可能である。しかしながら、この構造の問題点は、高調波が常にこれよりも低次の高調波よりも振幅が小さいということである。このため、オーバートーン技術を用いて複数の共振周波数を利用することができるが、高次の共振周波数を利用するに従って発振波形にひずみが生じ、また、低次の周波数を抑えるフィルタ回路が必要となるという問題があった。
【0010】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、オーバートーン技術を用いず、基本波及び高調波の少なくとも一つの周波数で共振することができ、しかも共振周波数を変更することができかつ従来技術に比較して小さい駆動電圧で励振できる共振器、それを用いた発振回路及びMEMSデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明に係るMEMS共振器は、
基板上に電気的に絶縁されかつ少なくとも一個の固定端で固定された可動主ビームと、
上記可動主ビームから延在するように形成された少なくとも一本の可動副ビームと、
上記可動副ビームに近接するように設けられた少なくとも一個の励振電極とを備えたMEMS共振器であって、
上記励振電極を交流信号を用いて励振することにより、上記可動副ビームを静電気力により励振して振動させ、基本共振周波数及びその高調波周波数のうちの少なくとも一つの周波数で共振することを特徴とする。
【0012】
上記MEMS共振器において、上記励振電極の数及び上記可動副ビームに対する上記励振電極の位置のうち少なくとも一方を変化することにより共振周波数を変化させることを特徴とする。
【0013】
また、上記MEMS共振器において、上記可動主ビームは二個の固定端で固定されたことを特徴とする。
【0014】
さらに、上記MEMS共振器において、上記基板は誘電体基板又は半導体基板であり、上記可動主ビーム及び上記可動副ビームは導電性材料又は半導体材料で形成されたことを特徴とする。
【0015】
第2の発明に係るMEMS発振回路は、上記MEMS共振器を備え、上記MEMS共振器の共振周波数と同一の周波数で発振することを特徴とする。
【0016】
第3の発明に係るMEMSデバイスは、上記MEMS共振器を備え、上記MEMS共振器の共振状態を利用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
従って、本発明に係るMEMS共振器によれば、オーバートーン技術を用いず、基本波及び高調波の少なくとも一つの周波数で共振することができ、しかも共振周波数を変更することができかつ従来技術に比較して小さい駆動電圧で励振できる。そして、当該MEMS共振器を用いて極めて小さい周波数可変小型発振器や、上記MEMS共振器の共振状態を利用したMEMSデバイスを構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0019】
図1は本発明の一実施形態に係るMEMS共振器の構造を示す斜視図であり、図2は図1の可動主ビーム3付近の拡大図である。また、図3は図1の可動副ビーム4と、励振電極5の励振アーム5bとの間の位置関係を示す平面図であり、図4は図1のMEMS共振器の側面図である。
【0020】
図1及び図2において、ガラス基板10上にMEMS共振器の固定端となる、例えば単結晶シリコンにてなるアンカー部1,2が所定の間隔だけ離隔してかつガラス基板10とは電気的に絶縁されて形成されている。アンカー部1,2は例えば長方形と三角形とを組み合わせた平面形状を有し、その各頂点1a,2aが対向するようにアンカー部1,2が配置される。各頂点1a,2a間には、アンカー部1,2から延在してこれらを連結しかつガラス基板10から所定の間隔の空隙11(図4)を有して振動可能に形成された単結晶シリコンにてなる可動主ビーム3が形成され、当該可動主ビーム3の長手方向に対して実質的に直交する方向でその両側面から突出して延在するように形成された単結晶シリコンにてなる複数本の可動副ビーム4が形成される。図1の実施形態では、可動主ビーム3の長手方向に対して直交する方向で可動主ビーム3を突き刺すように6本の可動副ビーム4が形成されている。可動主ビーム3と可動副ビーム4との組み合わせ形状は、図1から明らかなように、いわゆる魚の骨形状(フイッシュボーン形状)を有する。
【0021】
そして、ガラス基板10上に、各励振電極5,6,7の励振アーム5a,5b,6a,6b,7a,7bが異なる可動副ビーム3と近接しかつ例えばその側面と対向するように、励振電極5,6,7がそれぞれ形成される。例えば、図3の拡大図に示すように、可動副ビーム4は、励振電極5の励振アーム5bとオーバーラップ長Lo及び、それらの間隔であるギャップgとを有するように配置されており、励振電極6,7に対しても同様の配置関係で配置される。
【0022】
以上の実施形態においては、ガラス基板10を用いているが、本発明はこれに限らず、他の誘電体基板、もしくはGaAs基板などの半導体基板を用いてもよい。また、励振電極5,6,7の各励振アーム5a,5b,6a,6b,7a,7bによる励振は、可動副ビーム4の側面から実行しているが、本発明はこれに限らず、所定の間隔gだけ離隔して励振すればよく、可動副ビーム4の下面から又は上面から行ってもよい。
【0023】
さらに、アンカー部1,2,可動主ビーム3及び可動副ビーム4はともに単結晶Siにて形成しているが、本発明はこれに限らず、Au,Ag,Cu,Alなどの金属等の導電性材料、もしくは、ポリシリコン、アモルファスシリコン、GaAs、GaAsP、GaN、SiCなどの半導体材料で形成してもよい。もしくは、アンカー部1,2,可動主ビーム3及び可動副ビーム4はともに誘電体材料の表面を金属材料などでメッキ処理して形成してもよい。また、可動副ビーム4は可動主ビーム3から所定の角度で少なくとも延在するように形成すればよい。
【0024】
図5は図1のMEMS共振器を用いたMEMS発振器の平面構造及び電気回路を示す回路図である。図5において、可動主ビーム3の中央部に位置する2本の可動副ビーム4間に挿入するように、可動主ビーム3の両側でそれぞれ励振電極5,15の励振アーム5a,5b,15a,15bが可動副ビーム4と近接しかつ対向するように配置形成されている。また、励振電極5,15の図上右側(アンカー部2に向う方向)において、可動主ビーム3の両側でそれぞれ励振電極8,18の励振アーム8a,8b,18a,18bが可動副ビーム4と近接しかつ対向するように配置形成されている。さらに、励振電極8,18の図上右側(アンカー部2に向う方向)において、可動主ビーム3の両側でそれぞれ励振電極7,17の励振アーム7a,7b,17a,17bが可動副ビーム4と近接しかつ対向するように配置形成されている。一方、励振電極5,15の図上左側(アンカー部1に向う方向)において、可動主ビーム3の両側でそれぞれ励振電極9,19の励振アーム9a,9b,19a,19bが可動副ビーム4と近接しかつ対向するように配置形成されている。さらに、励振電極9,19の図上左側(アンカー部1に向う方向)において、可動主ビーム3の両側でそれぞれ励振電極6,16の励振アーム6a,6b,16a,16bが可動副ビーム4と近接しかつ対向するように配置形成されている。
【0025】
アンカー部1は、カップリングキャパシタCcを介して出力端子Toに接続され、高周波阻止用インダクタLbを介してバイアス電圧源Baが接続されている。励振信号発生器60は、例えば1kHz〜1GHzなどの励振周波数を有し、各励振電極5〜9及び15〜19を励振するための励振信号を発生し、スイッチ61を介して励振電極5に出力し、スイッチ62を介して励振電極15に出力し、スイッチ63を介して励振電極6及び7に出力し、スイッチ64を介して励振電極16及び17に出力し、スイッチ65を介して励振電極8及び9に出力し、スイッチ66を介して励振電極18及19に出力する。
【0026】
以上のように構成されたMEMS共振器の電気回路において、スイッチ61〜66をオンすることにより所定の励振電極5〜9及び15〜19を励振することができる。そのシミュレーション結果については詳細後述する。
【0027】
図6及び図7は図1のMEMS共振器の製造工程を示す縦断面図である。以下、図6及び図7を参照して図1のMEMS共振器の製造工程について説明する。
【0028】
図6(a)に示すように、まず、絶縁物上シリコン(Silicon On Insulator)ウエハ(以下、SOIウエハという。)70Aを用意する。ここで、SOIウエハ70Aは、シリコン基板70上に埋込層であるSiO2絶縁層71を介してSi活性層72が形成されて構成されている。次いで、図6(b)に示すように、SOIウエハ70A上にCr層73をパターンニングすることにより形成した後、図6(c)に示すように、フォトレジスト層74をパターンニングすることにより形成する。そして、図6(d)に示すように、深い深度を有するイオン結合プラズマ反応性イオン・エッチング(ICP−RIE)法を用いて所定のパターンでSi活性層72をエッチングした後、図7(a)に示すように、浅い深度を有するイオン結合プラズマ反応性イオン・エッチング(ICP−RIE)法を用いて所定のパターンでフォトレジスト層74をエッチングする。
【0029】
次いで、図7(b)に示すように、上記得られたデバイスを表裏逆にしてガラス基板10上で、突出しているSi活性層72を所定の接着剤でボンディングする。ここで、75は接着層を示す。そして、図7(c)に示すように、所定のエッチング法を用いておもて面のシリコン基板70の層をエッチングすることにより、図7(d)のMEMS共振器のデバイスを得ることができる。
【0030】
以上の実施形態においては、接着層75を用いて接着しているが、本発明はこれに限らず、以下の方法で接着してもよい。図7(b)において、シリコンデバイス(SOIウエハ70Aを含む形成物)を表裏逆にしてガラス基板10上で、突出しているSi活性層72を直接にガラス基板10に静電ボンディング方法を利用して接着する。これは、シリコンデバイスとガラス基板10を約400゜Cに加熱して、シリコンデバイスを陽極にしてシリコンデバイスとガラス基板10との間に500V程度の電圧を印加することによって実現することができる。接着層75を使用しないために、デバイスの長期安定性に役立つ効果がある。
【0031】
次いで、本実施形態に係るMEMS共振器の動作について、可動主ビーム3のみを有するMEMS共振器の動作と比較して以下に説明する。
【0032】
図8(a)は比較例に係る、可動主ビーム3のみを有するMEMS共振器の構造を示す平面図であり、図8(b)は図8(a)のMEMS共振器の振動状態を示す平面図である。また、図9(a)は本実施形態に係る、1個の励振電極5を有するMEMS共振器の構造を示す平面図であり、図9(b)は図9(a)のMEMS共振器の振動状態を示す平面図である。図8に示すように、比較例に係る可動主ビーム3のみを有するMEMS共振器において、励振電極5により可動主ビーム3を励振したとき、可動主ビーム3と直交する方向で静電気力81が発生して矢印82の方向で振動する。一方、実施形態に係る可動主ビーム3及び可動副ビーム4を有するMEMS共振器では、励振電極5により可動主ビーム3を励振したとき、可動副ビーム4と概ね直交する方向で静電気力81が発生して矢印82の方向で振動する。
【0033】
図10(a)は本実施形態に係るMEMS共振器の基本共振周波数モードにおける振動状態を示す平面図である。これは、図5のスイッチ61のみをオンして中央部の励振電極5のみで励振した場合であって、一次の共振周波数モード(基本波共振周波数モード)で振動する。
【0034】
図10(b)は本実施形態に係るMEMS共振器の三次高調波共振周波数モードにおける振動状態を示す平面図である。これは、図5のスイッチ63のみをオンして所定の間隔だけ離隔されかつ可動主ビーム3の一方の側に位置する2つの励振電極6,7で励振した場合であって、三次の高調波共振周波数モードで振動する。
【0035】
図10(c)は本実施形態に係るMEMS共振器の二次高調波共振周波数モードにおける振動状態を示す平面図である。これは、図5のスイッチ66のみをオンして所定の間隔だけ離隔されかつ可動主ビーム3の互いに異なる側に位置する2つの励振電極18,19で励振した場合であって、二次の高調波共振周波数モードで振動する。
【0036】
図11は図5のMEMS共振器においてスイッチ61のみをオンして励振電極5のみを励振したときの発振信号のスペクトラムを示す図である。図11から明らかなように、一次の共振周波数モード(基本波共振周波数モード)及び三次の高調波共振周波数モードの発振信号を得ることができる。ここで、三次の高調波共振周波数モードの発振信号の振幅は比較的小さく、その発振モードは、一次の共振周波数モード(基本波共振周波数モード)のオーバートーンで発振しているものと考えられる。
【0037】
図12は図5のMEMS共振器においてスイッチ63のみをオンして励振電極6,7のみを励振したときの発振信号のスペクトラムを示す図である。図12から明らかなように、一次の共振周波数モード(基本波共振周波数モード)及び三次の高調波共振周波数モードの発振信号を得ることができる。ここで、三次の高調波共振周波数モードの発振信号の振幅は図11よりも大きく、その発振モードは、一次の共振周波数モード(基本波共振周波数モード)のオーバートーンではなく、自己の振動で発振しているものと考えられる。
【0038】
図13は図5のMEMS共振器においてスイッチ65のみをオンして励振電極8,9のみを励振したときの発振信号のスペクトラムを示す図である。図12から明らかなように、二次の高調波共振周波数モード及び四次の高調波共振周波数モードの発振信号を得ることができる。この発振モードは両方の発振信号とも比較的大きな振動振幅が得られており自己の振動で発振しているものと考えられる。
【0039】
図14は図8の比較例と、図9の実施形態との比較結果であってオーバーラップ長Loに対する振動振幅を示すグラフである。図14から明らかなように、オーバーラップ長Loを大きくすることにより、可動主ビーム3のみの比較例に比較して大きな振動振幅を得ることができることがわかる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、励振電極5〜9及び15〜19の数及び配置位置を変更することにより、基本波共振周波数のみならず、種々の高調波共振周波数でそれらの周波数を変化させて共振させることができる。
【0041】
また、従来例では、上述したように、振動ビームに対向して設けられた電極から発生した静電気力を直接振動ビームに作用させるので、より高い周波数になるに従って、振動ビームの寸法が小型化して励振電極と対向する面積が減少するために静電気力を有効に作用させることが困難になり、駆動電圧が増大するという問題があった。これに対して、本実施形態では、図9(b)に示すように励振電極から発生する静電気力が可動副ビーム4に作用し、可動副ビーム4を介して可動主ビーム3に力が伝達されるようになっている。可動副ビーム4と励振電極との対向面積は、可動主ビーム3が短くなっても大きくとることが可能である。このため、設計自由度が増大し、駆動電圧を大幅に低減させることができる。
【0042】
さらに、本実施形態では、可動副ビーム4の長さ及びその形成間隔、数を変化させた共振器を作成することにより、多数の共振周波数をもつMEMS共振器を実現することができる。また、これらの中から、励振電極の数及び配置位置の選択によって所望の共振周波数の発振信号を取り出すことが可能となる。なお、励振信号の周波数を走査することにより、当該MEMS共振器の共振状態(最大振幅を得る)となる共振周波数を検出することができる。
【0043】
さらに、励振電極の数及び配置位置の選択によって選択的に高次モードのQ値を高くすることができ、さらに、励振電極の位置の組み合わせを変更することにより、共振周波数のQ値を変化させることができる。
【0044】
変形例.
図15は本発明の変形例に係る片持ちビームの場合のMEMS共振器を示す平面図である。上記の実施形態では、両端で固定された両持ちビームを形成しているが、本発明はこれに限らず、図15のように、片側のアンカー部1のみで固定された片持ちビーム形状で形成してもよい。
【0045】
図16は本実施形態のMEMS共振器を用いたMEMS発振回路を示す回路図である。図16のMEMS発振回路は、MEMS共振器50を用いたCMOSインバータ発振回路である。図16において、MEMS共振器50の一端はインバータ51の入力端子に接続されるとともに、キャパシタC1を介して接地される。MEMS共振器50の他端は抵抗R2を介してインバータ51の出力端子に接続されるとともに、キャパシタC2を介して接地される。インバータ51の入力端子及び出力端子の間には帰還抵抗R1が接続され、インバータ51の出力端子から出力される発振信号はインバータ52を介して出力端子T1,T2に出力される。以上のように構成されたMEMS共振器50を用いたCMOSインバータ発振回路では、比較的高いQを有するMEMS共振器50を用いて発振器回路を構成しているので、共振周波数又はその高調波周波数と同一である安定な発振周波数を有する発振信号を直接にかつ比較的高い周波数(例えば100〜1000MHzなど)で発生することができ、しかも、上述のように、発振周波数を変化させることができる。
【0046】
図17は本実施形態のMEMS共振器を用いた帯域除去フィルタを示す回路図である。図17において、第1の端子T11,T12と、第2の端子T13,T14との間に、並列LC共振回路を構成するMEMS共振器50が挿入されているので、帯域除去フィルタを構成することができる。以上のように構成されたMEMS共振器50を用いた帯域除去フィルタでは、比較的高いQを有するMEMS共振器50を用いて帯域除去フィルタを構成しているので、除去帯域が狭帯域であって安定であり、しかも、上述のように、除去帯域の周波数を変化させることができる。なお、当該帯域除去フィルタは、MEMS共振器を備え、上記MEMS共振器の共振状態を利用することを特徴とするMEMSデバイスの一例である。
【実施例】
【0047】
本発明者により試作されたMEMS共振器の一例の仕様を以下の表に示す。
【0048】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上詳述したように、本発明に係るMEMS共振器によれば、オーバートーン技術を用いず、基本波及び高調波の少なくとも一つの周波数で共振することができ、しかも共振周波数を変更することができかつ従来技術に比較して小さい駆動電圧で励振できる。そして、当該MEMS共振器を用いて極めて小さい周波数可変小型発振器や、上記MEMS共振器の共振状態を利用したMEMSデバイスを構成することができる。本発明に係るMEMS共振器、MEMS発振回路及びMEMSデバイスは、特に、携帯電話や無線LANなどのRF−MEMSデバイスとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態に係るMEMS共振器の構造を示す斜視図である。
【図2】図1の可動主ビーム3付近の拡大図である。
【図3】図1の可動副ビーム4と、励振電極5の励振アーム5bとの間の位置関係を示す平面図である。
【図4】図1のMEMS共振器の側面図である。
【図5】図1のMEMS共振器を用いたMEMS発振器の平面構造及び電気回路を示す回路図である。
【図6】図1のMEMS共振器の製造工程を示す図であって、(a)はその第1の工程を示す縦断面図であり、(b)はその第2の工程を示す縦断面図であり、(c)はその第3の工程を示す縦断面図であり、(d)はその第4の工程を示す縦断面図である。
【図7】図1のMEMS共振器の製造工程を示す図であって、(a)はその第5の工程を示す縦断面図であり、(b)はその第6の工程を示す縦断面図であり、(c)はその第7の工程を示す縦断面図であり、(d)はその第8の工程を示す縦断面図である。
【図8】(a)は比較例に係る、可動主ビーム3のみを有するMEMS共振器の構造を示す平面図であり、(b)は(a)のMEMS共振器の振動状態を示す平面図である。
【図9】(a)は本実施形態に係る、1個の励振電極5を有するMEMS共振器の構造を示す平面図であり、(b)は(a)のMEMS共振器の振動状態を示す平面図である。
【図10】(a)は本実施形態に係るMEMS共振器の基本共振周波数モードにおける振動状態を示す平面図であり、(b)は本実施形態に係るMEMS共振器の三次高調波共振周波数モードにおける振動状態を示す平面図であり、(c)は本実施形態に係るMEMS共振器の二次高調波共振周波数モードにおける振動状態を示す平面図である。
【図11】図5のMEMS共振器においてスイッチ61のみをオンして励振電極5のみを励振したときの発振信号のスペクトラムを示す図である。
【図12】図5のMEMS共振器においてスイッチ63のみをオンして励振電極6,7のみを励振したときの発振信号のスペクトラムを示す図である。
【図13】図5のMEMS共振器においてスイッチ65のみをオンして励振電極8,9のみを励振したときの発振信号のスペクトラムを示す図である。
【図14】図8の比較例と、図9の実施形態との比較結果であってオーバーラップ長Loに対する振動振幅を示すグラフである。
【図15】本発明の変形例に係る片持ちビームの場合のMEMS共振器を示す平面図である。
【図16】本実施形態のMEMS共振器を用いたMEMS発振回路を示す回路図である。
【図17】本実施形態のMEMS共振器を用いた帯域除去フィルタを示す回路図である。
【図18】従来技術に係るフリー・フリー・ビーム型MEMS共振器の構成を示す斜視図及び電気回路図である。
【符号の説明】
【0051】
1,2…アンカー部、
1a,2a…頂点、
3…可動主ビーム、
4…可動副ビーム、
5,6,7,8,9,15,16,17,18,19…励振電極、
5a,5b,6a,6b,7a,7b…励振アーム、
10…ガラス基板、
11…空隙、
50…MEMS共振器、
51,52…インバータ、
60…励振信号発生器、
61〜66…スイッチ、
70A…SOIウエハ、
70…シリコン基板、
71…SiO2絶縁層、
72…シリコン活性層、
73…Cr層、
74…フォトレジスト層、
75…接着層、
R1,R2…抵抗、
C1,C2…キャパシタ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の微細加工技術を利用して極微細でメカニカルな機構を実現できるMEMS(Micro-Electro-Mechanical System)技術を用いて形成されたMEMS共振器及びそれを用いたMEMS発振回路、並びに上記MEMS共振器を用いたMEMSデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、RF技術に対する需要が急激に増大している。機能の多様性やユーザの急激な増大にともないRF機器に対してさまざまな要求がなされるようになってきた。特に、限られたRF周波数を有効に活用する必要から発振器に対して、小型化、低コスト化に加えて複数の周波数を直接発生する(マルチクロック)機能が望まれている。このような社会的背景から、MEMS技術が携帯無線端末機器応用で注目されるようになってきた。これは、MEMSデバイスが低消費電力、高密度実装、広帯域特性等の特徴があるからである。
【0003】
MEMS共振器の研究は、1990年代後半から米国を中心に活発になってきた。現在、二三の企業がサンプルを提供するまでになっている。これら製品は主に水晶発振子を代替とするものでデバイスの小型化を特徴としている。一方、MEMS共振器の可能性は単なる水晶代替にかわるものに制限されず、例えば、MEMS共振器のマルチクロック機能は、水晶発振子のオーバトーン技術とは異なって新たな市場を創出することが期待されている。
【0004】
例えば、非特許文献1においては、振動するRF−MEMS発振器について概説されており、ここで、RF−MEMS発振器は、ビーム型、ディスク型、リング型及びFBAR(Film Bulk Acoustic Resonators)に分類されている。この中で本発明に関連する従来技術として、非特許文献2に開示された「フリー・フリー・ビーム型MEMS共振器」について、図18を参照して以下に説明する(例えば、特許文献1及び2においても記載されている。)。
【0005】
当該従来例に係る「フリー・フリー・ビーム型MEMS共振器」は、図18に示すように、接地平面及び検出電極90上の各アンカー102においてそれぞれ固定された4本のばね101によって支持された中央のビーム100(フリー・フリー・共振ビームと呼ばれる。)がその中央下部に設けられて交流信号Viにより励振された電極91によって静電気力を受けることにより湾曲振動するものである。ここで、103は凹部であり、104はフレキシャルモードのノードポイントであり、検出電極90に発振信号出力回路110が接続されている。当該共振器の振動の基本モードは中央のビーム100が上下方向で湾曲する形状であり、大きな振幅をもつ部分(振動の腹)が、中央と両端の3箇所となる。波の波形を考慮すると、この振動モードは1/2波長をもつ波であることがわかる。そして、当該論文では、さまざまな寸法をもつデバイスを設計して、30−90MHzの共振周波数をもつデバイスを試作したことが報告されている。
【0006】
【特許文献1】米国特許第6490147号の明細書。
【特許文献2】特開2007−184931号公報。
【非特許文献1】Wan-Thai Hsu, “Vibrating RF MEMS for Timing and Frequency References”, Digests of IEEE MTT-S 2006 International Microwave Symposium, pp.672-675, 2006.
【非特許文献2】Kun Wang et al., “VHF Free-Free Beam High-Q Micromechanical Resonators”, Journal of Microelectromechanical Systems, Vol.9, No.3, pp.347-360, September 2000.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、当該従来例に係る「フリー・フリー・ビーム型MEMS共振器」においては、共振周波数がデバイスの寸法によって決定される。例えば、共振ビーム長が16μmと14μmとしたときに対応する共振周波数がそれぞれ50MHzと70MHzであった。このように、従来技術では1個のデバイスからは1個の共振周波数しか取り出すことができなかった。これには、以下の理由がある。一般的には、基本波の整数倍の高調波の振動を励起することが可能であるが、ここに示した振動ビームを支える支持ばねは、高調波を抑える機能をもっていたため、当該共振器から取り出せる周波数が一定のものに制限されたのである。このように、この従来技術の構造は周波数を可変することができないという問題があった。
【0008】
また、振動ビームに対向して設けられた電極から発生した静電気力を直接振動ビームに作用させるので、より高い周波数になるに従って、振動ビームの寸法が小型化して励振電極と対向する面積が減少するために静電気力を有効に作用させることが困難になり、駆動電圧が増大するという問題があった。
【0009】
一方、この従来例のように振動ビームの変形方向である横の振動の節の部分に4本の支持ばね101を設ける構造とは別に、振動ビームの両端を固定するという他の構造も従来から報告されている。この場合には、基本波以外にも高調波を利用することが可能である。しかしながら、この構造の問題点は、高調波が常にこれよりも低次の高調波よりも振幅が小さいということである。このため、オーバートーン技術を用いて複数の共振周波数を利用することができるが、高次の共振周波数を利用するに従って発振波形にひずみが生じ、また、低次の周波数を抑えるフィルタ回路が必要となるという問題があった。
【0010】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、オーバートーン技術を用いず、基本波及び高調波の少なくとも一つの周波数で共振することができ、しかも共振周波数を変更することができかつ従来技術に比較して小さい駆動電圧で励振できる共振器、それを用いた発振回路及びMEMSデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明に係るMEMS共振器は、
基板上に電気的に絶縁されかつ少なくとも一個の固定端で固定された可動主ビームと、
上記可動主ビームから延在するように形成された少なくとも一本の可動副ビームと、
上記可動副ビームに近接するように設けられた少なくとも一個の励振電極とを備えたMEMS共振器であって、
上記励振電極を交流信号を用いて励振することにより、上記可動副ビームを静電気力により励振して振動させ、基本共振周波数及びその高調波周波数のうちの少なくとも一つの周波数で共振することを特徴とする。
【0012】
上記MEMS共振器において、上記励振電極の数及び上記可動副ビームに対する上記励振電極の位置のうち少なくとも一方を変化することにより共振周波数を変化させることを特徴とする。
【0013】
また、上記MEMS共振器において、上記可動主ビームは二個の固定端で固定されたことを特徴とする。
【0014】
さらに、上記MEMS共振器において、上記基板は誘電体基板又は半導体基板であり、上記可動主ビーム及び上記可動副ビームは導電性材料又は半導体材料で形成されたことを特徴とする。
【0015】
第2の発明に係るMEMS発振回路は、上記MEMS共振器を備え、上記MEMS共振器の共振周波数と同一の周波数で発振することを特徴とする。
【0016】
第3の発明に係るMEMSデバイスは、上記MEMS共振器を備え、上記MEMS共振器の共振状態を利用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
従って、本発明に係るMEMS共振器によれば、オーバートーン技術を用いず、基本波及び高調波の少なくとも一つの周波数で共振することができ、しかも共振周波数を変更することができかつ従来技術に比較して小さい駆動電圧で励振できる。そして、当該MEMS共振器を用いて極めて小さい周波数可変小型発振器や、上記MEMS共振器の共振状態を利用したMEMSデバイスを構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0019】
図1は本発明の一実施形態に係るMEMS共振器の構造を示す斜視図であり、図2は図1の可動主ビーム3付近の拡大図である。また、図3は図1の可動副ビーム4と、励振電極5の励振アーム5bとの間の位置関係を示す平面図であり、図4は図1のMEMS共振器の側面図である。
【0020】
図1及び図2において、ガラス基板10上にMEMS共振器の固定端となる、例えば単結晶シリコンにてなるアンカー部1,2が所定の間隔だけ離隔してかつガラス基板10とは電気的に絶縁されて形成されている。アンカー部1,2は例えば長方形と三角形とを組み合わせた平面形状を有し、その各頂点1a,2aが対向するようにアンカー部1,2が配置される。各頂点1a,2a間には、アンカー部1,2から延在してこれらを連結しかつガラス基板10から所定の間隔の空隙11(図4)を有して振動可能に形成された単結晶シリコンにてなる可動主ビーム3が形成され、当該可動主ビーム3の長手方向に対して実質的に直交する方向でその両側面から突出して延在するように形成された単結晶シリコンにてなる複数本の可動副ビーム4が形成される。図1の実施形態では、可動主ビーム3の長手方向に対して直交する方向で可動主ビーム3を突き刺すように6本の可動副ビーム4が形成されている。可動主ビーム3と可動副ビーム4との組み合わせ形状は、図1から明らかなように、いわゆる魚の骨形状(フイッシュボーン形状)を有する。
【0021】
そして、ガラス基板10上に、各励振電極5,6,7の励振アーム5a,5b,6a,6b,7a,7bが異なる可動副ビーム3と近接しかつ例えばその側面と対向するように、励振電極5,6,7がそれぞれ形成される。例えば、図3の拡大図に示すように、可動副ビーム4は、励振電極5の励振アーム5bとオーバーラップ長Lo及び、それらの間隔であるギャップgとを有するように配置されており、励振電極6,7に対しても同様の配置関係で配置される。
【0022】
以上の実施形態においては、ガラス基板10を用いているが、本発明はこれに限らず、他の誘電体基板、もしくはGaAs基板などの半導体基板を用いてもよい。また、励振電極5,6,7の各励振アーム5a,5b,6a,6b,7a,7bによる励振は、可動副ビーム4の側面から実行しているが、本発明はこれに限らず、所定の間隔gだけ離隔して励振すればよく、可動副ビーム4の下面から又は上面から行ってもよい。
【0023】
さらに、アンカー部1,2,可動主ビーム3及び可動副ビーム4はともに単結晶Siにて形成しているが、本発明はこれに限らず、Au,Ag,Cu,Alなどの金属等の導電性材料、もしくは、ポリシリコン、アモルファスシリコン、GaAs、GaAsP、GaN、SiCなどの半導体材料で形成してもよい。もしくは、アンカー部1,2,可動主ビーム3及び可動副ビーム4はともに誘電体材料の表面を金属材料などでメッキ処理して形成してもよい。また、可動副ビーム4は可動主ビーム3から所定の角度で少なくとも延在するように形成すればよい。
【0024】
図5は図1のMEMS共振器を用いたMEMS発振器の平面構造及び電気回路を示す回路図である。図5において、可動主ビーム3の中央部に位置する2本の可動副ビーム4間に挿入するように、可動主ビーム3の両側でそれぞれ励振電極5,15の励振アーム5a,5b,15a,15bが可動副ビーム4と近接しかつ対向するように配置形成されている。また、励振電極5,15の図上右側(アンカー部2に向う方向)において、可動主ビーム3の両側でそれぞれ励振電極8,18の励振アーム8a,8b,18a,18bが可動副ビーム4と近接しかつ対向するように配置形成されている。さらに、励振電極8,18の図上右側(アンカー部2に向う方向)において、可動主ビーム3の両側でそれぞれ励振電極7,17の励振アーム7a,7b,17a,17bが可動副ビーム4と近接しかつ対向するように配置形成されている。一方、励振電極5,15の図上左側(アンカー部1に向う方向)において、可動主ビーム3の両側でそれぞれ励振電極9,19の励振アーム9a,9b,19a,19bが可動副ビーム4と近接しかつ対向するように配置形成されている。さらに、励振電極9,19の図上左側(アンカー部1に向う方向)において、可動主ビーム3の両側でそれぞれ励振電極6,16の励振アーム6a,6b,16a,16bが可動副ビーム4と近接しかつ対向するように配置形成されている。
【0025】
アンカー部1は、カップリングキャパシタCcを介して出力端子Toに接続され、高周波阻止用インダクタLbを介してバイアス電圧源Baが接続されている。励振信号発生器60は、例えば1kHz〜1GHzなどの励振周波数を有し、各励振電極5〜9及び15〜19を励振するための励振信号を発生し、スイッチ61を介して励振電極5に出力し、スイッチ62を介して励振電極15に出力し、スイッチ63を介して励振電極6及び7に出力し、スイッチ64を介して励振電極16及び17に出力し、スイッチ65を介して励振電極8及び9に出力し、スイッチ66を介して励振電極18及19に出力する。
【0026】
以上のように構成されたMEMS共振器の電気回路において、スイッチ61〜66をオンすることにより所定の励振電極5〜9及び15〜19を励振することができる。そのシミュレーション結果については詳細後述する。
【0027】
図6及び図7は図1のMEMS共振器の製造工程を示す縦断面図である。以下、図6及び図7を参照して図1のMEMS共振器の製造工程について説明する。
【0028】
図6(a)に示すように、まず、絶縁物上シリコン(Silicon On Insulator)ウエハ(以下、SOIウエハという。)70Aを用意する。ここで、SOIウエハ70Aは、シリコン基板70上に埋込層であるSiO2絶縁層71を介してSi活性層72が形成されて構成されている。次いで、図6(b)に示すように、SOIウエハ70A上にCr層73をパターンニングすることにより形成した後、図6(c)に示すように、フォトレジスト層74をパターンニングすることにより形成する。そして、図6(d)に示すように、深い深度を有するイオン結合プラズマ反応性イオン・エッチング(ICP−RIE)法を用いて所定のパターンでSi活性層72をエッチングした後、図7(a)に示すように、浅い深度を有するイオン結合プラズマ反応性イオン・エッチング(ICP−RIE)法を用いて所定のパターンでフォトレジスト層74をエッチングする。
【0029】
次いで、図7(b)に示すように、上記得られたデバイスを表裏逆にしてガラス基板10上で、突出しているSi活性層72を所定の接着剤でボンディングする。ここで、75は接着層を示す。そして、図7(c)に示すように、所定のエッチング法を用いておもて面のシリコン基板70の層をエッチングすることにより、図7(d)のMEMS共振器のデバイスを得ることができる。
【0030】
以上の実施形態においては、接着層75を用いて接着しているが、本発明はこれに限らず、以下の方法で接着してもよい。図7(b)において、シリコンデバイス(SOIウエハ70Aを含む形成物)を表裏逆にしてガラス基板10上で、突出しているSi活性層72を直接にガラス基板10に静電ボンディング方法を利用して接着する。これは、シリコンデバイスとガラス基板10を約400゜Cに加熱して、シリコンデバイスを陽極にしてシリコンデバイスとガラス基板10との間に500V程度の電圧を印加することによって実現することができる。接着層75を使用しないために、デバイスの長期安定性に役立つ効果がある。
【0031】
次いで、本実施形態に係るMEMS共振器の動作について、可動主ビーム3のみを有するMEMS共振器の動作と比較して以下に説明する。
【0032】
図8(a)は比較例に係る、可動主ビーム3のみを有するMEMS共振器の構造を示す平面図であり、図8(b)は図8(a)のMEMS共振器の振動状態を示す平面図である。また、図9(a)は本実施形態に係る、1個の励振電極5を有するMEMS共振器の構造を示す平面図であり、図9(b)は図9(a)のMEMS共振器の振動状態を示す平面図である。図8に示すように、比較例に係る可動主ビーム3のみを有するMEMS共振器において、励振電極5により可動主ビーム3を励振したとき、可動主ビーム3と直交する方向で静電気力81が発生して矢印82の方向で振動する。一方、実施形態に係る可動主ビーム3及び可動副ビーム4を有するMEMS共振器では、励振電極5により可動主ビーム3を励振したとき、可動副ビーム4と概ね直交する方向で静電気力81が発生して矢印82の方向で振動する。
【0033】
図10(a)は本実施形態に係るMEMS共振器の基本共振周波数モードにおける振動状態を示す平面図である。これは、図5のスイッチ61のみをオンして中央部の励振電極5のみで励振した場合であって、一次の共振周波数モード(基本波共振周波数モード)で振動する。
【0034】
図10(b)は本実施形態に係るMEMS共振器の三次高調波共振周波数モードにおける振動状態を示す平面図である。これは、図5のスイッチ63のみをオンして所定の間隔だけ離隔されかつ可動主ビーム3の一方の側に位置する2つの励振電極6,7で励振した場合であって、三次の高調波共振周波数モードで振動する。
【0035】
図10(c)は本実施形態に係るMEMS共振器の二次高調波共振周波数モードにおける振動状態を示す平面図である。これは、図5のスイッチ66のみをオンして所定の間隔だけ離隔されかつ可動主ビーム3の互いに異なる側に位置する2つの励振電極18,19で励振した場合であって、二次の高調波共振周波数モードで振動する。
【0036】
図11は図5のMEMS共振器においてスイッチ61のみをオンして励振電極5のみを励振したときの発振信号のスペクトラムを示す図である。図11から明らかなように、一次の共振周波数モード(基本波共振周波数モード)及び三次の高調波共振周波数モードの発振信号を得ることができる。ここで、三次の高調波共振周波数モードの発振信号の振幅は比較的小さく、その発振モードは、一次の共振周波数モード(基本波共振周波数モード)のオーバートーンで発振しているものと考えられる。
【0037】
図12は図5のMEMS共振器においてスイッチ63のみをオンして励振電極6,7のみを励振したときの発振信号のスペクトラムを示す図である。図12から明らかなように、一次の共振周波数モード(基本波共振周波数モード)及び三次の高調波共振周波数モードの発振信号を得ることができる。ここで、三次の高調波共振周波数モードの発振信号の振幅は図11よりも大きく、その発振モードは、一次の共振周波数モード(基本波共振周波数モード)のオーバートーンではなく、自己の振動で発振しているものと考えられる。
【0038】
図13は図5のMEMS共振器においてスイッチ65のみをオンして励振電極8,9のみを励振したときの発振信号のスペクトラムを示す図である。図12から明らかなように、二次の高調波共振周波数モード及び四次の高調波共振周波数モードの発振信号を得ることができる。この発振モードは両方の発振信号とも比較的大きな振動振幅が得られており自己の振動で発振しているものと考えられる。
【0039】
図14は図8の比較例と、図9の実施形態との比較結果であってオーバーラップ長Loに対する振動振幅を示すグラフである。図14から明らかなように、オーバーラップ長Loを大きくすることにより、可動主ビーム3のみの比較例に比較して大きな振動振幅を得ることができることがわかる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、励振電極5〜9及び15〜19の数及び配置位置を変更することにより、基本波共振周波数のみならず、種々の高調波共振周波数でそれらの周波数を変化させて共振させることができる。
【0041】
また、従来例では、上述したように、振動ビームに対向して設けられた電極から発生した静電気力を直接振動ビームに作用させるので、より高い周波数になるに従って、振動ビームの寸法が小型化して励振電極と対向する面積が減少するために静電気力を有効に作用させることが困難になり、駆動電圧が増大するという問題があった。これに対して、本実施形態では、図9(b)に示すように励振電極から発生する静電気力が可動副ビーム4に作用し、可動副ビーム4を介して可動主ビーム3に力が伝達されるようになっている。可動副ビーム4と励振電極との対向面積は、可動主ビーム3が短くなっても大きくとることが可能である。このため、設計自由度が増大し、駆動電圧を大幅に低減させることができる。
【0042】
さらに、本実施形態では、可動副ビーム4の長さ及びその形成間隔、数を変化させた共振器を作成することにより、多数の共振周波数をもつMEMS共振器を実現することができる。また、これらの中から、励振電極の数及び配置位置の選択によって所望の共振周波数の発振信号を取り出すことが可能となる。なお、励振信号の周波数を走査することにより、当該MEMS共振器の共振状態(最大振幅を得る)となる共振周波数を検出することができる。
【0043】
さらに、励振電極の数及び配置位置の選択によって選択的に高次モードのQ値を高くすることができ、さらに、励振電極の位置の組み合わせを変更することにより、共振周波数のQ値を変化させることができる。
【0044】
変形例.
図15は本発明の変形例に係る片持ちビームの場合のMEMS共振器を示す平面図である。上記の実施形態では、両端で固定された両持ちビームを形成しているが、本発明はこれに限らず、図15のように、片側のアンカー部1のみで固定された片持ちビーム形状で形成してもよい。
【0045】
図16は本実施形態のMEMS共振器を用いたMEMS発振回路を示す回路図である。図16のMEMS発振回路は、MEMS共振器50を用いたCMOSインバータ発振回路である。図16において、MEMS共振器50の一端はインバータ51の入力端子に接続されるとともに、キャパシタC1を介して接地される。MEMS共振器50の他端は抵抗R2を介してインバータ51の出力端子に接続されるとともに、キャパシタC2を介して接地される。インバータ51の入力端子及び出力端子の間には帰還抵抗R1が接続され、インバータ51の出力端子から出力される発振信号はインバータ52を介して出力端子T1,T2に出力される。以上のように構成されたMEMS共振器50を用いたCMOSインバータ発振回路では、比較的高いQを有するMEMS共振器50を用いて発振器回路を構成しているので、共振周波数又はその高調波周波数と同一である安定な発振周波数を有する発振信号を直接にかつ比較的高い周波数(例えば100〜1000MHzなど)で発生することができ、しかも、上述のように、発振周波数を変化させることができる。
【0046】
図17は本実施形態のMEMS共振器を用いた帯域除去フィルタを示す回路図である。図17において、第1の端子T11,T12と、第2の端子T13,T14との間に、並列LC共振回路を構成するMEMS共振器50が挿入されているので、帯域除去フィルタを構成することができる。以上のように構成されたMEMS共振器50を用いた帯域除去フィルタでは、比較的高いQを有するMEMS共振器50を用いて帯域除去フィルタを構成しているので、除去帯域が狭帯域であって安定であり、しかも、上述のように、除去帯域の周波数を変化させることができる。なお、当該帯域除去フィルタは、MEMS共振器を備え、上記MEMS共振器の共振状態を利用することを特徴とするMEMSデバイスの一例である。
【実施例】
【0047】
本発明者により試作されたMEMS共振器の一例の仕様を以下の表に示す。
【0048】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上詳述したように、本発明に係るMEMS共振器によれば、オーバートーン技術を用いず、基本波及び高調波の少なくとも一つの周波数で共振することができ、しかも共振周波数を変更することができかつ従来技術に比較して小さい駆動電圧で励振できる。そして、当該MEMS共振器を用いて極めて小さい周波数可変小型発振器や、上記MEMS共振器の共振状態を利用したMEMSデバイスを構成することができる。本発明に係るMEMS共振器、MEMS発振回路及びMEMSデバイスは、特に、携帯電話や無線LANなどのRF−MEMSデバイスとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態に係るMEMS共振器の構造を示す斜視図である。
【図2】図1の可動主ビーム3付近の拡大図である。
【図3】図1の可動副ビーム4と、励振電極5の励振アーム5bとの間の位置関係を示す平面図である。
【図4】図1のMEMS共振器の側面図である。
【図5】図1のMEMS共振器を用いたMEMS発振器の平面構造及び電気回路を示す回路図である。
【図6】図1のMEMS共振器の製造工程を示す図であって、(a)はその第1の工程を示す縦断面図であり、(b)はその第2の工程を示す縦断面図であり、(c)はその第3の工程を示す縦断面図であり、(d)はその第4の工程を示す縦断面図である。
【図7】図1のMEMS共振器の製造工程を示す図であって、(a)はその第5の工程を示す縦断面図であり、(b)はその第6の工程を示す縦断面図であり、(c)はその第7の工程を示す縦断面図であり、(d)はその第8の工程を示す縦断面図である。
【図8】(a)は比較例に係る、可動主ビーム3のみを有するMEMS共振器の構造を示す平面図であり、(b)は(a)のMEMS共振器の振動状態を示す平面図である。
【図9】(a)は本実施形態に係る、1個の励振電極5を有するMEMS共振器の構造を示す平面図であり、(b)は(a)のMEMS共振器の振動状態を示す平面図である。
【図10】(a)は本実施形態に係るMEMS共振器の基本共振周波数モードにおける振動状態を示す平面図であり、(b)は本実施形態に係るMEMS共振器の三次高調波共振周波数モードにおける振動状態を示す平面図であり、(c)は本実施形態に係るMEMS共振器の二次高調波共振周波数モードにおける振動状態を示す平面図である。
【図11】図5のMEMS共振器においてスイッチ61のみをオンして励振電極5のみを励振したときの発振信号のスペクトラムを示す図である。
【図12】図5のMEMS共振器においてスイッチ63のみをオンして励振電極6,7のみを励振したときの発振信号のスペクトラムを示す図である。
【図13】図5のMEMS共振器においてスイッチ65のみをオンして励振電極8,9のみを励振したときの発振信号のスペクトラムを示す図である。
【図14】図8の比較例と、図9の実施形態との比較結果であってオーバーラップ長Loに対する振動振幅を示すグラフである。
【図15】本発明の変形例に係る片持ちビームの場合のMEMS共振器を示す平面図である。
【図16】本実施形態のMEMS共振器を用いたMEMS発振回路を示す回路図である。
【図17】本実施形態のMEMS共振器を用いた帯域除去フィルタを示す回路図である。
【図18】従来技術に係るフリー・フリー・ビーム型MEMS共振器の構成を示す斜視図及び電気回路図である。
【符号の説明】
【0051】
1,2…アンカー部、
1a,2a…頂点、
3…可動主ビーム、
4…可動副ビーム、
5,6,7,8,9,15,16,17,18,19…励振電極、
5a,5b,6a,6b,7a,7b…励振アーム、
10…ガラス基板、
11…空隙、
50…MEMS共振器、
51,52…インバータ、
60…励振信号発生器、
61〜66…スイッチ、
70A…SOIウエハ、
70…シリコン基板、
71…SiO2絶縁層、
72…シリコン活性層、
73…Cr層、
74…フォトレジスト層、
75…接着層、
R1,R2…抵抗、
C1,C2…キャパシタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に電気的に絶縁されかつ少なくとも一個の固定端で固定された可動主ビームと、
上記可動主ビームから延在するように形成された少なくとも一本の可動副ビームと、
上記可動副ビームに近接するように設けられた少なくとも一個の励振電極とを備えたMEMS共振器であって、
上記励振電極を交流信号を用いて励振することにより、上記可動副ビームを静電気力により励振して振動させ、基本共振周波数及びその高調波周波数のうちの少なくとも一つの周波数で共振することを特徴とするMEMS共振器。
【請求項2】
上記励振電極の数及び上記可動副ビームに対する上記励振電極の位置のうち少なくとも一方を変化することにより共振周波数を変化させることを特徴とする請求項1記載のMEMS共振器。
【請求項3】
上記可動主ビームは二個の固定端で固定されたことを特徴とする請求項1又は2記載のMEMS共振器。
【請求項4】
上記基板は誘電体基板又は半導体基板であり、上記可動主ビーム及び上記可動副ビームは導電性材料又は半導体材料で形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれか一つに記載のMEMS共振器。
【請求項5】
上記MEMS共振器を備え、上記MEMS共振器の共振周波数と同一の周波数で発振することを特徴とするMEMS発振回路。
【請求項6】
上記MEMS共振器を備え、上記MEMS共振器の共振状態を利用することを特徴とするMEMSデバイス。
【請求項1】
基板上に電気的に絶縁されかつ少なくとも一個の固定端で固定された可動主ビームと、
上記可動主ビームから延在するように形成された少なくとも一本の可動副ビームと、
上記可動副ビームに近接するように設けられた少なくとも一個の励振電極とを備えたMEMS共振器であって、
上記励振電極を交流信号を用いて励振することにより、上記可動副ビームを静電気力により励振して振動させ、基本共振周波数及びその高調波周波数のうちの少なくとも一つの周波数で共振することを特徴とするMEMS共振器。
【請求項2】
上記励振電極の数及び上記可動副ビームに対する上記励振電極の位置のうち少なくとも一方を変化することにより共振周波数を変化させることを特徴とする請求項1記載のMEMS共振器。
【請求項3】
上記可動主ビームは二個の固定端で固定されたことを特徴とする請求項1又は2記載のMEMS共振器。
【請求項4】
上記基板は誘電体基板又は半導体基板であり、上記可動主ビーム及び上記可動副ビームは導電性材料又は半導体材料で形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれか一つに記載のMEMS共振器。
【請求項5】
上記MEMS共振器を備え、上記MEMS共振器の共振周波数と同一の周波数で発振することを特徴とするMEMS発振回路。
【請求項6】
上記MEMS共振器を備え、上記MEMS共振器の共振状態を利用することを特徴とするMEMSデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−272757(P2009−272757A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119796(P2008−119796)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 社団法人応用物理学会発行の「Microprocesses and Nanotechnology 2007,20th International Microprocesses and Nanotechnology Conference,Digest of Papers(2007年マイクロプロセス・ナノテクノロジー、第20回マイクロプロセス・ナノテクノロジー国際会議、論文の要約集)」500〜501頁(8B−11−3)において2007年11月5日に発表した。
【出願人】(396023993)株式会社半導体理工学研究センター (150)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 社団法人応用物理学会発行の「Microprocesses and Nanotechnology 2007,20th International Microprocesses and Nanotechnology Conference,Digest of Papers(2007年マイクロプロセス・ナノテクノロジー、第20回マイクロプロセス・ナノテクノロジー国際会議、論文の要約集)」500〜501頁(8B−11−3)において2007年11月5日に発表した。
【出願人】(396023993)株式会社半導体理工学研究センター (150)
【Fターム(参考)】
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