説明

オープンドレイン出力回路

【課題】出力回路100の出力端子OUTに接続される電源電圧によっては、出力信号の遷移時間が変化してしまう場合があった。
【解決手段】出力回路100は、出力端子OUTに印加されるプルアップ電源電圧を検出するレベル検出回路1と、レベル検出回路1の検出結果に基づいて駆動能力が切り替えられるオープンドレインバッファ回路2とを有する。電源電圧の異なる回路に接続される出力回路であっても、その出力の遷移時間を安定させて出力することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オープンドレイン出力回路に関し、特にオープンドレイン出力回路が接続される回路の電源系が複数存在する場合のオープンドレイン出力回路に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばIC(アイ・スクエア・シー)バッファなどのように半導体集積回路の出力バッファ回路として、オープンドレインバッファが用いられる。非特許文献1は、このようなICバスを例にした場合のオープンドレインバッファを示している。図9は、非特許文献1に示されたオープンドレインバッファの回路図を示している、図9に示すように、ICバスでは、1つの出力端子OUT71に対して、オープンドレインバッファDOUT1の出力と後段の回路の入力回路DIN2が接続される。このオープンドレインバッファDOUT1の出力が接続される出力端子OUT71は、外部抵抗Rを介してプルアップ電源VDDに接続されている。
【0003】
一方で、近年の高集積化、低消費電力化を目的に上述のオープンドレインバッファなどの入出力回路に用いられる電源電圧(IO電源電圧)は、5V→3.3V→2.5V→1.8Vと低下してきている。そしてこのような入出力回路は各IO電源電圧に応じて個別に設計されてきた。また、IO電源電圧が異なる入出力回路間を接続する場合に、例えばIC(アイ・スクエア・シー)バッファではバッファ間にレベルシフト回路を挿入していた。(非特許文献1P43)
【非特許文献1】THE I2C−BUS SPECIFICATION VERSION 2.1 JANUARY 2000、P8、Philips Semiconductors(NXP Semiconductors)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のようにレベルシフト回路を挿入せずに、1.8Vの電源で動作する回路で設計されたオープンドレインバッファの出力端子を、3.3Vの電源で動作する回路の入力回路に接続した場合、両回路間で良好な入出力特性を得ることは困難となる。
【0005】
例えば、1.8Vの電源で動作するオープンドレインバッファを、3.3Vの電源で動作する回路に入力した場合について説明する。このような場合、オープンドレインバッファの出力が接続される出力端子を、外部プルアップ抵抗を介して3.3Vの電源につなぐことで、出力端子を3.3V(つまりHレベル)のレベルとすることは可能である。しかしながら、オープンドレインバッファは、1.8Vの電源電圧で動作することを前提として設計されている。そのため、この出力端子が例えばHレベルからLレベルに遷移する場合は、その遷移時間が増加してしまう。
【0006】
この遷移時間の変化により、例えばIC規格を満たさない時間を要して遷移を行う回路、あるいは速度に対するマージンが極めて小さい回路となってしまう場合がある。すなわち、従来のオープンドレイン出力回路では、電源電圧の異なる回路に接続された場合、その出力の遷移時間が変化してしまう問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様によるオープンドレイン出力回路は、出力端子に印加されるプルアップ電源電圧を検出するレベル検出回路と、レベル検出回路の検出結果に基づいて駆動能力が切り替えられるバッファ回路とを有する。
【発明の効果】
【0008】
電源電圧の異なる回路に接続されるオープンドレイン出力回路であっても、その出力の遷移時間を安定させて出力することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態1に関わるオープンドレイン出力回路100を示す模式図である。本実施の形態では、このオープンドレイン出力回路100は、第1の電源電圧(例えば1.8V)で動作する回路内に設けられた回路であり、このオープンドレイン出力回路100自体も第1の電源電圧1.8Vで動作するものとする。
【0010】
本実施の形態のオープンドレイン出力回路100は、レベル検出回路1、バッファ回路2を有している。レベル検出回路1は、回路の起動時に出力端子OUTに印加されるプルアップ電源の電圧レベルを検出し、出力端子OUTに印加されるプルアップ電源電圧のレベル検出信号を出力する。バッファ回路2は、内部回路からの信号Aに基づいてHレベルあるいはLレベルの信号を出力するための回路である。なお、このバッファ回路2は、レベル検出回路1からのレベル検出信号に基づいて、その駆動能力が変化する。このバッファ回路2の駆動能力の変化については後述する。
【0011】
本実施の形態の出力端子OUTは、オープンドレイン出力回路100外部のプルアップ抵抗R1を介して第2の電源電圧(例えばプルアップ電源電圧)に接続されている。ここで、プルアップ電源電圧としては、例えばオープンドレイン出力回路100の出力する信号を受信する後段の回路の電源電圧であるとする。このプルアップ電源電圧は、オープンドレイン出力回路100と同じ1.8Vであっても、オープンドレイン出力回路100の電源電圧とは異なる電圧(例えば3.3V)であっても構わないが、以後の説明では、1.8Vであった場合と、3.3Vであった場合を例にして説明する。
【0012】
このレベル検出回路1及びバッファ回路2の詳細について図2を用いて説明する。本実施の形態のレベル検出回路1は、レベルシフト部11、基準電圧生成部12、比較部13、ラッチ部(比較結果保持部)14を有している。レベルシフト部11は、出力端子OUTの電圧をシフトさせ出力する回路である。
【0013】
本実施の形態では、レベルシフト部11は、1.8Vの第1の電源電圧と接地電位との間に直列に接続された2つのNMOSトランジスタN1、N2により構成されている。レベルシフト部11の出力と第1の電源電圧(1.8V)の間に接続されたNMOSトランジスタN1のゲートにはオープンドレイン出力回路100の出力端子OUTが接続されている。また、レベルシフト部11と接地電位との間に接続されたNMOSトランジスタN2のゲートには固定電位である第1の電源電圧が与えられている。本実施の形態では、このレベルシフト部11は、出力端子OUTの電圧のレベルに応じて0〜1.8Vの間の電圧を出力する。
【0014】
基準電圧生成部12は、一定の基準電圧を生成する回路である。本実施の形態では、基準電圧生成部12は第1の電源電圧と接地電位の間に直列に接続された抵抗R2、R3により構成されている。この基準電圧生成部12は、抵抗R2、R3の抵抗値の比に基づいた所定電圧を出力する。
【0015】
比較部13は、レベルシフト部11によってレベルシフトされた出力端子の電圧と、基準電圧生成部12の出力する基準電圧を比較し、その比較結果を出力する。本実施の形態では比較部13は、差動増幅器を用いた比較器で構成されている。本実施の形態の比較器では、出力端子OUTの電圧に基づいたレベルシフト部11の出力が、反転入力端子に接続されている。また、基準電圧生成部12の出力が非反転入力端子に接続されている。そのため、本実施の形態では、出力端子OUTの電圧が基準電圧生成部12の出力電圧よりも高かった場合にLレベルの信号を出力する比較部13となっている。
【0016】
ラッチ部14は、比較部13による比較結果を示す信号を保持する部分である。詳細には後述するが、本実施の形態では、回路起動時の出力端子OUTの電圧と、基準電圧生成部12の出力電圧の比較結果を保持すればよい。ラッチ部14によって、起動直後の電圧比較結果を保持することによって、バッファ回路2の駆動能力を決定する。本実施の形態では、このラッチ部14は、RS−FF(セット・リセット型フリップフロップ)で構成されている。このラッチ部14のリセット端子には回路の起動信号が与えられ、回路を起動するたびに、そのラッチしていた値がリセットされるものとする。なお、以降は、ラッチ部14を、RS−FF(セット・リセット型フリップフロップ)で構成されている例をもとに実施例を説明するが、回路起動時の出力端子OUTの電圧と、基準電圧生成部12の出力電圧の比較結果を保持することが可能なレジスタであればよい。
【0017】
本実施の形態のバッファ回路2は、ANDゲート21、出力端子OUTと接地電位の間に接続されたNMOSトランジスタN3、N4で構成されている。このNMOSトランジスタN3及びN4は、互いに並列に接続されている。
【0018】
ANDゲート21は、内部回路からの出力信号を示す信号Aと、ラッチ部14からの論理信号に基づいてHレベルあるいはLレベルの信号を出力する。NMOSトランジスタN3は、ゲートにANDゲート21の出力信号が与えられている。NMOSトランジスタN3は、内部回路からの信号AとANDゲート21の出力に応じてその導通状態が制御される。
【0019】
NMOSトランジスタN4は、ゲートに内部回路からの出力信号Aが与えられ、内部回路からの出力によって、その導通状態が制御される。
【0020】
図2に示した回路を例として、本発明の実施の形態の動作を説明する。なお、図3は、本実施の形態の出力端子の印加電圧、レベルシフト部11の出力電圧、比較部13の出力を示す図である。
【0021】
ここでは、オープンドレイン出力回路100の出力端子OUTに、プルアップ電源電圧として、1.8Vまたは3.3Vのいずれかが一方が接続されるものとして、説明する。
【0022】
まず、オープンドレイン出力回路100を備える半導体チップに電源が供給された状態で、OUT端子にプルアップ電源電圧(1.8V/3.3Vのいずれか)が印加された後、ラッチ14のリセット端子にLレベル("0")、オープンドレイン出力回路100に接続される内部回路からの信号AをHレベル("1")とする。
【0023】
これによって、OUT端子の電圧レベルはどちらのプルアップ電源電圧が印加されてもLレベルとなり、レベルシフト部11の出力が基準電圧生成部12の出力電圧よりも低いレベルとなって、比較部13の出力がH("1")レベルとなり、ラッチ14の出力がLレベルにクリアされる。
【0024】
その後リセットを解除(すなわちHレベルに)する。この状態では、ラッチ14をクリアしているため、プルアップ電源電圧としては低いほうのレベル(ここでは1.8V)が選択された状態となる。
【0025】
そして、信号AがLレベルを出力した時点で、OUT端子に印加されたプルアップ電源電圧が高いほうのレベル(3.3V)であった場合には、OUT端子の電圧レベルがプルアップ電源電圧に等しくなり、レベルシフト部11の出力が基準電圧生成部12の出力電圧よりも高いレベルとなって、比較部13の出力がLレベルとなり、ラッチ14の出力はHレベルとなる。つまり印加されたプルアップ電源電圧を高いほうのレベル(3.3V)とした設定値がラッチ14に取り込まれる。
【0026】
一方、OUT端子に印加されたプルアップ電源電圧が低いほうのレベル(1.8V)であった場合には、信号AがLレベル、OUT端子の電圧レベルがプルアップ電源電圧となっても、レベルシフト部11の出力のレベルは基準電圧生成部12の出力電圧よりも高いレベルとならないので比較部13の出力はHレベルのままである。つまり、ラッチ14は低いほうのレベル(1.8V)を選択する設定値(L)のままである。
【0027】
なお、プルアップ電源電圧が低いほうのレベル(1.8V)の場合は、この後信号AがHレベルを出力(OUTがLレベル)となっても、プルアップ電源電圧によらずレベルシフト部11の出力は基準電圧生成部12の出力電圧よりも低いレベルであるため、ラッチ14に取り込まれたレベルを選択する設定値は変更されない。
【0028】
次にレベルシフト部11について説明する。レベルシフト部11では、NMOSトランジスタN2は、電流源として動作している。N1のゲート−ソース間電圧はN2に流れるドレイン電流と等しくなるようにその電圧が決まるため、NMOSトランジスタN1のゲートに与えられる電圧により、レベルシフト部11の出力する電圧は変化する。例えば、N1とN2のL、Wが等しい場合にはN1のゲート−ソース間電圧はN2のゲート−ソース間電圧と等しくなるため、出力端子OUTの電圧が3.3Vであった場合はレベルシフト部11の出力電圧は、1.5Vとなる。
【0029】
基準電圧生成部12の出力電圧は抵抗R2、R3の設定により任意の値とすることが可能である。ここでは、仮にR2=R3として0.9Vであるとすると、レベルシフト部11の出力電圧は、基準電圧生成部12の出力電圧を上回る。そのため、比較部13はLレベルの信号を出力する(図3参照)。ラッチ部14のRS−FFにはHレベルが設定され、Hレベルを保持し、出力する。ラッチ部14がHレベルを保持し、出力しているため、ANDゲート21は、内部回路の出力する信号Aに基づいたHレベルあるいはLレベルの出力を行う。
【0030】
オープンドレイン出力回路100の接続される後段の回路が、オープンドレイン出力回路100の電源電圧よりも高い電圧で動作する回路であれば、本実施の形態のオープンドレイン出力回路100は、出力信号をNMOSトランジスタN3およびN4で駆動する回路として動作する。
【0031】
そのため、本実施の形態では、オープンドレイン出力回路100が接続される後段回路が、オープンドレイン出力回路100の電源電圧よりも高い電圧で動作する回路であれば、出力信号を2つのトランジスタN3及びN4で駆動する。この場合、オープンドレイン出力回路100内のバッファ回路2は、駆動能力の高い回路として動作することが可能である。
【0032】
逆に、オープンドレイン出力回路100が接続される後段回路が、、オープンドレイン出力回路100の電源電圧よりも低い電圧で動作する回路であった場合(出力端子OUTの電圧が1.8Vの場合)、回路起動時にレベルシフト部11の出力電圧は、N1のゲート−ソース間電圧をN2のゲート−ソース間電圧と等しくするよう動作するため、0Vに近づくことになる。ただし実際には、0Vを出力するとN2に電流が流れなくなるため、N2に電流が流れるようドレインーソース間に0.5V程度の一定の電圧が発生することになる。この場合、前述したように基準電圧生成部12の出力電圧がレベルシフト部11の出力電圧を上回るため、比較部13は、Hレベルの信号を出力する(図3参照)。比較部の出力に基づいてラッチ部14は、Lレベルの信号を保持する。そのため、ANDゲート21は、内部回路からの出力信号Aに関わらずLレベルの信号を出力する。この場合、NMOSトランジスタN3は、出力信号の駆動に寄与せず、出力信号はNMOSトランジスタN4によってのみ駆動されることとなる。したがって、オープンドレイン出力回路100が接続される後段回路の電源電圧が1.8Vであれば、出力信号の駆動をNMOSトランジスタN4のみで行う駆動能力を抑えたオープンドレイン出力回路100とすることが可能である。
【0033】
このように本発明の実施の形態によれば、起動時にレベル検出部1が検出したプルアップ電源電圧によって、バッファ回路2の駆動能力を変化させることが可能となる。バッファ回路2の駆動能力を変化させるため、オープンドレイン出力回路100が接続される後段回路の電源電圧が変化した場合でも、その電源電圧に応じた駆動能力をオープンドレイン出力回路100内で設定することが可能となる。そのため、オープンドレイン出力回路100の後段に接続される回路の電源電圧が変化しても、その出力の遷移時間を安定させることが可能となる。
【0034】
なお、上記の説明では、オープンドレイン出力回路100が1.8Vの電源電圧で動作し、後段の回路が1.8Vあるいは3.3Vの電源電圧で動作する場合を例に説明したが、その逆の場合も可能である。例えば、オープンドレイン出力回路100が3.3Vの電源電圧で動作し、後段の回路が1.8Vの電源電圧で動作するような場合、後段の回路に合わせて最適な駆動能力となるように、トランジスタ数を設定することが可能である。なお、オープンドレイン出力回路100に接続される回路の電源電圧が、オープンドレイン出力回路100の電源電圧よりも低くなるような場合などには、本実施の形態で示しているレベルシフト部11は、必ずしも必要ではない。すなわち、本発明のオープンドレイン出力回路100は、その出力に接続されうるプルアップ電源の複数の電圧レベルを、あらかじめ想定して設計される。このため、どのプルアップ電源の電圧レベルが印加されたかを、オープンドレイン出力回路100に印加されたプルアップ電源電圧と、基準電圧生成部12の出力電圧との高低判定によって、印加されたプルアップ電圧を判断できる。それゆえ、基準電圧生成部12の出力電圧レベルは、印加が想定されたプルアップ電圧レベル(換言すれば判定すべきプルアップ電源電圧レベル)の間の値とすることができる。たとえば印加が想定されたプルアップ電圧レベルが1.8Vと3.3Vのいずれかである場合、基準電圧生成部12の出力電圧は1.8Vと3.3Vの間の電圧であればどのようなレベルであってもよい。したがって、基準電圧生成部12の出力電圧が、印加が想定されたプルアップ電圧レベルの間の値を出力できる構成である場合、レベルシフト部11は、省略することが可能である。このような場合は、後述するようにレベル検出回路は、出力端子OUTのレベル検出が出来る構成となっていればよい。
【0035】
実施形態2
図4は、本発明の実施形態2のオープンドレイン出力回路200を示す回路図である。図4において、図2と同じ構成要素に関しては同一の符号を付し、その詳細な説明については、省略する。本実施の形態において、実施の形態1と異なるのはバッファ回路2の構成である。
【0036】
図4に示した回路では、バッファ回路2がインバータ22、スイッチ素子23、24及びNMOSトランジスタN5、N6で構成されている。インバータ22は、上述したラッチ回路14の出力を反転して出力する。スイッチ素子23、NMOSトランジスタN5は出力端子と接地電位の間に直列に接続されている。スイッチ素子24、NMOSトランジスタN6は、スイッチ素子23及びNMOSトランジスタN5に対して並列に接続され、出力端子OUTと接地電位の間に直列に接続されている。スイッチ素子23及び24は、ラッチ部14の出力に応じて、その導通状態が制御される。NMOSトランジスタN5、N6のゲートには内部回路からの信号Aが与えられている。図4では、スイッチ素子23、24としてNMOSトランジスタを用いた回路例を示している。NMOSトランジスタN5及びN6は、サイズが異なり、その電流駆動能力が異なるトランジスタである。
【0037】
図4に示した回路において、レベル検出回路1によって後段の回路の電源電圧に応じた信号が出力される点までは、実施の形態1で示した動作と同様である。ここで、仮に後段の回路の電源電圧が、オープンドレイン出力回路200の電源電圧よりも高く、レベル検出回路1からHレベルが出力されていた場合、スイッチ素子23はオフ状態、スイッチ素子24はオン状態となる。そのため、後段の回路の電源電圧がオープンドレイン出力回路の電源電圧よりも高い場合は、出力端子OUTの出力信号は、NMOSトランジスタN6を用いて駆動される。一方、後段の回路の電源電圧が、オープンドレイン出力回路200の電源電圧と同じ電圧の場合は、スイッチ素子23がオン状態、スイッチ素子24がオフ状態となる。そのため、出力端子OUTの出力信号はNMOSトランジスタN5を用いて駆動される。ここで、NMOSトランジスタN6の駆動能力をNMOSトランジスタN5よりも大きく設定をしておけば、実施の形態1と同様に後段の回路の電源電圧に応じて、バッファ回路2の駆動能力を変化させることが可能となる。また、実施の形態1のANDゲート21であれば、最低限で6つのトランジスタが必要となるが、本実施の形態では増加するトランジスタは4つでよく部品点数を減らすことが可能となる。
【0038】
実施の形態3
図5は、本発明の実施の形態3のオープンドレイン出力回路300を示す回路図である。図5において、図2と同じ構成要素に関しては同一の符号を付し、その詳細な説明については、省略する。本実施の形態において、実施の形態1と異なるのは、基準電圧生成部12において複数種類の基準電圧を生成し、後段に接続される回路の電源電圧が例えば3段階に分かれていたとしても、対応可能とした点である。
【0039】
そのため、本実施の形態の基準電圧生成部12は、3つの抵抗R2、R3,R4が電源電圧と接地電位の間に直列に接続されている。また比較部13は、第1、第2の比較器131、132の二つの比較器を有している。2つの比較器の比較結果を保持するため、ラッチ部14も、RS−FF141、142の2つとされている。
【0040】
さらに、バッファ回路部2では、第2のANDゲート25及び出力端子OUTと接地電位の間に接続されたNMOSトランジスタN7が設けられている。
【0041】
基準電圧生成部12の低圧側の分圧点(R3とR4の間のノード)の第1の基準電圧が比較器132の非反転入力端子に接続され、高圧側の分圧点(R2とR3の間のノード)の第2の基準電圧が比較器131の非反転入力端子に接続されている。
【0042】
ラッチ部14のRS−FF142には、比較器133の比較結果が入力されその値を保持する。RS−FF141には、比較器131の比較結果が保持される。RS−FF142の保持している値は、第2のANDゲート25に入力され、RS−FF141の保持している値は、第1のANDゲート21に入力される。
【0043】
このように構成した場合、例えば起動時の出力端子OUTの電圧が3.3Vであれば、比較器131、132が共にLレベルの信号を出力する。そのため、バッファ回路2ではNMOSトランジスタN3、N4、N7の3つのトランジスタを用いて出力信号が駆動される。起動時の出力端子OUTの電圧が2.5Vの時は、比較器132のみがLレベルの信号を検出し、NMOSトランジスタN4、N7を用いて出力信号が駆動される。起動時の出力端子OUTの電圧が1.8Vであれば、比較器131、132が共にLレベルの信号を出力せず(つまり、Hレベルを出力する)、NMOSトランジスタN4のみで出力信号が駆動される。
【0044】
このように、本実施の形態によれば、出力端子OUTに接続される回路の電源電圧が、多様になった場合でも、その電源電圧に合わせてオープンドレイン出力回路300の駆動能力を設定することが可能である。なお、出力端子OUTに接続される回路の電源電圧がより、多段階で考えられる場合は、適宜その数に合わせて基準電圧、比較部を設定することで対応することが可能である。
【0045】
変形例
前述のとおり、基準電圧生成部12の出力電圧が、印加が想定されたプルアップ電圧レベルの間の値を出力できる構成である場合は、レベルシフト部11を省略することができる。図6は、上記実施の形態1で述べたオープンドレイン出力回路100において、レベルシフト部11を省略した場合の回路の模式図である。ここでは、本発明のオープンドレイン出力回路100は、1.8Vまたは3.3Vのいずれかのプルアップ電源に接続されるケースを示している。基準電圧生成部12の出力電圧は、オープンドレイン出力回路100に供給されるIO電源電圧(3.3V)からR2,R3により分圧した電圧レベルとして供給する構成である。それゆえ、基準電圧生成部12は、印加が想定されたプルアップ電圧レベル(1.8Vと3.3V)の間の値(望ましくは1.8Vと3.3Vの中間値)を、IO電源電圧(3.3V)とR2,R3から生成することが可能である。この場合、図6に示すように、出力端子OUTは、比較部13の反転入力端子に直接接続される。比較部13を構成するトランジスタの耐圧が、出力端子OUTに接続されるオープンドレイン電源電圧に十分に対応できるものであれば、このような構成とすることも可能である。これによって、レベルシフト部11が必要ないため、回路面積の削減が可能である。
【0046】
図7は、本実施の形態の変形例を示す模式図である。図7に示す模式図は、複数の回路に複数の信号を出力する場合を説明する為の模式図である。図7に示すレベル検出回路1'は、図2に示したレベル検出回路1のレベルシフト部11、比較部13、ラッチ部14のみを有するレベル検出回路である。バッファ回路2は、図2、図4どちらに示したバッファ回路でもよい。図7に示すように、複数の出力がある場合は、図2において示した基準電圧生成部21を複数のレベル検出回路1'に対して共通に設けることが可能となる。
【0047】
このように複数のレベル検出回路1、バッファ回路2に対して共通で基準電圧を接続する構成とすれば例えば1つの半導体チップ上から複数の信号が出力される場合などに、半導体チップ上で1つの基準電圧生成部21を設けることで、複数のオープンドレイン出力回路に対する基準電圧を提供することが可能である。また、それぞれの出力端子OUT1、OUT2、OUT3が接続される後段の回路の電源電圧が、図7に例示するようにばらばらであった場合でも、個々のレベル検出回路1'で駆動能力を設定し、出力信号を生成することが可能である。
【0048】
なお、図7では、本願発明のオープンドレインバッファは、1.8Vまたは3.3Vのプルアップ電源に接続できるように設計されており、OUT1,3に1.8Vの、OUT2に3.3Vのプルアップ電源にそれぞれ接続された例を示している。OUT1〜3個々に対してレベル検出回路1'が設けられているが、判定のための基準電圧生成部12の出力電圧はそれぞれに共用できるので、1つとする構成である。
【0049】
また、図7に示す変形例とは異なる変形例の模式図を図8に示す。図7に示す例では、複数のバッファ回路2に対して、複数のレベル検出回路1'を有していた。これに対し、図8に示す例では、複数のバッファ回路2を1つのレベル検出回路1''によって制御する。
【0050】
たとえば、複数のオープンドレイン出力回路がバスを構成した場合などは、これらのオープンドレイン出力回路は同じプルアップ電源レベルに接続される構成となる。バスの接続先のプルアップ電源レベルに応じてオープンドレイン出力回路の駆動能力を対応させるためには、バスを構成するオープンドレイン出力回路のうちの1つのプルアップ電源電圧を検出し、すべてのオープンドレイン出力回路の駆動能力を決定することが可能である。このような場合には、本願発明のオープンドレイン出力回路は、図8に示すような構成とすることができる。図8では、これら複数のオープンドレイン出力回路が1.8Vのプルアップ電源に接続されているが、1.8Vのプルアップ電源電圧をOUT1より入力しレベル検出をおこなって、すべてのオープンドレイン出力回路の駆動能力を変更している。
【0051】
レベル検出回路1''は、出力端子OUT1〜OUT3のうち1つの出力端子のプルアップ電圧を検出し、この検出結果に応じて、同一のプルアップ電源電圧に接続された複数のバッファ回路2を同時に制御するレベル検出回路1''は、出力端子OUT1〜OUT3のそれぞれの電圧を検出し、この検出結果に応じて、複数のバッファ回路2を独立して制御する。
【0052】
なお、本明細書では、たとえば図2、図6に示すように、基準電圧生成部12は、オープンドレイン出力回路100に供給されるIO電源電圧(たとえば1.8Vや3.3V)からR2,R3により分圧した電圧レベルとして供給する構成と示したが、より正確に基準電圧を生成するためにレギュレータなどで構成することも可能である。図7、8の基準電圧生成部12も同様である。
【0053】
また、基準電圧生成部12が出力する電圧は、レベルシフト部11に有無に関わらず、印加が想定されたプルアップ電圧レベル(1.8Vと3.3V)の高低判定ができるレベルであればよい。図6のようにレベルシフト部11を削除する場合は、印加が想定されたプルアップ電圧レベル(1.8Vと3.3V)間の値であればよい。
【0054】
以上、実施の形態に基づいて詳細に説明したように、本発明では出力端子に印加されるプルアップ電源電圧によって、そのオープンドレイン出力回路内のバッファ回路の駆動能力が決定される。したがって、オープンドレイン出力回路に接続されるプルアップ電源電圧が複数種類ある場合でも、その出力信号の遷移時間を一定とすることが可能である。
【0055】
以上、実施の形態について詳細に説明したが、本発明は本発明の主旨を逸脱しない限り、種々の変形が可能である。例えば、それぞれの実施の形態の構成要素を組み合わせて、図示していない回路例として使用することなども可能である。また、レベルシフト部、基準電圧生成部、ラッチ部やバッファ回路などは実施の形態の回路例に限定されず、上記詳細な説明で説明した動作を実施することが可能な回路であれば、種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明のオープンドレイン出力回路を示す図である。
【図2】実施の形態1のオープンドレイン出力回路の詳細を示す回路図である。
【図3】実施の形態1の電圧レベルを示す図である。
【図4】実施の形態2のオープンドレイン出力回路の詳細を示す回路図である。
【図5】実施の形態3のオープンドレイン出力回路の詳細を示す回路図である。
【図6】変形例のオープンドレイン出力回路の詳細を示す回路図である。
【図7】変形例のオープンドレイン出力回路の詳細を示す回路図である。
【図8】変形例のオープンドレイン出力回路の詳細を示す回路図である。
【図9】従来の出力回路を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 レベル検出回路
2 バッファ回路
11 レベルシフト部
12 基準電圧生成部
13 比較部
14 ラッチ部(比較結果保持部)
21、25 ANDゲート
N1〜N7 トランジスタ
R1〜R4 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力端子に印加されるプルアップ電源電圧を検出するレベル検出回路と、
前記レベル検出回路の検出結果に基づいて駆動能力が切り替えられるバッファ回路とを有するオープンドレイン出力回路。
【請求項2】
前記バッファ回路は、オープンドレインバッファを有するバッファ回路であることを特徴とする請求項1に記載のオープンドレイン出力回路。
【請求項3】
前記レベル検出回路は、
前記出力端子に印加された電圧と基準電圧を比較する比較部と、
前記比較部の比較結果を保持する比較結果保持部とを有する請求項1あるいは2に記載のオープンドレイン出力回路。
【請求項4】
前記レベル検出回路は、さらに、前記出力端子に印加された電圧をレベルシフトするレベルシフト部を有し、
前記比較部は、前記レベルシフト部の出力電圧と前記基準電圧を比較することを特徴とする請求項3に記載のオープンドレイン出力回路。
【請求項5】
前記レベル検出回路は、さらに、前記基準電圧を生成する基準電圧生成部を有することを特徴とする請求項3あるいは4に記載のオープンドレイン出力回路。
【請求項6】
前記比較部は、
出力端子に印加された電圧と第1の基準電圧を比較する第1の比較器と、
出力端子に印加された電圧と第2の基準電圧を比較する第2の比較器とを有することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載のオープンドレイン出力回路。
【請求項7】
前記バッファ回路は、前記比較結果保持部の保持する比較結果に基づいて駆動能力が設定されることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載のオープンドレイン出力回路。
【請求項8】
前記バッファ回路は、複数の出力トランジスタを有し、前記比較結果保持部の保持する比較結果に基づいて出力信号を生成する出力トランジスタが決定されることを特徴とする請求項3乃至7のいずれか1項に記載のオープンドレイン出力回路。
【請求項9】
前記バッファ回路は、複数の出力トランジスタを有し、前記比較結果保持部の保持する比較結果に基づいて出力信号を生成する出力トランジスタの数が決定されることを特徴とする請求項3乃至7のいずれか1項に記載のオープンドレイン出力回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−219388(P2008−219388A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53033(P2007−53033)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】